JP2023076015A - 前駆体粉末、正極活物質粉末、正極活物質粉末の製造方法、正極及びリチウム二次電池 - Google Patents

前駆体粉末、正極活物質粉末、正極活物質粉末の製造方法、正極及びリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】サイクル維持率が高い正極活物質を製造可能とする前駆体粉末、サイクル維持率が高い正極活物質粉末、正極活物質粉末の製造方法、サイクル維持率に優れた正極及びリチウム二次電池の提供。【解決手段】リチウム二次電池用正極活物質の前駆体として用いられる前駆体粉末であって、細孔を有する複数の粒子と、細孔に充填された充填化合物と、を有し、粒子は、層状構造を有し、少なくともNi元素を含む金属複合化合物からなり、充填化合物は、水溶性のタングステン化合物及び水溶性のモリブデン化合物のいずれか一方又は両方であり、下記式(1)を満たす前駆体粉末。10≦(P1-P2)/P1×100<100…(1)(P1:洗浄済前駆体粉末の細孔径分布において、細孔径10nm以下の領域でのlog微分細孔容積の最大ピーク値。P2:前駆体粉末の細孔径分布において、P1を示すピークの細孔径におけるlog微分細孔容積の値。)【選択図】なし

Description

本発明は、前駆体粉末、正極活物質粉末、正極活物質粉末の製造方法、正極及びリチウム二次電池に関する。
リチウム金属複合酸化物は、リチウム二次電池の正極活物質として用いられている。正極活物質は、通常、粉末状の形態である。
近年では、リチウム金属複合酸化物にさらに別の化合物を加え、正極活物質の性能(電池特性)を向上させる検討がされている。このような正極活物質として、例えば、リチウム金属複合酸化物粉末とタングステン酸リチウムを混合した混合物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
JP-A-2016-225277
リチウム二次電池の応用分野が進む中、サイクル維持率のさらなる向上が求められている。上記特許文献1に記載の正極活物質は、サイクル維持率の点で改良の余地がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、正極活物質の前駆体として用いられ、サイクル維持率が高い正極活物質を製造可能とする前駆体粉末を提供することを目的とする。また、サイクル維持率が高い正極活物質粉末及びサイクル維持率が高い正極活物質粉末の製造方法を提供することを併せて目的とする。さらに、このような正極活物質粉末を含み、サイクル維持率に優れた正極及びリチウム二次電池を提供することを併せて目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、以下の態様を包含する。
[1]リチウム二次電池用正極活物質の前駆体として用いられる前駆体粉末であって、細孔を有する複数の粒子と、前記細孔に充填された充填化合物と、を有し、前記粒子は、層状構造を有し、少なくともNi元素を含む金属複合化合物からなり、前記充填化合物は、水溶性のタングステン化合物及び水溶性のモリブデン化合物のいずれか一方又は両方であり、下記式(1)を満たす前駆体粉末。
10≦(P1-P2)/P1×100<100…(1)
(P1(cm/g)は、質量比で前記前駆体粉末の20倍の水を用いて前記前駆体粉末を20分間撹拌洗浄し、固液分離後に乾燥させて得られた洗浄済前駆体粉末の細孔径分布において、細孔径10nm以下の領域でのlog微分細孔容積の最大ピーク値である。P2(cm/g)は、前記前駆体粉末の細孔径分布において、上記P1を示すピークの細孔径におけるlog微分細孔容積の値である。前記細孔径分布は、前記前駆体粉末又は前記洗浄済前駆体粉末について、液体窒素温度で測定して得られる窒素脱離等温線を、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法で解析して求められる。)
[2]前記P2が0.8cm/g以下である[1]に記載の前駆体粉末。
[3]前記前駆体粉末の細孔径分布から求められる全細孔容積が0.005~0.15cmである[1]又は[2]に記載の前駆体粉末。
[4]前記金属複合化合物は、元素Xを含み、前記元素Xは、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、B、S及びPからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、前記Ni元素と、前記元素Xと、前記充填化合物に含まれるW元素とMo元素との合計との原子量比は、下記式(2)を満たす[1]から[3]のいずれか1項に記載の前駆体粉末。
[Ni]:[X]:[W+Mo]=1-a:a:b…(2)
(ただし、0.01≦a≦0.5、0.0015≦b≦0.03)
[5]レーザー回折式粒度分布測定によって得られる体積基準の累積粒度分布曲線において、小粒子側からの累積体積割合が50%となる粒子径(μm)D50が3~20μmである[1]から[4]のいずれか1項に記載の前駆体粉末。
[6]BET比表面積が1~40m/gである[1]から[5]のいずれか1項に記載の前駆体粉末。
[7]リチウム二次電池に用いられる正極活物質粉末であって、細孔を有する複数の粒子と、前記細孔に充填された充填化合物と、を有し、前記粒子は、層状構造を有し、少なくともNi元素を含むリチウム金属複合酸化物からなり、前記充填化合物は、水溶性のタングステン化合物及び水溶性のモリブデン化合物のいずれか一方又は両方であり、下記式(3)を満たすピークを有する正極活物質粉末。
P3≧0.003…(3)
(P3(cm/g)は、質量比で前記正極活物質粉末の20倍の水を用いて前記正極活物質粉末を20分間撹拌洗浄し、固液分離後に乾燥させて得られた洗浄済粉末の細孔径分布において、細孔径10nm以下の領域でのlog微分細孔容積の最大ピーク値である。前記細孔径分布は、前記洗浄済粉末について、液体窒素温度で測定して得られる窒素脱離等温線を、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法で解析して求められる。)
[8]下記測定方法で測定される、前記正極活物質粉末に対するW元素とMo元素との合計溶出モル量である溶出割合が、10~60%である[7]に記載の正極活物質粉末。
(測定方法)
前記正極活物質粉末を精秤して試料を得、質量比で前記試料の20倍の水を用いて前記試料を20分間撹拌洗浄し、固液分離して濾液を得る。前記濾液のICP分析を行い、分析結果に基づいて前記濾液に溶出したW元素とMo元素との合計溶出モル量を求める。前記試料中のW元素とMo元素との合計モル量と前記合計溶出モル量とから前記溶出割合を求める。
[9]前記粒子は、前記リチウム金属複合酸化物の一次粒子が凝集した二次粒子を含み、前記二次粒子について走査型電子顕微鏡(SEM)観察し、得られる拡大倍率10000倍のSEM画像から求められる1μmあたりの前記一次粒子の数が10~50個である[7]又は[8]に記載の正極活物質粉末。
[10]前記リチウム金属複合酸化物は、元素Xを含み、前記元素Xは、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、B、S及びPからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、Li元素と、前記Ni元素と、前記元素Xと、前記充填化合物に含まれるW元素とMo元素との合計との原子量比は、下記式(4)を満たす[7]から[9]のいずれか1項に記載の正極活物質粉末。
[Li]:[Ni]:[X]:[W+Mo]=c:1-a:a:b…(4)
(ただし、0.9≦c≦1.2、0.01≦a≦0.5、0.0015≦b≦0.03)
[11]レーザー回折式粒度分布測定によって得られる体積基準の累積粒度分布曲線において、小粒子側からの累積体積割合が50%となる粒子径(μm)D50が3~20μmである[7]から[10]のいずれか1項に記載の正極活物質粉末。
[12]BET比表面積が2m/g以下である[7]から[11]のいずれか1項に記載の正極活物質粉末。
[13]CuKα線を使用した粉末X線回折測定において、2θ=18.7±2°の範囲内のピークの回折ピークの半値幅Bに対する、2θ=44.6±2°の範囲内の回折ピークの半値幅Cとの比C/Bが、0.54~0.68である[7]から[12]のいずれか1項に記載の正極活物質粉末。
[14][1]から[6]のいずれか1項に記載の前駆体粉末と、リチウム化合物とを混合して混合物を得る工程と、前記混合物を焼成する工程と、を含み、前記混合物を得る工程においては、前記前駆体粉末の前記粒子を構成する金属に対して、前記リチウム化合物を構成するリチウムが0.90~1.20(モル比)となる量比で前記前駆体粉末と前記リチウム化合物とを混合し、前記焼成する工程における焼成温度は、740℃~920℃である正極活物質粉末の製造方法。
[15][7]から[13]のいずれか1項に記載の正極活物質粉末を含む正極。
[16][15]に記載の正極を有するリチウム二次電池。
本発明によれば、正極活物質の前駆体として用いられ、サイクル維持率が高い正極活物質を製造可能とする前駆体粉末を提供することができる。また、サイクル維持率が高い正極活物質粉末及びサイクル維持率が高い正極活物質粉末の製造方法を提供することができる。さらに、このような正極活物質粉末を含み、サイクル維持率に優れた正極及びリチウム二次電池を提供することができる。
図1は、実施例1で得られた前駆体粉末1のSEM像である。 図2は、図1と同じ視野におけるW元素の分布を示すSEM-EDX像である。 図3は、実施例1で得られたCAM粉末1のSEM像である。 図4は、図3と同じ視野におけるW元素の分布を示すSEM-EDX像である。 図5は、上述の前駆体粉末を用いたCAM粒子の製造時における粒子成長の様子を示す模式図である。 図6は、細孔内に充填化合物を有さないMCC粒子を用いたCAM粒子の製造時における粒子成長の様子を示す模式図である。 図7は、リチウム二次電池の一例を示す模式図である。 図8は、実施形態の全固体リチウム二次電池の一例を示す模式図である。 図9は、CAM粉末1のSEM写真である。 図10は、CAM粉末CB1のSEM写真である。 図11は、前駆体粉末4のSEM像である。 図12は、図11と同じ視野におけるMo元素の分布を示すSEM-EDX像である。 図13は、CAM粉末4のSEM像である。 図14は、図13と同じ視野におけるMo元素の分布を示すSEM-EDX像である。 図15は、前駆体粉末1についての測定結果である。 図16は、CAM粉末1についての測定結果である。 図17は、前駆体粉末CA1についての測定結果である。 図18は、CAM粉末CB1についての測定結果である。 図19は、前駆体粉末5についての測定結果である。 図20は、CAM粉末5についての測定結果である。
<用語の定義>
本明細書で用いる用語について、以下のように定義する。
用語「MCC」は、金属複合化合物(Metal Composite Compound)を意味する。
用語「LiMO」は、リチウム金属複合酸化物(Lithium Metal composite Oxide)を意味する。LiMOは上記MCCに含まれない(MCCはLiMOを含まない)こととする。
用語「CAM」は、リチウム二次電池用正極活物質(Cathode Active Material for lithium secondary batteries)を意味する。
金属の元素記号を示す表現(例えば「Ni」)は、特に言及しない限り金属単体ではなく元素を示す。
用語「粉末」は、微細な粒子の集合を意味する。したがって、正極活物質(リチウム二次電池用正極活物質、CAM)に用語「粉末」を合わせた「正極活物質粉末」(CAM粉末)は、粉末状のCAMを意味する。物質名に「粉末」を付した類似表現についても同様に、粉末状の物質であることを意味する。
用語「一次粒子」は、走査型電子顕微鏡などを用いて10000倍の視野にて観察した際に、外観上に粒界が存在しない粒子を意味する。
用語「二次粒子」は、上述の一次粒子が凝集している粒子である。すなわち、二次粒子は一次粒子の凝集体である。
数値範囲について、例えば「1~10μm」と記載した場合、1μmから10μmまでの範囲であって下限値(1μm)と上限値(10μm)を含む数値範囲、すなわち「1μm以上10μm以下」を意味する。
<測定方法>
本明細書で評価する各値は、以下のように測定して求める。
[サイクル維持率]
「サイクル維持率」は、下記(サイクル維持率の測定方法)により測定する。サイクル維持率の値が80%を超える場合、「サイクル維持率が高い」と評価する。サイクル維持率が高い電池は、充電と放電を繰り返した後の容量低下が抑制されるため好ましい。
(サイクル維持率の測定方法)
まず、コイン型のリチウム二次電池を作製し、室温で12時間静置することで、セパレータ及び正極合剤層に充分電解液を含浸させる。次いで初期充放電処理として、4.3Vまで0.2CAで定電流充電してから4.3Vで定電圧充電する定電流定電圧充電を行った後、室温において2.5Vまで0.2CAで放電する定電流放電を行い、これらの充放電操作を4回繰り返す。
その後、室温において4.3Vまで0.5CAで定電流充電してから4.3Vで定電圧充電する定電流定電圧充電を行った後、室温において2.5Vまで1CAで放電する定電流放電を行う。この時の放電容量を測定し、得られた値を「1サイクル目の放電容量」(mAh/g)とする。
上記定電流定電圧充電と定電流放電とを合わせて1サイクル目の充放電とし、同じ条件で充放電のサイクルを繰り返す。その後、50サイクル目の放電容量(mAh/g)を測定する。
測定される1サイクル目の放電容量と50サイクル目の放電容量とを用い、下記の式からサイクル維持率を算出する。
サイクル維持率(%)=50サイクル目の放電容量÷1サイクル目の放電容量×100
[累積粒度分布]
各粉末の「累積粒度分布」は、体積基準で求められ、レーザー回折散乱法を測定原理とする測定装置を用いて測定する。粒度分布測定装置は、例えばMT3000II(マイクロトラック・ベル社製)を使用できる。
得られた体積基準の累積粒度分布曲線において、全体を100%としたときに、小粒子側からの累積体積割合が50%となる粒子径をD50(μm)とする。
[BET比表面積]
各粉末の「BET比表面積」は、後述の細孔分布の測定過程における窒素ガスの吸着等温線より、BET多点法を用いて測定する。測定装置としては、例えば比表面積細孔分布測定装置(BELSORP-mini(マイクロトラック・ベル株式会社製))を使用できる。
[組成分析]
各粉末の組成は、測定元素に応じて各粉末を酸又はアルカリに溶解させる処理により溶解した後、ICP発光分光分析装置を用いて測定する。ICP発光分光分析装置としては、例えばOptima7300(株式会社パーキンエルマー製)を使用できる。
[粉末X線回折測定]
粉末X線回折測定は、X線回折装置を用いて行う。X線回折装置としては、例えばD8ADVANCE(Bruker Corporation製)を使用できる。
まず、CAMまたはMCCの各粉末を専用の基板に充填し、CuKα線源を用いて、回折角2θ=10°~90°、サンプリング幅0.02°の条件にて測定を行い、粉末X線回折スペクトルを得る。得られたスペクトルより、統合粉末X線解析ソフトウェアを用い、結晶構造を同定する。
粉末X線回折解析ソフトウェア(Bruker Corporation製、DIFFRAC.EVA)を用い、粉末X線回折スペクトルから2θ=18.7±2°の範囲内の回折ピークの半値幅Bと、2θ=44.6±2°の範囲内の回折ピークの半値幅Cを算出する。2θ=18.7±2°の範囲内の回折ピークは、CAMに含まれるLiMOの(003)面における回折ピークであり、2θ=44.6±2°の範囲内の回折ピークは、CAMに含まれるLiMOの(104)面における回折ピークである。
[二次粒子を構成する一次粒子の数(単位面積当たり)]
二次粒子を構成する一次粒子の数は、二次粒子について走査型電子顕微鏡(SEM)観察し、得られる拡大倍率10000倍のSEM画像からランダムに選ばれる5視野について、それぞれ単位面積1μmあたりの一次粒子数を計測し、一次粒子数の平均値を算出する。測定にあたっては、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM-5510)を使用できる。
[細孔径分布]
各粉末を構成する粒子の「細孔径分布」は、各粉末について、液体窒素温度で測定して得られる窒素脱離等温線を、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法で解析して求められる。窒素脱離等温線の測定装置としては、例えばBELSORP-mini(マイクロトラック・ベル株式会社製)を使用できる。
まず、真空加熱処理装置(BELSORP-vacII、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて、各粉末5gを105℃で8時間真空脱気処理する。処理後、上記測定装置を用いて、各粉末の液体窒素温度(77K)における窒素の吸着量を測定し、吸着等温線と脱離等温線を作成する。
吸脱着等温線は、横軸を吸着平衡圧と飽和蒸気圧との比(相対圧(ρ/ρ0))、縦軸を標準状態(STP;Standard Temperature and Pressure)における気体窒素の吸着量(cm(STP)/g)としてプロットしたものである。
得られた窒素脱離等温線を、BJH法により解析して細孔径200nm以下の領域における細孔径分布を求める。細孔径分布は、差分細孔容積dVを、細孔径Dの対数扱いの差分値d(logD)で割った値を求め、横軸を細孔径(nm、対数目盛)、縦軸をlog微分細孔容積(cm/g)としてプロットしたものである。
<前駆体粉末>
本実施形態の前駆体粉末は、CAMの前駆体として用いられ、所定の大きさの細孔を有する複数の粒子と、細孔に充填された充填化合物と、を有する。
粒子は、層状構造を有し、少なくともNi元素を含むMCCからなる。前駆体粉末を構成する上記粒子について、以下、「MCC粒子」と称することがある。
充填化合物は、タングステン化合物(W化合物)及びモリブデン化合物(Mo化合物)のいずれか一方又は両方である。充填化合物は、リチウムイオン伝導性を有し、且つ水溶性を有する。このようなW化合物としては、LiWO、LiWOが挙げられる。また、このようなMo化合物としては、LiMoO、LiMoOが挙げられる。
MCC粒子と、MCC粒子の細孔に充填された充填化合物とは、粒子状の前駆体(前駆体粒子)を構成する。前駆体粉末は、複数の前駆体粒子の集合である。
また、前駆体粉末は、下記式(1)を満たす。
10≦(P1-P2)/P1×100<100 …(1)
ここで、P1(cm/g)は、質量比で前駆体粉末の20倍の水を用いて前駆体粉末を20分間撹拌洗浄し、固液分離後に乾燥させて得られた洗浄済前駆体粉末の細孔径分布において、細孔径10nm以下の領域でのlog微分細孔容積の最大ピーク値である。「最大ピーク値」とは、上記領域において複数存在するピークのピーク値のうち、最大値を指す。細孔径10nm以下の領域にピークが存在しない場合は、最大ピーク値P1が無いものとして評価する。
上述のように、MCC粒子の細孔に充填されている充填化合物は水溶性である。そのため、前駆体粉末を上記条件で洗浄することにより、得られる洗浄済前駆体粉末は、細孔から充填化合物が除去された状態となり、充填化合物により埋没していた細孔が顕わになる。すなわち、洗浄済前駆体粉末は、疑似的にMCC粒子の集合と考えることができる。
nmオーダーの細孔は、MCC粒子間に形成される隙間としては小さすぎることから、MCC粒子内に形成される細孔の大きさに対応すると判断できる。P1は、前駆体粒子を構成するMCC粒子が有する細孔の細孔径を示す。
P1は、0.02cm/g以上であってもよく、0.032cm/g以上であってもよい。また、P1は0.9cm/g以下であってもよく、0.8cm/g以下であってもよい。P1の上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
また、P2(cm/g)は、前駆体粉末の細孔径分布において、P1を示すピークの細孔径におけるlog微分細孔容積の値である。前駆体粉末においては、MCC粒子が有する細孔は、充填化合物により埋没している。したがって、P2はP1よりも小さくなる(P1>P2)。
P2は、0.001cm/g以上であってもよく、0.002cm/g以上であってもよい。また、P2は0.8cm/g以下であってもよく、0.7cm/g以下であってもよい。P2の上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
上記P1,P2によって規定される「(P1-P2)/P1×100」は、前駆体粉末の洗浄前後における、細孔径10nm以下の領域でのlog微分細孔容積の最大ピーク値の変化率(%)を表す。式(1)で表すように、前駆体粉末は、洗浄前後の最大ピーク値の変化率が10%以上100%未満である。
上記変化率は、15%以上が好ましく、25%以上がさらに好ましく、45%以上が特に好ましい。また、上記変化率は99%以下であってもよく、98%以下であってもよい。上記変化率の上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
「(P1-P2)/P1×100」は、言い換えると、細孔径10nm以下の領域において最も容積割合が大きい細孔径の細孔に着目し、MCC粒子の細孔に対する充填化合物の充填率の概算値を表す。MCC粒子の細孔は、充填化合物により10体積%以上100体積%未満の範囲で充填されている。
また、前駆体粉末の細孔径分布から求められる全細孔容積は、0.005~0.15cm/gであると好ましい。
全細孔容積は、0.006cm/g以上であってもよく、0.008cm/g以上であってもよい。また、全細孔容積は0.05cm/g以下であってもよく、0.02cm/g以下であってもよい。全細孔容積の上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
前駆体粉末は、MCC粒子が有する細孔に十分な量の充填化合物が充填している。このような前駆体粉末を用いると、サイクル特性に優れる正極活物質粉末を製造可能となる。詳細は後述する。
(MCC粒子)
MCC粒子を構成するMCCは、Ni元素の他、さらに元素Xを含む。元素Xは、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、B、S及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。
前駆体粉末において、[Ni]と、[X]と、充填化合物に含まれる[W]と[Mo]との合計との原子量比は、下記式(2)を満たすことが好ましい。
[Ni]:[X]:[W+Mo]=1-a:a:b …(2)
(ただし、0.01≦a≦0.5、0.0015≦b≦0.03)
すなわち、前駆体粉末は、[Ni]と[X]との合計を100mol%としたとき、[Ni]の割合が、50~99mol%(0.5≦1-a≦0.99)であり、[X]の割合は、1~50mol%(0.01≦a≦0.5)である。
また、[Ni]と[X]との合計に対する、[W]と[Mo]の合計の割合は、0.1~3mol%(0.0015≦b≦0.03)である。
aは、0.02以上であってもよく、0.04以上であってもよい。また、aは0.40以下であってもよく、0.30以下であってもよい。aの上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
bは、0.0015以上であってもよく、0.003以上であってもよい。また、bは0.02以下であってもよく、0.015以下であってもよい。bの上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
上記a,bは、ICP分析による組成分析の結果から算出することができる。
MCCは、下記組成式(I)で表される水酸化物であることが好ましい。
Ni1-x-yCo(OH)2-α ・・・式(I)
(組成式(I)中、0≦x≦0.3、0<y≦0.3、0<x+y≦0.5、及び-0.5≦α<0.5を満たし、MはMn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、B、S及びPからなる群より選ばれる1種以上の元素である。)
(x)
xは、0であってもよい。xは、0.01以上が好ましく、0.015以上がより好ましく、0.02以上が特に好ましい。
またxは、0.30以下が好ましく、0.25以下がより好ましく、0.10以下が特に好ましい。
xの上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
上記組成式(I)は0≦x≦0.25を満たすことが好ましく、0.015≦x≦0.20を満たすことがより好ましく、0.02≦x≦0.10を満たすことが特に好ましい。
(y)
yは、0.01以上が好ましく、0.015以上がより好ましく、0.02以上が特に好ましい。
またyは、0.30以下が好ましく、0.25以下がより好ましく、0.15以下が特に好ましい。
yの上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
上記組成式(I)は、0.01≦y≦0.30を満たすことが好ましく、0.015≦y≦0.20を満たすことがより好ましく、0.02≦y≦0.15を満たすことが特に好ましい。
(α)
αは、-0.45以上が好ましく、-0.30以上がより好ましく、-0.20以上が特に好ましい。
αは、0.45以下が好ましく、0.30以下がより好ましく、0.20以下が特に好ましい。上記上限値及び下限値は任意に組みわせることができる。
上記組成式(I)は-0.45≦α≦0.45を満たすことが好ましく、-0.30≦α≦0.30を満たすことがより好ましく、-0.20≦α≦0.20を満たすことが特に好ましい。
本実施形態において、上記組成式(I)は、0≦x≦0.25、0.01≦y≦0.30、及び-0.45≦α≦0.45を満たすことが好ましい。
(粉体特性)
前駆体粉末のD50は、3~20μmであると好ましく、4~18μmであるとより好ましく、7~17μmであるとさらに好ましい。前駆体粉末のD50が3μm以上であると、二次粒子内部に存在する細孔の存在量が増え、前駆体粉末より得られる正極活物質粉末は電池のサイクル維持率が向上しやすい。また、前駆体粉末のD50が20μm以下であると、二次粒子全体が後述の焼成工程においてLi化合物と反応しやすく、粒子全体で均一な結晶構造が生成するため、前駆体粉末より得られる正極活物質粉末はリチウム二次電池に用いた時の容量が向上する。
また、前駆体粉末のBET比表面積は、1~40m/gであると好ましく、1.5~35m/gであるとより好ましく、1.5~10m/gであるとさらに好ましい。前駆体粉末のBET比表面積が1m/g以上であると、二次粒子内部に存在する細孔の存在量が増え、二次粒子全体が後述の焼成工程においてLi化合物と均一に反応しやすい。また、前駆体粉末のBET比表面積が40m/g以下であると、前駆体粉末が持つ細孔中にW元素及びMo元素の化合物を充填させやすく、得られる正極活物質粉末はリチウム二次電池に用いたときにサイクル特性が向上しやすい。
<前駆体粉末の製造方法>
前駆体粉末の製造方法は、MCC粉末を製造する工程と、W元素及びMo元素のいずれか一方又は両方の化合物が溶解した塩基性溶液と、MCC粉末とを混合してスラリーを得る工程と、スラリーに分散するMCC粒子を固液分離操作又は溶液の蒸発操作にて取り出した後、乾燥させる工程と、を有する。
(MCC粉末を製造する工程)
MCCは、層状構造を有する金属複合水酸化物であり、一例として下記式(I’)で表されるモル比率で、Ni及びXを含む。
Ni:X=(1-y):y (I’)
(式(I’)中、Xは、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、B、S及びPからなる群から選択される1種以上の元素を表し、0<y≦0.2を満たす。)
以下、Ni、Co及びMnを含むMCC粒子の製造工程を一例として説明する。まず、Ni、Co及びMnを含む金属複合水酸化物を調製する。層状構造を有する金属複合水酸化物は、通常公知のバッチ式共沈殿法又は連続式共沈殿法により製造することが可能である。
具体的には、JP-A-2002-201028に記載された連続式共沈殿法により、ニッケル塩溶液、コバルト塩溶液、マンガン塩溶液及び錯化剤を反応させ、Ni(1-y)CoMn(OH)(z+w=yとする)で表される金属複合水酸化物を製造する。
ニッケル塩溶液の溶質であるニッケル塩としては、特に限定されないが、例えば硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及び酢酸ニッケルのうちの少なくとも1種を使用することができる。
コバルト塩溶液の溶質であるコバルト塩としては、例えば硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト及び酢酸コバルトのうちの少なくとも1種を使用することができる。
マンガン塩溶液の溶質であるマンガン塩としては、例えば硫酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガンム及び酢酸マンガンのうちの少なくとも1種を使用することができる。
以上の金属塩は、上記Ni(1-y)CoMn(OH)の組成比に対応する割合で用いられる。すなわち、上記金属塩を含む混合溶液中におけるNi、Co及びMnのモル比が、MCCの組成式(I)の(1-y):z:wと対応するように各金属塩の量を規定する。また、溶媒として水が使用される。
錯化剤としては、水溶液中で、ニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンと錯体を形成可能なものであり、例えばアンモニウムイオン供給体(水酸化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、又は弗化アンモニウム等)、ヒドラジン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸及びウラシル二酢酸及びグリシンが挙げられる。
金属複合水酸化物の製造工程において、錯化剤は、用いられてもよく、用いられなくてもよい。錯化剤が用いられる場合、ニッケル塩溶液、コバルト塩溶液、マンガン塩溶液及び錯化剤を含む混合液に含まれる錯化剤の量は、例えば金属塩(ニッケル塩、コバルト塩及びマンガン塩)のモル数の合計に対するモル比が0より大きく2.0以下である。
共沈殿法に際しては、ニッケル塩溶液、コバルト塩溶液、マンガン塩溶液、及び錯化剤を含む混合液のpH値を調整するため、混合液のpHがアルカリ性から中性になる前に、混合液にアルカリ金属水酸化物の水溶液を添加する。アルカリ金属水酸化物とは、例えば水酸化ナトリウムであり、水酸化ナトリウム水溶液として用いる。
上記ニッケル塩溶液、コバルト塩溶液、及びマンガン塩溶液のほか、錯化剤、アルカリ金属水酸化物の水溶液を反応槽に連続して供給すると、Ni、Co及びMnが反応し、Ni(1-y)CoMn(OH)が生成する。
反応に際しては、反応槽の温度を、例えば20~80℃、好ましくは30~70℃の範囲内で制御する。
また、反応に際しては、反応槽内のpH値を、例えばpH9~13の範囲内で制御する。反応槽内のpHの測定温度は、40℃にて測定することができる。
反応槽内で形成された反応沈殿物を攪拌しながら中和する。反応沈殿物の中和の時間は、例えば1~20時間である。
連続式共沈殿法で用いる反応槽は、形成された反応沈殿物を分離するためオーバーフローさせるタイプの反応槽を用いることができる。
バッチ式共沈殿法により金属複合水酸化物を製造する場合、反応槽としては、オーバーフローパイプを備えない反応槽、及びオーバーフローパイプに連結された濃縮槽を備え、オーバーフローした反応沈殿物を濃縮槽で濃縮し、再び反応槽へ循環させる機構を有する装置等が挙げられる。
反応槽内には不活性ガスを供給することが好ましく、各種気体、例えば、窒素、アルゴン、又はそれらの混合ガスを反応槽内に供給する。不活性ガスの通気量によって、MCCが有する細孔を制御することができる。
以上の反応後、中和された反応沈殿物を単離する。単離には、例えば反応沈殿物を含むスラリー(つまり、共沈物スラリー)を遠心分離や吸引ろ過などで脱水する方法が用いられる。
単離された反応沈殿物を洗浄、脱水する。反応沈殿物の洗浄は、水又はアルカリ性洗浄液で行うことが好ましい。本実施形態においては、アルカリ性洗浄液で洗浄することが好ましく、水酸化ナトリウム水溶液で洗浄することがより好ましい。
洗浄後、さらに脱水し乾燥することで、Ni、Co及びMnを含む金属複合水酸化物が得られる。乾燥後に、篩別処理を行い、金属複合水酸化物の粒子径を調整してもよい。
以上の工程により、MCC粉末を製造することができる。上記のような公知の共沈殿法によって、全細孔容積0.01~0.2cm/g、細孔径分布において、細孔径10nm以下の領域での最大ピーク値を示すlog微分細孔容積(P1)0.02~0.4cm/gを有するMCCを得る。
MCCの全細孔容積が前記範囲内であると、W元素及びMo元素のいずれか一方又は両方の化合物がMCCの細孔へ均一に充填されやすく、得られる正極活物質粉末はリチウム二次電池に用いたときにサイクル特性が向上しやすい。W元素、Mo元素の化合物を充填する前のMCC粉末の全細孔容積は、0.01以上が好ましく、0.015以上がより好ましい。W元素、Mo元素の化合物を充填する前のMCC粉末の全細孔容積は、0.18以下が好ましく、0.12以下が特に好ましい。
洗浄後の脱水処理及び乾燥処理を実施せずに、(スラリーを得る工程)を続けて行い、洗浄W元素及びMo元素のいずれか一方又は両方の化合物が溶解した塩基性溶液と、得られたMCC粉末とを混合してスラリーを得てもよい。
(スラリーを得る工程)
次いで、W元素及びMo元素のいずれか一方又は両方の化合物が溶解した塩基性溶液と、得られたMCC粉末とを混合してスラリーを得る。
塩基性溶液は、WO及びMoOのいずれか一方又は両方と、塩基であるLiOHと、水とを混合して得る方法により得られる。あるいは、LiWO及びMoOのいずれか一方又は両方と、塩基であるLiOHと、水とを混合して得る方法によって得ることができる。塩基性水溶液の25℃でのpHは、10より大きい(pH>10)。
塩基性溶液は、塩基としてLiOHの他にNaOHを含んでもよいが、LiOHのみ用いることが好ましい。
塩基性水溶液においては、WO及びMoのいずれか一方又は両方と、LiOHとが反応して、水溶性のLiWO及びLiMoOのいずれか一方又は両方、すなわち上述の充填化合物が生じる。
得られた塩基性水溶液と、MCC粉末とを混合することで、スラリーが得られる。スラリーの含水率は、20質量%以上であり、21質量%以上であってもよい。スラリーの含水率は70質量%以下である。
塩基性水溶液のpHが10より大きいため、MCC粉末は、塩基性水溶液において溶解し難く、MCC粒子の細孔が維持されやすい。そのため、MCC粒子がスラリーに分散する間に、MCC粒子が有する細孔には、塩基性水溶液が浸入する。これにより、細孔内に水溶性の充填化合物が充填される。
スラリーとして保持する時間は、5分間以上であると好ましい。この程度の間、スラリーとして保持することで、細孔内に充填化合物が十分に充填される。
(乾燥させる工程)
次いで、スラリーから、充填化合物を含浸させたMCC粉末を取り出し、乾燥させる。
スラリーの含水率が20~30質量%の場合、スラリーから直接水を蒸発させて除去し、充填化合物を含浸させたMCC粉末を取り出してもよい。
スラリーの含水率が30質量%を超える場合、スラリーを濾過して固形分を分離し、得られた固形分から水を蒸発させて、充填化合物を含浸させたMCC粉末を取り出してもよい。
乾燥の方法は、加熱、減圧、送風及びこれらの組み合わせを適宜採用することができる。
図1は、後述する実施例1で得られた前駆体粉末のSEM像である。図1に示す前駆体粉末は、充填化合物として、Li元素とW元素との化合物を用いている。また、図2は、図1と同じ視野におけるSEM-EDX像であり、W元素のマッピング像である。図2ではW元素の量を色の濃淡で示し、白の部分はW元素が存在せず、色濃く着色されている部分ほど相対的にW元素が多く存在していることを示している。以下、本明細書において図示する各マッピング像についても同様に、元素の存在量を色の濃淡で示している。
図1に示すように、MCC粒子には細孔が確認できる。粒子断面において、白い縞状に写っている部分が細孔に該当する。
また、図2に示すように、MCC粒子の内部にまでWが存在していることを確認できる。
これにより、上述の前駆体粉末が得られる。
<正極活物質粉末>
本実施形態のCAM粉末は、リチウム二次電池に用いられ、所定の大きさの細孔を有する複数の粒子と、細孔に充填された充填化合物と、を有する。粒子は、層状構造を有し、少なくともNi元素を含むLiMOからなる。充填化合物としては、上述した充填化合物と同じ化合物を例示できる。
CAM粉末を構成する上記粒子について、以下、LiMO粒子と称することがある。LiMO粒子と、LiMO粒子の細孔に充填された充填化合物とは、CAMの粒子(CAM粒子)を構成する。CAM粉末は複数のCAM粒子の集合である。
また、CAM粉末は、下記式(3)を満たすピークを有する。
P3≧0.003 …(3)
ここで、P3(cm/g)は、質量比でCAM粉末の20倍の水を用いてCAM粉末を20分間撹拌洗浄し、固液分離後に乾燥させて得られた洗浄済粉末の細孔径分布において、細孔径10nm以下の領域でのlog微分細孔容積の最大ピーク値である。細孔径10nm以下の領域にピークが存在しない場合は、最大ピーク値P3が無いものとして評価する。
上述のように、CAM粒子の細孔に充填されている充填化合物は水溶性である。そのため、CAM粉末を上記条件で洗浄することにより、得られる洗浄済粉末は、細孔から充填化合物が除去された状態となり、充填化合物により埋没していた細孔が顕わになる。すなわち、洗浄済粉末は、疑似的にLiMO粒子の集合と考えることができる。
nmオーダーの細孔は、LiMO粒子間に形成される隙間としては小さすぎることから、LiMO粒子内に形成される細孔の大きさに対応すると判断できる。P3は、CAM粉末を構成するLiMO粒子が有する細孔の細孔径を示す。
P3は、0.004cm/g以上であってもよく、0.006cm/g以上であってもよい。また、P3は0.06cm/g以下であってもよく、0.05cm/g以下であってもよい。P3の上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
また、CAM粉末の細孔径分布において、P3を示すピークの細孔径におけるlog微分細孔容積の値をP4(cm/g)とする。
CAM粉末においては、CAM粒子が有する細孔は、充填化合物により埋没している。したがって、P4はP3よりも小さくなる(P3>P4)。
P4は、0.0005cm/g以上であってもよく、0.0010cm/g以上であってもよい。また、P4は0.020cm/g以下であってもよく、0.015cm/g以下であってもよい。P4の上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
CAM粉末は、下記式(5)を満たすことが好ましい。
50≦(P3-P4)/P3×100<100 …(5)
上記P3,P4によって規定される「(P3-P4)/P3×100」は、CAM粉末の洗浄前後における、細孔径10nm以下の領域でのlog微分細孔容積の最大ピーク値の変化率(%)を表す。式(5)で表すように、CAM粉末は、洗浄前後の最大ピーク値の変化率が50%以上100%未満である。
上記変化率は、60%以上であってもよく、65%以上であってもよい。また、上記変化率は99%以下であってもよく、98%以下であってもよい。上記変化率の上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
「(P3-P4)/P3×100」は、言い換えると、細孔径10nm以下の領域において最も容積割合が大きい細孔径の細孔に着目し、CAM粒子の細孔に対する充填化合物の充填率の概算値を表す。CAM粒子の細孔は、充填化合物により50体積%以上100体積%未満の範囲で充填されている。
前駆体粉末と同様に、CAM粉末を構成するLiMO粒子の細孔に充填された充填化合物の量は、[W]と[Mo]に着目することで、以下の方法で評価することができる。
CAM粉末を精秤して試料を得、質量比で試料の20倍の水を用いて試料を20分間撹拌洗浄し固液分離して濾液を得る。濾液のICP分析を行い、測定結果に基づいて濾液に溶出した[W]と[Mo]との合計溶出モル量を求める。試料のICP分析により得られる[W]と[Mo]との合計モル量と、[W]と[Mo]との合計溶出モル量とから、CAM粉末に対する[W]と[Mo]との合計溶出モル量の割合を求める。
上記方法で求められる[W]と[Mo]との合計溶出モル量は、水洗によって細孔から溶出する充填化合物の合計モル量に対応している。
CAM粉末は、上記方法で測定される割合が、10~60mol%であると好ましく、15~50mol%であるとより好ましい。
CAM粉末を構成するLiMO粒子は、LiMOの一次粒子が凝集した二次粒子を含む。二次粒子を構成する一次粒子の数は、1μmあたり10~50個であると好ましく、1μmあたり20~40個であるとより好ましい。
(LiMO粒子)
LiMO粒子を構成するLiMOは、さらに上述の元素Xを含む。
CAM粉末において、[Li]と、[Ni]と、[X]と、充填化合物に含まれる[W]と[Mo]とのとの原子量比は、下記式(4)を満たすことが好ましい。
[Li]:[Ni]:[X]:[W+Mo]=c:1-a:a:b …(4)
(ただし、0.9≦c≦1.2、0.01≦a≦0.5、0.0015≦b≦0.03)
すなわち、CAM粉末は、[Ni]と[X]との合計を100mol%としたとき、[Ni]の割合が、50~99mol%(0.5≦1-a≦0.99)であり、[X]の割合は、1~50mol%(0.01≦a≦0.5)である。
また、[Ni]と[X]との合計に対する、[Li]の合計の割合は、90~120mol%(0.9≦c≦1.2)である。
さらに、[Ni]と[X]との合計に対する、[W]と[Mo]の合計の割合は、0.15~3mol%(0.0015≦b≦0.03)である。
cは、0.98以上であってもよく、1.00以上であってもよい。また、cは1.15以下であってもよく、1.10以下であってもよい。cの上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
aは、上記前駆体粉末のMCC粒子において説明したaに対応する。
aは、0.02以上であってもよく、0.04以上であってもよい。また、aは0.40以下であってもよく、0.30以下であってもよい。aの上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
bは、上記前駆体粉末のMCC粒子において説明したbに対応する。
bは、0.0020以上であってもよく、0.003以上であってもよい。また、bは0.02以下であってもよく、0.015以下であってもよい。bの上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
上記a,b,cは、ICP分析による組成分析の結果から算出することができる。
LiMOは、以下の組成式(II)で表される化合物であってもよい。
Li[Li(Ni(1-y)1-x]O (II)
(式(II)中、Xは、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、B、S及びPからなる群から選択される1種以上の元素を表し、-0.1≦x≦0.2、0<y≦0.5を満たす。)
サイクル維持率が高いリチウム二次電池を得る観点から、前記式(II)におけるxは、-0.1以上であり、-0.05以上であることがより好ましく、0を超えることがさらに好ましい。また、初回クーロン効率がより高いリチウム二次電池を得る観点から、前記式(II)におけるxは、0.2以下であり、0.08以下であることが好ましく、0.06以下であることがより好ましい。
xの上限値と下限値は、任意に組み合わせることができる。組み合わせとしては、例えば、xが-0.1~0.2、0を超え0.2以下、-0.05~0.08、0を超え0.06以下等であることが挙げられる。
充放電サイクルを繰り返した後の電池の抵抗増加を抑制する観点から、前記式(II)におけるyは、0より大きく、0.01以上であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましい。また、初期容量が高いリチウム二次電池を得る観点から前記式(II)におけるyは、0.2以下であり、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。
サイクル維持率が高いリチウム二次電池を得る観点から、Xは、Co、Mn、Ti、Mg、Al、W、Nb、B及びZrからなる群より選択される1種以上の金属であることが好ましく、Co、Mn、Al、W、Nb及びBからなる群より選択される1種以上の金属であることがより好ましい。
CAMの組成分析は、CAMを塩酸に溶解させた後、誘導結合プラズマ発光分析装置(例えば、Optima7300、株式会社パーキンエルマー製)を用いて行うことができる。
LiMOの結晶構造は、層状岩塩型構造であり、六方晶型の結晶構造又は単斜晶型の結晶構造であることがより好ましい。LiMOの結晶構造は、CAM粉末について通常知られた方法で粉末X線回折スペクトルを求め、得られたX線回折スペクトルの回折角、ピーク強度に基づいて同定する。
六方晶型の結晶構造は、P3、P3、P3、R3、P-3、R-3、P312、P321、P312、P321、P312、P321、R32、P3m1、P31m、P3c1、P31c、R3m、R3c、P-31m、P-31c、P-3m1、P-3c1、R-3m、R-3c、P6、P6、P6、P6、P6、P6、P-6、P6/m、P6/m、P622、P622、P622、P622、P622、P622、P6mm、P6cc、P6cm、P6mc、P-6m2、P-6c2、P-62m、P-62c、P6/mmm、P6/mcc、P6/mcm、及びP6/mmcからなる群から選ばれるいずれか一つの空間群に帰属される。
また、単斜晶型の結晶構造は、P2、P2、C2、Pm、Pc、Cm、Cc、P2/m、P2/m、C2/m、P2/c、P2/c、及びC2/cからなる群から選ばれるいずれか一つの空間群に帰属される。
これらのうち、放電容量が高いリチウム二次電池を得るため、結晶構造は、空間群R-3mに帰属される六方晶型の結晶構造、又はC2/mに帰属される単斜晶型の結晶構造であることが特に好ましい。
CAM粉末は、上述の方法で測定して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ=18.7±2°の範囲内の回折ピーク(003面)の半値幅Bと、2θ=44.6±2°の範囲内の回折ピーク(104面)の半値幅Cとの比C/Bが、0.54~0.68であると好ましい。すなわち、CAM粉末に含まれるLiMO粒子のLiMOについて、C/Bは、0.55~0.66であると好ましい。
C/Bが0.54~0.68であるLiMOは、003面の法線方向(すなわちc軸方向)に適度に異方成長し、LiMOに対するリチウムイオンの吸蔵・脱離が容易となる。そのため、C/Bが上記関係を満たすCAM粉末は、電池性能を向上させることが可能となる。
(粉体特性)
CAM粉末のD50は、製造に用いる前駆体粉末のD50と同等の値を示す。CAM粉末のD50は、3~20μmであると好ましく、4~18μmであるとより好ましく、7~17μmであるとさらに好ましい。CAM粉末のD50が3μm以上であると二次粒子の内部に存在する細孔が相対的に増えることにより、リチウム二次電池のサイクル維持率が向上しやすい。また、CAM粉末のD50が20μm以下であると、二次粒子の細孔と電解液が接触しやすくなり、リチウム二次電池の初期容量が向上しやすい。
また、CAM粉末のBET比表面積は、0.1~2m/gであると好ましく、0.2~1.5m/gであるとより好ましく、0.25~1.0m/gであるとさらに好ましい。CAM粉末のBET比表面積が0.1m/g以上であると、電解液と接触しやすく電池容量が向上する。また、CAM粉末のBET比表面積が2m/g以下であると、リチウム二次電池において副反応である電解液の分解反応を生じにくい。
このようなCAM粉末は、上記式(3)を満たすような微細な細孔を有する。CAM粉末をリチウム二次電池の正極に用いると、CAM粉末の細孔に充填された水溶性の充填化合物は、極性溶媒である電解液に一部が溶解すると考えられる。充填化合物が溶解すると、CAM粒子には細孔が顕現する。
CAM粉末が有する微細な細孔は、リチウム二次電池の充放電に伴うCAMの体積膨張及び収縮によるひずみを緩衝し、粒子の破損を抑制することが期待できる。また、小さな細孔を有するCAMは、相対的に大きな細孔を有するCAMよりも上記緩衝の効果が高いと考えられる。
さらに、充填化合物として用いるW化合物やMo化合物は、Liイオン伝導性が高いため、容量低下を抑制することできる。
これらにより、本実施形態のCAM粉末においては、サイクル維持率に優れたリチウム二次電池を実現できる。
<CAM粉末の製造方法>
CAM粉末の製造方法は、前駆体粉末と、リチウム化合物とを混合して混合物を得る工程と、混合物を焼成する工程と、を含む。
(混合物を得る工程)
用いるリチウム化合物は、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、塩化リチウム及びフッ化リチウムの少なくとも何れか一つを使用することができる。これらの中では、水酸化リチウム及び炭酸リチウムのいずれか一方又はその混合物が好ましい。また、水酸化リチウムが炭酸リチウムを含む場合には、水酸化リチウム中の炭酸リチウムの含有量は、5質量%以下であることが好ましい。
混合物を得る工程の前に、金属水酸化物である前駆体粉末を400~700℃の範囲で加熱処理を行い、金属複合酸化物としてもよい。加熱温度の保持時間は、0.5~10時間とすることができる。加熱雰囲気として、大気、酸素又は、窒素これらの混合ガスを用いることができる。
リチウム化合物と前駆体粉末とを、最終目的物の組成比を勘案して混合する。具体的には、リチウム化合物と前駆体粉末は、上記式(4)を満たす割合で混合する。
すなわち、混合物を得る工程においては、前駆体粉末の粒子を構成する金属に対して、リチウム化合物を構成するリチウムが0.90~1.20(モル比)となる量比で前駆体粉末とリチウム化合物とを混合する。
(焼成する工程)
焼成温度は、740~920℃である。焼成温度が740℃以上であると、結晶構造中の003面の法線方向(すなわちc軸方向)が適度に異方成長したCAM粉末を得ることができる。また、焼成温度が920℃以下であると、CAM粉末の細孔にW、Moの化合物を充填したLiMOを得ることができる。
焼成温度は、750℃以上が好ましく、760℃以上がより好ましく、780℃以上がさらに好ましく、790℃以上がよりさらに好ましく、800℃以上が特に好ましい。また、焼成温度は、910℃以下であることが好ましく、900℃以下であることがより好ましい。
焼成温度の上限値と下限値とは、任意に組み合わせることができる。例えば、焼成温度は、750~920℃であることが好ましく、760~910℃であることがより好ましく、780~900℃であることがさらに好ましく、800℃~900℃であることが特に好ましい。
また、焼成温度は、760~920℃であってもよく、780~920℃であってもよく、790~920℃であってもよく、800~920℃であってもよい。
本明細書における焼成温度とは、焼成炉内雰囲気の温度を意味し、かつ焼成工程での保持温度の最高温度(以下、最高保持温度と呼ぶことがある)を意味する。焼成工程において、複数の加熱工程を有する場合、各加熱工程のうち、最高保持温度で加熱した際の温度を焼成温度とする。焼成温度の上記上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
焼成における保持時間は、3~30時間が好ましく、4~20時間がより好ましい。焼成における保持時間が30時間を超えると、リチウムの揮発によって実質的に電池性能が悪くなる傾向となる。焼成における保持時間が3時間より少ないと、結晶の発達が悪く、電池性能が悪くなる傾向となる。
最高保持温度に達する加熱工程の昇温速度は80℃/時間以上が好ましく、100℃/時間以上がより好ましく、120℃/時間以上が特に好ましい。最高保持温度に達する加熱工程の昇温速度は、焼成装置において、昇温を開始した時間から保持温度に到達するまでの時間から算出される。
焼成工程は、焼成温度が異なる複数の焼成段階を有してもよい。例えば、第1の焼成段階と、第1の焼成段階よりも高温で焼成する第2の焼成段階を有することが好ましい。さらに焼成温度及び焼成時間が異なる焼成段階を有していてもよい。
焼成雰囲気として、大気、酸素、窒素、又はこれらの混合ガス等が用いられ、必要ならば複数の焼成工程が実施される。焼成雰囲気とし、酸素ガスを用いることが特に好ましい。
なお、前駆体粉末とリチウム化合物との混合物は、焼成工程を行う前に仮焼成されてもよい。本実施形態において仮焼成とは、焼成工程における焼成温度よりも低い温度で焼成することである。仮焼成時の焼成温度は、例えば400℃以上700℃未満の範囲が挙げられる。仮焼成は、複数回行ってもよい。
焼成時に用いる焼成装置は、特に限定されず、例えば、連続焼成炉又は流動式焼成炉の何れを用いて行ってもよい。連続焼成炉としては、トンネル炉又はローラーハースキルンが挙げられる。流動式焼成炉としては、ロータリーキルンを用いてもよい。
図3は、後述する実施例1で得られたCAM粉末のSEM像である。図3に示すCAM粉末は、図1,2で示した前駆体粉末を用いて製造している。また、図4は、図3と同じ視野におけるSEM-EDX像であり、W元素のマッピング像である。
図3に示すように、CAM粒子には細孔が確認できる。粒子断面において、白い縞状に写っている部分が細孔に該当する。
また、図4に示すように、CAM粒子の内部にまでWが存在していることを確認できる。
図5は、上述の前駆体粉末を用いたCAM粒子の製造時における粒子成長の様子を示す模式図である。また、図6は、細孔内に充填化合物を有さないMCC粒子を用いたCAM粒子の製造時における粒子成長の様子を示す模式図である。
図5に示すように、上述の前駆体粉末をリチウム化合物と混合して焼成すると、前駆体粒子A1と、不図示のリチウム化合物とが反応し、CAM粒子B1を構成するLiMO粒子が得られる。詳細には、前駆体粒子A1においては、一次粒子AP1を構成するMCCと、不図示のリチウム化合物とが反応し、LiMOの一次粒子BP1が生じる。一次粒子BP1は、CAM粒子B1を構成する。
ここで、上述の前駆体粉末に含まれる前駆体粒子A1においては、前駆体粒子A1が有する細孔に充填化合物Fが充填されている。そのため、一次粒子AP1とリチウム化合物とが反応する際、一次粒子AP1の間に位置する充填化合物Fは、一次粒子AP1同士の合一を阻害し、一次粒子BP1の粒子成長を阻害する。
これにより、生じるLiMO粒子(CAM粒子B1)において、一次粒子BP1は、一次粒子AP1からあまり粒子成長が見られない小粒径の粒子となる。
また、前駆体粒子A1の細孔に充填された充填化合物Fは、焼成時に細孔を保持する。そのため、CAM粒子B1が有する細孔は、前駆体粒子A1が有する細孔と比べ、全体の容積は減少しても細孔径は変化し難く、前駆体粒子A1が有する細孔と同等の大きさとなる。
同様に、図6に示すように、細孔内に化合物を有さないMCC粒子A2をリチウム化合物と混合して焼成すると、MCC粒子A2の一次粒子AP2を構成するMCCと、不図示のリチウム化合物とが反応し、LiMOの一次粒子BP2が生じる。一次粒子BP2は、焼成で生じるCAM粒子B2を構成する。
ここで、MCC粒子A2においては、一次粒子AP2とリチウム化合物とが反応する際、一次粒子AP2同士の合一を阻害する物質は存在しない。そのため、MCC粒子A2を用いた反応においては、焼成に伴って一次粒子AP2同士の合一を生じる。
これにより、生じるLiMO粒子(CAM粒子B2)において、一次粒子BP2は、一次粒子AP2から粒子成長し、相対的に大粒径の粒子となる。
また、一次粒子BP2の合一に伴い、一次粒子間の微細な細孔は消失する。そのため、
得られるCAM粒子B2においては、MCC粒子A2の細孔と比べ、相対的に大きい細孔が残存する。
以上のように、上述の前駆体粉末とリチウム化合物との混合物を焼成することによりCAM粉末が得られる。
以上のような構成の前駆体粉末においては、サイクル維持率が高い正極活物質を製造できる。
また、以上のような構成の正極活物質粉末は、リチウム二次電池の正極に用いた際に、サイクル維持率が高い電池を実現できる。
以上のような構成の正極活物質粉末の製造方法によれば、リチウム二次電池の正極に用いた際に、サイクル維持率が高くなる正極活物質粉末を、容易に製造可能となる。
<リチウム二次電池>
次いで、本実施形態のCAM粉末を用いる場合の好適なリチウム二次電池の構成を説明する。
さらに、本実施形態のCAM粉末を用いる場合に好適なリチウム二次電池用正極(以下、正極と称することがある。)について説明する。
さらに、正極の用途として好適なリチウム二次電池について説明する。
本実施形態のCAM粉末を用いる場合の好適なリチウム二次電池の一例は、正極及び負極、正極と負極との間に挟持されるセパレータ、正極と負極との間に配置される電解液を有する。
リチウム二次電池の一例は、正極及び負極、正極と負極との間に挟持されるセパレータ、正極と負極との間に配置される電解液を有する。
図7は、リチウム二次電池の一例を示す模式図である。本実施形態の円筒型のリチウム二次電池10は、次のようにして製造する。
まず、図7に示すように、帯状を呈する一対のセパレータ1、一端に正極リード21を有する帯状の正極2、及び一端に負極リード31を有する帯状の負極3を、セパレータ1、正極2、セパレータ1、負極3の順に積層し、巻回することにより電極群4とする。
次いで、電池缶5に電極群4及び不図示のインシュレーターを収容した後、缶底を封止し、電極群4に電解液6を含浸させ、正極2と負極3との間に電解質を配置する。さらに、電池缶5の上部をトップインシュレーター7及び封口体8で封止することで、リチウム二次電池10を製造することができる。
電極群4の形状としては、例えば、電極群4を巻回の軸に対して垂直方向に切断したときの断面形状が、円、楕円、長方形又は角を丸めた長方形となるような柱状の形状を挙げることができる。
また、このような電極群4を有するリチウム二次電池の形状としては、国際電気標準会議(IEC)が定めた電池に対する規格であるIEC60086、又はJIS C 8500で定められる形状を採用することができる。例えば、円筒型又は角型などの形状を挙げることができる。
さらに、リチウム二次電池は、上記巻回型の構成に限らず、正極、セパレータ、負極、セパレータの積層構造を繰り返し重ねた積層型の構成であってもよい。積層型のリチウム二次電池としては、いわゆるコイン型電池、ボタン型電池、又はペーパー型(又はシート型)電池を例示することができる。
以下、各構成について順に説明する。
(正極)
本実施形態の正極は、まずCAM粉末、導電材及びバインダーを含む正極合剤を調整し、正極合剤を正極集電体に担持させることで製造することができる。
(導電材)
本実施形態の正極が有する導電材としては、炭素材料を用いることができる。炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)、繊維状炭素材料などを挙げることができる。
正極合剤中の導電材の割合は、CAM粉末100質量部に対して5質量部以上20質量部以下であると好ましい。
(バインダー)
本実施形態の正極が有するバインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂;ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、WO2019/098384A1又はUS2020/0274158A1に記載の樹脂を挙げることができる。
(正極集電体)
本実施形態の正極が有する正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を用いることができる。
正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、有機溶媒を用いて正極合剤をペースト化し、得られる正極合剤のペーストを正極集電体の少なくとも一面側に塗布して乾燥させ、電極プレス工程を行って固着する方法が挙げられる。
正極合剤をペースト化する場合、用いることができる有機溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン(以下、NMPということがある。)が挙げられる。
正極合剤のペーストを正極集電体へ塗布する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法及び静電スプレー法が挙げられる。
以上に挙げられた方法により、正極を製造することができる。
(負極)
本実施形態のリチウム二次電池が有する負極は、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能であればよく、負極活物質を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、及び負極活物質単独からなる電極を挙げることができる。
(負極活物質)
負極が有する負極活物質としては、炭素材料、カルコゲン化合物(酸化物、硫化物など)、窒化物、金属又は合金で、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能な材料が挙げられる。
負極活物質として使用可能な炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛、コークス類、カーボンブラック、炭素繊維及び有機高分子化合物焼成体を挙げることができる。
負極活物質として使用可能な酸化物としては、SiO、SiOなど式SiO(ここで、xは正の実数)で表されるケイ素の酸化物;SnO、SnOなど式SnO(ここで、xは正の実数)で表されるスズの酸化物;LiTi12などのリチウムとチタンとを含有する金属複合酸化物;を挙げることができる。
また、負極活物質として使用可能な金属としては、リチウム金属、シリコン金属及びスズ金属などを挙げることができる。
負極活物質として使用可能な材料として、WO2019/098384A1又はUS2020/0274158A1に記載の材料を用いてもよい。
これらの金属や合金は、例えば箔状に加工された後、主に単独で電極として用いられる。
上記負極活物質の中では、充電時に未充電状態から満充電状態にかけて負極の電位がほとんど変化しない(電位平坦性がよい)、平均放電電位が低い、繰り返し充放電させたときの容量維持率が高い(サイクル特性がよい)などの理由から、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛を主成分とする炭素材料が好ましく用いられる。炭素材料の形状としては、例えば天然黒鉛のような薄片状、メソカーボンマイクロビーズのような球状、黒鉛化炭素繊維のような繊維状、又は微粉末の凝集体などのいずれでもよい。
前記の負極合剤は、必要に応じて、バインダーを含有してもよい。バインダーとしては、熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、PVdF、熱可塑性ポリイミド、カルボキシメチルセルロース(以下、CMCということがある。)、スチレンブタジエンゴム(以下、SBRということがある。)ポリエチレン及びポリプロピレンを挙げることができる。
(負極集電体)
負極が有する負極集電体としては、Cu、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を挙げることができる。
このような負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、正極の場合と同様に、加圧成型による方法、溶媒などを用いてペースト化し負極集電体上に塗布、乾燥後プレスし圧着する方法が挙げられる。
(セパレータ)
本実施形態のリチウム二次電池が有するセパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができる。また、これらの材質を2種以上用いてセパレータを形成してもよいし、これらの材料を積層してセパレータを形成してもよい。また、JP-A-2000-030686やUS20090111025A1に記載のセパレータを用いてもよい。
(電解液)
本実施形態のリチウム二次電池が有する電解液は、電解質及び有機溶媒を含有する。
電解液に含まれる電解質としては、LiClO、LiPF、LiBFなどのリチウム塩が挙げられ、これらの2種以上の混合物を使用してもよい。
また前記電解液に含まれる有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどのカーボネート類を用いることができる。
有機溶媒としては、これらのうちの2種以上を混合して用いることが好ましい。中でもカーボネート類を含む混合溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒及び環状カーボネートとエーテル類との混合溶媒がさらに好ましい。
また、電解液としては、得られるリチウム二次電池の安全性が高まるため、LiPFなどのフッ素を含むリチウム塩及びフッ素置換基を有する有機溶媒を含む電解液を用いることが好ましい。
電解液に含まれる電解質及び有機溶媒として、WO2019/098384A1又はUS2020/0274158A1に記載の電解質及び有機溶媒を用いてもよい。
<全固体リチウム二次電池>
次いで、全固体リチウム二次電池の構成を説明しながら、本発明の一態様に係るLiMOを全固体リチウム二次電池のCAMとして用いた正極、及びこの正極を有する全固体リチウム二次電池について説明する。
図8は、本実施形態の全固体リチウム二次電池の一例を示す模式図である。図8に示す全固体リチウム二次電池1000は、正極110と、負極120と、固体電解質層130とを有する積層体100と、積層体100を収容する外装体200と、を有する。また、全固体リチウム二次電池1000は、集電体の両側に正極活物質と負極活物質とを配置したバイポーラ構造であってもよい。バイポーラ構造の具体例として、例えば、JP-A-2004-95400に記載される構造が挙げられる。各部材を構成する材料については、後述する。
積層体100は、正極集電体112に接続される外部端子113と、負極集電体122に接続される外部端子123と、を有していてもよい。その他、全固体リチウム二次電池1000は、正極110と負極120との間にセパレータを有していてもよい。
全固体リチウム二次電池1000は、さらに積層体100と外装体200とを絶縁する不図示のインシュレーター及び外装体200の開口部200aを封止する不図示の封止体を有する。
外装体200は、アルミニウム、ステンレス鋼又はニッケルメッキ鋼などの耐食性の高い金属材料を成形した容器を用いることができる。また、外装体200として、少なくとも一方の面に耐食加工を施したラミネートフィルムを袋状に加工した容器を用いることもできる。
全固体リチウム二次電池1000の形状としては、例えば、コイン型、ボタン型、ペーパー型(又はシート型)、円筒型、角型、又はラミネート型(パウチ型)などの形状を挙げることができる。
全固体リチウム二次電池1000は、一例として積層体100を1つ有する形態が図示されているが、本実施形態はこれに限らない。全固体リチウム二次電池1000は、積層体100を単位セルとし、外装体200の内部に複数の単位セル(積層体100)を封じた構成であってもよい。
以下、各構成について順に説明する。
(正極)
本実施形態の正極110は、正極活物質層111と正極集電体112とを有している。
正極活物質層111は、上述した本発明の一態様であるCAM及び固体電解質を含む。また、正極活物質層111は、導電材及びバインダーを含んでいてもよい。
(固体電解質)
本実施形態の正極活物質層111に含まれる固体電解質としては、リチウムイオン伝導性を有し、公知の全固体リチウム二次電池に用いられる固体電解質を採用することができる。このような固体電解質としては、無機電解質及び有機電解質を挙げることができる。無機電解質としては、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質及び水素化物系固体電解質を挙げることができる。有機電解質としては、ポリマー系固体電解質を挙げることができる。各電解質としては、WO2020/208872A1、US2016/0233510A1、US2012/0251871A1、US2018/0159169A1に記載の化合物が挙げられ、例えば、以下の化合物が挙げられる。
(酸化物系固体電解質)
酸化物系固体電解質としては、例えば、ペロブスカイト型酸化物、NASICON型酸化物、LISICON型酸化物及びガーネット型酸化物などが挙げられる。各酸化物の具体例は、WO2020/208872A1、US2016/0233510A1、US2020/0259213A1に記載の化合物が挙げられる。
ペロブスカイト型酸化物としては、LiLa1-aTiO(0<a<1)などのLi-La-Ti系酸化物、LiLa1-bTaO(0<b<1)などのLi-La-Ta系酸化物及びLiLa1-cNbO(0<c<1)などのLi-La-Nb系酸化物などが挙げられる。
NASICON型酸化物としては、Li1+dAlTi2-d(PO(0≦d≦1)などが挙げられる。NASICON型酸化物とは、LiM1M2(式中、M1は、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、Sb及びSeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。M2は、Ti、Zr、Ge、In、Ga、Sn及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。m、n、o、p及びqは、任意の正数である。)で表される酸化物である。
LISICON型酸化物としては、LiM3O-LiM4O(M3は、Si、Ge、及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。M4は、P、As及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。)で表される酸化物などが挙げられる。
ガーネット型酸化物としては、LiLaZr12(LLZともいう)などのLi-La-Zr系酸化物などが挙げられる。
酸化物系固体電解質は、結晶性材料であってもよく、非晶質材料であってもよい。
(硫化物系固体電解質)
硫化物系固体電解質としては、LiS-P系化合物、LiS-SiS系化合物、LiS-GeS系化合物、LiS-B系化合物、LiI-SiS-P系化合物、LiI-LiS-P系化合物、LiI-LiPO-P系化合物及びLi10GeP12などを挙げることができる。
なお、本明細書において、硫化物系固体電解質を指す「系化合物」という表現は、「系化合物」の前に記載した「LiS」「P」などの原料を主として含む固体電解質の総称として用いる。例えば、LiS-P系化合物には、LiSとPとを主として含み、さらに他の原料を含む固体電解質が含まれる。LiS-P系化合物に含まれるLiSの割合は、例えばLiS-P系化合物全体に対して50~90質量%である。LiS-P系化合物に含まれるPの割合は、例えばLiS-P系化合物全体に対して10~50質量%である。また、LiS-P系化合物に含まれる他の原料の割合は、例えばLiS-P系化合物全体に対して0~30質量%である。また、LiS-P系化合物には、LiSとPとの混合比を異ならせた固体電解質も含まれる。
LiS-P系化合物としては、LiS-P、LiS-P-LiI、LiS-P-LiCl、LiS-P-LiBr、LiS-P-LiI-LiBr、LiS-P-LiO、LiS-P-LiO-LiI及びLiS-P-Z(m、nは正の数である。Zは、Ge、Zn又はGaである。)などを挙げることができる。
LiS-SiS系化合物としては、LiS-SiS、LiS-SiS-LiI、LiS-SiS-LiBr、LiS-SiS-LiCl、LiS-SiS-B-LiI、LiS-SiS-P-LiI、LiS-SiS-P-LiCl、LiS-SiS-LiPO、LiS-SiS-LiSO及びLiS-SiS-LiMO(x、yは正の数である。Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga又はInである。)などを挙げることができる。
LiS-GeS系化合物としては、LiS-GeS及びLiS-GeS-Pなどを挙げることができる。
硫化物系固体電解質は、結晶性材料であってもよく、非晶質材料であってもよい。
(水素化物系固体電解質)
水素化物系固体電解質材料としては、LiBH、LiBH-3KI、LiBH-PI、LiBH-P、LiBH-LiNH、3LiBH-LiI、LiNH、LiAlH、Li(NHI、LiNH、LiGd(BHCl、Li(BH)(NH)、Li(NH)I及びLi(BH)(NHなどを挙げることができる。
(ポリマー系固体電解質)
ポリマー系固体電解質として、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物及びポリオルガノシロキサン鎖及びポリオキシアルキレン鎖からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む高分子化合物などの有機系高分子電解質を挙げることができる。また、高分子化合物に非水電解液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。
固体電解質は、発明の効果を損なわない範囲において、2種以上を併用することができる。
(導電材及びバインダー)
本実施形態の正極活物質層111が有する導電材としては、上述の(導電材)で説明した材料を用いることができる。また、正極合剤中の導電材の割合についても同様に上述の(導電材)で説明した割合を適用することができる。また、正極が有するバインダーとしては、上述の(バインダー)で説明した材料を用いることができる。
(正極集電体)
本実施形態の正極110が有する正極集電体112としては、上述の(正極集電体)で説明した材料を用いることができる。
正極集電体112に正極活物質層111を担持させる方法としては、正極集電体112上で正極活物質層111を加圧成型する方法が挙げられる。加圧成型には、冷間プレスや熱間プレスを用いることができる。
また、有機溶媒を用いてCAM、固体電解質、導電材及びバインダーの混合物をペースト化して正極合剤とし、得られる正極合剤を正極集電体112の少なくとも一面上に塗布して乾燥させ、プレスし固着することで、正極集電体112に正極活物質層111を担持させてもよい。
また、有機溶媒を用いてCAM、固体電解質及び導電材の混合物をペースト化して正極合剤とし、得られる正極合剤を正極集電体112の少なくとも一面上に塗布して乾燥させ、焼結することで、正極集電体112に正極活物質層111を担持させてもよい。
正極合剤に用いることができる有機溶媒としては、上述の(正極集電体)で説明した正極合剤をペースト化する場合に用いることができる有機溶媒と同じものを用いることができる。
正極合剤を正極集電体112へ塗布する方法としては、上述の(正極集電体)で説明した方法が挙げられる。
以上に挙げられた方法により、正極110を製造することができる。正極110に用いる具体的な材料の組み合わせとしては、本実施形態に記載のCAMと表1に記載する組み合わせが挙げられる。
Figure 2023076015000001
Figure 2023076015000002
Figure 2023076015000003
(負極)
負極120は、負極活物質層121と負極集電体122とを有している。負極活物質層121は、負極活物質を含む。また、負極活物質層121は、固体電解質及び導電材を含んでいてもよい。負極活物質、負極集電体、固体電解質、導電材及びバインダーは、上述したものを用いることができる。
負極集電体122に負極活物質層121を担持させる方法としては、正極110の場合と同様に、加圧成型による方法、負極活物質を含むペースト状の負極合剤を負極集電体122上に塗布、乾燥後プレスし圧着する方法、及び負極活物質を含むペースト状の負極合剤を負極集電体122上に塗布、乾燥後、焼結する方法が挙げられる。
(固体電解質層)
固体電解質層130は、上述の固体電解質を有している。
固体電解質層130は、上述の正極110が有する正極活物質層111の表面に、無機物の固体電解質をスパッタリング法により堆積させることで形成することができる。
また、固体電解質層130は、上述の正極110が有する正極活物質層111の表面に、固体電解質を含むペースト状の合剤を塗布し、乾燥させることで形成することができる。乾燥後、プレス成型し、さらに冷間等方圧加圧法(CIP)により加圧して固体電解質層130を形成してもよい。
積層体100は、上述のように正極110上に設けられた固体電解質層130に対し、公知の方法を用いて、固体電解質層130の表面に負極活物質層121が接するように負極120を積層させることで製造することができる。
以上のような正極は、本実施形態のCAM粉末を含むためサイクル維持率に優れる。
また、以上のようなリチウム二次電池は、上記正極を有するためサイクル維持率に優れる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[組成分析]
後述の方法で製造される各粉末の組成分析は、上述の[組成分析]の方法により行った。
[BET比表面積]
各粉末のBET比表面積は、上述の[BET比表面積]の方法により測定した。
[累積粒度分布]
各粉末の累積粒度分布は、上述の[累積粒度分布]の方法により測定した。
[粉末X線回折測定]
MCCおよびCAM粉末の粉末X線回折測定は、上述の[粉末X線回折測定]の方法により行った。
[二次粒子を構成する一次粒子の数]
CAM粉末を構成する一次粒子の数は、上述の[二次粒子を構成する一次粒子の数(単位面積当たり)]の方法により測定した。
[細孔径分布]
各粒子の細孔径分布は、上述の[細孔径分布]の方法により測定した。
最大ピーク値P1は、後述の方法で得られた各前駆体粉末を、前駆体粉末の20倍の質量の水で20分間撹拌洗浄し、ろ過後に120℃、10時間の真空乾燥により乾燥させて得られた洗浄済前駆体粉末について、上述の[細孔径分布]の方法により測定し、最大ピーク値P1の定義に基づいて求めた。
最大ピーク値P2は、後述の方法で得られた各前駆体粉末を、上述の[細孔径分布]の方法により測定し、最大ピーク値P2の定義に基づいて求めた。
最大ピーク値P3は、後述の方法で得られた各CAM粉末を、前駆体粉末の20倍の質量の水で20分間撹拌洗浄し、ろ過後に120℃、10時間の真空乾燥により乾燥させて得られた洗浄済粉末について、上述の[細孔径分布]の方法により測定し、最大ピーク値P1の定義に基づいて求めた。
最大ピーク値P4は、後述の方法で得られた各CAM粉末を、上述の[細孔径分布]の方法により測定して得られるCAM粉末の細孔径分布において、最大ピーク値P3を示す細孔径におけるlog微分細孔容積を読み取って求めた。
[電池性能の評価]
製造したCAM粉末の性能について、下記方法でリチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池(ハーフセル)を作製し、上述の[サイクル維持率]の測定方法により電池性能を評価した。
(リチウム二次電池用正極の作製)
後述する製造方法で得られるCAMと導電材(アセチレンブラック)とバインダー(PVdF)とを、CAM:導電材:バインダー=92:5:3(質量比)の組成となるように加えて混練することにより、ペースト状の正極合剤を調製した。正極合剤の調製時には、N-メチル-2-ピロリドンを有機溶媒として用いた。
得られた正極合剤を、集電体となる厚さ40μmのAl箔に塗布して150℃で8時間真空乾燥を行い、リチウム二次電池用正極を得た。このリチウム二次電池用正極の電極面積は1.65cmとした。
(リチウム二次電池(コイン型ハーフセル)の作製)
以下の操作を、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
上述のリチウム二次電池用正極を、コイン型電池R2032用のパーツ(宝泉株式会社製)の下蓋にアルミ箔面を下に向けて置き、その上にポリエチレン製多孔質フィルムのセパレータを置いた。ここに電解液を300μl注入した。電解液は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートを30:35:35(体積比)で混合した混合液にLiPF6を1mol/lとなるように溶解した液体を用いた。
次に、負極として金属リチウムを用いて、セパレータの上側に置き、ガスケットを介して上蓋をし、かしめ機でかしめてリチウム二次電池(コイン型ハーフセルR2032。以下、「コイン型ハーフセル」と称することがある。)を作製した。
(実施例1)
ニッケルとコバルトとマンガンの硫酸塩の水溶液を用いる公知の共沈殿法により、Ni0.96Co0.02Mn0.02(OH)の組成を有する金属複合水酸化物1を得た。
金属複合水酸化物1は、Cu-Kα線を用いる粉末XRD測定において、空間群P-3m1に帰属されるピークを有しており、層状構造を有していることを確認した。
金属複合水酸化物1のD50は10.1μm、BET比表面積は8.0m/g、窒素吸着法により測定される全細孔容積は0.024cm/gであった。
金属複合水酸化物1は、窒素吸脱着による脱着等温線からBJH法により算出される細孔径分布において、10nm以下の領域にlog微分細孔容積のピークを有し、ピーク細孔径は3.9nmであり、ピーク値は0.08cm/gであった。
純水100gにLiOH・HOを3.7g、WOを9.4g添加し、撹拌することで、Li/W=2.2(モル比)でLiとWとが溶解した塩基性溶液1を調製した。溶液中の水100gあたりのW元素の溶解量は7.4gと算出された。塩基性溶液1のpHは12.1(測定温度25℃±2℃)であった。
金属複合水酸化物1に塩基性溶液1を添加して、金属複合水酸化物1の濃度が50質量%であるスラリーを調整し、5分間撹拌した。スラリーをろ過し、含水率が15質量%のウェットケーキを得た。ウェットケーキを120℃で10時間加熱し、乾燥させることで、前駆体粉末1を得た。
前駆体粉末1の元素分析より、Ni、Co、Mnの物質量に対するWの物質量の割合であるW/(Ni+Co+Mn)は0.7mol%であった。すなわち、前駆体粉末1の組成比(モル比)は、[Ni]:[Co]:[Mn]:[W]=96:2:2:0.7であった。
前駆体粉末1に含まれるNi、Co及びMnの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.06となるように水酸化リチウム一水和物を秤量した。前駆体粉末1と水酸化リチウム一水和物を混合して混合物を得た。
次いで、得られた混合物を、酸素雰囲気下、焼成温度800℃、5時間で焼成し、CAM粉末1を得た。
CAM粉末1の組成比(モル比)は、Li/(Ni+Co+Mn)=1.06であり、Ni:Co:Mn:W=96:2:2:0.7であった。CAM粉末1の粒子は、層状構造を有していることを確認した。
(実施例2)
純水100gにLiOH・HOを7.4g、WOを18.7g添加し、さらに撹拌することで、Li/W=2.2(モル比)でLiとWとが溶解した塩基性溶液2を調製した。溶液中の水100gあたりのW元素の溶解量は14.4gと算出された。塩基性溶液2のpHは12.0(測定温度25℃±2℃)であった。
金属複合水酸化物1に塩基性溶液2を添加してスラリーを調整したこと以外は実施例1と同様にして、前駆体粉末2及びCAM粉末2を得た。
前駆体粉末2の元素分析より、Ni、Co、Mnの物質量に対するWの物質量の割合であるW/(Ni+Co+Mn)は1.4mol%であった。すなわち、前駆体粉末2の組成比(モル比)は、[Ni]:[Co]:[Mn]:[W]=96:2:2:1.4であった。
CAM粉末2の組成比(モル比)は、Li/(Ni+Co+Mn)=1.06であり、Ni:Co:Mn:W=96:2:2:1.4であった。CAM粉末2の粒子は、層状構造を有していることを確認した。
(実施例3)
純水100gにNaOHを6.5g、WOを17.8g添加し、さらに撹拌することで、Na/W=2.1(モル比)でNaとWとが溶解した塩基性溶液3を調製した。溶液中の水100gあたりのW元素の溶解量は14.1gと算出された。塩基性溶液3のpHは12.0(測定温度25℃±2℃)であった。
金属複合水酸化物1に塩基性溶液3を添加してスラリーを調整したこと、及びスラリーのろ過後のウェットケーキの含水率を10質量%に調整したこと以外は実施例1と同様にして、前駆体粉末3及びCAM粉末3を得た。
前駆体粉末3の元素分析より、Ni、Co、Mnの物質量に対するWの物質量の割合であるW/(Ni+Co+Mn)は0.8mol%であった。すなわち、前駆体粉末3の組成比(モル比)は、[Ni]:[Co]:[Mn]:[W]=96:2:2:0.8であった。
CAM粉末3の組成比(モル比)は、Li/(Ni+Co+Mn)=1.06であり、Ni:Co:Mn:W=96:2:2:0.8であった。CAM粉末3の粒子は、層状構造を有していることを確認した。
(実施例4)
純水100gにLiOH・HOを0.6g、LiMoOを14.9g添加し、さらに撹拌することで、Li/Mo=2.2(モル比)でLiとMoとが溶解した塩基性溶液4を調製した。溶液中の水100gあたりのMo元素の溶解量は8.2gと算出された。塩基性溶液4のpHは11.9(測定温度25℃±2℃)であった。
100gの金属複合水酸化物1に対し塩基性溶液4を14.4g添加し、さらに純水22gを加えて混合し、金属複合水酸化物1の質量濃度が74質量%であるスラリーを調製した。
50℃で2時間、スラリーを真空乾燥し、ウェットケーキを得た。さらにウェットケーキを120℃にて10時間加熱することで、前駆体粉末4を得た。
前駆体粉末4の元素分析より、Ni、Co、Mnの物質量に対するMoの物質量の割合であるMo/(Ni+Co+Mn)は1.0mol%であった。すなわち、前駆体粉末4の組成比(モル比)は、[Ni]:[Co]:[Mn]:[Mo]=96:2:2:1.0であった。
前駆体粉末4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、CAM粉末4を得た。
CAM粉末4の組成比(モル比)は、Li/(Ni+Co+Mn)=1.06であり、Ni:Co:Mn:Mo=96:2:2:1.0であった。CAM粉末4の粒子は、層状構造を有していることを確認した。
(比較例1)
塩基性溶液を添加しない金属複合水酸化物1を前駆体粉末C1とした。
前駆体粉末C1に含まれるNi、Co及びMnの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.06となるように水酸化リチウム一水和物を秤量した。
また、前駆体粉末C1に含まれるNi、Co及びMnの合計量1に対するWの割合(モル%)が0.7mol%となる量のWOを秤量した。
前駆体粉末C1と水酸化リチウム一水和物とWOとを混合して混合物を得た。得られた混合物の組成比(モル比)は、[Ni]:[Co]:[Mn]:[W]=96:2:2:0.7であった。得られた混合物を、酸素雰囲気下、800℃、5時間で焼成し、CAM粉末C1を得た。
CAM粉末C1の組成比(モル比)は、Li/(Ni+Co+Mn)=1.06であり、Ni:Co:Mn:W=96:2:2:0.7であった。CAM粉末C1の粒子は、層状構造を有していることを確認した。
上述の条件で洗浄したCAM粉末C1のピーク細孔径は18.4nm、ピーク値は0.012cm/gであった。洗浄後のCAM粉末C1は、10nm以下の領域にlog微分細孔容積のピークを有しておらず、最大ピーク値P3を評価できなかった。
また、最大ピーク値P3を示すピークが存在しないため、CAM粉末C1の細孔径分布において、最大ピーク値P4を読み取ることができなかった。
(比較例2)
JP-A-2019-40675に記載の発明に相当するCAM粉末を作製した。
純水100gにLiWOを6.0g添加し、撹拌することで、Li/W=2.0(モル比)でLiとWとが溶解した塩基性溶液5を調製した。水溶液中の水分100gあたりのW元素の溶解量は4.2gと算出された。塩基性溶液5のpHは8.6(測定温度25℃±2℃)であった。
100gの金属複合水酸化物1を混合しながら、4.5gの塩基性溶液5を噴霧し、金属複合水酸化物1と塩基性溶液5との混合物を得た。得られた混合物を120℃にて10時間乾燥させ、前駆体粉末C2を得た。
前駆体粉末C2の元素分析より、Ni、Co、Mnの物質量に対するWの物質量の割合であるW/(Ni+Co+Mn)は0.10mol%であった。
前駆体粉末C2に含まれるNi、Co及びMnの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.06となるように水酸化リチウム一水和物を秤量した。前駆体粉末C2と水酸化リチウムとを混合して混合物を得た。得られた混合物を、酸素雰囲気下、800℃、5時間で焼成し、CAM粉末C2を得た。CAM粉末C2の組成比(モル比)は、Li/(Ni+Co+Mn)=1.06であり、Ni:Co:Mn:W=96:2:2:0.10であった。CAM粉末C2の粒子は、層状構造を有していることを確認した。
上述の条件で洗浄したCAM粉末C2のピーク細孔径は24.3nm、ピーク値は0.018cm/gであった。洗浄後のCAM粉末C2は、10nm以下の領域にlog微分細孔容積のピークを有しておらず、最大ピーク値P3を評価できなかった。
また、最大ピーク値P3を示すピークが存在しないため、CAM粉末C2の細孔径分布において、最大ピーク値P4を読み取ることができなかった。
実施例1~4及び比較例1~2の前駆体粉末について、各評価結果を表4,5に示す。また、実施例1~4及び比較例1~2のCAM粉末について、各評価結果を表6、7に示す。
Figure 2023076015000004
Figure 2023076015000005
Figure 2023076015000006
Figure 2023076015000007
評価の結果、本実施形態の前駆体粉末を用いた実施例1~4は、前駆体において充填化合物を添加しなかった比較例1と比べ、優れたサイクル維持率を示すことが確かめられた。
図9は、CAM粉末1のSEM写真である。図10は、CAM粉末C1のSEM写真である。
図9,10から明らかなように、実施例のCAM粉末のCAM粒子を構成する一次粒子が、比較例のCAM粉末のCAM粒子を構成する一次粒子と比べて小さいことが分かる。
図11は、前駆体粉末4のSEM像である。また、図12は、図11と同じ視野におけるSEM-EDX像であり、Mo元素のマッピング像である。
図11に示すように、MCC粒子には細孔が確認できる。図11に示す粒子断面において、黒い縞状に写っている部分が細孔に該当する。
また、図12に示すように、MCC粒子の内部にまでMoが存在していることを確認できる。
図13は、CAM粉末4のSEM像である。また、図14は、図13と同じ視野におけるSEM-EDX像であり、Mo元素のマッピング像である。
図13に示すように、CAM粒子には細孔が確認できる。粒子断面において、白い縞状に写っている部分も細孔に該当する。
また、図14に示すように、CAM粒子の内部にまでMoが存在していることを確認できる。
図15,16は、実施例1で作製した前駆体粉末1とCAM粉末1について、水洗前後の細孔径分布の変化を示す図である。図15は、前駆体粉末1についての測定結果であり、図16はCAM粉末1についての測定結果である。
図15,16において、破線が洗浄前の粉末の細孔径分布を示し、実線が洗浄後の粉末の細孔径分布を示す。
図15に示すように、前駆体粉末1において最大ピーク値P2であるピークは、洗浄により最大ピーク値P1を示すように大きく変化する。また、図16に示すように、CAM粉末1においては、洗浄後に、前駆体粉末1と同様に細孔径10nm以下の領域のピークが大きく成長する。
図17,18は、比較例1で作製した前駆体粉末C1とCAM粉末C1について、水洗前後の細孔径分布の変化を示す図である。図17は、前駆体粉末C1についての測定結果であり、図18はCAM粉末C1についての測定結果である。
図17,18において、破線が洗浄前の粉末の細孔径分布を示し、実線が洗浄後の粉末の細孔径分布を示す。
図17に示すように、前駆体粉末C1においては、洗浄前後で最大ピーク値にほぼ変化は見られず、洗浄のみでは前駆体粉末C1の細孔には変化が生じないことが分かる。また、図18に示すように、CAM粉末C1においては、洗浄後に、10nmを超える細孔径の領域において、ピークが出現する。前駆体粉末C1が有するMCC粒子には、細孔に充填化合物が充填されておらず、焼成時に一次粒子が合一しながら粒成長したことが示唆される。
(実施例5)
ニッケルとコバルトとマンガンの硫酸塩の水溶液を用いる公知の共沈法により、Ni0.91Co0.07Mn0.02(OH)の組成を有する金属複合水酸化物2を得た。
金属複合水酸化物2は、Cu-Kα線を用いる粉末XRD測定において空間群P-3m1に帰属されるピークを有しており、層状構造を有していることを確認した。
金属複合水酸化物2のD50は4.6μm、BET比表面積は36.1m/g、窒素吸着法により測定される全細孔容積は0.16cm/gであった。
金属複合水酸化物2は、窒素吸脱着による脱着等温線からBJH法により算出される細孔径分布において、細孔径10nm以下の領域にlog微分細孔容積のピークを有し、ピーク細孔径は4.3nmであり、ピーク値は0.823cm/gであった。
純水100gにLiOH・HOを0.40g、LiWOを16.5g添加し、撹拌することで、Li/W=2.2(モル比)でLiとWとが溶解した塩基性溶液6を調製した。溶液中の水100gあたりのW元素の溶解量は11.5gと算出された。塩基性溶液6のpHは12.0(測定温度25℃±2℃)であった。
100gの金属複合水酸化物2に対し塩基性溶液6を19.5g添加し、さらに純水56gを加えて混合し、金属複合水酸化物1の質量濃度が57質量%であるスラリーを調製した。
50℃で2時間、スラリーを真空乾燥し、ウェットケーキを得た。さらにウェットケーキを120℃にて10時間加熱することで、前駆体粉末5を得た。
前駆体粉末5の元素分析より、Ni、Co、Mnの物質量に対するWの物質量の割合であるW/(Ni+Co+Mn)は1.0mol%であった。すなわち、前駆体粉末4の組成比(モル比)は、[Ni]:[Co]:[Mn]:[W]=91:7:2:1.0であった。
前駆体粉末5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、CAM粉末5を得た。
CAM粉末5の組成比(モル比)は、Li/(Ni+Co+Mn)=1.06であり、Ni:Co:Mn:W=91:7:2:1.0であった。CAM粉末5の粒子は、層状構造を有していることを確認した。
(比較例3)
塩基性溶液を添加しない金属複合水酸化物2を前駆体粉末C3とした。
前駆体粉末C3に含まれるNi、Co及びMnの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.06となるように水酸化リチウム一水和物を秤量した。前駆体粉末C3と水酸化リチウムとを混合して混合物を得た。得られた混合物を、酸素雰囲気下、800℃、5時間で焼成し、CAM粉末C3を得た。
CAM粉末C3の組成比(モル比)は、Li/(Ni+Co+Mn)=1.06であり、Ni:Co:Mn=91:7:2であった。CAM粉末C3の粒子は、層状構造を有していることを確認した。
上述の条件で洗浄したCAM粉末C3のピーク細孔径は50.6nm、ピーク値は0.016cm/gであった。洗浄後のCAM粉末C3は、10nm以下の領域にlog微分細孔容積のピークを有しておらず、最大ピーク値P3を評価できなかった。
また、最大ピーク値P3を示すピークが存在しないため、CAM粉末C2の細孔径分布において、最大ピーク値P4を読み取ることができなかった。
実施例5、比較例3の前駆体粉末について、各評価結果を表8,9に示す。また、実施例5、比較例3のCAM粉末について、各評価結果を表10,11に示す。
Figure 2023076015000008
Figure 2023076015000009
Figure 2023076015000010
Figure 2023076015000011
評価の結果、本実施形態の前駆体粉末を用いた実施例5は、前駆体において充填化合物を添加しなかった比較例3と比べ、優れたサイクル維持率を示すことが確かめられた。
図19,20は、実施例5で作製した前駆体粉末5とCAM粉末5について、水洗前後の細孔径分布の変化を示す図である。図19は、前駆体粉末5についての測定結果であり、図20はCAM粉末5についての測定結果である。
図19,20において、破線が洗浄前の粉末の細孔径分布を示し、実線が洗浄後の粉末の細孔径分布を示す。
図19に示すように、前駆体粉末5において最大ピーク値P2であるピークは、洗浄により最大ピーク値P1を示すように大きく変化する。また、図20に示すように、CAM粉末5においては、洗浄後に、前駆体粉末5と同様に細孔径10nm以下の領域にピークが大きく成長する。
以上の結果より、本発明が有用であることが確かめられた。
1…セパレータ、2…正極、3…負極、4…電極群、5…電池缶、6…電解液、7…トップインシュレーター、8…封口体、10…リチウム二次電池、21…正極リード、31…負極リード、100…積層体、110…正極、111…正極活物質層、112…正極集電体、113…外部端子、120…負極、121…負極活物質層、122…負極集電体、123…外部端子、130…固体電解質層、200…外装体、200a…開口部、1000…全固体リチウム二次電池

Claims (16)

  1. リチウム二次電池用正極活物質の前駆体として用いられる前駆体粉末であって、
    細孔を有する複数の粒子と、
    前記細孔に充填された充填化合物と、を有し、
    前記粒子は、層状構造を有し、少なくともNi元素を含む金属複合化合物からなり、
    前記充填化合物は、水溶性のタングステン化合物及び水溶性のモリブデン化合物のいずれか一方又は両方であり、
    下記式(1)を満たす前駆体粉末。
    10≦(P1-P2)/P1×100<100 …(1)
    (P1(cm/g)は、質量比で前記前駆体粉末の20倍の水を用いて前記前駆体粉末を20分間撹拌洗浄し、固液分離後乾燥させて得られた洗浄済前駆体粉末の細孔径分布において、細孔径10nm以下の領域でのlog微分細孔容積の最大ピーク値である。
    P2(cm/g)は、前記前駆体粉末の細孔径分布において、上記P1を示すピークの細孔径におけるlog微分細孔容積の値である。
    前記細孔径分布は、前記前駆体粉末又は前記洗浄済前駆体粉末について、液体窒素温度で測定して得られる窒素脱離等温線を、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法で解析して求められる。)
  2. 前記P2が0.8cm/g以下である請求項1に記載の前駆体粉末。
  3. 前記前駆体粉末の細孔径分布から求められる全細孔容積が0.005~0.15cmである請求項1又は2に記載の前駆体粉末。
  4. 前記金属複合化合物は、元素Xを含み、
    前記元素Xは、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、B、S及びPからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、
    前記Ni元素と、前記元素Xと、前記充填化合物に含まれるW元素とMo元素との合計との原子量比は、下記式(2)を満たす請求項1から3のいずれか1項に記載の前駆体粉末。
    [Ni]:[X]:[W+Mo]=1-a:a:b …(2)
    (ただし、0.01≦a≦0.5、0.0015≦b≦0.03)
  5. レーザー回折式粒度分布測定によって得られる体積基準の累積粒度分布曲線において、小粒子側からの累積体積割合が50%となる粒子径(μm)D50が3~20μmである請求項1から4のいずれか1項に記載の前駆体粉末。
  6. BET比表面積が1~40m/gである請求項1から5のいずれか1項に記載の前駆体粉末。
  7. リチウム二次電池に用いられる正極活物質粉末であって、
    細孔を有する複数の粒子と、
    前記細孔に充填された充填化合物と、を有し、
    前記粒子は、層状構造を有し、少なくともNi元素を含むリチウム金属複合酸化物からなり、
    前記充填化合物は、水溶性のタングステン化合物及び水溶性のモリブデン化合物のいずれか一方又は両方であり、
    下記式(3)を満たすピークを有する正極活物質粉末。
    P3≧0.003 …(3)
    (P3(cm/g)は、質量比で前記正極活物質粉末の20倍の水を用いて前記正極活物質粉末を20分間撹拌洗浄し、固液分離後に乾燥させて得られた洗浄済粉末の細孔径分布において、細孔径10nm以下の領域でのlog微分細孔容積の最大ピーク値である。
    前記細孔径分布は、前記洗浄済粉末について、液体窒素温度で測定して得られる窒素脱離等温線を、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法で解析して求められる。)
  8. 下記測定方法で測定される、前記正極活物質粉末に対するW元素とMo元素との合計溶出モル量である溶出割合が、10~60%である請求項7に記載の正極活物質粉末。
    (測定方法)
    前記正極活物質粉末を精秤して試料を得、質量比で前記試料の20倍の水を用いて前記試料を20分間撹拌洗浄し、固液分離して濾液を得る。前記濾液のICP分析を行い、分析結果に基づいて前記濾液に溶出したW元素とMo元素との合計溶出モル量を求める。前記試料中のW元素とMo元素との合計モル量と前記合計溶出モル量とから前記溶出割合を求める。
  9. 前記粒子は、前記リチウム金属複合酸化物の一次粒子が凝集した二次粒子を含み、
    前記二次粒子について走査型電子顕微鏡(SEM)観察し、得られる拡大倍率10000倍のSEM画像から求められる1μmあたりの前記一次粒子の数が10~50個である請求項7又は8に記載の正極活物質粉末。
  10. 前記リチウム金属複合酸化物は、元素Xを含み、
    前記元素Xは、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、B、S及びPからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、
    Li元素と、前記Ni元素と、前記元素Xと、前記充填化合物に含まれるW元素とMo元素との合計との原子量比は、下記式(4)を満たす請求項7から9のいずれか1項に記載の正極活物質粉末。
    [Li]:[Ni]:[X]:[W+Mo]=c:1-a:a:b …(4)
    (ただし、0.9≦c≦1.2、0.01≦a≦0.5、0.0015≦b≦0.03)
  11. レーザー回折式粒度分布測定によって得られる体積基準の累積粒度分布曲線において、小粒子側からの累積体積割合が50%となる粒子径(μm)D50が3~20μmである請求項7から10のいずれか1項に記載の正極活物質粉末。
  12. BET比表面積が2m/g以下である請求項7から11のいずれか1項に記載の正極活物質粉末。
  13. CuKα線を使用した粉末X線回折測定において、2θ=18.7±2°の範囲内のピークの回折ピークの半値幅Bに対する、2θ=44.6±2°の範囲内の回折ピークの半値幅Cとの比C/Bが、0.54~0.68である請求項7から12のいずれか1項に記載の正極活物質粉末。
  14. 請求項1から6のいずれか1項に記載の前駆体粉末と、リチウム化合物とを混合して混合物を得る工程と、
    前記混合物を焼成する工程と、を含み、
    前記混合物を得る工程においては、前記前駆体粉末の前記粒子を構成する金属に対して、前記リチウム化合物を構成するリチウムが0.90~1.20(モル比)となる量比で前記前駆体粉末と前記リチウム化合物とを混合し、
    前記焼成する工程における焼成温度は、740℃~920℃である正極活物質粉末の製造方法。
  15. 請求項7から13のいずれか1項に記載の正極活物質粉末を含む正極。
  16. 請求項15に記載の正極を有するリチウム二次電池。
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