JP2023166909A - 蓄電素子及び蓄電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】黒鉛を負極活物質に用いた場合に、充放電サイクル後の反力を低減できる蓄電素子を提供する。【解決手段】本発明の一側面に係る蓄電素子は、セパレータを介して正極及び負極が積層された電極体と、電解液と、上記電極体及び上記電解液を収容するための密閉可能な容器とを備え、上記負極が黒鉛を含有する負極活物質を有し、上記セパレータの圧縮弾性率が2MPa以上12MPa以下であり、上記電極体が、上記正極及び負極の積層方向に荷重が付与された状態であり、上記容器の内部が負圧状態である。【選択図】なし

Description

本開示は、蓄電素子及び蓄電装置に関する。
リチウムイオン非水電解液二次電池に代表される非水電解液二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解液二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極を有する電極体、及び電極間に介在する非水電解液を備え、両電極間で電荷輸送イオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解液二次電池以外の蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
このような蓄電素子の高エネルギー密度化や、充放電効率の向上等を目的として上記蓄電素子の負極活物質としては、黒鉛を初めとした炭素材料が用いられている(特許文献1参照)。
特開2005-222933号公報
しかしながら、黒鉛は、炭素材料の中では充放電に伴う膨張収縮が大きい。そのため、電極体を拘束部材等により一定の厚さとなるように拘束した場合、充放電の繰り返しにより負極が膨張することに伴って拘束部材等に対する蓄電素子の反力が徐々に増加し、正極及びセパレータ等が圧迫されて蓄電素子の内部抵抗が増加するおそれがある。
本発明の目的は、黒鉛を負極活物質に用いた場合に、充放電サイクル後の蓄電素子の反力を低減できる蓄電素子を提供することである。
本発明の一側面に係る蓄電素子は、セパレータを介して正極及び負極が積層された電極体と、電解液と、上記電極体及び上記電解液を収容するための密閉可能な容器とを備え、上記負極が黒鉛を含有する負極活物質を有し、上記セパレータの圧縮弾性率が2MPa以上12MPa以下であり、上記電極体が、上記正極及び負極の積層方向に荷重が付与された状態であり、上記容器の内部が負圧状態である。
本発明の他の一側面に係る蓄電装置は、1又は複数の当該蓄電素子と、拘束部材とを備え、上記1又は複数の蓄電素子の上記電極体が、上記拘束部材の拘束により上記積層方向に荷重が付与された状態である。
本発明の一側面に係る蓄電素子は、黒鉛を負極活物質に用いた場合に、充放電サイクル後の蓄電素子の反力を低減できる。
図1は、蓄電素子の一実施形態を示す透視斜視図である。 図2は、蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置の一実施形態を示す概略斜視図である。 図3は、図2の蓄電装置の分解斜視図である。
初めに、本明細書によって開示される蓄電素子の概要について説明する。
本発明の一側面に係る蓄電素子は、セパレータを介して正極及び負極が積層された電極体と、電解液と、上記電極体及び上記電解液を収容するための密閉可能な容器とを備え、上記負極が黒鉛を含有する負極活物質を有し、上記セパレータの圧縮弾性率が2MPa以上12MPa以下であり、上記電極体が、上記正極及び負極の積層方向に荷重が付与された状態であり、上記容器の内部が負圧状態である。
当該蓄電素子は、上記構成を備えることで黒鉛を負極活物質に用いた場合に、充放電サイクル後の蓄電素子の反力を低減できる。この理由は定かでは無いが、例えば以下の理由が推測される。黒鉛を負極活物質に用いた場合、黒鉛は炭素材料の中では充放電に伴う膨張収縮が大きいことから、拘束部材等により電極体の正極及び負極の積層方向に荷重が付与された状態にすると、充放電の繰り返しにより負極が膨張することに伴って拘束部材等に対する蓄電素子の反力が徐々に増加する。圧縮されやすいセパレータを用いることにより、充放電サイクル中の負極の膨張に伴ってセパレータがクリープ変形することで、蓄電素子の反力の増加を抑制することができるが、十分とは言えない場合があることを本発明者らは知見した。当該蓄電素子は、上記容器の内部が負圧状態であることにより、すなわち容器を内側に向けて引く力が生じることにより、電極体の正極及び負極の積層方向に荷重が付与された状態であることで負極の膨張による蓄電素子の反力の増加が相殺されるので、電極体にかかる荷重が変わることがなく、したがって充放電サイクルに伴うセパレータのクリープ変形による反力の増加を抑制する効果を維持できるため、充放電サイクル後の蓄電素子の反力を低減できる。また、セパレータの圧縮弾性率を2MPa以上12MPa以下とすることで、充放電サイクルに伴ってセパレータのクリープ変形による厚さの減少が徐々に進行するため、充放電サイクル後の蓄電素子の反力の低減効果を高めることができる。従って、当該蓄電素子は黒鉛を負極活物質に用いた場合に、充放電サイクル後の蓄電素子の反力を低減できると考えられる。ここで、「容器の内部が負圧状態である」とは、容器の外部の圧力と比較して容器の内部の余剰空間の圧力が低いことをいう。「容器の内部の余剰空間」とは、容器の内部の空間から電極体、電解液、及び集電体等の構造体が占める部分を差し引いた空間を意味する。
上記容器の内部を負圧状態にする方法としては、特に限定されない。上記容器の内部を負圧状態にする方法としては、例えば真空ポンプ等を用いて容器の内部の圧力を減圧した状態で封止する方法や、容器の内部に気体を吸着する部材を収容する方法、容器の内部に電解液に可溶な気体を収容し、電解液に上記電解液に可溶な気体を溶解させる方法等を採用することができる。上記容器の内部を負圧状態にする方法は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。
「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、エックス線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。炭素材料の「放電状態」とは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウム等のイオンが十分に放出されるように放電された状態を意味する。例えば、負極活物質として炭素材料を含む負極を作用極として、金属Liを対極として用いた半電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態をいう。
当該蓄電素子は、上記容器の内部に電解液に可溶な気体が収容されていることが好ましい。当該蓄電素子は、密閉された容器の内部に電解液に可溶な気体が収容されていることで、上記気体が電解液に溶解する。その結果、容器の内部の圧力が効果的に下がるので、容器の内部をより確実に負圧状態にすることができる。なお、本発明における「電解液に可溶な気体」とは、1気圧下、25℃の電解液1cmに対する溶解度が1cm以上の気体をいう。
本発明の他の一側面に係る蓄電装置は、1又は複数の当該蓄電素子と、拘束部材とを備え、1又は複数の蓄電素子の電極体が、拘束部材の拘束により積層方向に荷重が付与された状態である。当該蓄電装置は、当該蓄電素子を備えることで、拘束部材の拘束により蓄電素子の電極体が積層方向に荷重が付与された状態となり、黒鉛を負極活物質に用いた場合に、充放電サイクル後の蓄電素子の反力を低減できる。
本発明の一実施形態に係る蓄電素子の構成、蓄電装置の構成、及び蓄電素子の製造方法、並びにその他の実施形態について詳述する。なお、各実施形態に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称は、背景技術に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
<蓄電素子の構成>
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、セパレータを介して正極及び負極が積層された電極体と、電解液と、上記電極体及び上記電解液を収容するための密閉可能な容器とを備える。上記電極体は、正極および負極の積層方向に荷重が付与された状態である。上記容器の内部は負圧状態である。この実施形態では、上記容器の内部に電解液に可溶な気体が収容されている。電解液は、正極、負極及びセパレータに含まれた状態で存在する。以下、図面を参照しながら、蓄電素子の一例として、非水電解液二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう。)について説明する。なお、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
図1に角型電池の一例としての蓄電素子1(非水電解質蓄電素子)の容器内部を透視した図を示す。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する電極体2が角型の容器3に収納される。また、容器3内には非水電解質が収容される。正極は正極リード41を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極は負極リード51を介して負極端子5と電気的に接続されている。図1では、蓄電素子1における電極体2の巻回の軸線方向をX方向、電極体2の正極及び負極の積層方向をY方向、上記軸線方向(X方向)に垂直かつ上記積層方向(Y方向)に垂直な方向をZ方向として示す。
容器3としては、蓄電素子の容器として通常用いられる公知の金属容器、樹脂容器等を用いることができる。上記金属としては、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼等が例示される。上記金属としては、これらの中でも負圧によって変形しやすい(ひいては容器の内部を負圧にして電極体をより効果的に上記正極および上記負極の積層方向に荷重が付与された状態とする)等の観点から、アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いることが好ましい。
電極体2は、正極と負極とセパレータとが積層方向(Y方向)に重ね合わされ、かつ上記積層方向に垂直な方向(X方向)に延びる軸線(図示せず)を中心として巻回された構造を有する。図1では、電極体2は、正極と負極とセパレータとが平面状に重ね合わされている平坦部を有する。この平坦部は、上記積層方向(Y方向)に垂直な平面に沿って配置される。すなわち、上記平坦部は、上記軸線方向(X方向)と、上記軸線方向(X方向)に垂直かつ上記積層方向(Y方向)に垂直な方向(Z方向)との双方に平行な平面に沿って配置される。
上記電極体2は、上記積層方向(正極、負極及びセパレータが重ね合わされた方向)に荷重が付与された状態となっている。これにより、電極間の隙間が低減し充放電性能を高めることができる。但し、電極体の一部(例えば、扁平状の巻回型の電極体における一対の曲面部等)は、荷重が付与されていなくてもよい。また、積層型の電極体、及び扁平状の巻回型の電極体の平坦部の一部のみが荷重が付与されていてもよい。
上記電極体2への荷重の付与は、例えば容器を外側から加圧する加圧部材等により行うことができる。加圧部材は、容器の形状を拘束する拘束部材であってよい。拘束部材は、後述するように、例えば容器を介して電極体を積層方向の両面から挟み込んで加圧するように設けられる。電極体において荷重が付与される面は、直接又は他の部材を介して、容器の内面と接している。このため、容器に荷重が付与されることにより、電極体に荷重が付与される。拘束部材としては、例えば拘束バンド、金属製のフレーム等が挙げられる。例えば金属製のフレームにおいては、ボルト等によって荷重が調整可能に構成されていてよい。また、複数の蓄電素子を、電極体の積層方向に並べて配置し、この積層方向の両端から複数の蓄電素子を荷重が付与された状態でフレーム等を用いて固定してもよい。
上記正極及び負極の積層方向に荷重が付与された状態における電極体にかかる圧力の下限としては、0.1MPaが好ましく、0.2MPaがより好ましい。電極体にかかる圧力が上記下限以上であることで、電極間の隙間が低減し充放電性能を高めることができる。上記電極体にかかる圧力の上限としては、例えば5MPaであってよく、2MPa、1MPa、0.5MPa又は0.3MPaであってもよい。電極体にかかる圧力が上記上限以下であることで、セパレータの目詰まり等を抑制し、充放電性能を高めること等ができる。ここで、上記電極体にかかる圧力は、以下の方法により測定された値とする。
(i)加圧部材等によって蓄電素子に荷重が付与されている場合
まず、加圧部材等によって荷重が付与された状態で、蓄電素子を0.2Cの放電電流で通常使用時の下限電圧まで定電流放電した後、エックス線コンピュータ断層撮影(CT)装置に設置する。なお、「通常使用時」とは、蓄電素子について推奨され、又は指定される充放電条件を採用して蓄電素子を使用する場合をいう。電極体の積層方向(図1におけるY方向)に平行な方向に沿ってスキャニングし、電極体の荷重が付与された面(通常、電極体の積層方向と直交する面、図1におけるXZ平面)の少なくとも一部が容器の内面に直接的又は間接的に接しているかどうかを確認する。電極体の荷重が付与された面が容器の内面に直接的又は間接的に接していない場合、電極体にかかる圧力は0MPaとする。電極体の荷重が付与された面が容器の内面に直接的又は間接的に接している場合は、以下の手順で、オートグラフを用いて電極体へ付与された荷重を測定する。加圧部材等によって荷重が付与された状態の蓄電素子を、電極体の荷重が付与された面にプローブが接する方向となるようにオートグラフに設置する。オートグラフにより、蓄電素子の積層方向(図1におけるY方向)に加圧部材等による荷重よりも十分に小さい荷重を蓄電素子に付与する。この状態でオートグラフのプローブ位置を維持したまま、すなわち蓄電素子の厚さを維持したまま、加圧部材等による荷重を解く。このとき、オートグラフで測定される荷重の変化量を、電極体へ付与された荷重とする。この電極体へ付与された荷重を容器と電極体との接触面の面積で除した値を、電極体に加わっている圧力とする。なお、通常、加圧部材等によって蓄電素子の対向する一対の面に対して荷重が付与されるが、この一対の面の一方の面のみの面積を荷重が付与されている面の面積とする。
(ii)加圧部材等によって蓄電素子に荷重が付与されていない場合
蓄電素子が拘束部材等によって拘束されていない、又は拘束されているが、拘束部材等によって荷重が付与されていない場合、電極体にかかる圧力は、以下の手順で測定する。まず、蓄電素子を0.2Cの放電電流で通常使用時の下限電圧まで定電流放電した後、エックス線CT装置に設置する。電極体の積層方向(図1におけるY方向)に平行な方向に沿ってスキャニングし、電極体の積層方向と直交する面(図1におけるXZ平面)の少なくとも一部が容器の内面に直接的又は間接的に接しているかどうかを確認する。電極体の積層方向と直交する面が容器の内面に直接的又は間接的に接していない場合、電極体にかかる圧力は0MPaとする。電極体の積層方向と直交する面が容器の内面に直接的又は間接的に接している場合は、上記電極体のエックス線透過画像を撮像し、電極体の積層方向における最大厚さを測定する。蓄電素子を解体して電極体を取り出し、電極体の積層方向と直交する面にプローブが接する方向となるようにオートグラフに設置する。オートグラフにより、電極体の積層方向と直交する面に徐々に荷重を加え、エックス線透過画像から測定した電極体の積層方向における最大厚さまで電極体を圧縮する。このとき、オートグラフで測定される荷重を、電極体へ付与された荷重とする。この電極体へ付与された荷重を、容器と電極体との接触面の面積で除した値を電極体にかかる圧力とする。なお、通常、容器等によって電極体の対向する一対の面に対して荷重が付与されるが、この一対の面の一方の面のみの面積を荷重が付与されている面の面積とする。
当該蓄電素子1においては、上記容器3の内部が負圧状態である。上記容器3の内部が負圧状態であることにより、すなわち容器3を内側に向けて引く力が生じることにより、電極体の正極及び負極の積層方向に荷重が付与された状態であることで負極の膨張による蓄電素子の反力の増加が相殺されるので、電極体にかかる荷重が変わることなく、したがって充放電サイクルに伴うセパレータのクリープ変形による反力の増加を抑制する効果を維持できるため、充放電サイクル後の蓄電素子の反力を低減できる。従って、当該蓄電素子1は黒鉛を負極活物質に用いた場合に、充放電サイクル後の蓄電素子の反力を低減できる。
上記容器3の内部の圧力(絶対圧)は、容器3の外部の圧力(典型的には大気圧=1気圧=0.1013MPa)よりも小さければよく、特に限定されない。上記容器3の内部の圧力としては、25℃において、0.09MPa以下が好ましく、0.085MPa以下がより好ましく、0.075MPa以下がさらに好ましい。上記容器3の内部の圧力の下限は特に限定されないが、例えば0.02MPaであり得る。上記容器3の内部の圧力は、容器の負圧耐性等の観点から、0.03MPa以上であってもよく、0.04MPa以上であってもよい。上記内部の圧力は、容器に内圧測定器を取り付けることにより測定することができる。内圧測定器を取り付けるときは、電極体の正極及び負極の積層方向に、容器を所定の寸法にて一定となるように拘束して行う。所定の寸法は、電極体の正極及び負極の積層方向における容器中央部の蓄電素子の厚さと容器底部の蓄電素子の厚さが等しい場合はその厚さとし、容器中央部の蓄電素子の厚さと容器底部の蓄電素子の厚さが異なる場合は容器底部の厚さとする。また、内圧測定に用いる蓄電素子は、0.2Cの放電電流で通常使用時の下限電圧まで定電流放電したものを用いる。
この実施形態では、上記容器3の内部に電解液に可溶な気体が収容されている。密閉された容器3の内部に電解液に可溶な気体が収容されていることで、上記気体が電解液に溶解し、容器3の内部の圧力を効果的に下げることができ、容器の内部をより確実に負圧状態にすることができる。
上記電解液が非水電解液の場合、上記非水電解液に可溶な気体としては、例えば二酸化炭素(1気圧下、25℃の非水電解液1cmに対する溶解度5cm)、亜酸化窒素等が挙げられる。上記気体としては、取り扱い及び入手が容易な二酸化炭素が好ましい。二酸化炭素は、上記非水電解液に溶解し易いため、充放電による負極の膨張収縮によって容器の内部に存在している気体(高濃度の二酸化炭素を含む気体)が電極間の隙間に流入して溜まったとしても、当該気体が非水電解液に速やかに溶解し得、その結果、電極間のガス溜まりが解消されやすくなる点でも好ましい。
上記非水電解液に可溶な気体として、二酸化炭素を用いる場合、容器の内部の余剰空間における二酸化炭素の含有量(濃度)は特に限定されないが、容器の内部を好適な負圧状態とする等の観点から、2体積%以上であることが好ましく、2.5体積%以上であることがより好ましく、3体積%以上であることがさらに好ましい。上記二酸化炭素の含有量の上限は特に限定されないが、概ね100体積%(例えば80体積%)であり得る。上記二酸化炭素の含有量は、例えば50体積%以下であってもよく、30体積%以下(例えば20体積%以下、典型的には15体積%以下)であってもよい。また、容器の内部の余剰空間には、二酸化炭素の他に窒素を含むことが好ましく、窒素の含有量(体積%)に対する二酸化炭素の含有量(体積%)の割合は、10%以上であることが好ましい。上記非水電解液に可溶な気体として、二酸化炭素を用いる場合、容器の内部の電解液中における二酸化炭素の含有量(濃度)は特に限定されないが、容器の内部を好適な負圧状態とする等の観点から、0.001体積%以上であることが好ましく、0.003体積%以上であることがより好ましい。上記容器の内部の余剰空間における気体の含有量(濃度)は、ガスクロマトグラフによって測定できる。
[電極体]
電極体2は、正極及び負極がセパレータを介して積層された状態で巻回された巻回型であってもよく、複数の正極及び複数の負極がセパレータを介して積層された積層型であってもよい。本実施形態では、電極体2は、扁平形状の巻回電極体である。
(正極)
正極は、正極基材と、当該正極基材に直接又は中間層を介して配される正極活物質層とを有する。
正極基材は、導電性を有する。「導電性」を有するか否かは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω・cmを閾値として判定する。正極基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ、及びコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。正極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、正極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)又はJIS-H-4160(2006年)に規定されるA1085、A3003、A1N30等が例示できる。
正極基材の平均厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下が特に好ましい。正極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、正極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
中間層は、正極基材と正極活物質層との間に配される層である。中間層は、炭素粒子等の導電剤を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば、バインダ及び導電剤を含む。
正極活物質層は、正極活物質を含む。正極活物質層は、必要に応じて、導電剤、バインダ(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
正極活物質としては、公知の正極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。正極活物質としては、例えば、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiCo(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγMn(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiNiγMnβCo(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)、Li[LiNiγCoβAl(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、LiMn、LiNiγMn(2-γ)等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、Li(PO、LiMnSiO、LiCoPOF等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。正極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
正極活物質は、通常、粒子(粉体)である。正極活物質の平均粒径は、例えば、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。正極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、正極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。正極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、正極活物質層の電子伝導性が向上する。なお、正極活物質と他の材料との複合体を用いる場合、該複合体の平均粒径を正極活物質の平均粒径とする。「平均粒径」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。
粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェットミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
正極活物質層における正極活物質の含有量は、50質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。正極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛、非黒鉛質炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。
正極活物質層における導電剤の含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。導電剤の含有量を上記の範囲とすることで、二次電池のエネルギー密度を高めることができる。
バインダとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
正極活物質層におけるバインダの含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。バインダの含有量を上記の範囲とすることで、活物質を安定して保持することができる。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。
フィラーは、特に限定されない。フィラーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。
正極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を正極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
(負極)
負極は、負極基材と、当該負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層とを有する。中間層の構成は特に限定されず、例えば上記正極で例示した構成から選択することができる。
負極基材は、導電性を有する。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属又はこれらの合金、炭素質材料等が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
負極活物質層は、負極活物質を含む。負極活物質層は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分は、上記正極で例示した材料から選択できる。
負極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
上記負極活物質は黒鉛を含有する。上記負極活物質が黒鉛を含有することで、高容量化を図ることができる。また、黒鉛は炭素材料の中では充電に伴う膨張率が高い負極活物質であるため、負極活物質として黒鉛が用いられている場合、充放電により負極が膨張することに伴って蓄電素子の反力の増加量は多くなる。従って、充放電サイクル後の蓄電素子の反力が低減されるという本発明の効果が顕著に表れる。
上記黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。当該蓄電素子の負極活物質としては、天然黒鉛が好ましい。負極活物質が天然黒鉛を含むことにより、蓄電素子の高電流密度での充放電サイクル後の抵抗の増大の抑制効果をより高めることができる。天然黒鉛とは、天然の資源から採れる黒鉛の総称である。天然黒鉛としては、具体的には、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛(鱗状黒鉛)、土状黒鉛等が例示される。天然黒鉛は、鱗片状黒鉛等を球状化した球状化天然黒鉛粒子であってもよい。天然黒鉛は、充放電前又は放電状態において測定されるCuKα線を用いたエックス線回折パターンにおいて、回折角2θが40°から50°の範囲に4つのピークが現れるものであってもよい。これらの4つのピークは、六方晶系の構造に由来する2つのピークと、菱面体晶系の構造に由来する2つのピークとであるとされている。人造黒鉛の場合、一般的に、六方晶系の構造に由来する2つのピークのみが現れるとされている。エックス線回折パターンにおいて、(100)面に由来するピーク強度に対する(012)面に由来するピーク強度の比(012)/(100)は0.3以上が好ましく、0.4以上がさらに好ましい。上記ピーク強度の比(012)/(100)は0.6以下が好ましい。ここで、(100)面は六方晶系の構造に由来し、(012)面は菱面体晶系の構造に由来する。
負極活物質としては、黒鉛以外のその他の負極活物質を含有してもよい。上記その他の負極活物質としては、例えば、金属Li;Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;LiTi12、LiTiO2、TiNb等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素;非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。負極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
「非黒鉛質炭素」とは、充放電前又は放電状態においてエックス線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。非黒鉛質炭素としては、難黒鉛化性炭素や、易黒鉛化性炭素が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、例えば、樹脂由来の材料、石油ピッチ又は石油ピッチ由来の材料、石油コークス又は石油コークス由来の材料、植物由来の材料、アルコール由来の材料等が挙げられる。
「難黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.36nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。
「易黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.34nm以上0.36nm未満の炭素材料をいう。
負極活物質は、通常、粒子(粉体)である。負極活物質の平均粒径は、例えば、1nm以上100μm以下とすることができる。負極活物質が黒鉛等の炭素材料、チタン含有酸化物又はポリリン酸化合物である場合、その平均粒径は、1μm以上100μm以下であってもよい。負極活物質が、Si、Sn、Si酸化物、又は、Sn酸化物等である場合、その平均粒径は、1nm以上1μm以下であってもよい。負極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、負極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。負極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、活物質層の電子伝導性が向上する。粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法及び分級方法は、例えば、上記正極で例示した方法から選択できる。
負極活物質層に含まれる全ての負極活物質に対する黒鉛の含有量の下限としては、50質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。負極活物質層に含まれる負極活物質が実質的に黒鉛のみからなっていてよい。このような場合、黒鉛の利点を十分に発揮することができる。一方、黒鉛の含有量が多い場合、負極活物質層の膨張率が高くなるため、充放電サイクル後の蓄電素子の反力が低減されるという効果がより顕著に表れる。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、90質量%以上98質量%以下がより好ましい。負極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。上記黒鉛も導電性を有するが、上記黒鉛は負極活物質層における導電剤に含まない。導電剤としては、上記正極で例示した黒鉛以外の材料から選択できる。
(セパレータ)
本実施形態の蓄電素子のセパレータの圧縮弾性率の下限は、2MPaであり、4MPaが好ましく、6MPaがより好ましい。上記セパレータの圧縮弾性率が上記下限以上であることで、積層方向に荷重が付与された状態におけるセパレータの圧縮が適度に抑制され、充放電サイクル後の蓄電素子の反力の低減効果を向上できる。一方、上記セパレータの圧縮弾性率の上限は、12MPaであり、10MPaが好ましい。上記セパレータの圧縮弾性率が上記上限以下であることで、セパレータのクリープ変形による蓄電素子の反力の低減効果を向上できる。上記セパレータの圧縮弾性率は、空孔率や材料、延伸方法、高分子材料の場合は分子量等を変えることによって、調整することができる。
上記セパレータの圧縮弾性率は、上記積層方向の圧縮弾性率であり、具体的には下記の方法により測定された値である。セパレータを積層して厚さ6mmの積層体を作製し、32℃±2℃の温度下における負荷をかけていない状態の積層体の厚さ(A)を測定する。次いで、セパレータの積層体に対して、32℃±2℃の温度下にて、ロードセル式クリープ試験機(株式会社マイズ試験機製社製)を用いて、直径50mmの円柱圧子を積層体の積層方向に押し当てて積層体を圧縮する。圧縮の応力が1MPaに達してから、その状態で1時間保持する。1MPaの応力を付与した状態を1時間保持した後の積層体の厚さ(B)について、その応力を付与した状態を保持したまま測定する。負荷をかけていない状態の積層体の厚さ(A)と、1MPaの応力を付与した状態を1時間保持した後の積層体の厚さ(B)とから、下記式1により圧縮弾性率を求める。
圧縮弾性率=1/{(A-B)/A} ・・・1
セパレータは、公知のセパレータの中から、適切な圧縮弾性率を有するものを適宜選択して使用することができる。セパレータとして、例えば、基材層のみからなるセパレータ、基材層の一方の面又は双方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を使用することができる。
セパレータの基材層の形態としては、例えば、織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの形態の中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましい。セパレータの基材層の材料としては、セパレータを適切な圧縮弾性率とする観点から例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの中でもポリオレフィンが好ましい。また、これらの樹脂を構成する単量体の共重合体を用いてもよく、これらの樹脂を2種類以上混合して用いてもよく、異なる樹脂によって構成された基材層を積層して用いてもよい。好ましい一態様では、セパレータの基材層はポリエチレン系樹脂によって構成されている。ポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独重合体やエチレンの共重合体が好ましく用いられる。エチレンの共重合体としては、エチレンから誘導される繰り返し単位を50質量%以上含有する樹脂であって、エチレンと共重合可能なオレフィンを重合した共重合体や、エチレンと共重合可能な少なくとも一種のモノマーを重合した共重合体を用いることができる。エチレンと共重合可能なオレフィンとして、プロピレン等が例示される。他のモノマーとして共役ジエン(例えばブタジエン)、アクリル酸等が例示される。また、セパレータの基材層としては、一軸延伸又は二軸延伸された多孔質樹脂フィルムを好適に用いることができる。中でも、長手方向(MD方向:Machine Direction)に一軸延伸された多孔性樹脂フィルムを好適に用いることができる。ここで「一軸延伸」とは、樹脂フィルムをガラス転移温度以上で引き延ばし分子を配向させるプロセスにおいて、一方向(例えば、長手方向)にのみ延伸することをいい、「二軸延伸」とは、直交する二方向(例えば、長手方向及び幅方向)に延伸することをいう。幅方向(TD方向:Transverse Direction)とは樹脂フィルムの搬送面に平行であり、長手方向と直交する方向をいう。
セパレータの基材層の製造工程における多孔化の手段としては特に限定されない。例えば、湿式状態(例えば原料となる樹脂と溶剤とを混合した状態)で延伸(例えば二軸延伸)を行う湿式延伸が採用された湿式の基材層や、乾燥後に延伸(例えば一軸延伸)を行う乾式延伸が採用された乾式の基材層を用いることができる。これらのなかでも、セパレータの圧縮弾性率をここに開示される好適な数値に調整することが容易である湿式の基材層が好ましい。
セパレータの基材層の空孔率は特に限定されないが、その下限としては、20体積%が好ましく、40体積%がより好ましい。一方、上記空孔率の上限としては、80体積%が好ましく、60体積%がより好ましい。セパレータの基材層の空孔率を上記範囲とすることで、セパレータの圧縮弾性率が適切なものとなり、黒鉛を負極活物質に用いた蓄電素子において、充放電サイクル後の蓄電素子の反力をより低減できる。ここで、「空孔率」とは、体積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。
耐熱層に含まれる耐熱粒子は、1気圧の空気雰囲気下で室温から500℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものが好ましく、室温から800℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものがさらに好ましい。質量減少が所定以下である材料として無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、チタン酸バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、蓄電素子の安全性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はアルミノケイ酸塩が好ましい。
セパレータの平均厚さ(耐熱層を含む場合は、基材層と耐熱層との合計平均厚さ)は特に限定されないが、その下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。一方、上記平均厚さの上限としては、30μmが好ましく、25μmがより好ましい。
セパレータの透気度は特に限定されないが、下限としては50秒/100cmが好ましく、70秒/100cmがより好ましい。上記透気度の上限としては、200秒/100cmでもよいが、180秒/100cmが好ましく、150秒/100cmがより好ましい。セパレータの透気度を上記範囲とすることで、セパレータの圧縮弾性率が適切なものとなり、黒鉛を負極活物質に用いた蓄電素子において、充放電サイクル後の蓄電素子の反力をより低減できる。ここで、「透気度」とは、JIS-P-8117(2009年)に準拠して測定した値であり、具体的には、ガーレー式透気度計を用いて、所定面積の円内において、空気100cmが通過する時間(秒)を透気度[秒/100cm]として測定する。
(電解液)
電解液としては、当該蓄電素子が非水電解液二次電池である場合、非水電解液が用いられる。非水電解液としては、公知の非水電解液の中から適宜選択できる。非水電解液は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩とを含む。
非水溶媒としては、公知の非水溶媒の中から適宜選択できる。非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換されたものを用いてもよい。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でもECが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でもEMCが好ましい。
非水溶媒として、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートを用いることで、電解質塩の解離を促進して非水電解液のイオン伝導度を向上させることができる。鎖状カーボネートを用いることで、非水電解液の粘度を低く抑えることができる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比率(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から50:50の範囲とすることが好ましい。
電解質塩としては、公知の電解質塩から適宜選択できる。電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等が挙げられる。これらの中でもリチウム塩が好ましい。
リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
非水電解液における電解質塩の含有量は、20℃1気圧下において、0.1mol/dm以上2.5mol/dm以下であると好ましく、0.3mol/dm以上2.0mol/dm以下であるとより好ましく、0.5mol/dm以上1.7mol/dm以下であるとさらに好ましく、0.7mol/dm以上1.5mol/dm以下であると特に好ましい。電解質塩の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解液のイオン伝導度を高めることができる。
非水電解液は、非水溶媒と電解質塩以外に、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)等のハロゲン化炭酸エステル;リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸塩;リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等のイミド塩;ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、1,3-プロペンスルトン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,4-ブテンスルトン、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
非水電解液に含まれる添加剤の含有量は、非水電解液全体の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であると好ましく、0.1質量%以上7質量%以下であるとより好ましく、0.2質量%以上5質量%以下であるとさらに好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であると特に好ましい。添加剤の含有量を上記の範囲とすることで、高温保存後の容量維持性能又はサイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
<蓄電素子の製造方法>
本実施形態の蓄電素子の製造方法は、例えば負極及び正極が積層された電極体を容器に収容すること(以下、電極体収容工程ともいう。)、電解液を上記容器に収容すること(以下、電解液収容工程ともいう。)、上記容器の内部を負圧状態にすること(以下、負圧形成工程ともいう。)、上記容器を密閉すること(以下、密閉工程ともいう。)、及び上記正極及び負極の積層方向に荷重を付与すること(以下、荷重付与工程ともいう。)を備える。本実施形態では、上記電解液収容工程後かつ上記密閉工程前に、上記電解液に可溶な気体を上記容器に収容すること(以下、気体収容工程ともいう。)を備えていてもよい。さらに、当該蓄電素子の製造方法は、その他の工程として、例えば、正極を形成すること(以下、正極形成工程ともいう。)、負極を形成すること(以下、負極形成工程ともいう。)電極体を形成すること(以下、電極体形成工程ともいう。)等を備えることができる。
(正極形成工程)
正極形成工程では、正極基材及び正極活物質層を有する正極を形成する。上記正極形成工程では、正極活物質を含有する正極合剤を正極基材へ塗工することにより正極合剤を正極基材の少なくとも一方の面に沿って配置することができる。具体的には、例えば正極基材に正極合剤を塗工して乾燥することにより正極活物質層を配置する。
上記正極合剤は、上述の任意成分以外に、さらに分散媒を含んだ状態である正極合剤ペーストであってもよい。この分散媒としては、例えば、水、水を主体とする混合溶媒等の水系溶媒;N-メチルピロリドン(NMP)、トルエン等の有機系溶媒を用いることができる。正極活物質層は、正極基材に直接又は中間層を介して配置されてもよい。
(負極形成工程)
負極形成工程では、負極基材及び負極活物質層を有する負極を形成する。上記負極形成工程では、負極活物質を含有する負極合剤を負極基材に塗工することにより負極合剤を負極基材の少なくとも一方の面に沿って配置することができる。具体的には、例えば負極基材に負極合剤を塗工して乾燥することにより負極活物質層を配置する。また、上記負極合剤は、上述の任意成分以外に、さらに分散媒を含んだ状態である負極合剤ペーストであってもよい。分散媒は、上記正極形成工程で例示したものから任意に選択できる。負極活物質層は、負極基材に直接又は中間層を介して配置されてもよい。
(電極体形成工程)
電極体形成工程では、上記正極及び上記負極を用いて電極体を形成する。当該蓄電素子の電極体形成工程では、上述のセパレータを介して上記正極及び負極を積層又は巻回することにより、交互に重畳された電極体を形成する。
(電極体収容工程)
電極体収容工程では、負極及び正極が積層された電極体を容器に収容する。
(電解液収容工程)
電解液収容工程では、上記電解液を上記容器に収容する。電解液の収容は、公知の方法により行うことができる。当該蓄電素子が非水電解液二次電池の場合は、例えば容器に設けられた注入口から非水電解液を注入することで上記非水電解液を上記容器に収容する。
(気体収容工程)
気体収容工程では、上記電解液収容工程の後、上記電解液に可溶な気体を容器に収容する。具体的には、上記電解液を上記容器に収容した後、上記容器に上記電解液に可溶な気体を上記注入口から注入することで上記電解液に可溶な気体を容器に収容する。上記電解液に可溶な気体の注入は、大気圧で実施してもよく、真空ポンプ等を用いて容器の内部の圧力を減圧した状態で実施してもよい。ここで、「減圧」とは、容器の内部の余剰空間の圧力が大気圧未満であることをいう。なお、上記注入口は、上記電解液を注入するための注入口と別に設けられていてもよい。このように、電解液が収容された状態の容器に上記電解液に可溶な気体を注入することにより、密閉工程の後に上記気体が上記電解液に溶解することによって容器の内部の圧力が効果的に下がり、容器の内部が好適な負圧状態になり得る。一方、上記電解液に可溶な気体を上記容器に収容した後、当該容器に上記電解液を収容する態様では、上記電解液の収容時に上記電解液に可溶な気体の多くが電解液に溶解し、密閉工程の前に上記電解液に上記電解液に可溶な気体が溶けすぎる(例えば飽和溶解する)ため好ましくない。すなわち、密閉工程の前に上記電解液に上記電解液に可溶な気体が溶けすぎると、密閉工程の後に上記電解液に可溶な気体が上記電解液にさらに溶解することが困難になり、上記容器の内部が効果的に負圧状態にならない場合があり得る。好ましくは、上記電解液を上記容器に収容した後、予備充電を行い、真空ポンプ等を用いて上記容器の内部の圧力を減圧した後に、上記容器の内部の圧力が大気圧付近となるように上記電解液に可溶な気体を注入するとよい。この上記電解液に可溶な気体注入直後の上記容器の内部の圧力は、密閉工程の後に上記容器の内部を好適な負圧状態にする観点から一つの重要なファクターである。上記電解液に可溶な気体注入直後の上記容器の内部の圧力は、好ましくは0.10MPa以上0.20MPa以下、より好ましくは0.10MPa以上0.15MPa以下、さらに好ましくは0.10MPa以上0.12MPa以下、特に好ましくは0.10MPa以上0.11MPa以下である。このように上記電解液に可溶な気体注入直後の上記容器の内部の圧力が大気圧付近となるように上記電解液に可溶な気体を注入することにより、密閉工程の前に上記電解液に上記電解液に可溶な気体が溶けすぎる(典型的には飽和溶解する)不都合を解消又は緩和することができるので、密閉工程の後に上記容器の内部を効果的に負圧状態にすることができる。
容器の内部に収容される上記電解液に可溶な気体の収容量としては、上記容器の内部をより効果的に負圧状態にする観点から、容器の内部の余剰空間の体積に対して40体積%以上であることが好ましく、70体積%以上であることがより好ましく、例えば95体積%以上であってもよい。上記電解液に可溶な気体の収容量としては、容器の内部の余剰空間の体積に対して100体積%であってもよい。ここで、「容器内の余剰空間の体積」とは、容器の内容積から電極体、電解液、及び集電体等の構造体の体積を差し引いた体積を意味する。また、電極体の体積とは、電極体の構成要素(電極、セパレータ等)の見かけの体積を意味し、電極間やセパレータ内に存在する空隙は含まれない。
(負圧形成工程)
負圧形成工程では、容器の内部を負圧状態にする。負圧形成工程では、上述した容器の内部に電解液に可溶な気体を収容し、密閉工程の後に電解液に上記電解液に可溶な気体を溶解させることの他、例えば真空ポンプ等を用いて容器の内部の圧力を減圧することや、容器の内部に気体を吸着する部材を収容すること等を行ってもよい。負圧形成工程では、これらを単独であるいは組み合わせて行うことができる。
(密閉工程)
密閉工程では、上記容器を密閉する。上記気体収容工程を備える場合、上記電解液に可溶な気体が上記容器に収容された状態で上記容器を密閉する。具体的には、上記容器に上記気体を収容した後に注入口を封止することにより蓄電素子を得ることができる。注入口の封止は、例えば、上記注入口を封止部材で塞ぎ、上記封止部材をレーザ溶接等により固定することにより行われる。
上記気体収容工程を備える場合、密閉工程は、上記電解液に可溶な気体を封入後に、速やかに行う必要がある。上記電解液に可溶な気体を封入後に長時間放置した場合、密閉工程の前に電解液に上記電解液に可溶な気体が溶けすぎるため、密閉工程の後に上記電解液に可溶な気体が上記電解液にさらに溶解することが困難になり、上記容器の内部が十分に負圧状態にならないおそれがある。上記電解液に可溶な気体の収容後から注入口の封止までの経過時間としては、密閉工程の前に上記電解液に可溶な電解液に溶解したり、拡散によって上記注入口を介して上記容器の外部へ排出されたりする上記気体の量を小さくする観点から1時間以下が好ましい。当該経過時間は、好ましくは30分以下(例えば1分以上30分以下)、より好ましくは20分以下、さらに好ましくは15分以下、特に好ましくは10分以下(例えば5分以下)である。上記電解液に可溶な気体の収容後から注入口の封止までの経過時間を短くすることにより、密閉工程の前に上記電解液に上記電解液に可溶な気体が溶けすぎる不都合を解消又は緩和できるので、密閉工程の後に上記容器の内部を効果的に負圧状態にすることができる。
上記容器に上記電解液に可溶な気体を収容した後、注入口を封止する工程までの間に、上記注入口を仮封止する工程を有してもよい。上記注入口を仮封止する工程は、例えば、ゴム製の栓部材等を用いて一時的に上記注入口を塞ぐ工程である。上記注入口を仮封止する工程を有することで、上記容器に収容された上記電解液に可溶な気体が拡散によって上記注入口を介して上記容器の外部に放出されることを抑制できる。この場合、上記注入口を封止する工程においては、栓部材等を取り外した後に上記注入口を封止部材で塞ぎ、上記封止部材をレーザ溶接等により固定すればよい。また、上記注入口を封止する工程においては、上記注入口を塞ぐ栓部材等ごと覆う封止部材を配置し、上記封止部材をレーザ溶接等により固定してもよい。
(荷重付与工程)
荷重付与工程では、電極体に正極及び負極の積層方向に荷重を付与する。上記正極及び負極の積層方向に荷重を付与することには、上記電解液に可溶な気体が上記容器に収容された状態で上記容器を密閉することの後、電解液に可溶な気体が電解液に溶解することによって、容器の内部を負圧状態にすることの他、例えば電極体及び非水電解質を容器に収容した後に、後述するように拘束部材等を用いて容器を上記正極及び負極の積層方向に押圧することが挙げられる。
上記蓄電素子の製造方法における電極体、電解液、電解液に可溶な気体及び容器等についての詳細は上述したとおりである。
<蓄電装置の構成>
本実施形態の蓄電素子は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の蓄電素子1を集合して構成した蓄電装置として搭載することができる。この場合、蓄電装置に含まれる少なくとも一つの蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されていればよい。
本発明の一実施形態に係る蓄電装置は、1又は複数の当該蓄電素子と、拘束部材とを備え、上記1又は複数の蓄電素子の上記電極体が、上記拘束部材の拘束により上記積層方向に荷重が付与された状態である。当該蓄電装置は、当該蓄電素子を備えることで、拘束部材の拘束により蓄電素子の電極体が積層方向に荷重が付与された状態となり、黒鉛を負極活物質に用いた場合に、充放電サイクル後の蓄電素子の反力を低減できる。
図2及び図3に、電気的に接続された二以上の蓄電素子1が集合した蓄電装置10の一例を示す。図2及び図3では、各蓄電素子1における電極体2の巻回の軸線方向をX方向、各蓄電素子1の積層方向(すなわち、複数の蓄電素子1の配列方向、かつ電極体2の積層方向)をY方向、上記軸線方向に垂直かつ上記積層方向に垂直な方向をZ方向として示す。なお、Z方向は、各蓄電素子1における電極体2の平坦部(すなわち、平坦部の表面)に平行である。
図2及び図3に示すように、蓄電装置10は、各蓄電素子1の正極及び負極の積層方向(Y方向)に並んで配置される複数の蓄電素子1と、これら複数の蓄電素子1を上記積層方向(複数の蓄電素子1の配列方向、Y方向)の両外側から挟んで支持する一対の支持部101と、これら支持部101を連結する4つの連結部102とを備える。蓄電装置10における複数の蓄電素子1の配列方向は、各蓄電素子1の電極体2における正極、負極及びセパレータの積層方向(Y方向)と一致する。図2及び図3に示す態様では、一対の支持部101及び連結部102が拘束部材100を構成する。
複数の蓄電素子1は、互いの側面が対向するように積層方向(Y方向)に並んで配置され、一対の支持部101によって、上記積層方向(Y方向)の両外側から挟まれる。
一対の支持部101は、例えば板状である。図2及び図3に示す態様では、一対の支持部101は、4つの連結部102によって連結される。一対の支持部101は、それぞれ、外表面から内部へと形成された複数の螺合用孔103を有する。螺合孔103は、深部に図示しないナット部を有する。
各連結部102は、例えば板状である。図2及び図3に示す態様では、各連結部102は、上記積層方向(Y方向)に延びるように配置され、かつその両端部が一対の支持部101の外面と接触するようにそれぞれ折り曲げられた形状に形成される。各連結部102の両端部は、それぞれ、対応する(接触する)支持部101における複数の螺合用孔103のうちの1つに重ね合わされるように形成された貫通孔104を有する。
各連結部102の両端部の各貫通孔104が、それに対応する一対の支持部101の各螺合用孔103に上記正極及び負極の積層方向(Y方向)外側から重ね合わされる。そして、各貫通孔104及び各螺合用孔103にそれぞれ図示しないボルトが挿入されて、各ボルトが各螺合用孔103に螺合される。この螺合により、一対の支持部101が複数の連結部102によって連結される。この連結において、例えば連結部102の長さ(一対の支持部101の間隔)を調整すること、上記ボルトの締め付けの程度を調整すること等によって、一対の支持部101の間隔が調整される。この間隔の調整により、複数の蓄電素子1が一対の支持部101によって両外側から荷重が付与された状態で支持される、すなわち、複数の蓄電素子1が上記積層方向(Y方向)に荷重が付与された状態で支持される。
このように、一対の支持部101及び複数の連結部102で構成される拘束部材100によって複数の蓄電素子1が拘束されることにより、複数の蓄電素子1は、上記積層方向(Y方向)に荷重が付与された状態で蓄電装置10に備えられる。このように複数の蓄電素子1において荷重が付与された状態となることで、各蓄電素子1の電極体2においても荷重が付与された状態となる。なお、上記拘束部材によって電極体2に荷重を付与する態様としては、拘束部材により蓄電素子1が電極体の積層方向において一定の厚さになるように拘束されること(定寸拘束)、拘束部材により電極体の積層方向において蓄電素子1に付与されている荷重が一定の値となるように拘束されること(定圧拘束)等が挙げられる。
上記積層方向(Y方向)両端に配置される各蓄電素子1の一対の支持部101との接触面(外側面)における、一対の支持部101によって荷重が付与される領域(荷重付与領域)は、特に限定されず、例えば内部抵抗の増加及び電圧低下の抑制の効果と、所望の電池特性とを考慮して適宜設定され得る。
<その他の実施形態>
尚、本発明の非水電解質蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
例えば、上述した実施形態では、上記容器の内部を負圧状態にする方法として、容器の内部に電解液に可溶な気体を収容する方法を採用する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、上記容器の内部を負圧状態にする方法として、真空ポンプ等を用いて容器の内部の圧力を減圧した状態で封止する方法を採用してもよい。この場合、上記気体収容工程を備えずに、上記負圧形成工程として、真空ポンプ等を用いて上記容器の内部の圧力を減圧する減圧工程を備えてもよい。上記減圧工程は、上記電解液収容工程後かつ上記密閉工程前に実施することができる。
上記実施形態では、拘束部材として一対の支持部と、連結部とを用い、これら一対の支持部及び連結部によって複数の蓄電素子(及び電極体)を荷重が付与された状態にする場合について説明したが、電極体の正極及び負極の積層方向に荷重が付与された状態となるように、複数の蓄電素子を略直方体状の筐体に挿入することで、各蓄電素子に荷重を付与してもよい。すなわち、拘束部材として上記筐体を用いてもよい。このように、上記拘束部材の形態としては、複数の蓄電素子を電極体の正極及び負極の積層方向に荷重が付与された状態にすることが達成できれば特に限定されない。
上記実施形態では、蓄電装置が複数の蓄電素子を備え、これら複数の蓄電素子の電極体がその積層方向に荷重が付与された状態である場合について説明したが、蓄電素子が1の蓄電素子を備え、この蓄電素子の電極体がその積層方向に荷重が付与された状態であってもよい。
上記実施形態では、非水電解質蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、非水電解質蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明は、種々の二次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタにも適用できる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
(1)正極形成工程
正極活物質としてのリチウム遷移金属複合酸化物LiNi1/3Co1/3Mn1/3と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、導電剤としてのアセチレンブラックとを含有し、NMPを分散媒とする正極合剤ペーストを調製した。正極活物質、バインダ、導電剤の比率は、固形分換算の質量比で、93.0:2.5:4.5とした。正極合剤ペーストを正極基材としての平均厚さ12μmのアルミニウム箔の両面に塗工し、乾燥して、正極活物質層を形成し、実施例1の正極を得た。乾燥後の片面の単位面積当たりの正極合剤(正極合剤ペーストから分散媒を蒸発させたもの)の塗工量は、7.0mg/cmとなるようにした。
(2)負極形成工程
負極活物質としての天然黒鉛と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)を含有し、水を分散媒とする負極合剤ペーストを調製した。負極活物質、バインダ、増粘剤の比率は、固形分換算の質量比で、98.2:1.0:0.8とした。負極合剤ペーストを負極基材としての平均厚さ8μmの銅箔の両面に塗工し、乾燥して、負極活物質層を形成し、実施例1の負極を得た。乾燥後の片面の単位面積当たりの負極合剤(負極合剤ペーストから分散媒を蒸発させたもの)の塗工量は、4.7mg/cmとなるようにした。
(3)電極体形成工程
上記負極及び正極とセパレータとを積層した状態で中空構造の巻芯を中心として巻回することで、実施例1の巻回型電極体を作製した。セパレータとしては、平均厚さ15μm、圧縮弾性率が9MPaのポリエチレン及びポリプロピレンを含む湿式多孔質樹脂フィルムを用いた。
(4)電極体収容工程
上記電極体をアルミニウム製の偏平の有底角筒形状の容器本体に収容した。
(5)電解液収容工程
エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)を体積比率30:35:35で混合した非水溶媒にLiPFを1.2mol/dmの濃度で溶解した非水電解液を調製した。調整された電解液を上記実施例1の電極体を収容した容器に37cm収容した。上記容器の内部の余剰空間の体積は10cmであった。
(6)気体収容工程
上記電解液の収容後、予備充電を行った。その後、真空ポンプを用いて注液口から容器の内部の圧力を6kPaまで減圧した後に、電解液に可溶な気体としての二酸化炭素ガス10cmを注液口から上記容器の内部に収容した。
(7)密閉工程及び荷重付与工程
二酸化炭素ガスを上記容器に収容した後に注入口の封止を行うことにより容器を密閉した。後述する初期充放電実施後の実施例1の容器の内部の絶対圧は、0.02MPaであり、負圧状態であった。次に、電極体にかかる圧力が0.4MPaとなるように拘束部材で拘束して、実施例1の蓄電素子を得た。
[比較例1]
セパレータとして、平均厚さ20μm、圧縮弾性率が22MPaのポリエチレン及びポリプロピレンを含む乾式多孔質樹脂フィルムを用い、二酸化炭素ガスの代わりに空気10cmを容器の内部に収容したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の蓄電素子を得た。後述する初期充放電実施後の容器の内部の絶対圧は、0.1MPaであり、正圧状態であった。
[比較例2]
二酸化炭素ガスの代わりに空気10cmを容器の内部に収容したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の蓄電素子を得た。後述する初期充放電実施後の容器の内部の絶対圧は、0.1MPaであり、正圧状態であった。
[比較例3]
セパレータとして、平均厚さ20μm、圧縮弾性率が22MPaのポリエチレン及びポリプロピレンを含む乾式多孔質樹脂フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例3の蓄電素子を得た。後述する初期充放電実施後の容器の内部の絶対圧は、0.02MPaであり、負圧状態であった。
[比較例4]
負極活物質として難黒鉛化性炭素を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例4の蓄電素子を得た。
[評価]
(セパレータの圧縮弾性率)
セパレータの圧縮弾性率[MPa]は、次のようにして測定した。セパレータを積層して厚さ6mmの積層体を作製し、32℃の温度下における負荷をかけていない状態の積層体の厚さ(A)を測定した。次いで、セパレータの積層体に対して、32℃の温度下にて、ロードセル式クリープ試験機(株式会社マイズ試験機製社製)を用いて、直径50mmの円柱圧子を積層体の積層方向に押し当てて積層体を圧縮した。圧縮の応力が1MPaに達してから、その状態で1時間保持した。その後、1MPaの応力を付与した状態を1時間保持した後の積層体の厚さ(B)について、その応力を付与した状態を保持したまま測定した。そして、負荷をかけていない状態の積層体の厚さ(A)と、1MPaの応力を付与した状態を1時間保持した後の積層体の厚さ(B)とから、上記式1により圧縮弾性率を求めた。
(蓄電素子の初期の反力)
実施例1及び比較例1から比較例4の蓄電素子の初期の反力[N]は、次のようにして測定した。ロードセル付きの治具を、拘束部材で拘束していない蓄電素子の容器の長側面全体に接触した状態で保持した。電極体が収容された状態での蓄電素子の容器の厚さ(電極体の正極及び負極の積層方向の厚さ)が、電極体が収容される前の蓄電素子の容器の厚さ(電極体の正極及び負極の積層方向の厚さ)と同じになるように保持し、このときの応力を測定した。
(蓄電素子の充放電サイクル試験後の反力)
(1)初期充放電
実施例1及び比較例1から比較例4の蓄電素子について、以下の条件にて初期充放電を行った。25℃において、充電電流1C、充電終止電圧4.1Vとして定電流定電圧充電した。充電の終了条件は、4.1Vで3時間定電圧充電した後とした。その後、10分間の休止期間を設けた。その後、放電電流1C、放電終止電圧3.0Vとして定電流放電を行い、その後、10分間の休止期間を設けた。この充放電を2サイクル行った。
(2)充放電サイクル試験
次いで、以下の充放電サイクル試験を行った。45℃において、充電電流10Cにて、初期放電容量の85%の電気量を定電流充電し、蓄電素子をSOC85%に調整した。その後、休止期間を設けずに、放電電流10Cにて初期放電容量の70%の電気量を定電流放電し、SOC15%に調整した。続いて、休止期間を設けずに、充電電流10Cで、初期放電容量の70%の電気量を定電流充電し、非水電解質蓄電素子をSOC85%に調整した。その後、休止期間を設けずに、放電電流10Cで、初期放電容量の70%の電気量を定電流放電し、非水電解質蓄電素子をSOC15%に調整した。この充放電のサイクルを45℃における最初の充電開始から1000時間になるまで繰り返した。
(3)充放電サイクル試験後の反力
上記充放電サイクル試験後の実施例1及び比較例1から比較例4の蓄電素子の充放電サイクル後の反力[N]は、上記蓄電素子の初期の反力[N]と同様の方法により測定した。
セパレータの圧縮弾性率、並びに蓄電素子の初期の反力及び充放電サイクル試験後の反力を表1に示す。
Figure 2023166909000001
表1に示すように、セパレータの圧縮弾性率が2MPa以上12MPa以下であり、上記容器の内部が負圧状態である実施例1は、充放電サイクル後の蓄電素子の反力が低減された。一方、セパレータの圧縮弾性率が12MPaを超える比較例1及び比較例3は、容器の内部の圧力が正圧か負圧であるかに係わらず、充放電サイクル後の蓄電素子の反力が低減されなかった。また、容器の内部が負圧状態でない比較例2は、セパレータの圧縮弾性率が2MPa以上12MPa以下であっても充放電サイクル後の蓄電素子の反力が低減されなかった。
なお、負極活物質として難黒鉛化性炭素を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、セパレータの圧縮弾性率が12MPaを超えるとともに、容器の内部が負圧状態でない比較例4は、比較例1に比べると充放電サイクル後の蓄電素子の反力が大きく低減された。従って、負極活物質として難黒鉛化性炭素を用いた場合は、上述した充放電サイクル後の蓄電素子の反力の増加についての課題が生じにくく、本発明は、黒鉛を負極活物質に用いた場合に効果を発揮できることがわかる。
以上の結果、当該蓄電素子は、黒鉛を負極活物質に用いた場合に、充放電サイクル後の蓄電素子の反力を低減できることが示された。
1 蓄電素子
2 電極体
3 容器
4 正極端子
5 負極端子
10 蓄電装置
41 正極リード
51 負極リード
100 拘束部材
101 支持部
102 連結部
103 螺合用孔
104 貫通孔

Claims (3)

  1. セパレータを介して正極及び負極が積層された電極体と、
    電解液と、
    上記電極体及び上記電解液を収容するための密閉可能な容器と
    を備え、
    上記負極が黒鉛を含有する負極活物質を有し、
    上記セパレータの圧縮弾性率が2MPa以上12MPa以下であり、
    上記電極体が、上記正極及び負極の積層方向に荷重が付与された状態であり、
    上記容器の内部が負圧状態である蓄電素子。
  2. 上記容器の内部に上記電解液に可溶な気体が収容されている請求項1に記載の蓄電素子。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の1又は複数の蓄電素子と、
    拘束部材と
    を備え、
    上記1又は複数の蓄電素子の上記電極体が、上記拘束部材の拘束により上記積層方向に荷重が付与された状態である蓄電装置。

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