JP3555139B2 - 衝撃吸収柵 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、雪崩・落石等における衝撃吸収柵に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、この種のものとして、特公平7−18134号公報の衝撃吸収柵では、所定の間隔で支柱を設け、各支柱の間に水平ロープ材を水平方向のスライドを許容した状態で係留し、水平ロープの両端は固定し、各支柱間を水平ロープ材掛止されたワイヤ製のネットで遮蔽し、各水平ロープ材の途上に水平ロープ材を重合させて形成した余長部と、余長部を一定の力で挟持する挟持具とにより、水平ロープ材に所定張力以上の張力が作用したとき、水平ロープ材が一定の摩擦力を保持したまま余長部が伸長して張力を吸収する緩衝部を設け(公報特許請求の範囲)ており、衝撃吸収柵の網面に作用する衝撃力が緩衝部の設定摩擦抵抗を越えると、水平ロープ材の途上に形成した緩衝部が耐えられず、ロープ材と挟持具との摺動の間で摺動を開始し、大きな衝撃力を受けてもループの縮径により効果的にエネルギーを吸収することができる。
【0003】
また、特公平7−18134号公報には、雪崩・落石防止体と地山とを連結する支持用線材をループ状にして複数の線材が重なり合う重複部を形成し、その重複部を複数間隔をおいて設けられた締付部材により緊結し、前記支持用線材に加わる引張力によって前記ループ状部分の両側端が前記締付部材に係止しかつ締付部材が移動する(公報特許請求の範囲)ものがある。
【0004】
また、特許第2503929号公報の衝撃吸収柵では、ガイドロープの他端部相互を重ね合わせて重複部を形成し、この重複部を複数間隔を置いて設けられた締付部材により緊結すると共に、前記締付部材に係止可能な端末突部を前記ガードロープの他端部の端部に設け、前記ガードロープに加わる引張力によって前記重複部の他端部相互が摩擦摺動するように構成(公報特許請求の範囲)している。
【0005】
さらに、特開平10−88527号公報には、支柱間に張り渡された保持ロープの中途に、同保持ロープに及んでくる衝撃エネルギーを吸収するためのブレーキ装置が設けてあり、このブレーキ装置が、重ね合わされた両端部を緊締部材によって固定したループ管を有しており、当該保持ロープがこのループ管内を通り、他方端部の管口からでて延びて(公報特許請求の範囲中請求項5)おり、緊締部でのループ管重畳部の摩擦及びループ管と緊締部材との間の摩擦によりエネルギー吸収が行われる。
【0006】
このように上記4者の衝撃吸収柵等では、いずれも衝撃吸収力を摩擦力により吸収するようにしている。
【0007】
一方、上記特開平10−88527号公報では、網状体が多数のリング部材を、それぞれ隣り合うリング部材の内周側が接触するように相互に連結することによって構成されて(公報特許請求の範囲中請求項1)おり、落石による衝撃を受けると、各リング部材が他のリング部材との係合箇所で外方に引張られ、例えば係合箇所が周全体で4箇所であれば、リング部材は矩形に変形し、このようにリング部材を変形させる力が衝撃エネルギーとなり、リング部材の材質、構成線材の太さ、リング部材の直径を適宜選択することにより、吸収すべきエネルギーの大きさに簡単に対応させることができる(公報第0007段)。
【0008】
そして、上記摩擦力により衝撃力を吸収する構造、及び上記リング部材の変形より衝撃エネルギーを吸収するものでも、いずれも衝撃吸収能力には限界がある。
【0009】
このような従来技術の問題を解消し、衝撃吸収能力の向上を可能にしたものとして、特開平12−45232号公報には、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に水平主線材を設け、前記支柱間を前記水平主線材に掛止した網体で遮蔽した衝撃吸収柵において、前記水平主線材にループ部を形成し、このループ部内に弾性を有する緩衝材を配置した衝撃吸収柵があり、この衝撃吸収柵に落石等の衝撃力が加わると、水平主線材に引張力が働き、この引張力によりループ部が縮小され、ループ部内の緩衝材が弾性変形と塑性変形とを起こし、エネルギーを吸収することができる。
【0010】
ところで、上記衝撃吸収柵では、複数段の水平主線材にそれぞれループ部により緩衝材を設けるから、必要とするループ部の数だけ緩衝材を用意し、個々に緩衝材を取付ける必要がある。このように緩衝材の部品数が多くなると、現場での部品管理と取付け作業が煩雑になることが予想される。
【0011】
そこで、本発明は、大きな衝撃力を効果的に吸収することができ、組立て作業性に優れた衝撃吸収柵を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に水平主線材を複数段に設けた衝撃吸収柵において、前記水平主線材にループ部を形成し、このループ部内に該ループ部の縮小により変形可能な金属製の中空筒体を配置すると共に、この中空筒体に複数の前記水平主線材の前記ループ部を設けたものである。
【0013】
この請求項1の構成によれば、落石等の衝撃力が加わると、水平主線材に引張力が働き、この引張力によりループ部が縮小され、ループ部内の金属製の中空筒体が絞られて潰れるように変形することにより、エネルギーが吸収される。そして、共通する中空筒体に複数の水平主線材のループ部を形成するから、使用する中空筒体等の部品点数を削減できると共に、組立て作業性に優れたものとなる。
【0014】
請求項2の発明は、前記支柱間を前記水平主線材に掛止した網体で遮蔽したものである。
【0015】
この請求項2の構成によれば、網体が落石等を受けると、その衝撃力により水平主線材に引張力が加わる。
【0016】
請求項3の発明は、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間を網体で遮蔽した衝撃吸収柵において、前記網体の線材にループ部を形成し、このループ部内に該ループ部の縮小により変形可能な金属製の中空筒体を配置すると共に、この中空筒体に複数の前記線材の前記ループ部を設けたものである。
【0017】
この請求項3の構成によれば、落石等の衝撃力が加わると、線材に引張力が働き、この引張力によりループ部が縮小され、ループ部内の金属製の中空筒体が絞られて潰れるように変形することにより、エネルギーが吸収される。そして、共通する中空筒体に複数の水平主線材のループ部を形成するから、使用する中空筒体等の部品点数を削減できると共に、組立て作業性に優れたものとなる。
【0018】
また、請求項4の発明は、前記中空筒体が接地脚部を有するものである。
【0019】
この請求項4の構成によれば、接地脚部が接地することにより、線材に金属製の中空筒体の自重による荷重が加わることがない。
【0020】
また、請求項5の発明は、前記中空筒体に長さ方向の切欠き部を形成したものである。
【0021】
この請求項5の構成によれば、落石等の衝撃力が加わると、水平主線材に引張力が働き、この引張力によりループ部が縮小され、ループ部内の金属製の中空筒体が絞られて潰れるように変形することにより、エネルギーが吸収される。この場合、切欠き部を設けることにより初め中空筒体の直径が縮小するように変形し、さらに、引張力が加わると、中空筒体が潰れるように変形することにより、エネルギーを吸収することができる。
【0022】
また、請求項6の発明は、前記中空筒体内に天然ゴムや合成ゴムからなる円柱部材を設けたものである。
【0023】
この請求項6の構成によれば、落石等の衝撃力が加わると、水平主線材に引張力が働き、この引張力によりループ部が縮小され、ループ部内の金属製の中空筒体と天然ゴムや合成ゴムからなる円柱部材が絞られて潰れるように変形することにより、エネルギーが吸収される。この場合、中空筒体と円柱部材とを組み合わせることにより、大きな衝撃を吸収することができる。
【0024】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。図1〜図3は本発明の第1参考例を示し、同図に示すように、衝撃吸収柵である落石防護柵は、斜面あるいは斜面に並んでコンクリート基礎1を設け、このコンクリート基礎1に複数の支柱2…を立設する。前記支柱2は、H型鋼,コンクリート柱,鋼管あるいはコンクリート充填鋼管などからなり、この例では鋼管を用い、その下端を前記コンクリート基礎1に固着している。前記支柱2間には水平主線材たる水平ロープ材3,3が上下段に設けられ、この水平ロープ材3を係止する係止部4が前記支柱2の前面に設けられ、この係止部4は、水平ロープ材3を係止する係止用フックなどにより構成される。また、前記水平ロープ材3の両端は、それぞれ前記支柱2や他の部材に固定されている。
【0025】
図1〜図3に示すように、前記水平ロープ材3には、輪状をなすループ部5を形成して部分的に重なる重合部6を形成し、この重合部6を案内部材たる結束具7により束ね、この結束具7は輪状をなし、内部において重合部6のスライドを許容するものである。そして、複数段の水平ロープ材3には、支柱2,2間の同一位置に前記ループ部5が形成され、それら複数段のループ部5内に緩衝材8を配置し、このループ部5及び緩衝材8は、支柱2と同様に水平ロープ材3の後方に設けられる。また、この例の緩衝材8は基礎1上の高さが支柱2とほぼ等しく、その緩衝材8の下端は、前記基礎1の上に載置する接地脚部9になっており、この接地脚部9は基礎1に固定されない。
【0026】
前記緩衝材8は、前記ループ部5の内形状に対応して略円柱形状を成している。この例の緩衝材8は、天然ゴムやシリコーンゴム等の合成ゴムなどからなる円柱部材21からなる。
【0027】
また、図1及び図2に示すように、前記支柱2間には、該支柱2間を遮蔽する防護面たる網体11が設けられており、この網体11は前記水平ロープ材3に掛止され、前記網体11と前記支柱2により防護体12を構成している。
【0028】
このように支柱2,2に柱状の緩衝材8を配置し、1つの緩衝材8に複数段の水平ロープ材3を巻き付けてループ部5を形成するから、現場で管理する部品点数が少なく済み、組立て作業も容易となる。また、現場搬入前に、予め複数段の水平ロープ材3と緩衝材8とを組立ててユニット化した場合でも、現場での扱いが容易で組立て作業性に優れたものとなる。
【0029】
そして、図2(A)に示すように、網体11に落石等により衝撃力が加わると、水平ロープ材3に引張力が発生し、ループ部5が縮小し、ループ部5内の弾性を有する緩衝材8が、ループ部5に締付けられて弾性変形し、この弾性変形により衝撃力のエネルギーを吸収し、さらに締付けられると塑性変形し、この塑性変形により衝撃力のエネルギーを吸収し、最後に緩衝材8が破断し、この破断により衝撃力のエネルギーを吸収する。尚、ループ部5が縮小しても、その内部には弾性体等からなる緩衝材8が配置されているから、ループ部5を構成する水平ロープ材3が損傷することがない。
【0030】
このように本参考例では、所定の間隔で複数の支柱2,2を設け、支柱2,2間に水平主線材たる水平ロープ材3を複数段に設けた衝撃吸収柵において、水平ロープ材3にループ部5を形成し、このループ部5内に該ループ部5の縮小により変形可能な緩衝材8を配置すると共に、この緩衝材8に複数の水平ロープ材3のループ部5を設けたから、落石等の衝撃力が加わると、水平ロープ材3に引張力が働き、この引張力によりループ部5が縮小され、ループ部5内の緩衝材8が変形することにより、エネルギーが吸収される。そして、共通する緩衝材8に複数の水平ロープ材3のループ部5を形成するから、使用する緩衝材8等の部品点数を削減できると共に、組立て作業性に優れたものとなる。
【0031】
また、このように本参考例では、支柱2,2間を水平主線材たる水平ロープ材3に掛止した網体11で遮蔽したから、網体11が落石等を受けると、その衝撃力により水平ロープ材3に引張力が加わり、ループ部5内の緩衝材8が変形することにより、エネルギーを吸収することができる。
【0032】
さらに、このように本参考例では、緩衝材8が接地脚部9を有するから、接地脚部9が接地することにより、水平ロープ材3に緩衝材8の自重による荷重が加わることがない。したがって、緩衝材8を取り付けることにより、通常時、水平ロープ材3に負荷が加わることがなく、長期に渡って水平ロープ材3の引張強さなどの性能を保持することができる。
【0033】
また、参考例上の効果として、緩衝材8は、ループ部5の縮小により破断するから、ループ部5内の緩衝材8が変形した後、破断することにより、衝撃エネルギーの吸収効果が高まる。さらに、複数段の水平ロープ材3にループ部5を形成し、これらループ部5内に緩衝材8を配置し、ループ部5により緩衝材8が長さ方向(上下方向)に移動しないように該緩衝材8を締め付けたから、緩衝材8が複数段の水平ロープ材3の間隔保持材となる。
【0034】
図4は本発明の第2参考例を示し、上記第1参考例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、前記結束具の変形例を示し、この例の結束具7Aは、図4に示すように、Uボルト111の端部を止め板112に挿通し、該端部にナット113を螺合するものであり、ナット113の螺合程度を調整して重合部6を締付ける。尚、落石等の衝撃力により水平ロープ材3に張力が加わった場合に、前記重合部6のスライドを許容する程度に前記ナット113を締付ける。
【0035】
したがって、ループ部5が縮小する際に、重合部6の水平ロープ材3同士及び重合部6と結束具7Aとの間で摩擦が生じ、この摩擦により衝撃力のエネルギーの一部を吸収することもできる。
【0036】
図5は本発明の第1実施例を示し、上記各参考例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例の緩衝材8Aは、鉄やアルミニウムなどの金属製からなる中空筒体22からなる。
【0037】
したがって、落石等の衝撃力が加わると、水平ロープ材3に引張力が働き、この引張力によりループ部5が縮小され、ループ部5内の緩衝材8Aを構成する中空筒体22が絞られて潰れるように変形することにより、エネルギーが吸収される。
【0038】
図6は本発明の第2実施例を示し、上記各参考例及び第1実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例の緩衝材8Bは、鉄やアルミニウムなどの金属製からなる中空筒体22であって、該中空筒体22に長さ方向の切欠き部23を形成してなり、この切欠き部23により前記中空筒体22が周方向に縮小するように弾性変形可能となる。
【0039】
したがって、落石等の衝撃力が加わると、水平ロープ材3に引張力が働き、この引張力によりループ部5が縮小され、ループ部5内の緩衝材8Bを構成する中空筒体22が絞られて潰れるように変形することにより、エネルギーが吸収される。この場合、切欠き部23を設けることにより初め中空筒体22の直径が縮小するように変形し、さらに、引張力が加わると、中空筒体22が潰れるように変形することにより、エネルギーを吸収することができる。
【0040】
図7は本発明の第3実施例を示し、上記各参考例及び各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例の緩衝材8Cは、前記中空筒体22内に前記円柱部材21を設けてなる。
【0041】
したがって、落石等の衝撃力が加わると、水平ロープ材3に引張力が働き、この引張力によりループ部5が縮小され、ループ部5内の緩衝材8Cを構成する中空筒体22と円柱部材21が絞られて潰れるように変形することにより、エネルギーが吸収される。この場合、中空筒体22と円柱部材21とを組み合わせることにより、大きな衝撃を吸収することができる。
【0042】
図8は本発明の第4実施例を示し、上記各参考例及び各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例の緩衝材8Dは、切欠き部前記中空筒体22内に前記円柱部材21を設けてなる。
【0043】
したがって、落石等の衝撃力が加わると、水平ロープ材3に引張力が働き、この引張力によりループ部5が縮小され、ループ部5内の緩衝材8Dを構成する中空筒体22と円柱部材21が絞られて潰れるように変形することにより、エネルギーが吸収される。この場合、中空筒体22と円柱部材21とを組み合わせることにより、大きな衝撃を吸収することができる。
【0044】
図9及び図10は本発明の第5実施例を示し、上記各参考例及び各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、防護面たる網体31は、一側方向たる横方向の線材32と、この線材32と交差する他側方向たる縦方向の線材33とを組み合わせて複数の網目34を有し、横方向の前記線材32には、輪状をなすループ部35を形成して部分的に重なる重合部36を形成し、この重合部36を案内部材たる前記結束具7,7により束ね、この結束具7は輪状をなし、内部において重合部36のスライドを許容するものである。尚、隣合う支柱2,2間において、横方向の線材32の3箇所にループ部35を形成し、複数段の線材32,32…にループ部35,35…を形成すると共に、それらループ部35,35…内に前記緩衝材8,8A,8B,8C,8Dのいずれかを配置している。また、前記ループ部35及び緩衝材8,8A,8B,8C,8Dは、網体31の前面に設けられる。尚、結束具として、第2参考例で示した結束具7Aを用いることもできる。
【0045】
そして、網体31に落石等により衝撃力が加わり、線材32に引張力が加わると、ループ部35が縮小し、ループ部35内の緩衝材8,8A,8B,8C,8Dが、ループ部35に締付けられて変形し、この変形により衝撃力のエネルギーを吸収することができる。
【0046】
このように本実施例では、所定の間隔で複数の支柱2,2を設け、支柱2,2間を網体31で遮蔽した衝撃吸収柵において、網体31の線材32にループ部35を形成し、このループ部35内に弾性を有する緩衝材8,8A,8B,8C,8Dを配置すると共に、緩衝材8,8A,8B,8C,8Dに複数の線材32のループ部35を設けたから、落石等の衝撃力が加わると、線材32に引張力が働き、この引張力によりループ部35が縮小され、ループ部35内の緩衝材8,8A,8B,8C,8Dが変形することにより、エネルギーが吸収される。そして、共通する緩衝材8,8A,8B,8C,8Dに複数の線材32のループ部35を形成するから、使用する緩衝材8等の部品点数を削減できると共に、組立て作業性に優れたものとなる。
【0047】
尚、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の容易の範囲内において、種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、輪が1つの一重のループ部を示したが、ループ部は輪が2つ以上でもよい。さらに、実施例においては、支柱の間に設ける水平ロープ材が5段の例を示したが、その段数は適宜選定可能であり、例えば上下2段でもよい。
【0048】
【発明の効果】
請求項1の発明は、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に水平主線材を複数段に設けた衝撃吸収柵において、前記水平主線材にループ部を形成し、このループ部内に該ループ部の縮小により変形可能な金属製の中空筒体を配置すると共に、この中空筒体に複数の前記水平主線材の前記ループ部を設けたものであり、大きな衝撃力を効果的に吸収することができ、組立て作業性に優れた衝撃吸収柵を提供することができる。
【0049】
請求項2の発明は、前記支柱間を前記水平主線材に掛止した網体で遮蔽したものであり、大きな衝撃力を効果的に吸収することができ、組立て作業性に優れた衝撃吸収柵を提供することができる。
【0050】
請求項3の発明は、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間を網体で遮蔽した衝撃吸収柵において、前記網体の線材にループ部を形成し、このループ部内に該ループ部の縮小により変形可能な金属製の中空筒体を配置すると共に、この中空筒体に複数の前記線材の前記ループ部を設けたものであり、大きな衝撃力を効果的に吸収することができ、組立て作業性に優れた衝撃吸収柵を提供することができる。
【0051】
また、請求項4の発明は、前記中空筒体が接地脚部を有するものであり、大きな衝撃力を効果的に吸収することができ、組立て作業性に優れた衝撃吸収柵を提供することができる。
【0052】
また、請求項5の発明は、前記中空筒体に長さ方向の切欠き部を形成したものであり、大きな衝撃力を効果的に吸収することができ、組立て作業性に優れた衝撃吸収柵を提供することができる。
【0053】
また、請求項6の発明は、前記中空筒体内に天然ゴムや合成ゴムからなる円柱部材を設けたものであり、大きな衝撃力を効果的に吸収することができ、組立て作業性に優れた衝撃吸収柵を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1参考例を示す衝撃吸収柵の正面図である。
【図2】本発明の第1参考例を示す衝撃吸収柵の平断面図であり、図2(A)は設置状態を示し、図2(B)は落石を受けて緩衝材が変形した状態を示す。
【図3】本発明の第1参考例を示すループ部と緩衝材の斜視図である。
【図4】本発明の第2参考例を示す結束具の一部切欠き側面図である。
【図5】本発明の第1実施例を示すループ部と緩衝材の斜視図である。
【図6】本発明の第2実施例を示すループ部と緩衝材の斜視図である。
【図7】本発明の第3実施例を示すループ部と緩衝材の斜視図である。
【図8】本発明の第4実施例を示すループ部と緩衝材の斜視図である。
【図9】本発明の第5実施例を示す衝撃吸収柵の正面図である。
【図10】本発明の第5実施例を示す衝撃吸収柵の平断面図である。
【符号の説明】
2 支柱
3 水平ロープ材(水平主線材)
5 ループ部
8 緩衝材
8A 緩衝材
8B 緩衝材
8C 緩衝材
8D 緩衝材
11 網体
12 防護体
31 網体(防護面)
32 線材
35 ループ部
【発明の属する技術分野】
本発明は、雪崩・落石等における衝撃吸収柵に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、この種のものとして、特公平7−18134号公報の衝撃吸収柵では、所定の間隔で支柱を設け、各支柱の間に水平ロープ材を水平方向のスライドを許容した状態で係留し、水平ロープの両端は固定し、各支柱間を水平ロープ材掛止されたワイヤ製のネットで遮蔽し、各水平ロープ材の途上に水平ロープ材を重合させて形成した余長部と、余長部を一定の力で挟持する挟持具とにより、水平ロープ材に所定張力以上の張力が作用したとき、水平ロープ材が一定の摩擦力を保持したまま余長部が伸長して張力を吸収する緩衝部を設け(公報特許請求の範囲)ており、衝撃吸収柵の網面に作用する衝撃力が緩衝部の設定摩擦抵抗を越えると、水平ロープ材の途上に形成した緩衝部が耐えられず、ロープ材と挟持具との摺動の間で摺動を開始し、大きな衝撃力を受けてもループの縮径により効果的にエネルギーを吸収することができる。
【0003】
また、特公平7−18134号公報には、雪崩・落石防止体と地山とを連結する支持用線材をループ状にして複数の線材が重なり合う重複部を形成し、その重複部を複数間隔をおいて設けられた締付部材により緊結し、前記支持用線材に加わる引張力によって前記ループ状部分の両側端が前記締付部材に係止しかつ締付部材が移動する(公報特許請求の範囲)ものがある。
【0004】
また、特許第2503929号公報の衝撃吸収柵では、ガイドロープの他端部相互を重ね合わせて重複部を形成し、この重複部を複数間隔を置いて設けられた締付部材により緊結すると共に、前記締付部材に係止可能な端末突部を前記ガードロープの他端部の端部に設け、前記ガードロープに加わる引張力によって前記重複部の他端部相互が摩擦摺動するように構成(公報特許請求の範囲)している。
【0005】
さらに、特開平10−88527号公報には、支柱間に張り渡された保持ロープの中途に、同保持ロープに及んでくる衝撃エネルギーを吸収するためのブレーキ装置が設けてあり、このブレーキ装置が、重ね合わされた両端部を緊締部材によって固定したループ管を有しており、当該保持ロープがこのループ管内を通り、他方端部の管口からでて延びて(公報特許請求の範囲中請求項5)おり、緊締部でのループ管重畳部の摩擦及びループ管と緊締部材との間の摩擦によりエネルギー吸収が行われる。
【0006】
このように上記4者の衝撃吸収柵等では、いずれも衝撃吸収力を摩擦力により吸収するようにしている。
【0007】
一方、上記特開平10−88527号公報では、網状体が多数のリング部材を、それぞれ隣り合うリング部材の内周側が接触するように相互に連結することによって構成されて(公報特許請求の範囲中請求項1)おり、落石による衝撃を受けると、各リング部材が他のリング部材との係合箇所で外方に引張られ、例えば係合箇所が周全体で4箇所であれば、リング部材は矩形に変形し、このようにリング部材を変形させる力が衝撃エネルギーとなり、リング部材の材質、構成線材の太さ、リング部材の直径を適宜選択することにより、吸収すべきエネルギーの大きさに簡単に対応させることができる(公報第0007段)。
【0008】
そして、上記摩擦力により衝撃力を吸収する構造、及び上記リング部材の変形より衝撃エネルギーを吸収するものでも、いずれも衝撃吸収能力には限界がある。
【0009】
このような従来技術の問題を解消し、衝撃吸収能力の向上を可能にしたものとして、特開平12−45232号公報には、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に水平主線材を設け、前記支柱間を前記水平主線材に掛止した網体で遮蔽した衝撃吸収柵において、前記水平主線材にループ部を形成し、このループ部内に弾性を有する緩衝材を配置した衝撃吸収柵があり、この衝撃吸収柵に落石等の衝撃力が加わると、水平主線材に引張力が働き、この引張力によりループ部が縮小され、ループ部内の緩衝材が弾性変形と塑性変形とを起こし、エネルギーを吸収することができる。
【0010】
ところで、上記衝撃吸収柵では、複数段の水平主線材にそれぞれループ部により緩衝材を設けるから、必要とするループ部の数だけ緩衝材を用意し、個々に緩衝材を取付ける必要がある。このように緩衝材の部品数が多くなると、現場での部品管理と取付け作業が煩雑になることが予想される。
【0011】
そこで、本発明は、大きな衝撃力を効果的に吸収することができ、組立て作業性に優れた衝撃吸収柵を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に水平主線材を複数段に設けた衝撃吸収柵において、前記水平主線材にループ部を形成し、このループ部内に該ループ部の縮小により変形可能な金属製の中空筒体を配置すると共に、この中空筒体に複数の前記水平主線材の前記ループ部を設けたものである。
【0013】
この請求項1の構成によれば、落石等の衝撃力が加わると、水平主線材に引張力が働き、この引張力によりループ部が縮小され、ループ部内の金属製の中空筒体が絞られて潰れるように変形することにより、エネルギーが吸収される。そして、共通する中空筒体に複数の水平主線材のループ部を形成するから、使用する中空筒体等の部品点数を削減できると共に、組立て作業性に優れたものとなる。
【0014】
請求項2の発明は、前記支柱間を前記水平主線材に掛止した網体で遮蔽したものである。
【0015】
この請求項2の構成によれば、網体が落石等を受けると、その衝撃力により水平主線材に引張力が加わる。
【0016】
請求項3の発明は、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間を網体で遮蔽した衝撃吸収柵において、前記網体の線材にループ部を形成し、このループ部内に該ループ部の縮小により変形可能な金属製の中空筒体を配置すると共に、この中空筒体に複数の前記線材の前記ループ部を設けたものである。
【0017】
この請求項3の構成によれば、落石等の衝撃力が加わると、線材に引張力が働き、この引張力によりループ部が縮小され、ループ部内の金属製の中空筒体が絞られて潰れるように変形することにより、エネルギーが吸収される。そして、共通する中空筒体に複数の水平主線材のループ部を形成するから、使用する中空筒体等の部品点数を削減できると共に、組立て作業性に優れたものとなる。
【0018】
また、請求項4の発明は、前記中空筒体が接地脚部を有するものである。
【0019】
この請求項4の構成によれば、接地脚部が接地することにより、線材に金属製の中空筒体の自重による荷重が加わることがない。
【0020】
また、請求項5の発明は、前記中空筒体に長さ方向の切欠き部を形成したものである。
【0021】
この請求項5の構成によれば、落石等の衝撃力が加わると、水平主線材に引張力が働き、この引張力によりループ部が縮小され、ループ部内の金属製の中空筒体が絞られて潰れるように変形することにより、エネルギーが吸収される。この場合、切欠き部を設けることにより初め中空筒体の直径が縮小するように変形し、さらに、引張力が加わると、中空筒体が潰れるように変形することにより、エネルギーを吸収することができる。
【0022】
また、請求項6の発明は、前記中空筒体内に天然ゴムや合成ゴムからなる円柱部材を設けたものである。
【0023】
この請求項6の構成によれば、落石等の衝撃力が加わると、水平主線材に引張力が働き、この引張力によりループ部が縮小され、ループ部内の金属製の中空筒体と天然ゴムや合成ゴムからなる円柱部材が絞られて潰れるように変形することにより、エネルギーが吸収される。この場合、中空筒体と円柱部材とを組み合わせることにより、大きな衝撃を吸収することができる。
【0024】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。図1〜図3は本発明の第1参考例を示し、同図に示すように、衝撃吸収柵である落石防護柵は、斜面あるいは斜面に並んでコンクリート基礎1を設け、このコンクリート基礎1に複数の支柱2…を立設する。前記支柱2は、H型鋼,コンクリート柱,鋼管あるいはコンクリート充填鋼管などからなり、この例では鋼管を用い、その下端を前記コンクリート基礎1に固着している。前記支柱2間には水平主線材たる水平ロープ材3,3が上下段に設けられ、この水平ロープ材3を係止する係止部4が前記支柱2の前面に設けられ、この係止部4は、水平ロープ材3を係止する係止用フックなどにより構成される。また、前記水平ロープ材3の両端は、それぞれ前記支柱2や他の部材に固定されている。
【0025】
図1〜図3に示すように、前記水平ロープ材3には、輪状をなすループ部5を形成して部分的に重なる重合部6を形成し、この重合部6を案内部材たる結束具7により束ね、この結束具7は輪状をなし、内部において重合部6のスライドを許容するものである。そして、複数段の水平ロープ材3には、支柱2,2間の同一位置に前記ループ部5が形成され、それら複数段のループ部5内に緩衝材8を配置し、このループ部5及び緩衝材8は、支柱2と同様に水平ロープ材3の後方に設けられる。また、この例の緩衝材8は基礎1上の高さが支柱2とほぼ等しく、その緩衝材8の下端は、前記基礎1の上に載置する接地脚部9になっており、この接地脚部9は基礎1に固定されない。
【0026】
前記緩衝材8は、前記ループ部5の内形状に対応して略円柱形状を成している。この例の緩衝材8は、天然ゴムやシリコーンゴム等の合成ゴムなどからなる円柱部材21からなる。
【0027】
また、図1及び図2に示すように、前記支柱2間には、該支柱2間を遮蔽する防護面たる網体11が設けられており、この網体11は前記水平ロープ材3に掛止され、前記網体11と前記支柱2により防護体12を構成している。
【0028】
このように支柱2,2に柱状の緩衝材8を配置し、1つの緩衝材8に複数段の水平ロープ材3を巻き付けてループ部5を形成するから、現場で管理する部品点数が少なく済み、組立て作業も容易となる。また、現場搬入前に、予め複数段の水平ロープ材3と緩衝材8とを組立ててユニット化した場合でも、現場での扱いが容易で組立て作業性に優れたものとなる。
【0029】
そして、図2(A)に示すように、網体11に落石等により衝撃力が加わると、水平ロープ材3に引張力が発生し、ループ部5が縮小し、ループ部5内の弾性を有する緩衝材8が、ループ部5に締付けられて弾性変形し、この弾性変形により衝撃力のエネルギーを吸収し、さらに締付けられると塑性変形し、この塑性変形により衝撃力のエネルギーを吸収し、最後に緩衝材8が破断し、この破断により衝撃力のエネルギーを吸収する。尚、ループ部5が縮小しても、その内部には弾性体等からなる緩衝材8が配置されているから、ループ部5を構成する水平ロープ材3が損傷することがない。
【0030】
このように本参考例では、所定の間隔で複数の支柱2,2を設け、支柱2,2間に水平主線材たる水平ロープ材3を複数段に設けた衝撃吸収柵において、水平ロープ材3にループ部5を形成し、このループ部5内に該ループ部5の縮小により変形可能な緩衝材8を配置すると共に、この緩衝材8に複数の水平ロープ材3のループ部5を設けたから、落石等の衝撃力が加わると、水平ロープ材3に引張力が働き、この引張力によりループ部5が縮小され、ループ部5内の緩衝材8が変形することにより、エネルギーが吸収される。そして、共通する緩衝材8に複数の水平ロープ材3のループ部5を形成するから、使用する緩衝材8等の部品点数を削減できると共に、組立て作業性に優れたものとなる。
【0031】
また、このように本参考例では、支柱2,2間を水平主線材たる水平ロープ材3に掛止した網体11で遮蔽したから、網体11が落石等を受けると、その衝撃力により水平ロープ材3に引張力が加わり、ループ部5内の緩衝材8が変形することにより、エネルギーを吸収することができる。
【0032】
さらに、このように本参考例では、緩衝材8が接地脚部9を有するから、接地脚部9が接地することにより、水平ロープ材3に緩衝材8の自重による荷重が加わることがない。したがって、緩衝材8を取り付けることにより、通常時、水平ロープ材3に負荷が加わることがなく、長期に渡って水平ロープ材3の引張強さなどの性能を保持することができる。
【0033】
また、参考例上の効果として、緩衝材8は、ループ部5の縮小により破断するから、ループ部5内の緩衝材8が変形した後、破断することにより、衝撃エネルギーの吸収効果が高まる。さらに、複数段の水平ロープ材3にループ部5を形成し、これらループ部5内に緩衝材8を配置し、ループ部5により緩衝材8が長さ方向(上下方向)に移動しないように該緩衝材8を締め付けたから、緩衝材8が複数段の水平ロープ材3の間隔保持材となる。
【0034】
図4は本発明の第2参考例を示し、上記第1参考例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、前記結束具の変形例を示し、この例の結束具7Aは、図4に示すように、Uボルト111の端部を止め板112に挿通し、該端部にナット113を螺合するものであり、ナット113の螺合程度を調整して重合部6を締付ける。尚、落石等の衝撃力により水平ロープ材3に張力が加わった場合に、前記重合部6のスライドを許容する程度に前記ナット113を締付ける。
【0035】
したがって、ループ部5が縮小する際に、重合部6の水平ロープ材3同士及び重合部6と結束具7Aとの間で摩擦が生じ、この摩擦により衝撃力のエネルギーの一部を吸収することもできる。
【0036】
図5は本発明の第1実施例を示し、上記各参考例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例の緩衝材8Aは、鉄やアルミニウムなどの金属製からなる中空筒体22からなる。
【0037】
したがって、落石等の衝撃力が加わると、水平ロープ材3に引張力が働き、この引張力によりループ部5が縮小され、ループ部5内の緩衝材8Aを構成する中空筒体22が絞られて潰れるように変形することにより、エネルギーが吸収される。
【0038】
図6は本発明の第2実施例を示し、上記各参考例及び第1実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例の緩衝材8Bは、鉄やアルミニウムなどの金属製からなる中空筒体22であって、該中空筒体22に長さ方向の切欠き部23を形成してなり、この切欠き部23により前記中空筒体22が周方向に縮小するように弾性変形可能となる。
【0039】
したがって、落石等の衝撃力が加わると、水平ロープ材3に引張力が働き、この引張力によりループ部5が縮小され、ループ部5内の緩衝材8Bを構成する中空筒体22が絞られて潰れるように変形することにより、エネルギーが吸収される。この場合、切欠き部23を設けることにより初め中空筒体22の直径が縮小するように変形し、さらに、引張力が加わると、中空筒体22が潰れるように変形することにより、エネルギーを吸収することができる。
【0040】
図7は本発明の第3実施例を示し、上記各参考例及び各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例の緩衝材8Cは、前記中空筒体22内に前記円柱部材21を設けてなる。
【0041】
したがって、落石等の衝撃力が加わると、水平ロープ材3に引張力が働き、この引張力によりループ部5が縮小され、ループ部5内の緩衝材8Cを構成する中空筒体22と円柱部材21が絞られて潰れるように変形することにより、エネルギーが吸収される。この場合、中空筒体22と円柱部材21とを組み合わせることにより、大きな衝撃を吸収することができる。
【0042】
図8は本発明の第4実施例を示し、上記各参考例及び各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例の緩衝材8Dは、切欠き部前記中空筒体22内に前記円柱部材21を設けてなる。
【0043】
したがって、落石等の衝撃力が加わると、水平ロープ材3に引張力が働き、この引張力によりループ部5が縮小され、ループ部5内の緩衝材8Dを構成する中空筒体22と円柱部材21が絞られて潰れるように変形することにより、エネルギーが吸収される。この場合、中空筒体22と円柱部材21とを組み合わせることにより、大きな衝撃を吸収することができる。
【0044】
図9及び図10は本発明の第5実施例を示し、上記各参考例及び各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、防護面たる網体31は、一側方向たる横方向の線材32と、この線材32と交差する他側方向たる縦方向の線材33とを組み合わせて複数の網目34を有し、横方向の前記線材32には、輪状をなすループ部35を形成して部分的に重なる重合部36を形成し、この重合部36を案内部材たる前記結束具7,7により束ね、この結束具7は輪状をなし、内部において重合部36のスライドを許容するものである。尚、隣合う支柱2,2間において、横方向の線材32の3箇所にループ部35を形成し、複数段の線材32,32…にループ部35,35…を形成すると共に、それらループ部35,35…内に前記緩衝材8,8A,8B,8C,8Dのいずれかを配置している。また、前記ループ部35及び緩衝材8,8A,8B,8C,8Dは、網体31の前面に設けられる。尚、結束具として、第2参考例で示した結束具7Aを用いることもできる。
【0045】
そして、網体31に落石等により衝撃力が加わり、線材32に引張力が加わると、ループ部35が縮小し、ループ部35内の緩衝材8,8A,8B,8C,8Dが、ループ部35に締付けられて変形し、この変形により衝撃力のエネルギーを吸収することができる。
【0046】
このように本実施例では、所定の間隔で複数の支柱2,2を設け、支柱2,2間を網体31で遮蔽した衝撃吸収柵において、網体31の線材32にループ部35を形成し、このループ部35内に弾性を有する緩衝材8,8A,8B,8C,8Dを配置すると共に、緩衝材8,8A,8B,8C,8Dに複数の線材32のループ部35を設けたから、落石等の衝撃力が加わると、線材32に引張力が働き、この引張力によりループ部35が縮小され、ループ部35内の緩衝材8,8A,8B,8C,8Dが変形することにより、エネルギーが吸収される。そして、共通する緩衝材8,8A,8B,8C,8Dに複数の線材32のループ部35を形成するから、使用する緩衝材8等の部品点数を削減できると共に、組立て作業性に優れたものとなる。
【0047】
尚、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の容易の範囲内において、種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、輪が1つの一重のループ部を示したが、ループ部は輪が2つ以上でもよい。さらに、実施例においては、支柱の間に設ける水平ロープ材が5段の例を示したが、その段数は適宜選定可能であり、例えば上下2段でもよい。
【0048】
【発明の効果】
請求項1の発明は、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に水平主線材を複数段に設けた衝撃吸収柵において、前記水平主線材にループ部を形成し、このループ部内に該ループ部の縮小により変形可能な金属製の中空筒体を配置すると共に、この中空筒体に複数の前記水平主線材の前記ループ部を設けたものであり、大きな衝撃力を効果的に吸収することができ、組立て作業性に優れた衝撃吸収柵を提供することができる。
【0049】
請求項2の発明は、前記支柱間を前記水平主線材に掛止した網体で遮蔽したものであり、大きな衝撃力を効果的に吸収することができ、組立て作業性に優れた衝撃吸収柵を提供することができる。
【0050】
請求項3の発明は、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間を網体で遮蔽した衝撃吸収柵において、前記網体の線材にループ部を形成し、このループ部内に該ループ部の縮小により変形可能な金属製の中空筒体を配置すると共に、この中空筒体に複数の前記線材の前記ループ部を設けたものであり、大きな衝撃力を効果的に吸収することができ、組立て作業性に優れた衝撃吸収柵を提供することができる。
【0051】
また、請求項4の発明は、前記中空筒体が接地脚部を有するものであり、大きな衝撃力を効果的に吸収することができ、組立て作業性に優れた衝撃吸収柵を提供することができる。
【0052】
また、請求項5の発明は、前記中空筒体に長さ方向の切欠き部を形成したものであり、大きな衝撃力を効果的に吸収することができ、組立て作業性に優れた衝撃吸収柵を提供することができる。
【0053】
また、請求項6の発明は、前記中空筒体内に天然ゴムや合成ゴムからなる円柱部材を設けたものであり、大きな衝撃力を効果的に吸収することができ、組立て作業性に優れた衝撃吸収柵を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1参考例を示す衝撃吸収柵の正面図である。
【図2】本発明の第1参考例を示す衝撃吸収柵の平断面図であり、図2(A)は設置状態を示し、図2(B)は落石を受けて緩衝材が変形した状態を示す。
【図3】本発明の第1参考例を示すループ部と緩衝材の斜視図である。
【図4】本発明の第2参考例を示す結束具の一部切欠き側面図である。
【図5】本発明の第1実施例を示すループ部と緩衝材の斜視図である。
【図6】本発明の第2実施例を示すループ部と緩衝材の斜視図である。
【図7】本発明の第3実施例を示すループ部と緩衝材の斜視図である。
【図8】本発明の第4実施例を示すループ部と緩衝材の斜視図である。
【図9】本発明の第5実施例を示す衝撃吸収柵の正面図である。
【図10】本発明の第5実施例を示す衝撃吸収柵の平断面図である。
【符号の説明】
2 支柱
3 水平ロープ材(水平主線材)
5 ループ部
8 緩衝材
8A 緩衝材
8B 緩衝材
8C 緩衝材
8D 緩衝材
11 網体
12 防護体
31 網体(防護面)
32 線材
35 ループ部
Claims (6)
- 所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に水平主線材を複数段に設けた衝撃吸収柵において、前記水平主線材にループ部を形成し、このループ部内に該ループ部の縮小により変形可能な金属製の中空筒体を配置すると共に、この中空筒体に複数の前記水平主線材の前記ループ部を設けたことを特徴とする衝撃吸収柵。
- 前記支柱間を前記水平主線材に掛止した網体で遮蔽したことを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収柵。
- 所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間を網体で遮蔽した衝撃吸収柵において、前記網体の線材にループ部を形成し、このループ部内に該ループ部の縮小により変形可能な金属製の中空筒体を配置すると共に、この中空筒体に複数の前記線材の前記ループ部を設けたことを特徴とする衝撃吸収柵。
- 前記中空筒体が接地脚部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝撃吸収柵。
- 前記中空筒体に長さ方向の切欠き部を形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の衝撃吸収柵。
- 前記中空筒体内に天然ゴムや合成ゴムからなる円柱部材を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の衝撃吸収柵。
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