JP2023140052A - チッピング発生検知装置及び加工装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、チッピング発生検知装置及び加工装置に関するものである。
半導体製造分野では、研削又は研磨されたシリコンウェハ等の半導体ウェハ(以下、「ワーク」という)に対して、加工異常の有無を検出する装置が知られている。
特許文献1には、カメラが、ワークの被加工面を含む比較対象画像を撮像し、制御手段が、比較対象画像と基準画像とを比較して、比較対象画像にチッピング等が存在する場合に研削又は研磨が正常に行われていないと判定するウェハ加工異常検出装置が開示されている。
しかしながら、特許文献1記載の装置は、加工後のワークに対してチッピングのサイズ、個数又は位置等を詳細に把握して加工の適否を事後的に判定するものであるため、チッピングが加工のどのタイミングで生じたのかが定かではなく、チッピング発生の原因究明に時間を要するという問題があった。
そこで、チッピングの発生を速やかに検知するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るチッピング発生検知装置は、チャックに吸着保持されたワークを加工する際に前記ワークに生じたチッピングを検知するチッピング発生検知装置であって、前記ワークの被加工面の周縁に設定された測定点で反射した反射光の反射光量を加工中に測定する測定部と、前記反射光量に基づいて前記ワークに前記チッピングが生じた面積に応じて変動する相関値を算出し、前記相関値が所定閾値に達したときに前記チッピングが発生したと判定する判定部と、を備えている。
また、上記目的を達成するために、本発明に係る加工装置は、上述したチッピング発生検知装置と、前記ワークを吸着保持した状態で回転可能なチャックと、前記ワークを研削又は研磨する加工部と、を備えている。
本発明は、反射光の光量に基づいて算出されてチッピングが生じた面積に応じて変動する相関値が所定閾値に達したときにチッピングが発生したと判定されることにより、加工中にチッピングの発生を検知することができる。
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
図1に示す研削装置1は、ワークWを薄く平坦に研削加工するものである。ワークWは、シリコンウェハ等の半導体ウェハである。研削装置1は、研削手段2と、チャック3と、を備えている。
研削手段2は、研削砥石21と、砥石スピンドル22と、スピンドル送り機構23と、を備えている。
研削砥石21は、例えば#600のカップ型砥石であり、下面がワークWを研削する研削面21aを構成している。研削砥石21は、砥石スピンドル22の下端に取り付けられている。研削砥石21がワークWに接触する付近には、ノズル24によって研削水が供給されている。研削砥石21がワークWを研削する研削領域には、ノズル24によって冷却水としての純水が供給される。
砥石スピンドル22は、研削砥石21を回転軸2a回りに回転駆動するように構成されている。
スピンドル送り機構23は、砥石スピンドル22を上下方向に昇降させる。スピンドル送り機構23は、公知の構成であり、例えば、砥石スピンドル22の移動方向を案内する複数のリニアガイドと、砥石スピンドル22を昇降させるボールネジスライダ機構と、で構成されている。スピンドル送り機構23は、砥石スピンドル22とコラム25との間に介装されている。
チャック3は、チャックスピンドル31を備えている。チャックスピンドル31は、回転軸3a回りに回転駆動するように構成されている。チャック3は、上面にアルミナ等の多孔質材料からなる図示しない吸着体が埋設されている。チャック3は、内部を通って表面に延びる図示しない管路を備えている。管路は、図示しないロータリージョイントを介して真空源、圧縮空気源又は給水源に接続されている。真空源が起動すると、チャック3に載置されたワークWがチャック3に吸着保持される。また、圧縮空気源又は給水源が起動すると、ワークWとチャック3との吸着が解除される。
研削装置1の動作は、制御装置4によって制御される。制御装置4は、研削装置1を構成する構成要素をそれぞれ制御するものである。制御装置4は、例えば、CPU、メモリ等により構成される。なお、制御装置4の機能は、ソフトウェアを用いて制御することにより実現されても良く、ハードウェアを用いて動作することにより実現されても良い。
研削装置1は、チッピング発生検知装置5を備えている。チッピング発生検知装置5は、チャック3の上方に配置されている。チッピング発生検知装置5は、分光干渉式の膜厚センサであり、例えば、株式会社キーエンス製のSi-fシリーズ等である。
チッピング発生検知装置5は、ワークWの表面に向けて照射光を照射し、ワークWの表面で反射した反射光を受光することで、チッピング発生検知装置5の直下に設定される測定点Pにおける反射光の光量(反射光量)を測定する。
具体的には、図2に示すように、チッピング発生検知装置5は、センサヘッド51に複数の光ファイバー52a、52bを接続して構成されている。光ファイバー52aは、光源ユニット53に接続されている。光源ユニット53は、例えば、波長400~800nmの白色光を出射するハロゲン光源であるが、これに限定されるものではない。光ファイバー52bは、分光器54に接続されている。
光源ユニット53から出射された測定光は、光ファイバー52a及びセンサヘッド51を介し、ワークWの被加工面内の測定点Pに向けて照射される。測定点Pは、チッピングが比較的生じ易いワークWの周縁付近(ワークWの最外周より内周側で且つ想定されるチッピング深さの底面より外周側の範囲内)に設定されるのが好ましい。ワークW上の測定点Pは、チャック3の回転駆動により、ワークWの周方向に移動する。測定点Pのスポット径は、例えば、数十μmに設定される。
ワークWのシリコン層の表面及び裏面でそれぞれ反射した反射光は、センサヘッド51で受光され、光ファイバー52bを介して分光器54に導かれる。分光器54は、シリコン層の膜厚(光路長)に応じて干渉の仕方が変化する干渉光を波長に応じて分解し、波長と反射光量との関係を示す分光波形を生成する。
測定部55は、分光器54で生成された分光波形から反射光量を測定する。また、判定部56は、反射光量に基づいて後述する相関値を算出する。また、判定部56は、相関値に基づいてチッピングが発生したか否かを判定する。
センサヘッド51を収容するセンサホルダ57は、移動機構58に支持されている。移動機構58は、例えばリニアアクチュエータやスイングアーム等である。移動機構58が、センサヘッド51をスライドさせることにより、測定点PがワークWの径方向に移動する。
センサホルダ57には、第1の開口57aと、第2の開口57bと、が形成されている。
第1の開口57aは、センサホルダ57を垂直方向に延伸されており、センサヘッド51の視野を確保するように開口されている。
第2の開口57bは、センサホルダ57の側方に形成され、第1の開口57aに連通されている。第2の開口57bは、エアーを供給する飛散手段としてのブロワ59に接続されている。ブロワ59から供給されたエアーは、図2中の矢印に示すように流れて、第1の開口57aを介して、ワークW上の測定点Pに吐出される。これにより、測定点PにおいてワークWの被加工面が露出することにより、測定点Pにおける光の反射が抑制される。
次に、チッピング発生検知装置5がワークWに発生したチッピングを検知する手順について説明する。
チッピング発生検知装置5は、ワークWの研削加工中にチッピングの発生検知を行う。すなわち、まず、ワークWをチャック3に吸着保持する。次に、スピンドル送り機構23のスライダによって研削砥石21をワークWの上方に移動させる。そして、研削砥石21及びチャック3をそれぞれ回転させながら、研削砥石21の研削面21aがワークWに押し当てられることにより、ワークWが研削される。
そして、ワークWが所望の厚みまで研削されると、研削砥石21及びチャック3の回転を停止させ、スピンドル送り機構23のスライダが起動して、研削砥石21をワークWから離間させる。そして、チャック3によるワークWの吸着保持を解除して、研削装置1によるワークWの研削加工が終了する。
このようなワークWの研削において、測定部55が、ワークW上の測定点Pで反射した反射光量を測定する。図3、図4に示すように、ワーク上の測定点Pは、ワークWの回転に伴ってワークWの周方向に走査され、測定点Pの軌跡Lは、ワークWの全周に及ぶ。なお、図4中の黒塗り部分は、チッピングCが生じた部分である。
測定点Pの数は、例えば100点程度であるが、チャック3の回転数(例えば、100~300rpm)及びチッピング発生検知装置5のサンプリング周期に応じて任意に変更可能である。例えば、隣り合う測定点Pが互いに少なくとも一部が重なるように配置されると、ワークWの全周に亘って測定点Pが配置される点で好ましい。一方、隣り合う測定点Pが適当な間隔を空けて配置されると、短時間で反射光量の測定を行える点で好ましい。
次に、判定部56は、反射光量に基づいて、ワークW表面にチッピング(微小な欠け)が生じているか否かを判定する。
例えば、測定点P内においてチッピングが生じていない場合、照射光のほぼ全量が反射するため、照射光量のほぼ全量が反射光量として測定される。
一方、測定点P内においてシリコン層で反射する反射光の光量は、シリコン層に生じたチッピングのサイズや個数等に起因してチッピングが測定点Pのスポット範囲内を占有する面積(チッピング面積)に応じて減少する。したがって、図5に示すような測定点P内においてチッピングCのチッピング面積が比較的小さい場合、反射光量は減少し、図6に示すような測定点P内においてチッピングCのチッピング面積が比較的大きい場合、反射光量はさらに減少する。すなわち、反射光量とチッピングCのチッピング面積とは逆相関の関係にある。
図7に、加工開始から60秒おきに300秒に至るまで測定した、チャックスピンドル31の回転角度(0度、90度、180度、270度)に対応する測定点Pでの反射光量の測定結果及びチャックスピンドル31の回転角度(0度、90度、180度、270度)に対応する各測定点Pの反射光量の平均値である、1周当たりの平均反射光量(以下、単に「平均反射光量」という)を示す。また、図8に、平均反射光量の変位に関するグラフを示す。
ここで、平均反射光量は、各測定点Pにおけるチッピングのサイズや個数に相関する相関値であって、チッピング面積が増えるにしたがって減少する値である。なお、平均反射光量を算出する測定点Pのサンプリング範囲は、チッピングの発生を漏れなく検知する観点から広範囲に設定されるのが好ましいが、平均反射光量を安定して算出可能であれば、ワークWの周方向の一部であっても構わない。また、相関値は、平均反射光量に代えて、ワークWの周方向に走査させた各測定点Pにおける反射光量の積算値であっても構わない。
図7によれば、加工時間が180秒に至るまでは、平均反射光量が178.5で一定であることが分かる。しかしながら、加工時間が240秒に至ると、平均反射光量が95.25まで大きく減少し、加工時間が300秒に至ると、平均反射光量が92.75にさらに減少していることが分かる。
そして、平均反射光量の閾値を、例えば100に設定した場合、判定部56は、加工時間180~240秒の間にチッピングが発生したと判定する。なお、平均反射光量の閾値は、任意に変更可能である。
このようにして、本実施形態に係るチッピング発生検知装置5は、チャック3に吸着保持されたワークWを研削する際にワークWに生じたチッピングを検知するチッピング発生検知装置5であって、ワークWの被加工面の周縁に設定された測定点Pで反射した反射光の反射光量を加工中に測定する測定部55と、反射光量に基づいてチッピング面積に応じて変動する相関値を算出し、相関値が所定閾値に達したときにチッピングが発生したと判定する判定部56と、を備えている構成とした。
この構成によれば、判定部56は、チッピング面積に応じて変動する相関値が所定閾値に達したときにチッピングが発生したと判定することにより、発生したチッピングのサイズや個数又は発生位置を特定することを必要とせず、チッピングが発生した可能性を大局的且つ速やかに検知することができる。
また、本実施形態に係る研削装置1は、測定部55が、測定点Pにおいてチッピングが占有する面積に応じて減少する反射光量を測定し、相関値が、測定点PをワークWの周方向に走査させたときの各測定点Pにおける反射光量の平均値であり、判定部56は、相関値が所定閾値まで低下したときにワークWにチッピングが発生したと判定する構成とした。
この構成によれば、相関値が、ワークWの周方向に沿って設定された各測定点Pにおける反射光量の平均値に設定されることにより、広範囲に亘ってチッピングの発生を検知することができる。
また、本実施形態に係るチッピング発生検知装置5は、測定部55が、光を照射するとともに反射光を受光するセンサヘッド51と、センサヘッド51をワークWの径方向に移動可能な移動機構58と、を備えている構成とした。
この構成によれば、センサヘッド51の直下に設定される測定点PをワークW面内の任意の位置に設定することができる。
また、本実施形態に係る研削装置1は、上述したチッピング発生検知装置5と、ワークWを吸着保持した状態で回転可能なチャック3と、ワークWを研削する研削手段2と、を備えている構成とした。
この構成によれば、チッピングのサイズ又は個数に相関する平均反射光量が閾値に達したときにチッピングが発生したと判定することにより、チッピングの発生を大局的且つ速やかに検知することができる。
なお、チッピング発生の判定に用いる相関値は、上述したようにワークW上に等間隔に設定された4点の測定点Pの平均反射光量に限定されず、例えば、判定部56が、測定点P毎にチッピングの有無を判定し、その比率をチッピングが生じた面積に応じて変動する相関値としても構わない。
例えば、図7、図8に示す場合では、加工時間180秒において、測定位置0度、90度、180度、270度の何れにおいても、反射光量が閾値(例えば、100)に達していないことから、判定部56は、何れの測定位置においてもチッピングが生じていないと判定する。したがって、チッピング有無の判定の比率である相関値は、一定である。
一方、加工時間240秒において、測定位置0度、180度では、反射光量が閾値まで低下しておらず、チッピングは生じていないと判定されるのに対し、測定位置90度、270度では、反射光量が閾値を下回っていることから、チッピングが生じたと判定される。したがって、チッピング有無の判定の比率である相関値が変動する。
なお、チッピング発生検知装置5は、上述した構成に代えて、ワークWのシリコン層の表面及び裏面でそれぞれ反射した反射光が互いに干渉した干渉光の検出に有無に基づいて、チッピングの検出を行っても構わない。
具体的には、分光器54は、反射光量が所定閾値を下回る場合、分光波形が生成できない。そこで、分光波形を生成可能な反射光量の閾値と、チッピング発生の判定基準とを対応させて、反射光量が分光波形を生成可能な程度に確保されていれば、チッピングは発生していないと判定し、反射光量が分光波形を生成不能な程度に低下していれば、チッピングが発生したと判定し、それらの判定の比率をチッピングが生じた面積に応じて変動する相関値に設定しても構わない。
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
なお、本実施形態は、研削装置1にチッピング発生検知装置5を適用した場合を例に説明したが、ワークWを研磨パッドで研磨する研磨装置にチッピング発生検知装置5を適用することも可能である。
1 :研削装置(加工装置)
2 :研削手段(加工部)
21 :研削砥石
21a:研削面
22 :砥石スピンドル
23 :スピンドル送り機構
24 :ノズル
25 :コラム
3 :チャック
31 :チャックスピンドル
4 :制御装置
5 :チッピング発生検知装置
51 :センサヘッド
52a、52b:光ファイバー
53 :光源ユニット
54 :分光器
55 :測定部
56 :判定部
57 :センサホルダ
57a:第1の開口
57b:第2の開口
58 :移動機構
59 :ブロワ(飛散手段)
L :軌跡
P :測定点
W :ワーク
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Claims (6)
- チャックに吸着保持されたワークを加工する際に前記ワークに生じたチッピングを検知するチッピング発生検知装置であって、
前記ワークの被加工面の周縁に設定された測定点で反射した反射光の反射光量を加工中に測定する測定部と、
前記反射光量に基づいて前記ワークに前記チッピングが生じた面積に応じて変動する相関値を算出し、前記相関値が所定閾値に達したときに前記チッピングが発生したと判定する判定部と、
を備えていることを特徴とするチッピング発生検知装置。 - 前記測定部は、前記測定点において前記チッピングが占有する面積に応じて減少する前記反射光量を測定し、
前記相関値は、前記測定点を前記ワークの周方向に走査させたときの各測定点における前記反射光量の平均値又は積算値であり、
前記判定部は、前記相関値が所定閾値まで低下したときに前記ワークにチッピングが発生したと判定することを特徴とする請求項1に記載のチッピング発生検知装置。 - 前記ワークの表面及び裏面でそれぞれ反射した反射光が干渉した干渉光を波長に応じて分解し、各波長と反射光量との関係を示す分光波形を生成する分光器をさらに備え、
前記相関値は、前記測定点を前記ワークの周方向に走査させたときに、各測定点における前記反射光量が前記分光波形を生成可能な光量を超えたか否かの比率であり、
前記判定部は、前記相関値が所定閾値まで低下したときに前記ワークにチッピングが発生したと判定することを特徴とする請求項1に記載のチッピング発生検知装置。 - 前記測定部は、
前記光を照射するとともに前記反射光を受光するセンサヘッドと、
前記センサヘッドを前記ワークの径方向に移動可能な移動機構と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載のチッピング発生検知装置。 - 前記測定部は、前記被加工面のうち前記光が照射される範囲内の流体を飛散させる飛散手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のチッピング発生検知装置。
- 請求項1乃至4の何れか1項に記載のチッピング発生検知装置と、
前記ワークを吸着保持した状態で回転可能なチャックと、
前記ワークを研削又は研磨する加工部と、
を備えていることを特徴とする加工装置。
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2022
- 2022-03-22 JP JP2022045894A patent/JP2023140052A/ja active Pending
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