JP2023153131A - 多層フィルム、包装材及び包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐熱性、透明性及び耐ブロッキング性を有するポリプロピレン系の多層フィルムを提供すること。【解決手段】プロピレン単独重合体(A)、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)及びアンチブロッキング剤(C)を含有する、ヒートシール層である第一の外層と、プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)を含有する内層と、プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する第二の外層と、をこの順に備え、(C)成分の含有量が、(A)成分及び(B)成分の全量100質量部に対し0.5~3.0質量部であり、(C)成分が、平均粒子径の異なる2種のアンチブロッキング粒子を含有し、レーザー顕微鏡により測定される、第一の外層の表面粗さSaが0.07~0.12μmであり、スキューネスSskが1.5~5.0である、多層フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、多層フィルム、包装材及び包装体に関する。詳しくは、本発明は、耐熱性、透明性及び耐ブロッキング性に優れ、包装体用シーラントフィルムとして、沸水処理やレトルト処理等の過酷な処理にも好適に使用できる、ポリプロピレン系多層フィルム、並びに当該ポリプロピレン系多層フィルムを用いて得られる包装材及び包装体に関する。
ポリプロピレン系フィルムは、剛性及び耐熱性に優れ、かつ安価であることから、食品包装等の種々の包装用材料における、シーラントフィルムとして使用されることがある。
ポリプロピレン系フィルムには、加工時に滑り性が悪いことでシワが発生することや、ブロッキングによるブロッキング跡が顕在化することなどを抑制するために、耐ブロッキング性が求められている。耐ブロッキング性を有するポリプロピレン系フィルムについて、例えば以下の提案がなされている。
特許文献1では、プロピレン-エチレンブロック共重合体と水添スチレン系熱可塑性エラストマーとを含有し、かつフィルムの中心線平均粗さ(Ra)が0.10~0.30μmである単層のポリプロピレン系フィルムが提案されている。
特許文献2では、プロピレン-エチレンブロック共重合体とエチレン/α-オレフィン共重合体とアンチブロッキング剤とを含有する単層の包装フィルムが提案されている。
特許文献3では、複数層から構成されるポリプロピレン系複合フィルムであって、プロピレン-エチレンブロック共重合体と合成シリカ系アンチブロッキング剤とを含むヒートシール層と、プロピレン-エチレンブロック共重合体の複数層からなるレトルト食品包装用積層体が提案されている。
特許文献4では、3層から構成されるポリプロピレン系複合フィルムであって、融解ピーク温度が130~145℃のポリプロピレン樹脂とアンチブロッキング剤とを含む表面層と、融解ピーク温度が120~145℃の結晶性プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体とエチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーとを含む中間層からなる包装用フィルムが提案されている。
特開2008-255285号公報 特開2001-261921号公報 特開2003-41068号公報 特開2004-358683号公報
ポリプロピレン系フィルムには、上述の耐ブロッキング性に加え、実用上は例えば120~135℃の高温で加圧処理を行って殺菌及び滅菌を行うレトルト処理等に耐えられる耐熱性や、内容物の視認性を維持できる透明性等も求められる。しかしながら、従来のポリプロピレン系フィルムでは、優れた耐熱性、優れた透明性、及び、優れた耐ブロッキング性の全てを達成することは困難であるのが現状である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた耐熱性、透明性及び耐ブロッキング性を有するポリプロピレン系の多層フィルムを提供することを目的とする。本発明はまた、当該多層フィルムを用いて得られる包装材及び包装体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、所定の層構成を有するポリプロピレン系多層フィルムにおいて、ヒートシール層となる外層に粒子径の異なる2種のアンチブロッキング粒子を所定量含ませることが重要であることを発明者らが見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の一側面に係る多層フィルムは、プロピレン単独重合体(A)、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)及びアンチブロッキング剤(C)を含有する、ヒートシール層である第一の外層と、プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)を含有する内層と、プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する第二の外層と、をこの順に備え、上記第一の外層におけるアンチブロッキング剤(C)の含有量が、プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)の全量100質量部に対して、0.5~3.0質量部であり、アンチブロッキング剤(C)が、アンチブロッキング剤(C)の全量に対し、平均粒子径1.0~4.0μmのアンチブロッキング粒子(C1)45~75質量%と、平均粒子径4.0μm超7.0μm以下のアンチブロッキング粒子(C2)55~25質量%とを含有する多層フィルムである。
上記多層フィルムでは、外層がプロピレン単独重合体(A)、及び、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する。プロピレン単独重合体(A)は、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)と比較して融点が高く、また、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)はフィルム表面を平滑化し易い。そのため、多層フィルムが上記構成を有する外層を備えることで、耐熱性(フィルムの変形や、包装体としたときに内面で融着が発生し難い高レベルの耐熱性)を維持しつつ、フィルムの透明性を低下させる要因である表面の凹凸を抑制することができる。また、第一の外層が粒子径の異なるアンチブロッキング粒子を所定量含有することにより、透明性を維持しつつ、フィルム表面の耐ブロッキング性が向上し、フィルム同士の密着を防ぐことができる。さらに、多層フィルムがプロピレン・エチレンブロック共重合体(D)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)を含有する内層を備えることで、多層フィルムの柔軟性維持、優れた耐寒衝撃性確保が可能となる。上記成分を含む内層は表面に凹凸が生じ易いが、上述した外層で内層を挟み込むことで内層表面の凹凸を外層で埋めることができ、優れた透明性を確保することができる。このような複合的な効果は、特許文献1~4に記載されたポリプロピレン系フィルムでは得ることができないものであり、特にレトルト処理(ハイレトルト処理含む)用途において好適な効果である。
例えば、上記特許文献1では、ポリプロピレン系フィルムの中心線平均粗さ(Ra)を規定することで、耐ブロッキング性を向上させているが、本質的に不透明な性質を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体を用いているため、透明性が不足する。また、上記特許文献2では、プロピレン-エチレンブロック共重合体及びアンチブロッキング剤により単層フィルムを形成し、上記特許文献3では、外層にプロピレン-エチレンブロック共重合体及びアンチブロッキング剤を用いているため、いずれも表面凹凸によって透明性が不足する。
上記特許文献4では、外層にポリプロピレン樹脂とアンチブロッキング剤、中間層に結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体とエチレン・α-オレフィンランダム共重合体エラストマーを用いているが、アンチブロッキング剤の併用は行われておらず、耐ブロッキング性に改善の余地がある。
一態様において、上記第一の外層が、上記アンチブロッキング剤を除く上記第一の外層の全量を基準として、上記プロピレン単独重合体(A)70~30質量%と、上記プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)30~70質量%とを含有してよく、また上記第二の外層が、上記第二の外層の全量を基準として、上記プロピレン単独重合体(A)70~30質量%と、上記プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)30~70質量%とを含有してよい。これにより、耐熱性と透明性とをより高水準で両立し易い。
一態様において、上記プロピレン単独重合体(A)が下記(a1)の要件を満たしてよく、また上記プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)が下記(b1)の要件を満たしてよい。これにより、耐熱性と透明性とをより高水準で両立し易い。
要件(a1):示差走査熱量測定による測定(JIS K 7121)での、融解開始温度が150℃以上、融解ピーク温度が155℃以上であること。
要件(b1):エチレン含有量が5質量%以下であること。
一態様において、上記内層が、上記内層の全量を基準として、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)90~50質量%と、上記エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)10~50質量%とを含有してよい。これにより、フィルムの柔軟性がより十分に維持され易く、且つ、より優れた耐寒衝撃性が得られ易い。
一態様において、上記第一の外層及び上記第二の外層の総厚が、上記多層フィルムの厚さを基準として16~42%であってよい。
本発明の一側面に係る包装材は、上記の多層フィルムと、基材と、を備える。
本発明の一側面に係る包装体は、上記の包装材から製袋される。
本発明によれば、優れた耐熱性、透明性及び耐ブロッキング性を有するポリプロピレン系の多層フィルムを提供することができる。また、本発明によれば、当該多層フィルムを用いて得られる包装材及び包装体を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る多層フィルムの断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る包装材の断面図である。
<ポリプロピレン系多層フィルム>
図1は、本発明の一実施形態に係る多層フィルムの断面図である。多層フィルム10は、第一の外層1aと、内層2と、第二の外層1bと、をこの順に備える。多層フィルムは、ポリプロピレン系無延伸シーラントフィルムとして用いることができる。
[第一の外層及び第二の外層]
第一の外層は、プロピレン単独重合体(A)、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)、及びアンチブロッキング剤(C)を含有する。第一の外層は、プロピレン単独重合体(A)、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)、及びアンチブロッキング剤(C)を含有する樹脂組成物から形成される層ということができる。包装材として用いられる場合、第一の外層がヒートシール層としての役割を有し(ヒートシール性を有し)、内容物に接するように配置される。このため、第一の外層は、レトルト処理時に第一の外層同士が融着しない程度の耐熱性を有する。また、加工時に滑り性が悪いことで生じるシワや、ブロッキングによるブロッキング跡が顕在化することなどを抑制するために、第一の外層は、他のフィルムやロールなどと密着しない程度の耐ブロッキング性を有する。
第二の外層は、プロピレン単独重合体(A)、及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する。第二の外層は、プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する樹脂組成物から形成される層ということができる。
第一の外層及び第二の外層が上記構成を有することにより、多層フィルムに耐熱性と透明性と耐ブロッキング性とを付与することができる。第一の外層及び第二の外層をまとめて、単に外層という場合がある。
(プロピレン単独重合体(A))
プロピレン単独重合体(A)は、その製造方法が特に制限されるものではないが、例えばチーグラー・ナッタ型触媒、メタロセン触媒、又はハーフメタロセン触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法により得ることができる。外層がプロピレン単独重合体(A)を含有することにより、外層に優れた耐熱性を付与することができる。
プロピレン単独重合体(A)としては、示差走査熱量測定(JIS K 7121)をした際の、融解開始温度が150℃以上、融解ピーク温度が155℃以上であるものを用いることができる。融解開始温度及び融解ピーク温度が共にこの範囲内であるものは、優れた耐熱性を有し、例えば高温でのレトルト処理を行った後に、包装体の内面で融着が発生し難い。
プロピレン単独重合体(A)としては、メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が2.0~7.0g/10分の範囲であるものを用いることができる。メルトフローレートは高分子材料の溶融時の流動性を示すパラメーターであり、また分子量を示すパラメーターでもある。そのため、メルトフローレートが高すぎると高分子材料の耐衝撃性が低下し易く、また、低すぎると成形加工時の押出機負荷が大きくなり、加工速度が低下し、生産性が低下し易い。これらの観点から、メルトフローレートは2.0~7.0g/10分とすることができ、2.0~5.0g/10分であってよい。
(プロピレン・エチレンランダム共重合体(B))
プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)は、その製造方法が特に制限されるものではないが、例えばチーグラー・ナッタ型触媒、メタロセン触媒、又はハーフメタロセン触媒を用いて、プロピレンからなる主モノマー中にコモノマーとしてエチレンを共重合することにより得ることができる。外層がプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有することにより、優れた透明性を有する多層フィルムを得ることができる。
プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)としては、示差走査熱量測定(JIS K 7121)をした際の、融解開始温度が140℃以上、融解ピーク温度が145℃以上であるものを用いることができる。融解開始温度及び融解ピーク温度が共にこの範囲内であるものは、優れた耐熱性を有し、例えば135℃で40分間の過酷なレトルト処理を行った後に、包装体の内面で融着が発生し難い。
プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)としては、示差走査熱量測定(JIS K 7121)をした際の、測定温度135℃より高温側の融解熱量ΔHと、低温側の融解熱量ΔHとの比率ΔH/ΔHが1.5~2.5の範囲であるものを用いることができる。上記比率が上限値以下であることで、フィルムの柔軟性が維持され、レトルト処理後にヒートシール部のエッジ切れを抑制でき、ヒートシール強度が低下し難い。上記比率の下限値は、レトルト処理後に包装体の内面で融着が発生し難い観点から1.5とすることができる。
プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)のエチレン含有量は5質量%以下とすることができる。エチレン含有量が上限値以下であることで、透明性を維持しつつも耐熱性が過度に低下せず、レトルト処理後に包装体の内面における融着を抑制し易くなる。この観点から、当該エチレン含有量は4.5質量%以下であってよく、4質量%以下であってよい。エチレン含有量の下限は特に限定されないが、フィルムの柔軟性が維持され、レトルト処理後にヒートシール部でエッジ切れを抑制でき、ヒートシール強度が低下し難い観点から、2質量%とすることができる。
プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)のエチレン含有量は、社団法人日本分析学会 高分子分析懇談会編集 高分子分析ハンドブック(2013年5月10日,第3刷)の412~413ページに記載の、エチレン含有量の定量方法(IR法)に従い測定することができる。
外層は、外層の全量(第一の外層においてはアンチブロッキング剤(C)を除く)を基準として、プロピレン単独共重合体(A)70~30質量%、及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)30~70質量%を含有してよい。プロピレン単独重合体(A)の含有量が30質量%以上であることで、優れた耐熱性を維持し易い。また、プロピレン単独重合体(A)の含有量が70質量%以下であることで、すなわち、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)の含有量が30質量%以上であることで、優れた透明性、ヒートシール性を発現し易い。これらの観点から、外層は、プロピレン単独重合体(A)60~40質量%、及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)40~60質量%を含有してよい。
外層は、プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)以外の他の成分(他の樹脂や添加剤)を含んでいてもよい。ただし、外層の全量(第一の外層においてはアンチブロッキング剤(C)を除く)を基準とした、プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)の合計量は、透明性及び耐熱性をより向上させる観点から、70質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
他の成分の一種として、プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)が挙げられるが、プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)の含有量は、外層の全量(第一の外層においてはアンチブロッキング剤(C)を除く)を基準として、10質量%以下であってよく、5質量%以下であってよく、0質量%であってよい。外層におけるプロピレン・エチレンブロック共重合体(D)の含有量を低くする、又は、外層がプロピレン・エチレンブロック共重合体(D)を含有しないことにより、透明性を低下させる要因となる凹凸が多層フィルムの表面に形成されることを抑制することができ、多層フィルムの透明性をより向上させることができる。
他の成分の一種としてスリップ剤が挙げられる。スリップ剤としては、エルカ酸アミドやビスオレイン酸アミド等の、フィルム成形時に用いられる一般的なスリップ剤が挙げられる。スリップ剤はフィルムの耐ブロッキング性及び滑り性を向上させる剤であるが、保管条件や製品加工条件によって表層へ移行し(ブリードアウト)、耐ブロッキング性が低下することがある。そのため、外層はスリップ剤を含まないことが望ましい。外層がスリップ剤を含まなくとも、所定のアンチブロッキング剤(C)を用いることで優れた耐ブロッキング性を得ることができる。
(アンチブロッキング剤(C))
アンチブロッキング剤(AB剤、ブロッキング防止剤)は、フィルム表面に凹凸を付与することでフィルム同士の密着(ブロッキング)を抑制する効果のある添加剤である。アンチブロッキング剤は高分子化合物に少量添加して用いられる。アンチブロッキング剤(C)をヒートシール層となる第一の外層に配合することで、第一の外層の表面に凹凸が付与され、フィルム同士やフィルムとロールとの接触面積を減らすことができ、耐ブロッキング性が向上する。これにより、フィルムの加工工程での滑り性、耐ブロッキング性を向上させることができる。アンチブロッキング剤としては、シリカ、ゼオライト、タルク、カオリン、珪藻土等の無機粒子や、アクリル系、シリコン系等の有機粒子(ポリマービーズ)が挙げられる。これらの粒子は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なお、これらの粒子には、ステアリン酸、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等を用いた表面処理が施されていてもよい。
アンチブロッキング剤(C)の含有量は、プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)の全量100質量部に対して、0.5~3.0質量部とすることができる。含有量が上記下限値以上であることにより、優れた耐ブロッキング性を確保することができる。一方、含有量が上記上限値以下であることにより、透明性が維持される。含有量が上記範囲内であることで、透明性と耐ブロッキング性との両立が可能となる。これらの観点から、アンチブロッキング剤(C)の含有量は、0.6~2.8質量部であってよく、0.6~2.75質量部であってよく、1.0~2.0質量部であってよい。
アンチブロッキング剤(C)は、平均粒子径の異なる2種類のアンチブロッキング粒子を含む。具体的には、アンチブロッキング剤(C)は、平均粒子径1.0~4.0μmのアンチブロッキング粒子(C1)と、平均粒子径4.0μm超7.0μm以下のアンチブロッキング粒子(C2)とを含有する。これにより、良好な透明性と耐ブロッキング性とを両立することができる。この観点から、アンチブロッキング粒子(C1)の平均粒子径は1.5~4.0μmであってよく、2.0~4.0μmであってよく、2.5~3.5μmであってよく、アンチブロッキング粒子(C2)の平均粒子径は4.0μm超6.5μm以下であってよく、4.0μm超6.0μm以下であってよく、4.5~5.5μmであってよい。アンチブロッキング粒子の平均粒子径は、コールターカウンター法(ISO 13319)で測定される。
アンチブロッキング剤(C)は、アンチブロッキング剤(C)の全量に対し、アンチブロッキング粒子(C1)45~75質量%と、アンチブロッキング粒子(C2)55~25質量%とを含有する。両アンチブロッキング粒子の配合量を上記範囲以内にすることで、透明性の低下を抑制しつつ、優れた耐ブロッキング性を確保することができる。この観点から、アンチブロッキング粒子(C1)の含有量は50~70質量%であってよく、アンチブロッキング粒子(C2)の含有量は50~30質量%であってよい。
第一の外層の表面粗さSaは、透明性と耐ブロッキング性とをより高水準で両立する観点から、0.07~0.12μmであってよく、0.09~0.10μmであってよい。第一の外層のスキューネスSskは、透明性と耐ブロッキング性とをより高水準で両立する観点から、1.5~5.0であってよく、3.0~4.0であってよい。第一の外層の表面粗さSa及びスキューネスSskは、レーザー顕微鏡により、ISO 25178に規定の算術平均高さSaと偏り度として測定することができる。
第一の外層形成後の、アンチブロッキング剤(C)の含有量や、アンチブロッキング粒子(C1)及び(C2)の配合割合は、例えばX線CTを用いた3次元測定により、層内のアンチブロッキング粒子を検出して算出することができる。
[内層]
内層は、プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)を含有する。内層は、低温環境で破袋しない耐衝撃性を得るために、柔軟性があることが望ましい。内層は、プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)を含有する樹脂組成物から形成される層ということができる。
(プロピレン・エチレンブロック共重合体(D))
プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)は、第一工程でプロピレン重合体(D1)を製造し、次いで、第二工程で気相重合によりエチレン-プロピレン共重合体(D2)を製造することで得ることができる共重合体である。プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)は、プロピレン重合体末端とエチレン-プロピレン共重合体末端が結合されたブロック共重合体ではなく、一種のブレンド系の共重合体である。内層がプロピレン・エチレンブロック共重合体(D)を含有することにより、フィルムの柔軟性が維持され、優れた耐寒衝撃性を得易い。
プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)としては、メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.5~2.5g/10分の範囲であるものを用いることができる。メルトフローレートが高くなりすぎるとフィルムの耐衝撃性が低下し易く、また、低すぎると成形加工時の押出機負荷が大きくなり、加工速度が低下し、生産性が低下し易い。これらの観点から、メルトフローレートは0.5~2.5g/10分とすることができ、1.0~2.0g/10分であってよい。
プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)は、上記プロピレン重合体(D1)90~60質量%及び上記エチレン-プロピレン共重合体(D2)10~40質量%を含有してよい。各成分がこの範囲であることにより、優れた耐寒衝撃性が得易い。
プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)に含まれている、エチレン-プロピレン共重合体(D2)のエチレン含有量は、特に制限はないが、20~40質量%とすることができる。エチレン含有量が上限値以下であることで、生成物のタック性を抑制することができ、製造時に生成物のタックによる汚染が生じ難く優れた生産性を維持し易い。エチレン含有量が下限値以上であることで、フィルムの柔軟性が維持され、優れた耐寒衝撃性を得易い。
(エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E))
エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)は、例えばヘキサン、ヘプタン、灯油等の不活性炭化水素、又はプロピレン等の液化α-オレフィン溶媒の存在下で行うスラリー重合法、無溶媒下の気相重合法などにより得ることができる。具体的には、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)は、公知の多段重合法を用いて得られる。すなわち、第1段の反応でプロピレン及び/又はプロピレン-α-オレフィン重合体を重合した後、第2段の反応でプロピレンとα-オレフィンとの共重合により得ることができる、重合型高ゴム含有ポリプロピレン系樹脂である。内層がエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)を含有することにより、フィルムに柔軟性を付与し易く、優れた耐寒衝撃性を得易い。
エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)としては、メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.5~3.5g/10分の範囲であるものを用いることができる。メルトフローレートが下限値以上であることで、成形加工時の押出機負荷が小さくなり、加工速度が低下し難く優れた生産性を維持し易い。メルトフローレートが上限値以下であることで、プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)とエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)との相容性が良好となり、透明性が低下し難い。
エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)としては、プロピレン含有量とエチレン含有量の質量比(プロピレン含有量/エチレン含有量)が1.5~4の範囲であるものを用いることができる。上記比が下限以上であることで、フィルムの柔軟性が維持され、優れた耐寒衝撃性を得易い。上記比が上限値以下であることで、プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)とエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)との相容性が良好となり、透明性が低下し難い。
内層は、内層の全量を基準として、プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)90~50質量%及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)10~50質量%を含有してよい。プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)の含有量が50質量%以上であることで、優れた耐寒衝撃性を維持し易い。また、プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)の含有量が90質量%以下であることで、すなわち、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)の含有量が少なくとも10質量%以上であることで、さらに優れたヒートシール性を発現することができる。これらの観点から、内層は、プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)80~60質量%、及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)20~40質量%を含有してよい。
内層は、プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)以外の他の成分(他の樹脂や添加剤)を含んでいてもよい。ただし、内層の全量を基準とした、プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)の合計量は、柔軟性及び耐寒衝撃性をより向上させる観点から、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
[層の厚さ]
多層フィルムの厚さは、例えば包装材料用のフィルムとして使用可能な範囲であれば特に制限されることはないが、フィルムが厚すぎる場合にはコストデメリットとなる。このため、多層フィルムの厚さは100μm以下とすることができ、50~70μmであってよい。
外層の厚さ(すなわち第一の外層及び第二の外層の総厚)は、多層フィルムの厚さを基準として16~42%であってよく、25~42%であってよい。外層の厚さの割合が下限値以上であることで、優れた透明性を得易く、また上限値以下であることで、フィルムの耐衝撃性及びヒートシール性の低下を抑制することができ、実用性が得られ易い。第一の外層の厚さは、耐ブロッキング性向上の観点から7~20μmとすることができ、10~15μmとすることができる。
内層の厚さは20μm以上とすることができ、30μm以上であってよい。これにより、フィルムの柔軟性が維持され、レトルト処理後にフィルムが破断し難くなり、ヒートシール強度が低下し難い。内層の厚さ上限は特に制限されないが、例えばコストの観点から、80μm以下とすることができ、70μm以下であってよく、50μm以下であってよい。
<多層フィルムの製造方法>
多層フィルムを製造する方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を使用することが可能である。例えば、熱成形加工の方法としては、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が挙げられる。作業性を考慮した場合、単軸スクリュー押出機又は2軸スクリュー押出機を使用することができる。単軸押出機を用いる場合、スクリューとしては、フルフライトスクリュー、ミキシングエレメントを持つスクリュー、バリアフライトスクリュー、フルーテッドスクリュー等が挙げられ、これらを特に制限なく使用することができる。2軸混練装置としては、同方向回転2軸スクリュー押出機、異方向回転2軸スクリュー押出機等を用いることができ、またスクリュー形状としてはフルフライトスクリュー、ニーディングディスクタイプ等特に限定なく用いることができる。
上記方法において、多層フィルムを単軸押出機又は2軸押出機等により溶融したのち、フィードブロック又はマルチマニホールドを介しTダイで製膜する方法を用いることが可能である。
得られた多層フィルムは、必要に応じて適宜後工程適性を向上する表面改質処理を施されてよい。例えば、単体フィルム使用時の印刷適性向上や、積層使用時のラミネート適性向上のために、印刷面や基材と接触する面に対して表面改質処理を行ってよい。表面改質処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理等のフィルム表面を酸化させることにより官能基を生じさせる処理や、コーティングにより易接着層を形成するウェットプロセスによる改質処理が挙げられる。
<包装材>
多層フィルムは、単体フィルムとして用いてもよく、基材と積層して用いてもよく、その包装材としての使用方法は特に制限されるものではない。
多層フィルムを基材と積層して用いる場合、包装材は、上記の多層フィルムと基材とを備えることができる。そのような包装材は、具体的には上記の多層フィルム10に、二軸延伸ポリアミドフィルム(ONy)、二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)、印刷紙、金属箔(AL箔)、透明蒸着フィルム等の基材を少なくとも1層積層し、積層体を形成することで得ることができる。図2は、本発明の一実施形態に係る包装材の断面図である。同図に示す包装材100は、多層フィルム10、接着層3、透明蒸着フィルム4、接着層5、及び基材フィルム6をこの順に備える。この場合、包装材100は、多層フィルム10側(第一の外層1a側)が内容物側となるように用いられる。積層体の製造方法は、このように積層体を構成するフィルムに接着剤を用いて貼合せる通常のドライラミネート法が好適に採用できるが、必要に応じて多層フィルムを基材上に直接押出ラミネートする方法も採用することができる。
積層体の積層構造は、包装体の要求特性、例えば包装する食品の品質保持期間を満たすバリア性、内容物の重量に対応できるサイズ・耐衝撃性、内容物の視認性等に応じて適宜調整することができる。
<包装体>
包装体は上記の包装材から製袋されてよく、その製袋様式に関してはとくに制限されない。例えば上記の包装材(積層体)は、多層フィルムをシール材とする、平袋、三方袋、合掌袋、ガゼット袋、スタンディングパウチ、スパウト付きパウチ、ビーク付きパウチ等に用いることが可能である。
<本実施形態の概要>
[発明1]
プロピレン単独重合体(A)、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)及びアンチブロッキング剤(C)を含有する、ヒートシール層である第一の外層と、
プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)を含有する内層と、
プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する第二の外層と、をこの順に備え、
前記アンチブロッキング剤(C)の含有量が、前記プロピレン単独重合体(A)及び前記プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)の全量100質量部に対し0.5~3.0質量部であり、
前記アンチブロッキング剤(C)が、前記アンチブロッキング剤(C)の全量に対し、平均粒子径1.0~4.0μmのアンチブロッキング粒子(C1)45~75質量%と、平均粒子径4.0μm超7.0μm以下のアンチブロッキング粒子(C2)55~25質量%とを含有する、多層フィルム。
[発明2]
前記第一の外層が、前記アンチブロッキング剤(C)を除く前記第一の外層の全量を基準として、前記プロピレン単独重合体(A)70~30質量%と、前記プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)30~70質量%とを含有し、
前記第二の外層が、前記第二の外層の全量を基準として、前記プロピレン単独重合体(A)70~30質量%と、前記プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)30~70質量%とを含有する、発明1に記載の多層フィルム。
[発明3]
前記プロピレン単独重合体(A)が下記(a1)の要件を満たし、前記プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)が下記(b1)の要件を満たす、発明1又は2に記載の多層フィルム。
要件(a1):示差走査熱量測定による測定(JIS K 7121)での、融解開始温度が150℃以上、融解ピーク温度が155℃以上であること。
要件(b1):エチレン含有量が5質量%以下であること。
[発明4]
前記内層が、前記内層の全量を基準として、前記プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)90~50質量%と、前記エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)10~50質量%とを含有する、発明1~3のいずれか一に記載の多層フィルム。
[発明5]
前記第一の外層及び前記第二の外層の総厚が、前記多層フィルムの厚さを基準として16~42%である、発明1~4のいずれか一に記載の多層フィルム。
[発明6]
発明1~5のいずれか一に記載の多層フィルムと、基材と、を備える包装材。
[発明7]
発明6に記載の包装材から製袋された包装体。
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
<各種材料の準備>
以下に示すプロピレン単独重合体(A)(樹脂(A))、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)(樹脂(B))、プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)(樹脂(D))、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)(樹脂(E))、及び平均粒子径の異なる3種のアンチブロッキング粒子(C)(シリカ(C1)、シリカ(C2)、シリカ(C3))を準備した。
(プロピレン単独重合体(A))
示差走査熱量測定(JIS K 7121)をした際の、融解開始温度が153℃、融解ピーク温度が159℃であり、かつメルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が3.0g/10分であるプロピレン単独重合体。
(プロピレン・エチレンランダム共重合体(B))
示差走査熱量測定(JIS K 7121)をした際の、融解開始温度が142℃、融解ピーク温度が147℃、ΔH/ΔHが1.84であり、かつエチレン含有量が3.4質量%であるプロピレン・エチレンランダム共重合体。
エチレン含有量の測定は、社団法人日本分析学会 高分子分析懇談会編集 高分子分析ハンドブック(2013年5月10日,第3刷)の412~413ページに記載の、エチレン含有量の定量方法(IR法)に従い行った。
ΔH/ΔHは、示差走査熱量測定(JIS K 7121)をした際の、測定温度135℃より高温側の融解熱量ΔHと、低温側の融解熱量ΔHとの比率である。
(プロピレン・エチレンブロック共重合体(D))
メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が2.0g/10分であり、プロピレン重合体77.1質量%及びエチレン-プロピレン共重合体22.9質量%を含有し、エチレン-プロピレン共重合体に含まれるエチレン含有量が28.7質量%であるプロピレン・エチレンブロック共重合体。
(エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E))
メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.6g/10分であり、かつプロピレン含有量とエチレン含有量の質量比(プロピレン含有量/エチレン含有量)が2.7であるエチレン・プロピレン共重合体エラストマー。
(アンチブロッキング剤(C)(AB剤))
シリカ(C1):平均粒子径(コールターカウンター測定、ISO 13319)が3μmであるシリカ粒子。
シリカ(C2):平均粒子径(コールターカウンター測定、ISO 13319)が5μmであるシリカ粒子。
シリカ(C3):平均粒子径(コールターカウンター測定、ISO 13319)が10μmであるシリカ粒子。
<多層フィルムの作製>
(実施例1)
第一の外層形成用に、プロピレン単独重合体(A)50質量部、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)50質量部及びアンチブロッキング剤(C)であるシリカ(C1)及びシリカ(C2)をペレット状態で混合した樹脂混合体を準備した。アンチブロッキング剤(C)の全配合量は、プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)の全量100質量部に対して、2.0質量部とし、シリカ(C1)及びシリカ(C2)の配合量を、アンチブロッキング剤全量に対し、それぞれ50質量%ずつとした。
第二の外層形成用に、プロピレン単独重合体(A)50質量部及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)50質量部をペレット状態で混合した樹脂混合体を準備した。
内層形成用に、プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)67.8質量部及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)32.2質量部をペレット状態で混合した樹脂混合体を準備した。
各樹脂混合体を、250℃に温調した押出機に供給し、溶融状態にて混錬して、フィードブロックを持つTダイ押出機にて第一の外層及び第二の外層の厚さがそれぞれ10μm、内層の厚さが40μmとなるように積層し、実施例1のフィルムを作製した。
(実施例2~3)
アンチブロッキング剤(C)の全配合量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2~3のフィルムを作製した。
(実施例4~6)
シリカ(C1)とシリカ(C2)の配合割合とアンチブロッキング剤の全配合量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして実施例4~6のフィルムを作製した。
(比較例1)
アンチブロッキング剤(C)を配合しない以外は、実施例1と同様にして比較例1のフィルムを作製した。
(比較例2)
アンチブロッキング剤(C)としてシリカ(C1)のみ使用した以外は、実施例1と同様にして比較例2のフィルムを作製した。
(比較例3)
アンチブロッキング剤(C)としてシリカ(C2)のみ使用した以外は、実施例1と同様にして比較例3のフィルムを作製した。
(比較例4~5)
アンチブロッキング剤(C)の全配合量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして比較例4~5のフィルムを作製した。
(比較例6~7)
シリカ(C1)及びシリカ(C2)の配合割合とアンチブロッキング剤(C)の全配合量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして比較例6~7のフィルムを作製した。
(比較例8)
シリカ(C1)に代えてシリカ(C3)を用い、その配合割合と全配合量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして比較例8のフィルムを作製した。
(比較例9)
シリカ(C2)に代えてシリカ(C3)を用い、その配合割合と全配合量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして比較例9のフィルムを作製した。
<各種評価>
各例で得られたフィルムに対し以下の評価を行った。結果を表1又は表2に示す。
[ヘーズ測定]
各例で得られたフィルムを用いて297mm×420mmの袋を作製し、内部に水を800g入れて密封し、135℃で40分間レトルト処理を行った。レトルト処理後の袋から50mm×50mmのフィルムサンプルを切り出し、JIS K7136に記載されているヘーズの測定方法に則り、日本電色工業株式会社製のヘーズメーター(型番COH7700)を用いて評価を実施した。ヘーズ値が低いほど透明性が良好であるため、以下の4基準でヘーズ値を判定した。
S:15%以下
A:15%超20%以下
B:20%超25%以下
C:25%超
[融着強度測定]
テスター産業株式会社製のヒートシーラーを用いて、シール圧0.03MPa、シール時間30秒間、シール幅10mm、シール温度135℃の条件で、各例で得られたフィルム同士を、第一の外層を対向させてヒートシールした。その後、ヒートシールされたフィルムを15mm幅×80mmに切出し、株式会社島津製作所製の引張試験機を用いて、300mm/minの引張速度でT字剥離を行い、ヒートシール部分の融着強度を測定した。融着強度が低いほど耐熱性が良好であるため、以下の4基準で融着強度を判定した。
S:0.5N/15mm以下
A:0.5N/15mm超1N/15mm以下
B:1N/15mm超2N/15mm以下
C:2N/15mm超
[ブロッキング強度測定]
各例で得られたフィルムを120mm幅×300mmに4枚ずつ切り出した。そして、2枚のフィルムを第一の外層と第二の外層とが対向するように重ねたものを2組作り、さらにそれらを第一の外層と第二の外層とが対向するように重ねた。株式会社東伸製のスリッターを用いて、3インチのコアに、巻取速度10m/minの条件で、まず100mm幅のPETフィルム(東洋紡フィルムソリューション株式会社製、商品名:G2#25)を10m巻き取った後、切り出した4枚のフィルムを上記のとおり重ねた状態で挿入し、同条件で更に20m巻き取ることで4枚のフィルムを加圧した。この際、フィルムが0.3MPa(富士フィルム社製の圧力測定フィルム「プレスケール」LLLW及びプレスケール圧力画像解析システムFPD-9210により計測)の力で加圧された状態になるように調整した。巻き取ったロールを40℃のエージングルームに7日間置いた後、フィルムを2枚ずつ(上記の2組)に分けて、幅30mm×長さ100mmに切り出したのち、密着したフィルムを長さ方向の両端から長さ方向にそれぞれ35mm剥離し、剥離した部分について一端側は上のフィルムを切り落とし、他端側は下のフィルムを切り落として、密着面積が30mm×30mmとなるようにサンプルを作製した。得られたサンプルについて、株式会社島津製作所製の引張試験機を用いて、300mm/minの引張速度でせん断剥離を行い、ブロッキング強度を測定した。測定を5回実施し、その平均値を測定値とした。ブロッキング強度は低いほど耐ブロッキング性が良好であるため、以下の4基準でブロッキング強度を判定した。
S:5N/900mm以下
A:5N/900mm超10N/900mm以下
B:10N/900mm超15N/900mm以下
C:15N/900mm
[表面性状評価]
各例で得られたフィルムの第一の外層の表面粗さSa及びスキューネスSskを、レーザー顕微鏡により、ISO 25178に規定の算術平均高さSaと偏り度として測定した。
Figure 2023153131000002
Figure 2023153131000003
本発明のポリプロピレン系の多層フィルムは、高水準の耐熱性、透明性及び耐ブロッキング性を有しており、レトルト包装用シーラントフィルムに好適に使用できる。
10…多層フィルム、100…包装材、1a…第一の外層、1b…第二の外層、2…内層、3…接着層、4…透明蒸着フィルム、5…接着層、6…基材フィルム。

Claims (7)

  1. プロピレン単独重合体(A)、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)及びアンチブロッキング剤(C)を含有する、ヒートシール層である第一の外層と、
    プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)を含有する内層と、
    プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する第二の外層と、をこの順に備え、
    前記アンチブロッキング剤(C)の含有量が、前記プロピレン単独重合体(A)及び前記プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)の全量100質量部に対し0.5~3.0質量部であり、
    前記アンチブロッキング剤(C)が、平均粒子径の異なる2種のアンチブロッキング粒子を含有し、
    レーザー顕微鏡により測定される、前記第一の外層の表面粗さSaが0.07~0.12μmであり、スキューネスSskが1.5~5.0である、多層フィルム。
  2. 前記第一の外層が、前記アンチブロッキング剤(C)を除く前記第一の外層の全量を基準として、前記プロピレン単独重合体(A)70~30質量%と、前記プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)30~70質量%とを含有し、
    前記第二の外層が、前記第二の外層の全量を基準として、前記プロピレン単独重合体(A)70~30質量%と、前記プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)30~70質量%とを含有する、請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記プロピレン単独重合体(A)が下記(a1)の要件を満たし、前記プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)が下記(b1)の要件を満たす、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
    要件(a1):示差走査熱量測定による測定(JIS K 7121)での、融解開始温度が150℃以上、融解ピーク温度が155℃以上であること。
    要件(b1):エチレン含有量が5質量%以下であること。
  4. 前記内層が、前記内層の全量を基準として、前記プロピレン・エチレンブロック共重合体(D)90~50質量%と、前記エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(E)10~50質量%とを含有する、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
  5. 前記第一の外層及び前記第二の外層の総厚が、前記多層フィルムの厚さを基準として16~42%である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
  6. 請求項1又は2に記載の多層フィルムと、基材と、を備える包装材。
  7. 請求項6に記載の包装材から製袋された包装体。
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