JP7173905B2 - リキッド印刷インキ、印刷物、及び積層体 - Google Patents
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Description
そして、更なる印刷適性を改善するために様々な試みが行われており、例えば、上記印刷適性以外にも版つまり性によるハイライト転移性を改善するためにグリコールエーテルあるいは水を含有する溶剤系グラビアインキが提案されている(特許文献1)。
またインキ安定性、2液安定性を改善するために塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、スチレン-無水マレイン酸を配合したリキッド印刷インキも提案されている(特許文献2)。
しかし、近年の包装基材の多様化に伴い、装飾あるいは表面保護の為に用いられるリキッド印刷インキは、フィルム基材への接着性、ポリエチレン押し出しラミネート強度に加え、フィルム印刷後の耐ブロッキング性を保持しつつ、画線部以外の箇所にドクターでインキが掻ききれない部分が「カブリ」となって印刷物に転移する「版かぶりの現象」や、グラビア刷版のセルにインキが詰まりインキが印刷物に転移しにくい「版詰まりの現象」によるハイライト転移性をも良好に保つことに依然困難性があるものであり、更なる改善が望まれる。
(1)バインダー樹脂(B)がポリウレタン尿素樹脂でありその重量平均分子量が
15,000~100,000、かつウレタン結合濃度が1.2mmol/g以上2.5mmol/g以下である。
(2)前記リキッド印刷インキ100質量%中、有機溶剤(C)成分がエステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤であり、
有機溶剤中のアルコール系有機溶剤として炭素原子数4~6のアルコールを溶剤全量の1~15質量%含有し、更にアマイドワックス(D)をインキ全量の0.1~3質量%含有する。
(1)バインダー樹脂(B)がポリウレタン尿素樹脂でありその重量平均分子量が
15,000~100,000、かつウレタン結合濃度が1.2mmol/g以上2.5mmol/g以下である。
(2)前記リキッド印刷インキ100質量%中、有機溶剤(C)成分がエステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤であり、
有機溶剤中のアルコール系有機溶剤として炭素原子数4~6のアルコールを溶剤全量の1~15質量%含有し、更にアマイドワックス(D)をインキ全量の0.1~3質量%含有する。
藍色顔料としてC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、
緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン7、
赤色顔料としてC.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド166、
紫色顔料としてC.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、
黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー139、
橙色顔料としてC.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ64、
等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも一種または二種以上を使用することが好ましい。
前記顔料(A)は、リキッド印刷インキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキ組成物の総重量に対して1~60重量%、インキ組成物中の固形分重量比では10~90重量%の割合で含まれることが好ましい。また、これらの顔料は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
(1)前記ポリウレタン尿素樹脂の重量平均分子量が15,000~100,000、かつウレタン結合濃度が1.2mmol/g以上2.5mmol/g以下である事を必須とする。
また、ポリウレタン尿素樹脂100質量%中、ポリエーテルポリオール由来の構造単位を1~50質量%含有する事が好ましく、より好ましくは1~30質量%の範囲である。
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
ウレタン結合濃度が1.2mmol/gを以上であれば、本発明のリキッド印刷インキを使用したグラビア印刷物、又はフレキソ印刷物に対するポリエチレン押出しラミネート強度が十分保持される傾向にある。一方でウレタン結合濃度が2.5mmol/g以下であれば、グラビア印刷の場合、画線部以外の箇所にドクターでインキが掻き切れない部分が「カブリ」となって印刷物に転移する「版カブリの現象」が生じる現象が抑制できる。
本発明のウレタン結合濃度が1.2mmol/g以上 2.5mmol/g以下であれば、各種フィルムとの接着性、印刷絵柄の裏移りを伴うブロッキング性に加えてグラビア印刷で不具合となりうる「版カブリ防止」をも兼備するものである。
また、ウレタン結合濃度が2.5mmol/g以下とする事で、フレキソ版によるロングラン印刷時に版上でインキが乾く事で生じる絡み汚れを抑制する事ができる。
なお、ウレタン結合濃度は下記の式(1)により算出できる。
式(1)において、各々以下の通りである。
複数種ポリオールを使用する場合、各々ポリオール1、ポリオール2~ポリオールiとして算出する。
W1:ポリオール1の質量
OH1:ポリオール1の水酸基価
W2:ポリオール2の質量
OH2:ポリオール2の水酸基価
Wi:ポリオールiの質量
OHi:ポリオールiの水酸基価
S:ウレタン樹脂固形分の質量
また、反応停止を目的とした末端封鎖剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、ジ-n-ブチルアミン等のアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にポリウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L-アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
中でも、有機溶剤(C)中のアルコール系有機溶剤として炭素原子数4~6のアルコールを有機溶剤全量の1~15質量%含有することを必須とする。
尚、本発明において有機溶剤全量とは、インキを金属性トレーに1グラムとり、防爆型オーブン乾燥機にて120℃-60分乾燥して得た固形分の質量を差し引いた質量とする。
また、炭素原子数4~6のアルコールとしては、イソブタノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール等のアルコール系有機溶剤が挙げられる。
前記炭素原子数4~6のアルコールを有機溶剤全量の1質量%以上とする事で、グラビア印刷が進行するに従って網点が実際のセル開口部の面積よりも広がる事で色調再現性が低下するドットゲインの現象を抑制でき、ハイライト転移性、耐ブロッキング性が向上する傾向となる一方、有機溶剤全量の15質量%以下で含有する事でハイライト転移性、耐ブロッキング性に加えて、押し出しラミネート強度を保持する事ができ、これらの効果は、後述するアマイドワックス(D)を、溶剤込みとするインキ全量の0.1~3質量%添加する事により、炭素原子数4~6のアルコールとアマイドワックス(D)との相乗効果により更に良好な結果が得られる。
近年、作業環境の観点から、トルエン、キシレンといった芳香族有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤を用いないことが望ましい。
前記アマイドワックス(D)を溶剤込みとするインキ全量の0.1質量%以上添加する事でハイライト転移性、版カブリ性、及び耐ブロキング性が保持できる傾向にあり、3質量%以下とする事で押し出しラミネート強を保持する事ができる。
インキ中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えばポリウレタン尿素樹脂、顔料、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
即ち、インクジェットインキの場合、ノズルから吐出したインク滴が、直接基材に密着し印刷物を形成するのに対し、本発明のリキッド印刷インキは、印刷インキを一旦印刷版又は印刷パターンに密着・転写した後、インキのみを再度基材に密着させ、必要に応じて乾燥させ印刷物とするものである。
本発明のリキッド印刷インキを用いてグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式から形成される印刷インキの膜厚は、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下である。
基材フィルムの印刷面には、コロナ放電処理がされていることが好ましく、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよい。
なお、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR-Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:0.4質量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定した。
尚、水酸基価は、ポリウレタン樹脂中の水酸基を過剰のアセチル試薬にてアセチル化した際の、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウム(KOH)のmg数で示したものであり、JISK0070に準じたものである。
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール84.5部(水酸基価:56.6mgKOH/g)とポリエチレングリコール15.5部(水酸基価:278mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート27.55部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.84重量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル68.7部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン7.83部、ジ-n-ブチルアミン0.11部、酢酸エチル136.8部およびイソプロピルアルコール110.7部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン尿素樹脂溶液B-1を得た。
得られたポリウレタン尿素樹脂溶液B-1は、樹脂固形分濃度30.4重量%、樹脂固形分のMwは54,000であり、ウレタン結合濃度は段落〔0026〕記載の式(1)に従う算出方法により1.20mmol/gであった。
ポリウレタン尿素樹脂(総計137.76部)中にポリエーテルポリオールとしてポリエチレングリコール(15.5部)を11.4質量%含有するものである。
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール75部(水酸基価:224mgKOH/g)とポリエチレングリコール25部(水酸基価:278mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート58.74部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.80質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル85.5部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン9.66部、ジ-n-ブチルアミン0.11部、酢酸エチル170.1部およびイソプロピルアルコール137.6部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン尿素樹脂溶液B-2を得た。
得られたポリウレタン尿素樹脂溶液B-2は、樹脂固形分濃度30.4質量%、樹脂固形分のMwは54,000であり、ウレタン結合濃度は合成実施例1と同様の算出方法により2.50mmol/gであった。
ポリウレタン尿素樹脂(総計168.51部)中にポリエーテルポリオールとしてポリエチレングリコール(25部)を14.8質量%含有するものである。
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール100部(水酸基価:91.2mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート27.62部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.84質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル68.7部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン7.48部、ジ-n-ブチルアミン0.4部、酢酸エチル136.8部およびイソプロピルアルコール110.7部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液B-3を得た。
得られたポリウレタン樹脂溶液B-3は、樹脂固形分濃度30.4質量%、樹脂固形分のMwは54,000であり、ウレタン結合濃度は合成実施例1と同様の算出方法により1.20mmol/gであった。
ポリウレタン尿素樹脂(総計135.5部)中にポリエーテルポリオールは含有してしない。
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール77部(水酸基価:224mgKOH/g)とポリエチレングリコール28部(水酸基価:278mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート54.62部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率1.21質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル85.9部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン4.59部、ジ-n-ブチルアミン0.9部、酢酸エチル164.5部およびイソプロピルアルコール134.8部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン尿素樹脂溶液H-1を得た。
得られたポリウレタン尿素樹脂溶液H-1は、樹脂固形分濃度30.4質量%、樹脂固形分のMwは25,000であり、ウレタン結合濃度は合成実施例1と同様の算出方法により2.70mmol/gであった。
ポリウレタン尿素樹脂(総計165.11部)中にポリエーテルポリオールとしてポリエチレングリコール(28部)を16.9質量%含有するものである。
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペン
チルグリコールアジペートジオール80部(水酸基価:56.6mgKOH/g)とポリエチレングリコール20部(水酸基価:111mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート22.54部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネ ート基含有率2.84重量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル66.0部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン7.25部、ジ-n-ブチルアミン0.27部、酢酸エチル131.3部およびイソプロピルアルコール106.2部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し 、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン尿素樹脂溶液H-2を得た。
得られたポリウレタン尿素樹脂溶液H-2は、樹脂固形分濃度30.2質量%、樹脂固形分のMwは50,000であり、ウレタン結合濃度は合成実施例1と同様の算出方法により0.93mmol/gであ った。
ポリウレタン尿素樹脂(総計130.06部)中にポリエーテルポリオールとしてポリエチレングリコール(20部)を15.3質量%含有するものである。
得られたポリウレタン尿素樹脂溶液B-1を35部、フタロシアニン系青色顔料10部(DIC(株)製FASTGEN Blue LA5380)、エチレンビスオレイン酸アマイド0.2部、酢酸エチル24.8部、酢酸n-プロピル11.5部、イソプロピルアルコール10部、1-プロピルアルコール7.8部、イソブタノール0.7部の混合物(計100部)を練肉し、青色リキッド印刷インキを作製した。全溶剤中の炭素原子数4のアルコールであるイソブタノールの含有量は1.0%である。
その他、実施例2~36、及び比較例1~28について、表1~5の組成に従い、実施例1と同様に青色リキッド印刷インキを作製した。
尚、表1~5に、各青色リキッド印刷インキの有機溶剤全量中に含まれる「炭素原子数4~6のアルコール」の質量%を示す。
各青色リキッド印刷インキの有機溶剤の量は、該インキを金属性トレーに1グラムとり、防爆型オーブン乾燥機にて120℃-60分乾燥して得た固形分の質量を差し引いた質量である。
得られた青色リキッド印刷インキの25℃での粘度(秒)をザーンカップ#4(離合社製)にて測定した。 粘度は30秒以下である事が望ましく、但しゲル化しない事を条件とする。
得られた青色リキッド印刷インキの粘度を酢酸エチルでザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機により、アルミナ蒸着透明PETフィルム(IB-PET-PUB、厚み:12μm、大日本印刷(株)社製)、及び二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下OPPフィルム)に印刷して45℃で乾燥し、印刷物を得た。
得られた印刷物について、アルミナ蒸着透明PETフィルムへの接着性と耐ブロッキング性及びOPPフィルムへの接着性と押出しラミネート強度の測定を行い評価した。
また、印刷物のドットゲイン、ハイライト転移性、版カブリ性について各々下記の試験方法に従って評価を行った。その評価結果を表1~5に示す。
上記印刷物を1日放置後、印刷面にセロハンテープを貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜の外観の状態を目視判定した。なお判定基準は次の5段階評価とした。
(評価基準)
5:印刷皮膜が全く剥がれなかった。
4:印刷皮膜の80以上~95%未満がフィルムに残った。
3:印刷皮膜の60%以上80%未満がフィルムに残った。
2:印刷皮膜の40%以上60%未満がフィルムに残った。
1:印刷皮膜の40%未満がフィルムに残った。
OPPフィルム印刷物に、ポリエチレンイミン系のアンカーコート剤を0.1g/m2塗布した後 、押出しラミネート機によって溶融ポリエチレンを厚さ40μmで積層し、ラミネート加工物を得た後に、ラミネートフィルムを15mm幅に切り出し、引張り試験機にて引っ張り速度50mm/分で90度剥離試験を行った。 0.7N/15mm以上であれば実用範囲である。
(評価基準)
5:ラミネート強度が1.0N/15mm以上である。
4:ラミネート強度が0.7N/15mm以上~1.0N/15mm未満である。
3:ラミネート強度が0.5N/15mm以上~0.7N/15mm未満である。
2:ラミネート強度が0.3N/15mm以上~0.5N/15mm未満である 。
1:ラミネート強度が0.3N/15mm未満である。
OPPフィルム印刷物の印刷面と非印刷面が接触するようにフィルムを重ね合わせ、10kgf/cm2の加重をかけ、40℃の環境下に12時間経時させ、取り出し後、非印刷面へのインキの転移の状態を、次の5段階で目視評価した。3以上であれば使用可能とした。
(評価基準)
5:非印刷面へのインキの転移量0%で転移が見られない。
4:5%未満の僅かな転移が見られる。
3:5%以上~10%未満の転移が見られる。
2:10%以上~20%未満の転移が見られる。
1:20%以上が転移している。
実施例、比較例で得られた青色リキッド印刷インキの粘度を酢酸エチル/イソプロピアルコールの質量比率2/1の混合溶剤でザーンカップ#3(離合社製)を用いて16秒(25℃)に調整し、網点50%部を有するレーザーグラビア版を取り付けたMD型グラビア印刷機(富士機械株式会社製)を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製 FOR 厚さ20μm)の処理面に印刷を行った。
ドットゲインの評価は、円周600mmφで200m/minのグラビア版で4000m印刷した際の、グラビア版の50%網点部分のセル開口部の面積と、印刷物の50%網点部分の面積を比較した。
グラビア印刷では網点が実際のセル開口部の面積よりも広がると、色調などの再現が悪くなるため、印刷物の網点はセル開口部の面積に近いものが望ましい。
(評価基準)
5:セル開口部の面積と比較し印刷物網点の面積が100%~120%の範囲である。
4:セル開口部の面積と比較し印刷物網点の面積が121%~130%の範囲である。
3:セル開口部の面積と比較し印刷物網点の面積が131%~140%の範囲である。
2:セル開口部の面積と比較し印刷物網点の面積が141%~160%の範囲である。
1:セル開口部の面積と比較し印刷物網点の面積が161%以上である。
実施例、比較例で得られた青色リキッド印刷インキの粘度を酢酸エチルでザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深度25μmを有するレーザーグラビア版を取り付けたMD型グラビア印刷機(富士機械株式会社製)を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製 FOR 厚さ20μm)の処理面に印刷を行った。
カスレ試験は、グラビア版の円周600mmφで200m/minの印刷速度した際のハイライト印刷部分(網点面積10%未満)におけるカスレの面積の割合と、非印刷部の汚れ具合を目視評価した。 評価4以上が実用範囲である。
(評価基準)
5:カスレが全くなく、非印刷部の汚れもない。
4:カスレが少し見られる 、若しくは非印刷部に汚れが少しみられる。
3:カスレが少し見られ 、且つ非印刷部に汚れが少し見られる。
2:カスレが見られ 、且つ非印刷部に汚れが見られる。
1:カスレが多く見られ、且つ非印刷部にも汚れが多く見られる。
上記ハイライト転移性試験の条件で印刷した時の印刷物の中で、非印刷部の汚れ具合(版かぶり度)を評価した。
(評価基準)
5:印刷汚れが全く見られない。
4:印刷汚れが極僅かに確認できる。
3:印刷汚れ僅かに確認できるが実用範囲である。
2:印刷汚れが顕著に見られる。
1:印刷汚れが甚だしく見られる。
表中の略語は次の通りである。また、空欄は未配合であることを示す。
UA:ウレタン結合濃度(単位 mmol/g)
FASTGEN Blue LA5380:DIC(株)製フタロシアニン系青色顔料
カーボンブラックMA-14:三菱ケミカル(株)製カーボンブラック
尚、比較例11、及び23はインキがゲル化してしまい、評価する事が出来なかった。
Claims (5)
- 顔料(A)、バインダー樹脂(B)、有機溶剤(C)、及びアマイドワックス(D)を含有するリキッド印刷インキであって、下記(1)、及び(2)を満たすことを特徴とするリキッド印刷インキ。
(1)バインダー樹脂(B)がポリウレタン尿素樹脂でありその重量平均分子量が
15,000~100,000、かつウレタン結合濃度が1.2mmol/g以上2.5mmol/g以下である。
(2)前記リキッド印刷インキ100質量%中、有機溶剤(C)成分がエステル系有機
溶剤とアルコール系有機溶剤であり、
有機溶剤(C)中のアルコール系有機溶剤として炭素原子数4~6のアルコールを溶剤全量の1~15質量%含有し、更にアマイドワックス(D)をインキ全量の0.1~3質量%含有する。
- 前記アマイドワックス(D)が、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、及びヘキサメチレンビスオレイン酸アマイドからなる群から選ばれる何れか1つ以上である請求項1に記載のリキッド印刷インキ。
- 顔料(A)が、有機顔料及び/又はカーボンブラックである請求項1又は2に記載のリキッド印刷インキ。
- 基材上に、請求項1~3のいずれかに記載のリキッド印刷インキを印刷して形成された印刷層を有する印刷物。
- 請求項4に記載の印刷物の印刷層に、接着剤層、フィルム層が順に貼り合わされた積層体。
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