JP2023072439A - 繊維製品処理剤組成物 - Google Patents

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Junpei Uematsu
洋一郎 伊森
Yoichiro Imori
貴大 矢野
Takahiro Yano
隆儀 齋藤
Takayoshi Saito
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Abstract

【課題】発汗等によって濡れた繊維製品のべたつきを抑制することができる繊維製品処理剤組成物を提供する。【解決手段】(A)所定の4級アンモニウム塩化合物を5質量%以上20質量%以下、(B)所定の変性多糖誘導体を0.005質量%以上15質量%以下、(C)所定のエステル化合物、及び水を含有する繊維製品処理剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、繊維製品処理剤組成物に関する。
木綿は優れた吸水性を有し、しかも肌触りが優れていることから、衣料等の繊維製品に好適に使用されている。特に梅雨時の湿度の高い時期や、夏場の気温が高い時期においては、汗等の水分を吸収し、衣類と肌との間の環境を整える効果があるため木綿を使用した衣類が好まれている。
しかしながら、汗等の水分を多量に吸収した木綿にあっては、濡れた衣類の肌へのべたつきにより快適性が悪化する。このような課題に対して、i)繊維自体の改良とii)繊維製品に対する処理剤の両面から解決が試みられている。
特許文献1-4には、このような、汗等で濡れた場合における衣類の快適性を制御する技術として、特殊な繊維を用いる技術が提案されている。
また、特許文献5-11には、肌に直接触れる木綿布に付着させて付与する木綿布の処理方法が開示されており、特に特許文献7-11では陽イオン界面活性剤と脂肪族アルコールを特定比率で含有する繊維製品の濡れ戻りを抑制する繊維製品処理剤組成物が記載されている。
また、特許文献12には、(A)所定の4級アンモニウム塩の混合物と、(B)所定のエステル化合物と、(C)所定の脂肪族アルコールを含む組成物が、繊維製品の通気の悪化を抑制することが記載されている。
また、特許文献13には、(A)変性ヒドロキシアルキルセルロースと、(B)カチオン性界面活性剤とを含有する組成物が、洗浄性向上、風合い向上の効果を付与しうることが記載されている。
国際公開第2007/004589号 特開2006-97147号公報 特開2003-183978号公報 特開2012-12730号公報 特開2005-89882号公報 特開2011-122252号公報 特開2014-129627号公報 特開2014-141771号公報 特開2016-011470号公報 特開2016-011472号公報 特開2018-193653号公報 特開2021-110075号公報 特開2020-204025号公報
特許文献1~4に記載された技術は、特殊な繊維加工が要求されることから、家庭での実現は困難であるものの、近年このような特殊な繊維加工を施された化学繊維を主原料とした衣類が増加している。しかしながら、これら繊維製品は、繊維製品に吸収された水分を濡れ広がり易くすることで達成するものであって、吸収された水分を乾燥させる時間が必要であり、べたつきの問題を実質的に解決しているとはいえない。また、特許文献5~6に記載された技術は、基本的に繊維製品の乾燥速度を速めることを課題とするものであり汗等で濡れた場合におけるべたつきの悪化問題自体を直接的に解決するものではない。本発明者らは先に繊維製品に吸収した汗等が、素肌に濡れ戻ることによる肌ストレスの課題を解決するために既に特許文献7~13に記載された技術を提案しているが、化学繊維を含有する繊維製品(以下、化繊製品という場合もある)について触れるものではなかった。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、化学繊維を含有する繊維製品、特に肌着等のような肌と繊維製品とが直接接する等して汗等で濡れる状態になり易い繊維製品に対し、予め簡易な処理を施しておくことで、前述のべたつきを抑制することができる繊維製品処理剤組成物を提供することにある。
本発明者らは、第4級アンモニウム塩と変性多糖誘導体、好ましくは第4級アンモニウム塩と変性ヒドロキアルキルセルロース、より好ましくは第4級アンモニウム塩と変性ヒドロキシエチルセルロースとを含有する繊維製品処理剤組成物について鋭意検討を重ねたところ、特定の変性多糖誘導体を使用することにより、濡れた化繊製品の動摩擦係数(以下、湿潤摩擦)を低減できることを突き止め、べたつき抑制効果に優れる繊維製品処理剤組成物が得られること見出した。
すなわち本発明は、下記(A)成分を5質量%以上20質量%以下、下記(B)成分を0.005質量%以上15質量%以下、下記(C)成分、及び水を含有する、繊維製品処理剤組成物に関する。
<(A)成分>
下記一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩化合物。
〔R1aC(=O)-O-(C2pO)-C2q(R2a4-m (1)
〔式中、R1aは炭素数11以上23以下の炭化水素基であり、R2aは炭素数1以上3以下の炭化水素基及びHO-(C2pO)-C2q基から選ばれる基であり、Xは有機又は無機の陰イオンであり、mは1以上3以下の数であり、p及びqはそれぞれ独立して2又は3の数であり、rは0以上5以下の数である。同一分子内にR1a、R2a、p、q、rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕
<(B)成分>
多糖又はその誘導体の水酸基から水素原子を除いた基に、カチオン性基、及び式(2)で表される疎水性基〔以下、疎水性基(2)という〕が結合した変性多糖誘導体であって、カチオン性基の置換度(β)が0.002以上0.045以下であって、疎水性基(2)の置換度(α)とカチオン性基の置換度(β)の比率(α/β)の値が0.2以上4.5以下である変性多糖誘導体。
Figure 2023072439000001

〔式中、Zは単結合、又は酸素原子を有する炭化水素基を示し、R1bは炭素数2以上の炭化水素基を示し、*は多糖又はその誘導体の水酸基から水素原子を除いた基との結合位置を示す。〕
<(C)成分>
炭素数1以上6以下のアルコールと、炭素数12以上22以下の脂肪酸と、のエステル化合物から選ばれる1種以上のエステル化合物。
本発明によれば、発汗等によって濡れた繊維製品のべたつきを抑制することができる繊維製品処理剤組成物を提供することができる。とりわけ化学繊維を含む繊維製品や化学繊維からなる繊維製品はべたつき易いが、本発明の繊維製品処理剤組成物は、これら化学繊維を含有する繊維製品に対しても十分なべたつき抑制効果を発揮できる。
本発明は、前記(A)成分を5質量%以上20質量%以下、前記(B)成分を0.005質量%以上15質量%以下、前記(C)成分、及び水を含有する繊維製品処理剤組成物である。
本発明の繊維製品処理剤組成物は、化学繊維を含む繊維製品用の繊維製品処理剤組成物であってよい。
また、本発明の繊維製品用処理剤組成物は、発汗等によって濡れた繊維製品のべたつきを抑制することができる繊維製品用仕上げ剤組成物又は繊維製品用柔軟剤組成物であってよい。
本発明の繊維製品処理剤組成物によれば、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を併用しているため、この繊維製品処理剤組成物により処理した繊維製品は、詳細は不明ではあるが化繊上における(A)成分の吸着性が向上したことにより、べたつきを抑制することができると考えられる。
<(A)成分>
本発明の(A)成分は、下記一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩化合物である。
〔R1aC(=O)-O-(C2pO)-C2q(R2a4-m (1)
〔式中、R1aは炭素数11以上23以下の炭化水素基であり、R2aは炭素数1以上3以下の炭化水素基及びHO-(C2pO)-C2q基から選ばれる基であり、Xは有機又は無機の陰イオンであり、mは1以上3以下の数であり、p及びqはそれぞれ独立して2又は3の数であり、rは0以上5以下の数である。同一分子内にR1a、R2a、p、q、rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕
(A)成分は、mが2の化合物が好ましく、mが2の化合物は(A)成分の25質量%以上、好ましくは35質量%以上、より好ましくは45質量%以上を構成していることがより好ましい。
(A)成分のR1aは脂肪酸由来の炭化水素基が好ましく、直鎖飽和又は直鎖不飽和の炭化水素基がより好ましい。(A)成分は、例えば、pが2又は3のアルキレンオキシ基が結合していてもよい炭素数2又は3のヒドロキシアルキル基を2つ又は3つ有する3級アミン化合物(但し、ヒドロキシアルキル基が2つの場合は他の基は炭素数1以上3以下のアルキル基)と脂肪酸とのエステル化反応又は脂肪酸低級アルコールエステルとのエステル交換反応により、脂肪酸エステル基を有する3級アミン化合物を合成し、それを炭素数1以上3以下のアルキル化剤による4級化反応により得られる。当該第4級アンモニウム塩化合物を用いる場合は、ヒドロキシアルキル基が2つの場合はmが1又は2の化合物との混合物、又はヒドロキシアルキル基が3つの場合はmが1、2又は3の化合物の混合物として合成され、その混合物として用いることが好ましい。この場合、多少の未反応の3級アミン化合物、脂肪酸及びその他不純物を含有するものであってもよい。本発明ではエステル化前の3級アミン化合物としてジエタノールモノメチルアミン又はトリエタノールアミンを用いることが好ましく、更にはトリエタノールアミンを用いることが好ましい。アルキル化剤として塩化メチル、ジメチル硫酸又はジエチル硫酸を用いて4級化することで得られる第4級アンモニウム塩化合物が好ましい。この場合、一般式(1)におけるR1aは、脂肪酸由来の炭素数11以上23以下の直鎖飽和又は不飽和の炭化水素基であって、R2aのうち1つのメチル基又はエチル基であって、残りはヒドロキシエチル基であり、qは2、rは0であって、mが1~3の化合物の混合物となる。すなわちトリエタノールアミン脂肪酸エステルの第4級化物であり、本発明ではm=1をモノエステル体(化合物(a1)又は(a1)成分という場合もある)、m=2の化合物をジエステル体(化合物(a2)又は(a2)成分という場合もある)、m=3をトリエステル体(化合物(a3)又は(a3)成分という場合もある)とする。
本発明の(A)成分は、化合物(a1)を、一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の全量中、10質量%以上45質量%以下含有し、化合物(a2)を、一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の全量中、25質量%以上70質量%以下含有し、化合物(a3)を、一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の全量中、5質量%以上40質量%以下含有する4級アンモニウム塩の混合物であることがより好ましい。
一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の全量中の前記(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分の割合が前記範囲内であると、繊維製品に付与されるべたつきの抑制効果が向上する。このような観点から、一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の全量中の前記(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分の割合は、以下のとおりであることが好ましい。
一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の全量中の(a1)成分の割合は、10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、そして、45質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは32質量%以下である。
一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の全量中の(a2)成分の割合は、25質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上であり、そして、70質量%以下、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の全量中の(a3)成分の割合は、5質量%以上、好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは12質量%以上であり、そして、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
なお、(a2)成分及び(a3)成分は、(B)成分を含有する繊維製品処理剤組成物の保存安定性に影響を与える。そのため(A)成分は、(a1)成分を前記範囲で含有することが好ましい。
本発明においては、前記(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分の割合を満たした上で、一般式(1)で表される4級アンモニウム塩の全量中の(a2)成分の含有量が(a3)成分よりも多いことが好ましく、更に(a2)成分の含有量(質量%)と(a3)成分の含有量(質量%)との差は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは35質量%以上である。
一般式(1)において、R1aを構成する脂肪酸の具体例としては、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、パーム油脂肪酸、ひまわり油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、綿実油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、及び硬化牛脂脂肪酸から選ばれる1種以上が挙げられる。
一般式(1)中、R2aの1つは4級化の際のアルキル化剤由来のアルキル基であり、前記したアルキル化剤を用いることから、好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基であり、更にはメチル基又はエチル基が好ましい。
一般式(1)中、Xは、有機又は無機の陰イオンであり、クロロイオン等のハロゲンイオン、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸エステルイオン、から選ばれる陰イオンが好ましい。本発明においては、より好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル硫酸エステルイオンであり、更に好ましくはメチル硫酸エステルイオン又はエチル硫酸エステルイオンである。
前記したように本発明に用いる(A)成分は、脂肪酸とトリエタノールアミンとを脱水エステル化反応させる方法(以下、「脱水エステル化法」という)、又は脂肪酸低級アルキルエステル(低級アルキルはメチル基、エチル基、プロピル基)とトリエタノールアミンとをエステル交換反応させる方法(以下、「エステル交換法」という)により得られたエステル化反応物を、アルキル化剤で4級化反応させることにより得られた化合物を用いることが好ましい。
本発明の(A)成分の(a1)~(a3)成分の割合を満たす混合物を得るには、例えば、トリエタノールアミン1モルに対して脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルを1.3モル以上、好ましくは1.5モル以上、そして、2.0モル以下、好ましくは1.9モル以下の比率で反応させたトリエタノールアミン脂肪酸エステルの混合物を4級化反応することにより得ることができる。
脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルは、牛脂、パーム油、ヒマワリ油、大豆油、ナタネ油、サフラワー油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油から選ばれる油脂をケン化して得られる脂肪酸組成のものが好ましく、特に牛脂、パーム油及びヒマワリ油から得られる脂肪酸組成のものがより好ましい。
また、これらの脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルは、炭素-炭素不飽和結合を2つ以上有するアルケニル基を多量に含有するため、例えば特開平4-306296号公報に記載されているような晶析や、特開平6-41578号公報に記載されているようなメチルエステルを減圧蒸留する方法、あるいは特開平8-99036号公報に記載の選択水素化反応を行うことにより、炭素-炭素不飽和結合を2つ以上含有する脂肪酸の割合を制御することができる。例えば硬化牛脂は牛脂由来の脂肪酸を水素添加により飽和にしたものであり、一部を硬化させたものとして半硬化と表現する場合もある。また、これら硬化の程度を調整したものと硬化処理をしていない脂肪酸とを任意に混合してもよい。
なお、前記選択水素化反応を行った場合には不飽和結合の幾何異性体の混合物が形成するが、本発明ではシス/トランスが25/75~100/0、好ましくは50/50~95/5(モル比)が好ましい。
脱水エステル化法においては、エステル化反応温度を140℃以上230℃以下とし、縮合水を除去しながら反応させることが好ましい。反応を促進させる目的から通常のエステル化触媒を用いても差し支えなく、例えば硫酸、燐酸等の無機酸、酸化錫、酸化亜鉛等の無機酸化物、テトラプロポキシチタン等のアルコラート等を選択することができる。
反応の進行はJIS K0070-1992に記載の方法で酸価(AV)及び鹸化価(SV)を測定することで確認することができ、AVが好ましくは10mgKOH/g以下、より好ましくは6mgKOH/g以下となった時にエステル化反応を終了する。
得られたエステル化合物の混合物のSVは、好ましくは110mgKOH/g以上、より好ましくは130mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは210mgKOH/g以下、より好ましくは190mgKOH/g以下である。
エステル交換法においては、反応温度を好ましくは50℃以上、より好ましくは100℃以上、そして、好ましくは150℃以下とし、生成する低級アルコールを除去しながら行うことが好ましい。反応促進のために水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリや、メチラート、エチラート等のアルコキシ触媒を用いることも可能である。
反応の進行はガスクロマトグラフィー等を用いて脂肪酸低級アルキルエステルの量を直接定量することが好適であり、未反応脂肪酸低級アルキルエステルが仕込みの脂肪酸低級アルキルエステルに対してガスクロマトグラフィーチャート上で10面積%以下、特に6面積%以下となった時に反応を終了させることが好ましい。
得られたエステル化合物の混合物のSVは、好ましくは110mgKOH/g以上、より好ましくは130mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは210mgKOH/g以下、より好ましくは190mgKOH/g以下である。
4級アンモニウム塩を得るためには前述の方法で得られたエステル化合物の4級化を行う。4級化に用いることができるアルキル化剤としては、塩化メチル、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等が好適である。アルキル化剤として、塩化メチルを用いる場合には、特に溶媒を使用する必要はないが、溶媒を使用する場合は、エタノールやイソプロパノール等の溶媒を、エステル化合物に対して10質量%以上50質量%以下程度混合した溶液をチタン製のオートクレーブ等の加圧反応器に仕込み、密封下30℃以上120℃以下の反応温度で塩化メチルを圧入させて反応させる。このとき塩化メチルの一部が分解し塩酸が発生する場合があるため、反応を効率的に進行させる観点から、アルカリ剤を少量加えることが好ましい。
塩化メチルとエステル化合物とのモル比は、エステル化合物のアミノ基1当量に対して塩化メチルを1倍当量以上1.5倍当量以下用いることが好ましい。
アルキル化剤としてジメチル硫酸、ジエチル硫酸を用いる場合には、好ましくは、エタノールやイソプロパノール等の溶媒をエステル化合物に対して10質量%以上50質量%以下程度混合した溶液を40℃以上100℃以下に加熱混合し、ジメチル硫酸及び/又はジエチル硫酸を滴下して行うことができる。
ジメチル硫酸及び/又はジエチル硫酸とエステル化合物とのモル比は、エステル化合物のアミノ基1当量に対してジメチル硫酸及び/又はジエチル硫酸を好ましくは0.9倍当量以上、より好ましくは0.95倍当量以上、そして、好ましくは1.1倍当量以下、より好ましくは0.99倍当量以下である。
本発明の繊維製品処理剤組成物は、(A)成分の製造時に生成される副生成物を含有してもよい。副生成物としては、例えば、4級化されなかった未反応アミン、具体的には脂肪酸トリエステルのアミンと脂肪酸ジエステルのアミンが挙げられる。脂肪酸トリエステルのアミンと脂肪酸ジエステルのアミンとの合計量は、製造方法にもよるが、(A)成分100質量部に対して30質量部以下であることが多い。
一方、脂肪酸モノエステルのアミンは4級化され易いことから、通常、反応生成物中の含有量は(A)成分100質量部に対して0.5質量部以下である。
更には脂肪酸エステル化されなかったトリエタノールアミン及びトリエタノールアミンの4級化物の合計含有量は、(A)成分100質量部に対して0.5質量部以上3質量部以下であることが多く、このうちの90質量%以上は4級化物である。
また、前記副生成物以外にも、(A)成分中には未反応脂肪酸が含まれることもある。
(A)成分である(a1)、(a2)及び(a3)化合物やアミン化合物の割合等は高速液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」ともいう)を用い、検出器として荷電化粒子検出器(Charged Aerosol Detection、以下、「CAD」ともいう)を使用して求めた。CADを用いた測定方法については「荷電化粒子検出器Corona CADの技術と応用」(福島ら Chromatography, Vol.32 No.3(2011))を参考にすることができる。なお、質量比率は、一般式(1)の陰イオン(X)をメチル硫酸イオンとして仮定することで求めるものとする。
<(B)成分>
(B)成分は、多糖又はその誘導体(以下、ベース多糖誘導体という場合もある)の水酸基から水素原子を除いた基に、カチオン性基、及び式(2)で表される疎水性基〔以下、疎水性基(2)という〕が結合しており、カチオン性基の置換度(β)が0.002以上0.045以下であって、変性多糖誘導体における疎水性基(2)の置換度(α)とカチオン性基の置換度(β)の比率(α/β)の値が0.2以上4.5以下である変性多糖誘導体である。
Figure 2023072439000002

〔式中、Zは単結合、又は酸素原子を有する炭化水素基を示し、R1bは炭素数2以上の炭化水素基を示し、*は多糖又はその誘導体の水酸基から水素原子を除いた基との結合位置を示す。〕
ベース多糖誘導体は、炭素数1以上4以下のヒドロキシアルキルで修飾されたセルロース、より好ましくはヒドロキシエチルセルロース、カチオン性基は、第4級アンモニウムカチオン基、疎水性基(2)は、炭素数2以上18以下の炭化水素基が、それぞれ好ましい。(B)成分は、これら好ましいベース多糖誘導体、カチオン性基、疎水性基(2)を組み合わせた変性多糖誘導体であってよい。
多糖としては、例えばセルロース、グアーガム又はスターチから選ばれる1種以上の多糖が挙げられる。(B)成分は多糖誘導体であるが、これを得るための前駆化合物として多糖誘導体を用いることができる。すなわち、(B)成分は、多糖誘導体の誘導体であってよい。(B)成分の前駆化合物であるベース多糖誘導体としては、前記多糖の水酸基の水素原子の一部又は全部が炭素数1以上4以下のヒドロキシアルキル基で置換されたベース多糖誘導体(以下、ヒドロキシアルキル置換体ともいう)が挙げられる。炭素数1以上4以下のヒドロキシアルキル基は、好ましくは炭素数2以上4以下のヒドロキシアルキル基が好ましい。炭素数2以上4以下のヒドロキシアルキル基としては、例えばヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基及びヒドロキシブチル基から選ばれる1種以上の基が挙げられ、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピル基から選ばれる1種以上の基が好ましい。多糖又はその誘導体としては、セルロース又はヒドロキシアルキル変性セルロースがより好ましく、ベース多糖誘導体のヒドロキシアルキル基の変性率(置換率ともいう)は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1以上、より更に好ましくは1.5以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは5以下、より更に好ましくは3以下である。(B)成分は、セルロース、グアーガム又はスターチから選ばれる1種以上の多糖又はそれらのヒドロキシアルキル置換体から選ばれる多糖又は多糖誘導体に、疎水性基(2)及びカチオン性基が導入された化合物であってよい。
(B)成分は、(B)成分の前駆化合物である多糖又はその誘導体に、直接又は連結基〔以下、連結基(1)成分という〕を介して、疎水性基(2)及びカチオン性基が結合した多糖誘導体が挙げられる。
前記の連結基(1)は、ヒドロキシ基を有していても良い炭素数1以上3以下のアルキレンオキシ基、アルキレン基が炭素数1以上3以下のアルキレン基であるポリオキシアルキレン基、カルボニル基、カルボニルオキシ基及びオキシカルボニル基から選ばれる1種以上の基が挙げられる。一つの連結基(1)は、前記の連結基の1種類であっても良く、複数種類組み合わされていても良い。また、多糖誘導体中に含まれる連結基(1)は1種類でも良く、複数種類でも良い。
本発明において、連結基(1)が有する酸素原子に前記炭化水素基が連結されている場合は、(B)成分が有する炭化水素基の炭素数は、酸素原子に結合した前記炭化水素基の炭素数を表す。前記炭化水素基がカルボニル基を介して連結している場合には、アシル基が結合した構造となり、この場合は、(B)成分が有する炭化水素基の炭素数は、アシル基の炭素数を表す。カルボニルオキシ基及びオキシカルボニル基を介して連結している場合も、同様に、それらの炭素数を含む。多糖又は多糖誘導体に炭化水素基を導入する場合に、1,2-エポキシアルカンを使用した場合には、エポキシ基から生じたエーテル基に結合する脂肪族炭化水素基の炭素数を表す。エポキシ基部分は連結基(1)となる。例えば1,2-エポキシテトラデカンを用いて、多糖又は多糖誘導体に炭化水素基を導入した場合の炭化水素基の炭素数は12とする。すなわち、多糖又は多糖誘導体の水酸基に連結基(1)であるオキシエチレン基が結合し、該連結基を介して炭素数12のアルキル基(ドデシル基)が結合する。アルキルグリシジルエーテルを用いる場合も同様である。
(B)成分である疎水性基(2)とカチオン性基の両方を有する多糖誘導体は、更に前記ヒドロキシアルキル置換体の一部又は全ての水酸基から水素原子を除いた酸素原子に、直接又は連結基(1)を介して、好ましくは連結基(1)を介して、疎水性基(2)とカチオン性基が結合した多糖誘導体が挙げられる。
疎水性基(2)は、(B)成分に疎水性の性質を付与し、(A)成分が形成するベシクルと相互作用できる点で好ましい。疎水性基(2)の炭素数は、2以上であり、好ましくは4以上であり、より好ましくは6以上であり、更に好ましくは8以上であり、より更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは18以下であり、より好ましくは16以下であり、更に好ましくは14以下である。
カチオン性基は、(B)成分の前駆化合物である多糖又はその誘導体の水酸基から水素原子を除いた基に、連結基を介して結合できる。多糖又はその誘導体の水酸基から水素原子を除いた基、即ち酸素原子に、カチオン基のカチオン原子、例えば窒素カチオンが直接共有結合する結合様式を含む化合物は、カチオン基を有する(B)成分とはみなさない。
(B)成分の前駆化合物である多糖又はその誘導体、好ましくは前記ヒドロキシアルキル置換体、より好ましくはヒドロキシエチル置換体が有する水酸基から水素原子を除いた基に、連結基である、水酸基を含んでいてもよい炭素数1以上4以下のアルキレン基〔以下、連結基(2)という〕を介して、カチオン性基が結合していても良い。
カチオン性基は、窒素カチオンを含む基が好ましく、第4級アンモニウム基であることがより好ましい。
連結基(2)は、水酸基を含んでいてもよい炭素数1以上4以下のアルキレン基である。炭素数1以上4以下のアルキレン基としては、水酸基を含んでいても良い直鎖の炭素数1以上4以下のアルキレン基及び水酸基を含んでいても良い分岐鎖の炭素数3以上4以下のアルキレン基から選ばれる1種以上のアルキレン基が挙げられる。
カチオン性基が第4級アンモニウム基である場合、該第4級アンモニウム基に結合した連結基(2)以外の3つの炭化水素基は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下の直鎖の炭化水素基又は炭素数3以上4以下の分岐鎖の炭化水素基が挙げられる。炭素数1以上4以下の直鎖の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基及びn-ブチル基が挙げられる。炭素数3以上4以下の分岐鎖の炭化水素基としては、イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソブチル基が挙げられる。炭素数1以上4以下の直鎖の炭化水素基としては、メチル基又はエチル基が好ましい。
第4級アンモニウム基の対イオンは、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、炭素数1以上3以下の脂肪酸イオン、及びハロゲン化物イオンから選ばれる1種以上の対イオンが挙げられる。これらの中でも、製造の容易性及び原料入手容易性の観点から、好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、硫酸イオン、及びハロゲン化物イオンから選択される1種以上、より好ましくはハロゲン化物イオンである。ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、及びヨウ化物イオンが挙げられる。(B)成分の多糖誘導体の水溶性及び化学的安定性の観点から、好ましくは塩化物イオン及び臭化物イオンから選択される1種以上、より好ましくは塩化物イオンである。なお、対イオンは1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
本発明において、(B)成分の、カチオン性基、及び疎水性基(2)の置換度は、構成単糖単位あたりの当該基の置換数、すなわち、モル平均の置換度(MS)を意味する。例えば、多糖がセルロースの場合には、「基の置換度」は、アンヒドログルコース単位1モルに対して導入された当該基の平均モル数を意味する。(B)成分のカチオン性基の置換度も同様である。(B)成分の多糖誘導体の疎水性基(2)の置換度、及びカチオン性基の置換度は、それぞれ、実施例に記載の方法で求められる。
本発明において、(B)成分におけるカチオン性基の置換度(β)は0.002以上、好ましくは0.003以上、より好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上であり、そして、0.045以下、好ましくは0.040以下であって、(B)成分における疎水性基(2)の置換度(α)とカチオン性基の置換度(β)の比率(α/β)の値は0.2以上、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.7以上、そして、4.5以下、好ましくは4.4以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.0以下である。なお疎水性基の置換度(α)は好ましくは0.005以上、より好ましくは0.008以上、更に好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.013以上、更に好ましくは0.015以上であり、そして、好ましくは0.04以下、より好ましくは0.35以下、更に好ましくは0.03以下、更に好ましくは0.028以下、更に好ましくは0.027以下である。
本発明の(B)成分の前駆化合物である多糖又はその誘導体の重量平均分子量は、洗浄性能を向上させる観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは1万以上、更に好ましくは3万以上、より更に好ましくは5万以上、より更に好ましくは7万以上、より更に好ましくは10万以上であり、そして、取扱いの容易性の観点から、好ましくは300万以下、より好ましくは250万以下、更に好ましくは100万以下、より更に好ましくは50万以下である。この前駆化合物の多糖誘導体の重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によるポリエチレングリコール換算により算出することができる。
<(C)成分>
(C)成分は、湿潤時の動摩擦係数の低下効果を得る観点から、炭素数1以上6以下のアルコールと、炭素数12以上22以下の脂肪酸と、のエステル化合物から選択される1種以上のエステル化合物である。
より具体的には、炭素数が1以上、そして、好ましくは3以下の一価アルコール、又は炭素数が2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、そして、6以下であり、かつ好ましくは3価以上、より好ましくは4価以上、そして、6価以下である多価アルコールと、炭素数12以上、好ましくは14以上、より好ましくは16以上、そして、22以下、好ましくは20以下の脂肪酸と、のエステル化合物が挙げられる。このエステル化合物は、前記多価アルコールと前記脂肪酸のエステル化合物が好ましい。
(C)成分を構成する一価のアルコールとしては、メタノール、エタノール及びプロパノール、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-ペンタトリオール、エリスリトール、アラビトール、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトール、キシリトール及びマンニトールから選ばれる1種以上が好ましく、このうち3価以上の多価アルコールがより好ましく、グリセリン、ペンタエリスリトール及びソルビタンから選ばれる1種以上が更に好ましく、ペンタエリスリトール及びソルビタンから選ばれる1種以上がより更に好ましい。
(C)成分を構成する脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、及びリノレン酸等の不飽和脂肪酸、パーム油脂肪酸、及び硬化パーム油脂肪酸の植物油由来の脂肪酸、牛脂脂肪酸及び硬化牛脂脂肪酸等の動物油由来の脂肪酸から選ばれる1種以上が好ましく、飽和脂肪酸、植物油由来の脂肪酸、及び動物油由来の脂肪酸から選ばれる1種以上がより好ましく、ステアリン酸、硬化パーム油脂肪酸、及び硬化牛脂脂肪酸から選ばれる1種以上が更に好ましい。
(C)成分は、脂肪酸メチルエステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種以上が好ましく、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種以上がより好ましく、ペンタエリスリトールと炭素数16以上22以下の脂肪酸とのエステル化合物(以下、「ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(c1)」ともいう)、及びソルビタンと炭素数16以上22以下の脂肪酸とのエステル化合物(以下、「ソルビタン脂肪酸エステル(c2)」ともいう)から選ばれる1種以上が更により好ましい。
〔ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(c1)〕
本発明におけるペンタエリスリトール脂肪酸エステル(c1)(以下、「(c1)成分」ともいう)は、ペンタエリスリトールと炭素数16以上22以下の脂肪酸とから得られる脂肪酸モノエステル、脂肪酸ジエステル、脂肪酸トリエステル、及び脂肪酸テトラエステルから選ばれる2種以上のエステル化合物の混合物である。
本発明における(c1)成分は、ペンタエリスリトールと炭素数16以上22以下の脂肪酸とのエステル化合物の複数からなる成分であって、より具体的には、前記エステル化合物においてエステル化度が異なる4つの化合物の混合物である。なお、本発明でいう混合物は、別々に合成され、本発明の組成物中で混合される場合も意味する。
(c1)成分を構成するエステル化合物のうち、脂肪酸モノエステルは、ペンタエリスリトールの4つの水酸基のうち、1つが脂肪酸とエステルになっている化合物である。また、脂肪酸ジエステルは、ペンタエリスリトールの4つの水酸基のうち、2つが脂肪酸とエステルになっている化合物であり、脂肪酸トリエステルは、ペンタエリスリトールの4つの水酸基のうち、3つが脂肪酸とエステルになっている化合物であり、更に、脂肪酸テトラエステルは、ペンタエリスリトールの4つの水酸基の全てが脂肪酸とエステルになっている化合物である。
(c1)成分のエステル化合物の原料となる脂肪酸は、炭素数16以上22以下、好ましくは炭素数16以上18以下の脂肪酸である。(c1)成分のエステル化合物の原料となる脂肪酸の具体例としては、ステアリン酸、及びパルミチン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、及びリノレン酸等の不飽和脂肪酸、パーム油脂肪酸、及び硬化パーム油脂肪酸の植物油由来の脂肪酸、牛脂脂肪酸、及び硬化牛脂脂肪酸等の動物油由来の脂肪酸から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも、飽和脂肪酸、植物油由来の脂肪酸、及び動物油由来の脂肪酸から選ばれる1種以上が好ましく、ステアリン酸、硬化パーム油脂肪酸、及び硬化牛脂脂肪酸から選ばれる1種以上がより好ましい。
(c1)成分の全量中の脂肪酸モノエステルの割合は、湿潤摩擦低下抑制効果の観点から制限されるが、繊維製品組成物の安定性を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは12質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは18質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上であり、湿潤摩擦低下抑制効果を向上させる観点から、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下である。
なお、本発明において、エステル化度が異なるエステル化合物の含有割合は、ゲル浸透クロマトグラムにより測定することができる。
なお、(c1)成分は、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルのうち、脂肪酸テトラエステルを含有する場合もある。エステル化合物の全量中の脂肪酸テトラエステルの割合は、繊維製品処理剤組成物の安定性を向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは13質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下である。
また、(c1)成分中の脂肪酸モノエステル、脂肪酸ジエステル及び脂肪酸トリエステルの合計は、80質量%以上、好ましくは85質量%以上であることが好ましい。
(c1)成分となるエステル化合物の混合物を得る方法としては、特開平5-140037号公報、特開平5-140038号公報等を挙げることができ、具体的には、ペンタエリスリトールと脂肪酸とのエステル化反応、又はペンタエリスリトールと脂肪酸低級アルキルエステル(低級アルキルはメチル基、エチル基、プロピル基)とのエステル交換反応により製造することができる。
(c1)成分の条件を満たす混合物を得るためには、ペンタエリスリトール1モルに対して脂肪酸、又は脂肪酸低級アルキルエステルを、好ましくは0.8モル以上、より好ましくは1.0モル以上、更に好ましくは1.2モル以上、そして、好ましくは2.2モル以下、より好ましくは2.0モル以下、更に好ましくは1.8モル以下の割合で反応させることが好ましい。
〔ソルビタン脂肪酸エステル(c2)〕
本発明におけるソルビタン脂肪酸エステル(c2)(以下、「(c2)成分」ともいう)としては、脂肪酸がパルミチン酸、及びステアリン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸及びエライジン酸等の不飽和脂肪酸から選ばれる1種以上であるソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、脂肪酸が飽和脂肪酸であるソルビタン脂肪酸エステルがより好ましく、ソルビタンステアリン酸エステルがより好ましい。
(c2)成分は、ソルビタン脂肪酸モノエステル、ソルビタン脂肪酸ジエステル、及びソルビタン脂肪酸トリエステルから選ばれる1種以上であり、繊維製品用処理剤組成物の安定性の観点から、ソルビタン脂肪酸モノエステルが好ましく、ソルビタンステアリン酸モノエステルがより好ましい。
なお、本発明における(c2)成分は、ソルビタン脂肪酸モノエステル、ソルビタン脂肪酸ジエステル、及びソルビタン脂肪酸トリエステルの混合物であってもよく、当該混合物は場合によっては、更に微量のソルビタン脂肪酸テトラエステルを含むものであってもよい。該混合物を用いる場合は、該混合物中においてソルビタン脂肪酸モノエステルの含有量が一番多いことが好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルは、レオドールの商品名で花王株式会社から購入することができる。また公知の方法で製造してもよい。
(c2)成分の酸価(AV)は、湿潤摩擦低下効果を向上させる観点から、好ましくは3mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは12mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以下である。
また、(c2)成分の鹸化価(SV)は、湿潤摩擦低下効果を向上させる観点から、好ましくは130mgKOH/g以上、より好ましくは145mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは170mgKOH/g以下、より好ましくは160mgKOH/g以下である。
なお、酸価(AV)及び鹸化価(SV)は、JIS K0070-1992に記載の方法で測定することができる。
<(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有量及び含有比>
本発明の繊維製品処理剤組成物中の(A)成分の含有量は、5質量%以上、好ましくは6質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは8質量%以上、より更に好ましくは9質量%以上であり、そして、20質量%以下、好ましくは18質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
また、本発明の繊維製品処理剤組成物中の(B)成分の含有量は、0.005質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、そして、15質量%以下、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下である。
また、本発明の繊維製品処理剤組成物中の(C)成分の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
本発明の繊維製品処理剤組成物において、(B)成分に対する(A)成分の質量比[(A)/(B)]は、よりべたつき抑制効果を向上させる観点、及び繊維製品処理剤組成物の安定性を向上させる観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは10以上であり、べたつき抑制効果を向上させる観点から、好ましくは800以下、より好ましくは160以下である。
本発明の繊維製品処理剤組成物の残部は水であってよい。水は、脱イオン水、脱イオン水に次亜塩素酸塩を少量配合した滅菌した水、水道水等を用いることができる。
<繊維製品処理剤組成物のpH>
本発明の繊維製品処理剤組成物の30℃におけるpHは、好ましくは2.5以上であり、そして、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.0以下である。繊維製品処理剤組成物のpHが前記範囲内であると、処理後の繊維製品の発香性及び残香性が向上すると共に、繊維製品処理剤組成物の保存安定性が向上する。なお、本明細書におけるpHは、JIS K3362:2008の項目8.3に従って30℃で測定した値である。
繊維製品処理剤組成物のpHを前記範囲内に調整する方法としては、アルカリ剤と酸性化合物によって調整する方法が挙げられる。
<繊維製品処理剤組成物の粘度>
本発明の繊維製品処理剤組成物の30℃における粘度は、使用しやすさの観点から、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上であり、そして、好ましくは300mPa・s以下、より好ましくは200mPa・s以下、更に好ましくは150mPa・s以下である。
本明細書における粘度は、B型粘度計を用いて、No.1~No.3ローターのいずれかのローターを用い、60r/minで、測定開始から1分後の指示値により測定することができる。なお、測定にあたっては繊維製品処理剤組成物を30±1℃に調温して測定する。
本発明の繊維製品処理剤組成物は、以下に示す成分を更に含有することが好ましい。
〔(D)その他の界面活性剤〕
本発明の繊維製品処理剤組成物には、(D)成分として、(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外の界面活性剤を含有することが好ましい。
(D)成分としては、陽イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、下記(I)~(III)から選ばれる一種以上が好ましく、(II)から選ばれる一種以上がより好ましい。
(I):アルキル基又はアルケニル基の炭素数が10以上22以下のジ長鎖アルキル又はアルケニルジメチルアンモニウム塩
(II):アルキル基又はアルケニル基の炭素数が10以上22以下のモノ長鎖アルキル又はアルケニルトリメチルアンモニウム塩
(III):アルキル基又はアルケニル基の炭素数が10以上22以下のモノ長鎖アルキル又はアルケニルジメチルフェニルアンモニウム塩
非イオン性界面活性剤としては、下記(IV)及び(V)から選ばれる1種以上が挙げられる。
(IV):下記一般式(D1)で表される非イオン性界面活性剤
1d-O-[(CO)(CO)]-H (D1)
〔式中、R1dは炭素数8以上、好ましくは10以上であり、そして、18以下、好ましくは16以下のアルキル基又はアルケニル基である。s及びtは平均付加モル数であって、sは6以上、好ましくは10以上であり、そして、50以下、好ましくは40以下の数であり、tは0以上、好ましくは1以上であり、そして、5以下、好ましくは3以下の数である。(CO)及び(CO)は、ランダム型又はブロック型に結合している。〕
(V):下記一般式(D2)で表される非イオン性界面活性剤
Figure 2023072439000003

〔式中、R2dは、炭素数8以上、好ましくは10以上であり、そして、18以下、好ましくは16以下のアルキル基又はアルケニル基である。Aは-N<又は-CON<であり、u及びvはそれぞれ独立に0以上、40以下の数であり、u+vは5以上、そして、60以下、好ましくは40以下の数である。R3d、R4dはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1以上、3以下のアルキル基である。〕
(D)成分としては、非イオン性界面活性剤が好ましく、前記一般式(D1)で表される非イオン性界面活性剤がより好ましい。
本発明の繊維製品処理剤組成物が(D)成分を含有する場合の(D)成分の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.2質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
〔(E)水溶性有機溶剤〕
本発明の繊維製品処理剤組成物は、繊維製品処理剤組成物の安定性を向上させる観点、粘度を調整する観点から、(E)成分として水溶性有機溶剤を更に含有することが好ましい。
本発明においては、水溶性有機溶剤として繊維製品処理剤に一般的に用いられるものを使用することができる。なお、(E)成分における「水溶性」とは、20℃の100gの脱イオン水に対して20g以上溶解することをいう。
水溶性有機溶剤としては、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、モノエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、イソプロパノール、及びエタノールから選ばれる1種以上を挙げることができる。これらの中でも、エチレングリコール及びエタノールが好ましい。
本発明の繊維製品処理剤組成物が(E)成分を含有する場合の(E)成分の含有量は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは4質量%以下である。
〔(F)無機塩〕
本発明の繊維製品処理剤組成物は、繊維製品処理剤組成物の貯蔵安定性を向上させる観点から、(F)成分として無機塩を更に配合することが好ましい。
無機塩としては水溶性無機塩が好ましく、繊維製品処理剤組成物の貯蔵安定性を向上させる観点から、ナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる1種以上の水溶性無機塩が好ましく、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及び塩化マグネシウムから選ばれる1種以上がより好ましい。なお、(F)成分における「水溶性」とは20℃の100gの脱イオン水に対して20g以上溶解することをいう。
本発明の繊維製品処理剤組成物に(F)成分を配合する場合の(F)成分の配合量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、そして、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。
〔(G)酸性化合物〕
本発明の繊維製品処理剤組成物は、(A)成分である第4級アンモニウム化合物の加水分解を抑制することを目的として、繊維製品処理剤組成物の原液のpHを2.5以上4.0以下に調整する観点から、(G)成分として酸性化合物を更に配合することが好ましい。
酸性化合物としては、無機酸又は有機酸が挙げられる。無機酸の具体例としては、塩酸、硫酸が使用できる。有機酸の具体例としては、炭素数1以上10以下の1価又は多価のカルボン酸、又は炭素数1以上20以下の1価又は多価のスルホン酸が挙げられる。より具体的にはメチル硫酸、エチル硫酸、p-トルエンスルホン酸、(o-、m-、p-)キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、グリコール酸、メチルグリシン2酢酸、エチレンジアミン4酢酸、クエン酸、安息香酸、及びサリチル酸から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも、メチルグリシン2酢酸、エチレンジアミン4酢酸、及びクエン酸から選ばれる1種以上が好ましい。
酸性化合物の配合量に特に制限はなく、pHが前記範囲になるように適宜使用することができる。
〔(H)脂肪酸〕
本発明の繊維製品処理剤組成物は、柔軟剤組成物として用いることができ、その場合における柔軟効果を向上させる観点から、(H)成分として脂肪酸を更に含有することが好ましい。なお、脂肪酸は(A)成分の合成時の未反応物として配合してもよく、また、(A)成分の分解物として含有してもよい。
脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸、ベヘン酸等の炭素数12以上、22以下の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましく、これらの中でも、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びリノール酸から選ばれる脂肪酸がより好ましい。
〔(I)香料〕
本発明の繊維製品処理剤組成物は、(I)成分として、香料を更に含有することができる。香料は、通常、繊維製品処理剤組成物の液体部分に溶解又は分散して存在する。
香料としては、一般に繊維製品処理剤組成物に使用される天然香料或いは合成香料が挙げられ、例えば、印藤元一著「合成香料 化学と商品知識」,1969年,化学工業日報社刊、STEFFEN ARCTANDER著「Perfume and FlavorChemicals」,1969年,MONTCLAIR, N. J.刊等に記載の香料を用いることができる。
また、本発明に使用される香料は、香料として使用されることが知られている有機化合物であって、「香料と調香の実際知識」(中島基貴著、産業図書株式会社、1995年6月21日発行)に記載の香料を適宜、香調、用途にしたがって組み合わせて用いることができる。
更に、香料としては、香りの持続性、残香性を向上させることを目的として、特開2009-256818号公報に記載されるヒドロキシ基を有する香料成分をケイ酸エステル体として併用することもできる。また、洗濯用仕上げ剤として知られている、柔軟剤、糊剤、スタイリング剤又はその他仕上げ剤の特許文献に記載された香料成分や香料組成物を用いることができる。
本発明において好適に使用することができる香料の一例は以下のとおりである。
(I)脂肪酸エーテル、芳香族エーテル(フェノールエーテルを除く)等のエーテル、
(I)脂肪酸オキサイド、テルペン類のオキサイド等のオキサイド、
(I)アセタール、
(I)ケタール、
(I)フェノール、
(I)フェノールエーテル、
(I)脂肪酸、テルペン系カルボン酸、水素化芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の酸、
(I)酸アマイド、ニトロムスク、ニトリル、アミン、ピリジン、キノリン、ピロール、インドール等の含窒素化合物
更に本発明の繊維製品処理剤組成物は、好ましくはlogP値が2.0以上6.0以下である香料化合物を90質量%以上含有する香料を内包したマイクロカプセル〔以下、(I)成分という〕を含有することができる。
本発明の繊維製品処理剤組成物が(I)成分を含有する場合の(I)成分の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.7質量%以上であり、そして、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
〔(J)脂肪族アルコール〕
(J)成分としては、通気性の悪化抑制効果を向上させる観点から、炭素数12以上16以下の直鎖脂肪族第一級飽和アルコール(j1)及び炭素数18の直鎖脂肪族第一級飽和アルコール(j2)であって、両成分の比率[(j1)/(j2)]が1/5以上1/2以下の脂肪族アルコールを用いる。本発明における(J)成分は、直鎖脂肪族第一級アルコールであることが重要であり、当該脂肪族アルコールが、前記(A)成分及び前記(C)成分の併用による通気性の悪化抑制効果を効果的に発揮する上で重要な因子である。
直鎖脂肪族第一級飽和アルコール(j1)の炭素数は、通気性の悪化抑制効果をより向上させる観点から、12以上、好ましくは14以上である。
具体的な脂肪族アルコールとしては、(j1)としてラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコールから選ばれる1種以上と、(j2)としてステアリルアルコールを用いることができる。これらの中でも、(j1)はミリスチルアルコール、セチルアルコールが好ましい。
なお、(j1)及び(j2)はあらかじめ混合して用いてもよく、本発明の組成物中で混合されてもよい。
〔酸化防止剤〕
本発明の繊維製品処理剤組成物は、基材劣化を抑制する観点から、BHT等の周知の酸化防止剤を更に含有してもよい。なお、(A)成分や香料成分等において既に配合されている場合もある。酸化防止剤を配合することにより、基剤の分解により生じる臭気を抑制することができる。
〔染料、顔料、防菌、及び防黴剤〕
本発明の繊維製品処理剤組成物は、審美上の観点及び長期保存時の着色を目立たないようにする観点から、柔軟剤や糊剤等の繊維製品仕上げ剤に配合されていることが知られている、染料及び顔料を更に含有することができる。
また、本発明の繊維製品処理剤組成物は、「プロキセル」として市販されている防菌、防黴剤を、繊維製品処理剤組成物の安定性を損なわない範囲で含有することができる。
本発明の繊維製品処理剤組成物は、上記その他の成分の他に、シリコーンエマルションを本効果の効果を損なわない程度に配合してもよい。
本発明の繊維製品処理剤組成物は、湿潤摩擦低減剤として作用するが、(A)成分の性質から柔軟効果も示す。更に、(A)成分を主基材とする従来の柔軟剤組成物よりも優れた柔軟性を示す。
本発明において処理の対象となる繊維製品は、衣料、寝具、タオル等が挙げられる。本発明において処理の対象となる繊維製品は、化学繊維を含む繊維製品が好ましく、化学繊維とは、例えば、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリエステルやナイロン等の合成繊維を含めた総称である。
<繊維製品処理剤組成物の製造方法>
本発明の繊維製品処理剤組成物の製造方法に特に制限はなく、例えば以下の方法で製造することができる。
まず、好ましくは40℃以上80℃以下の脱イオン水に対して、必要に応じて、(D)成分である、(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外の界面活性剤(特には(C)成分以外の非イオン界面活性剤)、(E)成分である水溶性有機溶剤や(G)成分である酸性化合物を入れ、水溶液を好ましくは50℃以上70℃以下に加熱する。
次いで、得られた水溶液を撹拌しながら(A)成分である4級アンモニウム塩混合物及び(C)成分であるエステル化合物、また、必要に応じて(I)成分である香料、任意成分であるシリコーン及びその他成分を投入し、好ましくは50℃以上70℃以下に加熱しながら5分間以上1時間以下程度撹拌し、更に必要に応じて(F)成分である水溶性無機塩を加えて撹拌する。なお、水溶液に対して前記(A)成分を加える際には、均一に混合する観点から、(A)成分を予め、好ましくは50℃以上70℃以下で溶融させておくことが好ましい。
次いで、得られた水溶液を好ましくは15℃以上35℃以下になるように撹拌しながら冷却する。冷却後、(B)成分を加え、濃度を調整することを目的として必要に応じて脱イオン水を添加し、好ましくは15℃以上35℃以下で5分間以上1時間以下程度撹拌することにより本発明の繊維製品処理剤組成物を得ることができる。
なお、繊維製品処理剤組成物のpHは必要に応じて、塩酸水溶液又は水酸化ナトリウム水溶液等を用いて調整することができる。
<繊維>
本発明の繊維製品処理剤組成物で処理する繊維製品を構成する繊維は、化学繊維、天然繊維のいずれでも良い。化学繊維としては、例えば、ポリアミド系繊維(ナイロンなど)、ポリエステル系繊維(ポリエステルなど)、ポリアクリロニトリル系繊維(アクリルなど)、ポリビニルアルコール系繊維(ビニロンなど)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニルなど)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(ビニリデンなど)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン系繊維(ポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル/ポリビニルアルコール共重合系繊維(ポリクレラールなど)などが挙げられる。天然繊維としては、種子毛繊維(木綿、カポックなど)、靭皮繊維(麻、亜麻、苧麻、大麻、黄麻など)、葉脈繊維(マニラ麻、サイザル麻など)、やし繊維、いぐさ、わら、獣毛繊維(羊毛、モヘア、カシミヤ、らくだ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラなど)、絹繊維(家蚕絹、野蚕絹)、羽毛、セルロース系繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートなど)等が挙げられる。本発明の対象となる繊維は、化学繊維であることが好ましい。
<繊維製品>
本発明において繊維製品とは、前記の化学繊維や天然繊維を用いた織物、編物、不織布等の布帛及びそれを用いて得られたアンダーシャツ、Tシャツ、ワイシャツ、ブラウス、スラックス、帽子、ハンカチ、タオル、ニット、靴下、下着、タイツ等の製品を意味する。発汗等によって濡れた繊維製品のべたつきの抑制を、より実感しやすい観点から、繊維製品は化学繊維を含む繊維製品であることが好ましい。繊維製品中の化学繊維の含有量は、発汗等によって濡れた繊維製品のべたつきをより抑制できる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上、そしてより更に好ましくは100質量%以下である。繊維製品中の化学繊維の含有量は100質量%であっても良い。
<合成例1;(A-1)成分の合成>
パーム油を原料とした酸価206.9mgKOH/gの脂肪酸と、トリエタノールアミンとを、反応モル比1.65/1(脂肪酸/トリエタノールアミン)で、脱水エステル化反応させることにより、N,N-ジアルカノイルオキシエチル-N-ヒドロキシエチルアミンを主成分とする縮合物を得た。
次にこの縮合物のアミン価を測定し、該縮合物に対してジメチル硫酸を0.95当量用い、定法に従って4級化を行ない、N,N-ジアルカノイルオキシエチル-N-ヒドロキシエチル-N-メチルアンモニウムメチルサルフェートを主成分とし、エタノールを10質量%含有する第4級アンモニウム塩混合物(A-1)を得た。但し、ここでいう“アルカノイル”の用語は、アルカノイルがパーム油原料の脂肪酸残基であるため、飽和脂肪酸以外に不飽和脂肪酸由来の残基、例えばアルケノイル等の意味も含むものとする。なお、前記調製手順や反応条件は、特開2010-209493号公報の合成例2にしたがって行った。
(A-1)成分中、(a1)成分の割合は30質量%、(a2)成分の割合は55質量%、(a3)成分の割合は15質量%であった。(A-1)成分は、4級化率が92質量%であり、(a1)成分、(a2)成分、(a3)成分、及びエタノール以外に、ジエステル及びトリエステルの3級アミン化合物、微量のトリエタノールアミン及びその4級化物、並びに微量の脂肪酸を含んでいた。ここで(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分の割合、並びにその他成分の分析はHPLCを用い下記条件により測定した。
<HPLC条件>
カラム:Inertsil NH2 5μm(4.6×250mm) 室温(25℃)
移動相:0.05質量%TFA ヘキサン:MeOH:THF=85:10:5(質量比)
流速:測定開始から10分までは0.8mL/min、測定開始から10分超55分までは1.2mL/min、測定開始から55分超60分までは0.8mL/min
注入:20μL
検出:CAD
<合成例2;(B)成分の合成>
(合成例2-1)(B-1)~(B-15)、(B’-1)~(B’-4)
ヒドロキシエチルセルロース(Ashland社、Natrosol 250 JR 、重量平均分子量:15万、ヒドロキシエチル基の置換度(MS):2.5)90gを1Lセパラフラスコに入れ、窒素フローを行った。脱イオン水77.2g、イソプロピルアルコール(以下IPAという)414.5gを加え、5分間撹拌した後、48%水酸化ナトリウム水溶液10.9gを加え、更に15分間撹拌した。次に、ラウリルグリシジルエーテル(四日市合成(株)、LA-EP)を表1に記載の量加え、80℃で13時間アルキル化反応を行った。更にグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(阪本薬品工業(株)、SY-GTA80)を表1に記載の量加え、50℃で1.5時間カチオン化反応を行った。その後、90%酢酸水溶液10.9gを加え、30分撹拌することで中和反応を行った。
得られた懸濁液を500mLの遠沈管2本に均等に移し替え、高速冷却遠心機(日立工機(株)、CR21GIII)を用いて遠心分離を行った。上澄みをデカンテーションにより取り除き、取り除いた上澄みと同量の85%IPA水溶液を加え、再分散を行った。再度、遠心分離と再分散の操作を繰り返し、3回目の遠心分離を行った後に沈殿物を取り出した。得られた沈殿物を真空乾燥機(アドバンテック社、VR-420)を用いて80℃で一晩減圧乾燥し、エクストリームミル(ワーリング社、MX-1200XTM)により解砕することで、粉末状のセルロース誘導体組成物〔(B-1)~(B-15)、(B‘-1)~(B’-4)〕を得た。
(合成例2-2)(B-16)
ヒドロキシエチルセルロース(Ashland社、Natrosol 250 JR 、重量平均分子量:15万、ヒドロキシエチル基の置換度(MS):2.5)70gを1Lセパラフラスコに入れ、窒素フローを行った。IPA355.9gを加え、5分間撹拌した後、事前に調製した4.8%水酸化ナトリウム水溶液162.5gを加え、更に15分間撹拌した。次に、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(阪本薬品工業(株)、SY-GTA80)1.6g、ラウリルグリシジルエーテル(四日市合成(株)、LA-EP)8.74gを同時に加え、80℃で5時間反応を行った。その後、90%酢酸水溶液13.7gを加え、30分撹拌することで中和反応を行った。
得られた懸濁液を500mLの遠沈管2本に均等に移し替え、高速冷却遠心機(日立工機(株)、CR21GIII)を用いて遠心分離を行った。上澄みをデカンテーションにより取り除き、取り除いた上澄みと同量の85%IPA水溶液を加え、再分散を行った。再度、遠心分離と再分散の操作を繰り返し、3回目の遠心分離を行った後に沈殿物を取り出した。得られた沈殿物を真空乾燥機(アドバンテック社、VR-420)を用いて80℃で一晩減圧乾燥し、エクストリームミル(ワーリング社、MX-1200XTM)により解砕することで、粉末状のセルロース誘導体組成物(B-16)を得た。
(B) 成分の置換度及び(B)成分の前駆化合物の重量平均分子量は、以下の方法で測定した。
(1)置換度の測定
・多糖誘導体の前処理
(B)成分である多糖誘導体1gを100gの水に溶かした後、水溶液を透析膜( スペクトラポア、分画分子量1000)に入れ、2日間透析を行った。得られた水溶液を、凍結乾燥機(eyela,FDU1100)を用いて凍結乾燥することで、前処理済の多糖誘導体を得た。
・ケルダール法によるカチオン性基質量の算出
前記の方法で前処理した多糖誘導体の200mgを精秤し、濃硫酸10mLとケルダール錠(Merck)1錠を加え、ケルダール分解装置(BUCHI社製、K-432)にて加熱分解を行った。分解終了後、サンプルに脱イオン水30mLを加え、自動ケルダール蒸留装置(BUCHI社製、K-370)を用いてサンプルの窒素含量(質量%)を求めることで、カチオン性基の質量を算出した。
・Zeisel法による炭化水素基(アルキル基)質量の算出
前記の方法で前処理した多糖誘導体200mg、アジピン酸220mgを10mLバイアル(マイティーバイアルNo.3)に精秤し、内標溶液(テトラデカン/o-キシレン=1/25(v/v))3mLおよびヨウ化水素酸3mLを加えて密栓した。また、多糖誘導体の代わりに1-ヨードドデカンを2.4mgまたは9mg加えた検量線用の試料を調製した。各試料をスターラーチップにより攪拌しながら、ブロックヒーター(PIERCE社製、Reacti-ThermIII Heating/Stirring module)を用いて160℃、2時間の条件で加熱した。試料を放冷した後、上層(o-キシレン層)を回収し、下記条件のガスクロマトグラフィー(GC)(島津製作所社、QD2010plus)にて分析した。
・GC分析条件
カラム:Agilent HP-1( 長さ:30m 、液相膜厚:0.25μL、内径:32mm)
スプリット比:20
カラム温度:100℃(2min)→10℃/min→300℃(15min)
インジェクター温度:300℃
検出器:FID
検出器温度:330℃
打ち込み量:2μL
GCにより得られた1-ヨードドデカンの検出量から、サンプル中のアルキル基の質量を求めた。
・カチオン性基および疎水性基(2)の置換度の算出
上述のカチオン性基とアルキル基の質量及び全サンプル質量から多糖誘導体の骨格の質量を計算し、それぞれ物質量(mol)に変換することでカチオン性基と疎水性基(2)の置換度をモル平均で算出した。
・重量平均分子量の測定
(B)成分の前駆化合物であるヒドロキシエチルセルロース(HEC)の重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によるポリエチレングリコール換算により算出した。
測定条件は、以下の通りである。
・カラム:TSKgel α-M
・溶離液:50mmol/L LiBr、1%CHCOOH、エタノール/水=3 /7
・温度:40℃
・流速:0.6mL/min
<合成例3;(C-1)成分の合成>
ペンタエリスリトール180g、ステアリン酸565g(ペンタエリスリトール1モルに対して脂肪酸1.5モル)、NaOH0.27gを、4つ口フラスコに仕込んだ。4つ口フラスコに窒素ガスを導入しながら加熱し、反応で生成する水を除去しながら、235℃で5時間反応させた。反応物の酸価が1mgKOH/g以下になったことを確認し、70℃に冷却後、析出した未反応のペンタエリスリトールを同温度で加圧ろ過することにより取り除き、(C-1)成分を得た。
得られた(C-1)成分は、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルの混合物であり、各エステル化合物の割合は、脂肪酸モノエステル29質量%、脂肪酸ジエステル43質量%、脂肪酸トリエステル23質量%、脂肪酸テトラエステル5質量%であった。脂肪酸モノエステル、脂肪酸ジエステル、脂肪酸トリエステル、及び脂肪酸テトラエステル構造体の割合は、高速GPC装置「HCL-8220GPC」(東ソー株式会社製)を用いて下記条件で測定した。
<HPLC条件>
カラム:TSKgel G1000HXL+G2000HXL(直列連結)
移動相:THF(テトラヒドロフラン)
流速:0.7mL/min
温度:25℃
検出器:RI
試料濃度及び注入量:1%THF溶液、20μL
実施例及び比較例で使用した成分を以下に示す。
<(A)成分>
(A-1):前記合成例1で製造した4級アンモニウム塩混合物を含む反応生成物。
<(B)成分>
表1に記載の変性ヒドロキシエチルセルロース。
なお、表1では、便宜上、(B)成分の欄に、(B’-1)~(B’-4)成分が記載されているが、(B’-1)~(B’-4)成分は、(B)成分の比較成分である(表3についても同様である)。
Figure 2023072439000004
※:表1中、(B-16)の製造方法は、(B-1)~(B-15)の製造方法とは異なっている。
<(C成分)>
(C-1):前記合成例3で製造したペンタエリスリトール脂肪酸エステル混合物を含む反応生成物
(C-2):「レオドールSP-S10V」(ソルビタンモノステアレート、AV=7mgKOH/g、SV=155mgKOH/g、花王株式会社製)
<(D)成分>
(D-1):オキシエチレン基の平均付加モル数が30モルであるポリオキシエチレンラウリルエーテル
<(E)成分>
(E-1)エチレングリコール
<(F)成分>
(F-1)塩化カルシウム
<(G)成分>
(G-1)クエン酸
<(I)成分>
(I)成分:表2に記載の香料組成物である。
Figure 2023072439000005
<(J)成分>
(J-1):ミリスチルアルコール
(J-2):ステアリルアルコール
<その他成分>
シリコーン:「X-52-8337M」(信越化学(株)製:ジメチルポリシロキサン)
その他添加剤:「プロキセルBDN」(実施例及び比較例の組成物中83ppmとなる濃度)
<化学繊維肌着(以下、化繊肌着という場合もある)の前処理>
市販の化繊肌着(株式会社ユニクロ、「エアリズム/クルーネックT半袖、サイズXXL」、化繊(ポリエステル、ポリウレタン)100%)を市販液体洗剤「アタック抗菌EXスーパークリアジェル」(花王株式会社製、登録商標、2021年製造)にて5回繰り返し洗濯し、布についている油剤を除去して乾燥させた。
<動摩擦係数の評価基準>
以下の前検討及び実施例では、動摩擦係数の評価を、(A)成分と(C)成分を含み、(B)成分を含まない繊維製品処理剤組成物を基準に行った。すなわち、(A-1)成分と(C-1)成分を含み、残部が水である繊維製品処理剤組成物を基準1、(A-1)成分と(C-2)成分を含み、残部が水である繊維製品処理剤組成物を基準2、(A-1)成分と(C-2)成分を含み、水の他に他の成分を含む繊維製品処理剤組成物を基準3、として、繊維製品処理剤組成物の動摩擦係数の評価を行った。
<前検討>
表1の変性ヒドロキシセルロースによる湿潤摩擦低減効果を調べるために、(A)成分として(A-1)成分を11質量%、(B)成分として(B-1)~(B-15)成分を13.8質量%及び(C)成分として(C-2)成分を2.8質量%含み、残部が脱イオン水である繊維製品処理剤組成物を後述する<繊維製品処理剤組成物の調製>に記載した方法に従って調製した。
また(A-1)成分を11質量%、(C-2)成分を2.8質量%含有し、残部が脱イオン水である繊維製品処理剤組成物を、基準2とした。
National(パナソニック株式会社)製電気バケツ式洗濯機(「MiniMini」、型番:NA-35)に、前処理した化繊肌着1枚の重さを測り、浴比30(質量比)、(A)成分及び(C)成分の合計の処理量が衣類重量に対して0.1%owfになるように20℃の水道水(和歌山県和歌山市)と表3に記載の各実施例及び基準2の繊維製品処理剤組成物の添加量を調節し、それぞれ混合して処理用水溶液を調製した。当該処理用水溶液に前処理した化繊肌着を投入した後、さらに5分撹拌した。化繊肌着は電気バケツ式洗濯機から取り出され、2槽式洗濯機の脱水槽で5分間脱水され、室内で乾燥後、20℃、65%RHの恒温、恒湿室にて24時間放置し、評価のための処理布を調製した。処理布は後述する<動摩擦係数(湿潤摩擦)の測定方法>で測定された動摩擦係数に基づいて、基準2との差に基づいて評価した。
比較として(B)成分の代わりに(B’-1)~(B’-4)成分を用いた場合についても同様に処理を行い、評価を行った。結果を表3に示した。
Figure 2023072439000006
<前検討の結果>
特定のカチオン化度及びアルキル化度の(B)成分による摩擦低減効果が確認された。
<繊維製品処理剤組成物の調製>
本発明の化繊製品に対するべたつき抑制効果を明確にし、(B)成分の適正濃度の確認のために、表4に示す組成の繊維製品処理剤組成物を以下の方法で調整した。当該繊維製品処理剤組成物を柔軟剤組成物として用いることができる。
300mLのガラスビーカー(内径7cm、高さ11cm)に、繊維製品処理剤組成物のできあがり質量が300gになるのに必要な量の脱イオン水(65℃)を調製し、任意成分である(D)成分等の(A)成分及び(C)成分以外の界面活性剤、(E)成分である水溶性有機溶剤、及び(G)成分である酸性化合物を含有する場合は当該脱イオン水に入れ、このビーカーをウォーターバスにて内容物温度が65℃以上となるよう加熱した。
次いで、スリーワンモーター(新東科学株式会社製、「TYPE HEIDON 1200G」)に装着した撹拌羽根(タービン型撹拌羽根、3枚翼、翼長2cm)を前記ビーカーの底面から1cmの高さに設置し、回転数350r/minで撹拌しながら、あらかじめ65℃で溶融、混合した(A)成分である4級アンモニウム塩混合物と、(B)成分である変性多糖誘導体と、更に任意成分の(I)成分を含有する場合は(I)成分である香料、任意成分であるシリコーン及びその他成分を投入した後、65℃加熱下、10分間、350r/minにて撹拌し、更に任意成分の(F)成分を含有する場合は(F)成分である水溶性無機塩を加え10分間撹拌した。
次いで、(C)成分を加え、65℃加熱下、10分間、350r/minにて撹拌した。その後、氷水を入れたウォーターバス中で内容物が25℃になるまで、回転数350r/minで撹拌冷却した。内容物温度が30℃まで下がった後、各成分の濃度が表4に記載の値となるのに必要な量の脱イオン水を添加し、30℃、回転数200r/minにて10分間撹拌し、繊維製品処理剤組成物を得た。
なお、繊維製品処理剤組成物のpHは必要に応じて、塩酸水溶液又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて3.5に調整した。
<繊維処理方法>
繊維処理方法は、前検討と同じ条件で行った。
なお(A-1)成分を11質量%、(C-1)成分を2.8質量%含有し、残部が脱イオン水である繊維製品処理剤組成物を基準1とし、実施例23の組成物で(B)成分を配合しない組成物を基準3とした。各成分濃度が示された組成物を表4に示す。
<動摩擦係数(湿潤摩擦)の測定方法>
調製した処理布を7cm×15cm角に切り取り、自重の120質量%分の水を吸水させ、室内で自重の80質量%分の水を吸水した状態まで乾燥させた後、動摩擦係数を測定した。測定には、摩擦試験機(「TL201Ts」、株式会社トリニティーラボ製)を用い、触覚接触子に豚なめし革(有限会社三力製作所製)を張り付けて測定した。SPEED1.0mm/sec、Distance 30mm、Weight 20g、1往復の条件で測定した。測定された動摩擦係数から基準1、基準2又は基準3で測定された動摩擦係数を引いた結果を表4に示す。基準との動摩擦係数の差が低いほど、湿潤状態の化繊製品の動摩擦係数が低いので、例えば、発汗等によって生じる化繊製品のべたつきが低減されていると考えられる。
Figure 2023072439000007
前記の前検討で示した表3の結果から明らかなように本発明の繊維製品処理剤組成物は(A)成分、(B)成分及び(C)成分を配合することで、発汗等によって生じる化繊製品のべたつきを効果的に抑制することができる。
更に、表4における実施例8、16~23の繊維製品処理剤組成物によると、(B)成分の含有量を低減させても本効果を損なうことは無かった。すなわち本発明によると、肌に接触する部分が多い衣料、例えば肌着に対して予め本発明の処理を施すことにより、発汗後、化繊製品と肌との間に生じる不快感を低減させることができる。
なお、表4における実施例8、16~23の組成物は、柔軟剤組成物として木綿繊維に対する柔軟性に影響することなく、化繊製品に対して基準よりも優れた柔軟効果を示す。また実施例23は、本発明の効果を示し且つ化繊製品及び木綿繊維製品への柔軟効果を示す柔軟剤組成物の一例であり、他の実施例にも適用できる。

Claims (4)

  1. 下記(A)成分を5質量%以上20質量%以下、下記(B)成分を0.005質量%以上15質量%以下、下記(C)成分、及び水を含有する、繊維製品処理剤組成物。
    <(A)成分>
    下記一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩化合物。
    〔R1aC(=O)-O-(C2pO)-C2q(R2a4-m (1)
    〔式中、R1aは炭素数11以上23以下の炭化水素基であり、R2aは炭素数1以上3以下の炭化水素基及びHO-(C2pO)-C2q基から選ばれる基であり、Xは有機又は無機の陰イオンであり、mは1以上3以下の数であり、p及びqはそれぞれ独立して2又は3の数であり、rは0以上5以下の数である。同一分子内にR1a、R2a、p、q、rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕
    <(B)成分>
    多糖又はその誘導体の水酸基から水素原子を除いた基に、カチオン性基、及び式(2)で表される疎水性基〔以下、疎水性基(2)という〕が結合した変性多糖誘導体であって、カチオン置換度が0.002以上0.045以下であって、疎水性基(2)の置換度(α)とカチオン性基の置換度(β)の比率(α/β)の値が0.2以上4.5以下である変性多糖誘導体。
    Figure 2023072439000008

    〔式中、Zは単結合、又は酸素原子を有する炭化水素基を示し、R1bは炭素数2以上の炭化水素基を示し、*は多糖又はその誘導体の水酸基から水素原子を除いた基との結合位置を示す。〕
    <(C)成分>
    炭素数1以上6以下のアルコールと、炭素数12以上22以下の脂肪酸と、のエステル化合物から選ばれる1種以上のエステル化合物。
  2. (C)成分は、脂肪酸メチルエステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種以上を含有する、請求項1に記載の繊維製品処理剤組成物。
  3. (D)成分として、前記(A)成分、前記(B)成分及び(C)成分以外の界面活性剤を更に含有する、請求項1又は2に記載の繊維製品処理剤組成物。
  4. 前記(D)成分が下記一般式(D1)で表される非イオン性界面活性剤である、請求項3に記載の繊維製品処理剤組成物。
    1d-O-[(CO)(CO)]-H (D1)
    〔式中、R1dは、炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基である。s及びtは平均付加モル数であって、sは6以上50以下の数、tは0以上5以下の数である。(CO)及び(CO)はランダム型又はブロック型に結合している。〕
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