JP2023094634A - 回路基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特に、抵抗値調整用パターンの外観確認を不要にでき、作業効率を改善できるとともに、抵抗特性の安定化を図ることができる回路基板及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の回路基板は、抵抗値調整用パターンを有する抵抗体(1a)と、前記抵抗値調整用パターンに対するトリミング開始点の位置を示すトリミング開始マーク(20)と、を備え、前記トリミング開始マークは、第1のマーク(23)と、前記第1のマークに対し間隔を空け前記抵抗値調整用パターンから離れた側で対向する第2のマーク(24)と、を有することを特徴とする。【選択図】図3
Description
この発明は、絶縁基板上に、抵抗値調整用パターンを有する抵抗体と、トリミング開始マークとを備えた回路基板に関する。
薄膜抵抗器に適用される回路基板は、蒸着やフォトリソグラフィ技術により、所定のパターンを有する薄膜抵抗体を備える。薄膜抵抗体は、繰り返し折り返したパターン(ミアンダパターンとも呼ばれる)で形成されている(特許文献1を参照)。
特許文献1に記載の発明では、絶縁基板上に、抵抗値調整用パターンを有する膜抵抗と、トリミング位置アライメントパターンとを形成している。そして、トリミング位置アライメントパターンから約20μmから100μm離れた箇所をレーザ照射開始位置として、トリミングを開始している。
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、トリミング開始点に位置ずれが生じたとき、トリミングされた抵抗値調整用パターンの外観確認により正しくトリミングされているか否か判断するしかなかった。特に、抵抗値調整用パターンが繰り返し折り返されたミアンダパターンであり、ミアンダパターンを横切ってトリミングする場合、トリミング開始点に位置ずれが生じると、抵抗値調整用パターンに切り残しが発生するリスクが高かった。切り残しの生じた箇所では抵抗負荷が大きくなり抵抗特性が不安定化する問題があった。
このため、従来では、抵抗値調整用パターンに切り残しが生じているか否か、トリミングした抵抗値調整用パターンの外観を一本ずつ確認する作業が必要になり、非常に煩雑化した。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、特に、抵抗値調整用パターンの外観確認を不要にでき、作業効率を改善できるとともに、トリミングによる切り残しの発生リスクを低減できる回路基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明における回路基板は、抵抗値調整用パターンを有する抵抗体と、前記抵抗値調整用パターンに対するトリミング開始点の位置を示すトリミング開始マークと、を備え、前記トリミング開始マークは、第1のマークと、前記第1のマークに対し間隔を空け前記抵抗値調整用パターンから離れた側で対向する第2のマークと、を有することを特徴とする。
本発明では、前記トリミング開始マークは、前記第1のマークと前記第2のマークの間を繋ぐ連結部を備えることが好ましい。
本発明では、前記第1のマークの前記第2のマークに向かう方向の幅は、前記第2のマークの幅に比べて、広いことが好ましい。
本発明では、前記第1のマークの前記第2のマークに向かう方向の幅は、前記第2のマークの幅に比べて、広いことが好ましい。
本発明では、前記第1のマークの前記第2のマークに対向する内側辺と、前記第2のマークの内側辺或いは前記内側辺と反対側の外側辺は、前記トリミング開始点のトリミング方向への位置が許容範囲内であるか否かを判別する外観確認ラインであることが好ましい。
本発明では、前記第1のマークの内側辺と外側辺の両端を繋ぐ上辺と下辺は、前記トリミング開始点の前記トリミング方向と直交する方向の位置が許容範囲内であるか否かを判別する外観確認ラインであることが好ましい。
本発明における回路基板の製造方法は、基板表面に、抵抗値調整用パターンを有する抵抗体を形成する工程、第1のマークと、前記第1のマークに間隔を空け前記抵抗値調整用パターンから離れた側で対向する第2のマークと、を有するトリミング開始マークを形成する工程、を含むことを特徴とする。
本発明では、前記トリミング開始マークの位置から、前記抵抗値調整用パターンに向けてトリミングを開始する工程、トリミング後に、前記トリミング開始マークの外観を確認してトリミング開始点の位置が許容範囲内であるか否かを判別する工程、を含むことが好ましい。
本発明では、トリミング後に、前記第1のマークの前記第2のマークに対向する内側辺と、前記第2のマークの内側辺或いは前記内側辺と反対側の外側辺の外観を確認し、外観確認の結果に基づいて、トリミング開始点のトリミング方向への位置が、許容範囲内であるか否かを判定することが好ましい。
本発明では、前記トリミング後に、前記第1のマークの上辺と下辺の外観を確認し、外観確認の結果に基づいて、トリミング開始点のトリミング方向と直交する方向への位置が、許容範囲内であるか否かを判定することが好ましい。
本発明では、トリミング開始マークの外観確認により、トリミング開始点の位置ずれが許容範囲内にあるか否かを判断でき、作業効率を改善できる。更に、トリミングによる切り残しの発生リスクを低減でき、抵抗特性の安定化を図ることができる。
以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態における回路基板は、チップ抵抗器や、薄膜抵抗ネットワーク等に適用され、例えば、本実施の形態における回路基板9を備えた薄膜抵抗器10は、図7に示す断面図を有する。
図7に示すように、絶縁基板2の表面に、抵抗配線が繰り返し折り返されたパターンからなる薄膜抵抗体1が形成されている。薄膜抵抗体1の両端の表面には、夫々、表面電極3a、3bが形成されており、薄膜抵抗体1と表面電極3a、3bとは電気的に接続されている。また、絶縁基板2の裏面には裏面電極3c、3dが形成されている。
なお、絶縁基板2、薄膜抵抗体1及び表面電極3a、3bを含めて回路基板を構成する。
なお、絶縁基板2、薄膜抵抗体1及び表面電極3a、3bを含めて回路基板を構成する。
図7に示すように、表面電極3a、3bから露出する薄膜抵抗体1の表面は、保護膜14で覆われている。また、図7に示すように、保護膜14の端部には、表面電極3a、3bと裏面電極3c、3dとを覆うように、外部電極メッキ19a、19bが施されている。
材質を限定するものではないが、絶縁基板2は、例えば、電気絶縁性を有するアルミナ焼結体等のセラミックスからなる。また、薄膜抵抗体1は、例えば、ニッケル-クロム(NiCr)からなる。表面電極3a、3b及び裏面電極3c、3dは、薄膜抵抗体1よりも電気導電性に優れた導電性材料で形成される。保護膜14は、例えば、エポキシ系絶縁樹脂等で成形される。外部電極メッキ19a、19bは、例えば、ニッケルでメッキ形成される。
<薄膜抵抗体1の概要>
図1は、本発明の本実施の形態における抵抗値調整用パターンを有する薄膜抵抗体1の平面図である。
図1に示すX1-X2方向及びY1-Y2方向は、絶縁基板2の表面内にて直交する2方向を示す。
図1は、本発明の本実施の形態における抵抗値調整用パターンを有する薄膜抵抗体1の平面図である。
図1に示すX1-X2方向及びY1-Y2方向は、絶縁基板2の表面内にて直交する2方向を示す。
図1に示す薄膜抵抗体1は、図7に示す絶縁基板2の表面に形成されるものであり、絶縁基板2とともに回路基板9を構成するが、図面では、絶縁基板2を省略し、薄膜抵抗体1のみ図示した。
図1に示すように、薄膜抵抗体1は、抵抗配線が、Y1-Y2方向に延出するとともに、X1-X2方向に所定の間隔を開けて対向するように交互に折り返したミアンダ形状の抵抗体パターン1aを備える。抵抗体パターン1aのX1-X2方向の両端には、配線幅よりも幅が広い幅広部1e、1fが形成される。そして、各幅広部1e、1fの表面に、夫々、表面電極3a、3bが形成されている。
図1に示すように、抵抗体パターン1aのY2側にてX1-X2方向に隣り合う折り返し端部5間に、抵抗値調整用パターン6が、抵抗体パターン1aと一体的に形成されている。抵抗値調整用パターン6は、Y2側の折り返し端部5からY2方向に延出しており、複数の抵抗値調整用パターン6が、X1-X2方向に間隔を空けて並んで形成されている。そして、複数の抵抗値調整用パターン6が、Y2側にて連結パターン7により繋がっている。図1に示すパターン構成により、抵抗値調整用パターン6をトリミングすることで、抵抗体パターン1aの抵抗値の調整を行うことができる。
図1に示すように、抵抗値調整用パターン6の近傍には、トリミング開始マーク20が形成されている。
本実施の形態では、トリミング開始マーク20の位置に、トリミング開始点を合わせて、抵抗値調整用パターン6に向けて、図1の矢印に示すように、トリミングを開始し、所定の抵抗値となった時点でトリミングを終了する。これに対して、特許文献1に示したトリミング位置アライメントパターンは、その位置にトリミング開始点を合わせるための目印ではなく、トリミング位置アライメントパターンから離れた箇所からトリミングを開始しており、本実施の形態と同じ目的や機能を持つトリミング開始マークに該当しない。
以下、トリミング開始マークの比較例や本実施の形態の形状などについて説明する。
以下、トリミング開始マークの比較例や本実施の形態の形状などについて説明する。
<比較例における抵抗値調整用パターン及びその問題点>
図2(a)(b)に示すように、抵抗値調整用パターン6のX2側の近傍には、略正方形のトリミング開始マーク21が設けられている。図2(a)(b)に示すトリミング開始マーク21は比較例である。
図2(a)(b)に示すように、抵抗値調整用パターン6のX2側の近傍には、略正方形のトリミング開始マーク21が設けられている。図2(a)(b)に示すトリミング開始マーク21は比較例である。
図2(a)は、トリミング開始点Aに位置ずれが生じておらず正常にトリミングが行われた場合である。図2(a)(b)の点線部分がトリミング領域22である。したがって、トリミング領域22内の抵抗値調整用パターン6は除去される。抵抗値調整用パターン6が除去されることで、抵抗体パターン1aの長さが短くなり、抵抗体パターン1aの抵抗値を下げることができる。
ここで、「トリミング開始点A」とは、トリミングを開始する側の最も端に位置する先端部分を示す(すなわち、図2(a)では最もX2側の位置)。図2(a)のトリミング領域22に示すように、トリミング開始マーク21からX1方向に向けてトリミングが行われ、計2本の抵抗値調整用パターン6を切断している。
これに対し、図2(b)では、トリミング開始点Aに位置ずれが生じている。図2(b)では、トリミング開始点Aが正しい位置よりもX1側にずれている。これにより、トリミング領域22もX1側にずれてしまい、3本目の抵抗値調整用パターン6に切り残しが生じる(図2(b)に示す領域B内を参照)。
特に、高い抵抗値を実現するにあたり、抵抗体パターン1aの長さをより長く延ばすために、各抵抗体パターン1aのピッチが狭くなっており、ひいては、各抵抗値調整用パターン6のピッチも狭くなる。このため、トリミング開始点Aに位置ずれが生じると図2(b)に示したように、抵抗値調整用パターン6に切り残しが生じやすい。切り残しが箇所では抵抗負荷が大きくなり、抵抗特性が不安定化する問題が生じる。
そして、上記のように、トリミング開始点Aに位置ずれが生じたとき、抵抗値調整用パターン6に切り残しが生じているか否かは、トリミングした抵抗値調整用パターン6の外観を一本ずつ確認しなければわからず、確認作業が非常に煩雑化した。すなわち、図2に示す比較例のトリミング開始マーク21は、トリミングの開始座標位置を登録する目印として機能するのみで、切り残しの確認は、直に抵抗値調整用パターン6の外観確認を必要とした。
このように、比較例では、切り残し発生の有無は、各抵抗値調整用パターンを一本ずつ確認しなければならず、すなわち、確認作業が多数箇所で生じるために、切り残しの発生リスクも高まり、抵抗特性の安定化を適切に図ることができず、歩留まりが低下する。
<本実施の形態における抵抗値調整用パターンの概要>
図3は、本発明の第1の実施の形態におけるトリミング開始マークの拡大平面図である。図4は、図3に示すトリミング開始マークと抵抗値調整用パターンを示す拡大平面図である。
図3は、本発明の第1の実施の形態におけるトリミング開始マークの拡大平面図である。図4は、図3に示すトリミング開始マークと抵抗値調整用パターンを示す拡大平面図である。
図4に示すように、トリミング開始マーク20は、例えば、抵抗値調整用パターン6の左側(X2側)近傍に配置される。なお、限定するものではないが、トリミング開始マーク20は、薄膜抵抗体1と同じ材質で形成されることが好ましい。
図3、図4に示すように、トリミング開始マーク20は、抵抗値調整用パターン6に近い側(X1側)に配置された第1のマーク23と、第1のマーク23から間隔を空け抵抗値調整用パターン6から遠い側(X2側)に配置された第2のマーク24とを有して構成される。
第1のマーク23と第2のマーク24とは、X1-X2に間隔を空けて対向している。X1-X2方向は、トリミング開始マーク20から抵抗値調整用パターン6に向けてのトリミング方向である。
図3に示すように、第1のマーク23は、X1-X2方向に第1の幅T1を有し、X1-X2方向に対し直交するY1-Y2方向に第1の長さL1で形成された略矩形状のパターンである。また、第2のマーク24は、X1-X2方向に第2の幅T2を有し、Y1-Y2方向に第2の長さL2で形成された略矩形状のパターンである。図3に示すように、第1の幅T1のほうが、第2の幅T2よりも広い。また、図3では、第1の長さL1と第2の長さL2とが略同一であるが多少異なっていてもよい。
図3に示すように、第1のマーク23と第2のマーク24の間を繋ぐ連結部25が形成されている。連結部25は、第1のマーク23と第2のマーク24の長さL1、L2の中央位置に形成されることが好ましい。連結部25は、X1-X2方向に平行に形成されることが好ましい。
図4に示すように、トリミング開始マーク20からX1方向に向けて抵抗値調整用パターン6に対しトリミングを行う。図4の符号22がトリミング領域であり、トリミングにより3本の抵抗値調整用パターン6を切断している。
本実施の形態では、トリミング方向であるX1-X2方向に、第1のマーク23と第2のマーク24を間隔を空けて配置したことで、トリミング開始点Aのトリミング方向への位置ずれの許容範囲Cを、例えば、第1のマーク23の内側辺23aと第2のマーク24の外側辺24bとの間の限定した領域内に絞り込むことができる。一方、図2に示す比較例のトリミング開始マーク21では、トリミング開始点Aのトリミング方向への位置ずれの許容範囲を、トリミング開始マーク21内の限定した範囲に絞り込むことができない。
本実施の形態では、トリミング開始点Aの位置が、トリミング開始マーク20の許容範囲C内にあれば、図2(b)に示すような切り残しは生じておらず、一方、トリミング開始点Aの位置が、トリミング開始マーク20の許容範囲C外にあると、図2(b)に示すような切り残しが生じやすくなる。
図2に示す比較例のトリミング開始マーク21を用いた場合は、抵抗値調整用パターン6の外観を一本ずつ確認しなければ切り残しの有無を判断できなかったが、本実施の形態では、トリミング開始マーク20の外観を確認すれば、位置ずれが切り残しを生じない許容範囲内にあるか否かを判断することができる。
<本実施の形態におけるトリミング開始マーク20の外観確認について>
図5(a)は、トリミング開始点Aの位置が、トリミング開始マークの許容範囲内にある場合、(b)~(d)は、トリミング開始点Aの位置が、トリミング開始マークの許容範囲外にある場合を示すトリミング開始マークの拡大平面図である。
図5(a)は、トリミング開始点Aの位置が、トリミング開始マークの許容範囲内にある場合、(b)~(d)は、トリミング開始点Aの位置が、トリミング開始マークの許容範囲外にある場合を示すトリミング開始マークの拡大平面図である。
なお、図5(a)~図5(d)は、いずれもトリミング後の状態を示しているため、トリミング開始マーク20に対してトリミングされた箇所は除去されているが、見やすくするために、トリミング領域22を点線で示し、また、除去されるトリミング開始マーク20の一部を二点鎖線で補った。
図5(a)に示すように、トリミング開始点Aの位置は、許容範囲C内にある。すなわち、トリミング開始点Aは、第1のマーク23の内側辺23aと第2のマーク24の外側辺24bとの間に位置する。このとき、許容範囲Cの両端に位置する第1のマーク23の内側辺23aと、第2のマーク24の外側辺24bを外観確認ラインとすることで、トリミング開始点Aの位置が、許容範囲C内にあることがわかる。すなわち、図5(a)に示すように、トリミングが行われた後は、第1のマーク23の内側辺23aの一部(図5(a)で示す二重鎖線23e)は、除去されており、第1のマーク23の内側辺23aは、Y1-Y2方向の両側にのみ一部が残された状態になっている。一方、第2のマーク24の外側辺24bは、トリミングがされずそのまま残っている。したがって、許容範囲Cの両端ラインである第1のマーク23の内側辺23aと第2のマーク24の外側辺23bのトリミング後の外観を確認することで、トリミング開始点Aの位置が、許容範囲C内に入っていることを認識できる。
一方、図5(b)では、トリミング開始点Aの位置が、許容範囲CよりもX2側に外れている。この場合は、第1のマーク23の内側辺23aの一部(図5(b)で示す二重鎖線23e)のみならず、第2のマーク24の外側辺24bの一部(図5(b)で示す二重鎖線24e)もトリミングされており、第1のマーク23の内側辺23a及び第2のマーク24の外側辺24bはいずれも一部しか残らない。上記のように外観確認できた場合は、トリミング開始点Aの位置が許容範囲CよりもX2側に外れていると判断することができる。
また、図5(c)では、トリミング開始点Aの位置が、許容範囲CよりもX1側に外れている。この場合は、第1のマーク23の内側辺23a及び、第2のマーク24の外側辺24bの双方がトリミングされずにそのまま残されている。上記のように外観確認できた場合は、トリミング開始点Aの位置が許容範囲CよりもX1側に外れていると判断することができる。
このように、本実施の形態では、トリミング開始点Aのトリミング方向(X1-X2方向)への位置ずれを、トリミング開始マーク20の許容範囲Cの両端に位置する第1のマーク23の内側辺23a及び、第2のマーク24の外側辺24bの外観確認により判断でき、図2の比較例で説明したような抵抗値調整用パターンの外観を一本ずつ確認する作業が不要である。したがって、本実施の形態では、トリミング後の外観確認作業を大幅に短縮でき、また確認作業が容易になることで、トリミングによる切り残しの発生リスクを低減でき、抵抗特性の安定化を適切に図ることができる。
また、図5(a)~図5(c)では、トリミング開始点Aの位置がトリミング方向(X1-X2)の許容範囲C内にあるか否かの確認方法を説明した。これに加えて、本実施の形態では、トリミング開始点Aのトリミング方向に対し直交する方向への位置ずれも確認することができる。例えば、図5(d)では、トリミング開始点Aが、許容範囲C内に入っているが、図5(a)に比べて、図示上方にずれている。このとき、第1のマーク23の上辺23c及び下辺23dの外観確認を行う。「上辺23c」及び「下辺23d」は、第1のマーク23の内側辺23aと外側辺23bとの両端を繋いだ両端辺を指す。
すなわち、図5(a)に示すように、第1のマーク23の上辺23c及び下辺23dがトリミングされずにそのまま残されていることを確認することで、トリミング開始点Aは、トリミング方向(X1-X2方向)のみならず、それに直交する方向(Y1-Y2方向)に対しても位置ずれが生じていないことを確認できる。一方、図5(d)に示すように、トリミング開始点Aが図示上方(Y1方向)にずれており、第1のマーク23の上辺23cがトリミングされていることを確認できた場合は、トリミング開始点Aは図示上方に許容範囲を超えて位置ずれが生じていると判断できる。同様に、トリミング開始点Aが図示下方(Y2方向)にずれており、第1のマーク23の下辺23dがトリミングされていることを確認できた場合は、トリミング開始点Aは図示下方に許容範囲を超えて位置ずれが生じていると判断できる。なお、トリミング領域22のY1-Y2方向への長さと、第1のマーク23のY1-Y2方向への第1の長さL1との大小関係によっては、Y1-Y2方向への位置ずれが生じていないとき、図5(a)と異なって、第1のマーク23の上辺23c及び下辺23dの少なくとも一部がトリミングされるため、上記の大小関係に応じた、第1のマーク23の上辺23c及び下辺23dの外観確認により、トリミング開始点Aが、Y1-Y2方向に対して位置ずれが生じているか否かを判断できる。
以上のように、本実施の形態では、トリミング開始マーク20の外観を確認することで、トリミング開始点の位置ずれが許容範囲内か否かを判断できる。具体的には、例えば、抵抗値調整用パターンに近い側の第1のマーク23の内側辺23aと、抵抗値調整用パターンから遠い側の第2のマーク24の外側辺24bの外観を確認することにより、トリミング開始点Aの位置がトリミング方向の許容範囲C内にあるか否かを判断できる。加えて、例えば、第1のマーク23の上辺23c及び下辺23dの外観を確認することにより、トリミング開始点Aの位置がトリミング方向に対して直交する方向の許容範囲内にあるか否かを判断できる。
このように、本実施の形態では、トリミング開始マーク20の外観確認のみで、トリミング開始点Aが位置ずれの許容範囲内に入っているか否かを判断でき、抵抗値調整用パターン6の外観確認を必要としない。
また、図3に示すように、第1のマーク23の幅T1は、第2のマーク24の幅T2よりも広い。このため、第1のマーク23の上辺23c及び下辺23dの長さ(幅T1に一致)は、第2のマーク24の上辺24c及び下辺24dの長さ(幅T2に一致)よりも大きい。よって、トリミング開始点AのY1-Y2方向の位置ずれを、第1のマーク23の上辺23c及び下辺23dの外観確認により精度よく判断できる。すなわち、トリミング領域22の先端は、略円弧状であるため、第1のマーク23の上辺23c及び下辺23dが短いと、トリミング開始点AがY1-Y2方向に位置ずれを起こしていても、トリミング領域22の先端と第1のマーク23の上辺23c或いは下辺23dとが適切に重ならず、Y1-Y2方向への位置ずれを高精度に判断できない可能性がある。そこで、第1のマーク23の上辺23c及び下辺23dを長く延ばすことで、トリミング開始点AがY1-Y2方向に位置ずれを起こした場合、トリミング領域22の先端と第1のマーク23の上辺23c或いは下辺23dとの重なる範囲が広がり、Y1-Y2方向への位置ずれを高精度に判断できる。
<別の実施の形態における抵抗値調整用パターンの概要>
図6(a)(b)は、図3に示す第1の実施の形態のトリミング開始マークとは形状が異なるトリミング開始マークを示す拡大平面図である。
図6(a)(b)は、図3に示す第1の実施の形態のトリミング開始マークとは形状が異なるトリミング開始マークを示す拡大平面図である。
図6(a)では、トリミング開始マーク26が、抵抗値調整用パターン6に近い側(X1側)に配置された第1のマーク23と、第1のマーク23と間隔を空けて対向する第2のマーク24と、で構成されており、図3と異なって連結部25が設けられていない。図6(a)においても、トリミング開始点Aのトリミング方向(X1-X2方向)への位置ずれの許容範囲Cを、例えば、第1のマーク23の内側辺23aと第2のマーク24の外側辺24bとの間で規定でき、第1のマーク23の内側辺23a及び第2のマーク24の外側辺24bを外観確認ラインに用いることができる。また、トリミング開始点Aのトリミング方向とは直交する方向(Y1-Y2方向)への位置ずれに関しても、第1のマーク23の上辺23c及び下辺23dを外観確認ラインとして用いることができる。
図6(a)では図3と異なって第1のマーク23と第2のマーク24の間を繋ぐ連結部25は設けられていないが、連結部25は設けられていることが好ましい。すなわち、図3(a)のように、連結部25の位置でトリミング開始点Aが重なることで、連結部25の外観確認により、トリミング開始点Aが許容範囲C内にあることをより精度よく判断できる。また、トリミング開始点Aの正確な座標を取得しやすい。
なお、連結部25は、第1のマーク23と第2のマーク24のY1-Y2方向の中央を繋ぐように形成されることが好ましい。
なお、連結部25は、第1のマーク23と第2のマーク24のY1-Y2方向の中央を繋ぐように形成されることが好ましい。
また、図6(b)に示すトリミング開始マーク27は、抵抗値調整用パターン6に近い側(X1側)に配置された第1のマーク23と、第1のマーク23と間隔を空けて対向する第2のマーク24と、第1のマーク23と第2のマーク24のY1-Y2方向の中央を連結する中央連結部28と、第1のマーク23と第2のマーク24のY1-Y2方向のY1側端部を連結する上辺連結部29と、第1のマーク23と第2のマーク24のY1-Y2方向のY2側端部を連結する下辺連結部30と、を有して構成される。
図6(b)のトリミング開始マーク27においても、第1のマーク23の内側辺23aと第2のマーク24の外側辺24bの間にて、トリミング開始点Aのトリミング方向(X1-X2方向)への位置ずれの許容範囲Cを規定することができ、第1のマーク23の内側辺23aと第2のマーク24の外側辺24bを外観確認ラインに用いることができる。また、図6(b)では、第1のマーク23と第2のマーク24の間を中央連結部28のみならず、上辺連結部29及び下辺連結部30にて繋いでおり、上辺連結部29の上辺29a及び下辺連結部30の下辺30aを、トリミング開始点Aがトリミング方向に対して直交する方向に位置ずれが生じているか判断するための外観確ラインとして用いることができる。
図6(b)に示すように、上辺連結部29の上辺29a及び下辺連結部30の下辺30aは、図3や図6(a)に示す第1のマーク23の上辺23c及び下辺23dよりも長さが長いため、より精度よく、トリミング開始点Aのトリミング方向とは直交する方向への位置ずれを判断することができる。
また、上記では、トリミング開始点Aのトリミング方向への位置ずれの許容範囲Cを、第1のマーク23の内側辺23aと第2のマーク24の外側辺24bの間に設定し、第1のマーク23の内側辺23a及び第2のマーク24の外側辺24bを外観確認ラインとしたが、第1のマーク23の内側辺23a及び第2のマーク24の内側辺24aを外観確認ラインとすることもできる。これにより、トリミング開始点Aのトリミング方向への位置ずれの許容範囲Cは、第1のマーク23と第2のマーク24の間の間隔となる。すなわち、許容範囲Cの一方の外観確認ラインは、第1のマーク23の内側辺23aで規定されるが、もう一方の外観確認ラインは、第1のマーク23と第2のマーク24の間の間隔に応じて、内側辺23a或いは外側辺23bのどちらかに規定することができる。
<本実施の形態における回路基板の製造方法>
本実施の形態における回路基板9の製造方法について説明する。
本実施の形態における回路基板9の製造方法について説明する。
まず、絶縁基板2の表面全体に抵抗膜をスパッタ法等の既存の方法により形成する。そして、抵抗膜を、図1に示す抵抗値調整用パターンを備えた薄膜抵抗体1の形状にパターニングする。このとき、薄膜抵抗体1のパターニングと同時に、抵抗膜を、トリミング開始マーク20の形状にパターニングすることが好ましい。これにより、抵抗値調整用パターンを備えた薄膜抵抗体1とトリミング開始マーク20とを、絶縁基板2の表面に同時に形成できる。また、抵抗値調整用パターンを備えた薄膜抵抗体1とトリミング開始マーク20とを同じ材質で形成できる。
本実施の形態では、トリミング開始マーク20を、少なくとも、抵抗値調整用パターン6に近い側に配置する第1のマーク23と、第1のマーク23に間隔を空けて対向する第2のマーク24とで形成する。図3のように、第1のマーク23と第2のマーク24との間を連結部25にて連結することが好ましい。また、図3に示すように、第1のマーク23の幅T1を、第2のマーク24の幅T2より広く形成することが好ましい。
次に、本実施の形態では、図4に示すように、トリミング開始マーク20の位置から抵抗値調整用パターン6に向けてトリミングを行う。
本実施の形態では、抵抗値調整用パターン6に対してトリミングを終了した後、トリミング開始マーク20の外観を確認して、トリミング開始点Aの位置が許容範囲内であるか否かを判別する。すなわち、図5(a)に示すように、例えば、第1のマーク23の内側辺23aと、第2のマーク24の外側辺24bの外観確認を行い、第1のマーク23の内側辺23aがトリミングにより一部除去されており、第2のマーク24の外側辺24bがトリミングされずにそのまま残されている状態では、トリミング開始点Aの位置は、許容範囲C内に存在すると判別できる。一方、図5(b)に示すように、第1のマーク23の内側辺23a及び第2のマーク24の外側辺24bの双方の一部がトリミングにて除去されていたり、図5(c)に示すように、第1のマーク23の内側辺23a及び第2のマーク24の外側辺24bの双方がトリミングされずにそのまま残された状態では、トリミング開始点Aの位置は、許容範囲Cの外側に存在すると判別できる。また、一例であるが、図5(a)に示すように、第1のマーク23の上辺23cや下辺23dの外観が、トリミングされずにそのまま残されていると確認できた場合は、トリミング開始点Aがトリミング方向のみならず、それに直交する方向に対しても位置ずれが生じておらず許容範囲内に存在していると判断できる。また、図5(d)に示すように、第1のマーク23の上辺23cの外観が、トリミングされてしまい除去されていると確認できた場合は、トリミング開始点Aがトリミング方向に直交する方向に対して、位置ずれが生じていると判断できる。
図5(b)~図5(d)に示すトリミング開始マーク20の外観観察では、トリミング開始点Aに位置ずれが生じており、抵抗値調整用パターンに切り残しが生じているリスクがあるため、トリミング開始点Aの座標位置を修正した後、再度、別列の抗値調整用パターンに対してトリミングを行う。図5(a)に示すトリミング開始マーク20の外観が得られたら、トリミング開始点Aの位置ずれは許容範囲内であることがわかり、すなわち、抵抗値調整用パターンに切り残しが生じていないと判断できる。
このように、本実施の形態では、トリミング開始マーク20の外観確認を行うことのみで、トリミング開始点Aの位置ずれが許容範囲内か、許容範囲から外れているかを判断でき、確認作業を容易にできる。そのため、抵抗値調整用パターンに対する切り残しの発生リスクを低減でき、安定した抵抗特性を備える回路基板を歩留まりよく製造することができる。
なお、物の発明は、図1に示すように、抵抗値調整用パターンに対してトリミングを施す前の状態を示しているが、実際に製品化された薄膜抵抗器10は、抵抗値調整用パターンに対してトリミングされて抵抗値が調整された後の状態である。そこで、抵抗値調整用パターンに対してトリミングされた後の状態であっても図5(a)のように、第1のマーク23及び第2のマーク24の少なくとも一部は残されているため、抵抗値調整用パターンに対してトリミングを施す前の状態を認識することが可能であり、抵抗値調整用パターンに対してトリミングされた後の状態も発明の権利範囲に含まれる。
また、図1等で示した抵抗値調整用パターン6は、例えば、抵抗値の粗調整用であり、より細かい抵抗値の調整は、図示しない微調整用の抵抗値調整用パターンを用いて行うことができる。このように、抵抗値調整用パターンを複数種類、配置した場合、各抵抗値調整用パターンに対して、図3に示すトリミング開始マーク20を適用することができる。
本発明の回路基板では、トリミング開始マークの外観確認により、トリミング開始点の位置が許容範囲内にあるか否かを判断できる。そのため、作業効率を向上させることができ、また、抵抗値調整用パターンの切り残しの発生リスクを抑えることができ、回路基板を歩留まりよく製造することができる。
回路基板としては、チップ抵抗器や、薄膜抵抗ネットワーク等に適用できる。
回路基板としては、チップ抵抗器や、薄膜抵抗ネットワーク等に適用できる。
1 :薄膜抵抗体
1a :抵抗体パターン
1e、1f :幅広部
2 :絶縁基板
3a~3d :電極
5 :折り返し端部
6 :抵抗値調整用パターン
9 :回路基板
10 :薄膜抵抗器
20 :トリミング開始マーク
22 :トリミング領域
23 :第1のマーク
23a、24a :内側辺
23b、24b :外側辺
23c、24c,29a :上辺
23d、24d、30a :下辺
24 :第2のマーク
25 :連結部
28 :中央連結部
29 :上辺連結部
30 :下辺連結部
A :トリミング開始点
C :許容範囲
1a :抵抗体パターン
1e、1f :幅広部
2 :絶縁基板
3a~3d :電極
5 :折り返し端部
6 :抵抗値調整用パターン
9 :回路基板
10 :薄膜抵抗器
20 :トリミング開始マーク
22 :トリミング領域
23 :第1のマーク
23a、24a :内側辺
23b、24b :外側辺
23c、24c,29a :上辺
23d、24d、30a :下辺
24 :第2のマーク
25 :連結部
28 :中央連結部
29 :上辺連結部
30 :下辺連結部
A :トリミング開始点
C :許容範囲
Claims (9)
- 抵抗値調整用パターンを有する抵抗体と、前記抵抗値調整用パターンに対するトリミング開始点の位置を示すトリミング開始マークと、を備え、
前記トリミング開始マークは、第1のマークと、前記第1のマークに対し間隔を空け前記抵抗値調整用パターンから離れた側で対向する第2のマークと、を有することを特徴とする回路基板。 - 前記トリミング開始マークは、前記第1のマークと前記第2のマークの間を繋ぐ連結部を備えることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
- 前記第1のマークの前記第2のマークに向かう方向の幅は、前記第2のマークの幅に比べて、広いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回路基板。
- 前記第1のマークの前記第2のマークに対向する内側辺と、前記第2のマークの内側辺或いは前記内側辺と反対側の外側辺は、前記トリミング開始点のトリミング方向への位置が許容範囲内であるか否かを判別する外観確認ラインであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の回路基板。
- 前記第1のマークの内側辺と外側辺の両端を繋ぐ上辺と下辺は、前記トリミング開始点の前記トリミング方向と直交する方向の位置が許容範囲内であるか否かを判別する外観確認ラインであることを特徴とする請求項4に記載の回路基板。
- 基板表面に、抵抗値調整用パターンを有する抵抗体を形成する工程、
第1のマークと、前記第1のマークに間隔を空け前記抵抗値調整用パターンから離れた側で対向する第2のマークと、を有するトリミング開始マークを形成する工程、
を含むことを特徴とする回路基板の製造方法。 - 前記トリミング開始マークの位置から、前記抵抗値調整用パターンに向けてトリミングを開始する工程、
トリミング後に、前記トリミング開始マークの外観を確認してトリミング開始点の位置が許容範囲内であるか否かを判別する工程、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の回路基板の製造方法。 - トリミング後に、前記第1のマークの前記第2のマークに対向する内側辺と、前記第2のマークの内側辺或いは前記内側辺と反対側の外側辺の外観を確認し、外観確認の結果に基づいて、トリミング開始点のトリミング方向への位置が、許容範囲内であるか否かを判定することを特徴とする請求項7に記載の回路基板の製造方法。
- 前記トリミング後に、前記第1のマークの上辺と下辺の外観を確認し、外観確認の結果に基づいて、トリミング開始点のトリミング方向と直交する方向への位置が、許容範囲内であるか否かを判定することを特徴とする請求項8に記載の回路基板の製造方法。
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JP2021210037A JP2023094634A (ja) | 2021-12-24 | 2021-12-24 | 回路基板及びその製造方法 |
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- 2021-12-24 JP JP2021210037A patent/JP2023094634A/ja active Pending
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