JP2023090073A - ロープ用エネルギー吸収機構 - Google Patents

ロープ用エネルギー吸収機構 Download PDF

Info

Publication number
JP2023090073A
JP2023090073A JP2021204823A JP2021204823A JP2023090073A JP 2023090073 A JP2023090073 A JP 2023090073A JP 2021204823 A JP2021204823 A JP 2021204823A JP 2021204823 A JP2021204823 A JP 2021204823A JP 2023090073 A JP2023090073 A JP 2023090073A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
housing
rigid member
rope
energy
wall surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021204823A
Other languages
English (en)
Inventor
哲弥 桜井
Tetsuya Sakurai
広幸 梅沢
Hiroyuki Umezawa
満良 張
Mitsuyoshi Cho
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toa Grout Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Toa Grout Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toa Grout Kogyo Co Ltd filed Critical Toa Grout Kogyo Co Ltd
Priority to JP2021204823A priority Critical patent/JP2023090073A/ja
Publication of JP2023090073A publication Critical patent/JP2023090073A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Devices Affording Protection Of Roads Or Walls For Sound Insulation (AREA)
  • Refuge Islands, Traffic Blockers, Or Guard Fence (AREA)

Abstract

【課題】ロープに付加される衝撃に対して高い衝撃エネルギー吸収性能を得ることができ、且つ衝撃エネルギーの吸収性能を調整することが可能なロープ用エネルギー吸収機構を提供する。【解決手段】ロープ16を用いて荷重衝撃を受け止める防護柵10に設けられて、前記ロープに付加された衝撃エネルギーを吸収するロープ用エネルギー吸収機構20。エネルギー吸収機構20は、筒状のハウジング22と、地盤に固定された固定物に取付けるための取付け部26と、前記ハウジングに一端が固定され、前記ハウジング内にて折返されて前記ハウジング内側面に接触しつつ伸長し前記ハウジングの開口から他端が延出する帯板状の剛性部材30と、を有する。前記剛性部材の他端は、前記ロープに衝撃荷重が掛かったときに当該他端が前記ハウジング外方へ引っ張られる状態で前記ロープに連結される。【選択図】図1

Description

本発明は、ロープ用エネルギー吸収機構に関し、特に、落石等を捕獲する防護柵に張架されるロープに付加される衝撃エネルギーを吸収するロープ用エネルギー吸収機構に関する。
従来、土砂崩れや落石などの自然災害から隣接する道路や鉄道、住居などを保護するために、山の斜面には防護柵が設置されている。防護柵は、一般的に、間隔をおいて立設された複数の支柱の間に、ロープやネットを懸架して構成されている。
防護柵は、落石等により衝撃荷重を受けた際に、ロープやネットの伸長によって衝撃エネルギーを吸収している。ロープを用いた防護柵では、衝撃エネルギーの吸収性能を高めるために、ロープの端部にエネルギー吸収機構を設け、ロープに所定値以上の引張力が作用した場合に、エネルギー吸収機構によって衝撃エネルギーを吸収してロープに作用する衝撃荷重を緩和する構造が採用されている。
このようなエネルギー吸収機構として、特許文献1には、ロープとの間に摩擦抵抗力を発生させて衝撃エネルギーを吸収する緩衝金具が記載されている。この緩衝金具は、鋼板をU字形に屈曲した金具本体を有し、この金具本体によってロープを挟み込んだ状態で、金具本体のU字形の両端部が締結ボルトで締付けられる。金具本体は、ロープを把持した状態で係止部材を用いて所定の設置場所に係止される。この緩衝金具では、ロープに落石が当たって所定値以上の引張力が作用すると、ロープが金具本体の把持力に抗して摺動し、これにより、ロープと金具本体との接触面に摩擦抵抗力が生じて衝撃エネルギーが吸収される。
また、特許文献2には、構成部材の一部を塑性変形させて衝撃エネルギーを吸収するエネルギー吸収機構が記載されている。このエネルギー吸収機構は、鋼製の帯板状の剛性部材を有しており、この剛性部材は、四角筒状のハウジング内で円柱状のピン部材に巻き掛けられてU字状に折り返されており、折返し部から一方の端部までの長さが他方の端部までの長さよりも短く形成されている。剛性部材において、折返し部からの距離が長い方の端部には、ピン部材と当接可能なストッパ部材が取付けられている。ピン部材の両端部は、剛性部材が巻き掛けられた領域を囲むハウジングに固定されている。ハウジングは、係止部材を用いて所定の設置場所に係止される。ロープは、剛性部材において折返し部からの距離が短い方の端部(ロープ連結端部)に連結される。
このエネルギー吸収機構では、ロープに所定値以上の引張力が作用して、剛性部材のロープ連結端部が引っ張られると、剛性部材において、ピン部材に巻き掛けられた領域が、剛性部材のストッパ取付け端部側へ移動する塑性変形が生じる。この塑性変形に伴い、剛性部材は、折返し部からロープ連結端部までの距離が長くなり、ストッパ部材が取付けられている方の端部までの距離が短くなる。その後、ストッパ部材がピン部材に当接すると、剛性部材の塑性変形は停止する。ロープが受けた衝撃エネルギーは、この剛性部材の塑性変形によって吸収される。
特開2003-313828号公報 特許6906100号公報
特許文献2に記載されたエネルギー吸収機構のように、剛性部材を塑性変形させてエネルギーを吸収する構造では、摩擦抵抗力のみでエネルギーを吸収するものと比べて、高いエネルギー吸収性能を得ることができる。しかしながら、防護柵にて高速で大重量の落石を捕獲する際には、落石衝突時にロープに数トンにも及ぶ衝撃荷重が作用することから、剛性部材を塑性変形させても十分なエネルギー吸収性能を確保できないことがあった。それ故、より衝撃エネルギーの吸収性能が高いエネルギー吸収機構の開発が望まれていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、ロープに付加される衝撃に対して高い衝撃エネルギー吸収性能を得ることができるロープ用エネルギー吸収機構を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載のロープ用エネルギー吸収機構は、
張架されたロープを用いて荷重衝撃を受け止める防護柵に設けられて、前記ロープに付加された衝撃エネルギーを吸収するロープ用エネルギー吸収機構において、
少なくとも一端が開口した筒状のハウジングと、
地盤に固定された固定物又はロープのいずれか一方に前記ハウジングを取付けるための取付け部と、
前記ハウジングに一端が固定され、前記ハウジング内にてU字状に折返されて前記ハウジングの内壁面に接触しつつ伸長し前記ハウジングの開口から他端が延出する帯板状の剛性部材と、
を有し、
前記剛性部材の他端は、前記ロープに衝撃荷重が掛かったときに当該他端が前記ハウジング外方へ引っ張られる状態で前記固定物又は前記ロープのいずれか他方に連結されたことを特徴とする。
この構成によれば、防護柵が落石等を捕獲してロープに衝撃荷重が作用した場合に、ハウジングの内壁面と接触している剛性部材の折返し伸長部分(剛性部材の折返し部から他端側の部分)が、ハウジングの内壁面上を摺動して、ハウジング外方へ引き出される。この際、剛性部材とハウジングの内壁面との間の摩擦抵抗力によって衝撃エネルギーが吸収される。また、剛性部材の他端が引っ張られる動作に伴って、剛性部材には、ハウジング内にてU字状の折返し部の位置が変化する塑性変形が生じ、この塑性変形によって衝撃エネルギーが吸収される。このように、このエネルギー吸収機構では、剛性部材に生じる摩擦抵抗力と塑性変形とによって、衝撃エネルギーを吸収することができるので、高い衝撃エネルギー吸収性能を得ることができる。さらに、従来の固定されたピン部材を介して剛性部材を塑性変形させるものに比べて、エネルギー吸収機構が作動する際の初期荷重を低くすることができ、初期動作から衝撃エネルギーをスムーズに安定して吸収することができる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロープ用エネルギー吸収機構において、
前記ハウジング及び前記剛性部材の少なくとも一方に設けられ、前記剛性部材と前記ハウジングの内壁面との間の摩擦力を増加させる摩擦増加手段を備えることを特徴とする。
この構成によれば、摩擦増加手段によって剛性部材の折返し伸長部分とハウジング内壁面との間の摩擦力が増加されることで、より高い衝撃エネルギー吸収性能を得ることができる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のロープ用エネルギー吸収機構において、
前記摩擦増加手段は、前記剛性部材の前記ハウジング内壁面に接触する折返し伸長部分を前記ハウジングの内壁面に押し付け可能で、且つ押付力を調整可能な押付手段を含むことを特徴とする。
この構成によれば、防護柵が落石等を捕獲してロープに衝撃荷重が作用した場合に、剛性部材の折返し伸長部分が、押付手段による押付力を受けながらハウジングの内壁面上を摺動して、ハウジング外方へ引き出される。これにより、剛性部材とハウジングの内壁面との間の摩擦抵抗力が増大し、エネルギー吸収性能が向上する。また、剛性部材とハウジングの内壁面との間に生じる摩擦抵抗力の大きさ、すなわち、吸収されるエネルギー量を押付手段による押し付け力の大きさを調整することで容易に変更することができる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のロープ用エネルギー吸収機構において、
前記押付手段は、
前記剛性部材を介在させて前記ハウジングの内壁面と対向配置される摩擦抵抗板と、
前記摩擦抵抗板を前記ハウジングに任意の大きさの力で締結可能な締結部材と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、剛性部材の折返し伸長部分が、摩擦抵抗板とハウジングの内壁面との間に挟持されて締結部材によって締付けられた状態にあり、この状態で、剛性部材の他端が引っ張られてエネルギー吸収機構が作動すると、剛性部材とハウジングの内壁面及び摩擦抵抗板との間にそれぞれ摩擦抵抗力が生じる。摩擦抵抗力の大きさ(吸収されるエネルギーの大きさ)は、摩擦抵抗板と剛性部材との接触面積、摩擦抵抗板の材質、締結部材による締結力を変更することにより適宜調整することができるので、エネルギー吸収性能の調整範囲を広げることができる。
また、請求項5に記載の発明は、請求項2~4のいずれか1項に記載のロープ用エネルギー吸収機構において、
前記摩擦増加手段は、前記剛性部材の前記ハウジングの内壁面に対向する表面、及び/又は、前記ハウジングにて前記剛性部材の折返し伸長部分と対向する内壁面に設けられ、前記剛性部材及び/又は前記ハウジングよりも摩擦抵抗の大きい高摩擦抵抗層を含むことを特徴とする。
この構成によれば、剛性部材の他端がハウジング外方へ引っ張られる際に、剛性部材の折返し伸長部分とハウジングの内壁面との間に、摩擦抵抗の大きい高摩擦抵抗層が設けられているため、剛性部材がハウジング内壁面上を摺動する際に生じる摩擦抵抗力が増加し、より高い衝撃エネルギー吸収性能を得ることができる。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれか1項に記載のロープ用エネルギー吸収機構において、
前記剛性部材は、前記折返し部から固定された前記一端に向かって板厚が大きくなるように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、剛性部材が塑性変形する領域において、剛性部材の板厚が次第に大きくなることで、エネルギー吸収機構が作動して剛性部材の折返し部の位置が変化する塑性変形が生じた際に、塑性変形によるエネルギー吸収量が次第に大きくなるようにすることができるので、より高いエネルギー吸収性能を得ることができる。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1~6のいずれか1項に記載のロープ用エネルギー吸収機構において、
前記ハウジングは、開口した前記一端に向かって閉断面の面積が小さくなるように、前記剛性部材と接触する内壁面が、傾斜していることを特徴とする。
この構成によれば、エネルギー吸収機構が作動して剛性部材の折返し部の位置が変化する塑性変形が生じた際に、ハウジングの傾斜した内壁面に沿って剛性部材の折返し部の曲率半径が小さくなる、すなわち、塑性変形時のエネルギー吸収量が次第に大きくなるので、エネルギー吸収性能を向上させることができる。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1~7のいずれか1項に記載のロープ用エネルギー吸収機構において、
前記剛性部材は、前記ハウジングに固定された前記一端と前記折返し部との間の領域において、前記ハウジングの内壁面と対向する表面に、該剛性部材の幅方向へ延びる複数の切込みを有することを特徴とする。
この構成によれば、エネルギー吸収機構が作動すると、剛性部材の折返し部が一端側へ移行する塑性変形が生じるが、この塑性変形が生じる領域の表面に複数の切込みが形成されているので、剛性部材を順次、切込みに沿って綺麗なU字形状に折り曲げることができる。これにより、剛性部材が塑性変形する際に、意図しない形状に折り曲げられてエネルギー吸収性能が低下することを防止することができる。
また、請求項9に記載の発明は、請求項1~8のいずれか1項に記載のロープ用エネルギー吸収機構において、
前記ハウジングに設けられ、前記剛性部材の前記折返し部と当接する周面を有する円柱状であって、作動時に、前記剛性部材の前記折返し部の内表面に当接しながら該ハウジング内を前記開口側へ移動するピン部材を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、エネルギー吸収機構が作動して剛性部材が塑性変形する際に、剛性部材をピン部材の周面に沿ってU字形状に折り曲げることができるので、折返し部に座屈が生じることを防止することができる。
また、請求項10に記載の発明は、請求項1~9のいずれか1項に記載のロープ用エネルギー吸収機構において、
前記剛性部材は、少なくとも前記折返し部が形成される領域において分離可能に重ねられた複数の帯板材で構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、1つの剛性部材を複数の帯板材で構成することで、1枚の帯板材の厚さを薄くして、剛性部材を変形しやすくすることができる。
本発明に係るロープ用エネルギー吸収機構によれば、ロープに衝撃荷重が作用した場合に、ハウジングの内壁面と接触している剛性部材の折返し伸長部分が、ハウジングの内壁面上を摺動してハウジング外方へ引き出されるので、これに伴う剛性部材の塑性変形と、剛性部材とハウジングの内壁面との間に生じる摩擦抵抗力とによって高い衝撃エネルギー吸収性能を得ることができる。
本発明に係るロープ用エネルギー吸収機構を備えた防護柵を示す概略図である。 エネルギー吸収機構の第1の実施形態を示す斜視図である。 エネルギー吸収機構の長さ方向に沿う縦断面図である。 エネルギー吸収機構の長さ方向に沿う横断面図である。 剛性部材の斜視図である。 図4のA-A線の位置におけるエネルギー吸収機構の断面図である。 エネルギー吸収機構の動作を説明する図である。 エネルギー吸収機構の動作を説明する図である。 エネルギー吸収機構の第2の実施形態を示す斜視図である。 エネルギー吸収機構の第2の実施形態を示す縦断面図である。 エネルギー吸収機構の第3の実施形態を示す縦断面図である。 エネルギー吸収機構の第4の実施形態を示す縦断面図である。 エネルギー吸収機構の第5の実施形態を示す縦断面図である。 剛性部材30の変形例を示す斜視図である。 エネルギー吸収機構の第6の実施形態を示す縦断面図である。
(第1の実施形態)
図1は本発明に係るロープ用エネルギー吸収機構20を備えた防護柵10を示す概略図であり、なお、本発明の説明に用いる各図面は模式図であって、各構成の要部を誇張して記載したものであり、各構成部材の寸法等を厳密に示したものではない。防護柵10は、斜面下方の地盤Gに設置され、複数の支柱12に懸架された複数本のロープ16で落石や崩落土砂、雪崩等を補足し、衝撃荷重を受け止めることで被害を防止するものである。図1に示す防護柵10は、複数の支柱12-1~12-4からなる支柱列11と、支柱列11に、上下方向に所定間隔をおいて多段に張架された複数本のロープ16-1~16-9とを備える。ロープ用エネルギー吸収機構20は、ロープ16に付加された衝撃エネルギーを吸収するものであり、本実施形態では各ロープ16にエネルギー吸収機構20を取付けている。
支柱12は、地盤Gに埋め込まれた態様で、山の斜面の横方向(左右方向)に所定の間隔をおいて複数立設され、1つの支柱列11を構成している。各ロープ16は、支柱列11に一連に張架される。図1では一例として、4本の支柱12-1~12-4からなる支柱列11を示している。以下の説明では、支柱列11の最端に位置する2本の支柱12-1,12-4を末端支柱、2本の末端支柱12-1,12-4の間に立設された支柱12-2,12-3を中間支柱とも称する。
各支柱12は、円柱状に形成されており、外周面に、上下方向に間隔をおいて複数取付けられたロープ用の保持具13を有する。保持具13は、各ロープ16の上下方向の間隔を保持するものであり、例えば、U字金具の両端部を支柱12の外周面に溶接して形成することができる。各保持具13の内部に各ロープ16を挿通することで、複数本のロープ16の間隔を保持することができる。
中間支柱12-2,12-3の外周面には、ロープ16の端部を係止するための係止部14が設けられている。係止部14は、例えば、両端が中間支柱12-2,12-3の外周面に溶接されたU字状の金具で形成することができる。
各支柱12の間には、各ロープ16の上下方向の間隔を保持する間隔保持部材18-1~18-3が設置されている。間隔保持部材18は、上下方向(縦方向)に長い棒状の部材であって、長さ方向に所定の間隔をおいて各ロープ16が挿通されるロープ保持孔18aを有している。図示例では、棒状の本体の外周面に、所定の間隔をおいて複数のU字金具を溶接しており、このU字金具で形成されたロープ保持孔18aにロープ16が挿通される。図示例の間隔保持部材18は、下端が台座18bを用いて地面Gに固定されているが、これに限られず、下端が地面Gから離間して浮いた状態であってもよい。
複数のロープ16は、支柱列11に上下方向に所定間隔をおいて多段に配置される。各ロープ16は、支柱列11の斜面山側の面に懸架され、両端部16a,16bが末端支柱12-1,12-4にて山側から谷側に折り返されており、ロープ16の一方の端部は、エネルギー吸収機構20を介して、中間支柱12-2又は12-3の係止部14に係止され、ロープ16の他方の端部は、エネルギー吸収機構20を介さずに、中間支柱12-2又は12-3の係止部14に係止されている。
ロープ16は、例えばJIS G 3506に規定された硬鋼線材から製造された線材等をより合わせて形成された高強度のワイヤロープ等を使用することができる。硬鋼線材から制作されたワイヤは、JIS G 3505に規定された軟鋼線材から制作されたワイヤと比較して塑性変形し難く、高い引張強度及びバネ性を有する。ロープ16の線径は、例えば10~25mm程度、好ましくは18mm以上とすることができ、ロープ16の引張強度は、例えば500~2000N/mmとすることができる。各ロープ30は、支柱列11に懸架された状態で、支柱12の保持具13と間隔保持部材18のロープ保持孔18aに挿通されることにより上下方向の間隔が保たれている。
図示していないが、防護柵10は、複数のロープ16が懸架されている落石捕獲面に、さらに、ネットを張設した構成であってもよい。ネットは、金網製、ロープ製、またはこれらを組み合せたネットを含む。金網製ネットは、例えば菱形や円形の網目を有するネットを含み、ロープ製ネットは、例えば、ロープを格子状に交差させたネット、複数のリング体を連鎖して形成したネット等の公知のネットを含む。ネットの上辺部及び下辺部は、ワイヤ等を用いて最上段及び最下段のロープ16-1、16-9に連結することができる。
次に、エネルギー吸収機構20について詳説する。図2はエネルギー吸収機構20の第1の実施形態を示す斜視図である。図3は図2に示すエネルギー吸収機構20の長さ方向に沿う縦断面図、図4はエネルギー吸収機構20の長さ方向に沿う横断面図である。ここで、エネルギー吸収機構20の長さ方向とは図2のX方向、縦方向とは図2のY方向、横方向とは図2のZ方向である。エネルギー吸収機構20は、緩衝対象となるロープ16の端部に取付けられ、ロープ16が受けた衝撃エネルギーを吸収する装置である。エネルギー吸収機構20は、少なくとも一端が開口した筒状のハウジング22と、ハウジング22を地盤G又は地盤Gに固定された固定物に取付けるための取付け部26と、帯板状の剛性部材30と、摩擦増加手段と、ストッパ部材28A,28Bと、を備える。摩擦増加手段は、ハウジング22又は剛性部材30の少なくとも一方に設けられ、剛性部材30とハウジング22の内壁面との間の摩擦力を増加させるものである。本実施形態では、摩擦増加手段として、剛性部材30をハウジング内側面に押し付け可能であって且つ押付力を調整可能な押付手段40を備えている。押付手段40は、摩擦抵抗板42と、締結部材44と、を備えている。なお、図4では取付け部26を非断面状態で示している。
ハウジング22は、鋼材(例えばSS材)等の剛性の高い金属系材料で形成されており、本実施形態では、長方形の4つの側壁(第1側壁22a、第2側壁22b、第3側壁22c及び第4側壁22d)で囲まれた中空四角形断面を有する四角筒状に形成されている。ハウジング22の長さは、エネルギー吸収機構20が作動した際に剛性部材30を変形させる長さ、すなわちエネルギー吸収機構20によって吸収可能な衝撃エネルギーの量に応じて、適宜設定される。一例として、ハウジング22の大きさ(外径寸法)は、縦幅(Y方向の寸法)が100mm、横幅(Z方向の寸法)が100mm、剛性部材30が収容される箱体の長さ(X方向の寸法)が1mとすることができる。
ハウジング22の一端側は開口しており、他端側には、取付け部26が取付けられる取付け片24が設けられている。以下の説明では、ハウジング22において、開口側の端部を開口端部23a、取付け部26が取付けられる方の端部を取付端部23bとも称する。本実施形態において、取付け片24は、第2側壁22b及び第4側壁22dを形成する板状部材の一部を屈曲して形成されており、ハウジング22の筒状本体から軸方向(X方向)に突出する板状に形成されている。
取付け部26は、ハウジング22を地盤Gに固定された固定物である支柱12に取付けるものであり、例えば、シャックル等の係止部材を用いることができる。図1に示すように、本実施形態では、取付け部26を用いてハウジング22の取付端部23bを防護柵10の中間支柱12-2又は12-3に係止させている。
なお、ロープ16の端部は、地盤Gに埋め込まれたアンカー(地盤Gに固定された固定物)に係止させる構造であってもよく、かかる場合には、アンカーとロープ16との間にエネルギー吸収機構20が介在するように、取付け部26を用いてハウジング22の一端部をアンカーに取付ける構造とすることができる。
剛性部材30は、鋼板等の比較的剛性の高い金属系材料で形成された帯板状の部材であり、ハウジング22内でU字状に折り返された折返し部34を有している。剛性部材30は、耐食性が向上するように、表面にめっき処理が施されていることが好ましく、例えば、亜鉛、アルミニウム及びマグネシウムのめっき層を有する鋼板を用いることができる。図2及び図3に示すように、剛性部材30は、一端がハウジング22に固定されており、ハウジング22内にてU字状に折返されてハウジング22の内側面に接触しつつ伸長し、ハウジング22の開口から他端が延出している。剛性部材30の延出した他端は、ロープ16に衝撃荷重が掛かったときに当該他端が引っ張られる状態でロープ16に連結される。剛性部材30の板厚、幅及び長さは適宜設定することができ、例えば、板厚が3mm~15mm、好ましくは8mm~13mm、幅が60mm~100mmとすることができる。剛性部材30の長さは、ハウジング22の長さに応じて適宜設定され、例えば、1mの長さのハウジング22に対して、1.5mの長さの剛性部材30を用いることができる。
以下の説明では、剛性部材30において、固定されている方の端部を固定端部31、ハウジング開口から突出している方の端部を可動端部32とも称する。剛性部材30の折返し伸長部分とは、剛性部材30が折返し部34から可動端部32までのX方向に延びている部分をいう。後述するように、剛性部材30は、可動端部32が引っ張られてロープ16側へ移動すると、折返し部34がハウジング22内で固定端部31側へ移行するように塑性変形する。
剛性部材30の固定端部31は、固定部材29を用いてハウジング22の開口近傍の内壁面に固定されている。本実施形態では、固定部材29の一例としてボルト及びナットを用いている。剛性部材30の折返し部34は、ハウジング22にて取付端部23bの近傍に位置しており、図3に示すように、剛性部材30の外周面は、ハウジング22の対向する2つの内壁面(第1側壁22a及び第3側壁22cの内壁面)に接触している。剛性部材30の可動端部32には、シャックル等の連結部材39を用いてロープ16の端部が連結される。
図5は、ハウジング22内に収容されている剛性部材30の斜視図である。剛性部材30には、長孔36と、ハウジング22に固定された一端と折返し部34との間の領域において、ハウジング22の内壁面と対向する表面に形成された複数の切込み38と、を有する。
長孔36は、図3に示すように、押付手段40を構成している締結ボルト45の軸部が貫通する孔であり、この軸部の外径よりも僅かに大きな幅寸法を有している。長孔36は、剛性部材30の幅方向中央部に形成され、剛性部材30の長さ方向に長く延びている。
複数の切込み38は、剛性部材30の折返し部34から固定端部31側の表面に形成されている。切込み38は、剛性部材30の幅方向へ長く延びており、剛性部材30の長さ方向に間隔をおいて複数形成されている。図5に示す例では、長孔36を挟んで、その両側に切込み38が形成されているが、長孔36が形成されていない領域では、剛性部材30の幅方向に亘って一連に延びる切込み38が形成されていてもよい。
剛性部材30は、押付手段40によって、折返し伸長部分の一部がハウジング22の内側面に押し付けられている。押付手段40は、ハウジング22内にて、剛性部材30の折返し部34と可動端部32との間の領域に配置され、剛性部材30の一部をハウジング22の内壁面に任意の大きさの力で押し付けることが可能なものである。
図6に示すように、本実施形態の押付手段40は、剛性部材30を介材させてハウジング22の第3側壁22cの内壁面と対向配置される摩擦抵抗板42と、摩擦抵抗板42をハウジング42に任意の大きさの力で締結可能な締結部材44と、を備える。本実施形態では、締結部材44の一例として、締結ボルト45及び締結ナット46を用いている。
摩擦抵抗板42は、剛性部材30の可動端部32が移動した際に、剛性部材30と押付手段40及びハウジング22との間に生じる摩擦抵抗を増加させるものであり、平板状に形成されている。摩擦抵抗板42は、例えば、樹脂材料、金属材料等によって形成することができる。摩擦抵抗板42の大きさは、設置状態で、剛性部材30と重なる領域が大きく又は小さくなるように、適宜選択することができる。摩擦抵抗板42の中央部には、締結ボルト45の軸部が貫通する円形の貫通孔43が形成されている。
摩擦抵抗板42は、ハウジング22の内壁面との間に剛性部材30の折返し伸長部分を介在させた状態で、締結ボルト45及び締結ナット46を用いて、ハウジング22に締付固定される。この押付手段40では、締結部材44による締付力を変えることで、剛性部材30をハウジング22に押し付ける力を調整することができる。既述のとおり、締結ボルト45は、剛性部材30の長孔36を貫通しており、図2~図4に示すエネルギー吸収機構20の初期状態において、締結ボルト45は、長孔36において剛性部材30の可動端部32側の端部に位置している。以下の説明では、長孔36の可動端部32側の端部を「長孔36の第1端部36a」、長孔36の固定端部31側の端部を「長孔36の第2端部36b」とも称する。
ストッパ部材28A,28Bは、剛性部材30が塑性変形する範囲を規制するものであり、ハウジング22内にて剛性部材30の内表面側に固定設置されている。ストッパ部材28A,28Bは、ハウジング22の長さ方向(X方向)において、ハウジング22内に収容された剛性部材30の折返し部34と固定端部31との間であって、折返し部34から固定端部31側に離間した位置に固定設置されている。本実施形態では、ハウジング22内にて、縦方向(Y方向)に対を成して第1のストッパ部材28Aと第2のストッパ部材28Bとが設置されており、第2のストッパ部材28Bは、剛性部材30の折返し部34と押付手段40との間であって、押付手段40の近傍に位置している。本実施形態において、ストッパ部材28A,28Bは、ハウジング22内にて、第2側壁22bから第4側壁22dまで貫通する棒状の部材で形成されており、図示例では、ハウジング22を貫通してZ方向に延びるボルト及びこれをハウジング22に固定するナットで構成されている。第2のストッパ部材28Bは、例えば、剛性部材30の折返し伸長部分と非接触状態で配置される等により、エネルギー吸収機構20が作動した際に、剛性部材30の折返し伸長部分が、第2のストッパ部材28Bとハウジング22との間を通って、ロープ16側へ引っ張り可能に構成されている。
上述したエネルギー吸収機構20は、図1に示すように、取付け部26を用いてハウジング22が支柱12の係止部14に係止される。また、剛性部材30の可動端部32には連結部材39を用いてロープ16の端部が連結される。ロープ16は防護柵10の支柱列11に張架されている。ロープ16に落石等による引張力が作用していない初期状態において、エネルギー吸収機構20は、図3に示す初期状態にある。
防護柵10に落石等16が衝突してロープ16に衝撃荷重が作用し、ロープ16に所定値以上の引張力が作用すると、図7Aに示すように、剛性部材30の可動端部32がロープ16に引っ張られてハウジング22からの突出長さが長くなる。具体的には、剛性部材30の折返し伸長部分が、押付手段40による押付力を受けながらハウジング22の内壁面上を摺動して、ハウジング22の外方へ引き出される。この際、押付手段40の摩擦抵抗板42及び締結部材44は、ハウジング22に対して固定状態にあり、剛性部材30を貫通している押付手段40の締結ボルト45は、剛性部材30の長孔36内を第2端部36b側へ移動する。また、剛性部材30の可動端部32が引っ張られる動作に伴って、剛性部材30には、ハウジング22内にてU字状の折返し部34の位置が変化する塑性変形が生る。
本実施形態では、図5に示すように、剛性部材30が塑性変形する領域に切込み38を設けているため、剛性部材30をこの切込み38に沿って順次、折り曲げることができる。これにより、衝撃荷重を受けて剛性部材30が塑性変形する際に、意図しない形状に折り曲げられてエネルギー吸収性能が低下することを防止することができる。
剛性部材30の塑性変形が進むと、図7Bに示すように、折返し部34がストッパ28A,28Bに当接し、剛性部材30の塑性変形が停止される。これにより、ロープ16の引張り移動を停止させる制動力がロープ16に付与される。
上述したエネルギー吸収機構20では、剛性部材30とハウジング22の内壁面との間の摩擦抵抗力によって衝撃エネルギーが吸収することができる。また、剛性部材30は押付手段40によってハウジング22に押し付けられているため、剛性部材30とハウジング22との間の摩擦抵抗力を大きくして衝撃エネルギーの吸収性能が向上させることができる。さらに、エネルギー吸収機構20は、剛性部材30の塑性変形によっても衝撃エネルギーを吸収することができる。このように、エネルギー吸収機構20は、剛性部材30に生じる摩擦抵抗力と塑性変形とによって、衝撃エネルギーを吸収することができるため、高い衝撃エネルギー吸収性能を得ることができる。
また、剛性部材30とハウジング22の内壁面との間に生じる摩擦抵抗力の大きさ、すなわち、吸収されるエネルギー量は、押付手段40による押付力の大きさを調整することで容易に変更することができる。具体的には、締結部材44による締結力を大きくしたり小さくしたりすることで、剛性部材30に作用する押付力を大ききしたり小さくしたりすることができる。このように、本実施形態のエネルギー吸収機構20では、剛性部材30を設計変更することなく、衝撃エネルギーの吸収性能を変更することができる。
なお、本実施形態では、押付手段40が摩擦抵抗板42と締結部材44とで構成されているが、押付手段40は、摩擦抵抗板42を有しておらず、締結部材44のみで構成されていてもよい。かかる場合にも、締結部材44による締付力を調整することで、剛性部材30とハウジング22の内壁面との間に生じる摩擦抵抗力の大きさを調整することができる。
また、本実施形態のエネルギー吸収機構20では、従来のハウジングに固定されたピン部材を介して剛性部材を塑性変形させる構造に比べて、エネルギー吸収機構20が作動する際の初期荷重を低くすることができるので、初期動作から衝撃エネルギーをスムーズに安定して吸収することができる。さらに、従来の構造では、制動力の大きさを制御することがでなかったが、本実施形態のエネルギー吸収機構20では、上述したように、締結部材44の締付力により摩擦力を制御して、制動力の大きさを制御することが可能である。
また、本実施形態のように締結部材44に加えて摩擦抵抗板42を設けた場合には、剛性部材30と摩擦抵抗板42との間も大きな摩擦抵抗力を発生させることができるため、エネルギー吸収性能をより高めることができる。また、摩擦抵抗板42と剛性部材30との接触面積、摩擦抵抗板42の材質、締結部材44による締付力を変更することにより摩擦抵抗力の大きさ(吸収されるエネルギーの大きさ)を適宜調整することができるので、エネルギー吸収性能の調整範囲を広げることができる。
さらに、作動終了後のエネルギー吸収機構20は、塑性変形した剛性部材30のみを交換することで再利用することができる。従来の固定されたピン部材を用いて剛性部材を塑性変形させる構造では、剛性部材のみならず、ピン部材や、これを固定するハウジングを含む全体交換が必要であったが、本実施形態のエネルギー吸収機構20では、交換部品点数を削減して、メンテナンスコストを低減することができる。
(第2の実施形態)
次に、図8及び図9を用いてエネルギー吸収機構20の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、ハウジング22に、剛性部材30が塑性変形する際に剛性部材30の折返し部34に当接しつつ移動可能な座屈防止手段50が設けられている。なお、図8及び図9に示す実施形態において、その他の構成は、上述した第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
座屈防止手段50は、ハウジング22に設けられており、剛性部材30の折返し部34の内表面に当接する円柱状のピン部材52と、ピン部材52をハウジング22の長さ方向に沿って移動させるためのガイド部材と、を備える。ガイド部材は、ハウジング22に形成されたガイド孔54と、ガイド孔54を貫通してピン部材50を支持する支持軸56と、を備える。
ガイド孔54は、ハウジング22の第2側壁22b及び第4側壁22dに対を成して形成されており、ハウジング22の長さ方向に直線状に延びる貫通孔である。支持軸52は、一対のガイド孔54を貫通した状態で、ピン部材52の両端を支持している。ピン部材52は、周面が剛性部材30の折返し部34に当接するようにハウジング22内に配置される。
上述した座屈防止手段50を備えたエネルギー吸収機構20では、エネルギー吸収機構20が作動して剛性部材30の折返し部34の位置が移行する塑性変形が生じた際に、図9の矢印で示すように、ピン部材52が、剛性部材30の折返し部34に押されて、折返し部34に当接しながらガイド孔54に沿ってハウジング22の開口端部23a側へ移動する。剛性部材30は、塑性変形時にピン部材52の周面に沿ってU字形状に折り曲げられていくため、折返し部34に座屈が生じることを防止することができる。
(第3の実施形態)
次に、エネルギー吸収機構20の第2の実施形態について説明する。図10は、エネルギー吸収機構20の第3の実施形態を示す図3と同様の縦断面図である。本実施形態では、剛性部材30が、分離可能に重ねられた複数の帯板材30A,30Bで構成されている。図10では、剛性部材30として2つの帯板材30A,30Bを示しているが、帯板材30A,30Bの数は3つ以上であってもよい。なお、図10に示す実施形態において、剛性部材30以外の構成は、上述した第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
各帯板材30A,30Bは、第1の実施形態の剛性部材30と同様に、固定端部31、折返し部34及び可動端部32を有しており、それぞれ、締結ボルト45が貫通する長孔36と、複数の切込み38とを有している。ここでは、2つの帯板材30A,30Bのうち、ハウジング22と接触する帯板材を第1の帯板材30Aとし、その内側に配置された帯板材を第2の帯板材30Bという。図10に示すように、折返し部34において、第1の帯板材30Aと第2の帯板材30Bとは、折返し部34において離間しており、固定端部31から折返し部34までの間、及び、折返し伸長部において、接触状態で積層されている。各帯板材30A,30Bの可動端部32には、連結部材39を用いてロープ16の端部が連結されている。各帯板材30A,30Bは、長さ及び幅がほぼ等しく設定されている。各帯板材30A,30Bの厚さは等しくてもよいし、第1の帯板材30が第2の帯板材30Bよりも厚く又は薄くなるように、それぞれ異なる厚さに設定されていてもよい。各帯状部材30A,30Bの厚さは、例えば、2mm~5mmとすることができる。
本実施形態のエネルギー吸収機構20では、剛性部材30を複数の帯板材30A,30Bで形成したことにより、各帯板材30A,30Bの厚さを薄くして、塑性変形時に各帯板材30A,30Bが綺麗なU字形状に順次曲がるように促すことができる。さらに、折返し部34を離間させることで、塑性変形時に互いの折返し部34が干渉し合って変形が阻害されることを防止することができる。
(第4の実施形態)
次に、エネルギー吸収機構20の第4の実施形態について説明する。図11は、エネルギー吸収機構20の第3の実施形態を示す図3と同様の縦断面図である。本実施形態では、ハウジング22の内壁面及び剛性部材30の表面に、摩擦抵抗の大きい高摩擦抵抗層27,37を設けている。なお、図11に示す実施形態において、その他の構成は、上述した第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
高摩擦抵抗層27,37は、それぞれ、剛性部材30とハウジング22との間の摩擦抵抗力を増加させる摩擦増加手段を構成している。本実施形態では、ハウジング22にて剛性部材30の折返し伸長部分と対向する内壁面、すなわち第3側壁22cの内壁面に、ハウジング22の内壁面よりも摩擦抵抗の大きい第1の高摩擦抵抗層27を設けており、剛性部材30において、ハウジング22の内壁面に対向する表面に、該表面よりも摩擦抵抗の大きい第2の高摩擦抵抗層27を設けている。
第1及び第2の高摩擦抵抗層27,37は、それぞれ、ハウジング22及び剛性部材30とは別材料で構成されている。第1及び第2の高摩擦抵抗層27,38は、これらが取付けられるハウジング22や剛性部材30の表面よりも軟らかいアルミ等の金属材料や樹脂材料等で形成することができる。第2の高摩擦抵抗層37には、剛性部材30の長孔36と重なる領域に、締結ボルト45が貫通する長孔37aが形成されている。
本実施形態のエネルギー吸収機構20では、剛性部材30の可動端部32がハウジング22の外方へ引っ張られる際に、第1及び第2の高摩擦抵抗層27,37によって、剛性部材30がハウジング22の内壁面上を摺動する際に生じる摩擦抵抗力を増加させることができるため、より高い衝撃エネルギー吸収性能を得ることができる。
なお、高摩擦抵抗層27,37は、剛性部材30又はハウジング22のいずれか一方にのみ設けられる構成であってもよい。また、本実施形態では、高摩擦抵抗層27,37は、剛性部材30やハウジング22の表面を粗面化処理して形成してもよい。
(第5の実施形態)
次に、エネルギー吸収機構20の第4の実施形態について説明する。図12Aは、エネルギー吸収機構20の第4の実施形態を示す図3と同様の縦断面図である。なお、図12Aに示す実施形態において、剛性部材30以外の構成は、上述した第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の剛性部材30は、折返し部34から固定端部31に向かって板厚が大きくなるように形成されている。板厚が増加する領域は、少なくともエネルギー吸収機構20の作動時に、剛性部材30が塑性変形する領域、すなわち、折返し部34から固定端部31側であってストッパ28Aが配置される領域であることが好ましい。図示例では、固定端部31に向かって剛性部材30の板厚が徐々に大きくなるように形成されている。板厚は、例えば、折返し伸長部分の板厚に対して、ストッパ28Aの位置における板厚が0.2mm~3mm程度増加、好ましくは0.5mm~2mm程度増加するように形成することができる。なお、図12Aでは、理解しやすいように板厚の増加を強調して記載している。
このように、剛性部材30が塑性変形する領域において、剛性部材30の板厚が次第に大きくなることで、エネルギー吸収機構20が作動して折返し部34の位置が変化する塑性変形が生じた際に、塑性変形によるエネルギー吸収量が次第に大きくなるようにすることができ、より高いエネルギー吸収性能を得ることができる。
図12Bは、第5の実施形態における剛性部材30の変形例を示す斜視図である。図示例のように、剛性部材30は、折返し部34から固定端部31側において、1枚以上の板材を積層することによって板厚が増加するように形成してもよい。図示例では、長さの異なる3枚の板材33A,33B,33Cを積層して、剛性部材30の板厚を増加させている。図示例において、各板材33A~33Cの幅は、折返し部34を有する剛性部材本体の幅と同じ寸法に設定されていが、剛性部材本体よりも幅寸法が小さくてもよい。積層される板材33A~33Cの板厚は、折返し部34が形成された剛性部材30の基材よりも薄いことが好ましい。また、各板材33A~33Cの板厚は同じでもよいし、異なる厚さであってもよい。積層された板材33A~33Cの表面には、切込み38を設けることが好ましく、これにより、剛性部材30を塑性変形時にU字状に折り曲げやすくすることができる。なお、図示例では、板材33A~33Cを剛性部材本体の外表面(ハウジング22の内壁面と対向する面)に積層しているが、剛性部材本体の内表面、又は、外表面と内表面の両方に積層する構成であってもよい。
(第6の実施形態)
次に、エネルギー吸収機構20の第5の実施形態について説明する。図13は、エネルギー吸収機構20の第5の実施形態を示す図3と同様の縦断面図である。本実施形態では、ハウジング22の内部空間形状が第1の実施形態と異なっている。なお、図13に示す実施形態において、ハウジング22以外の構成は、上述した第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態において、ハウジング22は、開口した一端(開口端部23a)に向かって閉断面の面積が小さくなるように、剛性部材30と接触する内壁面が、傾斜している。図示例では、剛性部材30の折返し伸長部分と接触する第3側壁22cの内壁面が開口端部23a側の開口面積が小さくなるように傾斜している。なお、これに代えて又はこれとともに、剛性部材30と接触する第1側壁22aの内壁面を閉断面の面積が小さくなるように傾斜させてもよい。
本実施形態では、エネルギー吸収機構20が作動して剛性部材30の折返し部34の位置が変化する塑性変形が生じた際に、剛性部材30は、ハウジング22の傾斜した内壁面に沿って折返し部34の曲率半径が次第に小さくなるように変形していく。これによって、剛性部材30のエネルギー吸収量が次第に大きくなるようにすることができるので、エネルギー吸収機構20のエネルギー吸収性能を向上させることができる。
上述した各実施形態に示すように、本発明に係るエネルギー吸収機構20では、剛性部材30、押付手段40、及び/又はハウジング22の形状・構造を適宜変更することにより、エネルギー吸収機構20の作動荷重を容易に制御することができる。特許文献2に記載された従来のものでは、作動荷重は、初期で大きく、その後小さくなるという特徴があり、同一の形状・構造であっても、初期荷重のばらつきが大きかった。これに対し、本発明に係るエネルギー吸収機構20では、初期荷重を小さくしてばらつきを抑えることができるとともに、エネルギー吸収機構20の動作過程において、作動荷重をほぼ均一にしたり、徐々に大きくなるように制御することが可能である。
なお、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、摩擦増加手段である押付手段40及び第1及び第2の高摩擦抵抗層27,37は、オプションであり、エネルギー吸収機構は、摩擦増加手段を有していない構成であってもよい。また、本発明に係るエネルギー吸収機構20は、上述した各実施形態を組み合わせた構成とすることもできる。例えば、第1及び第2の高摩擦抵抗層27,37は図12A、図12B又は図13に示す実施形態に適用することが可能であり、図12A又は12Bに示す剛性部材30を図13に示す実施形態に適用してもよい。
また、例えば、エネルギー吸収機構20は、取付け部26にロープ16の端部を連結し、連結部材39等を用いて剛性部材30の可動端部32を地盤Gに固定された固定物に取付ける構造であってもよい。
10 防護柵
11 支柱列
12 支柱
16 ロープ
18 間隔保持部材
20 ロープ用エネルギー吸収機構
22 ハウジング
26 取付け部
27 第1の高摩擦抵抗層(摩擦増加部材)
28A,28B ストッパ部材
30 剛性部材
31 固定端部
32 可動端部
34 折返し部
36 長孔
38 切込み
37 第2の高摩擦抵抗層(摩擦増加部材)
40 押付手段(摩擦増加手段)
42 摩擦抵抗板
44 締結部材
45 締結ボルト
46 締結ナット
50 座屈防止手段
G 地盤

Claims (10)

  1. 張架されたロープを用いて荷重衝撃を受け止める防護柵に設けられて、前記ロープに付加された衝撃エネルギーを吸収するロープ用エネルギー吸収機構において、
    少なくとも一端が開口した筒状のハウジングと、
    地盤に固定された固定物又はロープのいずれか一方に前記ハウジングを取付けるための取付け部と、
    前記ハウジングに一端が固定され、前記ハウジング内にてU字状に折返されて前記ハウジング内側面に接触しつつ伸長し前記ハウジングの開口から他端が延出する帯板状の剛性部材と、
    を有し、
    前記剛性部材の他端は、前記ロープに衝撃荷重が掛かったときに当該他端が前記ハウジング外方へ引っ張られる状態で前記固定物又は前記ロープのいずれか他方に連結されたことを特徴とするロープ用エネルギー吸収機構。
  2. 前記ハウジング及び前記剛性部材の少なくとも一方に設けられ、前記剛性部材と前記ハウジングの内壁面との間の摩擦力を増加させる摩擦増加手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のロープ用エネルギー吸収機構。
  3. 前記摩擦増加手段は、前記剛性部材の前記ハウジング内側面に接触する折返し伸長部分を前記ハウジングの内側面に押し付け可能で、且つ押付力を調整可能な押付手段を含むことを特徴とする請求項2に記載のロープ用エネルギー吸収機構。
  4. 前記押付手段は、
    前記剛性部材を介在させて前記ハウジングの内壁面と対向配置される摩擦抵抗板と、
    前記摩擦抵抗板を前記ハウジングに任意の大きさの力で締結可能な締結部材と、を備えることを特徴とする請求項3に記載のロープ用エネルギー吸収機構。
  5. 前記摩擦増加手段は、前記剛性部材の前記ハウジングの内壁面に対向する表面、及び/又は、前記ハウジングにて前記剛性部材の折返し伸長部分と対向する内壁面に設けられ、前記剛性部材及び/又は前記ハウジングよりも摩擦抵抗の大きい高摩擦抵抗層を含むことを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載のロープ用エネルギー吸収機構。
  6. 前記剛性部材は、前記折返し部から固定された前記一端に向かって板厚が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のロープ用エネルギー吸収機構。
  7. 前記ハウジングは、開口した前記一端に向かって閉断面の面積が小さくなるように、前記剛性部材と接触する内壁面が、傾斜していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のロープ用エネルギー吸収機構。
  8. 前記剛性部材は、前記ハウジングに固定された前記一端と前記折返し部との間の領域において、前記ハウジングの内壁面と対向する表面に、該剛性部材の幅方向へ延びる複数の切込みを有することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のロープ用エネルギー吸収機構。
  9. 前記ハウジングに設けられ、前記剛性部材の前記折返し部と当接する周面を有する円柱状であって、作動時に、前記剛性部材の前記折返し部の内表面に当接しながら該ハウジング内を前記開口側へ移動するピン部材を備えたことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のロープ用エネルギー吸収機構。
  10. 前記剛性部材は、少なくとも前記折返し部が形成される領域において分離可能に重ねられた複数の帯板材で構成されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のロープ用エネルギー吸収機構。
JP2021204823A 2021-12-17 2021-12-17 ロープ用エネルギー吸収機構 Pending JP2023090073A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021204823A JP2023090073A (ja) 2021-12-17 2021-12-17 ロープ用エネルギー吸収機構

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021204823A JP2023090073A (ja) 2021-12-17 2021-12-17 ロープ用エネルギー吸収機構

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023090073A true JP2023090073A (ja) 2023-06-29

Family

ID=86937287

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021204823A Pending JP2023090073A (ja) 2021-12-17 2021-12-17 ロープ用エネルギー吸収機構

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023090073A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4874925B2 (ja) 落石等の防止柵
JP4808226B2 (ja) 衝撃吸収柵
JP4188998B2 (ja) 衝撃吸収防護柵
JP6504837B2 (ja) 膜状部材の支持方法及び膜状部材の支持構造
WO2019223294A1 (zh) 一种新型减震自复位耗能拉索支撑装置
JP2014001584A (ja) 落石防護柵
JP3413571B2 (ja) 衝撃吸収防護柵および衝撃吸収方法
JP6906100B2 (ja) ネット及び/又はロープ構造ブレーキ
US7455155B2 (en) Impact absorbent assembly in slope protection systems
JP5595325B2 (ja) 防護柵
EP3631093B1 (en) Dynamic barrier against rockfalls with an impact absorbing device
JP2907214B1 (ja) 衝撃吸収柵
JP2023090073A (ja) ロープ用エネルギー吸収機構
JP2907213B1 (ja) 衝撃吸収柵
JP3860741B2 (ja) 衝撃吸収柵および衝撃吸収方法
JP6973767B2 (ja) 落石防護柵
JP2013234495A (ja) 防護柵
JP7202586B1 (ja) 防護柵
JP2006097274A (ja) 衝撃力吸収ワイヤー構造及び該構造を用いた衝撃力吸収構造
JP3433350B2 (ja) 衝撃吸収ネットおよび衝撃吸収方法
JP3639950B2 (ja) 衝撃吸収防護柵
JP2002322616A (ja) 防護ネット及び防護柵
JP3555139B2 (ja) 衝撃吸収柵
JP5923058B2 (ja) 防護柵
JP5659703B2 (ja) 弾塑性ブレース防震構造