JP2023079595A - 燃料電池セルの積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023079595000001
【課題】 ロールツーロール方式の燃料電池セルの積層体の製造方法に於いて、バックシート上に離型剤層を介して接着された電解質膜に触媒電極層を形成し、その上にガス拡散層を接合した後に、バックシートを離型剤層と共に電解質膜から剥離する際に、離型剤層が電解質膜上に残留しないようにする。
【解決手段】 ロールツーロール方式の燃料電池セルの積層体の製造方法は、バックシート上に離型剤層を介して接着された電解質膜上に水を主成分として含有する溶媒を適用する工程と、電解質膜上に、水を主成分として含有する溶媒の適用後に、触媒電極層となるペーストを適用して触媒電極層を形成する工程と、触媒電極層の上にガス拡散層を接合する工程と、バックシートを離型剤層と共に電解質膜から剥離する工程とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池セルに於ける電解質膜と触媒電極層とガス拡散層とを積層して成る積層体の製造方法に係り、より詳細には、所謂「ロールツーロール方式」にて燃料電池セルの積層体を製造する方法に係る。
燃料電池セルは、電解質膜をその両側から一対の触媒電極層と一対のガス拡散層とで挟持して成る積層体の構成を有するところ、かかる積層体を量産する手法の一つとして、「ロールツーロール方式」による積層体の製造方法が用いられている。かかるロールツーロール方式により燃料電池セルの積層体を製造する方法の一つの態様に於いては、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂から成るシート(バックシート)上に離型剤層を介して電解質膜を積層してなるシート状部材を複数のロール上にて搬送しながら、電解質膜上に一方の触媒電極層(典型的にはアノード側)となるペーストが適用され、かかる触媒電極層に膜状部材であるガス拡散層が加熱圧着され、しかる後に、シート状部材に於いて、電解質膜からバックシートが離型剤層と共に剥離される。そして、離型剤層が剥離され露出した電解質膜の面にもう一方の触媒電極層(典型的にはカソード側)が適用され、その上にもう一方のガス拡散層が加熱圧着されることとなる。上記の如きロールツーロール方式の燃料電池セルの積層体の製造方法に於いて、電解質膜からバックシートを離型剤層と共に剥離する際に、条件によっては離型剤層の一部が電解質膜に残ってしまうことがある。この点に関し、特許文献1に於いては、ガス拡散層の接合時の温度を170℃以下にすると共に、バックシートの剥離時の張力とシート状部材の搬送速度とを適切に制御することによって、電解質膜に離型剤層が残らないようにバックシートを電解質膜から剥離できることが開示されている。また、特許文献2に於いては、バックシートの剥離工程において触媒電極層(膜電極接合体)がガス拡散層から剥離してしまうことを防止するために、触媒に含まれるアイオノマの、カーボン担体に対する質量比を1.0以上とし、バックシート上に形成された触媒電極層の引き出し方向の始端部を検出して、始端部の加熱加圧処理の温度及び圧力を、他の部分の加熱加圧処理の温度及び圧力よりも高くすることが開示されている。
特開2021-144863 特開2018-45842
上記のロールツーロール方式の燃料電池セルの積層体の製造方法に於けるバックシートを離型剤層と共に電解質膜から剥離する工程に於いて、電解質膜に離型剤層の一部が残ってしまう原因について、本発明の発明者が調べたところ、電解質膜に適用される触媒電極層となるペーストに含まれるエタノールが影響していることが実験により見出された。より具体的には、バックシート上に離型剤層を介して電解質膜が接着されている試験片を、水とエタノールとを種々の割合にて含む溶媒に浸漬してから、バックシートを離型剤層と共に電解質膜から剥離するのに要する力(剥離力)を計測したところ、試験片を浸漬する溶媒に於けるエタノールの比率が大きくなるほど、剥離力が増大することが明らかになった。これは、図5(B)に模式的に描かれている如く、疎水性表面を有する離型剤層と親水性表面を有する電解質膜との間にエタノールが到達すると、エタノールのエチル基が離型剤層の疎水性表面に吸着し、エタノールの水酸基が電解質膜の親水性表面に吸着することで、離型剤層と電解質膜との間の接着力が強化されてしまうことによると考えられる。実際、試験片を浸漬した溶媒を水にすると、離型剤層がきれいに電解質膜から剥離することが可能であった。これは、水分子が電解質膜の親水性表面に吸着し、エタノールの水酸基の電解質膜の親水性表面への吸着を抑制したためであると考えられる。一方、電解質膜に適用される触媒電極層となるペーストに於いては、溶媒として比較的高い濃度にてエタノールが含まれている。そこで、燃料電池セルの積層体の製造に於いて、バックシート上に離型剤層を介して接着された電解質膜の上に、水を主成分として含む溶媒を適用してから、触媒電極層となるペーストを適用するようにしたところ、バックシートの剥離時に離型剤層が電解質膜に残留することなく、きれいにバックシートと共に剥離されることが見出された。本発明に於いては、かかる知見が利用される。
かくして、本発明の一つの課題は、ロールツーロール方式の燃料電池セルの積層体の製造方法に於いて、バックシート上に離型剤層を介して接着された電解質膜に触媒電極層を形成し、その上にガス拡散層を接合した後に、バックシートを離型剤層と共に電解質膜から剥離する際に、離型剤層が電解質膜上に残留しないようにすることである。
本発明によれば、上記の課題は、ロールツーロール方式の燃料電池セルの積層体の製造方法であって、
バックシート上に離型剤層を介して接着された電解質膜上に水を主成分として含有する溶媒を適用する工程と、
前記電解質膜上に、前記水を主成分として含有する溶媒の適用後に、触媒電極層となるペーストを適用して前記触媒電極層を形成する工程と、
前記触媒電極層の上にガス拡散層を接合する工程と、
前記バックシートを前記離型剤層と共に前記電解質膜から剥離する工程と
を含む方法によって達成される。
上記の構成に於いて、「燃料電池セル」は、所謂「固体高分子形燃料電池」の単セルであってよく、「積層体」は、上記の如く、電解質膜をその両側から一対の触媒電極層と一対のガス拡散層とで挟持して成る構成を有する。電解質膜、触媒電極層、ガス拡散層の材料組成は、この分野に於いて通常の、任意の材料組成であってよい。「ロールツーロール方式」の積層体の構成方法は、上記の如く、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂から成るバックシートに離型剤層を介して電解質膜を積層してなるシート状部材を、一つのロールから別のロールへ向かって引き出して搬送しながら、触媒電極層となるペーストを適用し、それを固化して、触媒電極層を形成する工程と、その触媒電極層の上にガス拡散層を、加熱圧着などによって、接合する工程とを実行し、バックシートを離型剤層と共に電解質膜から剥離する工程が実行される。
そして、上記の如きロールツーロール方式にて燃料電池セルの積層体を構成する方法に於いて、本発明では、触媒電極層となるペーストを電解質膜上に適用するのに先立って、水を主成分として含有する溶媒が電解質膜上に適用され、電解質膜が湿潤される。これにより、水分子が電解質膜の親水性表面に結合し、その後で、触媒電極層となるペーストが適用された際に、ペーストに含まれるエタノールが電解質膜の親水性表面と離型剤層の疎水性表面との間にて結合することが防止され、電解質膜と離型剤層との接着力の増大が抑制され、かくして、バックシートの剥離工程に於いて、離型剤層が電解質膜に殆ど残留せずに、バックシートと共に剥離されることとなる。なお、「水を主成分として含有する溶媒」は、基本的には、水であってよいが、電解質膜への浸透性を高めるために、少量のエタノールが分散されていてもよい(溶媒のエタノールの含有量は、触媒電極層のペーストに於けるエタノールの含有量よりも大幅に少ない。)。
上記の本発明の方法に於いて、触媒電極層となるペーストの適用に先立って、電解質膜に適用される水を主成分として含有する溶媒の量は、適宜調節されてよい。電解質膜が保持可能な最大限に水を含んだ状態を膜の含水率が100%であるとすると(電解質膜を水に浸漬した状態から引き上げた状態が膜の含水率100%の状態と考えてよい。)、好適な膜の含水率は、100%未満にて適宜調節されてよい。実際、膜の含水率が低過ぎると、触媒電極層となるペーストに含まれるエタノールによる電解質膜と離型剤層との接着作用が十分に抑制されず、電解質膜に対して膜の含水率が100%を超えるほどの量の水を適用すると、電解質膜の表面に水が浮き出て、触媒電極層となるペーストを好適に適用し難くなったり、バックシートの剥離工程よりも前に、電解質膜とバックシートとが分離したりすることが見出されている。電解質膜に適用する水量は、予めの実験等により調節されてよい。
また、電解質膜に於いて、水を主成分として含有する溶媒が適用される領域は、全面であってもよいが、電解質膜の搬送方向に沿った両縁の領域だけでもよい。実際、電解質膜の搬送方向に沿った両縁の領域だけに溶媒を適量にて適用した場合でも、バックシートの剥離時に、電解質膜から離型剤層をきれいに剥離できることが見出されている。また、溶媒を電解質膜の搬送方向に沿った両縁の領域だけに適用した場合には、電解質膜上への触媒電極層となるペーストの適用後に、触媒電極層を固化するための乾燥工程の時間を、(溶媒を全面に適用した場合よりも)短縮でき、また、バックシートの剥離工程よりも積層体の搬送中に、電解質膜とバックシートとが分離して、搬送性が悪化するといったことを防止することが可能となる。
かくして、上記の本発明の構成に於いて、電解質膜への触媒電極層となるペーストの適用に先立って、電解質膜を水を主成分として含有する溶媒により湿潤することにより、その後のバックシートの剥離工程に於いて、バックシートと共に離型剤層をきれいに剥離できることとなる。かかる構成によれば、バックシートの剥離工程後に、電解質膜に残った離型剤層を除去するといった手間を殆ど要することがなく有利である。また、バックシート上に電解質膜が接着されている状態にて触媒電極層とガス拡散層とを積層し、バックシートを剥離する工程に於いて、温度や張力などに対して要求される作業条件が緩和されることが可能となり、積層体の製造がより容易となり、有利となる。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
図1は、本実施形態による燃料電池セルの積層体の製造工程の模式図である。 図2は、本実施形態による方法に於いて、水を主成分とする溶媒を電解質膜に適用した場合の電解質膜と離型剤層との間の状態の模式図である。 図3は、本実施形態による方法に於いて、水を主成分とする溶媒を電解質膜に適用する別の方法の模式図である。 図4(A)、(B)は、それぞれ、本実施形態による方法に於いて、水を主成分とする溶媒を電解質膜に適用する態様を説明する模式的な斜視図である。(A)は、電解質膜全面に溶媒を適用する場合であり、(B)は、電解質膜の搬送方向に沿って両縁に溶媒を適用する場合である。 図5(A)は、従前の燃料電池セルの積層体の製造工程の模式図である。図5(B)は、触媒電極層となるペーストを電解質膜に適用した場合の電解質膜と離型剤層との間の状態の模式図である。
1…燃料電池セルの積層体
2…バックシート
3…離型剤層
3r…離型剤層の残留部
4…電解質膜
5…触媒電極層
6…触媒電極層ペーストの噴出ノズル
7…ガス拡散層
8…溶媒噴出ノズル
9…溶媒の浸透した電解質膜
10…溶媒槽
R…ロール
Sol…溶媒
T…シートの搬送方向
Pf…引張り力
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。図中、同一の符号は、同一の部位を示す。
燃料電池セルの積層体の基本的な製造工程
図5(A)を参照して、本実施形態による製造方法は、特許文献1にも記載されている如く、ロールツーロール方式にて、バックシート上に離型剤層を介して接着された電解質膜上に触媒電極層とガス拡散層とを積層し、バックシートを離型剤層と共に電解質膜から剥離して、積層体が製造される一連の工程に於いて適用される。より具体的には、(i)に描かれている如く、先ず、バックシート2上に離型剤層3が適用され電解質膜4が接着された積層体1が準備され、ロール(図示せず)により駆動されて搬送される(T)。バックシート2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、その他の樹脂(リテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリビニリデンフルオライドなど)から成るシートであってよい。電解質膜4は、高分子電解質材料により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、例えば、側鎖末端にスルホ基を有するパーフルオロスルホン酸ポリマなどから形成されてよい。離型剤層3は、バックシート2と電解質膜4とに粘着性を有し、バックシート2上に電解質膜4を保持することができ、且つ、適当な張力にて、バックシート2を電解質膜4から剥離する方向に牽引すると、バックシート2と共に電解質膜4から剥離される任意の材料にて形成されてよい。そして、(ii)に描かれている如く、上記の積層体1が搬送されながら、電解質膜4上に、触媒電極層5となるペーストがノズル6から噴出されて適用される。触媒電極層5は、電気化学反応を進行する触媒金属(例えば、白金若しくは白金とルテニウムなどの他の金属とから成る白金合金など)を担持するカーボン粒子とプロトン伝導性を有する高分子電解質とを含み、電解質膜4上に適用される際には、エタノールを含む溶媒に分散されたペースト状体であり、かかるペーストが電解質膜4上に適用後に乾燥されて固化されて触媒電極層5が形成される。次いで、(iii)の如く、固化された触媒電極層5上に、カーボンクロスやカーボンペーパなどのカーボン製材料によって形成されてよいガス拡散層7が加圧圧着され(HP)、しかる後、(iv)の如く、電解質膜4上から、バックシート2が牽引力Pfにて引張られて離型剤層3と共に剥離され、剥離後、図示されていないが、露出された電解質膜4の面に、もう一方の側の触媒電極層とガス拡散層とが積層されることとなる。
バックシート2の剥離時の電解質膜4に於ける離型剤層3の一部3rの残留
上記の積層体1の工程に於いて、図5(A)(iv)に模式的に描かれている如く、電解質膜4上からバックシート2を剥離する際に、しばしば、離型剤層3の一部3rが電解質膜4に残留してしまい、その場合には、もう一方の側の触媒電極層を適用する前に、離型剤層3の残留部3rを除去する手間が必要となり、不便である。この点に関し、発明の概要の欄に於いても述べた如く、バックシート2の剥離時に離型剤層3の一部3rが電解質膜4上に残留する理由は、電解質膜4上に、触媒電極層5のペーストを適用する際に、ペーストに含まれるエタノールが作用であると考えられる。既に触れたように、バックシート2に離型剤層3を介して電解質膜4が接着された積層体を、種々の比率にて水とエタノールとを含む溶媒に浸漬した後に、バックシート2を電解質膜4から剥離する際の力(離型力)を調べたところ、エタノールの比率が高いほど、離型力が増大することが見出された。これは、離型剤層3の表面は、疎水性であり、電解質膜4の表面は、親水性であることから、エタノールが離型剤層3と電解質膜4との界面まで浸透すると、図5(B)に模式的に描かれている如く、エタノールのエチル基が離型剤層3の疎水性表面に結合する一方、エタノールの水酸基が電解質膜4の親水性表面に結合することとなり、離型剤層3と電解質膜4との接着力が強くなって、かくして、離型剤層3の一部3rが電解質膜4上に残留し易くなってしまったためと考えられる。実際、触媒電極層5のペーストには、溶剤としてエタノールが用いられているので、上記のバックシート2の剥離時に離型剤層3の一部3rが電解質膜4上に残留しやすくなったのは、電解質膜4上に適用された触媒電極層5のペースト中のエタノールが離型剤層3と電解質膜4との間にて結合してしまったためであると推定される。
本実施形態による改良
そこで、本発明の発明者が種々実験したところ、上記の積層体1の工程に於いて、図1(ii)に模式的に描かれている如く、電解質膜4上に、触媒電極層5のペーストの適用に先立って、水又は水を主成分として含む溶媒を適用して、電解質膜4を湿潤状態とすると、バックシート2の剥離時に、離型剤層3が、電解質膜4上に殆ど残留することなく、バックシート2と共に剥離できることを見出した。実際、バックシート2に離型剤層3を介して電解質膜4が接着された積層体を種々の比率にて水とエタノールとを含む溶媒に浸漬した後の離型力に於いても、溶媒が殆ど水である場合には、離型力が低下した。これは、図2に模式的に描かれている如く、電解質膜4が湿潤されることで、水分子が電解質膜4の親水性表面に結合して、エタノールの水酸基が結合する領域を減少させることで、離型剤層3と電解質膜4とに結合するエタノールを低減したためと考えられる。
かくして、本実施形態の燃料電池セルの積層体の製造方法に於いては、図1に模式的に描かれている如く、(i)バックシート2上に離型剤層3が適用され電解質膜4が接着された積層体1がロール(図示せず)により駆動されて搬送されながら(T)、(ii)電解質膜4上にノズル8にて噴出される水又は水を主成分とする溶媒9が適用され、その上に、触媒電極層5のペーストがノズル6から噴出されて適用される。そして、ペーストが電解質膜4上に適用後に乾燥されて固化された後、(iii)ガス拡散層7が加圧圧着され(HP)、しかる後、(iv)電解質膜4上から、バックシート2が牽引力Pfにて引張られて離型剤層3と共に剥離される。その際、離型剤層3は、殆ど電解質膜4に残留することなく、バックシート2に吸着した状態にて電解質膜4上から剥離されることとなる。その後、従前と同様に、露出された電解質膜4の面に、もう一方の側の触媒電極層とガス拡散層とが積層される。なお、上記の電解質膜4に適用される溶媒は、基本的には、水でよいが、水の他に、溶媒を電解質膜に染み込み易くするために、少量のエタノールが含まれていてもよい。溶媒に含有可能なエタノールの量は、触媒電極層5のペーストに含まれるエタノール量よりも大幅に少ない。
上記の電解質膜4上への水又は水を主成分とする溶媒9の適用は、別の態様として、図3に模式的に描かれている如く、触媒電極層5のペーストの適用前に、積層体を溶媒Solが溜められた溶媒槽10に浸漬することにより実行されてもよい。
上記の電解質膜4の水又は水を主成分とする溶媒による湿潤について、電解質膜4に適用する水量又は溶媒量は、適宜調節されてよい。水量又は溶媒量が少な過ぎると、離型剤層3を残留させない効果が低下してしまうが、水量又は溶媒量が多すぎると、バックシート2の剥離工程前に、電解質膜4がバックシート2から浮き上がったり、電解質膜4の表面から水が溢れ、触媒電極層5のペーストの塗工性を悪化させたりするので、電解質膜4に適用する水量又は溶媒量は、電解質膜4が吸収できる最大量よりも少なくなるよう調節されることが好ましい。電解質膜が保持可能な最大限に水を含んだ状態を膜の含水率が100%であるとすると、好適な膜の含水率は、100%未満にて、適宜、実験等により、調節されてよい。
また、電解質膜4の水又は水を主成分とする溶媒の適用は、図4(A)の如く、電解質膜4の全面であってもよいが、電解質膜4の搬送方向に沿った両縁の領域だけであってもよい。実際、電解質膜4に於いて、離型剤層3が残留し易いのは、電解質膜4の両縁の領域であるため、かかる電解質膜4の両縁の領域を湿潤させるだけでも、離型剤層3を残留させない効果が十分に得られることが見出されている。また、この場合、電解質膜4の全面を湿潤する場合よりも、触媒電極層5のペーストを乾燥して固化させるまでの時間が短縮され、或いは、電解質膜4への溶媒の適用量が過多であることにより電解質膜4がバックシート2から浮き上がり易くなることによるシートの搬送性の低下が防止できることとなる。
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。

Claims (1)

  1. ロールツーロール方式の燃料電池セルの積層体の製造方法であって、
    バックシート上に離型剤層を介して接着された電解質膜上に水を主成分として含有する溶媒を適用する工程と、
    前記電解質膜上に、前記水を主成分として含有する溶媒の適用後に、触媒電極層となるペーストを適用して前記触媒電極層を形成する工程と、
    前記触媒電極層の上にガス拡散層を接合する工程と、
    前記バックシートを前記離型剤層と共に前記電解質膜から剥離する工程と
    を含む方法。
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