JP2023117915A - インクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、実際に印字された状態に基づき印字時間経過に伴うインクの状態変化を自動的に検知する機能を有するインクジェットプリンタを提供する。【解決手段】インク粒子に印字文字に対応した電荷量を付与するための帯電電極、該帯電電極を通過したインク粒子に電荷量に応じた偏向を生じさせる偏向電極、および印字に使用しない非帯電インク粒子を捕集するガターを含む印字ヘッドと、印字文字情報に対応した文字パターンに基づき帯電電圧を前記帯電電極に供給する制御部と、印字対象物に印字した結果を画像として取り込み、印字状態を検査する検査装置とを設ける。そして、検査装置は、印字文字毎に決定された注目ドットにおけるドット位置と注目ドットの目標位置とのドット位置偏差を演算し、演算したドット位置偏差を時系列に記憶し、記憶された前記ドット位置偏差に基づいて使用中のインクのインク状態を判断する。【選択図】図3
Description
本発明は、インクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタの制御方法に関するものである。
産業用のインクジェットプリンタは、インクを粒子化させ、このインク粒子に印字文字に対応した帯電量を与え、さらに帯電量に応じた偏向を与えてインク粒子を印字対象物(製品など)に飛翔させて印字するようになっている。このようなインクジェットプリンタでは、印字文字を構成する印字パターンに対応してインク粒子に電荷を与える(帯電させる)場合に、飛翔中のインク粒子間で発生するクーロン力の変動により印字対象物に着液したインク粒子の着液位置ずれが生じて印字品質が低下することが知られている。この印字品質の低下を防ぐために、以前よりいろいろな技術が提案されている。例えば、特開2005-35210号公報(特許文献1)には、このような問題を解決するための一つの技術を開示している。
この特許文献1には、「着弾可能インク粒子のうちの帯電させる帯電対象インク粒子を噴射する直前までに噴射され、前記帯電対象インク粒子から設定基準個数内の着弾可能インク粒子のうちから、帯電される着弾可能インク粒子Aの個数aと、帯電対象インク粒子およびこの帯電対象インク粒子の直前で帯電される着弾可能インク粒子Aとの間に存在する帯電されない非帯電の着弾可能インク粒子Bの個数bとを、記憶手段に記憶された印刷情報から読み取り、帯電対象インク粒子の帯電情報を記憶手段に予め記憶された前記個数aおよび個数bに対応した補正データに基づいて帯電量を補正する帯電量補正手段を備えている」ことが記載されている。
上記した特許文献1の技術によれば、記憶していた印刷情報から帯電インク粒子の個数、および非帯電インク粒子の個数に対応して記憶していた補正データに基づいて帯電量を補正するので、高品質の印字を得ることができる。
しかしながら、当初は高品質の印字が実現されていた場合であっても、インクジェットプリンタの稼働時間が増えるにつれて、使用中のインクへの異物混入やインク自体の経時的な劣化などによりインクの状態が変化して帯電率の変化が生じ、また装置へのインク飛沫の付着などにより安定して高品質の印字を維持することができなくなる場合がある。このような長期間の稼働に伴う印字品質の低下への対策としては、インクの変色や所定時間以上使用したインクか否かを定期的に保守員が確認し、インクを交換するなどの方法が採られてきた。しかし、保守員による保守点検ではインクの劣化状態を正確に検知することは難しく、また定期的に保守点検作業を行なうことも大変である。
そこで、本発明の目的は、実際に印字された状態に基づき印字時間経過に伴うインクの状態変化を自動的に検知することができるインクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタ制御御方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、その一例を挙げると、インクを粒子化してインク粒子を噴出させるインクノズル、該インク粒子に印字文字に対応した電荷量を付与する帯電電極、該帯電電極を通過した該インク粒子に該電荷量に応じた偏向を生じさせ印字対象物に向けて飛翔させる偏向電極、および印字に使用しない非帯電インク粒子を捕集するガターを含む印字ヘッドと、印字文字情報を記憶し、該印字文字情報に対応した文字パターンに基づき前記電荷量を付与するための帯電電圧を演算し前記帯電電極を制御する制御部と、を備えたインクジェットプリンタであって、前記印字対象物に印字した結果を画像として取り込み、該画像を用いて印字状態を検査する検査装置を設け、前記検査装置は、印字文字毎に決定された注目ドットの印字されたドット位置と前記注目ドットの目標位置とのドット位置偏差を演算し、前記ドット位置偏差を時系列に記憶し、記憶された前記ドット位置偏差に基づいて前記インクのインク状態を判断するインクジェットプリンタである。
また、本発明の他の例を挙げると、インクを粒子化してインク粒子を噴出させるインクノズル、該インク粒子に印字文字に対応した電荷量を付与する帯電電極、該帯電電極を通過した該インク粒子に該電荷量に応じた偏向を生じさせ印字対象物に向けて飛翔させる偏向電極、および印字に使用しない非帯電インク粒子を捕集するガターを含む印字ヘッドと、印字文字情報を記憶し、該印字文字情報に対応した文字パターンに基づき前記電荷量を付与するための帯電電圧を演算し前記帯電電極を制御するインクジェットプリンタの制御方法であって、前記印字対象物に印字した結果を画像として取り込み、該画像から印字文字毎に決定された注目ドットにおけるドット位置を求め、該ドット位置と前記注目ドットにおける目標ドット位置との偏差であるドット位置偏差を演算し、前記ドット位置偏差を時系列に記憶し、記憶された前記ドット位置偏差に基づいて前記インクのインク状態を判断するインクジェットプリンタの制御方法である。
本発明によれば、使用中のインクの状態を実際の印字状態から推定判断することを可能としたインクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタの制御方法を提供することができる。
以下、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の技術思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その構成を変更しうることは当業者であれば容易に理解される。また、以下に説明する実施例の構成において、同一機器又は同様の機能を有する部分には同一の符号を図面間で共通して用い、重複する説明を省略することがある。また、図面に示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表してはいない。それ故、本発明は、図面に開示された構成機器の位置、大きさ、形状、範囲などに限定されるものではない。
≪実施例1≫
最初に、本発明の実施例1について図1~図6を用いて説明する。図1は、インクジェットプリンタ全体の外観図である。図2は、インクジェットプリンタの概略構成を示す図である。図3は、本発明の実施例1におけるインクジェットプリンタ全体のシステム構成を示す図である。図4は、注目ドット決定のための動作フローチャートの例である。図5は実施例1における主要機能を示す図である。図6は、インク状態を判断するためのバラツキの統計情報の例である。
最初に、本発明の実施例1について図1~図6を用いて説明する。図1は、インクジェットプリンタ全体の外観図である。図2は、インクジェットプリンタの概略構成を示す図である。図3は、本発明の実施例1におけるインクジェットプリンタ全体のシステム構成を示す図である。図4は、注目ドット決定のための動作フローチャートの例である。図5は実施例1における主要機能を示す図である。図6は、インク状態を判断するためのバラツキの統計情報の例である。
まず、図1および図2により、本発明の実施例1におけるインクジェットプリンタの概略構成と印字制御について説明する。
図1において、インクジェットプリンタは、インクの供給を受けて印字を行う印字ヘッド2と、印字用のインクを印字ヘッド2に送給しかつ印字に使用しなかったインクを印字ヘッド2から回収する装置本体1を備えている。ケーブル5は、装置本体1と印字ヘッド2との間を接続する。また、装置本体1は、内部に制御部3を備えている。この制御部3は、装置本体1のインク供給制御、印字ヘッド2の印字制御(帯電制御)などを実行する。操作・表示部4は、装置本体1の前面部に配備され、印字に関する情報を表示し、また印字文字等の情報を制御部3に入力する機能を有する。操作・表示部4には、タッチパネルなどが使用される。
印字ヘッド2は、ベルトコンベアなどの搬送装置6上を移動する製品などの印字対象物10に所定(予め制御部3内に記憶している印字データ)の印字を行う。図の矢印は印字対象物10の移動方向を示している。印字対象物10が印字位置に到達すると、制御部3は、印字ヘッド2を制御し、印字ヘッド2が印字対象物10に対する印字を実施する。
次に、図2により、インクジェットプリンタの印字原理について説明する。図2において、図1と同じ符号の機器は同じ機器を示す。まず、装置本体1は、インクaを貯留(保有)するインク容器11と、インクaを印字ヘッド2に供給するためのインク供給ポンプ12と、印字に使用しなかったインクをインク容器11に回収するためのインク回収ポンプ13とを備えている。
印字ヘッド2は、装置本体1から送給されたインクを粒子化して噴出するためのインクノズル21を備える。インクノズル21は、振動子(圧電素子)を備えており、その圧電素子に周期的な電圧を加えることで、インクノズル21内のインクを励振させる。これにより、インクノズル21からインクがインク柱bとして吐出され、インク粒子となって噴出される。また、印字ヘッド2は、通過中のインク粒子に対し印字内容に対応した電荷を与える帯電電極22と、帯電後のインク粒子cに対し帯電量に応じた偏向を生じさせて印字対象物10に向け飛翔させる偏向電極23と、印字に使用しないインク粒子dを回収するためのガター24とを備えている。
偏向電極23は、正電極と負電極間に静電場を発生させ、通過するインク粒子を偏向させる。これにより、印字に使用される帯電インク粒子cは、印字対象物10に向けて飛翔して着弾(着液)し、印字を実行する。一方、印字に使用されない無帯電インク粒子dは、偏向電極23内を直進しガター24で捕集される。ガター24が捕集したインクは、インク回収ポンプ13により、インク容器11内に回収される。回収されたインクは印字に再使用される。
制御部3は、印字ヘッド2の帯電電極22に帯電電圧を供給し印字制御(帯電制御)を行なう機能と、装置本体1内のポンプ等の駆動制御を実施する本体制御機能とを有する。以下では、印字ヘッド2における印字制御と、印字された結果(印字結果)を入力してインクの状態判断を実行する構成および動作を中心に説明する。
次に、図3を用いて、印字結果に基づきインクの状態を判断する機能を有する本発明の実施例1の構成及び動作を説明する。
まず、図3において、図1、図2と同じ符号(番号)の機器は、図1、図2と同様の機器を示す。したがって、すでに説明した機器についての動作説明は省略する場合がある。また、本発明の実施例1における制御部3および検査装置7は、計算機の機能を有するハードウェアにより実現することができるが、ここでは実施例1の理解を容易にするために、制御部及び検査装置の内部構成をブロック図で表示して説明する。
まず、図3において、図1、図2と同じ符号(番号)の機器は、図1、図2と同様の機器を示す。したがって、すでに説明した機器についての動作説明は省略する場合がある。また、本発明の実施例1における制御部3および検査装置7は、計算機の機能を有するハードウェアにより実現することができるが、ここでは実施例1の理解を容易にするために、制御部及び検査装置の内部構成をブロック図で表示して説明する。
図3において、制御部3は、印字対象物10に印字する内容(印字データ)を操作・表示部4から入力し、図示しない内部のメモリに記憶する。制御部3の注目ドット決定部32は、このメモリに記憶された印字データ31に基づき、注目ドットを決定する。
ここで、「注目ドット」とは、印字文字を構成するM行×N列の印字ドットの内のいずれかのドットから選ばれたドットである。注目ドットは、基本的に文字ごとに1個で良いが、複数でも良い。以下の説明では、注目ドットの数は、文字ごとに1個決定するものとして説明する。この実施例1における注目ドットは、後述するように飛翔中のインク粒子に作用するクーロン力の影響が少ないドットを選択しているが、本発明はこれに限るものではなく、任意のドットを注目ドットとして選定することができる。また、実施例1では、印字データを取り込んで注目ドットをオンライン的に決定する構成にしているが、印字データ(印字する文字)が決まったら、それらの各文字に対して、予め定めていたドットを注目ドットとして決定(選定)しても良い。
図3において、制御部3の帯電電圧制御部33は、印字を構成する各ドットに対するインク粒子への帯電量を制御するために設けられるものであり、飛翔中のインク粒子に付与する帯電電圧を帯電電極22に供給する。また、ドット共有部34は、注目ドット決定部32により決定された注目ドットの情報を検査装置7と共有するために設けられる。また、補正情報入力部35は、検査装置7が求めた補正情報(帯電制御補正値)を入力するために設けられる。帯電電圧制御部33は、この補正情報に基づいて、移動中のインク粒子に対し電荷を与えるための帯電電圧の補正制御を実行する。
検査装置7は、印字ヘッド2によって印字対象物10に印字された印字結果を画像として取り込み、この画像に基づいて印字状態を検査(印字状態の合否を判定)するために設けられるが、この実施例1ではさらにインクの状態を判断する機能および補正値演算機能とを有する。カメラ70は、搬送装置6で搬送される印字後の印字対象物10の画像を撮影し、検査装置7に画像として供給する。
検査装置7には画像処理部71が設けられており、カメラ70が撮影した画像を取り込み、画像処理により印字状態を出力する。画像処理部71は、印字ドット単位で印字状況を判断可能に処理する。なお、画像処理は、画像からノイズ等を除去し、画像の特徴抽出と画像認識を実行する処理であるが、これらはよく知られている事項であり、ここでは詳細な説明を省略する。
ドット位置偏差取得部72は、印字結果から画像処理部71による画像処理により得られた注目ドットのドット位置と、注目ドットの予定された印字位置(目標ドット位置)との印字位置偏差(ドット位置偏差)を求めるために設けられる。
補正情報演算部73は、このドット位置偏差取得部72のドット位置偏差により、その偏差をなくす(減少させる)ための補正情報(補正値)を演算する。
具体的には、補正値は、注目ドットの予定着弾座標(目標ドット位置)と取得されたドットの絶対位置の差から補正値を決定する。補正値の決定に際しては、相対座標の影響を考慮する。相対座標は文字全体のずれの補正に必要である。インクジェットプリンタでは印字対象物の位置ずれや検査装置の撮像タイミングのずれにより文字全体がずれている場合がある。この場合にも絶対値のずれが生じてしまうがこれはインクの劣化などが要因ではないため判定からこの影響を除外する。補正値は主に付加電圧値に対する補正等形で行う。インクの劣化により帯電率が低下すると想定の電荷を付加しても着弾位置が想定より低下してしまう。これを補正するためにインクに対しより多くの帯電電圧を付加する必要がある。
この演算された補正情報は、すでに説明したように、制御部3の補正情報入力部35を介して、帯電電圧制御部33に供給され、帯電電圧の補正制御に使用される。
さて、ドット位置偏差取得部72において得られた注目ドットにおけるドット位置偏差は、インク状態判断部74に供給される。インク状態判断部74では、入力された注目ドット位置におけるドット位置偏差を時系列に記憶するとともに、その記憶されたドット位置偏差に基づき、使用中のインクの状態を判断する。すなわち、使用中のインクの状態が、長期間の使用等により劣化が進み、インク交換すべき状態であるかどうかについて判断する。具体的には、この実施例1では、時系列に記憶した過去N回分のドット位置偏差を統計処理し、インク状態を判断する。例えば、バラツキが大きい場合にはインク劣化が進んでいると判断することにより、インク状態を判断する。
そして、インク状態判断部74による判断の結果、インク状態がインク交換を行なうべき状態にまで劣化していると判断した場合、あるいはインク交換をすべき状態に近づいていると判断した場合には、警告出力部75を介して、その警告情報を出力する。警告情報は、検査装置に設けた表示部(図示せず)に表示したり、図示しない監視センターなどに伝送するために外部に送信(出力)する。
次に、注目ドット決定部32における注目ドット決定の具体的な方法例について、図4を用いて説明する。なお、注目ドットの決定は、ここで説明する方法に限るものではない。
図4において、印字データ31が入力されると、ステップS01~S08の処理が行われ、各印字文字における注目ドットが決定される。ステップS01では、印字データの内の一つの文字を選択し、ステップS02では、その選択された文字を構成するドットの内のいずれかのドットを選択する。
ステップS03では、その選択されたドットのドット位置点数を求める。各印字文字を構成する各ドットに対し予め点数を決めておくことにより夫々のドットのドット位置点数を得ることができる。この点数の決め方は、例えば次のように行う。すなわち、印字ヘッドが上方のドット印字するためにはより大きな帯電電圧を与えてインク粒子の飛翔経路を大きく変更する必要がある。そのために上方のドットは外乱に弱く乱れやすい特徴を持つ。そのため、外乱の影響を排除し経年による変化のみを抽出するために、下方のドットをより注目ドットに選択されやすいアルゴリズムを使用する。具体的には、ドット位置点数を下方のドットの点数が高くなるように定める。例えば印字の高さ方向が10ドットであるなら、最上段から1点・・・10点となるように点数を定める。また各点数部で注目ドットに寄与する影響が等しくなるように、最後に規格化する。前例の場合であれば最後に10で割る処理を行う。
次に、ステップS04では、マージスキャッタの影響を考慮した点数を与える。マージスキャッタは、飛翔中のインク粒子同士のクーロン力の影響により飛翔経路が変化する現象である。印字するドットが縦方向に連続している場合、マージスキャッタによる影響を受けやすく、印字ドットの安定性が低下する。そこで、前後にドットが存在するドットに対して減点処理を実施する。理論上は飛翔中のすべてのインク粒子が相互に影響を与えるが、本実施例では前後3点のみを対象とする。直前直後にドットがある場合各-3点、その他1ドット離れる度に-2点、-1点と点数を加える。最後に規格化処理を実施する。
次に、ステップS05では、前の(先に印字した)印字文字における注目ドットとの相対位置をもとに点数を与える。注目ドットのずれを検出するために各注目ドットの相対位置情報が必要となる。その際に相対位置が大きいほど取得できる情報量が増えるため、相対位置の大きさにより加点を実施する。本実施例では相対位置が1ドット離れる度に1点の加算を実施する。最後に規格化を行う。
ステップS06では、ステップS01で選んだ文字を構成する全てのドットに対するステップS03~S05の処置が終了したか否かを判断し、まだ終了していないドットがある場合(NOの場合)にはステップS02に戻り、全てのドットの処理が終了するまで繰り返す。ステップS01で選んだ文字における全ドットの処理が終了した場合(YESの場合)は、ステップS07に進む。
ステップS07では、ステップS01で選択された文字の中の全ての各ドットの点数を合計し、その中で最も点数が高いドットを求め、この最も高い点数を有するドットをその文字における「注目ドット」として選定(決定)する。
ステップS08では、印字文字の全ての文字に対する注目ドットの選定が終了したかどうかを判断する。全ての文字に対する注目ドットの選定が終了していない場合(NOの場合)には、ステップS01に戻り、残りの文字を選択し、新たに選択された文字に対して、上述したステップS02~S07の処理を実行する。
そして、ステップS08において、全ての文字に対して、注目ドットの選定が終了したら、この動作を終了する。このようにして、各印字文字に対して、一個の注目ドットを選定することができる。
なお、図4では、印字文字を構成する各ドットに対するドット位置点数、マージスキャッタ点数、前文字相対位置点数をそれぞれ求め、それらの合計値を注目ドット決定に用いたが、その内の一部の点数を利用して注目ドットを決定しても良い。例えば、ドット位置点数とマージスキャッタ点数の合計でも良い。図3の注目ドット決定部32では、上述した方法により、印字する文字毎に1個の注目ドットを決定する。
次に、図3に示す検査装置7の主要な機能を図5により説明する。ドット位置偏差取得機能100は、図3のドット位置偏差取得部72の機能である。ドット位置偏差取得機能100により得られた注目ドットにおける位置偏差は、補正値を演算する補正情報決定機能110およびインク状態判断機能130に入力される。補正情報決定機能110は、補正値を決定し、補正制御機能120に出力する。補正制御機能120は、帯電制御における補正制御を実行する。インク状態判断機能130は、注目ドットにおけるドット位置偏差を時系列に記憶し、この記憶されたドット位置偏差のデータに基づき、使用中のインクの状態判定を行う。具体的には、例えば、過去N回のドット位置偏差のバラツキ度合を見て、インク状態を判断する。そして、このインク状態判断の結果、インク交換が必要と判断された場合には、その判断結果をインク交換警告機能140に与える。これにより、インク交換警告機能140が警告を行なう。
次に、図3のインク状態判断部74におけるインク状態判断方法の具体例について図6により説明する。この判断には時系列に記憶された過去の注目ドットにおけるドット位置偏差を用いて判断する。すなわち、時系列に記憶されたドット位置偏差を、例えば過去10回分を参照し、それらのドット位置偏差が閾値を超えた数を計数した場合に、インクを交換すべきと判断し、警告を発する。もちろん、インク状態判断には複数の方法が考えられ、この方法以外の方法でも良い。すなわち、時系列に記憶した注目ドットのドット位置偏差を用いて、公知の統計的手法によりインク劣化の判断を行なうことで実現できる。
以上説明したように、本発明の実施例1によれば、印字文字毎に注目ドットを決定し、印字対象物に実際に印字された文字から取り出された注目ドットのドット位置と目標ドット位置との偏差であるドット位置偏差を取得し、このドット位置偏差に基づき帯電制御のための補正値を求めて印字補正制御を行なうとともに、このドット位置偏差を時系列に記憶し、この記憶されたドット位置偏差に基づいてインクの劣化の状態を判断することができる。また、判断されたインク状態がインク交換が必要なレベルに達している場合(インク交換を必要とするレベルに近づいている場合も含む)には、インク交換を促すための警告を発することができる。これにより、インクの保守点検の作業を軽減することができる。
≪実施例2≫
次に、本発明の実施例2について、図7を用いて説明する。図7は、本発明の実施例2におけるインクジェットプリンタ全体のシステム構成を示す図である。
次に、本発明の実施例2について、図7を用いて説明する。図7は、本発明の実施例2におけるインクジェットプリンタ全体のシステム構成を示す図である。
まず、この実施例2と図3に示す実施例1とは基本的に同様の機能を有する内容であり、またその構成もほとんど同様である。そのため、実施例2においては、詳細な説明は省略し、実施例1との違いを中心に説明する。
実施例1の場合には検査装置7を設け、検査装置7が、注目ドットにおけるドット位置偏差を求め、補正値の演算、およびインク状態判断を行っていた。
これに対し、図7における実施例2では、検査装置7を設けず、検査装置7が行っていた演算処理の機能を、すべて制御部3内で行っている点が実施例1と異なる。
この本発明の実施例2においても、実施例1と同様の効果を有する。さらに、この実施例2では、検査装置が行っていた機能を、印字用の制御部3内において実行するので、全体の構成をコンパクトにすることが可能となる。
≪実施例3≫
次に、本発明の実施例3について、図8および図9を用いて説明する。図8は、本発明の実施例3におけるインクジェットプリンタ全体のシステム構成を示す図である。図9は、実施例3における注目ドットの決定方法を説明するフローチャートである。
次に、本発明の実施例3について、図8および図9を用いて説明する。図8は、本発明の実施例3におけるインクジェットプリンタ全体のシステム構成を示す図である。図9は、実施例3における注目ドットの決定方法を説明するフローチャートである。
まず、図8に示す実施例3の構成は、実施例1(図3)とほぼ同様であるが、一部において異なる。図8を構成する各機器に付した符号(番号)と、図3における各機器に付した符号(番号)とが同じ場合には、それらは同一機能を有する機器である。したがって、それらの各機器についての詳細な説明は省略する。同様に、図9に示す注目ドット決定のフローチャートにおいて、図4の場合と同様の処理動作に関して同一の符号を付し、その説明を省略する。以下、実施例3では、実施例1との違いを中心に説明する。
この実施例3では、印字が比較的安定している場合にも注目ドットにおけるドット位置偏差により印字品質の低下を発見・補正可能にするようにしている。すなわち、実施例1においては、注目ドットの選定に際し、外乱に影響されにくい安定したドットを選定した。しかし、例えば印字の速度が低速な場合は外乱の影響が少なくなり、安定したドットを選定すると逆にインクの劣化などの影響を補足しにくい可能性がある。そこで、本実施例3では外部から印字安定度を入力し、それをもとに点数アルゴリズムを補正するようにしている。
図8において、制御部3内のメモリ(図示せず)に印字安定度36を記憶していることが、実施例1の構成と異なっている部分である。この実施例3では、印字安定度36は、操作・表示部4から設定する。この方法以外にも、ライン速度などのパラメータを入力してそこから印字安定度というパラメータを作ることでも良い。
図9に印字安定度を利用した注目ドット決定のためのフローチャートを示す。実施例1におけるフローチャートである図4に比べて、ステップS03~S05の演算に印字安定度を利用するステップS10が追加されている。これをもとに各点数部の点数加算方法が変更される。例えば、ドット位置点数を求めるステップS03においては、印字安定度に応じて最高点数となるドット位置を変更する。実施例1では最下位ドットが最も点数が高くなるように設定していたが、ここでは安定度に応じて上位ドットを最も高くなるように設定し、そこから1ドット離れる毎に点数を1点低くなるように付加するアルゴリズムとする。同様に、ステップS04、S05においても、印字安定度を考慮した点数を設定し、それに基づいて各ドットの点数を求める。
以上説明した実施例3によれば、実施例1と同様の効果を有することができるとともに、印字が安定している場合にも注目ドットにより印字品質の低下を発見・補正することが可能となる。
≪実施例4≫
次に、本発明の実施例4について、図10を用いて説明する。図10は、本発明の実施例4におけるインクジェットプリンタ全体のシステム構成を示す図である。
この実施例4は、実施例1を示す図3の構成とほぼ同様の構成となっているが、印字画像を外部に送信するための印字画像送信部76を設けた点が異なる。その他の構成及び機能は実施例1と同様である。以下では、実施例1と異なる構成を中心に説明する。
次に、本発明の実施例4について、図10を用いて説明する。図10は、本発明の実施例4におけるインクジェットプリンタ全体のシステム構成を示す図である。
この実施例4は、実施例1を示す図3の構成とほぼ同様の構成となっているが、印字画像を外部に送信するための印字画像送信部76を設けた点が異なる。その他の構成及び機能は実施例1と同様である。以下では、実施例1と異なる構成を中心に説明する。
図10において、検査装置7は、注目ドットにおけるドット位置偏差を求め、補正値を演算し、インク状態を判断し、インク劣化が一定以上進んだ場合に警告情報を出力する。さらに、実施例4における検査装置7は、印字画像送信部76がカメラ70から取り込んだ画像あるいは、この画像を画像処理部71で画像処理した画像情報をサービスセンターなど外部システムに対して出力する機能を備えている。
これにより、保守員が印字状態を連絡するなどの手間がなくなり、より迅速な保守対応が可能となる。インクジェットプリンタにおける部品交換個所は印字乱れから判断できる場合が多く、本情報をあらかじめ送信しておくことで、より効率的な保守が可能となる。また併せてインクジェットプリンタの内部情報を送信することで保守の精度を向上することも可能である。
以上説明した実施例4によれば、実施例1と同様の効果を有するとともに、より効率的な保守が可能となる。
1…装置本体、2…印字ヘッド、3…制御部、4…操作・表示部、5…ケーブル、6…搬送装置、7…検査装置、10…印字対象物、11…インク容器、12…インク供給ポンプ、13…インク回収ポンプ、21…インクノズル、22…帯電電極、23…偏向電極、24…ガター、31…印字データ、32…注目ドット決定部、33…帯電電圧制御部、34…ドット共有部、35…補正情報入力部、36…印字安定度、70…カメラ、71…画像処理部、72…ドット位置偏差取得部、73…補正情報演算部、74…インク状態判断部、75…警告出力部、76…印字画像送信部
Claims (14)
- インクを粒子化してインク粒子を噴出させるインクノズル、該インク粒子に印字文字に対応した電荷量を付与する帯電電極、該帯電電極を通過した該インク粒子に該電荷量に応じた偏向を生じさせ印字対象物に向けて飛翔させる偏向電極、および印字に使用しない非帯電インク粒子を捕集するガターを含む印字ヘッドと、印字文字情報を記憶し、該印字文字情報に対応した文字パターンに基づき前記電荷量を付与するための帯電電圧を演算し前記帯電電極を制御する制御部と、を備えたインクジェットプリンタであって、
前記印字対象物に印字した結果を画像として取り込み、該画像を用いて印字状態を検査する検査装置を設け、
前記検査装置は、印字文字毎に決定された注目ドットの印字されたドット位置と前記注目ドットの目標位置とのドット位置偏差を演算し、前記ドット位置偏差を時系列に記憶し、記憶された前記ドット位置偏差に基づいて前記インクのインク状態を判断するインクジェットプリンタ。 - 請求項1に記載されたインクジェットプリンタおいて、前記検査装置は、前記ドット位置偏差に基づき該ドット位置偏差を減少させるための補正情報を演算し、前記制御部は、前記補正情報を入力し、前記帯電電極を補正制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。
- 請求項1または2に記載されたインクジェットプリンタにおいて、前記検査装置は、前記インク状態がインク交換すべき状態の場合には、インク交換を促す警告を行うようにしたことを特徴とするインクジェットプリンタ。
- 請求項1または2に記載されたインクジェットプリンタにおいて、前記検査装置における前記ドット位置偏差の演算、および前記ドット位置偏差を時系列に記憶し、記憶された前記ドット位置偏差に基づいて前記インクの状態の判断を、前記制御部において実施することを特徴とするインクジェットプリンタ。
- 請求項1に記載されたインクジェットプリンタにおいて、前記検査装置は、前記画像から得られた画像情報を外部に送信することを特徴とするインクジェットプリンタ。
- 請求項1に記載されたインクジェットプリンタにおいて、前記注目ドットは、印字文字を構成する各ドットに対するドット位置の点数、マージスキャッタの点数、前文字相対位置の点数を設定しておき、それらの内の1種以上の点数の合計値に基づいて印字文字毎に1個決定することを特徴とするインクジェットプリンタ。
- 請求項6に記載されたインクジェットプリンタにおいて、印字安定度に応じて、前記ドット位置の点数、前記マージスキャッタの点数、及び前記前文字相対位置の点数を変更することを特徴とするインクジェットプリンタ。
- 請求項1に記載されたインクジェットプリンタにおいて、前記インク状態は、記憶された過去N回の前記ドット位置偏差のバラツキ状況により判断する事を特徴とするインクジェットプリンタ。
- インクを粒子化してインク粒子を噴出させるインクノズル、該インク粒子に印字文字に対応した電荷量を付与する帯電電極、該帯電電極を通過した該インク粒子に該電荷量に応じた偏向を生じさせ印字対象物に向けて飛翔させる偏向電極、および印字に使用しない非帯電インク粒子を捕集するガターを含む印字ヘッドと、印字文字情報を記憶し、該印字文字情報に対応した文字パターンに基づき前記電荷量を付与するための帯電電圧を演算し前記帯電電極を制御するインクジェットプリンタの制御方法であって、
前記印字対象物に印字した結果を画像として取り込み、該画像から印字文字毎に決定された注目ドットにおけるドット位置を求め、該ドット位置と前記注目ドットにおける目標ドット位置との偏差であるドット位置偏差を演算し、前記ドット位置偏差を時系列に記憶し、記憶された前記ドット位置偏差に基づいて前記インクのインク状態を判断するインクジェットプリンタの制御方法。 - 請求項9に記載されたインクジェットプリンタの制御方法において、前記ドット位置偏差に基づき該ドット位置偏差を減少させるための補正情報を演算し、前記補正情報により前記帯電電極を補正制御することを特徴とするインクジェットプリンタの制御方法。
- 請求項9に記載されたインクジェットプリンタの制御方法において、前記インク状態がインク交換すべき状態の場合には、インク交換を促す警告を行うようにしたことを特徴とするインクジェットプリンタの制御方法。
- 請求項9に記載されたインクジェットプリンタの制御方法において、前記画像から得られた画像情報を外部に送信することを特徴とするインクジェットプリンタの制御方法。
- 請求項9に記載されたインクジェットプリンタの制御方法において、前記注目ドットは、印字文字を構成する各ドットに対するドット位置の点数、マージスキャッタの点数、前文字相対位置の点数を設定しておき、それらの内の1種以上の点数の合計値に基づいて印字文字毎に1個決定することを特徴とするインクジェットプリンタの制御方法。
- 請求項9に記載されたインクジェットプリンタの制御方法において、前記インク状態は、記憶された過去N回の前記ドット位置偏差のバラツキ状況により判断することを特徴とするインクジェットプリンタの制御方法。
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