JP2019113171A - 緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【課題】内機部品の残留軸力を安定させることが可能な緩衝器を提供する。【解決手段】バルブブロック33に皿ばね87を設けることでバルブボディ43とメインディスクバルブ49とに軸力を付与させたので、バルブブロック33に皿ばね87の変形量に応じた軸力を付与させることが可能であり、減衰力発生機構31が発生する減衰力を安定させることが可能である。【選択図】図2
Description
本発明は、ピストンロッドのストロークに対して作動流体の流れを制御することで減衰力を発生させる緩衝器に関する。
従来、車両のセミアクティブサスペンション装置に使用される緩衝器として、制御バルブ横付型の減衰力調整式油圧緩衝器(以下「緩衝器」と称する)が知られている。特許文献1には、バルブケースの内フランジ部に着座させた内機部品に初期軸力を付与した状態でバルブケースの開口端部を塑性変形させることにより、内機部品に荷重を付与させることで内機部品の軸力を保持するように構成された緩衝器が開示されている。
前述の緩衝器は、バルブケース成形時に生じる衝撃荷重により、内機部品が破損することがある。また、バルブケース成形後の内機部品の残留軸力が不足していると、減衰力がばらつくおそれがある。
そこで、本発明は、内機部品の残留軸力を安定させることが可能な緩衝器を提供することを課題とする。
そこで、本発明は、内機部品の残留軸力を安定させることが可能な緩衝器を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る緩衝器は、作動流体が封入されたシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、前記ピストンに連結され、前記シリンダの外部に延出されたピストンロッドと、前記シリンダ内の前記ピストンの摺動によって生じる作動流体の流れを制御して減衰力を発生させる減衰力発生機構と、を備え、前記減衰力発生機構は、開口部を有するケース部材と、前記ケース部材内に保持され、シート部が形成されたバルブ部材と前記シート部に離着座される弁体とを有するバルブブロックと、前記弁体に対向させて配置された作動ピンを有し、前記バルブブロックに結合可能なソレノイドブロックと、を含み、前記ケース部材内に挿入された前記バルブブロックに軸力を付与させた状態で、該バルブブロックと前記ソレノイドブロックとを結合させる結合手段を備え、前記バルブブロックには、前記バルブ部材と前記弁体とに軸力を付与させる弾性部材が設けられることを特徴とする。
本発明に係る緩衝器によれば、内機部品の残留軸力を安定させることが可能であり、延いては安定した減衰力を得ることができる。
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。なお、以下の説明において、図1における上下方向を緩衝器1における「上下方向」と称する。
図1に示されるように、本実施形態に係る緩衝器1は、いわゆる、制御バルブ横付型の減衰力調整式緩衝器である。緩衝器1は、シリンダ2の外側に外筒3を配した複筒構造をなし、シリンダ2と外筒3との間にリザーバ4が形成される。シリンダ2内には、ピストン5が摺動可能に嵌装され、該ピストン5によってシリンダ2内がシリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとに区画される。ピストンロッド6の一端は、ナット7によってピストン5に連結される。ピストンロッド6の他端側は、シリンダ2および外筒3の上端部に装着されたロッドガイド8およびオイルシール9に挿通されてシリンダ2の外部へ延出する。
図1に示されるように、本実施形態に係る緩衝器1は、いわゆる、制御バルブ横付型の減衰力調整式緩衝器である。緩衝器1は、シリンダ2の外側に外筒3を配した複筒構造をなし、シリンダ2と外筒3との間にリザーバ4が形成される。シリンダ2内には、ピストン5が摺動可能に嵌装され、該ピストン5によってシリンダ2内がシリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとに区画される。ピストンロッド6の一端は、ナット7によってピストン5に連結される。ピストンロッド6の他端側は、シリンダ2および外筒3の上端部に装着されたロッドガイド8およびオイルシール9に挿通されてシリンダ2の外部へ延出する。
なお、シリンダ2の下端には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを区画するベースバルブ10が設けられる。ピストン5には、シリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとの間を連通させる通路11,12が形成される。通路12には、シリンダ下室2Bからシリンダ上室2Aへの作動流体(油液)の流通のみを許容する逆止弁13が設けられる。通路11には、シリンダ上室2A内の作動流体の圧力が設定圧力に達することで開弁し、シリンダ上室2A側の作動流体の圧力をシリンダ下室2B側へリリーフさせるディスクバルブ14が設けられる。
ベースバルブ10には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを連通させる通路15,16が形成される。通路15には、リザーバ4からシリンダ下室2Bへの作動流体(油液)の流通のみを許容する逆止弁17が設けられる。通路16には、シリンダ下室2Bの作動流体の圧力が所定圧力に達することで開弁し、シリンダ下室2B側の作動流体の圧力をリザーバ4側へリリーフさせるディスクバルブ18が設けられる。なお、シリンダ2内には、作動流体として油液が封入され、リザーバ4内には、作動流体として油液およびガスが封入される。
シリンダ2の上下両端部には、シール部材19を介してセパレータチューブ20が外嵌される。シリンダ2とセパレータチューブ20との間には、環状通路21が形成される。環状通路21は、シリンダ2の側壁の上端部近傍に設けられた通路22を介してシリンダ上室2Aに連通される。セパレータチューブ20の側壁下部には、側方(図1における右方向)に突出する円筒状の枝管23が形成される。外筒3の側壁には、枝管23に対して同心に配置され、かつ枝管23よりも大径の開口24が設けられる。なお、枝管23には、バッフルプレート25が装着される。バッフルプレート25は、後述するバルブケース32の内周面とバルブブロック33との間に形成された環状通路40からリザーバ4へ排出された作動流体の流れを制御し、エアレーションの発生を抑止するものである。
緩衝器1は、シリンダ2内のピストン5の摺動(上下方向への移動)によって生じる作動流体の流れを制御することで減衰力を発生させる減衰力発生機構31を備える。図2を参照すると、減衰力発生機構31は、先端側(図2における右端側)に開口部32Aを有する円筒形状のバルブケース32(ケース部材)と、バルブケース32内に保持されるバルブブロック33と、バルブブロック33に結合可能なソレノイドブロック34と、軸部37がセパレータチューブ20の枝管23に接続される通路部材35と、を含む。なお、減衰力発生機構31は、シリンダ2の軸線に対して垂直に交わる軸線を有し、便宜上、減衰力発生機構31の軸線を「軸線」と称し、さらに図2における左右方向を「軸線方向」と称する。
バルブケース32は、外筒3の開口24を囲むようにして、基端側(図2における左端側)が外筒3の側壁に固着される。バルブケース32の基端には、内フランジ部41が形成される。内フランジ41部の内周側には、外筒3の開口24に対して同軸の開口41Aが形成される。内フランジ部41の内側面(図2における右側面)には、バルブケース32の内周面とバルブブロック33との間に形成された環状通路40をリザーバ4に連通させる複数本の通路41Bが径方向へ延びている。
バルブブロック33は、通路部材35の外フランジ部38に当接されるバルブボディ43(バルブ部材)を含む。バルブボディ43は、軸孔44と、軸線から等しい距離で環状に配置された複数本の通路45と、を有する。通路45は、バルブボディ43を軸線方向へ貫通し、一端(図2における左側端)が通路部材35の通路37Aに常時連通される。バルブボディ43の他端面には、通路45の他端側開口に沿うように形成された環状凹部47と、該環状凹部47の外側周縁に形成された環状のシート部48と、が設けられる。シート部48には、メインディスクバルブ49(弁体)が着座される。通路部材35の通路37Aとリザーバ4とは、メインディスクバルブ49を介して連通される。
メインディスクバルブ49は、内側周縁部がバルブボディ43と後述するパイロットピン51の大径部52とによって挟持され、外側周縁部がバルブボディ43のシート部48に着座される。メインディスクバルブ49の背面側(図2における右側)の外周縁部には、弾性シール部材50(パッキン)が固着される。メインディスクバルブ49は、環状通路22、通路部材35の通路37A、およびバルブボディ43の通路45を介してシリンダ上室2Aの圧力を受けることにより、バルブボディ43のシート部48から離座されて開弁され、これにより、バルブボディ43の通路45が、通路40,41Bを介してリザーバ4に連通される。
パイロットピン51は、軸線方向中間位置に大径部52が形成された段付き円筒形に形成される。パイロットピン51の軸孔53の一端(図2における左側端)には、オリフィス54が形成される。パイロットピン51は、一端部(図2における左側部分)がバルブボディ43の軸孔44に圧入され、他端部(図2における右側部分)が後述するパイロットボディ57の軸孔57Aに嵌合される。パイロットボディ57の軸孔57Aとパイロットピン51の他端部との間には、メインディスクバルブ49と可撓性ディスク70との間に形成された背圧室55に連通される通路59が形成される。換言すると、パイロットピン51の他端部の外周面には、軸線方向に延びる複数本の通路59が形成される。なお、可撓性ディスク70の内周縁部は、パイロットピン51の大径部52とパイロットボディ57の一端側の内周縁部とによって挟持される。
パイロットボディ57は、内側に段付穴が形成された円筒部60と、軸孔57Aが形成されて円筒部60の一端側(図2における左側)を閉塞させる底部61と、を有する略有底円筒形状に形成される。パイロットボディ57の底部61の一端側の外側周縁部には、一端側に突出する環状壁部62が形成される。環状壁部62の内周面には、メインディスクバルブ49の弾性シール部材50が液密に当接される。これにより、メインディスクバルブ49とパイロットボディ57との間には、内圧がメインディスクバルブ49に対して閉弁方向に作用する背圧室55が形成される。
パイロットボディ57の底部61には、通路79が軸線方向へ貫通し、通路79の一端側開口の周囲に突出した環状のシート部には、可撓性ディスク70が着座される。背圧室55の内圧によって可撓性ディスク70が撓むことで、背圧室55に体積弾性が付与される。これにより、メインディスクバルブ49の開弁動作時に背圧室55の内圧が過度に上昇することで開弁動作が不安定になることを防止することができる。パイロットピン51に当接する可撓性ディスク70の内周縁部には、径方向へ延びる細長い切欠が形成され、該切欠と通路59とによって背圧室55と通路58とが連通される。
パイロットボディ57の底部61の他端側(図2における右側)には、軸孔57Aの他端に形成された通路58の他端側開口の周囲に設けられ、後述するパイロット弁体63が着座される弁座64が形成される。パイロットボディ57の円筒部60の内側の段付穴には、パイロット弁体63を弁座64から離座される方向(図2における右方向)へ付勢させるリターンばね65、後述するソレノイドブロック34が非通電状態のときフェールセーフバルブを構成するディスクバルブ66、および軸孔67Aが形成された保持プレート67が設けられる。パイロットボディ57の円筒部60の開口側端部には、リターンばね65、ディスクバルブ66、および保持プレート67を収容した状態でキャップ68が被せられる。キャップ68には、保持プレート67の軸孔67Aを介してソレノイドブロック34側へ流れた油液を環状通路40へ流通させる通路68Aが形成される。
パイロット弁体63は、略円筒形に形成され、バルブブロック33におけるパイロットバルブを構成する。パイロット弁体63の先端部は、テーパ状に形成される。パイロット弁体63の軸孔には、ソレノイドブロック34の作動ピン76の一端部(図2における左側端部)が嵌着される。パイロット弁体63の開弁圧は、ソレノイドブロック34のコイル72へ供給する電流を調節することで制御される。パイロット弁体63の基端側(図2における右側)には、リターンばね65を受けるフランジ部63Aが形成される。ソレノイドブロック34が非通電状態とき(図2参照)、パイロット弁体63のフランジ部63Aがディスクバルブ66に当接されることにより、フェールセーフバルブが構成される。
ソレノイドブロック34は、ソレノイドケース71内に、コイル72、コア73,74、プランジャ75、およびプランジャ75に連結された中空の作動ピン76を組み込んで一体化したものである。ソレノイドケース71内の部材は、ソレノイドケース71の他端部(図2における右側端部)に加締め固定されたスペーサ77およびカバー78によって固定される。コイル72、コア73,74、プランジャ75、および作動ピン76は、ソレノイドアクチュエータを構成する。なお、作動ピン76は、バルブブロック33のメインディスクバルブ49(弁体)に対向するように配置される。
プランジャ75には、リード線(図示省略)を介してコイル72に通電されることにより、電流に応じた推力が軸線方向へ発生する。作動ピン76内に形成された通路76Aは、作動ピン76の背室をパイロットボディ57の一端側の弁室69に連通させる。プランジャ75には、軸線方向両側の室間を連通させる通路75Aが設けられる。プランジャ75の通路75Aおよび作動ピン76の通路76Aは、プランジャ75および作動ピン76に作用する流体力をバランスさせ、さらに、プランジャ75および作動ピン76の移動に対して適度な減衰力を付与する。
ソレノイドケース71の一端側(図2における左側)には、バルブケース32内に嵌合される円筒部81が形成される。円筒部81内には、バルブブロック33のキャップ68が嵌合される。ソレノイドケース71の円筒部81をバルブケース32内に嵌合させた状態で、バルブケース32の開口部32A周縁を塑性加工(本実施形態では「カール加工」)することにより、バルブケース32の他端(開口部32A)にかしめ部82(結合手段)が形成される。かしめ部82は、ソレノイドケースの外周面に形成された環状溝83に向かってかしめられる。これにより、バルブブロック33とソレノイドブロック34とが結合される。なお、バルブケース32と円筒部81との間は、Oリング80によってシールされる。
図2に示されるように、バルブブロック33には、バルブボディ43(バルブ部材)とメインディスクバルブ49(弁体)とに軸力を付与させる皿ばね87(弾性部材)が設けられる。換言すると、皿ばね87は、バルブケース32(ケース部材)内に収容されたバルブブロック33の軸力伝達経路上に配置される。なお、本実施形態におけるバルブブロック33は、バルブケース32の内フランジ部41とソレノイドケース71の底部84とによって保持された内機部品であって、通路部材35を含む。また、皿ばね87が設けられる軸力伝達経路は、バルブケース32の内フランジ部41から、通路部材35の外フランジ部38、バルブボディ43、メインディスクバルブ49、パイロットピン51の大径部52、可撓性ディスク70、パイロットボディ57、リターンばね65、ディスクバルブ66、保持プレート67、およびキャップ68を経由してソレノイドケース71へ至る。
本実施形態において、皿ばね87は、バルブケース32の内フランジ部41と通路部材35の外フランジ部38との間に介装される。皿ばね87は、内周縁部を通路部材35の外フランジ部38の一端側に形成された段部88に嵌合させることにより、通路部材35に対して径方向に位置決めされる。皿ばね87は、外周縁部がバルブケース32の内フランジ部41の内側面に当接される。そして、バルブブロック33とソレノイドブロック34とをかしめ部82(結合手段)によって結合させることにより、バルブブロック33(内機部品)には、皿ばね87の変形量に応じた軸力が付与される。なお、皿ばね87のばね定数は、バルブブロック(内機部品)のばね定数よりも小さく設定される。また、皿ばね87のばね定数および設計上の変形量は、バルブブロック33(内機部品)に付与される軸力が目標残留軸力となるように設定される。
次に、緩衝器1の作動を説明する。
緩衝器1は、車両のサスペンション装置のばね上、ばね下間に装着され、通常の作動状態では、車載コントローラによって、ソレノイドブロック34のコイル72に通電することでパイロット弁体63をパイロットボディ57の弁座64に着座させ、パイロットバルブによる圧力制御を実行する。
緩衝器1は、車両のサスペンション装置のばね上、ばね下間に装着され、通常の作動状態では、車載コントローラによって、ソレノイドブロック34のコイル72に通電することでパイロット弁体63をパイロットボディ57の弁座64に着座させ、パイロットバルブによる圧力制御を実行する。
ピストンロッド6の伸び行程時には、シリンダ2内のピストン5の移動によりピストン5の逆止弁13が閉弁し、ディスクバルブ14の開弁前にはシリンダ上室2A側の作動流体(油液)が加圧される。加圧された作動流体は、通路22および環状通路21を通って、セパレータチューブ20の枝管23から減衰力発生機構31の通路部材35へ流れる。このとき、ピストン5が移動した分の作動流体は、リザーバ4からベースバルブ10の逆止弁17を開弁させてシリンダ下室2Bへ流入する。なお、シリンダ上室2Aの圧力がピストン5のディスクバルブ14の開弁圧力に達するとリリーフバルブ14が開弁し、シリンダ上室2Aの圧力をシリンダ下室2Bへリリーフさせる。これにより、シリンダ上室2Aの過度の圧力の上昇が防がれる。
一方、ピストンロッド6の縮み行程時には、シリンダ2内のピストン5の移動によりピストン5の逆止弁13が開弁し、ベースバルブ10の通路15の逆止弁17が閉弁する。ディスクバルブ18の開弁前には、ピストン下室2Bの作動流体がシリンダ上室2Aへ流入し、ピストンロッド6がシリンダ2内に侵入した体積分の作動流体(油液)が、シリンダ上室2Aから前述した伸び行程時と同一経路でリザーバ4へ流通する。なお、シリンダ下室2B内の圧力がベースバルブ10のディスクバルブ18の開弁圧力に達することでディスクバルブ18が開弁し、シリンダ下室2Bの圧力をリザーバ4へリリーフさせる。これにより、シリンダ下室2Bの過度の圧力の上昇が防がれる。
通路部材35から減衰力発生機構31へ流入した作動流体は、メインディスクバルブ49の開弁前(ピストン速度の低速域)の状態では、パイロットピン51のオリフィス54、軸孔53、およびパイロットボディ57の通路58を通ってパイロット弁体63を押し開き、弁室69内へ流入する。さらに、作動流体は、弁室69から、ディスクバルブ66、保持プレート67の軸孔67A、キャップ68の通路68A(切欠き)、およびバルブケース32内の環状通路40を経由してリザーバ4へ流れる。そして、ピストン速度が上昇し、通路部材35から流入した作動流体の圧力によってメインディスクバルブ49が開弁されると、作動流体は、環状通路40を通過してリザーバ4へ流通する。
このように、減衰力発生機構31は、ピストンロッド6の伸び行程および縮み行程の両行程時において、メインディスクバルブ49の開弁前(ピストン速度低速域)には、オリフィス54およびパイロットバルブ(パイロット弁体63)の開弁圧力によって減衰力を発生し、メインディスクバルブ49の開弁後(ピストン速度中速域)には、その開度に応じた減衰力を発生する。そして、コイル72への通電を制御してパイロットバルブの開弁圧力を調整することにより、ピストン速度にかかわらず、減衰力を直接制御することができる。
このとき、パイロットバルブの開弁圧力によって上流側のパイロットボディ57の通路58に連通する背圧室55の内圧が変化する。背圧室55の内圧は、メインディスクバルブ49の閉弁方向に作用することから、パイロットバルブ(パイロット弁体63)の開弁圧力を制御することで、メインディスクバルブ49の開弁圧力を同時に調整することが可能であり、減衰力特性を広範囲に調整することができる。また、コイル72への通電電流を小さくしてプランジャ75の推力を小さくすると、パイロットバルブの開弁圧力が低下してソフト側の減衰力が発生し、その反対に通電電流を大きくしてプランジャ75の推力を大きくすると、パイロットバルブの開弁圧力が上昇してハード側の減衰力が発生する。これにより、使用頻度の高いソフト側の減衰力を低電流で発生させることができ、消費電力を低減することができる。
また、コイル72の断線、車載コントローラの故障等のフェイル発生時にプランジャ75の推力が失われた場合には、リターンばね65のばね力によってパイロット弁体63を後退させて通路58を開き、パイロット弁部材56のばね受部57をフェイセーフルディスクバルブ61に当接させ、弁室69と、バルブケース32内の環状通路40との間の流路を閉じる。この状態では、弁室69内における通路58からバルブケース32内の環状通路40への油液の流れがディスクバルブ66(フェールセーフバルブ)によって制御されるため、ディスクバルブ66の開弁圧力の設定により所望の減衰力を得ることができ、さらに背圧室55の内圧、すなわち、メインディスクバルブ49の開弁圧力を調整することができる。その結果、フェイル時においても適切な減衰力を得ることができる。
次に、減衰力発生機構31のバルブブロック33とソレノイドブロック34とを結合させる方法を説明する。
まず、軸部37に皿ばね87(弾性部材)が挿通された通路部材35をバルブケース32(ケース部材)の開口部32Aからバルブケース32内へ挿入し、通路部材35の軸部37の先端部をセパレータチューブ20の枝管23に嵌合させる。これにより、バルブケース32の内フランジ部41と通路部材35の外フランジ部38との間には、皿ばね87が弾性変形可能に介装される。
まず、軸部37に皿ばね87(弾性部材)が挿通された通路部材35をバルブケース32(ケース部材)の開口部32Aからバルブケース32内へ挿入し、通路部材35の軸部37の先端部をセパレータチューブ20の枝管23に嵌合させる。これにより、バルブケース32の内フランジ部41と通路部材35の外フランジ部38との間には、皿ばね87が弾性変形可能に介装される。
次に、通路部材35を除いた残りの内機部品をバルブケース32の開口部32Aからバルブケース32内へ挿入する。そして、ソレノイドブロック34のソレノイドケース71の円筒部81をバルブケース32の開口部32Aの内側に嵌合させ、この状態で、バルブケース32の開口部32A周縁を塑性加工(カール加工)することにより、バルブケース32の他端(開口部32A)にかしめ部82(結合手段)を形成する。これにより、バルブブロック33とソレノイドブロック34とが結合される。この状態で、バルブブロック33(内機部品)には、皿ばね87の変形量に応じた軸力が付与される。
ここで、バルブ部材と弁体とに軸力を付与させる弾性部材がバルブブロックに設けられていない従来の緩衝器の場合、ケース部材の開口部の成形(カール加工)時の衝撃荷重によって内機部品(バルブブロック)が破損するおそれがあった。また、ケース部材の成形が不十分であると、内機部品に付与される残留軸力が不足し、減衰力発生機構が発生する減衰力がばらつく可能性がある。
これに対し、本実施形態に係る緩衝器1では、バルブブロック33に皿ばね87(弾性部材)を設けることでバルブボディ43(バルブ部材)とメインディスクバルブ49(弁体)とに軸力を付与させた、換言すると、内機部品における軸力伝達経路上に皿ばね87を直列に配置した、より詳細には、バルブケース32(ケース部材)の内フランジ部41とバルブブロック33の通路部材35の外フランジ部38との間に皿ばね87を介装したので、バルブケース32の成形時の衝撃荷重を、皿ばね87を変形させることで受ける(吸収する)ことが可能であり、内機部品(バルブブロック33)の破損を防ぐことができる。また、成形後には、バルブブロック33に皿ばね87の変形量に応じた軸力(残留軸力)を付与させることができるので、減衰力発生機構31が発生する減衰力を安定させることが可能である。
以下に本実施形態の作用効果を示す。
本実施形態は、作動流体が封入されたシリンダ(2)と、シリンダ(2)内に摺動可能に嵌装されたピストン(5)と、ピストン(5)に連結され、シリンダ(2)の外部に延出されたピストンロッド(6)と、シリンダ(2)内のピストン(5)の摺動によって生じる作動流体の流れを制御して減衰力を発生させる減衰力発生機構(31)と、を備え、減衰力発生機構(31)は、開口部(32A)を有するケース部材(32)と、ケース部材(32)内に保持され、シート部(48)が形成されたバルブ部材(43)とシート部(48)に離着座される弁体(49)とを有するバルブブロック(33)と、弁体(49)に対向させて配置された作動ピン(76)を有し、バルブブロック(33)に結合可能なソレノイドブロック(34)と、を含み、ケース部材(32)内に挿入されたバルブブロック(33)に軸力を付与させた状態で、該バルブブロック(33)とソレノイドブロック(34)とを結合させる結合手段(82)を備え、バルブブロック(33)には、バルブ部材(43)と弁体(49)とに軸力を付与させる弾性部材(87)が設けられる。
本実施形態は、作動流体が封入されたシリンダ(2)と、シリンダ(2)内に摺動可能に嵌装されたピストン(5)と、ピストン(5)に連結され、シリンダ(2)の外部に延出されたピストンロッド(6)と、シリンダ(2)内のピストン(5)の摺動によって生じる作動流体の流れを制御して減衰力を発生させる減衰力発生機構(31)と、を備え、減衰力発生機構(31)は、開口部(32A)を有するケース部材(32)と、ケース部材(32)内に保持され、シート部(48)が形成されたバルブ部材(43)とシート部(48)に離着座される弁体(49)とを有するバルブブロック(33)と、弁体(49)に対向させて配置された作動ピン(76)を有し、バルブブロック(33)に結合可能なソレノイドブロック(34)と、を含み、ケース部材(32)内に挿入されたバルブブロック(33)に軸力を付与させた状態で、該バルブブロック(33)とソレノイドブロック(34)とを結合させる結合手段(82)を備え、バルブブロック(33)には、バルブ部材(43)と弁体(49)とに軸力を付与させる弾性部材(87)が設けられる。
よって、弾性部材の変形量に応じた残留軸力を内機部品(バルブブロック)に付与させることができるので、内機部品に付与させる残留軸力が不足することによる減衰力のばらつきが抑止され、減衰力発生機構が発生する減衰力を安定させることが可能である。また、内機部品のばね定数、すなわち、内機部品に付与させる目標残留軸力が変更された場合、弾性部材のばね定数(本実施形態では「皿ばねのばね定数」)を変更することで対応することができる。
また、弾性部材のばね定数(本実施形態では「皿ばねのばね定数」)を内機部品(バルブブロック)のばね定数よりも小さく設定することにより、内機部品に目標残留軸力を付与させるための初期軸力を低くすることが可能であり、例えば、結合手段を、ケース部材の開口部周縁をカール加工することでかしめ成形する場合、成形能力がより低い成形装置を用いることができ、設備容量を低減することができる。さらに、成形時に内機部品に入力される衝撃荷重を、弾性部材を弾性変形させることで吸収することが可能であり、内機部品を保護することができる。
以上、本実施形態について説明したが、以下のように構成することができる。
本実施形態では、バルブケース32(ケース部材)の開口部32Aに形成したかしめ部82(結合手段)によって、バルブブロック33とソレノイドブロック34とを結合させたが、ロックナット(結合手段)を用いてバルブブロック33とソレノイドブロック34とを結合させることができる。この場合も、バルブブロック33に直列に配置させた皿ばね87(弾性部材)の変形量に応じた軸力を内機部品(バルブブロック33)に付与させることができる。
本実施形態では、バルブケース32(ケース部材)の開口部32Aに形成したかしめ部82(結合手段)によって、バルブブロック33とソレノイドブロック34とを結合させたが、ロックナット(結合手段)を用いてバルブブロック33とソレノイドブロック34とを結合させることができる。この場合も、バルブブロック33に直列に配置させた皿ばね87(弾性部材)の変形量に応じた軸力を内機部品(バルブブロック33)に付与させることができる。
本実施形態では、皿ばね87(弾性部材)を、バルブケース32(ケース部材)の内フランジ部41と通路部材35の外フランジ部30との間に介装させたが、皿ばね87は、内機部品(バルブブロック33)に直列に、換言すると、内機部品の軸力伝達経路上に配置されていればよく、例えば、バルブボディ43(バルブ部材)とパイロットピン51の大径部52との間、パイロットピン51の大径部52とパイロットボディ57との間、パイロットボディ57と保持プレート67との間、あるいはキャップ68とソレノイドケース71との間に配置することができる。この場合、皿ばね87をバルブケース32の内フランジ部41と通路部材35の外フランジ部30との間に介装させたときと同等の作用効果を得ることができる。また、皿ばね87は、軸力伝達経路上の複数箇所に、あるいは一箇所に複数個を重ねて設けることができる。
1 緩衝器、2 シリンダ、5 ピストン、6 ピストンロッド、31 減衰力発生機構、32 バルブケース(ケース部材)、32A 開口部、33 バルブブロック、34 ソレノイドブロック、43 バルブボディ(バルブ部材)、48 シート部、49 メインディスクバルブ(弁体)、76 作動ピン、82 かしめ部(結合手段)、87 皿ばね(弾性部材)
Claims (1)
- 作動流体が封入されたシリンダと、
前記シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、
前記ピストンに連結され、前記シリンダの外部に延出されたピストンロッドと、
前記シリンダ内の前記ピストンの摺動によって生じる作動流体の流れを制御して減衰力を発生させる減衰力発生機構と、を備え、
前記減衰力発生機構は、
開口部を有するケース部材と、
前記ケース部材内に保持され、シート部が形成されたバルブ部材と前記シート部に離着座される弁体とを有するバルブブロックと、
前記弁体に対向させて配置された作動ピンを有し、前記バルブブロックに結合可能なソレノイドブロックと、を含み、
前記ケース部材内に挿入された前記バルブブロックに軸力を付与させた状態で、該バルブブロックと前記ソレノイドブロックとを結合させる結合手段を備え、
前記バルブブロックには、前記バルブ部材と前記弁体とに軸力を付与させる弾性部材が設けられることを特徴とする緩衝器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017249444A JP2019113171A (ja) | 2017-12-26 | 2017-12-26 | 緩衝器 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2017249444A JP2019113171A (ja) | 2017-12-26 | 2017-12-26 | 緩衝器 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2022025539A (ja) * | 2020-07-29 | 2022-02-10 | 日立Astemo株式会社 | 減衰力調整式緩衝器及び減衰力調整弁 |
JP2022053116A (ja) * | 2020-09-24 | 2022-04-05 | 日立Astemo株式会社 | 緩衝器 |
WO2023084896A1 (ja) * | 2021-11-10 | 2023-05-19 | 日立Astemo株式会社 | 減衰力調整式緩衝器、減衰バルブ、及びソレノイド |
-
2017
- 2017-12-26 JP JP2017249444A patent/JP2019113171A/ja active Pending
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