JP2023080680A - 導電部材 - Google Patents

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Yuya MOTOMURA
滋英 伊藤
Jiei Ito
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Abstract

【課題】保護フィルムを積層させて剥離する際に、導電部材の周辺パターン部の剥離を抑制した導電部材を提供する。【解決手段】導電部材は、基材2と、複数の金属を含む導電性細線によりひし形のメッシュ形状のパターンが形成される第2検出電極21と、周辺パターン部29と、を有する。周辺パターン部を構成する金属含有部の少なくとも1つが、面内の一方向にて、単位面積当たりの金属量が漸増していおり、単位面積当たりの金属量が最も多い領域における金属量と、単位面積当たりの金属量が最も少ない領域における金属量との差が、100μg/cm2以上である。【選択図】図7

Description

本発明は、基材と導電性細線と周辺パターン部とを有する導電部材に関する。
現在、タブレット型コンピュータ及びスマートフォン等の携帯情報機器を始めとした各種の電子機器において、液晶表示装置等の表示装置と組み合わせて用いられ、指、スタイラスペン等を画面に接触又は近接させることにより電子機器への入力操作を行うタッチパネルがある。タッチパネルは、タッチを検出する検出電極と、検出電極に電気的に接続される接続配線とを備える導電部材がタッチセンサーとして利用されている。
ここで、導電部材においては、タッチ応答速度、消費電力の見地から電極の低抵抗化が必須であり、この低抵抗化の技術として、電極を導電性細線で構成し、網目状の導電性パターンとする方法が知られている。
取出し配線は、検出電極からの電気信号を取り出し、検出電極の周囲を取り回し、外部配線、例えば、FPC(フレキシブルプリント基板)と接続する位置まで配置される。外部配線との接続部分で、外部配線と取出し配線とが電気的に接続され、外部配線を通じてタッチセンサーをコントロールするIC(integrated circuit)に接続される。これにより、タッチセンサーが駆動可能となる。検出電極への電気信号の入出力のために、取出し配線に外部配線との接続部を設ける必要がある。
タッチセンサーには、その他、アライメントマーク、シールド層、及びグランド線等がある。取出し配線、アライメントマーク、シールド層、及びグランド線等は、周辺パターン部とも呼ばれる。
上述の検出電極、並びに取出し配線、アライメントマーク、シールド層、及びグランド線等の周辺パターン部は、例えば、特許文献1のように、支持体上に銀塩乳剤を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理することにより金属銀を形成した後、平滑化処理することにより形成される。
また、検出電極、並びに取出し配線、アライメントマーク、シールド層、及びグランド線等の周辺パターン部は、例えば、1つの露光マスクでパターニングすることにより一括形成される。
特開2007-129205号公報
導電部材は、表面に保護フィルムを貼合して出荷されて輸送される。導電部材は保護フィルムを剥離してから、タッチパネルにするためのパネル化工程に入る。上述の特許文献1のように現像処理して金属銀を形成した場合、銀密度が低いと、保護フィルムを剥離する際に、周辺パターン部が剥離することがある。この剥離する故障を、剥離故障という。なお、周辺パターン部の剥離故障を防ぐには銀密度を上げればよいが、タッチパネル性能を発現させる以上の不必要な銀を使用することになり、ひいては原料コストが高くなり、実用的ではない。
本発明の目的は、保護フィルムを積層させて剥離する際に、導電部材の周辺パターン部の剥離を抑制した導電部材を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様は、基材と、導電性細線と、周辺パターン部とを有し、周辺パターン部を構成する金属含有部の少なくとも1つが、面内方向において、単位面積当たりの金属量が異なる領域を有する、導電部材を提供するものである。
金属含有部において、面内の一方向にて、単位面積当たりの金属量が漸増していることが好ましい。
金属含有部において、単位面積当たりの金属量が最も多い領域における金属量と、単位面積当たりの金属量が最も少ない領域における金属量との差が、100μg/cm以上であることが好ましい。
単位面積当たりの金属量が最も多い領域における金属量が、400μg/cm以上であることが好ましい。
本発明によれば、保護フィルムを積層させて剥離する際に、導電部材の周辺パターン部の剥離を抑制した導電部材を提供できる。
導電部材から保護フィルムを剥離する際の保護フィルムの剥離開始時の状態を示す模式図である。 導電部材から保護フィルムを剥離する際の保護フィルムの剥離終了付近の状態を示す模式図である。 本発明の実施形態の導電部材を示す部分断面図である。 本発明の実施形態の導電部材を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の導電部材の第1検知電極を拡大して示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の導電部材の基材の第1面上の構成の一例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の導電部材の基材の第2面上の構成の一例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の導電部材の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の導電部材の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 めっき処理の一工程を示す模式的斜視図である。 めっき処理の一工程を示す模式的斜視図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の導電部材を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「~」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α~数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
「平行」、及び「直交」等の角度は、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
また、「同一」とは、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
「透明」とは、光透過率が、波長400nm~800nmの可視光波長域において、少なくとも40%以上のことであり、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上、さらにより好ましくは90%以上のことである。光透過率は、JIS K 7375:2008に規定される「プラスチック-全光線透過率及び全光線反射率の求め方」を用いて測定されるものである。
(導電部材)
上述のように導電部材は、表面に保護フィルムを貼合して出荷され、保護フィルムを剥離してから、タッチパネルにするためのパネル化工程に入る。このとき、図1に示すように導電部材50から保護フィルム52を剥がす場合、剥離はじめは剥離角θが小さい。剥離角θは、導電部材50の表面50aと、保護フィルム52の裏面52bとのなす角である。
図2に示すように保護フィルム52の剥離が進むにつれて、剥離角θが大きくなり、導電部材50の周辺パターン部(図示せず)にかかる剥離力も大きくなり、周辺パターン部が剥がれやすくなる。ここで、周辺パターン部の単位面積当たりの金属量が多いと基材への密着力が高くなり、剥離力が大きくなっても周辺パターン部の剥離を抑制できる。このことを利用して、保護フィルム52の剥離が終了に近く、剥離角θが大きくなる周辺パターン部の領域において、単位面積当たりの金属量を多くすることにより、必要最低限の金属量で剥離故障を低減できることを見出し、本発明に至った。
以下、導電部材について、具体的に説明する。
図3は本発明の実施の形態に係るタッチセンサの部分断面図であり、図4は本発明の実施の形態に係るタッチセンサを示す平面図である。
導電部材1は、基材2と、金属を含む導電性細線MW(図5参照)と、周辺パターン部29とを有する。例えば、導電部材1は、両面に保護フィルム52が貼合されて搬送される。
保護フィルム52には、例えば、易剥離が可能な粘着層を有するPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム又はPP(ポリプロピレン)フィルムが用いられる。
図3に示す基材2は、透明で、且つ電気的な絶縁性を有する絶縁基材が用いられる。基材2は、例えば、平面視、四角形である。
基材2の第1面2A上に下塗り層30が設けられ、下塗り層30上にアンチハレーション層31が設けられている。
第1面2Aとは反対側の面である基材2の第2面2B上に下塗り層30が設けられ、下塗り層30上にアンチハレーション層31が設けられている。
導電部材1は、基材2の第1面2A側のアンチハレーション層31上に配置された第1導電層3Aと、基材2の第2面2B側のアンチハレーション層31上に配置された第2導電層3Bとを有する。
図4に示すように、基材2の第1面2A上に配置された第1導電層3Aは、一定の方向に沿って延び且つその方向に対して直交する方向に沿って配列された複数の第1検知電極11と、複数の第1検知電極11のそれぞれから引き出された複数の第1引き出し配線13と、複数の第1引き出し配線13に電気的に接続された複数の第1電極パッド14と、一対の第1シールドパターン部15とを有している。一対の第1シールドパターン部15は、複数の第1検知電極11、複数の第1引き出し配線13及び複数の第1電極パッド14と離れて配置されており、複数の第1検知電極11、複数の第1引き出し配線13及び複数の第1電極パッド14とは電気的に接続されていない。
ここで、説明のために、複数の第1検知電極11が延びる一定の方向をY方向と呼び、Y方向に直交する複数の第1検知電極11の配列方向をX方向と呼ぶ。
複数の第1引き出し配線13は、それぞれ、その一端部が対応する第1検知電極11のY方向の片側に連結され、他端部が第1電極パッド14に連結されている。
また、第1検知電極11は、いわゆるタッチ操作を検知するためのセンサ電極として機能するものであり、図5に示すように、複数の導電性細線MWにより構成されており、複数の導電性細線MWにより、ひし形のメッシュ形状のパターンMPが形成されている。導電性細線MWは、金属を含有するものであり、金属細線である。
また、第1面2A上には、基材2の各角部に、アライメントマーク26a、26b、26c、26dが設けられている。また、第1面2A上には、第1シールドパターン部15の外側に、第1検知電極11の延在方向に沿って、アライメントマーク26aに並んで、アライメントマーク27a、27b、27cが設けられている。
アライメントマーク26a、26b、26c、26d及びアライメントマーク27a、27b、27cは、それぞれ、導電部材1をタッチパネルにする際に、切断等の位置決めに利用されるものである。
ここで、導電部材1では、第1検知電極11及び後述の第2検知電極21が配置されている領域を検知領域Eといい、検知領域Eの外側を周辺領域Eという。導電部材1がタッチパネル(図示せず)に利用された場合、検知領域Eは、液晶表示装置(図示せず)の表示部(図示せず)上に配置される。
さらに、第1面2A上には検知領域Eの外側に、検知領域Eの周囲に沿ってグランド線28が設けられている。グランド線28は、第1シールドパターン部15のグランド線となるものである。タッチパネルとして組んだ時に、第1シールドパターン部15がグランド線を通して接地され、ノイズカット機能を発現する。
複数の第1引き出し配線13、複数の第1電極パッド14、第1シールドパターン部15、アライメントマーク26a、26b、26c、26d、アライメントマーク27a、27b、27c及びグランド線28は周辺領域Eに設けられている。複数の第1引き出し配線13、複数の第1電極パッド14、第1シールドパターン部15、アライメントマーク26a、26b、26c、26d、アライメントマーク27a、27b、27c及びグランド線28を周辺パターン部29という。第1シールドパターン部15、アライメントマーク26a、26b、26c、26d、アライメントマーク27a、27b、27c及びグランド線28は、それぞれ周辺パターン部29を構成する金属含有部である。
また、複数の第1検知電極11及び周辺パターン部29は同時に形成される。なお、同時に形成されるとは、同じ工程で形成されることである。
複数の第1検知電極11及び周辺パターン部29は、同時に形成されることに限定されるものではなく、別々に形成してもよい。別々に形成するとは、複数の第1検知電極11と周辺パターン部29とが別の工程で形成されることである。また、複数の第1検知電極11と周辺パターン部29とは、組成が同じであってもよく、組成が異なってもよく、異なる金属で構成してもよい。
一対の第1シールドパターン部15は、基材2の第2面2B上に配置された後述する複数の第2引き出し配線23と平面視において重なる位置に配置されている。ここで、平面視とは、導電部材1を第1面2A側から見た視点のことをいう。
図4に示すように、基材2の第2面2B上に配置された第2導電層3Bは、X方向に沿って延び且つY方向に沿って配列された複数の第2検知電極21と、複数の第2検知電極21のX方向の両側からそれぞれ引き出された複数の第2引き出し配線23と、複数の第2引き出し配線23に電気的に接続された複数の第2電極パッド24と、第2シールドパターン部25とを有している。複数の第2引き出し配線23は、それぞれ、その一端部が対応する第2検知電極21のX方向の片側に連結され、他端部が第2電極パッド24に連結されている。
第2シールドパターン部25は、複数の第2検知電極21、複数の第2引き出し配線23及び複数の第2電極パッド24と離れて配置されており、複数の第1検知電極11、複数の第1引き出し配線13及び複数の第1電極パッド14とは電気的に接続されていない。
また、第2検知電極21は、第1検知電極11と同様にタッチ操作を検知するためのセンサ電極として機能するものであり、図示しないが、第1検知電極11と同様に、複数の導電性細線MWにより構成されており、複数の導電性細線MWにより、ひし形のメッシュ形状のパターンMPが形成されている。
複数の第2引き出し配線23、複数の第2電極パッド24及び第2シールドパターン部25は周辺領域Eに設けられている。複数の第2引き出し配線23、複数の第2電極パッド24及び第2シールドパターン部25を周辺パターン部29という。複数の第2引き出し配線23、複数の第2電極パッド24及び第2シールドパターン部25は、それぞれ周辺パターン部29を構成する金属含有部である。
複数の第2検知電極21及び周辺パターン部29は同時に形成される。
複数の第2検知電極21及び周辺パターン部29は、同時に形成されることに限定されるものではなく、別々に形成してもよい。また、複数の第2検知電極21と周辺パターン部29とは、組成が同じであってもよく、組成が異なってもよく、異なる金属で構成してもよい。
第2シールドパターン部25は、基材2の第1面2A上に配置された複数の第1引き出し配線13と平面視において重なる位置に配置されている。
ここで、一般的に、絶縁基材の第1面上に複数の第1検知電極及び複数の第1引き出し配線が配置され、且つ、絶縁基材の第2面上に複数の第2検知電極及び複数の第2引き出し配線が配置されている場合に、絶縁基材の第1面上に配置された複数の第1引き出し配線を伝導する電気信号が、第2面上に配置された複数の第2検知電極で検知された、タッチ操作に対する検知信号に対して電気的に干渉することがあった。また、絶縁基材の第2面上に配置された複数の第2引き出し配線を伝導する電気信号が第1面上に配置された複数の第1検知電極で検知された検知信号に対して電気的に干渉することもあった。これにより、複数の第1検知電極及び複数の第2検知電極で検知されたタッチ操作に対する検知信号にノイズが発生し、タッチセンサが誤作動をすることがあった。
導電部材1においては、基材2の第2面2B上に配置された複数の第2引き出し配線23と平面視で重なる第1面2A上の位置に一対の第1シールドパターン部15が配置され、第1面2A上に配置された複数の第1引き出し配線13と平面視で重なる第2面2B上の位置に第2シールドパターン部25が配置されている。そのため、基材2の第1面2A上に配置される複数の第1引き出し配線13を伝導する電気信号が基材2の第2面2B側に電気的に干渉することが抑制され、基材2の第2面2B上に配置される複数の第2引き出し配線23を伝導する電気信号が基材2の第1面2A側に電気的に干渉することが抑制される。したがって、導電部材1では、複数の第1検知電極11及び複数の第2検知電極21で検知されたタッチ操作に対する検知信号にノイズが発生することが抑制される。
導電部材1は、周辺パターン部29を構成する金属含有部の少なくとも1つが、面内方向において、単位面積当たりの金属量が異なる領域を有する。
例えば、周辺パターン部29を構成する金属含有部である第1シールドパターン部15は、単位面積当たりの金属量が異なる領域を有する。第1シールドパターン部15において、アライメントマーク26a側の第1の領域15aと、アライメントマーク26b側の第2の領域15bとでは、単位面積当たりの金属量が異なる。なお、単位面積当たりの金属量は、蛍光X線(XRF)分析法によって測定できる。
周辺パターン部29を構成する金属含有部の単位面積当たりの金属量は、以下のようにして測定できる。まず、予め金属量がわかっている試料のスペクトル強度を測定し検量線を得る。次に、周辺パターン部29を構成する金属含有部において測定した領域のスペクトル強度を検量線に従って金属量に変換する。これにより、上述の測定した領域の単位面積当たりの金属量が得られる。
例えば、図4に示すY方向に平行なD方向を、面内の一方向とする。この場合、面内の一方向、すなわち、D方向にて、単位面積当たりの金属量が漸減している。この場合、例えば、第1シールドパターン部15は、アライメントマーク26a側の第1の領域15aからアライメントマーク26b側の第2の領域15bに向かって、単位面積当たりの金属量が漸増している。このため、第1シールドパターン部15において、第1の領域15aと、第2の領域15bとでは、第2の領域15bの方が単位面積当たりの金属量が多い。これにより、例えば、保護フィルム52(図3参照)を、第1シールドパターン部15の第1の領域15a側からD方向に沿って剥がした場合、保護フィルムの剥離が終了に近く、剥離角θが大きくなところの第2の領域15bは単位面積当たりの金属量が多い。これにより、第1シールドパターン部15の剥離を抑制でき、金属量を必要以上に増やすことなく、剥離故障を抑制できる。
なお、面内の一方向は、図4に示すY方向に平行なD方向に限定されるものではなく、X方向に平行なD方向でもよい。この場合、例えば、第2シールドパターン部25が単位面積当たりの金属量が異なる領域を有する。第2シールドパターン部25において、アライメントマーク26d側の第1の領域25aと、アライメントマーク26b側の第2の領域25bとでは、単位面積当たりの金属量が異なり、第2の領域25bの方が多い。このとき、保護フィルム52(図3参照)を、第2シールドパターン部25の第1の領域25a側からD方向に沿って剥がした場合、保護フィルムの剥離が終了に近く、剥離角θが大きくなところの第2の領域25bは単位面積当たりの金属量が多い。これにより、第2シールドパターン部25の剥離を抑制でき、金属量を必要以上に増やすことなく、剥離故障が抑制される。
なお、第2シールドパターン部25の第1の領域25a側からD方向に沿って剥がす場合、第1シールドパターン部15の剥離を抑制する観点から、第1シールドパターン部15は、アライメントマーク26c側よりも、アライメントマーク26a側の第1シールドパターン部15の方が単位面積当たりの金属量が多いことが好ましい。このように、保護フィルム52を剥がす方向に応じて、周辺パターン部29を構成する金属含有部における単位面積当たりの金属量を調整することが好ましい。
また、金属含有部において、単位面積当たりの金属量が最も多い領域における金属量と、単位面積当たりの金属量が最も少ない領域における金属量との差が100μg/cm以上であることが好ましく、120~500μg/cmであることがより好ましい。
上述のように金属量との差が100μg/cm以上であれば、必要最低限の金属量で密着力を確実に確保できるため、好ましい。
単位面積当たりの金属量が最も多い領域における金属量が400μg/cm以上であることが好ましく、500~1000μg/cmであることがより好ましく、600~1000μg/cmであることがより一層好ましい。
単位面積当たりの金属量が最も多い領域における金属量が400μg/cm以上であれば、密着力がより強くなるため、好ましい。
周辺パターン部29の金属含有部として、第1シールドパターン部15及び第2シールドパターン部25について説明したが、第1シールドパターン部15及び第2シールドパターン部25に限定されるものではない。例えば、アライメントマーク27a、27b、27cにおいて、D方向にて、単位面積当たりの金属量が漸増していてもよい。この場合、3つのアライメントマーク27a、27b、27cにおいて、アライメントマーク27a、アライメントマーク27b及びアライメントマーク27cの順で、単位面積当たりの金属量が多くなっている。これにより、例えば、保護フィルム52を第1の領域15a側からD方向に沿って剥がした場合、アライメントマーク27a、27b、27cの剥離を抑制でき、金属量を必要以上に増やすことなく、剥離故障を抑制できる。
4つのアライメントマーク26a、26b、26c、26dについても、D方向にて、単位面積当たりの金属量が漸増していてもよい。この場合、4つのアライメントマーク26a、26b、26c、26dのうち、アライメントマーク26a、26cよりもアライメントマーク26b、26dの方が単位面積当たりの金属量が多い。これにより、例えば、保護フィルム52(図3参照)を第1の領域15a側からD方向に沿って剥がした場合、アライメントマーク26a、26b、26c、26dの剥離を抑制でき、金属量を必要以上に増やすことなく、剥離故障が抑制される。
ここで、導電部材1を製造する際には、例えば、図6に示すように、基材2の第1面2A上に複数の第1検知電極11、並びに周辺パターン部29として複数の第1引き出し配線13、複数の第1電極パッド14、第1シールドパターン部15、アライメントマーク26a、26b、26c、26d、アライメントマーク27a、27b、27c及びグランド線28が形成される。
さらに、図7に示すように、基材2の第2面2B上に複数の第2検知電極21、並びに周辺パターン部29として複数の第2引き出し配線、複数の第2電極パッド24及び第2シールドパターン部25が形成される。
なお、図6及び図7において、図3に示す構成と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
なお、第1検知電極11を構成する複数の導電性細線MW(図5参照)及び第2検知電極21を構成する複数の導電性細線MWの線幅は、観察者に視認されにくくするように、すなわち、視認性を確保するために、0.5μm以上10.0μm以下の範囲内に設定されることが好ましく、特に、1.0μm以上5.0μm以下の範囲内に設定されることがより好ましく、1.5μm以上3.0μm以下の範囲内に設定されることが特に好ましい。
また、第1引き出し配線13及び第2引き出し配線23の線幅は、十分な導電性を確保するために、5.0μm以上100.0μm以下、より好ましくは3.0μm以上20.0μm以下の範囲内に設定されることが好ましい。
また、第1検知電極11、第1引き出し配線13及び第1電極パッド14の厚みと、第2検知電極21、第2引き出し配線23及び第2電極パッド24の厚みは、前駆体フィルム1又はタッチセンサフィルム41を折り曲げた場合に断線等の故障を防止する観点と、十分な導電性を得る観点から、0.01μm~10.00μmが好ましく、0.05μm~3.00μmがより好ましく、0.10μm~1.00μmがさらに好ましい。
一対の第1シールドパターン部15及び第2シールドパターン部25の厚みは、複数の第1引き出し配線13又は複数の第2引き出し配線23を伝導する電気信号による電気的な干渉を抑制し、複数の導電部材1が重ね合わされた場合に、複数の導電部材1間の複数の第1検知電極11上及び複数の第2検知電極21上に十分な隙間を形成するために、2.0μm以上20.0μm以下が好ましい。
第1検知電極11及び第2検知電極21は、ひし形のメッシュ形状のパターンMPを有していることが説明されているが、メッシュの開口形状は、ひし形に限るものではなく、正三角形、正四角形、正六角形、その他の正多角形、又は、ランダムな形状を有する多角形でもよく、さらに、曲線を含む形状とすることもできる。
また、第1検知電極11及び第2検知電極21は、いずれもメッシュ状に配置された複数の導電性細線MWからなることが説明されているが、タッチセンサフィルム用の検知電極として使用できるものであれば、メッシュの形状は特に限定されない。第1検知電極11及び第2検知電極21を構成する導電性細線は金属を含む。
また、一対の第1シールドパターン部15及び第2シールドパターン部25は、可視光に対する遮蔽率が100%、すなわち、可視光を透過しない板形状を有することができる。
また、一対の第1シールドパターン部15及び第2シールドパターン部25は、複数の第1引き出し配線13及び複数の第2引き出し配線23を伝導する電気信号による電気的な干渉を抑制することができれば、複数の第1検知電極11及び複数の第2検知電極21と同様に、メッシュ形状を有することもできる。この場合に、一対の第1シールドパターン部15及び第2シールドパターン部25のメッシュ形状は、特に限定されず、例えば、ひし形、正三角形、正四角形、正六角形、その他の正多角形、ランダムな形状を有する多角形、又は、曲線を含む形状のいずれでもよい。
一対の第1シールドパターン部15及び第2シールドパターン部25がメッシュ形状を有する場合に、複数の第1引き出し配線13及び複数の第2引き出し配線23を伝導する電気信号による電気的な干渉を十分に抑制するため、一対の第1シールドパターン部15及び第2シールドパターン部25は、可視光に対して0.5%以上100%未満の遮蔽率を有することが好ましい。
ここで、一対の第1シールドパターン部15における可視光に対する遮蔽率は、図6に示す一対の第1シールドパターン部15が配置される領域の面積に対する一対の第1シールドパターン部15のXY面における面積の比率により算出される。また、第2シールドパターン部25における可視光に対する遮蔽率は、図7に示す第2シールドパターン部25が配置される領域の面積に対する第2シールドパターン部25のXY面における面積の比率により算出される。
また、一対の第1シールドパターン部15の設置範囲は、複数の第2引き出し配線23を伝導する電気信号による電気的な干渉を抑制できれば、複数の第2引き出し配線23が占有する領域のすべてを平面視で覆う範囲である必要はない、すなわち、複数の第2引き出し配線23が占有する領域の100%未満を覆っていればよい。複数の第2引き出し配線23を伝導する電気信号による電気的な干渉を抑制する目的においては、一対の第1シールドパターン部15の設置範囲は、平面視において、複数の第2引き出し配線23が占有する領域の50%以上を覆うことが好ましく、75%以上を覆うことが好ましく、90%以上を覆うことがさらに好ましい。
また、一対の第1シールドパターン部15の設置範囲は、複数の第2引き出し配線23が占有する領域よりも広くてもよい。一対の第1シールドパターン部15の設置範囲は、複数の第2引き出し配線23を伝導する電気信号による電気的な干渉を抑制する目的においては広い方が好ましく、複数の第2引き出し配線23が占有する領域よりも周囲10μm以上広い範囲であることが好ましい。
また、第2シールドパターン部25の設置範囲は、一対の第1シールドパターン部15と同様に、複数の第1引き出し配線13を伝導する電気信号による電気的な干渉を抑制できれば、複数の第1引き出し配線13が占有する領域のすべてを平面視で覆う範囲である必要はない、すなわち、複数の第1引き出し配線13が占有する領域の100%未満を覆っていればよい。第2シールドパターン部25の設置範囲は、平面視において、複数の第2引き出し配線23が占有する領域の50%以上を覆うことが好ましく、75%以上を覆うことが好ましく、90%以上を覆うことがさらに好ましい。
また、第2シールドパターン部25の設置範囲は、複数の第1引き出し配線13が占有する領域よりも広くてもよい。第2シールドパターン部25の設置範囲は、一対の第1シールドパターン部15の設置範囲と同様に、複数の第1引き出し配線13が占有する領域よりも周囲10μm以上広い範囲であることが好ましい。
以下では、実施の形態の導電部材1を構成する各部材について説明する。
<基材>
基材2は、透明であり、且つ電気的な絶縁性を有し、第1導電層3Aと第2導電層3Bとを支持することができれば、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂基板又はガラス基板等が用いられる。より具体的に、基材2を構成する材料として、例えば、ガラス、強化ガラス、無アルカリガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN:polyethylene naphthalate)、シクロオレフィンポリマー(COP:cyclo-olefin polymer)、環状オレフィン・コポリマー(COC:cyclic olefin copolymer)、ポリカーボネート(PC:polycarbonate)、アクリル樹脂、ポリエチレン(PE:polyethylene)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリスチレン(PS:polystylene)、ポリ塩化ビニル(PVC:polyvinyl chloride)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC:polyvinylidene chloride)、トリアセチルセルロース(TAC:cellulose triacetate)等を使用することができる。基材2の厚みは、例えば、20μm~1100μmが好ましく、20μm~500μmがより好ましい。特に、PETのような有機樹脂基板の場合は、厚み20μm~200μmであることが好ましく、30μm~100μmであることがより好ましい。
基材2の全光線透過率は、40%~100%であることが好ましい。全光透過率は、例えば、JIS K 7375:2008に規定される「プラスチック-全光線透過率及び全光線反射率の求め方」を用いて測定されるものである。
基材2の好適態様の1つとしては、大気圧プラズマ処理、コロナ放電処理及び紫外線照射処理からなる群から選択される少なくとも1つの処理が施された処理済基板が挙げられる。上述の処理が施されることにより、処理された基材2の表面にOH基等の親水性基が導入される。これにより、基材2と第1導電層3Aとの密着性及び基材2と第2導電層3Bとの密着性が向上する。また、上述の処理の中でも、基材2と第1導電層3Aとの密着性及び基材2と第2導電層3Bとの密着性がより向上する点で、大気圧プラズマ処理が好ましい。
<下塗り層>
基材2と第1導電層3Aとの密着性及び基材2と第2導電層3Bとの密着性を向上させるために、基材2と第1導電層3Aとの間及び基材2と第2導電層3Bとの間に、それぞれ、下塗り層を配置することもできる。この下塗り層は、高分子を含んでおり、基材2と第1導電層3Aとの密着性及び基材2と第2導電層3Bとの密着性がより向上する。
下塗り層の形成方法は特に限定されるものではないが、例えば、高分子を含む下塗り層形成用組成物を基板上に塗布して、必要に応じて加熱処理を施す方法が挙げられる。また、高分子を含む下塗り層形成用組成物として、ゼラチン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、無機又は高分子の微粒子を含むアクリル・スチレン系ラテックス等を使用してもよい。
なお、必要に応じて、導電部材1は、基材2と第1導電層3Aとの間及び基材2と第2導電層3Bとの間に、それぞれ、他の層として、上述の下塗り層以外に、屈折率調整層を備えていてもよい。屈折率調整層として、例えば、屈折率を調整する酸化ジルコニウム等の金属酸化物の粒子が添加された有機層を使用できる。
<アンチハレーション層>
アンチハレーション層は、例えば、ハロゲン化銀不含有層で構成される。ハロゲン化銀不含有層には、後述のゼラチンと特定高分子とが含まれるが、ハロゲン化銀不含有層には、ハロゲン化銀が含まれない。なお、アンチハレーシ層がない構成でもよい。
<クロスオーバーカット層>
後述の第1ハロゲン化銀含有層の下にクロスオーバーカット層を設けてもよい。
クロスオーバーカット層は、支持体の両面にハロゲン化銀含有層を有する場合の特有の層である。一方の面からの光が支持体を通して他方の面のハロゲン化銀含有層に影響して画質を劣化させる問題を解決するために用いられる層である。クロスオーバーカット層には、感光波長域に応じた染料を添加する。染料は、現像処理後に有害な吸収を残さないものであればどのようなものでも使用できる。
特に、染料を固体微粒子分散状態で添加するのが好ましい。染料を固体微粒子分散状態で添加する方法は、特開平2-264936号、特開平3-210553号、特開平3-210554号、特開平3-238447号、特開平4-14038号、特開平4-14039号、特開平4-125635号、特開平4-338747号、特開平6-27589号等に記載されている。使用できる染料は、例えば、特開平4-211542号記載の一般式(I)~(VII)の染料、化合物例I-1~I-37、II-1~II-6、III-1~III-36、IV-1~IV-16、V-1~V-6、VI-1~VI-13、VII-1~VII-5。特開平8-73767号記載の一般式(1)の染料、化合物例1~6。特開平8-87091号記載の一般式(VIII)~(XII)の染料、化合物例VIII-1~VIII-5、IX-1~IX-10、X-1~X-21、XI-1~XI-6、XII-1~XII-7。
<導電性細線>
導電性細線は、上述のように第1検知電極11及び第2検知電極21を構成する。
導電性細線は金属を含む金属細線である。金属は、導電性細線の導電性を担保する部分である。
金属としては、導電性がより優れる点で、銀(金属銀)、銅(金属銅)、金(金属金)、ニッケル(金属ニッケル)、パラジウム(金属パラジウム)、又は、これらのうちの2種以上の混合物が好ましく、銀、銅、又は、その混合物がより好ましく、銀が更に好ましくい。導電性細線に、金属として銀だけが含まれていてもよく、金属は全て銀で構成されることが好ましい。金属を全て銀で構成することにより、導電性細線の断線故障の発生が低下する。
例えば、金属は、導電性細線中に粒子状の形態で存在しているが、この形態には限定されず、金属が層状となって導電性細線中に分散した形態であってもよい。
また、導電性細線は、高分子を含んでもよい。この場合、金属粒子が、高分子中に離散して存在してもよく、高分子中に、金属粒子が凝集して凝集体として存在してもよい。高分子の種類は特に制限されず、公知の高分子を使用することができる。
高分子としては、後述する導電部材の製造方法の説明で述べられる導電性細線に含まれる高分子が挙げられ、後述する特定高分子が好ましい。
第1検知電極11及び第2検知電極21を構成する導電性細線MW、及び周辺パターン部の製造方法としては、ハロゲン化銀を使用した方法が採用できる。より具体的には、特開2014-209332号公報の段落0056~0114に記載の方法が挙げられる。ハロゲン化銀を使用した方法については、後に詳細に説明する。
第1検知電極11及び第2検知電極21を構成する導電性細線MW、及び周辺パターン部を、金属銀を用いた場合、すなわち、銀配線を用いて形成した場合、金属部に炭素原子、好ましくは、高分子を多く含む方が好ましい。高分子を含むことにより、耐久性、折り曲げ性、及び、ハンドリング適性を向上させることができる。高分子としては、ゼラチン、及び、後述するゼラチンとは異なる高分子等が好ましく、ゼラチン等の水溶性高分子であることがより好ましい。
また、第1検知電極11及び第2検知電極21を構成する導電性細線MWの視認性を向上させるために、観察者に視認される導電性細線MWの表面に黒化層を形成してもよい。黒化層としては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物又は金属硫化物等が使用され、代表的には、酸窒化銅、窒化銅、酸化銅又は酸化モリブデン等が使用できる。
<周辺パターン部>
周辺パターン部29は、金属含有部により構成され、導電性細線と同様に金属を含む。周辺パターン部29は、例えば、導電性細線と同様の金属を含む金属線で構成される。
周辺パターン部29は、導電部材において、第1検知電極11及び第2検知電極21以外の構成であり、上述のように周辺領域Eに設けられている。周辺パターン部29は、例えば、複数の第1引き出し配線13、複数の第1電極パッド14、第1シールドパターン部15、アライメントマーク26a、26b、26c、26d、アライメントマーク27a、27b、27c及びグランド線28である。
また、例えば、複数の第2引き出し配線23、複数の第2電極パッド24及び第2シールドパターン部25も周辺パターン部29である。
周辺パターン部29は、導電性細線と線幅等の形態が異なるが、組成及び構造等は上述の導電性細線と同様であるため、その詳細な説明は省略する。周辺パターン部29の各構成は、導電部材の用途、及び導電部材の仕様等に応じて、線幅等が適宜決定される。
なお、周辺パターン部29において、単位面積当たりの金属量等の金属含有部の構成は、上述の通りである。
(導電部材の製造方法)
以下、導電部材の製造方法について説明する。なお、導電部材の製造方法では、導電性細線及び周辺パターン部を銀配線を用いて形成することを例にしている。このため、特に断りがなければ、銀配線とは、導電性細線及び周辺パターン部のことである。
図8は本発明の実施形態の導電部材の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。
基材2の第1面2A上及び第2面2B上に下塗り層30を形成する第1の工程と、各下塗り層30上にアンチハレーション層31を形成する第2の工程と、各アンチハレーション層31上に、導電性細線及び周辺パターン部を形成する第3の工程とを有する。
基材として、例えば、PET基板が用いられる。
第1の工程では、図8に示すように基材2の第1面2A及び第2面2Bに、それぞれ、例えば、ポリマーラテックスを塗布して下塗り層30を形成する。
下塗り層30の形成方法は、特に限定されるものでなく、下塗り層形成用組成物を塗布して、必要に応じて硬化処理を施す方法が挙げられる。塗布方法としては、例えば、スピンコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、エアナイフコート法、スクリーンコート法、バーコート法、カーテンコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
なお、塗布後、必要に応じて硬化処理を実施してもよい。硬化処理としては、光硬化処理及び加熱処理が挙げられる。
第2の工程では、図8に示すように、各下塗り層30上に、ポリマーラテックスとゼラチンとを混合したハロゲン化銀不含有層形成用組成物を塗布して、アンチハレーション層31を形成する。
第3の工程は、一方のアンチハレーション層31上に、ハロゲン化銀を含むハロゲン化銀含有層を形成し、露光及び現像を行って、複数の第1検知電極11(図4参照)、複数の第1引き出し配線13(図4参照)、複数の第1電極パッド14(図4参照)、第1シールドパターン部15(図4参照)、アライメントマーク26a、26b、26c、26d(図4参照)、アライメントマーク27a、27b、27c(図4参照)及びグランド線28(図4参照)を形成する。
また、第3の工程は、他方のアンチハレーション層31上に、ハロゲン化銀を含むハロゲン化銀含有層を形成し、露光及び現像を行って、複数の第2検知電極21(図4参照)、複数の第2引き出し配線23(図4参照)、複数の第2電極パッド24(図4参照)、第2シールドパターン部25(図4参照)を形成する。
なお、第1検知電極11(図4参照)及び第2検知電極21(図4参照)は、ひし形のメッシュ形状のパターンMPであることから、露光パターンにより、メッシュパターン状に形成する。
より具体的には、第3の工程では、図8に示すように、各アンチハレーション層31上に、ハロゲン化銀を含むハロゲン化銀含有層40を形成する。このようにして、基材2と、ハロゲン化銀含有層40とをこの順で有する積層体43を作製する。
次に、各ハロゲン化銀含有層40上に、例えば、ポリマーラテックスとゼラチンとを混合した保護層形成用組成物を塗布して、保護層42を形成する。
次に、図9に示すように、積層体43における保護層42の基材2の第1面2A側の保護層42の面42aに、露光マスク44を配置する。また、基材2の第2面2B側の保護層42の面42bに、露光マスク44を配置する。
次に、露光マスク44に対して、平行光Lvをガラス基板45側から照射し、平行光Lvを用いて露光する。露光工程では、積層体43に対して、積算露光量が異なる領域があるように露光する。図9では露光マスク44を離して配置しているが、実際には露光マスク44を基材2に密着させて配置して、露光する。
なお、露光工程では、積層体43に対して、基材2の両面に同時に露光マスク44を介して露光してもよく、基材2の片面ずつ露光マスク44を介して露光してもよい。
露光マスク44には、開口部47を有するマスクが用いられる。具体的には、露光マスク44は、ガラス基板45に、遮光層46が設けられている。遮光層46は、光を特定のパターンで透過させる開口部47を有する。
また、露光マスク44を用いて露光したが、これに限定されるものではなく、露光マスク44を用いることなく、レーザー光を用いた直接描画露光でもよい。
以下、ハロゲン化銀を用いて露光及び現像を行う方法について、より具体的に説明する。
工程A:基材上に、ハロゲン化銀とゼラチンと特定高分子とを含むハロゲン化銀含有感光性層を形成する工程
工程B:ハロゲン化銀含有感光性層を露光した後、現像処理して、金属銀とゼラチンとゼラチンとは異なる高分子とを含む細線状の銀含有層を形成する工程
工程C:工程Bで得られた銀含有層に対して加熱処理を施す工程
工程D:工程Cで得られた銀含有層中のゼラチンを除去して、上記銀配線を形成する工程
工程E:工程Dで得られた銀配線に対してめっき処理を施して、銀配線を形成する工程
以下、各工程の手順について詳述する。
[工程A]
工程Aは、基材上に、ハロゲン化銀とゼラチンと特定高分子とを含むハロゲン化銀含有感光性層(以下、「感光性層」ともいう。)を形成する工程である。
まず、工程Aで使用される材料について詳述し、その後、工程Aの手順について詳述する。
(ハロゲン化銀)
ハロゲン化銀に含まれるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びフッ素原子のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、塩化銀、臭化銀、又は、ヨウ化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく、塩化銀又は臭化銀を主体としたハロゲン化銀がより好ましい。なお、塩臭化銀、ヨウ塩臭化銀、又は、ヨウ臭化銀も、好ましく用いられる。
ここで、例えば、「塩化銀を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中、全ハロゲン化物イオンに占める塩化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。この塩化銀を主体としたハロゲン化銀は、塩化物イオンのほかに、臭化物イオン及び/又はヨウ化物イオンを含んでいてもよい。
ハロゲン化銀は、通常、固体粒子状であり、ハロゲン化銀の平均粒子径は、球相当径で10~1000nmが好ましく、10~200nmがより好ましく、50~150nmが更に好ましい。
ハロゲン化銀の粒子の形状は特に制限されず、例えば、球状、立方体状、平板状(六角形平板状、三角形平板状、四角形平板状等)、八面体状、及び、十四面体状等の形状が挙げられる。
なお、球相当径とは、同じ体積を有する球形粒子の直径である。また、上記ハロゲン化銀の平均粒子径として用いられる「球相当径」は、平均値であり、100個の対象物の球相当径を測定して、それらを算術平均したものである。
(ゼラチン)
ゼラチンの種類は特に制限されず、例えば、石灰処理ゼラチン、及び、酸処理ゼラチンが挙げられる。また、ゼラチンの加水分解物、ゼラチンの酵素分解物、並びに、アミノ基及び/又はカルボキシル基で修飾されたゼラチン(フタル化ゼラチン、及び、アセチル化ゼラチン)等を用いてもよい。
(特定高分子)
感光性層には、ゼラチンと異なる高分子(特定高分子)が含まれる。この特定高分子が感光性層に含まれることにより、感光性層より形成される銀含有層及び銀配線(導電性細線及び周辺パターン部)の強度がより優れる。
特定高分子の種類、具体例及び形状等の特徴は、上述した通りである。
なかでも、特定高分子としては、以下の一般式(1)で表される高分子(共重合体)が好ましい。
一般式(1): -(A)x-(B)y-(C)z-(D)w-
なお、一般式(1)中、A、B、C、及びDはそれぞれ、下記一般式(A)~(D)で表される繰り返し単位を表す。
Figure 2023080680000002
1は、メチル基又はハロゲン原子を表し、メチル基、塩素原子、又は、臭素原子が好ましい。pは0~2の整数を表し、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
2は、メチル基又はエチル基を表し、メチル基が好ましい。
3は、水素原子又はメチル基を表し、水素原子が好ましい。Lは、2価の連結基を表し、下記一般式(2)で表される基が好ましい。
一般式(2):-(CO-X1)r-X2
一般式(2)中、X1は、酸素原子又はNR30-を表す。ここでR30は、水素原子、アルキル基、アリール基、又は、アシル基を表し、それぞれ置換基(例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、及び、ヒドロキシル基)を有してもよい。R30としては、水素原子、炭素数1~10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-ブチル基、及び、n-オクチル基)、又は、アシル基(例えば、アセチル基、及び、ベンゾイル基)が好ましい。X1としては、酸素原子又はNH-が好ましい。
2は、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基、又は、アルキレンアリーレンアルキレン基を表し、これらの基には-O-、-S-、-CO-、-COO-、-NH-、-SO2-、-N(R31)-、又は、-N(R31)SO2-等が途中に挿入されてもよい。R31は、炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。X2としては、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基、-CH2CH2OCOCH2CH2-、又は、-CH2CH2OCO(C64)-が好ましい。
rは0又は1を表す。
qは0又は1を表し、0が好ましい。
4は、アルキル基、アルケニル基、又は、アルキニル基を表し、炭素数5~50のアルキル基が好ましく、炭素数5~30のアルキル基がより好ましく、炭素数5~20のアルキル基が更に好ましい。
5は、水素原子、メチル基、エチル基、ハロゲン原子、又は、-CH2COOR6を表し、水素原子、メチル基、ハロゲン原子、又は、-CH2COOR6が好ましく、水素原子、メチル基、又は、-CH2COOR6がより好ましく、水素原子が更に好ましい。
6は、水素原子又は炭素数1~80のアルキル基を表し、R4と同じでも異なってもよく、R6の炭素数は1~70が好ましく、1~60がより好ましい。
一般式(1)中、x、y、z、及びwは各繰り返し単位のモル比率を表す。
xは、3~60モル%であり、3~50モル%が好ましく、3~40モル%がより好ましい。
yは、30~96モル%であり、35~95モル%が好ましく、40~90モル%がより好ましい。
zは、0.5~25モル%であり、0.5~20モル%が好ましく、1~20モル%がより好ましい。
wは、0.5~40モル%であり、0.5~30モル%が好ましい。
一般式(1)において、xは3~40モル%、yは40~90モル%、zは0.5~20モル%、wは0.5~10モル%の場合が好ましい。
一般式(1)で表される高分子としては、下記一般式(2)で表される高分子が好ましい。
Figure 2023080680000003
一般式(2)中、x、y、z及びwは、上記の定義の通りである。
一般式(1)で表される高分子は、上記一般式(A)~(D)で表される繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を含んでもよい。
他の繰り返し単位を形成するためのモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類、オレフィン類、クロトン酸エステル類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、アクリルアミド類、不飽和カルボン酸類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、ビニル異節環化合物、グリシジルエステル類、及び、不飽和ニトリル類が挙げられる。これらのモノマーとしては、特許第3754745号公報の段落0010~0022にも記載されている。疎水性の観点から、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類が好ましく、ヒドロキシアルキルメタクリレート又はヒドロキシアルキルアクリレートがより好ましい。
一般式(1)で表される高分子は、一般式(E)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
Figure 2023080680000004
上記式中、LEはアルキレン基を表し、炭素数1~10のアルキレン基が好ましく、炭素数2~6のアルキレン基がより好ましく、炭素数2~4のアルキレン基が更に好ましい。
一般式(1)で表される高分子としては、下記一般式(3)で表される高分子が特に好ましい。
Figure 2023080680000005
上記式中、a1、b1、c1、d1及びe1は各繰り返し単位のモル比率を表し、a1は3~60(モル%)、b1は30~95(モル%)、c1は0.5~25(モル%)、d1は0.5~40(モル%)、e1は1~10(モル%)を表す。
a1の好ましい範囲は上記xの好ましい範囲と同じであり、b1の好ましい範囲は上記yの好ましい範囲と同じであり、c1の好ましい範囲は上記zの好ましい範囲と同じであり、d1の好ましい範囲は上記wの好ましい範囲と同じである。
e1は、1~10モル%であり、2~9モル%が好ましく、2~8モル%がより好ましい。
特定高分子は、例えば、特許第3305459号公報及び特許第3754745号公報等を参照して合成できる。
特定高分子の重量平均分子量は特に制限されず、1000~1000000が好ましく、2000~750000がより好ましく、3000~500000が更に好ましい。
感光性層には、必要に応じて、上述した材料以外の他の材料が含まれていてもよい。
また、他の材料としては、特開2009-004348号公報の段落0220~0241に記載されるような、帯電防止剤、造核促進剤、分光増感色素、界面活性剤、カブリ防止剤、硬膜剤、黒ポツ防止剤、レドックス化合物、モノメチン化合物、及び、ジヒドロキシベンゼン類も挙げられる。
また、他の材料としては、粘度調整剤(例えば、増粘多糖類、セルロース類、水溶性ポリマー等)、造膜助剤(例えば、グリコール誘導体、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート等のジオール化合物等)、防腐剤、可塑剤、滑り材、有機又は無機又は有機無機の複合素材からなるフィラー類(例えば、PMMA(Poly Methyl Methacrylate)、ポリスチレン、コロイダルシリカ、ジルコニア、セルロースナノファイバー、CNT(カーボンナノチューブ)等)、及び、紫外線吸収剤等も挙げられる。
帯電防止剤は、ハロゲン化銀含有感光材料の帯電による異物の付着又は放電発光による意図せぬ感光による故障を防止することができ、好ましい。界面活性剤は、感光性層の塗布性、基材との密着性、並びに、ハロゲン化銀及びバインダーその他含有成分の分散性を制御できるため好ましい。
また、感光性層には、特開2009-004348号公報の段落0146~0158に記載の架橋剤又は硬化剤、段落0160~0170に記載の染料、段落0214~0217に記載の水溶性バインダーが含まれていてもよい。また、感光性層には、国際公開第2020/195622号の段落0079~0081に記載の金属安定化剤、段落0109~0118に記載の特定化合物が含まれていてもよい。更には、感光性層には、物理現像核が含まれていてもよい。
また、感光性層には、上記特定高分子同士を架橋するために使用される架橋剤が含まれていてもよい。架橋剤が含まれることにより、特定高分子同士間での架橋が進行し、ゼラチンが分解除去された際にも銀配線中の金属銀同士の連結が保たれる。これらゼラチン及び特定高分子以外の材料は、後述のハロゲン化銀不含有層及び/又は保護層に含有させてもよい。
(工程Aの手順)
工程Aにおいて上記成分を含む感光性層を形成する方法は特に制限されないが、生産性の点から、ハロゲン化銀とゼラチンと特定高分子とを含む感光性層形成用組成物を基材上に接触させ、基材上に感光性層を形成する方法が好ましい。
以下に、この方法で使用される感光性層形成用組成物の形態について詳述し、その後、工程の手順について詳述する。
(感光性層形成用組成物に含まれる材料)
感光性層形成用組成物には、上述したハロゲン化銀とゼラチンと特定高分子とが含まれる。なお、必要に応じて、特定高分子は粒子状の形態で感光性層形成用組成物中に含まれていてもよい。
感光性層形成用組成物には、必要に応じて、溶媒が含まれていてもよい。
溶媒としては、水、有機溶媒(例えば、アルコール類、ケトン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、及び、エーテル類)、イオン性液体、及び、これらの混合溶媒が挙げられる。
感光性層形成用組成物と基材とを接触させる方法は特に制限されず、例えば、感光性層形成用組成物を基材上に塗布する方法、及び、感光性層形成用組成物中に基材を浸漬する方法等が挙げられる。
なお、上記処理後、必要に応じて、乾燥処理を実施してもよい。
(ハロゲン化銀含有感光性層)
上記手順により形成された感光性層中には、ハロゲン化銀とゼラチンと特定高分子とが含まれる。
感光性層中におけるハロゲン化銀の含有量は特に制限されず、本発明の効果がより優れる点で、銀換算で3.0~20.0g/mが好ましく、5.0~15.0g/mがより好ましい。
銀換算とは、ハロゲン化銀が全て還元されて生成される銀の質量に換算したことを意味する。
感光性層中における特定高分子の含有量は特に制限されず、本発明の効果がより優れる点で、0.04~2.0g/m2が好ましく、0.08~0.40g/m2がより好ましい。
[工程B]
工程Bは、感光性層を露光した後、現像処理して、金属銀とゼラチンと特定高分子とを含む細線状の銀含有層を形成する工程である。
感光性層に上述のように露光マスク44(図9参照)を用いて露光処理を施すことにより、開口部47(図9参照)に応じた積算露光量にて露光し潜像が形成される。
露光はパターン状に実施してもよく、例えば、メッシュパターンを得るためには、メッシュ状の開口パターンを有するマスクを介して、露光する方法が挙げられる。
露光の際に使用される光の種類は特に制限されず、ハロゲン化銀に潜像を形成できるものであればよく、例えば、可視光線、紫外線、及び、X線が挙げられる。
露光された感光性層に現像処理を施すことにより、露光領域(潜像が形成された領域)では、金属銀が析出する。
現像処理の方法は特に制限されず、例えば、銀塩写真フィルム、印画紙、印刷製版用フィルム、及び、フォトマスク用エマルジョンマスクに用いられる公知の方法が挙げられる。
現像処理では、通常、現像液を用いる。現像液の種類は特に制限されず、例えば、PQ(phenidone hydroquinone)現像液、MQ(Metol hydroquinone)現像液、及び、MAA(メトール・アスコルビン酸)現像液が挙げられる。
本工程は、未露光部分のハロゲン化銀を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を更に有していてもよい。
定着処理は、現像と同時及び/又は現像の後に実施される。定着処理の方法は特に制限されず、例えば、銀塩写真フィルム、印画紙、印刷製版用フィルム、及び、フォトマスク用エマルジョンマスクに用いられる方法が挙げられる。
定着処理では、通常、定着液を用いる。定着液の種類は特に制限されず、例えば、「写真の化学」(笹井著、株式会社写真工業出版社)p321記載の定着液が挙げられる。
上記処理を実施することにより、金属銀とゼラチンと特定高分子とを含む、細線状の銀含有層が形成される。
銀含有層の線幅を調整する方法としては、例えば、露光時に使用される露光マスクの開口部の開口幅を調整する方法が挙げられる。
また、露光時に露光マスクを使用する際には、露光量を調整することにより、形成される銀含有層の幅を調整することもできる。例えば、露光マスクの開口部の開口幅が目標とする銀含有層の幅よりも狭い場合には、露光量を通常よりも増加させることにより、潜像が形成される領域の幅を調整できる。
なお、上述した、周辺パターン内部の金属原子数比率が50%以上の領域における、炭素原子/金属原子の原子数比率の比率を調整するためには、検出電極に対する周辺パターンの大きさを調整する方法が挙げられる。検出電極に対する周辺パターンの大きいと、後述する工程Dの際に、周辺パターンからゼラチンが除去しづらくなり、結果として、炭素原子の比率が高い周辺パターンを形成できる。
[工程C]
工程Cは、工程Bで得られた銀含有層に対して加熱処理を施す工程である。本工程を実施することにより、銀含有層中の特定高分子間での融着が進行し、銀含有層の強度が向上する。
加熱処理の方法は特に制限されず、銀含有層と過熱蒸気とを接触させる方法、及び、温調装置(例えば、ヒーター)で銀含有層を加熱する方法が挙げられ、銀含有層と過熱蒸気とを接触させる方法が好ましい。
過熱蒸気としては、過熱水蒸気でもよいし、過熱水蒸気に他のガスを混合させたものでもよい。
過熱蒸気と銀含有層との接触時間は特に制限されず、10~70秒間が好ましい。
過熱蒸気の供給量は、500~600g/m3が好ましく、過熱蒸気の温度は、1気圧で100~160℃(好ましくは100~120℃)が好ましい。
温調装置で銀含有層を加熱する方法における加熱条件としては、100~200℃(好ましくは100~150℃)で1~240分間(好ましくは60~150分間)加熱する条件が好ましい。
[工程D]
工程Dは、工程Cで得られた銀含有層中のゼラチンを除去して、上記銀配線を形成する工程である。本工程を実施することにより、銀含有層からゼラチンが除去され、内部に空隙が形成された上記銀配線が形成される。この空隙に後述するめっき液が浸入し、金属めっきが形成される。
なお、ゼラチンを除去する際には、銀含有層中のゼラチンの全てを除去してもよいし、ゼラチンの一部が残るように除去してもよい。中でも、本発明の効果がより優れる点で、ゼラチンの一部が残るように工程Dを実施することが好ましい。
ゼラチンを除去する方法は特に制限されず、例えば、タンパク質分解酵素を用いる方法(以下、「方法1」ともいう。)、及び、酸化剤を用いてゼラチンを分解除去する方法(以下、「方法2」ともいう。)が挙げられる。
タンパク質分解酵素を用いてゼラチンを除去する処理のことを酵素処理ともいう。
方法1において用いられるタンパク質分解酵素としては、ゼラチン等のタンパク質を加水分解できる植物性又は動物性酵素で公知の酵素が挙げられる。
タンパク質分解酵素としては、例えば、ペプシン、レンニン、トリプシン、キモトリプシン、カテプシン、パパイン、フィシン、トロンビン、レニン、コラゲナーゼ、ブロメライン、及び、細菌プロテアーゼが挙げられ、トリプシン、パパイン、フィシン、又は、細菌プロテアーゼが好ましい。
方法1における手順としては、銀含有層と上記タンパク質分解酵素とを接触させる方法であればよく、例えば、銀含有層とタンパク質分解酵素を含む処理液(以下、「酵素液」ともいう。)とを接触させる方法が挙げられる。接触方法としては、銀含有層を酵素液中に浸漬させる方法、及び、銀含有層上に酵素液を塗布する方法が挙げられる。
酵素液中におけるタンパク質分解酵素の含有量は特に制限されず、ゼラチンの分解除去の程度が制御しやすい点で、酵素液全量に対して、0.05~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
酵素液には、上記タンパク質分解酵素に加え、通常、水が含まれる。
酵素液には、必要に応じて、他の添加剤(例えば、pH(水素イオン指数)緩衝剤、抗菌性化合物、湿潤剤、及び、保恒剤)が含まれていてもよい。
酵素液のpHは、酵素の働きが最大限得られるように選ばれるが、一般的には、5~9が好ましい。
酵素液の温度は、酵素の働きが高まる温度、具体的には20~45℃が好ましい。
なお、必要に応じて、酵素液での処理後に、得られた銀含有層を温水にて洗浄する洗浄処理を実施してもよい。
洗浄方法は特に制限されず、銀含有層と温水とを接触させる方法が好ましく、例えば、温水中に銀含有層を浸漬する方法、及び、銀含有層上に温水を塗布する方法が挙げられる。
温水の温度は使用されるタンパク質分解酵素の種類に応じて適宜最適な温度が選択され、生産性の点から、20~80℃が好ましく、40~60℃がより好ましい。
温水と銀含有層との接触時間(洗浄時間)は特に制限されず、生産性の点から、1~600秒間が好ましく、10~180秒間がより好ましい。
方法2で用いられる酸化剤としては、ゼラチンを分解できる酸化剤であればよく、標準電極電位が+1.5V以上である酸化剤が好ましい。なお、ここで標準電極電位とは、酸化剤の水溶液中における標準水素電極に対する標準電極電位(25℃、E0)を意図する。
上記酸化剤としては、例えば、過硫酸、過炭酸、過リン酸、次過塩素酸、過酢酸、メタクロロ過安息香酸、過酸化水素水、過塩素酸、過ヨウ素酸、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、オゾン、次亜塩素酸又はその塩等が挙げられるが、生産性、経済性の観点で、過酸化水素水(標準電極電位:1.76V)、次亜塩素酸又はその塩が好ましく、次亜塩素酸ナトリウムがより好ましい。
方法2における手順としては、銀含有層と上記酸化剤とを接触させる方法であればよく、例えば、銀含有層と酸化剤を含む処理液(以下、「酸化剤液」ともいう。)とを接触させる方法が挙げられる。接触方法としては、銀含有層を酸化剤液中に浸漬させる方法、及び、銀含有層上に酸化剤液を塗布する方法が挙げられる。
酸化剤液に含まれる溶媒の種類は特に制限されず、水、及び、有機溶媒が挙げられる。
[工程E]
工程Eは、上記銀配線に対してめっき処理を施して、銀配線を形成する工程である。本工程を実施することにより、銀配線中に金属(めっき金属)が充填された銀配線が形成される。特に、上述した工程A~Dを実施して得られた銀配線中には、ゼラチンを除去することにより形成された空間があるため、この空間中に金属(めっき金属)が充填される。
めっき処理の種類は特に制限されないが、無電解めっき(化学還元めっき、又は、置換めっき)及び電解めっきが挙げられ、無電解めっきが好ましい。無電解めっきとしては、公知の無電解めっき技術が用いられる。
めっき処理としては、例えば、銀めっき処理、銅めっき処理、ニッケルめっき処理、及び、コバルトめっき処理が挙げられ、銀配線の電気抵抗がより小さい点で、銀めっき処理又は銅めっき処理が好ましく、銀めっき処理がより好ましい。
めっき処理で用いられるめっき液に含まれる成分は特に制限されないが、通常、溶媒(例えば、水)の他に、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)、4.pH調整剤が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤等、公知の添加剤が含まれていてもよい。
めっき液に含まれるめっき用の金属イオンの種類は析出させたい金属種に応じて適宜選択でき、例えば、銀イオン、銅イオン、ニッケルイオン、及び、コバルトイオンが挙げられる。
めっき液のpHは特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、温度25℃において、アルカリ性が好ましく、8.5~11.0がより好ましく、9.0~10.5が更に好ましい。
上述のめっき処理の手順は特に制限されず、銀配線とめっき液とを接触させる方法であればよく、例えば、めっき液中に銀配線を浸漬させる方法が挙げられる。例えば、図10に示すようにめっき液62を入れたタンク内に、酵素処理した積層体43を、予め定められた速度でめっき液62に浸漬していき、図11に示すように積層体43を全て浸漬する。積層体43が完全に浸漬してから予め定められた時間待機後、タンク60から取り出す。
また、積層体43をめっき液に浸漬する方向は、例えば、上述のD方向に相当する。
銀塩法で作製した感光性層形成用組成物の銀量又はめっき液の反応性によって、面内方向において、単位面積当たりの金属量を変えることができる。
めっき液に接触した後に、銀配線を水で洗浄したり、pH3~7の酸性溶液で中和洗浄してもよく、酸性溶液のpHは4~6であることがより好ましい。酸性溶液は、pH3~7であれば、めっき液由来の亜硫酸から硫黄等が発生することがない。また、めっき液のpHの上昇も抑制され、めっき反応を停止できる。酸性溶液は、めっき停止液として機能する。
酸性溶液は、緩衝作用を有することが好ましく、固形分濃度が0.1質量%以上であれば十分な緩衝能力を発揮するため好ましい。
めっき液の温度は、10~40℃が好ましく、15~30℃がより好ましい。
接触時間は特に制限されず、本発明の効果がより優れる点、及び、生産性の点から、5~60秒が好ましい。
[工程F]
工程Aの前に、基材上にゼラチン及び特定高分子を含むハロゲン化銀不含有層を形成する工程Fを実施してもよい。本工程を実施することにより、基材とハロゲン化銀含有感光性層との間にハロゲン化銀不含有層が形成される。このハロゲン化銀不含有層は、いわゆるアンチハレーション層の役割を果たすと共に、銀配線と基材との密着性向上に寄与する。
ハロゲン化銀不含有層には、上述したゼラチンと特定高分子とが含まれる。一方、ハロゲン化銀不含有層には、ハロゲン化銀が含まれない。
ハロゲン化銀不含有層中における、ゼラチンの質量に対する、特定高分子の質量の比(特定高分子の質量/ゼラチンの質量)は特に制限されず、0.1~5.0が好ましく、1.0~3.0がより好ましい。
ハロゲン化銀不含有層中の特定高分子の含有量は特に制限されず、0.03g/m2以上の場合が多く、銀配線の密着性がより優れる点で、1.0g/m2以上が好ましい。上限は特に制限されないが、1.63g/m2以下の場合が多い。
ハロゲン化銀不含有層の形成方法は特に制限されず、例えば、ゼラチンと特定高分子とを含有する層形成用組成物を基材上に塗布して、必要に応じて加熱処理を施す方法が挙げられる。
層形成用組成物には、必要に応じて溶媒が含まれていてもよい。溶媒の種類は、上述した感光性層形成用組成物で使用される溶媒が例示される。
ハロゲン化銀不含有層の厚みは特に制限されず、0.05μm以上の場合が多く、銀配線の密着性がより優れる点で、1.0μm超が好ましく、1.5μm以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、3.0μm未満であることが好ましい。
[工程G]
工程Aの後で工程B(露光現像工程)の前に、ハロゲン化銀含有感光性層上にゼラチンと特定高分子とを含む保護層を形成する工程Gを実施してもよい。保護層を設けることにより、感光性層の擦り傷防止及び力学特性を改良できる。
保護層中における、ゼラチンの質量に対する、特定高分子の質量の比(特定高分子の質量/ゼラチンの質量)は特に制限されず、0超2.0以下が好ましく、0超1.0以下がより好ましい。
また、保護層中の特定高分子の含有量は特に制限されず、0g/m2超0.3g/m2以下が好ましく、0.005~0.1g/m2がより好ましい。
保護層の形成方法は特に制限されず、例えば、ゼラチンと特定高分子とを含む保護層形成用組成物をハロゲン化銀含有感光性層上に塗布して、必要に応じて加熱処理を施す方法が挙げられる。
保護層形成用組成物には、必要に応じて溶媒が含まれていてもよい。溶媒の種類は、上述した感光性層形成用組成物で使用される溶媒が例示される。
保護層の厚みは特に制限されず、0.03~0.3μmが好ましく、0.075~0.20μmがより好ましい。
なお、上述した工程F、工程A及び工程Gは、同時重層塗布によって同時に実施してもよい。
[工程H]
工程Dの後で工程Eの前に、工程Dで得られた銀配線と有機酸を含む溶液とを接触させる工程を実施してもよい。本工程を実施することにより有機酸が銀配線の表面に付着し、工程Eのめっき処理の際に、銀配線表面でのめっき析出を抑制し、内部にめっき液がより浸透しやすくなる。結果として、銀配線内で金属(金属めっき)が析出しやすくなり、銀配線の導電性が向上する。
以下では、まず、本工程で使用される溶液について詳述し、その後、工程の手順について詳述する。
有機酸を含む溶液(以下、単に「第1溶液」ともいう。)に含まれる有機酸の種類は特に制限されず、炭素原子を含む酸であればよく、例えば、カルボン酸(カルボキシ基を有する有機化合物)、スルホン酸(スルホン酸基を有する有機化合物)、及び、ホスホン酸(ホスホン酸基を有する有機化合物)が挙げられる。中でも、カルボン酸が好ましい。
有機酸(例えば、カルボン酸)の分子量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、60~400が好ましく、90~300がより好ましい。
カルボン酸は、1価のカルボン酸であってもよいし、2価以上(多価)のカルボン酸であってもよく、本発明の効果がより優れる点で、多価のカルボン酸が好ましい。2価以上のカルボン酸としては、2~7価のカルボン酸が好ましく、2~4価のカルボン酸がより好ましい。
なお、上記価数は、カルボキシ基が含まれる数を表し、1価のカルボン酸はカルボキシ基を1つ有する化合物である。
カルボン酸は、カルボキシ基以外の他の極性基(例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボニル基、エーテル基)を有していてもよい。
第1溶液には溶媒が含まれる。溶媒の種類は特に制限されず、水、有機溶媒(例えば、アルコール類、ケトン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、及び、エーテル類)、イオン性液体、及び、これらの混合溶媒が挙げられる。中でも、水が好ましい。
第1溶液中における有機酸の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、第1溶液全質量に対して、0.2~5質量%が好ましく、0.5~3質量%がより好ましい。
銀配線と第1溶液とを接触させる方法は特に制限されず、銀配線を有する基材を第1溶液中に浸漬させる方法、及び、銀配線上に第1溶液を塗布する方法が挙げられる。
銀配線と第1溶液との接触時間は特に制限されず、5~180秒間が好ましく、20~120秒間が好ましい。
銀配線と第1溶液との接触時の第1溶液の温度は特に制限されないが、30~100℃が好ましく、65~95℃がより好ましい。
銀配線と第1溶液とを接触させた後、必要に応じて、銀配線を溶媒(例えば、水)で洗浄してもよい。
<用途>
導電部材は、種々の用途に適用でき、上述のタッチパネル又はタッチセンサー以外に、半導体チップ、各種電気配線板、FPC(Flexible Printed Circuits)、COF(Chip on Film)、TAB(Tape Automated Bonding)、アンテナ、多層配線基板、及び、マザーボード等の種々の用途に適用できる。なかでも、導電部材は、タッチパネルのうち、静電容量式タッチパネルに用いることが好ましい。
導電部材をタッチパネルに用いる場合、上述のように導電性細線は検出電極として有効に機能し得る。なお、導電部材をタッチパネルに用いる場合、上述した所定の特性を有する導電性細線とは別に、導電性細線とは構成が異なる導電部を有していてもよい。この導電部は、上述した導電性細線と電気的に接続して、導通していてもよい。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の導電部材について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、及び、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、実施例1~6及び比較例1について、剥離故障を評価した。以下、実施例1~6及び比較例1について説明する。
<実施例1>
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
温度30℃、pH4.5に保たれた下記1液に、下記の2液及び3液の各々90%に相当する量を、1液を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて、得られた溶液に下記4液及び5液を8分間にわたって加え、更に、下記の2液及び3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、核粒子を0.10μmまで成長させた。更に、得られた溶液にヨウ化カリウム0.15gを加え、5分間熟成し、粒子形成を終了した。
1液:
水 750ml
ゼラチン 8.6g
塩化ナトリウム 3g
1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
2液:
水 300ml
硝酸銀 150g
3液:
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 7ml
4液:
水 100ml
硝酸銀 50g
5液:
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
その後、常法に従ってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、上述の得られた溶液の温度を35℃に下げ、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.6±0.2の範囲であった)。次に、得られた溶液から上澄み液を約3リットル除去した(第1水洗)。次に、上澄み液を除去した溶液に、3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度、得られた溶液から上澄み液を3リットル除去した(第2水洗)。第2水洗と同じ操作を更に1回繰り返して(第3水洗)、水洗及び脱塩工程を終了した。水洗及び脱塩後の乳剤をpH6.4、pAg7.5に調整し、ゼラチン2.5g、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mg及び塩化金酸10mgを加え、55℃にて最適感度を得るように化学増感を施した。その後、更に、得られた乳剤に、安定剤として1,3,3a,7-テトラアザインデン100mg、及び、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に得られた乳剤は、沃化銀を0.08モル%含み、塩臭化銀の比率を塩化銀70モル%、臭化銀30モル%とする、平均粒子径(球相当径)120nm、変動係数9%の塩臭化銀立方体粒子乳剤であった。
(感光性層形成用組成物の調製)
上述の乳剤に1,3,3a,7-テトラアザインデン(1.2×10-4モル/モルAg)、ハイドロキノン(1.2×10-2モル/モルAg)、クエン酸(3.0×10-4モル/モルAg)、2,4-ジクロロ-6-ヒドロキシ-1,3,5-トリアジンナトリウム塩(0.90g/モルAg)、及び、微量の硬膜剤を添加し、組成物を得た。次に、クエン酸を用いて組成物のpHを5.6に調整した。
上述の組成物に、下記(P-1)で表される高分子(以下、「高分子1」ともいう。)とジアルキルフェニルPEO(PEOはポリエチレンオキシドの略号である。)硫酸エステルからなる分散剤と水とを含有するポリマーラテックス(高分子1の質量に対する分散剤の質量の比(分散剤の質量/高分子1の質量、単位はg/g)が0.02であって、固形分含有量が22質量%である。)を、組成物中のゼラチンの合計質量に対する、高分子1の質量の比(高分子1の質量/ゼラチンの質量、単位g/g)が0.25/1となるように添加して、ポリマーラテックス含有組成物を得た。ここで、ポリマーラテックス含有組成物において、ハロゲン化銀由来の銀の質量に対するゼラチンの質量の比(ゼラチンの質量/ハロゲン化銀由来の銀の質量、単位はg/gである。)は0.11であった。
更に、架橋剤としてEPOXY RESIN DY 022(商品名:ナガセケムテックス株式会社製)を添加した。なお、架橋剤の添加量は、後述するハロゲン化銀含有感光性層中における架橋剤の量が0.09g/m2となるように調整した。
以上のようにして感光性層形成用組成物を調製した。
なお、高分子1は、特許第3305459号公報及び特許第3754745号公報を参照して合成した。
Figure 2023080680000006
(感光性層形成工程)
厚み40μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの両面に上述のポリマーラテックスを塗布して、厚み0.05μmの下塗り層を設けた。
次に、下塗り層上に、上述のポリマーラテックスとゼラチンとを混合したハロゲン化銀不含有層形成用組成物と、上述の感光性層形成用組成物と、ポリマーラテックスとゼラチンとを混合した保護層形成用組成物とを、同時重層塗布し、下塗り層上にハロゲン化銀不含有層と、ハロゲン化銀含有感光性層と、保護層とを形成した。
なお、ハロゲン化銀不含有層の厚みは2.0μmであり、ハロゲン化銀不含有層中における高分子1とゼラチンとの混合質量比(高分子1/ゼラチン)は2/1であり、高分子1の含有量は1.3g/m2であった。
また、ハロゲン化銀含有感光性層の厚みは2.5μmであり、ハロゲン化銀含有感光性層中における高分子1とゼラチンとの混合質量比(高分子1/ゼラチン)は0.25/1であり、高分子1の含有量は0.19g/m2であった。
また、保護層の厚みは0.15μmであり、保護層中における高分子1とゼラチンとの混合質量比(高分子1/ゼラチン)は0.1/1であり、高分子1の含有量は0.015g/m2であった。
(露光処理)
作製した感光性層に、露光マスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光し、線幅が1.5μmとなるメッシュ状のパターンと、周辺パターン部とを形成した。
周辺パターン部については、シールドパターンとして5mm×35mmの長方形、及び3mm×25mmの長方形、アラインメントマークとして1辺が4mmの正方形、直径が6.5mmの円、及び直径が3mmの円を形成した。
(現像処理)
露光後、下記の現像液で現像し、さらに定着液(商品名:CN16X用N3X-R:富士フイルム株式会社製)を用いて現像処理を行った後、純水でリンスし、その後乾燥した。
現像液の組成:
現像液1リットル(L)中に、以下の化合物が含まれる。
ハイドロキノン 0.037mol/L
N-メチルアミノフェノール 0.016mol/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140mol/L
水酸化ナトリウム 0.360mol/L
臭化ナトリウム 0.031mol/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187mol/L
(加熱処理)
さらに、110℃の過熱蒸気槽に30秒間静置して、加熱処理を行った。
(酵素処理)
加熱処理後の基材に対して、タンパク質分解酵素(ナガセケムテックス株式会社製ビオプラーゼAL-15FG)の水溶液(タンパク質分解酵素の濃度:0.5質量%、液温:40℃)への浸漬を90秒間行った。次いで、温水槽(液温:50℃)に90秒間通じ、洗浄した。次いで、温水洗槽から出た基材の表面に付着する水洗液をエアナイフで水切りを行った。
(有機酸処理)
酵素処理後の基材を、1質量%のグルタル酸水溶液(70℃)に2分間浸漬した。基材をグルタル酸水溶液から取り出し、基材を30℃の水に5秒間浸漬して、洗浄した。グルタル酸は富士フイルム和光純薬株式会社製を用いた。
(めっき処理)
以下に示す組成のめっき反応液Aとめっき反応液Bとを1:1の割合で混合し、図10のタンク60に入れた。タンク60には、混合しためっき液62が入っている。
有機酸処理した基材63を2m/分で徐々にめっき液62に浸漬していき、図11に示すように基材63を全て浸漬した。基材63が完全に浸漬してから45秒待機後、タンク60から取り出し、水洗槽(図示せず)に浸漬し、めっき液を洗浄した(水洗処理)。水洗槽から取り出した基材の表面に付着した水洗液をエアナイフで水切りした。同様のめっき液への浸漬、及び水洗処理を合計3回行った。
(めっき反応液Aの組成)
・硝酸銀 46g
・亜硫酸ナトリウム 86g
・チオ硫酸ナトリウム 57g
・純水 940g
(めっき反応液Bの組成)
・亜硫酸ナトリウム 70g
・メチルハイドロキノン 20g
・クエン酸三ナトリウム 10g
・炭酸カリウム 12g
・水酸化ナトリウム 1.5g
・純水 930g
(めっき後の処理)
温水槽(液温:50℃)に90秒間通じ、洗浄した。温水槽から取り出した基材の表面に付着した水洗液をエアナイフで水切りした。基材を温度65℃の乾燥オーブンに入れ乾燥させた。最後に基材を温度85℃、相対湿度85%の湿熱蒸気槽に入れ、1時間加熱蒸気処理を行った。
以上の処理プロセスにより、基材上に、線幅が1.5μmとなるメッシュ状のパターンの導電性細線と、周辺パターン部とを作製した。
周辺パターン部については、シールドパターンとして5mm×35mmの長方形、及び3mm×25mmの長方形、アラインメントマークとして1辺が4mmの正方形、直径が6.5mmの円、及び直径が3mmの円を形成した。
<実施例2~6>
実施例2は、浸漬速度を1.2m/分とし、待機時間を30秒とした以外は、実施例1と同じとした。
実施例3は、浸漬速度を1.2m/分とし、待機時間を20秒とした以外は、実施例1と同じとした。
実施例4は、浸漬速度を2.7m/分とし、待機時間を11秒とした以外は、実施例1と同じとした。
実施例5は、浸漬速度を2.4m/分とし、待機時間を11秒とした以外は、実施例1と同じとした。
実施例6は、浸漬速度を2.0m/分とし、待機時間を11秒とした以外は、実施例1と同じとした。
<比較例1>
比較例1は、浸漬速度を18m/分とし、待機時間を12秒とした以外は、実施例1と同じとした。
(金属密度)
金属密度は、単位面積当たりの金属量に相当するものであり、蛍光X線(XRF)分析法によって、3mm×25mmの長方形の両端を測定した。金属密度については、予め銀量がわかっている試料のスペクトル強度を測定し検量線を得た。次に、測定した領域のスペクトル強度を検量線に従って銀量に変換して、測定した領域の金属密度を得た。
なお、スペクトル強度の測定条件は、Ag-Kα線を用い、スポット径を3mmとした。蛍光X線(XRF)分析には株式会社リガク製 ZSX PrimusIIを用いた。
また、金属密度の測定結果から、金属密度が高い領域と、金属密度が低い領域とを特定した。これにより、金属密度が高い領域の金属密度と、金属密度が低い領域の金属密度とを、それぞれ得た。
(剥離故障)
剥離故障では、作製した導電部材の両面に保護フィルムを貼合した。保護フィルムは、ハンディローラーでめっき時に先に浸漬した部分と反対側から貼合した。貼合した保護フィルムは片面ずつ、めっき時に先に浸漬した部分の反対側から剥がし始め、先に浸漬した部分を最後に剥離した。このような方法で、100枚剥離した場合に、目視で基材の周辺パターン部に欠けの発生が認められた枚数を剥離故障率と定義した。剥離故障では、目視で基材の周辺パターン部に欠けの発生が認められた枚数を、単位パーセント(%)で示した。剥離故障の結果を下記表1に示す。
なお、保護フィルムにSRL-0753(品名、リンテック株式会社製)を用いた。
保護フィルムの剥がし方としては、両面に保護フィルムが貼合された導電部材を平らな机の上に置き、四隅の内1つの角から1m/sの速度で保護フィルムを剥離した。
Figure 2023080680000007
表1に示すように、実施例1~6は、比較例1に比して剥離故障が少ない。
実施例1~6から、密度差が100μg/cm以上であると、剥離故障がより少なくなる。
1 導電部材
2 基材
2A 第1面
2B 第2面
3A 第1導電層
3B 第2導電層
5 透明絶縁基板
11 第1検知電極
13 第1引き出し配線
14 第1電極パッド
15 第1シールドパターン部
15a 第1の領域
15b 第2の領域
21 第2検知電極
23 第2引き出し配線
24 第2電極パッド
25 第2シールドパターン部
25a 第1の領域
25b 第2の領域
26a、26b、26c、26d アライメントマーク
27a、27b、27c アライメントマーク
28 グランド線
29 周辺パターン部
30 下塗り層
31 アンチハレーション層
40 ハロゲン化銀含有層
41 タッチセンサフィルム
42 保護層
42a、42b 面
43 積層体
44 露光マスク
45 ガラス基板
46 遮光層
47 開口部
50 導電部材
50a 表面
52 保護フィルム
52b 裏面
60 タンク
62 めっき液
63 基材
E1 検知領域
E2 周辺領域
Lv 平行光
MP パターン
MW 導電性細線
θ 剥離角

Claims (4)

  1. 基材と、導電性細線と、周辺パターン部とを有し、
    周辺パターン部を構成する金属含有部の少なくとも1つが、面内方向において、単位面積当たりの金属量が異なる領域を有する、導電部材。
  2. 前記金属含有部において、面内の一方向にて、単位面積当たりの金属量が漸増している、請求項1に記載の導電部材。
  3. 前記金属含有部において、単位面積当たりの金属量が最も多い領域における金属量と、単位面積当たりの金属量が最も少ない領域における金属量との差が、100μg/cm以上である、請求項1又は2に記載の導電部材。
  4. 単位面積当たりの金属量が最も多い領域における金属量が、400μg/cm以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電部材。
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