JP2023092377A - 弁装置 - Google Patents

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Kazuki Yajima
健太 三原
Kenta Mihara
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Abstract

【課題】フロート弁の再開弁の確実性を高めることができる弁装置を提供する。【解決手段】この弁装置10は、ハウジング15と、フロート弁40と、シール部材80とを有しており、フロート弁40は載置面70を有しており、シール部材80は、載置面70に載置され、該載置面70に対して所定距離移動可能に支持されており、載置面70の少なくともシール部材80に覆われる部分には、シール部材80が接触するシール接触部71と、シール部材80が接触しないシール非接触領域とが設けられており、シール非接触領域は、載置面70にシール部材80が載置された状態において、弁室Vに連通する、通気路75をなしている。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の燃料タンクに取付けられ、燃料流出防止弁や満タン規制弁等として用いられる、弁装置に関する。
例えば、自動車等の車両の燃料タンクには、車両が傾いたり横転したりしたときに、燃料タンク内の燃料が、燃料タンク外へ漏れるのを防止する弁装置が取付けられている。このような弁装置は、一般的に、通気孔を有する仕切壁を介して、上方に通気室、下方に弁室を設けたハウジングと、弁室内に昇降可能に配置されたフロート弁とを有する。また、フロート弁上方には、通気孔に対するシール性向上を目的として、ゴム等からなるシール部材が配置されている場合がある。
例えば、下記特許文献1には、仕切壁を介して下方に弁室、上方に通気室が設けられ、仕切壁に連通する通気孔が設けられたハウジングと、弁室内に昇降可能に収容されたフロート弁とを有し、仕切壁の弁室側に弁座が形成され、この弁座の内側に開口部が設けられており、開口部は、第1開口と、その少なくとも一箇所からスリット状に延びる第2開口とを有しており、フロート弁の上方には、第1開口及び第2開口を開閉する弾性を有するシール部が配置された、弁装置が記載されている。
特許第6898516号公報
ところで、弁装置においては、フロート弁が上昇して、開口部にシール部材が当接して開口部を閉塞した後、タンク内圧が高い状態でも、開口部からシール部材が開いて、開口部を開口させることができる性能、すなわち、再開弁圧が高いことが要求されている。
上記特許文献1の弁装置においても再開弁圧の向上が図られているが、タンク内圧が高い状態において、開口部からシール部材をしっかりと開いて、再開弁が確実になされることが望まれている。
したがって、本発明の目的は、フロート弁の再開弁の確実性を高めることができる、弁装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る弁装置は、仕切壁を介して、下方に燃料タンク内に連通する弁室、上方に燃料タンク外に連通する通気室が設けられ、前記仕切壁に前記弁室と前記通気室とを連通する開口部が形成された、ハウジングと、前記弁室内に昇降可能に収容されたフロート弁と、該フロート弁の上方に配置され、前記開口部を閉塞するシール部材とを有しており、前記フロート弁は前記シール部材を載置するための載置面を有しており、前記シール部材は、前記載置面に載置され、該載置面に対して所定距離移動可能に支持されており、前記載置面の、少なくとも前記シール部材に覆われる部分には、前記シール部材が接触するシール接触部と、前記シール部材が接触しないシール非接触領域とが設けられており、前記シール非接触領域は、前記載置面に前記シール部材が載置された状態において、前記弁室に連通する通気路をなしていることを特徴とする。
本発明によれば、フロート弁の載置面の、少なくとも前記シール部材に覆われる部分には、シール接触部とシール非接触領域とが設けられており、シール非接触領域は、載置面にシール部材が載置された状態において、弁室に連通する通気路をなしているので、シール部材が開口部を閉塞した後、開口部から開こうとする再開弁時において、気体が、通気路を通って、シール部材の裏面と載置面との間に入り込んで、シール部材の裏面全域が載置面に接触することを妨げて、シール部材に載置面が貼り付くことを防止することができる。その結果、載置面に対してシール部材を確実に移動させることができ、開口部からシール部材を確実に開かせて、フロート弁の再開弁の確実性を高めることができる。
本発明に係る弁装置の、一実施形態を示す分解斜視図である。 同弁装置の斜視図である。 図2のA-A矢視線における断面図である。 同弁装置を構成するフロート弁及びシール部材の、拡大斜視図である。 同弁装置のフロート弁を構成するシール支持部材を示しており、(а)はその拡大斜視図、(b)は平面図である。 (a)は図5のD-D矢視線における断面図、(b)は図5のE-E矢視線における断面図である。 同弁装置を構成するシール部材を示しており、(а)はその拡大斜視図、(b)は平面図である。 図4のB-B矢視線における拡大断面図である。 同弁装置において、ハウジングを構成するハウジング本体、フロート弁、シール支持部材、シール部材を示す、平面図である。 同弁装置において、フロート弁が傾かずに上昇して、開口部を閉じた状態の断面図である。 同弁装置において、フロート弁が開口部を閉じた状態から、フロート弁が下降しようとする際の状態の断面図である。 載置面の変形例を示す斜視図である。 (а)は通気路の第1変形例を示す平面図、(b)は通気路の第2変形例を示す平面図、(c)は通気路の第3変形例を示す平面図である。
(弁装置の一実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係る弁装置の、一実施形態について説明する。なお、以下の説明において、「燃料」とは、液体の燃料(燃料の飛沫も含む)を意味し、「燃料蒸気」とは、蒸発した燃料を意味するものとする。
図1及び図3に示すように、この実施形態における弁装置10は、仕切壁23を介して、下方に燃料タンク内に連通する弁室V、上方に燃料タンク外に連通する通気室Rが設けられ、仕切壁23に弁室Vと通気室Rとを連通する開口部25が形成された、ハウジング15と、弁室V内に昇降可能に収容されたフロート弁40と、このフロート弁40の上方に配置され、開口部25を閉塞するシール部材80と、フロート弁40を付勢する付勢バネSとを有している。また、フロート弁40は、シール部材80を載置するための、載置面70を有しており、更に、シール部材80は、載置面70に載置され、該載置面70に対して所定距離移動可能に支持されている。
また、この実施形態のハウジング15は、略筒状をなし、上方に仕切壁23を設けたハウジング本体20と、該ハウジング本体20の下方に装着される下部キャップ30と、ハウジング本体20の上方に装着される上部カバー35とを有している。
前記ハウジング本体20は、略円筒状をなした周壁21を有しており、その上方に仕切壁23が配置されている。周壁21の上方には、複数の通口21a及び係止突部21bが形成されていると共に、下方には係止孔21cが形成されている。また、仕切壁23の中央部に、開口部25が形成されている。更に、仕切壁23の上面側であって、開口部25よりも外側からは、筒状壁27が突設されている。この筒状壁27の上部外周からは、複数のリブ27aが突出している。また、周壁21の上方外周からは、フランジ部28が張り出している。更に、フランジ部28と前記筒状壁27との間には、リング装着溝28aが形成されており、このリング装着溝28aに、環状のシールリング29が装着されるようになっている(図3参照)。
また、図9に示すように、開口部25は、第1領域25aと、該第1領域25aからスリット状に延びて、開口部25の端部を形成する第2領域25bとを有している。この実施形態における開口部25は、略円形孔状をなした第1領域25aと、この第1領域25の外周から周方向に均等な間隔を空けて、外方に向けてスリット状に延びる複数(ここでは4個)の第2領域25bとを有しており、中央部分が拡径した略十字形状の開口となっている。
また、図3に示すように、開口部25は、その裏側(弁室V側)周縁から下方に向けて突出した弁座26を有している。この弁座26の下端部に、シール部材80が接離することで、開口部25が開閉されるようになっている。
一方、前記下部キャップ30は、略円形板状をなした底壁31と、その周縁から立設した周壁33とを有している。底壁31の径方向中央部には、付勢バネSの下端部を支持するバネ支持突起31aが突設されている。また、底壁31には、複数の通口31bが形成されていると共に、フロート弁40下降時の打音を抑制するための、弾性片34が撓み変形可能に形成されている。更に、周壁33には、複数の係止爪33aが形成されている。
そして、下部キャップ30の各係止爪33aを、ハウジング本体20の各係止孔21cに係止させることで、ハウジング本体20の下方に下部キャップ30が装着される。その結果、仕切壁23を介して、ハウジング下方に図示しない燃料タンク内に連通する弁室Vが形成される(図3参照)。
図1に示すように、前記上部カバー35は、所定高さで延びる周壁36と、その上方を閉塞する天井壁37と、周壁36の延出方向途中から、環状に広がったフランジ部36aとを有している。周壁36の所定箇所には、図示しない通気口が形成されており、その外周縁部から略円筒状をなした燃料蒸気配管38が外方に向けて延設されている。この燃料蒸気配管38には、図示しない燃料タンクの外部に配置されるキャニスター等に連通する、図示しないチューブが接続される。また、図3に示すように、周壁36の下端面からは、ハウジング本体20の係止突部21bに係止する、枠状の係止片39が垂設されている。
そして、図3に示すように、上部カバー35の各係止片39と、ハウジング本体20の対応する係止突部21bとをそれぞれ係止させることで、リング装着溝28aに装着されたシールリング29が、上部カバー35の周壁36の内周に当接した状態で、ハウジング本体20の上方に上部カバー35が装着される。その結果、仕切壁23を介して、その上方に燃料タンクの外部に連通する通気室Rが形成されるようになっている(図3参照)。
次に、フロート弁40について詳述する。
この実施形態のフロート弁40は、フロート本体50と、その上方に配置され、フロート本体50に対して揺動可能に抜け止め保持されると共に、前記シール部材80を所定距離移動可能に抜け止め支持するシール支持部材60とを有している。なお、この実施形態においては、フロート弁40を構成するシール支持部材60に、シール部材80を載置するための、前記載置面70が設けられている。
フロート本体50は、所定長さで上下方向に延びる周壁51と、その上方に配置された天井壁53とを有し、下方が開口し上方が閉塞した略円筒状をなしている。
また、周壁51の周方向に対向する2箇所には、天井壁53から周壁下方に向けて軸方向に延びる、一対のガイド溝51a,51aが形成されている。これらのガイド溝51a,51aには、ハウジング本体20の内周に設けられた図示しないガイド突条が挿入されて、フロート弁40の昇降動作のガイドがなされる。更に、周壁51の外周には、放射状に延びる複数のガイドリブ51bが、軸方向に沿って延設されている。これらのガイドリブ51bは、ハウジング本体20の周壁21の内周に対向配置されて、フロート弁40の昇降動作のガイドをなす。
また、天井壁53の表面は、シール支持部材60が載置されて、同シール支持部材60を支持する、載置面54をなしており、この載置面54の中央からは、曲面状の外面を有する支持突部53aが突設さされている。この支持突部53a上には、シール支持部材60の板状部61が載置され、同シール支持部材60を揺動可能に支持する。更に、天井壁53の外周縁部には、周方向に均等な間隔を空けて複数(ここでは4個)の突出部55が突出している。
また、周壁51の、天井壁53寄りの上端部の外周面であって、径方向に対向する2箇所には、フロート本体50に対してシール支持部材60を揺動可能に抜け止め保持するための、抜け止め突部57,57が突設されている。各抜け止め突部57は、シール支持部材60に設けた後述する抜け止め孔67a内に、フロート弁40の軸方向Z(図4参照)に沿ってスライド可能で、且つ、フロート弁40の幅方向Y(図4参照)に沿って移動可能に挿入されるようになっている。
なお、フロート本体50には、下方が開口したバネ収容凹部59が形成されており(図3参照)、該バネ収容凹部59内に付勢バネSが収容される。そして、フロート弁40は、弁室V内において、下部キャップ30との間で、付勢バネSを介在させた状態で昇降可能に収容配置され、燃料浸漬時に自身の浮力及び付勢バネSの付勢力で上昇し、燃料の非浸漬時に自重により下降するようになっている。
一方、このフロート弁40を構成するシール支持部材60は、フロート本体50とシール部材80との間に配置され、所定厚さで形成された板状部61を有している。
このシール支持部材60について、図5、図6、及び図8等を参照して説明すると、板状部61は、中央部63と、該中央部63から外方に向けて延出した複数の延出部65とを有している。この実施形態の板状部61は、全体として略十字形状をなしたシール部材80を受け止め支持可能とすべく、同板状部61に適合する形状となっている。すなわち、この板状部61は、中央部63から、4個の延出部65が外方に向けて放射状に延出していると共に、周方向に隣接する延出部65,65どうしが互いに直交しており、全体として略十字形状をなしている。なお、各延出部65は、中央部63の外周において、周方向に均等な間隔を空けて隣接して配置されている、とも言える。
また、中央部63を挟んで対向して配置された一対の延出部65,65であって、その先端部の裏側(フロート本体50側)からは、抜け止め片67,67が垂設されている。各抜け止め片67には、フロート弁40の軸方向に沿って延びる長孔状をなした抜け止め孔67aが形成されている。この抜け止め孔75aは、フロート本体50側に設けた抜け止め突部57の軸方向長さよりも長く、且つ、同抜け止め突部57の周方向幅よりも幅広に形成された、略長方形状をなしている。
そして、図4に示すように、各抜け止め片67の抜け止め孔67aに、各抜け止め突部57が内側から挿入されることで、フロート本体50に対して、シール支持部材60が揺動可能に抜け止め保持されるようになっている。
また、抜け止め突部57が抜け止め孔67aに挿入された状態では、抜け止め孔67aの幅方向両側と、抜け止め突部57の幅方向両側との間に、所定の隙間が形成されていると共に、抜け止め孔67aの軸方向両端と、抜け止め突部57の軸方向両端との間にも、所定の隙間が形成されるようになっている。
したがって、図4に示す符号X,Y,Zに示すように、シール支持部材60は、フロート本体50に対して、フロート弁40の径方向Xに直交する幅方向Yに沿って所定距離移動可能で、且つ、フロート弁40の軸方向Zに沿って所定距離移動可能となり、更に、シール支持部材60はフロート本体50に対して揺動可能となっている。
また、シール支持部材60がフロート本体50に対して、(1)軸方向Zに沿って最大限移動した場合には、抜け止め突部57が抜け止め孔67aの長手方向両端の内面に係止し、(2)幅方向Yに沿って最大限移動した場合には、抜け止め突部57が抜け止め孔67aの幅方向両側の内面に係止するため、フロート本体50に対してシール支持部材60が抜け止め保持される。
また、各延出部65の、先端部の表側(シール部材80側)からは、シール部材80の支持孔85a(図6参照)に挿入される、抜け止めフック69がそれぞれ突設されている。
各抜け止めフック69は、支持孔85aに遊嵌される軸部69aと、この軸部69aの上端から、支持孔85aの内周縁よりも張出す張出し部69bとを有する、略逆L字状をなしている。また、軸部69aは、シール部材80の支持孔85a内において、フロート弁40の径方向Xに沿って移動可能で、且つ、フロート弁40の幅方向Yに沿って移動可能に挿入されるようになっている。
そして、上記の板状部61の表面、すなわち、フロート弁40の天井壁53の載置面54に向く裏面とは反対側の面が、シール部材80を載置するための載置面70をなしている。この載置面70にシール部材80が載置され、該シール部材80は載置面70に対して所定距離移動可能に支持されるようになっている(図8参照)。なお、本発明において、フロート弁に設けた「載置面」とは、その上方にシール部材が配置されると共に、同シール部材によって覆われる(カバーされる)領域を意味するものとする。
また、図6に示すように、載置面70の、少なくともシール部材80に覆われる部分には、シール部材80が接触するシール接触部71と、該シール接触部71よりも低く、シール部材80が接触しないシール非接触領域とが設けられている。更に、前記シール非接触領域は、載置面70にシール部材80が載置された状態において、弁室Vに連通する通気路75をなしている。図8に示すように、この実施形態における通気路75は、載置面70の外周縁部70aにおいて弁室Vに連通すると共に、シール部材80の外周縁部80aから露出することで弁室Vに連通する構造となっている。
また、図5や、図6、図8等に示すように、通気路75をなすシール非接触領域は、以下のような構造となっている。すなわち、このシール非接触領域は、載置面70にシール部材80が載置された状態において、シール部材80の外周縁部80аから露出している。また、シール非接触領域は、載置面70の外周縁部70аに至るように形成されている。更に、シール非接触領域は、載置面70の中央部から外周方向に延びる溝をなしている。また、通気路75は、載置面70の外周縁部70aにおいて、弁室Vに連通する部分を複数有している。更に、溝は、載置面70の中央部で交差する部分(ここでは第1溝76)と、この交差した部分から載置面70の外周に向けて複数方向に延びる部分(ここでは第2溝77)とを有している。
より具体的には、この実施形態における通気路75は、載置面70の中央部に配置され、載置面70から所定深さで切欠いて形成された、円形の凹溝状をなした第1溝76と、この第1溝76の外周において、周方向に均等な間隔を空けて配置されると共に、第1溝76の外周から放射状をなすように、載置面70の外周縁部70aに向けて一定幅で直線状に延びる、複数(ここでは4個)の第2溝77とからなる溝となっている。
各第2溝77は、その延出方向の基端部77aが、第1溝76を介して互いに交差しており(複数の第2溝77の延長線は、載置面70の中心C1にて交差する)、且つ、第1溝76の外周から、板状部61を構成する延出部65,65の基端部65a,65aどうしの連結部分(境界部分)に向けて延びている(図5参照)。また、各第2溝77の延出方向の先端部77bが、載置面70の外周縁部70aに至るまで延びて、弁室Vに連通すると共に、シール部材80の外周縁部80aから露出して、弁室Vに連通するようになっている(図8参照)。
上記のような第1溝76及び複数の第2溝77からなる溝は、全体として上方(シール部材80側)が開口すると共に、側方(載置面70の外周縁部70a側)が開口した溝形状となっている。
また、各第2溝77の幅(延出方向に直交する方向の長さ)は、それらが交差する第1溝76の最大内側寸法(内径)よりも狭く形成されている。言い換えると、第1溝76は、第2溝77よりも幅広に形成されている。更に、これらの、円形凹溝状をなした第1溝76と、一定幅で直線状に延びる各第2溝77とは、互いに連通している。
上記の第1溝76及び複数の第2溝77が、本発明における「溝」をなすと共に、空気や燃料蒸気等の気体の通気路75をなしており、また、この通気路75が、シール部材80の裏面80bが接触しない、本発明における「シール非接触領域」を構成している。更に、載置面70の中でも、通気路75をなすシール非接触領域、以外の部分が、シール部材80の裏面80bが接触するシール接触部71をなしている。
そして、図8に示すように、シール支持部材60の載置面70にシール部材80が載置されると、載置面70のシール接触部71には、シール部材80の裏面80bが接触する一方、載置面70のシール非接触領域には、シール部材80の裏面80bが接触しない状態となる(通気路75により接触しない)。
また、上記のような溝76,77を設けたことによって、図8に示すように、載置面70のシール接触部71に、シール部材80の裏面80bが接触して、載置面70にシール部材80が載置された状態において、載置面70とシール部材80の裏面80bとの間に、気体が流通する通気路75が確保されるようになっている(載置面70とシール部材80の裏面80bとの間に通気路75が介在した構造をなす)。
その結果、例えば、図5(b)や図8に示すように、通気路75を構成する第2溝77のうち、所定の第2溝77の先端部77b側の開口(載置面70の外周縁部70a側の開口)から、気体が流入すると(矢印F1参照)、この気体は、第2溝77を流通して、載置面70の中央部に位置する第1溝76に至った後、第1溝76から他の第2溝77へと分岐して、各第2溝77を流れて、その先端部77b側の開口(載置面70の外周縁部70a側の開口)から流出するようになっている(矢印F2参照)。すなわち、載置面70に通気路75を設けたことで、載置面70にシール部材80が載置された状態においても、載置面70とシール部材80の裏面80bとの間を、気体が流通可能となっている。
また、上記の第1溝76が、本発明における「載置面の中央部で交差する部分」をなしている。更に、上記の第2溝77が、本発明における「交差した部分から載置面の外周に向けて複数方向に延びる部分」をなしている。
なお、通気路75をなした溝は、以下のように構成されているとも言える。すなわち、この溝は、板状部61の中央部63の外周において周方向に隣接して配置された、延出部65,65の基端部65a,65aどうしの連結部分の外周縁部から、載置面70の中心C1に向けて延びる複数の第2溝77と、載置面70の中央部に配置され、各第2溝77の延出方向一端部を互いに連結する第1溝76とからなる。
なお、以上説明したシール支持部材60は、板状部や、板状部を構成する中央部及び複数の延出部、抜け止め片、抜け止めフック、載置面、シール接触部、シール非接触領域、通気路等の全ての構成部分が一体形成されている。
次に、シール部材80について、図1、図4、及び図6等を参照して説明する。
このシール部材80は、シール支持部材60の上方に配置されて、同シール支持部材60に対して、所定距離移動可能に抜け止め支持されると共に、開口部25に設けた弁座26に接離して、開口部25を開閉するものである。
図6に示すように、このシール部材80は、開口部25の第1領域25аを覆う第1カバー部81と、開口部25の第2領域25bを覆う第2カバー部83とを有している。より具体的には、この実施形態におけるシール部材80は、略十字状開口をなした開口部25に対応して、第1カバー部81の外周から4個の第2カバー部83が外方に向けて放射状に延出している(4方向に延出している)と共に、周方向に隣接する第2カバー部83,83どうしが互いに直交しており、全体として略十字形状となっている。
また、各第2カバー部83は、フロート弁40に対してシール部材80を抜け止め支持する支持部85と、開口部25の第2領域25bの先端が位置する部分に設けられた幅広部87と、幅広部87に対して開口部25の第1領域25а寄りの位置に設けられ、幅広部87よりも幅狭に形成された幅狭部89とを有している。
図6(b)に示すように、各第2カバー部83の延出方向の先端部が、上記支持部85をなしている。この支持部85に、第2カバー部83の延出方向に沿って長く延びる、略長孔状をなした支持孔85аが形成されている。各支持孔85аには、シール支持部材60に設けた抜け止めフック69の軸部69аが遊嵌可能に挿入されるようになっている。
そして、図4に示すように、各支持孔85аに、各抜け止めフック69の軸部69аを挿入し、張出し部69bを、各支持孔85аの表側周縁にそれぞれ位置させることで、シール支持部材60に対して、シール部材80が所定距離移動可能に抜け止め支持される。
また、支持孔85а内に軸部69aが挿入された状態では、支持孔85аの軸方向両端と、軸部69aとの間に、所定の隙間が形成されると共に、支持孔85аの幅方向両側と、軸部69aとの間にも、所定の隙間が形成されるようになっている。
したがって、図4に示す符号X,Y,Zに示すように、シール部材80は、シール支持部材60に対して、フロート弁40の径方向Xに沿って所定距離移動可能で、且つ、フロート弁40の幅方向Yに沿って所定距離移動可能で、更に、フロート弁40の軸方向Zに沿って、フロート弁40の載置面70に対して所定距離移動可能となっている。
また、シール部材80がシール支持部材60に対して、(1)径方向Xに沿って最大限移動した場合には、軸部69аが支持孔85аの軸方向両端の内面に係止し、(2)幅方向Yに沿って最大限移動した場合には、軸部69aが支持孔85аの幅方向の両側の内面に係止し、(3)軸方向Zに最大限移動した場合には、張出し部69bが支持孔85аの表側周縁に係止するため、シール支持部材60に対してシール部材80が抜け止め支持される。
一方、図6に示すように、幅広部87は、第2カバー部83の延出方向の基端部側に設けられている。この幅広部87の幅(延出方向に対して直交配置された両側辺どうしの長さ)は、支持部85の幅や幅狭部89の幅よりも大きくなるように形成されている。
また、第1カバー部81の外周から延出し周方向に隣接する第2カバー部83,83の基端部どうしの間に、切欠き91が第1カバー部81の中心C2に向けて切欠き形成されており、該切欠き91を介して幅狭部89が設けられている。
この実施形態の場合、第1カバー部81の外周から4方向に延出した第2カバー部83のうち、周方向に隣接する第2カバー部83,83の基端部どうしの間の連結部分(隣接する第2カバー部83,83の基端部どうしが互いに連結される部分の境界部分)であって、シール部材80の外周縁部80aに、一定幅の切欠き91が、第1カバー部81の中心C2に向けて斜め内方に切欠いて形成されている。そして、第1カバー部81の周方向に隣接して形成された一対の切欠き91,91を介して、各第2カバー部83の延出方向の基端部に、幅広部87の幅よりも小さい幅で、幅狭部89が形成されている。
なお、シール部材80の外周縁部80aに設けられた切欠き91からは、シール非接触領域が露出している。すなわち、図9に示すように、フロート弁40及びシール部材80を弁軸方向(フロート弁40の軸心に沿った方向)から見たときに、シール部材80の切欠き91から、シール支持部材60の、シール非接触領域をなす通気路75を構成する第2溝77の、延出方向の先端部77bが視認されるようになっている。その結果、フロート弁40の載置面70に設けた通気路75は、シール部材80の外周縁部80аにおいて弁室Vに連通する構造となっている。すなわち、図8に示すように、通気路75を構成する第2溝77の先端部77b側の上方開口が、切欠き91を介して弁室Vに連通している。
なお、以上説明したシール部材80は、例えば、ゴムや弾性エラストマー等の弾性材料によって、第1カバー部、第2カバー部、支持部、幅広部、幅狭部等の全ての構成部分が一体形成されている。
(変形例)
本発明を構成するハウジング、該ハウジング本体を構成するハウジング本体、下部キャップ、上部カバー、フロート弁、フロート本体、シール支持部材、フロート弁の載置面、シール接触部、シール非接触領域、シール非接触領域である通気路、通気路を構成する第1溝及び第2溝、シール部材等の、形状や構造は、上記態様に限定されるものではない。
また、上記実施形態におけるハウジング15は、ハウジング本体20と、下部キャップ30と、上部カバー35とから構成されているが、ハウジングとしては、少なくとも仕切壁及び開口部を有する構造であればよい。
更に、この実施形態の開口部25は、中央部分が拡径した略十字形状の開口となっているが、開口部としては、第1領域と第1領域からスリット状に延びて、開口部の端部を形成する第2領域とを有するものであればよい。
また、この実施形態におけるハウジング本体20の周壁21や、下部キャップ30の周壁33、上部カバー35の周壁36は、略円筒状をなしているが、これらの周壁は、例えば、楕円筒状や角筒状等であってもよい。
更に、この実施形態では、ハウジング15内に形成された一つの弁室V内に、一つのフロート弁40が収容配置された構造となっているが、例えば、一つの弁室内に複数のフロート弁を収容配置したり(満タン規制弁のほか、燃料カット弁や圧力調整弁等として機能する)、ハウジング内に複数の弁室を画成して、各弁室内にフロート弁を収容配置したりしてもよい。
また、この実施形態において、シール接触部71やシール非接触領域、通気路75を設けた載置面70は、フロート弁40を構成するシール支持部材60に設けられているが、載置面としては、例えば、図12に示すように、フロート弁40を構成するフロート本体50Aの天井壁53の表面を載置面54として、この載置面54に、シール接触部やシール非接触領域、第1溝76及び複数の第2溝77からなる通気路75を設けてもよい。なお、図12に示す変形例の場合、シール支持部材60が存在しない構造となるため、フロート本体50Aの載置面54から直接、シール部材80を抜け止め支持するための、抜け止めフック69が複数突設されるようになっている(図12参照)。
また、シール接触部は、載置面に設けられシール部材に接触するものであれば、どのような形状や構造であってもよく、同じくシール非接触領域も、載置面に設けられシール部材に対して非接触するものであれば、どのような形状や構造であってもよい。
この実施形態の通気路75は、図8に示すように、載置面70の外周縁部70аにおいて弁室Vに連通すると共に(第2溝77の先端部77b側の側方開口が弁室Vに連通)、シール部材80の外周縁部80аから露出することで弁室Vに連通する(第2溝77の先端部77b側の上方開口が、切欠き91から露出して弁室Vに連通)構造となっているが、シール非接触領域としては、載置面の外周縁部にて弁室に連通するか、又は、シール部材の外周縁部から露出して弁室に連通する構造であってもよく、気体が流通可能で、載置面にシール部材が載置された状態で弁室に連通する形状や構造であればよい。
例えば、図13(а)に示す通気路75Aは、シール支持部材60Aの載置面70の中央部がシール接触部71をなしており(円形凹溝状の第1溝76は形成されていない)、この中央部から放射状をなすように、載置面70の外周縁部70aに向けて一定幅で直線状に延びる、4個の溝78からなる溝形状となっている。すなわち、この通気路75Aは、図5に示す通気路75に対して、第1溝76が存在しない構造となっている。
一方、図13(b)に示す通気路75Bは、次のような構造となっている。すなわち、シール支持部材60Bを構成する複数の延出部を、中央部63の周方向周りに、延出部65A、延出部65B、延出部65C、延出部65Dとしたとき、延出部65A,65Bの基端部65а,65аどうしの連結部分の外周縁部から、延出部65B,65Cの基端部65а,65аどうしの連結部分の外周縁部に向けて、円弧状に延びる1個の溝78が形成されている。また、延出部65C,65Dの基端部65а,65аどうしの連結部分の外周縁部から、延出部65D,65Aの基端部65а,65аどうしの連結部分の外周縁部に向けて、円弧状に延びる1個の溝78が形成されている。
これらの一対の78,78が通気路75Bをなしている。また、一対の溝78,78は、一対の延出部65A,65C及び中央部63の中心を通過する線分Lに対して、線対称となるように配置されている。なお、このような円弧状をなした溝78としては、載置面70に対して1個のみ配置されていてもよい。また、溝の延出形状は、上記のような円弧状以外にも、曲面状に延びたり、弓なりに湾曲したり、直線状に延びる部分が複数組み合わされていたりしていてもよい。
更に図13(c)に示す通気路75Cは、次のような構造となっている。すなわち、延出部65B,65Cの基端部65а,65аどうしの連結部分の外周縁部から、延出部65D,65Aの基端部65а,65аどうしの連結部分の外周縁部に向けて、直線状に延びる1個の溝78からなる溝形状となっている(載置面70の中心C1を通過する対角線上に延びる1個の溝78である、とも言える)。
また、上記のような溝としては、更に図13(c)にて二点鎖線で示すように、延出部65C,65Dの基端部65а,65аどうしの連結部分の外周縁部から、延出部65A,65Bの基端部65а,65аどうしの連結部分の外周縁部に向けて、直線状に延びるもう1個の溝78を設けてもよい。この場合、対角線上に延びる一対の溝78,78が、載置面70の中心C1で交差して、略十字形状をなした溝形状の通気路を構成する。
また、以上説明したいずれの通気路も、溝の、載置面の外周縁部に位置する端部における開口が側方に開口していて(側方開口を有する構造)、この側方開口を介して弁室に連通しているが、例えば、このような側方開口を設けず、溝の、載置面の外周縁部に位置する端部の上方だけを開口した構造(上方開口のみを有する構造)としてもよい。
更に、載置面としては、例えば、円形状や、楕円形状、角形状の突起を、所定間隔で複数設けておき、この突起の先端面をシール接触部とし、複数の突起の間の部分を、通気路として、これをシール非接触領域としてもよく、シール部材を載置可能で且つ気体が流通可能であればよい。
また、この実施形態のシール部材80は、4個の第2カバー部83を有し全体として略十字形状をなしているが、例えば、略長板状に延びる形状や、円形板状、楕円形状の板状や、角形板状等であってもよく、開口部を閉塞可能であればよい。
(作用効果)
次に、上記構造からなる弁装置10の作用効果について説明する。
図3に示すように、燃料タンク内の燃料液面が上昇せず、フロート弁40が燃料に浸漬されていない状態では、弁室V内においてフロート弁40が下降して、シール部材80が弁座26から離反し、開口部25が開いており、同開口部25を通じて、弁室Vと通気室Rとが連通した状態となっている。この状態で車両の走行等によって、燃料タンク内での燃料蒸気が増大してタンク内圧が高まると、燃料蒸気は、下部キャップ30の通口31bや、ハウジング本体20の通口21aから、弁室V内に流入し、開口部25を通過して、通気室R内へと流れて、燃料蒸気配管38を介して図示しないキャニスターに送られて、燃料タンク内の圧力上昇が抑制される。
そして、車両が、カーブを曲がったり、凹凸のある道や坂道等を走行したり、或いは、事故によって転倒したりして、燃料タンク内の燃料が激しく揺動して燃料液面が上昇して、フロート弁40が燃料に浸漬した状態となると、フロート弁40自体の浮力及び付勢バネSの付勢力によって、フロート弁40が上昇する。その結果、図10に示すように、シール部材80の第1カバー部81及び第2カバー部83が弁座26に当接して、開口部25の第1領域25a及び第2領域25bを閉塞するので、開口部25を通しての通気室R内への燃料流入を防止することができる。
ところで、上記の図10は、フロート弁40が、ハウジング15の軸方向に対して傾かずに真っすぐに上昇した場合であるが、フロート弁40が、ハウジング15の軸方向に対して傾いて上昇する場合もある。この場合、シール支持部材60はフロート本体50に対して揺動可能となっているので、フロート弁40が傾いて上昇して、シール部材80が傾いた状態で弁座26に当接すると、フロート本体50に対しシール支持部材60が適宜揺動し、シール部材80の傾きが是正されるため、弁座26に対してシール部材80が傾きなく当接して、開口部25をしっかりと閉塞することができる。
上記状態で、燃料の揺動等が収まって、フロート弁40に燃料からの浮力が作用しなくなるか、又は、燃料タンク内の圧力が下がると、フロート弁40が自重によって下降する。すると、図11に示すように、弁座26に当接して貼り付いたシール部材80に対して、シール支持部材60が所定距離だけ下降しようとするが、シール部材80の裏面80bに、シール支持部材60の載置面70が貼り付いてしまって、シール部材80から剥がれないことがあった。
このとき、この弁装置10においては、フロート弁40の載置面70の、少なくともシール部材80に覆われる部分には、シール接触部71とシール非接触領域とが設けられており、シール非接触領域は、載置面70にシール部材80が載置された状態において、弁室Vに連通する通気路75をなしている(図8参照)。
そのため、上述したように、シール部材80が開口部25を閉塞した後、開口部25から開こうとする再開弁時において、弁室V内に流入した空気等の気体が、載置面70の外周縁部70аやシール部材80の外周縁部80аから通気路75を通って、シール部材80の裏面80bと載置面70との間に入り込むことになる。この実施形態の場合、例えば、図5(b)や図8の矢印F1に示すように、所定の第2溝77の先端部77b側の開口から流入した気体は、第2溝77を流通して、第1溝76に至った後、他の第2溝77へと分岐して各第2溝77を流れて、矢印F2に示すように、分岐した各第2溝77の先端部77b側の開口から流出する。
そして、気体がシール部材80の裏面80bと載置面70との間に入り込んで、それらの間に介在することで、シール部材80の裏面80bの全域が、載置面70に接触することが妨げられて、シール部材80に載置面70が吸着されることを抑制し、シール部材80の裏面80bに載置面70が貼り付くことを防止することができる。その結果、載置面70に対してシール部材80を確実に移動させることができるので、開口部25からシール部材80を確実に開かせて、フロート弁40の再開弁動作の確実性を高めることができる。
また、この実施形態における通気路75をなすシール非接触領域は、載置面70にシール部材80が載置された状態において、シール部材80の外周縁部80аから露出している(図5、図7、図8等参照)。この態様によれば、通気路75をなすシール非接触領域の、弁室Vとの連通部分の大きさを、大きく確保することができるので、弁室V内に流入した気体が、通気路75に流入しやすくなり、シール部材80の裏面80bに対する、載置面70の貼り付きを、より確実に防止することができる。
更に、この実施形態においては、シール非接触領域は、載置面70の外周縁部70аに至るように形成されている(図5、図7、図8等参照)。この態様によれば、弁室V内に流入した気体が、載置面70の外周縁部70аを通じて、通気路75に流入しやすくなるので、シール部材80の裏面80bに対する、載置面70の貼り付きを、より確実に防止することができる。
また、この実施形態においては、図5に示すように、シール非接触領域は、載置面70の中央部から載置面70の外周方向に延びる溝をなしている。この態様によれば、弁室V内に流入した気体が、載置面70の外周縁部70аやシール部材80の外周縁部80а等から、均等にシール非接触領域内に入り込みやすくなり、シール部材80の裏面80bに対する、載置面70の貼り付きを、更に確実に防止することができる。
また、この実施形態においては、図5に示すように、溝は、載置面70の中央部で交差する部分(第1溝76)と、この交差した部分から載置面70の外周に向けて複数方向に延びる部分(第2溝77)とを有する構造となっている。この態様によれば、弁室V内に流入した気体が、載置面70の外周縁部70аやシール部材80の外周縁部80а等から、載置面70の中央部に向けて迅速に流入するため、シール部材80の裏面80bに対する、載置面70の貼り付きを、より一層確実に防止することができる。
更に、この実施形態においては、図5に示すように、溝の交差する部分(第1溝76)は、該交差する部分から延びる部分よりも、幅広に設けられている。この態様によれば、シール部材80の裏面80bに対して、載置面70の中央部が速やかに剥がれやすくなり、シール部材80の裏面80bに対する、載置面70貼り付きを、更に効果的に防止することができる。
また、この実施形態においては、図9に示すように、シール部材80の外周縁部80аに、切欠き91が設けられており、該切欠き91からシール非接触領域が露出している構造となっている。この態様によれば、シール非接触領域の、シール部材80の外周からの露出部分を設けやすくなる。また、切欠き91を介して、シール部材80を曲げやすくすることができるので、開口部25からシール部材80を、より剥がれやすくすることができる。
そして、シール部材80の裏面80bから載置面70が剥がれると、弁座26に当接して貼り付いたシール部材80に対して、シール支持部材60が所定距離だけ下降し、フロート本体50の抜け止め突部57が、シール支持部材60の抜け止め孔67aの下端内面に係止することになる。
その結果、シール支持部材60に、フロート本体50の荷重が作用して、シール部材80の支持孔85а内を、シール支持部材60の抜け止めフック69の軸部69aが下降して、支持孔85аの表側周縁に、抜け止めフック69の張出し部69bが係止する。それにより、シール部材80の第2カバー部83に、シール支持部材60を介して、フロート本体50及びシール支持部材60の荷重が作用する。
すると、シール部材80の第2カバー部83が、斜め下方に向けて引張られるように弾性変形して、同第2カバー部83が、フロート弁40の軸方向Z及び径方向Xに沿って移動する。その結果、図11に示すように、第2カバー部83が、幅広部87の基端部や幅狭部89側から、弁座26に対して徐々に離れて、開口部25の第2領域25bを開いた後、第1カバー部81が弁座26から引き剥がされるので、開口部25の第1領域25аが開いて、開口部25全体を完全に開くことができる。その結果、フロート弁40の、再開弁圧を向上させることができる。なお、「再開弁圧を向上させる」とは、タンク内圧が高い状態でも、開口部に設けた弁座からフロート弁を剥がしやすくして、開口部を開口させることができる性能を意味している。
また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
10 弁装置
15 ハウジング
20 ハウジング本体
23 仕切壁
25 開口部
30 下部キャップ
35 上部カバー
40 フロート弁
50 フロート本体
54 載置面
60,60A,60B シール支持部材
70 載置面
70а 外周縁部
75,75A,75B,75C 通気路
76 第1溝
77 第2溝
80 シール部材
80a 外周縁部
S 付勢バネ
R 通気室
V 弁室

Claims (7)

  1. 仕切壁を介して、下方に燃料タンク内に連通する弁室、上方に燃料タンク外に連通する通気室が設けられ、前記仕切壁に前記弁室と前記通気室とを連通する開口部が形成された、ハウジングと、
    前記弁室内に昇降可能に収容されたフロート弁と、
    該フロート弁の上方に配置され、前記開口部を閉塞するシール部材とを有しており、
    前記フロート弁は前記シール部材を載置するための載置面を有しており、
    前記シール部材は、前記載置面に載置され、該載置面に対して所定距離移動可能に支持されており、
    前記載置面の、少なくとも前記シール部材に覆われる部分には、前記シール部材が接触するシール接触部と、前記シール部材が接触しないシール非接触領域とが設けられており、前記シール非接触領域は、前記載置面に前記シール部材が載置された状態において、前記弁室に連通する通気路をなしていることを特徴とする弁装置。
  2. 前記シール非接触領域は、前記載置面に前記シール部材が載置された状態において、前記シール部材の外周縁部から露出している請求項1記載の弁装置。
  3. 前記シール非接触領域は、前記載置面の外周縁部に至るように形成されている請求項1又は2記載の弁装置。
  4. 前記シール非接触領域は、前記載置面の中央部から前記載置面の外周方向に延びる溝をなしている請求項1~3のいずれか1つに記載の弁装置。
  5. 前記溝は、前記載置面の中央部で交差する部分と、この交差した部分から前記載置面の外周に向けて複数方向に延びる部分とを有する請求項4記載の弁装置。
  6. 前記溝の交差する部分は、該交差する部分から延びる部分よりも、幅広に設けられている請求項5記載の弁装置。
  7. 前記シール部材の外周縁部に、切欠きが設けられており、該切欠きから前記シール非接触領域が露出している請求項1~6のいずれか1つに記載の弁装置。
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