JP2023150206A - リチウムイオン電池用電極及びリチウムイオン電池 - Google Patents

リチウムイオン電池用電極及びリチウムイオン電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高容量化と充放電性能とを両立し、かつ、製造工程においてハンドリング性の向上したリチウムイオン電池用電極を提供する。【解決手段】集電体と、上記集電体の一方の面に接する電極活物質層とを備え、上記集電体は、樹脂と少なくとも1種の導電性フィラーとを含み、平均厚みが30~100μmであり、上記電極活物質層は、電極活物質粒子の表面の少なくとも一部が高分子化合物及び導電性フィラーを含む被覆層で被覆された被覆電極活物質粒子を含み、上記電極活物質層の平均厚みは、160~1100μmであり、かつ、上記集電体の平均厚みの5倍以上22倍以下であるリチウムイオン電池用電極。【選択図】 なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池用電極及びリチウムイオン電池に関する。
リチウムイオン電池は、高エネルギー密度、高出力密度が達成できる二次電池として、近年様々な用途に多用されている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極活物質粒子又は負極活物質粒子等を、正極用集電体又は負極用集電体にそれぞれ塗布して電極を構成している。
また、双極型の電池の場合には、集電体の一方の面にバインダを用いて正極活物質粒子等を塗布して正極活物質層を、反対側の面にバインダを用いて負極活物質粒子等を塗布して負極活物質層を有する双極型電極を構成している。
電極の膜厚を厚くすることができれば集電体やセパレータの相対的な割合を減少させることができ、電池の高容量化に有効であると考えられる。
しかしながら、電極の厚さを厚くすると、電極活物質粒子自体の電子伝導性は高くないため電極の電子伝導性が悪くなる。また、電極内空隙も増加するため電極空隙内のイオン拡散抵抗が大きくなり、大電流における充放電容量が大きく低下してしまうという問題が生じてしまう。
このような課題に対して、例えば、特許文献1では、導電助剤として、平均繊維長が50nm以上100μm未満である短繊維と、平均繊維長が100μm以上1000μm以下である長繊維を用いることで高容量化とレート特性の両立を図ったが、更なる高容量化や、サイクル特性やクーロン効率といった充放電性能において改善の余地があった。
また、特許文献1においては、電極が非結着型の場合に電池作製工程で電極を反転すると集電体から厚膜化して重量が増した電極活物質層が脱落する場合があり、電池の製造効率が著しく悪化するという新たな課題も発生した。
特開2016-189325号公報
リチウムイオン電池の高容量化と、サイクル特性やクーロン効率といった充放電性能との両立及び製造工程における電極のハンドリング性の向上が課題である。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、高容量化と充放電性能(サイクル特性、クーロン効率)とを両立し、かつ、製造工程においてハンドリング性の向上したリチウムイオン電池用電極を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討したところ、集電体と、上記集電体の一方の面に接する電極活物質層とを備えるリチウムイオン電池用電極において、集電体が樹脂と少なくとも1種の導電性フィラーとを含み、平均厚みが所定の範囲であり、電極活物質層が電極活物質粒子の表面の少なくとも一部が高分子化合物及び導電性フィラーを含む被覆層で被覆された被覆電極活物質粒子を含み、平均厚みが所定の範囲、かつ、集電体の平均厚みに対して所定の範囲とすることにより、高容量化と充放電性能とを両立し、かつ、製造工程においてハンドリング性の向上したリチウムイオン電池用電極を提供できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、集電体と、上記集電体の一方の面に接する電極活物質層とを備え、上記集電体は、樹脂と少なくとも1種の導電性フィラーとを含み、平均厚みが30~100μmであり、上記電極活物質層は、電極活物質粒子の表面の少なくとも一部が高分子化合物及び導電性フィラーを含む被覆層で被覆された被覆電極活物質粒子を含み、上記電極活物質層の平均厚みは、160~1100μmであり、かつ、上記集電体の平均厚みの5倍以上22倍以下であるリチウムイオン電池用電極;本発明のリチウムイオン電池用電極を正極及び負極に備えたリチウムイオン電池である。
高容量化と充放電性能とを両立し、かつ、製造工程においてハンドリング性の向上したリチウムイオン電池用電極を提供することができる。
<リチウムイオン電池用電極>
本発明のリチウムイオン電池用電極は、集電体と、上記集電体の一方の面に接する電極活物質層とを備え、上記集電体は、樹脂と少なくとも1種の導電性フィラーとを含み、平均厚みが30~100μmであり、上記電極活物質層は、電極活物質粒子の表面の少なくとも一部が高分子化合物及び導電性フィラーを含む被覆層で被覆された被覆電極活物質粒子を含み、上記電極活物質層の平均厚みは、160~1100μmであり、かつ、上記集電体の平均厚みの5倍以上22倍以下である。
まずは、集電体について説明する。
(集電体)
集電体は、樹脂を含む。
樹脂としては、特に制限はないが、ポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリオレフィン[ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、及びポリシクロオレフィン(PCO)等]が挙げられる。より好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)が挙げられる。
また、これらのポリオレフィン樹脂の変性物(以下、変性ポリオレフィンという)又は混合物であってもよい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、以下のものが市場から入手できる。
PE:「ノバテックLL UE320」「ノバテックLL UJ960」いずれも日本ポリエチレン(株)製
PP:「サンアロマーPM854X」「サンアロマーPC684S」「サンアロマーPL500A」「サンアロマーPC630S」「サンアロマーPC630A」「サンアロマーPC900A」「サンアロマーPM900A」「サンアロマーPB522M」「クオリアCM688A」いずれもサンアロマー(株)製、「プライムポリマーJ-2000GP」(株)プライムポリマー製、「ウィンテックWFX4T」日本ポリプロ(株)製
PMP:「TPX」三井化学(株)製
変性ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの共重合体に極性官能基を導入したものが挙げられ、極性官能基としては、カルボキシル基、1,3-ジオキソ-2-オキサプロピレン基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基及びイミド基等が挙げられる。
ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの共重合体に極性官能基を導入した変性ポリオレフィンの例としては、三井化学株式会社製アドマーシリーズ等が市販されている。
樹脂の含有量は、集電体の強度の観点から、集電体の重量を基準として、20~80重量%であることが好ましく、30~75重量%であることが好ましく、60~75重量%であることがさらに好ましい。
集電体は、少なくとも1種の導電性フィラーを含む。
導電性フィラーとしては、導電性を有する材料から選択される。
具体的には、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電性フィラーは1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電性フィラーとしては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電性フィラーの材料のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
導電性フィラーの平均粒子径は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01~10μmであることが好ましく、0.02~5μmであることがより好ましく、0.03~1μmであることがさらに好ましい。
なお、本明細書中において、「粒子径」とは、粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の観察手段を用い、数~数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
導電性フィラーの形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、カーボンナノチューブ等、いわゆるフィラー系導電性樹脂組成物として実用化されている形態であってもよい。
導電性フィラーは、その形状が繊維状である導電性繊維であってもよい。導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレスのような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。また、グラフェンを練りこんだポリプロピレン樹脂も好ましい。導電性フィラーが導電性繊維である場合、その平均繊維径は0.1~20μmであることが好ましい。
導電性フィラーの重量割合は、集電体の重量を基準として、10~70重量%であることが好ましく、15~50重量%であることがより好ましく、20~40重量%であることがさらに好ましい。特に、導電性フィラーがカーボンの場合、導電性フィラーの重量割合は、集電体の重量を基準として、20~30重量%であることが好ましい。
集電体は、必要に応じて、その他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、分散剤、着色剤、紫外線吸収剤、シリコーンオイル、可塑剤(フタル酸骨格含有化合物、トリメリット酸骨格含有化合物、リン酸基含有化合物及びエポキシ骨格含有化合物等)等が挙げられる。
分散剤としては、三洋化成工業(株)製ユーメックスシリーズ、東洋紡(株)製ハードレンシリーズ、トーヨータックシリーズ、サンノプコ社製SNスパース70等を用いることができる。
着色剤、紫外線吸収剤及び可塑剤等は、公知のものを適宜選択して用いることができる。
その他の成分の合計含有量は、集電体の重量を基準として0.001~5重量%であることが好ましい。
集電体は、平均厚みが30~100μmである。
集電体の平均厚みが上記範囲であることにより、後述する電極活物質層の厚みを大きく(高容量化)してもサイクル特性やクーロン効率といった充放電性能を十分に付与することができる。
集電体の平均厚みが30μm未満であると、集電体の作製が困難になることがあり、集電体の平均厚みが100μmを超えると、リチウム電池の体積エネルギー密度が低下することがある。
集電体は、平均厚みの下限が40μmであることが好ましく、平均厚みの上限が75μmであることが好ましい。
集電体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法により製造することができる。
ポリオレフィン樹脂、及び、導電性フィラー、必要に応じてその他の成分を混合することにより、樹脂組成物を得る。
混合の方法としては、導電性フィラーのマスターバッチを得てから、さらに樹脂と混合する方法、及び、全ての原料を一括して混合する方法等がある。その混合はペレット状又は粉体状の成分を適切な公知の混合機、例えばニーダー、インターナルミキサー、バンバリーミキサー及びロールを用いて混合することで行うことができる。
混合時の各成分の添加順序には特に限定はない。得られた混合物は、さらにペレタイザーなどによりペレット化又は粉末化してもよい。
得られた樹脂組成物を例えばフィルム状に成形することにより集電体が得られる。フィルム状に成形する方法としては、Tダイ法、インフレーション法及びカレンダー法等の公知のフィルム成形法が挙げられる。なお、集電体は、フィルム成形以外の成形方法によっても得ることができる。
(電極活物質層)
電極活物質層は、電極活物質粒子の表面の少なくとも一部が高分子化合物及び導電性フィラーを含む被覆層で被覆された被覆電極活物質粒子を含む。
電極活物質粒子としては、正極活物質粒子及び負極活物質粒子のいずれであってもよい。
正極活物質粒子としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物{遷移金属が1種である複合酸化物(LiCoO、LiNiO、LiAlMnO、LiMnO及びLiMn等)、遷移金属元素が2種である複合酸化物(例えばLiFeMnO、LiNi1-xCo、LiMn1-yCo、LiNi1/3Co1/3Al1/3及びLiNi0.8Co0.15Al0.05)及び金属元素が3種以上である複合酸化物[例えばLiMM’M’’(M、M’及びM’’はそれぞれ異なる遷移金属元素であり、a+b+c=1を満たす。例えばLiNi1/3Mn1/3Co1/3)等]等}、リチウム含有遷移金属リン酸塩(例えばLiFePO、LiCoPO、LiMnPO及びLiNiPO)、遷移金属酸化物(例えばMnO及びV)、遷移金属硫化物(例えばMoS及びTiS)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリ-p-フェニレン及びポリビニルカルバゾール)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
なお、リチウム含有遷移金属リン酸塩は、遷移金属サイトの一部を他の遷移金属で置換したものであってもよい。
正極活物質粒子の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01~100μmであることが好ましく、0.1~35μmであることがより好ましく、2~30μmであることが更に好ましい。
本明細書において体積平均粒子径は、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(Dv50)を意味する。マイクロトラック法とは、レーザー光を粒子に照射することによって得られる散乱光を利用して粒度分布を求める方法である。なお、体積平均粒子径の測定には、日機装(株)製のマイクロトラック等を用いることができる。
負極活物質粒子としては、炭素系材料[黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、アモルファス炭素、樹脂焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)及び炭素繊維等]、珪素系材料[珪素、酸化珪素(SiOx)、珪素-炭素複合体(炭素粒子の表面を珪素及び/又は炭化珪素で被覆したもの、珪素粒子又は酸化珪素粒子の表面を炭素及び/又は炭化珪素で被覆したもの並びに炭化珪素等)及び珪素合金(珪素-アルミニウム合金、珪素-リチウム合金、珪素-ニッケル合金、珪素-鉄合金、珪素-チタン合金、珪素-マンガン合金、珪素-銅合金及び珪素-スズ合金等)等]、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、金属(スズ、アルミニウム、ジルコニウム及びチタン等)、金属酸化物(チタン酸化物及びリチウム・チタン酸化物等)及び金属合金(例えばリチウム-スズ合金、リチウム-アルミニウム合金及びリチウム-アルミニウム-マンガン合金等)等及びこれらと炭素系材料との混合物等が挙げられる。
上記負極活物質粒子のうち、内部にリチウム又はリチウムイオンを含まないものについては、予め負極活物質粒子の一部又は全部にリチウム又はリチウムイオンを含ませるプレドープ処理を施してもよい。
負極活物質粒子の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01~100μmであることが好ましく、0.1~60μmであることがより好ましく、2~40μmであることが更に好ましい。
電極活物質粒子の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層は、高分子化合物を含む。
高分子化合物としては、例えば、アクリルモノマー(a)を必須構成単量体とする重合体を含む樹脂であることが好ましい。
具体的には、被覆電極活物質粒子の被覆層を構成する高分子化合物は、アクリルモノマー(a)として、アクリル酸(a0)を含む単量体組成物の重合体であることが好ましい。上記単量体組成物において、アクリル酸(a0)の含有量は、単量体全体の重量を基準として90重量%を超え、98重量%以下であることが好ましい。被覆層の柔軟性の観点から、アクリル酸(a0)の含有量は、単量体全体の重量を基準として93.0~97.5重量%であることがより好ましく、95.0~97.0重量%であることが更に好ましい。
被覆層を構成する高分子化合物は、アクリルモノマー(a)として、アクリル酸(a0)以外のカルボキシル基又は酸無水物基を有するモノマー(a1)を含有してもよい。
アクリル酸(a0)以外のカルボキシル基又は酸無水物基を有するモノマー(a1)としては、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等の炭素数3~15のモノカルボン酸;(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の炭素数4~24のジカルボン酸;アコニット酸等の炭素数6~24の3価~4価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸等が挙げられる。
被覆層を構成する高分子化合物は、アクリルモノマー(a)として、下記一般式(1)で表されるモノマー(a2)を含有してもよい。
CH=C(R)COOR (1)
[式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数4~12の直鎖アルキル基又は炭素数3~36の分岐アルキル基である。]
上記一般式(1)で表されるモノマー(a2)において、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rはメチル基であることが好ましい。
は、炭素数4~12の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は、炭素数13~36の分岐アルキル基であることが好ましい。
モノマー(a2)は、Rの基によって(a21)と(a22)に分類される。
(a21)Rが炭素数4~12の直鎖又は分岐アルキル基であるエステル化合物
炭素数4~12の直鎖アルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基が挙げられる。
炭素数4~12の分岐アルキル基としては、1-メチルプロピル基(sec-ブチル基)、2-メチルプロピル基、1,1-ジメチルエチル基(tert-ブチル基)、1-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基(ネオペンチル基)、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、1,1-ジメチルペンチル基、1,2-ジメチルペンチル基、1,3-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、5-メチルヘプチル基、6-メチルヘプチル基、1,1-ジメチルヘキシル基、1,2-ジメチルヘキシル基、1,3-ジメチルヘキシル基、1,4-ジメチルヘキシル基、1,5-ジメチルヘキシル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、1-メチルオクチル基、2-メチルオクチル基、3-メチルオクチル基、4-メチルオクチル基、5-メチルオクチル基、6-メチルオクチル基、7-メチルオクチル基、1,1-ジメチルヘプチル基、1,2-ジメチルヘプチル基、1,3-ジメチルヘプチル基、1,4-ジメチルヘプチル基、1,5-ジメチルヘプチル基、1,6-ジメチルヘプチル基、1-エチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、1-メチルノニル基、2-メチルノニル基、3-メチルノニル基、4-メチルノニル基、5-メチルノニル基、6-メチルノニル基、7-メチルノニル基、8-メチルノニル基、1,1-ジメチルオクチル基、1,2-ジメチルオクチル基、1,3-ジメチルオクチル基、1,4-ジメチルオクチル基、1,5-ジメチルオクチル基、1,6-ジメチルオクチル基、1,7-ジメチルオクチル基、1-エチルオクチル基、2-エチルオクチル基、1-メチルデシル基、2-メチルデシル基、3-メチルデシル基、4-メチルデシル基、5-メチルデシル基、6-メチルデシル基、7-メチルデシル基、8-メチルデシル基、9-メチルデシル基、1,1-ジメチルノニル基、1,2-ジメチルノニル基、1,3-ジメチルノニル基、1,4-ジメチルノニル基、1,5-ジメチルノニル基、1,6-ジメチルノニル基、1,7-ジメチルノニル基、1,8-ジメチルノニル基、1-エチルノニル基、2-エチルノニル基、1-メチルウンデシル基、2-メチルウンデシル基、3-メチルウンデシル基、4-メチルウンデシル基、5-メチルウンデシル基、6-メチルウンデシル基、7-メチルウンデシル基、8-メチルウンデシル基、9-メチルウンデシル基、10-メチルウンデシル基、1,1-ジメチルデシル基、1,2-ジメチルデシル基、1,3-ジメチルデシル基、1,4-ジメチルデシル基、1,5-ジメチルデシル基、1,6-ジメチルデシル基、1,7-ジメチルデシル基、1,8-ジメチルデシル基、1,9-ジメチルデシル基、1-エチルデシル基、2-エチルデシル基等が挙げられる。これらの中では、特に、2-エチルヘキシル基が好ましい。
(a22)Rが炭素数13~36の分岐アルキル基であるエステル化合物
炭素数13~36の分岐アルキル基としては、1-アルキルアルキル基[1-メチルドデシル基、1-ブチルエイコシル基、1-ヘキシルオクタデシル基、1-オクチルヘキサデシル基、1-デシルテトラデシル基、1-ウンデシルトリデシル基等]、2-アルキルアルキル基[2-メチルドデシル基、2-ヘキシルオクタデシル基、2-オクチルヘキサデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ウンデシルトリデシル基、2-ドデシルヘキサデシル基、2-トリデシルペンタデシル基、2-デシルオクタデシル基、2-テトラデシルオクタデシル基、2-ヘキサデシルオクタデシル基、2-テトラデシルエイコシル基、2-ヘキサデシルエイコシル基等]、3~34-アルキルアルキル基(3-アルキルアルキル基、4-アルキルアルキル基、5-アルキルアルキル基、32-アルキルアルキル基、33-アルキルアルキル基及び34-アルキルアルキル基等)、並びに、プロピレンオリゴマー(7~11量体)、エチレン/プロピレン(モル比16/1~1/11)オリゴマー、イソブチレンオリゴマー(7~8量体)及びα-オレフィン(炭素数5~10)オリゴマー(4~8量体)等から得られるオキソアルコールから水酸基を除いた残基のような1又はそれ以上の分岐アルキル基を含有する混合アルキル基等が挙げられる。
被覆層を構成する高分子化合物は、アクリルモノマー(a)として、炭素数1~3の1価の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物(a3)を含有してもよい。
エステル化合物(a3)を構成する炭素数1~3の1価の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール及び2-プロパノール等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
被覆層を構成する高分子化合物は、アクリル酸(a0)と、モノマー(a1)、モノマー(a2)及びエステル化合物(a3)のうちの少なくとも1つとを含む単量体組成物の重合体であることが好ましく、アクリル酸(a0)と、モノマー(a1)、エステル化合物(a21)及びエステル化合物(a3)のうちの少なくとも1つとを含む単量体組成物の重合体であることがより好ましく、アクリル酸(a0)と、モノマー(a1)、モノマー(a2)及びエステル化合物(a3)のうちのいずれか1つとを含む単量体組成物の重合体であることが更に好ましく、アクリル酸(a0)と、モノマー(a1)、エステル化合物(a21)及びエステル化合物(a3)のうちのいずれか1つとを含む単量体組成物の重合体であることが最も好ましい。
被覆層を構成する高分子化合物としては、例えば、モノマー(a1)としてマレイン酸を用いた、アクリル酸及びマレイン酸の共重合体、モノマー(a2)としてメタクリル酸2-エチルヘキシルを用いた、アクリル酸及びメタクリル酸2-エチルヘキシルの共重合体、エステル化合物(a3)としてメタクリル酸メチルを用いた、アクリル酸及びメタクリル酸メチルの共重合体等が挙げられる。
モノマー(a1)、モノマー(a2)及びエステル化合物(a3)の合計含有量は、電極活物質粒子の体積変化抑制等の観点から、単量体全体の重量を基準として2.0~9.9重量%であることが好ましく、2.5~7.0重量%であることがより好ましい。
被覆層を構成する高分子化合物は、アクリルモノマー(a)として、重合性不飽和二重結合とアニオン性基とを有するアニオン性単量体の塩(a4)を含有しないことが好ましい。
重合性不飽和二重結合を有する構造としてはビニル基、アリル基、スチレニル基及び(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
アニオン性基としては、スルホン酸基及びカルボキシル基等が挙げられる。
重合性不飽和二重結合とアニオン性基とを有するアニオン性単量体はこれらの組み合わせにより得られる化合物であり、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸及び(メタ)アクリル酸が挙げられる。
なお、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
アニオン性単量体の塩(a4)を構成するカチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びアンモニウムイオン等が挙げられる。
また、被覆層を構成する高分子化合物は、物性を損なわない範囲で、アクリルモノマー(a)として、アクリル酸(a0)、モノマー(a1)、モノマー(a2)及びエステル化合物(a3)と共重合可能であるラジカル重合性モノマー(a5)を含有してもよい。
ラジカル重合性モノマー(a5)としては、活性水素を含有しないモノマーが好ましく、下記(a51)~(a58)のモノマーを用いることができる。
(a51)炭素数13~20の直鎖脂肪族モノオール、炭素数5~20の脂環式モノオール及び炭素数7~20の芳香脂肪族モノオールのうち少なくとも1つのモノオールと(メタ)アクリル酸から形成されるハイドロカルビル(メタ)アクリレート
上記モノオールとしては、(i)直鎖脂肪族モノオール(トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール等)、(ii)脂環式モノオール(シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘプチルアルコール、シクロオクチルアルコール等)、(iii)芳香脂肪族モノオール(ベンジルアルコール等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(a52)ポリ(n=2~30)オキシアルキレン(炭素数2~4)アルキル(炭素数1~18)エーテル(メタ)アクリレート[メタノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記)10モル付加物(メタ)アクリレート、メタノールのプロピレンオキサイド(以下POと略記)10モル付加物(メタ)アクリレート等]
(a53)窒素含有ビニル化合物
(a53-1)アミド基含有ビニル化合物
(i)炭素数3~30の(メタ)アクリルアミド化合物、例えばN,N-ジアルキル(炭素数1~6)又はジアラルキル(炭素数7~15)(メタ)アクリルアミド(N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジベンジルアクリルアミド等)、ジアセトンアクリルアミド
(ii)上記(メタ)アクリルアミド化合物を除く、炭素数4~20のアミド基含有ビニル化合物、例えばN-メチル-N-ビニルアセトアミド、環状アミド[ピロリドン化合物(炭素数6~13、例えば、N-ビニルピロリドン等)]
(a53-2)(メタ)アクリレート化合物
(i)ジアルキル(炭素数1~4)アミノアルキル(炭素数1~4)(メタ)アクリレート[N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]
(ii)4級アンモニウム基含有(メタ)アクリレート{3級アミノ基含有(メタ)アクリレート[N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]の4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等}
(a53-3)複素環含有ビニル化合物
ピリジン化合物(炭素数7~14、例えば2-又は4-ビニルピリジン)、イミダゾール化合物(炭素数5~12、例えばN-ビニルイミダゾール)、ピロール化合物(炭素数6~13、例えばN-ビニルピロール)、ピロリドン化合物(炭素数6~13、例えばN-ビニル-2-ピロリドン)
(a53-4)ニトリル基含有ビニル化合物
炭素数3~15のニトリル基含有ビニル化合物、例えば(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアルキル(炭素数1~4)アクリレート
(a53-5)その他の窒素含有ビニル化合物
ニトロ基含有ビニル化合物(炭素数8~16、例えばニトロスチレン)等
(a54)ビニル炭化水素
(a54-1)脂肪族ビニル炭化水素
炭素数2~18又はそれ以上のオレフィン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン等)、炭素数4~10又はそれ以上のジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン等)等
(a54-2)脂環式ビニル炭化水素
炭素数4~18又はそれ以上の環状不飽和化合物、例えばシクロアルケン(例えばシクロヘキセン)、(ジ)シクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン]、テルペン(例えばピネン及びリモネン)、インデン
(a54-3)芳香族ビニル炭化水素
炭素数8~20又はそれ以上の芳香族不飽和化合物、例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン
(a55)ビニルエステル
脂肪族ビニルエステル[炭素数4~15、例えば脂肪族カルボン酸(モノ-又はジカルボン酸)のアルケニルエステル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメトキシアセテート)]
芳香族ビニルエステル[炭素数9~20、例えば芳香族カルボン酸(モノ-又はジカルボン酸)のアルケニルエステル(例えばビニルベンゾエート、ジアリルフタレート、メチル-4-ビニルベンゾエート)、脂肪族カルボン酸の芳香環含有エステル(例えばアセトキシスチレン)]
(a56)ビニルエーテル
脂肪族ビニルエーテル[炭素数3~15、例えばビニルアルキル(炭素数1~10)エーテル(ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2-エチルヘキシルエーテル等)、ビニルアルコキシ(炭素数1~6)アルキル(炭素数1~4)エーテル(ビニル-2-メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、3,4-ジヒドロ-1,2-ピラン、2-ブトキシ-2’-ビニロキシジエチルエーテル、ビニル-2-エチルメルカプトエチルエーテル等)、ポリ(2~4)(メタ)アリロキシアルカン(炭素数2~6)(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等)]、芳香族ビニルエーテル(炭素数8~20、例えばビニルフェニルエーテル、フェノキシスチレン)
(a57)ビニルケトン
脂肪族ビニルケトン(炭素数4~25、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン)、芳香族ビニルケトン(炭素数9~21、例えばビニルフェニルケトン)
(a58)不飽和ジカルボン酸ジエステル
炭素数4~34の不飽和ジカルボン酸ジエステル、例えばジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数1~22の、直鎖、分岐鎖又は脂環式の基)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数1~22の、直鎖、分岐鎖又は脂環式の基)
ラジカル重合性モノマー(a5)を含有する場合、その含有量は、単量体全体の重量を基準として0.1~3.0重量%であることが好ましい。
被覆層を構成する高分子化合物の重量平均分子量の好ましい下限は3,000、より好ましい下限は5,000、更に好ましい下限は7,000である。一方、上記高分子化合物の重量平均分子量の好ましい上限は100,000、より好ましい上限は70,000である。
被覆層を構成する高分子化合物の重量平均分子量は、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略記)測定により求めることができる。
装置:Alliance GPC V2000(Waters社製)
溶媒:オルトジクロロベンゼン、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する)、テトラヒドロフラン
標準物質:ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED-B 2本直列(ポリマーラボラトリーズ社製)
カラム温度:135℃
被覆層を構成する高分子化合物は、公知の重合開始剤{アゾ系開始剤[2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)等]、パーオキサイド系開始剤(ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等)等}を使用して公知の重合方法(塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等)により製造することができる。
重合開始剤の使用量は、重量平均分子量を好ましい範囲に調整する等の観点から、モノマーの全重量に基づいて好ましくは0.01~5重量%、より好ましくは0.05~2重量%、更に好ましくは0.1~1.5重量%であり、重合温度及び重合時間は重合開始剤の種類等に応じて調整されるが、重合温度は好ましくは-5~150℃、(より好ましくは30~120℃)、反応時間は好ましくは0.1~50時間(より好ましくは2~24時間)である。
溶液重合の場合に使用される溶媒としては、例えばエステル(炭素数2~8、例えば酢酸エチル及び酢酸ブチル)、アルコール(炭素数1~8、例えばメタノール、エタノール及びオクタノール)、炭化水素(炭素数4~8、例えばn-ブタン、シクロヘキサン及びトルエン)、アミド(例えばDMF)及びケトン(炭素数3~9、例えばメチルエチルケトン)が挙げられ、重量平均分子量を好ましい範囲に調整する等の観点から、その使用量はモノマーの合計重量に基づいて好ましくは5~900重量%、より好ましくは10~400重量%、更に好ましくは30~300重量%であり、モノマー濃度としては、好ましくは10~95重量%、より好ましくは20~90重量%、更に好ましくは30~80重量%である。
乳化重合及び懸濁重合における分散媒としては、水、アルコール(例えばエタノール)、エステル(例えばプロピオン酸エチル)、軽ナフサ等が挙げられ、乳化剤としては、高級脂肪酸(炭素数10~24)金属塩(例えばオレイン酸ナトリウム及びステアリン酸ナトリウム)、高級アルコール(炭素数10~24)硫酸エステル金属塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム)、エトキシ化テトラメチルデシンジオール、メタクリル酸スルホエチルナトリウム、メタクリル酸ジメチルアミノメチル等が挙げられる。更に安定剤としてポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を加えてもよい。
溶液又は分散液のモノマー濃度は好ましくは5~95重量%、より好ましくは10~90重量%、更に好ましくは15~85重量%であり、重合開始剤の使用量は、モノマーの全重量に基づいて好ましくは0.01~5重量%、より好ましくは0.05~2重量%である。
重合に際しては、公知の連鎖移動剤、例えばメルカプト化合物(ドデシルメルカプタン、n-ブチルメルカプタン等)及び/又はハロゲン化炭化水素(四塩化炭素、四臭化炭素、塩化ベンジル等)を使用することができる。
被覆層を構成する高分子化合物は、該高分子化合物をカルボキシル基と反応する反応性官能基を有する架橋剤(A’){好ましくはポリエポキシ化合物(a’1)[ポリグリシジルエーテル(ビスフェノールAジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル及びグリセリントリグリシジルエーテル等)及びポリグリシジルアミン(N,N-ジグリシジルアニリン及び1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル))等]及び/又はポリオール化合物(a’2)(エチレングリコール等)}で架橋してなる架橋重合体であってもよい。
架橋剤(A’)を用いて被覆層を構成する高分子化合物を架橋する方法としては、電極活物質粒子を、被覆層を構成する高分子化合物で被覆した後に架橋する方法が挙げられる。具体的には、電極活物質粒子と被覆層を構成する高分子化合物を含む樹脂溶液を混合し脱溶剤することにより、被覆電極活物質粒子を製造した後に、架橋剤(A’)を含む溶液を該被覆電極活物質粒子に混合して加熱することにより、脱溶剤と架橋反応を生じさせて、被覆層を構成する高分子化合物が架橋剤(A’)によって架橋される反応を電極活物質粒子の表面で起こす方法が挙げられる。
加熱温度は、架橋剤の種類に応じて調整されるが、架橋剤としてポリエポキシ化合物(a’1)を用いる場合は好ましくは70℃以上であり、ポリオール化合物(a’2)を用いる場合は好ましくは120℃以上である。
被覆層は、導電性フィラーを含む。
導電性フィラーとしては、上述した集電体で例示した導電性フィラーを適宜選択することができる。
なお、被覆層に含まれる導電性フィラーは、集電体と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
被覆層を構成する高分子化合物と導電性フィラーの比率は特に限定されるものではないが、電池の内部抵抗等の観点から、重量比率で被覆層を構成する高分子化合物(樹脂固形分重量):導電性フィラーが1:0.01~1:50であることが好ましく、1:0.2~1:3.0であることがより好ましい。
被覆層は、高分子化合物と導電性フィラーの他に、更に導電助剤とセラミック粒子とを含んでいてもよい。
導電助剤としては、金属[アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、金、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト(薄片状黒鉛(UP))、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック及びサーマルランプブラック等)及びカーボンナノファイバー(CNF)等]、及びこれらの混合物等が挙げられる。
被覆層を構成する高分子化合物と導電助剤の比率は特に限定されるものではないが、電池の内部抵抗等の観点から、重量比率で被覆層を構成する高分子化合物(樹脂固形分重量):導電助剤が1:0.01~1:50であることが好ましく、1:0.2~1:3.0であることがより好ましい。
セラミック粒子としては、金属炭化物粒子、金属酸化物粒子、ガラスセラミック粒子等が挙げられる。
金属炭化物粒子としては、例えば、炭化ケイ素(SiC)、炭化タングステン(WC)、炭化モリブデン(MoC)、炭化チタン(TiC)、炭化タンタル(TaC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ジルコニウム(ZrC)等が挙げられる。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化スズ(SnO)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)、酸化インジウム(In)、Li、LiTi12、LiTi、LiTaO、LiNbO、LiAlO、LiZrO、LiWO、LiTiO、LiPO、LiMoO、LiBO、LiBO、LiCO、LiSiOや、ABO(但し、Aは、Ca、Sr、Ba、La、Pr及びYからなる群より選択される少なくとも1種であり、Bは、Ni、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Mo、Ru、Rh、Pd及びReからなる群より選択される少なくとも1種である)で表されるペロブスカイト型酸化物粒子等が挙げられる。
金属酸化物粒子としては、電解液と被覆電極活物質粒子との間で起こる副反応を好適に抑制する観点から、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化ケイ素(SiO)、及び、四ほう酸リチウム(Li)が好ましい。
ガラスセラミック粒子としては、菱面体晶系を有するリチウム含有リン酸化合物であることが好ましく、その化学式は、LiM”12(X=1~1.7)で表される。
ここでM”はZr、Ti、Fe、Mn、Co、Cr、Ca、Mg、Sr、Y、Sc、Sn、La、Ge、Nb、Alからなる群より選ばれた1種以上の元素である。また、Pの一部をSi又はBに、Oの一部をF、Cl等で置換してもよい。例えば、Li1.15Ti1.85Al0.15Si0.052.9512、Li1.2Ti1.8Al0.1Ge0.1Si0.052.9512等を用いることができる。
また、異なる組成の材料を混合又は複合してもよく、ガラス電解質等で表面をコートしてもよい。又は、熱処理によりNASICON型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の結晶相を析出するガラスセラミック粒子を用いることが好ましい。
ガラス電解質としては、特開2019-96478号公報に記載のガラス電解質等が挙げられる。
ここで、ガラスセラミック粒子におけるLiOの配合割合は酸化物換算で8質量%以下であることが好ましい。
NASICON型構造でなくとも、Li、La、Mg、Ca、Fe、Co、Cr、Mn、Ti、Zr、Sn、Y、Sc、P、Si、O、In、Nb、Fからなり、LISICON型、ぺロブスカイト型、β-Fe(SO型、LiIn(PO型の結晶構造を、持ち、Liイオンを室温で1×10-5S/cm以上伝導する固体電解質を用いても良い。
上述したセラミック粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
セラミック粒子の体積平均粒子径は、エネルギー密度の観点及び電気抵抗値の観点から、1~1000nmであることが好ましく、1~500nmであることがより好ましく、1~150nmであることが更に好ましい。
セラミック粒子の重量割合は、被覆電極活物質粒子の重量を基準として0.5~5.0重量%であることが好ましい。
セラミック粒子を上記範囲で含有することにより、電解液と被覆電極活物質粒子との間で起こる副反応を好適に抑制することができる。
セラミック粒子の重量割合は、被覆電極活物質粒子の重量を基準として2.0~4.0重量%であることがより好ましい。
被覆電極活物質粒子は、被覆層が2層以上であってもよい。被覆層が2層以上である場合、各被覆層に含まれる高分子化合物の組成は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、被覆層に導電性フィラー、導電助剤、セラミック粒子が含まれる場合、各被覆層に含まれる導電性フィラーと導電助剤とセラミック粒子の種類は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
被覆電極活物質粒子は、平均円形度が0.75以下であることが好ましい。
被覆電極活物質粒子の平均円形度が0.75以下であることにより、リチウムイオン拡散の屈曲度が低下(リチウムイオン拡散抵抗が低下)して被覆電極活物質粒子間の空隙中を電解液が円滑に移動することができ、かつ、導電性フィラー同士が適度に接触することが可能となるため、充放電性能を好適に付与することができる。
被覆電極活物質粒子の平均円形度は、0.74以下であることがより好ましく、0.73以下であることが更に好ましい。
被覆電極活物質粒子の平均円形度の下限としては特に限定されないが、例えば0.65である。
被覆電極活物質粒子は、平均粒子面積が30μm以上であることが好ましい。
上記平均粒子面積は、被覆電極活物質粒子に働く流体抵抗力が粒子投影面積の関数として表されたものであり、被覆電極活物質粒子に働く流体抵抗力は、重力により被覆電極活物質粒子が沈降する際に発生するものである。
被覆電極活物質粒子の平均粒子面積が30μm以上であることにより、電極活物質層を厚膜化して重量が増したとしても、電極活物質層から被覆電極活物質粒子が脱落することを好適に抑制することができるので、製造工程におけるハンドリング性を好適に向上させることができる。
被覆電極活物質粒子の平均粒子面積は、100以上であることがより好ましい。
被覆電極活物質粒子の平均粒子面積の上限としては特に限定されないが、例えば900μmである。
被覆電極活物質粒子の平均円形度は、例えば、以下の方法により測定することができる。
被覆電極活物質粒子約0.2gを、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約50mL)に分散させ分散液を得る。
次いで、上記分散液に28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、フロー式粒子像分析装置(例えば、シスメックスインダストリアル社製FPIA)を用い、検出範囲を0.6~400μmに指定し、体積平均粒子径が1.5~40μmの範囲の被覆電極活物質粒子について円形度の平均値を測定する。
被覆電極活物質粒子の平均粒子面積は、上記平均円形度の測定においてフロー式粒子像分析装置により撮影された被覆電極活物質粒子の投影面積部分から、体積平均粒子径が1.5~40μmの範囲の被覆電極活物質粒子について粒子面積の平均値を算出することができる。
被覆電極活物質粒子は、嵩密度が0.55~0.85g/cmであることが好ましい。
嵩密度が上記範囲であることにより、リチウムイオン電池用電極内の空隙が少なくなり、イオン拡散抵抗を小さくすることができるので、充放電容量を好適に付与することができる。
被覆電極活物質粒子は、嵩密度が0.60~0.75g/cmであることがより好ましい。
本明細書において、嵩密度とは、容量100cm、直径30mmの円筒容器を用い、JIS K 6219-2(2005)に準じて測定した嵩密度である。なお、嵩密度は、それぞれ5回の測定の平均値を用いる。
被覆電極活物質粒子の製造方法は、例えば、電極活物質粒子、高分子化合物、導電性フィラー、任意で使用する導電助剤、任意で使用するセラミック粒子及び有機溶剤を混合した後に脱溶剤する工程を有することが好ましい。
有機溶剤としては高分子化合物を溶解可能な有機溶剤であれば特に限定されず、公知の有機溶剤を適宜選択して用いることができる。
被覆電極活物質粒子の製造方法では、まず、電極活物質粒子、被覆層を構成する高分子化合物、導電性フィラー、任意で使用する導電助剤及び任意で使用するセラミック粒子を有機溶剤中で混合する。
電極活物質粒子、被覆層を構成する高分子化合物、導電性フィラー、導電助剤及びセラミック粒子を混合する順番は特に限定されず、例えば、事前に混合した被覆層を構成する高分子化合物と導電性フィラーと導電助剤とセラミック粒子とからなる樹脂組成物を、電極活物質粒子と更に混合してもよいし、電極活物質粒子、被覆層を構成する高分子化合物、導電性フィラー、導電助剤及びセラミック粒子を同時に混合してもよいし、電極活物質粒子に被覆層を構成する高分子化合物を混合し、更に導電性フィラー、導電助剤及びセラミック粒子を混合してもよい。
被覆電極活物質粒子は、電極活物質粒子を、高分子化合物と導電性フィラーと任意で使用する導電助剤と任意で使用するセラミック粒子とを含む被覆層で被覆することで得ることができ、例えば、電極活物質粒子を万能混合機に入れて30~500rpmで撹拌した状態で、被覆層を構成する高分子化合物を含む樹脂溶液を1~90分かけて滴下混合し、導電性フィラー、導電助剤及びセラミック粒子を使用する場合はこれらを混合し、撹拌したまま50~200℃に昇温し、0.007~0.04MPaまで減圧した後に10~150分保持して脱溶剤することにより得ることができる。
被覆電極活物質粒子の被覆層が2層である場合、例えば上記の方法に従って第1の被覆層を形成した後、第2の被覆層を構成する高分子化合物を含む樹脂溶液、導電性フィラー、導電助剤及びセラミック粒子を用いて、上記の方法と同じ手順で第1の被覆層の上に第2の被覆層が設けられた被覆電極活物質粒子を得ることができる。被覆電極活物質粒子の被覆層が3層以上である場合も同様の方法で、電極活物質粒子の表面に被覆層を形成することによって被覆電極活物質粒子を得ることができる。
電極活物質粒子と、被覆層を構成する高分子化合物、導電性フィラー、任意で使用する導電助剤及び任意で使用するセラミック粒子とを含む樹脂組成物との配合比率は特に限定されるものではないが、重量比率で電極活物質粒子:樹脂組成物=1:0.001~0.1であることが好ましい。
電極活物質粒子は、表面の少なくとも一部が被覆層で被覆されている。
電極活物質粒子は、上述した平均円形度を好適に充足し、充放電性能を好適に付与する観点から、下記計算式で得られる被覆率が10~90%であることが好ましく、15~65%であることがより好ましい。
被覆率(%)={1-[被覆電極活物質粒子のBET比表面積/(電極活物質粒子のBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれる電極活物質粒子の重量割合+導電性フィラーのBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれる導電性フィラーの重量割合+導電助剤のBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれる導電助剤の重量割合+セラミック粒子のBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれるセラミック粒子の重量割合)]}×100
ここで上記計算式について詳しく説明する。
「電極活物質粒子のBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれる電極活物質粒子の重量割合」は、被覆電極活物質粒子中に含まれる電極活物質粒子の表面積に相当する。
また、「導電性フィラーのBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれる導電性フィラーの重量割合」は、被覆電極活物質粒子中に含まれる導電性フィラーの表面積に相当する。
また、「導電助剤のBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれる導電助剤の重量割合」は、被覆電極活物質粒子中に含まれる導電助剤の表面積に相当する。
更に、「セラミック粒子のBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれるセラミック粒子の重量割合」は、被覆電極活物質粒子中に含まれるセラミック粒子の表面積に相当する。
したがって、「電極活物質粒子のBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれる電極活物質粒子の重量割合+導電性フィラーのBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれる導電性フィラーの重量割合+導電助剤のBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれる導電助剤の重量割合+セラミック粒子のBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれるセラミック粒子の重量割合」は、[被覆電極活物質粒子に含まれる被覆前の材料(電極活物質粒子+導電性フィラー+導電助剤+セラミック粒子)の表面積の合計]に相当する。
これに対して、「被覆電極活物質粒子のBET比表面積」は、[(電極活物質粒子のうち、樹脂で覆われていない部分の表面積)+(導電性フィラーのうち、樹脂で覆われていない部分の表面積)+(導電助剤のうち、樹脂で覆われていない部分の表面積)+(セラミック粒子のうち、樹脂で覆われていない部分の表面積)+(樹脂の表面積)]で表される。
そして、(樹脂の比表面積)が、(電極活物質粒子の比表面積)、(導電性フィラーの比表面積)、(導電助剤の比表面積)及び(セラミック粒子の比表面積)と比較して極めて小さいことから、(樹脂の表面積)を「ゼロ」とすると、「被覆電極活物質粒子のBET比表面積」は、[(電極活物質粒子のうち、樹脂で覆われていない部分の表面積)+(導電性フィラーのうち、樹脂で覆われていない部分の表面積)+(導電助剤のうち、樹脂で覆われていない部分の表面積)+(セラミック粒子のうち、樹脂で覆われていない部分の表面積)]で表される。
すなわち、被覆電極活物質粒子を構成する材料(電極活物質粒子+導電性フィラー+導電助剤+セラミック粒子)の、被覆前の総表面積が「電極活物質粒子のBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれる電極活物質粒子の重量割合+導電性フィラーのBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれる導電性フィラーの重量割合+導電助剤のBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれる導電助剤の重量割合+セラミック粒子のBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれるセラミック粒子の重量割合」であり、樹脂により被覆された後の「樹脂で被覆されていない部分」の総表面積が「被覆電極活物質粒子のBET比表面積」である。
そのため、「被覆電極活物質粒子のBET比表面積」を「電極活物質粒子のBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれる電極活物質粒子の重量割合+導電性フィラーのBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれる導電性フィラーの重量割合+導電助剤のBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれる導電助剤の重量割合+セラミック粒子のBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれるセラミック粒子の重量割合」で割った値は、被覆電極活物質粒子を構成する電極活物質粒子、導電助剤及びセラミック粒子の表面のうち、「樹脂で覆われていない部分」の表面の割合となる。
そして、1から[被覆電極活物質粒子を構成する電極活物質粒子、導電性フィラー、導電助剤及びセラミック粒子の表面のうち、「樹脂で覆われていない部分」の表面の割合]を引くことにより、被覆電極活物質粒子を構成する電極活物質粒子、導電性フィラー、導電助剤及びセラミック粒子の表面のうち「樹脂で覆われている部分」の面積の割合を求めることができる。
電極活物質層は、電解質及び溶媒を含有する電解液を含むことが好ましい。
電解質としては、公知の電解液に用いられている電解質が使用でき、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiClO及びLiN(FSO等の無機アニオンのリチウム塩、LiN(CFSO、LiN(CSO及びLiC(CFSO等の有機アニオンのリチウム塩が挙げられる。これらの内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのはLiN(FSOである。
溶媒としては、公知の電解液に用いられている非水溶媒が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン及びこれらの混合物を用いることができる。
ラクトン化合物としては、5員環(γ-ブチロラクトン及びγ-バレロラクトン等)及び6員環(δ-バレロラクトン等)のラクトン化合物等が挙げられる。
環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート(EC)及びブチレンカーボネート(BC)等が挙げられる。
鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチル-n-プロピルカーボネート、エチル-n-プロピルカーボネート及びジ-n-プロピルカーボネート等が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及びプロピオン酸メチル等が挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン及び1,4-ジオキサン等が挙げられる。鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン及び1,2-ジメトキシエタン等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(トリフルオロメチル)、リン酸トリ(トリクロロメチル)、リン酸トリ(トリフルオロエチル)、リン酸トリ(トリパーフルオロエチル)、2-エトキシ-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン、2-トリフルオロエトキシ-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン及び2-メトキシエトキシ-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。アミド化合物としては、DMF等が挙げられる。スルホンとしては、ジメチルスルホン及びジエチルスルホン等が挙げられる。
これらの溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
電解液中の電解質の濃度は、1.2~5.0mol/Lであることが好ましく、1.5~4.5mol/Lであることがより好ましく、1.8~4.0mol/Lであることがさらに好ましく、2.0~3.5mol/Lであることが特に好ましい。
このような電解液は、適当な粘性を有するので、被覆電極活物質粒子間に液膜を形成することができ、被覆電極活物質粒子に潤滑効果(被覆電極活物質粒子の位置調整能力)を付与することができる。
電極活物質層は、電極活物質層の重量を基準として、被覆電極活物質粒子を40~95重量%含むことが好ましく、60~90重量%で含むことがより好ましい。
電極活物質層が、被覆電極活物質粒子を上記範囲で含むことにより、上述した嵩密度を好適に充足することができる。
電極活物質層は、上述した被覆電極活物質粒子の被覆層中に必要に応じて含まれる導電助剤とは別に、導電助剤をさらに含んでもよい。被覆層中に必要に応じて含まれる導電助剤が被覆電極活物質粒子と一体であるのに対し、電極活物質層が含む導電助剤は被覆電極活物質粒子と別々に含まれている点で区別できる。
電極活物質層が含んでいてもよい導電助剤としては、[被覆層に含まれる導電性フィラー]で説明したものを用いることができる。
電極活物質層が導電助剤を含む場合、電極中に含まれる導電助剤と被覆層中に含まれる導電助剤の合計含有量は、電極活物質層から電解液を除いた重量を基準として4重量%未満であることが好ましく、3重量%未満であることがより好ましい。一方、電極中に含まれる導電助剤と被覆層中に含まれる導電助剤の合計含有量は、電極活物質層から電解液を除いた重量を基準として2.5重量%以上であることが好ましい。
電極活物質層は、結着剤を含まないことが好ましい。
なお、本明細書において、結着剤とは、電極活物質粒子同士及び電極活物質粒子と集電体とを可逆的に固定することができない薬剤を意味し、デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン-ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等の公知の溶剤乾燥型のリチウムイオン電池用結着剤等が挙げられる。
これらの結着剤は、溶剤に溶解又は分散して用いられ、溶剤を揮発、留去することで固体化して、電極活物質粒子同士及び電極活物質粒子と集電体とを不可逆的に固定するものである。
電極活物質層には、粘着性樹脂が含まれていてもよい。粘着性樹脂は、溶媒成分を揮発させて乾燥させても固体化せずに粘着性を有する樹脂を意味し、結着剤とは異なる材料であり、区別される。
また、被覆電極活物質粒子を構成する被覆層が電極活物質粒子の表面に固定されているのに対して、粘着性樹脂は電極活物質粒子の表面同士を可逆的に固定するものである。電極活物質粒子の表面から粘着性樹脂は容易に分離できるが、被覆層は容易に分離できない。従って、上記被覆層と上記粘着性樹脂は異なる材料である。
粘着性樹脂としては、酢酸ビニル、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートからなる群から選択された少なくとも1種の低Tgモノマーを必須構成単量体として含み上記低Tgモノマーの合計重量割合が構成単量体の合計重量に基づいて45重量%以上である重合体が挙げられる。
粘着性樹脂を用いる場合、電極活物質粒子の合計重量に対して0.01~10重量%の粘着性樹脂を用いることが好ましい。
電極活物質層の平均厚みは、160~1100μmであり、かつ、集電体の平均厚みの5倍以上22倍以下である。
電極活物質層の平均厚みを上記範囲とすることにより、高容量化を実現することができる。
電極活物質層の平均厚みは、200~650μmとすることが好ましい。
また、電極活物質層の平均厚みは、集電体の平均厚みの6倍以上20倍以下とすることが好ましい。
(リチウムイオン電池用電極の製造方法)
リチウムイオン電池用電極は、例えば、被覆電極活物質粒子及び電解液、並びに、必要に応じて導電助剤等を混合した粉体(電極活物質層用組成物)を集電体に塗布しプレス機でプレスして電極活物質層を形成した後に電解液を注液することによって作製することができる。
また、電極活物質層用組成物を離型フィルム上に塗布、プレスして電極活物質層を形成し、電極活物質層を集電体に転写した後、電解液を注液してもよい。
なお、集電体の上に枠状部材を載置し、枠状部材の内側に枠状部材の厚さと同じ厚さとなるように電極活物質層用組成物を充填して、リチウムイオン電池用電極を作製してもよい。
<リチウムイオン電池>
本発明のリチウムイオン電池は、本発明のリチウムイオン電池用電極を正極及び負極に備える。
本発明のリチウムイオン電池では、製造工程においてハンドリング性の向上の観点から、正極及び負極の双方に本発明のリチウムイオン電池用電極を備える必要がある。
本発明のリチウムイオン電池は、本発明のリチウムイオン電池用電極(正極及び負極)を、セパレータと共にセル容器に収納し、電解液を注入し、セル容器を密封することでリチウムイオン電池を得ることができる。
また、集電体の一方の面にリチウムイオン電池用電極を形成し、もう一方の面に対極となるリチウムイオン電池用電極を形成してバイポーラ(双極)型電極を作製し、バイポーラ(双極)型電極をセパレータと積層してセル容器に収納し、電解液を注入し、セル容器を密封することでも得ることができる。
セパレータとしては、ポリエチレン又はポリプロピレン製の多孔性フィルム、多孔性ポリエチレンフィルムと多孔性ポリプロピレンとの積層フィルム、合成繊維(ポリエステル繊維及びアラミド繊維等)又はガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等の公知のリチウムイオン電池用のセパレータが挙げられる。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
[集電体1の作製]
2軸押出機にて、ポリプロピレン[商品名「サンアロマーPM900A」、サンアロマー(株)製]63部、ファーネスブラック[商品名「#3030」、三菱化学(株)製]32部及び分散剤[商品名「ユーメックス1001」、三洋化成工業(株)製]5部を200℃、200rpmの条件で溶融混練して集電体用組成物を得た。
その後、集電体用組成物をTダイ押出しフィルム成形機に通して、それを延伸圧延することで、膜厚50μmの集電体1を作製した。
[集電体2~4の作製]
膜厚を変更したこと以外は集電体1と同様にして、集電体2~5を作製した。
なお、集電体2の膜厚は30μm、集電体3の膜厚は40μm、集電体4の膜厚は75μmとした。
[電解液の作製]
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合溶媒(体積比率1:1)にLiN(FSO(LiFSI)を2mol/Lの割合で溶解させた溶液を電解液とした。
[被覆正極活物質粒子Aの作製]
(高分子化合物とその溶液の作製)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコにDMF70.0部を仕込み75℃に昇温した。次いで、メタクリル酸ブチル20.0部、アクリル酸55.0部、メタクリル酸メチル22.0部、アリルスルホン酸ナトリウム3部及びDMF20部を配合したモノマー配合液と、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.4部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.8部をDMF10.0部に溶解した開始剤溶液とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下、滴下ロートで2時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。滴下終了後、80℃に昇温し反応を5時間継続し樹脂濃度50%の共重合体溶液を得た。得られた共重合体溶液はテフロン(登録商標)製のバットに移して120℃、0.01MPaで3時間の減圧乾燥を行ってDMFを留去し、高分子化合物を得た。
(被覆正極活物質粒子Aの作製)
正極活物質粉末(LiNi0.8Co0.15Al0.05粉末、体積平均粒子径4μm)100部を万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、上記高分子化合物をイソプロパノールに1.0重量%の濃度で溶解して得られた高分子化合物溶液11.2部を2分かけて滴下し、さらに5分撹拌した。
次いで、撹拌した状態で導電性フィラーとしてアセチレンブラック[電気化学工業(株)製 デンカブラック(登録商標)]6.2部を分割しながら2分間で投入し、30分撹拌を継続した。その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。得られた粉体を目開き212μmの篩いで分級し、被覆正極活物質粒子Aを作製した。
なお、被覆正極活物質粒子Aの被覆率を本明細書に記載の方法により算出した。その結果を表1に示した。
<平均円形度及び平均粒子面積の測定>
被覆正極活物質粒子A0.2gを、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約50mL)に分散させ、分散液を得た。
次いで、上記分散液に28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、フロー式粒子像分析装置(例えば、シスメックスインダストリアル社製FPIA)を用い、検出範囲を0.6~400μmに指定し、体積平均粒子径が1.5~40μmの範囲の被覆正極活物質粒子Aについて円形度の平均値を測定した。その結果を表1に示した。
被覆正極活物質粒子Aの平均粒子面積は、上記平均円形度の測定においてフロー式粒子像分析装置により撮影された体積平均粒子径が1.5~40μmの範囲の被覆正極活物質粒子Aの投影面積部分の平均値から算出した。その結果を表1に示した。
<嵩密度>
被覆正極活物質粒子Aの嵩密度は、容量100cm、直径30mmの円筒容器を用い、JIS K 6219-2(2005)に準じて測定した。
なお、上記嵩密度は、それぞれ5回の測定の平均値を用いた。
[被覆正極活物質粒子Bの作製]
正極活物質粉末をLiNi0.8Co0.15Al0.05粉末からLiFePO(体積平均粒子径4μm)に変更したこと以外は被覆正極活物質粒子Aと同様にして、被覆正極活物質粒子Bを作製した。
[被覆正極活物質粒子Cの作製]
正極活物質粉末をLiNi0.8Co0.15Al0.05粉末からLiCoO(体積平均粒子径4μm)に変更したこと以外は被覆正極活物質粒子Aと同様にして、被覆正極活物質粒子Cを作製した。
[被覆正極活物質粒子Dの作製]
導電性フィラーの使用量を12.4部に変更したこと以外は被覆正極活物質粒子Aと同様にして、被覆正極活物質粒子Dを作製した。
[被覆正極活物質粒子Eの作製]
導電性フィラーの使用量を3.1部に変更したこと以外は被覆正極活物質粒子Cと同様にして、被覆正極活物質粒子Eを作製した。
[被覆正極活物質粒子Fの作製]
高分子化合物溶液の使用量を5.6部に変更したこと以外は被覆正極活物質粒子Cと同様にして、被覆正極活物質粒子Fを作製した。
[被覆正極活物質粒子Gの作製]
高分子化合物溶液の使用量を22.4部に変更したこと以外は被覆正極活物質粒子Aと同様にして、被覆正極活物質粒子Gを作製した。
被覆正極活物質粒子Aと同様にして、被覆正極活物質粒子B~Gの平均円形度、平均粒子面積及び嵩密度を測定し、被覆率を算出した。その結果を表1に示した。
[被覆負極活物質粒子Hの作製]
被覆正極活物質粒子Aの作製と同様にして、高分子化合物を作製した。
炭素系材料である難黒鉛化性炭素粉末(体積平均粒子径20μm)100部を万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、上記高分子化合物をイソプロパノールに19.8重量%の濃度で溶解して得られた高分子化合物溶液9.2部を2分かけて滴下し、さらに5分撹拌した。
次いで、撹拌した状態で導電性フィラーであるアセチレンブラック[電気化学工業(株)製 デンカブラック(登録商標)]11.3部を分割しながら2分間で投入し、30分撹拌を継続した。その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。得られた粉体を目開き212μmの篩いで分級し、被覆負極活物質粒子Hを得た。
[被覆負極活物質粒子Iの作製]
難黒鉛化性炭素粉末(体積平均粒子径20μm)から難黒鉛化性炭素粉末(体積平均粒子径30μm)に変更したこと以外は被覆負極活物質粒子Hと同様にして、被覆負極活物質粒子Iを作製した。
[被覆負極活物質粒子Jの作製]
難黒鉛化性炭素粉末(体積平均粒子径20μm)から黒鉛粉末(体積平均粒子径20μm)に変更したこと以外は被覆負極活物質粒子Hと同様にして、被覆負極活物質粒子Jを作製した。
[被覆負極活物質粒子Kの作製]
導電性フィラーの使用量を5.7部に変更したこと以外は被覆負極活物質粒子Hと同様にして、被覆負極活物質粒子Kを作製した。
[被覆負極活物質粒子Lの作製]
導電性フィラーの使用量を22.6部に変更したこと以外は被覆負極活物質粒子Hと同様にして、被覆負極活物質粒子Lを作製した。
[被覆負極活物質粒子Mの作製]
導電性フィラーの使用量を22.6部に変更し、高分子化合物溶液の使用量を18.4部に変更したこと以外は被覆負極活物質粒子Hと同様にして、被覆負極活物質粒子Mを作製した。
被覆正極活物質粒子Aと同様にして、被覆負極活物質粒子H~Mの平均円形度、平均粒子面積及び嵩密度を測定し、被覆率を算出した。その結果を表2に示した。
[リチウムイオン電池用正極の作製]
(実施例1)
上記電解液42部と炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S-243:平均繊維長500μm、平均繊維径13μm:電気伝導度200mS/cm]4.2部とを遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}を用いて2000rpmで7分間混合し、続いて上記電解液30部と上記被覆正極活物質粒子A206部を追加した後、更にあわとり練太郎により2000rpmで1.5分間混合し、上記電解液20部を更に追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1分間行い、上記電解液2.3部を更に追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1.5分間混合して、正極活物質層用組成物を作製した。
得られた正極活物質層用組成物を集電体1の片面に塗布し、5MPaの圧力で約10秒プレスして正極活物質層を形成し、リチウムイオン電池用正極(58mm×42mm)を作製した。
(実施例2~5、比較例1~2)
集電体の種類、被覆正極活物質粒子の種類、及び、正極活物質層の厚みを表1に記載のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用正極を作製した。
Figure 2023150206000001
[リチウムイオン電池用負極の作製]
(実施例6)
上記電解液20部と炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S-243:平均繊維長500μm、平均繊維径13μm:電気伝導度200mS/cm]2部とを遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}を用いて2000rpmで7分間混合し、続いて上記電解液50部と上記被覆負極活物質粒子H98部を追加した後、更にあわとり練太郎で2000rpmで1.5分間混合し、上記電解液25部を更に追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1分間行い、更に上記電解液50部を更に追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1.5分間混合して、負極活物質層用組成物を作製した。
得られた負極活物質層用組成物を集電体1の片面に塗布し、5MPaの圧力で約10秒プレスし、リチウムイオン電池用負極(62mm×46mm)を作製した。
(実施例7~9、比較例3~4)
集電体の種類、被覆負極活物質粒子の種類、及び、負極活物質層の厚みを表2に記載のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、リチウムイオン電池用負極を作製した。
Figure 2023150206000002
[リチウムイオン電池の作製]
作製したリチウムイオン電池用正極及びリチウムイオン電池用負極を、セパレータ(セルガード製#3501)を介して組み合わせ、ラミネートセルを作製することによりリチウムイオン電池を作製した。
作製に用いたリチウムイオン電池用正極の種類及びリチウムイオン電池用負極の種類について、表3に示した。
<充放電性能>
以下のサイクル特性及びクーロン効率の双方の評価が「〇」の場合、充放電性能が十分に優れていると判断した。
(サイクル特性)
作製したリチウムイオン電池を充放電装置「バッテリーアナライザー1470型」[東陽テクニカ(株)製]に接続し、以下の条件でサイクル特性の評価を行った。
25℃の条件下において、0.1Cで0VまでCC-CV(カットオフ電流0.01C)で放電を行い、1時間休止した後、0.01Cで1.5Vまで充電を行った。
このときの充電容量を初回容量Xとした。これを30回繰り返し、30サイクル目の容量Xを得た。このX/Xを、30サイクル容量維持率として、サイクル特性の評価を行った。
評価は下記の基準で行った。結果は表3に記載した。
〇:充電容量維持率が90%以上
△:充電容量維持率が80%以上、90%未満
×:充電容量維持率が80%未満
-:測定不可(リチウムイオン電池として機能せず)
(クーロン効率)
作製したリチウムイオン電池を充放電装置「バッテリーアナライザー1470型」[東陽テクニカ(株)製]に接続し、以下の条件で充放電を行った。その結果を下記式に入力して、クーロン効率を算出した。
クーロン効率(%)=(0.1Cにおける初回の放電容量)÷(0.1Cにおける初回の充電容量)×100
評価は下記の基準で行った。結果は表3に記載した。
〇:クーロン効率が90%以上
△:クーロン効率が80%以上、90%未満
×:クーロン効率が80%未満
-:測定不可(リチウムイオン電池として機能せず)
<ハンドリング性>
作製したリチウムイオン電池用電極を電極活物質層が下側(重力方向)を向く状態で5分間静置した。
電極活物質層(電極活物質粒子)が集電体から剥がれて落下した場合、ハンドリング性に「問題あり」(あり)と判断し、電極活物質層が集電体から剥がれず落下しなかった場合、ハンドリング性に「問題なし」(なし)と判断した。
Figure 2023150206000003
表3より、実施例1~9のリチウムイオン電池用電極を、正極及び負極の双方に備えるリチウムイオン電池は、平均厚みが大きい電極活物質層を備えるため、高容量化を実現することができた。
また、実施例1~9のリチウムイオン電池用電極を、正極及び負極の双方に備えるリチウムイオン電池は、充放電性能に優れており、かつ、製造工程においてハンドリング性を向上できたことが確認された。
本発明のリチウムイオン電池用負極組成物は、高エネルギー密度、高出力密度が達成できるリチウムイオン電池を作製するための電極組成物として有用である。

Claims (6)

  1. 集電体と、前記集電体の一方の面に接する電極活物質層とを備え、
    前記集電体は、樹脂と少なくとも1種の導電性フィラーとを含み、平均厚みが30~100μmであり、
    前記電極活物質層は、電極活物質粒子の表面の少なくとも一部が高分子化合物及び導電性フィラーを含む被覆層で被覆された被覆電極活物質粒子を含み、
    前記電極活物質層の平均厚みは、160~1100μmであり、かつ、前記集電体の平均厚みの5倍以上22倍以下であるリチウムイオン電池用電極。
  2. 前記被覆電極活物質粒子は、平均円形度が0.75以下である請求項1に記載のリチウムイオン電池用電極。
  3. 前記被覆電極活物質粒子は、平均粒子面積が30μm以上である請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用電極。
  4. 前記被覆電極活物質粒子は、被覆率が10~90%である請求項1~3のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電極。
  5. 前記被覆電極活物質粒子は、嵩密度が0.55~0.85g/cmである請求項1~4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電極。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用電極を正極及び負極に備えたリチウムイオン電池。


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