本発明は、霧化の分野に関し、より具体的には、電子霧化装置及びそのアトマイザーに関する。
電子霧化装置は、主に、アトマイザーと電源装置で構成される。従来のアトマイザーは、通常、ベースに吸気孔を開設して外気を取り込んでいる。しかし、吸入過程の継続に伴って、吸気孔部分に大量の凝縮液が蓄積するため、吸気孔が閉塞されやすい。これにより、吸入時の吸引抵抗が増加し、騒音が増大するほか、液漏れのリスクも存在する。
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術における上記の欠点に対し、改良したアトマイザーと、当該アトマイザーを有する電子霧化装置を提供することである。
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
内部に貯液室が形成されている貯液ケースと、前記貯液ケースの一端に設置されるベースを含むアトマイザーを構成する。
前記ベースは吸気ボスを含む。前記吸気ボスは前記貯液室に向かう上面を有し、前記上面は張り出し形状をなしている。前記吸気ボスには、前記上面から前記貯液室と離間するよう延伸する複数の吸気小孔が形成されている。
いくつかの実施例において、前記上面は球形の表面をなしている。
いくつかの実施例において、前記複数の吸気小孔は、いくつかの第1吸気小孔と、前記いくつかの第1吸気小孔の外側を取り囲むいくつかの第2吸気小孔を含む。前記第1吸気小孔と前記第2吸気小孔は異なる吸気断面積を有している。
いくつかの実施例において、前記第1吸気小孔の吸気断面積は前記第2吸気小孔の吸気断面積よりも小さい、又は大きい。
いくつかの実施例において、前記いくつかの第1吸気小孔と、前記いくつかの第2吸気小孔は、それぞれ環状をなすようアレイ状に等間隔で分布しており、且つ、前記第1吸気小孔の数は前記第2吸気小孔の数よりも少ない。
いくつかの実施例では、前記第1吸気小孔を4つ有する。且つ、4つの前記第1吸気小孔は、前記吸気ボスの中心に沿って均一且つ対称に分布している。また、前記第2吸気小孔を10個有する。且つ、10個の前記第2吸気小孔は、前記吸気ボスの中心に沿って均一且つ対称に分布している。
いくつかの実施例において、前記アトマイザーの動作時における空力騒音が61.4dBよりも小さくなるよう、前記第1吸気小孔の吸気断面積は前記第2吸気小孔の吸気断面積よりも小さい。
いくつかの実施例において、前記ベースは主体部を含み、前記吸気ボスは、前記主体部の上端面から上向きに延伸して形成される。
いくつかの実施例において、前記主体部には、前記複数の吸気小孔と連通する吸気孔が形成されている。
いくつかの実施例において、前記吸気孔の吸気断面積は、前記複数の吸気小孔の吸気断面積の合計よりも大きい。
いくつかの実施例において、前記アトマイザーは、更に、前記貯液ケースに設置されて、液を案内するよう前記貯液室と連通する吸液体を含む。
いくつかの実施例において、前記アトマイザーは、更に、前記貯液ケースに設置されるとともに、前記ベースに覆設される密封部材を含む。
いくつかの実施例において、前記密封部材はボス部を含む。前記ボス部は前記吸液体と前記吸気ボスの間に設置される。前記ボス部には、前記複数の吸気小孔と連通する吸気貫通孔が形成されている。
いくつかの実施例において、前記吸気貫通孔の上端の端面は、前記ボス部の上端の端面よりも高い。
いくつかの実施例において、前記吸気貫通孔は、ベースに面する吸気区間と、前記ベースから離間する排気区間を含む。前記吸気区間の横断面積は前記排気区間の横断面積よりも大きい。
いくつかの実施例において、前記吸気区間と前記排気区間の間はなだらかに移行するよう接続される。
いくつかの実施例において、前記吸気貫通孔における前記吸気ボスから離間する一端の排気口の横断面積は、前記吸気ボスの横断面積よりも小さい。
いくつかの実施例において、前記密封部材は本体部を含む。前記本体部は、環状をなしており、且つ密封状に前記ベースと前記貯液ケースの間に配設される。前記ボス部における対向する2つの側は、前記本体部の対向する2つの側にそれぞれ接続される。
いくつかの実施例において、前記アトマイザーは、更に、前記貯液ケース内に設置されるとともに、前記ベースに係合及び接続される発熱ベースを含み、前記吸液体は前記発熱ベースと前記ベースの間に収容される。
本発明は、更に、上記いずれかで記載したアトマイザーと、前記アトマイザーに電気的に接続される電源装置を含む電子霧化装置を提供する。
本発明を実施することで、少なくとも以下の有益な効果を有する。
吸気ボスの上面を張り出し形状に設計することで、吸気ボスの中心領域における凝縮液は外側に流動する傾向を持ち得る。これにより、複数の吸気小孔部分の凝縮液を速やかに排出可能となり、大量の凝集が回避されるため、凝縮液が当該複数の吸気小孔から漏出するとの事態が減少する。
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
図1は、本発明のいくつかの実施例における電子霧化装置の立体構造の概略図である。
図2は、本発明の第1実施例におけるアトマイザーの縦方向断面構造の概略図である。
図3は、図2における発熱モジュールの立体構造の概略図である。
図4は、図3に示した発熱モジュールのA-A断面構造の概略図である。
図5は、図3に示した発熱モジュールのB-B断面構造の概略図である。
図6は、図3に示した発熱モジュールの分解構造の概略図である。
図7は、図6におけるベースの立体構造の概略図である。
図8は、図7に示したベースの騒音シミュレーションの分布図である。
図9は、図6における密封部材の立体構造の概略図である。
図10は、図6における発熱ベースの立体構造の概略図である。
図11は、図10に示した発熱ベースの側面図である。
図12は、図3に示した発熱モジュールをシミュレーション分析した際の吸入停止時における貯液換気構造の気液二相分布図を示す。
図13は、図3に示した発熱モジュールの換気圧力のグラフを示す。
図14は、従来技術のいくつかの実施例における発熱モジュールの立体構造の概略図を示す。
図15は、図14に示した発熱モジュールの換気圧力のグラフを示す。
図16は、本発明の第1の代替方案におけるベースの平面図を示す。
図17は、図16に示したベースの騒音シミュレーションの分布図である。
図18は、従来技術のいくつかの実施例におけるベースの平面図を示す。
図19は、図18に示したベースの騒音シミュレーションの分布図である。
図20は、本発明の第2の代替方案におけるベースの立体構造の概略図を示す。
図21は、図20に示したベースの縦方向構造の概略図である。
図22は、図21に示したベースにおける凝縮液の流動の概略図を示す。
図23は、本発明の第3の代替方案における密封部材の立体構造の概略図を示す。
図24は、本発明の第4の代替方案における密封部材の立体構造の概略図を示す。
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。以下の記載では、本発明が十分に理解されるよう、多くの具体的詳細事項について説明する。ただし、本発明は、ここで記載するものとは異なるその他の多くの方式で実施可能であり、当業者は、本発明の内容を逸脱しなければ、類似の改良を行うことが可能である。よって、本発明は以下で開示する具体的実施例に制限されない。
本発明の記載において、理解すべき点として、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「天井」、「底」、「内」、「外」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係、或いは、本発明の製品を使用する際の慣習的な配置の方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。
また、「第1」、「第2」との用語は記載の便宜上のものにすぎず、相対的な重要性を明示又は暗示するものと解釈すべきでも、対象となる技術的特徴の数を示唆するものと解釈すべきでもない。そのため、「第1」、「第2」で限定される特徴は、明示的又は暗示的に少なくとも1つの当該特徴を含み得る。また、本発明の記載において、別途明確且つ具体的に限定している場合を除き、「複数」とは少なくとも2つの意味であり、例えば、2つ、3つ等である。
本発明では、別途明確に規定及び限定している場合を除き、「装着する」、「連なる」、「接続する」、「固定する」等の用語は広義に解釈すべきである。例えば、別途明確に限定している場合を除き、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体をなしていてもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。また、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよいし、2つの部材内部の連通であってもよいし、2つの部材の相互作用関係であってもよい。当業者は、具体的状況に応じて、本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
本発明では、別途明確に規定及び限定している場合を除き、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあるとは、第1及び第2の特徴が直接的に接触していてもよいし、第1及び第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接触していてもよい。且つ、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあるとは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上方にあってもよいし、単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも高いことを表していてもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあるとは、第1の特徴が第2の特徴の真下又は斜め下方にあってもよいし、単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも低いことを表していてもよい。
図1は、本発明のいくつかの実施例における電子霧化装置1を示す。当該電子霧化装置1は、エアロゾルを吸入するために使用可能であり、アトマイザー100と、アトマイザー100に電気的に接続される電源装置200を含み得る。電源装置200はアトマイザー100に電気を供給するために用いられる。また、アトマイザー100は、液状の基質を収容し、通電後に当該液状の基質を加熱により霧化してエアロゾルを生成するために用いられる。アトマイザー100は、縦方向に電源装置200の上方に設置され、取り外し可能又は取り外し不可能な方式で電源装置200に接続可能である。
図2に示すように、本発明の第1実施例におけるアトマイザー100は、貯液ケース10と、貯液ケース10に収容される発熱モジュール20を含み得る。貯液ケース10内には、液状の基質を貯えるための貯液室110と、エアロゾルを排出するための排気経路120が形成されている。発熱モジュール20は、ベースモジュール30、霧化コア40及び発熱ベースモジュール50を含む。霧化コア40は、ベースモジュール30と発熱ベースモジュール50の間に形成された空間に収容される。霧化コア40は、液を案内するよう貯液室110と連通するとともに、ガスを案内するよう排気経路120と連通しており、貯液室110から吸着した液状の基質を加熱により霧化してエアロゾルを生成するために用いられる。ベースモジュール30と霧化コア40の間には、エアロゾルと空気の混合を実現するための霧化室420が形成されている。
具体的に、貯液ケース10は、下端が開口した筐体11と、縦方向に筐体11内に設置される排気管12を含み得る。筐体11は筒状をなしており、その横断面は、おおよそ、細長い楕円形やトラック(track)型等の形状をなし得る。筐体11の内壁面と排気管12の外壁面の間には環状の貯液室110が規定される。
排気管12は、筐体11の天井壁の内側に接続されるとともに、筐体11と同軸に設置可能である。排気管12の内壁面は排気経路120を規定する。本実施例において、排気管12と筐体11は一体的に成型され、例えば、射出成形方式で一体的に成型可能である。また、その他の実施例において、排気管12と筐体11は別々に成型したあとに組み付けてもよい。
図2~図7に示すように、霧化コア40は、吸液体41と、吸液体41に設置される発熱体42を含む。吸液体41は、液を案内するよう貯液室110と連通しており、貯液室110から液状の基質を吸入し、当該液状の基質を発熱体42に伝達するために用いられる。発熱体42は、電源装置200に電気的に接続されており、通電して発熱したあと、吸液体41から吸着した液状の基質を加熱により霧化してエアロゾルを生成するために用いられる。
吸液体41は、多孔質吸液セラミックス、吸液綿等の多孔質毛細管構造を有する材料で製造可能である。吸液体41は、吸液面411及び発熱面412を有する。発熱面412は発熱体42を設置するために用いられる。吸液面411は、貯液室110からの液状の基質を吸収し、吸液体41内部の多孔質毛細管構造によって当該液状の基質を発熱面412に伝達するために用いられる。具体的に、本実施例において、吸液体41は碗状の多孔質吸液セラミックスである。吸液面411は、吸液体41における貯液室110に面する側に位置し、発熱面412は、吸液体41における貯液室110とは反対の側に位置する。発熱体42は発熱面412に設置される。即ち、発熱体42は、吸液体41におけるベースモジュール30に面する側に設置される。
ベースモジュール30は、ベース31と、縦方向にベース31に挿設される電極棒33を含み得る。ベース31は、筐体11の下端の開口箇所に嵌設されて、筐体11の下端の開口を密封状に封止する。ベース31は、プレート状の主体部311、主体部311の外周縁から上向きに延伸する筒状の側壁312、及び、主体部311の上端面から上向きに延伸する2つの間隔を置いて設置される支持アーム314を含み得る。当該2つの支持アーム314は、主体部311における長さ方向の対向する2つの側にそれぞれ位置することができ、発熱ベース52との係合に使用可能である。また、主体部311の上端面と筒状の側壁312の内壁面が貯液空間3120を規定する。当該貯液空間3120は一定の凝縮液を蓄積し得るため、液漏れが更に減少する。
更に、前記ベース31は、主体部311の上端面から上向きに延伸する吸気ボス313を更に含む。吸気ボス313は筒状の側壁312内に設置されており、幅方向の両側の外壁面が、筒状の側壁312における幅方向の両側の内壁面にそれぞれ一体的に結合可能である。また、外気を霧化室420に進入可能とするために、吸気ボス313の天井面が下方に窪むことで複数の吸気小孔3130が形成されている。当該複数の吸気小孔3130はアレイ状に分布させればよい。これにより、十分な吸気量が保証されるとともに、当該複数の吸気小孔3130に形成される表面張力膜が、更に、液漏れを減少させる作用を奏し得る。そのほか、吸気小孔3130を吸気ボス313に形成することで、吸気小孔3130の上端の端面が貯液空間3120の底面よりも高くなるため、吸気小孔313からの液漏れのリスクを更に低下させられる。
更に、前記複数の吸気小孔3130は、いくつかの第1吸気小孔3131と、当該いくつかの第1吸気小孔3131の外側を取り囲むいくつかの第2吸気小孔3132を含み得る。当該いくつかの第1吸気小孔3131及びいくつかの第2吸気小孔3132は、それぞれ、環状(例えば、円環状、楕円環状、四角環状又は多角環状等)をなすように、アレイ状に等間隔で分布させればよい。また、第1吸気小孔3131の数は第2吸気小孔3132の数よりも少なくすればよい。いくつかの実施例において、第1吸気小孔3131の数は3~6個とすればよく、第2吸気小孔3132の数は6~15個とすればよい。本実施例では、第1吸気小孔3131を4つ有する。且つ、当該4つの第1吸気小孔3131は、吸気ボス313の中心に沿って均一且つ対称に分布している。また、第2吸気小孔3132を10個有する。且つ、当該10個の第2吸気小孔3132は、吸気ボス313の中心に沿って均一且つ対称に分布している。
前記第1吸気小孔3131と第2吸気小孔3132は異なる吸気断面積を有している。複数の吸気小孔3130を等しくない断面とする形式によれば、空力騒音を低下させられる。更に、本実施例において、第1吸気小孔3131の吸気断面積は第2吸気小孔3132の吸気断面積よりも小さい。且つ、当該いくつかの第1吸気小孔3131と、いくつかの第2吸気小孔3132はいずれも環状をなすようアレイ状に分布している。即ち、本実施例において、吸気小孔3130の構造形式は、「外周が大孔、中央が小孔」の形式である。内周に位置するいくつかの第1吸気小孔3131の吸気断面積は小さいため、凝縮液の漏れを効果的に減少させられる。また、外周に位置するいくつかの第2吸気小孔3132の吸気断面積は大きいため、吸引抵抗と騒音のバランスを取ることで、十分な吸気面積と適切な吸引抵抗を有するよう保証し得る。
主体部311の下端面には、更に、上方に窪むことで吸気孔3110が形成されていてもよい。吸気孔3110は縦方向に延伸している。また、吸気孔3110の上端は、外気を霧化室420に進入可能とする吸気経路315を形成するよう、前記複数の吸気小孔3130の下端と連通している。更に、吸気孔3110の吸気断面積は、前記複数の吸気小孔3130の吸気断面積の合計よりも大きい。
主体部311には、更に、電極棒33を挿通するための電極貫通孔3111が設置されている。通常は電極棒33を2つ有し、2つの電極棒33がそれぞれ発熱体42の2極に電気的に接続される。電極棒33の上端の端面は発熱体42に接触して導通する。そのほか、電極棒33は、霧化コア40を支持する役割も発揮する。また、これに対応して、電極貫通孔3111を2つ有する。2つの電極棒33は、それぞれ縦方向に2つの電極貫通孔3111に挿設される。本実施例において、前記2つの電極貫通孔3111は、筒状の側壁312内に位置するとともに、吸気ボス313における長さ方向の両側にそれぞれ位置し得る。更に、電極貫通孔3111からの液漏れのリスクを低下させられるよう、各電極貫通孔3111の上端の端面は、貯液空間3120の底面よりも高くすればよい。
いくつかの実施例において、前記アトマイザー100は固定カバー60を更に含んでもよい。当該固定カバー60は、ベース31の外側に覆設されるとともに、筐体11の下端に覆設されることで、ベース31を固定する。更に、固定カバー60は筐体11にフック接続可能である。これにより、固定カバー60と筐体11の固定が実現される。固定カバー60には金属材質を採用すればよい。金属材質は、温度の変化時に発生する熱膨張・収縮変形が小さいため、アトマイザー100の各部品間の固定がいっそう安定的且つ確実となり、密封性がより良好となる。そのほか、金属材質の固定カバー60は、電源装置200との磁気吸着接続にも使用可能である。理解し得るように、その他の実施例では、固定カバー60を設置せず、ベース31と筐体11をフック接続、螺接、締り嵌め接続等の方式で互いに固定してもよい。
更に、図3~図6及び図9に示すように、前記ベースモジュール30は、更に、ベース31の外側に覆設される密封部材32を含む。密封部材32は、密封状に筐体11の内壁面とベース31の外壁面の間に設置される。密封部材32は、シリコーン等の弾性材料で一体的に成型可能である。密封部材32は、本体部321と、本体部321の対向する2つの側から上向きにそれぞれ延伸する2つの嵌接部322と、本体部321の対向する別の2つの側の間に設置されるボス部323を含み得る。当該本体部321は、環状をなしており、且つ密封状に筒状の側壁312の外壁面と筐体11の内壁面の間に配設される。本体部321の外周面は、筐体11の底端の内周面に締り嵌め可能なことから、更に密封性が向上する。
2つの嵌接部322は、本体部321における長手方向(長さ方向)の両側の外縁から上向きにそれぞれ延伸して形成される。2つの嵌接部322は、それぞれ、発熱ベース52の両側の外部に覆設されて、密封部材32の長手方向を位置規制可能である。これにより、密封部材32の長手方向における装着の歪みが防止される。2つの嵌接部322は、筐体11内の長手方向に沿う空間のみを占有し、筐体11内の短手方向の空間は占有しない。よって、当該構造は、アトマイザー100の軽量・薄型化設計を実現するのに有利である。
ボス部323の両側の外壁面は、それぞれ、本体部321の短手方向(幅方向)の両側の内壁面に一体的に結合される。ボス部323は、発熱ベース52の底部に嵌入されて、密封部材32の短手方向を位置規制可能である。これにより、密封部材32の短手方向における装着の歪みが防止される。
ボス部323には、縦方向に沿って、複数の吸気小孔3130及び霧化室420とそれぞれ連通する少なくとも1つの吸気貫通孔3230が形成されている。本実施例では、吸気貫通孔3230を1つ有する。且つ、当該1つの吸気貫通孔3230とボス部323、本体部321は同軸に設置される。理解し得るように、その他の実施例において、吸気貫通孔3230の数は1つに限らず、且つ、ボス部323及び/又は本体部321と同軸に設置されなくともよい。ボス部323は複数の吸気小孔3130の上方に位置する。吸液体41の発熱面412に液跳ねが発生した場合、ボス部323は、跳ねた液滴の一部が吸気小孔3130の表面に直接跳ねることのないようブロック可能なため、液漏れが減少する。また、吸入が停止された場合には、陰圧の作用でベイパーが逆流する。しかし、逆流したベイパーは、ボス部323の作用で大部分が吸気小孔3130に直接接触することがない。これにより、吸気小孔3130における凝縮液の形成が減少するため、液漏れのリスクが低下する。
吸気貫通孔3230は、複数の吸気小孔3130と連通する吸気区間3231と、霧化室420と連通する排気区間3232を含み得る。本実施例において、吸気貫通孔3230は収縮形状をなしている。即ち、吸気区間3231の横断面積は排気区間3232の横断面積よりも大きい。収縮形状をなす吸気貫通孔3230は、吸気時に気流を集束させられる。これにより、流速が上昇するため、霧化室420内のエアロゾルは気流に付随して急速に排出される。吸入が停止されると、陰圧の作用でベイパーは逆流する。しかし、ベイパーは、排気区間3232から吸気区間3231に向かう際に流速が低下するため、ベイパーの逆流を減少させられる。また、上部に位置する排気区間3232の横断面積は小さく、凝縮液が漏出しにくいため、液漏れを減少させられる。更に、排気区間3232の上端(吸気区間3231から離間する一端)の排気口部分の横断面積は、吸気ボス313の横断面積より小さくすればよい。
液漏れを更に減少させるために、排気区間3232の上端の端面(霧化室420に面する一端の端面)は、その周囲におけるボス部323の上端の端面よりも高くすればよい。更に、吸気区間3231と排気区間3232の間は、曲面によってなだらかに移行するよう接続してもよい。これにより、吸気区間3231と排気区間3232との接続箇所における気流の抵抗力を減少させることができ、当該接続箇所における渦流の発生が回避されるため、気流騒音を効果的に減少させられる。
吸気区間3231と排気区間3232の横断面形状は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施例において、吸気区間3231の横断面形状は円形である。且つ、吸気区間3231の孔径は、下から上に向かって(排気区間3232とは離間する一端から排気区間3232に近接する一端に向かう方向)徐々に小さくなっている。また、排気区間3232は、横断面形状がトラック(track)形状のまっすぐな貫通孔となっている。即ち、排気区間3232の長軸の長さと短軸の長さは、いずれも縦方向において一定である。吸気区間3231と排気区間3232の間は、接続区間3233を介してなだらかに移行するよう接続される。当該接続区間3233は、吸気区間3231と連通する第1端と、排気区間3232と連通する第2端を有する。当該第1端の横断面形状及びサイズは、吸気区間3231の上端の横断面形状及びサイズと一致している。また、当該第2端の横断面形状及びサイズは、排気区間3232の下端の横断面形状及びサイズと一致している。接続区間3233の横断面形状は、第1端の円形から第2端のトラック形状まで徐々に変化している。理解し得るように、その他の実施例において、吸気区間3231及び排気区間3232の横断面形状は、円形、楕円形、四角形等のその他の形状をなしてもよい。
ボス部323には、更に、2つの電極棒33をそれぞれ挿通するための2つの電極孔3236が設置されている。当該2つの電極孔3236は、それぞれ、吸気貫通孔3230における長さ方向の両側に位置し得る。密封部材32には、更に、2つの支持アーム314にそれぞれ対応して2つの退避孔3210が形成されている。2つの支持アーム314は、それぞれ、2つの退避孔3210に挿通されて発熱ベース52と係合可能である。具体的に、ボス部323の長さ方向における延伸長は、本体部321の長さ方向における延伸長よりも小さい。また、前記2つの退避孔3210は、それぞれ、ボス部323における長さ方向の両側の外壁面と、本体部321における長さ方向の両側の内壁面の間に形成される。
更に、ボス部323の天井面が下方に窪んで、及び/又は、ボス部323の底面が上方に窪んでいくつかの導流溝3234が形成されている。当該いくつかの導流溝3234は、吸気貫通孔3230及び2つの電極孔3236を退避孔3210と連通させる。導流溝3234は、微小な細溝構造をなしており、液状の基質に対し強い毛細管力を有し得る。よって、毛細管力の作用の下で、吸気貫通孔3230及び2つの電極孔3236部分の漏出液を吸着し、当該漏出液を退避孔3210に案内することで、退避孔3210を経由して貯液空間3120に落下させられるため、液漏れが更に減少する。
図3~図6及び図10~図11に示すように、発熱ベースモジュール50は発熱ベース52を含む。発熱ベース52は、ベース31に係合及び接続されて、霧化コア40を固定する。本実施例において、発熱ベース52及びベース31はいずれもプラスチック材質でなり、且つ、発熱ベース52とベース31は互いに掛接される。
発熱ベース52には、吸液体41を貯液室110と連通させる少なくとも1つの給液孔520が形成されている。貯液室110内の液状の基質は、当該少なくとも1つの給液孔520を通じて吸液体41の吸液面411に給液され得る。霧化コア40は発熱ベース52に収容可能である。また、発熱ベース52の側壁には、更に、吸液体41の少なくとも一部の側面を露出させる少なくとも1つの開口527が形成されている。本実施例では、給液孔520を2つ有する。2つの給液孔520は、それぞれ、発熱ベース52における長さ方向の両側に位置する。また、開口527を2つ有する。2つの開口527は、それぞれ、発熱ベース52の幅方向における両側に位置する。
更に、発熱ベース52の外表面には、少なくとも1つの貯液換気構造521が更に形成されている。当該少なくとも1つの貯液換気構造521は、貯液室110と連通しており、貯液室110内の気圧を平衡させるために使用可能である。貯液室110内の気圧が低下しすぎた場合には、外気が貯液換気構造521を通じて貯液室110に進入可能である。これにより、貯液室110内の気圧が低下しすぎたために給液が滞るとの事態が回避されるため、空焚きの発生が防止される。
具体的に、本実施例では、貯液換気構造521を2つ有する。2つの貯液換気構造521は、それぞれ、発熱ベース52における長さ方向の両側に形成される。且つ、当該2つの貯液換気構造521は、発熱ベース52の中心軸線に対し回転対称となるよう設置可能である。
各貯液換気構造521は、いずれも、発熱ベース52における貯液室110に近接する一端に形成される換気経路522と、発熱ベース52における貯液室110から離間する一端に形成される貯液溝524及び張力遮断溝526と、換気経路522と貯液溝524を連通させる吸液溝口523と、換気経路522と張力遮断溝526を連通させる換気入口525を含む。換気経路522は、一端が貯液室110と連通しており、他端が、それぞれ、吸液溝口523及び換気入口525を介して貯液溝524及び張力遮断溝526と連通している。換気入口525は、外気を換気経路522に取り込むために用いられる。また、吸液溝口523は、毛細管力によって、液状の基質(例えば、換気経路522内の凝縮液又は漏出液、霧化コア40上で形成された凝縮液又は漏出液、或いは、その他の部位で形成された凝縮液又は漏出液等)を貯液溝524に吸い込むために用いられる。これにより、換気と貯液を分離することで、液状の基質による換気経路522の閉塞を防止する。また、吸液溝口523にいっそう大きな毛細管力が形成されるよう、換気入口525の幅は吸液溝口523の幅よりも大きくなっている。これにより、換気経路522内の液状の基質を吸液溝口523経由で貯液溝524に吸い込み、気液分離を実現する。
具体的に、換気経路522は、発熱ベース52の周方向に延伸するいくつかの換気溝5221と、当該いくつかの換気溝5221と連通し縦方向に延伸する導気溝5222と、導気溝5222と連通し横方向に延伸する還気溝5223を含む。前記いくつかの換気溝5221は、発熱ベース52における貯液室110に近接する一端の外周面が内側に窪むことで形成可能である。且つ、当該いくつかの換気溝5221は平行に間隔を置いて設置可能である。また、導気溝5222は、発熱ベース52の側面が内側に窪んで形成される。導気溝5222は、一端が最も上方に位置する1つの換気溝5221と連通しており、他端が上向きに発熱ベース52の天井面まで延伸している。還気溝5223は、発熱ベース52の天井面が下側に窪んで形成される。還気溝5223は、一端が導気溝5222と連通しており、他端が、対応する側の給液孔520と連通している。
換気溝5221、導気溝5222、還気溝5223はいずれも微小な細溝構造をなしており、ガスの流動は妨げないが、液状の基質の流動は妨げ得る。これにより、換気経路522が換気及び液遮断の機能を有するよう保証されるため、貯液室110内の液状の基質が換気経路522を通じて漏出する恐れが減少する。いくつかの実施例において、換気溝5221、導気溝5222、還気溝5223の幅は0.3~0.6mmとすればよく、深さは0.3~0.6mmとすればよい。
貯液溝524は、発熱ベース52の周方向に延伸する複数のサブ貯液溝5241を含む。当該複数のサブ貯液溝5241は、発熱ベース52における貯液室110から離間する一端の外周面が内側に窪むことで形成可能である。且つ、当該複数のサブ貯液溝5241は平行に間隔を置いて設置可能である。更に、各サブ貯液溝5241の周方向の両端は、それぞれ2つの開口527まで延伸するとともに、当該2つの開口527とそれぞれ連通可能である。これにより、サブ貯液溝5241と吸液体41を連通させる。貯液溝524に凝縮液が蓄積された(又は、液状の基質が換気経路522から貯液溝524に漏出した)あとは、吸液体41と貯液溝524の隙間の毛細管力によって、当該凝縮液(又は液状の基質)が吸液体41に吸い込まれる。よって、凝縮液が換気経路522から貯液室110に逆流して電源装置200に漏出するとのリスクが減少する。
サブ貯液溝5241は微小な細溝構造をなしており、液状の基質に対し強い毛細管力を有するため、毛細管力の作用によって、換気溝5221内の凝縮液を吸着可能である。いくつかの実施例において、サブ貯液溝5241の幅は0.3~0.6mmとすればよく、深さは0.3~0.6mmとすればよい。
張力遮断溝526は、換気経路522及び貯液溝524よりも広い幅を有しており、貯液溝524内の凝縮液が貯液室110に逆流して貯液室110の圧力を変動させることで給液に影響を及ぼすとの事態を防止し、換気圧力を更に安定させるために用いられる。張力遮断溝526は、縦方向に延伸させればよく、下端が最も下方に位置する1つのサブ貯液溝5241と連通可能であり、上端が最も上方に位置する1つのサブ貯液溝5241と連通する。これにより、張力遮断溝526を通じて複数のサブ貯液溝5241間を互いに連通させる。張力遮断溝526の幅は、換気入口525の幅よりも大きくすればよい。いくつかの実施例において、張力遮断溝526の幅は1~3mmとすればよく、深さは0.5~1.2mmとすればよい。
吸液溝口523及び換気入口525は、それぞれ、換気経路522における貯液室110から離間する一端の周方向の両側と連通可能である。いくつかの実施例において、換気入口525は、いくつかの換気溝5221のうちの1つと連通可能であり、吸液溝口523は、いくつかの換気溝5221のうちの別のものと連通可能である。具体的に、本実施例において、前記いくつかの換気溝5221は、最も下方に位置する1つの第1換気溝5224と、第1換気溝5224の上方に位置して第1換気溝5224と隣接する第2換気溝5225を含み得る。吸液溝口523は、上端が第1換気溝5224の周方向の一方の側と連通可能であり、下端が、縦方向において、最も上方に位置する1つのサブ貯液溝5241まで下向きに延伸して当該サブ貯液溝5241と連通可能である。換気入口525は、上端が第2換気溝5225の周方向の他方の側と連通可能であり、下端が、縦方向において、張力遮断溝526の上端と連通するまで下向きに延伸する。図11の矢印で示すように、空気は、換気入口525から第2換気溝5225に進入したあと、当該第2換気溝5225の上方に位置するいくつかの換気溝5221を順に経由して導気溝5222まで流動し、最後に、還気溝5223を経由して貯液室110に進入することで、貯液室110内の気圧を平衡させる。いくつかの実施例において、吸液溝口523の幅は0.3~0.6mmとすればよく、深さは0.3~0.6mmとすればよい。また、換気入口525の幅は0.6~1.5mmとすればよく、深さは0.3~0.6mmとすればよい。
理解し得るように、その他の実施例では、換気入口525及び吸液溝口523が同一の換気溝5221と連通してもよい。また、換気入口525及び吸液溝口523が当該1つの換気溝5221(例えば、第1換気溝5224)の周方向の両端とそれぞれ連通してもよい。
吸入過程では、液状の基質が貯液室110から換気経路522に吸い込まれるが、液状の基質は、換気入口525まで吸い込まれたときに表面張力に抗する必要がある。このとき、換気入口525が換気経路522からの液状の基質の吸い出しを防止する役割を発揮するとともに、底部に位置する1つの第1換気溝5224が液状の基質の一部を吸収する。図12は、吸入停止時点の貯液換気構造521内における気液二相分布図を示す。吸入3s、停止27sをテスト条件とし、吸入3s後に停止した時点の貯液換気構造521内における液相の体積部をテストした。当該気液二相分布図から明らかなように、吸入を停止した時点で、液相(主に吸入過程で貯液室110から漏出したもの)は主として換気経路522に分布しており、貯液溝524内の液相分布はわずかであるか、液相分布はほぼ見られなかった。これにより、換気経路522からの液状の基質の流出を良好に防止可能であった。
更に、再び図4~図6に示すように、発熱ベースモジュール50は、更に、発熱ベース52の上方に覆設される密封カバー53と、発熱ベース52に収容されるとともに発熱ベース52と吸液体41の間に設置されるガスケット51を含む。密封カバー53及びガスケット51は、いずれもシリコーン等の弾性材料で製造可能である。ガスケット51は環状のシート状をなし得る。ガスケット51は、密封状に発熱ベース52と吸液体41の間にしっかりと当接し、緩衝及び密封性の保証、液漏れ防止の役割を発揮可能である。密封カバー53は、発熱ベース52の上部に覆設されて、貯液室110の下端を密封するとともに、霧化室420と貯液室110を密封状に隔離するために用いられる。密封カバー53の外周面は、筐体11の内周面に締り嵌め可能なことから、更に密封性が向上する。密封カバー53の天井面には、更に、下方に窪むことで通気孔530が形成されていてもよい。排気管12の下端は通気孔530内に嵌設可能である。排気管12の下端の外周面が通気孔530の孔壁に密封状に係合することで、排気経路120と貯液室110が密封状に隔離される。
図14は、従来技術のいくつかの実施例における発熱モジュールを示す。当該発熱モジュールは、霧化トップベース115、霧化コア12及び霧化ボトムベース116を含む。霧化トップベース115の外表面には換気溝112が設置されている。当該換気溝112は、第1サブ換気溝1121及び第2サブ換気溝1122を含む。霧化ボトムベース116の外表面には排出溝114及び貯液溝113が設置されている。排出溝114の一端は換気溝112と連通しており、排出溝114の他端は貯液溝113と連通している。貯液溝113は複数のサブ貯液溝1131を含む。
図13及び図15は、それぞれ、図3及び図14に示した発熱モジュールの換気圧力のグラフを示す。図中の横軸は吸入時間であり、縦軸は貯液室の圧力である。当該テスト実験では、吸入3s、停止27s、電力6Wをテスト条件とした。図3に示した発熱モジュールは、換気溝5221を4つ有しており、各換気溝5221の幅は0.35mm、深さは0.4mmであった。また、換気入口525の幅は1mm、深さは0.4mmであり、張力遮断溝526の幅は2mm、深さは0.8mmであった。図14に示した発熱モジュールは、第2サブ換気溝1122を4つ有しており、各第2サブ換気溝1122の幅は0.35mm、深さは0.4mmであった。また、排出溝114における第2サブ換気溝1122と連通する一端の入口の幅は0.6mm、深さは0.4mmであった。図13及び図15から明らかなように、図3に示した発熱モジュールの方が換気圧力の変動範囲が小さく、且つ、大部分が1口につき1回換気していた(即ち、換気時間が短く、換気速度が速かった)。一方、図14に示した発熱モジュールの方が換気圧力の変動範囲が大きく、且つ、大部分が2口につき1回換気していた(即ち、換気時間が長く、換気速度が遅かった)。比較すると、図3に示した発熱モジュールの方が高い換気安定性を有していた。また、換気時には底部に位置する1つの第1換気溝5224を経由せず、短い換気経路を有していたため、小さな換気圧力及び速い換気速度を有していた。このことから、換気不良による焦げ臭さの発生やベイパー量の減少といった事態を効果的に回避可能であった。
図16は、本発明の第1の代替方案におけるベース31を示す。本方案と上記の第1実施例との主な違いは以下の通りである。本実施例において、第1吸気小孔3131の吸気断面積は第2吸気小孔3132の吸気断面積よりも大きい。即ち、吸気小孔3130の構造形式は、「外周が小孔、中央が大孔」の形式である。
図18は、従来技術のいくつかの実施例におけるベース31を示す。当該ベース31において、第1吸気小孔3131の吸気断面積は第2吸気小孔3132の吸気断面積と等しい。
図8、図17、図19は、それぞれ、図7、図16、図18に示したベースの騒音シミュレーションの分布図を示す。テスト実験において、図7、図16、図18に示したベースは、いずれも4つの第1吸気小孔3131及び10個の第2吸気小孔3132を含んでいた。図7において、第1吸気小孔3131の孔径は3.5mm、第2吸気小孔3132の孔径は4.5mmであり、最大空力騒音は61.37dBであった。図16において、第1吸気小孔3131の孔径は4.5mm、第2吸気小孔3132の孔径は3.5mmであり、最大空力騒音は66.52dBであった。図18において、第1吸気小孔3131、第2吸気小孔3132の孔径はいずれも3.5mmであり、最大空力騒音は70.83dBであった。図8、図17、図19から明らかなように、図7、図16に示した大小の孔が交互に設置される吸気小孔構造では、いずれも吸入時の空力騒音を明らかに低下させることができた。一方、図18に示した吸気小孔構造では大きな空力騒音が存在した。また、図7に示した「外周が大孔、中央が小孔」形式を有する吸気小孔構造の場合に、吸入時の空力騒音が最小となり、気流に対する均一な導流効果が最良となった。そのため、設計時には、第1吸気小孔3131の吸気断面積を第2吸気小孔3132の吸気断面積よりも小さくすればよい。適切な数及びサイズ(例えば、孔径又は吸気断面積等)の第1吸気小孔3131、第2吸気小孔3132を選択することで、アトマイザー100の動作時における空力騒音は61.4dBよりも小さくなる。
図20~図21は、本発明の第2の代替方案におけるベース31を示す。本方案と上記の第1実施例との主な違いは以下の通りである。本実施例において、吸気ボス313の上面3133は張り出し形状となっている。具体的に、当該上面3133は球形の表面をなし得る。吸気ボス313上の複数の吸気小孔3130は、当該上面3133から下方に延伸している。また、その他の実施例において、当該上面3133は、円錐台形等のその他の形状をなしてもよい。また、外周に位置する第2吸気小孔3132は、上面3133の外縁に近接するよう設置可能である。
図22に示すように、吸気ボス313を内側が小孔、外側が大孔となる張り出し形状に設計することで、外周の第2吸気小孔3132部分に形成される凝縮液の膜境界35は、略球面形状を有するとともに、貯液空間3120内に蓄積される凝縮液と連通可能となる。これにより、凝縮液は吸気小孔3130の外側に流動する傾向を持つようなる。なお、凝縮液の流動方向は図22の矢印で示す通りである。吸気小孔3130が凝縮液で覆われた場合、中央の第1吸気小孔3131は孔径が小さいため、凝縮液が流出しにくい。一方、外周の第2吸気小孔3132の凝縮液は、ベース31に蓄積された凝縮液と連通し、ベース31に蓄積された凝縮液により容易に排出されることで、ベース31の貯液空間3120に速やかに拡散可能となる。以上により、吸気小孔3130は容易に閉塞されない。
図23は、本発明の第3の代替方案における密封部材32を示す。本方案と上記の第1実施例との主な違いは以下の通りである。本実施例では、ボス部323に電極孔3236が設置されていない。また、ボス部323における長さ方向の両側の側面がそれぞれ内側に窪むことで、退避孔3210と連通する退避溝3235が形成されている。当該構造によれば、吸気貫通孔3230を設計する際の形状及び大きさに対する影響を減少させられる。
図24は、本発明の第4の代替方案における密封部材32を示す。本方案と上記の第1実施例との主な違いは以下の通りである。本実施例では、ボス部323に電極孔3236が設置されていない。当該構造によれば、吸気貫通孔3230を設計する際の形状及び大きさに対する影響を減少させられる。
理解し得るように、上記の各技術的特徴は、制限なく任意に組み合わせて使用することが可能である。
以上の実施例は本発明の好ましい実施形態を示したにすぎず、比較的具体的且つ詳細に記載したが、これにより本発明の権利範囲が制限されると解釈すべきではない。指摘すべき点として、当業者であれば、本発明の構想を逸脱しないことを前提に、上記の技術的特性を自由に組み合わせることも、若干の変形及び改良を行うことも可能であり、これらはいずれも本発明の保護の範囲に属する。従って、本発明の特許請求の範囲で行われる等価の変形及び補足は、いずれも本発明の請求項がカバーする範囲に属するものとする。
本発明は、霧化の分野に関し、より具体的には、電子霧化装置及びそのアトマイザーに関する。
電子霧化装置は、主に、アトマイザーと電源装置で構成される。従来のアトマイザーは、通常、ベースに吸気孔を開設して外気を取り込んでいる。しかし、吸入過程の継続に伴って、吸気孔部分に大量の凝縮液が蓄積するため、吸気孔が閉塞されやすい。これにより、吸入時の吸引抵抗が増加し、騒音が増大するほか、液漏れのリスクも存在する。
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術における上記の欠点に対し、改良したアトマイザーと、当該アトマイザーを有する電子霧化装置を提供することである。
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
内部に貯液室が形成されている貯液ケースと、前記貯液ケースの一端に設置されるベースを含むアトマイザーを構成する。
前記ベースは吸気ボスを含む。前記吸気ボスは前記貯液室に向かう上面を有し、前記上面は張り出し形状をなしている。前記吸気ボスには、前記上面から前記貯液室と離間するよう延伸する複数の吸気小孔が形成されている。
いくつかの実施例において、前記上面は球形の表面をなしている。
いくつかの実施例において、複数の前記吸気小孔は、いくつかの第1吸気小孔と、前記いくつかの第1吸気小孔の外側を取り囲むいくつかの第2吸気小孔を含む。前記第1吸気小孔と前記第2吸気小孔は異なる吸気断面積を有している。
いくつかの実施例において、前記第1吸気小孔の吸気断面積は前記第2吸気小孔の吸気断面積よりも小さい、又は大きい。
いくつかの実施例において、前記いくつかの第1吸気小孔と、前記いくつかの第2吸気小孔は、それぞれ環状をなすようアレイ状に等間隔で分布しており、且つ、前記第1吸気小孔の数は前記第2吸気小孔の数よりも少ない。
いくつかの実施例では、前記第1吸気小孔を4つ有する。且つ、4つの前記第1吸気小孔は、前記吸気ボスの中心に沿って均一且つ対称に分布している。また、前記第2吸気小孔を10個有する。且つ、10個の前記第2吸気小孔は、前記吸気ボスの中心に沿って均一且つ対称に分布している。
いくつかの実施例において、前記アトマイザーの動作時における空力騒音が61.4dBよりも小さくなるよう、前記第1吸気小孔の吸気断面積は前記第2吸気小孔の吸気断面積よりも小さい。
いくつかの実施例において、前記ベースは主体部を含み、前記吸気ボスは、前記主体部の上端面から上向きに延伸して形成される。
いくつかの実施例において、前記主体部には、複数の前記吸気小孔と連通する吸気孔が形成されている。
いくつかの実施例において、前記吸気孔の吸気断面積は、複数の前記吸気小孔の吸気断面積の合計よりも大きい。
いくつかの実施例において、前記アトマイザーは、更に、前記貯液ケースに設置されて、液を案内するよう前記貯液室と連通する吸液体を含む。
いくつかの実施例において、前記アトマイザーは、更に、前記貯液ケースに設置されるとともに、前記ベースに覆設される密封部材を含む。
いくつかの実施例において、前記密封部材はボス部を含む。前記ボス部は前記吸液体と前記吸気ボスの間に設置される。前記ボス部には、複数の前記吸気小孔と連通する吸気貫通孔が形成されている。
いくつかの実施例において、前記吸気貫通孔の上端の端面は、前記ボス部の上端の端面よりも高い。
いくつかの実施例において、前記吸気貫通孔は、ベースに面する吸気区間と、前記ベースから離間する排気区間を含む。前記吸気区間の横断面積は前記排気区間の横断面積よりも大きい。
いくつかの実施例において、前記吸気区間と前記排気区間の間はなだらかに移行するよう接続される。
いくつかの実施例において、前記吸気貫通孔における前記吸気ボスから離間する一端の排気口の横断面積は、前記吸気ボスの横断面積よりも小さい。
いくつかの実施例において、前記密封部材は本体部を含む。前記本体部は、環状をなしており、且つ密封状に前記ベースと前記貯液ケースの間に配設される。前記ボス部における対向する2つの側は、前記本体部の対向する2つの側にそれぞれ接続される。
いくつかの実施例において、前記アトマイザーは、更に、前記貯液ケース内に設置されるとともに、前記ベースに係合及び接続される発熱ベースを含み、前記吸液体は前記発熱ベースと前記ベースの間に収容される。
本発明は、更に、内部に貯液室が形成されている貯液ケースと、前記貯液ケースの一端に設置されるベースを含み、前記ベースは吸気ボスを含み、前記吸気ボスには、少なくとも1つの第1吸気小孔及び少なくとも1つの第2吸気小孔が形成されており、前記第1吸気小孔と前記第2吸気小孔は異なる吸気断面積を有しているアトマイザーを提供する。
いくつかの実施例において、少なくとも1つの前記第1吸気小孔は複数の第1吸気小孔を含み、少なくとも1つの前記第2吸気小孔は複数の第2吸気小孔を含み、複数の前記第2吸気小孔は複数の前記第1吸気小孔の外側を取り囲んでいる。
いくつかの実施例において、複数の前記第1吸気小孔と複数の前記第2吸気小孔は、それぞれ環状をなすようアレイ状に等間隔で分布している。
いくつかの実施例において、前記アトマイザーは、更に、前記貯液ケース内に設置されるボス部を含む。前記ボス部には、少なくとも1つの前記第1吸気小孔及び少なくとも1つの前記第2吸気小孔と連通する吸気貫通孔が形成されている。
本発明は、更に、上記いずれかで記載したアトマイザーと、前記アトマイザーに電気的に接続される電源装置を含む電子霧化装置を提供する。
本発明を実施することで、少なくとも以下の有益な効果を有する。
吸気ボスの上面を張り出し形状に設計することで、吸気ボスの中心領域における凝縮液は外側に流動する傾向を持ち得る。これにより、複数の吸気小孔部分の凝縮液を速やかに排出可能となり、大量の凝集が回避されるため、凝縮液が当該複数の吸気小孔から漏出するとの事態が減少する。
また、吸気ボス上の吸気小孔を、異なる吸気断面積を有するように設置することで、吸入時の空力騒音を低下させられる。
図1は、本発明のいくつかの実施例における電子霧化装置の立体構造の概略図である。
図2は、本発明の第1実施例におけるアトマイザーの縦方向断面構造の概略図である。
図3は、図2における発熱モジュールの立体構造の概略図である。
図4は、図3に示した発熱モジュールのA-A断面構造の概略図である。
図5は、図3に示した発熱モジュールのB-B断面構造の概略図である。
図6は、図3に示した発熱モジュールの分解構造の概略図である。
図7は、図6におけるベースの立体構造の概略図である。
図8は、図7に示したベースの騒音シミュレーションの分布図である。
図9は、図6における密封部材の立体構造の概略図である。
図10は、図6における発熱ベースの立体構造の概略図である。
図11は、図10に示した発熱ベースの側面図である。
図12は、図3に示した発熱モジュールをシミュレーション分析した際の吸入停止時における貯液換気構造の気液二相分布図を示す。
図13は、図3に示した発熱モジュールの換気圧力のグラフを示す。
図14は、従来技術のいくつかの実施例における発熱モジュールの立体構造の概略図を示す。
図15は、図14に示した発熱モジュールの換気圧力のグラフを示す。
図16は、本発明の第1の代替方案におけるベースの平面図を示す。
図17は、図16に示したベースの騒音シミュレーションの分布図である。
図18は、従来技術のいくつかの実施例におけるベースの平面図を示す。
図19は、図18に示したベースの騒音シミュレーションの分布図である。
図20は、本発明の第2の代替方案におけるベースの立体構造の概略図を示す。
図21は、図20に示したベースの縦方向構造の概略図である。
図22は、図21に示したベースにおける凝縮液の流動の概略図を示す。
図23は、本発明の第3の代替方案における密封部材の立体構造の概略図を示す。
図24は、本発明の第4の代替方案における密封部材の立体構造の概略図を示す。
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。以下の記載では、本発明が十分に理解されるよう、多くの具体的詳細事項について説明する。ただし、本発明は、ここで記載するものとは異なるその他の多くの方式で実施可能であり、当業者は、本発明の内容を逸脱しなければ、類似の改良を行うことが可能である。よって、本発明は以下で開示する具体的実施例に制限されない。
本発明の記載において、理解すべき点として、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「天井」、「底」、「内」、「外」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係、或いは、本発明の製品を使用する際の慣習的な配置の方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。
また、「第1」、「第2」との用語は記載の便宜上のものにすぎず、相対的な重要性を明示又は暗示するものと解釈すべきでも、対象となる技術的特徴の数を示唆するものと解釈すべきでもない。そのため、「第1」、「第2」で限定される特徴は、明示的又は暗示的に少なくとも1つの当該特徴を含み得る。また、本発明の記載において、別途明確且つ具体的に限定している場合を除き、「複数」とは少なくとも2つの意味であり、例えば、2つ、3つ等である。
本発明では、別途明確に規定及び限定している場合を除き、「装着する」、「連なる」、「接続する」、「固定する」等の用語は広義に解釈すべきである。例えば、別途明確に限定している場合を除き、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体をなしていてもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。また、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよいし、2つの部材内部の連通であってもよいし、2つの部材の相互作用関係であってもよい。当業者は、具体的状況に応じて、本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
本発明では、別途明確に規定及び限定している場合を除き、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあるとは、第1及び第2の特徴が直接的に接触していてもよいし、第1及び第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接触していてもよい。且つ、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあるとは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上方にあってもよいし、単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも高いことを表していてもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあるとは、第1の特徴が第2の特徴の真下又は斜め下方にあってもよいし、単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも低いことを表していてもよい。
図1は、本発明のいくつかの実施例における電子霧化装置1を示す。当該電子霧化装置1は、エアロゾルを吸入するために使用可能であり、アトマイザー100と、アトマイザー100に電気的に接続される電源装置200を含み得る。電源装置200はアトマイザー100に電気を供給するために用いられる。また、アトマイザー100は、液状の基質を収容し、通電後に当該液状の基質を加熱により霧化してエアロゾルを生成するために用いられる。アトマイザー100は、縦方向に電源装置200の上方に設置され、取り外し可能又は取り外し不可能な方式で電源装置200に接続可能である。
図2に示すように、本発明の第1実施例におけるアトマイザー100は、貯液ケース10と、貯液ケース10に収容される発熱モジュール20を含み得る。貯液ケース10内には、液状の基質を貯えるための貯液室110と、エアロゾルを排出するための排気経路120が形成されている。発熱モジュール20は、ベースモジュール30、霧化コア40及び発熱ベースモジュール50を含む。霧化コア40は、ベースモジュール30と発熱ベースモジュール50の間に形成された空間に収容される。霧化コア40は、液を案内するよう貯液室110と連通するとともに、ガスを案内するよう排気経路120と連通しており、貯液室110から吸着した液状の基質を加熱により霧化してエアロゾルを生成するために用いられる。ベースモジュール30と霧化コア40の間には、エアロゾルと空気の混合を実現するための霧化室420が形成されている。
具体的に、貯液ケース10は、下端が開口した筐体11と、縦方向に筐体11内に設置される排気管12を含み得る。筐体11は筒状をなしており、その横断面は、おおよそ、細長い楕円形やトラック(track)型等の形状をなし得る。筐体11の内壁面と排気管12の外壁面の間には環状の貯液室110が規定される。
排気管12は、筐体11の天井壁の内側に接続されるとともに、筐体11と同軸に設置可能である。排気管12の内壁面は排気経路120を規定する。本実施例において、排気管12と筐体11は一体的に成型され、例えば、射出成形方式で一体的に成型可能である。また、その他の実施例において、排気管12と筐体11は別々に成型したあとに組み付けてもよい。
図2~図7に示すように、霧化コア40は、吸液体41と、吸液体41に設置される発熱体42を含む。吸液体41は、液を案内するよう貯液室110と連通しており、貯液室110から液状の基質を吸入し、当該液状の基質を発熱体42に伝達するために用いられる。発熱体42は、電源装置200に電気的に接続されており、通電して発熱したあと、吸液体41から吸着した液状の基質を加熱により霧化してエアロゾルを生成するために用いられる。
吸液体41は、多孔質吸液セラミックス、吸液綿等の多孔質毛細管構造を有する材料で製造可能である。吸液体41は、吸液面411及び発熱面412を有する。発熱面412は発熱体42を設置するために用いられる。吸液面411は、貯液室110からの液状の基質を吸収し、吸液体41内部の多孔質毛細管構造によって当該液状の基質を発熱面412に伝達するために用いられる。具体的に、本実施例において、吸液体41は碗状の多孔質吸液セラミックスである。吸液面411は、吸液体41における貯液室110に面する側に位置し、発熱面412は、吸液体41における貯液室110とは反対の側に位置する。発熱体42は発熱面412に設置される。即ち、発熱体42は、吸液体41におけるベースモジュール30に面する側に設置される。
ベースモジュール30は、ベース31と、縦方向にベース31に挿設される電極棒33を含み得る。ベース31は、筐体11の下端の開口箇所に嵌設されて、筐体11の下端の開口を密封状に封止する。ベース31は、プレート状の主体部311、主体部311の外周縁から上向きに延伸する筒状の側壁312、及び、主体部311の上端面から上向きに延伸する2つの間隔を置いて設置される支持アーム314を含み得る。当該2つの支持アーム314は、主体部311における長さ方向の対向する2つの側にそれぞれ位置することができ、発熱ベース52との係合に使用可能である。また、主体部311の上端面と筒状の側壁312の内壁面が貯液空間3120を規定する。当該貯液空間3120は一定の凝縮液を蓄積し得るため、液漏れが更に減少する。
更に、前記ベース31は、主体部311の上端面から上向きに延伸する吸気ボス313を更に含む。吸気ボス313は筒状の側壁312内に設置されており、幅方向の両側の外壁面が、筒状の側壁312における幅方向の両側の内壁面にそれぞれ一体的に結合可能である。また、外気を霧化室420に進入可能とするために、吸気ボス313の天井面が下方に窪むことで複数の吸気小孔3130が形成されている。当該複数の吸気小孔3130はアレイ状に分布させればよい。これにより、十分な吸気量が保証されるとともに、当該複数の吸気小孔3130に形成される表面張力膜が、更に、液漏れを減少させる作用を奏し得る。そのほか、吸気小孔3130を吸気ボス313に形成することで、吸気小孔3130の上端の端面が貯液空間3120の底面よりも高くなるため、吸気小孔3130からの液漏れのリスクを更に低下させられる。
更に、複数の前記吸気小孔3130は、いくつかの第1吸気小孔3131と、当該いくつかの第1吸気小孔3131の外側を取り囲むいくつかの第2吸気小孔3132を含み得る。当該いくつかの第1吸気小孔3131及びいくつかの第2吸気小孔3132は、それぞれ、環状(例えば、円環状、楕円環状、四角環状又は多角環状等)をなすように、アレイ状に等間隔で分布させればよい。また、第1吸気小孔3131の数は第2吸気小孔3132の数よりも少なくすればよい。いくつかの実施例において、第1吸気小孔3131の数は3~6個とすればよく、第2吸気小孔3132の数は6~15個とすればよい。本実施例では、第1吸気小孔3131を4つ有する。且つ、当該4つの第1吸気小孔3131は、吸気ボス313の中心に沿って均一且つ対称に分布している。また、第2吸気小孔3132を10個有する。且つ、当該10個の第2吸気小孔3132は、吸気ボス313の中心に沿って均一且つ対称に分布している。
前記第1吸気小孔3131と第2吸気小孔3132は異なる吸気断面積を有している。複数の吸気小孔3130を等しくない断面とする形式によれば、空力騒音を低下させられる。更に、本実施例において、第1吸気小孔3131の吸気断面積は第2吸気小孔3132の吸気断面積よりも小さい。且つ、当該いくつかの第1吸気小孔3131と、いくつかの第2吸気小孔3132はいずれも環状をなすようアレイ状に分布している。即ち、本実施例において、吸気小孔3130の構造形式は、「外周が大孔、中央が小孔」の形式である。内周に位置するいくつかの第1吸気小孔3131の吸気断面積は小さいため、凝縮液の漏れを効果的に減少させられる。また、外周に位置するいくつかの第2吸気小孔3132の吸気断面積は大きいため、吸引抵抗と騒音のバランスを取ることで、十分な吸気面積と適切な吸引抵抗を有するよう保証し得る。
主体部311の下端面には、更に、上方に窪むことで吸気孔3110が形成されていてもよい。吸気孔3110は縦方向に延伸している。また、吸気孔3110の上端は、外気を霧化室420に進入可能とする吸気経路315を形成するよう、複数の前記吸気小孔3130の下端と連通している。更に、吸気孔3110の吸気断面積は、複数の前記吸気小孔3130の吸気断面積の合計よりも大きい。
主体部311には、更に、電極棒33を挿通するための電極貫通孔3111が設置されている。通常は電極棒33を2つ有し、2つの電極棒33がそれぞれ発熱体42の2極に電気的に接続される。電極棒33の上端の端面は発熱体42に接触して導通する。そのほか、電極棒33は、霧化コア40を支持する役割も発揮する。また、これに対応して、電極貫通孔3111を2つ有する。2つの電極棒33は、それぞれ縦方向に2つの電極貫通孔3111に挿設される。本実施例において、2つの前記電極貫通孔3111は、筒状の側壁312内に位置するとともに、吸気ボス313における長さ方向の両側にそれぞれ位置し得る。更に、電極貫通孔3111からの液漏れのリスクを低下させられるよう、各電極貫通孔3111の上端の端面は、貯液空間3120の底面よりも高くすればよい。
いくつかの実施例において、前記アトマイザー100は固定カバー60を更に含んでもよい。当該固定カバー60は、ベース31の外側に覆設されるとともに、筐体11の下端に覆設されることで、ベース31を固定する。更に、固定カバー60は筐体11にフック接続可能である。これにより、固定カバー60と筐体11の固定が実現される。固定カバー60には金属材質を採用すればよい。金属材質は、温度の変化時に発生する熱膨張・収縮変形が小さいため、アトマイザー100の各部品間の固定がいっそう安定的且つ確実となり、密封性がより良好となる。そのほか、金属材質の固定カバー60は、電源装置200との磁気吸着接続にも使用可能である。理解し得るように、その他の実施例では、固定カバー60を設置せず、ベース31と筐体11をフック接続、螺接、締り嵌め接続等の方式で互いに固定してもよい。
更に、図3~図6及び図9に示すように、前記ベースモジュール30は、更に、ベース31の外側に覆設される密封部材32を含む。密封部材32は、密封状に筐体11の内壁面とベース31の外壁面の間に設置される。密封部材32は、シリコーン等の弾性材料で一体的に成型可能である。密封部材32は、本体部321と、本体部321の対向する2つの側から上向きにそれぞれ延伸する2つの嵌接部322と、本体部321の対向する別の2つの側の間に設置されるボス部323を含み得る。当該本体部321は、環状をなしており、且つ密封状に筒状の側壁312の外壁面と筐体11の内壁面の間に配設される。本体部321の外周面は、筐体11の底端の内周面に締り嵌め可能なことから、更に密封性が向上する。
2つの嵌接部322は、本体部321における長手方向(長さ方向)の両側の外縁から上向きにそれぞれ延伸して形成される。2つの嵌接部322は、それぞれ、発熱ベース52の両側の外部に覆設されて、密封部材32の長手方向を位置規制可能である。これにより、密封部材32の長手方向における装着の歪みが防止される。2つの嵌接部322は、筐体11内の長手方向に沿う空間のみを占有し、筐体11内の短手方向の空間は占有しない。よって、当該構造は、アトマイザー100の軽量・薄型化設計を実現するのに有利である。
ボス部323の両側の外壁面は、それぞれ、本体部321の短手方向(幅方向)の両側の内壁面に一体的に結合される。ボス部323は、発熱ベース52の底部に嵌入されて、密封部材32の短手方向を位置規制可能である。これにより、密封部材32の短手方向における装着の歪みが防止される。
ボス部323には、縦方向に沿って、複数の吸気小孔3130及び霧化室420とそれぞれ連通する少なくとも1つの吸気貫通孔3230が形成されている。本実施例では、吸気貫通孔3230を1つ有する。且つ、当該1つの吸気貫通孔3230とボス部323、本体部321は同軸に設置される。理解し得るように、その他の実施例において、吸気貫通孔3230の数は1つに限らず、且つ、ボス部323及び/又は本体部321と同軸に設置されなくともよい。ボス部323は複数の吸気小孔3130の上方に位置する。吸液体41の発熱面412に液跳ねが発生した場合、ボス部323は、跳ねた液滴の一部が吸気小孔3130の表面に直接跳ねることのないようブロック可能なため、液漏れが減少する。また、吸入が停止された場合には、陰圧の作用でベイパーが逆流する。しかし、逆流したベイパーは、ボス部323の作用で大部分が吸気小孔3130に直接接触することがない。これにより、吸気小孔3130における凝縮液の形成が減少するため、液漏れのリスクが低下する。
吸気貫通孔3230は、複数の吸気小孔3130と連通する吸気区間3231と、霧化室420と連通する排気区間3232を含み得る。本実施例において、吸気貫通孔3230は収縮形状をなしている。即ち、吸気区間3231の横断面積は排気区間3232の横断面積よりも大きい。収縮形状をなす吸気貫通孔3230は、吸気時に気流を集束させられる。これにより、流速が上昇するため、霧化室420内のエアロゾルは気流に付随して急速に排出される。吸入が停止されると、陰圧の作用でベイパーは逆流する。しかし、ベイパーは、排気区間3232から吸気区間3231に向かう際に流速が低下するため、ベイパーの逆流を減少させられる。また、上部に位置する排気区間3232の横断面積は小さく、凝縮液が漏出しにくいため、液漏れを減少させられる。更に、排気区間3232の上端(吸気区間3231から離間する一端)の排気口部分の横断面積は、吸気ボス313の横断面積より小さくすればよい。
液漏れを更に減少させるために、排気区間3232の上端の端面(霧化室420に面する一端の端面)は、その周囲におけるボス部323の上端の端面よりも高くすればよい。更に、吸気区間3231と排気区間3232の間は、曲面によってなだらかに移行するよう接続してもよい。これにより、吸気区間3231と排気区間3232との接続箇所における気流の抵抗力を減少させることができ、当該接続箇所における渦流の発生が回避されるため、気流騒音を効果的に減少させられる。
吸気区間3231と排気区間3232の横断面形状は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施例において、吸気区間3231の横断面形状は円形である。且つ、吸気区間3231の孔径は、下から上に向かって(排気区間3232とは離間する一端から排気区間3232に近接する一端に向かう方向)徐々に小さくなっている。また、排気区間3232は、横断面形状がトラック(track)形状のまっすぐな貫通孔となっている。即ち、排気区間3232の長軸の長さと短軸の長さは、いずれも縦方向において一定である。吸気区間3231と排気区間3232の間は、接続区間3233を介してなだらかに移行するよう接続される。当該接続区間3233は、吸気区間3231と連通する第1端と、排気区間3232と連通する第2端を有する。当該第1端の横断面形状及びサイズは、吸気区間3231の上端の横断面形状及びサイズと一致している。また、当該第2端の横断面形状及びサイズは、排気区間3232の下端の横断面形状及びサイズと一致している。接続区間3233の横断面形状は、第1端の円形から第2端のトラック形状まで徐々に変化している。理解し得るように、その他の実施例において、吸気区間3231及び排気区間3232の横断面形状は、円形、楕円形、四角形等のその他の形状をなしてもよい。
ボス部323には、更に、2つの電極棒33をそれぞれ挿通するための2つの電極孔3236が設置されている。当該2つの電極孔3236は、それぞれ、吸気貫通孔3230における長さ方向の両側に位置し得る。密封部材32には、更に、2つの支持アーム314にそれぞれ対応して2つの退避孔3210が形成されている。2つの支持アーム314は、それぞれ、2つの退避孔3210に挿通されて発熱ベース52と係合可能である。具体的に、ボス部323の長さ方向における延伸長は、本体部321の長さ方向における延伸長よりも小さい。また、2つの前記退避孔3210は、それぞれ、ボス部323における長さ方向の両側の外壁面と、本体部321における長さ方向の両側の内壁面の間に形成される。
更に、ボス部323の天井面が下方に窪んで、及び/又は、ボス部323の底面が上方に窪んでいくつかの導流溝3234が形成されている。当該いくつかの導流溝3234は、吸気貫通孔3230及び2つの電極孔3236を退避孔3210と連通させる。導流溝3234は、微小な細溝構造をなしており、液状の基質に対し強い毛細管力を有し得る。よって、毛細管力の作用の下で、吸気貫通孔3230及び2つの電極孔3236部分の漏出液を吸着し、当該漏出液を退避孔3210に案内することで、退避孔3210を経由して貯液空間3120に落下させられるため、液漏れが更に減少する。
図3~図6及び図10~図11に示すように、発熱ベースモジュール50は発熱ベース52を含む。発熱ベース52は、ベース31に係合及び接続されて、霧化コア40を固定する。本実施例において、発熱ベース52及びベース31はいずれもプラスチック材質でなり、且つ、発熱ベース52とベース31は互いに掛接される。
発熱ベース52には、吸液体41を貯液室110と連通させる少なくとも1つの給液孔520が形成されている。貯液室110内の液状の基質は、当該少なくとも1つの給液孔520を通じて吸液体41の吸液面411に給液され得る。霧化コア40は発熱ベース52に収容可能である。また、発熱ベース52の側壁には、更に、吸液体41の少なくとも一部の側面を露出させる少なくとも1つの開口527が形成されている。本実施例では、給液孔520を2つ有する。2つの給液孔520は、それぞれ、発熱ベース52における長さ方向の両側に位置する。また、開口527を2つ有する。2つの開口527は、それぞれ、発熱ベース52の幅方向における両側に位置する。
更に、発熱ベース52の外表面には、少なくとも1つの貯液換気構造521が更に形成されている。当該少なくとも1つの貯液換気構造521は、貯液室110と連通しており、貯液室110内の気圧を平衡させるために使用可能である。貯液室110内の気圧が低下しすぎた場合には、外気が貯液換気構造521を通じて貯液室110に進入可能である。これにより、貯液室110内の気圧が低下しすぎたために給液が滞るとの事態が回避されるため、空焚きの発生が防止される。
具体的に、本実施例では、貯液換気構造521を2つ有する。2つの貯液換気構造521は、それぞれ、発熱ベース52における長さ方向の両側に形成される。且つ、当該2つの貯液換気構造521は、発熱ベース52の中心軸線に対し回転対称となるよう設置可能である。
各貯液換気構造521は、いずれも、発熱ベース52における貯液室110に近接する一端に形成される換気経路522と、発熱ベース52における貯液室110から離間する一端に形成される貯液溝524及び張力遮断溝526と、換気経路522と貯液溝524を連通させる吸液溝口523と、換気経路522と張力遮断溝526を連通させる換気入口525を含む。換気経路522は、一端が貯液室110と連通しており、他端が、それぞれ、吸液溝口523及び換気入口525を介して貯液溝524及び張力遮断溝526と連通している。換気入口525は、外気を換気経路522に取り込むために用いられる。また、吸液溝口523は、毛細管力によって、液状の基質(例えば、換気経路522内の凝縮液又は漏出液、霧化コア40上で形成された凝縮液又は漏出液、或いは、その他の部位で形成された凝縮液又は漏出液等)を貯液溝524に吸い込むために用いられる。これにより、換気と貯液を分離することで、液状の基質による換気経路522の閉塞を防止する。また、吸液溝口523にいっそう大きな毛細管力が形成されるよう、換気入口525の幅は吸液溝口523の幅よりも大きくなっている。これにより、換気経路522内の液状の基質を吸液溝口523経由で貯液溝524に吸い込み、気液分離を実現する。
具体的に、換気経路522は、発熱ベース52の周方向に延伸するいくつかの換気溝5221と、当該いくつかの換気溝5221と連通し縦方向に延伸する導気溝5222と、導気溝5222と連通し横方向に延伸する還気溝5223を含む。いくつかの前記換気溝5221は、発熱ベース52における貯液室110に近接する一端の外周面が内側に窪むことで形成可能である。且つ、当該いくつかの換気溝5221は平行に間隔を置いて設置可能である。また、導気溝5222は、発熱ベース52の側面が内側に窪んで形成される。導気溝5222は、一端が最も上方に位置する1つの換気溝5221と連通しており、他端が上向きに発熱ベース52の天井面まで延伸している。還気溝5223は、発熱ベース52の天井面が下側に窪んで形成される。還気溝5223は、一端が導気溝5222と連通しており、他端が、対応する側の給液孔520と連通している。
換気溝5221、導気溝5222、還気溝5223はいずれも微小な細溝構造をなしており、ガスの流動は妨げないが、液状の基質の流動は妨げ得る。これにより、換気経路522が換気及び液遮断の機能を有するよう保証されるため、貯液室110内の液状の基質が換気経路522を通じて漏出する恐れが減少する。いくつかの実施例において、換気溝5221、導気溝5222、還気溝5223の幅は0.3~0.6mmとすればよく、深さは0.3~0.6mmとすればよい。
貯液溝524は、発熱ベース52の周方向に延伸する複数のサブ貯液溝5241を含む。当該複数のサブ貯液溝5241は、発熱ベース52における貯液室110から離間する一端の外周面が内側に窪むことで形成可能である。且つ、当該複数のサブ貯液溝5241は平行に間隔を置いて設置可能である。更に、各サブ貯液溝5241の周方向の両端は、それぞれ2つの開口527まで延伸するとともに、当該2つの開口527とそれぞれ連通可能である。これにより、サブ貯液溝5241と吸液体41を連通させる。貯液溝524に凝縮液が蓄積された(又は、液状の基質が換気経路522から貯液溝524に漏出した)あとは、吸液体41と貯液溝524の隙間の毛細管力によって、当該凝縮液(又は液状の基質)が吸液体41に吸い込まれる。よって、凝縮液が換気経路522から貯液室110に逆流して電源装置200に漏出するとのリスクが減少する。
サブ貯液溝5241は微小な細溝構造をなしており、液状の基質に対し強い毛細管力を有するため、毛細管力の作用によって、換気溝5221内の凝縮液を吸着可能である。いくつかの実施例において、サブ貯液溝5241の幅は0.3~0.6mmとすればよく、深さは0.3~0.6mmとすればよい。
張力遮断溝526は、換気経路522及び貯液溝524よりも広い幅を有しており、貯液溝524内の凝縮液が貯液室110に逆流して貯液室110の圧力を変動させることで給液に影響を及ぼすとの事態を防止し、換気圧力を更に安定させるために用いられる。張力遮断溝526は、縦方向に延伸させればよく、下端が最も下方に位置する1つのサブ貯液溝5241と連通可能であり、上端が最も上方に位置する1つのサブ貯液溝5241と連通する。これにより、張力遮断溝526を通じて複数のサブ貯液溝5241間を互いに連通させる。張力遮断溝526の幅は、換気入口525の幅よりも大きくすればよい。いくつかの実施例において、張力遮断溝526の幅は1~3mmとすればよく、深さは0.5~1.2mmとすればよい。
吸液溝口523及び換気入口525は、それぞれ、換気経路522における貯液室110から離間する一端の周方向の両側と連通可能である。いくつかの実施例において、換気入口525は、いくつかの換気溝5221のうちの1つと連通可能であり、吸液溝口523は、いくつかの換気溝5221のうちの別のものと連通可能である。具体的に、本実施例において、いくつかの前記換気溝5221は、最も下方に位置する1つの第1換気溝5224と、第1換気溝5224の上方に位置して第1換気溝5224と隣接する第2換気溝5225を含み得る。吸液溝口523は、上端が第1換気溝5224の周方向の一方の側と連通可能であり、下端が、縦方向において、最も上方に位置する1つのサブ貯液溝5241まで下向きに延伸して当該サブ貯液溝5241と連通可能である。換気入口525は、上端が第2換気溝5225の周方向の他方の側と連通可能であり、下端が、縦方向において、張力遮断溝526の上端と連通するまで下向きに延伸する。図11の矢印で示すように、空気は、換気入口525から第2換気溝5225に進入したあと、当該第2換気溝5225の上方に位置するいくつかの換気溝5221を順に経由して導気溝5222まで流動し、最後に、還気溝5223を経由して貯液室110に進入することで、貯液室110内の気圧を平衡させる。いくつかの実施例において、吸液溝口523の幅は0.3~0.6mmとすればよく、深さは0.3~0.6mmとすればよい。また、換気入口525の幅は0.6~1.5mmとすればよく、深さは0.3~0.6mmとすればよい。
理解し得るように、その他の実施例では、換気入口525及び吸液溝口523が同一の換気溝5221と連通してもよい。また、換気入口525及び吸液溝口523が当該1つの換気溝5221(例えば、第1換気溝5224)の周方向の両端とそれぞれ連通してもよい。
吸入過程では、液状の基質が貯液室110から換気経路522に吸い込まれるが、液状の基質は、換気入口525まで吸い込まれたときに表面張力に抗する必要がある。このとき、換気入口525が換気経路522からの液状の基質の吸い出しを防止する役割を発揮するとともに、底部に位置する1つの第1換気溝5224が液状の基質の一部を吸収する。図12は、吸入停止時点の貯液換気構造521内における気液二相分布図を示す。吸入3s、停止27sをテスト条件とし、吸入3s後に停止した時点の貯液換気構造521内における液相の体積部をテストした。当該気液二相分布図から明らかなように、吸入を停止した時点で、液相(主に吸入過程で貯液室110から漏出したもの)は主として換気経路522に分布しており、貯液溝524内の液相分布はわずかであるか、液相分布はほぼ見られなかった。これにより、換気経路522からの液状の基質の流出を良好に防止可能であった。
更に、再び図4~図6に示すように、発熱ベースモジュール50は、更に、発熱ベース52の上方に覆設される密封カバー53と、発熱ベース52に収容されるとともに発熱ベース52と吸液体41の間に設置されるガスケット51を含む。密封カバー53及びガスケット51は、いずれもシリコーン等の弾性材料で製造可能である。ガスケット51は環状のシート状をなし得る。ガスケット51は、密封状に発熱ベース52と吸液体41の間にしっかりと当接し、緩衝及び密封性の保証、液漏れ防止の役割を発揮可能である。密封カバー53は、発熱ベース52の上部に覆設されて、貯液室110の下端を密封するとともに、霧化室420と貯液室110を密封状に隔離するために用いられる。密封カバー53の外周面は、筐体11の内周面に締り嵌め可能なことから、更に密封性が向上する。密封カバー53の天井面には、更に、下方に窪むことで通気孔530が形成されていてもよい。排気管12の下端は通気孔530内に嵌設可能である。排気管12の下端の外周面が通気孔530の孔壁に密封状に係合することで、排気経路120と貯液室110が密封状に隔離される。
図14は、従来技術のいくつかの実施例における発熱モジュールを示す。当該発熱モジュールは、霧化トップベース115、霧化コア12及び霧化ボトムベース116を含む。霧化トップベース115の外表面には換気溝112が設置されている。当該換気溝112は、第1サブ換気溝1121及び第2サブ換気溝1122を含む。霧化ボトムベース116の外表面には排出溝114及び貯液溝113が設置されている。排出溝114の一端は換気溝112と連通しており、排出溝114の他端は貯液溝113と連通している。貯液溝113は複数のサブ貯液溝1131を含む。
図13及び図15は、それぞれ、図3及び図14に示した発熱モジュールの換気圧力のグラフを示す。図中の横軸は吸入時間であり、縦軸は貯液室の圧力である。当該テスト実験では、吸入3s、停止27s、電力6Wをテスト条件とした。図3に示した発熱モジュールは、換気溝5221を4つ有しており、各換気溝5221の幅は0.35mm、深さは0.4mmであった。また、換気入口525の幅は1mm、深さは0.4mmであり、張力遮断溝526の幅は2mm、深さは0.8mmであった。図14に示した発熱モジュールは、第2サブ換気溝1122を4つ有しており、各第2サブ換気溝1122の幅は0.35mm、深さは0.4mmであった。また、排出溝114における第2サブ換気溝1122と連通する一端の入口の幅は0.6mm、深さは0.4mmであった。図13及び図15から明らかなように、図3に示した発熱モジュールの方が換気圧力の変動範囲が小さく、且つ、大部分が1口につき1回換気していた(即ち、換気時間が短く、換気速度が速かった)。一方、図14に示した発熱モジュールの方が換気圧力の変動範囲が大きく、且つ、大部分が2口につき1回換気していた(即ち、換気時間が長く、換気速度が遅かった)。比較すると、図3に示した発熱モジュールの方が高い換気安定性を有していた。また、換気時には底部に位置する1つの第1換気溝5224を経由せず、短い換気経路を有していたため、小さな換気圧力及び速い換気速度を有していた。このことから、換気不良による焦げ臭さの発生やベイパー量の減少といった事態を効果的に回避可能であった。
図16は、本発明の第1の代替方案におけるベース31を示す。本方案と上記の第1実施例との主な違いは以下の通りである。本実施例において、第1吸気小孔3131の吸気断面積は第2吸気小孔3132の吸気断面積よりも大きい。即ち、吸気小孔3130の構造形式は、「外周が小孔、中央が大孔」の形式である。
図18は、従来技術のいくつかの実施例におけるベース31を示す。当該ベース31において、第1吸気小孔3131の吸気断面積は第2吸気小孔3132の吸気断面積と等しい。
図8、図17、図19は、それぞれ、図7、図16、図18に示したベースの騒音シミュレーションの分布図を示す。テスト実験において、図7、図16、図18に示したベースは、いずれも4つの第1吸気小孔3131及び10個の第2吸気小孔3132を含んでいた。図7において、第1吸気小孔3131の孔径は3.5mm、第2吸気小孔3132の孔径は4.5mmであり、最大空力騒音は61.37dBであった。図16において、第1吸気小孔3131の孔径は4.5mm、第2吸気小孔3132の孔径は3.5mmであり、最大空力騒音は66.52dBであった。図18において、第1吸気小孔3131、第2吸気小孔3132の孔径はいずれも3.5mmであり、最大空力騒音は70.83dBであった。図8、図17、図19から明らかなように、図7、図16に示した大小の孔が交互に設置される吸気小孔構造では、いずれも吸入時の空力騒音を明らかに低下させることができた。一方、図18に示した吸気小孔構造では大きな空力騒音が存在した。また、図7に示した「外周が大孔、中央が小孔」形式を有する吸気小孔構造の場合に、吸入時の空力騒音が最小となり、気流に対する均一な導流効果が最良となった。そのため、設計時には、第1吸気小孔3131の吸気断面積を第2吸気小孔3132の吸気断面積よりも小さくすればよい。適切な数及びサイズ(例えば、孔径又は吸気断面積等)の第1吸気小孔3131、第2吸気小孔3132を選択することで、アトマイザー100の動作時における空力騒音は61.4dBよりも小さくなる。
図20~図21は、本発明の第2の代替方案におけるベース31を示す。本方案と上記の第1実施例との主な違いは以下の通りである。本実施例において、吸気ボス313の上面3133は張り出し形状となっている。具体的に、当該上面3133は球形の表面をなし得る。吸気ボス313上の複数の吸気小孔3130は、当該上面3133から下方に延伸している。また、その他の実施例において、当該上面3133は、円錐台形等のその他の形状をなしてもよい。また、外周に位置する第2吸気小孔3132は、上面3133の外縁に近接するよう設置可能である。
図22に示すように、吸気ボス313を内側が小孔、外側が大孔となる張り出し形状に設計することで、外周の第2吸気小孔3132部分に形成される凝縮液の膜境界35は、略球面形状を有するとともに、貯液空間3120内に蓄積される凝縮液と連通可能となる。これにより、凝縮液は吸気小孔3130の外側に流動する傾向を持つようなる。なお、凝縮液の流動方向は図22の矢印で示す通りである。吸気小孔3130が凝縮液で覆われた場合、中央の第1吸気小孔3131は孔径が小さいため、凝縮液が流出しにくい。一方、外周の第2吸気小孔3132の凝縮液は、ベース31に蓄積された凝縮液と連通し、ベース31に蓄積された凝縮液により容易に排出されることで、ベース31の貯液空間3120に速やかに拡散可能となる。以上により、吸気小孔3130は容易に閉塞されない。
図23は、本発明の第3の代替方案における密封部材32を示す。本方案と上記の第1実施例との主な違いは以下の通りである。本実施例では、ボス部323に電極孔3236が設置されていない。また、ボス部323における長さ方向の両側の側面がそれぞれ内側に窪むことで、退避孔3210と連通する退避溝3235が形成されている。当該構造によれば、吸気貫通孔3230を設計する際の形状及び大きさに対する影響を減少させられる。
図24は、本発明の第4の代替方案における密封部材32を示す。本方案と上記の第1実施例との主な違いは以下の通りである。本実施例では、ボス部323に電極孔3236が設置されていない。当該構造によれば、吸気貫通孔3230を設計する際の形状及び大きさに対する影響を減少させられる。
理解し得るように、上記の各技術的特徴は、制限なく任意に組み合わせて使用することが可能である。
以上の実施例は本発明の好ましい実施形態を示したにすぎず、比較的具体的且つ詳細に記載したが、これにより本発明の権利範囲が制限されると解釈すべきではない。指摘すべき点として、当業者であれば、本発明の構想を逸脱しないことを前提に、上記の技術的特性を自由に組み合わせることも、若干の変形及び改良を行うことも可能であり、これらはいずれも本発明の保護の範囲に属する。従って、本発明の特許請求の範囲で行われる等価の変形及び補足は、いずれも本発明の請求項がカバーする範囲に属するものとする。