JP2022045668A - リチウムイオン電池及び再生電極活物質の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン電池及び再生電極活物質の製造方法 Download PDF

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Yusuke Nakajima
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Abstract

Figure 2022045668000001
【課題】活物質層を容易に回収することができるリチウムイオン電池及び再生電極活物質の製造方法を提供する。
【解決手段】単電池構造10において、枠部材14は、単電池構造10を積層方向から視たときに、正極集電体21の端縁又は負極集電体23の端縁から面方向外側に張り出す張出部14aA1, 張出部14aA2(又は張出部14bA1, 張出部14bA2)を有し、張出部14aA2(又は張出部14bA2)には、正極集電体21の端縁又は負極集電体23の端縁を露出させる凹部14aB(又は凹部14bB)が形成されている
【選択図】図2

Description

本発明は、リチウムイオン電池及び再生電極活物質の製造方法に関するものである。
高容量で小型軽量な二次電池として、リチウムイオン電池が注目されている。一般的なリチウムイオン電池は、正極活物質、バインダー樹脂及び電解液を含む正極活物質層と、同様に負極活物質、バインダー樹脂及び電解液を含む負極活物質層とがセパレータを挾んで積層された状態で容器に収納されて構成されている。
近年では、資源リサイクルの観点から、電池材料のリサイクルについても広く検討が行われている。しかし、上記一般的なリチウムイオン電池では、活物質同士、又は、活物質と電極(或いは集電体)とがバインダーによって結着されているため、電極活物質までリサイクルすることが困難であった。このような問題を解決することを意図して、例えば特許文献1のように、活物質層の再利用を行う技術が提案されている。
特開2017-79211号公報
しかしながら、特許文献1のように活物質層の再利用を行うことは可能であるものの、電池材料をリサイクルする工程において単電池を構成する各要素を分解しづらく、活物質層を容易に回収することに関して改善する必要があった。
本発明は、活物質層を容易に回収することができるリチウムイオン電池及び再生電極活物質の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような知見に基づいて鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
本発明の一態様に係るリチウムイオン電池は、
電極活物質の表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆活物質を含む電極組成物層と、集電体と、セパレータとを有するリチウムイオン電池であって、
一対の前記集電体の間に配置された前記セパレータの周縁部を固定し、前記セパレータ及び前記電極組成物層を封止する枠部材を備え、
前記枠部材は、前記単電池を積層方向から視たときに、前記集電体の端縁から面方向外側に張り出す張出部を有し、
前記枠部材の端縁、又は、前記張出部のうち前記集電体の端縁が位置する部分には、前記集電体の端縁を露出させる凹部が形成されている。
上記態様では、前記電極組成物層は、前記被覆活物質が相互に結着しない状態の非結着体を含んでもよい。
上記態様では、前記集電体は、樹脂と導電性フィラーとを含む樹脂集電体であり、前記樹脂集電体と前記電極組成物層とから成る積層構造は、金属集電体とバインダー樹脂を含む電極組成物層とから成る積層構造よりも柔軟性を有してもよい。
上記態様では、前記凹部は、前記枠部材のうち前記集電体側の部分が切欠かれた形状を有してもよい。
上記態様では、前記張出部のうち前記集電体の端縁に位置する部分に前記凹部が形成されている場合、前記凹部は、前記集電体の端縁に沿って形成されていてもよい。
上記態様では、前記張出部は、前記集電体の長辺から、面方向外側方向であって前記長辺の延在方向と略直交する方向へ向かってそれぞれ張り出していてもよい。
上記態様では、
前記枠部材は、一方の前記集電体側に配置された第1枠部材と、他方の前記集電体側に配置された第2枠部材と、
を備え、
前記凹部は、前記第1枠部材に形成された第1凹部と、前記第2枠部材に形成された第2凹部と、
を備えていてもよい。
上記態様では、前記枠部材の端縁に前記凹部が形成されている場合、前記凹部は、前記枠部材の前記積層方向に貫通形成されていてもよい。
上記態様では、
前記枠部材は、一方の前記集電体側に配置された第1枠部材と、他方の前記集電体側に配置された第2枠部材と、
を備え、
前記凹部は、前記第1枠部材に形成された第1凹部と、前記第2枠部材に形成された第2凹部と、
を備え、
前記第1凹部は、前記第1枠部材の厚さ方向に貫通しており、
前記第2凹部は、前記第2枠部材の厚さ方向に貫通しており、
前記第1凹部と前記第2凹部は、積層方向においてそれぞれ異なる位置に設けられていてもよい。
上記態様では、前記枠部材内には、単電池の状態を検出する電子部品が配置されていてもよい。
上記態様では、前記張出部内には、単電池の状態を検出する電子部品が配置されていてもよい。
本発明の一態様に係る再生電極活物質の製造方法は、
上記のリチウムイオン電池を用意する工程と、
前記枠部材の前記張出部を把持する工程と、
前記張出部が把持された状態で、前記凹部において露出する、前記枠部材の端縁、又は、前記張出部のうち前記集電体の端縁が位置する部分を用いて、前記集電体を剥離する工程と、
を含む。
上記態様に係る製造方法では、一方の前記集電体を剥離した後、一方の前記電極組成物層に溶解液を吹き付け、液状に溶解した一方の前記電極組成物層を流すように除去する工程を更に含んでもよい。
上記態様に係る製造方法では、他方の前記集電体を剥離した後、他方の前記電極組成物層を掻き取って除去する工程を更に含んでもよい。
上記態様に係る製造方法では、
前記枠部材を用意する工程と、
前記枠部材を用いて、前記単電池を組み付ける工程と、
を更に含んでもよい。
上記態様に係る製造方法では、用意された前記枠部材に、前記凹部を形成する工程を更に含んでもよい。
上記態様に係る製造方法では、
前記枠部材は、一方の前記集電体側に配置された第1枠部材と、他方の前記集電体側に配置された第2枠部材と、を有し、
前記凹部を形成する工程では、前記第1枠部材の厚さ方向に貫通する第1凹部と、前記第2枠部材の厚さ方向に貫通する第2凹部とを形成し、
前記単電池を組み付ける工程では、前記第1凹部と前記第2凹部とが積層方向において位置ずれが生じるように、前記第1枠部材及び前記第2枠部材を前記単電池に組み付けてもよい。
本発明によれば、活物質層を容易に回収することができるリチウムイオン電池及び再生電極活物質の製造方法を提供することができる。
第1の実施形態によるリチウムイオン二次電池を示す模式図である。 第1の実施形態によるリチウムイオン二次電池の単電池構造の外観を示す模式図である。 第1の実施形態によるリチウムイオン二次電池の単電池構造を構成要素ごとに分解して示す概略斜視図である。 単電池構造の作製プロセスを示すフロー図である。 単電池構造のリサイクルプロセスを示すフロー図である。 単電池構造の分別プロセスを示すフロー図である。 単電池構造の負極集電体を剥離する様子を示す模式図である。 単電池構造の負極活物質層を回収する様子を示す概略斜視図である。 単電池構造の正極集電体を剥離する様子を示す概略斜視図である。 単電池構造の正極活物質層を回収する様子を示す概略斜視図である。 第2の実施形態によるリチウムイオン二次電池を示す概略断面図である。 第2の実施形態によるリチウムイオン二次電池の単電池構造の外観を示す模式図である。 第2の実施形態によるリチウムイオン二次電池の単電池構造を構成要素ごとに分解して示す概略斜視図である。 単電池構造の負極集電体を剥離する様子を示す概略斜視図である。 単電池構造の正極集電体を剥離する様子を示す概略斜視図である。
以下、本発明の諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1の実施形態]
先ず、第1の実施形態によるリチウムイオン二次電池について説明する。図1は、本実施形態によるリチウムイオン二次電池を示す模式図であり、(a)が概略斜視図、(b)が(a)のI-I'に沿った概略断面図である。
このリチウムイオン二次電池10は、図1に示すように、平板状の単電池構造1と、単電池構造1を覆う外装フィルム2とを有している。
単電池構造1は、正極電極11及び負極電極13がセパレータ12を介して積層されている。正極電極11は、正極集電体21及び正極活物質層22が積層されている。負極電極13は、負極集電体23及び負極活物質層24が積層されている。枠部材14は、正極集電体21及び負極集電体23の間に配置されてセパレータ12の周縁部を固定し、正極活物質層22、セパレータ12及び負極活物質層24を封止している。封止された内部に電解液が封入されて、単電池構造1が構成される。正極集電体21及び負極集電体23が可撓性を有しているため、リチウムイオン二次電池10は可撓性を有する。
(正極集電体)
正極集電体を構成する材料としては、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス、鋼、ニッケル及びこれらの合金等の金属材料、並びに、焼成炭素、導電性高分子材料、導電性ガラス等が挙げられる。
また、集電体は、導電性高分子材料からなる樹脂集電体であることが好ましい。集電体の形状は特に限定されず、上記の材料からなるシート状の集電体、及び、上記の材料で構成された微粒子からなる堆積層であってもよい。集電体の厚さは、特に限定されないが、50μm~500μmであることが好ましい。
樹脂集電体を構成する導電性高分子材料としては例えば、導電性高分子や、樹脂に必要に応じて導電剤を添加したものを用いることができる。導電性高分子材料を構成する導電剤としては、上述した被覆正極活物質に含まれる導電助剤と同様のものを好適に用いることができる。
正極集電体21としては、導電性フィラーとマトリックス樹脂とを含むことが好ましい。マトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
導電性フィラーは、導電性を有する材料から選択される。
具体的には、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの導電性フィラーは1種単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。また、これらの合金又は金属酸化物を用いても良い。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、更に好ましくはカーボンである。またこれらの導電性フィラーとしては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電性フィラーの材料のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでも良い。
導電性フィラーの平均粒子径は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01μm~10μmであることが好ましく、0.02μm~5μmであることがより好ましく、0.03μm~1μmであることがさらに好ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の観察手段を用い、数~数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
導電性フィラーの形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であっても良く、カーボンナノチューブ等、いわゆるフィラー系導電性樹脂組成物として実用化されている形態であっても良い。
導電性フィラーは、その形状が繊維状である導電性繊維であっても良い。導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性の良い金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。また、グラフェンを練りこんだポリプロピレン樹脂も好ましい。導電性フィラーが導電性繊維である場合、その平均繊維径は0.1μm~20μmであることが好ましい。
樹脂集電体中の導電性フィラーの重量割合は、5重量%~90重量%であることが好ましく、20重量%~80重量%であることがより好ましい。特に、導電性フィラーがカーボンの場合、導電性フィラーの重量割合は、20重量%~30重量%であることが好ましい。
樹脂集電体は、マトリックス樹脂及び導電性フィラーの他に、その他の成分(分散剤、架橋促進剤、架橋剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤等)を含んでいても良い。また、複数の樹脂集電体を積層して用いても良く、樹脂集電体と金属箔とを積層して用いても良い。
正極集電体21の厚さは特に限定されないが、5μm~150μmであることが好ましい。複数の樹脂集電体を積層して正極集電体として用いる場合には、積層後の全体の厚さが5μm~150μmであることが好ましい。
正極集電体21は、例えば、マトリックス樹脂、導電性フィラー及び必要により用いるフィラー用分散剤を溶融混練して得られる導電性樹脂組成物を公知の方法でフィルム状に成形することにより得ることができる。導電性樹脂組成物をフィルム状に成形する方法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法及びカレンダー法等の公知のフィルム成形法が挙げられる。なお、正極集電体21は、フィルム成形以外の成形方法によっても得ることができる。
(正極活物質層)
正極活物質層22は、正極活物質を含む混合物の非結着体であることが好ましい。ここで、非結着体とは、正極活物質層中において正極活物質の位置が固定されておらず、正極活物質同士及び正極活物質同士及び正極活物質と集電体とが不可逆的に固定されていないことを意味する。
正極活物質層22が非結着体である場合、正極活物質同士は不可逆的に固定されていないため、正極活物質同士の界面を機械的に破壊することなく分離することができ、正極活物質層22に応力がかかった場合でも正極活物質が移動することで正極活物質層22の破壊を防止することができ好ましい。非結着体である正極活物質層22は、正極活物質層13を、正極活物質と電解液とを含みかつ結着剤を含まない正極活物質層22にする等の方法で得ることができる。
なお、本明細書において、結着剤とは、正極活物質同士及び正極活物質と集電体とを可逆的に固定することができない薬剤を意味し、デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン-ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等の公知の溶剤乾燥型のリチウムイオン電池用結着剤等が挙げられる。これらの結着剤は溶剤に溶解又は分散して用いられ、溶剤を揮発、留去することで表面が粘着性を示すことなく固体化するので正極活物質同士及び正極活物質と集電体とを可逆的に固定することができない。
正極活物質としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物{遷移金属が1種である複合酸化物(LiCoO2、LiNiO2、LiAlMnO4、LiMnO2及びLiMn24等)、遷移金属元素が2種である複合酸化物(例えばLiFeMnO4、LiNi1-xCox2、LiMn1-yCoy2、LiNi1/3Co1/3Al1/32及びLiNi0.8Co0.15Al0.052)及び金属元素が3種類以上である複合酸化物[例えばLiMaM'bM"c2(M、M'及びM"はそれぞれ異なる遷移金属元素であり、a+b+c=1を満たす。例えばLiNi1/3Mn1/3Co1/32)等]等}、リチウム含有遷移金属リン酸塩(例えばLiFePO4、LiCoPO4、LiMnPO4及びLiNiPO4)、遷移金属酸化物(例えばMnO2及びV25)、遷移金属硫化物(例えばMoS2及びTiS2)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリ-p-フェニレン及びポリビニルカルバゾール)等が挙げられ、2種以上を併用しても良い。なお、リチウム含有遷移金属リン酸塩は、遷移金属サイトの一部を他の遷移金属で置換したものであっても良い。
正極活物質の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01μm~100μmであることが好ましく、0.1μm~35μmであることがより好ましく、2~30μmであることが更に好ましい。
正極活物質は、その表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆正極活物質であっても良い。正極活物質の周囲が被覆材で被覆されていると、正極の体積変化が緩和され、正極の膨張を抑制することができる。
被覆材を構成する高分子化合物としては、特開2017-054703号公報及び国際公開第2015-005117号等に活物質被覆用樹脂として記載されたものを好適に用いることができる。
被覆材には、導電剤が含まれていても良い。導電剤としては、正極集電体21に含まれる導電性フィラーと同様のものを好適に用いることができる。
正極活物質層22には、粘着性樹脂が含まれていても良い。粘着性樹脂としては、例えば、特開2017-054703号公報に記載された非水系二次電池活物質被覆用樹脂に少量の有機溶剤を混合してそのガラス転移温度を室温以下に調整したもの、及び、特開平10-255805公報に粘着剤として記載されたもの等を好適に用いることができる。なお、粘着性樹脂は、溶媒成分を揮発させて乾燥させても固体化せずに粘着性(水、溶剤、熱などを使用せずに僅かな圧力を加えることで接着する性質)を有する樹脂を意味する。一方、結着剤として用いられる溶液乾燥型の電極用バインダは、溶媒成分を揮発させることで乾燥、固体化して活物質同士を強固に接着固定するものを意味する。従って、上述した結着剤(溶液乾燥型の電極用バインダ)と粘着性樹脂とは異なる材料である。
正極活物質層22には、電解質と非水溶媒を含む電解液が含まれていても良い。電解質としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiN(FSO22及びLiClO4等の無機酸のリチウム塩、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22及びLiC(CF3SO23等の有機酸のリチウム塩等が挙げられ、LiN(FSO22(LiFSIともいう)が好ましい。
非水溶媒としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン等及びこれらの混合物を用いることができる。
ラクトン化合物としては、5員環(γ-ブチロラクトン及びγ-バレロラクトン等)及び6員環のラクトン化合物(δ-バレロラクトン等)等を挙げることができる。
環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びブチレンカーボネート等が挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル-n-プロピルカーボネート、エチル-n-プロピルカーボネート及びジ-n-プロピルカーボネート等が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及びプロピオン酸メチル等が挙げられる。環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン及び1,4-ジオキサン等が挙げられる。鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン及び1,2-ジメトキシエタン等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(トリフルオロメチル)、リン酸トリ(トリクロロメチル)、リン酸トリ(トリフルオロエチル)、リン酸トリ(トリパーフルオロエチル)、2-エトキシ-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン、2-トリフルオロエトキシ-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン及び2-メトキシエトキシ-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン等が挙げられる。ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。アミド化合物としては、DMF等が挙げられる。スルホンとしては、ジメチルスルホン及びジエチルスルホン等が挙げられる。非水溶媒は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
非水溶媒のうち、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、ラクトン化合物、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及びリン酸エステルであり、更に好ましいのはラクトン化合物、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルであり、特に好ましいのは環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルの混合液である。最も好ましいのはエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合液、又は、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合液である。
正極活物質層22には、導電助剤が含まれていても良い。導電助剤としては、正極集電体21に含まれる導電性フィラーと同様の導電性材料を好適に用いることができる。
正極活物質層22における導電助剤の重量割合は、3重量%~10重量%であることが好ましい。
正極活物質層22は、例えば、正極活物質及び電解液を含むスラリーを正極集電体21又は基材の表面に塗布し、余分な電解液を除去する方法によって作製することができる。基材の表面に正極活物質層22を形成した場合、転写等の方法によって正極活物質層22を正極集電体21と組み合わせれば良い。上記スラリーには、必要に応じて、導電助剤や粘着性樹脂が含まれていても良い。また、正極活物質は被覆正極活物質であっても良い。
正極活物質層22の厚みは、特に限定されるものではないが、電池性能の観点から、150μm~600μmであることが好ましく、200μm~450μmであることがより好ましい。
(負極集電体)
負極集電体23としては、正極集電体21で記載した構成と同様のものを適宜選択して用いることができ、同様の方法により得ることができる。負極集電体23の厚さは特に限定されないが、5μm~150μmであることが好ましい。
(負極活物質層)
負極活物質層24は、負極活物質を含む混合物の非結着体であることが好ましい。負極活物質層が非結着体であることが好ましい理由、及び非結着体である負極活物質層23を得る方法等は、正極活物質層22が非結着体であることが好ましい理由、及び非結着体である正極活物質層22を得る方法と同様である。
負極活物質としては、炭素系材料[黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、樹脂焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)及び炭素繊維等]、珪素系材料[珪素、酸化珪素(SiOx)、珪素-炭素複合体(炭素粒子の表面を珪素及び/又は炭化珪素で被覆したもの、珪素粒子又は酸化珪素粒子の表面を炭素及び/又は炭化珪素で被覆したもの並びに炭化珪素等)及び珪素合金(珪素-アルミニウム合金、珪素-リチウム合金、珪素-ニッケル合金、珪素-鉄合金、珪素-チタン合金、珪素-マンガン合金、珪素-銅合金及び珪素-スズ合金等)等]、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、金属(スズ、アルミニウム、ジルコニウム及びチタン等)、金属酸化物(チタン酸化物及びリチウム・チタン酸化物等)及び金属合金(例えばリチウム-スズ合金、リチウム-アルミニウム合金及びリチウム-アルミニウム-マンガン合金等)等及びこれらと炭素系材料との混合物等が挙げられる。上記負極活物質のうち、内部にリチウム又はリチウムイオンを含まないものについては、予め負極活物質の一部又は全部にリチウム又はリチウムイオンを含ませるプレドープ処理を施しても良い。
これらの中でも、電池容量等の観点から、炭素系材料、珪素系材料及びこれらの混合物が好ましく、炭素系材料としては、黒鉛、難黒鉛化性炭素及びアモルファス炭素がさらに好ましく、珪素系材料としては、酸化珪素及び珪素-炭素複合体が更に好ましい。
負極活物質の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01μm~100μmが好ましく、0.1μm~20μmであることがより好ましく、2μm~10μmであることが更に好ましい。
本明細書において、負極活物質の体積平均粒子径は、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(Dv50)を意味する。マイクロトラック法とは、レーザー光を粒子に照射することによって得られる散乱光を利用して粒度分布を求める方法である。なお、体積平均粒子径の測定には、日機装(株)製のマイクロトラック等を用いることができる。
負極活物質は、その表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆負極活物質であっても良い。負極活物質の周囲が被覆材で被覆されていると、負極の体積変化が緩和され、負極の膨張を抑制することができる。
被覆材としては、被覆正極活物質を構成する被覆材と同様のものを好適に用いることができる。
負極活物質層24は、電解質と非水溶媒を含む電解液を含有する。
電解液の組成は、正極活物質層22に含まれる電解液と同様の電解液を好適に用いることができる。
負極活物質層24には、導電助剤が含まれていても良い。導電助剤としては、正極活物質層22に含まれる導電性フィラーと同様の導電性材料を好適に用いることができる。
負極活物質層24における導電助剤の重量割合は、2重量%~10重量%であることが好ましい。
負極活物質層24には、粘着性樹脂が含まれていても良い。粘着性樹脂としては、正極活物質層22の任意成分である粘着性樹脂と同様のものを好適に用いることができる。
負極活物質層24は、例えば、負極活物質及び電解液を含むスラリーを負極集電体23又は基材の表面に塗布し、余分な電解液を除去する方法によって作製することができる。基材の表面に負極活物質層24を形成した場合、転写等の方法によって負極活物質層24を負極集電体23と組み合わせれば良い。上記スラリーには、必要に応じて、導電助剤や粘着性樹脂等が含まれていても良い。また、負極活物質は被覆負極活物質であっても良い。
負極活物質層24の厚みは、特に限定されるものではないが、電池性能の観点から、150μm~600μmであることが好ましく、200μm~450μmであることがより好ましい。
(セパレータ)
セパレータ12としては、ポリエチレン又はポリプロピレン製の多孔性フィルム、上記多孔性フィルムの積層フィルム(多孔性ポリエチレンフィルムと多孔性ポリプロピレンとの積層フィルム等)、合成繊維(ポリエステル繊維及びアラミド繊維等)又はガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等の公知のリチウムイオン単電池に用いられるセパレータが挙げられる。
リチウムイオン二次電池1は、正極活物質層22及び負極活物質層24の外周を封止することで電解液が封入された構成である。正極活物質層22及び負極活物質層23の外周を封止する方法としては、例えば、枠部材14を用いて封止する方法が挙げられる。枠部材14は、正極集電体21及び負極集電体23の間に配置されており、セパレータ12の外周を封止する機能を有する。
(枠部材)
枠部材14としては、電解液に対して耐久性のある材料であれば特に限定されないが、高分子材料が好ましく、熱硬化性高分子材料がより好ましい。具体的には、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリフッ化ビニリデン樹脂等が挙げられ、耐久性が高く取り扱いが容易であることからエポキシ系樹脂が好ましい。
(外装フィルム)
外装フィルム2は、可撓性を有する絶縁材料からなり、電池に用いられている公知の材質を用いることが可能であり、好ましくはラミネートフィルムである。ラミネートフィルムとしては、外側にナイロンフィルム、中心にアルミニウム箔、内側に変性ポリプロピレン等の接着層を有した3層ラミネートフィルムを好ましく用いることができる。
(単電池構造の具体的構成)
図2は、本実施形態によるリチウムイオン二次電池の単電池構造の外観を示す模式図であり、(a)が一方の主面を示す概略斜視図、(b)が他方の主面を示す概略斜視図、(c)が(a)のI-I'に沿った概略断面図である。図3は、本実施形態によるリチウムイオン二次電池の単電池構造を構成要素ごとに分解して示す概略斜視図である。
リチウムイオン二次電池10の単電池構造1において、枠部材14は、正極電極11側に配置された正極側枠部材14aと、負極電極13側に配置された負極側枠部材14bとを有している。
正極側枠部材14aは、図2(a)に示すように、単電池構造1を積層方向から視たときに、正極集電体21の周縁のうちの2つの長辺から、面方向外側方向であって長辺の延在方向と略直交する方向へ向かって張り出している張出部14aA1と、正極集電体21の周縁のうちの短辺から、面方向外側方向であって短辺の延在方向と略直交する方向へ向かって張り出している張出部14aA2とを有している。張出部14aA1,14aA2は、正極集電体21で覆われておらず、単電池構造1の表面において正極側枠部材14aのむき出しの部分である。
負極側枠部材14bは、図2(b)に示すように、単電池構造1を積層方向から視たときに、負極集電体23の周縁のうちの2つの長辺から、面方向外側方向であって長辺の延在方向と略直交する方向へ向かって張り出している張出部14bA1と、負極集電体23の周縁のうちの短辺から、面方向外側方向であって短辺の延在方向と略直交する方向へ向かって張り出している張出部14bA2とを有している。張出部14bA1,14bA2は、負極集電体23で覆われておらず、単電池構造1の裏面において負極側枠部材14bのむき出しの部分である。
正極側枠部材14aの張出部14aA2には、図2(a)に示すように、一短辺に沿って溝状に切り欠かれた正極側凹部14aBが形成されている。正極集電体21は、正極活物質層22の表面を覆い、正極側枠部材14aと接合されている。ここで、図2(c)に示すように、正極集電体21の正極側凹部14aBに沿って正極側凹部14aB上に位置する端縁は、正極側枠部材14aに形成された正極側凹部14aBの存在により正極側凹部14aBとの間で間隙が形成されて、当該端縁の近傍領域の裏面部位が正極側凹部14aB内で露出している。
負極側枠部材14bの張出部14bA2には、図2(b)に示すように、一短辺に沿って溝状に切り欠かれた負極側凹部14bBが形成されている。負極集電体23は、負極活物質層24の表面を覆い、正極側枠部材14bと接合されている。ここで、図2(c)に示すように、負極集電体23の負極側凹部14bBに沿って負極側凹部14bB上に位置する端縁は、負極側枠部材14bに形成された負極側凹部14bBの存在により負極側凹部14bBとの間で間隙が形成されて、当該端縁の近傍領域の裏面部位が負極側凹部14bB内で露出している。
正極活物質層22は、図1及び図2(c)に示すように、その周縁(端縁)が正極側枠部材14aにより保持され、その表面が正極集電体21により覆われ、その裏面がセパレータ12により覆われて、封止されている。負極活物質層24は、図1及び図2(c)に示すように、その周縁(端縁)が負極側枠部材14bにより保持され、その表面がセパレータ12により覆われ、その裏面が負極集電体23により覆われて、封止されている。
(単電池構造の製造方法)
本実施形態では、単電池構造1は、作製プロセスにより作製され、使用後にはリサイクルプロセス及び確認プロセスにより再生利用に供される。図4は作製プロセスを示すフロー図であり、図5はリサイクルプロセスを示すフロー図であり、図6は分別プロセスを示すフロー図である。
(作製プロセス)
先ず、一組の枠部材を用意する(ステップS1)。各枠部材は、正極側枠部材14a及び負極側枠部材14bとなるものである。
続いて、正極側枠部材14aの張出部14aA2に正極側凹部14aBを、負極側枠部材14bの張出部14bA2に負極側凹部14bBを、それぞれ形成する(ステップS2)。
続いて、正極集電体21、正極活物質層22、セパレータ12、負極活物質層24、及び負極集電体23をこの順に重ね合わせた後、電解液を注入する(ステップS3)。
続いて、枠部材14を用いて単電池構造1を組み付ける(ステップS4)。
詳細には、図3のように、正極側枠部材14aの表面(正極側凹部14aBが形成されている面)を正極集電体21と対向するように、負極側枠部材14bの表面(負極側凹部14bBが形成されている面)を負極集電体23と対向するように配置する。正極活物質層22の外周部を正極側枠部材14aで、負極活物質層24の外周部を負極側枠部材14bでそれぞれ封止する。正極側枠部材14aと正極集電体21とを接合すると共に、負極側枠部材14bの表面と負極集電体23とを接合する。セパレータ12を挟持した正極側枠部材14aと負極側枠部材14bとを接合する。
このとき、図2(a)のように、正極側枠部材14aの表面には、単電池構造1を積層方向から視たときに、正極集電体21の周縁のうちの2つの長辺から、面方向外側方向であって長辺の延在方向と略直交する方向へ向かって張り出す張出部14aA1が露出する。
図2(b)のように、負極側枠部材14bの表面には、単電池構造1を積層方向から視たときに、負極集電体23の周縁のうちの2つの長辺から、面方向外側方向であって長辺の延在方向と略直交する方向へ向かって張り出す張出部14bA1が露出する。
更に、図2(a),(c)のように、正極集電体21の正極側凹部14aBに沿って正極側凹部14aB上に位置する端縁は、正極側枠部材14aに形成された正極側凹部14aBの存在により正極側凹部14aBとの間で間隙が形成されて、当該端縁の近傍領域の裏面部位が正極側凹部14aB内で露出する。
図2(b),(c)のように、負極集電体23の負極側凹部14bBに沿って負極側凹部14bB上に位置する端縁は、負極側枠部材14bに形成された負極側凹部14bBの存在により負極側凹部14bBとの間で間隙が形成されて、当該端縁の近傍領域の裏面部位が負極側凹部14bB内で露出する。
(リサイクルプロセス)
回収された使用済みのリチウムイオン二次電池10において、単電池構造1は、以下のようにリサイクル処理される。
先ず、リサイクル処理されるリチウムイオン二次電池10から外装フィルム2を除去して単電池構造1を取り出す(ステップS11)。
続いて、単電池構造1から負極集電体23を剥離して除去する(ステップS12)。
詳細には、図7(a)に示すように、把持固定具41を用いて、単電池構造1の張出部14bA1,14aA1を把持して単電池構造1を固定する。張出部14bA1,14aA1を設けることにより、把持固定具41により張出部14bA,14aA1をより安定して確実に把持することができる。
この状態で、図7(b)に示すように、負極集電体23の短辺幅と略等しい幅の爪部42aを有する剥離具42を用いて、剥離具42の爪部42aの先端を負極側枠部材14bの負極側凹部14bBに挿入し、負極側凹部14bBにおいて露出する負極集電体23の端縁の近傍領域を爪部42aで把持する。負極側凹部14bBの存在により、負極側凹部14bBに爪部42aを容易に挿入することができ、露出する負極集電体23の端縁の近傍領域を爪部42aにより容易且つ確実に把持することができる。そして、図7(a)に示すように、負極側枠部材14bから負極集電体23を剥離する。爪部42aは、負極集電体23の短辺幅と略等しい幅を持つことから、負極集電体23の端縁の近傍領域を短辺幅全体に亘って保持するため、負極集電体23には短辺幅全体に均一な力がかかり、取り残り等を生ぜしめることなく負極集電体23が剥離除去される。
負極集電体23を剥離する際に、剥離をより容易に行うべく、ヒータ等を用いて負極側枠部材14bを加熱するようにしても良い。加熱温度は例えば200℃程度に設定される。
続いて、負極側枠部材14bから露出する負極活物質層24を回収する(ステップS13)。
詳細には、図8に示すように、把持固定具41で固定されている単電池構造1を箱状の回収部43内に立設させ、ノズル44から負極活物質層24に溶解液を拭き付けて負極活物質層24を溶解させ、回収部43に流して除去する。回収部43に収められた液状の負極活物質は回収される。
続いて、単電池構造1から正極集電体21を剥離して除去する(ステップS14)。
詳細には、図9に示すように、把持固定具41を用いて、単電池構造1の張出部14aA1,14bA1を把持して単電池構造1を固定する。張出部14aA1,14bA1を設けることにより、把持固定具41により張出部14aA1,14bA1をより安定して確実に把持することができる。
この状態で、正極集電体21の短辺幅と略等しい幅の爪部42aを有する剥離具42を用いて、剥離具42の爪部42aの先端を正極側枠部材14aの正極側凹部14aBに挿入し、正極側凹部14aBにおいて露出する正極集電体21の端縁の近傍領域を爪部42aで把持する。正極側凹部14aBの存在により、正極側凹部14aBに爪部41aを容易に挿入することができ、外部に露出する正極集電体21の端縁の近傍領域を爪部42aにより容易且つ確実に把持することができる。そして、図9に示すように、正極側枠部材14aから正極集電体21を剥離する。爪部42aは、正極集電体21の短辺幅と略等しい幅を持つことから、正極集電体21の端縁の近傍領域を短辺幅全体に亘って保持するため、正極集電体21には短辺幅全体に均一な力がかかり、取り残り等を生ぜしめることなく正極集電体21が剥離除去される。
正極集電体21を剥離する際に、剥離をより容易に行うべく、ヒータ等を用いて正極側枠部材14aを加熱するようにしても良い。加熱温度は例えば200℃程度に設定される。
続いて、正極側枠部材14aから露出する正極活物質層22を回収する(ステップS15)。
詳細には、図10に示すように、把持固定具41で固定されている単電池構造1を箱状の回収部42内に立設させ、スクレーパー44を用いて正極活物質層22を掻き取って除去する。回収部42に収められた正極活物質は回収される。なお、単電池構造1を製造する際に、正極活物質層22とセパレータ12との間に裏当て用の薄膜を形成しておき、正極活物質層を確実に掻き取ることができるようにしても良い。
(分別プロセス)
図6に示すように、回収された活物質(正極活物質層22の正極活物質及び負極活物質層24の負極活物質)を分別する。
先ず、回収された活物質の物性が確認される(ステップS21)。
続いて、回収された活物質が正しい物性のものであるか否かを調べる(ステップS22)。
ステップS21で正しい物性のものであると判断された場合には、回収された活物質を、正しい物性の活物質用のタンクに入れる(ステップS23)。一方、ステップS21で正しい物性のものではないと判断された場合には、物性の異なる活物質用のタンクに入れる(ステップS24)。
この分別プロセスにより、再生利用に供される活物質を、物性の異なる活物質が混入しないように分別することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、枠部材14(正極側枠部材14a及び負極側枠部材14b)に、集電体(正極集電体21及び負極集電体23)の端縁を露出させる凹部(負極側凹部14bB,14bB)が形成されている。これにより、集電体を剥がす際に、集電体の端縁を把持し易くすることができ、容易に剥がすことが可能となる。集電体を剥がした後、活物質層(負極活物質層24及び正極活物質層22)を確実に回収することができるので、リサイクルプロセスにおける活物質層の回収を容易に行うことができる。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態によるリチウムイオン二次電池について説明する。図11は、本実施形態によるリチウムイオン二次電池を示す概略断面図であり、第1の実施形態における図1(b)の概略断面図に対応している。
このリチウムイオン二次電池110は、図11に示すように、平板状の単電池構造101と、単電池構造101を覆う外装フィルム102とを有している。
単電池構造101は、正極電極111及び負極電極113がセパレータ112を介して積層されている。正極電極111は、正極集電体121及び正極活物質層122が積層されている。負極電極113は、負極集電体123及び負極活物質層124が積層されている。枠部材114は、正極集電体121及び負極集電体123の間に配置されてセパレータ112の周縁部を固定し、正極活物質層122、セパレータ112及び負極活物質層124を封止している。封止された内部に電解液が封入されて、単電池構造101が構成される。正極集電体121及び負極集電体123が可撓性を有しているため、リチウムイオン二次電池110は可撓性を有する。
(単電池構造の具体的構成)
図12は、本実施形態によるリチウムイオン二次電池の単電池構造の外観を示す模式図であり、(a)が一方の主面を示す概略斜視図、(b)が他方の主面を示す概略斜視図、(c)が(a)における一端面の概略正面図である。図13は、本実施形態によるリチウムイオン二次電池の単電池構造を構成要素ごとに分解して示す概略斜視図である。
リチウムイオン二次電池110の単電池構造101において、枠部材114は、正極電極111側に配置された正極側枠部材114aと、負極電極113側に配置された負極側枠部材114bとを有している。
正極側枠部材114aは、図12(a)に示すように、単電池構造101を積層方向から視たときに、正極集電体121の4隅のうち、少なくとも短辺側の2隅に、面方向外側方向へ向かって張り出している張出部114aAを有している。張出部114aAは、正極集電体121で覆われておらず、単電池構造101の表面において正極側枠部材114aのむき出しの部分である。
負極側枠部材114bは、図12(b)に示すように、単電池構造101を積層方向から視たときに、負極集電体123の4隅のうち、少なくとも短辺側の2隅に、面方向外側方向へ向かって張り出している張出部114bAを有している。張出部114bAは、負極集電体123で覆われておらず、単電池構造101の表面において負極側枠部材14bのむき出しの部分である。
正極側枠部材114aには、図12(c)に示すように、一短辺の端縁領域において、その厚さ方向に貫通するように切り欠かれてなる正極側凹部114aB(図示の例では3つ)が形成されている。
負極側枠部材114bには、図12(c)に示すように、一短辺の端縁領域において、その厚さ方向に貫通するように切り欠かれてなる負極側凹部114bB(図示の例では3つ)が形成されている。
正極側凹部114aBと負極側凹部114bBは、図12(c)に示すように、積層方向においてそれぞれ異なる位置(図示の例では互い違いの位置)に形成されている。
正極集電体121は、正極側枠部材114aの端縁までその表面を覆い、正極側枠部材114aと接合されている。ここで、図12(a),(b)に示すように、正極集電体121は、正極側凹部114aBの上方を覆っており、正極側凹部114aBとの間で当該正極集電体121の一短辺の端縁から露出する間隙が形成されている。
負極集電体123は、負極側枠部材114bの端縁までその表面を覆い、負極側枠部材114bと接合されている。ここで、図12(a),(b)に示すように、負極集電体123は、負極側凹部114bBの上方を覆っており、負極側凹部114bBとの間で当該正極集電体121の一短辺の端縁から露出する間隙が形成されている。
ここで、正極側凹部114aBと負極側凹部114bBが積層方向において同一の位置(又は一部重なる位置)に設けられていると、単電池構造1を組み付けたときに、正極側凹部114aB及び負極側凹部114bBを介して、正極集電体121と負極集電体123とが接触して導通するおそれがある。本実施形態では、正極側凹部114aBと負極側凹部114bBが積層方向においてそれぞれ異なる位置に設けていることで、正極集電体121と負極集電体123とが接触して導通するおそれを回避することができる。
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、正極側枠部材114a又は負極側枠部材14b、例えば正極側枠部材114aの張出部114aAの一部分内に、後述する電子部品30が配置されるようにしても良い。
(単電池構造の製造方法)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、単電池構造101は、作製プロセスにより作製され、使用後にはリサイクルプロセス及び確認プロセスにより再生利用に供される。
(作製プロセス)
図4と同様に、先ず、一組の枠部材を用意する(ステップS1)。各枠部材は、正極側枠部材114a及び負極側枠部材114bとなるものである。
続いて、正極側枠部材114aの一短辺の端縁領域に、正極側枠部材114aの厚さ方向に貫通する正極側凹部114aBを形成する。負極側枠部材114bの一短辺の端縁領域に、負極側枠部材114bの厚さ方向に貫通する負極側凹部114bBを形成する(ステップS2)。
続いて、正極集電体121、正極活物質層122、セパレータ112、負極活物質層124、及び負極集電体123をこの順に重ね合わせた後、電解液を注入する(ステップS3)。
続いて、枠部材114を用いて単電池構造101を組み付ける(ステップS4)。
詳細には、図13のように、正極側枠部材114aの表面を正極集電体121と対向するように、負極側枠部材114bの表面を負極集電体123と対向するように配置する。正極活物質層122の外周部を正極側枠部材114aで、負極活物質層124の外周部を負極側枠部材114bでそれぞれ封止する。正極側枠部材114aと正極集電体121とを接合すると共に、負極側枠部材114bの表面と負極集電体123とを接合する。セパレータ112を挟持した正極側枠部材114aと負極側枠部材114bとを接合する。
このとき、図12(a)~(c)のように、正極側凹部114aBと負極側凹部114bBとが積層方向において位置ずれが生じるように、正極側枠部材114aと負極側枠部材114bが接合される。そして、単電池構造101の一短辺の端縁において、正極側凹部114aBと正極集電体121で形成される間隙と、負極側凹部114bBと負極集電体123で形成される間隙とが露出する。
(リサイクルプロセス)
第1の実施形態と同様に、回収された使用済みのリチウムイオン二次電池110において、単電池構造101は、以下のようにリサイクル処理される。
図5と同様に、先ず、リサイクル処理されるリチウムイオン二次電池110から外装フィルム102を除去して単電池構造101を取り出す(ステップS11)。
続いて、単電池構造101から負極集電体123を剥離して除去する(ステップS12)。
詳細には、図14に示すように、把持固定具141を用いて、単電池構造101の張出部114bA,114aAを把持して単電池構造101を固定する。張出部114bA,114aAを設けることにより、把持固定具141により張出部114bA,114aAをより安定して確実に把持することができる。
この状態で、図14に示すように、爪部141aを有する剥離具142を用いて、剥離具142の爪部142aの先端を負極側凹部114bBと負極集電体123で形成された間隙に挿入し、間隙内で露出する負極集電体123の部分を爪部142aで把持する。負極側凹部114bBの存在により、間隙に爪部142aを容易に挿入することができ、間隙内で露出する負極集電体123の部分を爪部142aにより容易且つ確実に把持することができる。そして、図14に示すように、負極側枠部材114bから負極集電体123を剥離する。負極集電体123の一短辺の端縁に沿って複数の爪部142aで把持するため、負極集電体123には短辺幅全体に略均一な力がかかり、取り残り等を生ぜしめることなく負極集電体123が剥離除去される。
負極集電体123を剥離する際に、剥離をより容易に行うべく、ヒータ等を用いて負極側枠部材114bを加熱するようにしても良い。加熱温度は例えば200℃程度に設定される。
続いて、第1の実施形態の図8と同様に、負極側枠部材114bから露出する負極活物質層124を回収する(ステップS13)。
続いて、単電池構造101から正極集電体121を剥離して除去する(ステップS14)。
詳細には、図15に示すように、把持固定具141を用いて、単電池構造101の張出部114aA,114bAを把持して単電池構造101を固定する。張出部114aA,114bAAを設けることにより、把持固定具141により張出部114aA,114bAをより安定して確実に把持することができる。
この状態で、図15に示すように、爪部141aを有する剥離具142を用いて、剥離具142の爪部142aの先端を正極側凹部114aBと正極集電体121で形成された間隙に挿入し、間隙内で露出する正極集電体121の部分を爪部142aで把持する。正極側凹部114aBの存在により、間隙に爪部142aを容易に挿入することができ、間隙内で露出する正極集電体121の部分を爪部142aにより容易且つ確実に把持することができる。そして、図15に示すように、正極側枠部材114aから正極集電体121を剥離する。正極集電体121の一短辺の端縁に沿って複数の爪部142aで把持するため、正極集電体121には短辺幅全体に略均一な力がかかり、取り残り等を生ぜしめることなく正極集電体121が剥離除去される。
正極集電体121を剥離する際に、剥離をより容易に行うべく、ヒータ等を用いて正極側枠部材114aを加熱するようにしても良い。加熱温度は例えば200℃程度に設定される。
続いて、第1の実施形態の図10と同様に、正極側枠部材114aから露出する正極活物質層122を回収する(ステップS15)。
(分別プロセス)
第1の実施形態の図6と同様に、回収された活物質(正極活物質層122の正極活物質及び負極活物質層124の負極活物質)を分別する。
以上説明したように、本実施形態によれば、枠部材114(正極側枠部材114a及び負極側枠部材114b)に、集電体(正極集電体121及び負極集電体213)の端縁を露出させる凹部(負極側凹部114bB,114bB)が形成されている。これにより、集電体を剥がす際に、集電体の端縁を把持し易くすることができ、容易に剥がすことが可能となる。集電体を剥がした後、活物質層(負極活物質層124及び正極活物質層122)を確実に回収することができるので、リサイクルプロセスにおける活物質層の回収を容易に行うことができる。
一実施形態では、単電池(単電池構造)の内部に、単電池の状態を検出する電子部品を配置するようにしても良い。例えば、枠部材内に単電池の状態を検出する電子部品を配置してもよいし、枠部材の張出部の一部分内に、単電池の状態を検出する電子部品を配置してもよい。その他、単電池における正極集電体と負極集電体との間(例えば、正極集電体の周縁部と負極集電体との周縁部との間)に、単電池の状態を検出する電子部品を配置してもよい。
電子部品としてはアンプ、IC等を想定した電子部品を描いており、電流及び/又は電圧を制御するための他の電子部品としてはチップ抵抗を想定した電子部品を描いている。配線基板に実装する電子部品の種類としてはこれらに限定されるものではない。また、複数の電子部品を組み合わせたモジュールを枠部材に設ける場合も、モジュールに配線基板が含まれる場合は、枠部材に配線基板を設ける場合の一態様に含まれる。
本実施形態では、単電池の例えば正極側枠部材内に配線基板が設けられており、電子部品は配線基板に実装されていることが好ましい。また、配線基板には電子部品に供給する電流及び/又は電圧を制御するための他の電子部品が実装されていることも好ましい。正極側枠部材に配線基板を設け、電子部品を配線基板に実装することにより、複数の機能を組み合わせて様々な測定や制御を行うことができる。
また、電子部品の仕様ごとに好ましい電流及び/又は電圧が異なるが、単電池から直接供給される電流及び/又は電圧が電子部品の仕様に適合しない場合がある。そのような場合に電子部品に供給する電流及び/又は電圧を制御するための他の電子部品を配線基板に実装して設けることにより、様々な電子部品を使用することができる。
電子部品は、単電池内の状態を検出するための電子部品である。例えば、単電池内の所定部位における温度、電圧、電流又はアコースティックエミッションを測定するセンサであることが好ましい。また、単電池内の状態を示す信号を単電池の外部に無線出力することができる電子部品であることが好ましい。電子部品がセンサであると単電池内の状態を検出することができ、無線出力することができる電子部品であると、検出した状態を示す信号を無線出力して電池外部で測定結果を受信することができ、単電池を解体することなく単電池内の状態を知ることができる。
単電池内の温度、電圧又は電流を測定することで、単電池内の一部でショート等の不具合が生じた場合に引き起こされる局所的な温度上昇、電流値の上昇、電圧の低下等を検出することができる。また、アコースティックエミッションを測定することで単電池内に破損や変形が生じているかを検出することができる。
電子部品としては、受動素子、能動素子を使用することができる。これらの素子としては、コンデンサ、インダクタ、抵抗、トランジスタ、ダイオード、IC、LSI等の任意の素子を使用することができる。また、無線出力することができる電子部品である場合、アンテナ、フィルタ、増幅器、発振器等の部品であっても良く、これらの部品がモジュール化された無線通信モジュールであっても良く、センサ一体型モジュールであっても良い。
また、枠部材内に配置された電子部品により単電池内の状態の検出を行う/行わない、の切り替えをするスイッチを有し、外部からの信号が与えられた場合にスイッチを切り替えて単電池1内の状態の検出を行うようになっていても良い。外部からの信号が与えられた場合のみ単電池内の状態の検出を行うようにしておくことによって、電子部品による電力消費を抑えることができる。また、上記構成の場合、電子部品は外部からの信号を受信するためのアンテナ素子を備えていることが好ましい。外部からの信号としては、単電池内の状態の検出を行うように指令する信号、単電池内の状態の検出を止めるように指令する信号等が挙げられる。
電子部品は正極集電体及び負極集電体と電気的に接続されており、単電池からの電力供給を受けることができるようになっていることが好ましい。電子部品が正極集電体及び負極集電体と電気的に接続されていると、単電池からの電力供給を受けて作動することができる。電子部品を作動させるための電源及び配線を設ける必要が無いため簡便な構成とすることができる。
また、本実施形態において集電体として樹脂集電体を使用する場合、例えば正極集電体と電子部品の電極を接触させ、正極集電体を加熱して樹脂を軟化させることにより、正極集電体と電子部品を直接結合させることができる。即ち、樹脂集電体を使用することによって半田等の他の接合材を集電体と電子部品の間に介することなく電気的な接続を行うことができる。
また、例えば正極側枠部材内に設けられた電子部品の外部電極が正極集電体及び負極集電体と接触していても良い。この場合、電子部品と正極集電体及び負極集電体は電気的に接続されている。
また、枠部材には電子部品を配置するための貫通穴が設けられており、貫通穴に電子部品が配置されていて、枠部材の厚さと電子部品の高さが略同一であることが好ましい。貫通穴に電子部品を配置するようにすると枠部材内に電子部品を配置するのが容易であり、枠部材の厚さと電子部品の高さを略同一にすることにより、電子部品を正極集電体及び負極集電体と接触させ、電子部品と正極集電体及び負極集電体を電気的に接続させることができる。例えば、正極側枠部材に貫通穴が設けられており、貫通穴に電子部品が配置されても良い。また、枠部材の厚さと電子部品の高さが略同一とされても良い。
リチウムイオン二次電池では、単電池1の外周に設けられた枠部材内の複数箇所に電子部品がそれぞれ配置されており、単電池内の異なる部位における状態を個別に検出することができるようになっていることが好ましい。
単電池の上面視した面積が広くなる、即ち電池容量が大きい電池であると、単電池の内部での特性のばらつきが生じ易くなるので、単電池の外周に設けられた枠部材内の複数箇所に電子部品をそれぞれ配置して単電池内の状態を示す指標を個別に検出させることが特に有効となる。例えば、単電池の上面視した面積は600cm2以上であることが好ましい。また、単電池の上面視した面積と電子部品を配置する数の関係として、単電池の上面視した面積100cm2あたりに1~2個の電子部品を配置することが好ましい。
以上説明したように、一実施形態では、単電池の枠部材の例えば張出部内に電子部品を設けることにより、単電池内の状態を検出することができ、その結果、単電池内で不具合が生じている箇所を特定することができる。枠部材内に電子部品を配置することで電子部品を配置するためのスペースを単電池外に設ける必要がなく、リチウムイオン二次電池全体の省スペース化を図ることができる。
以上説明したように、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池は、電極活物質の表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆活物質を含む電極組成物層と、集電体と、セパレータとを有するリチウムイオン電池であって、一対の前記集電体の間に配置された前記セパレータの周縁部を固定し、前記セパレータ及び前記電極組成物層を封止する枠部材を備え、前記枠部材は、前記単電池を積層方向から視たときに、前記集電体の端縁から面方向外側に張り出す張出部を有し、前記枠部材の端縁、又は、前記張出部のうち前記集電体の端縁が位置する部分には、前記集電体の端縁を露出させる凹部が形成されている。
上記一実施形態では、前記電極組成物層は、前記被覆活物質が相互に結着しない状態の非結着体を含んでもよい。
上記一実施形態では、前記凹部は、前記枠部材のうち前記集電体側の部分が切欠かれた形状を有してもよい。
上記一実施形態では、本発明のリチウムイオン電池では、前記張出部のうち前記集電体の端縁に位置する部分に前記凹部が形成されている場合、前記凹部は、前記集電体の端縁に沿って形成されていてもよい。
上記一実施形態では、前記張出部は、前記集電体の長辺から、面方向外側方向であって前記長辺の延在方向と略直交する方向へ向かってそれぞれ張り出していてもよい。
上記一実施形態では、前記枠部材は、一方の前記集電体側に配置された第1枠部材と、他方の前記集電体側に配置された第2枠部材と、を備え、前記凹部は、前記第1枠部材に形成された第1凹部と、前記第2枠部材に形成された第2凹部と、を備えていてもよい。
上記一実施形態では、前記枠部材の端縁に前記凹部が形成されている場合、前記凹部は、前記枠部材の前記積層方向に貫通形成されていてもよい。
上記一実施形態では、前記枠部材は、一方の前記集電体側に配置された第1枠部材と、他方の前記集電体側に配置された第2枠部材と、を備え、前記凹部は、前記第1枠部材に形成された第1凹部と、前記第2枠部材に形成された第2凹部と、を備え、前記第1凹部は、前記第1枠部材の厚さ方向に貫通しており、前記第2凹部は、前記第2枠部材の厚さ方向に貫通しており、前記第1凹部と前記第2凹部は、積層方向においてそれぞれ異なる位置に設けられていてもよい。
上記一実施形態では、前記枠部材内には、単電池の状態を検出する電子部品が配置されていてもよい。
上記一実施形態では、前記張出部内には、単電池の状態を検出する電子部品が配置されていてもよい。
本発明の一実施形態に係る再生電極活物質の製造方法は、上記のリチウムイオン電池を用意する工程と、前記枠部材の前記張出部を把持する工程と、前記張出部が把持された状態で、前記凹部において露出する、前記枠部材の端縁、又は、前記張出部のうち前記集電体の端縁が位置する部分を用いて、前記集電体を剥離する工程と、を含む。
上記一実施形態に係る製造方法では、一方の前記集電体を剥離した後、一方の前記電極組成物層に溶解液を吹き付け、液状に溶解した一方の前記電極組成物層を流すように除去する工程を更に含んでもよい。
上記一実施形態に係る製造方法では、他方の前記集電体を剥離した後、他方の前記電極組成物層を掻き取って除去する工程を更に含んでもよい。
上記一実施形態に係る製造方法では、前記枠部材を用意する工程と、前記枠部材を用いて、前記単電池を組み付ける工程と、を更に含んでもよい。
上記一実施形態に係る製造方法では、用意された前記枠部材に、前記凹部を形成する工程を更に含んでもよい。
上記一実施形態に係る製造方法では、前記枠部材は、一方の前記集電体側に配置された第1枠部材と、他方の前記集電体側に配置された第2枠部材と、を有し、前記凹部を形成する工程では、前記第1枠部材の厚さ方向に貫通する第1凹部と、前記第2枠部材の厚さ方向に貫通する第2凹部とを形成し、前記単電池を組み付ける工程では、前記第1凹部と前記第2凹部とが積層方向において位置ずれが生じるように、前記第1枠部材及び前記第2枠部材を前記単電池に組み付けてもよい。
1,101 単電池構造
2,102 外装フィルム
10,110 リチウムイオン二次電池
11,111 正極電極
12,112 セパレータ
13,113 負極電極
14,114 枠部材
14a,114a 正極側枠部材
14b,114b 負極側枠部材
14aA1,14aA2,14bA1,14bA2,114aA,114bA 張出部
14aB,114aB 正極側凹部
14bB,114bB 負極側凹部
21,121 正極集電体
22,122 正極活物質層
23,123 負極集電体
24,124 負極活物質層
30 電子部品
31 配線基板
32 他の電子部品
30a,30b 外部電極
33 貫通穴
41,141 把持固定具
42,142 剥離具
42a,142a 爪部
43 回収部
44 ノズル
45 スクレーパー

Claims (17)

  1. 電極活物質の表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆活物質を含む電極組成物層と、集電体と、セパレータとを有するリチウムイオン電池であって、
    一対の前記集電体の間に配置された前記セパレータの周縁部を固定し、前記セパレータ及び前記電極組成物層を封止する枠部材を備え、
    前記枠部材は、前記単電池を積層方向から視たときに、前記集電体の端縁から面方向外側に張り出す張出部を有し、
    前記枠部材の端縁、又は、前記張出部のうち前記集電体の端縁が位置する部分には、前記集電体の端縁を露出させる凹部が形成されている、
    リチウムイオン電池。
  2. 前記電極組成物層は、前記被覆活物質が相互に結着しない状態の非結着体を含む、
    請求項1に記載のリチウムイオン電池。
  3. 前記集電体は、樹脂と導電性フィラーとを含む樹脂集電体であり、
    前記樹脂集電体と前記電極組成物層とから成る積層構造は、金属集電体とバインダー樹脂を含む電極組成物層とから成る積層構造よりも柔軟性を有する、
    請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池。
  4. 前記凹部は、前記枠部材のうち前記集電体側の部分が切欠かれた形状を有する、
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池。
  5. 前記張出部のうち前記集電体の端縁に位置する部分に前記凹部が形成されている場合、前記凹部は、前記集電体の端縁に沿って形成されている、
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池。
  6. 前記張出部は、前記集電体の長辺から、面方向外側方向であって前記長辺の延在方向と略直交する方向へ向かってそれぞれ張り出している、
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池。
  7. 前記枠部材は、一方の前記集電体側に配置された第1枠部材と、他方の前記集電体側に配置された第2枠部材と、
    を備え、
    前記凹部は、前記第1枠部材に形成された第1凹部と、前記第2枠部材に形成された第2凹部と、
    を備えた、
    請求項1乃至6のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池。
  8. 前記枠部材の端縁に前記凹部が形成されている場合、前記凹部は、前記枠部材の前記積層方向に貫通形成されている、
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池。
  9. 前記枠部材は、一方の前記集電体側に配置された第1枠部材と、他方の前記集電体側に配置された第2枠部材と、
    を備え、
    前記凹部は、前記第1枠部材に形成された第1凹部と、前記第2枠部材に形成された第2凹部と、
    を備え、
    前記第1凹部は、前記第1枠部材の厚さ方向に貫通しており、
    前記第2凹部は、前記第2枠部材の厚さ方向に貫通しており、
    前記第1凹部と前記第2凹部は、積層方向においてそれぞれ異なる位置に設けられている、
    請求項8に記載のリチウムイオン電池。
  10. 前記枠部材内には、単電池の状態を検出する電子部品が配置されている、
    請求項1乃至9のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池。
  11. 前記張出部内には、単電池の状態を検出する電子部品が配置されている、
    請求項1乃至9のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池。
  12. 請求項1に記載のリチウムイオン電池を用意する工程と、
    前記枠部材の前記張出部を把持する工程と、
    前記張出部が把持された状態で、前記凹部において露出する、前記枠部材の端縁、又は、前記張出部のうち前記集電体の端縁が位置する部分を用いて、前記集電体を剥離する工程と、
    を含む、
    再生電極活物質の製造方法。
  13. 一方の前記集電体を剥離した後、一方の前記電極組成物層に溶解液を吹き付け、液状に溶解した一方の前記電極組成物層を流すように除去する工程
    を更に含む、
    請求項12に記載の再生電極活物質の製造方法。
  14. 他方の前記集電体を剥離した後、他方の前記電極組成物層を掻き取って除去する工程
    を更に含む、
    請求項12又は13に記載の再生電極活物質の製造方法。
  15. 前記枠部材を用意する工程と、
    前記枠部材を用いて、前記単電池を組み付ける工程と、
    を更に含む、
    請求項12乃至14のいずれか1項に記載の再生電極活物質の製造方法。
  16. 用意された前記枠部材に、前記凹部を形成する工程
    を更に含む、
    請求項15に記載の再生電極活物質の製造方法。
  17. 前記枠部材は、一方の前記集電体側に配置された第1枠部材と、他方の前記集電体側に配置された第2枠部材と、を有し、
    前記凹部を形成する工程では、前記第1枠部材の厚さ方向に貫通する第1凹部と、前記第2枠部材の厚さ方向に貫通する第2凹部とを形成し、
    前記単電池を組み付ける工程では、前記第1凹部と前記第2凹部とが積層方向において位置ずれが生じるように、前記第1枠部材及び前記第2枠部材を前記単電池に組み付ける、
    請求項16に記載の再生電極活物質の製造方法。
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