JP2023090961A - ドラム式洗濯機 - Google Patents

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恭代 尾形
Yasuyo Ogata
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Abstract

Figure 2023090961000001
【課題】本開示は、洗剤泡の発生を簡易な構造で精度よく検知することができるドラム式洗濯機を提供する。
【解決手段】本開示におけるドラム式洗濯機は、水槽33内の水位を検知する水位検知手段46を備える。制御手段57は、水槽33内の水位が第一の所定水位まで到達した後、第一の所定水位より低い第二の所定水位まで下がった場合に補給水を行う第一の工程と、第一の工程の後に、水位が第二の所定水位まで下がった場合でも、補給水を行わない第二の工程と、を設け、第二の工程において、水位が第二の所定水位より低い第三の所定水位まで下がった場合、洗剤泡の発生が多量と判断する。これにより、洗剤泡の発生を精度よく検知することができる。
【選択図】図2

Description

本開示は、衣類および洗濯水を攪拌するドラム式洗濯機に関する。
特許文献1は、洗濯中に発生する洗剤泡の発生を検知する洗濯機を開示する。
特許文献1におけるドラム式洗濯機は、水槽と、水槽内に回転自在に配設された回転ドラムと、水槽内に給水する給水手段と、水槽内の水位を圧力で検知する水位検知手段と、水槽内の洗濯水を排水する排水手段と、を備える。制御手段は、回転ドラムの回転による水位検知手段の圧力が所定水位時における圧力より所定値以上大きいときに水槽内の洗剤泡の発生が多量と判断している。
これは、洗剤の投入過多などで、洗濯中に洗剤泡が多量発生した場合、電気部品などに付着し腐食あるいは電気ショートの状態となり故障等の不具合発生に至る可能性があるため、洗剤泡の多量発生を速やかに検知し、発泡を抑える運転に移行する必要があるからである。
また、洗剤泡の多量発生状態のまま運転を継続すると、多量の洗剤泡がドラムの回転の抵抗になって、脱水運転時の起動不良(ドラムの回転異常)を引き起こし、十分なすすぎ性能や脱水絞り性能が確保することができなかったり、運転時間が長くなるといった不具合なども発生する。
特開2007-68678号公報
しかしながら、前記従来の洗濯機は、水槽が密封に近い状態であれば、水槽内に洗剤泡が多量発生した場合、水槽内で洗剤泡の行き場所がなくなり水槽の内圧が上昇するため、その圧力変化をもって水位検知手段により洗剤泡の多量発生を検知することができるが、水槽が密封に近い状態ではない場合、当然ながら水槽の内圧は上昇しないため、洗剤泡の多量発生を検知することができない。
即ち、給水手段や洗剤投入口と水槽の接続部が弁などで密封構造とされていない場合、大気開放されてしまい、洗剤泡の多量発生を検知することはできない。
また、排水手段以外に水槽内の洗濯水を溢水させる溢水口を備えている場合も同様に、大気開放されてしまう。更に、乾燥手段を備えている場合は、一般的に吸気口や排気口も備えているため、同様に大気開放されてしまうなど、水槽を密封に近い状態に保つことは非常に難しい、という課題を有していた。
本開示は、洗剤泡の発生を抑制できる洗濯機を提供する。
本開示における洗濯機は、洗濯水を溜める水槽と、前記水槽内に回転可能に配設された回転槽と、前記回転槽を駆動するモータと、前記水槽内に給水する給水手段と、前記水槽
内の水位を検知する水位検知手段と、前記水槽内の水を排水する排水手段と、前記水槽の下部に設けられた排水口と、前記排水口と連通し前記水槽内の洗濯水を前記回転槽へ循環させる循環水路と、前記水槽内の洗濯水を前記循環水路に送水するポンプと、少なくとも洗い工程を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記洗い工程において前記ポンプを駆動可能であり、前記給水手段による給水の実行後に、前記水槽内の水位が、第1所定水位まで下がった場合に、前記給水手段により補給水を実行可能とし前記ポンプの駆動中に、前記水槽内の水位が、前記第所定水位より低い第所定水位まで下がった場合、前記排水手段による排水を実行せずに、稼働率を低下させて前記回転槽を稼働させるまたは回転数を低下させて前記回転槽を稼働させる第1制御を実行するものである。
本開示における洗濯機は、洗剤泡の発生を抑制できる。
実施の形態1におけるドラム式洗濯機の側断面図 同ドラム式洗濯機の洗い工程の動作を示すタイムチャート 同ドラム式洗濯機の制御手段の動作フローチャート 同ドラム式洗濯機の水槽内の水位と洗剤泡の状態を表す模式図 実施の形態2におけるドラム式洗濯機の制御手段の動作フローチャート 実施の形態3におけるドラム式洗濯機の側断面図 同ドラム式洗濯機の制御手段の動作フローチャート 同ドラム式洗濯機の水槽内の水位と洗濯水を循環するポンプの駆動状態を表す模式図 実施の形態4におけるドラム式洗濯機の側断面図 同ドラム式洗濯機の制御手段の動作フローチャート 同ドラム式洗濯機の水槽内の水位と洗剤泡の状態を表す模式図
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
(実施の形態1)
以下、図1~図4を用いて、実施の形態1を説明する。
図1は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の側断面図である。
図1に示すように、水槽33は、洗濯機本体39の上方のサスペンション41aおよび下方の防振部材41bにより揺動可能に防振支持されている。回転ドラム31は、水槽33内に回転自在に設けられ、回転中心軸を正面側から背面側に向けて水平に、または下向きに傾斜させて配設されている。回転ドラム31は、有底円筒形に形成されており、外周部の全面に多数の通水孔32が設けられている。回転ドラム31の内壁面には、衣類撹拌用の複数個の突起体36が設けられている。水槽33及び回転ドラム31の正面側には開口部38が設けられており、開口部38は蓋体37により開閉自在に覆われている。使用者は、蓋体37を開くことにより開口部38を通して回転ドラム31内に洗濯物を出し入
れできる。
給水弁(給水手段)44は給水経路45を通して水槽33内に水を給水するものである。制御手段57は本体下方に配設される。水槽33の下部には排水経路42の一端が接続され、排水経路42の他端には排水弁(排水手段)43が接続されており、水槽33内の洗濯水を排水する。
回転ドラム31の背面には回転軸34が設けられており、回転軸34には水槽33の背面に取り付けたモータ35が連結される。モータ35は、直流ブラシレスモータ等で構成され、制御手段57および駆動回路(図示せず)等により正逆回転、および回転数可変に制御されると共に、電流検知回路(図示せず)からの信号により、モータ35に加わる負荷、即ち洗濯物の量を検知する。
制御手段57は、運転コース等を設定するための入力設定手段58からの情報を入力して、その情報を基に表示手段59で表示して使用者に知らせる。また、入力設定手段58により運転開始が設定されると、水槽33内の水位を検知するために、エアトラップ46a、圧力センサ46bからなる水位検知手段46等からのデータを入力して負荷駆動手段(図示せず)を介して、排水弁43、給水弁44などの動作を行う。また、駆動回路(図示せず)を介してモータ35を制御し、洗い、すすぎ、脱水等の一連の工程の運転を行う。
以上のように構成したドラム式洗濯機について、図2~図4を用いて、洗濯中に水位検知手段により洗剤泡の発生を検知した場合の動作、作用を説明する。
図2は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の洗い工程の動作を示すタイムチャート、図3は、同ドラム式洗濯機の制御手段の動作フローチャート、図4は、同ドラム式洗濯機の水槽内の水位と洗剤泡の状態を表す模式図(洗濯物は図示せず)、である。
運転をスタート(ステップS100)すると、給水弁44を開くことにより水槽33内に給水を開始し(ステップS101)、圧力センサ46bの出力が第一の所定水位に到達するまで給水し(ステップS102)、第一の所定水位に到達すると給水弁44を閉じる(ステップ103)。次に、洗い工程の第一の工程(ステップS104)を実行する。
第一の工程(ステップS104)においては、回転ドラム31を正逆回転させ、洗濯物を攪拌する(例えば、モータ35の時限「12秒on-1秒off」)。
この第一の工程(ステップS104)においても、圧力センサ46bにより水槽33内の水位は常時検知されており、水槽33内の水位が第一の所定水位よりも(例えば、20mm程度)低い第二の所定水位まで下がったか否かを判定(ステップS105)する。第二の所定水位まで下がった場合(ステップS105のYes)は、給水弁44を開くことにより(ステップS106)、第一の所定水位に到達するまで補給水を行い(ステップS107)、給水弁44を閉じる(ステップS108)。
これは、回転ドラム31内の洗濯物の吸水性が低い、即ち、濡れにくい素材・編み方等であった場合、洗濯物が徐々に洗濯水を吸水することで水槽33内の水位が低下したと考えられるので、洗濯物が吸水した分、給水弁44により補給水を実施し、洗い工程中の洗濯水不足を起こさないために行うものである。
その後、所定時間(例えば、2分程度)を経過する(ステップS109)と、次の第二の工程(ステップS110)に移行する。また、第一の工程では、回転ドラム31内の洗
濯物は回転ドラム31により攪拌され、かつ、給水弁44により補給水(ステップS106~ステップS108)が行われているため、第一の工程が終了する頃には、仮に洗濯物の吸水性が低い場合でも、洗濯物全体が十分に濡れている。
第二の工程(ステップS110)においても、回転ドラム31を正逆回転させ、洗濯物を攪拌する(例えば、モータ35の時限「12秒on-1秒off」)。
そして、第二の工程(ステップS110)においても、第一の工程と同様に圧力センサ46bにより水槽33内の水位は常時検知されており、水槽33内の水位が第一の所定水位よりも(例えば、20mm程度)低い第二の所定水位まで下がったか否かは判定することは可能である。但し、この場合は、既に第一の工程で洗濯物全体が十分に濡れていると考えられるため、実際は判定を行わず、給水弁44による補給水も行わない。
更に、第二の所定水位よりも(例えば、30mm程度)低い第三の所定水位まで下がったか否かを判定(ステップS111)する。第三の所定水位まで下がるまで(ステップS111のNo)は、回転ドラム31の稼働率は、高い稼働率のまま維持する(ステップS112)。例えば、洗剤泡が発生していない場合の回転ドラム31は「12秒on-1秒off」で稼働する。
一方、第三の所定水位まで下がった場合(ステップS111のYes)は、水槽33内の洗剤泡の発生が多量と判定する(ステップS113)。
その後、回転ドラム31の稼働率を下げる(ステップS114)ことで、水槽33内の洗剤泡の発生を抑えることができる。例えば、洗剤泡が発生した場合の回転ドラム31は「5秒on-10秒off」で稼働させれば、洗剤泡の発生を抑えることができる。
尚、仮にステップS113にて一度洗剤泡の発生が多量と判断され、回転ドラム31を低い稼働率、例えば、「5秒on-10秒off」で稼働(ステップS114)した場合でも、所定時間経過(ステップS115)までに、再度、ステップS111にて、圧力センサ46bにより水槽33内の水位が第三の所定水位まで下がっていないと判定された場合は、水槽33内の洗剤泡の発生が多量ではないため、元の高い稼働率、例えば、「12秒on-1秒off」で稼働(ステップS112)しても良い。
また、ステップS111およびステップS113にて一度洗剤泡の発生が多量と判定された後、再度ステップS111で洗剤泡の発生が多量か否か判定する場合の閾値は、第三の所定水位とは異なる水位(例えば、第二の所定水位)としても良い。これは、水槽33内の洗剤泡の発生、即ち、圧力センサ46bの出力は種々の要因が重なって非常に変化しやすいため、ヒステリシスを確保するためである。
ここで、水槽33内の洗濯水の水位と洗剤泡の発生状態について説明する。図4(a)は、洗い工程中において、水槽33内に洗剤泡は発生しておらず、水槽33内の水位は圧力センサ46bによりHaを示した状態を表し、図4(b)は、洗い工程中において、水槽33内に洗剤泡が発生し、水槽33内の水位は圧力センサ46bによりHcを示した状態を表す模式図である。
また洗剤泡の発生は、洗剤自体の特性(発泡性や消泡性)、洗濯物の量、洗濯物に含まれる汚れの量、水温、水質、洗濯機のモータ35の稼働率など、種々の要因が重なっている。従って、仮に洗濯機のモータ35の稼働率や洗濯物の量などが一定の場合同士を比較しても、その他種々の要因により洗剤泡の発生は一様には決まらず、異なってくる。更には、洗い工程の進行に伴い、洗濯物から洗濯水に汚れが溶出すると洗剤成分が洗濯水中の
汚れに吸着するため、発生した洗剤泡は一般的に消泡していく。
ここで、仮に洗剤泡の発生がしにくい状態の場合(例えば、発泡性が低く、消泡性の高い洗剤を使用した場合など)は、一度洗濯物全体が十分に濡れた後は、洗い工程が進行しても水槽33内の水位Haは大きく変動しない。ところが、洗剤泡の発生がしやすい状態の場合(例えば、発泡性が高く、消泡性の低い洗剤を使用した場合など)は、一度洗濯物全体が十分に濡れた後でも、洗い工程の進行に伴い水槽33内の洗剤泡の量が増加し、結果、水槽33内の水位Haは大きく変動をし始める。
これは、図4(b)に示す通り、水槽33内の洗濯水の一部が泡になることで体積が増加し、見かけ上の水位+泡高さはHaより高いHbまで上がるものの、実際の水位(水面)自体は泡になった体積の分だけ下がり、結果、Haより(例えば、50mm程度)低いHcに下がるためである。その結果、本来は洗濯物全体が十分に濡れており、水槽33内の水位Haが下がるはずがない状態においても、水槽33内の洗剤泡の発生状況により、水槽33内の水位はHcまで下がり、またその下がり度合により、洗剤泡の発生の度合も検出することが可能となる。尚、洗濯水の一部が泡になり水槽33内における水位(水面)が下がることを圧力センサ46bで検出しているため、水槽33の気密性に関係なくこの水位(水面)変動、即ち洗剤泡の発生度合を検出することができる。
その後、洗い工程が進行し、所定時間が経過する(ステップS115)と、次工程へ移行する(ステップS116)。
尚、洗濯物から洗濯水に汚れが溶出すること等の状態変化により水槽33内の洗剤泡が消泡した場合は、水位Hcは徐々にHaに戻っていくため、その圧力センサ46bの挙動変化から、水槽33内の洗剤泡の発生が治まった、若しくは消泡したと判断することもできる。
以上により、洗濯中に発生する洗剤泡の発生を精度良く検知することができ、洗剤泡の発生を検知した後、速やかに洗剤泡の発生を抑えることで、洗剤泡が電気部品などに付着し腐食あるいは電気ショートの状態となり故障等の不具合発生に至ることを防ぐことができる。
なお、水槽33内の洗剤泡の発生を抑えるには、回転ドラム31の回転数を下げることも有用である。例えば、洗剤泡が発生していない場合は回転ドラム31を「45r/min」で稼働し、洗剤泡が多量と判断した場合は「30r/min」で稼働させれば、回転ドラム31の稼働率を下げるのと同様に、洗剤泡の発生を抑える効果は得られる。
尚、仮に一度洗剤泡の発生が多量と判断され、回転ドラム31を低い回転数、例えば、「30r/min」で稼働した場合でも、所定時間経過までに、再度、圧力センサ46bにより水槽33内の水位が第三の所定水位まで下がっていないと判定された場合は、水槽33内の洗剤泡の発生が多量ではないため、元の高い回転数、例えば、「45r/min」で稼働しても良い。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2におけるドラム式洗濯機の制御手段の動作フローチャート、である。実施の形態1と同一の仕様については、同一符号および同一ステップ番号を付与し、説明を省略する。
水槽33内の洗剤泡の発生が非常に多量である場合は、電気部品などに付着し腐食あるいは電気ショートの状態となり故障等の不具合発生に至る可能性があるため、できるだけ
速やかに発泡を抑える運転に移行する必要がある。また、より確実に発泡を抑える方法としては、水槽33内の洗濯水を排水弁43により排水経路42から、機外へ排水することである。
図5に示すように、第二の工程(ステップS210)にて、第二の所定水位よりも(例えば、30mm程度)低い第三の所定水位まで下がったか否かを判定(ステップS211)し、第三の所定水位まで下がった場合(ステップS211のYes)は、水槽33内の洗剤泡の発生が多量と判定(ステップS212)し、その段階で速やかに水槽33内の洗濯水を排水弁43により排水経路42から、機外へ排水する(ステップS213)。
この場合、排水を開始した時点で洗剤泡は洗濯水と共に機外へ排出され始める。即ち、洗剤泡による電気部品の腐食や電気ショート等の不具合が発生する状態から脱しているため、所定水位まで排水しても、所定時間排水しても、どちらでも良い。
その後、所定時間が経過する(ステップS214のYes)と、次工程へ移行する(ステップS215)。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3におけるドラム式洗濯機の側断面図、図7は、同ドラム式洗濯機の制御手段の動作フローチャート、図8は、同ドラム式洗濯機の水槽内の水位と洗濯水を循環するポンプの駆動状態を表す模式図(洗濯物は図示せず)、である。実施の形態1および実施の形態2と同一の仕様については、同一符号および同一ステップ番号を付与し、説明を省略する。
図6に示すように、排水経路42と連通した循環ポンプ80を具備し、循環ポンプ80と連通した循環経路81を水槽33前方下部の循環口82に連通させ、洗い工程中の洗濯水を矢印aの様に循環させる構成にしている。
ここで、ステップS101~ステップS103や第一の工程(ステップS104)において、循環ポンプ80を駆動させることで水槽33内の洗濯物の吸水を促進させることができる。よって、第一の工程(ステップS104)の目的が洗濯物全体を十分に濡らすことであることから、所定時間(ステップS109)は限りなく短く設定することができる。即ち、より早く第二の工程に移行し、より早く洗剤泡の発生を検知することができる。
また、一般的に、水槽33内の洗剤泡の有無に関わらず、循環ポンプ80の駆動中は循環ポンプ80を駆動していない時よりも水槽33内の水位が下がる。これは、循環ポンプ80により洗濯水が強制的に洗濯物に供給されることで、洗濯物が自然に吸水するよりも更に多くの洗濯水を吸水し、結果、水槽33内の洗濯水が減少するためである。
一方、水槽33の開口部38に対し背面側に位置する洗濯物は、循環口82から循環された洗濯水がかかりにくいだけでなく、上述の通り、循環ポンプ80駆動中は水槽33内の水位が下がるため、結果的に、循環ポンプ80駆動中は洗濯水との接触が行われにくくなる。よって、洗い工程において、循環ポンプ80の駆動は間欠的に行うようにすることで、水槽33の開口部38近傍に位置する洗濯物は循環ポンプ80の駆動中に、背面側に位置する洗濯物は循環ポンプ80が停止中に、それぞれ満遍なく洗濯水と接触させることができる。
ここで、図8を用いて、循環ポンプ80が駆動中と停止中それぞれの場合に、洗剤泡が発生した際の水位(水面)の変動について説明する。図8(a)に示す通り、循環ポンプ80の停止中は水槽33内の水位がHoffを示す状態で、循環ポンプ80を駆動すると
水槽33内の水位は(例えば、20mm程度)下がり、Honまで下がる。
次に、循環ポンプ80の停止中に洗剤泡が発生した場合は、実施の形態1で述べた通り、図8(b)に示すように、洗剤液は一部が泡になった分だけ体積が減少するため水位はΔHoff(例えば、50mm程度)下がる。
一方、図8(c)に示すように、循環ポンプ80の駆動中に洗剤泡が発生した場合も同様に洗剤液の体積は減少するため、洗剤泡が無い状態の水位Honから、ΔHon(例えば、70mm程度)だけ水位が下がる。
ここで、「ΔHoff<ΔHon」となる理由は、水槽33および回転ドラム31が円筒形で形成されており、その喫水面における表面積Sが、循環ポンプ80が駆動中と停止中で異なるからである。即ち、洗濯中における水槽33内の水位が回転中心軸より下側にある場合においては、循環ポンプ80停止中の水位高さHoffにおける喫水面の表面積Soffと、循環ポンプ80駆動中の水位高さHonにおける喫水面の表面積Sonを比較すると、「Soff>Son」となる。また、洗濯泡の発生による洗濯水の体積減少が同じであれば、「Soff>Son」の関係から、「ΔHoff<ΔHon」となるからである。
従って、循環ポンプ80駆動中の方が洗剤泡の発生による水位変動が大きい、即ち、洗剤泡の発生を感度良く検知することができるので、循環ポンプ80の駆動中(ステップS311のYes)に、圧力センサ46bによる洗剤泡の発生検知を行った方がより良い(ステップS312)。
尚、循環ポンプ80を回転速度可変のモータからなる構成とした場合、第二の工程(ステップS310)における回転速度は洗濯物量に関わらず、一定とするのが良い。これは、回転速度可変からなる循環ポンプ80を備えた場合は一般的に、以下の様な制御を行うことに対する措置である。つまり、洗濯物量が少ない、即ち、循環ポンプ80による循環量が少なくても洗濯物が十分に濡れる場合は回転速度を下げる(例えば、3000r/min程度)ことで無用な騒音の発生やエネルギー消費を抑えるとともに、洗濯物量が多い、即ち、循環ポンプ80による循環量が多くないと洗濯物が十分に濡れない場合は回転速度を上げる(例えば、3500r/min)ことで、洗濯物全体に洗濯水を吸水させる。
ところが、循環ポンプ80の回転速度が異なると、循環ポンプ80駆動中の水位高さHonも異なり、洗剤泡が発生した場合の水位高さΔHonも異なってしまう。これにより、洗濯物量毎にそれぞれ適したΔHon、即ち、第三の所定水位(ステップS312)の設定が必要になり制御が複雑になるばかりか、洗濯物量の判定がバラついた場合など、正確に洗剤泡の発生を検知することができない。従って、循環ポンプ80を回転速度可変のモータからなる構成とした場合でも、第二の工程(ステップS310)における回転速度は洗濯物量に関わらず、一定とするのが良い。尚、洗濯物は第一の工程(ステップS104)で既に十分に吸水されているので、洗濯性能が低下するなどの不具合は生じない。
ステップS313で、水槽33内の洗剤泡の発生が多量と判定した場合、実施の形態1のように、回転ドラム31の稼働率を下げてもよいし、回転ドラム31の回転数を下げてもよい。また、実施の形態2のように、排水動作を行ってもよい。
その後、所定時間が経過する(ステップS314のYes)と、次工程へ移行する(ステップS315)。
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4におけるドラム式洗濯機の側断面図、図10は、同ドラム式洗濯機の制御手段の動作フローチャート、図11は、同ドラム式洗濯機の水槽内の水位と洗剤泡の状態を表す模式図(洗濯物は図示せず)、である。
図9に示すように、乾燥機能は、ヒータ47、送風ファン48、温風送風経路49を有し、水槽33内の空気を取り入れる温風取入れ口52を水槽33の上面前方に設け、温風送風口51を水槽33の背面上方に設け、矢印bの方向に水槽33内及び回転ドラム31内に温風を流入させ、回転ドラム31及び水槽33内部の空気を熱して循環させ、洗濯物を乾燥させている。
また、泡検知手段70は、水槽33の下部後面近傍に配設した下側の電極70aと、回転ドラム31の後方で水槽33の後面上方、若しくは温風送風経路49内の温風送風口51の近傍に配設された上側の電極70bとの一対から構成される。下側の電極70aは、通常の洗濯運転時の洗濯水の水位より下方に位置している。
泡検知手段70は、抵抗値判定回路(図示せず)に接続され、抵抗値判定回路内の基準抵抗との比較により、下側の電極70aと上側の電極70b間の抵抗を検出し、抵抗値が高ければ泡の進入が無いと判別する。一対の電極間に泡が侵入すると、洗濯水に浸水している下側の電極70aと上側の電極70bとの間に泡による通電経路が形成され、低い抵抗値が検出される。抵抗値判定回路の判定用抵抗値は、泡が存在する場合は閾値(例えば、500kΩ)未満、何もない場合は閾値(例えば、500kΩ)以上とする。
ここで、水槽33内に洗剤泡が発生した場合、第二の工程(ステップS410)において、まず、圧力センサ46bにより水槽33内の水位が第三の所定水位に到達したか否かを判定する(ステップS411)。第三の所定水位に到達していない場合(ステップS411のNo)は、ステップS415に移行する。一方、第三の所定水位に到達した場合(ステップS411のYes)、その洗剤泡の発生が多量であると判定する(ステップS412)ようにしている。
その次に、泡検知手段70の電極間の抵抗値が500kΩ未満か否か(ステップS413)を判定する。泡検知手段70の電極間の抵抗値が500kΩ以上である場合(ステップS413のNo)は、ステップS415に移行する。一方、泡検知手段70の電極間の抵抗値が500kΩ未満であると判定する(ステップS413のYes)と、洗剤泡の発生が更に多量であると判定する(ステップS414)ようにしている。つまり、ステップS412における洗剤泡の高さH412と、ステップS414における洗剤泡の高さH414を比較すると「H412<H414」となる。
これは、それぞれの検知方法と精度の差から、そのような構成としている。つまり、圧力センサ46bによる検知(ステップS411)は、検知したい洗剤泡の量、即ち、その検知閾値を、制御手段57により任意に設定可能であるのに対し、泡検知手段70による検知(ステップS413)では、上側の電極70bの物理的な位置でのみ検知できる洗剤泡の量が決まってしまう。また、圧力センサ46bによる検知(ステップS411)では、第三の所定水位に到達後、更に洗剤泡が多量に発生した場合、即ち、更に水位が下がった場合でも、その挙動を検知することは可能であるのに対し、泡検知手段70による検知(ステップS413)では、一度、下側の電極70aと上側の電極70bが泡で通電されると、更に洗剤泡が多量に発生した場合でも、電極間の抵抗は変化しないので、その挙動を検知することはできない。
従って、洗い工程中において、まだ許容できる程度の洗剤泡が発生した場合、即ち、洗剤泡が電気部品などに付着し腐食あるいは電気ショートの状態となり故障等の不具合発生
に至るまで余裕度がまだある状態においては、圧力センサ46bによる検知(ステップS411)をすることで、それ以上洗剤泡の発生が増えないような運転を行うことが可能であり、そこから更に洗剤泡の発生が多量となり、許容できない程度の洗剤泡が発生した場合、即ち、上述の不具合発生が生じる直前の状態においては泡検知手段70による検知(ステップS413)をすることで、以降は速やかに洗剤泡を除去する運転を行うようにすると良い。
上記のように、泡検知手段70により洗剤泡が多量と判断した場合は、速やかに洗剤泡を除去する方が望ましいため、排水弁43により、水槽33内の洗濯水を排水する動作が行われる。この場合は一般的に、所定時間経過後には洗剤泡の大部分が消泡しているので、再度、給水弁44により水槽33内に水を給水し、洗濯運転を継続する。但し、再給水開始時点でも若干の洗剤泡は残存しており、第三の所定水位が検知すべき洗剤泡の多量発生状態か否か、判断が困難である。
従って、この場合は第三の所定水位に到達しても、圧力センサ46bによる洗剤泡の発生の検知は行わない方が良い。
(その他の実施の形態)
様々な洗濯物の種類や量、汚れの種類や量、望まれる洗濯物の仕上がりなど、洗濯行動において使用者の要望や用途は多岐にわたり、またそれに応じて種々の洗濯コースが存在する。
なかには、洗い工程の前に予洗い工程を追加することで、汚れ落ちを良くするとともに汚れの再付着を防止するコース等もある。これは、洗濯物から除去された汚れを含む洗濯液を、予洗い工程の後に一度、水槽33から排水することで、他の洗濯物に汚れが再付着することを防止することを目的としている。
このようなコースにおいては、予洗い工程後の洗い工程開始時点でも若干の洗剤泡は残存しており、第三の所定水位が検知すべき洗剤泡の多量発生状態か否か、判断が困難である。
従って、この場合は第三の所定水位に到達しても、圧力センサ46bによる洗剤泡の発生の検知は行わない方が良い。
また、運転をスタートした後、回転ドラム31に投入し忘れた洗濯物があった場合に、いつでも使用者が洗濯物を追加で回転ドラム31に投入できるよう、洗い工程においても入力設定手段58により一時停止ができるようになっている。
但し、この場合は水槽33内の水位変化が、追加投入された洗濯物が吸水することで生じたのか、洗剤泡の発生で生じたのか、判断が困難である。
従って、この場合は第三の所定水位に到達しても、圧力センサ46bによる洗剤泡の発生の検知は行わない方が良い。
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
以上のように、本発明によって、気密性などの点で複雑な構成を用いることなく、洗剤
泡の発生を検知する洗濯機を提供することができる。
31 回転ドラム(回転槽)
33 水槽
35 モータ
36 突起体
43 排水弁(排水手段)
44 給水弁(給水手段)
46 水位検知手段
46a エアトラップ
46b 圧力センサ
57 制御手段
58 入力設定手段
59 表示手段
70 泡検知手段
70a 下側の電極
70b 上側の電極
80 循環ポンプ

Claims (7)

  1. 洗濯水を溜める水槽と、前記水槽内に回転可能に配設された回転槽と、前記回転槽を駆動するモータと、前記水槽内に給水する給水手段と、前記水槽内の水位を検知する水位検知手段と、前記水槽内の水を排水する排水手段と、前記水槽の下部に設けられた排水口と、前記排水口と連通し前記水槽内の洗濯水を前記回転槽へ循環させる循環水路と、前記水槽内の洗濯水を前記循環水路に送水するポンプと、少なくとも洗い工程を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記洗い工程において
    前記ポンプを駆動可能であり、
    前記給水手段による給水の実行後に、前記水槽内の水位が、第所定水位まで下がった場合に、前記給水手段により補給水を実行可能とし
    前記ポンプの駆動中に、前記水槽内の水位が、前記第所定水位より低い第所定水位まで下がった場合、前記排水手段による排水を実行せずに、稼働率を低下させて前記回転槽を稼働させるまたは回転数を低下させて前記回転槽を稼働させる第1制御を実行するドラム式洗濯機。
  2. 前記制御手段は、
    前記洗い行程において、前記回転槽を、第1時間のONおよび前記第1時間よりも短い第2時間のOFFとして繰り返し稼働させ、
    前記ポンプの駆動中に、前記水槽内の水位が、前記第2所定水位まで下がった場合、前記第1制御として、前記回転槽を、第3時間のONおよび前記第3時間よりも長い第4時間のOFFとして繰り返し稼働させるように変更する、
    請求項1記載のドラム式洗濯機。
  3. 前記制御手段は、
    前記洗い行程において、前記回転槽を、第1回転数で稼働させ、
    前記ポンプの駆動中に、前記水槽内の水位が、前記第2所定水位まで下がった場合、前記第1制御として、前記回転槽を、前記第1回転数よりも低い第2回転数で稼働させるように変更する、
    請求項1に記載のドラム式洗濯機。
  4. 洗濯物を乾燥させるための温風発生手段と、温風を前記水槽内に導く温風送風経路と、前記水槽の背面に設け、前記温風を前記水槽内に導入する温風送風口と、前記温風送風経路の近傍および前記水槽内に設けた一対の電極を含む泡検知手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記一対の電極間の抵抗値が閾値未満である場合、前記排水手段により、前記水槽内の洗濯水を排水する
    請求項1~3のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機。
  5. 前記制御手段は、前記排水手段による排水後に、前記給水手段による給水を再度実行する、
    請求項に記載のドラム式洗濯機。
  6. 前記制御手段は、前記給水手段による給水が再度実行された後に、前記水槽内の水位が第所定水位まで下がった場合には、前記第1制御を実行しない、
    請求項に記載のドラム式洗濯機。
  7. 前記制御手段は、前記ポンプの駆動中に、前記水槽内の水位が前記第所定水位まで下がった場合には前記給水手段による補給水を実行せず、前記水槽内の水位が前記第2所定水位まで下がった場合、前記排水手段による排水を実行せずに、前記第1制御を実行する

    請求項1~のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機。
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