JP2023172031A - 研削装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】砥石によるワークの研削加工中にワークの真円度が悪化した場合でもワークの真円度を改善することができる研削装置を提供する。【解決手段】ワークを軸線回りに回転可能に支持するワーク支持部と、ワークの外周面を研削する砥石と、ワークの外周面に接触しワークを支持する複数の接触子を有するレスト装置と、を備え、複数の接触子は、ワークの外周面上にワークの周方向に間隔をあけて配置された研削装置において、少なくとも一つの接触子とワークの接触位置と、砥石とワークの接触位置との、ワークの外周面の周方向における相対的な位置を変更可能な位置変更装置を備える。【選択図】図4
Description
本開示は、研削装置に関する。
例えば、特許文献1には、砥石がクランクシャフトを研削する場合に、三本のアームがクランクシャフトの外周の三点をそれぞれ支持する、クランクシャフト研削装置の振れ止め装置が開示されている。
砥石がワークの外周面を研削する場合に、複数のアームがワークの外周面を支持する研削装置では、各アームとワークの接触位置と、砥石とワークの接触位置が、ワークの外周面の周方向において固定されている。このような研削装置では、砥石によるワークの研削加工中にワークの真円度が悪化した場合、ワークの真円度を改善することが困難であった。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、研削装置が提供される。ワークを軸線回りに回転可能に支持するワーク支持部と、前記ワークの外周面を研削する砥石と、前記ワークの前記外周面に接触し前記ワークを支持する複数の接触子を有するレスト装置と、を備え、複数の前記接触子は、前記ワークの前記外周面上に前記ワークの周方向に間隔をあけて配置された研削装置において、少なくとも一つの前記接触子と前記ワークの接触位置と、前記砥石と前記ワークの接触位置との、前記ワークの前記外周面の周方向における相対的な位置を変更可能な位置変更装置を備える。
この形態の研削装置によれば、砥石によるワークの研削加工中にワークの真円度が悪化した場合に、接触子とワークの接触位置と、砥石とワークの接触位置との、ワークの外周面の周方向における相対的な位置を変更することにより、ワークの真円度を改善することができる。
(2)上記形態の研削装置は、前記ワークの真円度を測定する真円度測定装置と、前記砥石による前記ワークの加工中に前記真円度測定装置によって測定された前記ワークの真円度が悪化した場合に、前記相対的な位置を変化させるべく前記位置変更装置を制御する、動作制御部と、を備えてもよい。この形態の研削装置によれば、真円度測定装置によって測定されたワークの真円度が悪化した場合に、接触子とワークの接触位置と、砥石とワークの接触位置との、ワークの外周面の周方向における相対的な位置を変更することにより、ワークの真円度を改善することができる。
(3)上記形態の研削装置は、第1時刻から予め定められた時間が経過した第2時刻での少なくとも一つの前記接触子と前記ワークの接触位置を、前記第1時刻での前記少なくとも一つの前記接触子と前記ワークの接触位置から、前記砥石と前記ワークの接触位置に対して、前記ワークの前記外周面の周方向に変化させる、動作制御部を備えてもよい。この形態の研削装置によれば、第1時刻と第2時刻の間でワークの真円度が悪化した場合、第2時刻において、ワークの真円度を改善することができる。
(4)上記形態の研削装置は、第1時刻と、前記第1時刻から予め定められた時間が経過した第2時刻との間で、前記相対的な位置を複数回変化させる、動作制御部を備えてもよい。この形態の研削装置によれば、第1時刻と第2時刻の間でワークの真円度が悪化した場合、第1時刻と第2時刻の間でワークの真円度を改善することができる。
(5)上記形態の研削装置は、時間の経過と共に、前記相対的な位置を変化させる、動作制御部を備えてもよい。この形態の研削装置によれば、ワークの真円度が悪化した場合、時間の経過と共にワークの真円度を改善することができる。
この形態の研削装置によれば、砥石によるワークの研削加工中にワークの真円度が悪化した場合に、接触子とワークの接触位置と、砥石とワークの接触位置との、ワークの外周面の周方向における相対的な位置を変更することにより、ワークの真円度を改善することができる。
(2)上記形態の研削装置は、前記ワークの真円度を測定する真円度測定装置と、前記砥石による前記ワークの加工中に前記真円度測定装置によって測定された前記ワークの真円度が悪化した場合に、前記相対的な位置を変化させるべく前記位置変更装置を制御する、動作制御部と、を備えてもよい。この形態の研削装置によれば、真円度測定装置によって測定されたワークの真円度が悪化した場合に、接触子とワークの接触位置と、砥石とワークの接触位置との、ワークの外周面の周方向における相対的な位置を変更することにより、ワークの真円度を改善することができる。
(3)上記形態の研削装置は、第1時刻から予め定められた時間が経過した第2時刻での少なくとも一つの前記接触子と前記ワークの接触位置を、前記第1時刻での前記少なくとも一つの前記接触子と前記ワークの接触位置から、前記砥石と前記ワークの接触位置に対して、前記ワークの前記外周面の周方向に変化させる、動作制御部を備えてもよい。この形態の研削装置によれば、第1時刻と第2時刻の間でワークの真円度が悪化した場合、第2時刻において、ワークの真円度を改善することができる。
(4)上記形態の研削装置は、第1時刻と、前記第1時刻から予め定められた時間が経過した第2時刻との間で、前記相対的な位置を複数回変化させる、動作制御部を備えてもよい。この形態の研削装置によれば、第1時刻と第2時刻の間でワークの真円度が悪化した場合、第1時刻と第2時刻の間でワークの真円度を改善することができる。
(5)上記形態の研削装置は、時間の経過と共に、前記相対的な位置を変化させる、動作制御部を備えてもよい。この形態の研削装置によれば、ワークの真円度が悪化した場合、時間の経過と共にワークの真円度を改善することができる。
A.第1実施形態:
図1は、本実施形態における、研削装置100の概略構成を示す説明図である。図1には、互いに直交する3つの座標軸であるX,Y,Z軸を表す矢印が示されている。Z軸およびX軸は、水平面に平行な座標軸である。Y軸は、鉛直方向に平行な座標軸である。図1におけるX,Y,Z軸を表す矢印と、他の図におけるX,Y,Z軸を表す矢印とは、同じ方向を指し示している。
図1は、本実施形態における、研削装置100の概略構成を示す説明図である。図1には、互いに直交する3つの座標軸であるX,Y,Z軸を表す矢印が示されている。Z軸およびX軸は、水平面に平行な座標軸である。Y軸は、鉛直方向に平行な座標軸である。図1におけるX,Y,Z軸を表す矢印と、他の図におけるX,Y,Z軸を表す矢印とは、同じ方向を指し示している。
研削装置100は、研削対象物としてのワークWに対して砥石31を接触させると共に、ワークWと砥石31とを相対的に移動させることでワークWの表面を研削加工する、工作機械である。研削装置100は、例えば、円筒研削盤である。ワークWは、円筒形状の部分を有し、例えば、金属やセラミックから形成される。なお、ワークWの形状および材料は、これに限られるものではない。図1には、ワークWとして、クランクシャフトが示されている。
研削装置100は、ベッド10と、ワーク支持部20と、レスト装置200と、砥石台30と、Z軸送り装置40と、X軸送り装置50と、制御装置60と、を備える。
ベッド10は、ワーク支持部20と、レスト装置200と、砥石台30と、Z軸送り装置40と、X軸送り装置50と、を支持する。ベッド10は、例えば、鋳鉄により形成される。ベッド10の上面には、ワーク支持部20がZ軸方向に沿って移動するための摺動面と、砥石台30がX軸方向に沿って移動するための摺動面が形成されている。
ワーク支持部20は、ワークWがワーク回転軸O1回りに回転可能となるように、ワークWのZ軸方向の両端を支持する。ワーク回転軸O1は、ワークWの軸線であり、その方向はZ軸と平行な方向である。ワーク支持部20は、テーブル21と、主軸台22と、心押台23と、を備える。
テーブル21は、ベッド10の上面に配置されている。テーブル21の上面には、主軸台22と、心押台23が取り付けられている。
主軸台22は、主軸24と、主軸センタ25と、主軸回転駆動装置26と、駆動ピン27と、を備える。主軸センタ25は、ワークWのZ軸方向の一端を支持する。主軸回転駆動装置26は、主軸24を回転駆動させる。駆動ピン27は、その一端が主軸24に固定され、もう一端がワークWに回転方向に係合している。主軸24の軸線は、ワーク回転軸O1と等しい。そのため、主軸24が回転することにより、駆動ピン27を介してワークWがワーク回転軸O1回りに回転する。ワークWの回転速度は、主軸回転駆動装置26のモータの回転数により制御される。なお、主軸台22は、主軸センタ25と駆動ピン27の代わりにチャックを備えてもよい。主軸台22がチャックを備えている場合、ワークWは、そのZ軸方向の一端をチャックに把持されることによって、主軸24に装着されてもよい。
心押台23は、Z軸方向において、ワークWを挟んで主軸台22と対向するように設けられている。心押台23は、心押センタ28を備える。心押センタ28は、ワークWがワーク回転軸O1回りに回転可能なように、ワークWのZ軸方向の他端を支持する。すなわち、ワークWは、主軸センタ25と心押センタ28によって、ワーク回転軸O1回りに回転可能に支持されている。
レスト装置200は、ベッド10の上面に配置されている。レスト装置200は、ワークWの外周面を支持する。レスト装置200の構造については後述する。
砥石台30は、ベッド10の上面に配置されている。砥石台30は、砥石31と、砥石軸32と、砥石回転駆動装置33と、を備える。
砥石31は、ワークWの表面を研削加工する。砥石31は、コア311と、砥石層312と、から構成される。コア311は、円盤状であり、鉄等の金属によって形成されている。コア311は、図示しないボルト等により砥石軸32に対して着脱可能に連結される。砥石層312は、コア311の外周に円盤状に設けられている。砥石層312は、砥粒と結合材を混合して焼き固めることによって形成される。砥粒としては、例えば、CBN(Cubic Boron Nitride:立方晶窒化ホウ素)や、ダイヤモンドが使用される。砥石層312がワークWと接触することにより、ワークWの外周が研削される。
砥石軸32は、砥石31をその軸線回りに回転可能に支持する。砥石軸32は、図示しない軸受を介して砥石台30に回転可能に支持されている。砥石軸32の軸線は、砥石31の軸線である砥石回転軸O2と一致する。本実施形態において、砥石回転軸O2の方向は、Z軸と平行な方向である。
砥石回転駆動装置33は、砥石軸32を砥石回転軸O2回りに回転駆動させる。砥石軸32が回転駆動することにより、砥石31は砥石回転軸O2回りに回転される。砥石31の回転速度は、砥石回転駆動装置33のモータの回転数によって決定される。
Z軸送り装置40は、Z軸モータ41を有する。Z軸モータ41は、Z軸送り装置40に駆動力を与える。Z軸送り装置40は、テーブル21に接続されており、テーブル21をZ軸方向に沿って移動させる。Z軸方向を、送り方向とも呼ぶ。
X軸送り装置50は、X軸モータ51を有する。X軸モータ51は、X軸送り装置50に駆動力を与える。X軸送り装置50は、砥石台30に接続されており、砥石台30をX軸方向に沿って移動させる。X軸方向を、砥石31の切込方向とも呼ぶ。
制御装置60は、CPU61と、記憶部62を備える。制御装置60は、主軸回転駆動装置26と、レスト装置200と、砥石回転駆動装置33と、Z軸送り装置40と、X軸送り装置50にそれぞれ電気的に接続されている。制御装置60は、主軸回転駆動装置26と、レスト装置200と、砥石回転駆動装置33と、Z軸送り装置40と、X軸送り装置50に対して制御指令を送信することで、研削装置100の動作を制御する。
記憶部62は、ワークWの研削を実行するためのプログラムを記憶する。
CPU61は、記憶部62に記憶されたプログラムを実行することにより、動作制御部611として機能する。動作制御部611の一部または全部は、回路によって実現されてもよい。
動作制御部611は、ワークWの回転数と、ワーク支持部20の送り方向の速度と、砥石台30の切込速度と、レスト装置200の揺動を制御する。具体的には、動作制御部611は、主軸回転駆動装置26のモータの回転数を制御することにより、主軸24の回転数を制御し、主軸24に装着されたワークWの回転数を制御する。また、動作制御部611は、Z軸モータ41の回転数を制御することにより、ワーク支持部20が送り方向に移動する速度を制御する。また、動作制御部611は、X軸モータ51の回転数を制御することにより、砥石台30の切込速度を制御する。レスト装置200の揺動の制御については後述する。
レスト装置200は、ワークWを挟んで砥石31とX軸方向に対向する位置に配置されている。以下では、図2および図3を用いてレスト装置200の構造を説明する。図2は、レスト装置200の構造を示す説明図である。図3は、X軸に垂直な平面でレスト装置200を切断したときのレスト装置200の断面図である。レスト装置200は、レスト台201と、基部210と、本体部240と、を備える。
レスト台201は、ベッド10の上面に固定されている。レスト台201は、基部210を支持する。レスト台201は、シリンダ装置202を備える。シリンダ装置202は、シリンダ203と、ピストン204と、ピストンロッド205を有する。ピストン204は、X軸方向に進退可能となるようにシリンダ203の内部に設けられている。ピストンロッド205は、ピストン204及び基部210に連結されている。
基部210は、レスト台201が有するシリンダ装置202によって、X軸方向に移動可能となるように、レスト台201の上面に配置されている。レスト装置200がワークWを支持する場合は、基部210は、X軸に沿ってワークWに近づく方向へ移動する。レスト装置200がワークWの支持を解放する場合は、基部210は、X軸に沿ってワークWから離れる方向へ移動する。基部210は、本体部240を支持する。基部210は、溝部211と、第1壁部212と、第2壁部213と、レスト揺動装置230と、を備える。
溝部211は、X軸方向に沿って基部210の上面に形成された溝である。第1壁部212および第2壁部213は、溝部211のZ軸方向の両側に位置する略直方体形状の部分である。第1壁部212および第2壁部213は、第1ガイドレール221および第2ガイドレール222を備える。第1ガイドレール221は、第1壁部212および第2壁部213に形成された一対の溝である。Z軸に垂直な面における第1ガイドレール221の形状は、レスト装置200によって支持されたワークWのワーク回転軸O1を中心とした円弧に沿う形状である。第2ガイドレール222は、第1ガイドレール221と同様に第1壁部212および第2壁部213に形成されている。Z軸に垂直な面における第2ガイドレール222の形状は、第1ガイドレール221と半径の異なる、ワーク回転軸O1を中心とした円弧に沿う形状である。
レスト揺動装置230は、レスト揺動モータ231と、回転円盤232と、第1ピン233と、第2ピン234と、連結ロッド235と、を備える。レスト揺動モータ231は、基部210に取り付けられている。回転円盤232は、レスト揺動モータ231の出力軸O3を回転軸として回転可能となるように、レスト揺動モータ231の出力軸O3に取り付けられている。第1ピン233は、回転円盤232に取り付けられている。第2ピン234は、本体部240に取り付けられている。連結ロッド235は、第1ピン233と第2ピン234を連結する。回転円盤232は、第1ピン233と、連結ロッド235と、第2ピン234を介して本体部240に接続されている。レスト揺動モータ231は、回転円盤232をレスト揺動モータ231の出力軸O3回りに一方向に回転させることによってレスト回転装置230に駆動力を与え、本体部240をレスト装置200によって支持されたワークWのワーク回転軸O1を揺動軸として揺動させる。
本体部240は、基部210の上方に設けられている。本体部240は、ガイド部250と、アーム部260とを備える。
ガイド部250は、本体部240の下部に設けられている。ガイド部250の形状は、略直方体である。ガイド部250は、溝部211内に配置される。ガイド部250は、第1ガイド部材251と、第2ガイド部材252と、を備える。
第1ガイド部材251および第2ガイド部材252は、ガイド部250をZ軸方向に貫くように設けられた、円柱状の部材である。第1ガイド部材251の、ガイド部250から突出した部分は、第1ガイドレール221の溝に配置される。第1ガイド部材251は、第1ガイドレール221に沿って移動可能に設けられている。第2ガイド部材252の、ガイド部250から突出した部分は、第2ガイドレール222の溝に配置される。第2ガイド部材252は、第2ガイドレール222に沿って移動可能に設けられている。
アーム部260は、本体部240のワークW側の端部に設けられている。本実施形態では、アーム部260は、第1アーム261と、第2アーム262と、第3アーム263と、を備える。第1アーム261は、第1接触子271を備える。第2アーム262は、第2接触子272を備える。第3アーム263は、第3接触子273を備える。第1アーム261と、第2アーム262と、第3アーム263を、まとめてアーム265とも呼ぶ。第1接触子271と、第2接触子272と、第3接触子273を、まとめて接触子275とも呼ぶ。
接触子275は、その先端がワークWの外周面に接触するように、それぞれのアーム265の端部に設けられている。各接触子275は、ワークWの外周面上にワークWの周方向に間隔をあけて配置されている。接触子275は、ワークWを支持し、砥石31によるワークWの研削加工の際にワークWがワーク回転軸O1に垂直な方向に移動することを抑制する。
アーム265は、各アーム265が有する接触子275がワークWの半径方向に移動するように、Z軸に垂直な方向に移動可能に設けられている。ワークWの半径は、砥石31によるワークWの研削加工が進むと共に減少する。ワークWの半径が減少した場合、全ての接触子275がワークWの半径方向にワークWの中心に向かって等しい距離だけ移動するように、アーム265が動く。アーム265が上述したように動くことによって、ワークWの芯出しが行われる。
以上で説明したように、第1ガイド部材251および第2ガイド部材252が、それぞれ、第1ガイドレール221および第2ガイドレール222に沿って移動することにより、本体部240が、アーム部260によって支持されたワークWのワーク回転軸O1を揺動軸として揺動する。本体部240のワーク回転軸O1を揺動軸とした揺動は、動作制御部611が、レスト揺動装置230が有するレスト揺動モータ231を制御することによって制御される。図4は、本体部240が、アーム部260によって支持されたワークWのワーク回転軸O1を揺動軸として揺動した場合の、レスト装置200を示す説明図である。図4に示すレスト装置200は、図2に示すレスト装置200と比べて、本体部240が、ワーク回転軸O1を中心として角度A1だけ揺動している。以下では、図2に示すレスト装置200の位置を第1位置、図4に示すレスト装置200の位置を第2位置と呼ぶ。なお、上述したレスト装置200の構成は一例であり、レスト装置200は、本体部240が、アーム部260によって支持されたワークWのワーク回転軸O1を揺動軸として揺動可能に設けられていればよい。
レスト揺動装置230と、ガイド部250と、第1ガイドレール221と、第2ガイドレール222によって、位置変更装置280が構成される。位置変更装置280は、少なくとも一つの接触子275とワークWの接触位置と、砥石31とワークWの接触位置との、ワークWの外周面の周方向における相対的な位置を変化させる。位置変更装置280は、動作制御部611によって制御される。
図5および図6は、砥石31がワークWを研削する際の、砥石31と、接触子275と、ワークWの位置を説明する図である。
図5は、レスト装置200が第1位置にあるときの、接触子275とワークWの接触位置と、砥石31とワークWの接触位置を示している。第1接触子271とワークWは、接触点P1で接している。第2接触子272とワークWは、接触点P2で接している。第3接触子273とワークWは、接触点P3で接している。砥石31とワークWは、接触点P0で接している。接触点P1、接触点P2、接触点P3、接触点P0は、Z軸に垂直な同一平面上に存在する。
図6は、レスト装置200が第2位置にあるときの、接触子275とワークWの接触位置と、砥石31とワークWの接触位置を示している。第1接触子271とワークWは、接触点P4で接している。第2接触子272とワークWは、接触点P5で接している。第3接触子273とワークWは、接触点P6で接している。接触点P4、接触点P5、接触点P6は、それぞれ、接触点P1、接触点P2、接触点P3から、ワークWの外周において、角度A1の中心角を有する円弧の長さだけワークWの周方向に移動した位置である。砥石31とワークWの接触位置は、本体部240がワーク回転軸O1を中心として揺動しても変化しない。そのため、図6に示す接触点P0は、図5に示す接触点P0と同じ位置である。
接触点P4と接触点P0のワークWの外周面の周方向における相対的な位置は、接触点P1と接触点P0のワークWの外周面の周方向における相対的な位置と異なる。また、接触点P5と接触点P0のワークWの外周面の周方向における相対的な位置は、接触点P2と接触点P0のワークWの外周面の周方向における相対的な位置と異なる。また、接触点P6と接触点P0のワークWの外周面の周方向における相対的な位置は、接触点P3と接触点P0のワークWの外周面の周方向における相対的な位置と異なる。したがって、本体部240が、ワーク回転軸O1を揺動軸として揺動した場合、接触子275とワークWの接触位置と、砥石31とワークWの接触位置との、ワークWの外周面の周方向における相対的な位置が変化する。
各接触子275とワークWの接触位置と、砥石31とワークWの接触位置が、ワークWの外周面の周方向において固定されている場合、すなわち、レスト装置200が第1位置に固定されている場合は、砥石31が接触点P0を研削する際には、常に、第1接触子271、第2接触子272、第3接触子273が、それぞれ、接触点P1、接触点P2、接触点P3でワークWと接触する。そのため、砥石31が接触点P0を研削する際は、常に、ワークWの外周面の接触点P1、接触点P2、接触点P3に力が加わる。
接触子275とワークWの接触位置と、砥石31とワークWの接触位置との、ワークWの外周面の周方向における相対的な位置が変化する場合、すなわち、レスト装置200が第1位置から第2位置へ動く場合は、砥石31が接触点P0を研削する際には、第1接触子271は接触点P1または接触点P4でワークWと接触し、第2接触子272は接触点P2または接触点P5でワークWと接触し、第3接触子273は接触点P3または接触点P6でワークWと接触する。そのため、砥石31が接触点P0を研削する際は、ワークWの外周面の接触点P1または接触点P4、接触点P2または接触点P5、接触点P3または接触点P6に力が加わる。
図7は、ワークWの真円度が悪化した場合に生じる、ワークWの花びら形状を説明する図である。ワークWの花びら形状とは、ワーク回転軸O1に垂直な断面において、ワークWの外周に小さい波形の凹凸が生じた形状を意味する。ワークWの花びら形状は、砥石31によるワークWの研削加工中に、接触子275がワークWの外周面の特定の位置で長時間ワークWと接触することにより発生する。ワークWに生じる花びら形状は、接触子275とワークWの接触位置と、砥石31とワークWの接触位置との、ワークWの外周面の周方向における相対的な位置によって、その大きさ、間隔、位相が異なる。すなわち、レスト装置200が第1位置にある場合にワークWに生じる花びら形状と、レスト装置200が第2位置にある場合にワークWに生じる花びら形状とは、その大きさ、間隔、位相が異なる。ここで、花びら形状の大きさとは、ワークWの外周に生じた凹凸の、ワークWの半径方向の長さであり、花びら形状の間隔とは、ワークWの外周上における凹凸の円周方向の距離である。
以上で説明した第1実施形態における研削装置100によれば、位置変更装置280によって、レスト装置200の本体部240が、アーム部260によって支持されたワークWのワーク回転軸O1を揺動軸として揺動されることにより、接触子275とワークWの接触位置と、砥石31とワークWの接触位置との、ワークWの外周面の周方向における相対的な位置が変化する。したがって、砥石31がワークWの外周面の特定の位置を研削する際に、ワークWの外周面において、砥石31と接触する位置とは異なる特定の位置のみが接触子275と接触することを抑制することができる。そのため、砥石31がワークWの外周面の特定の位置を研削する際に、ワークWの外周面において、砥石31と接触する位置とは異なる特定の位置のみに力が加わることを抑制することができる。したがって、砥石31によるワークWの研削加工中にワークWの真円度が悪化した場合に、ワークWの真円度を改善することができる。
本実施形態において、動作制御部611は、第1時刻から予め定められた時間が経過した第2時刻における接触子275とワークWの接触位置が、第1時刻における接触子275とワークWの接触位置から、砥石31とワークWの接触位置に対して、ワークWの外周面の周方向に変化するように、ワーク回転軸O1を揺動軸として本体部240を揺動させてもよい。ここで、第1時刻は、例えば、ワークWの研削加工が開始された時刻であり、第2時刻は、例えば、ワークWの研削加工が開始されてから5分が経過した時刻である。動作制御部611は、例えば、ワークWの研削加工が開始されてから5分後に、ワーク回転軸O1を揺動軸として本体部240を揺動させてもよい。動作制御部611は、本体部240を揺動させた後も、砥石31によるワークWの研削加工を継続させる。
本実施形態において、動作制御部611は、第1時刻と第2時刻との間で、接触子275とワークWの接触位置が、砥石31とワークWの接触位置に対して、ワークWの外周面の周方向に複数回変化するように、本体部240を、ワーク回転軸O1を揺動軸として複数回揺動させてもよい。ここで、第1時刻は、例えば、ワークWの研削加工が開始された時刻であり、第2時刻は、例えば、ワークWの研削加工が終了した時刻である。動作制御部611は、ワークWの研削加工が開始されてから終了するまでの間に、ワーク回転軸O1を揺動軸として、本体部240を特定の方向のみに段階的に複数回揺動させてもよいし、本体部240を特定の方向とその逆方向の両方に繰り返し1回以上揺動させてもよい。なお、動作制御部611は、ワークWの研削加工が開始されてから終了するまでの任意の期間に、上述したように本体部240を揺動させてもよい。以下では、動作制御部611による上述した本体部240の揺動の制御を、第1制御と呼ぶ。
本実施形態において、動作制御部611は、時間の経過と共に、接触子275とワークWの接触位置と、砥石31とワークWの接触位置との、ワークWの外周面の周方向における相対的な位置が変化するように、本体部240を、ワーク回転軸O1を揺動軸として揺動させてもよい。すなわち、動作制御部611は、ワークWの研削加工中に、常にワークWに対する本体部240の位置が変化するように、本体部240を揺動させてもよい。動作制御部611は、例えば、ワークWの研削加工が開始された時刻から、ワークWの研削加工が終了する時刻まで、ワーク回転軸O1を揺動軸として、本体部240を往復するように揺動させ続けてもよい。以下では、動作制御部611による上述した本体部240の揺動の制御を、第2制御と呼ぶ。
B.第2実施形態:
図8は、第2実施形態における、研削装置101の概略構成を示す説明図である。研削装置101は、真円度測定装置300を備える。真円度測定装置300は、制御装置60に電気的に接続されている。また、第2実施形態では、CPU61は、記憶部62に記憶されたプログラムを実行することにより、動作制御部611に加えて、情報取得部612としても機能する。情報取得部612の一部または全部は、回路によって実現されてもよい。
図8は、第2実施形態における、研削装置101の概略構成を示す説明図である。研削装置101は、真円度測定装置300を備える。真円度測定装置300は、制御装置60に電気的に接続されている。また、第2実施形態では、CPU61は、記憶部62に記憶されたプログラムを実行することにより、動作制御部611に加えて、情報取得部612としても機能する。情報取得部612の一部または全部は、回路によって実現されてもよい。
真円度測定装置300は、図示しない測定子を備える。真円度測定装置300は、測定子をワークWの外周に接触させ、ワークWのワーク回転軸O1回りの回転に伴う測定子の変位を測定することにより、ワークWの真円度を測定する。真円度測定装置300は、砥石31がワークWを研削する場合に、ワークWを挟んで砥石31とX軸方向に対向する位置に配置される。
情報取得部612は、砥石31によるワークWの研削加工中に、真円度測定装置300からワークWの真円度を取得する。
動作制御部611は、情報取得部612によって取得されたワークWの真円度が予め定められた閾値を超えた場合に、レスト装置200の本体部240を、ワーク回転軸O1を揺動軸として揺動させる。すなわち、動作制御部611は、ワークWの真円度が予め定められた閾値を超えた場合に、接触子275とワークWの接触位置と、砥石31とワークWの接触位置との、ワークWの外周面の周方向における相対的な位置を変化させる。ワークWの真円度が予め定められた閾値を超えた場合、ワークWに花びら形状が生じる。レスト装置200が第1位置にあるときに花びら形状が生じた場合、動作制御部611は、レスト装置200が第1位置にあるときに生じた花びら形状を打ち消すことができる、異なる花びら形状が生じる位置である第2位置まで、レスト装置200の本体部240を、ワーク回転軸O1を揺動軸として揺動させる。本体部240の揺動角度は、情報取得部612が取得したワークWの真円度に基づいて決定される。具体的には、動作制御部611は、ワークWの真円度に応じた角度だけ本体部240を揺動させる。もしくは、動作制御部611は、ワークWの真円度に応じた角度の範囲内で本体部240を複数回往復するように揺動させる。上述した予め定められた閾値は、予め記憶部62に記憶されている。動作制御部611は、砥石31によるワークWの研削加工中に本体部240を揺動させてもよいし、砥石31によるワークWの研削加工を中断してから本体部240を揺動させてもよい。
以上で説明した第2実施形態における研削装置101によれば、動作制御部611は、情報取得部612によって取得されたワークWの真円度に基づいて、ワークWの真円度が予め定められた閾値を超えた場合に、接触子275とワークWの接触位置と、砥石31とワークWの接触位置との、ワークWの外周面の周方向における相対的な位置を変化させるべく、位置変更装置280を制御する。そのため、ワークWの研削加工中にワークWの真円度が悪化した場合に、ワークWの真円度を改善することができる。
第2実施形態において、動作制御部611は、ワークWの真円度が予め定められた閾値を超えた場合に、第1実施形態において説明した第1制御または第2制御を実行してもよい。動作制御部611が第1制御を実行する場合、第1時刻は、ワークWの真円度が予め定められた閾値を超えた時刻であり、第2時刻は、例えば、ワークWの研削加工が終了した時刻である。
C.他の実施形態:
(C-1)上記実施形態では、レスト装置200は3本のアーム265を備えている。これに対して、レスト装置200は、2本のアーム265を備えていてもよい。すなわち、ワークWは、2つの接触子275によって支持されていてもよい。
(C-1)上記実施形態では、レスト装置200は3本のアーム265を備えている。これに対して、レスト装置200は、2本のアーム265を備えていてもよい。すなわち、ワークWは、2つの接触子275によって支持されていてもよい。
(C-2)上記実施形態では、レスト装置200の本体部240がワーク回転軸O1を揺動軸として揺動することにより、3つの接触子全てがワーク回転軸O1を中心軸として揺動し、各接触子275とワークWの接触位置と、砥石31とワークWの接触位置との、ワークWの外周面の周方向における相対的な位置が変化している。これに対して、レスト装置200は、少なくとも一つのアーム265がワーク回転軸O1を中心軸として揺動することにより、上述したアーム265が備える少なくとも一つの接触子275とワークWの接触位置と、砥石31とワークWの接触位置との、ワークWの外周面の周方向における相対的な位置が変化してもよい。
(C-3)上記実施形態では、レスト装置200はベッド10の上面に配置されている。これに対して、レスト装置200は、Z軸方向に移動可能なように、テーブル21の上面に配置されていてもよい。
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…ベッド、20…ワーク支持部、21…テーブル、22…主軸台、23…心押台、24…主軸、25…主軸センタ、26…主軸回転駆動装置、27…駆動ピン、28…心押センタ、30…砥石台、31…砥石、32…砥石軸、33…砥石回転駆動装置、40…Z軸送り装置、41…Z軸モータ、50…X軸送り装置、51…X軸モータ、60…制御装置、61…CPU、62…記憶部、100,101…研削装置、200…レスト装置、201…レスト台、202…シリンダ装置、203…シリンダ、204…ピストン、205…ピストンロッド、210…基部、211…溝部、212…第1壁部、213…第2壁部、221…第1ガイドレール、222…第2ガイドレール、230…レスト揺動装置、231…レスト揺動モータ、232…回転円盤、233…第1ピン、234…第2ピン、235…連結ロッド、240…本体部、250…ガイド部、251…第1ガイド部材、252…第2ガイド部材、260…アーム部、261…第1アーム、262…第2アーム、263…第3アーム、265…アーム、271…第1接触子、272…第2接触子、273…第3接触子、275…接触子、280…位置変更装置、300…真円度測定装置、311…コア、312…砥石層、611…動作制御部、612…情報取得部、O1…ワーク回転軸、O2…砥石回転軸、O3…レスト揺動モータの出力軸、W…ワーク
Claims (5)
- ワークを軸線回りに回転可能に支持するワーク支持部と、
前記ワークの外周面を研削する砥石と、
前記ワークの前記外周面に接触し前記ワークを支持する複数の接触子を有するレスト装置と、を備え、
複数の前記接触子は、前記ワークの前記外周面上に前記ワークの周方向に間隔をあけて配置された研削装置において、
少なくとも一つの前記接触子と前記ワークの接触位置と、前記砥石と前記ワークの接触位置との、前記ワークの前記外周面の周方向における相対的な位置を変更可能な位置変更装置を備えた、
研削装置。 - 請求項1に記載の研削装置であって、
前記ワークの真円度を測定する真円度測定装置と、
前記砥石による前記ワークの加工中に前記真円度測定装置によって測定された前記ワークの真円度が悪化した場合に、前記相対的な位置を変化させるべく前記位置変更装置を制御する、動作制御部と、を備える、
研削装置。 - 請求項1に記載の研削装置であって、
第1時刻から予め定められた時間が経過した第2時刻での少なくとも一つの前記接触子と前記ワークの接触位置を、前記第1時刻での前記少なくとも一つの前記接触子と前記ワークの接触位置から、前記砥石と前記ワークの接触位置に対して、前記ワークの前記外周面の周方向に変化させる、動作制御部を備える、
研削装置。 - 請求項1に記載の研削装置であって、
第1時刻と、前記第1時刻から予め定められた時間が経過した第2時刻との間で、前記相対的な位置を複数回変化させる、動作制御部を備える、
研削装置。 - 請求項1に記載の研削装置であって、
時間の経過と共に、前記相対的な位置を変化させる、動作制御部を備える、
研削装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022083579A JP2023172031A (ja) | 2022-05-23 | 2022-05-23 | 研削装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2023172031A true JP2023172031A (ja) | 2023-12-06 |
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ID=89029033
Family Applications (1)
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JP2022083579A Pending JP2023172031A (ja) | 2022-05-23 | 2022-05-23 | 研削装置 |
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Country | Link |
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2022
- 2022-05-23 JP JP2022083579A patent/JP2023172031A/ja active Pending
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