JP2023073611A - 回路装置及び発振器 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023073611000001
【課題】広い温度範囲での発振周波数の適正な温度補償と周波数制御電圧による発振周波数の制御とを両立して実現できる回路装置等の提供。
【解決手段】回路装置20は、振動子10を発振させる発振回路30と、温度センサー48の温度検出結果に基づいて発振回路30の発振周波数を温度補償する温度補償電圧VCPを出力する温度補償回路40と、発振周波数の周波数制御電圧VFCを出力する周波数制御回路50を含む。発振回路30は、容量制御電圧に対する容量の変化特性が正特性である第1可変容量回路31と負特性である第2可変容量回路を含む。温度補償回路40は、温度補償電圧VCPを容量制御電圧として第1可変容量回路31に供給し、周波数制御回路50は周波数制御電圧VFCを容量制御電圧として第2可変容量回路32に供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、回路装置及び発振器等に関する。
水晶振動子等の振動子を発振させる回路装置では、発振周波数を調整するための可変容量回路が設けられる。例えば特許文献1には、振動子の発振動作を行う発振部と、第1、第2の可変容量回路と、第1、第2の温度補償電圧生成回路と、周波数制御電圧生成回路を備えた電圧制御発振器が開示されている。この電圧制御発振器では、第1の温度補償電圧生成回路が、温度センサーからの検出信号に基づいて、第1の可変容量回路の容量を制御する第1の温度補償電圧を生成し、周波数制御電圧生成回路が、第2の可変容量回路の容量を制御する周波数制御電圧を生成する。そして第2の温度補償電圧補正回路が、周波数制御電圧によって生じる温度補償量の変化を補正する第2の温度補償電圧を生成する。
特開2017-112557号公報
しかしながら、特許文献1の電圧制御発振器の可変容量回路の電圧容量特性は全て正特性であった。このため広い温度範囲での発振周波数の適正な温度補償と、周波数制御電圧による発振周波数の制御とを両立して実現することが困難であった。
本開示の一態様は、振動子を発振させる発振回路と、温度センサーの温度検出結果に基づいて、前記発振回路の発振周波数を温度補償する温度補償電圧を出力する温度補償回路と、前記発振周波数の周波数制御電圧を出力する周波数制御回路と、を含み、前記発振回路は、容量制御電圧に対する容量の変化特性が正特性である第1可変容量回路と、前記容量制御電圧に対する容量の変化特性が負特性である第2可変容量回路と、を含み、前記温度補償回路は、前記温度補償電圧を前記容量制御電圧として前記第1可変容量回路に供給し、前記周波数制御回路は、前記周波数制御電圧を前記容量制御電圧として前記第2可変容量回路に供給する回路装置に関係する。
本開示の他の態様は、振動子と、回路装置と、を含み、前記回路装置は、前記振動子を発振させる発振回路と、温度センサーの温度検出結果に基づいて、前記発振回路の発振周波数を温度補償する温度補償電圧を出力する温度補償回路と、前記発振周波数の周波数制御電圧を出力する周波数制御回路と、を含み、前記発振回路は、容量制御電圧に対する容量の変化特性が正特性である第1可変容量回路と、前記容量制御電圧に対する容量の変化特性が負特性である第2可変容量回路と、を含み、前記温度補償回路は、前記温度補償電圧を前記容量制御電圧として前記第1可変容量回路に供給し、前記周波数制御回路は、前記周波数制御電圧を前記容量制御電圧として前記第2可変容量回路に供給する発振器に関係する。
本実施形態の回路装置、発振器の構成例。 本実施形態の回路装置、発振器の詳細な構成例。 第1可変容量回路の正特性の電圧容量特性の説明図。 第2可変容量回路の負特性の電圧容量特性の説明図。 振動子の周波数温度特性の例。 負特性の第2可変容量回路を用いる場合の温度補償電圧の温度特性の例。 正特性の第1可変容量回路を用いる場合の温度補償電圧の温度特性の例。 発振回路の第1構成例。 発振回路の第2構成例。 第1可変容量回路の説明図。 第1可変容量回路の電圧容量特性の説明図。 第1可変容量回路の電圧容量特性の説明図。 第2可変容量回路の説明図。 第2可変容量回路の電圧容量特性の説明図。 第2可変容量回路の電圧容量特性の説明図。 温度補償回路の構成例。 A級動作の増幅回路の構成例。 AB級動作の増幅回路の構成例。 周波数制御回路の構成例。 第1可変容量回路、第2可変容量回路の容量の大小関係の説明図。 第1可変容量回路、第2可変容量回路の容量の大小関係の説明図。 発振器の第1構造例。 発振器の第2構造例。
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲の記載内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
1.回路装置
図1に本実施形態の回路装置20の構成例を示す。本実施形態の回路装置20は発振回路30と温度補償回路40と周波数制御回路50を含む。また本実施形態の発振器4は振動子10と回路装置20を含む。振動子10は回路装置20に電気的に接続されている。
振動子10は、電気的な信号により機械的な振動を発生する素子である。振動子10は、例えば水晶振動片などの振動片により実現できる。例えば振動子10は、カット角がATカットやSCカットなどの厚みすべり振動する水晶振動片、音叉型水晶振動片、又は双音叉型水晶振動片などにより実現できる。例えば振動子10は、恒温槽を備えない温度補償型水晶発振器(TCXO)に内蔵されている振動子であってもよいし、恒温槽を備える恒温槽型水晶発振器(OCXO)に内蔵されている振動子であってもよい。なお本実施形態の振動子10は、例えば厚みすべり振動型、音叉型又は双音叉型以外の振動片や、水晶以外の材料で形成された圧電振動片などの種々の振動片により実現することも可能である。例えば振動子10として、SAW(Surface Acoustic Wave)共振子や、シリコン基板を用いて形成されたシリコン製振動子としてのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子等を採用することも可能である。
回路装置20は、IC(Integrated Circuit)と呼ばれる集積回路装置である。例えば回路装置20は、半導体プロセスにより製造されるICであり、半導体基板上に回路素子が形成された半導体チップである。図1では回路装置20は、発振回路30、温度補償回路40、周波数制御回路50を含み、温度センサー48を含むこともできる。発振回路30は第1可変容量回路31、第2可変容量回路32を含む。
発振回路30は振動子10を発振させる回路である。例えば発振回路30は、振動子10を発振させることで発振信号を生成する。発振信号は発振クロック信号である。例えば発振回路30は、振動子10の一端及び他端に電気的に接続される発振用の駆動回路と、キャパシターや抵抗などの受動素子により実現できる。駆動回路は、例えばCMOSのインバーター回路やバイポーラートランジスターにより実現できる。駆動回路は、発振回路30のコア回路であり、駆動回路が、振動子10を電圧駆動又は電流駆動することで、振動子10を発振させる。発振回路30としては、例えばインバーター型、ピアース型、コルピッツ型、又はハートレー型などの種々のタイプの発振回路を用いることができる。なお本実施形態における接続は電気的な接続である。電気的な接続は、電気信号が伝達可能に接続されていることであり、電気信号による情報の伝達が可能となる接続である。電気的な接続は受動素子等を介した接続であってもよい。
また発振回路30は第1可変容量回路31と第2可変容量回路32を含む。第1可変容量回路31、第2可変容量回路32は、例えば振動子10の一端及び他端の少なくとも一方での容量を変化させる回路であり、第1可変容量回路31、第2可変容量回路32の容量の調整により、発振回路30の発振周波数を調整できるようになっている。第1可変容量回路31、第2可変容量回路32は、例えばバラクター等の可変容量素子により実現できる。例えば第1可変容量回路31、第2可変容量回路32の各々は、少なくとも1つの可変容量素子により構成される。
温度補償回路40は、発振回路30の発振周波数の温度補償を行う回路である。例えば温度補償回路40は、温度センサー48の温度検出結果に基づいて、発振回路30の発振周波数を温度補償する温度補償電圧VCPを出力する。温度検出結果は、温度検出信号であり、例えば温度検出電圧である。温度補償は、例えば温度変動による発振周波数の変動を抑制して補償する処理である。即ち温度補償回路40は、温度変動があった場合にも発振周波数が一定になるように、発振回路30の発振周波数の温度補償を行う。
温度センサー48は温度を検出するセンサーである。具体的には温度センサー48は、環境の温度に応じて変化する温度依存電圧を、温度検出電圧として出力する。例えば温度センサー48は、温度依存性を有する回路素子を利用して温度検出信号である温度検出電圧を生成する。具体的には温度センサー48は、例えばPN接合の順方向電圧が有する温度依存性を用いることで、温度に依存して電圧が変化する温度検出電圧を出力する。なお図1では温度センサー48が回路装置20に設けられているが、温度センサー48が回路装置20の外部に設けられ、外部から入力された温度検出電圧などの温度検出信号に基づいて温度補償回路40が温度補償を行うような変形実施も可能である。また温度センサー48としてデジタル方式の温度センサー回路を用いる変形実施も可能である。この場合には温度検出データをD/A変換して温度検出電圧を生成すればよい。
周波数制御回路50は、発振回路30の発振周波数を制御する回路である。具体的には周波数制御回路50は、発振周波数の周波数制御電圧VFCを出力する。例えば周波数制御回路50は、外部から入力される制御電圧に基づいて周波数制御電圧VFCを生成して出力する。或いは周波数制御回路50は、外部から入力される制御データをD/A変換することで得られた制御電圧に基づいて周波数制御電圧VFCを生成してもよい。このような周波数制御回路50を設けることで、発振回路30の発振周波数を所望の周波数に設定する制御を実現できるようになる。例えば温度補償回路40と周波数制御回路50を設けることで、発振周波数の温度補償を行いながら、発振周波数を、外部からの制御電圧や制御データに応じた所望の周波数に設定できるようになる。
そして発振回路30は、容量制御電圧に対する容量の変化特性が正特性である第1可変容量回路31と、容量制御電圧に対する容量の変化特性が負特性である第2可変容量回路32を含む。例えば第1可変容量回路31と第2可変容量回路32は、容量制御電圧に対する容量の変化特性の正負の極性が異なっている。容量の変化特性が正特性とは、例えば後述の図3で説明するように、容量制御電圧が上昇するにつれて容量が増加する変化特性である。容量の変化特性が負特性とは、例えば後述の図4で説明するように、容量制御電圧が増加するにつれて容量が減少する変化特性である。容量は容量値と言うこともできる。
そして本実施形態では図1に示すように、温度補償回路40は、温度補償電圧VCPを容量制御電圧として第1可変容量回路31に供給する。また周波数制御回路50は、周波数制御電圧VFCを容量制御電圧として第2可変容量回路32に供給する。そして第1可変容量回路31は正特性の可変容量回路であるため、温度補償回路40からの温度補償電圧VCPが上昇すると、第1可変容量回路31の容量は増加し、温度補償電圧VCPが低下すると、第1可変容量回路31の容量は減少する。また第2可変容量回路32は負特性の可変容量回路であるため、周波数制御回路50からの周波数制御電圧VFCが上昇すると、第2可変容量回路32の容量は減少し、周波数制御電圧VFCが低下すると、第2可変容量回路32の容量は増加する。このように温度補償回路40からの温度補償電圧VCPが容量制御電圧として供給される正特性の第1可変容量回路31を発振回路30に設けることで、例えば温度が上昇すると第1可変容量回路31の容量が増加して、発振回路30の発振周波数が低下するようになる。これにより、例えば高温領域において振動子10の発振周波数が上昇する場合に、第1可変容量回路31の容量が増加することで、発振周波数の増加を相殺する温度補償を実現できるようになる。そして発振回路30に正特性の第1可変容量回路31を設けることで、例えば温度補償回路40の温度補償電圧VCPの出力アンプとして例えばA級動作の増幅回路を用いることなども可能になる。従って、出力アンプとしてAB級動作の増幅回路を設ける場合に比べて回路の小規模化を図りながら、広い温度範囲での発振周波数の適正な温度補償が可能になる。また周波数制御回路50からの周波数制御電圧VFCが容量制御電圧として供給される負特性の第2可変容量回路32を発振回路30に設けることで、周波数制御電圧VFCが上昇すると、第2可変容量回路32の容量が減少して、発振回路30の発振周波数が上昇するようになる。従って、周波数制御電圧VFCにより発振周波数を可変に制御できるようになる。この結果、温度補償回路40による広い温度範囲での発振周波数の適正な温度補償を実現しながら、周波数制御電圧VFCに基づく発振周波数の制御を実現できるようになる。例えば周波数制御回路50に増幅回路を必ずしも設けなくても済むようになるため、回路の小規模化も図れるようになる。
図2に本実施形態の回路装置20、発振器4の詳細な構成例を示す。図2では、回路装置20は、発振回路30、温度補償回路40、温度センサー48、周波数制御回路50、ロジック回路60、不揮発性メモリー70、出力回路80、電源回路90を含む。また発振器4は、振動子10と回路装置20を含む。振動子10は回路装置20に電気的に接続されている。例えば振動子10及び回路装置20を収納するパッケージの内部配線、ボンディグワイヤー又は金属バンプ等を用いて、振動子10と回路装置20は電気的に接続されている。なお回路装置20、発振器4は図2の構成には限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に置き換えるなどの種々の変形実施が可能である。
また回路装置20はパッドPVDD、PGND、PX1、PX2、PVC、PCKを含む。パッドは、半導体チップである回路装置20の端子である。例えばパッド領域では、絶縁層であるパシベーション膜から金属層が露出しており、この露出した金属層により回路装置20の端子であるパッドが構成される。パッドPVDD、PGNDは、各々、電源パッド、グランドパッドである。外部の電源供給デバイスからの電源電圧VDDがパッドPVDDに供給される。パッドPGNDは、グランド電圧であるGNDが供給されるパッドである。GNDはVSSと呼ぶこともでき、グランド電圧は例えば接地電位である。本実施形態ではグランドを、適宜、GNDと記載する。例えばVDDは高電位側電源に対応し、GNDは低電位側電源に対応する。パッドPX1、PX2は、振動子10の接続用のパッドである。パッドPVCは、制御電圧VCの入力用のパッドであり、パッドPCKはクロック信号CKの出力用のパッドである。パッドPVDD、PGND、PVC、PCKは、各々、発振器4の外部接続用の外部端子である端子TVDD、TGND、TVC、TCKに電気的に接続される。例えばこれらの各パッドと各端子は、パッケージの内部配線、ボンディグワイヤー又は金属バンプ等を用いて電気的に接続される。
発振回路30は、パッドPX1、PX2を介して振動子10に電気的に接続される。パッドPX1、PX2は、振動子接続用のパッドである。発振回路30の発振用の駆動回路は、パッドPX1とパッドPX2の間に設けられる。発振回路30は第1可変容量回路31、第2可変容量回路32を含む。そして第1可変容量回路31、第2可変容量回路32がパッドPX1、PX2の少なくとも一方に電気的に接続されることで、発振回路30の負荷容量を可変に調整できるようになる。
温度補償回路40は、例えば多項式近似によるアナログ方式の温度補償を行う。例えば振動子10の周波数温度特性を補償する温度補償電圧VCPが多項式により近似される場合に、温度補償回路40は、当該多項式の係数情報に基づいてアナログ方式の温度補償を行う。アナログ方式の温度補償は、例えばアナログ信号である電流信号や電圧信号の加算処理等により実現される温度補償である。例えば、高次の多項式により温度補償電圧VCPが近似される場合、多項式の0次係数、1次係数、高次係数が、それぞれ0次補正データ、1次補正データ、高次補正データとして、例えば不揮発性メモリー70等により実現される記憶部に記憶される。高次係数は例えば1次より大きい高次の次数の係数であり、高次補正データは、高次係数に対応する補正データである。例えば3次多項式により温度補償電圧VCPが近似される場合には、多項式の0次係数、1次係数、2次係数、3次係数が、0次補正データ、1次補正データ、2次補正データ、3次補正データとして記憶部に記憶される。そして温度補償回路40は、0次補正データ~3次補正データに基づいて温度補償を行う。この場合に2次補正データや2次補正データに基づく温度補償については省略してもよい。また例えば5次多項式により温度補償電圧VCPが近似される場合には、多項式の0次係数、1次係数、2次係数、3次係数、4次係数、5次係数が、0次補正データ、1次補正データ、2次補正データ、3次補正データ、4次補正データ、5次補正データとして記憶部に記憶される。そして温度補償回路40は、0次補正データ~5次補正データに基づいて温度補償を行う。この場合に2次補正データ又は4次補正データや、2次補正データ又は4次補正データに基づく温度補償については省略してもよい。また多項式近似の次数は任意であり、例えば5次よりも大きい次数の多項式近似を行うようにしてもよい。また0次補正を温度センサー48が行うようにしてもよい。
周波数制御回路50は、外部からの制御電圧VCが入力される。例えばマイクロコンピューターや各種ICにより実現される外部のシステムからの制御電圧VCが、端子TVC、パッドPVCを介して周波数制御回路50に入力される。一例としては、回路装置20の発振回路30が電圧制御発振器として機能して、外部のシステムによりPLLのフィードバックループが形成される。そして周波数制御回路50は、外部からの制御電圧VCに応じた周波数制御電圧VFCを出力する。例えば周波数制御回路50は、制御電圧VCをゲイン調整した周波数制御電圧VFCを出力する。なおデジタルの制御データを不図示のインターフェース回路を介して回路装置20に入力し、この制御データをD/A変換した制御電圧VCを周波数制御回路50に入力するようにしてもよい。
ロジック回路60は制御回路であり、種々の制御処理を行う。例えばロジック回路60は、回路装置20の全体の制御を行ったり、回路装置20の動作シーケンスの制御を行う。またロジック回路60は、発振回路30の制御のための各種の処理を行ったり、温度センサー48、出力回路80又は電源回路90の制御を行ったり、或いは不揮発性メモリー70の情報の読み出しや書き込みの制御を行う。ロジック回路60は、例えばゲートアレイ等の自動配置配線によるASIC(Application Specific Integrated Circuit)の回路により実現できる。
不揮発性メモリー70は、電源を供給しなくても情報の記憶を保持するメモリーである。例えば不揮発性メモリー70は、電源を供給しなくても情報を保持できると共に、情報の書き換えが可能なメモリーである。不揮発性メモリー70は、回路装置20の動作等に必要な種々の情報を記憶する。不揮発性メモリー70は、FAMOSメモリー(Floating gate Avalanche injection MOS memory)又はMONOSメモリー(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon memory)により実現されるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等により実現できる。そして不揮発性メモリー70は、温度補償回路40の温度補償に用いられる1次補正データや高次補正データなどの補正データを記憶する。
出力回路80は、発振回路30の発振信号に基づくクロック信号CKを出力する。例えば出力回路80は、発振回路30からの発振クロック信号である発振信号をバッファリングして、クロック信号CKとして、パッドPCKに出力する。そして、このクロック信号CKが発振器4のクロック出力の端子TCKを介して外部に出力される。例えば出力回路80は、シングルエンドのCMOSの信号形式でクロック信号CKを出力する。なお出力回路80が、CMOS以外の信号形式でクロック信号CKを出力するようにしてもよい。また発振回路30の後段に、発振信号の周波数を逓倍した周波数のクロック信号CKを生成するPLL回路等のクロック信号生成回路を設け、出力回路80が、このクロック信号生成回路により生成されたクロック信号CKをバッファリングして出力するようにしてもよい。
電源回路90は、パッドPVDDからの電源電圧VDDやパッドPGNDからグランド電圧GNDが供給されて、回路装置20の内部回路用の種々の電源電圧を内部回路に供給する。例えば電源回路90は、電源電圧VDDをレギュレートしたレギュレート電源電圧を、発振回路30等の回路装置20の各回路に供給する。
図3は、第1可変容量回路31の正特性の電圧容量特性の説明図であり、図4は、第2可変容量回路32の負特性の電圧容量特性の説明図である。電圧容量特性は容量制御電圧VCCに対する容量Cの特性である。なお図3、図4では電圧容量特性を模式的に表しており、実際には図3、図4に示すような1次の特性ではなく、変化範囲の中央付近において傾きが最大となる変曲点を有する特性になる。
図3に示すように第1可変容量回路31には、容量制御電圧VCCとして温度補償電圧VCPが入力される。そして第1可変容量回路31の正特性の電圧容量特性では、温度補償電圧VCPが上昇すると、容量Cが増加し、これにより発振回路30の発振周波数fが低下するようになる。一方、図4に示すように第2可変容量回路32には、容量制御電圧VCCとして周波数制御電圧VFCが入力される。そして第2可変容量回路32の負特性の電圧容量特性では、周波数制御電圧VFCが上昇すると、容量Cが減少し、これにより発振周波数fが上昇するようになる。
図5は振動子10の周波数温度特性である。具体的には例えばATカットの水晶の振動子10の周波数温度特性である。図5に示すように振動子10は、3次曲線で近似される周波数温度特性を有している。このような振動子10に対して、電圧容量特性が負特性である第2可変容量回路32を用いて容量を調整する場合には、温度補償回路40は、例えば図6に示すような温度特性の温度補償電圧VCPを出力する必要がある。このようにすれば、振動子10の発振周波数が高温範囲において図5のA1に示すように上昇した場合に、図6のA2に示すように温度補償回路40から出力される温度補償電圧VCPが低くなる。これにより、負特性の第2可変容量回路32の容量が大きくなり、振動子10の発振周波数の上昇が相殺されることで、発振周波数を一定に保つ温度補償を実現できる。
しかしながら、図6のA2に示す高温範囲において、温度補償電圧VCPを十分に低下させるためには、温度補償回路40の出力アンプの低電圧側の動作範囲を広げる必要がある。このため、温度補償回路40の出力アンプとして、後述の図17に示すA級動作の増幅回路では、低電圧側の動作範囲を広げるのが難しく、後述の図18に示すようなAB級動作の増幅回路を用いる必要があり、回路が複雑化し、回路規模が増加してしまう。
一方、振動子10に対して、電圧容量特性が正特性である第1可変容量回路31を用いて容量を調整する場合には、温度補償回路40は、例えば図7に示すような温度特性の温度補償電圧VCPを出力すればよい。このようにすれば、振動子10の発振周波数が高温範囲において図5のA1に示すように上昇した場合に、図7のA3に示すように温度補償回路40から出力される温度補償電圧VCPが高くなる。これにより、正特性の第1可変容量回路31の容量が大きくなり、振動子10の発振周波数の上昇が相殺されることで、発振周波数を一定に保つ温度補償を実現できるようになる。
この場合に図7のA3に示す高温範囲において、温度補償回路40では、高い電圧の温度補償電圧VCPを出力するために、その出力アンプの高電圧側の動作範囲を広げる必要がある。この点、後述の図17に示すA級動作の増幅回路であっても、出力部を構成するP型の駆動トランジスターが十分なオン状態になることで、図7のA3に示すような高い電圧の温度補償電圧VCPも適正に出力することができる。従って、図18に示すようなAB級動作の増幅回路を、温度補償回路40の出力アンプとして用いなくても済むようになり、回路の小規模化や簡素化を実現することが可能になる。
このように本実施形態の温度補償回路40は、温度補償電圧VCPを出力するA級動作の増幅回路を含むことができる。A級動作の増幅回路は、例えば差動入力を有する差動部と、差動部に接続される出力部とを含み、出力部が、高電位側電源ノードと低電位側電源ノードの間に直列接続されるP型の駆動トランジスターと電流源用のトランジスターを有する増幅回路である。このようにすることで、広い温度範囲での発振周波数の適正な温度補償を、AB級動作の増幅回路と比べて回路規模が小さく簡素な構成のA級動作の増幅回路を含む温度補償回路40により実現できるようになり、適正な温度補償と回路の小規模化を両立して実現することが可能になる。
例えば振動子10は、図5に示すような3次曲線で近似される周波数温度特性を有する。例えば振動子10は、3次多項式等の多項式で近似される周波数温度特性を有している。そして振動子10は、図5のように温度補償されない状態において、A1に示す動作温度範囲の上限における発振周波数fhが、A4に示す発振周波数の極大値faよりも大きい振動子となっている。動作温度範囲は、発振器4や回路装置20において仕様特性を満たすことができる温度範囲である。
例えば図5に示す振動子10の3次の周波数温度特性において、A4に示すように温度Taで発振周波数が極大値faとなり、A5に示すように温度Tbにおいて発振周波数が極小値fbになっている。そして振動子10の3次の周波数温度特性は、温度Taと温度Tbの間の例えば25℃付近に変曲点を有している。このため、動作温度範囲の低温側の温度範囲に比べて高温側の温度範囲が広くなっている。例えば動作温度範囲が-40℃~125℃である場合には、高温側の温度範囲は25℃~125℃となり、低温側の温度範囲である-40℃~25℃よりも広くなる。動作温度範囲が-40℃~100℃である場合も同様である。そして図5のA1に示す発振周波数fhは、動作温度範囲の上限での発振周波数であり、例えば125℃~100℃での発振周波数である。このため図5では、動作温度範囲の上限における発振周波数fhが発振周波数の極大値faよりも大きいという関係が成り立つ。このように動作温度範囲の上限における発振周波数fhが発振周波数の極大値faよりも大きい振動子10では、高温側の温度範囲が低温側の温度範囲に比べて広くなる。
従って、温度補償電圧VCPが入力される可変容量回路として、負特性の第2可変容量回路32を用いると、図6のA2に示すように動作温度範囲の上限において温度補償電圧VCPを十分に低下させるために、温度補償回路40の出力アンプの低電圧側の動作範囲を広げる必要があり、AB級動作の増幅回路が必要になる。これに対して本実施形態では、温度補償電圧VCPが入力される可変容量回路として、正特性の第1可変容量回路31を用いている。従って、温度補償回路40の出力アンプとしてA級動作の増幅回路を用いても、図7のA3に示すように動作温度範囲の上限において温度補償電圧VCPを十分に上昇させることが可能になり、適正な温度補償と回路の小規模化を両立して実現することが可能になる。
2.発振回路
次に発振回路30の詳細について説明する。図8に発振回路30の第1構成例を示す。図8の発振回路30は、駆動回路DVと、抵抗RAと、第1可変容量回路31と、第2可変容量回路32を含む。また発振回路30は、温度補償電圧VCPの供給ノードと低電位側電源ノードとの間に設けられたキャパシターCB5と、周波数制御電圧VFCの供給ノードと低電位側電源ノードとの間に設けられたキャパシターCB6を含むことができる。低電位側の電源ノードは例えばグランドノードである。駆動回路DVは、振動子10の一端が、その入力ノードであるノードN1にパッドPX1を介して接続され、振動子10の他端が、その出力ノードであるノードN2にパッドPX2を介して接続される。駆動回路DVの出力から入力への帰還素子となる抵抗RAは、一端がノードN1に接続され、他端がノードN2に接続される。図8では、第1可変容量回路31、第2可変容量回路32は、振動子10の一端がパッドPX1を介して接続されるノードN1と、振動子10の他端がパッドPX2を介して接続されるノードN2の両方に設けられている。但しノードN1、N2の一方のノードのみに第1可変容量回路31、第2可変容量回路32を設けてもよい。
図8では第1可変容量回路31はトランジスターTR1により構成され、第2可変容量回路32はトランジスターTR2により構成される。トランジスターTR1、TR2は、MOS(Metal Oxide Semiconductor)型の可変容量素子であり、MOSのバラクターとも呼ばれる。図8では第1可変容量回路31、第2可変容量回路32は、各々、N型のトランジスターTR1、TR2により構成されている。MOS型の可変容量素子は、MOSのトランジスターのソースとドレインとが短絡され、短絡されたソース及びドレインとゲートとの間に生じる静電容量が、容量制御電圧により可変に制御される容量素子である。
なお、以下では第1可変容量回路31、第2可変容量回路32の各々が、MOS型の可変容量素子である1つのトランジスターにより構成される場合を主に例にとり説明するが、並列に設けられる2つ以上のトランジスターにより構成してもよい。また第1可変容量回路31、第2可変容量回路32を構成するトランジスターとして、P型のトランジスターを用いる変形実施も可能である。また以下では、ノードN1に設けられる第1可変容量回路31、第2可変容量回路32の構成を主に例にとり説明する。ノードN2に接続される第1可変容量回路31、第2可変容量回路32の構成は同様であるため、詳細な説明を省略する。
ノードN1側の第1可変容量回路31のトランジスターTR1は、ゲートに、温度補償回路40からの温度補償電圧VCPに供給され、ソース及びドレインが、ノードN1に接続される。これにより図3に示すような正特性の電圧容量特性の可変容量回路が実現され、温度補償電圧VCPが上昇するとノードN1の負荷容量が増加し、温度補償電圧VCPが低下するとノードN1の負荷容量が減少するようになる。従って、温度補償電圧VCPが上昇すると発振周波数が低下し、温度補償電圧VCPが低下すると発振周波数が上昇するようになる。この結果、図5に示す振動子10の3次の周波数温度特性に対して、図7に示す温度補償電圧VCPにより発振周波数の増減を相殺して、発振周波数を一定にする温度補償を実現できるようになる。
ノードN1側の第2可変容量回路32のトランジスターTR2は、ソース及びドレインに、周波数制御回路50からの周波数制御電圧VFCが供給され、ゲートが、ノードN1に接続される。これにより図4に示すような負特性の電圧容量特性の可変容量回路が実現され、周波数制御電圧VFCが上昇するとノードN1の負荷容量が減少し、周波数制御電圧VFCが低下するとノードN1の負荷容量が増加するようになる。従って、周波数制御電圧VFCが上昇すると発振周波数が上昇し、周波数制御電圧VFCが低下すると発振周波数が低下するようになる。従って、外部からの制御電圧VCに基づき発振回路30の発振周波数の制御が可能な電圧制御型の温度補償発振器であるVC-TCXOの実現が可能になる。
図9に発振回路30の第2構成例を示す。なお発振回路30は図8、図9の構成には限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に置き換えるなどの種々の変形実施が可能である。
図9の第2構成例では、ノードN1側の第1可変容量回路31はトランジスターTR1により構成され、ノードN1側の第2可変容量回路32はトランジスターTR2により構成されている。そして第1可変容量回路31は、DCカット用のキャパシターCB1を介してノードN1に電気的に接続され、第2可変容量回路32は、DCカット用のキャパシターCB2を介してノードN1に電気的に接続されている。また図9では基準電圧VR1、VR2を生成する基準電圧生成回路34が設けられている。なおノードN2側の第1可変容量回路31、第2可変容量回路32はキャパシターCB3、CB4を介してノードN2に接続されているが、これらの可変容量回路はノードN1側の第1可変容量回路31、第2可変容量回路32と同様の構成であるため詳細な説明は省略する。
第1可変容量素子であるトランジスターTR1と、キャパシターCB1は、基準電圧VR1の供給ノードとノードN1との間に直列に設けられる。具体的には、一端がノードN1に接続されるキャパシターCB1の他端が、トランジスターTR1のゲートに接続され、トランジスターTR1のソース及びドレインに基準電圧VR1が供給される。そして温度補償回路40は、キャパシターCB1とトランジスターTR1の接続ノードに対して、抵抗RB1を介して温度補償電圧VCPを供給している。
第2可変容量素子であるトランジスターTR2と、キャパシターCB2は、基準電圧VR2の供給ノードとノードN1との間に直列に設けられる。具体的には、一端がノードN1に接続されるキャパシターCB2の他端が、トランジスターTR2のソース及びドレインに接続され、トランジスターTR2のゲートに基準電圧VR2が供給される。また周波数制御回路50は、キャパシターCB2とトランジスターTR2の接続ノードに対して、抵抗RB2を介して周波数制御電圧VFCを供給している。
なお図9では、第1可変容量回路31を、並列に設けられた複数のトランジスターTR1により構成し、第2可変容量回路32を、並列に設けられた複数のトランジスターTR2により構成してもよい。この場合には第1可変容量回路31を構成する複数のトランジスターTR1のソース及びドレインに対して、異なる電圧の複数の基準電圧VR1を供給すればよい。また第2可変容量回路32を構成する複数のトランジスターTR2のゲートに対して、異なる電圧の複数の基準電圧VR2を供給すればよい。このようにすれば、複数のトランジスターTR1の異なる電圧容量特性を重ね合わせることで、第1可変容量回路31のトータルの容量のリニアリティー特性を改善できる。また複数のトランジスターTR2の異なる電圧容量特性を重ね合わせることで、第2可変容量回路32のトータルの容量のリニアリティー特性を改善できる。
図10に示すように、第1可変容量回路31を構成するトランジスターTR1は、ゲートに温度補償電圧VCPが供給され、ソース及びドレインに基準電圧VR1が供給される。これにより図11に示すように、第1可変容量回路31の電圧容量特性は、ゲート・ドレイン間電圧であるVGD=VCP-VR1に対して正特性の電圧容量特性になる。従って、図12に示すように、第1可変容量回路31の電圧容量特性は、温度補償電圧VCPに対しても正特性の電圧容量特性になる。具体的には図12では、図11に対して、B1に示すように基準電圧VR1だけシフトした正特性の電圧容量特性となる。
なお図11、図12においてVthはトランジスターTR1のしきい値電圧である。前述したように電圧容量特性は、変化範囲の中央付近において傾きが最大になっており、図11ではVGD=Vthのときに電圧容量特性の傾きが最大になる。一方、図12では、VCP=Vth+VR1のときに電圧容量特性の傾きが最大になる。
また図13に示すように第2可変容量回路32を構成するトランジスターTR2は、ソース及びドレインに周波数制御電圧VFCが供給され、ゲートに基準電圧VR2が供給される。これにより図14に示すように、第2可変容量回路32の電圧容量特性は、ゲート・ドレイン間電圧であるVGD=VR2-VFCに対して正特性の電圧容量特性になる。図14においてVthはトランジスターTR2のしきい値電圧である。従って、図15に示すように、第2可変容量回路32の電圧容量特性は、周波数制御電圧VFCに対しては負特性の電圧容量特性になる。具体的には図15では、図14に対して、極性が反転すると共にB2に示すように基準電圧VR2だけシフトした負特性の電圧容量特性となる。
3.温度補償回路
図16に温度補償回路40の構成例を示す。なお温度補償回路40は図16の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に置き換えるなどの種々の変形実施が可能である。
温度補償回路40は、温度を変数とする多項式近似によって温度補償電圧VCPを出力する回路である。この温度補償回路40は電流生成回路42と電流電圧変換回路46を含む。電流生成回路42は、温度センサー48の温度検出結果に基づいて関数電流を生成する。例えば電流生成回路42は、温度センサー48からの温度検出結果である温度検出電圧VTSに基づいて、図5に示すような振動子10の周波数温度特性を温度補償するための関数電流を生成する。そして電流電圧変換回路46は、電流生成回路42からの関数電流を電圧に変換して温度補償電圧VCPを出力する。具体的には電流電圧変換回路46は、A級動作の増幅回路AMにより温度補償電圧VCPを出力する。
電流生成回路42は、1次補正回路43と高次補正回路44を含む。1次補正回路43は、温度検出電圧VTSに基づいて、1次関数を近似する1次電流を出力する。例えば1次補正回路43は、多項式近似における多項式の1次係数に対応する1次補正データに基づいて1次関数電流を出力する。1次補正回路43は、例えば演算増幅器、第1可変抵抗回路、第2可変抵抗回路、第3可変抵抗回路を含む。演算増幅器、第1可変抵抗回路及び第2可変抵抗回路は、正転増幅回路を構成する。正転増幅回路は、例えば基準電圧VRCを基準に温度検出電圧VTSを増幅する。正転増幅回路は、第3可変抵抗回路を介して電流電圧変換回路46の入力ノードに1次電流を出力する。
高次補正回路44は、温度検出電圧VTSに基づいて、高次関数を近似する高次電流を、電流電圧変換回路46に出力する。例えば高次補正回路44は、多項式近似における多項式の高次係数に対応する高次補正データに基づいて高次電流を出力する。一例としては、高次補正回路44は、3次関数を近似する3次電流を出力する。この場合には高次補正回路44は、温度検出電圧VTSに基づいて差動動作を行う第1差動回路と、第1差動回路の出力電圧と温度検出電圧VTSに基づいて差動動作を行うことで3次電流を出力する第2差動回路を含む。なお図16では、温度センサー48が、多項式の0次係数に対応する0次補正データに基づいて、温度検出電圧VTSのオフセット補正を行っている。即ち温度センサー48は、0次補正データが示すオフセットの分だけ、温度検出電圧VTSのオフセットを調整する。温度検出電圧VTSのオフセット補正は、発振周波数の温度補償において0次補正に対応する。また高次補正回路44は、4次以上の補正を行う補正回路を更に含んでもよい。例えば高次補正回路44は、4次関数を近似する4次電流を出力する4次補正回路と、5次関数を近似する5次電流を出力する5次補正回路などを更に含んでもよい。
電流電圧変換回路46は、1次電流と高次電流を加算すると共に、その加算電流を電流電圧変換することで温度補償電圧VCPを出力する。これにより、多項式関数を近似する温度補償電圧VCPが生成される。
電流電圧変換回路46は、増幅回路AMと抵抗RCとキャパシターCCとを含む。増幅回路AMは演算増幅器により実現される。抵抗RC及びキャパシターCCは、増幅回路AMの出力端子と反転入力端子との間に並列接続される。増幅回路AMの非反転入力端子には基準電圧VRCが入力される。これにより電流電圧変換回路46は、例えばA級動作の増幅回路AMにより温度補償電圧VCPを出力する。
このような構成の温度補償回路40によれば、温度センサー48の温度検出結果に基づき電流生成回路42により生成された関数電流を、電流電圧変換回路46により電圧に変換して温度補償電圧VCPとして出力できるようになる。そして電流電圧変換回路46が、A級動作の増幅回路AMにより温度補償電圧を出力するため、広い温度範囲での発振周波数の適正な温度補償を行うための温度補償電圧VCPを、回路規模が小さく簡素な構成のA級動作の増幅回路AMにより出力できるようになる。
図17にA級動作の増幅回路AMの構成例を示す。増幅回路AMは差動部DPと出力部QPを含む。差動部DPは、カレントミラー回路を構成するトランジスターTD1、TD2と、差動対のトランジスターであるバイポーラートランジスターBP1、BP2と、電流源用のバイポーラートランジスターBP3を含む。トランジスターTD1、TD2はゲートが共通接続されるP型のトランジスターである。バイポーラートランジスターBP1のベースである反転入力端子には、電流生成回路43からの電圧VCP0が入力され、バイポーラートランジスターBP2のベースである非反転入力端子には、基準電圧VRCが入力される。出力部QPは、VDDノードとGNDノードの間に直列に設けられるP型の駆動トランジスターTD3と電流源用のバイポーラートランジスターBP4を含む。また増幅回路AMには位相補償用の抵抗RD及びキャパシターCDが設けられている。なおバイポーラートランジスターBP1~BP4に代えてMOSのトランジスターを用いるようにしてもよい。
一方、図18にAB級動作の増幅回路AMの構成例を示す。図17と異なるのは図18では出力部QPがVDDノードとGNDノードの間に直列に設けられるP型の駆動トランジスターTD4とN型の駆動トランジスターTD5を含む点である。また図18では、駆動トランジスターTD5のゲートを制御するためのスイッチ回路SWとバイポーラートランジスターBP5が設けられている。
前述したように、図5に示す振動子10の周波数温度特性を温度補償するために、電圧容量特性が負特性の第2可変容量回路32を用いる場合には、温度補償回路40は、図6に示すような温度特性の温度補償電圧VCPを出力する必要がある。この場合には図6のA2に示すように、動作温度範囲の上限において、温度補償回路40の増幅回路AMは十分に低い電圧を出力する必要がある。しかしながら、温度補償回路40の出力アンプとして図17に示すようなA級動作の増幅回路AMを用いると、出力部QPの電流源用のトランジスターであるバイポーラートランジスターBP4により、図5のA2に示すような十分に低い電圧の温度補償電圧VCPを出力することは困難になる。即ち、電流源用のバイポーラートランジスターBP4は定電流を流すトランジスターであるため、低電位電源側に大きな電流を引き込む能力がなく、十分に低い電圧の温度補償電圧VCPを出力するのは難しい。この場合に定電流を大きな電流にすれば、低い電圧を出力しやすくなるが、定電流を大きくすると消費電力が増加してしまう。従って、周波数温度特性を温度補償するために負特性の第2可変容量回路32を用いる場合には、図18に示すようなAB級動作の増幅回路AMなどを用いなければならなくなる。AB級動作の増幅回路AMによれば、出力部QPのN型の駆動トランジスターTD5が十分なオン状態になることで、低い電圧の温度補償電圧VCPを出力できるようになるからである。しかしながら、このようなAB級動作の増幅回路AMを用いると、回路が複雑化したり回路規模が大きくなるという問題が生じる。例えばAB級動作の増幅回路AMでは、出力部QPの駆動トランジスターのゲートにフィルター回路を設けることができない。そして出力部QPの出力ノードに対してフィルター回路を設けると、ミラー効果が効かないため、A級動作の増幅回路AMと同じカットオフ周波数に設定するためには大きな容量のキャパシターが必要になってしまい、回路が大規模化する。
この点、本実施形態では、図5の振動子10の周波数温度特性を温度補償するために、電圧容量特性が正特性の第1可変容量回路31を用いている。このため温度補償回路40は、図7に示すような温度特性の温度補償電圧VCPを出力することになる。この場合には図7のA3に示すように、動作温度範囲の上限において、温度補償回路40の増幅回路AMは十分に高い電圧を出力する必要がある。そして温度補償回路40の出力アンプとして図17に示すA級動作の増幅回路AMを用いた場合にも、出力部QPのP型の駆動トランジスターTD3が十分なオン状態になることで、図7のA3に示すような高い電圧も容易に出力することが可能になる。従って、図18に示すようなAB級動作の増幅回路AMを用いなくても済むようになるため、回路の簡素化や小規模化を図れるようになる。
4.周波数制御回路
次に周波数制御回路50の詳細に説明する。図19に周波数制御回路50の構成例を示す。なお周波数制御回路50は図19の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に置き換えるなどの種々の変形実施が可能である。
本実施形態の周波数制御回路50は、外部から入力された制御電圧VCを少なくとも1つの可変抵抗により分圧することで生成した電圧を周波数制御電圧VFCとして出力する。例えば周波数制御回路50は、演算増幅器等により構成されるアンプを用いることなく、制御電圧VCを可変抵抗により分圧することで、周波数制御電圧VFCを生成する。例えば周波数制御回路50のゲイン調整にアンプを使用すると、回路規模が大きくなり、消費電力も増加すると共にトランジスターの増加に伴いノイズも増加する。この点、図19の周波数制御回路50は、制御電圧VCを可変抵抗により分圧することで生成した電圧を周波数制御電圧VFCとして出力している。このようにすれば、回路規模が大きく消費電力やノイズが多いアンプを用いなくても、周波数制御電圧VFCによる発振周波数の制御が可能になるため、回路装置20の小規模化や低消費電力化や低ノイズ化等を実現できるようになる。
具体的には図19の周波数制御回路50は、第1可変抵抗RA1と第2可変抵抗RA2と第3可変抵抗RA3と第4可変抵抗RA4を含む。第1可変抵抗RA1は、制御電圧VCの入力ノードNA1と周波数制御電圧VFCの出力ノードNA2との間に設けられる。第2可変抵抗RA2は、周波数制御電圧VFCの出力ノードNA2に一端が接続される。第3可変抵抗RA3は、基準電圧VREGの入力ノードNA3と、第2可変抵抗RA2の他端が接続される接続ノードNA4との間に設けられる。第4可変抵抗RA4は、接続ノードNA4と低電位電源ノードNA5との間に設けられる。低電位電源ノードNA5は例えばGNDノードである。
図19の周波数制御回路50において第1可変抵抗RA1、第2可変抵抗RA2、第3可変抵抗RA3、第4可変抵抗RA4に流れる電流IA1、IA2、IA3、IA4は下式(1)、(2)、(3)のように求められる。
Figure 2023073611000002
これにより、第3可変抵抗RA3、第4可変抵抗RA4の電圧分割ノードである接続ノードNA4での電圧VMは下式(4)、(5)のように求められる。
Figure 2023073611000003
従って、周波数制御電圧VFCは下式(6)、(7)のように求めることができる。
Figure 2023073611000004
そして、周波数制御回路50におけるゲインであるG=ΔVFC/ΔVCは下式(8)のように表される。
Figure 2023073611000005
上式(8)に示されるように本実施形態の周波数制御回路50によれば、アンプを用いない小規模な回路構成で、制御電圧VCに対する周波数制御電圧VFCのゲインGを調整することが可能になる。例えば第1可変抵抗RA1~第4可変抵抗RA4の抵抗値を調整することで、周波数制御回路50でのゲインGを調整できるようになる。従って、回路規模が大きく消費電力やノイズの多いアンプを用いることなく、制御電圧VCに対する周波数制御電圧VFCのゲインGを任意の値に調整することが可能になる。
5.感度の設定
本実施形態では、第1可変容量回路31による周波数電圧感度の絶対値を、第2可変容量回路32による周波数電圧感度の絶対値よりも高くしている。例えば周波数電圧感度である感度KV=ΔF/ΔVは下式(9)のように表される。CLは発振回路30の全体の負荷容量であり、C0、C1は振動子10の等価的な並列容量、直列容量である。
Figure 2023073611000006
上式(9)から明らかなように、感度KVの絶対値を高くすることで周波数変化であるΔFを大きくできる。従って、温度補償用の第1可変容量回路31による感度KVの絶対値を、周波数制御用の第2可変容量回路32による感度KVの絶対値よりも高くすることで、温度補償用の第1可変容量回路31による周波数変動幅を、周波数制御用の第2可変容量回路32による周波数変動幅よりも広くすることが可能になる。例えば周波数変動幅は、温度補償側では±20~30ppm程度、周波数制御側では±5~15ppm程度の変動幅が仕様等により要求されている。従って、第1可変容量回路31による感度KVの絶対値を、第2可変容量回路32による感度KVの絶対値よりも高くすることで、温度補償側の周波数変動幅を周波数制御側の周波数変動幅よりも広くすることが可能になり、仕様等による要求に応えることが可能になる。なお可変容量回路の感度の絶対値を高くするには、可変容量回路を構成するトランジスターのサイズを大きくすればよい。従って、第1可変容量回路31による感度KVの絶対値を、第2可変容量回路32による感度KVの絶対値よりも高くするためには、第1可変容量回路31を構成するトランジスターTR1のサイズを、第2可変容量回路32を構成するトランジスターTR2のサイズよりも大きくすればよい。なお以下では感度の絶対値を、適宜、単に感度と記載する。
例えば図20は可変容量回路の電圧容量特性である。図20のD2ではD1に比べて電圧容量特性における傾きを2倍にしている。即ち可変容量回路の容量電圧感度を2倍にしている。しかしながら、可変容量回路の電圧容量特性における傾きである容量電圧感度を2倍にしても、図21に示すように感度KV=ΔF/ΔVは2倍にならない。即ち、上式(9)で表される感度KVは、図20のD1、D2に示すように電圧容量特性における傾きを2倍にしても、図21のD3に示す感度の2倍にはならず、D4に示すように寄生容量の増加に伴う負荷容量CLの増加分だけ感度が低下してしまい、D5に示す感度になる。
例えば周波数制御用の第2可変容量回路32の感度KVを高くすると、第2可変容量回路32の寄生容量に起因する負荷容量CLの増加に伴い、温度補償用の第1可変容量回路31の感度KVが低下してしまう。このため本実施形態では、温度補償用の第1可変容量回路31の感度KVの方を優先して高くして、周波数制御用の第2可変容量回路32の感度KVについては、温度補償側に比べて低くする。このようにすれば、第2可変容量回路32のトランジスターサイズを小さくすることができ、回路の小規模化を図れると共に、第2可変容量回路32の寄生容量に起因する第1可変容量回路31の感度KVの低下についても抑制することが可能になる。
6.発振器
図22に本実施形態の発振器4の第1構造例を示す。発振器4は、振動子10と、回路装置20と、振動子10及び回路装置20を収容するパッケージ15を有する。パッケージ15は、例えばセラミック等により形成され、その内側に収容空間を有しており、この収容空間に振動子10及び回路装置20が収容されている。収容空間は気密封止されており、望ましくは真空に近い状態である減圧状態になっている。パッケージ15により、振動子10及び回路装置20を衝撃、埃、熱、湿気等から好適に保護することができる。
パッケージ15はベース16とリッド17を有する。具体的にはパッケージ15は、振動子10及び回路装置20を支持するベース16と、ベース16との間に収容空間を形成するようにベース16の上面に接合されたリッド17とにより構成されている。そして振動子10は、ベース16の内側に設けられた段差部に端子電極を介して支持されている。また回路装置20は、ベース16の内側底面に配置されている。具体的には回路装置20は、能動面がベース16の内側底面に向くように配置されている。能動面は回路装置20の回路素子が形成される面である。また回路装置20の端子にバンプBMPが形成されている。そして回路装置20は、導電性のバンプBMPを介してベース16の内側底面に支持される。導電性のバンプBMPは例えば金属バンプであり、このバンプBMPやパッケージ15の内部配線や端子電極などを介して、振動子10と回路装置20が電気的に接続される。また回路装置20は、バンプBMPやパッケージ15の内部配線を介して、発振器4の外部端子18、19に電気的に接続される。外部端子18、19は、パッケージ15の外側底面に形成されている。外部端子18、19は、外部配線を介して外部デバイスに接続される。外部配線は、例えば外部デバイスが実装される回路基板に形成される配線などである。これにより外部デバイスに対してクロック信号などを出力できるようになる。
なお図22では、回路装置20の能動面が下方に向くように回路装置20がフリップ実装されているが、本実施形態はこのような実装には限定されない。例えば回路装置20の能動面が上方に向くように回路装置20を実装してもよい。即ち能動面が振動子10に対向するように回路装置20を実装する。
図23に発振器4の第2構造例を示す。発振器4は、振動子10と、回路装置20と、振動子10及び回路装置20を収容するパッケージ15を有し、パッケージ15は、ベース16とリッド17を有する。ベース16は、中間基板である第1基板6と、第1基板6の上面側に積層された略矩形フレーム形状の第2基板7と、第1基板6の底面側に積層された略矩形フレーム形状の第3基板8を有する。そして、第2基板7の上面にはリッド17が接合され、第1基板6と第2基板7とリッド17とにより形成された収容空間S1に、振動子10が収容されている。例えば収容空間S1に振動子10が気密封止されており、望ましくは真空に近い状態である減圧状態になっている。これにより、振動子10を衝撃、埃、熱、湿気等から好適に保護することができる。また第1基板と第3基板8とにより形成された収容空間S2に、半導体チップである回路装置20が収容されている。また第3基板8の底面には、発振器4の外部接続用の電極端子である外部端子18、19が形成されている。
また収容空間S1においては、振動子10が、導電性の接続部CDC1、CDC2により、第1基板6の上面に形成された不図示の第1電極端子、第2電極端子に接続される。導電性の接続部CDC1、CDC2は、例えば金属バンプ等の導電性のバンプにより実現してもよいし、導電性の接着剤により実現してもよい。具体的には、例えば音叉型の振動子10の一端に形成された不図示の第1電極パッドが、導電性の接続部CDC1を介して、第1基板6の上面に形成された第1電極端子に接続される。そして第1電極端子は回路装置20のパッドPX1に電気的に接続される。また音叉型の振動子10の他端に形成された不図示の第2電極パッドが、導電性の接続部CDC2を介して、第1基板6の上面に形成された第2電極端子に接続される。そして第2電極端子は回路装置20のパッドPX2に電気的に接続される。これにより振動子10の一端及び他端を、導電性の接続部CDC1、CDC2を介して、回路装置20のパッドPX1、PX2に電気的に接続できるようになる。また半導体チップである回路装置20の複数のパッドには導電性のバンプBMPが形成され、これらの導電性のバンプBMPが、第1基板6の底面に形成された複数の電極端子に接続される。そして回路装置20のパッドに接続された電極端子は、内部配線等を介して発振器4の外部端子18、19に電気的に接続される。
なお発振器4は、ウェハレベルパッケージ(WLP)の発振器であってもよい。この場合には発振器4は、半導体基板と、半導体基板の第1面と第2面との間を貫通する貫通電極とを有するベースと、半導体基板の第1面に対して、金属バンプ等の導電性の接合部材を介して固定される振動子10と、半導体基板の第2面側に再配置配線層等の絶縁層を介して設けられる外部端子を含む。そして半導体基板の第1面又は第2面に、回路装置20となる集積回路が形成される。この場合には、振動子10及び集積回路が配置された複数のベースが形成された第1半導体ウェハーと、複数のリッドが形成された第2半導体ウェハーとを貼りつけることで、複数のベースと複数のリッドを接合し、その後にダイシングソー等によって発振器4の個片化を行う。このようにすれば、ウェハレベルパッケージの発振器4の実現が可能になり、高スループット、且つ、低コストでの発振器4の製造が可能になる。
以上に説明したように本実施形態の回路装置は、振動子を発振させる発振回路と、温度センサーの温度検出結果に基づいて、発振回路の発振周波数を温度補償する温度補償電圧を出力する温度補償回路と、発振周波数の周波数制御電圧を出力する周波数制御回路とを含む。発振回路は、容量制御電圧に対する容量の変化特性が正特性である第1可変容量回路と、容量制御電圧に対する容量の変化特性が負特性である第2可変容量回路とを含む。そして温度補償回路は、温度補償電圧を容量制御電圧として第1可変容量回路に供給し、周波数制御回路は、周波数制御電圧を容量制御電圧として第2可変容量回路に供給する。
このように温度補償回路からの温度補償電圧が容量制御電圧として供給される正特性の第1可変容量回路を発振回路に設けることで、温度が上昇すると第1可変容量回路の容量が増加して、発振回路の発振周波数が低下し、温度が低下すると第1可変容量回路の容量が減少して、発振回路の発振周波数が上昇するようになる。これにより温度変化による発振周波数の変化を相殺して発振周波数を一定にする温度補償を実現できるようになる。また周波数制御回路からの周波数制御電圧が容量制御電圧として供給される負特性の第2可変容量回路を発振回路に設けることで、周波数制御電圧が上昇すると、第2可変容量回路の容量が減少して、発振回路の発振周波数が上昇し、周波数制御電圧が低下すると、第2可変容量回路の容量が増加して、発振回路の発振周波数が低下するようになる。従って、温度補償回路による広い温度範囲での発振周波数の適正な温度補償を実現しながら、周波数制御電圧に基づく発振周波数の制御を実現できるようになる。
また本実施形態では、温度補償回路は、温度補償電圧を出力するA級動作の増幅回路を含んでもよい。
このようにすれば、広い温度範囲での発振周波数の適正な温度補償を、AB級動作の増幅回路と比べて回路規模が小さく簡素な構成のA級動作の増幅回路を含む温度補償回路により実現できるようになる。
また本実施形態では、温度補償回路は、温度センサーの温度検出結果に基づいて関数電流を生成する電流生成回路と、関数電流を電圧に変換して温度補償電圧を出力する電流電圧変換回路と、を含み、電流電圧変換回路は、A級動作の増幅回路により温度補償電圧を出力してもよい。
このようにすれば、温度センサーの温度検出結果に基づき電流生成回路により生成された関数電流を、電流電圧変換回路により電圧に変換して温度補償電圧として出力できるようになる。そして電流電圧変換回路は、A級動作の増幅回路により温度補償電圧を出力するため、広い温度範囲での発振周波数の適正な温度補償を行うための温度補償電圧を、回路規模が小さく簡素な構成のA級動作の増幅回路により出力できるようになる。
また本実施形態では、振動子は、3次曲線で近似される周波数温度特性を有し、振動子は、温度補償されない状態において、動作温度範囲の上限における発振周波数が発振周波数の極大値よりも大きい振動子であってもよい。
このように動作温度範囲の上限における発振周波数が発振周波数の極大値よりも大きい振動子では、高温側の温度範囲が低温側の温度範囲に比べて広くなるが、本実施形態では、温度補償電圧が供給される可変容量回路として、正特性の第1可変容量回路を用いている。ため、動作温度範囲の上限において温度補償電圧を十分に上昇させることが可能になり、適正な温度補償を実現できるようになる。
また本実施形態では、周波数制御回路は、外部から入力された制御電圧を少なくとも1つの可変抵抗により分圧することで生成した電圧を周波数制御電圧として出力してもよい。
このようにすれば、回路規模が大きく消費電力やノイズが多いアンプを用いなくても、周波数制御電圧による発振周波数の制御が可能になり、回路の小規模化や低消費電力化等を実現できるようになる。
また本実施形態では、周波数制御回路は、制御電圧の入力ノードと周波数制御電圧の出力ノードとの間に設けられる第1可変抵抗と、出力ノードに一端が接続される第2可変抵抗と、基準電圧の入力ノードと、第2可変抵抗の他端が接続される接続ノードとの間に設けられる第3可変抵抗と、接続ノードと低電位電源ノードとの間に設けられる第4可変抵抗と、を含んでもよい。
このようにすれば、第1可変抵抗~第4可変抵抗の抵抗値を調整することで、回路規模が大きく消費電力やノイズの多いアンプを用いることなく、制御電圧に対する周波数制御電圧のゲインを調整できるようになる。
また本実施形態では、第1可変容量回路による周波数電圧感度の絶対値は、第2可変容量回路による周波数電圧感度の絶対値よりも高くてもよい。
このようにすれば、温度補償側の周波数変動幅を周波数制御側の周波数変動幅よりも広くして、適正な温度補償を実現できるようになる。
また本実施形態の発振器は、振動子と回路装置とを含む。そして回路装置は、振動子を発振させる発振回路と、温度センサーの温度検出結果に基づいて、発振回路の発振周波数を温度補償する温度補償電圧を出力する温度補償回路と、発振周波数の周波数制御電圧を出力する周波数制御回路とを含む。発振回路は、容量制御電圧に対する容量の変化特性が正特性である第1可変容量回路と、容量制御電圧に対する容量の変化特性が負特性である第2可変容量回路とを含む。そして温度補償回路は、温度補償電圧を容量制御電圧として第1可変容量回路に供給し、周波数制御回路は、周波数制御電圧を容量制御電圧として第2可変容量回路に供給する。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また回路装置、発振器の構成・動作等も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
4…発振器、6…第1基板、7…第2基板、8…第3基板、10…振動子、15…パッケージ、16…ベース、17…リッド、18…外部端子、19…外部端子、20…回路装置、30…発振回路、31…第1可変容量回路、32…第2可変容量回路、34…基準電圧生成回路、40…温度補償回路、42…電流生成回路、43…1次補正回路、44…高次補正回路、46…電流電圧変換回路、48…温度センサー、50…周波数制御回路、60…ロジック回路、70…不揮発性メモリー、80…出力回路、90…電源回路、AM…増幅回路、BP1~BP5…バイポーラートランジスター、CB1~CB6、CC、CD…キャパシター、CK…クロック信号、DP…差動部、DV…駆動回路、IA1~IA4…電流、PCK、PGND、PVC、PVDD、PX1、PX2…パッド、QP…出力部、RA、RB1、RB2、RC、RD…抵抗、RA1~RA4…第1可変抵抗~第4可変抵抗、S1、S2…収容空間、TD1、TD2、TR1、TR2…トランジスター、TD3、TD4、TD5…駆動トランジスター、TVDD、TGND、TVC、TCK…端子、VC…制御電圧、VCC…容量制御電圧、VCP…温度補償電圧、VFC…周波数制御電圧、VTS…温度検出電圧

Claims (10)

  1. 振動子を発振させる発振回路と、
    温度センサーの温度検出結果に基づいて、前記発振回路の発振周波数を温度補償する温度補償電圧を出力する温度補償回路と、
    前記発振周波数の周波数制御電圧を出力する周波数制御回路と、
    を含み、
    前記発振回路は、
    容量制御電圧に対する容量の変化特性が正特性である第1可変容量回路と、
    前記容量制御電圧に対する容量の変化特性が負特性である第2可変容量回路と、
    を含み、
    前記温度補償回路は、
    前記温度補償電圧を前記容量制御電圧として前記第1可変容量回路に供給し、
    前記周波数制御回路は、
    前記周波数制御電圧を前記容量制御電圧として前記第2可変容量回路に供給することを特徴とする回路装置。
  2. 請求項1に記載の回路装置において、
    前記温度補償回路は、
    前記温度補償電圧を出力するA級動作の増幅回路を含むことを特徴とする回路装置。
  3. 請求項2に記載の回路装置において、
    前記温度補償回路は、
    前記温度センサーの前記温度検出結果に基づいて関数電流を生成する電流生成回路と、
    前記関数電流を電圧に変換して前記温度補償電圧を出力する電流電圧変換回路と、
    を含み、
    前記電流電圧変換回路は、A級動作の前記増幅回路により前記温度補償電圧を出力することを特徴とする回路装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回路装置において、
    前記振動子は、3次曲線で近似される周波数温度特性を有し、
    前記振動子は、温度補償されない状態において、動作温度範囲の上限における前記発振周波数が前記発振周波数の極大値よりも大きい振動子であることを特徴とする回路装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回路装置において、
    前記周波数制御回路は、
    外部から入力された制御電圧を少なくとも1つの可変抵抗により分圧することで生成した電圧を前記周波数制御電圧として出力することを特徴とする回路装置。
  6. 請求項5に記載の回路装置において、
    前記周波数制御回路は、
    前記制御電圧の入力ノードと前記周波数制御電圧の出力ノードとの間に設けられる第1可変抵抗と、
    前記出力ノードに一端が接続される第2可変抵抗と、
    基準電圧の入力ノードと、前記第2可変抵抗の他端が接続される接続ノードとの間に設けられる第3可変抵抗と、
    前記接続ノードと低電位電源ノードとの間に設けられる第4可変抵抗と、
    を含むことを特徴とする回路装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の回路装置において、
    前記第1可変容量回路による周波数電圧感度の絶対値は、前記第2可変容量回路による周波数電圧感度の絶対値よりも高いことを特徴とする回路装置。
  8. 振動子と、
    回路装置と、
    を含み、
    前記回路装置は、
    前記振動子を発振させる発振回路と、
    温度センサーの温度検出結果に基づいて、前記発振回路の発振周波数を温度補償する温度補償電圧を出力する温度補償回路と、
    前記発振周波数の周波数制御電圧を出力する周波数制御回路と、
    を含み、
    前記発振回路は、
    容量制御電圧に対する容量の変化特性が正特性である第1可変容量回路と、
    前記容量制御電圧に対する容量の変化特性が負特性である第2可変容量回路と、
    を含み、
    前記温度補償回路は、
    前記温度補償電圧を前記容量制御電圧として前記第1可変容量回路に供給し、
    前記周波数制御回路は、
    前記周波数制御電圧を前記容量制御電圧として前記第2可変容量回路に供給することを特徴とする発振器。
  9. 請求項8に記載の発振器において、
    前記温度補償回路は、
    前記温度補償電圧を出力するA級動作の増幅回路を含むことを特徴とする発振器。
  10. 請求項8又は9に記載の発振器において、
    前記振動子は、3次曲線で近似される周波数温度特性を有し、
    前記振動子は、温度補償されない状態において、動作温度範囲の上限における前記発振周波数が前記発振周波数の極大値よりも大きい振動子であることを特徴とする発振器。
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