JP2023170874A - 表皮材および表皮材の製造方法 - Google Patents

表皮材および表皮材の製造方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2023170874000001
【課題】複雑な装飾を施す表皮材の耐摩耗性を向上させる。
【解決手段】表皮材10は、基層21、クッション層22、表層23の順に積層されている積層構造の基材20を備えている。表皮材10は、表層23に貼付されている塩化ビニル樹脂(PVC)製の装飾部30を備えている。表皮材10は、クッション層22の厚さが1.3mm以上15mm以下である本体部11を備えている。表皮材10は、クッション層22が圧縮されていることによって本体部11に対する相対的な凹みとしての凹部12を備えている。装飾部30は、凹部12に配置されている。装飾部30の厚さは、凹部12の深さ以下である。
【選択図】図3

Description

本発明は、表皮材および表皮材の製造方法に関する。
特許文献1に開示されているように、凹凸模様を有する表皮材が知られている。特許文献2には、樹脂を塗布することによる模様と、エンボス加工等による凹凸模様と、を組み合わせることによって意匠性を向上させている布帛が開示されている。
特開2007-276285号公報 特開2019-99932号公報
たとえば、より立体的に見せる模様を表皮材に配するように、より複雑な装飾を表皮材に施すことが求められている。
上記課題を解決するための表皮材の各態様を記載する。
[態様1]基層、クッション層、表層の順に積層一体化されている積層構造の基材と、前記表層に貼付されている塩化ビニル樹脂(PVC)製の装飾部と、を有する表皮材であって、前記クッション層の厚さが1.3mm以上15mm以下である本体部と、前記基材における層が並ぶ方向を積層方向として、前記本体部に対しての前記積層方向における相対的な凹みとしての凹部と、を備え、前記装飾部は、前記凹部に配置されており、前記積層方向において前記本体部における前記表層から前記凹部における前記表層までの距離を前記凹部の深度とすると、前記装飾部の厚さは、前記凹部の深度以下である表皮材。
上記構成は、表層に装飾部が貼付されていることによる凹凸を有する。これによって、表皮材に奥行きを持たせることができる。すなわち、装飾部を配することによって立体的で複雑な模様を表皮材に形成することができる。
ところで、PVC製の装飾部が貼付されていると、装飾部が貼付されている周辺を肌で触れた際に引っかかりを感じたり、装飾部が衣服等と干渉したりすることが生じ得る。特に、装飾部の端との干渉を要因として装飾部が剥がれるおそれがある。
この点、上記構成では、装飾部が凹部に配置されている構成をさらに備えている。このため、表皮材の表面が凹凸を有しつつも、装飾部が突出することがない。これによって、装飾部、特に装飾部の端部に肌や衣服が干渉しにくくなる。
すなわち、上記構成によれば、表皮材に複雑な模様を形成することができるとともに、表皮材の耐摩耗性が低下することを抑制できる。
[態様2]前記表層は、繊度が1.0dtex以上の原着糸を材料とした織・編物である[態様1]に記載の表皮材。
仮に、表層が染色されているものであると、表層に貼付されている装飾部には、表層からの色移りが生じるおそれがある。これに対して上記構成では、原料に顔料および染料等の色材を加えて製造される原着糸によって表層が構成されている。すなわち、表層は染色されたものではない。このため、表層から装飾部への色移りを抑制できる。これによって、色移りに伴って生じ得る表層の退色を抑制できる。
[態様3]前記装飾部は、前記表層に貼付されている面を基準として前記表層から離れる方向に突出していることで当該面に対する高低差の変化を二段以上有する段状である[態様1]または[態様2]に記載の表皮材。
上記構成によれば、より立体的で複雑な模様を施しつつも、耐摩耗性の低下を抑制することができる。
[態様4]前記装飾部と前記基材とが溶着されている溶着部を備え、前記溶着部において前記装飾部が前記表層に貼付されており、前記溶着部では、前記積層方向に前記クッション層が圧縮されており、前記基層と前記クッション層とが溶着されており、且つ、前記クッション層と前記表層とが溶着されている[態様1]~[態様3]のいずれか一つに記載の表皮材。
上記構成によれば、基材の積層構造が溶着されていることで凹部の深度を大きく確保しやすくなる。
上記課題を解決するための表皮材の製造方法の態様を記載する。
[態様5]基層、厚さが1.3mm以上15mm以下のクッション層、表層の順に積層して基材を形成する積層工程と、前記基材に塩化ビニル樹脂(PVC)製の装飾部を溶着することで前記表層に前記装飾部を貼付する溶着工程と、を順に行う表皮材の製造方法であり、前記溶着工程によって、前記基材における層が並ぶ方向に前記クッション層を圧縮することによる凹みとして、前記装飾部の厚さ以上の深度を有する凹部を形成するとともに該凹部に前記装飾部を配置する表皮材の製造方法。
上記製造方法によれば、複雑な模様を有するとともに耐摩耗性を確保した表皮材を製造できる。
本発明によれば、より複雑な装飾を施した表皮材が得られる。
図1は、本実施形態の表皮材を適用した座席シートを示す正面図である。 図2は、同実施形態にかかる表皮材の装飾部を拡大した拡大図である。 図3は、同実施形態にかかる表皮材の断面構造を示す断面図である。 図4は、同実施形態にかかる表皮材を基層側からみた平面図である。 図5は、耐摩耗試験の方法を説明する模式図である。
以下、表皮材の一実施形態について説明する。
図1は、車両の座席シート(seat)90に適用した表皮材10を示している。表皮材10は、座席シート90に限らず、車両の内装に用いることができる。たとえば、ドアトリム、車室の天井等の内装に表皮材10を用いてもよい。表皮材10の用途は、車両の内装に限定されるものではない。
図1および図2に示すように、表皮材10は、基材20と、基材20に貼付されている装飾部30とを備えている。図1には、座席シート90のシート本体91に装飾部30が配置されている例を示している。装飾部30の位置は、特に制限されない。たとえば、座席シート90のヘッドレスト92に装飾部30が配置されていてもよい。
図1には、一つの装飾部30を備える表皮材10を例示している。表皮材10は、二つ以上の装飾部30を備えていてもよい。複数の装飾部30を備えている場合には、各装飾部30は、同一のものでもよいし、異なるものの組み合わせでもよい。
〈基材〉
基材20は、積層構造のシート材(sheet material)である。たとえば基材20は、基層21、クッション層22および表層23を有する。基材20の一例では、図3に示すように基層21、クッション層22、表層23の順に積層されている。
基材20を構成する各層は、重なる層に接着されることで一体化されている。各層を接着する方法は、特に制限されないが、たとえば、接着剤、粘着剤および粘着テープ等を用いる方法がある。他の方法として、フレームラミネート法によって各層の接着を行うこともできる。すなわち、溶融させたポリウレタンフォームの層に、当該層と向かい合う層を貼り合わせて接着を行ってもよい。
〈基層〉
基層21は、表皮材10の裏地を構成する裏基布である。
基層21としては、たとえば、織物、編物、不織布等を採用することができる。基層21の材料としては、たとえば、天然繊維、再生繊維、合成繊維等を使用することができる。天然繊維の例は、綿、麻、絹、リンネル、モヘヤ、カシミヤ等である。再生繊維の例は、キュプラ、レーヨン、ポリノジック、アセテート、フリース等である。合成繊維の例は、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル等である。
基層21は、上記材料のうち一種類のみからなるものでもよく、二種類以上を混合して織物、編物、不織布等を形成したものでもよい。
基層21の厚さは、特に制限されないが、たとえば0.1mm以上1.0mm以下である。上記厚さの上限値は、0.9mmであることが好ましく、より好ましくは0.8mmである。上記厚さの下限値は、0.3mmであることが好ましく、より好ましくは0.5mmである。
基層21の目付は、特に制限されない。当該目付は、たとえば、40g/m以上である。当該目付は、40g/m未満でもよい。
基層21としては、ポリエステルジャージ生地が特に好ましい。他に好ましい基層21の例として、ポリエステルスパンボンド生地がある。
〈クッション層〉
クッション層22は、表皮材10の中間層である。クッション層22は、表皮材10に弾性、柔軟性、クッション性等の質感を付与する。
クッション層22の例は、合成樹脂発泡体、繊維構造体等がある。合成樹脂発泡体としては、たとえば、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、フェノールフォーム、シリコーンフォーム、アクリルフォーム、ポリイミドフォーム等が挙げられる。繊維構造体としては、たとえば、ポリエステル繊維クッション材が挙げられる。クッション層22は、軟質ポリウレタンフォームであることが特に好ましい。
クッション層22の厚さは、たとえば、1.3mm以上15mm以下である。上記厚さの上限値は、10mmであることが好ましく、より好ましくは5mmである。上記厚さの下限値は、2mmであることが好ましく、より好ましくは3mmである。
クッション層22の密度は、たとえば、15kg/cm以上45kg/cm以下である。上記密度の上限値は、35kg/cmであることが好ましく、より好ましくは25kg/cmである。上記密度の下限値は、18kg/cmであることが好ましく、より好ましくは20kg/cmである。
クッション層22の硬さは、特に制限されないが、たとえば、60N以上180N以下である。
〈表層〉
表層23は、表皮材10の表地を構成する。表層23は、表皮材10において表に露出する表皮である。
表層23としては、たとえば、織物、編物、不織布等を採用することができる。表層23の材料としては、たとえば、天然繊維、再生繊維、合成繊維等を使用することができる。天然繊維の例は、綿、麻、絹、リンネル、モヘヤ、カシミヤ等である。再生繊維の例は、キュプラ、レーヨン、ポリノジック、アセテート、フリース等である。合成繊維の例は、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル等である。合成繊維は、原料に顔料および染料等の色材を加えて製造される原着糸でもよいし、紡糸後に染色した糸染めでもよい。また、表層23は、後染めによって染色することもできる。
表層23は、上記材料のうち一種類のみからなるものでもよく、二種類以上を混合して織物、編物、不織布等を形成したものでもよい。
また、織・編物としては、織物、編物の組織も特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。織物の場合には織組織としては、たとえば、平織、斜文織、朱子織、ドビー織、ジャカード織等を挙げることができる。編物の場合には編組織としては、たとえば、ダブルトリコット編、ダブルラッセル編等の経編地、平編、リブ編、ガーター編等の緯編地、または丸編地等を挙げることができる。
表層23の厚さは、特に制限されないが、たとえば0.1mm以上3.0mm以下である。上記厚さの上限値は、2.0mmであることが好ましく、より好ましくは1.0mmである。上記厚さの下限値は、0.3mmであることが好ましく、より好ましくは0.5mmである。
表層23としては、原着糸を材料とした織物が特に好ましい。
原着糸に用いる顔料としては、たとえば、フタロシアニン系、アンスラキノン系、ペリノン系等の有機顔料、および、酸化チタン、酸化鉄、群青、カーボンブラック等の無機顔料を挙げることができる。
原着糸の繊度は、特に制限されないが、たとえば0.5dtex以上であることが好ましい。原着糸の繊度は、1.0dtex以上であることがより好ましい。
〈装飾部〉
装飾部30は、表皮材10の表層23を装飾する飾りである。装飾部30は、たとえば、模様、ロゴ、エンブレム等を形作っている。
装飾部30は、塩化ビニル樹脂(PVC)製の成形品である。塩化ビニル樹脂(PVC)は、合成樹脂の一例である。参考までに他の合成樹脂としては、オレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。
装飾部30の厚さは、たとえば、0.1mm以上1mm以下である。上記厚さの上限値は、0.8mmであることが好ましく、0.6mmがさらに好ましい。上記厚さの下限値は、0.3mmであることが好ましく、0.45mmがさらに好ましい。
装飾部30の形状は、特に制限されない。以下、装飾部30の例を説明する。
図2および図3に示すように、装飾部30は、基材20の表層23に貼付されている貼付部31を基準として表層23から離れる方向に突出している凸部32を備えている。図2および図3には、凸部32の一例として、直線状に延びる細長い突起を例示している。この凸部32が設けられていることによって、装飾部30は、貼付部31に対する高低差の変化を一段有する段状である。装飾部30は、たとえば、貼付部31に対する高低差の変化を二段以上有する段状でもよい。
図2に示すように、貼付部31と凸部32とは、凸部32の周囲を隙間なく貼付部31が囲む位置関係にある。言い換えれば、装飾部30における端の部分、すなわち縁には、貼付部31が位置している。装飾部30としては、凸部32の周囲を貼付部31が必ずしも囲っていなくてもよい。
装飾部30の表面は、しぼ、艶等の加工がなされていてもよい。たとえば、凸部32の表面である第2表面32aが、しぼ加工されていてもよい。図2には、しぼ加工されている範囲をドットハッチングで例示している。図2に示す例では、貼付部31の表面である第1表面31aには、しぼが形成されていない。
〈装飾部の貼付態様〉
図2および図3に示すように、表皮材10は、表層23側の面における凹みとして凹部12を備えている。凹部12の一例は、積層方向にクッション層22が圧縮されていることによって形成されている。積層方向は、基材20における層が並ぶ方向である。凹部12において、表層23は、圧縮されているクッション層22によって引っ張られるように基層21に近づいている。図3には、表層23の厚さを表層厚T1と表示している。図3には、凹部12として圧縮されていないクッション層22の厚さをクッション厚T2と表示している。なお、図3は、各部を模式的に示したものであり、実際の寸法関係を図示したものではない。
表皮材10のうち、凹部12が形成されていない部分を本体部11とする。すなわち、凹部12は、本体部11に対して相対的に凹んでいる部分である。凹部12におけるクッション層22の厚さは、本体部11におけるクッション層22の厚さよりも薄くなっている。すなわち、本体部11におけるクッション層22の厚さがクッション厚T2であり、凹部12におけるクッション層22の厚さは、クッション厚T2よりも小さい。また、凹部12におけるクッション層22の密度は、本体部11におけるクッション層22の密度よりも高くなっていてもよい。図3には、積層方向において本体部11における表層23から凹部12における表層23までの距離を、凹部12の深度D1と表示している。
図2および図3に示すように、装飾部30は、凹部12に配置されている。装飾部30は、凹部12における表層23に貼付されている。装飾部30の周囲に隣接する表層23は、装飾部30から離れるほど凹みの深さを浅くする方向に傾斜している。こうした表皮材10は、以下の特徴を有する。装飾部30の凸部32は、凹部12に収まっている。本体部11におけるクッション層22および表層23が、凹部12に配置されている装飾部30を取り囲んでいる。本体部11と凸部32との間に挟まれた谷の部分に貼付部31が位置している。
より具体的にいえば、装飾部30の厚さであるPVC厚H1は、凹部12の深度D1よりも小さい。PVC厚H1とは、装飾部30における凸部32のうち最も突出している部分における厚さを示す。装飾部30のPVC厚H1は、凹部12の深度D1と等しくてもよい。すなわち、装飾部30のPVC厚H1は、凹部12の深度D1以下であればよい。
装飾部30の厚さに対するクッション層22の厚さの比率(T2/H1)は、たとえば、5以上50以下であることが好ましい。上記比率の上限値は、たとえば、35であることが好ましく、より好ましくは20である。上記比率の下限値は、たとえば、10であることが好ましく、より好ましくは15である。
装飾部30は、溶着によって基材20に貼付されている。表皮材10は、溶着部13を有している。溶着部13では、装飾部30と基材20とが溶着されている。すなわち、溶着部13は、装飾部30における貼付部31と表層23とが接している部分に対応する。装飾部30を溶着する方法としては、高周波誘電加熱による溶着、ヒートプレスによる溶着および超音波溶着等の公知の方法を採用できる。
溶着部13では、貼付部31と表層23とが接している部分に重なるクッション層22が表層23に溶着されていてもよい。溶着部13では、貼付部31と表層23とが接している部分に重なるクッション層22が基層21に溶着されていてもよい。このような場合には、表皮材10を基層21側の面から見て溶着部13を確認できる。一例として図4を参照して説明する。
図4は、表皮材10における基層21側の面を示す。図4に示すように、表皮材10を基層21側から見て溶着部13を確認できてもよい。凹部12においては、表層23側の面と同様に基層21側の面も凹んでいてもよい。溶着部13は、基層21側の面に凹みとして表れていてもよい。
〈表皮材の製造方法〉
表皮材10を製造する方法の一例を説明する。
表皮材10の製造方法は、積層工程および溶着工程を含む。表皮材10の製造方法では、積層工程と溶着工程とを順に行う。
積層工程について説明する。
積層工程は、基層21、クッション層22、表層23を順に積層した積層構造の基材20を形成する工程である。積層工程では、基層21とクッション層22と表層23とを積層一体化する。たとえば、フレームラミネート法によって積層一体化を行うことができる。
溶着工程について説明する。
溶着工程は、基材20に装飾部30を溶着することで表層23に装飾部30を貼付する工程である。
たとえば、高周波ウェルダー加工機を用いて基材20に装飾部30を溶着することができる。具体的には、まず、基材20の表層23に装飾部30を載せる。次に、高周波ウェルダー加工機のプレス機構によって装飾部30の貼付部31に圧力をかけながら高周波電界を加える。この結果として、基材20に装飾部30を溶着した表皮材10を製造することができる。溶着工程において装飾部30を溶着する過程では、プレス機構による加圧によって、クッション層22を圧縮することによる凹みとして凹部12を形成する。溶着工程では、凹部12の深度が装飾部30の厚さ以上となるように、凹部12を形成する。
〈作用および効果〉
本実施形態の作用について説明する。
表皮材10では、凹部12の深度D1以下の厚さである装飾部30が凹部12に配置されている。このため、装飾部30は凹部12から飛び出ていない。
表皮材10が表層23に原着糸を用いている場合には、表層23が色褪せしにくく、染料移行しにくい。
表皮材10の製造方法によれば、装飾部30の溶着と、凹部12の形成との両方が溶着工程によって行われる。
溶着工程では、装飾部30の貼付部31に圧力をかける。このため、溶着前の貼付部31の表面に模様が形成されていたとしても、当該模様は、薄くなるか、あるいは、消えることがある。一方で、凸部32の表面に形成したしぼ加工等の模様は、保持された状態で溶着される。
本実施形態の効果について説明する。
(1)表皮材10では、装飾部30が凹部12に配置されているため、表皮材10の表面が凹凸を有しつつも、装飾部30が突出することがない。これによって、装飾部30、特に装飾部30の端部に肌や衣服が干渉しにくくなる。すなわち、表皮材10によれば、表皮材10に複雑な模様を形成することができるとともに、表皮材10の耐摩耗性が低下することを抑制できる。
(2)表皮材10では、本体部11と凸部32との間に挟まれた谷の部分に貼付部31が位置している。このため、装飾部30の端部に肌や衣服が干渉しにくい。
(3)表皮材10によれば、装飾部30が基材20から剥がれることを抑制できる。特に装飾部30の端部が基材20から剥がれることを抑制できる。
(4)凸部32の表面に形成した模様によって表皮材10を装飾することができる。さらに、装飾部30には二段以上の段差を持たせることも可能であるため、より立体的で複雑な模様を形成することができる。
(5)装飾部30を突出させることなく収容できる凹部12を形成することができる。たとえばこれは、表層23の材質、厚さ、繊度、クッション層22の材質、厚さ、密度、基層21の材質、厚さおよび繊度等の基材20の性質の選択による効果である。また、装飾部30を基材20に溶着している溶着部13において、クッション層22が圧縮されており基材20の積層構造の溶着もなされている場合には、凹部12の深度D1を大きく確保しやすくなる。
(6)表層23に原着糸を用いている表皮材10によれば、表層23の染料が移行しにくい。このため、表層23から装飾部30への色移りを抑制することができる。これによって、色移りに伴って生じ得る表層23の退色を抑制できる。また、装飾部30の変色を抑制できる。
(7)装飾部30の色と、表層23の色との組み合わせによって、表皮材10における色彩の表現を豊富にすることができる。
(8)表皮材10は、製造された当初の風合いを長期間において保つことができる。
(9)複雑な模様を有するとともに耐摩耗性を確保した表皮材10を製造できる。
(10)凸部32の表面に形成した模様を保持した状態で装飾部30を溶着することができる。
(変更例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、装飾部30が基材20に溶着されている例を示した。装飾部30は、接着剤等によって基材20に接着されていてもよい。
・上記実施形態では、貼付部31を表層23に貼付する例を示したが、凸部32を表層23に貼付することを制限するものではない。たとえば、凸部32が表層23に接着されていてもよい。
・装飾部30は、貼付部31から突出した凸部32を有していない形状、すなわちシート状(sheet-shaped)のものを採用することもできる。シート状の装飾部30は、その全体が表層23に貼付されていてもよい。
・表皮材10は、装飾部30の他にも装飾を有していてもよい。たとえば、エンボス模様、塗装等の装飾が施されていてもよい。
・上記実施形態では、積層方向にクッション層22が圧縮されていることによる凹みとしての凹部12を例示した。凹部12は、下記の構成でもよい。
たとえば、クッション層22における表層23を接着する面に対して、切削加工、裁断加工等の加工によって凹みを形成する。こうしたクッション層22の凹みに沿うように表層23が接着されているものとして凹部12を形成することもできる。
たとえば、クッション層22として、基層21に接着される第1層と、表層23に接着される第2層と、を貼り合わせたものを用いる。第2層には、積層方向に貫通する孔が形成されている。当該孔の部分で表層23と第1層とが接着されることによる凹みとして凹部12を形成することもできる。
・上記表皮材の製造方法では、基材20に装飾部30を溶着する場合を例示した。溶着工程に替えて、基材20に装飾部30を接着する接着工程を行ってもよい。接着工程は、たとえば、接着剤を用いて基材20に装飾部30を接着する工程である。
表皮材について、以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、表皮材は、実施例欄に記載の構成に限定されるものではない。
〈サンプルの製造〉
表1に示す実施例1~4および比較例1の表皮材を製造した。
まず、基層、クッション層および表層をフレームラミネート法によって接着することで、積層一体化した基材を得た。続いて、容量3kwの高周波ウェルダー加工機を使用して基材に装飾部を貼付した。発信時間は5秒とした。このように基材の上から装飾部を溶着させることで、表皮材を得た。
表中の原着糸は、顔料としてカーボンブラックを2.0重量%使用した、330dtex/96fのポリエステル黒原着糸を用いた。糸染品は、カーシート用分散染料を用いたチーズ染色にて、330dtex/96fのポリエステル加工糸を黒色に染色した染色糸を用いた。軟質ウレタンフォームは、密度が20kg/cmのものを用いた。ポリエステルジャージは、目付が40g/mのものを用いた。ポリエステルスパンボンドは、目付が40g/mのものを用いた。装飾部として、表面に皮しぼを有するライトグレイ色のPVCシートを用意した。装飾部の形状は、図2に例示した装飾部30と共通とした。
〈試験および評価基準〉
[外観試験]
・試験方法
サンプルの表皮材を、表層を上に向けた状態で水平な試験台に置いた。サンプルの表面に目線の高さを合わせて、サンプルを水平に目視した。各サンプルについて同様に試験を行った。以下に評価基準を示す。なお、評価は、5人の評価者が行った。過半数を占める評価を最終的な評価とした。結果を表1に示す。
・評価基準
○(良):凹部に配置されている装飾部を確認できない。
×(不可):凹部に配置されている装飾部を確認した。
[耐摩耗性試験]
・試験方法
図5に示すように、試験台201に載せたサンプル101をクランプ202で固定した。サンプル101は、表皮材を幅70mm、長さ300mmに切り取った試験片である。なお、試験台201とサンプル101との間には、ウレタンフォームを敷いた。ウレタンフォームは、厚み10±1mm、20%圧縮応力0.79~1.08N/cmのものを用いた。6号綿帆布を表面に取り付けた摩擦子203をサンプル101上の規定範囲内で往復動させた。摩擦子203の往復動は、往復回数10000回、押圧荷重9.81N、ストローク140mm、速度60±10往復/minの条件で行った。図5には、摩擦子203を往復動させる方向を白抜き矢印で表示している。摩擦子203によって摩擦される範囲の中央に装飾部102が配置されるように、サンプル101を固定する際にサンプル101の位置を調整している。各表皮材のサンプルについて同様に試験を行った。以下に評価基準を示す。なお、評価は、5人の評価者が行った。過半数を占める評価を最終的な評価とした。結果を表1に示す。
・評価基準
〇(良):装飾部の端部に剥がれがない。
×(不可):装飾部の端部に剥がれがある。
〈結果〉
外観試験および耐摩耗試験の両方の評価が良である場合を良好な表皮材とした。すなわち、実施例1~4の表皮材は良好だった。以下、詳細に説明する。
クッション層の厚さが1.0mmである比較例1では、凹部に装飾部が収まっていないことがわかる。こうした比較例1では、耐摩耗試験の結果として装飾部の端部に剥がれが生じた。これに対して、実施例1~4は、凹部に装飾部が収まっている。言い換えれば、装飾部の厚さ以上の深度を有する凹部を備えている。実施例1~4は、耐摩耗試験の結果が良好であった。これらの結果から、凹部に装飾部が収まるようにした表皮材によって、装飾部における端部の剥がれを抑制する効果が得られることがわかる。
〈その他の試験〉
[色移行・耐久性試験]
上記実施例1~4について、装飾部への色移りに対する耐性を、耐熱性、耐光老化性および耐湿熱性の3通りで評価した。表1に示したように実施例1~3では表層に原着糸を用いている。実施例4では、表層に糸染品を用いている。以下に試験方法および評価基準を示す。なお、評価は、5人の評価者が行った。過半数を占める評価を最終的な評価とした。結果を表2に示す。
・耐熱性試験
サンプルを温度110℃で400時間放置した。その後、外観を目視で評価した。
・耐光老化性試験
フェードメータを用いて、パネル温度を83℃としてサンプルに紫外線を400時間照射した。その後、外観を目視で評価した。
・耐湿熱性試験
サンプルを温度50℃、湿度95%の条件で400時間放置した。その後、外観を目視で評価した。
・評価基準
○(良):装飾部および表層に変色、色移り等の外観変化がない。
×(不可):装飾部および表層に変色、色移り等の外観変化がある。
・結果
実施例4では、耐熱性試験および耐湿熱性試験の結果として、表層から装飾部へ染料が移行することによる変色を確認した。このため、耐熱性試験および耐湿熱性試験の評価が不可であった。一方で、実施例1~3では、外観変化は確認されなかった。この結果から、表皮材の表層に原着糸を用いている場合には、表層から装飾部への色移りを抑制する効果が得られることがわかる。
10…表皮材
11…本体部
12…凹部
13…溶着部
20…基材
21…基層
22…クッション層
23…表層
30…装飾部
31…貼付部
31a…第1表面
32…凸部
32a…第2表面
90…座席シート
91…シート本体
92…ヘッドレスト
101…サンプル
102…装飾部
201…試験台
202…クランプ
203…摩擦子

Claims (5)

  1. 基層、クッション層、表層の順に積層一体化されている積層構造の基材と、
    前記表層に貼付されている塩化ビニル樹脂(PVC)製の装飾部と、を有する表皮材であって、
    前記クッション層の厚さが1.3mm以上15mm以下である本体部と、
    前記基材における層が並ぶ方向を積層方向として、前記本体部に対しての前記積層方向における相対的な凹みとしての凹部と、を備え、
    前記装飾部は、前記凹部に配置されており、
    前記積層方向において前記本体部における前記表層から前記凹部における前記表層までの距離を前記凹部の深度とすると、
    前記装飾部の厚さは、前記凹部の深度以下である
    表皮材。
  2. 前記表層は、繊度が1.0dtex以上の原着糸を材料とした織・編物である
    請求項1に記載の表皮材。
  3. 前記装飾部は、前記表層に貼付されている面を基準として前記表層から離れる方向に突出していることで当該面に対する高低差の変化を二段以上有する段状である
    請求項1または2に記載の表皮材。
  4. 前記装飾部と前記基材とが溶着されている溶着部を備え、
    前記溶着部において前記装飾部が前記表層に貼付されており、
    前記溶着部では、前記積層方向に前記クッション層が圧縮されており、前記基層と前記クッション層とが溶着されており、且つ、前記クッション層と前記表層とが溶着されている
    請求項3に記載の表皮材。
  5. 基層、厚さが1.3mm以上15mm以下のクッション層、表層の順に積層して基材を形成する積層工程と、
    前記基材に塩化ビニル樹脂(PVC)製の装飾部を溶着することで前記表層に前記装飾部を貼付する溶着工程と、を順に行う表皮材の製造方法であり、
    前記溶着工程によって、前記基材における層が並ぶ方向に前記クッション層を圧縮することによる凹みとして、前記装飾部の厚さ以上の深度を有する凹部を形成するとともに該凹部に前記装飾部を配置する
    表皮材の製造方法。
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