JP2023110977A - 環状イミド樹脂組成物、液状接着剤、フィルム、プリプレグ、銅張積層板およびプリント配線板 - Google Patents

環状イミド樹脂組成物、液状接着剤、フィルム、プリプレグ、銅張積層板およびプリント配線板 Download PDF

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吉弘 堤
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Abstract

【課題】低比誘電率、低誘電正接、高接着力及び高ガラス転移点を有する硬化物を与える環状イミド樹脂組成物の提供。【解決手段】下記(a)~(c)成分を含有する環状イミド樹脂組成物。(a)下記式(1)で表される環状イミド化合物TIFF2023110977000048.tif30133(式(1)中、Aは独立して環状構造を含む4価の有機基、Bは独立して2価の炭化水素基、Xは水素原子又はメチル基、mは1~1000を示す。)(b)分子量が2,000未満であり、かつアルケニル基等を1分子中に少なくとも2つ有する化合物であって、(b1)Gaussian16で計算された双極子モーメントが1.2DeBye未満である化合物;(a)成分100質量部に対し1~50質量部、(b2)Gaussian16で計算された双極子モーメントが1.2DeBye以上である化合物;(a)成分100質量部に対し10質量部以下、及び(c)硬化触媒【選択図】なし

Description

本発明は、環状イミド樹脂組成物等に関する。
近年、携帯電話に代表される移動体通信機器、その基地局装置、サーバー、ルーター等のネットワークインフラ機器、大型コンピュータ等の電子機器では、使用する信号の高速化及び大容量化が年々進んでいる。これに伴い、これらの電子機器に搭載されるプリント配線板には20GHz領域といった高周波帯が使用されるため、低比誘電率、低誘電正接、低熱膨張率、高耐熱性、低吸水性など、プリント配線板用材料に求められる特性はますます高まっている。
これらの特性を満たす可能性のある材料としては、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる(特許文献1~3)。これらの中でもマレイミド樹脂は低誘電率、低誘電正接であり、耐熱性も高いことから高周波対応のプリント配線板用材料として用いられている(特許文献4、5)。
しかしながら、一般的なマレイミド樹脂は接着力が低く、十分な特性を出すためには高温で長時間硬化させる必要があり、マレイミド樹脂を使用した製品の量産には不向きであった。
また、特許文献6には炭素原子数5以上のアルキル基及び炭素原子数5以上のアルキレン基の少なくともいずれかを含むマレイミド化合物を含む樹脂組成物が開示され、この樹脂組成物は比較的低温、短時間で硬化できるものの、接着力は十分ではなく、硬化物のガラス転移点が低くなり、耐熱性が悪くなってしまうという問題があった。
特開2019-1965号公報 特開2018-28044号公報 特開2018-44065号公報 国際公開第2016-114286号 特開2020-45446号公報 特開2021-11587号公報
従って、本発明は、低比誘電率、低誘電正接、高い接着力を有しながら、高いガラス転移点を有する硬化物を与える環状イミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究した結果、下記環状イミド樹脂組成物が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記の環状イミド樹脂組成物等を提供するものである。
[1]
下記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する環状イミド樹脂組成物。
(a)重量平均分子量が2,000~1,000,000である下記式(1)で表される環状イミド化合物
Figure 2023110977000001
(式(1)中、Aは独立して環状構造を含む4価の有機基を示す。Bは独立してヘテロ原子を含んでもよい炭素数6以上の2価の炭化水素基である。Xは水素原子又はメチル基である。mは1~1000である。)
(b)分子量が2,000未満であり、かつアルケニル基、マレイミド基、(メタ)アクリル基、エポキシ基及びシアネート基から選ばれる基を1分子中に少なくとも2つ有する化合物であって、
(b1)Gaussian 16で計算された双極子モーメントが1.2DeBye未満である化合物 (a)成分100質量部に対し1~50質量部
(b2)Gaussian 16で計算された双極子モーメントが1.2DeBye以上である化合物 (a)成分100質量部に対し10質量部以下
(c)硬化触媒

[2]
式(1)中のAで示される有機基が下記構造式で示される4価の有機基のいずれかである[1]に記載の環状イミド樹脂組成物。
Figure 2023110977000002
(上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。)

[3]
(a)成分の環状イミド化合物が、下記式(2)で表される環状イミド化合物である[1]に記載の環状イミド樹脂組成物。
Figure 2023110977000003
(式(2)中、Aは独立して環状構造を含む4価の有機基を示す。B1は独立してヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~60のアルキレン基又はダイマー酸骨格由来の2価炭化水素基である。B2は独立してヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~30のアリーレン基である。Xは水素原子またはメチル基である。WはB1又はB2である。m1は0~500であり、m2は1~500である。)

[4]
式(2)中のB1のヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~60のアルキレン基が下記構造式で示される基及びダイマー酸骨格由来の2価炭化水素基から選ばれるものである[3]に記載の環状イミド樹脂組成物。
Figure 2023110977000004
(R1は互いに独立に水素原子または炭素数1~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を示す。p1及びp2はそれぞれ5以上の数であり、同じであっても異なっていてもよく、p3及びp4はそれぞれ0以上の数であり、同じであっても異なっていてもよく、p5は6~60の数である。上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(2)において環状イミド構造を形成する窒素原子と結合するものである。)

[5]
式(2)中のB2で示されるヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~30のアリーレン基が下記構造式で示される基のいずれかである[3]または[4]に記載の環状イミド樹脂組成物。
Figure 2023110977000005
(R2は互いに独立に水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、R3は互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であり、Zは酸素原子、硫黄原子又はメチレン基である。上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(2)において環状イミド構造を形成する窒素原子と結合するものである。)

[6]
(a)成分の環状イミド化合物が、式(2)中のm1が0である環状イミド化合物である[3]~[5]のいずれかに記載の環状イミド樹脂組成物。

[7]
[1]~[6]のいずれかに記載の環状イミド樹脂組成物を含有してなる液状接着剤。

[8]
[1]~[6]のいずれかに記載の環状イミド樹脂組成物を含有してなるフィルム。

[9]
[1]~[6]のいずれかに記載の環状イミド樹脂組成物を含有してなるプリプレグ。

[10]
[9]に記載のプリプレグを含有する銅張積層板。

[11]
[10]に記載の銅張積層板を含有するプリント配線板。
本発明の環状イミド樹脂組成物は、低比誘電率、低誘電正接及び高接着力を有しながら、高いガラス転移点を有する硬化物を与える。したがって、本発明の環状イミド樹脂組成物は、接着剤、プリプレグ、銅張積層板、プリント配線板、フレキシブルプリント配線板の基材フィルム、カバーレイフィルム、カバーレイフィルム用接着剤、放熱用接着剤、電磁波シールド、半導体封止材等の用途に有用である。
以下、本発明の環状イミド樹脂組成物について詳細に説明する。
[(a)重量平均分子量が2,000~1,000,000である下記式(1)で表される環状イミド化合物]
(a)成分の環状イミド化合物は、本発明の環状イミド樹脂組成物の主成分となるものであり、下記式(1)で表される。本発明の環状イミド樹脂組成物は(a)成分を含有することによって樹脂組成物の硬化物の低比誘電率化、低誘電正接化、高強度化が可能となる。
Figure 2023110977000006
式(1)中、Aは独立して環状構造を含む4価の有機基を示す。Bは独立してヘテロ原子を含んでもよい炭素数6以上の2価の炭化水素基である。Xは水素原子又はメチル基である。mは1~1000である。
ここで、式(1)中のAで示される有機基は独立して環状構造を含む4価の有機基であり、特に下記構造式で示される4価の有機基のいずれかであることが好ましい。
Figure 2023110977000007
上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。
また、式(1)中のBは独立してヘテロ原子を含んでもよい炭素数6以上の2価の炭化水素基であり、好ましくはヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~60の2価の炭化水素基である。
Bとしては、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~60のアルキレン基、ダイマー酸骨格由来の2価炭化水素基又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~30のアリーレン基であることが好ましい。
ヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~60のアルキレン基としては、後記の式(2)中のB1として例示するものと同様のものが挙げられ、より具体的には、下記構造式で示される基のいずれかが特に好ましいものとして挙げられる。
Figure 2023110977000008
上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成する窒素原子と結合するものである。
上記式中、R1は互いに独立に水素原子または炭素数1~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、好ましくは水素原子または炭素数1~10の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子または炭素数1~10の直鎖のアルキル基である。
上記式中、p1及びp2はそれぞれ5以上の数であり、好ましくはそれぞれ5~12の数であり、より好ましくはそれぞれ6~10の数であり、同じであっても異なっていてもよい。
3及びp4はそれぞれ0以上の数であり、好ましくはそれぞれ0~4の数であり、より好ましくは0~2の数であり、同じであっても異なっていてもよい。
上記式中、p5は6~60の数であり、好ましくは6~40の数であり、より好ましくは6~20の数である。
また、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~30のアリーレン基としては、後記の式(2)中のB2として例示するものと同様のものが挙げられ、より具体的には、下記構造式で示される基のいずれかが特に好ましいものとして挙げられる。
Figure 2023110977000009
上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成する窒素原子と結合するものである。
上記式中、R2は互いに独立に水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、好ましくは水素原子または炭素数1~6のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
上記式中、R3は互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であり、好ましくは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
上記式中、Zは酸素原子、硫黄原子又はメチレン基であり、好ましくは酸素原子又は硫黄原子である。
式(1)中のXは水素原子またはメチル基であり、好ましくは水素原子である。
式(1)中のmは1~1000の数であり、好ましくは1~900の数である。
式(1)で表される環状イミド化合物としては、下記式(2)で表される環状イミド化合物がより好ましい。
Figure 2023110977000010
式(2)中、Aは独立して環状構造を含む4価の有機基を示す。B1は独立してヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~60のアルキレン基又はダイマー酸骨格由来の2価炭化水素基である。B2は独立してヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~30のアリーレン基である。Xは水素原子またはメチル基である。WはB1又はB2である。m1は0~500であり、m2は1~500である。
式(2)中のAで示される環状構造を含む4価の有機基としては、式(1)中のAで例示したものと同様の基が挙げられる。
Figure 2023110977000011
上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(2)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。
式(2)中のB1で示されるヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~60のアルキレン基としては、好ましくはヘテロ原子を含んでもよい炭素数8~50のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数8~40のアルキレン基である。また、B1で示されるヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~60のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれの構造であってもよく、またこれら構造の複数種を組み合わせた基であってもよい。より具体的には、B1で示されるヘテロ原子を含んでもよい炭素数炭素数6~60のアルキレン基としては、下記構造式で示される基のいずれか又はダイマー酸骨格由来の2価炭化水素基が特に好ましいものとして挙げられる。
Figure 2023110977000012
上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(2)において環状イミド構造を形成する窒素原子と結合するものである。
上記式中、R1は互いに独立に水素原子または炭素数1~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、好ましくは水素原子または炭素数1~10の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子または炭素数1~10の直鎖のアルキル基である。
上記式中、p1及びp2はそれぞれ5以上の数であり、好ましくはそれぞれ5~12の数であり、より好ましくはそれぞれ6~10の数であり、同じであっても異なっていてもよい。
3及びp4はそれぞれ0以上の数であり、好ましくはそれぞれ0~4の数であり、より好ましくは0~2の数であり、同じであっても異なっていてもよい。
上記式中、p5は6~60の数であり、好ましくは6~40の数であり、より好ましくは6~20の数である。
式(2)中のB1で示されるダイマー酸骨格由来の2価炭化水素基に関し、ダイマー酸とは植物系油脂などの天然物を原料とする炭素数18の不飽和脂肪酸の二量化によって生成された、炭素数36のジカルボン酸を主成分とする液状の二塩基酸であり、ダイマー酸は単一の骨格ではなく、複数の構造を有し、何種類の異性体が存在する。ダイマー酸の代表的なものは直鎖型(a)、単環型(b)、芳香族環型(c)、多環型(d)という名称で分類される。
本明細書において、ダイマー酸骨格とは、このようなダイマー酸のカルボキシ基を1級アミノメチル基で置換した構造を有するダイマージアミンから誘導される基をいう。
すなわち、B1がダイマー酸骨格由来の2価炭化水素基である場合、下記(a)~(d)で示される各ダイマー酸において、2つのカルボキシル基がメチレン基で置換された基を例示することができるがこれらに限定されるものではない。
また、ダイマー酸骨格由来の2価の炭化水素基は、水添反応により、該ダイマー酸骨格由来の炭化水素基中の炭素-炭素二重結合が低減した構造を有するものが、硬化物の耐熱性や信頼性の観点からより好ましい。
Figure 2023110977000013
前述の通り、ダイマー酸骨格は複数の構造を有するため、本明細書では、ダイマー酸骨格に由来する2価炭化水素基をその平均構造として-C3670-と表記する場合がある。
式(2)中、B2で示されるヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~30のアリーレン基としては、好ましくはヘテロ原子を含んでもよい炭素数10~30のアリーレン基であり、より好ましくは炭素数20~30のアリーレン基である。B2で示されるヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~30のアリーレン基は、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子2個を除去した2価の基である。該芳香族炭化水素は、下記の化合物を含むものである。
・単環式又は多環式の芳香族炭化水素
・独立した2以上の単環式又は多環式の芳香族炭化水素が単結合又は2価の有機基を介して結合した化合物
より具体的には、B2で示されるヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~30のアリーレン基としては、下記構造式のいずれかで示される基が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2023110977000014
上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(2)において環状イミド構造を形成する窒素原子と結合するものである。
上記式中、R2は互いに独立に水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、好ましくは水素原子または炭素数1~6のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
上記式中、R3は互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であり、好ましくは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
上記式中、Zは酸素原子、硫黄原子又はメチレン基であり、好ましくは酸素原子又は硫黄原子である。
式(2)中のXは水素原子またはメチル基であり、好ましくは水素原子である。
式(2)中、m1は0~500であり、好ましくは0~300である。
式(2)中、m2は1~500の数であり、好ましくは1~300である。
上記式(2)中、m1=0の場合、(a)成分の環状イミド化合物は、下記式(2-1)で表されるものである。
Figure 2023110977000015
(式(2-1)中、A、B2、X及びm2はそれぞれ式(2)と同様である。)
(a)成分の環状イミド化合物として式(2-1)で表される環状イミド化合物を使用すると、樹脂組成物の硬化物のガラス転移点が高くなるため、特に好ましい。
(a)成分の環状イミド化合物の重量平均分子量(Mw)は2,000~1,000,000であり、好ましくは2,500~500,000、より好ましくは3,000~300,000、更に好ましくは3,500~100,000である。重量平均分子量が2,000より小さいと環状イミド樹脂組成物の硬化物としての強度が低くなってしまい、重量平均分子量が1,000,000より大きいと末端の環状イミド基の反応性が低くなり、組成物が十分に硬化することが困難となる。
本明細書中で言及する重量平均分子量(Mw)とは、下記条件で測定したGPCによるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量を指すこととする。
[GPC測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.6mL/min
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL(試料濃度:0.5質量%-テトラヒドロフラン溶液)
検出器:示差屈折率計(RI)
(a)成分の環状イミド化合物(例えば、マレイミド化合物、シトラコンイミド化合物等)を製造する方法としては特に限定されない。例えば、酸無水物とジアミンとを反応させてアミン末端化合物を合成した後、該アミン末端化合物を過剰の無水マレイン酸または無水シトラコン酸と反応させて製造すればよい。
酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、4,4’-カルボニルジフタル酸無水物、4,4’-ジフタル酸無水物、4,4’-スルホニルジフタル酸無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物等が挙げられる。これらの酸無水物は目的、用途等に合わせて1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。環状イミド化合物の電気特性の観点から、酸無水物は、無水ピロメリット酸、4,4’-オキシジフタル酸無水物、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物が好ましい。
ジアミンとしては、例えば、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノ-3,3’、5,5’-テトラエチルジフェニルメタン、テトラメチル-1,3-ビス(3-アミノプロピル)ジシロキサン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,12-ジアミノドデカン、1,10-ジアミノデカン、ダイマージアミン、オクチルジアミン、1,3-ジ(アミノメチル)シクロヘキサン、1-アミノ-4-(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ジアミノアダマンタン、イソホロンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサン-1,6-ジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサン-1,6-ジアミン、2-メチルペンチルジアミン等が挙げられる。これらのジアミンは目的、用途等に合わせて、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。環状イミド化合物の電気特性の観点から、ジアミンは、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノ-3,3’,5,5’-テトラエチルジフェニルメタン、ダイマージアミン、イソホロンジアミンが好ましい。
(a)成分の環状イミド化合物は市販品を用いてもよい。市販品としては、BMI-1400、BMI-2500、BMI-3000、BMI-6000、BMI-6100(以上、Designer Molecules Inc.製)等を挙げることができる。
本発明の組成物中、(a)成分の配合量は樹脂分100質量部に対して40~98質量部であることが好ましく、50~95質量部であることがより好ましく、60~90質量部であることが更に好ましい。なお、ここで言う樹脂分とは(a)~(c)成分の総量を指し、配合されている場合は(d)成分やその他の添加剤の配合量を含むが、無機充填剤及び有機充填剤の配合量は樹脂分として含まないものとする。
[(b)成分]
(b)成分は分子量が2,000未満であり、かつアルケニル基、マレイミド基、(メタ)アクリル基、エポキシ基及びシアネート基から選ばれる基を1分子中に少なくとも2つ有する化合物であって、Gaussian 16で計算された双極子モーメントが互いに異なる下記(b1)成分及び(b2)成分である。
(b)成分の分子量は2,000未満であり、好ましくは1,500以下であり、更に好ましくは1,000以下である。(b)成分の分子量が2,000以上であると、Gaussian 16による双極子モーメントの計算に時間がかかり、計算結果の誤差も大きくなってしまうため好ましくない。なお、本明細書において(b)成分の分子量とは、分子式から求められる値(化学式量)である。
(b)成分はアルケニル基、マレイミド基、(メタ)アクリル基、エポキシ基及びシアネート基から選ばれる基を1分子中に少なくとも2つ有する。なお、(b)成分が(メタ)アクリル基を有する場合、上記した基の数として(メタ)アクリル基を1つとして数えるものとし、(メタ)アクリル基中に含まれる炭素-炭素二重結合をアルケニル基の数として重複して数えないものとする。
アルケニル基としては、ビニル基、1-プロペニル基及びアリル基(2-プロペニル基)等が挙げられる。
[(b1)分子量が2,000未満であり、かつアルケニル基、マレイミド基、(メタ)アクリル基、エポキシ基及びシアネート基から選ばれる基を1分子中に少なくとも2つ有し、Gaussian 16で計算された双極子モーメントが1.2DeBye未満である化合物]
本発明の環状イミド樹脂組成物は、(b1)成分の化合物を配合することによって、樹脂組成物の溶融粘度を低くして接着性を高めることができ、更に硬化後の樹脂組成物のガラス転移点を高めることができる。
(b1)成分としては、アルケニル基及びマレイミド基から選ばれる基を1分子中に少なくとも2つ有するものが好ましく、アルケニル基及びマレイミド基から選ばれる基を1分子中に少なくとも3つ有するものが更に好ましい。樹脂組成物がこのような(b1)成分を有する場合、硬化後の樹脂組成物のガラス転移点を高めることができるため好ましい。
さらに(b)成分の一つの(b1)成分はGaussian 16で計算された双極子モーメントが1.2DeBye未満であり、好ましくは1.15DeBye以下であり、更に好ましくは1.1DeBye以下である。この範囲であれば、硬化後の樹脂組成物の比誘電率、誘電正接を低くすることができ、更に樹脂組成物の溶融粘度を低くして接着性を高めることができる。
ここで、Gaussian 16とは、量子化学計算ソフトウェアの名称である。交換相関汎関数としてwB97Xを、基底関数には6-31+g**を用い、密度汎関数法によって分子の双極子モーメントの計算をする装置のことである。
(b1)成分の具体的な化合物を例として以下に挙げるが、この限りではない。
Figure 2023110977000016
Figure 2023110977000017

Figure 2023110977000018
Figure 2023110977000019
(b1)成分の配合量としては、本発明の組成物中の(a)成分100質量部に対して1~50質量部であり、5~40質量部であることがより好ましく、10~30質量部であることが更に好ましい。この範囲であれば、樹脂組成物の物性に悪影響を与えることなく、樹脂組成物の溶融粘度を低くすることができる。
[(b2)分子量が2,000未満であり、かつアルケニル基、マレイミド基、(メタ)アクリル基、エポキシ基及びシアネート基から選ばれる基を1分子中に少なくとも2つ有し、Gaussian 16で計算された双極子モーメントが1.2DeBye以上である化合物]
本発明の環状イミド樹脂組成物は、(b2)成分を含有しないか、(b2)成分を含有しても組成物中の含有量が下記の通り一定量以下であるものである。
(b2)成分は分子量が2,000未満であり、かつアルケニル基、マレイミド基、(メタ)アクリル基、エポキシ基及びシアネート基から選ばれる基を1分子中に少なくとも2つ有し、Gaussian 16で計算された双極子モーメントが1.2DeBye以上である化合物である。
本発明の環状イミド樹脂組成物が(b2)成分を含有する場合、(b2)成分の配合量としては、(a)成分100質量部に対し10質量部以下である。
また、本発明の環状イミド樹脂組成物が(b2)成分を含有する場合、(b2)成分は、(a)成分100質量部に対し10質量部以下であって、かつ(b2)成分の配合量/((a)成分の配合量+(b1)成分の配合量)が0.1以下となる量であることが好ましく、0.08以下となる量であることがより好ましく、0.05以下となる量であることが更に好ましい。
(b2)成分の配合量が(a)成分100質量部に対し10質量部より多いと、樹脂組成物の硬化物の比誘電率、誘電正接が高くなってしまうため好ましくない。
(b2)成分の具体的な化合物を例として以下に挙げるが、この限りではない。
Figure 2023110977000020
[(c)硬化触媒]
(c)成分は硬化触媒であり、樹脂組成物を硬化させるためのものである。
(c)成分の硬化触媒としては、特に制限はないが、熱ラジカル重合開始剤、熱アニオン重合開始剤、光重合開始剤等が挙げられる。
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、t-ブチルハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t-ヘキシルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α、α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、桂皮酸パーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-3-メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、α、α’-ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルへキサノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシマレイックアシッド、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシ-m-トルオイルベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t-ブチルパーオキシ)イソフタレート、t-ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の有機過酸化物;2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス[N-(2-メチルプロピル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[N-(2-メチルエチル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(N-ヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-プロピル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-エチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、ジメチル-1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボキシレート)等のアゾ化合物が挙げられる。この中でも、保存安定性の観点から、有機過酸化物が好ましく、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイドがより好ましい。
熱アニオン重合開始剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-[2-(2-メチル-1-イミダゾリル)エチル]-1,3,5-トリアジン等のイミダゾール化合物;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン等のアミン化合物;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、テトラブチルホスホニウムヘキサフルオロホスファート、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボラート、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムラウレート、テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンフタレート、ビス(テトラフェニルホスホニウム)ジハイドロジェンピロメリテート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ジハイドロジェンピロメリテート等の有機リン化合物が挙げられる。これらの中でも、イミダゾール化合物、有機リン化合物が好ましく、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-[2-(2-メチル-1-イミダゾリル)エチル]-1,3,5-トリアジン、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムラウレート、テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンフタレート、ビス(テトラフェニルホスホニウム)ジハイドロジェンピロメリテート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ジハイドロジェンピロメリテートが更に好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン等のベンゾイル化合物(又はフェニルケトン化合物)、特に、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン等のカルボニル基のα-位の炭素原子上にヒドロキシ基を有するベンゾイル化合物(又はフェニルケトン化合物);2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン等のα-アルキルアミノフェノン化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビスアシルモノオルガノホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;イソブチルベンゾインエーテル等のベンゾインエーテル化合物;アセトフェノンジエチルケタール等のケタール化合物;チオキサントン系化合物;アセトフェノン系化合物等が挙げられる。
特にUV-LEDから発生する放射線は単一波長であるので、UV-LEDを光源として用いる場合、340~400nmの領域に吸収スペクトルのピークを有するα-アルキルアミノフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物の光重合開始剤を使用するのが有効である。
これら硬化触媒は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。(c)成分の配合量は特に限定されないが、本発明の組成物中の(a)成分100質量部に対して0.01~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましく、0.3~3質量部であることが更に好ましい。この範囲であれば、樹脂組成物の物性に悪影響を与えることなく、十分に硬化させることができる。
本発明の硬化物の10GHzにおける誘電正接は0.01以下であることが好ましく、0.007以下であることが好ましく、0.0001~0.005であることが更に好ましい。
[その他の成分]
[接着性付与剤]
本発明の樹脂組成物は、接着性あるいは粘着性(感圧接着性)を付与するため、必要に応じて接着性付与剤を含有してよい。接着性付与剤としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、シランカップリング剤等が挙げられる。中でも接着性を付与するにはアクリル樹脂、シランカップリング剤が好ましく、粘着性(感圧接着性)を付与するにはテルペン樹脂が好ましい。
アクリル樹脂としては、特に制限はないが、例えばラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクレート、イソボニルアクリレート、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロルプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンジアクリレート、ラウリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクレート、イソボニルメタクリレート、2-メタクリロイロキシエチルフタル酸、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート等が挙げられる。
テルペン樹脂としては、特に制限はないが、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、及びリモネン等のモノテルペン類、セドレン、ファネルセン等のセスキテルペン類、アビエチン酸等のジテルペン類のようなテルペン類の単独重合体や、スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物と前記テルペン類との共重合体である芳香族変性テルペン樹脂、フェノール、クレゾール、ヒドロキノン、ナフトール、ビスフェノールA等のフェノール類と前記テルペン類との共重合体であるテルペンフェノール樹脂等が挙げられる。また、これらのテルペン樹脂を水素添加した水素添加テルペン樹脂等も使用可能である。
シランカップリング剤としては、特に制限はないが、例えば、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、2-[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]-トリメトキシシラン、メトキシトリ(エチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等が挙げられる。
前記接着性付与剤の含有量としては特に制限はないが、(a)成分100質量部に対して0.1~20質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましく、1~5質量部が更に好ましい。この範囲であれば、樹脂組成物の機械物性を変えることなく、該樹脂組成物の接着力あるいは粘着力をより向上させることができる。
[酸化防止剤]
酸化防止剤としては、特に制限はないが、例えば、n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)アセテート、ネオドデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチル-α-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル-α-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル-α-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2-(n-オクチルチオ)エチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルアセテート、2-(n-オクタデシルチオ)エチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルアセテート、2-(n-オクタデシルチオ)エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2-(2-ステアロイルオキシエチルチオ)エチル-7-(3-メチル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、2-ヒドロキシエチル-7-(3-メチル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のフェノール系酸化防止剤;ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)等の硫黄系酸化防止剤;トリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、2-エチルヘキシルジフェニルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]-N,N-ビス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]-エチル]エタナミン等のリン系酸化防止剤が挙げられる。
前記酸化防止剤の含有量としては特に制限はないが、(a)成分100質量部に対して0.00001~5質量部が好ましく、0.0001~4質量部がより好ましく、0.001~3質量部が更に好ましい。この範囲内であれば、樹脂組成物の機械物性を変えることなく、該樹脂組成物の酸化を防止できる。
[難燃剤]
難燃剤としては、特に制限はないが、例えば、リン系難燃剤、金属水和物、ハロゲン系難燃剤、グアニジン系難燃剤等が挙げられる。リン系難燃剤としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム、リン酸グアニジン、リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物、リン酸、ホスフィンオキシド、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ-2,6-キシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、1,3-フェニレンビス(ジ-2,6-キシレニルホスフェート)、ビスフェノールA-ビス(ジフェニルホスフェート)、1,3-フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル、フェニルホスホン酸ビス(1-ブテニル)、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、ビス(2-アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド等が挙げられる。金属水和物としては、例えば、水酸化アルミニウム水和物、水酸化マグネシウム水和物等が挙げられる。ハロゲン系難燃剤としては、例えば、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2-ジブロモ-4-(1,2-ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレン、2,4,6-トリス(トリブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。グアニジン系難燃剤としては、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン等が挙げられる。
前記難燃剤の含有量としては特に制限はないが、(a)成分100質量部に対して0.01~20質量部が好ましく、0.05~10質量部がより好ましく、0.1~5質量部が更に好ましい。この範囲内であれば、樹脂組成物の機械物性を変えることなく、該樹脂組成物に難燃性を付与できる。
[無機充填剤]
無機充填剤としては、特に制限はないが、例えばシリカ、二酸化チタン、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ベリリウム等の金属酸化物;窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の金属窒化物;炭化ケイ素、ダイヤモンド、グラフェン等の炭素含有粒子;シリカバルーン(中空シリカ)、カーボンバルーン、アルミナバルーン、アルミノシリケートバルーン等の中空粒子;金、銀、銅、パラジウム、アルミニウム、ニッケル、鉄、コバルト、チタン、マンガン、亜鉛、タングステン、白金、鉛、錫等の金属単体;半田、鋼、ステンレス鋼等の合金;ステンレス、Fe-Cr-Al-Si合金、Fe-Si-Al合金、Fe-Ni合金、Fe-Cu-Si合金、Fe-Si合金、Fe-Si―B(-Cu-Nb)合金、Fe-Si-Cr-Ni合金、Fe-Si-Cr合金、Fe-Si-Al-Ni-Cr合金等の磁性金属合金;ヘマタイト(Fe2O3)、マグネタイト(Fe34)、Mn-Zn系フェライト、Ni-Zn系フェライト、Mg-Mn系フェライト、Zr-Mn系フェライト、Ti-Mn系フェライト、Mn-Zn-Cu系フェライト、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等のフェライト類が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
金属酸化物、金属窒化物、炭素含有粒子を加えることによって樹脂組成物の硬化物の線膨張係数を下げ、熱伝導率を上げることができ、中空粒子を加えることによって樹脂組成物の硬化物の比誘電率、誘電正接、密度等を下げることができ、金属、合金を加えることによって樹脂組成物の硬化物の電気伝導率、熱伝導率等を上げることができ、フェライト類を加えることによって樹脂組成物の硬化物に電磁波吸収能を付与することができる。
前記無機充填剤の形状としては、特に制限はなく、例えば球状、鱗片状、フレーク状、針状、棒状、楕円状等が挙げられ、中でも球状、鱗片状、フレーク状、楕円状、棒状が好ましく、球状、鱗片状、フレーク状、楕円状が更に好ましい。
前記無機充填剤の一次粒径としては特に制限はないが、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定されたメジアン径として0.05~500μmが好ましく、0.1~300μmがより好ましく、1~100μmが更に好ましい。この範囲内であれば、樹脂組成物中に前記無機粒子を均一に分散させることが容易であり、経時で該無機粒子が沈降、分離、偏在してしまうこともないため好ましい。
前記無機充填剤の配合量としては特に制限はないが、本発明の組成物中の(a)成分100質量部に対して5~3,000質量部であることが好ましく、10~2,500質量部であることがより好ましく、50~2,000質量部であることが更に好ましい。この範囲であれば樹脂組成物の強度を保持したまま、無機粒子の機能を十分に発揮することができる。
[有機充填剤]
有機充填剤としては、特に制限はないが、例えばアクリル-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体、アクリルブロック共重合体のような熱可塑性樹脂粒子、炭素繊維、セルロース繊維、シリコーンパウダー、アクリルパウダー、ポリテトラフルオロエチレン粉、ポリエチレン粉、ポリプロピレン粉などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機充填剤の形状としては、特に制限はなく、例えば球状、繊維状、フレーク状、針状、棒状、楕円状等が挙げられ、中でも球状、繊維状、フレーク状、楕円状、棒状が好ましく、球状、繊維状、フレーク状、楕円状が更に好ましい。
前記有機充填剤の一次粒径としては特に制限はないが、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定されたメジアン径として0.05~500μmが好ましく、0.1~300μmがより好ましく、1~100μmが更に好ましい。この範囲内であれば、樹脂組成物中に前記有機粒子を均一に分散させることが容易であり、経時で該有機粒子が沈降、分離、偏在してしまうこともないため好ましい。
前記有機充填剤の配合量としては特に制限はないが、本発明の組成物中の(a)成分100質量部に対して1~400質量部であることが好ましく、5~200質量部であることがより好ましく、10~100質量部であることが更に好ましい。この範囲であれば樹脂組成物の強度を上げることが可能となる。
[製造方法]
本発明の樹脂組成物の製造方法は、(a)~(c)成分並びに必要に応じて加えられるその他の添加剤を、例えば、プラネタリーミキサー(井上製作所(株)製)や、攪拌機THINKY CONDITIONING MIXER(シンキー(株)製)を使用して混合する方法が挙げられ、好ましくは更に有機溶剤(例えば、シクロペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メシチレン、アニソール、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン等)を添加して混合する方法が挙げられる。有機溶剤を添加することによって樹脂組成物の粘度を下げ、より均一に混合することができる。前記有機溶剤は混合後に減圧留去することで樹脂組成物が得られるが、液状接着剤やプリプレグなどとして用いる場合は留去せずにそのまま用いたり、所望する濃度に調整して用いたりしてもよい。
[液状接着剤]
本発明の環状イミド樹脂組成物は、上述した有機溶剤に溶解させ、被着体に塗布、噴霧して加熱乾燥させることで液状接着剤としても使用できる。
塗布、噴霧方法としては、特に制限はなく、ディスペンサーやスプレーなどを用いて使用できる。
加熱乾燥方法としては、特に制限はなく、使用している溶剤の揮発性に合わせてよい。例えば40~120℃の温度で1~10分間、加熱することで乾燥させることができる。
[フィルム]
本発明の環状イミド樹脂組成物は、上述した有機溶剤に溶解させ、離型性を有するフィルム上で、薄膜に塗工して加熱乾燥させることでフィルムとしても使用できる。
離型性を有するフィルムは、環状イミド樹脂組成物の種類によって最適化されるが、例えば、フッ素系樹脂コートしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、シリコーン樹脂コートしたPETフィルム、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリ(エチレン-テトラフルオロエチレン))、CTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂フィルム等が挙げられる。これらの離型性を有するフィルムによって、本発明の環状イミド樹脂組成物を含有してなるフィルム(以下「環状イミド樹脂フィルム」又は単に「フィルム」ともいう)が取り扱いやすくなり、埃など異物の付着を防止することができる。
環状イミド樹脂フィルムの厚さは、特に制限はないが、1μm~2,000μmとすることが好ましく、1μm~500μmとすることがより好ましく、10μm~300μmとすることがさらに好ましい。1μmよりも薄い場合、基板等に貼り付けることが難しく、2,000μmよりも厚い場合、フィルムとしての柔軟性を保持することが難しくなる。また、フィルムの厚さとしては、無機充填剤、または有機充填剤を含有する場合、充填剤の粒径の2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましく、5倍以上1,000倍以下であることが更に好ましい。この範囲であれば、無機粒子によってフィルムに凹凸ができづらくなるため好ましい。
なお、環状イミド樹脂フィルムの使用方法としては、離型性を有する樹脂フィルムが配置されている場合にはそれを剥離した後、被着体の間に該環状イミド樹脂フィルムを挟み、加熱圧着して硬化させる等が挙げられる。加熱する際の温度としては、100℃~300℃で1分~4時間が好ましく、より好ましくは120℃~250℃で2分~3時間、更に好ましくは150℃~200℃で3分~2時間である。圧着する際の圧力としては、0.01MPa~100MPaが好ましく、より好ましくは0.05MPa~80MPa、更に好ましくは0.1MPa~50MPaである。
本発明のフィルムはあらかじめ熱や光によって半硬化(B-stage化)させてもよい。B-stage化の方法としては特に制限はないが、例えば、環状イミド樹脂組成物を塗工した後、80~200℃の温度で1~30分間、加熱する、または200~400nmの光を10~3,000mJ/cm2照射することでB-stage化ができる。
[プリプレグ]
本発明の環状イミド樹脂組成物は、上述した有機溶剤に溶解させ、繊維基材に含浸させて加熱乾燥させることでプリプレグとしても使用できる。
前記繊維基材としては、積層板に使用されている公知のものを使用できる。例えばEガラス、Sガラス、Tガラス、NEガラス、Qガラス(石英ガラス)等の無機繊維;ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン等の有機繊維などが挙げられる。これらは1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも誘電特性の観点から、無機繊維が好ましく、Tガラス、NEガラス、Qガラスがより好ましい。
繊維基材の厚さとしては特に制限はないが、5~500μmが好ましく、10~100μmがより好ましく、20~80μmが更に好ましい。この範囲であれば、柔軟性に優れ、低反り、高強度のプリプレグが得られる。
これらの繊維基材は、誘電特性の向上、樹脂への親和性を向上させるために、加熱、シランカップリング剤等で表面処理してもよい。
プリプレグ中における環状イミド樹脂組成物の含有量は特に制限はないが、20~90体積%が好ましく、30~80体積%がより好ましく、40~70体積%が更に好ましい。この範囲であれば、誘電特性、低反りを維持したまま、導体への接着強度を高めることができる。
本発明のプリプレグの厚さは特に制限はないが、10~500μmが好ましく、25~300μmがより好ましく、40~200μmが更に好ましい。この範囲であれば、銅張積層板を良好に作製することができる。
本発明のプリプレグは、あらかじめ加熱によって半硬化(B-stage化)させてもよい。B-stage化の方法としては特に制限はないが、例えば、本発明の環状イミド樹脂組成物を溶剤に溶解させ、繊維基材に含浸させて乾燥させた後、80~200℃の温度で1~30分間、加熱することでB-stage化ができる。
[銅張積層板]
本発明のプリプレグは銅箔を重ねてプレスして加熱硬化させ、銅張積層板として使用してもよい。
銅張積層板の製造方法としては、特に制限はないが、例えば前記プリプレグを1~20枚、好ましくは2~10枚用い、その片面又は両面に銅箔を配置してプレスして加熱硬化することにより製造することができる。
銅箔の厚みとしては特に制限はないが、3~70μmが好ましく、10~50μmがより好ましく、15~40μmが更に好ましい。この範囲であれば、高信頼性を保持した、多層の銅張積層板を成形することができる。
銅張積層板の成形条件は、特に制限はないが、例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100~400℃、圧力1~100MPa、加熱時間0.1~4時間の範囲で成形することができる。また、本発明のプリプレグ、銅箔、内層用配線板を組合せて成形し、銅張積層板を成形することもできる。
[プリント配線板]
本発明の銅張積層板は回路加工し、プリント配線板として使用してもよい。
回路加工の方法としては、特に制限はないが、例えば穴開け加工、金属めっき加工、金属箔のエッチング等による回路形成加工する方法が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物やプリプレグと銅箔を順次積層するビルドアップ法でプリント配線板を製造してもよい。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
下記実施例に示した(a)成分の分子量はポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した重量平均分子量(Mw)である。以下に測定条件を示す。
[GPC測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.6mL/min
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL(試料濃度:0.5質量%-テトラヒドロフラン溶液)
検出器:示差屈折率計(RI)
[実施例1~20、比較例1~6]
(a)環状イミド化合物
(a-1)マレイミド化合物
アニソール500gに3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(商品名:カヤハードA-A(日本化薬(株)製))253g(1.003mol)及び4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物520g(1.0mol)を添加し、室温で5時間撹拌し、更に120℃で3時間撹拌した。得られた溶液に無水マレイン酸19g(0.2mol)を加え、150℃で1時間撹拌した。その後、溶剤、未反応の無水マレイン酸を減圧留去し、下記式で示される(a-1)マレイミドを得た(重量平均分子量180,000)。
Figure 2023110977000021
(a-2)マレイミド化合物
アニソール350gに3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン327g(1.05mol)及び4,4’-オキシジフタル酸無水物310g(1.0mol)を添加し、室温で3時間撹拌し、更に120℃で3時間撹拌した。得られた溶液に無水マレイン酸19g(0.2mol)を加え、150℃で1時間撹拌した。その後、溶剤、未反応の無水マレイン酸を減圧留去し、下記式で示される(a-2)マレイミドを得た(重量平均分子量58,000)。
Figure 2023110977000022
(a-3)マレイミド化合物
アニソール300gに4,4’-ジアミノジフェニルエーテル220g(1.1mol)及び4,4’-オキシジフタル酸無水物310g(1.0mol)を添加し、室温で5時間撹拌し、更に120℃で3時間撹拌した。得られた溶液に無水マレイン酸19g(0.2mol)を加え、150℃で1時間撹拌した。その後、溶剤、未反応の無水マレイン酸を減圧留去し、下記式で示される(a-3)マレイミドを得た(重量平均分子量5,000)。
Figure 2023110977000023
(a-4)マレイミド化合物
アニソール500gに2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン431g(1.05mol)及び4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物520g(1.0mol)を添加し、室温で5時間撹拌し、更に120℃で3時間撹拌した。得られた溶液に無水マレイン酸19g(0.2mol)を加え、150℃で1時間撹拌した。その後、溶剤、未反応の無水マレイン酸を減圧留去し、下記式で示される(a-4)マレイミドを得た(重量平均分子量45,000)。
Figure 2023110977000024
(a-5)マレイミド化合物
アニソール400gに3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン171g(0.55mol)、プリアミン1075(クローダジャパン(株)製)305g(0.55mol)及び4,4’-オキシジフタル酸無水物310g(1.0mol)を添加し、室温で5時間撹拌し、更に120℃で3時間撹拌した。得られた溶液に無水マレイン酸19g(0.2mol)を加え、150℃で1時間撹拌した。その後、溶剤、未反応の無水マレイン酸を減圧留去し、下記式で示される(a-5)マレイミドを得た(重量平均分子量26,000)。
Figure 2023110977000025
(a-6)マレイミド化合物
下記式で示されるマレイミド化合物(商品名:BMI-3000、Designer Molecules Inc.製)(重量平均分子量10,000)
Figure 2023110977000026
(a-7)シトラコンイミド化合物
アニソール350gに3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(商品名:カヤハードA-A(日本化薬(株)製))277g(1.1mol)及び4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物520g(1.0mol)を添加し、室温で3時間撹拌し、更に120℃で3時間撹拌した。得られた溶液に無水シトラコン酸26g(0.2mol)を加え、150℃で1時間撹拌した。その後、溶剤、未反応の無水シトラコン酸を減圧留去し、下記式で示される(a-7)シトラコンイミドを得た(重量平均分子量41,000)。
Figure 2023110977000027
(b1)アルケニル基、マレイミド基、(メタ)アクリル基、エポキシ基及びシアネート基から選ばれる基を1分子中に少なくとも2つ有し、Gaussian 16で計算された双極子モーメントが1.2DeBye未満である化合物
(b1-1)アルケニル化合物
下記式で示されるアルケニル化合物(商品名:タイク、三菱ケミカル(株)製)(双極子モーメント0.225DeBye)(分子量249)
Figure 2023110977000028
(b1-2)アルケニル化合物
下記式で示されるオクタビニルオクタシルセスキオキサン(双極子モーメント0.937DeBye)(分子量633)
Figure 2023110977000029
(b1-3)マレイミド化合物
下記式で示されるマレイミド化合物(商品名:BMI-TMH、大和化成工業(株)製)(双極子モーメント0.467DeBye)(分子量318)
Figure 2023110977000030
(b1-4)マレイミド化合物
下記式で示されるマレイミド化合物(商品名:BMI-689、Designer Molecules Inc.製)(双極子モーメント1.073DeBye)(分子量695)
Figure 2023110977000031
(b1-5)アルケニル化合物
トルエン500gに2,6-ジメチルフェノール100g及び酸化銅3gを添加し、酸素ガスをバブリングしながら50℃で5時間攪拌した。その後、エチレンジアミンを3g添加して室温で1時間攪拌し、反応溶液をメタノールに再沈殿することでフェニレンエーテルのオリゴマーを得た。得られたオリゴマーをトルエン400gに溶解させ、更に50%水酸化ナトリウム水溶液20g及びp-クロロメチルスチレン380gを添加し、60℃で1時間攪拌した。その後、溶剤を減圧留去、アルミナ濾過し、下記式で示される(b1-5)アルケニル化合物を得た。(双極子モーメント1.073DeBye)(分子量970)
Figure 2023110977000032
(b1-6)アクリル化合物
トルエン500gに2,6-ジメチルフェノール100g及び酸化銅3gを添加し、酸素ガスをバブリングしながら50℃で5時間攪拌した。その後、エチレンジアミンを3g添加して室温で1時間攪拌し、反応溶液をメタノールに再沈殿することでフェニレンエーテルのオリゴマーを得た。得られたオリゴマーをトルエン400gに溶解させ、更に50%水酸化ナトリウム水溶液20g及び塩化アクリロイル200gを添加し、5℃で1時間攪拌した。その後、溶剤を減圧留去、アルミナ濾過し、下記式で示される(b1-6)アクリル化合物を得た。(双極子モーメント1.061DeBye)(分子量850)
Figure 2023110977000033
(b1-7)エポキシ化合物
トルエン500gに2,6-ジメチルフェノール100g及び酸化銅3gを添加し、酸素ガスをバブリングしながら50℃で5時間攪拌した。その後、エチレンジアミンを3g添加して室温で1時間攪拌し、反応溶液をメタノールに再沈殿することでフェニレンエーテルのオリゴマーを得た。得られたオリゴマーをトルエン400gに溶解させ、更に50%水酸化ナトリウム水溶液20g及びエピクロロヒドリン150gを添加し、60℃で2時間攪拌した。その後、溶剤を減圧留去、アルミナ濾過し、下記式で示される(b1-7)エポキシ化合物を得た。(双極子モーメント1.096DeBye)(分子量850)
Figure 2023110977000034
(b2)アルケニル基、マレイミド基、(メタ)アクリル基、エポキシ基及びシアネート基から選ばれる基を1分子中に少なくとも2つ有し、Gaussian 16で計算された双極子モーメントが1.2DeBye以上である化合物
(b2-1)マレイミド化合物
下記式で示される4,4-ビスマレイミドジフェニルメタン(双極子モーメント1.387DeBye)(分子量358)
Figure 2023110977000035
(b2-2)エポキシ化合物
下記式で示されるエポキシ化合物(商品名:NC-3000、日本化薬(株)製)(双極子モーメント1.571DeBye)(分子量810)
Figure 2023110977000036
(b2-3)マレイミド化合物
下記式で示されるマレイミド化合物(商品名:BMI-2300、大和化成工業(株)製)(双極子モーメント1.724DeBye)(分子量400)
Figure 2023110977000037
(b2-4)マレイミド化合物
下記式で示されるマレイミド化合物(商品名:BMI-4000、大和化成工業(株)製)(双極子モーメント1.241DeBye)(分子量570)
Figure 2023110977000038
(c)硬化触媒
(c-1)ジクミルパーオキサイド
(c-2)2,4-ジアミノ-6-[2-(2-メチル-1-イミダゾリル)エチル]-1,3,5-トリアジン(商品名:「2MZ-A」(四国化成工業(株)製))
(c-3)トリフェニルホスフィン
(d)無機充填剤
(d-1)シリカ「SFP-130MC」(一次粒径のメジアン径0.6μm)(デンカ(株)製)
(d-2)アルミナ「AO-41R」(一次粒径のメジアン径6μm)(アドマテックス(株)製)
(e)有機充填剤
(e-1)シリコーンパウダー「KMP-600」(一次粒径のメジアン径5μm)(信越化学工業(株)製)
(f)接着付与剤
(f-1)シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、商品名「KBM-403」、信越化学工業(株)製)
(f-2)シランカップリング剤(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、商品名「KBM-573」、信越化学工業(株)製)
(g)酸化防止剤
(g-1)ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:アデカスタブAO-60、(株)ADEKA製)
(h)難燃剤
(h-1)リン酸グアニジン(商品名:アピノン-303、(株)三和ケミカル製)
[樹脂組成物の調製方法]
実施例1~20及び比較例1~6について、表1~3に示す配合(質量部)に追加して、各成分の合計100質量部に対してシクロペンタノンを100質量部加えて混合し、プラネタリーミキサー(井上製作所(株)製)を使用して80℃で30分混練し、その後25℃まで冷却した。得られた溶液をフラスコに移し、溶剤を減圧留去して樹脂組成物を調製した。
[硬化物の引張強さ及び切断時伸び]
実施例1~20、比較例1~6で得られた未硬化の樹脂組成物を、200℃で1時間プレスキュアすることで、150mm×200mm×厚さ50μmの試験サンプル(硬化物)を作製した。JIS K 6251:2010に準拠して、EZ TEST(EZ-L、株式会社島津製作所製)を用いて、試験速度500mm/min、つかみ具間距離80mm、標点間距離40mmの条件で前記試験サンプル(硬化物)の引張強さ(MPa)と切断時伸び(%)を測定した。結果を表1~3に記載した。
[比誘電率及び誘電正接]
30mm×40mm×100μm厚の金型枠に、調製した未硬化樹脂組成物を挟み、200℃で1時間プレスキュアして、試験サンプル(硬化物)を作製した。作製した試験サンプル(硬化物)にネットワークアナライザー(キーサイト社製 E5063-2D5)とストリップライン(キーコム株式会社製)を接続して、周波数10GHzにおける比誘電率及び誘電正接を測定した。結果を表1~3に記載した。
[ピール強度]
上記の方法で調製した未硬化樹脂組成物を厚さ25μmになるようにフィルム状に塗工し、SUS板、該フィルム、厚さ18μmの銅箔(商品名:TQ-M4-VSP、(株)三井金属製)の順に重ねてプレスし、200℃で1時間加熱して硬化させた。プリント配線板用銅張積層板試験の規格JIS-C-6481:1996に準拠し、テンシロンテスター(東洋精機製作所社製、商品名;ストログラフVE-1D)を用いて、銅箔を10mm幅で90°方向に50mm/minの速度で、樹脂フィルムから銅箔を剥離するときの力(kN/m)を求めた。結果を表1~3に記載した。
[ガラス転移温度]
上記[硬化物の引張強さ及び切断時伸び]の項に記載のようにして作製した試験サンプル(硬化物)の貯蔵弾性率(MPa)をDMA Q800(TAインスツルメント株式会社製)により、0℃~300℃の範囲で測定し、得られた貯蔵弾性率と損失弾性率の値から導き出されるTanδの値をプロットしたグラフから得られるピークトップの温度をガラス転移温度(Tg)とした。測定条件は、20mm×5mm×50μm厚の試験サンプル(硬化物)、昇温速度5℃/min、マルチ周波数モード、引っ張りモード、振幅15μmで行った。結果を表1~3に記載した。
Figure 2023110977000039
Figure 2023110977000040
Figure 2023110977000041
実施例1~20では、硬化物は低比誘電率及び低誘電正接であり、ピール強度は高く、高いガラス転移点を有していた。
(a)成分を含有せず、(b2)成分の分子量が2,000未満のマレイミド化合物を有する比較例1、2では、硬化物の引張強さが小さく、ピール強度も低くなった。また、比誘電率、誘電正接も高くなった。
比較例3、4では、(b1)成分を含有してなく、(b2)成分を含有しているため、比誘電率、誘電正接が高くなった。
比較例5、6では、(b2)成分の配合量が多いため、誘電正接が高くなった。
[プリプレグの製造方法]
実施例1、実施例11、実施例15、比較例3、比較例4で調製した各樹脂組成物1,000gとシクロペンタノン1,000gを混合し、石英ガラスクロスSQX2116AC(厚さ90μm、(株)信越化学工業製)に含浸させ、120℃で5分加熱してシクロペンタノンを揮発させ、プリプレグを製造した。環状イミド樹脂組成物の含有量(質量%)、プリプレグの厚さを表4に記載した。
[銅張積層板の製造方法]
上記で得られたプリプレグと厚さ18μmの銅箔(商品名:TQ-M4-VSP、(株)三井金属製)を順に10枚ずつ重ねて3MPaでプレスし、200℃で1時間加熱して銅張積層板を製造した。
[プリント配線板の製造方法]
上記で得られた銅張積層板に、厚さ30μmのドライレジストフィルム(NIT430E、(株)ニッコー・マテリアルズ製)を80℃、60秒で真空ラミネートして張り合わせた。その後回路パターンが形成されたマスクを接触させ、上部からUVを照射し、炭酸水素ナトリウム水溶液で現像した。その後エッチング液(H-1000A、(株)サンハヤト製)に含浸させてエッチングし、水酸化ナトリウム水溶液洗浄することで回路が形成されたプリント配線板を製造した。
[伝送損失]
ネットワークアナライザー(キーサイトテクノロジー社製、品番E5071C)を用い、導体長さを400mm、銅箔厚さを18μm、ライン幅を0.12mm、絶縁層の厚さを0.20mmとし、特性インピーダンスが50Ωになるように調整して、40GHzにおける伝送損失を測定した。結果を表4に記載した。
Figure 2023110977000042
実施例では、伝送損失の値が小さいプリント配線板を製造できた。
比較例では、(b1)成分を含有してなく、(b2)成分を含有しているため、伝送損失の値が大きくなった。

Claims (11)

  1. 下記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する環状イミド樹脂組成物。
    (a)重量平均分子量が2,000~1,000,000である下記式(1)で表される環状イミド化合物
    Figure 2023110977000043
    (式(1)中、Aは独立して環状構造を含む4価の有機基を示す。Bは独立してヘテロ原子を含んでもよい炭素数6以上の2価の炭化水素基である。Xは水素原子又はメチル基である。mは1~1000である。)
    (b)分子量が2,000未満であり、かつアルケニル基、マレイミド基、(メタ)アクリル基、エポキシ基及びシアネート基から選ばれる基を1分子中に少なくとも2つ有する化合物であって、
    (b1)Gaussian 16で計算された双極子モーメントが1.2DeBye未満である化合物 (a)成分100質量部に対し1~50質量部
    (b2)Gaussian 16で計算された双極子モーメントが1.2DeBye以上である化合物 (a)成分100質量部に対し10質量部以下
    (c)硬化触媒
  2. 式(1)中のAで示される有機基が下記構造式で示される4価の有機基のいずれかである請求項1に記載の環状イミド樹脂組成物。
    Figure 2023110977000044
    (上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。)
  3. (a)成分の環状イミド化合物が、下記式(2)で表される環状イミド化合物である請求項1に記載の環状イミド樹脂組成物。
    Figure 2023110977000045
    (式(2)中、Aは独立して環状構造を含む4価の有機基を示す。B1は独立してヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~60のアルキレン基又はダイマー酸骨格由来の2価炭化水素基である。B2は独立してヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~30のアリーレン基である。Xは水素原子またはメチル基である。WはB1又はB2である。m1は0~500であり、m2は1~500である。)
  4. 式(2)中のB1のヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~60のアルキレン基が下記構造式で示される基及びダイマー酸骨格由来の2価炭化水素基から選ばれるものである請求項3に記載の環状イミド樹脂組成物。
    Figure 2023110977000046
    (R1は互いに独立に水素原子または炭素数1~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を示す。p1及びp2はそれぞれ5以上の数であり、同じであっても異なっていてもよく、p3及びp4はそれぞれ0以上の数であり、同じであっても異なっていてもよく、p5は6~60の数である。上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(2)において環状イミド構造を形成する窒素原子と結合するものである。)
  5. 式(2)中のB2で示されるヘテロ原子を含んでもよい炭素数6~30のアリーレン基が下記構造式で示される基のいずれかである請求項3または4に記載の環状イミド樹脂組成物。
    Figure 2023110977000047
    (R2は互いに独立に水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、R3は互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であり、Zは酸素原子、硫黄原子又はメチレン基である。上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(2)において環状イミド構造を形成する窒素原子と結合するものである。)
  6. (a)成分の環状イミド化合物が、式(2)中のm1が0である環状イミド化合物である請求項3~5のいずれか1項に記載の環状イミド樹脂組成物。
  7. 請求項1~6いずれか1項に記載の環状イミド樹脂組成物を含有してなる液状接着剤。
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載の環状イミド樹脂組成物を含有してなるフィルム。
  9. 請求項1~6のいずれか1項に記載の環状イミド樹脂組成物を含有してなるプリプレグ。
  10. 請求項9に記載のプリプレグを含有する銅張積層板。
  11. 請求項10に記載の銅張積層板を含有するプリント配線板。
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