JP2019099761A - リキッドインキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、広範囲な種類のフィルムに適用することができ、特に各種高機能バリアーフィルム上での接着性及び耐ブロッキング性に優れ、アルミニウム構成の包剤において熱水処理前後のラミネート強度が高く、耐レトルト性に優れるリキッドインキ組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の解決手段は、ポリカプロラクトンジオールを反応原料とするポリウレタン樹脂(A)を含有することを特徴とするリキッドインキ組成物に関するものである【選択図】なし

Description

本発明は、軟包装用ラミネート用途のグラビアインキ、フレキソインキ向けリキッドインキ組成物に関する。特に、密着性が低下しがちなポリプロピレンフィルムや無機や有機のバリアコート材が塗布された各種フィルム向けリキッドインキ組成物に関する。
主に、軟包装材の製造に使用されるラミネート用途のリキッドインキは、ウレタン樹脂若しくはウレタンウレア樹脂が主成分として使用されている。
そして、これらのウレタン樹脂、又はウレタンウレア樹脂は各々の特性を持たせるべく、種々の反応原料を用いて製造される。
例えば、高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖延長剤としてジアミンを反応させて得られる有機溶剤に可溶なポリウレタンポリ尿素樹脂を主たるバインダー樹脂とするラミネート用印刷インキが例示されている(例えば、特許文献1)。
また、高分子ジオールと有機ジイソシアネートから得られるポリウレタン樹脂において、高分子ジオール化合物として3−メチル−1,5−ペンタンジオールと二塩基酸から得られるポリエステルポリオールを採用した印刷インキ用ビヒクルや印刷インキ用バインダーの例示がなされている(例えば、特許文献2〜4)。
また、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールをポリカルボン酸と重縮合させて得られたポリエステルポリオールをポリイソシアネートと反応させてなるポリウレタン樹脂を採用したバインダーの例示がなされている(例えば、特許文献5、及び6)。
更に、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールとジカルボン酸から得られるポリエステルジオールと有機ジイソシアネート化合物から得られるポリウレタン樹脂を採用したラミネート用印刷インキ組成物の例示が成されている(例えば、特許文献7)。
さらに近年では、印刷時の作業衛生性と包装材料の有害性の両面から、トルエン等の芳香族溶剤やメチルエチルケトン等のケトン系溶剤の使用が制限されつつある。例えば、脱芳香族系溶剤やケトン系溶剤型のリキッドインキには、印刷適性の観点から、溶剤として芳香族、ケトン系溶剤の代わりに酢酸エチルや酢酸プロピルなどの酢酸エステル類、イソプロピルアルコールやノルマルプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、又はそれらの混合溶剤が使用される傾向にある。
軟包装材の製造にはポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ナイロンなどの各
種フィルムが用いられ、印刷インキにはこれら各種印刷基材への密着性が求められるが、
特にポリプロピレンフィルムに対しては密着性が不十分であることが多い。
一方で近年、フィルムパッケージに用いられるフィルムとして、各種バリア性を付与した高機能フィルムが増加する傾向にある。これらの高機能フィルムは、その表面に無機や有機のバリアコート剤が塗布されており、これらの高機能フィルムを原反としてグラビア印刷又はフレキソ印刷した際、フィルム原反とインキの密着性が阻害される事がしばしば発生しうる。これらの高機能フィルムは、食品用、電子部品用向けに内容物の変質を防止すべく空気を遮断する酸素バリア、水蒸気を遮断する水蒸気バリア等、業種・目的用途に応じて多種多様に存在し、また技術的にも非公開なものが多く、一般のフィルム印刷と比較して密着性が保持し難いのが現状である。
前記した種々の反応原料によるウレタン樹脂を使用しても、増加しつつある多種多様なフィルムに対して普遍なく密着強度を保持することは決して容易ではない。
特開昭55−25453号報 特開昭61−26680号報 特開昭63−161065号報 特開昭63−317562号報 特開平5−222333号報 特開平6−41264号報 特開2000−273382号報
本発明は、広範囲な種類のフィルムに適用することができ、特に各種高機能バリアーフィルム上での接着性及び耐ブロッキング性に優れ、アルミニウム構成の包剤において熱水処理前後のラミネート強度が高く、耐レトルト性に優れるリキッドインキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、リキッドインキ組成物において、ポリカプロラクトンジオールを反応原料とするポリウレタン樹脂を採用することで、課題解決に有効であることを見出した。
即ち、本発明は、ポリカプロラクトンジオールを反応原料とするポリウレタン樹脂(A)を含有することを特徴とするリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(B)及び/又は硝化綿(C)を含有するリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、着色剤(D)および有機溶剤(E)を含有するリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、前記ポリカプロラクトンジオールの含有比率が、ポリウレタン樹脂(A)の反応原料であるジオール100質量部に対して、5〜90質量部の範囲であるリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(B)が水酸基価を有し、その水酸基価が、50〜200mg当量KOH/gであり、かつ前記共重合体樹脂中の塩化ビニル成分の含有比率が80〜95質量部であるリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、前記有機溶剤(E)が芳香族有機溶剤及び/又はケトン系溶剤を含まないリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、前記ポリカプロラクトンジオールの数平均分子量が100〜6000であるリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、該リキッドインキ組成物を印刷してなる印刷物に関する。
更に、本発明は、該印刷物からなるラミネート積層体に関する。
本発明により、広範囲な種類のフィルムに適用することができ、特に各種高機能バリアーフィルム上での接着性及び耐ブロッキング性に優れ、アルミニウム構成の包剤において熱水処理前後のラミネート強度が高く、耐レトルト性に優れるリキッドインキ組成物が得られる。
本発明について詳細に説明する。尚、以下の説明で用いる「インキ」とは全て「印刷インキ」を示す。また「部」、「%」は、全て「質量部」、「質量%」を示す。
本発明のリキッドインキ組成物は、ポリカプロラクトンジオールを反応原料とするポリウレタン樹脂(A)を含有する事を必須とする。
一般的にポリウレタン樹脂を得るには、ポリエーテル型及び/又はポリエステル型ジオール化合物(数平均分子量1,000〜4,000)、ジイソシアネート化合物及び鎖伸張剤、反応停止剤等、従来より公知の材料及び方法にて製造される。
前記ポリエーテル型ジオールの代表例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等がある一方、ポリエステル型ジオールの代表例としては、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類との縮合物及び/又はポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。
本発明のリキッドインキ組成物で使用するポリウレタン樹脂(A)としては、ポリエステルジオールとして、後者のポリカプロラクトンジオールを反応原料としたものである。
前記ポリカプロラクトンジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオールなどのジオールとε−カプロラクトンとを反応させて得られるポリカプロラクトンジオールであれば、いずれでもよい。
前記ポリカプロラクトンジオールの含有比率が、ポリウレタン樹脂(A)の反応原料であるジオール100質量部に対して、5〜90質量部である事が好ましく、より好ましくは20〜80質量部である。10質量部以上、90質量部以下であれば、透明蒸着フィルム上での密着性、耐ブロッキング性、及び基材にアルミニウムを含む積層フィルム構成でのラミネート強度が優れるようになる。
また、前記ポリカプロラクトンジオールの数平均分子量が100〜6000である事が好ましく、より好ましくは400〜5000である。
数平均分子量100以上、6000以下であれば、特にAL構成でのラミネート強度が優れる傾向にある。
本発明のリキッドインキ組成物で使用するポリウレタン樹脂(A)に必要に応じて使用される併用ポリオールとしては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知のポリオールを用いることができ、1種または2種以上を併用してもよい。例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類(1);エチレングリコール、1,2―プロパンジオール、1,3―プロパンジオール、2メチル−1,3プロパンジオール、2エチル−2ブチル−1,3プロパンジオール、1,3―ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、1,4―ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどの飽和または不飽和の低分子ポリオール類(2);これらの低分子ポリオール類(2)と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類(3);環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)等のラクトン類、を開環重合して得られるポリエステルポリオール類(4);前記低分子ポリオール類(2)などと、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られるポリカーボネートポリオール類(5);ポリブタジエングリコール類(6);ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類(7);1分子中に1個以上のヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られるアクリルポリオール(8)などが挙げられる。
尚、前記ポリエステルポリオール類(3)のなかで、ジオール類(グリコール類)と二塩基酸とから得られる高分子ジオールは、ジオール類のうち5モル%までを前記水酸基を3つ以上有する低分子ポリオール類(2)に置換することが出来る。
本発明の軟包装用ラミネート用インキ組成物におけるポリウレタン樹脂(A)に使用されるジイソシアネート化合物としては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,5―ナフチレンジイソシアネート、4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’―ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’―ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3―フェニレンジイソシアネート、1,4―フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン―1,4―ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4―トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン―1,4―ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン―4,4’―ジイソシアネート、1,3―ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、mーテトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビス−クロロメチル−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、2,6−ジイソシアネート−ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等があげられる。これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
本発明のリキッドインキ組成物におけるポリウレタン樹脂(A)に使用される鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン―4,4’―ジアミンなどの他、2―ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2―ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2―ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2―ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
また、反応停止を目的とした末端封鎖剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、ジーnーブチルアミン等のジアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にポリウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L−アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
本発明のリキッドインキ組成物におけるポリウレタン樹脂(A)は、例えば、ポリカプロラクトンジオールおよび併用ポリオールとジイソシアネート化合物とをイソシアネート基が過剰となる割合で反応させ、末端イソシアネート基のプレポリマーを得、得られるプレポリマーを、適当な溶剤中、すなわち、グラビアインキ用の溶剤として通常用いられる、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールなどのアルコール系溶剤;トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;あるいはこれらの混合溶剤の中で、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤と反応させる二段法、あるいはポリプロピレングリコールおよび併用ポリオール、ジイソシアネート化合物、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤を上記のうち適切な溶剤中で一度に反応させる一段法により製造される。これらの方法のなかでも、均一なポリウレタン樹脂を得るには、二段法によることが好ましい。また、ポリウレタン樹脂を二段法で製造する場合、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤のアミノ基の合計(当量比)が1/0.9〜1.3の割合になるように反応させることが好ましい。イソシアネート基とアミノ基との当量比が1/1.3より小さいときは、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤が未反応のまま残存し、ポリウレタン樹脂が黄変したり、印刷後臭気が発生したりする場合がある。さらに近年、作業環境の観点から、トルエン、キシレンといった芳香族系溶剤やケトン系溶剤を用いないことがより好ましい。
このようにして得られるポリウレタン樹脂(A)の重量平均分子量は、15,000〜100,000の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは15,000〜80,000の範囲である。ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が15,000未満の場合には、得られるインキの組成物の耐ブロッキング性、印刷被膜の強度や耐油性などが低くなる傾向があり、100,000を超える場合には、得られるインキ組成物の粘度が高くなり、印刷被膜の光沢が低くなる傾向がある。
本発明のリキッドインキ組成物で使用するポリウレタン樹脂(A)のインキにおける含有量は、インキの被印刷体への接着性を十分にする観点からインキの総質量に対して4質量%以上、適度なインキ粘度やインキ製造時・印刷時の作業効率の観点から25質量%以下が好ましく、更には6〜15質量%の範囲が好ましい。
更に、本発明のリキッドインキ組成物では、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(B)及び/又は硝化綿(C)を添加してもよい。
前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(B)を添加する事で、耐ブロッキング性や耐レトルト性が向上する。特に塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(B)が水酸基を含有する場合、耐レトルト性等の耐熱水性が格段に向上する。
前記水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(B)としては、水酸基価が50〜200mgKOH/gであり、かつ前記共重合体樹脂中の塩化ビニル成分の含有比率が80〜95質量%である事が好ましい。
本発明のリキッドインキ組成物に用いられる水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(B)は、二種類の方法で得ることができる。一つは塩化ビニルモノマー、酢酸ビニルモノマーおよびビニルアルコールを適当な割合で共重合して得られる。もう一つは、塩化ビニルと酢酸ビニルを共重合した後、酢酸ビニルを一部ケン化することにより得られる。水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、塩化ビニル、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのモノマー比率により樹脂被膜の性質や樹脂溶解挙動が決定される。即ち、塩化ビニルは樹脂被膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルは接着性や柔軟性を付与し、ビニルアルコールは極性溶剤への良好な溶解性を付与する。
リキッドインキを軟包装用ラミネートインキとして使用する場合、接着性、耐ブロッキング、ラミネート強度、ボイルレトルト適性、印刷適性、これら全ての性能を満足する必要があるため、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は適正なモノマー比率が存在する。即ち、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂100質量部に対し、塩化ビニルは80〜95質量部が好ましい。80質量部未満だと樹脂被膜の強靭さが劣る傾向となり、耐ブロッキング性が低下する傾向にある。95質量部を超えると樹脂被膜が硬くなりすぎ、接着性が低下する傾向にある。また、ビニルアルコールから得られる水酸基価は50〜200mgKOH/gが好ましい。50mgKOH/g未満だと極性溶媒への溶解性が劣り、印刷適性が不良と成り易い。200mgKOH/gを超えると耐水性が低下して、ボイル、レトルト適性が不良となる傾向にある。
本発明のリキッドインキ組成物で使用する硝化綿(C)(ニトロセルロースとも言う)としては、顔料の高い分散性が得られ、印刷インキ塗膜の耐熱性、耐油性を向上させることから好適である。
本発明のリキッドインキ組成物に使用する硝化綿としては、窒素含有量が10〜13質量%、平均重合度30〜500が好ましく、より好ましくは窒素含有量が10〜13質量%、平均重合度45〜290である。硝化綿の添加量としては、インキ固形分に対し、0.05〜10質量%であることが好ましい。さらに好ましくは0.1〜3質量%である。
本発明のリキッドインキ組成物で使用する着色剤(D)としては、着色顔料、白色顔料いずれでもよい。これら顔料を添加しなければオーバーコートニス用途として使用する事もできる。
本発明のリキッドインキ組成物に使用される着色剤(D)としては、一般のインキ、塗料、および記録剤などに使用されている有機顔料や染料を挙げることができる。有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトピロロピロール系、イソインドリン系などの顔料が挙げられる。
カラーインデックス名としては、
C.I.Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、42、74、83;
C.I.Pigment Orange 16;
C.I.Pigment Red 5、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、81、101;
C.I.Pigment Violet 19、23;
C.I.Pigment Blue 23、15:1、15:3、15:4、17:1、18、27、29
C.I.Pigment Green 7、36、58、59;
C.I.Pigment Black 7;
C.I.Pigment White 4、6、18などが挙げられる。
藍インキにはC.I.Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)、黄インキにはコスト・耐光性の点からC.I.Pigment Yellow83、紅インキにはC.I.Pigment Red 57:1を用いることが好ましい。墨インキにはカーボンブラック、金、銀インキにはアルミニウム、パールインキにはマイカ(雲母)を使用することがコストや着色力の点から好ましい。アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。
また、本発明のリキッドインキ組成物に使用される白色顔料としては、例えば、酸化チタン、硫化亜鉛、鉛白、亜鉛華、リトボン、アンチモンホワイト、塩基性硫酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、シリカ、等があげられる。
尚、前記顔料の平均粒径は、10〜200nmの範囲にあるものが好ましく、より好ましくは50〜150nm程度のものである。
また前記着色顔料の添加量としては、十分な画像濃度や印刷画像の耐光性を得るため、インキ全量の1〜20質量%の範囲で含有させることが好ましい。
本発明のリキッドインキ組成物で使用する有機溶剤(E)としては、各種有機溶剤を使用することができ、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、n−プロパノール、イノプロパノール、n−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤があげられ、これらを単独または2種以上の混合物で用いることができる。近年、作業環境の観点から、トルエン、キシレンといった芳香族系溶剤やケトン系溶剤を用いないことがより好ましい。
本発明のリキッドインキ組成物に必要に応じて併用される樹脂の例としては、前記ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、硝化綿以外の樹脂として、例えば、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂などを挙げることができる。併用樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。併用樹脂の含有量は、インキの総質量に対して0.1〜25質量%が好ましく、更に好ましくは2〜15質量%である。
本発明では更に必要に応じて、併用樹脂、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。
本発明のリキッドインキ組成物は、具体的には前記ポリウレタン樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂及び/又は硝化綿を、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、IPAなど各種有機溶剤に予め混合する。ニス組成物であれば、分散攪拌機にて前記溶液を攪拌しながら各種添加剤を投入し更に攪拌することでニス組成物を得る事ができる。インキ組成物であれば、着色剤を添加し十分分散する事でインキ組成物を得る。
本発明のリキッドインキ組成物の内、着色剤(D)を使用する場合、色相としては使用する着色剤(D)の種類に応じて、プロセス基本色として黄、紅、藍、墨、白の5色があり、プロセスガマット外色として赤(橙)、草(緑)、紫の3色がある。更に透明黄、牡丹、朱、茶、金、銀、パール、色濃度調整用のほぼ透明なメジウム(必要に応じて体質顔料を含む)などがベース色として準備される。ボイルレトルト用インキには顔料のマイグレーション性、耐熱性を考慮して適宜選定される。各色相のベースインキは、グラビア印刷、又はフレキソ印刷に適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独でまたは混合されて各印刷ユニットに供給される。
顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。
インキ中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
前記方法で製造されたインキ粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。尚、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えばポリウレタン樹脂、着色剤、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
利用可能なプラスチックフィルムとしては、ポリエステル樹脂フィルムが特に好ましい一方、本発明のリキッドインキ組成物は密着性が低下しがちなポリプロピレンフィルムに対して特に有用であり、その他のポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン樹脂フィルム等の表面に無機や有機のバリアコート材が塗布された種々高機能フィルムに対しても幅広く用いることが出来る。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」は、いずれも質量基準によるものとする。
なお、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)、及び数平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR−Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:1.0重量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定した。
〔合成実施例1〕:ポリカプロラクトンジオール/ポリエステルポリオール=10/90(質量比率)によるポリウレタン樹脂溶液A1の合成
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール、アジピン酸からなるポリエステルポリオール90.0部(水酸基価:110.0mgKOH/g)とポリカプロラクトンジオール10.0部(水酸基価:550.0mgKOH/g)およびヘキサメチレンジイソシアネート28.1部を仕込、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率1.99質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル69.0部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン5.14部、ジ−n−ブチルアミン0.58部、酢酸エチル118.4部およびイソプロピルアルコール125.0部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間撹拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液A1を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液A1は、樹脂固形分濃度30.2質量%、樹脂固形分のMwは61,000であった。
〔合成実施例2〕:ポリカプロラクトンジオール/ポリエステルポリオール=30/70(質量比率)によるポリエステル樹脂溶液A2の合成
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、アジピン酸からなるポリエステルポリオール70.0部(水酸基価:22.5mgKOH/g)とポリカプロラクトンジオール30部(水酸基価:220.0mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート26.0部を仕込、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.95質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル67.8部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン7.87部、ジ−n−ブチルアミン0.15部、酢酸エチル119.4部およびイソプロピルアルコール125.1部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間撹拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液A2を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液A2は、樹脂固形分濃度30.0質量%、樹脂固形分のMwは75,000であった。
〔合成実施例3〕:ポリカプロラクトンジオール/ポリエステルポリオール=50/50(質量比率)によるポリエステル樹脂溶液A3の合成
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、2−メチル−1,3−プロパンジオール、アジピン酸からなるポリエステルポリオール50.0部(水酸基価:58.9mgKOH/g)とポリカプロラクトンジオール50部(水酸基価:52.0mgKOH/g)およびトリレンジイソシアネート11.8部を仕込、窒素気流下に80℃で7時間反応させ、イソシアネート基含有率1.38質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル60.2部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン3.15部、ジ−n−ブチルアミン0.66部、酢酸エチル101.6部およびイソプロピルアルコール107.9部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間撹拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液A3を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液A3は、樹脂固形分濃度30.5質量%、樹脂固形分のMwは52,000であった。
〔合成実施例4〕:ポリカプロラクトンジオール/ポリエステルポリオール=90/10(質量比率)によるポリウレタン樹脂溶液A4の合成
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、1,2−プロパンジオール、アジピン酸からなるポリエステルポリオール10.0部(水酸基価:37.4mgKOH/g)とポリカプロラクトンジオール90部(水酸基価:112.0mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート21.8部、トリレンジイソシアネート7.3部を仕込、窒素気流下に80℃で15時間反応させ、イソシアネート基含有率3.05質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル69.5部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン8.10部、ジ−n−ブチルアミン0.55部、酢酸エチル123.3部およびイソプロピルアルコール128.5部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間撹拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液A4を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液A4は、樹脂固形分濃度30.0質量%、樹脂固形分のMwは55,000であった。
〔合成実施例5〕:ポリカプロラクトンジオール/ポリエステルポリオール/ポリテトラメチレングリコール(PTMG)=35/60/5によるポリウレタン樹脂溶液A5の合成
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、3−メチル−1,5ペンタンジオール、アジピン酸からなるポリエステルポリオール60.0部(水酸基価:18.0mgKOH/g)とポリカプロラクトンジオール35部(水酸基価:18.7mgKOH/g)とポリテトラメチレングリコール5部(水酸基価:110.0mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート5.0部、ヘキサメチレンジイソシアネート4.1部を仕込、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.05質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル58.7部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン4.69部、ジ−n−ブチルアミン0.30部、酢酸エチル101.0部およびイソプロピルアルコール106.5部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間撹拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液A5を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液A5は、樹脂固形分濃度29.9質量%、樹脂固形分のMwは67,000であった。
〔合成実施例6〕:ポリカプロラクトンジオール/ポリエステルポリオール/ポリエチレングリコール(PEG)=60/30/10によるポリウレタン樹脂溶液A6の合成
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール、アジピン酸からなるポリエステルポリオール60.0部(水酸基価:54.4mgKOH/g)とポリカプロラクトンジオール30部(水酸基価:112.2mgKOH/g)とポリエチレングリコール10部(水酸基価:279.0mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート32.1部を仕込、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.91質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル71.1部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン7.92部、ジ−n−ブチルアミン0.45部、酢酸エチル125.6部およびイソプロピルアルコール131.1部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間撹拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液A6を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液A6は、樹脂固形分濃度30.7質量%、樹脂固形分のMwは62,000であった。
〔合成比較例1〕:ポリカプロラクトンジオールを使用せず、ポリエステルポリオール/ポリエチレングリコール(PEG)=80/20によるポリウレタン樹脂溶液H1の合成
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、アジピン酸からなるポリエステルポリオール80.0部(水酸基価:22.5mgKOH/g)とポリエチレングリコール20部(水酸基価:279.0mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート25.0部を仕込、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率3.16質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル67.3部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン8.06部、ジ−n−ブチルアミン0.54部、酢酸エチル119.7部およびイソプロピルアルコール124.7部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間撹拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液H1を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液H1は、樹脂固形分濃度30.4質量%、樹脂固形分のMwは60,000であった。
〔合成比較例2〕:ポリカプロラクトンジオールを使用せず、ポリエステルポリオール/ポリエチレングリコール(PEG)=70/30によるポリウレタン樹脂溶液H2の合成
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、3−メチル−1,5ペンタンジオール、アジピン酸からなるポリエステルポリオール70.0部(水酸基価:37.4mgKOH/g)とポリプロピレングリコール30部(水酸基価:278.0mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート32.0部を仕込、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.96質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル71.1部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン8.11部、ジ−n−ブチルアミン0.26部、酢酸エチル125.5部およびイソプロピルアルコール131.0部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間撹拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液H2を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液H2は、樹脂固形分濃度30.1質量%、樹脂固形分のMwは79,000であった。
〔合成比較例3〕:ポリカプロラクトンジオールを使用せず、ポリエステルポリオールのみによるポリウレタン樹脂溶液H3の合成
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール、アジピン酸からなるポリエステルポリオール100.0部(水酸基価:56.1mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート16.7部を仕込、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率1.82質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル62.8部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン4.36部、ジ−n−ブチルアミン0.48部、酢酸エチル107.3部およびイソプロピルアルコール113.4部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間撹拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液H3を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液H3は、樹脂固形分濃度30.4質量%、樹脂固形分のMwは59,000であった。
〔調整例1:塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂溶液Vの調整〕
ポリウレタン樹脂と併用して用いる水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(樹脂モノマー組成が質量%で塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=92/3/5、水酸基価(mgKOH)=64)を酢酸エチルで15%溶液とし、これを塩酢ビ樹脂溶液Vとした。
〔調整例2:ニトロセルロース溶液Nの調整〕
工業用硝化綿H1/2(ニトロセルロース、固形分30%、JIS K−6703により溶液濃度25.0%における粘度9.0〜14.9%品 太平化学製品株式会社製)37.5部に、イソプロピルアルコール/酢酸エチル/酢酸ノルマルプロピル/メチルシクロヘキサン(重量比で25/25/13/10の比率)の混合液を62.5部加え、充分混合しニトロセルロース溶液Nを作製した。
[実施例1]
ポリウレタン樹脂溶液A(固形分30.2%)を25部、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂溶液G(固形分15%)10部、酸化チタン顔料35部テイカ(株)製JR−780、酢酸エチル10部、イソプロピルアルコール10部からなる混合物をダイノーミル(ウィリー・エ・バッコーフェノン社製)を用いて混練し、得られた白色練肉ベースインキに更に、酢酸エチル 10部を添加し、リキッド白インキを作成した。
[実施例2〜7、及び比較例1〜3]
表1に示す組成配合により実施例1〜7を、表2に示す組成配合にて比較例1〜3を、実施例1と同様にしてインキを作製した。
尚、実施例7については、前記調整した塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂溶液Vの代わりに、ニトロセルロース溶液Nを使用した。
得られた印刷インキの粘度を酢酸エチルでザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機により、表1、2に示す各種バリアフィルム(W、X、Y、Z)及びコロナ処理ポリエステルフィルム(以下PETフィルム:東洋紡製(株)製 商品名 エステルE5102 厚さ12μm)に印刷して40〜50℃で乾燥し、印刷物を得た。
得られた印刷物について、各種バリアフィルムへの接着性と耐ブロッキング性とPETフィルム/アルミニウム/無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、R−CPP:東レ合成フィルム社製 ZK−75 50μm)構成でのラミネート強度とレトルト処理後の外観評価を行い評価した。その結果を表1及び2に示す。なお、評価は下記の試験方法にて行った。
1)接着性(各種バリアフィルム)
上記印刷物を1日放置後、印刷面にセロハンテープ(ニチバン製12mm幅)を貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜の外観の状態を目視判定した。なお判定基準は次の通りとした。
○:印刷皮膜が全く剥がれなかった。
△:印刷皮膜の面積率で50%以上〜80%未満がフィルムに残った。
×:印刷皮膜の面積率で50%未満がフィルムに残った。
2)耐ブロッキング性(各種バリアフィルム)
上記印刷物の印刷面と非印刷面が接触するようにフィルムを重ね合わせ、10kgf/cmの加重をかけ、40℃の環境下に12時間経時させ、取り出し後、非印刷面へのインキの転移の状態を、3段階で目視評価した。
○:非印刷面へのインキの転移量0%で転移が見られない
△:面積率20%未満の比率で転移が見られる
×:面積率20%以上の比率で転移が見られる。
3)ラミネート強度の測定
上記PETフィルム印刷物にウレタン系のドライラミネート接着剤ディックドライLX−500/KW−75(DIC製)を塗膜量が3.5g/mとなるように塗布、乾燥後、ドライラミネート機(DICエンジニアリング製)によってアルミニウム箔(以下、AL:東洋アルミニウム工業(株)製 アルミ箔C、15μm)をラミネートし、2層のラミネート物1を得た。次にラミネート物1のAL上に接着剤を同様に塗布し、無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、R−CPP:東レ合成フィルム社製 ZK−75 50μm)を積層し、40℃で5日間エージング施し、3層の複合ラミネート物2を得た。その後、ラミネート強度の測定を行った。数値が大きい方がラミネート強度が強い。
4)耐レトルト性(ラミネート物のレトルト処理後の外観評価)
得られたラミネート物2を120mm×120mmの大きさのパウチに製袋し、内容物として、食酢、サラダ油、ミートソースを重量比で1:1:1に配合した疑似食品70gを充填密封した。作成したパウチを135℃、30分間の蒸気レトルト殺菌処理をした後、剥離の程度を3段階で評価を行った。
○:剥離がない。
△:小さなブリスター状の剥離がある。
×:大小問わず、全面に剥離がある。
表1、2に、各リキッド白インキの配合、及び評価結果を記す。
Figure 2019099761
Figure 2019099761
評価対象のバリアフィルム
W:大日本印刷(株)製 アルミナ蒸着透明PETフィルム IB−PET−PUB(厚み:12μm)
X:三菱樹脂(株)製 シリカ蒸着透明PETフィルム テックバリア TX−R(厚み:12μm)
Y:尾池工業(株)製 シリカ蒸着透明PETフィルム MOS−TEB(厚み:12μm)
Z:凸版印刷(株)製 酸化アルミニウム蒸着透明PETフィルム GL−ARH(厚み:12μm)

評価対象のOPPフィルム
U:東洋紡(株)製 P2161(厚み:20μm)
実施例では、透明蒸着フィルムに対する接着性、耐ブロッキング性、及びアルミニウム構成の包剤において熱水処理前後のラミネート強度が高く、耐レトルト性に優れる結果となった。
本発明のリキッドインキ組成物は、食品包材・サニタリー・コスメ・電子部品等工業製品向け用途に幅広く展開され得る。

Claims (9)

  1. ポリカプロラクトンジオールを反応原料とするポリウレタン樹脂(A)を含有することを特徴とするリキッドインキ組成物。
  2. 更に、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(B)及び/又は硝化綿(C)を含有する請求項1に記載のリキッドインキ組成物。
  3. 更に、着色剤(D)および有機溶剤(E)を含有する請求項1又は2に記載のリキッドインキ組成物。
  4. 前記ポリカプロラクトンジオールの含有比率が、ポリウレタン樹脂(A)の反応原料であるジオール100質量部に対して、5〜90質量部の範囲である請求項1〜3の何か1つに記載のリキッドインキ組成物。
  5. 前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(B)が水酸基価を有し、その水酸基価が、50〜200mg当量KOH/gであり、かつ前記共重合体樹脂中の塩化ビニル成分の含有比率が80〜95質量部である請求項1〜4の何れか1つに記載のリキッドインキ組成物。
  6. 前記有機溶剤(E)が芳香族有機溶剤及び/又はケトン系溶剤を含まない請求項1〜5の何れか1つに記載のリキッドインキ組成物。
  7. 前記ポリカプロラクトンジオールの数平均分子量が100〜6000である請求項1〜6の何れか1つに記載のリキッドインキ組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1つ記載のリキッドインキ組成物を印刷してなる印刷物。
  9. 請求項1〜8の何れか一つに記載のリキッドインキ組成物を印刷してなる印刷層を有するラミネート積層体。
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