JP2023074976A - 多価ヒドロキシ樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】多価ヒドロキシ樹脂状態における低溶融粘度、硬化物とした場合における低熱時弾性率、低吸湿性、低誘電特性のいずれか1以上を達成可能な多価ヒドロキシ樹脂を提供することにある。【解決手段】本発明は、フェノール性水酸基及び2以上の炭化水素基を芳香環に有する芳香族化合物(A)と、芳香族ジビニル化合物(B1)とを反応原料とする、多価ヒドロキシ樹脂に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、多価ヒドロキシ樹脂に関するものである。
フェノール樹脂等の多価ヒドロキシ樹脂及びその硬化剤を必須成分とする熱硬化性樹脂は、高耐熱性、耐湿性等の諸物性に優れる点から半導体封止材やプリント回路基板等の電子部品、電子部品分野、導電ペースト等の導電性接着剤、その他接着剤、複合材料用マトリックス、塗料、フォトレジスト材料、顕色材料等で広く用いられている。これらの各種用途のうち、半導体封止材料の分野では、電子機器の小型化、高集積化への要求が高く、BGA、CSPといった表面実装パッケージへの移行や高温環境下で接合信頼性が高い銅ワイヤの採用が進んでいる。
しかしながら、銅ワイヤは従来の金よりも腐食されやすい。封止樹脂とリードフレーム界面に剥離などの界面劣化が生じると、毛細管現象により剥離部分に水分が集中し、チップやワイヤボンディング接合部を腐食させる。更には高温でのリフロー工程において水分が急激に膨張し、クラック発生の要因となる。そのため、封止樹脂特性はリフロー時のリードフレーム界面の剥離低減が必須であり、具体的には吸湿率低減、弾性率低減、が求められている。
また、近年の半導体パッケージにおいては、信号の高速化、高周波数化が進んでいる。高速化、高周波数化された信号に対しても、十分に低い誘電率を維持しつつ十分に低い誘電正接を発現する硬化物を得ることが可能な硬化性組成物の提供が望まれている。
さらに、前記各性能に加え、半導体封止材料は熱膨張を抑えることを目的に樹脂材料にシリカ等のフィラーを高充填させて使用することが望ましい。充填率を高めるためには、樹脂材料が低粘度で流動性に優れていることが重要である。
例えば、特許文献1には、フェノール又はクレゾールとジビニルベンゼンとエチルビニルベンゼンの混合物を反応させた多価ヒドロキシ樹脂が開示されている。特許文献2及び3には、多価ヒドロキシ樹脂としてノボラックフェノール樹脂が開示されている。
特開2017-066268号公報 特開2011-178924号公報 特開2012-57079号公報
しかしながら、特許文献1~3における多価ヒドロキシ樹脂は、多価ヒドロキシ樹脂状態における低溶融粘度、硬化物とした場合における低熱時弾性率、低吸湿性、低誘電特性といった点において、改善の余地があった。
そこで、本発明は、優れた溶融粘度を有し、かつ硬化時においても、低い熱時弾性率、低吸湿性又は低誘電特性のいずれか1以上を達成可能な多価ヒドロキシ樹脂を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、フェノール性水酸基及び2以上の炭化水素基を芳香環に有する芳香族化合物(A)と、芳香族ジビニル化合物(B1)と、任意で芳香族モノビニル化合物(B2)とを反応原料とする、多価ヒドロキシ樹脂を用いることにより、優れた溶融粘度を有し、かつ硬化時においても、低い熱時弾性率、低吸湿性又は低誘電特性のいずれか1以上を達成可能な多価ヒドロキシ樹脂が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本開示によれば、優れた溶融粘度を有し、かつ硬化時においても、低い熱時弾性率、低吸湿性又は低誘電特性のいずれか1以上を達成可能な多価ヒドロキシ樹脂が得られる。このような多価ヒドロキシ樹脂は、電子部品封止材料用途などにおいて、特に有用である。
以下、本発明の実施の形態(「本実施形態」と称する。)について詳細に説明するが、本開示は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<多価ヒドロキシ樹脂>
本開示は、フェノール性水酸基及び2以上の炭化水素基を芳香環に有する芳香族化合物(A)と、芳香族ジビニル化合物(B1)とを反応原料とする、多価ヒドロキシ樹脂に関する。また、本開示の多価ヒドロキシ樹脂は、芳香族モノビニル化合物(B2)をさらに前記反応原料として含んでもよい。本開示の多価ヒドロキシ樹脂は、反応原料である芳香族化合物(A)がフェノール性水酸基及び2以上の炭化水素基を芳香環に有することにより、多価ヒドロキシ樹脂状態における低溶融粘度、硬化物とした場合における低熱時弾性率、低吸湿性、低誘電特性のいずれか1以上を達成可能な多価ヒドロキシ樹脂が得られるので、好ましい。
本明細書における「反応原料」とは、化合又は分解といった化学反応により目的の化合物を得るために用いられ、目的の化合物の化学構造を部分的に構成する化合物をいい、溶媒、触媒といった、化学反応の助剤の役割を担う物質は除外される。本明細書では特に、「反応原料」とは、目的の重合体化合物(多価ヒドロキシ樹脂)を重合反応により得るための前駆体となる単量体化合物をいう。
<芳香族化合物(A)>
本実施形態における芳香族化合物(A)は、フェノール性水酸基及び2以上の炭化水素基(R)を芳香環に有する。そのため、芳香族化合物(A)はフェノール系化合物でありうる。また、芳香族化合物(A)の中心構造を形成する芳香環は、単環式であってもよく、あるいは縮合多環式であってもよく、さらには芳香族炭化水素環を含む。芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フェナレン環が挙げられるがこれらに限定されない。芳香環は、樹脂の溶融粘度の観点から、単環式が好ましい。
本実施形態の芳香族化合物(A)において、当該芳香族化合物(A)中の芳香環の少なくとも1つが有する2以上の炭化水素基(R)としては、炭素原子数1~6の炭化水素基が挙げられる。前記炭化水素基(R)としては、炭素原子数1~6の脂肪族炭化水素基が挙げられる。前記脂肪族炭化水素基は、直鎖型及び分岐型のいずれでもよい。また、前記脂肪族炭化水素基は、他の化合物との付加反応を防ぐために、飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましい。飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。前記炭化水素基の分子量が低くなるほど、本発明が奏する効果(溶融時の低粘度性)が一層顕著なものとなる。また、前記炭化水素基(R)の分子量が高くなるほど、本発明が奏する効果(硬化物にした際の低吸湿性)が一層顕著なものとなる。
本実施形態の芳香族化合物(A)中の芳香環が有する炭化水素基(R)の数(すなわち、置換数)は、2以上である。前記炭化水素基(R)の数が2以上であることにより、本発明が奏する効果(多価ヒドロキシ樹脂状態における低溶融粘度、硬化物とした場合における低熱時弾性率、低吸湿性、低誘電特性)が一層顕著なものとなる。また、前記炭化水素基(R)の数の上限は、前記芳香環がフェノール性水酸基を有しかつ2本の結合手が重合に用いられる観点から、無置換状態の前記芳香環における置換可能な環構成原子の数から3を引いた数であればよい。例えば、前記芳香環がベンゼン環である場合、前記炭化水素基(R)の数は、3以下である。
また、芳香族化合物(A)中の芳香環が有する炭化水素基(R)の数を2以上にすることにより、後述の芳香族ジビニル化合物(B1)と反応部位を制御しやすくなるため、均一な化学構造又は鎖長の多価ヒドロキシ樹脂が得られるため、優れた溶融粘度を有し、かつ硬化時においても、低い熱時弾性率、低吸湿性又は低誘電特性のいずれか1以上を達成しうる。
本実施形態における芳香族化合物(A)がフェノール性水酸基及び2以上の炭化水素基(R)を有する芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環)である場合を一例として、芳香族化合物(A)の好ましい形態について説明する。
本実施形態において、芳香族化合物(A)を構成する芳香族炭化水素環中の炭素原子のうち、最も大きいHOMOの電子密度(ヒュッケル係数)を有する炭素原子が1以上無置換である(又は水素原子に置換されている)ことが好ましい。
これにより、後述の芳香族ジビニル化合物(B1)から形成されるカチオノイド試剤によるArS反応及び分子設計を制御しやすくなる。より詳細に説明すると、芳香族化合物(A)を構成する芳香族炭化水素環中の炭素原子のうち、最も大きいHOMOの電子密度(ヒュッケル係数)を有する炭素原子が無置換である(又は水素原子と結合している)と、当該最も大きいHOMOの電子密度を有する炭素原子に対して、カチオノイド試剤である芳香族ジビニル化合物(B1)のカルボカチオンが反応しやすい。そのため、炭化水素基(R)の数及び位置、あるいはフェノール性水酸基の数及び位置等を制御することにより、芳香族ジビニル化合物との結合部位又は結合数等を調整できる。そのため、得られる多価ヒドロキシ樹脂の化学構造又は分子鎖長を設計しやすくなると推測している。
例えば、芳香族化合物(A)が1つのベンゼン環と1つの水酸基とを有するフェノール骨格である場合、2位,4位及び6位のうち少なくとも1つの炭素原子が水素原子に置換されていることが好ましい。これにより、フェノール核の電子密度の高いオルト位及びパラ位である2位,4位及び6位のうち少なくとも1つの炭素原子に対して、後述の芳香族ジビニル化合物(B1)から形成されるカチオノイド試剤が攻撃しやすくなる。同様に、無置換のナフタレン環は、1位,4位、5位及び8位の炭素原子が最も大きいHOMOの電子密度を有する。フェノール性水酸基の結合位置により最も大きいHOMOの電子密度を有する炭素原子の位置は変化するが、例えば、1つのナフタレン環と1つの水酸基を有する2-ナフトールでは、1位と3位に対して芳香族ジビニル化合物(B1)から生成されるカルボカチオンが反応しやすい。そのため、例えば1位のCH基の水素原子を炭化水素基(R)により置換すると、3位の炭素原子に対してArS反応しやすくなるため、得られる多価ヒドロキシ樹脂の化学構造などを制御できる。さらに言うと、例えば、芳香族化合物(A)が2,7-ヒドロキシナフタレン骨格を有する場合は、1位、3位、6位及び8位に対して芳香族ジビニル化合物(B1)から生成されるカルボカチオンが反応しやすい。そのため、例えば、1位、3位及び6位の3つの炭素原子に炭化水素基(R)が結合されていると、8位の炭素原子に対してArS反応しやすくなる。
以上のことから、2以上の炭化水素基(R)を有することにより樹脂構造を制御しやすくなると考えられる。
本実施形態の芳香族化合物(A)の具体例としては、例えば、キシレノール(2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール)、トリメチルフェノール(2,3,4-トリメチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノール、2,3,6-トリメチルフェノール、2,4,5-トリメチルフェノール、2,4,6-トリメチルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール)及びこれらの誘導体からなる化合物等のジアルキルフェノール系化合物、並びに、1-ナフトール、2-ナフトール、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、1,8-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン及び2,7-ジヒドロキシナフタレンからなる群から選択される化合物中の2以上のCH基の水素原子を上記炭化水素基(R)で置換した化合物、いわゆるジアルキルヒドロキシナフタレン系化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
なお、本実施形態における芳香族化合物(A)は、単独で用いても、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。但し、溶融時の低粘度性の観点から、ジアルキルフェノール化合物が好ましい。
本開示の多価ヒドロキシ樹脂の反応原料である芳香族化合物(A)は、例えば、下記一般式(A1)で表すことができる。
Figure 2023074976000001
(上記一般式(A1)中、Rは、炭素原子数1~6の炭化水素基を表し、炭素原子数1~3の炭化水素基であることが好ましく、pは、2又は3を表す。複数存在するRは同一であっても、あるいは異なっていてもよい。)
上記一般式(A1)中、炭素原子数1~6の炭化水素基は、上記炭化水素基(R)として定義したものと同様である。
<芳香族ジビニル化合物(B1)>
本実施形態における芳香族ジビニル化合物(B1)は、芳香環上の置換基として2つのビニル基を有し、前記芳香族化合物(A)と反応できれば、特に制限なく使用できる。芳香族ジビニル化合物(B1)としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、及びこれらの芳香環上にアルキル基又はアルコキシ基、ハロゲン原子等が一つ乃至複数置換した各種の化合物等が挙げられる。前記アルキル基は、直鎖型及び分岐型のいずれでもよい。中でも、本発明が奏する効果(低い熱時弾性率)を示す観点から、前記アルキル基又はアルコキシ基の炭素原子数は、1~4であることが好ましい。前記アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。前記アルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。前記ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
本実施形態の芳香族ジビニル化合物(B1)の具体例としては、例えば、1,2-ジビニルベンゼン、1,3-ジビニルベンゼン、1,4-ジビニルベンゼン、2,5-ジメチル-1,4-ジビニルベンゼン、2,5-ジエチル-1,4-ジビニルベンゼン、cis,cis,β,β’-ジエトキシ-m-m-ジビニルベンゼン、1,4-ジビニル-2,5-ジブチルベンゼン、1,4-ジビニル-2,5-ジヘキシルベンゼン、1,4-ジビニル-2,5-ジメトキシベンゼン及びこれらの誘導体からなる化合物等のジビニルベンゼン類、並びに、1,3-ジビニルナフタレン、1,4-ジビニルナフタレン、1,5-ジビニルナフタレン、1,6-ジビニルナフタレン、1,7-ジビニルナフタレン、2,3-ジビニルナフタレン、2,6-ジビニルナフタレン、2,7-ジビニルナフタレン、3,4-ジビニルナフタレン、1,8-ジビニルナフタレン、1,5-ジメトキシ-4,8-ジビニルナフタレン及びこれらの誘導体からなる化合物等のジビニルナフタレン類が挙げられるが、これらに限定されない。
なお、本実施形態における芳香族ジビニル化合物(B1)は、単独で用いても、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、流動性の観点から、芳香族ジビニル化合物(B1)として、ジビニルベンゼン及びその芳香環上に置換基を有する化合物が好ましく、ジビニルベンゼンがより好ましい。また、本実施形態において、ジビニルベンゼンのビニル基の置換位置は、特に限定されないが、メタ体を主成分とすることが好ましい。ジビニルベンゼン中のメタ体の含有量は、ジビニルベンゼンの総量に対して40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
本開示の多価ヒドロキシ樹脂の反応原料である芳香族ジビニル化合物(B1)は、下記式(B1)で表されることができる。
Figure 2023074976000002
(上記一般式(B1)中、Rb1は、ハロゲン原子又は炭素原子数1~4のアルキル基若しくはアルコキシ基を表し、炭素原子数1~3のアルキル基であることが好ましく、pb1は、0~4の整数を表し、0~1であることが好ましい。なお、pb1が2以上の整数の場合、複数存在するRb1は、互いに同一であっても、あるいは異なっていてもよい。)
上記一般式(B1)中、炭素原子数1~4のアルキル基若しくはアルコキシ基は、上記のアルキル基若しくはアルコキシ基と同様である。
<芳香族モノビニル化合物(B2)>
本実施形態における多価ヒドロキシ樹脂は、芳香族化合物(A)、及び芳香族ジビニル化合物(B1)の他、更に、その他の化合物を反応原料として用いてもよい。当該その他の化合物としては、例えば、芳香族モノビニル化合物(B2)等が挙げられる。すなわち、実施形態における多価ヒドロキシ樹脂は、芳香族化合物(A)と、芳香族ジビニル化合物(B1)と、芳香族モノビニル化合物(B2)とを反応原料とすることが好ましい。本実施形態の多価ヒドロキシ樹脂が、その反応原料として前記芳香族化合物(A)、前記芳香族ジビニル化合物(B1)に加えて、芳香族モノビニル化合物(B2)を用いることにより、最終的に得られる多価ヒドロキシ樹脂を半導体封止用材料として使用した場合、溶融粘度に優れることから、良好な硬化性組成物の流動性が向上し、好ましい。また、前記芳香族モノビニル化合物(B2)を用いることにより、耐湿性、低誘電特性の向上にも有用である。
また、芳香族モノビニル化合物(B2)も芳香族ジビニル化合物(B1)と同様にカルボカチオンを生成するため、芳香族化合物(A)を構成する芳香族炭化水素環中の炭素原子のうち、最も大きいHOMOの電子密度(ヒュッケル係数)を有する炭素原子に対して反応しやすい。
本実施形態における芳香族モノビニル化合物(B2)は、例えば、ビニルベンゼン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、及びこれらの芳香環上にアルキル基又はアルコキシ基、ハロゲン原子等の置換基が一つ乃至複数置換した各種の化合物等が挙げられる。前記アルキル基又はアルコキシ基は、直鎖型及び分岐型のいずれでもよく、構造中に不飽和結合を有していてもよい。中でも、本発明が奏する効果(低吸湿性)が一層顕著なものとなることから、前記アルキル基又は前記アルコキシ基は、炭素原子数1~4の基が好ましい。前記アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。前記アルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。前記ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
本実施形態の芳香族モノビニル化合物(B2)の具体例としては、例えば、スチレン、フルオロスチレン、ビニル塩化ベンジル、アルキルビニルベンゼン(o-,m-,p-メチルスチレン、o-,m-,p-エチルビニルベンゼン)、o-,m-,p-(クロロメチル)スチレン及びこれらの誘導体からなる化合物等のビニルベンゼン類;4-ビニルビフェニル、4-ビニル-p-ターフェニル及びこれらの誘導体からなる化合物等のビフェニル化合物;並びに、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン及びこれらの誘導体からなる化合物等のビニルナフタレン類が挙げられるが、これらに限定されない。
特に、熱時弾性率の低減、高密着性の観点から、アルキルビニルベンゼン及びその芳香環上に置換基を有する化合物が好ましく、エチルビニルベンゼンがより好ましい。
また、前記エチルビニルベンゼンのビニル基及びエチル基の置換位置は、特に限定されないが、メタ体を主成分とすることが好ましく、エチルビニルベンゼン中のメタ体の含有量は、エチルビニルベンゼンの総量に対して40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。
本開示の多価ヒドロキシ樹脂の反応原料となり得る芳香族モノビニル化合物(B2)は、下記一般式(B2)で表すことができる。
Figure 2023074976000003
(上記一般式(B2)中、Rb2は、ハロゲン原子又は炭素原子数1~4のアルキル基若しくはアルコキシ基を表し、炭素原子数1~3のアルキル基であることが好ましく、pb2は、0~5の整数を表し、0~1であることが好ましい。なお、pb2が2以上の整数の場合、複数存在するRb2は互いに同一であっても、あるいは異なっていてもよい。)
上記一般式(B2)中、炭素原子数1~4のアルキル基若しくはアルコキシ基は、上記のアルキル基若しくはアルコキシ基と同様である。
本実施形態における多価ヒドロキシ樹脂の反応原料として、前記芳香族モノビニル化合物(B2)を用いる場合、前記反応原料中の前記芳香族ジビニル化合物(B1)の前記芳香族モノビニル化合物(B2)に対する質量比((B1)/(B2))が、30/70~99/1であることが好ましく、より好ましくは、50/50~99/1であり、更に好ましくは、50/50~98/2である。前記質量比が前記範囲内であることにより、得られる多価ヒドロキシ樹脂の取り扱い性や、前記多価ヒドロキシ樹脂を使用し得られる硬化物の製造時の成形性、硬化性の物性バランスをとることができ、好ましい。
以下、本開示の好適な多価ヒドロキシ樹脂の態様について、各芳香環がベンゼン環である場合を例に取り説明する。以下の化学構造式は、本開示を例示的に説明するためのものであり、本開示の範囲は、以下の化学構造式に限定されることはない。
本開示は、以下の一般式(I)及び/又は(II)で表される部分構造を有する多価ヒドロキシ樹脂でありうる。
Figure 2023074976000004
Figure 2023074976000005
(上記一般式(I)及び(II)中、R、R、及びRは、各々独立して、炭素原子数1~6の炭化水素基を表し、
及びRは、各々独立して、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、
は、一般式(a)
Figure 2023074976000006
(一般式(a)中、Rは水素原子又は炭素原子数1~6の炭化水素基を表す。)
で表される置換基を表し、
は、水素原子又は有機基を表し、
pは、多価ヒドロキシ樹脂全体における、フェノール環1つ当たりのRの置換数の平均値であり、0~1の数を表す。尚、上記一般式(I)及び(II)中の*は、他の原子との結合を表す。)
上記一般式(I)及び(II)中、炭素原子数1~6の炭化水素基は、上述した炭化水素基(R)として定義したものと同様であることが好ましい。また、上記一般式(I)及び(II)中、R、R、及びRは、各々独立して、炭素原子数1~4のアルキル基であることが好ましく、R及びRは、各々独立して、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
上記一般式(a)中、Rは、炭素原子数1~4のアルキル基であることが好ましい。
上記一般式(I)及び(II)中の有機基は、一価の有機基であり、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルケニル基又は炭素原子数1~6のアルコキシ基であることが好ましい。また、当該アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH-は、-O-、-COO-又は-OCO-で置換されてもよい。
なお、上記一般式(I)及び(II)中のpは、H-NMR測定により算出した。
本開示は、下記一般式(III)及び/又は(IV)で表される多価ヒドロキシ樹脂であることが好ましい。
Figure 2023074976000007


(上記一般式(III)及び(IV)中、R、R、及びRは、各々独立して、炭素原子数1~6の炭化水素基を表し、
及びRは、各々独立して、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、
は、一般式(a)
Figure 2023074976000008
(一般式(a)中、Rは水素原子又は炭素原子数1~6の炭化水素基を表す。)
で表される置換基を表し、
は、水素原子又は有機基を表し、
nは、0~20の整数を表し、
pは、フェノール環1つ当たりの平均のRの置換数であり、0~1の数を表す。)
一般式(III)及び(IV)中のR~Rは、上記一般式(I)及び(II)中のR~Rと同様であるためここでは省略する。)
<多価ヒドロキシ樹脂の製造方法>
以下に、本発明の多価ヒドロキシ樹脂を製造する方法について説明する。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂を製造する方法としては、特に制限されないが、例えば、芳香族化合物(A)と芳香族ジビニル化合物(B1)(例えば、ジビニルベンゼン)、更に必要に応じて、芳香族モノビニル化合物(B2)(例えば、エチルビニルベンゼン)等のその他の化合物を、酸触媒の存在下で反応させて、本発明の多価ヒドロキシ樹脂を製造することができる。
前記製造方法で得られる多価ヒドロキシ樹脂は、芳香族ジビニル化合物(B1)や、更に使用できる芳香族モノビニル化合物(B2)の配合割合に応じて、水酸基当量等を制御することができる。
前記芳香族化合物(A)と、前記芳香族ジビニル化合物(B1)および前記芳香族モノビニル化合物(B2)の配合割合としては、多価ヒドロキシ樹脂から得られる硬化物の製造時の成形性、硬化性の物性バランスを考慮すると、前記芳香族化合物(A)1モルに対して、前記芳香族ジビニル化合物(B1)および前記芳香族モノビニル化合物(B2)に含まれるビニル基のモル数が0.1~1モルが好ましく、0.1~0.95モルとなることが好ましい。
本実施形態において、前記芳香族化合物(A)と、前記芳香族ジビニル化合物(B1)及び/又は芳香族モノビニル化合物(B2)等との反応は、酸触媒の存在下で行うことができる。この酸触媒としては、周知の無機酸、有機酸から適宜選択することができる。例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸や、ギ酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸水和物、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等の有機酸や、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素等のルイス酸あるいはイオン交換樹脂、活性白土、シリカ-アルミナ、ゼオライト等の固体酸等が挙げられる。前記酸触媒の使用量は、多価ヒドロキシ樹脂を合成に使用する反応原料の合計100質量部に対して、0.01~50質量部配合することが好ましく、より好ましくは0.01~10質量部であり、更に好ましくは0.1~5質量部である。また、上記反応は通常、10~250℃で1~20時間行われる。
上記反応の際に使用できる溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物等が挙げられる。
上記反応を実施する具体的方法としては、全反応原料を一括装入し、そのまま所定の温度で反応させるか、または、芳香族化合物(A)と酸触媒を装入し、所定の温度に保ちつつ、芳香族ジビニル化合物(B1)やその他の化合物(例えば、芳香族モノビニル化合物(B2))等を滴下させながら反応させる方法が一般的である。この際、滴下時間は、通常、1~10時間であり、5時間以下が好ましい。反応後、溶媒を使用した場合は、必要により、溶媒と未反応物を留去させることにより、前記多価ヒドロキシ樹脂を得ることができる。一方、溶媒を使用しない場合は、未反応物を留去することによって目的物である多価ヒドロキシ樹脂を得ることができる。
<多価ヒドロキシ樹脂の諸物性>
本実施形態の多価ヒドロキシ樹脂の水酸基当量としては、200~500g/eqであることが好ましく、より好ましくは200~400g/eqである。
なお、本明細書における多価ヒドロキシ樹脂の水酸基当量の測定は、JIS K 0070(1992)に規定される中和滴定法に準拠した方法で測定した値とする。
本実施形態の多価ヒドロキシ樹脂の軟化点は、40~150℃であることがよく、好ましくは50~120℃の範囲である。ここでの軟化点は、後述する実施例の欄に記載の測定条件により、JIS K 7234(環球法)に基づき測定されるものである。
本実施形態の多価ヒドロキシ樹脂は、ICI粘度計で測定した150℃における溶融粘度が、0.01~5dPa・sであることが好ましく、0.01~2dPa・sであることがより好ましく、0.01~0.6dPa・sであることが更に好ましい。前記多価ヒドロキシ樹脂の溶融粘度が前記範囲内であると、低粘度で流動性に優れるため、多価ヒドロキシ樹脂から得られる硬化物の成形性が優れることから好ましい。ここでの溶融粘度は、後述する実施例の欄に記載の測定条件により、ASTM D4287に準拠し、ICI粘度計にて測定されるものである。
本実施形態の多価ヒドロキシ樹脂は、低粘度で流動性に優れるものとなることから、数平均分子量(Mn)が1500以下の範囲であることが好ましく、1000以下の範囲であることがより好ましい。また、当該多価ヒドロキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は2000以下の範囲であることが好ましく、1500以下の範囲であることがより好ましい。前記重量平均分子量(Mw)の前記数平均分子量(Mn)に対する比で表される分子量分布(Mw/Mn)は1.1~3の範囲であることが好ましく、1.1~1.8の範囲であることがより好ましい。
本開示の多価ヒドロキシ樹脂は、2以上の炭化水素基(R)を芳香環に有するフェノール系化合物である芳香族化合物(A)単位を繰り返し単位としているため、芳香族ジビニル化合物(B1)単位との結合部位を制御しやすい。一方、1以下の炭化水素基を芳香環に有するフェノール系化合物を繰り返し単位とするフェノール樹脂では、当該フェノール系化合物に対する芳香族ジビニル化合物単位との結合部位が多数存在するため、得られるフェノール樹脂の鎖長又は化学構造も多数存在し、分子量分布がどうしても広くなる傾向を示す。したがって、本開示の多価ヒドロキシ樹脂は、従来のフェノール樹脂より分子量の揃った均質な特性を発揮することができる。
なお、本明細書において多価ヒドロキシ樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する。)を用いて、後述する実施例に記載の測定条件で測定したものである。
<硬化性組成物の調製>
本開示の多価ヒドロキシ樹脂は、硬化性組成物を調製するために用いることができる。当該硬化性組成物は、本開示の多価ヒドロキシ樹脂、エポキシ樹脂、及び任意で他の成分(無機充填剤、シランカップリング剤、硬化助剤等)を含有してもよい。硬化性組成物において、多価ヒドロキシ樹脂は、エポキシ樹脂用硬化剤として機能することが好ましい。本開示の多価ヒドロキシ樹脂は、溶融粘度が低いため、硬化性組成物の調製時における成分の配合が容易となる。
本開示の多価ヒドロキシ樹脂を硬化剤として使用する場合、エポキシ樹脂の総量に対して、30~70質量%含有することが好ましい。
また、本発明の多価ヒドロキシ樹脂を用いた硬化性組成物の硬化物は、低熱時弾性率、低吸湿性、低誘電特性を達成するので、電子部品封止材料用途などにおいて、特に有用である。
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、ジグリシジルオキシナフタレン化合物(1,6-ジグリシジルオキシナフタレン、2,7-ジグリシジルオキシナフタレン等)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、1,1-ビス(2,7-ジグリシジルオキシ-1-ナフチル)アルカン等のナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、これら各種のエポキシ樹脂にリン原子を導入したリン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は、1種単独で使用しても、あるいは2種以上混合して用いることができる。
上記硬化性組成物は、他の成分として、多価ヒドロキシ樹脂以外の追加のエポキシ樹脂用硬化剤を含有してもよい。このような追加のエポキシ樹脂用硬化剤としては、エポキシ樹脂のエポキシ基と架橋反応が可能なエポキシ樹脂用硬化剤を、特に制限なく使用できる。前記追加の硬化剤としては、フェノール硬化剤、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、活性エステル樹脂、シアネートエステル樹脂等が挙げられる。前記追加の硬化剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記フェノール硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェニロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミン、ベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール性水酸基含有化合物)やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール性水酸基含有化合物)等の多価フェノール性水酸基含有化合物が挙げられる。中でも、成形性の観点から、フェノールノボラック樹などがより好ましい。なお、前記フェノール性水酸基を含有する化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アミン硬化剤としては、ジエチレントリアミン(DTA)、トリエチレンテトラミン(TTA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ジプロプレンジアミン(DPDA)、ジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)、N-アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン(MDA)、イソフオロンジアミン(IPDA)、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3-BAC)、ピペリジン、N,N,-ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン等の脂肪族アミン;m-キシレンジアミン(XDA)、メタンフェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、ベンジルメチルアミン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の芳香族アミン等が挙げられる。
前記酸無水物硬化剤としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
前記エポキシ樹脂の使用量に対する全硬化剤合計の使用量としては、例えば、官能基当量比(全硬化剤合計の水酸基当量/エポキシ樹脂のエポキシ当量)として、特に制限されるものではないが、得られる硬化物の機械的物性等が良好である点から、前記エポキシ樹脂及び必要に応じて併用されるその他のエポキシ樹脂とのエポキシ基の合計1当量に対して、全硬化剤合計中の活性基が0.5~1.5当量になる量が好ましく、0.8~1.2であることがより好ましい。
なお、前記硬化性組成物には、前記エポキシ樹脂、及び、硬化剤以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、他の樹脂を併用することができる。例えば、マレイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリマレイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂、スチレン-無水マレイン酸樹脂、ジアリルビスフェノールやトリアリルイソシアヌレート等のアリル基含有樹脂、ポリリン酸エステル、リン酸エステル-カーボネート共重合体等が挙げられる。これらの他の樹脂は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<溶媒>
硬化性組成物は、無溶剤で調製しても構わないし、溶媒を含んでいてもよい。前記溶媒は、硬化性組成物の粘度を調整する機能等を有する。
前記溶媒の具体例としては、特に制限されないが、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等のエステル系溶剤;セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、1,2,3-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記溶媒の使用量としては、硬化性組成物の全質量に対して、10~90質量%であることが好ましく、20~80質量%であることがより好ましい。溶媒の使用量が10質量%以上であると、ハンドリング性に優れることから好ましい。一方、溶媒の使用量が90質量%以下であると、経済性の観点から好ましい。
<添加剤>
硬化性組成物は、必要に応じて、硬化促進剤、難燃剤、無機充填剤、シランカップリング剤、離型剤、顔料、着色剤、乳化剤等の種々の添加剤を配合することができる。
<硬化促進剤>
前記硬化促進剤としては、特に制限されないが、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、尿素系硬化促進剤等が挙げられる。なお、前記硬化促進剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記リン系硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリパラトリルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の有機ホスフィン化合物;トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト等の有機ホスファイト化合物;エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムジシアナミド、ブチルフェニルホスホニウムジシアナミド、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩等のホスホニウム塩等が挙げられる。
前記アミン系硬化促進剤としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(4-ジメチルアミノピリジン、DMAP)、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-ノネン-5(DBN)等が挙げられる。
前記イミダゾール系硬化促進剤としては、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン等が挙げられる。
前記グアニジン系硬化促進剤としては、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-ブチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド等が挙げられる。
前記尿素系硬化促進剤としては、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、クロロフェニル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロルフェニル)-1,1-ジメチル尿素等が挙げられる。
前記硬化促進剤のうち、特に半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、リン系化合物ではトリフェニルホスフィン、第3級アミンでは1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-ウンデセン(DBU)を用いることが好ましい。
前記硬化促進剤の使用量は、所望の硬化性を得るために適宜調整できるが、前記エポキシ樹脂と硬化剤の混合物の合計量100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましい。前記硬化促進剤の使用量が前記範囲内にあると、硬化性、及び、絶縁信頼性に優れ、好ましい。
<難燃剤>
前記難燃剤としては、特に制限されないが、無機リン系難燃剤、有機リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤等が挙げられる。なお、難燃剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記無機リン系難燃剤としては、特に制限されないが、赤リン;リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム;リン酸アミド等が挙げられる。
前記有機リン系難燃剤としては、特に制限されないが、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、モノイソデシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、イソステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ブチルピロホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、エチレングリコールアシッドホスフェート、(2-ヒドロキシエチル)メタクリレートアシッドホスフェート等のリン酸エステル;9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、ジフェニルホスフィンオキシド等ジフェニルホスフィン;10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(1,4-ジオキシナフタレン)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、ジフェニルホスフィニルヒドロキノン、ジフェニルホスフェニル-1,4-ジオキシナフタリン、1,4-シクロオクチレンホスフィニル-1,4-フェニルジオール、1,5-シクロオクチレンホスフィニル-1,4-フェニルジオール等のリン含有フェノール;9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,5-ジヒドロオキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,7-ジヒドロオキシナフチル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド等の環状リン化合物;前記リン酸エステル、前記ジフェニルホスフィン、前記リン含有フェノールと、エポキシ樹脂やアルデヒド化合物、フェノール化合物と反応させて得られる化合物等が挙げられる。
前記ハロゲン系難燃剤としては、特に制限されないが、臭素化ポリスチレン、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールAビス(ジブロモプロピルエーテル)、1,2、-ビス(テトラブロモフタルイミド)、2,4,6-トリス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、テトラブロモフタル酸等が挙げられる。
前記難燃剤の使用量は、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましい。
<無機充填剤>
前記無機充填剤としては、特に制限されないが、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、カーボンブラック等が挙げられる。これらのうち、シリカを用いることが好ましい。この際、シリカとしては、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が用いられうる。中でも、無機質充填材をより多く配合することが可能となることから、前記溶融シリカが好ましい。前記溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め、且つ、硬化性組成物の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いることが好ましい。更に、球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。なお、前記無機充填剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記無機充填剤は、必要に応じて表面処理されていてもよい。この際、使用されうる表面処理剤としては、特に制限されないが、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が使用されうる。表面処理剤の具体例としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
前記無機充填剤の使用量は、前記エポキシ樹脂と前記硬化剤の混合物の合計量100質量部に対して、0.5~95質量部であることが好ましい。前記無機充填剤の使用量が前記範囲内にあると、難燃性、及び、絶縁信頼性に優れ、好ましい。
また、本発明の特性を損なわない範囲であれば、前記無機充填剤に加えて、有機充填剤を配合することができる。前記有機充填剤としては、例えば、ポリアミド粒子等が挙げられる。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂を含有する硬化性組成物から得られる硬化物は、低熱時弾性率、低吸湿性、低誘電特性を発揮でき、好ましい態様となる。
硬化性組成物を硬化反応させた硬化物を得る方法としては、例えば、加熱硬化する際の加熱温度は、特に制限されないが、通常、100~300℃であり、加熱時間としては、1~24時間である。
硬化性組成物の硬化物は、吸湿率が1.3%以下であることが好ましい。前記吸湿率の測定方法は、本願実施例における評価方法と同様である。
<半導体封止材料>
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、前記硬化性組成物を含有する半導体封止材料のために用いることもできる。前記硬化性組成物を用いて得られる半導体封止材料は、硬化剤として本発明の多価ヒドロキシ樹脂を使用するため、多価ヒドロキシ樹脂状態における溶融粘度が低いことにより流動性に優れ、硬化性組成物の調製時における成分の配合が容易となり、製造工程における加工性や成形性に優れる。また、本発明の多価ヒドロキシ樹脂を用いた硬化性組成物を半導体封止材料に用いると、硬化物が低熱時弾性率、低吸湿性、低誘電特性を達成するので、特に有用である。
前記半導体封止材料に用いられる前記硬化性組成物には、無機充填剤を含有することができる。なお、前記無機充填剤の充填率としては、前記硬化性組成物100質量部に対して、例えば、無機充填剤を0.5~95質量部の範囲で用いることができる。
前記半導体封止材料を得る方法としては、前記硬化性組成物に、更に任意成分である添加剤とを必要に応じて、押出機、ニ-ダ、ロ-ル等を用いて均一になるまで充分に溶融混合する方法などが挙げられる。
<半導体装置>
本発明は、前記半導体封止材料の硬化物を含む半導体装置に関する。前記硬化性組成物を用いて得られる半導体封止材料を用いて得られる半導体装置は、本発明の多価ヒドロキシ樹脂を使用するため、多価ヒドロキシ樹脂状態における溶融粘度が低いことにより流動性に優れ、硬化性組成物の調製時における成分の配合が容易となり、製造工程における加工性や成形性に優れる。また、本発明の多価ヒドロキシ樹脂を用いた硬化用樹脂組成物を半導体封止材料に用いると、硬化物が低熱時弾性率、低吸湿性、低誘電特性を達成するので、特に有用である。
前記半導体装置を得る方法としては、前記半導体封止材料を注型、または、トランスファー成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに室温(20℃)~250℃の温度範囲で、加熱硬化する方法が挙げられる。
<プリプレグ>
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、補強基材、及び、前記補強基材に含浸した前記硬化性組成物の半硬化物を有するプリプレグのために用いることもできる。上記硬化性組成物からプリプレグを得る方法としては、後述する有機溶媒を配合して、ワニス化した硬化性組成物を、補強基材(紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布など)に含浸したのち、用いた溶媒種に応じた加熱温度、好ましくは50~170℃で加熱することによって、得る方法が挙げられる。この時用いる硬化性組成物と補強基材の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20~60質量%となるように調製することが好ましい。
ここで用いる有機溶媒としては、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられ、その選択や適正な使用量は用途によって適宜選択し得るが、例えば、下記のようにプリプレグからプリント回路基板をさらに製造する場合には、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の沸点が160℃以下の極性溶媒を用いることが好ましく、また、不揮発分が40~80質量%となる割合で用いることが好ましい。
<回路基板>
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、前記プリプレグ、及び、銅箔の積層体である回路基板のために用いることもできる。上記硬化性組成物からプリント回路基板を得る方法としては、上記プリプレグを、常法により積層し、適宜銅箔を重ねて、1~10MPaの加圧下に170~300℃で10分~3時間、加熱圧着させる方法が挙げられる。
<ビルドアップフィルム>
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、前記硬化性組成物を含有するビルドアップフィルムのために用いることもできる。前記ビルドアップフィルムを製造する方法としては、上記硬化性組成物を、支持フィルム上に塗布し、硬化性組成物層を形成させて多層プリント配線板用の接着フィルムとすることにより製造する方法が挙げられる。
硬化性組成物からビルドアップフィルムを製造する場合、該フィルムは、真空ラミネート法におけるラミネートの温度条件(通常70~140℃)で軟化し、回路基板のラミネートと同時に、回路基板に存在するビアホール、あるいは、スルーホール内の樹脂充填が可能な流動性(樹脂流れ)を示すことが肝要であり、このような特性を発現するよう上記各成分を配合することが好ましい。
ここで、多層プリント配線板のスルーホールの直径は、通常0.1~0.5mm、深さは通常0.1~1.2mmであり、通常この範囲で樹脂充填を可能とするのが好ましい。なお回路基板の両面をラミネートする場合はスルーホールの1/2程度充填されることが望ましい。
上記した接着フィルムを製造する方法は、具体的には、ワニス状の上記硬化性組成物を調製した後、支持フィルム(Y)の表面に、このワニス状の硬化性組成物を塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶媒を乾燥させて硬化性組成物からなる組成物層(X)を形成させることにより製造することができる。
形成される組成物層(X)の厚さは、通常、導体層の厚さ以上とすることが好ましい。回路基板が有する導体層の厚さは通常5~70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10~100μmの厚みを有するのが好ましい。
なお、前記組成物層(X)は、後述する保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、組成物層(X)表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。
上記した支持フィルム及び保護フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、支持フィルム及び保護フィルムはマッド処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。
支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10~150μmであり、好ましくは25~50μmの範囲で用いられる。また保護フィルムの厚さは1~40μmとするのが好ましい。
上記した支持フィルム(Y)は、回路基板にラミネートした後に、或いは加熱硬化することにより絶縁層を形成した後に、剥離される。接着フィルムを加熱硬化した後に支持フィルム(Y)を剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができる。硬化後に剥離する場合、通常、支持フィルムには予め離型処理が施される。
<その他の用途>
本発明の多価ヒドロキシ樹脂を含有する硬化性組成物により得られる硬化物は、低熱時弾性率、低吸湿性、低誘電特性に優れることから、半導体封止材料、半導体装置、プリプレグ、回路基板、及び、ビルドアップフィルム等の用途だけでなく、ビルドアップ基板、接着剤、レジスト材料、繊維強化樹脂のマトリクス樹脂など、各種用途にも好適に使用可能であり、用途においては、これらに限定されるものではない。
発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。尚、合成した多価ヒドロキシ樹脂の物性測定は以下の通り実施し、表1および表2に示した。
<水酸基当量の測定>
JIS K 7236に基づいて測定した。
<150℃における溶融粘度測定法>
ASTM D4287に準拠し、ICI粘度計にて測定した。
<GPCの測定>
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC-8320 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL-L」
+東ソー株式会社製「TSK-GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK-GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK-GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK-GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPCワークステーション EcoSEC-WorkStation」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPCワークステーション EcoSEC―WorkStation」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A-500」
東ソー株式会社製「A-1000」
東ソー株式会社製「A-2500」
東ソー株式会社製「A-5000」
東ソー株式会社製「F-1」
東ソー株式会社製「F-2」
東ソー株式会社製「F-4」
東ソー株式会社製「F-10」
東ソー株式会社製「F-20」
東ソー株式会社製「F-40」
東ソー株式会社製「F-80」
東ソー株式会社製「F-128」
試料:以下に示す実施例等で得られた多価ヒドロキシ樹脂の樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)を使用し、前記GPCの測定結果より、得られた多価ヒドロキシ樹脂の合成を確認した。また、得られた多価ヒドロキシ樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
(実施例1:多価ヒドロキシ樹脂(P-1)の合成)
温度計、冷却管、分留管、窒素ガス導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに、2,6-キシレノール488.6g(4.00モル)とトルエン244gを仕込み、p-トルエンスルホン酸4.9gを加えて、115℃まで昇温した。原料が完全に溶解したことを確認後、ジビニルベンゼンとエチルビニルベンゼンの混合物(DVB-810、新日鉄化学社製、ジビニルベンゼン/エチルビニルベンゼンの質量比=82/18)260.4gを2時間かけて滴下し、そのまま115℃で1時間反応させた。反応終了後、80℃まで降温し、NaOH水溶液を使用して中和した。水により4回の水洗を行い発生した塩を取り除いた後、未反応の2,6-キシレノール及びトルエンを加熱減圧下に除去し、多価ヒドロキシ樹脂(P-1)(DVB変性フェノール樹脂とも称する。)を得た。得られた多価ヒドロキシ樹脂(P-1)の物性値を表1に示した。
(実施例2:多価ヒドロキシ樹脂(P-2)の合成)
実施例1において、2,6-キシレノール814.4g(6.67モル)、トルエン407g、p-トルエンスルホン酸8.14g、ジビニルベンゼンとエチルビニルベンゼンの混合物(DVB-810、新日鉄化学社製)130.2gへと変更した以外は同様に反応を行い、多価ヒドロキシ樹脂として多価ヒドロキシ樹脂(P-2)を得た。得られた多価ヒドロキシ樹脂(P-2)の物性値を表1に示した。
(実施例3:多価ヒドロキシ樹脂(P-3)の合成)
実施例1において、2,6-キシレノールから2,4-キシレノール488.6g(4.00モル)へと変更した以外は同様に反応を行い、多価ヒドロキシ樹脂として多価ヒドロキシ樹脂(P-3)を得た。得られた多価ヒドロキシ樹脂(P-3)の物性値を表1に示した。
(実施例4:多価ヒドロキシ樹脂(P-4)の合成)
実施例1において、2,6-キシレノールから2,3,6-トリメチルフェノール544.8g(4.00モル)へと変更した以外は同様に反応を行い、多価ヒドロキシ樹脂として多価ヒドロキシ樹脂(P-4)を得た。得られた多価ヒドロキシ樹脂(P-4)の物性値を表1に示した。
(比較例1:多価ヒドロキシ樹脂(C-1)の合成)
実施例1において、2,6-キシレノールからフェノール376.4g(4.00モル)へと変更した以外は同様に反応を行い、多価ヒドロキシ樹脂(C-1)を得た。得られた多価ヒドロキシ樹脂(C-1)の物性値を表1に示した。
Figure 2023074976000009
(実施例5~8、及び比較例2)
<硬化性組成物の調製>
各成分を表2に示す組成で配合し、溶融混練をおこない硬化性組成物を得た。各成分の詳細は以下の通りである。
エポキシ樹脂:オルソクレゾール型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「N-655-EXP-S」エポキシ当量201g/eq)
硬化促進剤:トリフェニルホスフィン(北興化学工業製「TPP」)
<硬化物の作製>
上記で得られた硬化性組成物を、硬化物の厚さが2.4mmになるように常圧プレス中で150℃、10分間の条件で硬化させた後、アフターキュアを175℃、5時間することで評価用硬化物を得た。
<熱時弾性率評価>
前記硬化物をダイヤモンドカッターで5mm×54mmの大きさに切り出し、粘弾性測定装置(レオメトリック社製「固体粘弾性測定装置RSA II」、レクタンギュラーテンション法:周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用い、260℃での貯蔵弾性率の値を測定した。
<吸湿性評価>
前記硬化物をダイヤモンドカッターで75mm×25mmの大きさに切り出し、これを吸湿性評価の試験片とした。吸湿性評価は、温度/湿度:85℃/85%の環境下に300時間放置した。[(試験後の試験片の重量-試験前の試験片の重量)÷試験前の試験片の重量×100(%)]を吸湿率として評価した。
<誘電率、誘電正接>
アジレント・テクノロジー株式会社製ネットワークアナライザ「E8362C」を用い空洞共振法にて、加熱真空乾燥後、23℃、湿度50%の室内に24時間保管した試験片の1GHzでの誘電率、誘電正接を測定した。
Figure 2023074976000010
上記表1及び表2の評価結果より、実施例1~4において得られた多価ヒドロキシ樹脂は低粘度で高流動性に優れ、良好な成形性に寄与でき、実施例1~4の多価ヒドロキシ樹脂から得られた実施例5~8の硬化性組成物(ブレンド品)を用いて得られた硬化物は、低熱時弾性率、低吸湿性、低誘電特性であることが確認でき、低熱時弾性率、低吸湿性、低誘電特性の並立を図ることができ、電子部品封止材料用途においての使用が特に有用であることが確認できた。
一方、上記表1及び表2の評価結果より、比較例1において得られた多価ヒドロキシ樹脂は、実施例1~4と比較して、高粘度で流動性に劣り、比較例1の多価ヒドロキシ樹脂から得られた比較例2の硬化性組成物(ブレンド品)を用いて得られた硬化物は、実施例5~8と比較して、高熱時弾性率、高吸湿性、高誘電特性となり、実施例と比較して劣る結果となった。

Claims (11)

  1. フェノール性水酸基及び2以上の炭化水素基を芳香環に有する芳香族化合物(A)と、芳香族ジビニル化合物(B1)とを反応原料とする、多価ヒドロキシ樹脂。
  2. 芳香族モノビニル化合物(B2)をさらに前記反応原料として含む、請求項1に記載の多価ヒドロキシ樹脂。
  3. 芳香族ジビニル化合物(B1)の芳香族モノビニル化合物(B2)に対する質量比((B1)/(B2))が、50/50~99/1である、請求項2に記載の多価ヒドロキシ樹脂。
  4. 前記炭化水素基が、炭素原子数1~6のアルキル基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の多価ヒドロキシ樹脂。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の多価ヒドロキシ樹脂と、硬化剤とを含有する硬化性組成物。
  6. 請求項5に硬化性組成物の硬化物。
  7. 補強基材、及び、前記補強基材に含浸した請求項5に記載の硬化性組成物の半硬化物を有するプリプレグ。
  8. 請求項7に記載のプリプレグ、及び、銅箔を有する積層体である回路基板。
  9. 請求項5に記載の硬化性組成物を含有するビルドアップフィルム。
  10. 請求項5に記載の硬化性組成物を含有する半導体封止材。
  11. 請求項10に記載の半導体封止材の硬化物を含む半導体装置。
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