JP2023082332A - リキッド印刷インキ、印刷物及び積層体 - Google Patents

リキッド印刷インキ、印刷物及び積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】優れたガスバリア性を有し、且つ、残留溶剤を低減可能なリキッド印刷インキを提供する。【解決手段】本発明は、脂肪族ポリカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種と、ポリオールを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオールを反応原料とするポリウレタン樹脂と、芳香族イソシアネート化合物と、着色剤を少なくとも含有するリキッド印刷インキ、並びに該リキッド印刷インキを用いた印刷物及び積層体である。【選択図】なし

Description

本発明は、軟包装用ラミネートグラビアインキやフレキソインキとして使用可能なリキッド印刷インキに関し、特にガスバリア性を有するリキッド印刷インキ、および印刷物に関する。
従来、食品向けや産業資材向けに使用される包装材料において、内容物を保護するためのガスや水蒸気バリア性を満たす方法として最も一般的な方法は、エチレン-ビニルアルコール共重合体やポリビニルアルコール等のガスバリア性を有するフィルムを用いることであるが、これらの重合体からなる包装材料は、高湿度条件下において、その親水性に起因して酸素バリア性が大きく低下する問題や、湿度や熱水に対する耐性が劣る問題があった。
これら湿度条件等でも一定のバリア性を発揮させるために、包装材料用基材であるプラスチックフィルム、金属や金属酸化物を蒸着させた蒸着フィルム、あるいは金属箔等をラミネートする際に使用する接着剤にガスバリア機能を持たせる方法や(例えば特許文献1参照)、被包装物の内容表示や装飾等の目的で使用する印刷インキそのものにガスバリア機能を持たせる方法が知られている(例えば特許文献2参照)。
このうち、印刷インキは前述の通り、主目的が被包装物の内容表示や装飾等であり、ガスバリア性の他に諸々の印刷適性や、インキ塗膜中に残留溶剤の少ないものが求められる。残留溶剤は、耐ブロッキング性の悪化や臭気が残る等の問題の原因となることが知られており、特に、プラスチック基材が他のフィルム等と共にラミネートされた包材の場合に残留溶剤が多くなりやすい。近年は、環境問題や人体安全性に対する意識の高まりから、インキにおいても残留溶剤を低減することが求められている。
特開2012-57033号公報 WO2018116903
しかしながら、近年は包装材に求められる要求特性も年々高まっており、中でも、食品等の包装の長期保存を可能とするガスバリア性に対して更なる向上が求められている。
また、特許文献2に記載のようなガスバリア機能の高いインキにおいては、隠ぺい性がより高いものとなることから、残留溶剤の影響が大きいことが懸念される。しかし、ガスバリア性の高いインキにおいて残留溶剤を低減させる方法について、具体的な検討がなされていない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、優れたガスバリア性を有し、且つ、残留溶剤を低減可能なリキッド印刷インキを提供することにある。
本発明者らは、ガスバリア性を有する樹脂について検討を重ねた結果、特定の樹脂と硬化剤を用いることにより、本発明の課題を解決できることを見出した。
即ち本発明は、脂肪族ポリカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種と、ポリオールを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオールを反応原料とするポリウレタン樹脂と、芳香族イソシアネート化合物と、着色剤を少なくとも含有するリキッド印刷インキを提供する。
また本発明は、脂肪族ポリカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種と、ポリオールを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオールを反応原料とするポリウレタン樹脂と、芳香族イソシアネート化合物と、着色剤を少なくとも含有するリキッド印刷インキを印刷してなる印刷物を提供する。
また本発明は、脂肪族ポリカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種と、ポリオールを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオールを反応原料とするポリウレタン樹脂と、芳香族イソシアネート化合物と、着色剤を少なくとも含有するリキッド印刷インキにより形成された印刷層を有する積層体を提供する。
本発明のリキッド印刷インキは、優れたガスバリア性を有し、且つ、残留溶剤を低減可能なリキッド印刷インキを提供する。そのため、特定のガスバリア性フィルムを使用せずに包装材料に汎用の基材フィルムを使用してガスバリア性を有する包装材料を提供することができる。また、残留溶剤の低減が可能であるため、環境や人体への安全性にも優れる。
(言葉の定義)
本発明においてリキッド印刷インキとは、グラビア印刷インキまたはフレキソ印刷インキ等の、印刷版を使用する印刷方法に適用されるリキッド状のインキを指し、好ましくはグラビア印刷インキまたはフレキソ印刷インキである。また本発明のリキッド印刷インキは活性エネルギー硬化性の成分を含んでおらず、即ち活性エネルギー線非反応性のリキッド印刷インキである。
また、本発明において「インキ」とは全て「印刷インキ」を示す。また「部」とは全て「質量部」を示す。
<リキッド印刷インキ>
本発明のリキッド印刷インキは、脂肪族ポリカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種と、ポリオールを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオールを反応原料とするポリウレタン樹脂と、芳香族イソシアネート化合物と、着色剤を少なくとも含有する
(ポリウレタン樹脂)
本発明で使用するポリウレタン樹脂は、ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物との反応物であり、ポリエステルポリオールは脂肪族ポリカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種と、ポリオールを脱水縮合または重合させて得られるものを用いる。
ポリオールとしては、一般的なポリウレタン樹脂で使用される前記水酸基を2個以上有する化合物である汎用のポリオールを用いることができ、1種または2種以上を併用してもよい。具体的なポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等のグリコール;2-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2-イソプロピル-1,4-ブタンジオール、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、3,5-ヘプタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール等の分岐構造を有するグリコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の低分子ポリオール類(1)又はこれらを含む重合体あるいは共重合体、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類(2);前記低分子ポリオール類と、石油由来のセバシン酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類(3);環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類、を開環重合して得られるポリエステルポリオール類(4);前記低分子ポリオール類などと、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られるポリカーボネートポリオール類(5);ポリブタジエングリコール類(6);ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類(7);1分子中に1個以上のヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られるアクリルポリオール(8)などが挙げられる。
中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール等のグリコール類、グリセリンから選ばれる1種又は2種以上を用いることがバリア性向上等のために好ましい。
脂肪族ポリカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸から選ばれる少なくとも1種、及びこれらの酸の無水物を用いることができる。これらの脂肪族ポリカルボン酸を反応原料とすることにより、例えばテレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族多価カルボン酸を反応原料としたポリウレタン樹脂に比べて、残留溶剤を低減することができる。
中でも、炭素原子数が6以下かつカルボキシル基を2つ以上有するポリカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、及びこれらの酸の無水物を用いることが好ましい。
前記脂肪族ポリカルボン酸と併用して、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸を併用してもよい。また、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸を併用してもよい。これらは単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。また、これらの酸無水物も使用することができる。中でも、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、を併用することが好ましい。
前記脂肪族ポリカルボン酸の他に他の多価カルボン酸を併用する場合、ポリウレタン樹脂において、多価カルボン酸全成分に対する前記脂肪族ポリカルボン酸又はその無水物の含有率は、50~100質量%であることが好ましい。この範囲であれば、残留溶媒の低減効果を発揮できる。中でも70~100質量%がなお好ましい。
前記脂肪族ポリカルボン酸成分又はその無水物とポリオールの脱水縮合または重縮合反応は、公知の方法で行うことができる。得られるポリエステルポリオールの数平均分子量としては、500~8,000の範囲であることが好ましく、1000~7,000の範囲であることがより好ましく、1500~6,000の範囲であることが更に好ましい。
尚、本発明において、数平均及び重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
〔標準ポリスチレン〕
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
本発明のリキッドインキ組成物におけるポリウレタン樹脂に使用されるイソシアネート化合物としては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知のイソシアネート化合物を用いることができる。イソシアネート化合物として具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の分子構造内に芳香族構造を持つポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートのNCO基の一部をカルボジイミドで変性した化合物;これらのポリイソシアネートに由来するアルファネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-(イソシアナートメチル)シクロヘキサン等の分子構造内に脂環式構造を持つポリイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の直鎖状脂肪族ポリイソシアネート、及びこのアルファネート化合物;これらのポリイソシアネートのイソシアヌレート体;これらのポリイソシアネートに由来するアロファネート体;これらのポリイソシアネートに由来するビゥレット体;トリメチロールプロパン変性したアダクト体;前記した各種のポリイソシアネートとポリオール成分との反応生成物であるポリイソシアネートなどが挙げられる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、適度な柔軟性が得られる点から、脂肪族ポリイソシアネート及び/又は脂環式ポリイソシアネートを用いることが好ましく、更に接着強度が一層向上できる点から、イソホロンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネートを用いることがより好ましい。
また、前記非晶性ポリエステルウレタン樹脂に使用される鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミンなどの他、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン化合物も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
また、反応停止を目的とした末端封鎖剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、ジーnーブチルアミン等のジアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にポリウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L-アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
前記ポリエステルポリオール樹脂と前記イソシアネート化合物、アミン化合物との反応は、公知の方法で行うことができる。具体的には、例えば、ポリエステルポリオールおよび併用ポリオールとジイソシアネート化合物とをイソシアネート基が過剰となる割合で反応させ、末端イソシアネート基のプレポリマーを得、得られるプレポリマーを、適当な溶剤中、すなわち、リキッドインキ用の溶剤として通常用いられる、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノールなどのアルコール系溶剤;トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;あるいはこれらの混合溶剤の中で、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤と反応させる二段法、あるいはポリエステルポリオールおよび併用ポリオール、ジイソシアネート化合物、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤を上記のうち適切な溶剤中で一度に反応させる一段法により製造される。これらの方法のなかでも、均一なポリウレタン樹脂を得るには、二段法によることが好ましい。また、ポリウレタン樹脂を二段法で製造する場合、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤のアミノ基の合計(当量比)が1/0.9~1.3の割合になるように反応させることが好ましい。イソシアネート基とアミノ基との当量比が1/1.3より小さいときは、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤が未反応のまま残存し、ポリウレタン樹脂が黄変したり、印刷後臭気が発生したりする場合がある。
このようにして得られるポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、10,000~100,000の範囲内とすることが好ましい。ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が10,000以上であれば、得られるリキッド印刷インキの耐ブロッキング性、印刷被膜の強度や耐油性などが低下し難く、100,000以下であれば、得られるリキッド印刷インキの粘度が高くなり過ぎる事がなく、印刷被膜の光沢を保持し易い。なお、前記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、前記ポリエステルポリオールの数平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
ポリウレタン樹脂の重量平均分子量の下限値は、15,000以上であることがより好ましく、20.000以上であることがより好ましく、30,000以上であることがより好ましく、40,000以上であることが更に好ましい。ポリウレタン樹脂の重量平均分子量の上限値は、95,000以下であることが好ましく、90,000以下であることが好ましく、85,000以下であることが更に好ましい。
本発明のリキッドインキ組成物で使用するポリウレタン樹脂の組成物全量に対する含有量は、インキの被印刷体への接着性を十分にする観点から組成物全量に対して4質量%以上、適度なインキ粘度やインキ製造時・印刷時の作業効率の観点から25質量%以下が好ましく、更には6~15質量%の範囲が好ましい。
(併用する樹脂)
前記ポリウレタン樹脂は本発明のリキッド印刷インキにおいてバインダーとして使用するが、本発明の効果を損なわない範囲において、公知のバインダー樹脂を併用してもよい。例えば、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂(塩素化ポリプロピレン樹脂)、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、繊維素系樹脂(セルロース樹脂)、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂、あるいは、上述した「脂肪族ポリカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種と、ポリオールを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオールを反応原料とするポリウレタン樹脂」以外のウレタン樹脂などを挙げることができる。併用樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。併用樹脂の含有量は、インキ成分の不揮発分の総重量に対して1~25重量%が好ましく、更に好ましくは2~15重量%である。更にガスバリア性を向上または悪化させないバインダー樹脂として、有機溶剤系のリキッド印刷インキでは塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂が好ましく、水系のリキッド印刷インキではチレンビニルアルコール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂が好ましい。
特に、本発明のリキッド印刷インキを、プラスチックフィルム等のいわゆる軟包装材料用の印刷インキに適用する場合は、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の併用が好ましい。
(塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂)
前記水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂としては、水酸基価が50~200mgKOH/gであり、かつ前記共重合体樹脂中の塩化ビニル成分の含有比率が80~95重量%であるが好ましい。
本発明に用いられる水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、二種類の方法で得ることができる。一つは塩化ビニルモノマー、酢酸ビニルモノマーおよびビニルアルコールを適当な割合で共重合して得られる。もう一つは、塩化ビニルと酢酸ビニルを共重合した後、酢酸ビニルを一部ケン化することにより得られる。水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、塩化ビニル、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのモノマー比率により樹脂被膜の性質や樹脂溶解挙動が決定される。即ち、塩化ビニルは樹脂被膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルは接着性や柔軟性を付与し、ビニルアルコールは極性溶剤への良好な溶解性を付与する。
軟包装用材料用の印刷インキとして使用する場合、接着性、耐ブロッキング性、印刷適性等の性能が要求されることから、例えば、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂100重量部に対し、原料である塩化ビニルは80~95重量部が好ましい。またビニルアルコールから得られる水酸基価は50~200mgKOH/gが好ましい。
本発明のリキッド印刷インキで使用するポリウレタン樹脂のインキにおける含有量は、インキの被印刷体への接着性を十分にする観点からインキ成分の不揮発分の総重量に対して4重量%以上、適度なインキ粘度やインキ製造時・印刷時の作業効率の観点から60重量%以下が好ましく、更には10~55重量%の範囲が好ましい。
また、本発明のリキッド印刷インキで使用する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂のインキにおける含有量は、インキ成分の不揮発分の総重量に対して0.1~30重量%が好ましく、より好ましく1~15重量%の範囲が好ましい。
また、本発明のリキッド印刷インキで使用する前記ポリウレタン樹脂と前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂との比率は、前記ポリウレタン樹脂:前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂=100:2~100:30の範囲となるように配合するのが好ましく、100:5~100:20の範囲がなお好ましく、100:6~100:15の範囲が最も好ましい。
(芳香族イソシアネート化合物)
本発明のリキッド印刷インキは、硬化剤として芳香族イソシアネート化合物を含有するもので、前記ポリウレタン樹脂及び顔料等を含有する顔料分散体に、印刷時に芳香族イソシアネート化合物を硬化剤として添加、混合して使用する、所謂2液型のリキッド印刷インキである。
本発明のリキッド印刷インキは、前記ポリウレタン樹脂と共に芳香族イソシアネート化合物を含有することにより、芳香族イソシアネート化合物が前記ポリウレタン樹脂が有する水酸基と反応し、3次元架橋構造を形成し、優れたガスバリア性に寄与する。
芳香族イソシアネート化合物は、芳香族環を分子内に有する2価以上のポリイソシアネート化合物が好ましい。
(芳香族環を分子内に有する2価以上のポリイソシアネート化合物)
芳香族環を分子内に有する2価以上のポリイソシアネート化合物としては、特に限定されず公知のものを使用することができる。例えばキシリレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、メチルフェニルエタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一種のジイソシアネートや、該ジイソシアネートと一価のアルコールとの反応生成物や2個の水酸基を有するアルコールとの反応生成物、カルボジイミド変性物等があげられる。
また3価以上のポリイソシアネート化合物としては、前記ジイソシアネートの過剰量を、多官能のアルコール体、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、などの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などとの反応生成物であるアダクト体が挙げられる。また、上記ジイソシアネートの多量体であるヌレート体等も好ましく使用することができる。
中でも、メタキシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートが好ましく、メタキシリレンジイソシアネート、または、これらのイソシアネート化合物の前記反応生成物や変性物、多量体が最も好ましい。
硬化剤としてのポリイソシアネート化合物は、前記芳香族イソシアネート化合物と共に、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物を併用してもよい。芳香族環を有しないポリイソシアネート化合物、特にアロファネート体の様なジイソシアネートを併用することにより、バリア性を維持しつつ、塗膜に柔軟性が付与され、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム、透明蒸着フィルム等の金属系基材に対する密着性の向上を図れる。
芳香族環を分子内に有する2価以上のポリイソシアネート化合物と共に、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物を併用する場合、芳香族環を分子内に有する2価以上のポリイソシアネート化合物と、芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物の混合比は、イソシアネート含有率換算で、3:1~10:1の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、4:1~9:1である。
芳香族環を分子内に有しないポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネート、水添メチルフェニルエタンジイソシアネート、水添ナフタレン-1,5-ジソシアナートから選ばれる少なくとも一種のジイソシアネートや、該ジイソシアネートと一価のアルコールとの反応生成物や2個の水酸基を有するアルコールとの反応生成物、カルボジイミド変性物等があげられる。
また3価以上のポリイソシアネート化合物としては、前記ジイソシアネートの過剰量を、多官能のアルコール体、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、などの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などとの反応生成物であるアダクト体が挙げられる。また、上記ジイソシアネートの多量体であるヌレート体等も好ましく使用することができる。
本発明のリキッドインキ組成物で使用する硬化剤としてのポリイソシアネート化合物の含有量は、組成物全量に対して1質量%以上15質量%以下が好ましく、更には3~10質量%の範囲が好ましい。
また、本発明のリキッドインキ組成物で使用する硬化剤としてのポリイソシアネート化合物の含有量は、ポリウレタン樹脂の固形分割合に対して20質量%以上95質量%以下の範囲が好ましく、30質量%以上90質量%以下の範囲が好ましい。
(着色剤)
本発明で使用する着色剤は、一般のインキ、塗料、および記録剤などに使用されている着色を目的とした有機、無機顔料や染料を挙げることができる。
有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系などの顔料が挙げられる。また、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。また未酸性処理顔料、酸性処理顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、リトボン、アンチモンホワイト、石膏などの白色無機顔料が挙げられる。無機顔料の中では酸化チタンの使用が特に好ましい。酸化チタンは白色を呈し、着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から好ましく、印刷性能の観点から該酸化チタンはシリカおよび/またはアルミナ処理を施されているものが好ましい。
白色以外の無機顔料としては、例えば、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、ジルコンが挙げられ、アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。
前記顔料は、リキッド印刷インキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキ総質量に対して1~60質量%、インキ中の固形分重量比では10~90質量%の割合で含まれることが好ましい。また、これらの顔料は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
着色剤、特に顔料を有機溶剤に安定に分散させるには、前記樹脂単独でも分散可能であるが、さらに顔料を安定に分散するため分散剤を併用することもできる。分散剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤を使用することができる。例えばポリエチレンイミンにポリエステル付加させた櫛型構造高分子化合物、あるいはα-オレフィンマレイン酸重合物のアルキルアミン誘導体などが挙げられる。具体的にはソルスパーズシリーズ(ZENECA)、アジスパーシリーズ(味の素)、ホモゲノールシリーズ(花王)などを挙げることができる。またBYKシリーズ(ビックケミー)、EFKAシリーズ(EFKA)なども適宜使用できる。分散剤は、インキの保存安定性の観点からインキ成分の不揮発分の総重量に対して0.05重量%以上、ラミネート適性の観点から5重量%以下でインキ中に含まれることが好ましく、さらに好ましくは、0.1~2重量%の範囲である。
(有機溶剤)
本発明で使用する有機溶剤としては、特に制限はないが、たとえばトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素系有機溶剤、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系の各種有機溶剤が挙げられる。また水混和性有機溶剤としてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロハキサノン等のケトン系、エチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル系の各種有機溶剤が挙げられる。これらを単独または2種以上を混合しても用いることができる。
尚、印刷時の作業衛生性と包装材料の有害性の両面から、酢酸エチル、酢酸プロピル、イソプロパノール、ノルマルプロパノールなどを使用し、トルエン等の芳香族溶剤やメチルエチルケトン等のケトン系溶剤を使用しない事がより好ましい。
また、乾燥調整のためにインキ全量の10質量%未満であればグリコールエーテル類を添加する事も出来る。
(その他の成分)
本発明のリキッド印刷インキは、その他本発明の効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、体質顔料、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、芳香剤、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、カップリング剤等が例示できる。
また、例えば、本発明のリキッド印刷インキには、より高いガスバリア機能を付与する目的で板状無機化合物を含有させても良い。板状無機化合物を併用した場合には形状が板状であることによりラミネート強度とバリア性が向上する特徴がある。本発明で使用される板状無機化合物としては、例えば含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト-蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト-タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム、ベーマイト、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。
層間の電荷はバリア性には直接大きく影響しないが、溶媒が有機溶剤の場合、樹脂に対する分散性が、イオン性無機化合物では大幅に劣り、添加量を増量すると印刷適性が課題となる(チキソ性となる)。これに対し、無電荷の場合は添加量を多くしても、印刷適性が確保できる。粒径に関しては1μm程度より大きい方がバリア性を発現しやすく、nmレベルでは良好なバリア性が得られない。粒径が大きすぎる場合はグラビア印刷等の場合、グラビア版へ板状無機化合物が入らない為、印刷適性が得られない。粒径は0.1~100μmが好ましい。更に好ましくは1~40μmである。本発明での平均粒径とは、ある板状無機化合物の粒度分布を光散乱式測定装置で測定した場合の出現頻度が最も高い粒径を意味する。
本発明で使用される板状無機化合物のアスペクト比はガス成分分子の迷路効果によるバリア能の向上のためには高い方が好ましい。具体的には3以上が好ましく、更に好ましくは10以上、最も好ましくは40以上である。また板状無機化合物の含有率は任意であるが50質量%以下であることが好ましい。50質量%を超えると印刷適性や外観が不十分になる可能性がある。
本発明のリキッド印刷インキは樹脂にバリア性を有する事が特徴である事より、着色剤を使用しない色濃度調整用のほぼ透明なメジウム、エキステンダーとしても使用できる。より高いブロッキング防止を目的として、無機顔料を使用することが好ましく、着色しない観点から、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、マイカ(雲母)が好ましい。また、バリア性を向上させる観点より前記、マイカ等の板状無機化合物がより好ましい。
無地が多い印刷物では前記メジウム、エキステンダーを基材全面に印刷することで包装材料にバリア性を付与する事ができる。
(インキの製造方法)
本発明のリキッド印刷インキは、樹脂、着色剤などを有機溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができる。具体的には、顔料等をポリウレタン樹脂により有機溶剤に分散させた顔料分散体を製造し、得られた顔料分散体に、芳香族イソシアネート化合物及び必要に応じて他の化合物などを配合することによりインキを製造することができる。得られた顔料分散体と芳香族イソシアネート化合物は、硬化の進行を防ぐために、印刷を行う直前に混合することが好ましい。
顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。
インキ中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
前記方法で製造されたインキ粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。尚、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えばポリウレタン樹脂、着色剤、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
本発明のインキの色相としては、使用する着色剤の種類に応じて、プロセス基本色として黄、紅、藍、墨、白の5色があり、プロセスガマット外色として赤(橙)、草(緑)、紫の3色がある。更に透明黄、牡丹、朱、茶、金、銀、パール、色濃度調整用のほぼ透明なメジウム(必要に応じて体質顔料を含む)などがベース色として準備される。ボイルレトルト用インキには顔料のマイグレーション性、耐熱性を考慮して適宜選定される。各色相のベースインキは、グラビア印刷に適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独でまたは混合されて各印刷ユニットに供給される。
(印刷物)
本発明の印刷物は、基材と、基材上に本発明のリキッド印刷インキの印刷層とを備える印刷物である。印刷物に用いる基材は特に限定されず、所望の用途に応じた樹脂フィルム、紙、合成紙、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用することができる。例えば食品包装用としてはフィルム状の基材を使用することができ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと称する場合がある)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系樹脂などの生分解性樹脂、ポリプロピレン(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)、ポリエチレン(LLDPE:低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)等のポリオレフィン、ポリイミド、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体等又はこれらの混合物等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられる。中でも、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンからなるフィルムが好適に使用できる。
また、フィルム基材として、バイオマス由来成分を含有する材料で形成させたフィルムを使用するのも好ましい。バイオマスフィルムは各社から販売されているほか、例えば、一般財団法人日本有機資源協会に記載のバイオマス認定商品一覧に挙げられるようなシートを使用することができる。
具体的によく知られているフィルムは、バイオマス由来のエチレングリコールを原料としたものである。バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。また、市販のバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。
あるいは、ISO16620またはASTMD6866で規定されたバイオマスプラスチック度で区別されたバイオマス原料を使用したものも流通している。大気中では1012個に1個の割合で放射性炭素14Cが存在し、この割合は大気中の二酸化炭素でも変わらないので、この二酸化炭素を光合成で固定化した植物の中でも、この割合は変わらない。このため、植物由来樹脂の炭素には放射性炭素14Cが含まれる。これに対し、化石燃料由来樹脂の炭素には放射性炭素14Cがほとんど含まれない。そこで、加速器質量分析器で樹脂中の放射性炭素14Cの濃度を測定することにより、樹脂中の植物由来樹脂の含有割合、すなわちバイオマスプラスチック度を求めることができる。ISO16620またはASTM D6866で規定されたバイオマスプラスチック度が80%以上、好ましくは90%以上であるバイオマスプラスチックである植物由来の低密度ポリエチレンとしては、例えば、Braskem社製の商品名「SBC818」「SPB608」「SBF0323HC」「STN7006」「SEB853」「SPB681」等が挙げられ、これらを原料として使用したフィルムを好適に使用することができる。
例えば、従来の石油系原料を使用したポリエチレンテレフタレートフィルムの代替として、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステル、バイオマスポリエチレンテレフタレート等を含有するフィルムが知られている。
バイオマスポリエステルのジカルボン酸単位は、化石燃料由来のジカルボン酸を使用する。ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、およびそれらの誘導体を制限なく使用することができる。
また、上記のジオール成分とジカルボン酸成分に加えて、2官能のオキシカルボン酸や、架橋構造を形成するために3官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン酸及び/又はその無水物並びに3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能化合物等の第3成分として共重合成分を加えた共重合ポリエステルであっても良い。
また、例えば、従来の石油系原料を使用したポリオレフィン系フィルムの代替として、バイオマス由来のエチレングリコールを原料とするポリエチレン系樹脂を含有するバイオマスポリエチレン系フィルム、バイオマスポリエチレン-ポリプロピレン系フィルム等のバイオマスポリオレフィン系フィルムも知られている。
ポリエチレン系樹脂は、原料の一部に前記バイオマス由来のエチレングリコールを使用する以外は特に限定されず、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とするエチレンとα-オレフィンとの共重合体(エチレン単位を90質量%以上含有するエチレン-α-オレフィン共重合体)などが挙げられ、これらを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を構成するα-オレフィンは特に限定されず、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン及び1-オクテンなどの炭素原子数4乃至8のα-オレフィンが挙げられる。低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂などの公知のポリエチレン樹脂を用いることができる。
その中でも、フィルム同士が擦れても、穴開きや破けなどの損傷を一段と生じにくくする観点から、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)(エチレンと1-ヘキセンとの共重合体、又はエチレンと1-オクテンとの共重合体)が好ましく、密度が0.910乃至0.925g/cmである直鎖状低密度ポリエチレン樹脂がより好ましい。
また、バイオマス原料であるデンプンや、ポリ乳酸を配合したフィルムやシートも知られている。これらは用途に応じて適宜選択し使用することができる。
バイオマスフィルムは、複数のバイオマスフィルムを積層させた積層体であってもよいし、従来の石油系フィルムとバイオマスフィルムとの積層体であってもよい。
これらの石油系フィルムやバイオマスフィルムは、アルミニウム等の金属、シリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層を積層したり、金属箔等を使用したり、ポリビニルアルコールやエチレン・ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン等のガスバリア層を含有するバリア性フィルムを併用したり、ポリビニルアルコールなどコート処理が施されていてもよい。このようなフィルムを用いることで、より、水蒸気、酸素、アルコール、不活性ガス、揮発性有機物(香り)等に対する高いバリア性を備えた積層体とすることができる。
また、これらのフィルムは未延伸フィルムであっても延伸処理を施されたものであってもよく、その製法も限定されるものではない。延伸処理方法としては、押出製膜法等で樹脂を溶融押出してシート状にした後、同時二軸延伸あるいは逐次二軸延伸を行うことが一般的である。また逐次二軸延伸の場合は、はじめに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。具体的には、ロール間の速度差を利用した縦延伸とテンターを用いた横延伸を組み合わせる方法が多く用いられる。
また、基材フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常は1~500μmの範囲であればよい。フィルム表面には、膜切れやはじき等の欠陥のない接着層が形成されるように、必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理等の各種表面処理を施してもよい。
紙としては、特に限定なく公知の紙基材を使用することができる。具体的には、木材パルプ等の製紙用天然繊維を用いて公知の抄紙機にて製造されるが、その抄紙条件は特に規定されるものではない。製紙用天然繊維としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻パルプ、亜麻パルプ等の非木材パルプ、およびそれらのパルプに化学変性を施したパルプ等が挙げられる。パルプの種類としては、硫酸塩蒸解法、酸性・中性・アルカリ性亜硫酸塩蒸解法、ソーダ塩蒸解法等による化学パルプ、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等を使用することができる。また、上質紙、クラフト紙、純白ロール紙、グラシンペーパー、パーチメント紙、マニラボール、白ボール、コート紙、アート紙、模造紙、裏打ち紙、含浸紙、ボール紙、板紙、薄紙、厚紙、ポリエチレンコート紙など、化粧品や飲料、医薬品、おもちゃ、機器等に用いられる各種市販の紙を用いることもできる。
印刷方法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷などの既知の印刷方式で印刷できるが、特にグラビア印刷方式で印刷することが好ましい。グラビア印刷に用いられるシリンダーは、彫刻タイプ、腐食タイプ等公知のものが用いられる。
上記の印刷方式、すなわち、印刷インキを一旦印刷版又は印刷パターンに密着・転写した後、インキのみを再度基材に密着させ、必要に応じてオーブンによる乾燥あるいは硬化させて定着させることにより印刷物を得ることができる。本発明のリキッド印刷インキを用いてグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式から形成される印刷インキの膜厚は、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下である。
本発明のリキッド印刷インキは、表刷り用インキ、裏刷り用インキ、あるいはラミネート用インキとして好ましく使用することができる。表刷り用インキとして使用する場合は、別途オーバープリントワニス層を設けることもできる。一方裏刷り用インキとして使用する場合は、別途アンカーコートワニス層を設けることもできる。
また、本発明の印刷物は、1層の印刷層のみならず、基材上に複数の印刷層を有していてもよい。例えば、プラスチックフィルムに少なくとも第一の印刷層と第二の印刷層とをこの順に有する積層体や、プラスチックフィルムに少なくとも第一の印刷層と第二の印刷層と第三の印刷層をこの順に有する積層体を作製することができる。これらの印刷層に、本発明のリキッド印刷インキを用いることができる。より具体的には、例えば着色剤を含有する印刷インキより形成された第一の印刷層と、着色剤として白色顔料を含有するリキッド印刷インキにより形成された第二の白印刷層、及び第三の白印刷層とをこの順に有する印刷物とすることができる。第一の印刷層は着色剤による絵柄を形成させる事ができ、白色顔料を含有するリキッド印刷インキにより形成された第二の白印刷層、及び第三の印刷層は、絵柄の背景として使用することができる。第二又は第三の印刷層をオーバープリントニスとする場合は、着色剤を含まなくてもよい。
(積層体)
本発明の積層体は、複数の基材を貼り合せて得られ、基材の少なくとも一つに本発明のリキッド印刷インキの印刷層を有する積層体である。基材は、接着剤により貼り合わせたり、押出しラミネーションにより積層することができる。基材については、上記印刷物で記載した基材と同様のものを用いることができる。
より具体的な積層体の構成としては、
(1)基材フィルム1/印刷層/接着層1/シーラントフィルム
(2)基材フィルム1/印刷層/接着層1/金属蒸着未延伸フィルム
(3)基材フィルム1/印刷層/接着層1/金属蒸着延伸フィルム
(4)透明蒸着延伸フィルム/印刷層/接着層1/シーラントフィルム
(5)基材フィルム1/印刷層/接着層1/基材フィルム2/接着層2/シーラントフィルム
(6)基材フィルム1/印刷層/接着層1/金属蒸着延伸フィルム/接着層2/シーラントフィルム
(7)基材フィルム1/印刷層/接着層1/透明蒸着延伸フィルム/接着層2/シーラントフィルム
(8)基材フィルム1/印刷層/接着層1/金属層/接着層2/シーラントフィルム
(9)基材フィルム1/印刷層/接着層1/基材フィルム2/接着層2/金属層/接着層3/シーラントフィルム
(10)基材フィルム1/印刷層/接着層1/金属層/接着層2/基材フィルム2/接着層3/シーラントフィルム
等が挙げられるがこれに限定されない。なおここで「印刷層」は本発明のリキッド印刷インキの印刷層である。また、上記構成(1)~(10)では基材フィルム1の接着層1側の面に印刷層を設ける構成を記載したが、基材フィルム1の接着層1と反対側の面(表面)に印刷層を設けてもよいし、基材フィルム2に印刷層を設けてもよい。
構成(1)に用いられる基材フィルム1としては、OPPフィルム、PETフィルム、ナイロンフィルム(以後Nyフィルムともいう)等が挙げられる。また、基材フィルム1としてガスバリア性や、後述する印刷層を設ける際のインキ受容性の向上等を目的としたコーティングが施されたものを用いてもよい。コーティングが施された基材フィルム1の市販品としては、K-OPPフィルムやK-PETフィルム等が挙げられる。シーラントフィルムとしては、CPPフィルム、LLDPEフィルム等が挙げられる。
構成(2)、(3)に用いられる基材フィルム1としては、OPPフィルムやPETフィルム等が挙げられる。金属蒸着未延伸フィルムとしては、CPPフィルムにアルミニウム等の金属蒸着を施したVM-CPPフィルムを、金属蒸着延伸フィルムとしては、OPPフィルムにアルミニウム等の金属蒸着を施したVM-OPPフィルムを用いることができる。
構成(4)に用いられる透明蒸着延伸フィルムとしては、OPPフィルム、PETフィルム、ナイロンフィルム等にシリカやアルミナ蒸着を施したフィルムが挙げられる。シリカやアルミナの無機蒸着層の保護等を目的として、蒸着層上にコーティングが施されたフィルムを用いてもよい。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。
構成(5)に用いられる基材フィルム1としては、PETフィルム等が挙げられる。基材フィルム2としては、ナイロンフィルム等が挙げられる。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。
構成(6)の基材フィルム1としては、構成(2)、(3)と同様のものが挙げられる。金属蒸着延伸フィルムとしては、OPPフィルムやPETフィルムにアルミニウム等の金属蒸着を施したVM-OPPフィルムやVM-PETフィルムが挙げられる。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。
構成(7)の基材フィルム1としては、PETフィルム等が挙げられる。透明蒸着延伸フィルムとしては、構成(4)と同様のものが挙げられる。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。
構成(8)の基材フィルム1としては、PETフィルム等が挙げられる。金属層としては、アルミニウム箔等が挙げられる。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。
構成(9)、(10)の基材フィルム1としては、PETフィルム等が挙げられる。基材フィルム2としては、ナイロンフィルム等が挙げられる。金属層としては、アルミニウム箔等が挙げられる。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。
(接着層)
接着層は、公知のフィルムラミネート用の接着剤を適宜使用することができる。また、押出しラミネーションにより積層する場合は、公知の押出しラミネーション用のアンカーコート剤を接着補助剤として適宜使用することができる。これらの接着剤やアンカーコート剤としてガスバリア性を有する材料を使用すると、特にバリア性に優れる積層体を得ることができる。
ガスバリア性に優れる接着剤として特に好ましくは、3g/m(固形分)で塗布した接着剤の硬化塗膜の酸素バリア性が300cc/m/day/atm以下、または水蒸気バリア性が120g/m/day以下の、少なくとも一方の条件を満足するものをいう。市販品としてはDIC株式会社製のPASLIM VM001やPASLIM J350X等の「PASLIM」シリーズや、三菱ガス化学社製の「マクシーブ」が挙げられる。
接着剤層は特に限定なく公知の材料を用いることができるが、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を含むことが好ましい。これらのポリオール及び又はイソシアネート化合物は、バイオマス由来成分を含むものを用いた場合には、バイオマス度の高い積層体とすることができ環境負荷を低減することができる。
ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物は、ガスバリア性と接着性の観点から、例えば、下記(A1)~(A5)の少なくとも1種のポリエステルポリオールを含むポリオール組成物(A)と、1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物(以下単にイソシアネート化合物ともいう)を含むポリイソシアネート組成物(B)とからなる2液型接着剤を好ましく使用できる。
(1)3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又はポリカルボン酸を反応させることにより得られるポリエステルポリオール(A1)
(2)重合性炭素-炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A2)
(3)グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(A3)
(4)オルト配向性多価カルボン酸と、多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステルポリオール(A4)
(5)イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)
前記ポリエステルポリオールの水酸基価は、20mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。また前記ポリエステルポリオールが酸基を有する場合、酸価は200mgKOH/g以下であることが好ましい。またポリエステルポリオールの酸価の下限は特に制限されないが、一例として20mgKOH/g以上である。ポリエステルポリオールの水酸基価はJIS-K0070に記載の水酸基価測定方法にて、酸価はJIS-K0070に記載の酸価測定法にて測定することができる。
前記ポリエステルポリオールの数平均分子量は300~5000であると接着性とガスバリア性とのバランスに優れる程度の架橋密度が得られるため特に好ましい。より好ましくは数平均分子量が350~3000である。数平均分子量は得られた水酸基価と設計上の水酸基の官能基数から計算により求める。また、前記ポリエステルポリオールのガラス転移温度は-30℃以上80℃以下であることが好ましく、0℃以上60℃以下であることがより好ましく、25℃以上60℃以下であることがさらに好ましい。
ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオール(A1)~(A5)をジイソシアネート化合物との反応によるウレタン伸長により数平均分子量1000~15000としたポリエステルポリウレタンポリオール、であってもよい。ウレタン伸長したポリエステルポリオールには一定以上の分子量成分とウレタン結合とが存在するため、優れたガスバリア性を持ち、初期凝集力に優れ、ラミネート用の接着剤として優れる。
ガスバリア性を有する2液型接着剤の一成分であるポリイソシアネート組成物(B)は、イソシアネート化合物を含む。イソシアネート化合物としては、従来公知のものを特に制限なく用いることができ、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート或いはこれらのイソシアネート化合物の2量体、3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3-ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4-ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタキシリレンジアミンなどの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体が挙げられる。ポリエステルポリオール(A1)~(A5)とジイソシアネート化合物とを、水酸基とイソシアネート基の比率をイソシアネート過剰で反応させて得られるポリエステルポリイソシアネートを用いてもよい。これらは1種または2種以上を併用することができる。
また、イソシアネート化合物としてブロック化イソシアネートを用いてもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなそのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3-ジクロロ-2-プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t-ブタノール、t-ペンタノール、などの第3級アルコール類、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピロラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを公知慣用の適宜の方法より付加反応させて得られる。
中でも、良好なガスバリア性が得られることからキシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく、メタキシリレンジイソシアネート、メタ水素化キシリレンジイソシアネートのようなメタキシレン骨格を有するイソシアネート化合物を用いることがより好ましい。
また、ポリオール組成物(A)として、ポリエステルポリオール(A1)のようにカルボン酸基が残存しているポリエステルポリオールを含む組成物を用いる場合には、ポリイソシアネート組成物(B)が公知のエポキシ化合物を含んでいてもよい。またポリエステルポリオール(A2)のように重合性炭素-炭素二重結合を有するポリオールを含む組成物を用いる場合には、炭素-炭素二重結合の重合を促進するために公知の重合触媒を併用することができ、例えば公知の遷移金属錯体や光重合開始剤を併用してもよい。
ポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)とは、ポリオール組成物(A)に含まれる水酸基と、ポリイソシアネート組成物(B)に含まれるイソシアネート基との当量比が1/0.5~1/10となるよう配合することが好ましく、1/1~1/5となるよう配合することがより好ましい。イソシアネート化合物が過剰の場合、接着剤の硬化塗膜に残留した余剰のイソシアネート化合物が接着剤層からブリードアウトするおそれがある。一方、ポリイソシアネート組成物(B)に含まれる反応性の官能基が不足すると、接着強度が不足するおそれがある。
ガスバリア性接着剤には、接着性およびガスバリア性を損なわない範囲で各種添加剤を配合してもよい。例えば無機充填剤を用いてもよい。無機充填剤としては、シリカ、アルミナ、アルミニウムフレーク、ガラスフレーク等が挙げられる。特に無機充填剤として板状無機化合物を用いると、接着強度、ガスバリア性、遮光性等が向上するため好ましい。板状無機化合物としては、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト-蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト-タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム、ベーマイト、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。板状無機化合物は1種または2種以上を併用することができる。
その他、接着促進剤、酸無水物、酸素捕捉機能を有する化合物、粘着付与剤、ガスバリア性接着剤が安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、結晶核剤等を含んでいてもよい。これらの各種添加剤は予めポリオール組成物(A)およびポリイソシアネート組成物(B)のいずれか一方、または両方に添加しておいてもよいし、ポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)とを混合する際に添加してもよい。
また使用するガスバリア性接着剤は、溶剤型、無溶剤型いずれの形態であってもよい。使用するガスバリア性接着剤が溶剤型である場合、第一の基材上に印刷された印刷層面上に本発明の接着剤をグラビアロール等のロールを用いて塗布し、オーブン等での加熱により有機溶剤を揮発させた後、他方の基材を貼り合せて本発明の積層体を得る。ラミネート後に、エージング処理を行うことが好ましい。エージング温度は室温~80℃、エージング時間は12~240時間が好ましい。
使用するガスバリア性接着剤が無溶剤型である場合、第一の基材上に印刷された印刷層面上に予め40℃~100℃程度に加熱しておいた本発明の接着剤をグラビアロール等のロールを用いて塗布した後、直ちに他方の基材を貼り合せて本発明の積層体を得る。ラミネート後に、エージング処理を行うことが好ましい。エージング温度は室温~70℃、エージング時間は6~240時間が好ましい。
使用するガスバリア性接着剤を接着補助剤として用いる場合、第一の基材上に印刷された印刷層面上に本発明の接着補助剤をグラビアロール等のロールを用いて塗布し、オーブン等での加熱により有機溶剤を揮発させた後、押出し機により溶融させたポリマー材料をラミネートすることにより本発明の積層体を得る。溶融させるポリマー材料としては、低密度ポリエチレン樹脂や直線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。エージング温度は室温~70℃、エージング時間は6~240時間が好ましい。
使用するガスバリア性接着剤の塗布量は、適宜調整する。溶剤型接着剤の場合、一例として固形分量が1g/m以上10g/m以下、好ましくは2g/m以上5g/m以下となるよう調整する。無溶剤型接着剤の場合、接着剤の塗布量が一例として1g/m以上5g/m以下、好ましくは1g/m以上3g/m以下である。
接着剤を接着補助剤として用いる場合、塗布量は適宜調整されるが、一例として0.03g/m以上2g/m以下(固形分)である。
(積層体 他の層)
本発明の積層体は、は単独で用いてもよいし、更に他のフィルムや基材を含んでいてもよい。他の基材としては、上述した延伸フィルム、未延伸フィルム、透明蒸着フィルムに加え、紙、木材、皮革等の多孔質の基材を使用することもできる。他の基材を貼り合せる際に用いる接着剤は、上述したようなガスバリア性の接着剤を用いてもよいし、そうでなくてもよい。
<包装材>
本発明の印刷物や積層体は、食品や医薬品などの保護を目的とする多層包装材料として使用することができる。多層包装材料として使用する場合には、内容物や使用環境、使用形態に応じてその層構成は変化し得る。
本発明の包装材は、例えば、本発明の積層体を使用し、積層体のシーラントフィルムの面を対向して重ね合わせた後、その周辺端部をヒートシールして得られる。製袋方法としては、本発明の積層体を折り曲げるか、あるいは重ねあわせてその内層の面(シーラントフィルムの面)を対向させ、その周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他のヒートシール型等の形態によりヒートシールする方法が挙げられる。本発明の包装材は内容物や使用環境、使用形態に応じて種々の形態をとり得る。自立性包装材(スタンディングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
本発明の包装材に、その開口部から内容物を充填した後、開口部をヒートシールして本発明の包装材を使用した製品が製造される。包装材の用途は特に限定されないが、食品包材、医薬品、サニタリー、コスメ、電子材料用、建築材料用、工業材料用等に好適に使用できる。充填される内容物としては、米菓、豆菓子、ナッツ類、ビスケット・クッキー、ウェハース菓子、マシュマロ、パイ、半生ケーキ、キャンディ、スナック菓子などの菓子類、パン、スナックめん、即席めん、乾めん、パスタ、無菌包装米飯、ぞうすい、おかゆ、包装もち、シリアルフーズなどのステープル類、漬物、煮豆、納豆、味噌、凍豆腐、豆腐、なめ茸、こんにゃく、山菜加工品、ジャム類、ピーナッツクリーム、サラダ類、冷凍野菜、ポテト加工品などの農産加工品、ハム類、ベーコン、ソーセージ類、チキン加工品、コンビーフ類などの畜産加工品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練製品、かまぼこ、のり、佃煮、かつおぶし、塩辛、スモークサーモン、辛子明太子などの水産加工品、桃、みかん、パイナップル、りんご、洋ナシ、さくらんぼなどの果肉類、コーン、アスパラガス、マッシュルーム、玉ねぎ、人参、大根、じゃがいもなどの野菜類、ハンバーグ、ミートボール、水産フライ、ギョーザ、コロッケなどを代表とする冷凍惣菜、チルド惣菜などの調理済食品、バター、マーガリン、チーズ、クリーム、インスタントクリーミーパウダー、育児用調整粉乳などの乳製品、液体調味料、レトルトカレー、ペットフードなどの食品類が挙げられる。また、タバコ、使い捨てカイロ、薬、サプリメント、輸液パック、真空断熱材などの包装材料としても使用され得る。
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明する。例中断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
なお、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR-Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:0.4質量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定した。
(合成例1)Pu-1
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、1,2-プロパンジオールとコハク酸を原料とするポリエステルポリオール100部(水酸基価:56mgKOH/g)とトリレンジイソシアネート13.9部を仕込み、窒素気流下に80℃で8時間反応させ、イソシアネート基含有率2.20質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル61部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン5.14部、ジ-n-ブチルアミン0.48部、酢酸エチル120部およびイソプロピルアルコール98部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液Pu-1を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液Pu-1は、樹脂固形分濃度30.2質量%、樹脂固形分の重量平均分子量は67,000であった。
(合成例2)Pu-2
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、2-メチル-1,3-プロパンジオールとネオペンチルグリコールとアジピン酸を原料とするポリエステルポリオール85部(水酸基価:28mgKOH/g)とポリエチレングリコール15部(水酸基価:280mgKOH/g)とイソホロンジイソシアネート18.5部を仕込み、窒素気流下に90℃で8時間反応させ、イソシアネート基含有1.74質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル64部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン4.39部、ジ-n-ブチルアミン0.20部、酢酸エチル123部およびイソプロピルアルコール101部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液Pu-2を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液Pu-2は、樹脂固形分濃度30.1質量%、樹脂固形分の重量平均分子量は78,000であった。
(合成例3)Pu-3
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールと1,4-ブタンジオールとアジピン酸を原料とするポリエステルポリオール100部(水酸基価:28mgKOH/g)とイソホロンジイソシアネート12.2部を仕込み、窒素気流下に90℃で8時間反応させ、イソシアネート基含有2.24質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル60部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン5.30部、ジ-n-ブチルアミン0.22部、酢酸エチル119部およびイソプロピルアルコール96部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液Pu-3を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液Pu-3は、樹脂固形分濃度30.0質量%、樹脂固形分の重量平均分子量は71,000であった。
(合成例4)Pu-4
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールとダイマー酸を原料とするポリエステルポリオール100部(水酸基価:122mgKOH/g)とヘキサメチレンジイソシアネート26.3部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率3.07質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル68部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン8.09部、ジ-n-ブチルアミン0.38部、酢酸エチル136部およびイソプロピルアルコール110部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液Pu-4を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液Pu-4は、樹脂固形分濃度30.1質量%、樹脂固形分の重量平均分子量は48,000であった。
(合成例5)Pu-5
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸148.1部、エチレングリコール84.2部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.03部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を205℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量900の水酸基価126.2mgKOH/g、酸価0.36mgKOH/gのポリエステルポリオールを得た。更に酢酸エチルで希釈して、不揮発分70%のポリエステルポリオール樹脂溶液を得た。
得られたポリエステルポリオール樹脂溶液100部に対し、イソホロンジイソシアネート16.5部を加え、80℃に加熱して遊離のNCO基が実質的に無くなるまでウレタン化反応を行い、更にメチルエチルケトンで希釈して、ポリウレタン樹脂溶液Pu-5を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液Pu-5は、樹脂固形分濃度30.0質量%、樹脂固形分の重量平均分子量は5,000であった。
(塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液Evの調整)
水酸基を有する塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂(樹脂モノマー組成が質量%で塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=92/3/5、水酸基価(mgKOH)=64)を酢酸エチルで15%溶液とし、これを塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液Evとした。
(リキッド印刷インキの実施例と比較例)
(リキッド印刷インキの製造方法)
表に記載の配合比率で混合した混合物をダイノーミル(ウィリー・エ・バッコーフェン社製)を用いて混練し、実施例1~6及び比較例1~4に記載のインキを調製した。
<リキッド印刷インキ印刷物の評価方法>
(酸素バリア性-印刷物作成)
前記製造方法で得たリキッド印刷インキを、酢酸エチルで希釈し、離合社製ザーンカップNo.3で16秒になるように希釈した。それを、版深度35μmを有するグラビア版を取り付けたグラビア印刷機(DICエンジニアリング株式会社製)を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリエステルフィルム(PET、東洋紡績株式会社製 E-5100 厚さ12μm)および二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP、東洋紡績株式会社製 P2161 厚さ20μm)のコロナ処理面にベタ印刷を行い、印刷物は40℃、1日のエージングにより硬化処理を行った。
(酸素バリア性-測定)
印刷およびエージングが終了した印刷物について、23℃の雰囲気下における酸素バリア性を測定した。単位はcc/m・day・atmである。なおRHとは、湿度を表す。
23℃/0%RHの酸素バリア性(OTR)測定:MOCON社製 OX-TRAN 2/21 等圧法 (JIS K 7126に準拠)
(残留溶剤-印刷物作製)
得られたリキッドインキの粘度を酢酸エチル/イソプロピルアルコール=50/50の混合有機溶剤で希釈し、25℃にてザーンカップNo.3(離合社製)で15秒になるように希釈した。得られたリキッドインキを、版深度25μmを有するグラビア版を取り付けたMD型グラビア印刷機(富士機械株式会社製)を用いて、片面にコロナ処理を施した二軸延伸ポリエステルフィルム(PET、東洋紡績株式会社製 E-5100 厚さ12μm)の処理面に速度200m/min、乾燥温度約60℃の条件で印刷を行った。
(残留溶剤-測定)
得られた印刷物を、1m2の大きさに切り出して、短冊状に断裁し、三角フラスコに入れ密栓した状態で80℃、30分加熱した後、マイクロシリンジで一定量の溶剤蒸気を取り出し、ガスクロマトグラフィーで残留溶剤量を定量した。なお、ガスクロマトグラフィーの装置およびカラムは以下の通りである。
装置:Agilent 7890A GC(Agilent Technologies社製)
カラム:HP-5 Phenyl Methyl Siloxane(内径0.32mm/長さ30m/膜厚0.25μm)(Agilent Technologies社製)
リキッド印刷インキ組成、及びリキッド印刷インキ評価結果を表1及び表2に示す。
Figure 2023082332000001
Figure 2023082332000002
尚、表中の原料は以下の通りである。
・酸化チタン:R-780(石原産業(株)製) 平均粒子径0.24μm、吸油量33
・芳香族硬化剤1:タケネートD110N(三井化学社製のXDI系ポリイソシアネート(芳香族環を有する))、不揮発分/75%
・芳香族硬化剤2:コロネート2037(東ソー株式会社製のTDI系ポリイソシアネート(芳香族環を有する))、不揮発分/50%
・脂肪族硬化剤:コロネートHL(東ソー株式会社製のHDI系ポリイソシアネート系(芳香族環を有さない))、不揮発分/75%
この結果、本発明のリキッドインキは、酸素バリア性が向上し、且つ残量溶剤も1.0mg/m以下という良好な値が得られることわかった。実施例と比較例2及び3より、芳香族環を有する硬化剤を用いることにより、酸素バリア性を向上できることがわかった。

Claims (9)

  1. 脂肪族ポリカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種と、ポリオールを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオールを反応原料とするポリウレタン樹脂と、芳香族イソシアネート化合物と、着色剤を少なくとも含有するリキッド印刷インキ。
  2. 前記脂肪族ポリカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のリキッド印刷インキ。
  3. 前記ポリオールは、グリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、又はこれらを含む重合体あるいは共重合体から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のリキッド印刷インキ。
  4. 前記芳香族イソシアネート化合物が、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種である請求項1~3のいずれかに記載のリキッドインキ組成物。
  5. 更に、着色剤および有機溶剤を含有する請求項1~4のいずれかに記載のリキッドインキ組成物。
  6. 更に、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、繊維素系樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂 から選ばれる少なくとも1種以上を含有する請求項1~5に記載のリキッド印刷インキ。
  7. 請求項1~6に記載のリキッド印刷インキを印刷してなる印刷物。
  8. 請求項1~6に記載のリキッド印刷インキにより形成された印刷層を有する積層体。
  9. 第一のフィルム基材と、前記第一のフィルム基材上に設けられた印刷層と、接着剤層と、前記接着剤層により接着された第二のフィルム基材とが積層され、
    前記印刷層が請求項1~6に記載のリキッド印刷インキにより形成されたことを特徴とする請求項8に記載の積層体。
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