JP2023173189A - 緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化された緩衝器を提供する。【解決手段】パイロットケース73の一側に内圧がメインバルブ51を閉弁させる方向へ作用する背圧室72を形成すると共に、該パイロットケース73の他側に背圧室72の内圧を調整するパイロットバルブ71の弁体82が離着座可能に着座するパイロットバルブシート部74を形成した、即ち、従来の緩衝器におけるパイロットケースとパイロットボディとを統合して本実施形態の緩衝器1におけるパイロットケース73としたので、メインボディを受けていた従来の緩衝器におけるパイロットケースの底部の厚さ(軸方向長さ)分だけ減衰力調整機構31の軸長を短くすることが可能であり、緩衝器1を小型化することができる。【選択図】図2
Description
本発明は、緩衝器に関するもので、特に、ピストンロッドのストロークによって生じる作動流体の流れを制御して減衰力を調整する減衰力調整式緩衝器に関する。
特許文献1には、メインバルブ51及びメインボディ52の内周にパイロットケース73と一体に形成されたピン部85を挿通し、該ピン部85に取り付けたナット87を締め付けることにより、メインバルブ51、メインボディ52、及びパイロットケース73を一体化させた緩衝器(以下「従来の緩衝器」と称する)が開示されている。
従来の緩衝器では、メインバルブ51の環状流路21の内圧がメインボディ52に曲げ荷重として作用する。また、従来の緩衝器は、一側にメインバルブ51の背圧室72が形成されたパイロットケース73と、他側にパイロットバルブ71が着座するシート部102(パイロットバルブシート部)と、が別個に構成される。ここで、パイロットケース73は、メインボディ52に作用する曲げ荷重を受けるため、底部75の肉厚を厚く(軸方向長さを長く)形成する必要があった。このため、減衰力調整機構31の軸長が長くなり、緩衝器が大型化する要因になっていた。
本発明は、緩衝器を小型化することを課題とする。
本発明の緩衝器は、作動液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に挿入されて前記シリンダ内を2室に画成するピストンと、前記シリンダの外周に設けられた外筒と、前記シリンダと前記外筒との間に形成されて作動液及びガスが封入されたリザーバと、前記シリンダと前記外筒との間に設けられて前記シリンダ内に連通する接続管と、前記外筒の外部に設けられたバルブケースに収容されて前記接続管に接続された減衰力発生機構と、を備えた緩衝器であって、前記減衰力発生機構は、減衰力を発生させるメインバルブと、前記メインバルブが当接するシート部材と、一側に内圧が前記メインバルブに閉弁方向へ作用する背圧室が形成され、他側に前記背圧室の内圧を調整するパイロットバルブが着座されるパイロットバルブシート部が形成されたパイロットケースと、を有することを特徴とする。
本発明によれば、減衰力調整機構の軸長を短くすることが可能であり、緩衝器を小型化することができる。
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。
図1に示されるように、本実施形態は、減衰力調整機構31が外筒3の側壁に横付けされた、所謂、制御バルブ横付型の減衰力調整式油圧緩衝器1(以下「緩衝器1」と称する)である。便宜上、図1における上下方向をそのまま「上下方向」と称する。
図1に示されるように、本実施形態は、減衰力調整機構31が外筒3の側壁に横付けされた、所謂、制御バルブ横付型の減衰力調整式油圧緩衝器1(以下「緩衝器1」と称する)である。便宜上、図1における上下方向をそのまま「上下方向」と称する。
緩衝器1は、外筒3の内側にシリンダ2が設けられた複筒構造をなし、外筒3とシリンダ2との間には、リザーバ4が形成される。シリンダ2内には、シリンダ2内をシリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとの2室に画成するピストン5が摺動可能に嵌装される。ピストン5には、ピストンロッド6の下端部が連結される。ピストンロッド6の上端側は、シリンダ上室2Aを通過し、さらにシリンダ2及び外筒3の上端部に取り付けられたロッドガイド8とオイルシール9とに挿通されてシリンダ2の外部へ突出する。
ピストン5には、シリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとを連通する伸び側通路11及び縮み側通路12が設けられる。縮み側通路12には、シリンダ下室2Bからシリンダ上室2Aへの作動液の流通を許容する逆止弁13が設けられる。他方、伸び側通路11には、シリンダ上室2A側の圧力が設定圧力に達することで開弁し、シリンダ上室2A側の圧力をシリンダ下室2B側へ逃がすディスクバルブ14(リリーフバルブ)が設けられる。
シリンダ2の下端部には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを区画するベースバルブ10が設けられる。ベースバルブ10には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを連通する伸び側通路15及び縮み側通路16が設けられる。伸び側通路15には、リザーバ4側からシリンダ下室2B側への作動液の流通を許容する逆止弁17が設けられる。他方、縮み側通路16には、シリンダ下室2B側の圧力が設定圧力に達することで開弁し、シリンダ下室2B側の圧力をリザーバ4側へ逃すディスクバルブ18(リリーフバルブ)が設けられる。なお、シリンダ2内には作動液が封入され、リザーバ4内には作動液及びガスが封入される。
シリンダ2の外周には、上下一対のシール部材19,19を介してセパレータチューブ20(接続管)が取り付けられる。シリンダ2とセパレータチューブ20との間には、環状流路21が形成される。環状流路21は、シリンダ2の側壁の上端側に設けられた通路22によりシリンダ上室2Aに連通される。セパレータチューブ20の側壁の下端側には、側方に突出して先端が開口する円筒形の接続口23が設けられる。外筒3の側壁には、接続口23と対向する位置に取付孔24が形成される。取付孔24は、接続口23と同軸に配置され、且つ接続口23の外径よりも大きい内径を有する。外筒3の側壁には、取付孔24を囲むようにして略円筒形のバルブケース25が設けられる。バルブケース25には、減衰力調整機構31が収容される。
図2に示されるように、減衰力調整機構31は、減衰力を発生させる背圧型のメインバルブ51と、該メインバルブ51が当接する環状のメインボディ52(シート部材)と、メインバルブ51の背部に形成されて内圧がメインバルブ51に対して閉弁方向へ作用する背圧室72と、一側(シリンダ2に接近する方向の側であって図2における左側)に背圧室72が形成されるパイロットケース73と、背圧室72の内圧を調整してメインバルブ51の開弁圧力を制御するパイロットバルブ71と、パイロットケース73の他側(シリンダ2から離反する方向の側であって図2における右側)に形成され、パイロットバルブ71が着座されるパイロットバルブシート部74と、パイロットバルブ71の下流側に設けられるフェイルセーフバルブ111と、パイロットバルブ71の開弁圧力を制御するソレノイド121と、を備える。
メインボディ52の他側端面(図2における「右側端面」)の外周縁部には、メインバルブ51の外周縁部が離着座可能に当接する環状のシート部53が形成される。シート部53の内周側、換言すれば、メインバルブ51の上流側には、環状凹部55が形成される。他方、メインボディ52の一側端面(図2における「左側端面」)には、セパレータチューブ20の接続口23が嵌合(挿入)される凹部56が形成される。凹部56は、メインボディ52と同軸の内円筒面からなる内周面57を有する。
なお、メインボディ52(凹部56)の内周面57に形成された環状溝(符号省略)には、メインボディ52の内周面57とセパレータチューブ20の接続口23との間をシールするシールリング58が設けられる。また、メインボディ52の、一側の凹部56と他側の環状凹部55とは、メインボディ52の軸方向(接続管23の軸方向、図2における左右方向)に沿って延びる複数本の通路59によって連通される。
ディスク状のメインバルブ51の内周部は、メインボディ52の内周部54と略有底円筒形に形成されたパイロットケース73の底部75との間で挟持される。メインバルブ51の外周部の背面側には、環状のパッキン60(弾性シール部材)が接合される。パイロットケース73(底部75)の一側端面(図2における「左側端面」)には、背圧室72を形成する環状凹部77が形成される。環状凹部77の外周側壁面は、パイロットケース73の軸線(中心線)と同軸の内円筒面からなり、メインバルブ51のパッキン60の摺動面をなす。
パイロットケース73の一側端面の、環状凹部77の内周縁部には、環状のシート部79が形成される。シート部79には、ディスク状の背圧導入弁81の外周縁部が離着座可能に当接する。背圧導入弁81の内周部は、メインボディ52の内周部54とパイロットケース73の底部75との間で挟持される。メインボディ52の内周部54とパイロットケース73の底部75との間には、一側から他側へ順に、メインバルブ51、リテーナ、スペーサ、リテーナ(符号省略)、及び背圧導入弁81が介装される。メインバルブ51、リテーナ、スペーサ、リテーナ(符号省略)、及び背圧導入弁81の軸孔には、パイロットケース73と一体に形成されたピン部85が挿通される。
ピン部85は、パイロットケース73と同軸に設けられ、パイロットケース73の底部75から一側(図2における左側)へ突出する。ピン部85は、メインボディ52の軸孔61に挿通され、一側端部(先端部)が、メインボディ52の凹部56の内側、換言すれば、接続口23の内側に位置する。ピン部85の一側端部にはねじ部86が形成され、該ねじ部86にはナット87(締結部材)が螺合される。ナット87は、接続口23の内側、換言すれば、メインボディ52の凹部56の内側に位置する(収容される)。
ねじ部86に螺合したナット87を締め付けることにより、ワッシャ88とパイロットケース73との間の上流側バルブ部品に軸力が作用される。なお、ナット87を締め付けるとき、パイロットケース73の外周面に形成された二面幅89(図2に一方の面のみ表示)に工具を係合する。また、パイロットケース73の二面幅89とヨーク122との間には、後述する通路33が形成される。
パイロットケース73は、底部75の他側(図2における「右側」)に形成された一定の深さ(軸方向長さ)の凹部91を有する。凹部91は、パイロットケース73の軸線(中心線)と同軸の内円筒面92を有する。内円筒面92の内側には、パイロットバルブ71及びフェイルセーフバルブ111の弁室93が形成される。凹部91の底部中央には、パイロットバルブ71の弁体82が離着座可能に着座するパイロットバルブシート部74が形成される。パイロットバルブシート部74の中央には、一定の深さ(軸方向長さ)の凹部94(導入通路)が形成される。換言すれば、パイロットバルブシート部74は、凹部94の開口周縁に形成される。
一方、パイロットケース73は、背圧導入弁81が着座するシート部79の内側に形成された環状溝95(環状凹部)を有する。環状溝95は、パイロットケース73の軸平面による断面が略直角三角形に形成される。環状溝95は、パイロットケース73に形成され、パイロットケース73の軸線の周囲に等配された複数本の通路96を介して凹部94に連通される。通路96は、パイロットケース73の軸線に対して傾斜(本実施形態では「60°」)し、環状溝95の内周側の面(符号省略)に直交するように設けられる。
凹部94は、ピン部85の軸孔97(導入通路)を介して環状流路21に連通される。軸孔97の一側端(ピン部85の先端)には、環状流路21から背圧室72へ作動液(液圧)を導入する導入オリフィス98が形成される。環状流路21の作動液は、導入通路、即ち、導入オリフィス98、軸孔97、凹部94、通路96、環状溝95、及び背圧導入弁81を介して背圧室72に導入される。なお、背圧導入弁81の外周縁部には、背圧室72と環状流路21とを常時連通する複数個のオリフィス99が形成される。
パイロットバルブ71の弁体82は、略円筒形に形成され、一側端部がテーパ状に形成される。弁体82の他側には、外フランジ形のばね受部83が形成される。弁体82は、パイロットばね112、フェイルセーフばね113、及びフェイルセーフディスク114により、パイロットバルブシート部74に対向して軸方向へ移動可能に弾性支持される。なお、パイロットばね112とフェイルセーフばね113とは、単一の非線形ばねに形成することができる。
パイロットケース73の他側(図2における「右側」)には、内径が一側から他側(開口側)へ段階的に大きくなる内円筒面92(凹部91)、内円筒面100、及び内円筒面102が形成される。内円筒面92、内円筒面100、及び内円筒面102は同軸に配置される。内円筒面102は、パイロットケース73の他側端面に設けられた円筒部101の内周面である。
パイロットばね112の外周縁部は、内円筒面92と内円筒面100との間の段部(符号省略)により支持される。他方、内円筒面100と内円筒面102との間の段部(符号省略)により、内円筒面102の内側に収容されたフェイルセーフばね113、フェイルセーフディスク114、及びワッシャ115が支持される。なお、内円筒面102の内側に収容されたフェイルセーフばね113、フェイルセーフディスク114、及びワッシャ115は、円筒部101の外周面である外円筒面103に装着されたキャップ117によりパイロットケース73の他側に固定される。
キャップ117には、複数個の切欠き118が形成される。切欠き118は、弁室93をキャップ117の外周に形成された環状の流路37に連通する。弁室93は、ワッシャ115の軸孔116、キャップ117の切欠き118、流路37、パイロットケース73の二面幅89とヨーク122の円筒部123との間に形成された通路33、及びバルブケース25の内周であってメインボディ52の外周に形成された環状流路35を介してリザーバ4に連通される。
なお、パイロットケース73の外周面に形成されたねじ部76(おねじ)とヨーク122の円筒部123の内周面に形成されたねじ部124(めねじ)とを締め付け方向へ相対回転させることにより、パイロットケース73とヨーク122とが締結される。これにより、パイロットケース73とヨーク122との間の下流側バルブ部品、即ち、パイロットばね112、フェイルセーフばね113、フェイルセーフディスク114、ワッシャ115、及びキャップ117等に軸力が作用される。
一方、ヨーク122の他側(図2における「右側」)には、コイル126、コア127、コア128、プランジャ129、及び中空の作動ロッド130が組み付けられる。作動ロッド130は、プランジャ129と一体に形成されるが、別体であってもよい。作動ロッド130の一側端部には、パイロットバルブ71の弁体82が固定される。ヨーク122の他側端部には、スペーサ131及びカバー132が挿入され、ヨーク122の他側周縁部を塑性加工する(かしめる)ことにより、ヨーク122内のソレノイド内機部品に軸力が作用される。
ヨーク122は、一側の円筒部123がバルブケース25の他側に開口する大内径部26に嵌合される。ヨーク122は、円筒部123の一側端面がバルブケース25段部27(大内径部26の底部)に当接されることにより、バルブケース25に対して軸方向へ位置決めされる。バルブケース25とヨーク122の円筒部123との間は、ヨーク122の円筒部123の外周面に装着されたシールリング134によりシールされる。バルブケース25に装着されたナット135を締め付け、ヨーク122の環状溝(符号省略)に装着された止め輪137を圧縮することにより、バルブケース25とヨーク122とが締結される。なお、バルブケース25とナット135との間は、バルブケース25の外周面に装着されたシールリング29によりシールされる。
そして、コイル126への非通電時には、弁体82は、フェイルセーフばね113のばね力により、パイロットバルブシート部74に対する離座方向(図2における「右方向」)へ付勢される。これにより、弁体82のばね受部83は、フェイルセーフディスク114に当接(着座)し、これによりフェイルセーフバルブ111が閉弁する。このとき、パイロットばね112は、パイロットケース73の内円筒面92と内円筒面100との間の段部(符号省略)から離間される。
また、コイル126への通電時には、作動ロッド130がパイロットばね142及びフェイルセーフばね113のばね力に抗して弁体82の着座方向(図2における「左方向」)へ付勢される。これにより、パイロットばね142がパイロットケース73の内円筒面92と内円筒面100との間の段部(符号省略)に当接し、弁体82がパイロットバルブシート部74に着座する。ここで、弁体82の開弁圧力は、コイル126に通電する電流値を変化させることで制御される。なお、コイル126に通電する電流値が小さいソフトモード時には、パイロットばね142のばね力とプランジャ129の推力とがつり合い、弁体82は、パイロットバルブシート部74から離間された状態(図2参照)となる。
次に、緩衝器1の作動を説明する。
緩衝器1は、車両のサスペンション装置(図示省略)のばね上(車体)、ばね下(車輪)間に設けられる。通常の作動状態では、車載コントローラは、減衰力調整機構31のソレノイド121のコイル126への通電電流を制御することにより、パイロットバルブ71の開弁圧力を調節する。
緩衝器1は、車両のサスペンション装置(図示省略)のばね上(車体)、ばね下(車輪)間に設けられる。通常の作動状態では、車載コントローラは、減衰力調整機構31のソレノイド121のコイル126への通電電流を制御することにより、パイロットバルブ71の開弁圧力を調節する。
ピストンロッド6の伸び行程時には、シリンダ上室2A内の圧力上昇によりピストン5の逆止弁13が閉弁し、ディスクバルブ14の開弁前には、シリンダ上室2A側の作動液が加圧される。加圧された作動液は、通路22および環状流路21を通って、セパレータチューブ20(接続管)の接続口23から減衰力調整機構31へ導入される。このとき、ピストン5が移動した分の作動液は、リザーバ4からベースバルブ10の逆止弁17を開弁させてシリンダ下室2Bへ流入する。なお、シリンダ上室2Aの圧力がピストン5のディスクバルブ14の開弁圧力に達してディスクバルブ14が開弁すると、シリンダ上室2Aの圧力がシリンダ下室2Bへリリーフされる。これにより、シリンダ上室2Aの過度の圧力上昇を回避することができる。
一方、ピストンロッド6の縮み行程時には、シリンダ下室2B内の圧力上昇により、ピストン5の逆止弁13が開弁し、ベースバルブ10の通路15の逆止弁17が閉弁する。ディスクバルブ18の開弁前には、ピストン下室2Bの作動液がシリンダ上室2Aへ流入し、ピストンロッド6がシリンダ2内に侵入した体積分の作動液が、シリンダ上室2Aから、通路22、環状流路21、セパレータチューブ20(接続管)の接続口23を通って減衰力調整機構31へ導入される。なお、シリンダ下室2B内の圧力がディスクバルブ18の開弁圧力に達してディスクバルブ18が開弁すると、シリンダ下室2Bの圧力がリザーバ4へリリーフされる。これにより、シリンダ下室2Bの過度の圧力上昇を回避することができる。
減衰力調整機構31に導入された作動液は、ピン部85(ピン部材)に形成された導入オリフィス98、ピン部85の軸孔97、パイロットケース73の凹部94、及び通路96を介して環状溝95に流入し、背圧導入弁81の開弁方向の圧力(環状溝95内の圧力)が設定した圧力を超えると、背圧導入弁81が開弁して背圧室72に導入される。メインバルブ51の開弁前(ピストン速度低速域)には、減衰力調整機構31に導入された作動液は、導入オリフィス98、軸孔97、凹部94を通って弁体82(パイロットバルブ71)を開弁させ、パイロットケース73内の弁室93に流入する。
弁室93に流入した作動液は、弁体82とフェイルセーフディスク114との間、ワッシャ115の軸孔116、キャップ117の切欠き118、流路37、パイロットケース73とヨーク112との間の通路33、環状流路35、及びメインボディ52の外周を通ってリザーバ4へ流通する。ピストン速度が上昇し、メインボディ52の通路59を介して接続口23に連通される環状凹部55の圧力がメインバルブ51の開弁圧力に達すると、メインバルブ51が開弁し、環状流路21の作動液は、接続口23、通路59、環状凹部55、メインバルブ51を通ってリザーバ4へ流通する。
このように、減衰力調整機構31は、ピストンロッド6の伸び行程及び縮み行程の両行程時において、メインバルブ51の開弁前(ピストン速度低速域)には、導入オリフィス98及びパイロットバルブ71(弁体82)の開弁圧力によって減衰力を発生し、メインバルブ51の開弁後(ピストン速度中速域)には、メインバルブ51の開度に応じた減衰力を発生する。そして、コイル126への通電を制御してパイロットバルブ71の開弁圧力を調整することにより、ピストン速度に係らず、減衰力を直接制御することができる。また、コイル126への通電を制御してパイロットバルブ71の開弁圧力を調整することにより、背圧導入弁81を開弁させて背圧室72に導入される作動液の圧力が調整されるので、減衰力特性を広範囲に調整することができる。
また、コイル126の断線、車載コントローラの故障等のフェイル発生時にプランジャ129の推力が失われた場合、フェイルセーフばね113のばね力により弁体82を後退させ、パイロットバルブ71を開弁させるとともに、弁体82のばね受部83をフェイルセーフディスク114に当接させることにより、弁室93とバルブケース25内側の環状流路35との間の連通を遮断する。
これにより、環状流路21から、導入オリフィス98、ピン部85の軸孔97、凹部94、弁室93、ワッシャ115の軸孔116、キャップ117の切欠き118、流路37、通路33、環状流路35、及びメインボディ52の外周を通ってリザーバ4へ流通する作動液の流れが、フェイルセーフバルブ111により制御される。ここで、フェイルセーフディスク114の開弁圧力を可変させることにより、所望の減衰力を得ることができる。同時に、背圧室72の内圧、即ち、メインバルブ51の開弁圧力を調整することが可能であり、フェイル発生時においても適切な減衰力を得ることができる。
ここで、従来の緩衝器では、メインバルブの弁室の内圧がメインボディに曲げ荷重として作用する。また、従来の緩衝器は、一側にメインバルブの背圧室が形成されたパイロットケースと、他側にパイロットバルブが着座するパイロットバルブシート部と、が別個に構成される。パイロットケースは、メインボディに作用する曲げ荷重を受けるため、底部の肉厚を厚く(軸方向長さを長く)形成する必要があった。このため、減衰力調整機構の軸長が長くなり、緩衝器が大型化する要因になっていた。
これに対し、本実施形態では、パイロットケース73の一側に内圧がメインバルブ51を閉弁させる方向へ作用する背圧室72を形成すると共に、該パイロットケース73の他側に背圧室72の内圧を調整するパイロットバルブ71の弁体82が離着座可能に着座するパイロットバルブシート部74を形成した、即ち、従来の緩衝器におけるパイロットケースとパイロットボディとを統合して本実施形態の緩衝器1におけるパイロットケース73としたので、メインボディを受けていた従来の緩衝器におけるパイロットケースの底部の厚さ(軸方向長さ)分だけ減衰力調整機構31の軸長を短くすることができる。これにより、緩衝器1を小型化することが可能であり、車両のサスペンション装置の設計自由度を向上させることができる。
また、本実施形態では、従来の緩衝器におけるパイロットケースとパイロットボディとを一体に形成したので、パイロットケースとパイロットボディとの間をシールするシールリング及び該シールリングが装着される環状溝の加工が不要になる。これにより、部品点数及び工数(機械加工、組付け)を低減することが可能であり、製造コストを削減することができる。さらに、パイロットケースとパイロットボディとの間をシールするシールリングの廃止により、減衰力調整機構31延いては緩衝器の信頼性を高めることができる。
また、本実施形態では、従来の緩衝器におけるパイロットケースとパイロットボディとを一体に形成したので、パイロットケースとパイロットボディとの間をシールするシールリング及び該シールリングが装着される環状溝の加工が不要になる。これにより、部品点数及び工数(機械加工、組付け)を低減することが可能であり、製造コストを削減することができる。さらに、パイロットケースとパイロットボディとの間をシールするシールリングの廃止により、減衰力調整機構31延いては緩衝器の信頼性を高めることができる。
1 緩衝器、2 シリンダ、3 外筒、4 リザーバ、5 ピストン、20 セパレータチューブ(接続管)、31 減衰力調整機構、51 メインバルブ、52 メインボディ(シート部材)、71 パイロットバルブ、72 背圧室、73 パイロットケース、74 パイロットバルブシート部
Claims (3)
- 作動液が封入されたシリンダと、
該シリンダ内に挿入されて前記シリンダ内を2室に画成するピストンと、
前記シリンダの外周に設けられた外筒と、
前記シリンダと前記外筒との間に形成されて作動液及びガスが封入されたリザーバと、
前記シリンダと前記外筒との間に設けられて前記シリンダ内に連通する接続管と、
前記外筒の外部に設けられたバルブケースに収容されて前記接続管に接続された減衰力発生機構と、
を備えた緩衝器であって、
前記減衰力発生機構は、
減衰力を発生させるメインバルブと、
前記メインバルブが当接するシート部材と、
一側に内圧が前記メインバルブに閉弁方向へ作用する背圧室が形成され、他側に前記背圧室の内圧を調整するパイロットバルブが着座されるパイロットバルブシート部が形成されたパイロットケースと、
を有することを特徴とする緩衝器。 - 請求項1に記載の緩衝器であって、
前記シート部材、前記メインバルブには、前記パイロットケースと一体に形成されたピン部が挿通され、前記ピン部には、前記シート部材、前記メインバルブ、及び前記パイロットケースを締結させる締結部材が設けられることを特徴とする緩衝器。 - 請求項2に記載の緩衝器であって、
前記ピン部には、前記背圧室へ作動液を導入する導入オリフィスが形成されることを特徴とする緩衝器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022085269A JP2023173189A (ja) | 2022-05-25 | 2022-05-25 | 緩衝器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022085269A JP2023173189A (ja) | 2022-05-25 | 2022-05-25 | 緩衝器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023173189A true JP2023173189A (ja) | 2023-12-07 |
Family
ID=89030810
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022085269A Pending JP2023173189A (ja) | 2022-05-25 | 2022-05-25 | 緩衝器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023173189A (ja) |
-
2022
- 2022-05-25 JP JP2022085269A patent/JP2023173189A/ja active Pending
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