JP2023057679A - リキッド印刷インキ、印刷物、及び積層体 - Google Patents

リキッド印刷インキ、印刷物、及び積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】各種包装材料への接着性、遮蔽性に優れ、且つ、版カブリ適性、筋状汚れ適性、ハイライト転移性の印刷性能に優れたリキッド印刷インキを提供する。【解決手段】 本発明は、バインダー樹脂、有機溶剤、及び酸化物で被覆された酸化チタン粒子を含有するリキッド印刷インキであって、酸化物は、少なくともケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物を含み、リキッド印刷インキを用いて以下の測定方法で測定した版摩耗量が、15mg以下であることを特徴とするリキッド印刷インキである。(測定方法)直径105mmのクロムメッキされた版を準備し、回転前の版の重さを測定する。続いて、上記リキッド印刷インキを容器に入れてドクターと上記版をセットし、毎分1850回転、1時間回転させた後の版の重さを、前記回転前の版の重さから引いた値を求める。【選択図】図1

Description

本発明は、グラビアインキやフレキソインキとして使用可能なリキッド印刷インキに関する。
グラビアインキやフレキソインキ等のリキッド印刷インキは、被印刷体に美粧性、機能性、表面保護性を付与させる目的で広く用いられている。この被印刷体が包装材料の中でも特に食品包材として用いられる場合、ラミネート加工が施されるのが一般的である。この場合、内容物の種類や使用目的に応じて様々な被印刷体やラミネート加工が利用される。この様なラミネート加工物は、各種被印刷体への接着性に加えて、各種ラミネート加工物のラミネート強度、ボイルレトルト適性等のインキの基本性能を満足する必要がある。
近年では、グラビア・フレキソ印刷の生産性向上を目的にした印刷機の高速化に伴い、軟包装材料としてのインキの基本性能を保持しつつ、より高速での印刷性能を保持することが望まれている。
印刷性能としては、画線部以外の箇所にドクターでインキが掻ききれない部分がカブリとなって印刷物に転移する「版かぶり適性」、ドクター摩耗面の微小欠損により画線部以外の箇所にドクターでインキが掻ききれず、印刷中にランダムに発生する「筋状汚れ適性」、グラビア刷版のセルにインキが詰まりインキが印刷物に転移しにくい版詰まりの現象による「ハイライト転移性」のいずれも良好に保つことに依然困難性がある。
リキッド印刷インキのうち、白インキでは主に酸化チタンが顔料として使用されており、無機顔料である上にインキ中の含有量が多いことから、各種包装材料への接着性やラミネート強度等の性能確保に関しては、藍インキ等の有機顔料を用いるインキと比較してより困難である。そのため、リキッド印刷インキに適した酸化チタンの改良が行われている。
リキッドインキに適した酸化チタンの改良方法として、例えば酸化チタン粒子と、前記酸化チタン粒子の周囲に配された硫酸バリウム粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子とを含む複合粒子と、前記複合粒子を被覆し、アルミニウム化合物を含有する被覆層とを備えるグラビアインキ用複合白色顔料を使用する方法や(特許文献1参照)、シリカあるいはアルミナで表面処理された結晶構造がルチル型の酸化チタンを用いてグラビアインキの印刷適性が向上させる方法が知られている(特許文献2参照)。しかしながら、インキの基本性能に加えて印刷性能を全て満足するには至っておらず、更なる改良が望まれている。
WO2013187408A号公報 特開2019-11435号公報
本発明者らは、前記した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、版摩耗量が印刷性能に影響を及ぼすことを見出し、本発明を解決するに至った。
即ち、本発明は、バインダー樹脂、有機溶剤、及び酸化物で被覆された酸化チタン粒子を含有するリキッド印刷インキであって、酸化物は、ケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物であり、リキッド印刷インキを用いて以下の測定方法で測定した版摩耗量が15mg以下であるリキッド印刷インキに関する。
(測定方法)
直径105mmのクロムメッキされた版を準備し、回転前の版の重さを測定する。続いて、上記リキッド印刷インキを容器に入れてドクターと上記版をセットし、毎分1850回転、1時間回転させた後の版の重さを、前記回転前の版の重さから引いた値を求める。
また、本発明は、基材上に前記リキッド印刷インキを印刷して形成された印刷層を有する印刷物に関する。
また、本発明は、前記印刷物の印刷層に、接着剤層、フィルム層が順に貼り合わされた積層体に関する。
本発明により、各種包装材料への接着性、遮蔽性に優れ、且つ、版カブリ適性、筋状汚れ適性、ハイライト転移性の印刷性能に優れたリキッド印刷インキが得られる。
図1は、版摩耗量と筋状汚れとの関係を示す図(100m/min)である。 図2は、版摩耗量と筋状汚れとの関係を示す図(15m/min)である。 図3は、ケイ素酸化物の質量(WSi)とアルミニウム酸化物(WAl)の割合(WAl/WSi)と筋状汚れとの関係を示す図(100m/min)である。 図4は、ケイ素酸化物の質量(WSi)とアルミニウム酸化物(WAl)の割合(WAl/WSi)と筋状汚れとの関係を示す図(15m/min)である。
(言葉の定義)
本発明においてリキッド印刷インキとは、グラビアインキまたはフレキソインキ等の、印刷版を使用する印刷方法に適用されるリキッド状のインキを指し、好ましくはグラビアインキまたはフレキソインキである。また本発明のリキッド印刷インキは活性エネルギー硬化性の成分を含んでおらず、即ち活性エネルギー線非反応性のリキッドインキである。
なお以下の説明で用いる「インキ」とは全て「印刷インキ」を示す。また「部」とは全て「質量部」を示す。
本発明のリキッド印刷インキは、バインダー樹脂、有機溶剤、及び酸化物で被覆された酸化チタン粒子を含有するリキッド印刷インキであって、酸化物は、ケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物であり、リキッド印刷インキを用いて測定した版摩耗量が15mg以下であるリキッド印刷インキである。
版摩耗量は、Daetwyler Abrasion Tester ATII(Max Daetwyler社製)を用いたDaetwyler Abrasion Testにより測定できる。この方法は、酸化チタン含有インキを回転させた後の版の重量損失を摩耗量として測定するもので、この方法により、酸化チタンの硬度や研磨特性を相対的に評価できる。つまり、摩耗量は酸化チタンの特性が反映された値である。
本発明では、酸化チタン含有のリキッド印刷インキを用いて、版摩耗量を以下のようにして測定する。
(測定方法)
直径105mmのクロムメッキされた版を準備し、回転前の版の重さを測定する。続いて、リキッド印刷インキを容器に入れてドクターと上記版をセットし、毎分1850回転、1時間回転させた後の版の重さを、前記回転前の版の重さから引いた値を求める。
Daetwyler Abrasion Tester ATIIにおいて、ドクター刃は25mm幅×20mm縦)の4枚あることから、毎分1850回転、1時間回転により、刃4枚で約444000回転相当になる。装置により刃の枚数などが異なる場合は、回転数が同じになるように調整して摩耗量を測定してもよい。
本発明では、上記のようにして測定した版摩耗量が15mg以下であることが好ましく、10mg以下であることがより好ましく、7mg以下であることが更に好ましい。版摩耗量が少ないほど、版カブリ性、筋状汚れ適性、ハイライト転移性のいずれにおいても優れた印刷適性をを得られる。
また、本発明では、上記のようにして測定したドクターブレードの摩耗量が少ないことが好ましく、具体的には、以下のようにドクターブレードの摩耗量を測定したときに、摩耗量が5mg以下であり、3mg以下であることが好ましく、2.5mg以下であることがより好ましい。ドクターブレードの摩耗量は、版摩耗量の測定と同様に、Daetwyler Abrasion Testにより測定できる。具体的には、セラミック又はスチール製のドクター刃を準備し、回転前の刃の重さを測定した後、リキッド印刷インキを容器に入れてドクター刃と版をセットし、毎分1850回転、1時間回転させた後のドクター刃の重さを、前記回転前のドクター刃の重さから引いた値により求めることができる。
リキッド印刷インキ中の酸化チタンによって版の摩耗量及びドクターブレードの摩耗量は影響を受け、これらの摩耗量が少ない方が印刷欠陥を低減することができるが、版の摩耗量の方が、印刷適性に与える影響が大きいことがわかった。そのため、版摩耗量が10mg以下となる酸化チタンを用いることで、接着性等のインキの基本特性を低下させることなく、印刷適性を向上させることができる。
(酸化チタン粒子)
本発明で使用する酸化チタン粒子は、酸化物で被覆された酸化チタンであり、酸化物は、少なくともケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物を含むものである。
酸化チタン粒子は、その製法、形状、結晶形及び粒子径において特に限定されることなく公知の酸化チタン粒子を使用することができる。例えば、酸化チタン粒子の製法については、塩素法によって製造されたものであっても硫酸法によって製造されたものであってもよい。版及びドクターブレードの摩耗を抑制するという点で硫酸法によって製造されたものが好ましい。
硫酸法による酸化チタン粒子の製造工程の具体的態様の一例は以下のとおりである。
(1)溶解工程:乾燥・粉砕したイルメナイト鉱石を硫酸で溶解し、主に硫酸チタン(TiOSO)と硫酸第1鉄(FeSO)との溶液とする。
(2)冷却、分離工程:溶解原液を冷却して晶出した硫酸第1鉄(FeSO・7HO)を遠心分離機で分離して原液を得る。
(3)加水分解工程:硫酸第1鉄を分離した原液を加熱して、水酸化チタン(TiO(OH))と硫酸とに分離する。
(4)焼成工程:加水分解反応によって得られた水酸化チタンの白色沈殿を、充分水洗してろ過した後、900℃以上で焼成して所定の粒子径を持つルチル型酸化チタン(TiO)とする。
酸化チタン粒子の結晶形については、ルチル型でもアナタース型でもブルカイト型でもよい。より高い隠ぺい率を得られる点において、ルチル型が好ましい。酸化チタン粒子の平均粒子径は、高い光沢度と隠ぺい率を発現する点から、好ましくは0.1~1.0μm、より好ましくは0.1~0.5μm、更に好ましくは0.2~0.3μmである。酸化チタン粒子の平均粒子径が0.1μm未満であると、隠ぺい率が低下する他、ドクターブレードでの掻き残しが発生しやすくなり、版かぶりの原因となり易い。また、酸化チタン粒子の平均粒子径が1.0μmを超えると、隠ぺい率や光沢度が低下することがある。
本発明の酸化チタンは、該表面に少なくともケイ素酸化物およびアルミニウム酸化物を含む処理層を有することが好ましい。このような表面処理により、印刷適性を向上させることができる。本発明では、ケイ素酸化物とはケイ素の無水酸化物、含水酸化物、水和酸化物を包含している意味であり、アルミニウム酸化物とはアルミニウムの無水酸化物、含水酸化物、水和酸化物を包含している意味である。
ケイ素酸化物およびアルミニウム酸化物を含む処理層とは、酸化チタン表面が露出されるような海島状の被覆層でもよいし、酸化チタン全体を緻密に覆う被覆層でもよい。また、ケイ素酸化物の被覆層とアルミニウム酸化物の被覆層が積層されていてもよいし、これらが混合した層として被覆されていてもよい。
ケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物で表面処理された酸化チタンにおいて、一般にシリカは、酸化チタン表面の酸・塩基の状態を調整する目的や、得られたインク・塗料皮膜の耐久性を付与するために使用され、アルミニウム酸化物は分散時の酸化チタンの濡れを改良するために使用される。
酸化チタンの表面処理方法としては、水系処理、気相処理等の公知の方法が挙げられる。
ケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物の処理量の比率は、分散安定性の観点と、印刷適性向上の観点から、ケイ素酸化物の被覆量をSiO換算した質量(WSi)と、アルミニウム酸化物の被覆量をAl換算した質量(WAl)の割合が(WAl/WSi)、0.1~5.0の範囲であることが好ましく、0.2~3の範囲であることが好ましく、0.3~2の範囲であることがより好ましく、0.5~1.5の範囲であることが更に好ましい。当該範囲を超えると、版カブリ性や筋状汚れが悪化し、また、接着性が低下する傾向がある。
ケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物のそれぞれの質量比は、酸化チタンの表面に酸化チタンと共に存在するケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物の量から推定することができる。ケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物の存在量比は、蛍光X線またはESCA等により酸化チタン表面に吸着されたケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物の量を分析、比較することによって確認することができる。特に蛍光X線による測定が簡便で精度が高い。ケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物は酸化チタンの表面上に存在する他、その一部が遊離した粒子として存在する可能性があり、蛍光X線による測定を行うと、その総量を測定することができる。蛍光X線による定量法については、標準資料を用いた検量線による分析方法が確立されている。
また、酸化チタン粒子に対して、ケイ素酸化物の被覆量をSiO換算した質量の割合が0.5~5質量%の範囲であることが好ましく、0.8~4.8であることがより好ましく、1~4.5であることが更に好ましい。
また、酸化チタン粒子に対して、含水アルミニウム酸化物の被覆量をAl換算した質量の割合が1~5質量%の範囲であることが好ましく、1.2~4.8であることがより好ましく、1.5~4.5であることが更に好ましい。
酸化チタンを覆う被覆層は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物に加え、更に、これら以外の無機化合物や、有機化合物を被覆しても良い。無機化合物としては、例えば、ジルコニウム、スズ、チタン、アンチモン、亜鉛等の酸化物、リン酸塩等が挙げられる。
このように、被覆層に他の酸化物を含有していてもよいが、印刷適性をより向上させるためには、酸化チタンを被覆する酸化物において他の酸化物の含有量が5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることが好ましく、酸化チタンを被覆する酸化物が、実質的にケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物からなることが好ましい。また、被覆層が、実質的にケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物からなることが好ましい。なお、実質的な構成成分とは、被覆層の構成成分として積極的に被覆処理した材料をいい、不純物等により不可避的に混入される成分を含むことを除外するものではない。
酸化チタン粒子において、酸化チタンを被覆する酸化物の質量割合は必ずしも限定されないが、酸化チタン全量に対して15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく7質量%以下であることが好ましい。当該範囲を超えると、フィルム基材への接着性が損なわれる傾向がある。一方、下限値の割合は特に限定されないが、0.5質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることが好ましく、3.0質量%であることがより好ましい。
本発明のリキッドインキは、複数種の酸化チタン顔料を併用してもよい。また、酸化チタン顔料の他に、無機フィラーを含有してもよい。
(無機フィラー)
本発明で使用する無機フィラーは特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス;ガラス繊維等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
これらの中でも、カオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイト等の粘土鉱物であることが好ましく、またこれらの粘土鉱物を原料とする、例えばカオリナイト(カオリン鉱物)を原料とするカオリン(天然含水ケイ酸アルミニウム)も好ましく使用できる。カオリンには、湿式カオリン及びこれを焼成処理して成る焼成カオリンが知られているが、未焼成カオリンが特に好ましい。
無機フィラーの平均粒径は、0.01μmを超えて4.0μm以下であることが好ましく、0.05μmを超えて2.0μm以下であることがより好ましく、0.1μmを超えて1.0μm以下であることが更に好ましい。無機フィラーの平均粒径を上記範囲に調整することは、無機フィラーの粒径及びその分布を調整する方法としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等の適宜の粉砕装置を用いて無機フィラーを粉砕して粒径を小さくする方法等を挙げることができる。
無機フィラーの形状としては、例えば、板状、鱗片状、針状、柱状、球状、多面体状、塊状等が挙げられる。これらの形状を有する無機フィラーの複数種を組み合わせて用いてもよい。
一般にリキッド印刷インキは前記酸化チタンの含有量が多ければ多いほど隠ぺい性が高くなる。酸化チタンの含有量は、所望するインキ性能にもよるが、標準的な隠ぺい性と高い版かぶり性を必要とする白インキであれば通常インキ総質量に対し20~40質量%程度の含有量で設計し、一方、要求性能として非常に高い隠ぺい性を目的とする白インキであれば40~60質量%程度の含有量で設計されることが多い。
無機フィラーを含有する場合は、酸化チタンと無機フィラーの質量比が99:1~50:50の範囲が好ましく、99:1~80:20の範囲がより好ましい。質量比をこの範囲とすることで、版かぶり性、隠ぺい性に寄与する。酸化チタンと併用して高い隠ぺい性を維持したまま版かぶり性の現象を低減させる効果の最も高い無機フィラーはカオリンである。
尚、前記酸化チタンと無機フィラーとは白の着色剤として作用することから、本発明のインキ総質量に対し合計で20~75質量%の範囲で含有することが好ましく、より好ましくは20~60質量%、最も好ましくは30~50質量%の範囲である。この範囲において版かぶり性と隠ぺい性のバランスに特に優れたインキとすることができる。
本発明のリキッド印刷インキには、着色剤を添加することができる。着色剤としては、一般のインキ、塗料、および記録剤などに使用されている有機、無機顔料や染料を使用することができる。有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトピロロピロール系、イソインドリン系などの顔料が挙げられる。
前記無機顔料としては、カーボンブラック、ベンガラ、アルミニウム、マイカ(雲母)などが挙げられる。また、ガラスフレークまたは塊状フレークを母材とした上に金属、もしくは金属酸化物をコートした光輝性顔料(メタシャイン;日本板硝子株式会社)を使用できる。墨インキにはカーボンブラック、金、銀インキにはアルミニウム、パールインキにはマイカ(雲母)を使用することがコストや着色力の点から好ましい。アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。
(バインダー樹脂)
本発明で使用するバインダー樹脂は、通常グラビアインキまたはフレキソインキ等の、印刷版を使用する印刷方法に適用されるリキッド状のインキに使用されるバインダー樹脂であれば特に限定されないが、本発明の課題であるフィルム基材に対する接着性、耐ブロッキング性、ラミネート適性、及びハイライト転移性等に優れることから、ポリウレタン尿素樹脂を主バインダー樹脂として使用することが好ましい。
前記バインダー樹脂としては、中でも、重量平均分子量が15,000~100,000且つウレタン結合濃度が1.2mmol/g以上2.5mmol/g以下の範囲であるポリウレタン尿素樹脂が好ましい。
また、ポリウレタン尿素樹脂100質量%中、ポリエーテルポリオール由来の構造単位を1~50質量%含有する事が好ましく、より好ましくは1~30質量%の範囲である。
尚、前記ポリウレタン尿素樹脂の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
本発明のリキッド印刷インキに使用されるウレタン尿素樹脂のウレタン結合濃度は、1.2mmol/g以上 2.5mmol/g以下が好ましく、1.3mmol/g以上であればより好ましい。本発明のリキッド印刷インキのウレタン結合濃度を1.2mmol/g以上 2.5mmol/g以下であれば、フィルム基材との接着性、印刷絵柄の裏移りを伴うブロッキング性が改善され、1.3mmol/g以上であればより好ましい。
ウレタン結合濃度が1.2mmol/gを以上であれば、本発明のリキッド印刷インキを使用したグラビア印刷物、又はフレキソ印刷物に対するポリエチレン押出しラミネート強度が十分保持される傾向にある。一方でウレタン結合濃度が2.5mmol/g以下であれば、グラビア印刷の場合、画線部以外の箇所にドクターでインキが掻き切れない部分が「カブリ」となって印刷物に転移する「版カブリの現象」が生じる現象が抑制できる。
本発明のウレタン結合濃度が1.2mmol/g以上 2.5mmol/g以下であれば、各種フィルムとの接着性、印刷絵柄の裏移りを伴うブロッキング性に加えてグラビア印刷で不具合となりうる「版カブリ防止」をも兼備するものである。
また、ウレタン結合濃度が2.5mmol/g以下とする事で、フレキソ版によるロングラン印刷時に版上でインキが乾く事で生じる絡み汚れを抑制する事ができる。
なお、ウレタン結合濃度は下記の式(1)により算出できる。
ウレタン結合濃度={(W1×OH1+W2×OH2+・・・+Wi×OHi)×1000}/(56100×S) 式(1)
式(1)において、各々以下の通りである。
複数種ポリオールを使用する場合、各々ポリオール1、ポリオール2~ポリオールiとして算出する。
W1:ポリオール1の質量
OH1:ポリオール1の水酸基価
W2:ポリオール2の質量
OH2:ポリオール2の水酸基価
Wi:ポリオールiの質量
OHi:ポリオールiの水酸基価
S:ウレタン樹脂固形分の質量
前記ポリエーテルポリオールとしては、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど公知汎用のものでよい。ポリエーテルポリオールを上記の範囲で使用することにより、特に高機能バリアーフィルム上での接着性が大幅に向上し、結果として耐ブロッキング性、ラミネート強度が優れるようになる。高機能バリアーフィルム上にて、接着性、耐ブロッキング性及びラミネート強度を特に良化させるには、ポリエーテルポリオールの中でポリエチレングリコールが特に好ましい。
前記ポリエーテルポリオールの数平均分子量が100~3500であることが好ましい。なお、ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、ポリウレタン尿素樹脂と同様にゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、前述の条件で測定した。
本発明のリキッド印刷インキで使用するポリウレタン尿素樹脂の構成成分であるポリエーテルポリオールの数平均分子量が100以上であればポリウレタン尿素樹脂の皮膜が硬くなることなく、ポリエステルフィルム等のフィルム基材への接着性も保持される傾向にある。数平均分子量が3500以下の場合、ポリウレタン尿素樹脂の皮膜が脆弱になる事なくインキ皮膜の耐ブロッキング性が保持される傾向となる。
本発明のリキッド印刷インキで使用するポリウレタン尿素樹脂に必要に応じて使用される併用ポリオールとしては、ポリウレタン尿素樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知のポリオールを用いることができ、1種または2種以上を併用してもよい。例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類(1);エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2ブチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4-ブチンジオール、1,4―ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどの飽和または不飽和の低分子ポリオール類(2);これらの低分子ポリオール類(2)と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類(3);環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類、を開環重合して得られるポリエステルポリオール類(4);前記低分子ポリオール類(2)などと、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られるポリカーボネートポリオール類(5);ポリブタジエングリコール類(6);ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類(7);1分子中に1個以上のヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られるアクリルポリオール(8)などが挙げられる。
なお、前記ポリエステルポリオール類(3)のなかで、ジオール類(グリコール類)と二塩基酸とから得られる高分子ジオールは、ジオール類のうち5モル%までを前記水酸基を3つ以上有する低分子ポリオール類(2)に置換することが出来る。
本発明のリキッド印刷インキにおけるポリウレタン尿素樹脂に使用されるジイソシアネート化合物としては、ポリウレタン尿素樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビス-クロロメチル-ジフェニルメタン-ジイソシアネート、2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等があげられる。これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
本発明のリキッド印刷インキにおけるポリウレタン尿素樹脂に使用される鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミンなどの他、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
また、反応停止を目的とした末端封鎖剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、ジ-n-ブチルアミン等のアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にポリウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L-アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
本発明のリキッド印刷インキで使用するポリウレタン尿素樹脂は、例えば、ポリエチレングリコールおよび併用ポリオールとジイソシアネート化合物とをイソシアネート基が過剰となる割合で反応させ、末端イソシアネート基のプレポリマーを得、得られるプレポリマーを、適当な溶剤中、すなわち、ノントルエン系グラビアインキ用、又はフレキソインキ用の溶剤として通常用いられる、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノールなどのアルコール系有機溶剤;メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;あるいはこれらの混合溶剤の中で、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤と反応させる二段法、あるいはポリエチレングリコールおよび併用ポリオール、ジイソシアネート化合物、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤を上記のうち適切な溶剤中で一度に反応させる一段法により製造される。これらの方法のなかでも、均一なポリウレタン尿素樹脂を得るには、二段法によることが好ましい。また、ポリウレタン尿素樹脂を二段法で製造する場合、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤のアミノ基の合計(当量比)が1/0.9~1.3の割合になるように反応させることが好ましい。イソシアネート基とアミノ基との当量比が1/1.3より小さいときは、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤が未反応のまま残存し、ポリウレタン尿素樹脂が黄変したり、印刷後臭気が発生したりする場合がある。
本発明のリキッド印刷インキで使用するポリウレタン尿素樹脂のインキにおける含有量は、インキの被印刷体への接着性を十分にする観点からインキ固形分全量に対して4質量%以上、適度なインキ粘度やインキ製造時・印刷時の作業効率の観点から25質量%以下が好ましく、更には6~15質量%の範囲が好ましい。
(塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂)
更に、本発明のリキッド印刷インキでは、前記ポリウレタン樹脂に加えて、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を併用してもよく、好ましい。
前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は特に限定なく公知のものが使用できるが、中でも水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂であることが好ましく、水酸基価が50~200mgKOH/gであり、かつ前記共重合体樹脂中の塩化ビニル成分の含有比率が80~95重量%である水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂がなお好ましい。
本発明に用いられる水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、二種類の方法で得ることができる。一つは塩化ビニルモノマー、酢酸ビニルモノマーおよびビニルアルコールを適当な割合で共重合して得られる。もう一つは、塩化ビニルと酢酸ビニルを共重合した後、酢酸ビニルを一部ケン化することにより得られる。水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、塩化ビニル、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのモノマー比率により樹脂被膜の性質や樹脂溶解挙動が決定される。即ち、塩化ビニルは樹脂被膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルは接着性や柔軟性を付与し、ビニルアルコールは極性溶剤への良好な溶解性を付与する。
また水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂のモノマー比率としては、例えば水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂100質量部に対し、塩化ビニルは80~95質量部であると、耐ブロッキング性と接着性のバランスがとれなお好ましい。80質量部以上であれば樹脂被膜の強靭さが保て、耐ブロッキング性が確保できる。95質量部以下であれば、樹脂被膜が硬くなりすぎず、接着性が低下し難い。また、ビニルアルコールから得られる水酸基価は50~200mgKOH/gが好ましい。50mgKOH/g以上であれば極性溶媒への溶解性が良好であり、印刷適性も安定し易い。200mgKOH/g以下であれば、ラミネート適性も良好に保てる。
前記水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を併用する場合は、リキッド印刷インキの全樹脂固形分に対して1~30%の範囲であることが好ましい。
(塩素化ポリプロピレン樹脂)
更に、本発明のリキッド印刷インキでは、前記ポリウレタン樹脂に加えて、塩素化ポリプロピレン樹脂を併用してもよい。前記塩素化ポリプロピレン樹脂としては特に限定なく公知のものが使用できるが、中でも、塩素化度が30~45%、重量平均分子量が5000~50000であると有機溶剤に対する溶解度や基材フィルムとの密着性のバランスがとれなお好ましい。ここで本発明における塩素化度とは、塩素化ポリプロピレン樹脂中の塩素原子の重量%である。
前記塩素化ポリプロピレン樹脂を併用する場合は、リキッド印刷インキの全固形分に対して0.1~3.0質量%であることが好ましい。この範囲において、有機溶剤に対する溶解度や基材フィルムとの密着性のバランスがより良好であるインキを得ることができる。
前記塩素化ポリプロピレン樹脂は、前記ポリウレタン樹脂との併用でもよいし、前記ポリウレタン樹脂と水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂との併用でもよい。
(その他の樹脂)
更に、本発明のリキッド印刷インキで必要に応じて併用される樹脂の例としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂などを挙げることができる。併用樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。併用樹脂の含有量は、インキの総質量に対して1~25質量%が好ましく、更に好ましくは2~15質量%である。
(溶剤)
本発明のリキッド印刷インキには、例えば芳香族有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、n-プロパノール、イノプロパノール、n-ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤があげられ、これらを単独または2種以上の混合物で用いることができる。近年、作業環境の観点から、トルエン、キシレンといった芳香族系溶剤及びケトン類の溶剤を用いないことが望ましい。
(水)
本発明のリキッド印刷インキには、揮発性成分として前記有機溶剤と共に、水を添加してもよい。水の添加により、インキの乾燥性を制御する事ができ、特にグラビア印刷では、その特徴であるインキ転移量の少ないグラデーション部をきれいに再現することができる。前記水の添加量は、印刷適性が良好となる点からインキ組成物全量の0.3~10質量%の範囲であることが好ましい。前記水の添加量が0.3質量%以上であれば、インキの乾燥抑制効果が低下することなくグラデーション部の再現性が良好となる傾向にあり、水の添加量がインキ全量の10質量%以下であれば、インキ安定性が低下する事も抑制できる。
また、このような水の添加により、使用有機溶剤成分を低減させることも可能であり環境対応に繋がる。水は有機溶剤に予め添加して含水の有機溶媒としてもよいし、別途特定量を添加してもよい。
(その他の添加剤)
本発明では更に必要に応じて、併用樹脂、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。
(分散剤)
前記酸化チタン(A)や無機フィラー(B)を有機溶剤に安定に分散させるには、前記樹脂単独でも分散可能であるが、さらに顔料を安定に分散するため分散剤を併用することもできる。分散剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤を使用することができる。例えばポリエチレンイミンにポリエステル付加させた櫛型構造高分子化合物、あるいはα-オレフィンマレイン酸重合物のアルキルアミン誘導体などが挙げられる。具体的にはソルスパーズシリーズ(ZENECA)、アジスパーシリーズ(味の素)、ホモゲノールシリーズ(花王)などを挙げることができる。またBYKシリーズ(ビックケミー)、EFKAシリーズ(EFKA)なども適宜使用できる。分散剤は、インキの保存安定性の観点からインキの総質量に対して0.05質量%以上、ラミネート適性の観点から5質量%以下でインキ中に含まれることが好ましく、さらに好ましくは、0.1~2質量%の範囲である。
本発明のリキッド印刷インキは、前記酸化チタン(A)や無機フィラー(B)、バインダー樹脂等を有機溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができる。
顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。
インキ中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
前記方法で製造されたインキ粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。尚、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えばポリウレタン樹脂、着色剤、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
(印刷物)
本発明の印刷物は、基材上に、本発明のリキッド印刷インキを印刷して形成された印刷層を有する印刷物である。本発明のリキッド印刷インキは、各種の基材と密着性に優れ、紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用することができるものであり、電子彫刻凹版等によるグラビア印刷版を用いたグラビア印刷用、又は樹脂版等によるフレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷用のインキとして有用である一方で、版を使用せずインクジェットノズルからインキを吐出するインクジェット方式向けのインキを除くものである。
即ち、インクジェットインキの場合、ノズルから吐出したインク滴が、直接基材に密着し印刷物を形成するのに対し、本発明のリキッド印刷インキは、印刷インキを一旦印刷版又は印刷パターンに密着・転写した後、インキのみを再度基材に密着させ、必要に応じて乾燥させて印刷物とするものである。
本発明のリキッド印刷インキを用いてグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式から形成される印刷インキの膜厚は、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下である。
前記基材としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと称する場合がある)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系樹脂などの生分解性樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂又はそれらの混合物等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられるが、中でも、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンからなるフィルムが好適に使用できる。
また、フィルム基材として、バイオマス由来成分を含有する材料で形成させたフィルムを使用するのも好ましい。バイオマスフィルムは各社から販売されているほか、例えば、一般財団法人日本有機資源協会に記載のバイオマス認定商品一覧に挙げられるようなシートを使用することができる。
具体的によく知られているフィルムは、バイオマス由来のエチレングリコールを原料としたものである。バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。また、市販のバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。
あるいは、ISO16620またはASTMD6866で規定されたバイオマスプラスチック度で区別されたバイオマス原料を使用したものも流通している。大気中では1012個に1個の割合で放射性炭素14Cが存在し、この割合は大気中の二酸化炭素でも変わらないので、この二酸化炭素を光合成で固定化した植物の中でも、この割合は変わらない。このため、植物由来樹脂の炭素には放射性炭素14Cが含まれる。これに対し、化石燃料由来樹脂の炭素には放射性炭素14Cがほとんど含まれない。そこで、加速器質量分析器で樹脂中の放射性炭素14Cの濃度を測定することにより、樹脂中の植物由来樹脂の含有割合、すなわちバイオマスプラスチック度を求めることができる。ISO16620またはASTM D6866で規定されたバイオマスプラスチック度が80%以上、好ましくは90%以上であるバイオマスプラスチックである植物由来の低密度ポリエチレンとしては、例えば、Braskem社製の商品名「SBC818」「SPB608」「SBF0323HC」「STN7006」「SEB853」「SPB681」等が挙げられ、これらを原料として使用したフィルムを好適に使用することができる。
例えば、従来の石油系原料を使用したポリエチレンテレフタレートフィルムの代替として、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステル、バイオマスポリエチレンテレフタレート等を含有するフィルムが知られている。
バイオマスポリエステルのジカルボン酸単位は、化石燃料由来のジカルボン酸を使用する。ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、およびそれらの誘導体を制限なく使用することができる。
また、上記のジオール成分とジカルボン酸成分に加えて、2官能のオキシカルボン酸や、架橋構造を形成するために3官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン酸及び/又はその無水物並びに3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能化合物等の第3成分として共重合成分を加えた共重合ポリエステルであっても良い。
また、例えば、従来の石油系原料を使用したポリオレフィン系フィルムの代替として、バイオマス由来のエチレングリコールを原料とするポリエチレン系樹脂を含有するバイオマスポリエチレン系フィルム、バイオマスポリエチレン-ポリプロピレン系フィルム等のバイオマスポリオレフィン系フィルムも知られている。
ポリエチレン系樹脂は、原料の一部に前記バイオマス由来のエチレングリコールを使用する以外は特に限定されず、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とするエチレンとα-オレフィンとの共重合体(エチレン単位を90質量%以上含有するエチレン-α-オレフィン共重合体)などが挙げられ、これらを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を構成するα-オレフィンは特に限定されず、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン及び1-オクテンなどの炭素原子数4乃至8のα-オレフィンが挙げられる。低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂などの公知のポリエチレン樹脂を用いることができる。
その中でも、フィルム同士が擦れても、穴開きや破けなどの損傷を一段と生じにくくする観点から、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)(エチレンと1-ヘキセンとの共重合体、又はエチレンと1-オクテンとの共重合体)が好ましく、密度が0.910乃至0.925g/cm3である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂がより好ましい。
また、バイオマス原料であるデンプンや、ポリ乳酸を配合したフィルムやシートも知られている。これらは用途に応じて適宜選択し使用することができる。
バイオマスフィルムは、複数のバイオマスフィルムを積層させた積層体であってもよいし、従来の石油系フィルムとバイオマスフィルムとの積層体であってもよい。
これらの石油系フィルムやバイオマスフィルムは、アルミニウム等の金属、シリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層を積層したり、金属箔等を使用したり、ポリビニルアルコールやエチレン・ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン等のガスバリア層を含有するバリア性フィルムを併用したり、ポリビニルアルコールなどコート処理が施されていてもよい。このようなフィルムを用いることで、より、水蒸気、酸素、アルコール、不活性ガス、揮発性有機物(香り)等に対する高いバリア性を備えた積層体とすることができる。
また、これらの基材フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよく、その製法も限定されるものではない。また、基材フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常は1~500μmの範囲であればよい。
基材フィルムの印刷面には、コロナ放電処理がされていることが好ましく、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよい。
(積層体)
また本発明のリキッド印刷インキは、1層の印刷層のみならず、プラスチックフィルムに少なくとも第一の印刷層と第二の印刷層とをこの順に有する積層体も作成することができる。
前記第一の印刷層と第二の印刷層は、バインダー樹脂、有機溶剤、着色剤、硫酸法により得られた酸化チタン(A)、及び無機フィラー(B)を含有する本願発明のリキッド印刷インキから形成された印刷層であることを特徴とする。
更に、前記第二の印刷層がオーバープリントニスである場合は、着色剤を含まなくてもよいし、着色目的に種々顔料を用いてもよく、中でも白色顔料が好ましい。
前記バインダー樹脂としてポリウレタン尿素樹脂を第一の印刷層に用いる事で、塗膜に柔軟性があり、プラスチックフィルムに対する密着性が高くフィルム基材の変形に伴う追従性も高い。また、ポリウレタン尿素樹脂は顔料分散性、印刷時の再溶解性、顔料を分散した際の発色性の点でも優れ、顔料との相性もよい。
更に本発明のリキッド印刷インキは、前記第一の印刷層、第二の印刷層に隣接する更に第三の印刷層をこの順に有する積層体を形成する事が出来るものであり、例えばポリウレタン尿素樹脂と着色剤を含有する印刷インキより形成された第一の印刷層と、着色剤として白色顔料を含有するリキッド印刷インキにより形成された第二の白印刷層、及び第三の白印刷層とをこの順に有する積層体をも作製する事ができる。
プラスチックフィルムに、ポリウレタン尿素樹脂と着色剤を含有する印刷インキにより形成された第一の印刷層は着色剤による絵柄を形成させる事ができ、白色顔料を含有するリキッド印刷インキにより形成された第二の白印刷層、及び第三の印刷層は、絵柄の背景として使用することができる。
第三の印刷層がオーバープリントニスである場合は、着色剤を含まなくてもよいし、着色目的に種々着色顔料を用いてもよく、中でも白色顔料が好ましい。
より具体的な積層体の構成としては、
(1)基材フィルム1/印刷層/接着層1/シーラントフィルム
(2)基材フィルム1/印刷層/接着層1/金属蒸着未延伸フィルム
(3)基材フィルム1/印刷層/接着層1/金属蒸着延伸フィルム
(4)透明蒸着延伸フィルム/印刷層/接着層1/シーラントフィルム
(5)基材フィルム1/印刷層/接着層1/基材フィルム2/接着層2/シーラントフィルム
(6)基材フィルム1/印刷層/接着層1/金属蒸着延伸フィルム/接着層2/シーラントフィルム
(7)基材フィルム1/印刷層/接着層1/透明蒸着延伸フィルム/接着層2/シーラントフィルム
(8)基材フィルム1/印刷層/接着層1/金属層/接着層2/シーラントフィルム
(9)基材フィルム1/印刷層/接着層1/基材フィルム2/接着層2/金属層/接着層3/シーラントフィルム
(10)基材フィルム1/印刷層/接着層1/金属層/接着層2/基材フィルム2/接着層3/シーラントフィルム
等が挙げられるがこれに限定されない。なおここで「印刷層」は本発明のリキッド印刷インキの印刷層である。また、上記構成(1)~(10)では基材フィルム1の接着層1側の面に印刷層を設ける構成を記載したが、基材フィルム1の接着層1と反対側の面(表面)に印刷層を設けてもよいし、基材フィルム2に印刷層を設けてもよい。また、印刷層は第一の印刷層、第二の印刷層、第三の印刷層のように複数の層で構成されていてもよい。
構成(1)に用いられる基材フィルム1としては、OPPフィルム、PETフィルム、ナイロンフィルム(以後Nyフィルムともいう)等が挙げられる。また、基材フィルム1としてガスバリア性や、後述する印刷層を設ける際のインキ受容性の向上等を目的としたコーティングが施されたものを用いてもよい。コーティングが施された基材フィルム1の市販品としては、K-OPPフィルムやK-PETフィルム等が挙げられる。シーラントフィルムとしては、CPPフィルム、LLDPEフィルム等が挙げられる。
構成(2)、(3)に用いられる基材フィルム1としては、OPPフィルムやPETフィルム等が挙げられる。金属蒸着未延伸フィルムとしては、CPPフィルムにアルミニウム等の金属蒸着を施したVM-CPPフィルムを、金属蒸着延伸フィルムとしては、OPPフィルムにアルミニウム等の金属蒸着を施したVM-OPPフィルムを用いることができる。
構成(4)に用いられる透明蒸着延伸フィルムとしては、OPPフィルム、PETフィルム、ナイロンフィルム等にシリカやアルミナ蒸着を施したフィルムが挙げられる。シリカやアルミナの無機蒸着層の保護等を目的として、蒸着層上にコーティングが施されたフィルムを用いてもよい。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。
構成(5)に用いられる基材フィルム1としては、PETフィルム等が挙げられる。基材フィルム2としては、ナイロンフィルム等が挙げられる。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。
構成(6)の基材フィルム1としては、構成(2)、(3)と同様のものが挙げられる。金属蒸着延伸フィルムとしては、OPPフィルムやPETフィルムにアルミニウム等の金属蒸着を施したVM-OPPフィルムやVM-PETフィルムが挙げられる。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。
構成(7)の基材フィルム1としては、PETフィルム等が挙げられる。透明蒸着延伸フィルムとしては、構成(4)と同様のものが挙げられる。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。
構成(8)の基材フィルム1としては、PETフィルム等が挙げられる。金属層としては、アルミニウム箔等が挙げられる。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。
構成(9)、(10)の基材フィルム1としては、PETフィルム等が挙げられる。基材フィルム2としては、ナイロンフィルム等が挙げられる。金属層としては、アルミニウム箔等が挙げられる。シーラントフィルムは構成(1)と同様のものが挙げられる。
(接着層)
接着層は、公知のフィルムラミネート用の接着剤を適宜使用することができる。また、押出しラミネーションにより積層する場合は、公知の押出しラミネーション用のアンカーコート剤を接着補助剤として適宜使用することができる。これらの接着剤やアンカーコート剤としてガスバリア性を有する材料を使用すると、特にバリア性に優れる積層体を得ることができる。
ガスバリア性に優れる接着剤として特に好ましくは、3g/m(固形分)で塗布した接着剤の硬化塗膜の酸素バリア性が300cc/m/day/atm以下、または水蒸気バリア性が120g/m/day以下の、少なくとも一方の条件を満足するものをいう。市販品としてはDIC株式会社製のPASLIM VM001やPASLIM J350X等の「PASLIM」シリーズや、三菱ガス化学社製の「マクシーブ」が挙げられる。
接着剤層は特に限定なく公知の材料を用いることができるが、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を含むことが好ましい。これらのポリオール及び又はイソシアネート化合物は、バイオマス由来成分を含むものを用いた場合には、バイオマス度の高い積層体とすることができ環境負荷を低減することができる。
また使用する接着剤は、溶剤型、無溶剤型いずれの形態であってもよい。使用するガスバリア性接着剤が溶剤型である場合、第一の基材上に印刷された印刷層面上に本発明の接着剤をグラビアロール等のロールを用いて塗布し、オーブン等での加熱により有機溶剤を揮発させた後、他方の基材を貼り合せて本発明の積層体を得る。ラミネート後に、エージング処理を行うことが好ましい。エージング温度は室温~80℃、エージング時間は12~240時間が好ましい。
使用する接着剤が無溶剤型である場合、第一の基材上に印刷された印刷層面上に予め40℃~100℃程度に加熱しておいた本発明の接着剤をグラビアロール等のロールを用いて塗布した後、直ちに他方の基材を貼り合せて本発明の積層体を得る。ラミネート後に、エージング処理を行うことが好ましい。エージング温度は室温~70℃、エージング時間は6~240時間が好ましい。
使用する接着剤を接着補助剤として用いる場合、第一の基材上に印刷された印刷層面上に本発明の接着補助剤をグラビアロール等のロールを用いて塗布し、オーブン等での加熱により有機溶剤を揮発させた後、押出し機により溶融させたポリマー材料をラミネートすることにより本発明の積層体を得る。溶融させるポリマー材料としては、低密度ポリエチレン樹脂や直線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。エージング温度は室温~70℃、エージング時間は6~240時間が好ましい。
使用する接着剤の塗布量は、適宜調整する。溶剤型接着剤の場合、一例として固形分量が1g/m以上10g/m以下、好ましくは2g/m以上5g/m以下となるよう調整する。無溶剤型接着剤の場合、接着剤の塗布量が一例として1g/m以上5g/m以下、好ましくは1g/m以上3g/m以下である。
接着剤を接着補助剤として用いる場合、塗布量は適宜調整されるが、一例として0.03g/m以上2g/m以下(固形分)である。
(積層体 他の層)
本発明の積層体は、は単独で用いてもよいし、更に他のフィルムや基材を含んでいてもよい。他の基材としては、上述した延伸フィルム、未延伸フィルム、透明蒸着フィルムに加え、紙、木材、皮革等の多孔質の基材を使用することもできる。他の基材を貼り合せる際に用いる接着剤は、上述したようなガスバリア性の接着剤を用いてもよいし、そうでなくてもよい。
<包装材>
本発明の印刷物や積層体は、食品や医薬品などの保護を目的とする多層包装材料として使用することができる。多層包装材料として使用する場合には、内容物や使用環境、使用形態に応じてその層構成は変化し得る。
本発明の包装材は、例えば、本発明の積層体を使用し、積層体のシーラントフィルムの面を対向して重ね合わせた後、その周辺端部をヒートシールして得られる。製袋方法としては、本発明の積層体を折り曲げるか、あるいは重ねあわせてその内層の面(シーラントフィルムの面)を対向させ、その周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他のヒートシール型等の形態によりヒートシールする方法が挙げられる。本発明の包装材は内容物や使用環境、使用形態に応じて種々の形態をとり得る。自立性包装材(スタンディングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
本発明の包装材に、その開口部から内容物を充填した後、開口部をヒートシールして本発明の包装材を使用した製品が製造される。包装材の用途は特に限定されないが、食品包材、医薬品、サニタリー、コスメ、電子材料用、建築材料用、工業材料用等に好適に使用できる。充填される内容物としては、米菓、豆菓子、ナッツ類、ビスケット・クッキー、ウェハース菓子、マシュマロ、パイ、半生ケーキ、キャンディ、スナック菓子などの菓子類、パン、スナックめん、即席めん、乾めん、パスタ、無菌包装米飯、ぞうすい、おかゆ、包装もち、シリアルフーズなどのステープル類、漬物、煮豆、納豆、味噌、凍豆腐、豆腐、なめ茸、こんにゃく、山菜加工品、ジャム類、ピーナッツクリーム、サラダ類、冷凍野菜、ポテト加工品などの農産加工品、ハム類、ベーコン、ソーセージ類、チキン加工品、コンビーフ類などの畜産加工品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練製品、かまぼこ、のり、佃煮、かつおぶし、塩辛、スモークサーモン、辛子明太子などの水産加工品、桃、みかん、パイナップル、りんご、洋ナシ、さくらんぼなどの果肉類、コーン、アスパラガス、マッシュルーム、玉ねぎ、人参、大根、じゃがいもなどの野菜類、ハンバーグ、ミートボール、水産フライ、ギョーザ、コロッケなどを代表とする冷凍惣菜、チルド惣菜などの調理済食品、バター、マーガリン、チーズ、クリーム、インスタントクリーミーパウダー、育児用調整粉乳などの乳製品、液体調味料、レトルトカレー、ペットフードなどの食品類が挙げられる。また、タバコ、使い捨てカイロ、薬、サプリメント、輸液パック、真空断熱材などの包装材料としても使用され得る。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」は、いずれも質量基準によるものとする。表中の空欄は未配合であることを示す。
尚、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR-Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:0.4質量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定した。
尚、水酸基価は、ポリウレタン樹脂中の水酸基を過剰のアセチル試薬にてアセチル化した際の、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウム(KOH)のmg数で示したものであり、JISK0070に準じたものである。
(合成実施例1)ポリウレタン尿素樹脂溶液P-1
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール84.5部(水酸基価:56.6mgKOH/g)とポリエチレングリコール15.5部(水酸基価:278mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート27.55部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.84重量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル68.7部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン7.83部、ジ-n-ブチルアミン0.11部、酢酸エチル136.8部およびイソプロピルアルコール110.7部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン尿素樹脂溶液P-1を得た。
得られたポリウレタン尿素樹脂溶液P-1は、樹脂固形分濃度30.4重量%、樹脂固形分のMwは54,000であり、ウレタン結合濃度は式(1)に従う算出方法により1.20mmol/gであった。
ウレタン結合濃度={(W1×OH1+W2×OH2+・・・+Wi×OHi)×1000}/(56100×S) 式(1)
式(1)において、各々以下の通りである。
複数種ポリオールを使用する場合、各々ポリオール1、ポリオール2~ポリオールiとして算出する。
W1:ポリオール1の質量
OH1:ポリオール1の水酸基価
W2:ポリオール2の質量
OH2:ポリオール2の水酸基価
Wi:ポリオールiの質量
OHi:ポリオールiの水酸基価
S:ウレタン樹脂固形分の質量
ポリウレタン尿素樹脂(総計137.76部)中にポリエーテルポリオールとしてポリエチレングリコール(15.5部)を11.4質量%含有するものである。
(合成実施例2)ポリウレタン尿素樹脂溶液P-2
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール75部(水酸基価:224mgKOH/g)とポリエチレングリコール25部(水酸基価:278mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート58.74部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.80質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル85.5部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン9.66部、ジ-n-ブチルアミン0.11部、酢酸エチル170.1部およびイソプロピルアルコール137.6部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン尿素樹脂溶液P-2を得た。
得られたポリウレタン尿素樹脂溶液P-2は、樹脂固形分濃度30.4質量%、樹脂固形分のMwは54,000であり、ウレタン結合濃度は合成実施例1と同様の算出方法により2.50mmol/gであった。
ポリウレタン尿素樹脂(総計168.51部)中にポリエーテルポリオールとしてポリエチレングリコール(25部)を14.8質量%含有するものである。
(塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂溶液の調整)
ポリウレタン尿素樹脂と併用して用いる水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(樹脂モノマー組成が重量%で塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=92/3/5、水酸基価(mgKOH)=64)を酢酸エチルで15%溶液とし、これを塩酢ビ樹脂溶液(B-1)した。
(酸化チタン)
酸化チタンA:酸化チタン/アルミニウム酸化物/ケイ素酸化物(Ti/Al/Si)の質量比が92.6/3.8/3.6の、ケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物で表面処理されたルチル型の酸化チタン。平均粒子径0.3μm。ケイ素酸化物の質量(WSi)とアルミニウム酸化物(WAl)の割合は(WAl/WSi)約1.1である。
酸化チタンB:酸化チタン/アルミニウム酸化物/ケイ素酸化物/(Ti/Al/Si)の質量比が96.2/2.2/1.6の、ケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物で表面処理されたルチル型の酸化チタン。平均粒子径0.3μm。ケイ素酸化物の質量(WSi)とアルミニウム酸化物(WAl)の割合は(WAl/WSi)約1.4である。
酸化チタンC:酸化チタン/アルミニウム酸化物/ケイ素酸化物/(Ti/Al/Si)の質量比が92.7/4.6/2.7の、ケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物で表面処理されたルチル型の酸化チタン。平均粒子径0.3μm。ケイ素酸化物の質量(WSi)とアルミニウム酸化物(WAl)の割合は(WAl/WSi)約1.7である。
酸化チタンD:酸化チタン/アルミニウム酸化物/ケイ素酸化物/(Ti/Al/Si)の質量比が91/4.4/4.6の、ケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物で表面処理されたルチル型の酸化チタン。平均粒子径0.3μm。ケイ素酸化物の質量(WSi)とアルミニウム酸化物(WAl)の割合は(WAl/WSi)約1.0である。
酸化チタンE:酸化チタン/アルミニウム酸化物/ケイ素酸化物/(Ti/Al/Si)の質量比が92.5/5/2.5の、ケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物で表面処理されたルチル型の酸化チタン。平均粒子径0.3μm。ケイ素酸化物の質量(WSi)とアルミニウム酸化物(WAl)の割合は(WAl/WSi)約2.0である。
酸化チタンF:酸化チタン/アルミニウム酸化物/ケイ素酸化物(Ti/Al/Si)の質量比が97/2.8/0.2の、ケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物で表面処理されたルチル型の酸化チタン。平均粒子径0.3μm。ケイ素酸化物の質量(WSi)とアルミニウム酸化物(WAl)の割合は(WAl/WSi)約14.0である。
Figure 2023057679000002
(実施例、比較例 リキッド印刷インキの製造方法)
合成済みのポリウレタン樹脂溶液を用い、表1に記載の配合比率で混合した混合物を、マイティーミル(株式会社井上製作所製)を用いて混練し、実施例1~6及び比較例1に記載の白インキを調製し、各々について以下の評価を実施した。
〔版摩耗量及びドクターブレード摩耗量の測定〕
Daetwyler Abrasion Testにより以下の方法で測定した。まず、Daetwyler Abrasion Tester ATII(Max Daetwyler社製)の測定器を組み立てる前に、版とドクター刃の重さを測定した。版は、直径105mm、クロムメッキされた版(クロムメッキ厚約8μm)である。また、ドクター刃は、25mm幅×20mm縦のセラミック製の4枚の刃である。
次に、得られたリキッド印刷インキをイソプロピルアルコール(IPA)/メチルエチルケトン(MEK)/酢酸エチル=20/40/40の溶剤で30%希釈した。希釈後のリキッド印刷インキにおけるサンプルにおける酸化チタンの質量割合は、10.8質量%である。そして、この希釈したインキをテスト容器に充填し、ドクター刃と版を漬けた。
続いて、室温水の恒温槽に入れ、ドクター刃と版を接触させ、ドクター刃を取り付けた軸を1850回/分で1時間回転させた。その後、インキを拭き取り、ドクター刃と版の摩耗量を計算した。
[版かぶり性]
リキッド印刷インキの粘度をIPA/MEK/酢酸エチル=20/40/40の混合有機溶剤でザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深度30μmを有するレーザーグラビア版を取り付けたMD型グラビア印刷機(富士機械株式会社製)を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリエステルフィルム(以下、PETフィルム、東洋紡績株式会社製 E-5100 厚さ12μm)の処理面に印刷を行った。グラビア版の円周600mmφで200m/minの印刷速度でのハイライト非印刷部分の汚れ度合い(版かぶり度)を目視評価した。
(評価基準)
◎:非印刷部分に汚れが全く無い
〇:非印刷部分に汚れが僅かにある
△:非印刷部分に汚れが少しある
×:非印刷部分の汚れが多い(NG)
[筋状汚れ適性]
リキッド印刷インキの粘度を酢酸エチル/イソプロピルアルコール=50/50の混合有機溶剤でザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深度30μmを有するレーザーグラビア版を取り付けたMD型グラビア印刷機(富士機械株式会社製)を用いて、PETフィルムの処理面に印刷を行った。グラビア版の円周600mmφで15m/min及び100m/minのそれぞれの印刷速度での印刷部分へのインキの筋状汚れ(ムラ)の発生を目視により計測した。
◎:筋状汚れが全く見られない
〇:筋状汚れはほとんど見られない(わずかに確認できる)
△:筋状汚れが部分的に確認できる
×:筋状汚れが全体的に確認できる
××:筋状汚れが目立つ(不合格レベル)
[ハイライト転移性]
リキッド印刷インキの粘度を酢酸エチル/イソプロピルアルコール=50/50の混合有機溶剤でザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深度30μmを有するレーザーグラビア版を取り付けたMD型グラビア印刷機(富士機械株式会社製)を用いて、PETフィルムの処理面に印刷を行った。グラビア版の円周600mmφで200m/minの印刷速度での印刷部分へのインキの転移度(カスレ度)を評価した。
◎:カスレなし
〇ごく僅かにカスレ発生
△:少しカスレ発生、実用範囲
×:カスレが顕著に確認できる(NG)
[接着性]
得られたリキッド印刷インキの粘度を酢酸エチル/イソプロピルアルコール=80/20の混合有機溶剤でザーンカップ#3(離合社製)で15秒(25℃)に調整した。調整後のインキを、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア校正機により、PETフィルムへ印刷して、乾燥し、PETフィルム印刷物を得た。該PETフィルム印刷物を1日放置後、印刷面にセロハンテープ(ニチバン製12mm幅)を貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜の外観の状態を目視評価した。
(評価基準)
◎:印刷皮膜の90%以上がフィルムに残った
〇:印刷皮膜の70%以上~90%未満がフィルムに残った
△:印刷皮膜の50%以上~70%未満がフィルムに残った
×:印刷皮膜の50%未満がフィルムに残った
結果を表2に示す。また、版摩耗量と筋状汚れとの関係を図1及び図2に示す。図1は100m/minの結果であり、図2は15m/minの結果である。同様に、ケイ素酸化物の質量(WSi)とアルミニウム酸化物(WAl)の割合(WAl/WSi)と筋状汚れとの関係を図3及び図4に示す。図3は100m/minの結果であり、図4は15m/minの結果である。
なお、図1及び図2において、縦軸は筋状汚れの数を、横軸は版摩耗量を表す。また、図3及び図4において、縦軸は筋状汚れの数を、横軸はケイ素酸化物の質量(WSi)とアルミニウム酸化物(WAl)の割合(WAl/WSi)を表す。図1~図4中のA~Fは、酸化チタンA~Fの結果である。
Figure 2023057679000003
以上の結果より、上記の測定方法で測定した版摩耗量が15mg以下の印刷インキを用いることにより、必要とされる接着性を有しつつ、筋状汚れ、版カブリ性、転移性を向上することができた。筋状汚れ、版カブリ性、転移性を向上させるためにはドクターブレードの摩耗量も少ない方が好ましいが、例えば実施例3や実施例6は実施例1よりもドクターブレードの摩耗量が少ないにも関わらず実施例1よりも筋状汚れが多く発生している。このことから、図1及び図2に示すように、版摩耗量の結果がより印刷適性に与える影響が大きいことがわかった。

Claims (10)

  1. バインダー樹脂、有機溶剤、及び酸化物で被覆された酸化チタン粒子を含有するリキッド印刷インキであって、
    前記酸化物は、少なくともケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物を含み、
    前記リキッド印刷インキを用いて以下の測定方法で測定した版摩耗量が、15mg以下であることを特徴とするリキッド印刷インキ。
    (測定方法)
    直径105mmのクロムメッキされた版を準備し、回転前の版の重さを測定する。続いて、上記リキッド印刷インキを容器に入れてドクターと上記版をセットし、毎分1850回転、1時間回転させた後の版の重さを、前記回転前の版の重さから引いた値を求める。
  2. 前記ケイ素酸化物の被覆量をSiO換算した質量(WSi)と、前記アルミニウム酸化物の被覆量をAl換算した質量(WAl)の割合が(WAl/WSi)、0.1~5.0の範囲である、請求項1に記載のリキッド印刷インキ。
  3. 前記酸化チタン粒子が硫酸法により得られたルチル型である請求項1又は2に記載のリキッド印刷インキ。
  4. 前記酸化チタン粒子に対して、ケイ素酸化物の被覆量をSiO換算した質量の割合が0.5~10質量%の範囲である請求項1~3のいずれか一項に記載のリキッド印刷インキ。
  5. 前記酸化チタン粒子に対して、アルミニウム酸化物の被覆量をAl換算した質量の割合が1~10質量%の範囲である請求項1~4のいずれか一項に記載のリキッド印刷インキ。
  6. 前記酸化チタン粒子において、酸化チタンを被覆する酸化物の質量割合が1質量%以上15質量%以下である請求項1~5のいずれか一項に記載のリキッド印刷インキ。
  7. 酸化チタンを被覆する酸化物が、実質的にケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物からなる請求項1~6のいずれか一項に記載のリキッド印刷インキ。
  8. 前記バインダー樹脂として、ウレタン樹脂、塩酢ビ樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂のいずれか一つ以上を含有する請求項1~7のいずれか一項に記載のリキッド印刷インキ。
  9. 基材上に、請求項1~8のいずれかに記載のリキッド印刷インキを印刷して形成された印刷層を有する印刷物。
  10. 請求項9に記載の印刷物の印刷層に、接着剤層、フィルム層が順に貼り合わされた積層体。
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