JP2023140291A - 金属材料表面処理構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡易な配合および手法で、ゴムまたは樹脂と金属との良好な接着強度が得られる表面処理がされた金属材料表面処理構造体を提供する。【解決手段】 金属材料の表面に、クロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物よりなる層を有する、金属材料表面処理構造体を用い、ゴムまたは樹脂を接着する。【選択図】 なし

Description

本発明は、クロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物を表面に有する金属材料表面処理構造体に関するものである。
金属表面の着色や保護のため、金属表面に塗料やコーティング剤を塗布する場合や、ゴムまたは樹脂を接着剤にて接着する手法が用いられる。塗料やコーティング剤および接着剤の主原料としては、各種樹脂やゴムが用いられるが、金属表面は、ゴムや樹脂組成物との接着性に乏しいため、塗布後に剥がれ落ちたり、接着強度が低いなどの問題が生じる。そのため、従来より、金属表面の表面処理およびその処理剤が検討されてきた。(例えば、特許文献1参照。)しかし、表面処理により密着性が上がる反面、金属表面に存在する表面処理被膜自体の強度が不足し、接着強度が不十分となるなどの課題があった。
また、ゴムと一緒に表面処理層や接着剤を加硫し、正面処理剤層とゴムを一体化することで高度な強度を得る手法(例えば、特許文献2参照。)があるが、配合が複雑で、また、厚みを制御した塗膜を複数層重ねるなど、高度な技術が必要であった。
特開平8-302477号公報 特表2008-503616号公報
本発明はこの問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の金属表面処理剤では、十分な接着強度が得られない、もしくは、手順が煩雑であった、ゴムまたは樹脂と金属との接着構造体作製において、簡易な配合および手法で、良好な接着強度が得られる表面処理がされた金属材料表面処理構造体を提供するものである。
本発明者は、このような背景の下、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、クロロスルホン化ポリオレフィンを表面に処理した金属を用いることで、簡易な手法で、ゴムまたは樹脂との密着性に優れ、良好な接着強度がえられるこをと見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の各態様は、以下の[1]~[7]である。
[1] 金属材料の表面に、クロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物よりなる層を有する、金属材料表面処理構造体。
[2] クロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物よりなる層の厚みが1nm~1000nmである、上記[1]に記載の金属材料表面処理構造体。
[3] クロロスルホン化ポリオレフィンに含まれる塩素量が26~67重量%であり、硫黄量が0.5~2.0重量%である、上記[1]又は[2]に記載の金属材料表面処理構造体。
[4] 上記[1]~[3]のいずれかに記載の金属材料表面処理構造体の上に、樹脂又はゴムを含む層を有する、積層体。
[5] 樹脂又はゴムが、塩素化ポリエチレン、塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体又はクロロプレンゴムのいずれかである、上記[4]に記載の積層体。
[6] クロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物を溶剤に溶解し、金属材料表面に塗布した後、溶剤を揮発乾燥させることによりクロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物よりなる層を形成し、その後、溶剤で洗浄する、上記[1]~[3]のいずれかに記載の金属材料表面処理構造体の製造方法。
[7] クロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物を溶剤に溶解し、金属材料表面に塗布した後、溶剤を揮発乾燥させることによりクロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物よりなる層を形成し、その後、溶剤で洗浄する、金属材料表面処理方法。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の一態様である金属材料表面処理構造体は、金属材料の表面にクロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物よりなる層を有するものである。
クロロスルホン化ポリオレフィンとしては、クロロスルホン化ポリエチレンが市販されており、それ以外にもクロロスルホン化ポリプロピレンや、クロロスルホン化エチレン-酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
金属材料表面と優れた密着性又は優れた接着強度を得るため、クロロスルホン化ポリオレフィンは、塩素量を26~67重量%含む事が好ましく、更には、塩素量を30~45重量%含む事が好ましい。また、クロロスルホン化ポリオレフィンはクロロスルホン基由来の硫黄分を0.5~2.0重量%含む事が好ましく、更には0.7~1.5重量%含む事が好ましい。
クロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物は、上記クロロスルホン化ポリオレフィンの他に、例えば、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレン、塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ゴムなどの塩素含有樹脂を含む。クロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物は、クロロスルホン化ポリオレフィンを50重量%以上含む事が好ましく、更には80%以上含む事が好ましい。
クロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物には、本発明の目的および効果を損なわない範囲で、任意の成分を含んでいてもよい。任意成分としては、燐酸エステルおよび亜燐酸エステル等のような熱安定剤;ヒンダードフェノール等のような酸化防止剤;耐熱剤;耐候剤;光安定剤;離型剤;流動改質剤;着色剤;滑剤;帯電防止剤;結晶核剤;可塑剤;発泡剤等が挙げられる。
金属材料については、特に限定するものでは無いが、一般的に用いられる鉄、鋼、などがあり、他にもステンレスやアルミニウムといった表面に樹脂との接着を阻害する酸化被膜を持つ金属板でも効果が得られる。
金属材料表面処理構造体のクロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物よりなる層は、クロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物を溶剤に溶解し、金属材料表面に塗布した後、溶剤を揮発乾燥させることで層を形成し、溶剤で洗浄する事により形成できる。使用する溶剤はクロロスルホン化ポリオレフィン、クロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物を溶解可能であれば特に限定するものでは無く、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒や、メチルエチルケトン、酢酸プロピルなどの脂肪族溶媒、ジクロロエタン、クロロホルムなどの塩素系溶剤などが使用可能である。。塗布方法は特に限定するものではなく、スピンコートやディッピング、刷毛などを用いることが可能である。溶剤の乾燥揮発乾燥方法はクロロスルホン化ポリオレフィンを分解するような高温でなければ特に限定するものではなく、室温での風乾、200℃以下での加熱乾燥、真空乾燥などで可能である。
クロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物からなる層の厚みは、特に限定するものでは無いが、厚くなると破壊点となり接着強度が低下する可能性があるため、1nm~1000nmが好ましく、さらに3nm~ 100nmが好ましい。この範囲とすることで、良好な密着性と接着強度を両立できる。膜厚は、塗布乾燥後に溶剤で洗浄して調整することが可能であり、適度に洗浄する事で簡単にこの範囲に膜厚を制御する事ができる。 本発明の一態様である積層体は、上記の金属材料表面処理構造体の上に、樹脂又はゴムを含む層を有するものである。
樹脂又はゴムとして、塩素化ポリエチレン、塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体又はクロロプレンゴムのいずれかが挙げられる。
積層体は、樹脂又はゴムを溶剤に溶解し、上記金属材料表面処理構造体に塗布した後、溶剤を揮発乾燥させることで樹脂又はゴムを含む層を形成することにより、製造することができる。溶剤としては、樹脂又はゴムを溶解可能であれば特に限定するものでは無く、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒や、メチルエチルケトン、酢酸プロピルなどの脂肪族溶媒、ジクロロエタン、クロロホルムなどの塩素系溶剤などが使用可能である。
樹脂又はゴムを含む層の具体例としては、塗料、コーティング、接着剤などが挙げられ、本発明の金属材料表面処理構造体の上に塗布することにより、金属材料表面に強固に密着した塗装や保護層、接着層を形成する事ができる。
また、本発明の一態様である金属材料表面処理方法は、クロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物を溶剤に溶解し、金属材料表面に塗布した後、溶剤を揮発乾燥させることによりクロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物よりなる層を形成し、その後、溶剤で洗浄することにより金属材料表面を処理することにより、金属材料をゴムまたは樹脂と密着性に優れ、良好な接着強度を得るものとすることができる。
本発明の金属材料表面処理構造体により、簡易な手法で、ゴムまたは樹脂との密着性に優れ、良好な接着強度を得ることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、実施例におけるポリマーの塩素量、硫黄量の測定、および合成方法、ならびに金属材料表面処理構造体の作製方法と、塗布膜厚および密着性は以下の方法で実施した。
<塩素量、硫黄量の測定>
クロロスルホン化ポリエチレンおよび塩素化ポリエチレンの塩素量は、試料を燃焼フラスコ法にて燃焼させ、生じる塩酸を純水に吸収させた後、0.05mol/Lの硝酸銀水溶液を用いて自動滴定装置により定量した。また、硫黄量はJIS K6233(1998年版)に準拠して、酸素燃焼フラスコ法にて測定した。
<クロロスルホン化ポリエチレンの合成>
500mlのガラス容器に、メルトインデックス23g/10分、密度0.92のポリエチレン30gおよび1,1,2-トリクロロエタン150mlを入れて攪拌し、オイルバスにて100℃に加熱してポリエチレンを溶解させた。その後、反応の助触媒としてピリジン0.05mlを加えた後、塩素ガスを毎分0.1Lの流速で吹き込むと同時に、1,1,2-トリクロロエタンに0.015g/Lとなるよう溶解したα,α´-アゾビスイソブチロニトリルを毎分0.06mlの速さで連続添加し反応を開始した。反応開始70分後に塩素ガスを停止し、スルフリルクロライド9mlを30分かけ少しずつ滴下した。その後、オイルバスを80℃に設定し、約2時間窒素バブリングを実施し、溶存している酸性ガスを系外へ排出し、反応を終了した。
この反応液100mlを1Lのメタノールに少しずつ混合し、乳白色の固体を析出させた後、100メッシュの金網でろ過し、更に真空乾燥機にて室温で5日間乾燥させてクロロスルホン化ポリエチレンAを得た。塩素量は41.0%、硫黄量は0.9%であった。
<塩素化ポリエチレンの合成>
500mlのガラス容器に、メルトインデックス23g/10分、密度0.92のポリエチレン30gおよび1,1,2-トリクロロエタン150mlを入れて攪拌し、オイルバスにて100℃に加熱してポリエチレンを溶解させた。その後、反応の助触媒としてピリジン0.05mlを加えた後、塩素ガスを毎分0.1Lの流速で吹き込むと同時に、1,1,2-トリクロロエタンに0.015g/Lとなるよう溶解したα,α´-アゾビスイソブチロニトリルを毎分0.06mlの速さで連続添加し反応を開始した。反応開始90分後に塩素ガスを停止しその後、オイルバスを80℃に設定し、約2時間窒素バブリングを実施し、溶存している酸性ガスを系外へ排出し、反応を終了した。
この反応液100mlを1Lのメタノールに少しずつ混合し、乳白色の固体を析出させた後、100メッシュの金網でろ過し、更に真空乾燥機にて室温で5日間乾燥させて塩素化ポリエチレンAを得た。塩素量は40.7%であった。
<膜厚測定>
膜厚は、エリプソメーターを用いて測定した。測定光の入射角は50,60,70度、波長は240~1000nmとしてフィッティングをおこなった。
<密着性評価>
密着性を測定する被膜に、カッターナイフを用いて乾燥被膜が2mm×2mm×100個となるよう碁盤状に切り込みを入れ、その上に粘着テープ(NICHIBAN社製セロテープ(登録商標);粘着力3.93N/10mm)を貼り、上から手でこすって良く密着させ、30秒後に約5cm/秒の速さでテープを瞬間的に剥がし、剥れた個数から密着性を比較した。
<接着強度評価>
接着強度は、せん断接着強さ試験で測定した。試験片は純アルミニウム(A1050P)(厚さ1.5mm,幅25mm,長さ100mm)を接着被膜により2枚重ね合わせて接着させた試験片(接着面積312.5mm)を使用した。試験温度が23℃では、接着被膜が凝集破壊し接着強度が正確に評価出来ないため、-60℃にて測定した。引張速度10mm/minの条件でせん断接着強度(MPa)を求めた。
実施例1
クロロスルホン化ポリエチレンAを2重量%になるようトルエンに溶解し、Siウェハーの上に堆積させた酸化アルミニウム上にスピンコートした後、50℃にて18時間乾燥してトルエンを完全に揮発させた。その後、試験片をトルエンに5時間浸漬し、金属材料表面処理構造体Aを作製した。金属材料表面処理構造体Aの表面の膜厚は5.3nmであった。その後、塩素化ポリエチレンAを20重量%になるようトルエンに溶解し、ドクターブレードにて約0.15mmとなるよう金属材料表面処理構造体Aの上に塗布した後、50℃にて18時間乾燥してトルエンを完全に揮発させることで、0.03mmの膜厚を有する塩素化ポリエチレン被膜を金属材料表面処理構造体Aの上に形成した。
作製した塩素化ポリエチレン被膜の密着性を評価したところ、剥れた個数はゼロであり、密着性は良好であった。結果を表1に示す。
実施例2
2重量%になるようトルエンに溶解したクロロスルホン化ポリエチレンA溶液を酸化アルミニウム上にスピンコートした後、50℃にて18時間乾燥してトルエンを完全に揮発させ、金属材料表面処理構造体Bを作製した。金属材料表面処理構造体Bの表面の膜厚は80nmであった。
その後、実施例1と同様の手順で0.03mmの膜厚を有する塩素化化ポリエチレン被膜を金属材料表面処理構造体Bの上に形成した。
作製した塩素化ポリエチレン被膜の密着性を評価したところ、剥れた個数はゼロであり、密着性は良好であった。
実施例3
塩素を添加する時間を50分として塩素量、硫黄量を表1に示す量に調整し、クロロスルホン化ポリエチレンBを合成し、これを用いて実施例1に記載の手順で金属材料表面処理構造体Cを作製した。膜厚は8.2nmであった。その後、実施例1と同様の手順で、0.03mmの膜厚を有する塩素化ポリエチレン被膜を金属材料表面処理構造体Bの上に形成した。
作製した塩素化ポリエチレン被膜の密着性を評価したところ、剥れた個数はゼロであり、密着性は良好であった。
比較例1
表面処理を実施せず、Siウェハー状に堆積させた酸化アルミ上に直接塩素化ポリエチレンA被膜を形成した以外は実施例1に従って塩素化ポリエチレン被膜を形成し、密着性の評価を実施した。100全てが剥れ、密着性は低かった。
比較例2
表面処理を実施せず、Siウェハー状に堆積させた酸化アルミ上に直接クロロプレンゴム(スカイプレンB-30;東ソー(株)製)の被膜を形成した以外は実施例1に従って塩素化ポリエチレン被膜を形成し、密着性の評価を実施した。100全てが剥れ、密着性は低かった。
実施例4
クロロスルホン化ポリエチレンAを2重量%になるようトルエンに溶解し、純アルミニウム板(A1050P)にスピンコートした後、50℃にて18時間乾燥してトルエンを完全に揮発させた。その後、試験片をトルエンに18時間浸漬し、金属材料表面処理構造体Dを作製した。金属材料表面処理構造体Dの表面の膜厚は8.9nmであった。その後、塩素化ポリエチレンAを20重量%になるようトルエンに溶解し、ドクターブレードにて約0.5mmとなるよう金属材料表面処理構造体Dの上に塗布した後、50℃にて18時間乾燥してトルエンを完全に揮発させることで、0.1mmの膜厚を有する塩素化ポリエチレン被膜を金属材料表面処理構造体Dの上に形成した。
試験片を2枚用意し、塩素化ポリエチレン被膜同士を重ね合わせ、50℃にて1時間熱プレスにより圧着することで、2枚の試験片を接着させた。接着させた試験片のせん断接着強度を評価したところ、9.8MPaであり、接着強度は良好であった。結果を表2に示す。
実施例5
クロロスルホン化ポリエチレンAを2重量%になるようトルエンに溶解し、純アルミニウム板(A1050P)にスピンコートした後、50℃にて18時間乾燥してトルエンを完全に揮発させた。金属材料表面処理構造体Eを作製した。金属材料表面処理構造体Eの表面の膜厚は80nmであった。その後、実施例4と同様の手順で0.1mmの膜厚を有する塩素化ポリエチレン被膜を金属材料表面処理構造体Eの上に形成した。
実施例4と同様の手順で塩素化ポリエチレン被膜同士を重ね合わせてせん断接着強さ試験用の試験片を得た。作製した試験片のせん断接着強度を評価したところ、8.9MPaであり、接着強度は良好であった。結果を表2に示す。
実施例6
クロロスルホン化ポリエチレンAの代わりにクロロスルホン化ポリエチレンBを用いた以外は実施例4と同様に金属材料表面処理構造体Fを作製した。金属材料表面処理構造体Fの表面の膜厚は9.4nmであった。実施例4と同様の手順で0.1mmの膜厚を有する塩素化ポリエチレン被膜を金属材料表面処理構造体Fの上に形成した。
実施例4と同様の手順で塩素化ポリエチレン被膜同士を重ね合わせてせん断接着強さ試験用の試験片を得た。作製した試験片のせん断接着強度を評価したところ、10.6MPaであり、接着強度は良好であった。結果を表2に示す。
実施例7
クロロスルホン化ポリエチレンAの代わりにクロロスルホン化ポリエチレンBを用いた以外は実施例5と同様に金属材料表面処理構造体Gを作製した。金属材料表面処理構造体Gの表面の膜厚は84nmであった。実施例4と同様の手順で0.1mmの膜厚を有する塩素化ポリエチレン被膜を金属材料表面処理構造体Gの上に形成した。
実施例4と同様の手順で塩素化ポリエチレン被膜同士を重ね合わせてせん断接着強さ試験用の試験片を得た。作製した試験片のせん断接着強度を評価したところ、9.4MPaであり、接着強度は良好であった。結果を表2に示す。
比較例3
表面処理を実施せず、純アルミニウム板(A1050P)に塩素化ポリエチレンA被膜を形成した以外は実施例1に従って塩素化ポリエチレン被膜を形成し、せん断接着試験を実施した。せん断接着強度は、3.8MPaであり、接着強度は低かった。

Claims (7)

  1. 金属材料の表面に、クロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物よりなる層を有する、金属材料表面処理構造体。
  2. クロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物よりなる層の厚みが1nm~1000nmである、請求項1に記載の金属材料表面処理構造体。
  3. クロロスルホン化ポリオレフィンに含まれる塩素量が26~67重量%であり、硫黄量が0.5~2.0重量%である、請求項1に記載の金属材料表面処理構造体。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の金属材料表面処理構造体の上に、樹脂又はゴムを含む層を有する、積層体。
  5. 樹脂又はゴムが、塩素化ポリエチレン、塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体又はクロロプレンゴムのいずれかである、請求項4に記載の積層体。
  6. クロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物を溶剤に溶解し、金属材料表面に塗布した後、溶剤を揮発乾燥させることによりクロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物よりなる層を形成し、その後、溶剤で洗浄する、請求項1~3のいずれかに記載の金属材料表面処理構造体の製造方法。
  7. クロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物を溶剤に溶解し、金属材料表面に塗布した後、溶剤を揮発乾燥させることによりクロロスルホン化ポリオレフィン又はクロロスルホン化ポリオレフィンを含む樹脂組成物よりなる層を形成し、その後、溶剤で洗浄する、金属材料表面処理方法。
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