JP2023157752A - 樹脂組成物、および、成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 所望の遮光性を達成しつつ、耐衝撃性、特に、滞留させたときの耐衝撃性の保持率に優れた成形品を提供可能な樹脂組成物、および、成形品の提供。【解決手段】 ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、酸化チタンを主成分とする粒子(B)5.0~20.0質量部と、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)0.11~5.0質量部を含む樹脂組成物であって、樹脂組成物を用い、シリンダー設定温度280℃、かつ、サイクルタイム1分で成形した成形品を操作型電子顕微鏡で観察し、点在する酸化チタンを主成分とする粒子(B)の領域の面積から、数式(1)を用いて算出した円相当径が、0.149μm以下である、樹脂組成物。TIFF2023157752000008.tif19136【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂組成物および成形品に関する。
従来から、樹脂成形品の遮蔽性や着色を目的として、ポリカーボネート樹脂に酸化チタンを配合することが行われている(特許文献1、特許文献2)。
国際公開第2019/172243号 特開2019-123809号公報
上述の通り、ポリカーボネート樹脂を含む樹脂組成物から成形された成形品の遮光性を高めるために、前記樹脂組成物に、多量の酸化チタン粒子を配合することがある。しかしながら、酸化チタンの配合量が多い樹脂組成物とすると、かかる樹脂組成物から得られる成形品の衝撃強さが劣る傾向にある。特に、樹脂組成物を成形する際にシリンダー内で滞留させたときに、成形品の耐衝撃強さが劣る傾向にある。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、所望の遮光性を達成しつつ、耐衝撃性、特に、滞留させたときの耐衝撃性の保持率に優れた成形品を提供可能な樹脂組成物、および、成形品を提供することを目的とする。
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、ポリカーボネート樹脂と酸化チタン粒子に、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウムを配合することにより、上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、酸化チタンを主成分とする粒子(B)5.0~20.0質量部と、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)0.11~5.0質量部を含む樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物を用い、シリンダー設定温度280℃、かつ、サイクルタイム1分で成形した成形品を操作型電子顕微鏡で観察し、点在する酸化チタンを主成分とする粒子(B)の領域の面積から、数式(1)を用いて算出した円相当径が、0.149μm以下である、樹脂組成物。
Figure 2023157752000001
<2>前記樹脂組成物中のポリオレフィンワックスの含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部未満である、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記樹脂組成物を用い、シリンダー温度280℃、かつ、サイクルタイム1分で3mm厚の試験片を成形し、ISO179-1に基づき測定されたノッチ付きシャルピー衝撃強さが40kJ/m2以上である、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記樹脂組成物を用い、シリンダー設定温度310℃、かつ、シリンダー内での滞留時間7分で3mm厚の試験片を成形し、ISO179-1に基づき測定されたノッチ付きシャルピー衝撃強さが、30kJ/m2以上である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5>前記樹脂組成物を用い、シリンダー設定温度310℃、かつ、シリンダー内での滞留時間7分で3mm厚の試験片を成形し、ISO179-1に基づき測定されたノッチ付きシャルピー衝撃強さが、前記樹脂組成物を用い、シリンダー設定温度280℃、かつ、サイクルタイム1分で成形した際の前記同様の方法で測定したノッチ付きシャルピー衝撃強さと比較して衝撃強さ保持率が70%以上である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6>前記酸化チタンを主成分とする粒子(B)がTiO2:90.0~98.0質量%、Al23:0.5~3.5質量%、および、SiO2:0~6.0質量%を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<7><1>~<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された成形品。
本発明により、所望の遮光性を達成しつつ、耐衝撃性、特に、滞留させたときの耐衝撃性の保持率に優れた成形品を提供可能な樹脂組成物、および、成形品を提供可能になった。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本明細書で示す規格で説明される測定方法等が年度によって異なる場合、特に述べない限り、2022年1月1日時点における規格に基づくものとする。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、酸化チタンを主成分とする粒子(B)(以下、「酸化チタン粒子」ということがある)5~20質量部と、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)0.11~5.0質量部を含む樹脂組成物であって、前記樹脂組成物を用い、シリンダー設定温度280℃、かつ、サイクルタイム1分で成形した成形品を操作型電子顕微鏡で観察し、点在する酸化チタンを主成分とする粒子(B)の領域の面積から、数式(1)を用いて算出した円相当径が、0.149μm以下であることを特徴とする。上記のように円相当径を小さくすることにより、酸化チタン粒子(B)の凝集が抑えられる。結果として、所望の遮光性を達成しつつ、耐衝撃性、特に、滞留させたときの耐衝撃性の保持率に優れた成形品が得られる樹脂組成物を提供可能になる。
Figure 2023157752000002
<ポリカーボネート樹脂(A)>
本実施形態の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)を含む。
具体的には、ポリカーボネート樹脂(A)は、分子主鎖中に炭酸エステル結合を含む-[O-R-OC(=O)]-単位(Rが、有機基、好ましくは炭化水素基、より好ましくは、脂肪族基、芳香族基、または、脂肪族基と芳香族基の双方を含むもの、さらに直鎖構造あるいは分岐構造を持つもの)を含むものであれば、特に限定されない。本実施形態においては、ポリカーボネート樹脂(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましく、ビスフェノール骨格を有するポリカーボネート樹脂がより好ましい。このようなポリカーボネート樹脂を用いることにより、より優れた耐熱性と靱性が達成される。本実施形態においては、ビスフェノール骨格を有するポリカーボネート樹脂は、全構成単位の90モル%以上がビスフェノール骨格を有する構成単位であることが好ましく、全構成単位の90モル%以上がビスフェノールA由来の構成単位であることがより好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量(Mv)は、10,000以上であることが好ましく、より好ましくは12,000以上であり、さらに好ましくは15,000以上である。前記下限値以上とすることにより、得られる成形品の耐久性がより向上する傾向にある。前記ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量(Mv)の上限値は、50,000以下であることが好ましく、より好ましくは40,000以下であり、さらに好ましくは30,000以下である。前記上限値以下とすることにより、成形品の成形加工性がより向上する傾向にある。
粘度平均分子量(Mv)は、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度25℃での極限粘度[η](単位dL/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10-4×Mv0.83、から算出される値を意味する。
2種以上のポリカーボネート樹脂を用いる場合は、混合物の粘度平均分子量とする。
ポリカーボネート樹脂(A)の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。また、溶融法を用いた場合には、末端基のOH基量を調整したポリカーボネート樹脂を使用することができる。
本実施形態で用いるポリカーボネート樹脂(A)は、ポリカーボネート樹脂のリサイクル品(回収品、マテリアルリサイクル品、ケミカルリサイクル品等を含む)、不合格品、熱可塑性樹脂成形の際の端材であってもよい。
上記の他、ポリカーボネート樹脂(A)の詳細は、特開2021-084942号公報の段落0013~0041の記載、特開2021-119211号公報の段落0030~0035を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物中のポリカーボネート樹脂(A)の割合は、83質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、87質量%以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる成形品の耐衝撃特がより向上する傾向にある。また、本実施形態の樹脂組成物中のポリカーボネート樹脂(A)の割合は、95質量%以下であることが好ましく、93質量%以下であることがより好ましい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形品の遮光性がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<酸化チタンを主成分とする粒子(B)>
本実施形態の樹脂組成物は、酸化チタンを主成分とする粒子(酸化チタン粒子)(B)を含む。酸化チタン粒子(B)を含むことにより、得られる成形品の遮光性を達成できる。
酸化チタンを主成分とするとは、酸化チタン粒子(B)に含まれる成分のうち、酸化チタンが最も多いことを意味し、通常は、酸化チタン粒子(B)中の酸化チタン(好ましくは二酸化チタン)の割合が、85.0質量%以上であり、90.0質量%以上であることが好ましい。
前記酸化チタン粒子(B)は、TiO2:90.0~98.0質量%、Al23:0.5~3.5質量%、および、SiO2:0~6.0質量%を含むことが好ましい。さらには、酸化チタン粒子(B)は、前記成分に加え、SO3を0~0.1質量%、Na2Oを0~0.15質量%、Clを0~0.01質量%含んでいてもよい。さらにまた、酸化チタン粒子(B)は、他の成分を含んでいてもよく、それらの合計が100質量%となる。
本実施形態においては、酸化チタン粒子(B)はルチル型の酸化チタン粒子でも、アナタース型酸化チタン粒子であってもよい。また、酸化チタン粒子(B)は、その表面が表面処理剤で処理されていることが好ましい。すなわち、酸化チタン粒子(B)の表面に表面処理剤から形成された層(特に、有機物層)を有することが好ましい。このような構成とすることにより、ポリカーボネート樹脂(A)中で酸化チタンがより分散しやすくなり、より外観に優れた成形品が得られる。表面処理剤は、高分子が例示され、シロキサン化合物が好ましく、特に水素メチルシロキサンやジメチルシロキサンなどが好ましい。表面処理剤は酸化チタン表面に物理的に吸着していてもよく、化学的に結合していてもよい。
酸化チタンは、通常、二酸化チタンである。
本実施形態においては、樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、酸化チタン粒子(B)5.0~20.0質量部を含む。前記下限値以上とすることにより、遮蔽性が向上する傾向にある。また、前記上限値以下とすることにより、滞留成形時にも、より高い耐衝撃性が得られる傾向にある。
本実施形態においては、酸化チタン粒子(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、6.0質量部以上であることが好ましく、8.0質量部以上であることがさらに好ましく、9.0質量部以上であることが一層好ましい。本実施形態においては、酸化チタン粒子(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、18.0質量部以下であることが好ましく、16.0質量部以下であることがより好ましく、14.0質量部以下であることがさらに好ましく、12.0質量部以下であることが一層好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、酸化チタン粒子(B)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)>
本実施形態の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)0.11~5.0質量部を含む。ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)を含むことにより、酸化チタン粒子(B)の凝集を効果的に抑制し、得られる成形品の耐衝撃性、特に、滞留させたときの耐衝撃性の保持率を向上させることができる。
ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)は、一般的に、ポリカーボネート樹脂の難燃剤として用いられる成分である。本実施形態においては、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)を難燃剤として用いるよりも多く配合することにより、酸化チタン粒子(B)を効果的に分散させることに成功したものである。
また、ポリカーボネート樹脂に用いる難燃剤としては、p-トルエンスルホン酸ナトリウムなども知られているが、p-トルエンスルホン酸ナトリウムを配合しても、酸化チタン粒子(B)の分散促進効果が小さい点で本発明の効果は驚くべきものである。
ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)は、ジフェニルスルホン-3-スルホン酸カリウムが好ましい。また、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)としては、Arichem社製、KSS-FRなどの市販品を用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物におけるジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.11質量部以上であり、0.13質量部以上であることが好ましく、0.15質量部以上であることがより好ましく、0.2質量部以上であることがさらに好ましく、0.24質量部以上であることが一層好ましく、0.26質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、耐衝撃性、特に、滞留させたときの耐衝撃性の保持率がより向上する傾向にある。また、前記ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)の含有量の上限値は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、5.0質量部以下であり、4.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以下であることがより好ましく、2.0質量部以下であることがさらに好ましく、1.5質量部以下であることが一層好ましく、0.8質量部以下であることがより一層好ましく、0.5質量部以下であることがさらに一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、耐衝撃性、特に、滞留させたときの耐衝撃性の保持率がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)以外のアルカリ金属塩を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)以外のアルカリ金属塩としては、特開2015-117298号公報の段落0069~0078の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物は、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)以外のアルカリ金属塩を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)以外のアルカリ金属塩の含有量が、樹脂組成物に含まれるジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)の含有量の10質量%以下であることをいい、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
<他の成分>
本実施形態の樹脂組成物は、さらに、上記以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、強化材、離型剤、酸化チタン以外の着色剤(例えば、カーボンブラック等)、安定剤(熱安定剤や酸化防止剤等)、アルカリ金属塩以外の難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、耐衝撃性改良剤、エポキシ化合物、防曇剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、抗ウィルス剤等が例示される。これらの成分の詳細は、特開2014-136710号公報の段落0107~0115の記載、特開2015-117298号公報の段落0106~0128の記載、特開2018-095706号公報の段落0055~0061の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
上記他の成分の含有量は、含有する場合、樹脂組成物の質量を基準として、例えば0.001質量%以上であり、また、例えば、5.0質量%以下であり、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。
本実施形態の樹脂組成物は、樹脂組成物中のポリオレフィンワックスの含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部未満であることが好ましい。このような構成とすることにより、より酸化チタン粒子(B)の凝集をより効果的に抑制できる。すなわち、ポリオレフィンワックスは、酸化チタン粒子(B)の表面の水酸基をひきつけやすく、酸化チタン粒子(B)を凝集させやすくする傾向があるが、本実施形態の樹脂組成物は、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)を多めに配合することにより、酸化チタン粒子(B)の分散性を高めている。
本実施形態においては、樹脂組成物中のポリオレフィンワックスの含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.05質量部未満であることがより好ましく、0.01質量部未満であることがさらに好ましく、0.005質量部未満であることが一層好ましい。樹脂組成物中のポリオレフィンワックスの含有量の下限値は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0質量部以上であってもよい。
<樹脂組成物の物性>
本実施形態の樹脂組成物は、成形品中の酸化チタン粒子(B)の凝集が効果的に抑制されている。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物を用い、シリンダー設定温度280℃、かつ、サイクルタイム1分で成形した成形品を操作型電子顕微鏡で観察し、点在する酸化チタンを主成分とする粒子(B)の領域の面積から、数式(1)を用いて算出した円相当径が、0.149μm以下である。ここでのπは、円周率である。このように小さい円相当径は、酸化チタン粒子(B)の配合量を調整すること、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)を配合すること、および、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)の配合量を調整すること、後述するポリオレフィンワックスなど、酸化チタン粒子(B)を凝集させやすい成分の含有量を減らすこと等によって達成される。
Figure 2023157752000003
本実施形態における円相当径は、小さいほど、成形品中の酸化チタン粒子(B)の凝集が少ないことを意味している。
前記円相当径は、0.148μm以下であることが好ましく、0.147μm以下であることがより好ましく、0.146μm以下であることがさらに好ましく、0.145μm以下であることが一層好ましい。また、前記円相当径の下限は特に定めるものではないが、0.050μm以上が実際的である。
本実施形態における円相当径は、後述する実施例に記載に従って測定される。
本実施形態の樹脂組成物は、遮蔽性が高い成形品を提供することができる。特に、本実施形態の樹脂組成物を1.0mmの厚さに成形したときの全光線透過率が0.04%以下であることが好ましく、0.02%未満であることがより好ましく、0.015%以下であることがさらに好ましい。前記全光線透過率の下限値は0%であってもよいが、0.001%以上であっても十分に要求性能を満たすものである。
全光線透過率は後述する実施例の記載に従って測定される。
また、本実施形態の樹脂組成物は、耐衝撃性に優れた成形品を提供することができる。特に、前記樹脂組成物を用い、シリンダー温度280℃、かつ、サイクルタイム1分で3mm厚の試験片を成形し、ISO179-1に基づき測定されたノッチ付きシャルピー衝撃強さが40kJ/m2以上であることが好ましく、42kJ/m2以上であることがより好ましく、44kJ/m2以上であることがさらに好ましく、46kJ/m2以上であることが一層好ましく、49kJ/m2以上であることがより好ましい。前記ノッチ付きシャルピー衝撃強さの上限は、特に定めるものではないが、70kJ/m2以下が実際的である。
本実施形態の樹脂組成物は、成形時シリンダー内で滞留させた場合においても、高い耐衝撃性を達成できる。具体的には、本実施形態の樹脂組成物を用い、シリンダー設定温度310℃、かつ、シリンダー内での滞留時間7分で3mm厚の試験片を成形し、ISO179-1に基づき測定されたノッチ付きシャルピー衝撃強さが、30kJ/m2以上であることが好ましく、32kJ/m2以上であることがより好ましく、34kJ/m2以上であることがさらに好ましく、36kJ/m2以上であることが一層好ましく、39kJ/m2以上であることがより好ましい。前記ノッチ付きシャルピー衝撃強さの上限は、特に定めるものではないが、60kJ/m2以下が実際的である。
本実施形態の樹脂組成物は、成形時シリンダー内で滞留させた場合においても、高い耐衝撃性を維持できる。具体的には、前記樹脂組成物を用い、シリンダー設定温度310℃、かつ、シリンダー内での滞留時間7分で3mm厚の試験片を成形し、ISO179-1に基づき測定されたノッチ付きシャルピー衝撃強さが、前記樹脂組成物を用い、シリンダー設定温度280℃かつサイクルタイム1分で成形した際の前記同様の方法で測定したノッチ付きシャルピー衝撃強さと比較して衝撃強さ保持率が70%以上であることが好ましく、73%以上であることがより好ましく、76%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが一層好ましく、83%以上であることがより一層好ましい。前記衝撃強さ保持率の上限は特に定めるものではないが、95%以下が実際的である。
ノッチ付きシャルピー衝撃強さは、後述する実施例の記載に従って測定される。
<樹脂組成物の製造>
本実施形態の樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知の樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、ポリカーボネート樹脂(A)、酸化チタン粒子(B)、および、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)、ならびに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240~320℃の範囲である。
本実施形態の樹脂組成物は、各種成形品に成形される。すなわち、本実施形態の成形品は、本実施形態の樹脂組成物から形成された成形品である。成形品の成形方法は特に定めるものではないが、その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられ、中でも射出成形が好ましい。
また、本実施形態の成形品の形状としては、特に制限はなく、成形品の用途、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状のもの等、また特殊な形状のもの等、各種形状のものが挙げられる。
本実施形態の成形品は、構造部材の部品や、携帯電子機器部品、車両および医療機器の部品や、その他の電気回路を含む電子部品、食品および医薬品の容器、ならびに、これらを形成するための複合材料として用いることが好ましい。
特に、本実施形態の成形品は、車載用部品、具体的には、ヘッドランプ、特に、ライトガイドベースとして好ましく用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
1.原料
原料は下記表に示すものを用いた。
Figure 2023157752000004
上記酸化チタン粒子は、TiO2:90.0~98.0質量%、Al23:0.5~3.5質量%、および、SiO2:0~6.0質量%を含む。
なお、実施例および比較例で検討したすべてのサンプルに離型剤として理研ビタミン製S-100Aを0.1質量%およびエメリーオレオ社製VPG861を0.3質量%、安定剤としてアデカ工業製アデカスタブ2112を0.03質量%添加した。
また、表2および表3において、「ポリカーボネート樹脂(A1)/(A2)」は、ポリカーボネート樹脂(A1)とポリカーボネート樹脂(A2)を、メルトボリュームレート(MVR、300℃、1.2kgf)が17.5cm3/10分となるように調整したものを用いた。「ポリカーボネート樹脂(A1)/(A2)」におけるポリカーボネート樹脂(A1)とポリカーボネート樹脂(A2)の質量比は、約77:13である。
2.実施例1~5、比較例1~7
<樹脂ペレットの調製>
表1に記載の各成分を表2または表3に示す割合(各成分は質量部である)で配合し、タンブラーミキサーで均一に混合して混合物を作製し、この混合物を、2軸押出機(日本製鋼所製「TEX25αIII」に供給し、スクリュー回転700rpm、吐出量20kg/時、バレル温度260℃の条件で混練し、ノズル先端からストランド状に押出した。押出物を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてカットしてペレット化し、樹脂組成物のペレットを得た。
<モールドデポジット>
上記で得られたペレットを120℃、5時間乾燥した後、射出成形機(住友重工社製、SE7M-C12)にて、シリンダー温度280℃、金型温度40℃、スクリュー回転数300rpm、射出速度4mm/sの条件下で200ショット成形する過程において、下記の基準を基に金型汚染状況を評価した。5人の専門家が確認し、多数決で判断した。
A:金型汚染の程度が金属塩無添加品と同程度
B:金型汚染の程度が金属塩無添加品よりも悪化
<全光線透過率(1.0mm厚)>
上記の方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥した後、射出成形機(芝浦機械社製「EC75」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、スクリュー回転数100rpm、射出速度30mm/sの条件下にて、1.0mm厚さの試験片を製造した。
得られた試験片について、ヘイズメーターを用いて全光線透過率(単位:%)を測定した。
ヘイズメーターは、日本電色工業(株)製のNDH-2000型ヘイズメーターを用いた。
<円相当径(μm)>
得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(芝浦機械社製「EC75」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、スクリュー回転数80rpm、射出速度30mm/sの条件で射出成形し、ISO多目的試験片(3.0mmt)を製造した。得られた試験片をメタノールにて5分間超音波洗浄を実施し、ダンベル中央部の表面を操作型電子顕微鏡(SEM) S-4800(日立ハイテクノロジーズ製)を用いて加速電圧3.0kv、電流10μA、3000倍で表面観察を行った。得られた画像をガウシアン3×3フィルターにかけ、自動2値化処理を実施し、0.001μm2以下の面積として表示されたものをノイズとして削除した。得られた画像データ上に点在するそれぞれの酸化チタンの面積から下記の式を用いて円に相当する径(直径)を算出し、その平均値を当サンプルの円相当径(単位:μm)とした。
<シャルピー衝撃強さ(成形温度280℃1分サイクル)>
得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(芝浦機械社製「EC75」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、スクリュー回転数80rpm、射出速度30mm/sの条件(サイクルタイム1分)で射出成形し、ISO多目的試験片(3.0mmt)を製造した。
得られたISO多目的試験片(3.0mmt)を用い、ISO規格179-1に基づき、温度23℃で、ノッチ付きシャルピー衝撃強さ(単位:kJ/m2)を測定した。
<シャルピー衝撃強さ(成形温度310℃7分滞留)>
得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(芝浦機械社製「EC75」)にて、シリンダー温度310℃、金型温度80℃、スクリュー回転数80rpmで計量し、シリンダー内で7分滞留させた後、射出速度30mm/sの条件で射出成形し、ISO多目的試験片(3.0mmt)を製造した。
得られたISO多目的試験片(3.0mmt)を用い、ISO規格179-1に基づき、温度23℃で、ノッチ付きシャルピー衝撃強さ(単位:kJ/m2)を測定した。
<衝撃強さ保持率(%)>
上記シャルピー衝撃強さ(成形温度310℃7分滞留)およびシャルピー衝撃強さ(成形温度280℃1分サイクル)の値から、衝撃強さ保持率である、[シャルピー衝撃強さ(成形温度310℃7分滞留)/シャルピー衝撃強さ(成形温度280℃1分サイクル)]×100(単位:%)を算出した。
Figure 2023157752000005
Figure 2023157752000006
上記結果から明らかなとおり、本実施形態の樹脂組成物から得られる成形品は、所望の遮光性を達成しつつ、耐衝撃性、特に、滞留させたときの耐衝撃性の保持率に優れていた。

Claims (7)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、酸化チタンを主成分とする粒子(B)5.0~20.0質量部と、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(C)0.11~5.0質量部を含む樹脂組成物であって、
    前記樹脂組成物を用い、シリンダー設定温度280℃、かつ、サイクルタイム1分で成形した成形品を操作型電子顕微鏡で観察し、点在する酸化チタンを主成分とする粒子(B)の領域の面積から、数式(1)を用いて算出した円相当径が、0.149μm以下である、樹脂組成物。
    Figure 2023157752000007
  2. 前記樹脂組成物中のポリオレフィンワックスの含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部未満である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記樹脂組成物を用い、シリンダー温度280℃、かつ、サイクルタイム1分で3mm厚の試験片を成形し、ISO179-1に基づき測定されたノッチ付きシャルピー衝撃強さが40kJ/m2以上である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記樹脂組成物を用い、シリンダー設定温度310℃、かつ、シリンダー内での滞留時間7分で3mm厚の試験片を成形し、ISO179-1に基づき測定されたノッチ付きシャルピー衝撃強さが、30kJ/m2以上である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  5. 前記樹脂組成物を用い、シリンダー設定温度310℃、かつ、シリンダー内での滞留時間7分で3mm厚の試験片を成形し、ISO179-1に基づき測定されたノッチ付きシャルピー衝撃強さが、前記樹脂組成物を用い、シリンダー設定温度280℃、かつ、サイクルタイム1分で成形した際の前記同様の方法で測定したノッチ付きシャルピー衝撃強さと比較して衝撃強さ保持率が70%以上である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  6. 前記酸化チタンを主成分とする粒子(B)がTiO2:90.0~98.0質量%、Al23:0.5~3.5質量%、および、SiO2:0~6.0質量%を含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1または2に記載の樹脂組成物から形成された成形品。
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