JP2023076114A - 硫化物固体電解質、電池および硫化物固体電解質の製造方法 - Google Patents

硫化物固体電解質、電池および硫化物固体電解質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本開示は、イオン伝導度が高い硫化物固体電解質を提供することを主目的とする。【解決手段】本開示においては、Li元素、Sn元素、P元素およびS元素を含有するLGPS型結晶相を備える硫化物固体電解質であって、上記硫化物固体電解質は、Li4-xSn1-xPxS4(0.67<x<0.76)で表される組成を有し、上記硫化物固体電解質は、31P-NMR測定において、77ppm±1ppmの位置に頂点を有する第1ピーク、および、93ppm±1ppmの位置に頂点を有する第2ピークを備え、上記31P-NMR測定で得られる全てのピークの面積の合計をS1とし、上記第1ピークおよび上記第2ピークの面積の合計をS2とした場合に、S1に対するS2の割合(S2/S1)が、92.0%以上である、硫化物固体電解質を提供することにより、上記課題を解決する。【選択図】図8

Description

本開示は、硫化物固体電解質に関する。
全固体電池は、正極層および負極層の間に固体電解質層を有する電池であり、可燃性の有機溶媒を含む電解液を有する液系電池に比べて、安全装置の簡素化が図りやすいという利点を有する。全固体電池に用いられる固体電解質として、硫化物固体電解質が知られている。
例えば、特許文献1には、M元素(例えばLi)、M元素(例えば、GeおよびP)およびS元素を含有する硫化物固体電解質であって、X線回折測定において所定の位置にピークを有する、硫化物固体電解質が開示されている。また、特許文献2には、M元素(例えばLi)、M元素(例えば、SnおよびP)およびS元素を含有する硫化物固体電解質であって、X線回折測定において所定の位置にピークを有する、硫化物固体電解質が開示されている。
特許第5527673号 国際公開第2013/118722号
特許文献1、2に開示された硫化物固体電解質は、いわゆるLGPS型結晶相を有する。また、例えば特許文献2には、実施例5-1~5-8として、Li4-xSn1-xで表される組成を有し、結晶相A(LGPS型結晶相)を有する硫化物固体電解質が開示されている。特に、特許文献2の[0110]には、実施例5-3~5-8で得られた硫化物固体電解質は、結晶相A(LGPS型結晶相)を有し、かつ、結晶相B(LGPS型結晶相よりイオン伝導性が低い結晶相)を有しないことが開示されている。
特許文献2の図12(c)~(h)に記載されたXRDチャートでは、いずれも同じ位置にピークが現れていることから、実施例5-3~5-8で得られた硫化物固体電解質は、結晶相A(LGPS型結晶相)を単相として有していると判断できる。本願発明者等は、このようにXRDチャートで結晶相Aを単相として有していると判断できる硫化物固体電解質を複数作製したところ、イオン伝導度にバラつきが存在するという新たな知見を得た。そこで、これらの硫化物固体電解質の構成を、さらに詳細に分析したところ、これらの硫化物固体電解質は、不純物成分を僅かに含有し、その不純物成分がイオン伝導度に影響を与えているとの知見を得た。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、イオン伝導度が高い硫化物固体電解質を提供することを主目的とする。
本開示においては、Li元素、Sn元素、P元素およびS元素を含有するLGPS型結晶相を備える硫化物固体電解質であって、上記硫化物固体電解質は、Li4-xSn1-x(0.67<x<0.76)で表される組成を有し、上記硫化物固体電解質は、31P-NMR測定において、77ppm±1ppmの位置に頂点を有する第1ピーク、および、93ppm±1ppmの位置に頂点を有する第2ピークを備え、上記31P-NMR測定で得られる全てのピークの面積の合計をSとし、上記第1ピークおよび上記第2ピークの面積の合計をSとした場合に、Sに対するSの割合(S/S)が、92.0%以上である、硫化物固体電解質を提供する。
本開示によれば、S/Sが大きいため、イオン伝導度が高い硫化物固体電解質となる。
上記開示において、上記硫化物固体電解質は、31P-NMR測定において、87ppm±1ppmの位置に頂点を有する第3ピーク、および、89ppm±1ppmの位置に頂点を有する第4ピークの少なくとも一方を備え、上記31P-NMR測定で得られる全てのピークの面積の合計をSとし、上記第3ピークおよび上記第4ピークの面積の合計をSとした場合に、Sに対するSの割合(S/S)が、6.0%以下であってもよい。
上記開示において、上記硫化物固体電解質は、31P-NMR測定において、68ppm±1ppmの位置に頂点を有する第5ピークを有し、上記31P-NMR測定で得られる全てのピークの面積をSとし、上記第5ピークの面積をSとした場合に、Sに対するSの割合(S/S)が、0.5%以下であってもよい。
上記開示において、上記S/Sは、95.0%以上であってもよい。
上記開示において、上記xは、0.67<x≦0.74を満たしてもよい。
上記開示において、上記xは、0.67<x≦0.72を満たしてもよい。
上記開示において、上記硫化物固体電解質は、25℃におけるイオン伝導度が、5.25mS/cm以上であってもよい。
また、本開示においては、正極活物質を含有する正極層と、負極活物質を含有する負極層と、上記正極層および上記負極層の間に配置された電解質層とを含有する電池であって、上記正極層、上記負極層および上記電解質層の少なくとも一つが、上述した硫化物固体電解質を含有する、電池を提供する。
本開示によれば、上述した硫化物固体電解質を用いることにより、良好な放電特性を有する電池となる。
また、本開示においては、Li元素、Sn元素、P元素およびS元素を含有するLGPS型結晶相を備える硫化物固体電解質の製造方法であって、原料組成物を非晶質化することにより、イオン伝導性材料を得る非晶質化工程と、上記イオン伝導性材料を、不活性ガス気流中で加熱することにより、上記硫化物固体電解質を得る加熱工程と、を有し、上記硫化物固体電解質は、31P-NMR測定において、上記LGPS型結晶相のピークとして、77ppm±1ppmの位置に頂点を有する第1ピーク、および、93ppm±1ppmの位置に頂点を有する第2ピークを有し、上記31P-NMR測定で得られる全てのピークの面積の合計をSとし、上記第1ピークおよび上記第2ピークの面積の合計をSとした場合に、Sに対するSの割合(S/S)が、92.0%以上である、硫化物固体電解質の製造方法を提供する。
本開示によれば、不活性ガス気流中で加熱することで、S/Sが大きく、イオン伝導度が高い硫化物固体電解質が得られる。
本開示においては、イオン伝導度が高い硫化物固体電解質を提供できるという効果を奏する。
本開示におけるNMRチャートのピーク分離を説明する説明図である。 本開示におけるLSnPS結晶相を例示する斜視図である。 本開示における電池を例示する概略断面図である。 本開示における硫化物固体電解質の製造方法を例示するフロー図である。 実施例1~6および比較例1~5で得られた硫化物固体電解質に対する、XRD測定の結果である。 実施例1~6および比較例1~5で得られた硫化物固体電解質に対する、31P-NMR測定の結果である。 実施例1~6および比較例1~5で得られた硫化物固体電解質における、S/Sと、イオン伝導度との関係を示すグラフである。 図7の一部を拡大した拡大図である。
以下、本開示における硫化物固体電解質、電池、および硫化物固体電解質の製造方法について、詳細に説明する。本開示において、Li元素、Sn元素、P元素およびS元素を含有するLGPS型結晶相を、LSnPS結晶相と称する場合がある。
A.硫化物固体電解質
本開示における硫化物固体電解質は、Li元素、Sn元素、P元素およびS元素を含有するLGPS型結晶相を備える硫化物固体電解質であって、上記硫化物固体電解質は、Li4-xSn1-x(0.67<x<0.76)で表される組成を有し、上記硫化物固体電解質は、31P-NMR測定において、77ppm±1ppmの位置に頂点を有する第1ピーク、および、93ppm±1ppmの位置に頂点を有する第2ピークを有し、上記31P-NMR測定で得られる全てのピークの面積の合計をSとし、上記第1ピークおよび上記第2ピークの面積の合計をSとした場合に、Sに対するSの割合(S/S)が、92.0%以上である。
本開示によれば、S/Sが大きいため、イオン伝導度が高い硫化物固体電解質となる。上述したように、特許文献2には、XRD測定に基づき、LGPS型結晶相の単相材料である、と判断される硫化物固体電解質が開示されている。このような硫化物固体電解質の構成を、本願発明者等は詳細に分析した。具体的には、31P-NMR測定を用いて、硫化物固体電解質におけるP(リン)の状態を分析した。その結果、単相材料であると判断された硫化物固体電解質は、不純物成分を僅かに含有するという知見を得た。不純物成分は、後述する実施例に記載するように、LiPSおよびLiPSであると推測される。LiPSは、原料組成物に含まれる元素が、不可避的に混入する酸素元素と反応して生成する化合物であると推測される。
上記知見を得た本願発明者等は、不純物成分の割合を低減することを試みた。ところが、特許文献2に記載されているように、非晶質化したイオン伝導性材料を封管した状態で加熱しても、不純物成分の割合を低減すること、すなわち、LGPS型結晶相の割合を向上させることは困難であった。本願発明者等が鋭意研究を重ねた結果、不純物成分を管理値として考慮しつつ、非晶質化したイオン伝導性材料を不活性ガス気流中で加熱することで、所望の硫化物固体電解質を得ることができた。
本開示における硫化物固体電解質は、31P-NMR測定において、77ppm±1ppmの位置に頂点を有する第1ピーク、および、93ppm±1ppmの位置に頂点を有する第2ピークを備える。第1ピークおよび第2ピークは、ともにLSnPS結晶相におけるPSのピークに該当する。
本開示における硫化物固体電解質は、31P-NMR測定において、87ppm±1ppmの位置に頂点を有する第3ピーク、および、89ppm±1ppmの位置に頂点を有する第4ピークの少なくとも一方を備えていてもよい。第3ピークおよび第4ピークは、ともにLSnPS結晶相以外の相(おそらくLiPS)におけるPSのピークに該当する。硫化物固体電解質は、第3ピークを有していてもよく、有していなくてもよい。また、硫化物固体電解質は、第4ピークを有していてもよく、有していなくてもよい。
本開示における硫化物固体電解質は、31P-NMR測定において、68ppm±1ppmの位置に頂点を有する第5ピークを有していてもよい。第5ピークは、Li、P、SおよびOを有する相(おそらくLiPS)におけるアニオン部(おそらくPS)のピークに該当する。
本開示においては、31P-NMR測定により得られるNMRチャートに対して、ピーク分離を行う。この際、誤差が最も小さくなるように、フィッティングを行う。図1は、本開示におけるNMRチャートのピーク分離を説明する説明図である。本開示における硫化物固体電解質に対して31P-NMR測定を行うことで、例えば図1(a)に示すようなNMRチャートが得られる。図1(a)では、上述した第1ピークおよび第2ピークが、大きなピークとして観察されている。さらに、図1(a)に示すNMRチャートに対して、上述した各ピークを考慮してピーク分離を行うと、各ピークは、図1(b)に示すように同定される。
ここで、31P-NMR測定で得られる全てのピークの面積の合計をSとする。また、第1ピークおよび第2ピークの面積の合計をSとし、第3ピークおよび第4ピークの面積の合計をSとし、第5ピークの面積をSとする。
に対するSの割合(S/S)は多いことが好ましい。LGPS型結晶相の割合が多い硫化物固体電解質となるからである。S/Sは、通常、92.0%以上であり、93.0%以上であってもよく、94.0%以上であってもよく、95.0%以上であってもよい。また、Sに対するSの割合(S/S)は少ないことが好ましい。不純物成分の割合が少ない硫化物固体電解質となるからである。S/Sは、例えば7.5%以下であり、7.0%以下であってもよく、6.5%以下であってもよく、6.0%以下であってもよく、3.5%以下であってもよい。また、Sに対するSの割合(S/S)は少ないことが好ましい。不純物成分の割合が少ない硫化物固体電解質となるからである。S/Sは、例えば0.5%以下であり、0.4%以下であってもよい。同様に、Sに対するSの割合(S/S)は少ないことが好ましい。不純物成分の割合が少ない硫化物固体電解質となるからである。S/Sは、例えば0.5%以下であり、0.4%以下であってもよい。
本開示における硫化物固体電解質は、Li元素、Sn元素、P元素およびS元素を含有するLGPS型結晶相(LSnPS結晶相)を備える。図2は、本開示におけるLSnPS結晶相を例示する斜視図である。図2に示すLSnPS結晶相は、Li元素およびS元素から構成される八面体Oと、M元素およびS元素から構成される四面体Tと、M元素およびS元素から構成される四面体Tとを有する。四面体Tおよび上記八面体Oは稜を共有し、四面体Tおよび上記八面体Oは頂点を共有している。M元素およびM元素の少なくとも一方はSn元素を含む。同様に、M元素およびM元素の少なくとも一方はP元素を含む。LSnPS結晶相の空間群は、典型的にはP4/nmc(137)に分類される。
本開示におけるLSnPS結晶相は、CuKα線を用いたX線回折測において、所定の位置にピークが観察される。LSnPS結晶相のピーク位置としては、例えば、2θ=17.38°、20.18°、20.44°、23.56°、23.96°、24.93°、26.96°、29.07°、29.58°、31.71°、32.66°、33.39°が挙げられる。特に、LSnPS結晶相は、2θ=20.18°、20.44°、26.96°、29.58°の位置に、特徴的なピークを有する。また、上記ピーク位置は、例えば材料組成によって結晶格子が若干変化することで、多少前後する場合がある。そのため、上記ピーク位置は、それぞれ、±0.50°の範囲で前後していてもよく、±0.30°の範囲で前後していてもよく、±0.10°の範囲で前後していてもよい。
本開示における硫化物固体電解質は、Li4-xSn1-x(0.67<x<0.76)で表される組成を有する。ここで、Li4-xSn1-xは、LiSnSおよびxLiPSのタイラインの組成に該当する。すなわち、Li4-xSn1-xは、(1-x)LiSnS-xLiPSと組成的に等価である。また、y=x/(1-x)と定義すると、Li4-xSn1-xは、LiSnS-yLiPSと組成的に等価である。なお、LiSnSは、2LiS-1SnSと組成的に等価であり、LiPSは、3LiS-1Pと組成的に等価である。
Li4-xSn1-xにおけるxは、通常、0.67(=2/3)より大きい。x=0.67(y=2)は、本開示におけるLSnPS結晶相の化学量論組成に該当する。LiSnS-yLiPSにおけるyが2より大きい場合、不純物成分として、LiPSが生じやすい組成になる。そのような組成であっても、例えば後述する製造方法を採用することで、S/Sを大きくすることができる。xは、0.68以上であってもよく、0.69以上であってもよく、0.70以上であってもよく、0.71以上であってもよい。一方、xは、例えば0.76より小さく、0.74以下であってもよく、0.72以下であってもよい。また、xの範囲は、0.73(すなわち、0.725以上0.734以下)を除く範囲であってもよい。
本開示における硫化物固体電解質は、Liイオン伝導性が高いことが好ましい。硫化物固体電解質のイオン伝導度(25℃)は、例えば5.0mS/cm以上であり、5.25mS/cm以上であってもよく、5.3mS/cm以上であってもよい。イオン伝導度は、交流インピーダンス法により求めることができる。また、硫化物固体電解質の形状としては、例えば粒子状が挙げられる。硫化物固体電解質の平均粒径(D50)は、例えば、0.1μm以上50μm以下である。また、硫化物固体電解質は、イオン伝導性を必要とする任意の用途に用いることができる。中でも、硫化物固体電解質は、電池に用いられることが好ましい。
B.電池
図3は、本開示における電池を例示する概略断面図である。図3における電池10は、正極活物質を含有する正極層1と、負極活物質を含有する負極層2と、正極層1および負極層2の間に配置された電解質層3と、正極層1の集電を行う正極集電体4と、負極層2の集電を行う負極集電体5と、これらの部材を収納する外装体6と、を有する。本開示においては、正極層1、負極層2および電解質層3の少なくとも一つが、上記「A.硫化物固体電解質」に記載した硫化物固体電解質を含有する。
本開示によれば、上述した硫化物固体電解質を用いることにより、良好な放電特性を有する電池となる。
1.正極層
本開示における正極層は、少なくとも正極活物質を含有する。正極層は、固体電解質、導電材およびバインダーの少なくとも一つを含有していてもよい。特に、正極層は、固体電解質として、上述した硫化物固体電解質を含有することが好ましい。正極層における硫化物固体電解質の割合は、例えば5体積%以上であり、10体積%以上であってもよく、20体積%以上であってもよい。一方、正極層における硫化物固体電解質の割合は、例えば60体積%以下である。
正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の岩塩層状型活物質、LiMn、LiTi12、Li(Ni0.5Mn1.5)O等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO等のオリビン型活物質が挙げられる。正極活物質の表面は、LiNbO等のLiイオン伝導性酸化物で被覆されていてもよい。Liイオン伝導性酸化物の厚さは、例えば、1nm以上30nm以下である。
導電材としては、例えば、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)等の粒子状炭素材料;炭素繊維、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)等の繊維状炭素材料が挙げられる。バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系バインダーが挙げられる。正極層の厚さは、例えば、0.1μm以上1000μm以下である。
2.負極層
本開示における負極層は、少なくとも負極活物質を含有する。負極層は、固体電解質、導電材およびバインダーの少なくとも一つを含有していてもよい。特に、負極層は、固体電解質として、上述した硫化物固体電解質を含有することが好ましい。負極層における硫化物固体電解質の割合は、例えば5体積%以上であり、10体積%以上であってもよく、20体積%以上であってもよい。一方、負極層における硫化物固体電解質の割合は、例えば60体積%以下である。
負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウム合金等のLi系活物質;グラファイト、ハードカーボン等の炭素系活物質;チタン酸リチウム等の酸化物系活物質;Si単体、Si合金、酸化ケイ素等のSi系活物質が挙げられる。また、負極層に用いられる導電材およびバインダーについては、上述した正極層に用いられる材料と同様である。負極層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。
3.電解質層
本開示における電解質層は、正極層および負極層の間に配置され、電解質を含有する。電解質層に用いられる電解質は、固体電解質であってもよく、液体電解質であってもよい。中でも、電解質層は、固体電解質を含有する固体電解質層であることが好ましい。なお、固体電解質層を有する電池は、全固体電池とも称される。固体電解質層は、上述した硫化物固体電解質を含有することが好ましい。固体電解質層における硫化物固体電解質の割合は、例えば50体積%以上であり、70体積%以上であってもよく、90体積%以上であってもよい。電解質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。
4.電池
本開示における電池は、正極集電体および負極集電体を有していてもよい。正極集電体の材料としては、例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボンが挙げられる。一方、負極集電体の材料としては、例えばSUS、銅、ニッケルおよびカーボンが挙げられる。外装体としては、例えば、ラミネート型外装体、ケース型外装体が挙げられる。
本開示における電池は、典型的にはリチウムイオン二次電池である。電池の用途は、特に限定されないが、例えば、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、電気自動車(BEV)、ガソリン自動車、ディーゼル自動車等の車両の電源が挙げられる。特に、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車または電気自動車の駆動用電源に用いられることが好ましい。また、本開示における全固体電池は、車両以外の移動体(例えば、鉄道、船舶、航空機)の電源として用いられてもよく、情報処理装置等の電気製品の電源として用いられてもよい。
C.硫化物固体電解質の製造方法
図4は、本開示における硫化物固体電解質の製造方法を例示するフロー図である。図4においては、まず、LiS、PおよびSnSを混合することにより、原料組成物を準備する。次に、原料組成物を、例えばボールミルにより非晶質化することで、イオン伝導性材料を得る(非晶質化工程)。次に、得られたイオン伝導性材料を、不活性ガス気流中で加熱する(加熱工程)。これにより、硫化物固体電解質が得られる。得られた硫化物固体電解質は、S/Sが所定の値以上である。
本開示によれば、不活性ガス気流中で加熱することで、S/Sが大きい硫化物固体電解質が得られる。
1.非晶質化工程
本開示における非晶質化工程は、原料組成物を非晶質化することにより、イオン伝導性材料を得る工程である。
原料組成物は、Li元素、Sn元素、P元素およびS元素を含有する。原料組成物は、Li源、Sn源、P源およびS源を含有する混合物であることが好ましい。Li源としては、例えば、Liを含む硫化物が挙げられる。Liを含む硫化物としては、例えばLiSが挙げられる。Sn源としては、例えば、Sn単体、Snを含む硫化物が挙げられる。Snを含む硫化物としては、例えばSnSが挙げられる。P源としては、例えば、P単体、Pを含む硫化物が挙げられる。Pを含む硫化物としては、例えばPが挙げられる。S源としては、例えば、S単体、Liを含む硫化物、Snを含む硫化物、Pを含む硫化物が挙げられる。
原料組成物は、例えば、Li4-zSn1-z(0.67<z<0.76)で表される組成を有していてもよい。zは、0.68以上であってもよく、0.69以上であってもよく、0.70以上であってもよく、0.71以上であってもよい。一方、zは、0.74以下であってもよく、0.72以下であってもよい。
原料組成物を非晶質化する方法は、特に限定されないが、例えば、メカニカルミリング法および溶融急冷法が挙げられる。メカニカルミリング法では、原料組成物を、機械的エネルギーを付与しながら粉砕する。メカニカルミリングとしては、例えば、ボールミル、振動ミル、ターボミル、ディスクミルが挙げられる。非晶質化の条件は、所望のイオン伝導性材料が得られるように適宜設定される。
遊星型ボールミルを行う場合、台盤回転数は、例えば、200rpm以上600rpm以下であり、300rpm以上、500rpm以下である。遊星型ボールミルの処理時間は、例えば、1時間以上100時間以下であり、5時間以上70時間以下であってもよい。また、振動ミルを行う場合、振動振幅は、例えば、5mm以上15mm以下であり、6mm以上10mm以下であってもよい。振動ミルの振動周波数は、例えば、500rpm以上2000rpm以下であり、1000rpm以上1800rpm以下であってもよい。また、振動ミルには、振動子(例えばアルミナ製振動子)を用いることが好ましい。振動ミルの処理時間は、例えば、1時間以上100時間以下であり、5時間以上70時間以下であってもよい。
イオン伝導性材料における原料の結晶性は、通常、原料組成物における原料の結晶性より低い。原料の結晶性は、X線回折(XRD)測定で確認できる。例えば、原料組成物が、原料としてLiSを含有する場合、イオン伝導性材料は、XRD測定において、LiSのピークを有していてもよく、有していなくてもよい。前者の場合、イオン伝導性材料におけるLiSのピーク強度は、通常、原料組成物におけるLiSのピーク強度よりも小さい。
2.加熱工程
本開示における加熱工程は、上記イオン伝導性材料を、不活性ガス気流中で加熱することにより、上記硫化物固体電解質を得る工程である。
不活性ガスとしては、例えば、アルゴン、ヘリウム等の貴ガスが挙げられる。なお、不活性ガスには、所望の硫化物固体電解質が得られる範囲で、他のガスが含まれていてもよい。また、不活性ガスの流量は、特に限定されず、所望の硫化物固体電解質が得られるように適宜設定される。
加熱工程における加熱条件も、所望の硫化物固体電解質が得られるように適宜設定される。加熱温度は、例えば300℃以上であり、400℃以上であってもよく、500℃以上であってもよい。一方、加熱温度は、例えば1000℃以下であり、700℃以下であってもよい。また、加熱時間は、所望の硫化物固体電解質が得られるように適宜設定される。
3.硫化物固体電解質
上述した非晶質化工程および加熱工程により得られた硫化物固体電解質は、S/Sが所定の値以上である。硫化物固体電解質の組成は、特に限定されない。硫化物固体電解質の好ましい態様については、上記「A.硫化物固体電解質」に記載した内容と同様である。
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
以下の実施例および比較例では、材料の酸化および変質を防止するため、全ての操作を、材料を大気に触れることなく行った。
[実施例1]
出発原料として、硫化リチウム(LiS、日本化学工業社製)と、五硫化二リン(P、アルドリッチ社製)と、硫化スズ(SnS、高純度化学社製)とを用いた。これらの粉末を、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内において、Li4-xSn1-xにおけるx=0.70となるように秤量し、メノウ乳鉢で混合した。これにより、原料組成物を得た。
次に、得られた原料組成物と、破砕ボール(ジルコニアボール)とを、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内において、容器(ジルコニアポット)に投入し、容器を封入した。この際、添加した破砕ボールの体積を、容器の体積の約1/6に調整し、添加した原料組成物の重量を、破砕ボールの重量の約1/50に調整した。この容器を遊星型ボールミル機(フリッチュ製P7)に取り付け、台盤回転数370rpmで、40時間メカニカルミリングを行った。これにより、イオン伝導性材料を得た。
次に、得られたイオン伝導性材料を、黒鉛ボート上に配置し、Arガス気流中で加熱した。加熱条件は、以下の通りである。すなわち、昇温速度1.1℃/分で室温から570℃まで昇温し、570℃で20時間保持し、その後、室温まで徐冷した。これにより、Li4-xSn1-xにおけるx=0.70で表される組成を有する硫化物固体電解質を得た。
[実施例2~6]
原料組成物の組成、および、加熱温度を、表1に示す内容に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、硫化物固体電解質を得た。
[比較例1]
原料組成物の組成を、Li4-xSn1-xにおけるx=0.64となるよう変更したこと以外は、実施例1と同様にして、イオン伝導性材料を得た。得られたイオン伝導性材料を、カーボンコートした石英管に入れ真空封入した。真空封入した石英管の圧力は、約30Paであった。次に、石英管を焼成炉に設置し、6時間かけて室温から500℃まで昇温し、500℃を8時間維持し、その後室温まで徐冷した。これにより、Li4-xSn1-xにおけるx=0.64で表される組成を有する硫化物固体電解質を得た。
[比較例2~4]
原料組成物の組成を、表1に示す内容に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、硫化物固体電解質を得た。
[比較例5]
原料組成物の組成、および、加熱温度を、表1に示す内容に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、硫化物固体電解質を得た。
Figure 2023076114000002
(X線回折測定)
実施例1~6および比較例1~5で得られた硫化物固体電解質に対して、X線回折(XRD)測定を行った。XRD測定は、粉末試料に対して、不活性雰囲気下、CuKα線使用の条件で行った。その結果を図5に示す。図5に示すように、実施例1~6および比較例1~5で得られた硫化物固体電解質は、いずれも、LSnPS結晶相(Li元素、Sn元素、P元素およびS元素を含有するLGPS型結晶相)を有することが確認された。
また、比較例1、2では、LSnPS結晶相のピークの他に、LiSnS結晶相のピークが確認された。これに対して、実施例1~6および比較例3~5では、LiSnS結晶相のピークは確認されず、LSnPS結晶相を単相として有する材料であることが示唆された。
31P-NMR測定)
実施例1~6および比較例1~5で得られた硫化物固体電解質に対して、31P-NMR測定を行った。31P-NMR測定は、以下の条件で行った。
装置:Bruker社製AVANCE400
測定法:single pulse法
測定核周波数:161.9810825 MHz(31P核)
スペクトル幅:100.0 kHz
パルス幅:1.5μsec(45°パルス)
パルス繰り返し時間ACQTM:0.0410150sec,pd=3000sec
観測ポイント数:8192
基準物質:リン酸水素二アンモニウム(外部基準:1.33ppm)
温度室温:約25℃
試料回転数:9.5,15kHz
その結果を図6に示す。図6に示すように、実施例1~6および比較例1~5で得られた硫化物固体電解質は、いずれも、LSnPS結晶相を有することが確認された。具体的に、これらの硫化物固体電解質には、LSnPS結晶相のピークとして、77ppm付近に第1ピークが観察され、これはPS(LSnPS-2b、図2における四面体T)のピークである。また、これらの硫化物固体電解質には、LSnPS結晶相のピークとして、93ppm付近に第2ピークが観察され、これはPS(LSnPS-4d、図2における四面体T)のピークである。
また、比較例1、2では、LSnPS結晶相以外の相におけるPSのピークが2つ確認された。これらのピークは、上述した図1(b)における第3ピークおよび第4ピークに該当する。この2つのピークは、LiPSにおけるPSのピークであると推測される。また、実施例1~6および比較例3~5においても、第3ピークおよび第4ピークが僅かに確認された。
上述したように、XRD測定において、実施例1~6および比較例3~5で得られた硫化物固体電解質は、LSnPS結晶相を単相として有する材料であることが示唆された。これに対して、31P-NMRによる精密な測定を行うと、実施例1~6および比較例3~5で得られた硫化物固体電解質は、LSnPS結晶相の他に、不純物成分を僅かに含有することが確認された。
また、図6に示すように、実施例1~6および比較例1~5で得られた硫化物固体電解質は、いずれもPSのピークが僅かに観察された。このピークは、上述した図1(b)における第5ピークに該当する。また、PSは、不可避的に含まれる酸素を含有する成分である。実施例1~6および比較例3~5で得られたNMRチャートのピーク分離を行い、各ピークの面積を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 2023076114000003
また、各実施例および各比較例において、第1~第5ピークの面積の合計を求め、Sとした(S=A+B+C+D+E)。また、第1ピークおよび第2ピークの面積の合計を求め、Sとした(S=A+D)。また、第3ピークおよび第4ピークの面積の合計を求め、Sとした(S=B+C)。また、第5ピークの面積をSとした(S=E)。これらの結果から、S/S、S/S、S/SおよびS/Sを求めた。その結果を表3に示す。
(イオン伝導度測定)
実施例1~6および比較例1~5で得られた硫化物固体電解質に対して、イオン伝導度を測定した。まず、硫化物固体電解質を200mg秤量し、マコール製のシリンダに入れ、4ton/cmの圧力でプレスした。得られたペレットの両端をSUS製ピンで挟み、ボルト締めによりペレットに拘束圧を印加した。得られた試料を25℃に保った状態で、交流インピーダンス法によりイオン伝導度を算出した。測定には、ソーラトロン1260を用い、印加電圧5mV、測定周波数域0.01~1MHzとした。その結果を表3に示す。
Figure 2023076114000004
表3に示すように、実施例1~6は、比較例1~5に比べて、S/Sが大きく、イオン伝導度も高くなった。これは、実施例1~6で得られた硫化物固体電解質が、LSnPS結晶相を、極めて多く含有しているためであると推測される。ここで、図7は、実施例1~6および比較例1~5で得られた硫化物固体電解質における、LSnPS結晶相の割合と、イオン伝導度との関係を示すグラフである。また、図8は、図7の一部を拡大した拡大図である。図7および図8に示すように、S/Sを、92.0%以上にすることで、イオン伝導度が明確に向上した。実施例1~6において、S/Sが大きくなる理由、および、S/Sが小さくなる理由は、不活性ガス気流中で加熱することで、不純物成分であるLiPSが除去されたためであると推測される。また、LiPSが除去されたことで、LSnPS結晶相の割合が相対的に多くなり、イオン伝導度が向上したと推測される。また、表3に示すように、実施例1~6は、比較例1~5に比べて、S/SおよびS/Sが小さくなった。その理由は、不活性ガス気流中で加熱することで、不純物成分であるLiPSОが除去されたためであると推測される。LiОが除去されたことで、LSnPS結晶相の割合が相対的に多くなり、イオン伝導度が向上したと推測される。
1 … 正極層
2 … 負極層
3 … 電解質層
4 … 正極集電体
5 … 負極集電体
6 … 外装体
10 … 電池

Claims (9)

  1. Li元素、Sn元素、P元素およびS元素を含有するLGPS型結晶相を備える硫化物固体電解質であって、
    前記硫化物固体電解質は、Li4-xSn1-x(0.67<x<0.76)で表される組成を有し、
    前記硫化物固体電解質は、31P-NMR測定において、77ppm±1ppmの位置に頂点を有する第1ピーク、および、93ppm±1ppmの位置に頂点を有する第2ピークを備え、
    前記31P-NMR測定で得られる全てのピークの面積の合計をSとし、前記第1ピークおよび前記第2ピークの面積の合計をSとした場合に、Sに対するSの割合(S/S)が、92.0%以上である、硫化物固体電解質。
  2. 前記硫化物固体電解質は、31P-NMR測定において、87ppm±1ppmの位置に頂点を有する第3ピーク、および、89ppm±1ppmの位置に頂点を有する第4ピークの少なくとも一方を備え、
    前記31P-NMR測定で得られる全てのピークの面積の合計をSとし、前記第3ピークおよび前記第4ピークの面積の合計をSとした場合に、Sに対するSの割合(S/S)が、6.0%以下である、請求項1に記載の硫化物固体電解質。
  3. 前記硫化物固体電解質は、31P-NMR測定において、68ppm±1ppmの位置に頂点を有する第5ピークを有し、
    前記31P-NMR測定で得られる全てのピークの面積をSとし、前記第5ピークの面積をSとした場合に、Sに対するSの割合(S/S)が、0.5%以下である、請求項1または請求項2に記載の硫化物固体電解質。
  4. 前記S/Sは、95.0%以上である、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の硫化物固体電解質。
  5. 前記xは、0.67<x≦0.74を満たす、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の硫化物固体電解質。
  6. 前記xは、0.67<x≦0.72を満たす、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の硫化物固体電解質。
  7. 前記硫化物固体電解質は、25℃におけるイオン伝導度が、5.25mS/cm以上である、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の硫化物固体電解質。
  8. 正極活物質を含有する正極層と、負極活物質を含有する負極層と、前記正極層および前記負極層の間に配置された電解質層とを含有する電池であって、
    前記正極層、前記負極層および前記電解質層の少なくとも一つが、請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の硫化物固体電解質を含有する、電池。
  9. Li元素、Sn元素、P元素およびS元素を含有するLGPS型結晶相を備える硫化物固体電解質の製造方法であって、
    原料組成物を非晶質化することにより、イオン伝導性材料を得る非晶質化工程と、
    前記イオン伝導性材料を、不活性ガス気流中で加熱することにより、前記硫化物固体電解質を得る加熱工程と、を有し、
    前記硫化物固体電解質は、31P-NMR測定において、前記LGPS型結晶相のピークとして、77ppm±1ppmの位置に頂点を有する第1ピーク、および、93ppm±1ppmの位置に頂点を有する第2ピークを有し、
    前記31P-NMR測定で得られる全てのピークの面積の合計をSとし、前記第1ピークおよび前記第2ピークの面積の合計をSとした場合に、Sに対するSの割合(S/S)が、92.0%以上である、硫化物固体電解質の製造方法。
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