JP4462691B2 - プロピレン・α−オレフィン系共重合体樹脂分散物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料、接着剤などの多くの用途に用いることのできる樹脂分散物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来より、ポリプロピレンを不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性した変性ポリプロピレンを、炭化水素系溶剤に固体状態で分散してなる樹脂分散物が知られている(特公平6-78496号)。また、低温ヒートシール性が改良された樹脂分散物として、プロピレン成分が90〜99モル%のプロピレン・α−オレフィン共重合体を変性して使用した樹脂分散物が知られている(特開平3-91514号)。これらの樹脂分散物は、塗料、接着剤などの多くの用途において有用である。しかし、上記の樹脂分散物においては、変性樹脂の融解温度が高いため、低温におけるヒートシール性が充分に改良されているとは言えない。
【0003】
本発明の目的は、低温におけるヒートシール性に優れた樹脂分散物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、プロピレン成分が60〜88モル%であるプロピレン・α−オレフィン系共重合体をグラフト変性した変性樹脂は融解温度が低いので、この変性樹脂を用いた樹脂分散物が低温におけるヒートシール性に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、下記に示すとおりの樹脂分散物の製造方法を提供するものである。
項1.プロピレン成分が60〜88モル%であるプロピレン・α−オレフィン系共重合体に不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフト重合して得られる変性樹脂を、加熱下に有機溶剤に溶解した後、冷却して樹脂分散物を製造する方法であって、
100〜150℃に加熱して前記変性樹脂を有機溶剤に溶解させる工程、
110〜60℃の温度範囲における冷却速度を3〜20℃/時間に調節して冷却する工程、及び
60℃以下においても冷却を続け、5℃以下の温度において樹脂分散物を攪拌する工程を有する樹脂分散物の製造方法。
項2.
樹脂分散物を攪拌する工程の温度を−10〜5℃に保持する、項1に記載の製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、プロピレン成分が60〜88モル%であるプロピレン・α−オレフィン系共重合体に不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフト重合して得られる変性樹脂が、有機溶剤に固体状態(粒子状態)で分散してなる樹脂分散物に関する。
【0007】
本発明に用いられる変性樹脂の原料であるプロピレン・α−オレフィン系共重合体は、プロピレンを主成分として60〜88モル%、好ましくは70〜85モル%、より好ましくは75〜80モル%含有し、これとプロピレン以外のα−オレフィンとが共重合したものである。α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。プロピレン・α−オレフィン系共重合体としては、プロピレンとα−オレフィン1種類とを共重合した2元共重合体、プロピレンとα−オレフィン2種類以上とを共重合した多元共重合体が挙げられる。2元共重合体としては、例えば、プロピレンと1−ブテンとからなる共重合体が挙げられる。3元共重合体としては、例えば、プロピレンとエチレンと1−ブテンとからなる共重合体が挙げられる。共重合体におけるプロピレン成分の含有量が60モル%未満の場合は、樹脂分散物の保存安定性が悪く、また、ポリオレフィン素材などに対する接着性に劣る。一方、プロピレン成分の含有量が88モル%を超える場合は、融解温度が高くなり、140℃以下の温度でヒートシールする場合に、充分に接着できず、接着強度が低くなる。
【0008】
グラフト変性に使用される不飽和カルボン酸またはその無水物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸などの不飽和カルボン酸無水物などが挙げられ、無水マレイン酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸が好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。また、これらの2成分以上の混合成分を同時にグラフト変性に使用しても差し支えない。
【0009】
不飽和カルボン酸またはその無水物によるグラフト重合の方法としては周知の方法を採用できる。例えば、プロピレン・α−オレフィン系共重合体と不飽和カルボン酸またはその無水物を、溶媒の存在下または不存在下、ラジカル開始剤を添加して、または添加せずに、高温に加熱することによって行われる。これらの方法を具体的に記すと、(1)プロピレン・α−オレフィン系共重合体の融解温度よりも高温で、二軸押出機、ニーダーなどを用いて、プロピレン・α−オレフィン系共重合体と不飽和カルボン酸などとラジカル開始剤とを混練する方法、(2)オートクレーブを用いて、プロピレン・α−オレフィン系共重合体をトルエンなどの芳香族有機溶媒に溶解し、攪拌しながら所定温度で不飽和カルボン酸などとラジカル開始剤を滴下して反応させる方法などが挙げられる。上記ラジカル開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クメンヒドロキシパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
【0010】
上記のようなグラフト重合によって得られる変性樹脂としては、180℃における溶融粘度が1〜200Pa・秒であるのが好ましく、3〜120Pa・秒であるのがより好ましい。180℃における溶融粘度が1Pa・秒未満であると、変性樹脂の凝集力が不足して接着力が劣る傾向があり、一方、180℃における溶融粘度が200Pa・秒を超えると、コーティング後に熱を与えて乾燥させた場合に、流動性が乏しいために平滑な接着層が得られにくくなる傾向がある。
【0011】
また、変性樹脂における不飽和カルボン酸またはその無水物のグラフト重合量は、プロピレン・α−オレフィン系共重合体に対して、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.3〜5重量%である。0.1重量%未満では、金属表面に存在するカルボニル基などの極性基との化学結合力が弱く、接着性が劣る傾向があり、一方、10重量%を超えると、極性が高すぎることにより疎水性であるポリオレフィン類との接着性が乏しくなる傾向がある。
【0012】
また、変性樹脂としては、示差走査熱量測定における融解温度が80〜140℃であるのが好ましく、85〜130℃であるのがより好ましい。融解温度が80℃未満の場合は、接着剤としての耐熱性が悪くなる傾向がある。一方、融解温度が140℃を超える場合は、140℃以下の温度でヒートシールする場合に、充分に接着できず、接着強度が低くなる傾向がある。これは、ヒートシールの圧力や時間などの条件にもよるが、ヒートシールは、通常、変性樹脂の融解温度よりも20℃以上高い温度で行うことが好ましいからである。
【0013】
さらに、変性樹脂としては、X線回折法により測定した結晶化度が30〜45%であるのが好ましく、35〜45%であるのがより好ましい。結晶化度が30%未満であると、有機溶剤により変性樹脂の分散粒子が膨潤し易く、固体状態で分散することが困難になる傾向があり、一方、結晶化度が45%を超えると、低温でのヒートシール性が乏しくなる傾向がある。
【0014】
本発明の樹脂分散物は、前記変性樹脂が有機溶剤中に固体状態(粒子状態)で分散してなるものである。
【0015】
有機溶剤としては、常温では前記変性樹脂の溶解性が乏しいものの、高温では溶解できるものが好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、市販の芳香族系石油混合溶剤などの芳香族系炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環族系炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、ミネラルスピリットなどの脂肪族系炭化水素などが挙げられる。なお、変性樹脂を高温でも溶解できないような溶剤であっても、本発明の効果を妨げないような範囲の量であれば、前記有機溶剤に混合して使用してもよい。このような溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類などが挙げられる。
【0016】
変性樹脂の分散粒子の平均粒径は、1〜25μmが好ましく、2〜18μmがより好ましい。平均粒径が1μm未満では樹脂分散物の粘度が高くなって作業性が悪くなる傾向があり、一方、25μmを超えるとコーティング後の平滑な接着層が得られにくい傾向がある。
【0017】
また、樹脂分散物中の樹脂濃度(固形分濃度)は、5〜40重量%であるのが好ましく、10〜30重量%であるのがより好ましい。
【0018】
なお、本発明の樹脂分散物には、必要に応じて、本発明の効果を妨げないような範囲で、顔料、安定剤、その他の添加剤が含まれていてもよい。
【0019】
本発明の樹脂分散物を製造するには、まず、前記変性樹脂を、樹脂濃度が前記の範囲になるように、高温で溶解できる有機溶剤と混合し、通常110〜150℃程度の温度で完全に溶解させる。次いで、溶液を冷却して、変性樹脂を粒子状態で析出させる。この際、110〜60℃の温度範囲における冷却速度を3〜20℃/時間の範囲に調節する。この温度範囲において、冷却速度が3℃/時間未満であると生産効率上好ましくなく、20℃/時間を超えると目的とする保存安定性の良好な樹脂分散物が得られず、短期間でゲル化状態になる傾向がある。また、110〜60℃の温度範囲における冷却速度を3〜20℃/時間の範囲に調節することにより、変性樹脂の分散粒子の平均粒径を前記好ましい範囲とすることができる。さらに、60℃以下においても冷却を続け、5℃以下、好ましくは−10℃〜5℃、の温度において樹脂分散物を攪拌しながら保持する工程が必要である。この工程を有しないと、目的とする保存安定性の良好な樹脂分散物が得られず、短期間でゲル化状態になる傾向がある。これは、本発明における変性樹脂のX線回折法による結晶化度が、50%未満、好ましくは30〜45%で非晶部分の割合が高く、有機溶剤により変性樹脂の分散粒子が膨潤し易いことによる。本発明においては、5℃以下の温度において樹脂分散物を攪拌しながら冷却・保持することにより、変性樹脂の分子運動を急激に遅くするかまたは完全に凍結して分散粒子同士の凝集を防いでいる。5℃以下の温度に保持する時間は、好ましくは1〜24時間、より好ましくは2〜18時間である。なお、−10℃より低い温度に保持すると、粘度が高くなり、均一に攪拌することが困難となる傾向がある。この冷却保持工程の後に常温まで温度を上げると、ゲル化状態にならない保存安定性の良好な樹脂分散物が得られる。
【0020】
本発明の樹脂分散物は、ポリオレフィン同士、金属同士、ポリオレフィンと金属、ポリオレフィンとポリエステル、ポリアミド、ポリスチレンなど様々なプラスチック素材との接着剤、ヒートシール剤、金属やプラスチック素材(ポリオレフィンなど)に対するコーティング材、塗料などに用いた場合に、接着強度、ヒートシール強度、塗膜物性(密着性など)に優れる。特に、低温におけるヒートシール性に優れた効果を発揮する。例えば、錠剤収納用の凹部を有するポリオレフィンシートに金属箔でその上面を覆ってヒートシールする錠剤包装(いわゆるPTP、プレススルーパック)用の接着剤として優れている。具体的には、ポリオレフィンシートを錠剤の形に成形し、そのポットに錠剤を充填し、その上に本発明の樹脂分散物を塗布したアルミニウム箔をヒートシールするような包装仕様用接着剤として有効に使用される。また、家電製品の外板に使用されるような、プラスチックフィルムを鋼板にラミネートしたラミネート鋼板用の接着剤としても有効に使用される。
【0021】
本発明の樹脂分散物は、特に、低温におけるヒートシール性に優れた効果を奏するものであり、80〜160℃のヒートシール温度で使用できるので、ヒートシールしようとする対象基材に熱損傷を与えることがなく、しかも充分な接着強度を発揮する。好ましいヒートシール温度は90〜150℃であり、より好ましいヒートシール温度は100〜140℃である。
【0022】
また、本発明の製造方法により得られる樹脂分散物は、保存安定性が良好であり、有機溶剤で希釈することにより粒子が沈降しても、粒子同士が凝集しにくいため、軽く攪拌するだけで容易に均一な分散物にすることができる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
製造例1
プロピレン・α−オレフィン共重合体(プロピレン成分75モル%、1−ブテン成分25モル%、重量平均分子量250000)100重量部、トルエン200重量部および無水マレイン酸15重量部をオートクレーブに仕込み、窒素置換を行い、系の温度を145℃に保持しながら、ジクミルパーオキサイド2重量部を3時間かけて添加した。添加終了後、3時間攪拌を続け、110℃まで冷却した後に、1000重量部の常温のアセトン中に加えて樹脂を析出させた。析出した樹脂を濾別し、さらに500重量部のアセトンで洗浄して未反応の無水マレイン酸や副反応物などを除去した後に、乾燥して変性樹脂を得た。この変性樹脂の180℃における溶融粘度は12Pa・秒、無水マレイン酸のグラフト共重合量は3.2重量%、示差走査熱量測定における融解温度は89℃、X線回折法により測定した結晶化度は37%であった。
【0025】
製造例2
無水マレイン酸の仕込み重量部を2重量部に変更した以外は製造例1と同様にして変性樹脂を得た。この変性樹脂の180℃における溶融粘度は110Pa・秒、無水マレイン酸のグラフト共重合量は0.55重量%、示差走査熱量測定における融解温度は98℃、X線回折法により測定した結晶化度は42%であった。
【0026】
製造例3
無水マレイン酸の代わりに無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸を15重量部仕込んだ以外は製造例1と同様にして変性樹脂を得た。この変性樹脂の180℃における溶融粘度は30Pa・秒、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸のグラフト共重合量は1.1重量%、示差走査熱量測定における融解温度は95℃、X線回折法により測定した結晶化度は39%であった。
【0027】
製造例4
プロピレン・α−オレフィン共重合体をプロピレン成分76モル%、1−ブテン成分24モル%、重量平均分子量35000のものに変更した以外は製造例1と同様にして変性樹脂を得た。この変性樹脂の180℃における溶融粘度は3.5Pa・秒、無水マレイン酸のグラフト共重合量は4.8重量%、示差走査熱量測定における融解温度は106℃、X線回折法により測定した結晶化度は41%であった。
【0028】
製造例5
プロピレン・α−オレフィン共重合体をプロピレン成分80モル%、エチレン成分3モル%、1−ブテン成分17モル%、重量平均分子量230000のものに変更した以外は製造例1と同様にして変性樹脂を得た。この変性樹脂の180℃における溶融粘度は9.5Pa・秒、無水マレイン酸のグラフト共重合量は2.8重量%、示差走査熱量測定における融解温度は130℃、X線回折法により測定した結晶化度は38%であった。
【0029】
製造例6
プロピレン・α−オレフィン共重合体をプロピレン成分94モル%、エチレン成分3モル%、1−ブテン成分3モル%、重量平均分子量200000のものに変更した以外は製造例1と同様にして変性樹脂を得た。この変性樹脂の180℃における溶融粘度は40Pa・秒、無水マレイン酸のグラフト共重合量は1.2重量%、示差走査熱量測定における融解温度は144℃、X線回折法により測定した結晶化度は55%であった。
【0030】
実施例1
製造例1で得られた変性樹脂18重量部とトルエン82重量部をオートクレーブに入れ、140℃に加熱して樹脂を完全に溶解した後、攪拌しながら30℃/時間の冷却速度で110℃まで降温し、10℃/時間の冷却速度で60℃まで徐冷した。続いて25℃/時間の冷却速度で5℃まで冷却し、5℃〜−10℃で2時間攪拌を続け、常温(25℃)まで昇温することにより、淡黄色半透明の均一な樹脂分散物を得た。この樹脂分散物の分散粒子の平均粒径をレーザー回折式粒度分布測定装置により測定したところ、8μmであった。
【0031】
実施例2
変性樹脂として製造例2で得られたものを使用する以外は実施例1と同様にして樹脂分散物を得たところ、分散粒子の平均粒径は17μmであった。
【0032】
実施例3
変性樹脂として製造例3で得られたものを使用する以外は実施例1と同様にして樹脂分散物を得たところ、分散粒子の平均粒径は15μmであった。
【0033】
実施例4
変性樹脂として製造例4で得られたものを使用する以外は実施例1と同様にして樹脂分散物を得たところ、分散粒子の平均粒径は2μmであった。
【0034】
実施例5
変性樹脂として製造例5で得られたものを使用する以外は実施例1と同様にして樹脂分散物を得たところ、分散粒子の平均粒径は11μmであった。
【0035】
実施例6
有機溶剤としてトルエンの代わりにメチルシクロヘキサンを使用する以外は実施例1と同様にして樹脂分散物を得たところ、分散粒子の平均粒径は10μmであった。
【0036】
比較例1
変性樹脂として製造例6で得られたものを使用する以外は実施例1と同様にして樹脂分散物を得たところ、分散粒子の平均粒径は18μmであった。
【0037】
実施例1〜6および比較例1で得られた樹脂分散物の保存安定性、ヒートシール性および樹脂分散物から得られた塗膜の物性の試験を行った。その結果を表1に示す。なお、試験は以下の方法で行った。
【0038】
[保存安定性]
100mlの透明ガラス材質のサンプル瓶に樹脂分散物を60ml秤取り、25℃の恒温槽中に静置し、24時間後と30日後の状態を観察した。判定基準を以下に示す。
○:30日後も良好、△:24時間〜30日でゲル化、×:24時間後にゲル化状態。
【0039】
[剥離強度]
樹脂分散物をバーコーターを使用して乾燥時の膜厚が3μmになるように25μm厚のアルミ箔に塗布・風乾した後、180℃の温風乾燥機中で10秒間加熱したところ、均一な被膜外観の塗工箔が得られた。この塗工箔と250μm厚のポリプロピレンシートを、140℃で1秒間、0.3Mpaの圧力をかけてヒートシールした後、25℃における剥離強度(180°剥離)を、引張り試験機により15mm幅、200mm/分の引張り速度で測定した。また、ヒートシール温度を100℃にして同様に測定した。
【0040】
[層間密着性]
ポリプロピレン板(100mm×50mm×2mm)をイソプロピルアルコールで充分洗浄し、これに樹脂分散物をバーコーターを使用して乾燥時の膜厚が5μmになるように塗布し、風乾した後に80℃で10分間温風乾燥した。次いで、そのプライマー層の上からウレタン塗料(関西ペイント(株)製、レタンPG80、主剤と硬化剤を所定量配合したもの)を乾燥時の膜厚が40μmになるようにエアスプレーで吹き付け、風乾した後に80℃で30分間温風乾燥することにより、ウレタン塗料用試験片が得られた。得られた試験片を25℃で24時間養生した後に、塗膜表面にカッターで素地に達するような切れ目を入れて1mm間隔で100個の碁盤目を作り、その上に20mm幅のセロテープ(ニチバン(株)製)を密着させて180°方向に引き剥がし、残存する碁盤目の数を調べた。
【0041】
[耐水性]
層間密着性と同様にして得られた試験片を25℃で24時間養生した後に、40℃の温水に10日間浸漬し、塗膜のブリスターの有無を調べた。また、続けて浸漬後の層間密着性を上記の方法で調べた。判定基準を以下に示す。
良好:塗膜表面にブリスターが無く、浸漬後の層間密着性が良好なもの。
不良:塗膜表面にブリスターがあるか、または、浸漬後の層間密着性が不良なもの。
【0042】
[耐ガソリン性]
層間密着性と同様にして得られた試験片を25℃で7日間養生した後に、塗膜表面にカッターで素地に達するクロスカット(×印)の切れ目を入れ、20℃において出光レギュラーガソリンに24時間浸漬し、塗膜の状態を調べた。判定基準を以下に示す。
良好:ガソリンに24時間浸漬した後、塗膜に異常がないもの。
不良:ガソリンに浸漬中に塗膜が剥離したもの。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
本発明の樹脂分散物は、接着強度、ヒートシール強度、塗膜物性(密着性など)に優れる。特に、低温におけるヒートシール性に優れた効果を発揮する。
【0045】
本発明の製造方法により、保存安定性が良好な樹脂分散物が得られる。
Claims (2)
- プロピレン成分が60〜88モル%であるプロピレン・α−オレフィン系共重合体に不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフト重合して得られる変性樹脂を、加熱下に有機溶剤に溶解した後、冷却して樹脂分散物を製造する方法であって、
100〜150℃に加熱して前記変性樹脂を有機溶剤に溶解させる工程、
110〜60℃の温度範囲における冷却速度を3〜20℃/時間に調節して冷却する工程、及び
60℃以下においても冷却を続け、5℃以下の温度において樹脂分散物を攪拌する工程を有する樹脂分散物の製造方法。 - 樹脂分散物を攪拌する工程の温度を−10〜5℃に保持する、請求項1に記載の製造方法。
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