JP2023156045A - ポリアミド組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】180℃以下、2000時間程度の長期間での耐熱エージング性、及び電気特性に優れ、80℃、相対湿度95%下における添加剤のブリードアウトが抑制されているポリアミド組成物の提供。【解決手段】(A)ポリアミド、(B)ポリエチレンイミンのホモポリマーまたはコポリマー、及び(C)ハロゲン化物イオンを含むポリアミド組成物であって、100質量部の前記(A)ポリアミドに対する、前記(B)ポリエチレンイミンのホモポリマーまたはコポリマーの含有量は、0.1質量部以上3質量部以下であり、100質量部の前記(A)ポリアミドに対する、前記(C)ハロゲン化物イオンの含有量は、0.1質量ppmm以上300質量ppm以下である、ポリアミド組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド組成物に関する。
ポリアミドは、強度、耐熱性、耐薬品性に優れ、比重に優れている。すなわち金属よりも比重が小さいことから、従来から金属代替材料として、自動車の機構部品等に使用されている。
自動車部品の中には、高温の環境に長時間晒されるものがある。この場合、部品材料には、高温の環境に長時間(例えば2000時間程度)おかれても強度を保持する熱安定性(以下、「長期耐熱エージング性」という)が求められる。さらに、自動車の電動化、EV化に伴い、電子接点を有する部品であって、かつ高温環境(例えば180℃)に晒される部品も存在する。このような部品に使用される材料には、180℃での長期耐熱エージング性と、高い電気特性(例えば体積抵抗率や耐トラッキング性)が求められる。
ポリアミドに用いられる熱安定剤として、ハロゲン化銅及びそれと併用されるハロゲン化アルカリ金属が知られている(例えば、特許文献1等参照)。しかしながら、これらの熱安定剤の添加は、熱安定剤としての効果は大きい反面、この熱安定剤に含まれるハロゲン化物イオンによって、電気抵抗率や耐トラッキング性が低下するという課題がある。
また、ハロゲン化金属をポリアミドに多量添加した場合、そのポリアミド材料の成型品を高温多湿下に長時間放置した時に、ハロゲン化金属がブリードアウトするという課題がある。以上の制約から、180℃における長期耐熱エージング性と、高い電気特性を両立しながら、添加剤のブリードアウトを抑制することは難しく、今もなお活発に検討がなされている。
また同時に、成形品の外観を向上することも求められる。
以上の背景から、180℃での長期耐熱エージング性、高い電気特性、及び外観のすべてを同時に満たすポリアミド材料の実現が望まれている。
ポリアミドの電気特性を損なわずに長期耐熱エージング性を向上させる技術として、例えば、立体障害フェノール、芳香族アミン、立体障害アミンといった有機熱安定剤を使用する方法が知られている。しかしながら、有機熱安定剤単独での使用では、180℃における耐熱エージング性は不十分である。
また、長期耐熱エージング性を向上させるために、有機熱安定剤の添加量を増加させると、成形品から添加剤がブリードアウトし、外観が損なわれるという課題がある。
一方で、ポリアミド樹脂の長期耐熱エージング性を向上させる技術として、ポリエチレンイミンをポリアミドに効果的な熱安定剤として添加する方法が知られている(例えば、特許文献2、3、4等参照)。
特開平8-325382号公報 特開2019-116607号公報 特表2008-530290号公報 国際公開第2021/191209号
特許文献2及び3では、銅のハロゲン化物を併用する例が示されているが、ハロゲン化物イオンは、電気特性の低下を引き起こす。また、特許文献2及び3では、多量添加されたハロゲン化金属が、高温多湿下でブリードアウトする可能性がある。
また、特許文献3、4では、ハロゲン化物イオンを意図的に添加していない例が示されているが、耐熱エージング性が十分でない。
すなわち、長期耐熱エージング性と電気特性が十分に優れ、添加剤のブリードアウトの抑制もされたポリアミド樹脂組成物は未だ得られていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、180℃以下、2000時間程度の長期間での耐熱エージング性、及び電気特性に優れ、80℃、相対湿度95%下における添加剤のブリードアウトが抑制されており、且つ、外観に優れる成形品が得られるポリアミド組成物を提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1](A)ポリアミド、(B)ポリエチレンイミンのホモポリマーまたはコポリマー、及び(C)ハロゲン化物イオンを含むポリアミド組成物であって、100質量部の前記(A)ポリアミドに対する、前記(B)ポリエチレンイミンのホモポリマーまたはコポリマーの含有量は、0.1質量部以上3質量部以下であり、前記ポリアミド組成物の全量中の、前記(C)ハロゲン化物イオンの濃度は、0.1質量ppmm以上300質量ppm以下である、ポリアミド組成物。
[2]前記(A)ポリアミドがPA66を含み、前記(A)ポリアミドの全量中の前記PA66の割含有合が50質量%以上である、[1]に記載のポリアミド組成物。
[3]前記ポリアミド組成物が、(D)有機熱安定剤を含む、[1]又は[2]に記載のポリアミド組成物。
[4]前記(D)有機熱安定剤が、ヒンダードフェノール、リン系有機熱安定剤、または前記ヒンダードフェノール及び前記リン系有機熱安定剤を含む混合物である、[3]に記載のポリアミド組成物。
[5]ISO2555に準拠してブルックフィールド粘度計によって測定される、前記(B)ポリエチレンイミンのホモポリマーまたはコポリマーの20℃における粘度が400mPa・s以上7000mPa・s以下である、[1]~[4]のいずれか1つに記載のポリアミド組成物。
[6]前記(B)ポリエチレンイミンのホモポリマー又はコポリマーの重量平均分子量が400以上2000以下である、[1]~[5]のいずれか1つに記載のポリアミド組成物。
[7]前記ポリアミド組成物が、(E)充填材を含む、[1]~[6]のいずれか1つに記載のポリアミド組成物。
上記態様のポリアミド組成物によれば、180℃以下、2000時間程度の長期間での耐熱エージング性、及び電気特性に優れ、80℃、相対湿度95%下における添加剤のブリードアウトが抑制されており、且つ、外観に優れる成形品が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
なお、本明細書において、「ポリアミド」とは主鎖中にアミド(-NHCO-)基を有する重合体を意味する。
<ポリアミド組成物>
本実施形態のポリアミド組成物は、(A)ポリアミド、(B)ポリエチレンイミンのホモポリマーまたはコポリマー、及び(C)ハロゲン化物イオンを含む。
本実施形態のポリアミド組成物は、上記構成を有することで、180℃以下、2000時間程度の長期間での耐熱エージング性、及び電気特性に優れ、80℃、相対湿度95%下における添加剤のブリードアウトが抑制された成形品が得られる。
なお、以降において、上記(A)ポリアミド、(B)ポリエチレンイミンのホモポリマーまたはコポリマー、(C)ハロゲン化物イオンをそれぞれ、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分とそれぞれ称する場合がある。
本実施形態のポリアミド組成物の各構成要素について以下に詳細を説明する。
≪(A)ポリアミド≫
(A)ポリアミドとしては、例えば、(a-1)ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、(a-2)ω-アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、(a-3)ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びに、これらの共重合物等が挙げられる。ポリアミドとしては、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(a-1)ポリアミドの製造に用いられるラクタムとしては、以下に制限されないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカラクタム、ドデカラクタム等が挙げられる。
(a-2)ポリアミドの製造に用いられるω-アミノカルボン酸としては、以下に制限されないが、例えば、上記ラクタムの水による開環化合物であるω-アミノ脂肪酸等が挙げられる。
また、上記ラクタム又は上記ω-アミノカルボン酸としては、それぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
(a-3)ポリアミドの製造に用いられるジアミン(単量体)としては、以下に制限されないが、例えば、直鎖状の脂肪族ジアミン、分岐鎖状の脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミン等が挙げられる。
直鎖状の脂肪族ジアミンとしては、以下に制限されないが、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族ジアミンとしては、以下に制限されないが、例えば、2-メチルペンタンジアミン、2-エチルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
脂環族ジアミンとしては、以下に制限されないが、例えば、シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミン、シクロオクタンジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、以下に制限されないが、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン等が挙げられる。
(a-3)ポリアミドの製造に用いられるジカルボン酸(単量体)としては、以下に制限されないが、例えば、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、以下に制限されないが、例えば、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸等が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、以下に制限されないが、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、以下に制限されないが、例えば、フタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。
上記した単量体としてのジアミン及びジカルボン酸は、それぞれ単独又は2種以上組み合わせて縮合させてもよい。
ポリアミド組成物に含まれるポリアミドとして具体的には、例えば、ポリアミド4(ポリα-ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド56(ポリペンタメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ポリアミド612(ポリヘキサメチレンドデカミド)、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、及び、これらを構成成分として含む共重合ポリアミド等が挙げられる。
中でも、ポリアミドとしては、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド610(PA610)、又は、ポリアミド612(PA612)が好ましい。PA66は、耐熱性、成形性及び靭性に優れていることから、自動車部品に好適な材料である。また、PA610、PA612等の長鎖脂肪族ポリアミドは、耐薬品性に優れる。
また、耐熱性、成形性及び靭性を向上させる観点から、(A)ポリアミドの全量に対するPA66の含有割合は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることがよりさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましく、100質量%以上であることが最も好ましい。
[末端封止剤]
(A)ポリアミドの末端は、公知の末端封止剤により末端封止されていてもよい。
このような末端封止剤は、上記ジカルボン酸と上記ジアミンと、必要に応じて、上記ラクタム及び上記アミノカルボン酸のうち少なくともいずれか一方とから、ポリアミドを製造する際に、分子量調節剤としても添加することができる。
末端封止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類等が挙げられる。酸無水物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無水フタル酸等が挙げられる。これら末端封止剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、末端封止剤としては、モノカルボン酸又はモノアミンが好ましい。ポリアミドの末端が末端封止剤で封鎖されていることにより、熱安定性により優れるポリアミド組成物となる傾向にある。
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸としては、ポリアミドの末端に存在し得るアミノ基との反応性を有するものであればよい。モノカルボン酸として具体的には、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族モノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等が挙げられる。
脂環族モノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。
芳香族モノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、安息香酸、トルイル酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等が挙げられる。
これらモノカルボン酸は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノアミンとしては、ポリアミドの末端に存在し得るカルボキシ基との反応性を有するものであればよい。モノアミンとして具体的には、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族モノアミン、脂環族モノアミン、芳香族モノアミン等が挙げられる。
脂肪族アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等が挙げられる。
脂環族アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等が挙げられる。
これらモノアミンは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤により末端封止された(A)ポリアミドを含有するポリアミド組成物は、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性及び剛性により優れる傾向にある。
[(A)ポリアミドの含有量]
ポリアミド組成物中の(A)ポリアミドの含有量は、ポリアミド組成物の総質量に対して、例えば40.0質量%以上99.8質量%以下とすることができ、例えば50.0質量%以上90.0質量%以下とすることができ、例えば55.0質量%以上80.0質量%以下とすることができる。
[(A)ポリアミドの製造方法]
(A)ポリアミドを製造する際に、ジカルボン酸の添加量とジアミンの添加量とは、同モル量付近であることが好ましい。重合反応中のジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、ジカルボン酸全体のモル量1に対して、ジアミン全体のモル量は、0.9以上1.2以下が好ましく、0.95以上1.1以下が好ましく、0.98以上1.05以下がさらに好ましい。
(A)ポリアミドの製造方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジカルボン酸単位を構成するジカルボン酸と、ジアミン単位を構成するジアミンと、必要に応じて、ラクタム単位を構成するラクタム及びアミノカルボン酸単位を構成するアミノカルボン酸のうち少なくともいずれかと、を重合して重合体を得る工程を含む。
また、ポリアミドの製造方法において、ポリアミドの重合度を上昇させる工程を、さらに含むことが好ましい。
また、必要に応じて、得られた重合体の末端を末端封止剤により封止する封止工程を含んでもよい。
ポリアミドの具体的な製造方法としては、例えば、以下の1)~4)に例示するように種々の方法が挙げられる。
1)ジカルボン酸-ジアミン塩若しくはジカルボン酸とジアミンとの混合物の水溶液、又は、これらの水の懸濁液を加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下、「熱溶融重合法」と称する場合がある)。
2)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「熱溶融重合・固相重合法」と称する場合がある)。
3)ジカルボン酸-ジアミン塩、又は、ジカルボン酸とジアミンとの混合物を固体状態を維持したまま重合させる方法(以下、「固相重合法」と称する場合がある)。
4)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド成分及びジアミン成分を用いて重合させる方法(以下、「溶液法」と称する場合がある)。
中でも、ポリアミドの具体的な製造方法としては、熱溶融重合法を含む製造方法が好ましい。また、熱溶融重合法によりポリアミドを製造する際には、重合が終了するまで、溶融状態を保持することが好ましい。
溶融状態を保持する方法としては、例えば、ポリアミドの組成に適した重合条件で製造する方法等が挙げられる。重合条件としては、例えば、以下に示す条件等が挙げられる。まず、熱溶融重合法における重合圧力を14kg/cm以上25kg/cm以下(ゲージ圧)に制御し、加熱を続ける。次いで、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm)になるまで30分以上かけながら降圧することで、所望の組成のポリアミドが得られる。
ポリアミドの製造方法において、重合形態としては、特に限定されず、バッチ式でも連続式でもよい。
ポリアミドの製造に用いる重合装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置を用いることができ、例えば、オートクレーブ型の反応器、タンブラー型反応器、ニーダー等の押出機型反応器等が挙げられる。
以下、ポリアミドの製造方法として、バッチ式の熱溶融重合法によりポリアミドを製造する方法を具体的に示すが、ポリアミドの製造方法は、これに限定されない。
まず、ポリアミドの原料成分(ジカルボン酸、ジアミン、並びに、必要に応じて、ラクタム及びアミノカルボン酸のうち少なくともいずれか)を、約40質量%以上60質量%以下含有する水溶液を、110℃以上180℃以下の温度、及び、約0.035MPa以上0.6MPa以下(ゲージ圧)の圧力で操作される濃縮槽で、約65質量%以上90質量%以下に濃縮して濃縮溶液を得る。
次いで、得られた濃縮溶液をオートクレーブに移し、当該オートクレーブにおける圧力が約1.2MPa以上2.2MPa以下(ゲージ圧)になるまで加熱を続ける。
その後、オートクレーブにおいて、水及びガス成分のうち少なくともいずれかを抜きながら圧力を約1.2MPa以上2.2MPa以下(ゲージ圧)に保ち、温度が約220℃以上260℃以下に達した時点で、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。
オートクレーブ内の圧力を大気圧に降圧後、必要に応じて減圧することにより、副生する水を効果的に除くことができる。
その後、オートクレーブを窒素等の不活性ガスで加圧し、オートクレーブからポリアミド溶融物をストランドとして押し出す。押し出されたストランドを、冷却、カッティングすることにより、ポリアミドのペレットを得る。
[(A)ポリアミドのポリマー末端]
(A)ポリアミドのポリマー末端としては、特に限定されないが、以下のように分類され、定義することができる。
すなわち、1)アミノ末端、2)カルボキシ末端、3)封止剤による末端、4)その他の末端である。
1)アミノ末端は、アミノ基(-NH基)を有するポリマー末端であり、原料のジアミン単位に由来する。
2)カルボキシ末端は、カルボキシ基(-COOH基)を有するポリマー末端であり、原料のジカルボン酸に由来する。
3)封止剤による末端は、重合時に封止剤を添加した場合に形成される末端である。封止剤としては、上述した末端封止剤が挙げられる。
4)その他の末端は、上述した1)~3)に分類されないポリマー末端である。その他の末端として具体的には、例えば、アミノ末端が脱アンモニア反応して生成した末端、カルボキシ末端から脱炭酸反応して生成した末端等が挙げられる。
[(A)ポリアミドの特性]
((A)ポリアミドの分子量)
ポリアミドの分子量の指標としては、重量平均分子量Mwを利用できる。ポリアミドの重量平均分子量Mwは、例えば10000以上100000以下とすることができ、例えば15000以上95000以下とすることができ、例えば20000以上90000以下とすることができ、例えば25000以上85000以下とすることができる。
なお、重量平均分子量Mwの測定は、下記実施例に記載するように、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
((A)ポリアミドの分子量分布)
ポリアミドの分子量分布は、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnを指標とする。
ポリアミドのMw/Mnは、1.8以上とすることができ、例えば1.8以上3.0以下とすることができ、例えば1.9以上2.5以下とすることができる。
ポリアミドのMw/Mnを上記範囲内に制御する方法としては、例えば、ポリアミドの熱溶融重合時の添加物としてリン酸や次亜リン酸ナトリウムのような公知の重縮合触媒を加える方法、及び、加熱条件や減圧条件のような重合条件を制御する方法等が挙げられる。
ポリアミドのMw/Mnは、後述する実施例に記載するように、GPCを用いて得られた重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを使用して計算することができる。
≪(B)ポリエチレンイミンのホモポリマー又はコポリマー≫
本明細書における「ポリエチレンイミン」とは、UllMannの電子版にキーワード「アジリジン」で記載されている方法、又は国際公開第94/012560号に記載されている方法により得られるホモポリマー及びコポリマーである。
以降、「(B)ポリエチレンイミンのホモポリマー又はコポリマー」を「(B)ポリエチレンイミン」と称する場合がある。
一般的に、前記エチレンイミンのホモポリマーは、反応開始剤、酸又はルイス酸の存在下で、水溶液又は有機溶液中でのエチレンイミン(アジリジン)の重合により得られる。
このような方法により得られるエチレンイミンのホモポリマーは、一般的に、第一級、第二級、第三級アミノ基を、第一級アミノ基:第二級アミノ基:第三級アミノ基=約30%:40%:30%のモル比で含有する分岐ポリマーである。アミノ基の分布は13C-NMR分光法を用いて測定することができる。
前記エチレンイミンのコポリマーを形成するためのコモノマーとしては、上記のように、少なくとも2個のアミノ基を有するアミンが挙げられる。
当該コモノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルキレン基中に2個以上10個以下のC原子を有するアルキレンジアミンが挙げられる。特に、エチレンジアミン又はプロピレンジアミンが好ましい。
前記コモノマーとしては、上記の他に、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ジヘキサメチレントリアミン、アミノプロピルエチレンジアミン、ビスアミノプロピルエチレンジアミン等が挙げられる。
(B)ポリエチレンイミンとしては、上記の他、ポリエチレンイミンと、官能基として少なくとも1つのハロゲンヒドリン-、グリシジル-、アジリジン-、イソシアネート単位、及びハロゲン原子からなる群より選ばれるものを有する二官能性又は多官能性架橋剤との反応により得られる架橋性ポリエチレンイミンが好適なものとして挙げられる。
例えば、ポリアルキレングリコールと、エチレンオキシド単位及びプロピレンオキシド単位からなる群より選ばれるいずれかの単位2以上100以下とのエピクロロヒドロリン;ビスクロロヒドリンエーテル、独国特許出願公開第19931720号明細書及び米国特許第4144123号明細書中に記載されている化合物等が挙げられる。
架橋性ポリエチレンイミンの製造方法としては、上記の参考文献や、欧州特許公開第0895521号明細書及び欧州特許公開第0025515号明細書に記載されている方法を適用できる。
さらに、(B)ポリエチレンイミンとしては、グラフト化ポリエチレンイミンも好適なものとして挙げられる。
グラフト剤としては、ポリエチレンイミンのアミノ基又はイミノ基と反応し得る全ての化合物が使用できる。
グラフト剤及びグラフト化ポリエチレンイミンの製造方法としては、例えば、欧州特許公開第0675914号明細書に記載されている方法を適用できる。
また、(B)ポリエチレンイミンは、カルボン酸、カルボン酸のエステル若しくは無水物、カルボン酸アミド又はカルボン酸ハロゲン化物との反応により得られるアミド化されていてもよい。ポリエチレンイミン鎖中のアミド化窒素原子の割合に応じて、アミド化ポリマーは、所定の架橋剤により後から架橋されうる。
この際、前記引き続く架橋反応のために、なお十分に第一級窒素原子及び第二級窒素からなる群より選ばれる少なくともいずれかの原子を供給できるように、アミノ官能基の30モル%までがアミド化される。すなわち、アミド化ポリマー中において、十分な量の第一級窒素原子及び第二級窒素からなる群より選ばれる少なくともいずれかの原子が存在している状態を確保するために、アミド化ポリマー中のアミノ官能基は、30モル%以下の割合でアミド化されていることが好ましい。
なお、カルボン酸類はアミド化により全て消費され、アミド化ポリマーにカルボン酸末端基は無く、有機酸とは明確に区別できる。
また、(B)ポリエチレンイミンは、例えば、ポリエチレンイミンとエチレンオキシド及びプロピレンオキシドからなる群より選ばれる少なくともいずれかとの反応より得られるアルコキシ化ポリエチレンイミンであってもよい。このようなアルコキシル化ポリマーはその後、架橋可能である。
また、(B)ポリエチレンイミンは、例えば、ポリアミド樹脂との親和性の観点から、ヒドロキシ基含有ポリエチレンイミン及び両性ポリエチレンイミン(アニオン性基の組み込み)、並びに、一般に、長鎖炭化水素基のポリマー鎖中への組み込みにより得られる親油性ポリエチレンイミンであってもよい。このようなポリエチレンイミンポリマーの製造方法は、本技術分野の当業者に公知である。
[(B)ポリエチレンイミンの特性]
((B)ポリエチレンイミンの重量平均分子量)
(B)ポリエチレンイミンの重量平均分子量は、100以上3000000以下であることが好ましく、200以上2000000以下であることがより好ましく、300以上20000以下がさらに好ましく、400以上2000以下が特に好ましく、700以上1000以下が最も好ましい。
(B)ポリエチレンイミンの重量平均分子量が上記下限値以上であることで、耐熱エージング性をより良好なものとすることができる。一方で、(B)ポリエチレンイミンの重量平均分子量が上記上限値以下であることで、成形品としたときの外観をより良好なものとすることができる。
(B)ポリエチレンイミンの重量平均分子量は、光散乱法により測定することができる。
((B)ポリエチレンイミンの粘度)
(B)ポリエチレンイミンの粘度は100mPa・s以上200000mPa・s以下が好ましく、200mPa・s以上10000mPa・s以下がより好ましく、300mPa・s以上7000Pa・smPa・s以下がさらに好ましく、400mPa・s以上2500mPa・s以下が特に好ましく、500mPa・s以上2000mPa・s以下が最も好ましい。
(B)ポリエチレンイミンの粘度が上記下限値以上であることで、耐熱エージング性をより良好なものとすることができる。一方で、(B)ポリエチレンイミンの粘度が上記上限値以下であることで、成形品としたときの外観をより良好なものとすることができる。
本実施形態において(B)ポリエチレンイミンの粘度は、20℃においてISO2555に準拠してブルックフィールド粘度計によって測定する。
[(B)ポリエチレンイミンの含有量]
本実施形態のポリアミド組成物において、成形品としたときの耐熱エージング性、外観、強度及び剛性の観点から、(B)ポリエチレンイミンの含有量は、(A)ポリアミド100質量部に対して、0.1質量部以上3質量部以下であり、0.2質量部以上2質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上1.4質量部以下であることがより好ましい。
(B)ポリエチレンイミンの含有量が上記下限値以上であることで、耐熱エージング性及び外観が向上する。一方、(B)ポリエチレンイミンの含有量が上記上限値以下であることで、成形品としたときの強度及び剛性等が向上する。
≪(C)ハロゲン化物イオン≫
(C)ハロゲン化物イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンが挙げられる。
[(C)ハロゲン化物イオンの定量方法]
(C)ハロゲン化物イオンの含有量は、例えば燃焼イオンクロマトグラフィによって定量することができる。
[(C)ハロゲン化物イオンの含有量]
本実施形態のポリアミド組成物において、(C)ハロゲン化物イオンの濃度は、ポリアミド組成物の総質量に対して、0.1質量ppm以上、300質量ppm以下であり、1質量ppm以上、300質量ppm以下であることが好ましく、4質量ppm以上、100質量ppm以下であることがより好ましく、10質量ppm以上、80質量ppm以下であることがさらに好ましい。
本実施形態のポリアミド組成物において、前記(A)成分及び前記(B)成分、後述する(D)成分及び(E)成分には、その製法に応じて、ハロゲン化物イオンが不純物として含まれることがある。本実施形態のポリアミド組成物において、(C)ハロゲン化物イオンが上記上限値超含まれると、体積抵抗率や耐トラッキング性といった電気特性が損なわれる虞や、ハロゲン化物イオンを含む添加剤のブリードアウトが促進される虞がある。
また、(C)ハロゲン化物イオンが上記下限値超含まれると、より良好な耐熱エージング性が得られる。そのため、前記(A)成分及び前記(B)成分、後述する(D)成分及び成分それぞれに含まれる(C)ハロゲン化物イオンの量を上記範囲内とすることで、成形品としたときの耐熱エージング性と電気特性に優れ、かつ添加剤のブリードアウトが抑制されたポリアミド組成物が得られる。
≪(D)有機熱安定剤≫
本実施形態のポリアミド組成物は、(D)有機熱安定剤を含むことができる。
本実施形態のポリアミド組成物は、(D)有機熱安定剤を含むことで、成形品にしたときにより高い耐熱エージング性を得ることができる。
(D)有機熱安定剤には、以下に限定されるものではないが、立体障害フェノール系有機熱安定剤、リン系有機熱安定剤、芳香族アミン系有機熱安定剤、立体障害アミン系有機熱安定剤を使用することができる。
立体障害フェノールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、N,N’-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3, 5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2-チオビス(4-メチル-6-1-ブチルフェノール)、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロキシンナマミド)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルフォスファスフォネート-ジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4、6-トリス(3,5-ジ-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルスルホン酸エチルカルシウム、トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス-(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス-(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、オクチル化ジフェニルアミン、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール、イソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス[3,3’-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-sec-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、d-α-トコフェロール等が挙げられる。
上記で列挙した(D)有機熱安定剤としての立体障害フェノールの中でも、N,N’-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]が特に好ましい。
(D)有機熱安定剤には、立体障害フェノール系有機熱安定剤、リン系有機熱安定剤、またはそれらの組み合わせが好ましい。
[(D)有機熱安定剤の含有量]
本実施形態のポリアミド組成物において、成形品としたときの耐熱エージング性及びブリードアウトの抑制の観点から、(D)有機熱安定剤の含有量は、(A)ポリアミド100質量部に対して、0.05質量部以上3質量部以下が好ましく、0.1質量部以上2質量部以下であることがより好ましく、0.2質量部以上1.5質量部以下であることがさらに好ましい。
(D)有機熱安定剤の含有量が上記下限値以上であることで、耐熱エージング性が向上する。一方、(D)有機熱安定剤の含有量が上記上限値以下であることで、ブリードアウトを抑制することができる。
≪(E)充填材≫
本実施形態のポリアミド組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び任意の(D)成分に加えて、(E)充填材を更に含むことが好ましい。本実施形態のポリアミド組成物は、(E)充填材を含むことで、成形品としたときの強度及び剛性等の機械物性がより向上させることができる。
(E)充填材としては、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、ゼオライト、ベーマイト、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、アパタイト、ミルドファイバー等が挙げられる。これら(G)充填材は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、(E)充填材としては、剛性及び強度等の観点で、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカ、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、カーボンナノチューブ、グラファイト、フッ化カルシウム、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、又は、アパタイトが好ましい。
また、(E)充填材としては、ガラス繊維、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ウォラストナイト、及びミルドファイバーからなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましく、ガラス繊維又は炭素繊維がさらに好ましく、ガラス繊維が特に好ましい。
(E)充填材がガラス繊維又は炭素繊維である場合、数平均繊維径(d1)が3μm以上30μm以下であることが好ましい。また、重量平均繊維長(L)が100μm以上5mm以下であることが好ましい。さらに、重量平均繊維長(L)に対する数平均繊維径(d1)のアスペクト比((L)/(d1))が10以上100以下であるものが好ましい。上記構成のガラス繊維又は炭素繊維を用いることで、より高い特性を発現することができる。
また、(E)充填材がガラス繊維である場合、数平均繊維径(d1)が3μm以上30μm以下であることがより好ましい。重量平均繊維長(L)が103μm以上5mm以下であることがより好ましい。さらに、アスペクト比((L)/(d1))が3以上100以下であるものがより好ましい。
(E)充填材の数平均繊維径及び重量平均繊維長は、以下の方法を用いて測定することができる。
まず、成形品を、ギ酸等の、(A)ポリアミドが可溶な溶媒で溶解する。次いで、得られた不溶成分の中から、例えば100本以上の(E)充填材を任意に選択する。
次いで、(E)充填材を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡等で観察し、測定した繊維径の合計を、測定した(E)充填材の数で割ることで、数平均繊維径を求めることができる。或いは、測定した繊維長の合計を、測定した(E)充填材の合計重量で割ることで、重量平均繊維長を求めることができる。
[(E)充填材の含有量]
本実施形態のポリアミド組成物において、(E)充填材の含有量は、(A)ポリアミド100質量部に対して、0質量部以上150質量部以下であることが好ましく、10質量部以上140質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上135質量部以下であることがさらに好ましく、25質量部以上130質量部以下であることが特に好ましく、30質量部以上100質量部以下であることが最も好ましい。
(E)充填材の含有量が上記下限値以上であることにより、成形品の強度及び剛性等の機械物性がより向上する傾向にある。一方、(E)充填材の含有量が上記上限値以下であることにより、表面外観により優れる成形品が得られやすい。
特に、(E)充填材がガラス繊維であり、且つ、(E)充填材の含有量が、(A)ポリアミド100質量部に対して、上記範囲であることにより、成形品の強度及び剛性等の機械物性がさらに向上しやすい。
≪(F)アジン系染料又はフタロシアニン系染料≫
本実施形態のポリアミド組成物は、(F)アジン系染料又はフタロシアニン系染料を含んでもよい。これらが結晶化遅延剤として働き、成形品の外観を一層向上させる。
アジン系染料としては、ニグロシンが好ましい。フタロシアニン系染料としては、銅フタロシアニン系染料が好ましい。
(F)アジン系染料又はフタロシアニン系染料には、(D)有機熱安定剤との相互作用により、(D)有機熱安定剤のブリードアウトを抑制する効果がある。このブリードアウト抑制効果の大きさの観点から、(F)アジン系染料又はフタロシアニン系染料のうち、アジン系染料を使用することが好ましく、ニグロシンがより好ましい。このとき、(D)有機熱安定剤とニグロシンが強く相互作用することによって、(D)有機熱安定剤のブリードアウトはより一層抑制される。
[(F)アジン系染料又はフタロシアニン系染料の含有量]
本実施形態のポリアミド組成物において、アジン系染料又はフタロシアニン系染料の含有量は、(A)ポリアミド100質量部に対して、0.01質量部以上0.5質量部以下であり、0.05質量部以上0.32質量部以下であることが好ましく、0.08質量部以上0.2質量部であることがより好ましい。
アジン系染料又はフタロシアニン系染料の含有量が上記下限値以上であることで、成形品としたときの外観が良好になり、さらに(D)有機熱安定剤のブリードアウトを防ぐことができる。一方、アジン系染料又はフタロシアニン系染料の含有量が上記上限値以下であることで、成形品の強度及び剛性等の低下を防ぐことができる傾向がある。
≪その他の添加剤≫
ポリアミド組成物は、本実施形態の目的を損なわない範囲で、ポリアミドに慣用的に用いられるその他の添加剤を含有することもできる。その他の添加剤としては、例えば、フィブリル化剤、潤滑剤、蛍光漂白剤、可塑化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、流動性改良剤、補強剤、展着剤、造核剤、ゴム、強化剤、その他のポリマー等が挙げられる。本実施形態のポリアミド組成物中のその他の添加剤の含有量は、その目的に応じて、適宜当業者が設定することができる。
<ポリアミド組成物の製造方法>
ポリアミド組成物の製造方法において、各構成成分を添加する方法は、(A)成分、(B)成分、(C)成分と、必要に応じて、(E)成分や上述したその他の添加剤を混合する方法であれば、特に限定されるものではない。
構成材料の混合方法として、例えば、ヘンシェルミキサー等を用いて混合し溶融混練機に供給し混練する方法や、トップフィーダーから単軸又は2軸押出機で溶融状態にした(A)成分、並びに、(B)成分~(D)成分と、サイドフィーダーから必要に応じて、充填材(E)やその他の添加剤を配合する方法等が挙げられる。
ポリアミド組成物を構成する成分を溶融混練機に供給する方法は、すべての構成成分を同一の供給口に一度に供給してもよく、(A)成分~(C)成分、及び必要に応じて(D)、(E)成分をそれぞれ異なる供給口から供給してもよい。
溶融混練温度は、樹脂温度にして250℃以上375℃以下程度であることが好ましい。
溶融混練時間は、0.5分間以上5分間以下程度であることが好ましい。
溶融混練を行う装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー、ミキシングロール等の溶融混練機を用いることができる。
<使用用途>
本実施形態のポリアミド組成物から得られた成形品は、例えば、自動車用、機械工業用、電気及び電子用、産業資材用、工業材料用、建築資材用、日用及び家庭品用等の各種用途の材料部品として好適に用いられる。中でも、耐熱エージング性及び電気特性に優れることから、自動車部品として特に好適に用いられる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下、本実施例及び比較例に用いた樹脂組成物の各構成成分について説明する。
<構成成分>
[(A)ポリアミド]
A-1:ポリアミド66(PA66)
A-2:ポリアミド66(PA66)
A-3:ポリアミド6(PA6)(宇部興産製、SF1013)
ポリアミドA-1及びA-2の合成方法については、後述する。なお、得られたポリアミドA-1及びA-2は、窒素気流中で乾燥し、水分率を約0.1質量%に調整してから、ポリアミド組成物の原料として用いた。
[(B)ポリエチレンイミンのホモポリマー又はコポリマー]
B-1:Lupasol (商標登録)FG(ビーエーエスエフ社製、重量平均分子量800、粘度1680mPa・s)
B-2:エポミン(商標登録)SP-006(日本触媒社製、数平均分子量600、粘度2900mPa・s)
なお、(B)ポリエチレンイミンホモポリマー又はコポリマーの粘度は、20℃においてISO2555に準拠してブルックフィールド粘度計によって測定した値である。
[(D)有機熱安定剤]
D-1:N,N’-hexane-1,6-diylbis(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenylpropionamide))(ビーエーエスエフ社製、商品名「Irganox(登録商標) 1098」)
[(D’)熱安定剤]
D’-1:ヨウ化銅とヨウ化カリウムのマスターバッチ
熱安定剤D’-1の合成方法については、後述する。
[(E)充填材]
E-1:ガラス繊維(GF)(日本電気硝子製、商品名「ECS03T275H」、平均繊維径10μm、カット長3mm)
[(F)アジン系染料又はフタロシアニン系染料]
F-1:ニグロシン染料(オリエント化学社製、TH807)(ハロゲン化物イオンの濃度:0.06質量%)
F-2:ニグロシン染料(オリエント化学社製、TH870)(ハロゲン化物イオンの濃度:1.6質量%)
<(A)ポリアミドの合成>
[合成例1]
(ポリアミドA-1(PA66)の合成)
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
まず、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩1500gを蒸留水1500gに溶解させて、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。この水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブに仕込み、窒素置換した。次いで、110℃以上150℃以下の温度下で撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。次いで、内部温度を220℃に昇温した。このとき、オートクレーブは1.8MPaまで昇圧した。そのまま1時間、内部温度が245℃になるまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を1.8MPaに保ちながら1時間反応させた。次いで、1時間かけて圧力を降圧した。次いで、オートクレーブ内を真空装置で650torr(86.66kPa)の減圧下に10分維持した。このとき、重合の最終内部温度は265℃であった。次いで、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、ポリアミドA-1(PA66)を得た。
得られたポリアミドA-1(PA66)は、重量平均分子量が35000、分子量分布(Mw/Mn)が2.0であった。
[合成例2]
(ポリアミドA-2(PA66)の合成)
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
まず、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩1500gを蒸留水1500gに溶解させて、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。この水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブに仕込んだ。ここに、ヨウ化カリウムを投入し、窒素置換した。次いで、110℃以上150℃以下の温度下で撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。次いで、内部温度を220℃に昇温した。このとき、オートクレーブは1.8MPaまで昇圧した。そのまま1時間、内部温度が245℃になるまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を1.8MPaに保ちながら1時間反応させた。次いで、1時間かけて圧力を降圧した。次いで、オートクレーブ内を真空装置で650torr(86.66kPa)の減圧下に10分維持した。このとき、重合の最終内部温度は265℃であった。次いで、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、ポリアミドA-2(PA66)を得た。
得られたポリアミドA-2(PA66)は、重量平均分子量が35000、分子量分布(Mw/Mn)が2.0であった。
[合成例3]
(ポリアミドD’-1(ヨウ化銅とヨウ化カリウムのマスターバッチ)の合成)
ポリアミド66(A-1)を79%とヨウ化銅(東京化成工業株式会社)を3.39%とヨウ化カリウム(東京化成工業株式会社)14.6%とを二軸押出機ZSK26MC(コペリオン製)でスクリュー回転数200rpm、シリンダー設定温度280℃、吐出量30kg/h、ニーディングスクリューを2か所備えたスクリュー構成で混錬し、ポリアミド6の銅マスターバッチを予め製造した。
<ポリアミド組成物の製造>
[実施例1~13及び比較例1~5]
(ポリアミド組成物PA-a1~PA-a13及びPA-b1~PA-b5の製造)
表1~表4に示す配合量となるように、東芝機械社製、TEM35mm 2軸押出機(設定温度:290℃、スクリュー回転数300rpm)を用いて、押出機最上流部に設けられたトップフィード口より、(A)成分、(B)成分、(D)または(D‘)成分、及び(F)成分を供給した。また、押出機下流側(トップフィード口より供給された樹脂が充分溶融している状態)のサイドフィード口より(E)成分を供給した。次いで、ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズして、ポリアミド組成物のペレットを得た。
<物性の測定方法>
[物性1]
(ハロゲン化物イオンの濃度)
ポリアミド組成物のペレットに含まれるハロゲン化物イオン(Cl、Br、I)の濃度を燃焼イオンクロマトグラフィによって定量した。具体的には、三菱化学アナリテック製AQF-2100Hを使用し、吸収液として超純水(過酸化水素水、抱水ヒドラジン含有)を用いた燃焼菅燃焼法によってサンプルを作成した。イオンクロマトグラフィ(IC)の装置には、Thermo Fisher Scientific製のIntegrion RFICを、カラムにはThermo Fisher Scientific製のIonPac AS18-4μm(4mmφ×150mm)を、溶離液にはKOH水溶液を、検出器には、UV検出器を使用した。
測定結果から、下式を用いてハロゲン化物イオン(Cl、Br、I)の濃度を算出した。具体的には、下式を用いてCl、Br、及びIそれぞれについて試料中の濃度を算出し、それらを合計した値をハロゲン化物イオンの濃度とした。以降の表において、ハロゲン化物イオンの濃度を「(C)成分の濃度」と記載する。
「Cl、Br、又はIの濃度(質量ppm)」
=[(IC測定値(mg/L))×(希釈率)-(ブランクのIC測定値(mg/L))]×[(吸収液量(mL))/1000]×[1000000/(試料の質量(mg))]
<評価方法>
[多目的試験片の製造]
ポリアミド組成物のペレットを、窒素気流中で乾燥し、ポリアミド組成物中の水分量を500質量ppm以下にした。次いで、水分量を調整した各ポリアミド組成物のペレットを、射出成形機(PS-40E、日精樹脂株式会社製)を用いて、ISO3167に準拠して、多目的試験片(A型、ダンベル形引張試験片)を成形した。なお、多目的試験片の寸法は、全長≧170mm、タブ部間距離109.3±3.2mm、平行部の長さ80±2mm、肩部の半径24±1mm、端部の幅20±0.2mm、中央の平行部の幅10±0.2mm、厚さ4±0.2mmである。具体的な射出成形時の条件としては、射出及び保圧の時間:25秒、冷却時間:15秒、金型温度:80℃、シリンダー温度:290℃に設定した。
[評価1]
(引張強度及び耐熱エージング性)
多目的試験片(A型)を用いて、ISO527に準拠して引張速度5mm/分で引張試験を行い、初期引張強度(MPa)を測定した(S0)。次いで、各多目的試験片(A型)をISO188に準拠したオーブンに入れて、180℃でそれぞれ2000時間加熱して、耐熱エージング試験を行った。2000時間後にオーブンから各多目的試験片(A型)を取り出し、23℃で24時間冷却させた。次いで、耐熱エージング試験後の各多目的試験片(A型)をISO527に準拠して引張速度5mm/分で引張試験を行い、耐熱エージング試験後の引張強度(MPa)を測定した(S1)。次いで、下記に示す式を用いて、引張強度保持率(%)を算出した。
「引張強度保持率(%)」=S1/S0×100
[平板成形品の製造]
平板成形品を以下のとおり製造した。
射出成形機(NEX50III-5EG:日精樹脂工業株式会社製)を用いて、冷却時間25秒、スクリュー回転数200rpm、金型温度を80℃、シリンダー温度を290℃に設定し、充填時間が1.6±0.1秒の範囲となるように、射出圧力及び射出速度を適宜調整し、平板成形品(6cm×9cm、厚さ2mm)を製造した。
[評価2]
(体積抵抗率)
平板成形品を使用し、ASTM D257に従って体積抵抗率を測定した。体積抵抗率が高いほど、電気特性が優れると判断した。
[評価3]
(ブリードアウト試験)
平板成形品を使用し、恒温恒湿槽(温度:80℃、相対湿度:95%)に500時間静置した。平板成形品を取り出し、表面に発生したブリード物を観察して、ブリードアウトの起こりやすさを以下の基準で評価した。表には、「ブリードアウト抑制」として表記した。
(評価基準)
○:平板成形品にブリード物が見られない。
△:平板成形品の一部にブリード物が見られる。
×:平板成形品全体にブリード物が見られる。
[評価4]
(外観)
上記[評価3]において、評価基準が「○」のものを「外観に優れる」と評価した。
各ポリアミド組成物について、上述した物性の測定方法及び評価方法を実施した。結果を表1~表4に示す。なお、表中に示す引張強度は、初期引張強度(S0)(MPa)である。

Figure 2023156045000001
Figure 2023156045000002
Figure 2023156045000003
表1~表3から、(A)成分~(F)成分を所定の数値範囲で含有したポリアミド組成物PA-a1~PA-a14(実施例1~14)では、成形品の耐熱エージング性、電気特性が良好であり、ブリードアウトが抑制されていた。
また、PA66の含有量が異なるポリアミド組成物PA-a1及びPA-a2(実施例1及び2)の比較において、PA66の含有量が増加するほど、成形品の引張強度がより優れる傾向がみられた。
また、(D)成分の含有量が異なるポリアミド組成物PA-a1、PA-a3~PA-a4(実施例1、3~4)の比較において、(D)成分の含有量が減少するほど、ブリードアウトがより抑制される傾向がみられ、(D)成分の含有量が増加するほど、耐熱エージング性がより優れる傾向が見られた。
また、(B)成分の含有量が異なるポリアミド組成物PA-a1及びPA-a2(実施例1及び2)の比較において、(B)成分の含有量が増加するほど耐熱エージング性及び外観がより優れる傾向がみられた。一方、(B)成分の含有量が減少するほど(ポリアミドA-1の含有量が増加するほど)、成形品の引張強度がより優れる傾向がみられた。
また、(C)成分の含有量が異なるポリアミド組成物PA-a1及びPA-a6~12(実施例1及び6~12)の比較において、(C)成分の含有量が増加するほど、耐熱エージング性により優れる傾向がみられ、(C)成分の含有量が減少するほど、電気特性により優れ、ブリードアウトがより抑制される傾向がみられた。
表3から、(B)成分を含まないポリアミド組成物PA-b1(比較例1)では、成形品の電気特性が良好であったが、耐熱エージング性が劣っていた。(B)成分を含まず、(C)成分を多量含むポリアミド組成物PA-b4(比較例4)では、成形品の耐熱エージング性、電気特性が劣っており、ブリードアウトが抑制されていなかった。
(C)成分を含まないポリアミド組成物PA-b2(比較例2)では、成形品の電気特性が良好であり、ブリードアウトが抑制されていたが、耐熱エージング性が劣っていた。
(C)成分を過剰量含むポリアミド組成物PA-b3(比較例3)では、成形品の耐熱エージング性は良好であったが、電気特性が低下し、またブリードアウトが発生しており抑制されていなかった。
本実施形態のポリアミド組成物によれば、180℃下、2000時間程度の長期間での耐熱エージング性、及び電気特性に優れ、80℃、相対湿度95%下における添加剤のブリードアウトが抑制されており、且つ、外観に優れる成形品が得られる。本実施形態のポリアミド組成物から得られる成形品は、例えば、自動車用、機械工業用、電気及び電子用、産業資材用、工業材料用、建築資材用、日用及び家庭品用等の各種用途の材料部品として好適に用いられる。

Claims (7)

  1. (A)ポリアミド、(B)ポリエチレンイミンのホモポリマーまたはコポリマー、及び(C)ハロゲン化物イオンを含むポリアミド組成物であって、
    100質量部の前記(A)ポリアミドに対する、前記(B)ポリエチレンイミンのホモポリマーまたはコポリマーの含有量は、0.1質量部以上3質量部以下であり、
    前記ポリアミド組成物の全量中の、前記(C)ハロゲン化物イオンの濃度は、0.1質量ppmm以上300質量ppm以下である、ポリアミド組成物。
  2. 前記(A)ポリアミドがPA66を含み、
    前記(A)ポリアミドの全量中の前記PA66の割含有合が50質量%以上である、請求項1に記載のポリアミド組成物。
  3. 前記ポリアミド組成物が、(D)有機熱安定剤を含む、請求項1又は2に記載のポリアミド組成物。
  4. 前記(D)有機熱安定剤が、ヒンダードフェノール、リン系有機熱安定剤、または前記ヒンダードフェノール及び前記リン系有機熱安定剤を含む混合物である、請求項3に記載のポリアミド組成物。
  5. ISO2555に準拠してブルックフィールド粘度計によって測定される、前記(B)ポリエチレンイミンのホモポリマーまたはコポリマーの20℃における粘度が3000mPa・s以上7000mPa・s以下である、請求項1又は2に記載のポリアミド組成物。
  6. 前記(B)ポリエチレンイミンのホモポリマー又はコポリマーの重量平均分子量が400以上2000以下である、請求項1又は2に記載のポリアミド組成物。
  7. 前記ポリアミド組成物が、(E)充填材を含む、請求項1又は2に記載のポリアミド組成物。
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