JP7378010B2 - 緩衝器及びバルブ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ピストンロッドのストロークに対する作動流体の流れを制御して減衰力を可変する緩衝器及び該緩衝器に用いられるバルブ装置に関する。
特許文献1には、ボス部12の内側縁aとシート部13の外側縁bとの間の面を内側から外側に向けて徐々に高くなる同一湾曲面上としたことで、リーフバルブ4がボス部12からシート部13にかけて変局部的な変形をなくすようにした緩衝器(以下「従来の緩衝器」と称する)が開示されている。従来の緩衝器によれば、リーフバルブ4の外周側端部に付与されるイニシアル荷重の区々を防止することが可能であり、減衰力のばらつきを抑制することができる。
特開2013-170663号公報
しかし、従来の緩衝器では、シート部13の幅方向(ボス部径方向)の全面にリーフバルブ4が着座するので、シート部13の段差Hが小さい場合、シート部13とリーフバルブ4との接触幅がばらつく。当該接触幅にばらつきが生じた場合、リーフバルブ4の受圧面積が可変し、バルブ開弁点及び減衰力がばらつくおそれがある。
本発明は、減衰力のばらつきを抑制した緩衝器及びバルブ装置を提供することを課題とする。
本発明の緩衝器は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダの内部を第1室及び第2室に区画するピストンと、前記ピストンに設けられた通路を開閉するバルブ部材と、を備え、前記ピストンには、前記通路の開口の外周側に前記ピストンから突出する環状の第1シート部が形成され、前記第1シート部には、環状の第1凸部と、該第1凸部よりも前記ピストンから離間する方向へ延びる環状の第2凸部と、が形成され、前記バルブ部材は、前記ピストンに組付けられた状態で、前記第2凸部にのみ当接されることを特徴とする。
本発明のバルブ装置は、シリンダの内部を第1室及び第2室に区画するピストンと、前記ピストンに設けられた通路を開閉するバルブ部材と、を備え、前記ピストンには、前記通路の開口の外周側に前記ピストンから突出する環状の第1シート部が形成され、前記第1シート部には、環状の第1凸部と、該第1凸部よりも前記ピストンから離間する方向へ延びる環状の第2凸部と、が形成され、前記バルブ部材は、前記ピストンに組付けられた状態で、前記第2凸部にのみ当接されることを特徴とする。
本発明の一実施形態によれば、緩衝器及びバルブ装置における減衰力のばらつきを抑制することができる。
第1実施形態に係る緩衝器の軸平面による断面図である。 図1における減衰力調整機構を拡大して示す図である。 図2における伸び側メインバルブ(バルブ部材)とシート部(第1シート部)との当接部を拡大して示す図である。 第2実施形態の説明図である。
本発明の第1実施形態を添付した図を参照して説明する。
便宜上、図1における上下方向をそのまま「上下方向」と称する。図1に、減衰力可変機構17がシリンダ2に内蔵された、所謂、ピストン内蔵型の減衰力調整式緩衝器1(減衰機構)を示す。
図1に示されるように、緩衝器1は、シリンダ2の外側に外筒10が設けられた複筒構造をなす。緩衝器1は、シリンダ2内に摺動可能に嵌装され、シリンダ2内をシリンダ上室2A(第1室)とシリンダ下室2B(第2室)との2室に区画するピストン3と、一端がピストン3に連結され、他端側(図1における上側)がシリンダ2の外部へ延出されるピストンロッド141と、ピストンロッド141に固定され、シリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとを双方向へ流通可能に連通し、ピストン3の移動に伴う作動油(作動流体)の流れを制御して減衰力特性を可変する減衰力可変機構17と、を備える。
シリンダ2と外筒10との間には、リザーバ18が形成される。ピストン3は、上端側がシリンダ上室2Aに開口する伸び側通路19と、下端側がシリンダ下室2Bに開口する縮み側通路20と、を有する。シリンダ2の下端部には、シリンダ下室2Bとリザーバ18とを区画するベースバルブ45が設けられる。ベースバルブ45には、シリンダ下室2Bとリザーバ18とを連通する通路46,47が設けられる。
通路46には、リザーバ4側からシリンダ下室2B側への油液(作動流体)の流通を許容するチェックバルブ48が設けられる。他方、通路47には、シリンダ下室2B側の油液の圧力が設定圧力に達することで開弁し、シリンダ下室2B側の圧力(油液)をリザーバ18側へ逃がすディスクバルブ49が設けられる。なお、作動流体として、シリンダ2内には油液が封入され、リザーバ18内には油液およびガスが封入される。また、外筒10の下端にはボトムキャップ50が接合される。
減衰力可変機構17は、バルブ機構部28とソレノイド90とからなる。図2に示されるように、バルブ機構部28は、軸部6がピストン3の軸孔4に挿通されるピストンボルト5と、伸び側通路19の作動流体の流れを制御する伸び側バルブ機構21と、縮み側通路20の作動流体の流れを制御する縮み側バルブ機構51と、を有する。
伸び側バルブ機構21は、ピストンボルト5の軸部6に取り付けられる有底円筒形の伸び側パイロットケース22を有する。伸び側パイロットケース22は、ピストン3側が開口する円筒部26と、底部27と、を有する。伸び側パイロットケース22のピストン3側には、伸び側メインバルブ23(バルブ部材)が配置される。また、伸び側メインバルブ23の反ピストン側(図2における「下側」)であって、伸び側メインバルブ23と伸び側パイロットケース22との間には、伸び側背圧室25が形成される。
伸び側バルブ機構21は、ピストン3の下端面の外周側に形成されて伸び側メインバルブ23が離着座可能に当接する環状のシート部201(第1シート部)を有する。シート部201は、伸び側通路19の開口の外周側に形成される。伸び側背圧室25は、伸び側パイロットケース22と伸び側メインバルブ23の背面との間に形成される。伸び側背圧室25内の圧力は、伸び側メインバルブ23に対して閉弁方向へ作用する。伸び側メインバルブ23には、弾性体からなる環状のパッキン31が焼き付けられる。伸び側メインバルブ23は、パッキン31が伸び側パイロットケース22の円筒部26の内周面に全周にわたって接触するパッキンバルブである。
伸び側背圧室25は、伸び側パイロットケース22の底部27に形成された通路32とサブバルブ30とを介してシリンダ下室2Bに連通される。サブバルブ30は、伸び側背圧室25の圧力が所定圧力に達したときに開弁し、伸び側背圧室25からシリンダ下室2Bへの作動流体の流れに対して抵抗力を付与する。
伸び側背圧室25は、通路32を介して、伸び側パイロットケース22とサブバルブ30との間に形成された第1受圧室172に連通される。第1受圧室172は、伸び側パイロットケース22の下端面(伸び側メインバルブ23側とは反対側の面)に設けられた複数の環状の第1シート部173によって扇形に区画される。複数の第1シート部173の内側には、各々に通路32が開口する。
伸び側パイロットケース22には、ピストン3の縮み方向への移動により、シリンダ下室2Bから伸び側背圧室25への作動流体の流れが生じる背圧導入通路171が設けられる。伸び側パイロットケース22の上端面(伸び側メインバルブ23側の面)には、環状のシート部35が設けられる。シート部35は、底部27の内周部の外周に設けられた環状の受圧室174を画定する。
伸び側パイロットケース22の下端面には、第1受圧室172と隔絶された第2受圧室177が設けられる。第2受圧室177には、背圧導入通路171が開口する。第2受圧室177は、第2シート部178によって画定される。第2シート部178は、一対の隣接する第1受圧室172間を円弧形に延びる。第2シート部178には、第2受圧室177とシリンダ下室2Bとを連通する第1オリフィス175が設けられる。
これにより、伸び側バルブ機構21には、シリンダ下室2Bと伸び側背圧室25とを連通する伸び側連通路(連通路)が形成される。伸び側連通路は、ピストン3の縮み方向への移動により、シリンダ下室2Bの作動流体を、第1オリフィス175、第2受圧室177、背圧導入通路171、受圧室174、及びチェックバルブ33を経て伸び側背圧室25へ導入する。
一方、縮み側バルブ機構51は、ピストンボルト5の軸部6に取り付けられる有底円筒形の縮み側パイロットケース52を有する。縮み側パイロットケース52は、ピストン3側が開口する円筒部56と、底部57と、からなる。縮み側パイロットケース52のピストン3側には、縮み側メインバルブ53(バルブ部材)が配置される。また、縮み側メインバルブ53の反ピストン側(図2における「上側」)であって、縮み側メインバルブ53と縮み側パイロットケース52との間には、縮み側背圧室55が形成される。
縮み側バルブ機構51は、ピストン3の上端面の外周側に形成されて縮み側メインバルブ53が離着座可能に当接する環状のシート部211(第1シート部)を有する。シート部211は、縮み側通路20の開口の外周側に形成される。縮み側背圧室55は、縮み側パイロットケース52と縮み側メインバルブ53の背面との間に形成される。縮み側背圧室55内の圧力は、縮み側メインバルブ53に対して閉弁方向へ作用する。縮み側メインバルブ53には、弾性体からなる環状のパッキン61が焼き付けられる。縮み側メインバルブ53は、パッキン61が縮み側パイロットケース52の円筒部56の内周面に全周にわたって接触するパッキンバルブである。
縮み側背圧室55は、縮み側パイロットケース52の底部57に形成された通路62とサブバルブ60とを介してシリンダ上室2Aに連通される。サブバルブ60は、縮み側背圧室55の圧力が所定圧力に達したときに開弁し、縮み側背圧室55からシリンダ上室2Aへの作動流体の流れに対して抵抗力を付与する。
縮み側背圧室55は、通路62を介して、縮み側パイロットケース52とサブバルブ60との間に形成された第1受圧室182に連通される。第1受圧室182は、縮み側パイロットケース52の上端面(縮み側メインバルブ53側とは反対側の面)に設けられた複数の第1シート部183によって扇形に区画される。複数の第1シート部183の内側には、各々に通路62が開口する。
縮み側パイロットケース52には、ピストン3の伸び方向への移動によりシリンダ上室2Aから縮み側背圧室55への作動流体の流れが生じる背圧導入通路181が設けられる。縮み側パイロットケース52の下端面(縮み側メインバルブ53側の面)には、環状のシート部65が設けられる。シート部65は、底部57の内周部の外周に設けられた環状の受圧室184を画定する。
縮み側パイロットケース52の上端面には、第1受圧室182と隔絶された第2受圧室187が設けられる。第2受圧室187には、背圧導入通路181が開口する。第2受圧室187は、第2シート部188によって画定される。第2シート部188は、一対の隣接する第1受圧室182間を円弧形に延びる。第2シート部188には、第2受圧室187とシリンダ上室2Aとを連通する第1オリフィス185が設けられる。
これにより、縮み側バルブ機構51には、シリンダ上室2Aと縮み側背圧室55とを連通する縮み側連通路(連通路)が形成される。縮み側連通路は、ピストン3の伸び方向への移動により、シリンダ上室2Aの作動流体を、第1オリフィス185、第2受圧室187、背圧導入通路181、受圧室184、及びチェックバルブ63を経て縮み側背圧室55へ導入する。
なお、伸び側バルブ機構21及び縮み側バルブ機構51を構成するバルブ部品は、ピストンボルト5の軸部6のねじ部(符号省略)に取り付けられたナット78を締め付けることで、ピストンボルト5の頭部7とワッシャ79との間で加圧されて軸力が発生する。
図2に示されるように、ピストンボルト5には、共通通路11が形成される。共通通路11は、スリーブ15の内側(軸孔)に形成された軸方向通路12を有する。スリーブ15は、上端がピストンボルト5の頭部6に開口する孔16に嵌着される。共通通路11は、孔16の下部(スリーブ15の下端よりも下側の部分)に形成された軸方向通路13を有する。共通通路11は、上端が孔16に開口する小径孔からなる軸方向通路14を有する。共通通路11の内径は、軸方向通路13が最も大きく、軸方向通路12、軸方向通路14の順に小さくなる。なお、軸方向通路12は、ピストンボルト5の頭部7の端面9に開口する。
伸び側背圧室25は、伸び側パイロットケース22のシート部35に設けられたオリフィス(符号省略)、及び受圧室174、を経て、ピストンボルト5の軸部6に形成された径方向通路34に連通される。径方向通路34は、軸方向通路14に連通される。軸方向通路14は、ピストンボルト5の軸部6に形成された径方向通路39に連通される。
径方向通路39は、ピストン3の軸孔4の下端部に形成された環状通路41、ピストン3の内周部に形成された複数個の切欠き42、及びピストン3に設けられたディスクバルブ40を介して、伸び側通路19に連通される。ディスクバルブ40は、ピストン3の、シート部201及び伸び側通路19の開口よりも内周側に設けられた環状のシート部43に離着座可能に当接する。ディスクバルブ40は、径方向通路39から伸び側通路19への作動流体の流れを許容する逆止弁である。
縮み側背圧室55は、縮み側パイロットケース52のシート部65に設けられたオリフィス(符号省略)、受圧室184、縮み側パイロットケース52の底部57の内周部に形成された環状通路68、及びピストンボルト5の軸部6に形成された二面幅部77を経て、ピストンボルト5の軸部6に形成された径方向通路64に連通される。径方向通路64は、スリーブ15の側壁に形成された孔66を介して軸方向通路12に連通される。
径方向通路64は、二面幅部77、ピストン3の軸孔4の上端部に形成された環状通路71、ピストン3の内周部に形成された複数個の切欠き72、及びピストン3に設けられたディスクバルブ70を介して、縮み側通路20に連通される。ディスクバルブ70は、ピストン3の、シート部211及び縮み側通路20の開口よりも内周側に設けられた環状のシート部73に離着座可能に当接する。ディスクバルブ70は、径方向通路64から縮み側通路20への作動流体の流れを許容する逆止弁である。
共通通路11内の作動流体の流れは、パイロットバルブ81(パイロット制御弁)により制御される。パイロットバルブ81は、共通通路11に摺動可能に設けられたバルブスプール82と、孔16の底部の軸方向通路14の開口周縁に形成されたシート部83と、を有する。バルブスプール82は、中実軸からなり、スリーブ15に挿入される摺動部84と、シート部83に離着座可能に当接する弁体85と、を有する。
摺動部84の上端には、バルブスプール82の頭部87が形成される。バルブスプール82の頭部7の外周には、第1室130が形成される。頭部87の下端部には、外フランジ形のスプリング受88が形成される。スプリング受88には、弁体85を開弁方向へ付勢するスプリングディスク113の内周部が接続される。これにより、バルブスプール82の頭部87は、ソレノイド90の作動ロッド92の下端面93に当接する(押し付けられる)。
ピストンボルト5の頭部7の外周面下部には、上端側が開口する有底円筒形のキャップ121が取り付けられる。キャップ121とピストンボルト5の頭部7との間は環状のシール部材128によってシールされる。これにより、キャップ121とピストンボルト5の頭部7との間には、環状の第2室131が形成される。キャップ121には、ピストンボルト5の軸部6を挿通させる挿通孔123が設けられる。挿通孔123の外周には、複数個(図2に「2個」表示)の切欠き124が設けられる。切欠き124は、軸部6に形成された二面幅部77に連通する。
キャップ121とピストンボルト5の頭部7との間には、頭部7側から順に、スプール背圧リリーフ弁107、スペーサ108、及びリテーナ132が設けられる。スプール背圧リリーフ弁107、スペーサ108、及びリテーナ132は、第2室131内に設けられる。スプール背圧リリーフ弁107は、頭部7に形成された通路29を経由する第1室130から第2室131への作動流体の流れを許容する逆止弁である。スプール背圧リリーフ弁107の外周縁部は、ピストンボルト5の頭部7に形成された環状のシート部109に離着座可能に当接する。リテーナ132の内周縁部には、第2室131を二面幅部77及びキャップ121の切欠き124に連通させる複数個の切欠き133が設けられる。キャップ121とサブバルブ60との間には、サブバルブ60の最大開弁量を定めるリテーナ59が介装される。
第1室130には、フェイルセーフバルブ111が構成される。フェイルセーフバルブ111は、バルブスプール82の頭部87のスプリング受88(弁体)が離着座可能に当接するディスク112(弁座)を有する。ディスク112及びスプリングディスク113の外周縁部は、ピストンボルト5の頭部7と、ソレノイド90のコア99との間で保持される。
バルブスプール82の弁体85は、軸直角平面による断面が二面幅の切欠き86(図2に1つのみ表示)を有する円形に形成される。そして、コイル95に対する制御電流が0Aのとき(フェイル時)、バルブスプール82がパイロットバルブ81の開弁方向(図2における上方向)へ移動し、弁体85が軸方向通路12に嵌合される。これにより、弁体85と軸方向通路12との間には、軸方向通路12,13間を連通する一対のオリフィス114(図2に1つのみ表示)が形成される。なお、二面幅(切欠き86)を形成する一対の面は、一方の面のみ形成してもよい。この場合、オリフィス114は、1つのみとなる。
一方、コイル95への通電時には、バルブスプール82の弁体85がシート部83に着座し、パイロットバルブ81の閉弁される。このパイロットバルブ81の閉弁状態では、バルブスプール82は、弁体85が、軸方向通路14の開口面積と同一面積の円形の受圧面により軸方向通路14側の圧力を受け、他方、摺動部84が、摺動部84の断面積から弁体85の首部(符号省略)の断面積を差し引いた面積と同一面積の環状の受圧面により軸方向通路12側の圧力を受ける。ここで、パイロットバルブ81の開弁圧力は、コイル95への通電を制御することで調節することができる。コイル95への通電の電流値が小さいソフトモード時には、スプリングディスク113の付勢力とプランジャ96が発生する推力とが平衡し、弁体85がシート部83から一定の距離だけ離間した状態となる。
ソレノイド90は、ソレノイド機構部91、ヨーク94、及びコイル95(アーマチュアコイル)を有する。図4に示されるように、ソレノイド機構部91は、作動ロッド92と、作動ロッド92の外周に固定されたプランジャ96(アーマチュア)と、上下に分割されたコア98,99と、を有する。コア98,99は、上下に分割されたホルダ104,105により、同軸に且つ上下方向へ一定間隔をあけて保持される。なお、作動ロッド92は、コア蓋体106に取り付けられたブッシュ100及びコア99に取り付けられたブッシュ110により、上下方向(軸方向)へ案内される。また、作動ロッド92の内側には、ロッド内通路97が形成される。
有底円筒形のヨーク94の下端部とコア99との間は、シール部材116によってシールされる。これにより、ピストンボルト5とヨーク94とコア99との間には、環状通路117が形成される。環状通路117は、ピストンボルト5の円筒部8に設けられた通路118を介してシリンダ上室2Aに連通される。ソレノイド90のコア99の内側には、スプール背圧室101が形成される。スプール背圧室101は、作動ロッド92の切欠き(符号省略)、及びロッド内通路97を介してロッド背圧室103に連通される。
ヨーク94の上端部には、ピストンロッド141の下端部が連結される。即ち、ピストンロッド141の下端(一端)は、ヨーク94及びピストンボルト5を介してピストン3に連結される。ヨーク94とピストンロッド141との間の締結力(軸力)は、ナット137を締め付けてピストンロッド141の外周の環状溝146に装着されたリング部材145を軸方向へ押し付けることで発生させる。ナット137の上端面には、ピストンロッド141に取り付けられたバンプストッパ140が当接される。
図1に示されるように、ピストンロッド141は、シリンダ2及び外筒10の上端側開口部に装着されたロッドガイド135とオイルシール134とに挿通される。図1に示されるように、ピストンロッド141の外周には、外筒10の上端側を覆うカバー136が取り付けられる。なお、図2に示されるように、ピストンロッド141とヨーク94との間は、ピストンロッド141の下端部の外周面に形成された環状溝138に装着されたシール部材139によってシールされる。
図1、図2に示されるように、ピストンロッド141は、軸に沿って延びる中空部142(軸孔)が形成された中空軸からなる。ピストンロッド141の中空部142には、ケーブル151が挿通される。ケーブル151は、ピストンロッド141の下端面143(一端)から突出した側(ピストン3側)の電線153,154が、ソレノイド90のターミナル161,162に接続される。
なお、ターミナル161はコイル95の正極端子に接続され、ターミナル162はコイル95の負極端子に接続される。また、ケーブル151は、ピストンロッド141の上端面144(一端)から突出した側の電線153,154が、車両側(電力供給装置側)のコネクタ157に接続される。
次に、前述した緩衝器1における作動油の流れを説明する。伸び行程時には、シリンダ上室2Aの作動流体が、上流側背圧導入通路、即ち、伸び側通路19、ディスクバルブ40に形成されたオリフィス(符号省略)、ピストン3に形成された切欠き42、ピストン3の軸孔4に形成された環状通路41、径方向通路34、軸方向通路14、径方向通路39、伸び側パイロットケース22に形成された環状通路38、及びチェックバルブ33を経て、伸び側背圧室25へ導入される。
また、伸び行程時には、シリンダ上室2A(上流側の室)の作動流体は、縮み側連通路、即ち、第1オリフィス185、第2受圧室187、背圧導入通路181、及びチェックバルブ63を経て、縮み側背圧室55へ導入される。これにより、伸び行程時に、縮み側メインバルブ53がシリンダ上室2Aの圧力によって開弁することが抑止される。
伸び行程時に縮み側背圧室55に導入された作動流体は、シート部65に形成されたオリフィス(符号省略)、受圧室184、縮み側パイロットケース52の底部57の内周部に形成された環状通路68、ピストンボルト5の軸部6に形成された二面幅部77、ピストン3の内周部に形成された切欠き72、ディスクバルブ70、及び縮み側通路20を経てシリンダ下室2B(下流側の室)へ流れるので、伸び側メインバルブ23の開弁前、即ち、ピストン速度の低速領域には、オリフィス67によるオリフィス特性及びディスク70によるバルブ特性の減衰力が得られる。
一方、縮み行程時には、シリンダ下室2B(上流側の室)の作動流体が、上流側背圧導入通路、即ち、縮み側通路20、ディスクバルブ70に形成されたオリフィス(符号省略)、ピストン3に形成された切欠き72、ピストン3の軸孔4に形成された環状通路71、ピストンボルト5の軸部6に形成された二面幅部77、縮み側パイロットケース52に形成された環状通路68、及びチェックバルブ63を経て、縮み側背圧室55へ導入される。
また、縮み行程時には、シリンダ下室2B(上流側の室)の作動流体は、伸び側連通路、即ち、第1オリフィス175、第2受圧室177、背圧導入通路171(下流側背圧導入通路)、及びチェックバルブ33を経て、伸び側背圧室25へ導入される。これにより、縮み行程時に、伸び側メインバルブ23がシリンダ下室2Bの圧力によって開弁することを抑止することができる。
縮み行程時に伸び側背圧室25に導入された作動流体は、シート部35に形成されたオリフィス(符号省略)、受圧室174、伸び側パイロットケース22の底部27の内周部に形成された環状通路38、径方向通路39、軸方向通路14、径方向通路34、ピストン3の軸孔4に形成された環状通路41、ピストン3の内周部に形成された切欠き42、ディスクバルブ40、及び伸び側通路19を経てシリンダ上室2A(下流側の室)へ流れるので、縮み側メインバルブ53の開弁前、即ち、ピストン速度の低速領域には、シート部35に設けられたオリフィス(符号省略)によるオリフィス特性及びディスク40によるバルブ特性の減衰力が得られる。
次に、図3を参照して第1実施形態の主要部を説明する。図3は、図2における伸び側メインバルブ23(バルブ部材)とシート部201(第1シート部)との当接部を拡大して示す図である。なお、縮み側メインバルブ53(バルブ部材)とシート部211(第1シート部)との当接部は、伸び側メインバルブ23とシート部201との当接部と同一構造である。よって、明細書の記載を簡潔にすることを目的に、伸び側メインバルブ23(以下「メインバルブ23」と称する)とシート部201との当接部のみを図解し、縮み側メインバルブ53とシート部211との当接部の図解を省略する。
シート部201は、シート部201の内周側(図3における「左側」)に設けられた環状の第1面202と、シート部201の外周側(図3における「右側」)に設けられた環状の第2面203と、第1面202と第2面203との間に設けられた環状の第3面204と、を有する。第1面202、第2面203、及び第3面204は、ピストン3の軸平面による断面が直線をなす。第1面202と第2面203とは、ピストン3から離間する方向(図3における「下方向」)へ先細りになる(径方向の幅が狭くなる)ように形成される。なお、第1面202と第2面203とがなす角度は鋭角である。
第1面202と第3面204との間には、環状の稜部205(第2凸部)が形成される。また、第2面203と第3面204との間には、環状の稜部206(第1凸部)が形成される。第2面203と第3面204とがなす角度θ2、即ち稜部206の角度θ2は鈍角であり、第1面202と第3面204とがなす角度θ1、即ち稜部205の角度θ1よりも大きい(θ2>θ1)。これにより、稜部205は、稜部206よりもピストン3から離間する方向(図3における「下方向」)へ延びる(突出している)。その結果、メインバルブ23(バルブ部材)は、ピストン3に組付けられた状態で(図2参照)、シート部201(第1シート部)の内周側の稜部205(第2凸部)にのみ当接される。
ここで、従来の緩衝器では、バルブ部材を、第1シート部の先端をピストンの軸直角平面に対して平行な平面で切断したシート面に当接させていたので、第1シート部のシート面の幅方向全面(径方向全面)にバルブ部材が当接可能であった。このため、従来の緩衝器では、第1シート部のシート面の段差高さの寸法誤差により、バルブ部材が着座するシート径(第1シート部の接触径)にばらつきが生じ、延いてはバルブ部材の受圧面積が可変してバルブ開弁点及び減衰力がばらつくおそれがある。
これに対し、第1実施形態では、シート部201(第1シート部)の内周側の第1面202と、隣接する第3面204との間に環状の稜部205(第2凸部)を形成するとともに、シート部201の外周側の第2面203と、隣接する第3面204との間に環状の稜部206(第1凸部)を形成し、メインバルブ23(バルブ部材)が、ピストン3に組付けられた状態で、シート部201の内周側の稜部205にのみ当接するように構成した。
これにより、第1実施形態では、メインバルブ23(バルブ部材)とシート部201(第1シート部)との接触面積を極力小さく(径方向接触幅を狭く)することができる。よって、シート部201の内周側の稜部205(第2凸部)の径方向寸法を管理することで、メインバルブ23とシート部201(稜部205)との接触径を一定に保つことが可能であり、バルブ開弁点及び減衰力のばらつきを抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、図4を参照して第2実施形態を説明する。
なお、第1実施形態との共通部分については、同一の称呼及び符号を用い、重複する説明を省略する。
前記第1実施形態では、メインバルブ23が、ピストン3に組付けられた状態で、シート部201の内周側の稜部205にのみ当接するように構成した。これに対し、第2実施形態では、メインバルブ23(バルブ部材)が、ピストン3に組付けられた状態で、シート部201(第1シート部)の外周側の稜部206(第2凸部)にのみ当接するように構成した。
図4に示されるように、第2実施形態では、第1面202と第3面204とがなす角度θ1、即ち稜部205(第1凸部)の角度θ1は鈍角であり、第2面203と第3面204とがなす角度θ2、即ち稜部206(第2凸部)の角度θ2よりも大きい(θ1>θ2)。これにより、稜部206は、稜部205よりもピストン3から離間する方向(図4における「下方向」)へ延びる(突出している)。その結果、メインバルブ23(バルブ部材)は、ピストン3に組付けられた状態で(図2参照)、シート部201(第1シート部)の外周側の稜部206にのみ当接される。
第2実施形態によれば、前述した第1実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
また、第2実施形態では、シート部201の内周側が高い第1実施形態に対し、メインバルブ23(バルブ部材)が着座するシート径(第1シート部201の接触径)を大きくすることができる。これにより、メインバルブ23の受圧面積が大きくなり、ソフト側の減衰力特性における開弁点が下がることで、車両の乗り心地を向上させることができる。
なお、実施形態は、前述した形態に限定されるものではなく、例えば、次のように構成することができる。
第1及び第2実施形態では、メインバルブ23,53(バルブ部材)に焼き付けられた環状のパッキン31,61をパイロットケース22,52の内周面に当接させて背圧室25,55を形成する減衰力可変機構17を備えた緩衝器1への適用を説明したが、例えば、パイロットケースの内周面に摺接して軸方向へ移動可能なスプール部材を備え、スプール部材に形成した環状のシール部材をディスクバルブに当接させて背圧室を形成する減衰力可変機構を備えた緩衝器にも第1及び第2実施形態の構成を適用することができる。
尚、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
本願は、2021年3月29日付出願の日本国特許出願第2021-055341号に基づく優先権を主張する。2021年3月29日付出願の日本国特許出願第2021-055341号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書を含む全開示内容は、参照により本願に全体として組み込まれる。
1 緩衝器、2 シリンダ、2A シリンダ上室(第1室)、2B シリンダ下室(第2室)、3 ピストン、23 伸び側メインバルブ(バルブ部材)、53 縮み側メインバルブ(バルブ部材)、201 シート部(第1シート部)、205 稜部(第2凸部)、206 稜部(第1凸部)

Claims (5)

  1. 緩衝器であって、該緩衝器は、
    作動流体が封入されるシリンダと、
    前記シリンダの内部を第1室及び第2室に区画するピストンと、
    前記ピストンに設けられた通路を開閉するバルブ部材と、を備え、
    前記ピストンには、前記通路の開口の外周側に前記ピストンから突出する環状の第1シート部が形成され、
    前記第1シート部には、環状の第1凸部と、該第1凸部よりも前記ピストンから離間する方向へ延びる環状の第2凸部と、が形成され、
    前記バルブ部材は、前記ピストンに組付けられた状態で、前記第2凸部にのみ当接されることを特徴とする緩衝器。
  2. 請求項1に記載の緩衝器において、
    前記バルブ部材の反ピストン側には、該バルブ部材に対して背圧を付与するパイロット室が設けられることを特徴とする緩衝器。
  3. 請求項1又は2に記載の緩衝器において、
    前記バルブ部材は、パッキンが焼き付けられたディスクバルブであることを特徴とする緩衝器。
  4. 請求項1又は2に記載の緩衝器において、
    前記バルブ部材は、ディスクバルブと、軸方向へ移動可能なスプール部材と、前記ディスクバルブと前記スプール部材との間に設けられるシール部材と、から構成されることを特徴とする緩衝器。
  5. バルブ装置であって、該バルブ装置は、
    シリンダの内部を第1室及び第2室に区画するピストンと、
    前記ピストンに設けられた通路を開閉するバルブ部材と、を備え、
    前記ピストンには、前記通路の開口の外周側に前記ピストンから突出する環状の第1シート部が形成され、
    前記第1シート部には、環状の第1凸部と、該第1凸部よりも前記ピストンから離間する方向へ延びる環状の第2凸部と、が形成され、
    前記バルブ部材は、前記ピストンに組付けられた状態で、前記第2凸部にのみ当接されることを特徴とするバルブ装置。
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