JP2023125223A - 環状カーボネート類の製造方法 - Google Patents

環状カーボネート類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 環状カーボネート類の冷却方式での晶析プロセスにおいて、複雑な設備による監視・制御等を行うことなく、スケールの生成を抑制する方法を提供する。【解決手段】 環状カーボネート類製造工程で得られた環状カーボネート類を含む反応液から、冷却晶析により環状カーボネート類を取得する環状カーボネート類の製造方法において、晶析槽から母液の一部を抜き出し、抜き出した母液を、30℃以上、65℃以下に加温した後、該晶析槽へリサイクルすることを特徴とする環状カーボネート類の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、冷却晶析による環状カーボネート類の製造方法に関し、より詳しくは、晶析
槽へのスケールの生成を抑制した環状カーボネート類の製造方法に関する。
化学品の製造において、一般に溶液から目的物の結晶を析出させるためには、その溶液
を冷却するあるいは溶媒を蒸発させて、その溶液を飽和濃度に至らせて目的物を回収する
必要がある。ビスフェノールA、テレフタル酸、エチレンカーボネートなど多くの化学品
は、溶媒温度に対して溶解度が感度よく変化するため、溶媒を冷却して析出される冷却晶
析法が採用されている。
晶析法は、目的物を結晶化させる際に、その温度で結晶化しない不純物成分が結晶中に
は入り込まないことを利用する精製方法であり、晶析法は、冷却による晶析と微加温によ
る溶解の操作のみで精製できるため、副反応による劣化が起こりにくく、消費エネルギー
が少ない利点がある。
一方、冷却晶析において、晶析槽から抜き出した母液を冷却して晶析槽に循環すること
が知られている。例えば、フェノールとビスフェノールAの等モルアダクトを析出させる
方法が知られており(特許文献1)、晶析塔から晶析液の一部を抜き出してクーラーで冷
却し、冷却後の晶析液を該晶析塔に再循環させることにより、晶析塔内で結晶の析出を生
ぜしめ、析出した結晶を該晶析塔から抜き出して晶析液から分離することが行われている
。しかしながら、この場合、クーラー伝熱面へのスケール付着が避けられず、特許文献1
では、常用クーラーに加えて予備クーラーを設け、常用クーラーと予備クーラーを切り替
え、それらのクーラーにおいて冷却工程と結晶溶解工程とを繰返すことにより、クーラー
伝熱面へのスケール付着を防止しながら連続的に運転する方法を提案している。
また、冷却式結晶槽と、前記結晶槽より高い温度で運転する竪型溶融精製塔とを組み合
せた向流式溶融物冷却精製により、ナフタリン、パラニトロクロルベンゼン、パラキシレ
ン、アクリル酸、MMA(メタメチルアクリレート)等を精製する方法が提案されている
(特許文献2)。
エチレンカーボネートを晶析することも知られており(例えば、特許文献3)、この方
法では、過剰な母液は晶析器上部からオーバーフロー液として回収し、他の工程に循環し
ている。また、特許文献3で採用している晶析装置に関する文献(特許文献4)には、複
数の晶析槽を用い、第1結晶槽の析出条件で得られた母液は、さらに冷却温度を下げて目
的成分を回収する必要があるため、母液排出部からオーバーフローにより流出して、第2
結晶槽へ導かれ、第2結晶槽において同様な晶析操作が実行されることが記載されている
上記の通り、冷却晶析においては、母液の一部を外部で冷却して冷却晶析槽に循環する
か、他の晶析槽に供給することが行われている。
しかしながら、冷却方式の晶析プロセスでは長期の連続運転を行うと伝熱面を始めとし
た多くの箇所にスケール(結晶)が成長する事で連続運転が困難になることがある。この
ため、生産を中断してスケールの除去洗浄を行う必要があった。
これに対して、例えば、晶析用の外付け冷却器の伝熱面における特定の伝熱抵抗を精度
良く連続的に監視・制御する事でスケールの成長を抑制する事が提案されている(特許文
献5)。しかしながら、上記の方法による制御は、特定の伝熱抵抗を精度良く連続的に監
視・制御する必要があり工程が煩雑であり、また、その為に多くの付属設備と測定計器の
増設が必要になるため、導入にコストがかかる事が難点である。
特開平5-15701号公報 特開平6-91103号公報 国際公開第2011-065528号公報 特開平6-91103号公報 特開2003-126607号公報
本発明者等は、冷却方式の晶析プロセスにおいて、複雑な設備による監視・制御等を行
うことなく、スケールの生成を抑制する方法について鋭意検討した結果、環状カーボネー
ト類の晶析においては、晶析槽の上部に蓋状の強固な粗大結晶が生成することがスケール
生成の要因であることを見出し、該粗大結晶の生成を抑制する方法について鋭意検討した
結果、意外にも、晶析槽の母液の一部を抜き出し、特定温度に加温して晶析槽にリサイク
ルすることで、スケールの発生を抑制できることを見出した。
即ち、本発明の要旨は、以下に存する。
(1)環状カーボネート類製造工程で得られた環状カーボネート類を含む反応液から、冷
却晶析により環状カーボネート類を取得する環状カーボネート類の製造方法において、晶
析槽から母液の一部を抜き出し、抜き出した母液を、30℃以上、65℃以下に加温した
後、該晶析槽へリサイクルすることを特徴とする環状カーボネート類の製造方法。
(2)前記晶析槽からの母液の一部の抜出しが、前記晶析槽の上部から行われることを特
徴とする、上記(1)に記載の環状カーボネート類の製造方法。
(3)前記晶析槽へのリサイクルが、前記晶析槽からの母液の一部の抜出し位置より上部
に行われることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の環状カーボネート類の製造方
法。
(4)前記晶析槽へのリサイクルが、前記晶析槽の液面より上部から滴下により行われる
ことを特徴とする前記(1)~(3)の何れかに記載の環状カーボネート類の製造方法。
(5)環状カーボネート類が、炭素数1~2のアルキル基又はハロゲン原子で置換されて
いてもよい環状カーボネートであることを特徴とする前記(1)~(4)の何れかにに記
載の環状カーボネート類の製造方法。
(6)前記環状カーボネート類を含む反応液が、エチレンオキサイドと二酸化炭素とを反
応させて得られたエチレンカーボネートを含む反応液であり、環状カーボネート類がエチ
レンカーボネートであることを特徴とする前記(1)~(5)の何れかにに記載の環状カ
ーボネート類の製造方法。
(7)前記晶析槽の温度が、10℃~30℃であることを特徴とする前記(1)~(6)
の何れかにに記載の環状カーボネート類の製造方法。
本発明によれば、冷却方式の晶析プロセスにおいて、複雑な設備による監視・制御等を
行うことなく、環状カーボネート類の結晶スケールの生成を抑制することが可能であり、
その結果、運転停止による結晶スケール除去の頻度を著しく低減することが可能となり、
また、スケール発生抑制のための晶析運転時の監視項目が、リサイクル母液の温度のみで
あるため、操作に伴う煩雑性は少なく、工業的に極めて有用である。
図1は、本発明の製造方法の1例を示すフロー図を示す。
本発明は、環状カーボネート類製造工程で得られた環状カーボネート類を含む反応液か
ら、冷却晶析により環状カーボネート類を取得する環状カーボネート類の製造方法におい
て、晶析槽から母液の一部を抜き出し、抜き出した母液を、30℃以上、65℃以下に加
温した後、該晶析槽へリサイクルすることを特徴とする環状カーボネート類の製造方法、
である。
[環状カーボネート類]
本発明における環状カーボネート類は、カーボネート構造がC-C結合又はC=C結合
で連結した構造を有する環状化合物、又は、その誘導体であり、エチレンカーボネート、
ビニレンカーボネート等の総炭素数3の環状カーボネート;プロピレンカーボネート、ブ
チレンカーボネートなどの炭素数1~4のアルキル基で置換された環状カーボネート;フ
ルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどのハロゲン原子で置換さ
れた環状カーボネート等が挙げられる。中でも、電池用途などにおいて更なる高純度化及
び需要の伸びが期待される点から、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブ
チレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート及びクロロエチレンカーボネートが
好ましく、特にエチレンカーボネートが更に好ましい。
また、環状カーボネート類を含む反応液は、これら環状カーボネート類についての従来
公知の製造方法で得られる環状カーボネート類を含む反応液であれば、特に限定されない

反応液としては、上記で好ましいものとして挙げた環状カーボネートを含む反応液が好
ましいが、特に、電池用途などにおいて更なる高純度化及び需要の伸びが期待されるエチ
レンカーボネート製造工程で得られた、エチレンカーボネートを含む反応液が好ましい。
従って、以下においては、本発明の環状カーボネート類を、エチレンカーボネートと称
して、化学品製造工程で得られた化学品がエチレンカーボネートである場合を例に、詳細
を説明する。
[エチレンカーボネートを含む反応液]
エチレンカーボネートを含む反応液は、従来公知のエチレンオキサイドと二酸化炭素と
の反応により得られ、その製造方法は特に限定されないが、例えば、WO2011/065528 A1に
記載の方法等が挙げられる。
具体的には、触媒の存在下、二酸化炭素とエチレンオキシドとを反応させてエチレンカ
ーボネートを生成させる。
上記触媒としては、WO2011/065528 A1に記載の触媒、具体的には、アルカリ金属の臭化
物又はヨウ化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、アルキルアミン、第四級ンモニウム
塩、有機スズ又はゲルマニウム若しくはテルル化合物、ハロゲン化有機ホスホニウム塩な
どの公知のものの中から適宜選択して用いればよい。
なかでも、アルカリ金属の臭化物またはヨウ化物、あるいはホスホニウム塩を用いるの
が好ましい。好ましい例として、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、4級ホスホニウムヨー
ダイドあるいは4級ホスホニウムブロマイド、例えば、トリフェニルメチルホスホニウム
ヨーダイド、トリフェニルプロピルホスホニウムヨーダイド、トリフェニルベンジルホス
ホニウムヨーダイド、トリブチルメチルホスホニウムヨーダイドあるいはこれらのブロマ
イド等が挙げられる。また、ホスホニウム塩にアルカリ金属炭酸塩を形成する化合物を併
用することもできる。アルカリ金属炭酸塩はカーボネート化反応においてエチレングリコ
ール、エチレンカーボネート以外の副生物が生成するのを抑制するので好ましい。アルカ
リ金属としては、溶解度の大きいカリウム塩が好ましい。触媒を併用する場合の好ましい
例としては、特開2000-128814号公報に記載のとおりである。
本発明のカーボネート化反応の原料として使用されるエチレンオキシドは、市販されて
いる純度の高いエチレンオキシドを使用してもかまわないが、例えば、Ullmanns Encyclo
pedia of Industrial Chemistry,5thEd.,volA10,p117以下に記載されているように、原料
のエチレン及び酸素並びに希釈ガスであるメタンを主成分とするガスを、銀触媒が充填さ
れた多管式の反応器に通過させることで反応を行わせ合成したものを、精製して用いるこ
ともできる。その詳細は、WO2011/065528 A1に記載の通りである。
カーボネート化反応は任意の装置を用いて行うことができる。一例として、途中に除熱
用の熱交換器及び循環用のポンプを備えた液循環導管を有する気泡塔を用いて、塔内の反
応液を液循環導管を経て循環させることにより反応温度を制御し、塔底より原料のエチレ
ンオキシド、二酸化炭素、及び触媒を連続的に供給し連続的に反応を行わせることができ
る。また、特開平11-269110号公報に開示されているような、エジェクター型ノズルを備
えた反応器を用いるのも好ましい。反応温度は通常70~200℃であるが、100℃~170℃が
好ましい。
また、反応圧力は通常0.6~5.0MPaであるが、1.0~3.0MPaが好ましい。本発明のカーボ
ネート化反応には水を添加してもよく、水の存在下においてはエチレンオキシドはエチレ
ンカーボネートだけでなく、エチレングリコールにも転化されるので、エチレンオキシド
に対して等モル以下の二酸化炭素の供給量でも反応は容易に進行する。通常はエチレンオ
キシドに対する二酸化炭素の供給モル比は5以下であり、好ましくは0.5~3.0である。
また、エチレンオキシドに対する水の供給モル比は通常は10以下であり、好ましくは0.
5~5.0である。なお、気泡塔で、エチレンオキシドを完全に反応させるのは非効率なので
、気泡塔の後に、管型反応器を配し、液中のエチレンオキシドを更に反応させるのも好ま
しい。このとき、上記触媒の添加量は、エチレンオキシドに対してモル比で1/1000
~1/20、好ましくは1/200~1/50である。上記カーボネート化反応で得られ
た反応液は、必要により触媒回収操作を行った後、晶析槽に供給される。触媒の劣化を防
ぐため行われる触媒回収操作は、例えば、特開2004-262767号公報、特開2004-284976号公
報、あるいは特開2004-292384号公報等に記載の方法が挙げられる。
上記カーボネート化反応で得られた反応液は、通常、エチレンカーボネート、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、水、場合により、カーボネート化触媒等を含んでい
る。
[エチレンカーボネートを含む反応液の冷却晶析]
上記カーボネート化反応液からエチレンカーボネートを晶析により分離する方法として
は、一般的にはエチレンカーボネートを含む反応液を冷却することにより、粗エチレンカ
ーボネート結晶を作ればよい。冷却方法としては公知、具体的には、例えば、特開平7-
89905号公報に記載のように、冷たい垂直管の壁面に結晶を析出させた後、加温する
ことにより、結晶の一部を融解させ、これを流下させ分離することにより純度を上げた結
晶を回収する方法を用いることができる。
本発明のエチレンカーボネートを含む反応液の冷却晶析によるエチレンカーボネートの
製造方法の1例を、図面を用いて以下に説明する。
エチレンカーボネートを含む反応液(以下、母液と略記することがある)は、晶析槽(
No.1)の上部配管(No.2)より槽内に供給される。晶析槽とは、冷却ジャケット(No.3)
と攪拌翼(No.4)を備えた構造物であり、冷媒の外部循環により導入された母液を通常1
0~30℃、好ましくは15~20℃に保持している。当該温度に保持された母液は溶解
度差によりエチレンカーボネートの結晶が析出し、スラリー溶液として槽内に存在してい
る。
エチレンカーボネートの結晶を含有したスラリー液は晶析槽下部の抜出配管(No.5)よ
り下流設備に送出される。一方で、晶析処理によってエチレンカーボネート濃度が減少し
た母液にも有効成分が含まれているため、上澄み液として抜出し、回収配管(No.6)を通
じて別設備へ回収する。また、この回収した母液の一部を、加熱器(No.8)で加温してリ
サイクル配管(No.7)を通じて晶析槽へ戻す。本発明では、晶析槽から回収した母液の少
なくとも一部を、30℃以上、65℃以下に加温した後、晶析槽へリサイクルすることで
粗大な結晶スケールの発生を抑えている。
晶析槽の温度は、通常、10~30℃程度、好ましくは15~20℃であるが、本発明
では、晶析槽から母液の一部を抜き出し、抜き出した母液を、30℃以上、65℃以下に
加温した後、該晶析槽へリサイクルする。リサイクルする母液の温度の下限は、晶析槽の
温度+2℃以上であるのが好ましい。リサイクルする母液の温度の上限は、好ましくは6
0℃以下、更に好ましくは50℃以下、特に好ましくは40℃以下である。リサイクルす
る母液の温度が上記下限以上であることで、加温した母液のリサイクルによるエチレンカ
ーボネートの溶解度が適切にコントロールされ、本発明の目的であるスケール生成の抑制
(生成したスケールの溶解)が適切に行われる。一方、上記温度以下であることで、晶析
槽内での局部的な温度上昇を抑制し、結晶の発生では無く、結晶の成長が促進される温度
域となることを回避でき、そのため、結晶スケールの成長が抑制される。
晶析槽からの母液の一部の抜出し位置は、晶析槽上部(晶析槽の高さ方向の中心より上
)、好ましくは母液の液面と同程度の位置である。抜き出し位置を上記とすることは、比
較的スラリー濃度が低い上澄みの母液を採取出来るという点で好ましい。晶析槽から抜き
出す母液の量は、晶析槽の容積に対して、通常5~25%、好ましくは8~20%、更に
好ましくは10~18%が良い。この範囲であることで、母液中の溶存ガスと共に浮上し
、スケールの原因となる微細結晶を効率的に溶解させ、蓄積を防げる傾向がある。
抜き出した母液を晶析槽にリサイクルする位置は、通常、晶析槽上部であり、晶析槽か
らの母液の一部の抜出し位置より上部であるのが好ましいが、微細結晶を効率的に溶解さ
せ、蓄積を防げる点から、晶析槽のカーボネート化反応液の液面より上部から液面に供給
するのが好ましく、特に、晶析槽の液面より上部から滴下により行われるのが好ましい。
本発明の方法により晶析槽から母液の一部を抜出し、抜き出し温度以上に加温した後、
晶析槽へリサイクルことによりスケールの発生を抑制するメカニズムの詳細は不明である
が、以下のように推定される。晶析槽内では、結晶化したエチレンカーボネートは晶析槽
の下方に移動するが、本発明者等の検討によると、カーボネート化反応液を晶析槽に供給
する際、供給配管からのカーボネート化反応液が液面にぶつかった衝撃や撹拌、或いは、
エチレンカーボネートの結晶化による溶解度の変化に伴い、カーボネート化反応液中に残
存するCOが泡となって発生し、液面に泡の層が形成され、液中で生成した泡が、結晶
を随伴して液面に浮上し、結果、泡上に結晶がスケーリングする現象が確認されたものと
推定される。
本発明では、晶析槽から母液の一部を抜出し、抜き出した母液を、30℃以上、65℃
以下に加温した後、晶析槽へリサイクルすることで、適度に加温してリサイクルされた母
液が、結晶を随伴して晶析槽の上部液面に移動した泡と混合し、晶析槽上部に生成したス
ケールを溶解し、晶析槽へのスケールの発生を抑制できたと考えられる。
リサイクルした母液を晶析槽に供給する位置は、上述の通り、通常、晶析槽上部であり
、晶析槽からの母液の一部の抜出し位置より上部であることが、晶析槽上部に生成したス
ケール溶解の点から好ましいが、更に、晶析槽に供給されたカーボネート化反応液の液面
より上部から液面に供給することにより、特に、晶析槽の液面への滴下により行われるこ
とで、泡と混合して晶析槽上部に生成したスケールを溶解する点で好ましい。
冷却晶析で得られたエチレンカーボネート結晶は、晶析槽から抜き出し、必要により、
加熱器で加熱して結晶を融解して溶融液を形成し、公知の方法で、更なる精製を行っても
よい。
実施例1 エチレンカーボネートの製造
(1)カーボネート化反応
二酸化炭素で2.0MPaで加圧された滞留時間1時間、100℃の反応器にトリブチルメチルホ
スホニウムヨーダイド5重量部/Hr、炭酸カリウム0.8重量部/Hr、原料エチレンオキシド
水溶液(60重量%)78重量部/Hrを供給することによりエチレンカーボネートを含む反応
液を得た。上記のエチレンカーボネートを含む反応液は一度22℃程度に調整された中間
槽へ送られ、液中の溶存COを除去する。その後、エチレンカーボネートを含む反応液
は上記0021段落に記載の晶析槽へ送られた。
実施例1~7
上記0021段落に記載の方法にて晶析槽の運転を実施した。
即ち、上記の方法で得らえたエチレンカーボネートを含む反応液(母液)を晶析槽(No
.1)の上部配管(No.2)より槽内に供給した。尚、晶析槽は冷却ジャケット(No.3)と攪
拌翼(No.4)を備え、冷媒の外部循環により、晶析槽の母液温度を18.5~19.5℃
に設定した。リサイクルは、リサイクル母液(No.7)の温度を32.6~34.0℃の
間とし、晶析槽の液面より上部から滴下することにより行い、それぞれ312~349日
間の運転を実施したところ、晶析スケールによって運転が困難となり、停止洗浄を実施し
た。停止洗浄に要した日数は2~5日であった。リサイクル母液の温度、運転日数及び停
止・洗浄日数の関係を表1に示す。
Figure 2023125223000001
比較例1~3
リサイクル母液の温度を65.7~79.3℃に変更し、それぞれ250~311日間の
運転を実施したところ、晶析スケールによって運転が困難となり、停止洗浄を実施した。
停止洗浄に要した日数は29~77日であった。リサイクル母液の温度、運転日数及び停
止・洗浄日数の関係を表2に示す。
Figure 2023125223000002
上記実施例及び比較例の対比から明らかなように、本発明によれば、回収した母液の一
部を適度に加温・リサイクルした結果、粗大な結晶スケールの発生を抑え、晶析槽の停止
・洗浄に要する日数を大幅に低減することが可能となった。
No.1:晶析槽
No.2:上部配管
No.3:冷却ジャケット
No.4:攪拌翼
No.5:抜出配管
No.6:回収配管)
No.7:リサイクル配管
No.8:加熱器

Claims (7)

  1. 環状カーボネート類製造工程で得られた環状カーボネート類を含む反応液から、冷却晶
    析により環状カーボネート類を取得する環状カーボネート類の製造方法において、晶析槽
    から母液の一部を抜き出し、抜き出した母液を、30℃以上、65℃以下に加温した後、
    該晶析槽へリサイクルすることを特徴とする環状カーボネート類の製造方法。
  2. 前記晶析槽からの母液の一部の抜出しが、前記晶析槽の上部から行われることを特徴とす
    る、請求項1に記載の環状カーボネート類の製造方法。
  3. 前記晶析槽へのリサイクルが、前記晶析槽からの母液の一部の抜出し位置より上部に行
    われることを特徴とする請求項1又は2に記載の環状カーボネート類の製造方法。
  4. 前記晶析槽へのリサイクルが、前記晶析槽の液面より上部から滴下により行われること
    を特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の環状カーボネート類の製造方法。
  5. 環状カーボネート類が、炭素数1~2のアルキル基又はハロゲン原子で置換されていて
    もよい環状カーボネートであることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の環状
    カーボネート類の製造方法。
  6. 前記環状カーボネート類を含む反応液が、エチレンオキサイドと二酸化炭素とを反応さ
    せて得られたエチレンカーボネートを含む反応液であり、環状カーボネート類がエチレン
    カーボネートであることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の環状カーボネー
    ト類の製造方法。
  7. 前記晶析槽の温度が、10℃~30℃であることを特徴とする請求項1~6の何れか1
    項に記載の環状カーボネート類の製造方法。
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