JP2023121071A - 積層フィルム、積層体及び包装容器 - Google Patents

積層フィルム、積層体及び包装容器 Download PDF

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Abstract

【課題】機械的強度を大きく損なわずに、またアウトガスの発生を抑制しながら、帯電防止性を発現するフィルムを提供する。【解決手段】第1のポリエチレン層と、第2のポリエチレン層とを少なくとも備える積層フィルムであって、第2のポリエチレン層が、主成分としてのポリエチレンと、ドナー・アクセプター型帯電防止剤とを含有し、積層フィルムが、バイオマス由来のポリエチレンを含有する、積層フィルム。【選択図】図1

Description

本開示は、積層フィルム、積層体及び包装容器に関する。
強度に優れた二軸延伸ポリエステルフィルム又は二軸延伸ナイロンフィルム等の基材に、ポリエチレンフィルム等のシーラントフィルムを積層して形成された包装容器用積層体が知られている(例えば、特許文献1参照)。従来、包装容器中に内容物を充填する際のヒートシールされる個所における埃又は内容物の付着や、帯電による品質の低下を抑制するために、帯電防止性を有するシーラントフィルムが用いられている(例えば、特許文献2参照)。例えば、界面活性剤を含むマスターバッチをポリエチレンに添加して作製されたシーラントフィルムは、界面活性剤がフィルム表面にブリードアウトして、帯電防止性を発現することが知られている。
特開2006-051995号公報 特開2006-219608号公報
界面活性剤を含有するフィルムには、ある程度の湿度が必要である、ブリードアウトにより内容物が汚染され得る、表面固有抵抗率が高いなどの問題がある。ブリードアウトを抑制するために、ポリエーテル系又はポリエチレングリコール系などの高分子型帯電防止剤を含有するフィルムも知られている。しかしながら、帯電防止性を発現させるために高分子型帯電防止剤を多く添加することが必要とされており、機械的強度などのフィルム物性が低下する、あるいはアウトガスが発生しやすくなる場合がある。
本開示の一つの解決課題は、機械的強度を大きく損なわずに、またアウトガスの発生を抑制しながら、帯電防止性を発現するフィルムを提供することにある。
本開示の積層フィルムは、第1のポリエチレン層と、第2のポリエチレン層とを少なくとも備え、第2のポリエチレン層が、主成分としてのポリエチレンと、ドナー・アクセプター型帯電防止剤とを含有し、積層フィルムが、バイオマス由来のポリエチレンを含有する。
本開示によれば、機械的強度を大きく損なわずに、またアウトガスの発生を抑制しながら、帯電防止性を発現するフィルムを提供することができる。また、本開示の積層フィルムは、バイオマス由来のポリエチレンを含有することから、環境負荷を低減できる。
図1は、本開示の積層フィルムの一実施形態の模式断面図である。 図2は、本開示の積層フィルムの一実施形態の模式断面図である。 図3は、本開示の積層体の一実施形態の模式断面図である。 図4は、本開示の積層体の一実施形態の模式断面図である。 図5は、本開示の積層体の一実施形態の模式断面図である。 図6は、本開示の積層体の一実施形態の模式断面図である。 図7は、包装袋の一実施形態の正面図である。 図8は、インパクト強度を評価するための試験片を示す平面図である。 図9は、インパクト強度の測定方法を示す概略図である。
以下、本開示の実施形態について、詳細に説明する。本開示は多くの異なる形態で実施でき、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されない。図面は、説明をより明確にするため、実施形態に比べ、各層の幅、厚さ及び形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定しない。本明細書と各図において、既出の図に関してすでに説明したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
[積層フィルム]
本開示の積層フィルムは、第1のポリエチレン層と、第2のポリエチレン層とを少なくとも備える。一実施形態において、第1のポリエチレン層が積層フィルムの一方の表層であり、第2のポリエチレン層が積層フィルムの他方の表層である。積層フィルムは、第1のポリエチレン層と第2のポリエチレン層との間に、中間層をさらに備えてもよい。
本開示の積層フィルムは、バイオマス由来のポリエチレンを含有する。
本開示の積層フィルムは、基材とシーラント層とを備える包装材料のシーラント層として好適に用いることができる。上記包装材料を用いて包装容器を作製した場合に、第1のポリエチレン層は包装材料の基材側を向く層であり、第2のポリエチレン層は包装容器中に収容される内容物側を向く層(包装容器の最内層)である。このような場合、第1のポリエチレン層を「ラミネート層」ともいい、第2のポリエチレン層を「シール層」ともいう。
図1及び図2に、本開示の積層フィルムの一実施形態に係る模式断面図を示す。
図1の積層フィルム10は、第1のポリエチレン層12と、第2のポリエチレン層14とを備える。図2の積層フィルム10は、第1のポリエチレン層12と、中間層16と、第2のポリエチレン層14とを厚さ方向にこの順に備える。
本開示においてポリエチレンとは、全繰返し構成単位中、エチレン由来の構成単位の含有割合が50モル%以上の重合体をいう。この重合体において、エチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。上記含有割合は、NMR法により測定できる。
本開示において、ポリエチレンは、エチレンの単独重合体でもよく、エチレンと、エチレン以外のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体でもよい。エチレン以外のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン及び6-メチル-1-ヘプテン等の炭素数3以上20以下のα-オレフィン;酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルモノマー;並びに(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
本開示において、ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンが挙げられる。
本開示において、上記ポリエチレンの密度は以下のとおりである。
高密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.945g/cm3以上である。高密度ポリエチレンの密度の上限は、例えば0.965g/cm3である。中密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.925g/cm3以上0.945g/cm3未満である。低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3以上0.925g/cm3未満である。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3以上0.925g/cm3未満である。超低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3未満である。超低密度ポリエチレンの密度の下限は、例えば0.860g/cm3である。ポリエチレンの密度は、JIS K7112、特にD法(密度勾配管法、23℃)、に準拠して測定する。
低密度ポリエチレンは、通常、高圧重合法によりエチレンを重合して得られるポリエチレン(高圧法低密度ポリエチレン)である。直鎖状低密度ポリエチレンは、通常、低圧重合法(例:チーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒を用いた重合法)によりエチレン及び少量のα-オレフィンを重合して得られるポリエチレンである。
密度又は分岐が異なるポリエチレンは、重合方法を適宜選択することによって得られる。例えば、重合触媒として、チーグラー・ナッタ触媒などのマルチサイト触媒、又はメタロセン触媒などのシングルサイト触媒を用いて、気相重合、スラリー重合、溶液重合及び高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段又は2段以上の多段で重合を行うことが好ましい。
本開示において、ポリエチレンとしては、バイオマス由来のポリエチレン(以下「バイオマスポリエチレン」ともいう)を使用してもよい。すなわち、ポリエチレンを得るための原料として、化石燃料から得られるエチレン等に代えて、バイオマス由来のエチレン等を用いてもよい。バイオマスポリエチレンは、カーボンニュートラルな材料であるため、積層フィルム、積層体又は包装材料による環境負荷を低減できる。バイオマスポリエチレンは、例えば、特開2013-177531号公報に記載されている方法により製造できる。市販されているバイオマスポリエチレンを使用してもよい。
バイオマスポリエチレンの原料となるバイオマス由来のエチレンは、従来公知の方法により得ることができる。以下、バイオマス由来のエチレンの製造方法の一例を説明する。
バイオマス由来のエチレンは、例えば、バイオマス由来のエタノールを原料として製造できる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。植物原料としては、従来公知の植物を用いることができ、例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート及びマニオクが挙げられる。
バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物又はその破砕物由来産物を接触させ、生産した後、精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離及び抽出等の従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を添加し、共沸させるか、又は膜分離等により水分を除去する等の方法が挙げられる。上記エチレンを得るために、この段階で、エタノール中の不純物総量を1ppm以下にする等の高度な精製を更に行ってもよい。
エタノールの脱水反応によりエチレンを得る際には、通常は触媒が用いられる。触媒としては、従来公知の触媒を用いることができる。プロセス上有利な反応形式は、触媒と生成物との分離が容易な固定床流通反応である。例えば、γ-アルミナが好ましい。
この脱水反応は吸熱反応であるため、通常は加熱条件で行う。商業的に有用な反応速度で反応が進行すれば、加熱温度は限定されないが、好ましくは100℃以上、より好ましくは250℃以上、さらに好ましくは300℃以上の温度が適当である。上限も特に限定されないが、エネルギー収支及び設備の観点から、好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下である。
エタノールの脱水反応においては、原料として供給するエタノール中に含まれる水分量によって反応の収率が左右される。一般的に、脱水反応を行う場合には、水の除去効率を考えると水が無いほうが好ましい。しかしながら、固体触媒を用いたエタノールの脱水反応の場合、水が存在しないと他のオレフィン、特にブテンの生成量が増加する傾向にある。少量の水が存在しないと脱水後のエチレン二量化を押さえることができないためと推察される。水の含有量は、例えば0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上である。水の含有量は、物質収支上及び熱収支の観点から、例えば50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
このようにしてエタノールの脱水反応を行うことにより、エチレン、水及び少量の未反応エタノールの混合物が得られる。常温において約5MPa以下ではエチレンは気体であるため、これらの混合物から気液分離により水やエタノールを除き、エチレンを得ることができる。これは公知の方法で行えばよい。
気液分離により得られたエチレンはさらに蒸留され、このときの操作圧力が常圧以上であること以外は、蒸留方法、操作温度及び滞留時間等は特に制約されない。
原料がバイオマス由来のエタノールの場合、得られたエチレンには、エタノール発酵工程で混入した不純物であるケトン、アルデヒド及びエステル等のカルボニル化合物並びにその分解物である炭酸ガスや、酵素の分解物・夾雑物であるアミン及びアミノ酸等の含窒素化合物並びにその分解物であるアンモニア等が極微量含まれる。エチレンの用途によっては、これらの極微量の不純物が問題となるおそれがあるので、精製により除去してもよい。精製は、従来公知の方法により行うことができる。好適な精製操作としては、例えば、吸着精製法が挙げられる。用いる吸着剤としては、従来公知の吸着剤を用いることができる。例えば、高表面積の材料が好ましく、吸着剤の種類としては、バイオマス由来のエタノールの脱水反応により得られるエチレン中の不純物の種類・量に応じて選択される。
エチレン中の不純物の精製方法として、苛性水処理を併用してもよい。苛性水処理を行う場合は、吸着精製前に行うことが望ましい。その場合、苛性処理後、吸着精製前に水分除去処理を施す必要がある。
バイオマスポリエチレンは、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーを重合して得られるポリエチレンである。バイオマス由来のエチレンとしては、上記製造方法により得られたエチレンを用いることが好ましい。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、重合されてなるポリエチレンはバイオマス由来となる。
バイオマスポリエチレンの原料モノマーは、バイオマス由来のエチレンを100質量%含むものでなくてもよい。バイオマスポリエチレンの原料モノマーは、バイオマス由来のエチレンとともに、化石燃料由来のエチレンをさらに含んでもよい。
大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出できる。本開示において、「バイオマス度」とは、バイオマス由来成分の重量比率を示す。例えば、ポリエチレンテレフタレートを例にとる。ポリエチレンテレフタレートは、2炭素原子を含むエチレングリコールと8炭素原子を含むテレフタル酸とがモル比1:1で重合した重合体である。エチレングリコールとしてバイオマス由来のもののみを使用した場合、ポリエステル中のバイオマス由来成分の重量比率は31.25%である。したがって、バイオマス度の理論値は31.25%である。具体的には、ポリエチレンテレフタレートの質量は192であり、そのうちバイオマス由来のエチレングリコールに由来する質量は60である。したがって、60÷192×100=31.25である。化石燃料由来のエチレングリコールと、化石燃料由来のジカルボン酸とを用いて製造した化石燃料由来のポリエステル中のバイオマス由来成分の重量比率は0%であり、化石燃料由来のポリエステルのバイオマス度は0%である。以下、特に断りのない限り、「バイオマス度」とはバイオマス由来成分の重量比率を示す。
理論上、ポリエチレンの原料として、全てバイオマス由来のエチレンを用いれば、バイオマス由来のエチレン濃度は100%であり、バイオマスポリエチレンのバイオマス度は100%となる。化石燃料由来の原料のみで製造された化石燃料ポリエチレン中のバイオマス由来のエチレン濃度は0%であり、化石燃料ポリエチレンのバイオマス度は0%である。
バイオマスポリエチレンとしては、具体的には、例えば、バイオマス高密度ポリエチレン、バイオマス中密度ポリエチレン、バイオマス低密度ポリエチレン、バイオマス直鎖状低密度ポリエチレン及びバイオマス超低密度ポリエチレンが挙げられる。バイオマスポリエチレンのバイオマス度は、一実施形態において、80%以上、85%以上、90%以上又は95%以上である。
バイオマスポリエチレンとしては、植物由来ポリエチレンが好ましい。
本開示において、バイオマスポリエチレンやバイオマス由来の樹脂層は、バイオマス度が100%である必要はない。積層フィルムの一部にでもバイオマス由来の原料が用いられていれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減するという趣旨に沿うからである。
ポリエチレンとしては、メカニカルリサイクル又はケミカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレンを使用してもよい。これにより、積層フィルム、積層体又は包装材料による環境負荷を低減できる。メカニカルリサイクルとは、一般的に、回収されたポリエチレンフィルムなどを粉砕し、アルカリ洗浄してフィルム表面の汚れ、異物を除去した後、高温・減圧下で一定時間乾燥してフィルム内部に留まっている汚染物質を拡散させ除染を行い、フィルムの汚れを取り除き、再びポリエチレンに戻す方法である。ケミカルリサイクルとは、一般的に、回収されたポリエチレンフィルムなどをモノマーレベルまで分解し、当該モノマーを再度重合してポリエチレンを得る方法である。
以上のポリエチレンの説明は、以下の記載におけるポリエチレンに適用できる。
本開示の積層フィルムの総厚さは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり;好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、さらに好ましくは200μm以下である。積層フィルムの総厚さは、例えば、10μm以上300μm以下である。積層フィルムの総厚さは、積層フィルムを包装材料のシーラント層として用いる場合は、シーラント層の強度及び加工適性という観点から、包装容器中に収容される内容物の質量に応じ適宜変更することが好ましい。
例えば、包装容器が小袋である場合、積層フィルム(シーラント層)の総厚さは、好ましくは10μm以上60μm以下である。この場合、例えば1g以上200g以下の内容物が小袋内に良好に収容される。
例えば、包装容器がスタンディングパウチである場合、積層フィルム(シーラント層)の総厚さは、好ましくは40μm以上200μm以下、より好ましくは60μm以上150μm以下である。この場合、例えば50g以上2000g以下の内容物がスタンディングパウチ内に良好に収容される。
本開示の積層フィルムは、ヒートシール性という観点から、好ましくは未延伸フィルムである。未延伸フィルムとは、延伸処理を受けていないフィルムであり、例えば、押出成形されたフィルムであって、延伸処理を受けていないフィルムである。延伸処理の詳細については基材の説明において後述する。
本開示の積層フィルムは、バイオマスポリエチレンを含有する。積層フィルムのバイオマス度は、例えば、10%以上でもよく、10%以上80%以下でもよく、20%以上75%以下でもよく、30%以上70%以下でもよい。
第1のポリエチレン層、必要に応じて中間層及び第2のポリエチレン層を厚さ方向にこの順に備える積層フィルムにおいて、第1のポリエチレン層、必要に応じて中間層及び第2のポリエチレン層から選択される少なくとも1層が、バイオマスポリエチレンを含有してもよい。例えば、中間層がバイオマスポリエチレンを含有してもよい。
本開示の積層フィルムの第2のポリエチレン層側表面の表面固有抵抗率は、好ましくは9.0×1011Ω/□以下、より好ましくは9.0×1010Ω/□以下、さらに好ましくは9.0×109Ω/□以下、特に好ましくは5.0×109Ω/□以下又は4.0×109Ω/□以下である。第2のポリエチレン層側表面の表面固有抵抗率は、例えば1.0×108Ω/□以上であり、1.0×109Ω/□以上でもよい。本開示において、表面固有抵抗率は、JIS K6911:1995に準拠して測定され、表面固有抵抗率の測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%とする。
本開示の積層フィルムの第2のポリエチレン層側表面の初期帯電圧の半減期は、好ましくは10秒以下、より好ましくは5秒以下、さらに好ましくは3秒以下である。半減期の下限値は特に限定されないが、例えば0.1秒でもよい。本開示において、上記半減期は、JIS L1094:2014に準拠した帯電圧減衰試験により測定され、上記半減期の測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%とする。
本開示の積層フィルムのヘイズは、好ましくは15%以下、より好ましくは13%以下、さらに好ましくは12%以下である。ヘイズの下限値は特に限定されないが、例えば1%でもよい。これにより、積層フィルムの透明性を向上できる。積層フィルムのヘイズは、JIS K7136に準拠して測定される。
本開示の積層フィルムは、一実施形態において、フィルムから発生するアウトガスの量が少ない。このような積層フィルムを備える包装容器は、包装容器内に充填された内容物に付着するアウトガス成分を低減して、あるいは半導体やシリコンウェハへの付着を抑制して、不良率を低減することができる。ここで、積層フィルムから発生するアウトガスの量は、ヘッドスペースガスクトマトグラフ(HS-GC)のピーク面積から求めることができる。
アウトガスの量は、以下のようにして測定できる。本開示の積層フィルムを、5cm×5cmの大きさに切断した試験片8枚をバイアル瓶に封入し、HS温度120℃、Loop温度:140℃、TR-LINE温度:140℃で処理し、ヘッドスペースの空気を1ml導入し、320℃まで昇温し、5分保持した際の成分を、HS-GCにて検出する。
測定装置:Agilent6890にて実施
キャリアガス:He
本開示の積層フィルムは、一実施形態において、水への有機成分の溶出量が少ない。したがって、このような積層フィルムを備える包装容器は、包装容器内に充填された液体内容物中に溶出する有機物の濃度を低減して、液体内容物の味、匂い及び性質等の変化を抑制できる。ここで、液体内容物中の有機物の濃度は、全有機体炭素(TOC=Total Organic Carbon)の濃度によって示すことができる。
TOCは、水中の酸化され得る有機物(有機炭素体)全量の濃度を炭素量の濃度で示したものであり、代表的な水質指標の一つとして用いられているものであって、JIS K0805(有機体炭素(TOC)自動計測器)等で規格化されている。
本開示の積層フィルムをシーラント層として用いて面積44×15cm2のサイズのパウチを作製し、該パウチに65℃の水1Lを充填し、35℃の温度で336時間静置した場合に、当該積層フィルムの水に対する全有機炭素(TOC)の溶出量は、好ましくは2.0mg/L以下、より好ましくは1.6mg/L以下、さらに好ましくは1.0mg/L以下である。充填に使用する水は、蒸留水又はイオン交換水とする。水中のTOC濃度測定は、一般的なTOC計、例えば、TOC200S(東レエンジニアリング社製)で行える。
<第1のポリエチレン層>
第1のポリエチレン層は、ポリエチレンを主成分として含有することが好ましい。
本開示において「主成分」とは、層中の含有割合が50質量%超、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である成分をいう。
ポリエチレンとしては、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種が好ましく、ヒートシール性という観点から、直鎖状低密度ポリエチレン及び高圧法低密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種がより好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンがさらに好ましい。バイオマスポリエチレン、又はメカニカルリサイクル若しくはケミカルリサイクルされたポリエチレンを使用してもよい。
第1のポリエチレン層に含まれるポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性及び加工適性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.2g/10分以上、さらに好ましくは0.3g/10分以上、特に好ましくは0.5g/10分以上であり;好ましくは50g/10分以下、より好ましくは30g/10分以下、さらに好ましくは20g/10分以下、特に好ましくは5.0g/10分以下である。ポリエチレンのMFRは、例えば、0.1g/10分以上50g/10分以下である。ポリエチレンのMFRは、JIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定する。
第1のポリエチレン層に含まれるポリエチレンの融点(Tm)は、耐熱性及びヒートシール性のバランスという観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは95℃以上、さらに好ましくは100℃以上であり;好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは125℃以下である。ポリエチレンのTmは、例えば、90℃以上140℃以下である。ポリエチレンのTmは、JIS K7121に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により得られる。
第1のポリエチレン層は、ポリエチレンを1種又は2種以上含有できる。
第1のポリエチレン層におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。このような構成により、例えば、本開示の積層フィルムを備える包装材料のリサイクル適性を向上できる。
第1のポリエチレン層は、ポリエチレン以外の樹脂材料を1種又は2種以上含有してもよい。上記樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド、ポリエステル及びアイオノマー樹脂が挙げられる。
第1のポリエチレン層は、添加剤を1種又は2種以上含有してもよい。添加剤としては、例えば、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、架橋剤、滑(スリップ)剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、顔料、染料及び改質用樹脂が挙げられる。
第1のポリエチレン層は、帯電防止剤を含有してもよいが、一実施形態において、帯電防止剤を実質的に含有しないことが好ましい。例えば、第1のポリエチレン層において、熱分解GC法により測定した帯電防止剤の含有量が100ppm以下であることが好ましい。これにより、例えば、積層フィルムと、当該積層フィルムに積層される他の層との密着強度の低下を抑制できる。
第1のポリエチレン層は、一実施形態において、後述するドナー・アクセプター型帯電防止剤を含有してもよい。例えば、第1のポリエチレン層が積層フィルムの一方の表層であり、第2のポリエチレン層が積層フィルムの他方の表層である場合において、第1のポリエチレン層及び第2のポリエチレン層がいずれも上記帯電防止剤を含有してもよい。このような積層フィルムは、例えば、半導体ウエハ及び産業資材などを積み重ねて容器内に収納する際に、各半導体ウエハの間又は各産業資材の間に挿入して使用されるスペーサー用フィルムとして有用である。
第1のポリエチレン層におけるドナー・アクセプター型帯電防止剤の含有割合は、一実施形態において、例えば0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり;好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下である。第1のポリエチレン層におけるドナー・アクセプター型帯電防止剤の含有割合は、例えば0.01質量%以上5.0質量%以下である。
第1のポリエチレン層における第2のポリエチレン層側の表面とは反対側の表面には、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、積層フィルムと、当該積層フィルムに積層される層との密着強度を向上できる。表面処理の方法としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス及び窒素ガスなどのガスを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理;並びに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。
<第2のポリエチレン層>
第2のポリエチレン層は、主成分としてのポリエチレンと、ドナー・アクセプター型帯電防止剤とを含有する。このような構成により、例えば、機械的強度、低温シール性、低溶出性、低アウトガス性及び透明性などのフィルム物性を大きく損なわずに、積層フィルムの表面に、良好な帯電防止性を付与できる。第2のポリエチレン層は、静電気等の瞬時に発生する帯電に対して、また低湿度環境でも、高い帯電防止性を有する。
したがって、本開示の積層フィルムは、帯電防止フィルムとして好適である。
例えば包装容器を構成する包装材料のシーラント層として本開示の積層フィルムを用いる場合、シーラント層表面の特にヒートシールされる個所に内容物や埃が付着することを抑制でき、したがって良好なヒートシール強度が得られ、また積層フィルム中のドナー・アクセプター型帯電防止剤が内容物を汚染するおそれも小さい。また、例えば半導体ウエハを保護するための保護フィルムとして本開示の積層フィルムを用いる場合、積層フィルム中のドナー・アクセプター型帯電防止剤がウエハを汚染するおそれも小さい。
このように本開示の積層フィルムは、一実施形態において、機械的強度、低温シール性、低溶出性、低アウトガス性及び透明性に優れ、内容物や被着体を汚染するおそれも小さく、かつ、帯電防止性にも優れることから、包装材料を構成するシーラントフィルムや、半導体ウエハ及び産業資材などを保護するための保護フィルムとして好適である。また、本開示の積層フィルムは、加工性に優れている。
ポリエチレンとしては、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種が好ましく、ヒートシール性という観点から、直鎖状低密度ポリエチレン及び高圧法低密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種がより好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンがさらに好ましい。バイオマスポリエチレン、又はメカニカルリサイクル若しくはケミカルリサイクルされたポリエチレンを使用してもよい。
第2のポリエチレン層に含まれるポリエチレンのMFR及びTmの数値範囲としては、それぞれ、第1のポリエチレン層に含まれるポリエチレンのMFR及びTmと同様の数値範囲を挙げることができる。
第2のポリエチレン層に含まれるポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、好ましくは5.0g/10分以下、より好ましくは4.0g/10分以下、さらに好ましくは3.0g/10分以下、特に好ましくは2.0g/10分以下である。ドナー・アクセプター型帯電防止剤と混合されるポリエチレンのMFRが上述した上限値以下であると、例えば、帯電防止性がより良好に発揮される。
第2のポリエチレン層は、ポリエチレンを1種又は2種以上含有できる。
第2のポリエチレン層におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。このような構成により、例えば、本開示の積層フィルムを備える包装材料のリサイクル適性を向上できる。
第2のポリエチレン層は、ポリエチレン以外の樹脂材料を1種又は2種以上含有してもよい。上記樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド、ポリエステル及びアイオノマー樹脂が挙げられる。
ドナー・アプセプター型帯電防止剤(以下「帯電防止剤(X)」ともいう)とは、例えば、少なくとも1種のドナー成分と、少なくとも1種のアクセプター成分とを、均一に混合して得られる帯電防止剤である。帯電防止剤(X)は、ポリエチレンとの組合せにおいて低添加量で良好な帯電防止性を発現でき、したがって、機械的強度、低温シール性、低溶出性、低アウトガス性及び透明性などのフィルム物性の低下を抑制できる。
帯電防止剤(X)としては、例えば、ホウ素化合物を含む帯電防止剤が挙げられ、分子中に式(1)で表される構造を有するホウ素化合物を含む帯電防止剤が好ましい。
Figure 2023121071000002
帯電防止剤(X)としては、ドナー成分としての分子中に式(1)で表される構造などを有する半極性有機ホウ素化合物と、アクセプター成分としての塩基性窒素化合物と、を反応させて得られる帯電防止剤が好ましい。
帯電防止剤(X)において、ドナー成分及びアクセプター成分のいずれもが、1個以上の直鎖型炭化水素基を有することが好ましい。この場合には、第2のポリエチレン層中において、帯電防止性が良好に持続すると考えられる。帯電防止剤(X)は、分子中に式(1)で表される構造を1個および炭素数5以上28以下の直鎖型炭化水素基を少なくとも1個有する半極性有機ホウ素化合物と、分子中に塩基性窒素原子団を1個および炭素数5以上28以下の直鎖型炭化水素基を少なくとも1個有する塩基性有機化合物とから構成されることが好ましい。
半極性有機ホウ素化合物とは、例えば、多価アルコールと直鎖型脂肪酸とのエステルにおける残存している隣接ヒドロキシ基に対してホウ酸若しくは低級アルコールのホウ酸エステルを反応させるか、隣接ヒドロキシ基を有する直鎖型炭化水素化合物に対してホウ酸若しくは低級アルコールのホウ酸エステルを反応させるか、又は、隣接ヒドロキシ基を有する3価以上の多価アルコールとホウ酸若しくは低級アルコールのホウ酸エステルとを反応させた後に残存しているヒドロキシ基に対して、直鎖型脂肪酸を反応させることにより得られる化合物であり、この反応で得られた化合物はファンデルワールス力の強い固体である点に特徴を有している。
半極性有機ホウ素化合物(ホウ酸エステル形錯体)の調製に用いる多価アルコール又は多価アルコールの脂肪酸部分エステルとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンなどのポリグリセリン、炭素数14以上24以下の1,2-アルカンジオール、ソルビトール、ソルビタン、ショ糖、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどのポリペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリオキシエチレングリセリン、ポリオキシエチレンソルビタンなどの多価アルコール、グリセリン高級脂肪酸モノエステル、ジグリセリン高級脂肪酸モノエステル、トリグリセリン高級脂肪酸モノエステル、テトラグリセリン高級脂肪酸モノエステルなどのポリグリセリン高級脂肪酸モノエステル、ソルビトール高級脂肪酸モノエステル、ソルビタン高級脂肪酸モノエステル、ショ糖高級脂肪酸モノエステル、ペンタエリスリトール高級脂肪酸モノ若しくはジエステル、ジペンタエリスリトール高級脂肪酸モノ若しくはジエステル、トリペンタエリスリトール高級脂肪酸モノ若しくはジエステルなどのポリペンタエリスリトール高級脂肪酸モノ若しくはジエステル、トリメチロールエタン高級脂肪酸モノエステル、トリメチロールプロパン高級脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレングリセリン高級脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸モノエステルなどの多価アルコールの高級脂肪酸部分エステル(高級脂肪酸としては、例えば、ヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレイン酸、エルカ酸)が挙げられる。これらの中でも、グリセリン高級脂肪酸モノエステル、ペンタエリスリトール高級脂肪酸モノ又はジエステルが好ましい。
塩基性窒素化合物は、例えば、直鎖型炭化水素基を少なくとも1個有するN-アルキル置換一級、二級及び三級アミンそのままか、直鎖型炭化水素基を少なくとも1個有する一級及び二級アミンに対してエチレンオキシドを付加して、N-ヒドロキシエチル置換基を結合させた化合物か、さらに、その末端ヒドロキシ基に対して直鎖型脂肪酸を反応させた化合物か、若しくは、アンモニアと直鎖型炭化水素のエポキシ化物とを反応させて形成される直鎖型2-ヒドロキシ脂肪族アミンそのままか、又は、一級及び二級の直鎖型2-ヒドロキシ脂肪族アミンに対してエチレンオキシドを付加して、N-ヒドロキシエチル置換基を結合させた化合物か、若しくは、ポリアルキレンポリアミン中のアミノ基を1個残存させるようなモル比で、ポリアルキレンポリアミンと直鎖型脂肪酸とを反応させて、他のアミノ基を全て脂肪酸アミド化した化合物であり、特色としては、半極性有機ホウ素化合物と同様に、ファンデルワールス力の強い固体である。
塩基性窒素化合物(脂肪族アミン)としては、例えば、オクチルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ココアミン、タロウアミン、ソイアミン、N,N-ジココアミン、N,N-ジタロウアミン、N,N-ジソイアミン、N-ラウリル-N,N-ジメチルアミン、N-ミリスチル-N,N-ジメチルアミン、N-パルミチル-N,N-ジメチルアミン、N-ステアリル-N,N-ジメチルアミン、N-ココ-N,N-ジメチルアミン、N-タロウ-N,N-ジメチルアミン、N-ソイ-N,N-ジメチルアミン、N-メチル-N,N-ジタロウアミン、N-メチル-N,N-ジココアミン、N-オレイル-1,3-ジアミノプロパン、N-タロウ-1,3-ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、N-ラウリル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド、N-パルミチル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド、N-ステアリル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド、N-ドコシル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド、N-ココ-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド、N-タロウ-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド、N-ソイ-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド、N-ラウリル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウムクロリド、N-ミリスチル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウムクロリド、N-ステアリル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウムクロリド、N-ココ-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウムクロリド、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド、N,N-ジココ-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド、N,N-ジタロウ-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド、N,N-ジソイ-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-ラウリル-N-メチルアンモニウムクロリド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-ステアリル-N-メチルアンモニウムクロリド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-オレイル-N-メチルアンモニウムクロリド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-ココ-N-メチルアンモニウムクロリド、N,N-ビス(ポリオキシエチレン)-N-ラウリル-N-メチルアンモニウムクロリド、N,N-ビス(ポリオキシエチレン)-N-ステアリル-N-メチルアンモニウムクロリド、N,N-ビス(ポリオキシエチレン)-N-オレイル-N-メチルアンモニウムクロリド、N,N-ビス(ポリオキシエチルン)-N-ココ-N-メチルアンモニウムクロリド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ラウリルアミノベタイン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)トリデシルアミノベタイン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ミリスチルアミノベタイン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ペンタデシルアミノベタイン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)パルミチルアミノベタイン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ステアリルアミノベタイン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)オレイルアミノベタイン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ドコシルアミノベタイン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)オクタコシルアミノベタイン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ココアミノベタイン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)タロウアミノベタイン、ヘキサメチレンテトラミン、N-(2-ヒドロキシエチル)ラウリルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)トリデシルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)ミリスチルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)ペンタデシルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)パルミチルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)ステアリルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)オレイルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)ドコシルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)オクタコシルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)ココアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)タロウアミン、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)ラウリルアミン、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)トリデシルアミン、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)ミリスチルアミン、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)ペンタデシルアミン、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)パルミチルアミン、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)ステアリルアミン、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)オレイルアミン、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)ドコシルアミン、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)オクタコシルアミン、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)ココアミン、N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)タロウアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ラウリルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)トリデシルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ミリスチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ペンタデシルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)パルミチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ステアリルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)オレイルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ドコシルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)オクタコシルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ココアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)タロウアミンなどのN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)脂肪族アミン;該N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)脂肪族アミンとラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸などの脂肪酸とのモノ若しくはジエステル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミノエーテル、ポリオキシエチレンココアミノエーテル、ポリオキシエチレンタロウアミノエーテルなどのポリオキシエチレン脂肪族アミノエーテル、該ポリオキシエチレン脂肪族アミノエーテルと前記脂肪酸とのモノ若しくはジエステル;N-(ラウロイルオキシエチル)-N-(ステアロイルオキシエトキシエチル)ステアリルアミン、N,N,N',N'-テトラ(2-ヒドロキシエチル)-1,6-ジアミノヘキサン、N-ラウリル-N,N',N'-トリス(2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジアミノプロパン、N-ステアリル-N,N',N'-トリス(2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジアミノプロパン、N-ココ-N,N',N'-トリス(2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジアミノプロパン、N-タロウ-N,N',N'-トリス(2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジココ-N',N'-ビス(2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジタロウ-N',N'-ビス(2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジアミノプロパン、N-ココ-N,N',N'-トリス(2-ヒドロキシエチル)-1,6-ジアミノヘキサン、N-タロウ-N,N',N'-トリス(2-ヒドロキシエチル)-1,6-ジアミノヘキサン、N,N-ジココ-N',N'-ビス(2-ヒドロキシエチル)-1,6-ジアミノヘキサン、N,N-ジタロウ-N',N'-ビス(2-ヒドロキシエチル)-1,6-ジアミノヘキサン、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシラウリルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシミリスチルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシパルミチルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシステアリルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシラウリルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシミリスチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシパルミチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシステアリルアミン、2,2'-ビス(ラウリン酸アミド)ジエチルアミン、2,2'-ビス(ミリスチン酸アミド)ジエチルアミン、2,2'-ビス(パルミチン酸アミド)ジエチルアミン、2,2'-ビス(ステアリン酸アミド)ジエチルアミン、N-(2-(ラウリン酸アミド))エチル-N-(2'-(ステアリン酸アミド))エチルアミン、N-(2-(ミリスチン酸アミド))エチル-N-(2'-(ステアリン酸アミド))エチルアミン、N-(3-(ラウリン酸アミド))プロピル-N,N-ジメチルアミン、N-(3-(ミリスチン酸アミド))プロピル-N,N-ジメチルアミン、N-(3-(パルミチン酸アミド))プロピル-N,N-ジメチルアミン、N-(3-(ステアリン酸アミド))プロピル-N,N-ジメチルアミン、N-(3-(ラウロイルオキシ))プロピル-N,N-ジメチルアミン、N-(3-(ミリストイルオキシ))プロピル-N,N-ジメチルアミン、N-(3-(パルミトイルオキシ))プロピル-N,N-ジメチルアミン、N-(3-(ステアロイルオキシ))プロピル-N,N-ジメチルアミン、N,N-ビス(3-(ラウリン酸アミド)プロピル)メチルアミン、N,N-ビス(3-(ミリスチン酸アミド)プロピル)メチルアミン、N,N-ビス(3-(パルミチン酸アミド)プロピル)メチルアミン、N,N-ビス(3-(ステアリン酸アミド)プロピル)メチルアミンが挙げられる。
塩基性窒素化合物としては、式(2’)で表される脂肪族アミン、及び(3’)で表される脂肪族アミンが好ましい。
Figure 2023121071000003
式(2’)及び式(3’)中、R3及びR4は、それぞれ独立して、CH3-、C25-、HOCH2-、HOC24-又はHOCH2CH(CH3)-であり、R5は、-C24-又は-C36-であり、R6は、炭素数11以上21以下のアルキル基である。
帯電防止剤(X)としては、ドナー成分としての半極性有機ホウ素化合物と、アクセプター成分としての塩基性窒素化合物とを反応させて得られる、ドナー・アクセプター型帯電防止剤が好ましく、式(2)又は式(3)で表されるドナー・アクセプター型帯電防止剤がより好ましい。
Figure 2023121071000004
式(2)及び式(3)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、R7CO-OCH2-又はHOCH2-で、かつ少なくとも一方がR7CO-OCH2-であり、R3及びR4は、それぞれ独立して、CH3-、C25-、HOCH2-、HOC24-又はHOCH2CH(CH3)-であり、R5は、-C24-又は-C36-であり、R6及びR7は、それぞれ独立して、炭素数11以上21以下のアルキル基である。
帯電防止剤(X)の具体例を、式(4)~式(11)に示す。
Figure 2023121071000005
Figure 2023121071000006
式(4)~式(11)は、上段の半極性有機ホウ素化合物部分をドナー成分とし、下段の三級アミン部分をアクセプター成分とし、両者をモル比約1:1で反応させて得られるドナー・アクセプター型帯電防止剤である。上記ドナー成分の、「δ+」は分子内の共有結合中に極性が存在していることを示し、(+)は酸素原子の電子供与性が強くなっていることを示し、(-)はホウ素原子の電子求引性が強くなっていることを示し、「→」は電子が引き付けられる経路を示し、「---」は原子間結合力が弱められた状態を示す。
ドナー・アクセプター型帯電防止剤は、ポリエチレンと混合する前に、予めドナー成分とアクセプター成分とを混合溶融して反応させることにより製造しておくことが好ましい。予め反応させることなく、ポリエチレンにドナー成分とアクセプター成分とを別々に混合した場合は、混合物中で両成分が反応する機会が非常に少ないため、上記構成を有する分子化合物がほとんど形成されず、上述した効果が得られにくくなることがある。ドナー成分とアクセプター成分との混合モル比(ドナー成分:アクセプター成分)は、好ましくは1:0.8~1:1.25であり、1:1に近いほど好ましい。このような混合モル比であれば、分子化合物が充分に形成される。
第2のポリエチレン層における帯電防止剤(X)の含有割合は、例えば0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり;好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下である。第2のポリエチレン層における帯電防止剤(X)の含有割合は、例えば0.01質量%以上5.0質量%以下である。帯電防止剤(X)の含有割合が下限値以上であると、充分な帯電防止性が得られる傾向にある。帯電防止剤(X)の含有割合が上限値以下であると、積層フィルム表面への帯電防止剤(X)のブリードアウトや、帯電防止剤(X)の含有量が多いことに起因する積層フィルムの機械的強度の低下などの問題が生じにくく、またリサイクル適性が高い傾向にある。帯電防止剤等の添加剤の含有割合は、例えば、GC/MS法により測定できる。
帯電防止剤(X)は、例えば、ベース材料としてのポリエチレンと帯電防止剤(X)とを含むマスターバッチの形態で、第2のポリエチレン層に加えることができる。マスターバッチにおける帯電防止剤(X)の含有量は、好ましくは1質量%以上30質量%以下、より好ましくは3質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上15質量%以下である。
帯電防止剤(X)としては、市販品を用いてもよい。具体的には、ボロン研究所製、商品名:ビオミセル BN-105(上記式(2)で表される化合物のマスターバッチ、mC42818B+nC2348ON2、製品安全データシート参照)及びビオミセル BN-77(上記式(3)で表される化合物のマスターバッチ、mC42818B+nC23472N、製品安全データシート参照)が挙げられる。
第2のポリエチレン層は、帯電防止剤以外の添加剤を1種又は2種以上含有してもよい。添加剤としては、例えば、アンチブロッキング剤、架橋剤、滑(スリップ)剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、顔料、染料及び改質用樹脂が挙げられる。
<中間層>
本開示の積層フィルムは、第1のポリエチレン層と第2のポリエチレン層との間に、中間層をさらに備えてもよい。中間層は、ポリエチレンを主成分として含有することが好ましい。
ポリエチレンとしては、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種が好ましく、ヒートシール性という観点から、直鎖状低密度ポリエチレン及び高圧法低密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種がより好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンがさらに好ましい。バイオマスポリエチレン、又はメカニカルリサイクル若しくはケミカルリサイクルされたポリエチレンを使用してもよい。
中間層に含まれるポリエチレンのMFR及びTmの数値範囲としては、それぞれ、第1のポリエチレン層に含まれるポリエチレンのMFR及びTmと同様の数値範囲を挙げることができる。
中間層は、ポリエチレンを1種又は2種以上含有できる。
中間層におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。このような構成により、例えば、本開示の積層フィルムを備える包装材料のリサイクル適性を向上できる。
中間層は、ポリエチレン以外の上記樹脂材料を1種又は2種以上含有してもよい。
中間層は、上記添加剤を1種又は2種以上含有してもよい。
中間層は、帯電防止剤を含有してもよいが、帯電防止剤を実質的に含有しないことが好ましい。例えば、中間層において、熱分解GC法により測定した帯電防止剤の含有量が100ppm以下であることが好ましい。これにより、例えば、積層フィルムと、当該積層フィルムに積層される他の層との密着強度の低下を抑制できる。
中間層は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。
多層構造を有する中間層の層数は、例えば、2層以上5層以下である。
<蒸着膜>
本開示の積層フィルムは、第1のポリエチレン層における第2のポリエチレン層側の表面とは反対側の表面に形成された蒸着膜を備えてもよい。これにより、例えば、積層フィルムの酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。蒸着膜の詳細は、後述する。蒸着膜の表面には、上述した表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、蒸着膜と、当該蒸着膜に積層される他の層との密着強度を向上できる。
<積層フィルムの構成及び製造方法>
積層フィルムの総厚さに対する第1のポリエチレン層の厚さの割合は、中間層が存在しない場合は、好ましくは60%以上98%以下、より好ましくは65%以上95%以下、さらに好ましくは70%以上90%以下である。
積層フィルムの総厚さに対する第1のポリエチレン層の厚さの割合は、中間層が存在する場合は、好ましくは2%以上40%以下、より好ましくは5%以上35%以下、さらに好ましくは10%以上30%以下である。
積層フィルムの総厚さに対する第2のポリエチレン層の厚さの割合は、好ましくは2%以上40%以下、より好ましくは5%以上35%以下、さらに好ましくは10%以上30%以下である。
積層フィルムの総厚さに対する中間層の厚さの割合は、好ましくは20%以上96%以下、より好ましくは30%以上90%以下、さらに好ましくは40%以上80%以下である。
本開示の積層フィルムは、従来公知の方法により製造できる。積層フィルムは、好ましくは共押出樹脂フィルムであり、例えば共押出成膜法に製造でき、より好ましくはTダイ法又はインフレーション法により製造できる。
[積層体]
本開示の積層体は、基材とシーラント層とを少なくとも備え、シーラント層が、第1のポリエチレン層と、第2のポリエチレン層とを少なくとも備え、第2のポリエチレン層が、主成分としてのポリエチレンと、ドナー・アクセプター型帯電防止剤とを含有し、第2のポリエチレン層が、積層体の一方の表層を構成し、シーラント層が、バイオマス由来のポリエチレンを含有する。本開示の積層体において、一実施形態において、シーラント層が上述した本開示の積層フィルムである。積層フィルムは、第1のポリエチレン層が基材側を向き、第2のポリエチレン層が積層体の一方の最外層を構成するように配置されている。すなわち本開示の積層体は、基材と、第1のポリエチレン層と、第2のポリエチレン層とを厚さ方向にこの順に備える。
本開示の積層体は、基材とシーラント層との間に、接着層を備えてもよい。
図3~図6に、本開示の積層体の一実施形態に係る模式断面図を示す。
図3の積層体100は、基材20と、接着層30と、積層フィルム10とを厚さ方向にこの順に備える。積層フィルム10は、第2のポリエチレン層14が積層体100の一方の表層を構成するように配置されており、図4~図6においても同様である。
図4の積層体100は、基材20と、アンカーコート層32と、押出樹脂層30と、金属箔40と、アンカーコート層32と、押出樹脂層30と、積層フィルム10とを厚さ方向にこの順に備える。
図5の積層体100は、樹脂フィルム22及び蒸着膜24を備える基材20と、接着剤層30と、樹脂フィルム22と、接着剤層30と、積層フィルム10とを厚さ方向にこの順に備える。樹脂フィルム22及び蒸着膜24を備える蒸着フィルムは、樹脂フィルム22が積層体100の他方の表層を構成するように配置されており、蒸着フィルムが基材20を構成している。
図6の積層体100は、基材20と、アンカーコート層32と、押出樹脂層30と、積層フィルム10とを厚さ方向にこの順に備える。
図3~図6の積層体100における積層フィルム10は、第1のポリエチレン層12と第2のポリエチレン層14との間に、図示せぬ中間層をさらに備えてもよい。
本開示の積層体は、バイオマスポリエチレンを含有する。本開示の積層体のバイオマス度は、例えば5%以上70%以下でもよく、8%以上50%以下でもよく、10%以上40%以下でもよい。これにより、例えば、積層体又は包装材料による環境負荷を低減できる。
本開示の積層体の一実施形態において、基材とシーラント層とが、それぞれ、同種の樹脂材料であるポリエチレンを主成分として含有する。このような構成を有する積層体を用いることにより、例えば、リサイクル適性に優れる包装容器を作製できる。
本開示の積層体全体におけるポリエチレンの含有割合は、一実施形態において、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。このような積層体は、同種の樹脂材料であるポリエチレンを使用していることから、いわゆるモノマテリアル材料に分類でき、例えばモノマテリアル包装容器の作製に好適に使用できる。
<基材>
基材としては、例えば、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、並びにエチレン-酢酸ビニル共重合体フィルムなどの樹脂フィルム;並びに紙基材が挙げられる。基材は、例えば、樹脂フィルムの積層物でもよく、紙基材の積層物でもよく、樹脂フィルムと紙基材との積層物でもよい。樹脂フィルムの中でも、機械的強度及び耐ピンホール性等に優れていることから、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム及びポリオレフィンフィルムから選択される少なくとも1種が好ましい。
樹脂フィルムは、好ましくは延伸フィルムであり、1軸延伸フィルムでもよく、2軸延伸フィルムでもよい。樹脂フィルムとして延伸フィルムを使用することにより、基材の強度及び耐熱性を向上でき、樹脂フィルムへの蒸着適性及び印刷適性を向上できる。例えば、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリエチレンフィルム及び延伸ポリプロピレンフィルムが挙げられる。
延伸処理について説明する。延伸フィルムの延伸倍率は、延伸フィルムの流れ方向(MD)において、好ましくは2倍以上であり、より好ましくは3倍以上である。延伸フィルムの延伸倍率は、MD方向において、例えば10倍以下であり、7倍以下でもよい。延伸フィルムの延伸倍率は、延伸フィルムの流れ方向に対して垂直方向(TD)において、好ましくは2倍以上であり、より好ましくは3倍以上である。延伸フィルムの延伸倍率は、TD方向において、例えば10倍以下であり、7倍以下でもよい。
延伸フィルムのヘイズ値は、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。これにより、延伸フィルムの透明性を向上できる。延伸フィルムのヘイズ値は、JIS K7136に準拠して測定される。
樹脂フィルムは、多層共押出延伸フィルムでもよい。多層共押出延伸フィルムは、複数の層を備えるフィルムを延伸処理することにより作製できる。多層共押出延伸フィルムとしては、例えば、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層とをこの順に備える共押出延伸フィルムが挙げられる。
樹脂フィルム及び紙基材の厚さは、好ましくは1μm以上200μm以下、より好ましくは5μm以上100μm以下、さらに好ましくは10μm以上80μm以下である。
樹脂フィルムの表面には、上述した表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、樹脂フィルムと、当該樹脂フィルムに隣接する層との密着強度を向上できる。
基材は、上述した樹脂フィルムと、該樹脂フィルム上に設けられた蒸着膜とを備える蒸着フィルムでもよい。これにより、例えば、積層体の酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。
蒸着膜としては、例えば、アルミニウム、クロム、スズ、ニッケル、銅、銀、金及びプラチナなどの金属;又は酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム及び酸化炭化珪素(炭素含有酸化珪素)などの無機酸化物から構成される蒸着膜が挙げられる。これらの中でも、アルミニウム蒸着膜、酸化アルミニウム(アルミナ)蒸着膜、酸化ケイ素(シリカ)蒸着膜、及び炭素含有酸化珪素蒸着膜が好ましい。
蒸着膜の厚さは、好ましくは1nm以上150nm以下、より好ましくは5nm以上60nm以下、さらに好ましくは10nm以上40nm以下である。蒸着膜の厚さを1nm以上とすることにより、例えば、積層体の酸素バリア性及び水蒸気バリア性をより向上できる。蒸着膜の厚さを150nm以下とすることにより、例えば、蒸着膜におけるクラックの発生を抑制できると共に、積層体のリサイクル適性を向上できる。
蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法などの物理気相成長法(PVD法);並びにプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法及び光化学気相成長法などの化学気相成長法(CVD法)が挙げられる。蒸着膜は、物理気相成長法及び化学気相成長法の両者を併用して形成される、異種の無機酸化物の蒸着膜を2層以上含む複合膜でもよい。
蒸着膜の表面には、上述した表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、蒸着膜と、当該蒸着膜に隣接する層との密着強度を向上できる。
蒸着フィルムとしては、例えば、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム及びアルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等の蒸着ポリエステルフィルム;シリカ蒸着延伸ナイロンフィルム及びアルミナ蒸着延伸ナイロンフィルム等の蒸着ナイロンフィルムが挙げられる。
例えば蒸着膜が酸化アルミニウム及び酸化ケイ素などの無機酸化物から構成される場合は、蒸着膜の表面にバリアコート層を設けてもよい。すなわち、蒸着フィルムは、樹脂フィルムと、蒸着膜と、バリアコート層とを厚さ方向にこの順に備えてもよい。このような構成とすることにより、例えば、積層体のガスバリア性を向上でき、また、蒸着膜におけるクラックの発生を効果的に抑制できる。
一実施形態において、バリアコート層は、ガスバリア性樹脂を主成分として含有する。ガスバリア性樹脂としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6及びポリメタキシリレンアジパミドなどのポリアミド、ポリウレタン、並びに(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
バリアコート層におけるガスバリア性樹脂の含有割合は、好ましくは50質量%超、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。このような構成により、例えば、バリアコート層のガスバリア性を向上できる。
バリアコート層の厚さは、好ましくは0.01μm以上10.0μm以下、より好ましくは0.1μm以上5.0μm以下である。バリアコート層の厚さを0.01μm以上とすることにより、例えば、ガスバリア性をより向上できる。
バリアコート層は、例えば、ガスバリア性樹脂などの材料を水又は適当な有機溶剤に溶解又は分散させ、得られた塗布液を塗布、乾燥することにより形成できる。バリアコート層は、市販されるバリアコート剤を塗布、乾燥することによっても形成できる。
他の実施形態において、バリアコート層は、金属アルコキシドと、水溶性高分子と、必要に応じてシランカップリング剤とを混合し、水、有機溶剤及びゾルゲル法触媒を添加して得られたガスバリア性組成物を、蒸着膜上に塗布し乾燥することにより形成されるガスバリア性塗布層である。ガスバリア性塗布層は、金属アルコキシド等がゾルゲル法によって加水分解及び重縮合された加水分解重縮合物を含む。このようなバリアコート層を蒸着膜上に設けることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を効果的に抑制できる。以上の各成分は、それぞれ、1種又は2種以上用いることができる。
金属アルコキシドは、例えば、式(12)で表される。
1 nM(OR2m (12)
式(12)中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1以上8以下の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す。
1及びR2における有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基及びn-オクチル基等の炭素数1以上8以下のアルキル基が挙げられる。
金属原子Mは、例えば、ケイ素、ジルコニウム、チタン又はアルミニウムである。
金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン及びテトラブトキシシラン等のアルコキシシランが挙げられる。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール及びエチレン-ビニルアルコール共重合体が挙げられる。酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐水性及び耐候性などの所望の物性に応じて、ポリビニルアルコール及びエチレン-ビニルアルコール共重合体のいずれか一方を用いてもよく、両者を併用してもよく、また、ポリビニルアルコールを用いて得られるガスバリア性塗布層及びエチレン-ビニルアルコール共重合体を用いて得られるガスバリア性塗布層を積層してもよい。水溶性高分子の使用量は、金属アルコキシド100質量部に対して、好ましくは5質量部以上500質量部以下である。
シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができ、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好ましく、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及びβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。シランカップリング剤の使用量は、金属アルコキシド100質量部に対して、好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
ガスバリア性組成物は、金属アルコキシド1モルに対して、好ましくは0.1モル以上100モル以下、より好ましくは0.5モル以上60モル以下の割合の水を含んでもよい。水の含有量を下限値以上とすることにより、例えば、積層体の酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。水の含有量を上限値以下とすることにより、例えば、加水分解反応を速やかに行うことができる。
ガスバリア性組成物の調製に用いられる有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール及びn-ブチルアルコールが挙げられる。
ゾルゲル法触媒としては、酸又はアミン系化合物が好ましい。
酸としては、例えば、硫酸、塩酸及び硝酸等の鉱酸;並びに酢酸及び酒石酸等の有機酸が挙げられる。酸の使用量は、金属アルコキシドとシランカップリング剤とのアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量1モルに対して、好ましくは0.001モル以上0.05モル以下である。
アミン系化合物としては、例えば、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン及びトリペンチルアミンが挙げられる。アミン系化合物の使用量は、金属アルコキシドとシランカップリング剤との合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上1.0質量部以下である。
ガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコート及びアプリケータ等の塗布手段が挙げられる。
以下、ガスバリア性塗布層の形成方法の一実施形態について説明する。
金属アルコキシド、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、水、有機溶剤、及び必要に応じてシランカップリング剤等を混合して、ガスバリア性組成物を調製する。組成物中では、次第に重縮合反応が進行する。蒸着膜上に、常法により、上記組成物を塗布し、乾燥する。この乾燥により、金属アルコキシド及び水溶性高分子(組成物がシランカップリング剤を含む場合は、シランカップリング剤も)の重縮合がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。上記操作を繰り返して、複数の複合ポリマー層を積層してもよい。例えば、塗布された上記組成物を好ましくは20℃以上150℃以下、より好ましくは50℃以上120℃以下、さらに好ましくは50℃以上100℃以下の温度で、1秒以上10分以下加熱する。これにより、ガスバリア性塗布層を形成できる。
ガスバリア性塗布層の厚さは、好ましくは0.01μm以上10.0μm以下、より好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上2.0μm以下である。これにより、例えば、ガスバリア性を向上でき、蒸着膜におけるクラックの発生を抑制できる。
本開示の積層体は、基材を2つ以上備えてもよい。例えば、第1の基材としての蒸着フィルムと、第2の基材としての樹脂フィルムと、シーラント層とを厚さ方向にこの順に備える積層体でもよく、第1の基材としての樹脂フィルムと、第2の基材としての蒸着フィルムと、シーラント層とを厚さ方向にこの順に備える積層体でもよい。
<金属箔>
本開示の積層体は、金属箔を備えてもよい。これにより、例えば、積層体の酸素バリア性及び水蒸気バリア性をより向上できる。金属箔としては、従来公知の金属箔を用いることができ、例えば、アルミニウム及びマグネシウム等の金属により構成される金属箔が挙げられる。酸素ガス及び水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光及び紫外線等の透過を阻止する遮光性の点から、アルミニウム箔が好ましい。
金属箔の厚さは、好ましくは3μm以上100μm以下、より好ましくは5μm以上25μm以下である。金属箔の厚さを3μm以上とすることにより、例えば、積層体の酸素バリア性及び水蒸気バリア性をより向上できる。
金属箔は、例えば、接着層を介して積層できる。
<意匠層>
本開示の積層体は、基材上に、印刷層などの意匠層を更に備えてもよい。
意匠層は、画像を有する。画像としては、例えば、文字、図形、模様、記号及びこれらの組合せが挙げられる。画像は、商品名、包装容器中の内容物の名称、製造者及び原材料名等の文字情報を含んでもよい。画像は、単色無地(いわゆるベタ画像)でもよい。
意匠層は、一実施形態において、着色剤を1種又は2種以上含有する。
着色剤としては、例えば、無機顔料及び有機顔料等の顔料;酸性染料、直接染料、分散染料、油溶性染料、含金属油溶性染料及び昇華性色素等の染料が挙げられる。また、着色剤としては、紫外線を吸収することにより蛍光を発する紫外線発光材料、及び赤外線を吸収することにより蛍光を発する赤外線発光材料等の蛍光発光材料も挙げられる。
意匠層における着色剤の含有割合は、好ましくは1質量%以上90質量%以下、より好ましくは3質量%以上70質量%以下、更に好ましくは5質量%以上50質量%以下である。
意匠層は、樹脂材料を含有してもよく、添加剤を含有してもよい。
一実施形態において、意匠層における樹脂材料の含有割合は、例えば、10質量%以上99質量%以下でもよく、30質量%以上97質量%以下でもよく、50質量%以上95質量%以下でもよい。
意匠層は、例えば、上述した成分及び必要に応じて溶媒を含有するインキ組成物を用いて形成できる。意匠層の形成方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、活版印刷法及び転写印刷法が挙げられる。一実施形態において、環境負荷低減という観点から、フレキソ印刷法でもよい。
意匠層の厚さは、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは0.2μm以上5.0μm以下、さらに好ましくは0.3μm以上3.0μm以下である。
<接着層>
本開示の積層体は、基材とシーラント層との間に、接着層を備えてもよい。接着層としては、例えば、ポリエチレンを主成分として含有する押出樹脂層、及び接着剤により構成される接着剤層が挙げられる。
本開示の積層体は、一実施形態において、基材とシーラント層との間、基材同士の間、基材と金属箔との間、及び金属箔とシーラント層との間の少なくともいずれか一つに、ポリエチレンを主成分として含有する押出樹脂層を備える。押出樹脂層は、上記両者の接着層として機能する。
本開示の積層体が、上記接着層として、ポリエチレンを主成分として含有する押出樹脂層を備えることにより、従来の非ポリエチレン系接着剤(例えば2液硬化型ポリウレタン接着剤)を用いた場合と比較して、積層体におけるポリエチレンの含有割合をより高くすることができる。これにより、積層体のリサイクル適性をより向上できる。
押出樹脂層は、ポリエチレンを主成分として含有する。ポリエチレンの詳細は、上述したとおりである。押出樹脂層におけるポリエチレンと、シーラント層におけるポリエチレンとは、同一でもよく、異なってもよい。
本開示の積層体において、押出樹脂層を構成するポリエチレンとしては、接着性という観点から、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種が好ましく、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンがより好ましい。バイオマスポリエチレン、又はメカニカルリサイクル若しくはケミカルリサイクルされたポリエチレンを使用してもよい。
押出樹脂層を構成するポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性及び加工適性等という観点から、好ましくは0.1g/10分以上50g/10分以下、より好ましくは0.2g/10分以上30g/10分以下、さらに好ましくは3.0g/10分以上20g/10分以下である。
押出樹脂層を構成するポリエチレンの融点(Tm)は、耐熱性及び接着性のバランスという観点から、好ましくは100℃以上140℃以下、より好ましくは100℃以上130℃以下、さらに好ましくは100℃以上120℃以下である。
押出樹脂層は、ポリエチレンを1種又は2種以上含有できる。
押出樹脂層におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。このような構成により、例えば、接着性及びリサイクル適性を向上できる。
押出樹脂層は、バイオマスポリエチレンを含有してもよい。押出樹脂層のバイオマス度は、例えば、30%以上でもよく、50%以上でよく、70%以上でもよい。バイオマス度の上限は特に限定されないが、例えば99%又は98%でもよい。
押出樹脂層は、帯電防止剤を含有してもよいが、帯電防止剤を実質的に含有しないことが好ましい。例えば、押出樹脂層において、熱分解GC法により測定した帯電防止剤の含有量が100ppm以下であることが好ましい。これにより、例えば、帯電防止剤を含有するシーラント層を備える積層体における層間密着強度の低下を抑制できる。
本開示の積層体において、上記接着層としての押出樹脂層の厚さは、好ましくは5μm以上40μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下である。これにより、例えば、接着性及びリサイクル適性を向上できる。
押出樹脂層は、例えば、ポリエチレン又はポリエチレン組成物を溶融させ、基材又は金属箔上に押し出すことにより形成できる。このときの溶融温度は、例えば280℃以上340℃以下、好ましくは290℃以上335℃以下である。
本開示では、基材とシーラント層としての積層フィルムとを、基材同士を、基材と金属箔とを、又は金属箔と積層フィルムとを貼り合わせる方法として、例えば、ポリエチレンを主成分として含有する溶融樹脂を用いた溶融押出ラミネート法、特にサンドラミネート法を用いることができる。これにより、積層体のポリエチレン含有割合を高くすることができる。また、例えばドライラミネーションによりこれらを積層する場合に比べて、乾燥工程及びエージング工程にかかる時間を低減でき、したがって積層体の生産効率を向上できる。
本開示の積層体は、一実施形態において、基材とシーラント層との間、基材同士の間、基材と金属箔との間、及び金属箔とシーラント層との間の少なくともいずれか一つに、接着剤により構成される接着剤層を備える。これにより、例えば、上記両者の密着強度を向上できる。
接着剤は、1液硬化型の接着剤、2液硬化型の接着剤、及び非硬化型の接着剤のいずれでもよい。接着剤は、溶剤型の接着剤でもよく、無溶剤型の接着剤でもよい。溶剤型の接着剤としては、例えば、ゴム系接着剤、ビニル系接着剤、オレフィン系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤及びウレタン系接着剤が挙げられる。無溶剤型の接着剤としては、例えば、ポリエーテル系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤及びウレタン系接着剤が挙げられる。これらの中でも、ウレタン系接着剤が好ましく、2液硬化型のウレタン系接着剤がより好ましい。
接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法及びトランスファーロールコート法が挙げられる。
本開示の積層体において、上記接着剤により構成される接着剤層の厚さは、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは0.2μm以上8μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上6μm以下である。
本開示の積層体は、基材とシーラント層としての積層フィルムとを、基材同士を、基材と金属箔とを、又は金属箔と積層フィルムとを、上記接着剤を用いたラミネート法により貼り合わせて製造でき、例えば、溶剤型の接着剤を用いたドライラミネート法により貼り合わせて製造してもよく、無溶剤型の接着剤を用いたノンソルベントラミネート法により貼り合わせて製造してもよい。
<アンカーコート層>
本開示の積層体は、接着層として押出樹脂層を備える場合に、基材又は金属箔と押出樹脂層との間に、アンカーコート層をさらに備えてもよい。これにより、例えば、積層体における層間密着性を向上できる。アンカーコート層は、例えば、アンカーコート剤により形成される。この実施形態では、押出樹脂層は、アンカーコート層に接している。
アンカーコート剤としては、例えば、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリエチレンイミン系又はエポキシ樹脂系のアンカーコート剤が挙げられる。アンカーコート剤は、一実施形態において、2液硬化型樹脂であり、例えば、主剤のポリオールと硬化剤のポリイソシアネートとからなる。
ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及び(メタ)アクリルポリオールが挙げられる。ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、並びにヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。
アンカーコート層は、一実施形態において、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られるポリウレタンからなる。ポリウレタンとしては、具体的には、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン及びポリ(メタ)アクリルポリウレタンが挙げられる。
アンカーコート層は、例えば、基材又は金属箔にアンカーコート剤を塗布することにより形成できる。アンカーコート剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法及びキスコート法等のコート法、又は印刷法によって塗布できる。
アンカーコート層の厚さは、好ましくは0.05μm以上3.0μm以下、より好ましくは0.1μm以上2.0μm以下、さらに好ましくは0.2μm以上1.0μm以下である。
<シーラント層>
本開示の積層体は、シーラント層を備える。シーラント層は、例えば、上述した本開示の積層フィルムである。積層フィルムについてはすでに詳細に説明しているため、本欄での記載は省略する。
<層構成>
本開示の積層体の層構成としては、例えば、
1.基材/接着層/シーラント層(積層フィルム)、
2.基材/接着層/金属箔/接着層/シーラント層(積層フィルム)、
3.基材/接着層/基材/接着層/シーラント層(積層フィルム)、
4.基材/接着層/基材/接着層/金属箔/接着層/シーラント層(積層フィルム)、
5.基材/接着層/金属箔/接着層/基材/接着層/シーラント層(積層フィルム)、
が挙げられる。「/」は層間を示す。
上記層構成の例における基材は、樹脂フィルムでもよく、紙基材でもよく、蒸着フィルムでもよい。上記層構成の例における接着層は、押出樹脂層でもよく、接着剤層でもよい。基材の一方の面には、意匠層が設けられていてもよい。接着層が押出樹脂層である場合は、押出樹脂層と基材又は金属箔との間に、アンカーコート層を設けてもよい。
本開示の積層体のヘイズは、一実施形態において、15%以下でもよく、13%以下でもよく、12%以下でもよい。ヘイズの下限値は特に限定されないが、例えば1%でもよい。これにより、積層体の透明性を向上できる。積層体のヘイズは、JIS K7136に準拠して測定される。
[用途]
本開示の積層体は、包装容器を構成する包装材料として好適に使用できる。上記積層体における第2のポリエチレン層が、包装容器の内表面(包装容器内の内容物が接触する面)を構成する。第2のポリエチレン層は、静電気等の瞬時に発生する帯電に対して、また低湿度環境でも、高い帯電防止性を有する。
包装容器は、本開示の積層体を備える。包装容器としては、例えば、包装袋、チューブ容器、及び蓋付き容器が挙げられる。蓋付き容器は、収容部を有する容器本体と、収容部を封止するように容器本体に接合(ヒートシール)された蓋材とを備える。
包装容器は、通常、ヒートシールされた箇所(ヒートシール部)を有する。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール及び超音波シールが挙げられる。
包装袋としては、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型及びガゼット型などの種々の形態の包装袋が挙げられる。
包装袋は、易開封部を備えてもよい。易開封部としては、例えば、包装袋の引き裂きの起点となるノッチ部や、包装袋を引き裂く際の経路として、レーザー加工やカッターなどにより形成されたハーフカット線が挙げられる。
一実施形態において、本開示の積層体を、基材が外側、シーラント層が内側に位置するように二つ折にして重ね合わせて、その端部等をヒートシールすることにより、包装袋を作製できる。他の実施形態において、複数の本開示の積層体をシーラント層同士が対向するように重ね合わせて、その端部等をヒートシールすることにより、包装袋を作製できる。包装袋の全部が上記積層体で構成されてもよく、包装袋の一部が上記積層体で構成されてもよい。
一実施形態において、蓋付き容器における蓋材として、本開示の積層体が用いられる。
包装容器中に収容される内容物としては、例えば、液体、固体、粉体及びゲル体が挙げられる。内容物は、飲食品でもよく、化学品、化粧品及び医薬品等の非飲食品でもよい。本開示の包装容器は、優れた帯電防止性を有することから、例えば、粉末食品(例えば、ふりかけ、唐揚げ粉)、粉薬、粉末飲料(例えば、コーヒー、紅茶)等の粉体が好適である。包装容器中に内容物を収容した後、包装容器の開口部をヒートシールすることにより、包装容器を密封できる。
上記内容物としては、例えば、集積回路(IC)、コンデンサ及び半導体素子等の電子部品や、精密機械部品でもよい。すなわち包装容器は、電子部品収容容器や精密機械部品収容容器でもよい。近年、電子部品の小型化及び高機能化が進み、電子部品の保管中や輸送中でのわずかな静電気に起因する電子部品の破壊が問題となっている。本開示の積層体は、上述したように優れた帯電防止性を有することから、電子部品収容容器を構成する包装材料として好適である。電子部品収容容器は、例えば、真空圧空成形法、真空成形法、圧空成形法、及びプラグアシスト成形等の種々の成形方法により、製造できる。
包装袋の具体例として、以下、小袋及びスタンディングパウチについて説明する。
小袋は、小型の包装袋であって、例えば1g以上200g以下の内容物を収容するために使用される。小袋中に収容される内容物としては、例えば、粉末食品(例えば、ふりかけ、唐揚げ粉)、粉薬、粉末飲料(例えば、コーヒー、紅茶)等の粉体;ソース、醤油、ドレッシング、ケチャップ、シロップ、料理用酒類、他の液体又は粘稠体の調味料;液体スープ、粉末スープ、果汁類;香辛料;液体飲料、ゼリー状飲料、インスタント食品、他の飲食品が挙げられる。
スタンディングパウチは、例えば50g以上2000g以下の内容物を収容するために使用される。スタンディングパウチ中に収容される内容物としては、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、ハンドソープ、ボディソープ、芳香剤、消臭剤、脱臭剤、防虫剤、洗剤;ドレッシング、食用油、マヨネーズ、他の液体又は粘稠体の調味料;液体飲料、ゼリー状飲料、インスタント食品、他の飲食品;クリームが挙げられる。
図7は、本開示の包装袋の一実施形態を示す正面図である。以下、図7を参照して、包装袋の一例を説明する。図7の包装袋50は、内容物を収容する収容部50aを備える。包装袋50は、上部51、下部52及び側部53を含み、正面図において略矩形状の輪郭を有する。なお、「上部」、「下部」及び「側部」等の名称、並びに、「上方」、「下方」等の用語は、包装袋50やその構成要素の位置や方向を相対的に表したものに過ぎない。包装袋50の輸送時や使用時の姿勢等は、本明細書における名称や用語によっては限定されない。
図7に示すように、包装袋50は、表面を構成する表面シート54及び裏面を構成する裏面シート55を備える。図7に示す包装袋50において、表面シート54及び裏面シート55は、1枚の積層体により形成されている。このとき、積層体は、シーラント層が包装袋50の内側に位置するように下部52で折り返されている。図示はしないが、包装袋50において、表面シート54及び裏面シート55は、それぞれ、1枚ずつの積層体により形成されていてもよい。この場合、包装袋50は、包装袋50の4方向の縁に沿って延びるシール部を有する。
表面シート54及び裏面シート55は、内面同士がシール部によって接合されている。図7に示す包装袋50の正面図においては、シール部にハッチングが施されている。
図7に示すように、包装袋50は、包装袋50の3方向の縁に沿って延びるシール部を有する。該シール部は、上部51に沿って延びる上部シール部51aと、一対の側部53に沿って延びる一対の側部シール部53aとを含む。内容物が充填される前の状態(内容物が充填されていない状態)の包装袋50においては、包装袋50の上部51には開口部(図示せず)が形成されている。そして、包装袋50に内容物を収容した後、表面シート54の内面と裏面シート55の内面とを上部51において接合することにより、上部シール部51aが形成されて包装袋50が封止される。
上部シール部51a及び側部シール部53aは、表面シート54の内面と裏面シート55の内面とを接合することによって構成されるシール部である。
対向するシート54,55同士を接合して包装袋50を封止することができる限りにおいて、シール部を形成するための方法が特に限られることはない。例えば、加熱等によってシートの内面を溶融させ、内面同士を融着させることによって、すなわちヒートシールによって、シール部を形成する。
本開示は、例えば以下の[1]~[10]に関する。
[1]第1のポリエチレン層と、第2のポリエチレン層とを少なくとも備える積層フィルムであって、第2のポリエチレン層が、主成分としてのポリエチレンと、ドナー・アクセプター型帯電防止剤とを含有し、積層フィルムが、バイオマス由来のポリエチレンを含有する、積層フィルム。
[2]ドナー・アクセプター型帯電防止剤が、ドナー成分としての半極性有機ホウ素化合物と、アクセプター成分としての塩基性窒素化合物とを含有する、上記[1]に記載の積層フィルム。
[3]第2のポリエチレン層におけるドナー・アクセプター型帯電防止剤の含有割合が、0.01質量%以上5.0質量%以下である、上記[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4]第1のポリエチレン層が、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種のポリエチレンを含有し、第2のポリエチレン層が、ポリエチレンとして、直鎖状低密度ポリエチレン及び高圧法低密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種のポリエチレンを含有する、上記[1]~[3]のいずれかに記載の積層フィルム。
[5]JIS K7136に準拠して測定されるヘイズが、15%以下である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の積層フィルム。
[6]帯電防止フィルムである、上記[1]~[5]のいずれかに記載の積層フィルム。
[7]第2のポリエチレン層側表面の帯電圧減衰試験により測定される半減期が、10秒以下であり、第2のポリエチレン層側表面の表面固有抵抗率が、1.0×108Ω/□以上9.0×1011Ω/□以下である、上記[6]に記載の積層フィルム。
[8]シーラントフィルムである、上記[1]~[7]のいずれかに記載の積層フィルム。
[9]基材とシーラント層とを少なくとも備える積層体であって、シーラント層が、第1のポリエチレン層と、第2のポリエチレン層とを少なくとも備え、第2のポリエチレン層が、主成分としてのポリエチレンと、ドナー・アクセプター型帯電防止剤とを含有し、第2のポリエチレン層が、積層体の一方の表層を構成し、シーラント層が、バイオマス由来のポリエチレンを含有する、積層体。
[10]上記[9]に記載の積層体を備える包装容器。
本開示の積層フィルム及び積層体について実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本開示の積層フィルム及び積層体は実施例によって何ら限定されない。
[物性評価]
以下の例で得られた積層フィルム及び積層体の物性評価方法を以下に記載する。
<表面固有抵抗率>
積層フィルム及び積層体を温度23℃、相対湿度50%RH環境下に24時間静置した。その後、JIS K6911:1995に準拠して表面固有抵抗率測定を行った。具体的には、抵抗率計(商品名:ハイレスタ-UX MCP-HT800、日東精工アナリテック製)を用いて、印加電圧1,000Vの条件で、積層フィルム及び積層体のシール層面についての表面固有抵抗率(Ω/□)を測定した。表面固有抵抗率の測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%RHとした。
<半減期(帯電圧減衰試験)>
積層フィルム及び積層体を温度23℃、相対湿度50%RH環境下に24時間静置した。その後、JIS L1094:2014に準拠して帯電圧減衰測定を行った。具体的には、帯電電荷減衰測定器(商品名:STATIC HONESTMETER H-0110-S4A、シシド静電気製)を用いて、積層フィルム及び積層体のシール層面について、10kVの電圧を30秒間印加して、電圧印加後、初期帯電圧が1/2となるまでの時間(秒)を測定した。耐電圧減衰試験時の環境は、温度23℃、相対湿度50%RHとした。
<ヘイズ>
積層フィルム及び積層体をそれぞれカットして、21mm角の試験片を作製した。試験片のヘイズを、JIS K7136に準拠して、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、商品名:ヘイズメーター HM-150N、D65光源)を用いて測定した。
<引張破断強度及び引張破断伸度>
積層フィルムの引張破断強度及び引張破断伸度を、JIS Z1702:1994に準拠して、積層フィルムのMD方向及びTD方向について測定した。測定器は、テンシロン万能材料試験機(オリエンテック製、商品名:RTC-1530)を用いた。試験片としては、積層フィルムをダンベル状に切り出したものを用いた。試験片の測定幅は5mmであり、試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は80mmであり、引張速度は300mm/minである。引張破断強度及び引張破断伸度の測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%RHとした。
<突き刺し強度>
積層フィルムにおける突き刺し強度をJIS Z1707:2019に準拠して測定した。測定器は株式会社エーアンドディー社製 卓上型引張圧縮試験機 MCT1150を使用した。フィルムを5cm角にカットし、直径1.0mm,先端形状半径0.5mmの半円形の針を試験速度50mm/minで突き刺し,針が貫通するまでの最大力(N)を測定した。測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%RHとした。
<インパクト強度>
積層フィルムにおけるインパクト強度を、ASTM D3420に準拠して測定した。測定器は、テスター産業製のフィルムインパクトテスター BU-302を使用した。具体的には、まず、図8に示すように、試験片80をリング状の治具81,82で挟んで固定した。次いで、図9に示すように、固定された試験片80を設置し、支点部83を軸にして腕部84を振り下ろし、腕部84の先端の円錐状圧子85により試験片80を突き破り、突き破った際の強度を測定した。なお、圧子105の直径は約1インチ(約25.4mm)、荷重は約30kg・cm、腕部の持ち上げ角度は約90°とした。インパクト強度の測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%RHとした。
<加工性>
積層フィルムの加工性を以下の基準で評価した。
・〇:加工性が良好であった。
・×:加工性が充分ではなかった。
<TOC溶出量>
積層フィルムをシーラント層として用いて面積44×15cm2のサイズのパウチを作製し、該パウチに65℃の蒸留水1Lを充填し、35℃の温度で336時間静置した後、該パウチ内の水を全有機体炭素自動分析装置(TOC200S、東レエンジニアリング)で測定した。
<アウトガス>
積層フィルムを5cm×5cmの大きさに切断した試験片8枚をバイアル瓶に封入し、HS温度120℃、Loop温度:140℃、TR-LINE温度:140℃で処理し、ヘッドスペースの空気を1ml導入し、320℃まで昇温し、5分保持した際の成分をヘッドスペースガスクトマトグラフ(HS-GC)にて測定した。
測定装置:Agilent6890にて実施
キャリアガス:He
<シール強度>
積層体を2枚準備した。2枚の積層体のシーラント層(積層フィルム)同士を重ね合わせ、温度120℃、130℃、140℃又は150℃、圧着時間1秒、圧力1kgf/cm2の条件でヒートシールして、シール部を形成した。続いて、シール部を含む部分を切り出して、シール強度を測定するための幅15mm、長さ100mmの試験片を作製した。シール部の長さは、15mmであった。JIS Z1707:2019に準拠して、試験速度300mm/min、T形剥離の条件で、シール強度を測定した。測定器として、テンシロン万能材料試験機(オリエンテック製、商品名:RTC-1530)を使用した。シール強度の測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%RHとした。
[積層フィルム(シーラントフィルム)の作製]
以下の例で用いた成分を示す。
・LLDPE(1)
直鎖状低密度ポリエチレン、プライムポリマー製、商品名:UZ2021L、
密度:0.919g/cm3、融点:120℃、MFR:2.0g/10分
・LLDPE(2)
直鎖状低密度ポリエチレン、Dowchemical製、
商品名:ELITE5400G、
密度:0.916g/cm3、融点:123℃、MFR:1.0g/10分
・bio-LLDPE
植物由来直鎖状低密度ポリエチレン、Braskem製、商品名:SLL118、
密度:0.916g/cm3、MFR:1.0g/10分
・帯電防止剤MB(1)
帯電防止剤含有マスターバッチ、
ボロン研究所製、商品名:ビオミセル BN-105、
帯電防止剤含有量:10質量%、ベース材料:低密度ポリエチレン(LDPE)
・帯電防止剤MB(2)
帯電防止剤含有マスターバッチ、
ボロン研究所製、商品名:ビオミセル BN-77、
帯電防止剤含有量:10質量%、ベース材料:低密度ポリエチレン(LDPE)
・帯電防止剤(3)
高分子型帯電防止剤、三洋化成工業製、商品名:ペレクトロン PVL、
ポリオレフィン/ポリエーテル共重合体、融点:135℃、MFR:15g/10分
・帯電防止剤(4)
高分子型帯電防止剤、
三井・ダウ ポリケミカル製、商品名:エンティラ SD100、
アイオノマー樹脂、密度:0.990g/cm3、MFR:5g/10分
・帯電防止剤MB(5)
帯電防止剤(界面活性剤)含有マスターバッチ、
竹本油脂製、商品名:エレカットマスター LM530、
密度:0.920g/cm3、MFR:2.1g/10分、
ベース材料:低密度ポリエチレン、
帯電防止剤含有量:18質量%
[実施例1-1]
ラミネート層としてLLDPE(1)と、中間層としてbio-LLDPEと、シール層としてLLDPE(2)97質量%及び帯電防止剤MB(1)3質量%の混合物とをインフレーション成形法により共押出製膜した。これにより、厚さ10μmのラミネート層と、厚さ30μmの中間層と、厚さ10μmのシール層とを順に備える、厚さ50μmの積層フィルムを得た。バイオマス度は52.2%であった。積層フィルムのラミネート層面に、濡れ指数が48dynとなるようにコロナ処理を施した。この積層フィルムを以下「積層フィルム(A1)」ともいう。
[実施例1-2~1-4、比較例1-1~1-3]
シール層における配合成分の種類及び含有割合を表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1-1と同様にして、積層フィルムを作製した。表1中、各層における各成分の数値は含有割合(質量%)を示す。
Figure 2023121071000007
[積層体の作製]
[実施例2-1]
片面がコロナ処理された2軸延伸PETフィルム(東洋紡製、T4100、厚さ12μm)と、アルミニウム箔(東洋アルミニウム製、JIS合金番号A8079、厚さ7μm)と、積層フィルム(A1)とを準備した。
2軸延伸PETフィルムのコロナ処理面に2液硬化型アンカーコート剤(ポリウレタン系接着剤、A3210/A3075、三井化学製)を乾燥厚さ0.3μmで塗布し、該塗布面とアルミニウム箔とを、300℃で溶融させた低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン製、LC602A、密度:0.919g/cm3、融点:107℃、MFR:8.2g/10分、LDPE)の押出樹脂層(厚さ15μm)を介して貼り合わせた。次いで、アルミニウム箔の非ラミネート面に上記2液硬化型アンカーコート剤(A3210/A3075)を乾燥厚さ0.3μmで塗布し、該塗布面と積層フィルム(A1)のコロナ処理面とを、300℃で溶融させた上記低密度ポリエチレン(LC602A)の押出樹脂層(厚さ15μm)を介して貼り合わせた。
以上のようにして、厚さ12μmの2軸延伸PETフィルムと、厚さ0.3μmのアンカーコート層と、厚さ15μmのLDPE層と、厚さ7μmのアルミニウム箔と、厚さ0.3μmのアンカーコート層と、厚さ15μmのLDPE層と、シーラント層として厚さ50μmの積層フィルム(A1)とを備える積層体を得た。積層体のバイオマス度は26%であった。
[実施例2-2~2-4、比較例2-1~2-3]
積層フィルム(A1)を表2に記載した積層フィルムに変更したこと以外は実施例2-1と同様にして、積層体を作製した。
[実施例3-1]
アルミナ蒸着され、蒸着層上にバリアコート層が形成された2軸延伸PETフィルム(以下「透明蒸着PETフィルム」ともいう;厚さ12μm)と、両面がコロナ処理された2軸延伸PETフィルム(東洋紡製、E5200、厚さ12μm)と、積層フィルム(A1)とを準備した。
透明蒸着PETフィルムのバリアコート層面と2軸延伸PETフィルムとを、2液硬化型ウレタン系接着剤(RU-77T/H-7、ロックペイント製)により構成される厚さ3μmの接着剤層を介して貼り合わせた。次いで、2軸延伸PETフィルムの非ラミネート面と、積層フィルム(A1)のコロナ処理面とを、上記2液硬化型ウレタン系接着剤(RU-77T/H-7)により構成される厚さ3μmの接着剤層を介して貼り合わせた。
以上のようにして、厚さ12μmの透明蒸着PETフィルムと、厚さ3μmの接着剤層と、厚さ12μmの2軸延伸PETフィルムと、厚さ3μmの接着剤層と、シーラント層として厚さ50μmの積層フィルム(A1)とを備える積層体を得た。積層体のバイオマス度は33%であった。
[実施例3-2~3-4、比較例3-1~3-3]
積層フィルム(A1)を表3に記載した積層フィルムに変更したこと以外は実施例3-1と同様にして、積層体を作製した。
Figure 2023121071000008
Figure 2023121071000009
10…積層フィルム
12…第1のポリエチレン層
14…第2のポリエチレン層
16…中間層
20…基材
22…樹脂フィルム
24…蒸着膜
30…接着層(押出樹脂層又は接着剤層)
32…アンカーコート層
40…金属箔
100…積層体

Claims (10)

  1. 第1のポリエチレン層と、
    第2のポリエチレン層と
    を少なくとも備える積層フィルムであって、
    前記第2のポリエチレン層が、
    主成分としてのポリエチレンと、
    ドナー・アクセプター型帯電防止剤と
    を含有し、
    前記積層フィルムが、バイオマス由来のポリエチレンを含有する、
    積層フィルム。
  2. 前記ドナー・アクセプター型帯電防止剤が、ドナー成分としての半極性有機ホウ素化合物と、アクセプター成分としての塩基性窒素化合物とを含有する、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記第2のポリエチレン層における前記ドナー・アクセプター型帯電防止剤の含有割合が、0.01質量%以上5.0質量%以下である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 前記第1のポリエチレン層が、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種のポリエチレンを含有し、
    前記第2のポリエチレン層が、前記ポリエチレンとして、直鎖状低密度ポリエチレン及び高圧法低密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種のポリエチレンを含有する、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  5. JIS K7136に準拠して測定されるヘイズが、15%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  6. 帯電防止フィルムである、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  7. 前記第2のポリエチレン層側表面の帯電圧減衰試験により測定される半減期が、10秒以下であり、前記第2のポリエチレン層側表面の表面固有抵抗率が、1.0×108Ω/□以上9.0×1011Ω/□以下である、請求項6に記載の積層フィルム。
  8. シーラントフィルムである、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  9. 基材とシーラント層とを少なくとも備える積層体であって、
    前記シーラント層が、
    第1のポリエチレン層と、
    第2のポリエチレン層と
    を少なくとも備え、
    前記第2のポリエチレン層が、
    主成分としてのポリエチレンと、
    ドナー・アクセプター型帯電防止剤と
    を含有し、
    前記第2のポリエチレン層が、前記積層体の一方の表層を構成し、
    前記シーラント層が、バイオマス由来のポリエチレンを含有する、
    積層体。
  10. 請求項9に記載の積層体を備える包装容器。
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