JP2023101908A - ホイスラー型金属系熱電材料及びその製造方法 - Google Patents

ホイスラー型金属系熱電材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エネルギー変換効率に優れるホイスラー型金属系熱電材料を提供する。【解決手段】ホイスラー型金属系熱電材料は、Fe、Co、Ga及び不可避的不純物から構成され、-1≦X≦1の範囲にあるXについて、Fe2-XCo1+XGaで表されるホイスラー型金属を含み、Xは0.2≦X≦0.3の範囲にあってもよく、ホイスラー型金属系熱電材料は鋳造法によって作製されてもよいし、粉末冶金法によって作製されてもよく、さらに均質化熱処理を施されてもよい。【選択図】図3

Description

この発明は、ホイスラー型金属系熱電材料及びその製造方法に関し、詳しくはパワーファクターのような熱電特性に優れたホイスラー型金属系熱電材料及びその製造方法に関する。
近年、カーボンニュートラルの観点から、鉄鋼業においても化石エネルギーの消費を削減し、エネルギー効率を向上させることが検討されている。例えば、わが国の転炉鋼及び電炉鋼におけるエネルギー効率を諸外国と比較した研究によると、わが国のエネルギー効率はインド、ロシアなどの新興国はいうまでもなく、韓国、ドイツなどの比較的技術が進んだ諸国に比べても高く、世界最高水準にある(非特許文献1、2を参照)。鉄鋼業においては、さらにエネルギー効率を向上させるため、エコプロセス、すなわちプロセスにおけるたゆまぬ従来の省エネによるCO削減として、製鉄のプロセスで発生する中低温排熱を回収して利用する排熱回収が提唱されている(非特許文献3を参照)。
このような排熱回収のために、温度差を電気に直接変換することができる熱電変換素子の技術が研究されている。熱電変換素子においては、効率的なエネルギー変換を可能にするために熱電材料の選択が重要であり、変換効率の高い熱電材料としてBiTeが広く使用されている。また、例えばFeVAlのようなホイスラー型金属を基礎とする材料も提供されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2013-102002号公報
「2015年時点の鉄鋼部門のエネルギー原単位の推計(鉄鋼部門-転炉鋼)」、[online]、平成30年10月26日、公益財団法人 地球環境産業技術研究機構 システム研究グループ、[令和3年11月10日検索]、インターネット(URL:https://www.rite.or.jp/system/global-warming-ouyou/download-data/EnergyEfficiency2015.pdf) 「2015年時点の鉄鋼部門のエネルギー原単位の推計(鉄鋼部門-スクラップ電炉鋼)」、[online]、平成30年10月26日、公益財団法人 地球環境産業技術研究機構 システム研究グループ、[令和3年11月10日検索]、インターネット(URL:https://www.rite.or.jp/system/global-warming-ouyou/download-data/EnergyEfficiency2015EAF.pdf) 「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた需要側の取組」、[online]、2021年2月19日、資源エネルギー庁p.54、[令和3年11月10日検索]、インターネット(URL:https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/sho_energy/pdf/030_01_00.pdf)
しかしながら、BiTeやホイスラー型金属によるFeVAlを基礎とする熱電材料に限らず、ホイスラー型金属であってエネルギー変換効率の優れた他の種類の構成を有する熱電材料も探索されている。
この発明は上述の実情に鑑みて提供されるものであって、ホイスラー型金属であってエネルギー変換効率に優れる熱電材料を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、この出願に係るホイスラー型金属系熱電材料は、Fe、Co、Ga及び不可避的不純物から構成され、-1≦X≦1の範囲にあるXについて、Fe2-XCo1+XGaで表されるホイスラー型金属を含む。Xは、0.2≦X≦0.3の範囲にあってもよい。均質化熱処理を施されてもよい。
この出願に係るホイスラー型金属系熱電材料の製造方法は、Fe、Co及びGaを加熱して溶解し、-1≦X≦1の範囲にあるXについて、Fe2-XCo1+XGaで表されるホイスラー型金属を作製する工程と、作製されたホイスラー型金属を放熱により固化させる工程とを含む。固化されたホイスラー型金属に均質化熱処理を施す工程をさらに含んでもよい。
また、この出願に係るホイスラー型金属系熱電材料の製造方法は、-1≦X≦1の範囲にあるXについて、Fe2-XCo1+XGaで表されるホイスラー型金属を構成するように、Fe、Co及びGaの金属粉末を混錬する工程と、混錬された金属粉末をプレスにより成形する工程と、成形された金属粉末を焼結する工程とを含む。金属粉末を焼結する工程は、加熱炉又は通電焼結により焼結してもよい。金属粉末を焼結した焼結体に均質化熱処理を施す工程をさらに含んでもよい。Fe、Co及びGaを加熱して溶解し、-1≦X≦1の範囲にあるXについて、Fe2-XCo1+XGaで表されるホイスラー型金属を作製する工程と、作製されたホイスラー型金属を放熱により固化させる工程と、固化されたホイスラー型金属からアトマイズ法により金属粉末を作製する工程をさらに含んでもよい。混錬する金属粉末は、Fe、Co及びGaの金属粉末であってもよい。金属粉末をプレスにより成形する工程において使用するバインダー及び潤滑剤の少なくとも一方は、ステアリン酸を含んでもよい。
実施例1の一連の工程を示すフローチャートである。 実施例2によるパワーファクターの温度依存性を示す第1のグラフである。 実施例2によるパワーファクターの温度依存性を示す第2のグラフである。 実施例3の一連の工程を示すフローチャートである。 実施例3によるパワーファクターの温度依存性を示すグラフである。 実施例3及び実施例2のパワーファクターを対比するグラフである。 実施例4によるパワーファクターの温度依存性を示すグラフである。 実施例5の一連の工程を示すフローチャートである。 実施例5によるパワーファクターの温度依存性を示すグラフである。 実施例6によるパワーファクターの温度依存性を示すグラフである。 実施例6及び実施例3のパワーファクターを対比するグラフである。
以下、図面を参照してホイスラー型金属系熱電材料の実施の形態について詳細に説明する。本実施の形態のホイスラー型金属系熱電材料は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ガリウム(Ga)及び不可避的不純物から構成されるものであって、-1≦X≦1の範囲にあるXについて、Fe2-XCo1+XGaで表されるホイスラー型金属を含むものである。Xは、0≦X≦0.5の範囲にあってもよく、0.1≦X≦0.4の範囲にあってもよく、0.2≦X≦0.3の範囲にあってもよく、0.22≦X≦0.28の範囲にあってもよく、0.23≦X≦0.27の範囲にあってもよく、0.24≦X≦0.26の範囲にあってもよく、又はX=0.25を含む適切な範囲にあってもよい。なお、以下の本明細書中では、ホイスラー型金属のことをホイスラー合金と称することもある。
本実施の形態のホイスラー型金属系熱電材料は鋳造法によって作製してもよく、粉末冶金法によって合金粉末を焼結することにより作製してもよい。粉末冶金法は、プレス成形した合金粉末の成形体を加熱炉で焼結するものであってもよいし、放電プラズマ焼結(spark plasma sintering:SPS)法のように通電焼結するものであってもよい。なお、本明細書中においては、特記する場合を除いて、粉末冶金法はプレス成形した合金粉末の成形体を加熱炉で焼結して作製するものとする。鋳造法により得られた合金又は粉末冶金法により得られた焼結体に後工程の均質化熱処理をさらに施してもよい。
ホイスラー型金属の各種の材料の熱電特性を測定したところ、Fe2-XCo1+XGaで表されるホイスラー型金属が高い熱電特性を有することが明らかになった。特に鋳造法により作製したFe1.75Co1.25Gaにおいては、パワーファクター(power factor:PF)が4000μW/m・Kと高い熱電特性を示した。さらに均質化熱処理の後工程を加えることで最大パワーファクターが4500μW/m・Kもの高い値を示した。表1に示すように、Fe1.75Co1.25Gaは、熱電材料として知られているBiTe及びFeVAlにパワーファクターが匹敵するほどの優れた熱電特性を有していることが観察される。
Figure 2023101908000002
一方、粉末冶金法によってもFe1.75Co1.25Gaの焼結体を作製することができる。粉末冶金法においては、合金粉末をプレス成形する際に合金粉末を混錬するバインダー及び混錬した合金粉末をプレスする潤滑剤としてステアリン酸を使用している。このため、加熱炉による焼結時にステアリン酸に由来するCOによる還元反応により不純物を除去することが可能である。焼結体においては、COの含有量が小さいことが観察される。
加熱炉による焼結及び放電プラズマ焼結法による粉末冶金法により作製したFe1.75Co1.25Gaの焼結体は、鋳造法により作製したFe1.75Co1.25Gaには及ばないが、いずれも3500μW/m・Kという高い熱電特性を有している。加熱炉により焼結して作製したFe1.75Co1.25Gaには均質化熱処理によりパワーファクターの顕著な向上が観察されたが、鋳造法により作製して均質化熱処理を施したFe1.75Co1.25のパワーファクターには及ばなかった。放電プラズマ焼結法により作製したFe1.75Co1.25Gaにも均質化熱処理を施したが、パワーファクターの顕著な向上は観察されなかった。粉末冶金法により作製したFe1.75Co1.25Gaの熱電特性が鋳造法により作製したFe1.75Co1.25Gaに及ばないのは、焼結体中に存在する無数の微小な間隙により電気抵抗が増加したためであると考えられる。
実施例1においては、ホイスラー合金のFeCoGaのパワーファクターを測定した。また、比較例として、同じくホイスラー合金のFeTiSn、FeTiSi、FeCoAl、FeNiAl及びFeNiGaについてもパワーファクターを測定した。
図1は、実施例1の一連の工程を示すフローチャートである。最初のステップS11にでは、測定対象となる材料について試験片の原材料を準備した。このため、材料を構成する各種の金属を用意し、これらの金属が重量%で適切な比率で含有されるように構成比を調整した。ステップS12では、ステップS11で準備した材料を坩堝に入れて高周波の電磁場により加熱して溶解して合金とした後、鋳型に注入して固化させ、合金インゴットを作製した。ステップS12では、作製した合金インゴットをさらに切断や研削などにより寸法を調整し、試験片の形状に形成した。試験片の形状は、径3mm、高さ10mmの円柱であった。ステップS13では、ステップS12で作製した試験片を用いてパワーファクターの特性を評価した。パワーファクターの測定には、アドバンス理工株式会社製の熱電測定装置ZEM3を用いた。測定温度範囲は、300~600Kとし、雰囲気はHeとした。
表2に、パワーファクターの測定結果を示した。パワーファクターの値は、測定温度範囲における測定値の分布範囲、又は最大値などの典型値を示している。表2に示すように、FeCoGaのパワーファクターは、2500μW/m・Kであった。比較例のFeTiSn、FeTiSi、FeCoAl、FeNiAl及びFeNiGaの測定結果と比較すると、FeCoGaが高いパワーファクターを有していることが観察される。なお、比較例のFeTiSiは準安定相のため鋳造法では作製できなかった。表2には、参考値としてBiTe及びFeVAlのパワーファクターとして知られている値も記載した。FeCoGaのパワーファクターは、参考値として示されたBiTe及びFeVAlには及ばないが、比較例の測定値に比べると高いことが観察される。
Figure 2023101908000003
実施例2においては、Fe2+XCo1-XGa(X=0,0.25,0.5,0.75,1)及びFe2-XCo1+XGa(X=0,0.25,0.5,0.75,1)についてそれぞれパワーファクターの温度依存性を測定した。試験片の作製は、図1に示した一連の工程にしたがって行った。最初のステップS11では、測定対象となる材料について試験片の原材料を準備した。このため、材料のFe、Co及びGaを用意し、これらの金属が重量%で適切な比率で含有されるように構成比を調整した。ステップS12では、ステップS11で準備した材料を坩堝に入れて高周波の電磁場により加熱して溶解して合金とした後、鋳型に注入して固化させ、合金インゴットを作製した。ステップS12では、作製した合金インゴットをさらに切断や研削などにより寸法を調整し、試験片の形状に形成した。試験片の形状は、径3mm、高さ10mmの円柱であった。ステップS13では、ステップS12で作製した試験片を用いてパワーファクターの特性を評価した。試験片のパワーファクターを測定には、前述の熱電測定装置ZEM3を用いた。測定温度範囲は300~600Kとし、雰囲気はHeとした。
図2は、Fe2+XCo1-XGa(X=0,0.25,0.5,0.75,1)についてパワーファクターの温度依存性の測定結果を示すグラフである。図3は、Fe2-XCo1+XGa(X=0,0.25,0.5,0.75,1)についてパワーファクターの温度依存性の測定結果を示すグラフである。図2及び図3によると、試験温度範囲の300~600Kの全域において、Fe1.75Co1.25Gaのパワーファクターが最も大きく、最大値が4000μW/m・Kに達し、最小値も3500μW/m・Kを越えていることが観察される。Fe1.75Co1.25Gaに続いて、FeCoGaのパワーファクターが大きいが、3000μW/m・Kに達しないことが観察される。
実施例3においては、FeCoGaについて試験片を粉末冶金法により作製し、パワーファクターを測定した。図4は、実施例3の一連の工程を示すフローチャートである。最初のステップS21では、測定対象となる材料について試験片の原材料を準備した。このため、材料のFe、Co及びGaを用意し、これらの金属が重量%で適切な比率で含有されるように構成比を調整した。ステップS22では、ステップS21で準備した材料を坩堝に入れて高周波の電磁場により加熱して溶解し、合金インゴットを作製した。ステップS23では、ステップS22で作製した高周波の電磁場によりインゴットを溶解し、ガスアトマイズ法により合金粉末を作製した。表3には、作製した合金粉末の特性を示している。
Figure 2023101908000004
表3の第2行にはFeCoGaの重量%による構成比を狙い値として示している。第3行には、合金粉末の構成成分の測定値が示されている。Fe、Co及びGaの三成分について、それぞれ狙い値に近い値が達成されていることが観察される。なお、合金粉末のメディアン径D50は37.3μmであり、真密度は8.23g/cmであった。
ステップS24では、合金粉末を混錬してプレス成形し、加熱炉で焼結した。合金粉末の混錬にはステアリン酸を使用した。混錬した合金粉末を6t/cmの成形圧で25mm×10mm×10mmの直方体に成形し、1150℃(1423K)の焼結温度で焼結した。ステップS25では、ステップS24で作製した焼結体を切断して試験片の形状に形成した。試験片の形状は、4mm×4mm×9mmの角柱であった。ステップS25では、ステップS24で作製した試験片の特性を評価した。試験片の相対密度を測定したところ、97重量%であった。また、前述の熱電測定装置ZEM3を用いて試験片のパワーファクターを測定した。測定温度範囲は300~600Kとし、雰囲気はHeとした。
図5は、粉末冶金法により作製したFeCoGaの試験片のパワーファクターの温度依存性を示している。図中には、対比のために実施例2で鋳造法により作製したFeCoGa試験片のパワーファクターも併せて示されている。粉末冶金法により作製したFeCoGaは、室温から500K近くまでの範囲において鋳造法によるFeCoGaよりもパワーファクターが大きく、室温から350K近くまでの範囲において3000μW/m・Kを越えていることが観察される。これに対して、鋳造法により作製したFeCoGaのパワーファクターは、高々2500μW/m・K程度であることが観察される。
図6は、粉末冶金法により作製したFeCoGaと、実施例2の鋳造法により作製したFeCoGaとのパワーファクターを対比して示すグラフである。グラフ中には、パワーファクターの典型値として、それぞれ図5において粉末冶金法又は鋳造法によるものとして示したFeCoGaのパワーファクターの最大値を示した。グラフには、参考値としてBiTe及びFeVAlのパワーファクターとして知られている値も示した。BiTe及びFeVAlは、それぞれ粉末冶金法により作製されたものである。粉末冶金法により作製されたFeCoGaのパワーファクターは、参考値として示されたBiTe及びFeVAlには及ばないが、鋳造法により作製されたFeCoGaのパワーファクターから向上していることが観察される。
なお、実施例3においては、ステップS24の粉末冶金法により焼結体を作製する工程において、ステップS23の鋳造法により作製した合金を使用したが、これに限られない。合金粉末に代わって、表2の狙い値のような適切な比率になるように混合したFe、Co及びGaの金属粉末を使用してもよい。原材料としてFe、Co及びGaの金属粉末を使用するときには、ステップS22の合金インゴットを作製する工程及びステップS22の合金粉末を作製する工程を省略することができる。粉末冶金法により焼結体を作製する以下の実施例においても同様である。
実施例4においては、Fe2-XCo1+XGa(X=0.2,0.25,0.3)について鋳造法により作製し、均質化熱処理を施した試験片についてそれぞれパワーファクターの温度依存性を測定した。試験片の作製は、図1に示した一連の工程に基づいて行った。最初のステップS11では、測定対象となる材料について試験片の原材料を準備した。このため、材料のFe、Co及びGaを用意し、これらの金属が重量%で適切な比率で含有されるように構成比を調整した。ステップS12では、ステップS11で準備した材料を坩堝に入れて高周波の電磁場により加熱して溶解して合金とした後、鋳型に注入して固化させ、合金インゴットを作製した。ステップS12においては、作製した合金インゴットをさらに切断や研削などにより寸法を調整し、試験片の形状に形成した。試験片の形状は、径3mm、高さ10mmの円柱であった。実施例4では、この試験片にさらに均質化熱処理を施した。ステップS13では、均質化熱処理を施した試験片を用いてパワーファクターの特性を評価した。試験片のパワーファクターを測定には、前述の熱電測定装置ZEM3を用いた。測定温度範囲は300~600Kとし、雰囲気はHeとした。
図7は、均質化熱処理を施したFe2-XCo1+XGa(X=0.2,0.25,0.3)についてパワーファクターの温度依存性の測定結果を示すグラフである。試験温度範囲の300~600Kの全域において、Fe1.75Co1.25Gaのパワーファクターが最も大きく、最大値が4500μW/m・Kに達し、最小値も4000μW/m・Kを越えていることが観察される。Fe1.75Co1.25Gaに続いて、Fe1.7Co1.3Ga及びFe1.8Co1.2のパワーファクターが大きく、4000μW/m・Kには達しないが、常に4000μW/m・Kを超えていることが観察される。図3に示した均質化熱処理を施していないFe1.75Co1.25Gaではパワーファクターが4000μW/m・Kに達しないことと対比すると、図7の均質化熱処理を施したFe1.75Co1.25Gaでは常に4000μW/m・Kを越えていることから、均質化熱処理によりパワーファクターが向上したことが観察される。
実施例5においては、Fe1.75Co1.25Gaについて試験片を放電プラズマ焼結法による粉末冶金法により作製し、パワーファクターを測定した。図8は、実施例5の一連の工程を示すフローチャートである。最初のステップS31では、Fe1.75Co1.25Gaの原材料を準備した。このため、材料のFe、Co及びGaを用意し、これらの金属が重量%で適切な比率で含有されるように構成比を調整した。ステップS32では、ステップS31で準備した材料を坩堝に入れて高周波の電磁場により加熱して溶解し、合金インゴットを作製した。ステップS33では、ステップS32で作製した高周波の電磁場によりインゴットを溶解し、ガスアトマイズ法により合金粉末を作製した。ステップS34では、合金粉末を混錬してプレス成形し、放電プラズマ焼結法により焼結した。ここでは、合金粉末を6t/cmの成形圧で25mm×10mm×10mmの直方体に成形して焼結した。ステップS35では、ステップS34で作製した焼結体を切断して試験片の形状に形成した。試験片の形状は、4mm×4mm×9mmの角柱であった。試験片は複数個を作製し、一部の試験片に均質化熱処理を施した。ステップS35では、ステップS34で作製した試験片の特性を評価した。前述の熱電測定装置ZEM3を用いて、均質化熱処理を施していない試験片と、均質化熱処理を施した試験片についてそれぞれパワーファクターを測定した。測定温度範囲は300~600Kとし、雰囲気はHeとした。
図9は、放電プラズマ焼結法による粉末冶金法により作製したFe1.75Co1.25Gaのパワーファクターの温度依存性を示すグラフである。均質化熱処理を施していないFe1.75Co1.25Ga及び均質化熱処理を施したFe1.75Co1.25Gaは、ともに温度範囲の全域で略3000μW/m・Kを超えるパワーファクターを有していることが観察される。均質化熱処理を施したFe1.75Co1.25Gaは、均質化熱処理を施していないFe1.75Co1.25Gaからパワーファクターは大きく変化しない傾向が観察される。
実施例6においては、Fe1.75Co1.25Gaについて試験片を粉末冶金法により作製し、パワーファクター測定した。試験片の作製は、図4に示した一連の工程に従って行った。最初のステップS21では、測定対象となる材料について試験片の原材料を準備した。このため、材料のFe、Co及びGaを用意し、これらの金属が重量%で適切な比率で含有されるように構成比を調整した。ステップS22では、ステップS21で準備した材料を坩堝に入れて高周波の電磁場により加熱して溶解し、合金インゴットを作製した。ステップS23では、ステップS22で作製した高周波の電磁場によりインゴットを溶解し、ガスアトマイズ法により合金粉末を作製した。表4には、作製した合金粉末の特性を示している。
Figure 2023101908000005
表4の第2行にはFe1.75Co1.25Gaの重量%による構成比を狙い値として示している。第3行には、合金粉末の構成成分の測定値が示されている。Fe、Co及びGaの三成分について、それぞれ狙い値に近い値が達成されていることが観察される。なお、合金粉末のメディアン径D50は51.6μmであり、真密度は8.26g/cmであった。
ステップS24では、合金粉末を混錬してプレス成形し、加熱炉で焼結した。合金粉末の混錬にはステアリン酸を使用した。混錬した合金粉末を8t/cmの成形圧で25mm×10mm×10mmの直方体に成形し、1200℃(1473K)の焼結温度で焼結した。ステップS25では、ステップS24で作製した焼結体を切断して試験片の形状に形成した。試験片の形状は、4mm×4mm×9mmの角柱であった。ステップS25では、ステップS24で作製した試験片の特性を評価した。試験片の相対密度を測定したところ、98重量%であった。また、前述の熱電測定装置ZEM3を用いて試験片のパワーファクターを測定した。測定温度範囲は300~600Kとし、雰囲気はHeとした。
図10は、粉末冶金法により作製したFe1.75Co1.25Gaの試験片のパワーファクターの温度依存性を示している。図中には、対比のために同じく粉末冶金法により作製した実施例3のFeCoGa試験片のパワーファクターも併せて示されている。Fe1.75Co1.25Gaのパワーファクターは、温度範囲の全域においてFeCoGaのパワーファクターよりも大きいことが観察される。また、Fe1.75Co1.25Gaのパワーファクターは、室温から500Kを超える範囲において3000μW/m・Kを越えていることが観察される。
図11は、粉末冶金法により作製したFe1.75Co1.25Gaと、同じく粉末冶金法により作製した実施例3のFeCoGaとのパワーファクターを対比して示すグラフである。グラフ中には、パワーファクターの典型値として、図5及び図10にそれぞれ示したFe1.75Co1.25Ga及びFeCoGaのパワーファクターの最大値を示した。グラフには、参考値としてBiTe及びFeVAlのパワーファクターとして知られている値も示した。BiTe及びFeVAlは、それぞれ粉末冶金法により作製されたものである。粉末冶金法により作製されたFe1.75Co1.25Gaのパワーファクターは、参考値として示されたBiTe及びFeVAlには及ばないが、同じく粉末冶金法により作製されたFeCoGaのパワーファクターから向上していることが観察される。
この発明は、熱電変換素子の製造に使用することができ、例えば製鉄所の排熱を回収するための熱電変換素子に使用することができる。

Claims (12)

  1. ホイスラー型金属系熱電材料であって、Fe、Co、Ga及び不可避的不純物から構成され、-1≦X≦1の範囲にあるXについて、Fe2-XCo1+XGaで表されるホイスラー型金属を含む熱電材料。
  2. 前記Xは、0.2≦X≦0.3の範囲にある請求項1に記載の熱電材料。
  3. 均質化熱処理を施された請求項1又は2に記載の熱電材料。
  4. ホイスラー型金属系熱電材料の製造方法であって、
    Fe、Co及びGaを加熱して溶解し、-1≦X≦1の範囲にあるXについて、Fe2-XCo1+XGaで表されるホイスラー型金属を作製する工程と、
    前記作製されたホイスラー型金属を放熱により固化させる工程と
    を含む方法。
  5. 前記固化されたホイスラー型金属に均質化熱処理を施す工程をさらに含む請求項4に記載の方法。
  6. ホイスラー型金属系熱電材料の製造方法であって、
    -1≦X≦1の範囲にあるXについて、Fe2-XCo1+XGaで表されるホイスラー型金属を構成するように金属粉末を混錬する工程と、
    前記混錬された金属粉末をプレスにより成形する工程と、
    前記成形された金属粉末を焼結する工程と
    を含む方法。
  7. 前記金属粉末を焼結する工程は、加熱炉により焼結する請求項6に記載の方法。
  8. 前記金属粉末を焼結する工程は、通電焼結により焼結する請求項6に記載の方法。
  9. 前記金属粉末を焼結した焼結体に均質化熱処理を施す工程をさらに含む請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. Fe、Co及びGaを加熱して溶解し、-1≦X≦1の範囲にあるXについて、Fe2-XCo1+XGaで表されるホイスラー型金属を作製する工程と、
    前記作製されたホイスラー型金属を放熱により固化させる工程と、
    前記固化されたホイスラー型金属からアトマイズ法により金属粉末を作製する工程をさらに含む請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記混錬する金属粉末は、Fe、Co及びGaの金属粉末である請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記金属粉末をプレスにより成形する工程において使用するバインダー及び潤滑剤の少なくとも一方は、ステアリン酸を含む請求項6から11のいずれか一項に記載の方法。
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