JP6405132B2 - 繊維製品の濡れ戻り抑制方法 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維製品処理剤組成物に関する。
木綿は優れた吸水性を有し、しかも肌触りが優れていることから、衣料等の繊維製品に好適に使用されている。特に梅雨時の湿度の高い時期や、夏場の気温が高い時期においては、汗等の水分を吸収し、衣類と肌との間の環境を整える効果があるため木綿を使用した衣類が好まれている。
しかしながら、汗等の水分を多量に吸収した木綿にあっては、吸収した水分を肌上に再放出するいわゆる"濡れ戻り"が生じる。濡れ戻りにより、衣類が肌に張り付き易くなり、着用者に不快感を与えるだけでなく、肌表面が濡れによってふやけ易くなり、更に肌と衣類との摩擦が大きくなることから、肌トラブルの原因に繋がることが懸念される。
このような、汗等で濡れた場合における濡れ戻りを抑制する技術として、特殊な繊維を用いる技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、内層及び/又は中間層がリヨセル構造で構成されている糸条を有することにより、濡れ戻りが少ない多層構造糸条が開示されている。
特許文献2には芯部にセルロースのフィラメント繊維を改質して保水能を向上させた吸水性繊維を用い、鞘部に合成繊維を配した複合紡績糸を用いることで肌と繊維物の接触する面に汗を残さない性質を示す技術が開示されている。
また、濡れた繊維製品の速乾性を向上させる技術が知られている。
例えば、特許文献3には主にエアゾール製品として用いる吸水速乾性付与剤組成物が開示されている。具体的には、吸水性を大きく損なうことなく速乾性を付与するためにシリコーン構造を有するポリマーを用いる技術が開示されている。
特許文献4には、炭素数7〜11の直鎖炭化水素基を有する脂肪アルコール、炭素数7〜20の分岐炭化水素基を有する脂肪族アルコール又はそれらの混合物を、肌に直接触れる木綿布に付着させて水拡散促進を付与する木綿布の処理方法が開示されている。
しかしながら、これら速乾性の技術は、基本的に繊維製品の乾燥速度を速めることを課題とするものであり、濡れ戻りの問題自体を直接的に解決するものではない。
なお、特許文献5,6には、ジアルキル型四級アンモニウム塩と脂肪族アルコールとを含有する柔軟剤組成物が記載されているが、これらの特許文献では化繊に対する柔軟性や帯電防止性を改善することについての検討がなされているのみであって、濡れ戻りを改善する点については、なんら検討されていない。また特許文献7には、カチオン性ポリマー等の送達増進剤と布地柔軟化活性物質との安定化剤として炭素数8〜20の飽和分枝鎖アルコールを含有する布地ケア剤が開示されている。特許文献8には、エステル基又はアミド基で分断されている4級アンモニウム化合物と高分子量のシリコーンとを含有する液体柔軟剤組成物が開示されている。
特開平10−25638号公報 特開昭62−299534号公報 特開2005−89882号公報 特開2011−122252号公報 特開昭56−73173号公報 特開昭56−79768号公報 特表2014−510849号公報 特表2006−200116号公報
特許文献1,2に記載された濡れ戻り抑制技術は、特殊な繊維加工が要求されることから、家庭での実現は困難である。また繊維製品の乾燥促進方法は、繊維製品に吸収された水分を濡れ広がり易くすることで達成するものであって、吸収された水分を乾燥させる時間が必要であり、濡れ戻り抑制の問題を実質的に解決しているとはいえない。
したがって、一般的な木綿繊維を含む繊維製品、特に肌着等の直接肌と接するなどして、汗等で濡れる状態になり易い繊維製品に対し、予め簡易な処理を施しておくことで、繊維製品が濡れた状態になっても、濡れ戻りを抑制することができる繊維製品処理剤組成物の開発が望まれている。
本発明は、発汗等によって濡れた繊維製品の濡れ戻りを抑制することができる繊維製品処理剤組成物、及びこれを用いた繊維製品処理方法を提供する。
本発明は、脂肪酸残基を有するカチオン性化合物の混合物、特定の脂肪族アルコール、及びシリコーン化合物を併用する繊維製品処理剤組成物が繊維製品の濡れ戻りを抑制できる、という知見に基づいてなされたものであって、以下を要旨とするものである。
本発明は、下記[1]、[2]を要旨とするものである。
[1]一般式(I)で表されるカチオン性化合物の混合物(A)、炭素数12以上、18以下の直鎖第一級飽和アルコール(B)、及びシリコーン化合物(C)を含有し、アルコール(B)に対するカチオン性化合物の混合物(A)の質量比[(A)/(B)]が1以上、10以下である繊維製品処理剤組成物。
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数16以上、22以下の脂肪酸からOH基を除いた残基、又は水素原子を示す。但しR1とR2とは同時に水素原子であることはない。R3は、炭素数1以上、3以下のアルキル基、炭素数1以上、3以下のヒドロキシアルキル基、又はR1−O−C24−を示す。R4は、炭素数1以上、3以下のアルキル基又は水素原子を示す。Yは酸素原子又はNH基を示す。mは2又は3を示す。Z-は有機又は無機の陰イオンを示す。)
[2]前記[1]に記載の繊維製品処理剤組成物を、水を媒体として繊維製品に接触させる繊維製品処理方法。
本発明によれば、発汗等によって濡れた繊維製品の濡れ戻りを抑制することができる繊維製品処理剤組成物、及びこれを用いた繊維製品処理方法を提供することができる。
[繊維製品処理剤組成物]
本発明の繊維製品処理剤組成物は、前記一般式(I)で表されるカチオン性化合物の混合物(A)、炭素数12以上、18以下の直鎖第一級飽和アルコール(B)、及びシリコーン化合物(C)を含有し、アルコール(B)に対するカチオン性化合物の混合物(A)の質量比[(A)/(B)]が1以上、10以下であるものである。
<カチオン性化合物の混合物(A)>
本発明においては、下記一般式(I)で表される脂肪酸残基を有するカチオン性化合物の混合物(以下、「(A)成分」ともいう。)を含有する。本発明においては(A)成分を用いることにより、繊維製品処理剤組成物に濡れ戻り抑制効果を発現させることができる。
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数16以上、22以下の脂肪酸からOH基を除いた残基(以下、「脂肪酸残基」ともいう。)、又は水素原子を示す。但しR1とR2とは同時に水素原子であることはない。R3は、炭素数1以上、3以下のアルキル基、炭素数1以上、3以下のヒドロキシアルキル基、又はR1−O−C24−を示す。R4は、炭素数1以上、3以下のアルキル基又は水素原子を示す。Yは酸素原子又はNH基を示す。mは2又は3を示す。Z-は有機又は無機の陰イオンを示す。)
本発明においては、後述する(B)成分の繊維製品に対する吸着性を向上させる観点から、一般式(1)において、R1、R2の少なくとも一方が炭素数16以上、22以下の脂肪酸からOH基を除いた脂肪酸残基であり、R1及びR2がいずれも前記脂肪酸残基であることが好ましい。
具体的な脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、パーム油脂肪酸、ひまわり油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、綿実油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、及び硬化牛脂脂肪酸から選ばれる1種以上を用いることができる。
また、一般式(1)において脂肪酸残基としては、炭素数16以上、18以下の脂肪酸からOH基を除いた残基であることが好ましい。
3は、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、又はR1が前記脂肪酸残基であるR1−O−C24−が好ましい。
4は、メチル基、エチル基、又は水素原子が好ましい。なお、R3とR4とは同時にアルキル基でないことが好ましい。
-は有機又は無機の陰イオンであり、ハロゲンイオン、好ましくはクロロイオン、炭素数1以上、3以下のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数12以上、18以下の脂肪酸イオン、炭素数1以上、3以下のアルキル基が1個以上、3個以下置換していてもよいベンゼンスルホン酸イオンが好ましく、クロロイオン、炭素数1以上、3以下のアルキル硫酸エステルイオンがより好ましく、クロロイオン、メチル硫酸エステルイオン、エチル硫酸エステルイオンが更に好ましく、クロロイオンがより更に好ましい。
(A)成分の好ましい態様として、以下の(A1)成分又は(A2)成分が挙げられる。
〔(A1)成分〕
一般式(1)において、Yが酸素原子であり、mが2であり、R1が脂肪酸残基であり、R2が水素原子であり、R3がヒドロキシエチル基であり、R4がメチル基又はエチル基である化合物(A11)と、
一般式(1)において、Yが酸素原子であり、mが2であり、R1、R2が脂肪酸残基であり、R3がヒドロキシエチル基であり、R4がメチル基又はエチル基である化合物(A12)と、
一般式(1)において、Yが酸素原子であり、mが2であり、R1、R2が脂肪酸残基であり、R3がR1−O−C24−であり、R4がメチル基又はエチル基である化合物(A13)とを含有し、
(A1)成分中の、
(A11)成分の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは32質量%以下であり、
(A12)成分の含有量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上であり、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは57質量%以下であり、
(A13)成分の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である、
4級アンモニウム塩混合物。
(A1)中の(A11)、(A12)及び(A13)の割合は、例えば後述するLC−CAD法によって求めることができる。
〔(A2成分)〕
一般式(1)において、YがNH基であり、R1が水素原子であり、R2が脂肪酸残基であり、R3がメチル基又はエチル基であり、R4が水素原子である化合物(A21)と、
一般式(1)において、YがNH基であり、R1、R2が脂肪酸残基であり、R3がメチル基又はエチル基であり、R4が水素原子である化合物(A22)とのアミン酸塩の混合物であり、
(A2)成分中の、
(A21)成分の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下であり、
(A22)成分の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上であり、そして、好ましくは97質量%以下、より好ましくは95質量%以下である、
アミン酸塩の混合物。
〔(A1)成分の製造方法〕
(A1)成分は脂肪酸とトリエタノールアミンとを脱水エステル化反応させる方法(以下、「脱水エステル化法」ともいう)、又は脂肪酸低級アルキルエステル(低級アルキルはメチル基、エチル基、プロピル基)とトリエタノールアミンとをエステル交換反応させる方法(以下、「エステル交換法」ともという)により得られるエステル化反応物を、アルキル化剤で4級化反応させることにより得ることができる。
前記脱水エステル化法に用いられる脂肪酸及びエステル交換法に用いられる脂肪酸低級アルキルエステルの脂肪酸としては、牛脂、パーム油、ヒマワリ油、大豆油、ナタネ油、サフラワー油、綿実油、トウモロコシ油、及びオリーブ油から選ばれる1種以上の油脂をケン化して得られる脂肪酸組成のものが好ましく、柔軟性能を向上させる観点から、牛脂、パーム油及びヒマワリ油から選ばれる1種以上から得られるものが好ましい。
また、これらの脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルは、炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有するアルケニル基を多量に含有するため、例えば特開平4−306296号公報に記載されているような晶析や、特開平6−41578号公報に記載されているようにメチルエステルを減圧蒸留する方法、或いは特開平8−99036号公報に記載の選択水素化反応を行うことで炭素−炭素不飽和結合を2つ以上含有する脂肪酸の割合を制御することができる。
なお、選択水素化反応を行った場合には不飽和結合の幾何異性体の混合物が形成されるが、本発明に用いる脂肪酸は、シス体/トランス体(モル比)が25/75〜100/0、好ましくは50/50〜95/5のものが好ましい。
まず、脱水エステル化法について説明する。脱水エステル化法においては反応温度を140℃以上、より好ましくは150℃以上で、そして、好ましくは230℃以下、より好ましくは200℃以下で縮合水を除去しながら反応させることが好ましい。反応を促進させる目的から通常のエステル化触媒を用いても差し支えなく、例えば硫酸、燐酸等の無機酸、酸化錫、酸化亜鉛等の無機酸化物、テトラプロポキシチタン等のアルコラート等を選択することができる。
反応の進行はJIS K0070−1992に記載の方法で酸価(AV)を測定することで確認を行い、好適にはAVが10mgKOH/g以下、好ましくは6mgKOH/g以下となった時、縮合反応を終了する。
次にエステル交換法について説明する。エステル交換法において反応温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下として、生成する低級アルコールを除去しながら行う。反応促進のために水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリや、メチラート、エチラート等のアルコキシ触媒を用いることも可能である。
反応の進行状況は、ガスクロマトグラフィー等を用いて脂肪酸低級アルキルエステルの量を直接定量することにより確認することが好ましい。未反応脂肪酸低級アルキルエステルが仕込みの脂肪酸低級アルキルエステルに対してガスクロマトグラフィーチャート上で10面積%以下、特に6面積%以下になったところで反応を終了させることが好ましい。
脱水エステル化法及びエステル交換化法において、トリエタノールアミン1モルに対する前記脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルの反応モル比は、好ましくは1.3モル以上、より好ましくは1.5モル以上であり、そして、好ましくは2.0モル以下、より好ましくは1.9モル以下である。
このような反応モル比で脱水エステル化反応又はエステル交換反応を行って得た3級アミン化合物の混合物を経ることで、最終的に好ましい(A11)成分〜(A13)成分の4級アンモニウム塩混合物(A1)成分が得られる。
また、上記の脱水エステル化法又はエステル交換法で得られるエステル化合物の鹸化価(SV)は、好ましくは110mgKOH/g以上、より好ましくは130mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは210mgKOH/g以下、より好ましくは190mgKOH/g以下である。
上記の脱水エステル化法及びエステル交換化法によって得られた、脂肪酸トリエタノールアミンエステルである3級アミン化合物、厳密にはエステル化度の異なる3級アミン化合物の混合物を、以下に示すアルキル化剤を用いて4級化することで、好ましい(A11)成分〜(A13)成分の4級アンモニウム塩混合物(A1)成分が得られる。
以下、4級化方法について説明する。
4級化に用いられるアルキル化剤としては、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、ジメチル硫酸、及びジエチル硫酸から選ばれる1種以上が好ましい。
アルキル化剤として、塩化メチルを用いる場合には、特に溶媒を使用する必要はないが、溶媒を使用する場合は、エタノールやイソプロパノール等の溶媒を、前記脂肪酸トリエタノールアミンエステル化合物の混合物(以下、「エステル化合物」ともいう)に対して10質量%以上、50質量%以下程度混合した溶液をチタン製のオートクレーブ等の加圧反応器に仕込み、密封下30℃以上、120℃以下の反応温度で塩化メチルを圧入させて反応させる。このとき塩化メチルの一部が分解し、塩酸が発生する場合があるため、アルカリ剤を少量加え、効率的に反応を進行させることが好ましい。
塩化メチルとエステル化合物とのモル比は、当該エステル化合物のアミノ基1当量に対して塩化メチルを1当量以上、1.5当量以下で用いることが好ましい。
アルキル化剤として、ジメチル硫酸及びジエチル硫酸から選ばれる1種以上を用いる場合には、特に溶媒を使用する必要はないが、溶媒を使用する場合、エタノールやイソプロパノール等の溶媒をエステル化合物に対して10質量%以上、50質量%以下程度混合した溶液を40℃以上、100℃以下に加熱混合し、ジメチル硫酸及びジエチル硫酸から選ばれる1種以上を滴下して行われる。ジメチル硫酸及びジエチル硫酸から選ばれる1種以上とエステル化合物とのモル比は、当該エステル化合物のアミノ基1当量に対して、ジメチル硫酸及びジエチル硫酸から選ばれる1種以上を、好ましくは0.9当量以上、より好ましくは0.95当量以上であり、そして、好ましくは1.1当量以下、より好ましくは0.99当量以下である。
以上の方法によって、脂肪酸トリエタノールアミン化合物の混合物は4級化され、前記した好ましい(A11)成分〜(A13)成分の4級アンモニウム塩混合物(A1)成分が得られる。
なお、(A1)成分合成の際に、(A)成分として4級化されなかった3級アミン(A1’)を含有してもよい。
〔(A1’)成分〕
具体的には、一般式(1)において、Yが酸素原子であり、mが2であり、R1が脂肪酸残基であり、R2が水素原子であり、R3がヒドロキシエチル基であり、R4が水素原子である化合物(A11’)と、
一般式(1)において、Yが酸素原子であり、mが2であり、R1、R2が脂肪酸残基であり、R3がヒドロキシエチル基であり、R4が水素原子である化合物(A12’)と、
一般式(1)において、Yが酸素原子であり、mが2であり、R1、R2が脂肪酸残基であり、R3がR1−O−C24−であり、R4が水素原子である化合物(A13’)である。
(A1’)成分中の、
(A11’)成分の含有量は、好ましくは0質量%以上、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。
(A12’)成分の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下であり、
(A13’)成分の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である、3級アミン塩混合物。
また、(A1)/(A1’)の割合は質量比で、好ましくは70/20以上、より好ましくは80/20以上、そして好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下であることが好ましい。
(A1)中の(A11)、(A12)及び(A13)並びに(A1’)中の(A11’)、(A12’)及び(A13’)の割合は、例えば後述するLC−CAD法によって求めることができる。
〔(A2)成分の製造方法〕
(A1)成分が4級アンモニウム塩化合物の混合物であるのに対し、(A2)成分は、3級アミン化合物の混合物及びそれらの酸塩である。以下に(A2)成分の製造方法について説明する。
(A2)成分は脂肪酸とN−ヒドロキシエチル−N−アミノプロピル−N−メチルアミンを脱水縮合反応させる方法により容易に得られる3級アミン化合物及びそれらの酸塩である。
製造に用いる脂肪酸としては、牛脂、パーム油、ヒマワリ油、大豆油、ナタネ油、サフラワー油、綿実油、トウモロコシ油、及びオリーブ油から選ばれる1種以上の油脂をケン化して得られる脂肪酸組成のものが好ましく、(B)成分の繊維製品への吸着性を向上させる観点から、牛脂、パーム油及びヒマワリ油から選ばれる1種以上から得られるものが好ましい。
また、これらの脂肪酸は炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有するアルケニル基を多量に含有するため、例えば、特開平4−306296号公報に記載されているような晶析や、特開平6−41578号公報に記載されているようにメチルエステルを減圧蒸留する方法、或いは特開平8−99036号公報に記載の選択水素化反応を行うことで炭素−炭素不飽和結合を2つ以上含有する脂肪酸の割合を制御することができる。
(A2)成分の原料としては飽和脂肪酸を用いることが好ましい。例えば牛脂由来脂肪酸を用いる場合は、水素化反応することで完全硬化牛脂脂肪酸を用いることが好ましい。
脂肪酸とN−ヒドロキシエチル−N−アミノプロピル−N−メチルアミンとの脱水縮合反応においては、反応温度を140℃以上、230℃以下で縮合水を除去しながら反応させることが好ましい。反応を促進させる観点から、通常の縮合触媒を用いてもよく、例えば硫酸、燐酸等の無機酸、酸化錫、酸化亜鉛等の無機酸化物、テトラプロポキシチタン等のアルコラート等を用いることができる。
反応の進行状況は、JIS K0070−1992に記載の方法で酸価(AV)を測定することにより確認することができ、好ましくはAVが10mgKOH/g以下、より好ましくは6mgKOH/g以下となった時に、縮合反応を終了する。
脂肪酸とN−ヒドロキシエチル−N−アミノプロピル−N−メチルアミンとの反応において、アミン1モルに対する前記脂肪酸の仕込みモル比は、好ましくは1.5モル以上、2.0モル以下、より好ましくは1.6モル以上、1.95モル以下である。
このような反応モル比で脱水縮合反応を行うことで、好ましい(A21)成分〜(A22)成分のアミン化合物の混合物及びその酸塩(A2)成分が得られる。
繊維製品処理剤組成物中の(A)成分の含有量は、組成物を安定に分散させ、濡れ戻りを効果的に抑制する観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
(A)成分の各化合物、例えば(A11)、(A12)、(A13)、(A21)及び(A22)は、高速液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」ともいう)を用い、検出器として荷電荷粒子検出器(Charged Aerosol Detection、以下、「CAD」ともいう。)を使用して求めることができる。CADを用いた測定方法については「荷電化粒子検出器Corona CADの技術と応用」(福島ら Chromatography, Vol.32 No.3(2011))を参考にすることができる。なお、本発明において(A)成分が4級アンモニウム塩化合物の場合、質量比率は、一般式(I)の陰イオンX-をメチル硫酸イオンと仮定して求めるものとする。また(A)成分がアミン化合物の場合は、陰イオンX-を塩素イオンと仮定して求めるものとする。
<アルコール(B)>
本発明においては、炭素数12以上、18以下の直鎖第一級飽和アルコール(B)(以下、「(B)成分」ともいう。)を用いる。本発明においては(A)成分と共に(B)成分を用いることにより、繊維製品処理剤組成物に高い濡れ戻り抑制効果を発現させることができる。
本発明における(B)成分としては、濡れ戻り抑制効果を向上させる観点から、14以上18以下である直鎖第一級飽和アルコールがより好ましい。
具体的なアルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、及びステアリルアルコールから選ばれる1種以上を用いることができる。
これらの中では、濡れ戻り抑制効果を向上させる観点から、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールが好ましく、更にはミリスチルアルコールがより好ましい。
繊維製品処理剤組成物中の(B)成分の含有量は、濡れ戻り抑制効果、及び繊維製品処理剤の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
また、(A1)を使用する場合の(B)成分の含有量は、2.0質量%以上、8.0質量%以下が好ましく、(A2)を使用する場合の(B)成分の含有量は、1.0質量%以上、5.0質量%以下が好ましい。
(B)成分に対する(A)成分の質量比[(A)/(B)]は、(B)成分の繊維製品への吸着性を確保しつつ、少ない(A)成分の量で効果的に濡れ戻りを抑制する観点から、1以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、更に好ましくは2.5以上、より更に好ましくは3.0以上であり、そして、10以下、好ましくは8.0以下、より好ましくは6.0以下である。
<シリコーン化合物(C)>
本発明においては、本発明の繊維製品処理剤組成物により処理された繊維製品の感触を向上させる観点から、シリコーン化合物(C)(以下、「(C)成分」ともいう。)を用いる。
(C)成分としては、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、及びアミノ変性シリコーンから選ばれる1種以上が挙げられる。
シリコーン化合物としては、繊維製品処理剤組成物への配合コストの観点から、ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種以上が好ましく、ジメチルシリコーンがより好ましい。これらは、単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明におけるジメチルシリコーンは、ジメチルポリシロキサンを指す。
本発明の(C)成分は、オイル状のもの、例えば、ジメチルシリコーンオイルをそのまま用いても差し支えないが、シリコーン化合物と水とを含有する水性エマルジョンとして用いることが好ましい。
(C)成分の水性エマルジョンとしては、乳化剤として界面活性剤を用い、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、及びコロイドミル等の乳化機により水中に分散させたものが好ましい。
水性エマルジョンに用いる界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、及び脂肪酸塩から選ばれる1種以上の陰イオン性界面活性剤、
ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキシド付加物、蔗糖脂肪酸エステル、及びアルキルグルコシドから選ばれる1種以上の非イオン性界面活性剤、
アミンオキシド、スルホベタイン、及びカルボベタインから選ばれる1種以上の両性界面活性剤、及びトリ長鎖アルキル4級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の陽イオン性界面活性剤を用いることができる。
(C)成分の水性エマルジョンにおける乳化粒子の体積平均粒径は、滑らかな風合いを得る観点から、好ましくは10nm以上であり、そして、好ましくは10000nm以下、より好ましくは5000nm以下、更に好ましくは1000nm以下である。なお、本明細書において乳化粒子の体積平均粒径は、動的光散乱法によって測定した値である。
(C)成分の水性エマルジョンとしては、オイル状のシリコーン化合物を界面活性剤等の乳化剤を用いて、水中に分散させたものを用いてもよいが、オルガノアルコキシシランとジメチルシクロポリシロキサン等を用い、水中で重合反応を行うことにより調製したものであってもよい。
(C)成分の水性エマルジョンの具体例としては、25℃における動粘度が10万mm2/s以上、1000万mm2/s以下の高分子量のジメチルポリシロキサンを用いることが好ましく、この高分子量のジメチルポリシロキサンが、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤等を含む界面活性剤により、平均粒子径50nm以上、900nm以下の乳化粒子として水中に乳化された、ジメチルポリシロキサン乳化物を用いることがより好ましい。
ジメチルポリシロキサン乳化物における乳化粒子の平均粒子径は、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上、更に好ましくは200nm以上であり、そして、好ましくは900nm以下であり、より好ましくは700nm以下、更に好ましくは600nm以下、より更に好ましくは500nm以下である。
前記ジメチルポリシロキサン乳化物の調製は、特開2006−200116号公報の記載を参考にすることができる。
(C)成分の水性エマルジョンの原料としてジメチルポリシロキサンを用いる場合において、ジメチルポリシロキサンの25℃における動粘度は、濡れ戻り効果を向上させる点から、好ましくは10万mm2/s以上、より好ましくは15万mm2/s以上であり、そして、好ましくは1000万mm2/s以下、より好ましくは900万mm2/s以下、更に好ましくは700万mm2/s以下、より更に好ましくは600万mm2/s以下である。
繊維製品処理剤組成物中の(C)成分の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、より更に好ましくは1.2質量%以上、そして、好ましくは6%質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2.5質量%以下である。なお、(C)成分として、シリコーン化合物と水とを含有する水性エマルジョンを用いる場合は、(C)成分の純分換算の量がこの範囲となるように用いるのが好ましい。
<非イオン性界面活性剤(D)>
本発明においては、(A)及び(B)成分の分散安定性を向上させる観点から、非イオン性界面活性剤(D)(以下、「(D)成分」ともいう。)を用いることができる。
非イオン性界面活性剤としては、(i)炭素数10以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有し、オキシエチレン基の平均付加モル数5以上、100以下であって、オキシエチレン基の平均付加モル数のそのうち0モル以上、5モル以下はオキシプロピレン基又はオキシブチレン基に変えてもよい(但し、オキシエチレン基の平均付加モル数は他のオキシアルキレン基の平均付加モル数の合計よりも多く、好ましくは5以上多い)ポリオキシアルキレンアルキル(アルケニル)エーテル、(ii)炭素数8以上、18以下のアルキル基を有し、糖平均縮合度が1以上5以下であるアルキルポリグリコシド、(iii)炭素数8以上、18以下のアルキル基を有し、グリセリンの平均縮合度が5以上、10以下であるアルキルポリグリセリルエーテル、及び(iv)炭素数が2以上、8以下であって、且つヒドロキシ基を2個以上、6個以下有する多価アルコール、好ましくはグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトール等と、炭素数16以上、22以下の脂肪酸とから得られる脂肪酸エステル化合物から選ばれる1種以上を用いることができる。
これらの中では、(A)及び(B)成分の分散安定性を向上させる観点から、(i)炭素数10以上、14以下のアルキル基を有しエチレンオキサイド平均付加モル数が10以上、40以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、又は柔軟性付与の観点から(iv)グリセリン、ペンタエリスリトール及びソルビタンから選ばれる1種以上の多価アルコールと炭素数16以上、22以下の脂肪酸とのエステル化合物が好ましい。
繊維製品処理剤組成物中の(D)成分の含有量は、十分な濡れ戻り防止効果を得る上で、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上であり、そして、好ましくは8.0質量%以下、より好ましくは6.0質量%以下、更に好ましくは4.0質量%以下である。
<水溶性無機塩(E)>
本発明においては、繊維製品処理剤組成物の使用に適した粘度に調整する観点から、水溶性無機塩(E)(以下、「(E)成分」ともいう。)を用いることができる。
水溶性無機塩としては、貯蔵安定性の観点から、ナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる1種以上の水溶性無機塩が好ましく、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及び硫酸マグネシウムから選ばれる1種以上がより好ましく、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムから選ばれる1種以上が更に好ましく、塩化カルシウムがより更に好ましい。なお、(E)成分における「水溶性」とは20℃の100gの脱イオン水に対して20g以上溶解することをいう。
繊維製品処理剤組成物中の(E)成分の配合量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上であり、そして、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.6質量%以下である。
<pH調整剤(F)>
本発明においては、貯蔵安定性を向上させる観点から、pH調整剤(F)(以下、「(F)成分」ともいう。)を使用することができる。
pH調整剤としては、塩酸や硫酸等の無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸等の有機酸等の酸剤や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ剤から選ばれる1種以上を用いることができる。
これらの中では塩酸や硫酸、クエン酸が好ましい。なお(F)成分の一部はキレート剤として使用することができる。
<水溶性有機溶剤(G)>
本発明においては、繊維製品処理剤組成物の分散安定性を向上させる観点から、水溶性有機溶剤(G)を使用することができる。
具体的な水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の揮発性低級アルコール、エチレングリコール、グリセリン及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上を用いることができる。
水溶性有機溶剤としては、取り扱いやすさの観点から、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセリンが好ましい。
<その他成分>
本発明には以下に示す、香料、酸化防止剤、脂肪酸、キレート剤、染料、防腐剤等を配合することが好ましい。
本発明の繊維製品処理剤組成物は、香料を含有してもよい。香料組成物としては、「香料と調香の実際知識」(中島基貴著、産業図書株式会社、1995年6月21日発行)に記載の香料成分を適宜、香調、用途にしたがって組み合わせることができる。また、仕上げ剤として知られている、柔軟剤、糊剤、スタイリング剤又はその他仕上げ剤の特許文献に記載された香料成分や香料組成物を、本発明の効果を損なわない限り、その配合量も含めて検討した上で用いることができる。
香りの質や強度、組成物中での安定性等の点から、例えば下記香料成分を挙げることができる。
テルペン系香料成分としては、リモネン、p−サイメン、α−ピネン、β−ピネン、β−カリオフィレン等が挙げられ、アルコール系香料成分として、シス−3−ヘキセノール、トランス−2−ヘキセノール、メチルトリメチルシクロペンテニルブテノール、ジヒドロミルセノール、l−メントール、フェニルエチルアルコール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、ターピネオール、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロゲラニオール、ジメチルベンジルカルビノール、β−フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、シンナミックアルコール、アニスアルコール、ファルネソール、ネロリドール、ジメチルフェニルエチルカルビノール、o−t−ブチルシクロヘキサノール、p−t−ブチルシクロヘキサノール、サンダルマイソールコア(2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール)(花王株式会社製)、バグダノール(IFF社製)、ジャバノール(ジボダン社製)等が挙げられる。
エステル系香料成分としては、酢酸ベンジル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸リナリル、酢酸ネリル、酢酸o−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸p−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸テトラヒドロゲラニル、酢酸テルペニル、酢酸イソボルニル、酢酸l−メンチル、酢酸トリシクロデセニル、酢酸2−フェニルエチル、酢酸3−フェニルプロピル、酢酸スチラリル、酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸トランス−2−ヘキセニル、酢酸ヘキシル、酢酸シンナミル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸2−フェニルエチル、プロピオン酸シトロネリル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸トリシクロデセニル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸アリル、酪酸ゲラニル、酪酸シトロネリル、酪酸イソアミル、酪酸アミル、酪酸アリル、イソ酪酸フェノキシエチル、イソ酪酸ゲラニル、イソ吉草酸ゲラニル、カプロン酸エチル、カプロン酸アリル、エナント酸エチル、エナント酸アリル、オクタン酸エチル、アンスラニル酸メチル、安息香酸シス−3−ヘキセニル、安息香酸ベンジル、サリチル酸アミル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸シス−3−ヘキセニル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸2−フェニルエチル、メチルジヒドロジャスモネート、クマリン、γ−オクタラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−デカラクトン、γ−ノナラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、シクロペンタデカノリド、シクロペンタデセノリド(ハバノライド、フィルメニッヒ社製)、シクロヘキサデカノリド、アンブレッリド、11−オキサ−16−ヘキサデカノリド(ムスクR−1、ジボダン社製)、10−オキサ−16−ヘキサデカノリド(オキサリド、高砂香料工業株式会社製)、12−オキサヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、エチレンドデカンジオエート(ムスクC−14)等が挙げられる。
アルデヒド系香料成分としては、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、10−ウンデセナール、ドデカナール、シトラール、シトロネラール、アニスアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、マイラックアルデヒド、リリアール、リラール、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、ヘリオナール等が挙げられ、ケトン類としては、フロラロゾン、l−カルボン、メントン、ジヒドロジャスモン、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、シスジャスモン、ゲラニルアセトン、ダマスコン類、ダマセノン類、α−ダイナスコン、イオノン類、メチルイオノン類、β−メチルナフチルケトン、イソEスーパー、ラズベリーケトン、マルトール、エチルマルトール、カシュメラン(IFF社製)、5−シクロヘキセデセノン−1−オン(ムスクTM-II)等が挙げられる。
エーテル系香料成分としては、アネトール、オイゲノール、メチルオイゲノール、メチルイソオイゲノール、ジフェニルオキサイド、1,8−シネオール、セドリルメチルエーテル、アンブロキサン(3α,6,6,9α−テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1−b]フラン)、エトキシメチルシクロドデシルエーテル(ボアサンブレンフォルテ、花王株式会社製)等が挙げられ、含窒素化合物系香料成分としては、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、インドール、アセチルセドレン、アントラニル酸メチル、N−メチルアントラニル酸メチル、オーランチオール、ペオニル(ジボダン社製)等が挙げられる。
香料成分及びそれらの組み合わせは、ジプロピレングリコール等の保留剤と呼ばれる成分と混合した組成物として本発明の繊維製品処理剤組成物に添加してもよい。
また本発明の繊維製品処理剤組成物には、香料成分として、繊維製品の残香性を高める目的で特開2013−231242号公報や特開2009−256818号公報に記載のケイ酸エステルを併用することができ、また特定香料メーカー等から入手可能なマイクロカプセル入り香料を用いることができる。
酸化防止剤は、例えば、分子内にフェノール基を有する酸化防止剤である。分子内にフェノール基を有する酸化防止剤は、香料の臭いの変化を抑制するために用いられる。酸化防止剤を香料と併用すると、臭いの変化を抑制できるが、酸化を受けたフェノール基を有する酸化防止剤が着色されることで、柔軟剤組成物の変色が促進されることから、酸化防止剤の配合量は、酸化の影響を受けやすい香料成分とその含有量と共に、十分に確認した上で使用される。
入手の容易性の点から、分子内にフェノール基を有する酸化防止剤としては、2,6−
ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール及びブチルヒドロキシアニソールから選ばれる1種以上が好ましい。変色抑制の点から、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノールから選ばれる1種以上の酸化防止剤がより好ましい。
本発明の繊維製品処理剤組成物に含有される(A)成分は柔軟基材としても作用する。濡れ戻り防止効果を損なわない範囲で本発明の繊維製品処理剤組成物の柔軟効果を高めるために、脂肪酸を使用してもよい。脂肪酸は(A)成分の分解物や(A)成分中に少量含まれるが、更に添加することで柔軟効果を高めることができる。
具体的な脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸、ベヘニン酸等の炭素数12以上、22以下の飽和又は不飽和脂肪酸から選ばれる1種以上を用いることができる。これらの中では、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びリノール酸から選ばれる1種以上がより好ましい。
キレート剤は、繊維製品処理剤組成物の変色や染料の褪色を抑制するために用いられる。例えば、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミン四酢酸、メチルグリシン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、L−グルタミン酸−N,N−二酢酸、N−2−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、クエン酸、コハク酸及びそれらの塩から選ばれる1種以上が好ましい。なお、キレート剤は前記酸剤としても使用することができる。
染料は、繊維製品処理剤組成物に対して消費者に高い嗜好性を与えるために用いられる。例えば、カラーインデックス酸性赤色染料、カラーインデックス酸性黄色染料及びカラーインデックス酸性青色染料からから選ばれる1種以上の染料である。
カラーインデックス酸性赤色染料の具体例としては、C.I.Acid Red 18 C.I.Acid Red 27、C.I.Acid Red 52、C.I.Acid Red 82、C.I.Acid Red 114、C.I.Acid Red 138、C.I.Acid Red 186等が挙げられる。
カラーインデックス酸性黄色染料の具体例としては、C.I.Acid Yellow 1 、C.I.Acid Yellow 7、C.I.Acid Yellow 23、C.I.Acid Yellow 141等が挙げられる。
カラーインデックス酸性青色染料の具体例としては、C.I.Acid Blue 5、C.I.Acid Blue 9、C.I.Acid Blue 74等が挙げられる。
ポリマー染料として入手可能な染料も使用することができる。
染料はキレート剤と併用することで、香料又は香料及び酸化防止剤を含有する柔軟剤組成物の変色を抑制することができる。変色抑制の点で、カラーインデックス酸性赤色染料、及びカラーインデックス酸性黄色染料から選ばれる1種以上の染料が好ましい。
防腐剤は、繊維製品処理剤組成物に防腐性を与えるために用いられる。防菌、防カビ剤ともいう。例えば、ビグアニド系化合物、イソチアゾリン系化合物、イソチアゾリノン系化合物等が挙げられる。それらの具体例としては、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが挙げられ、それぞれ市販品として、「プロキセルIB」、「ケーソンCG」、「プロキセルBDN」等を用いることもできる。
本発明の繊維製品処理剤組成物の残部は水である。水は脱イオン水を次亜塩素酸塩で処理したものを用いることが好ましい。本発明の繊維製品処理剤組成物は水を、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下含有する。
<繊維製品処理剤組成物の粘度>
繊維製品処理剤組成物の粘度は、分散安定性及び使用時の計量性の観点から、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは15mPa・s以上、更に好ましくは20mPa・s以上であり、そして、好ましくは500mPa・s以下、より好ましくは300mPa・s以下、更に好ましくは200mPa・sである。
本明細書における粘度は、B型粘度計を用いてNo.1〜No.3ローターの何れかのローターを用い、60r/minで測定開始から1分後の指示値により測定することができる。なお、測定にあたっては繊維製品処理剤組成物を30±1℃に調温して測定する。
<繊維製品処理剤組成物のpH>
本発明の繊維製品処理剤組成物の30℃におけるpHは、好ましくは2.5以上、より好ましくは3.0以上であり、そして、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.0以下である。繊維製品処理剤組成物のpHが前記範囲内であると、処理後の繊維製品の発香性及び残香性が向上すると共に、繊維製品処理剤組成物の保存安定性が向上する。なお、本明細書におけるpHは、JIS K 3362;2008の項目8.3に従って30℃で測定した値である。
繊維製品処理剤組成物のpHを前記範囲内に調整する方法としては、アルカリ剤と酸性化合物によって調整する方法が挙げられる。
<繊維製品処理剤組成物の製造方法>
本発明の繊維製品処理剤組成物の製造方法に特に制限はなく、例えば以下の方法で製造することができる。
まず、好ましくは40℃以上、80℃以下のイオン交換水に対して、必要に応じて(D)成分である非イオン性界面活性剤、(G)成分である水溶性有機溶剤、及び(F)成分であるpH調整剤を入れ、水溶液を好ましくは50℃以上、70℃以下に加熱する。
次いで、得られた水溶液を撹拌しながら(A)成分であるカチオン性化合物の混合物、また、必要に応じて香料、及びその他成分を投入し、好ましくは50℃以上、70℃以下に加熱しながら5分以上、1時間以下程度撹拌し、更に必要に応じて(E)成分である水溶性無機塩を加えて撹拌する。なお、水溶液に対して前記(A)成分を加える際には、均一に混合する観点から、(A)成分を予め、好ましくは50℃以上、70℃以下で溶融させておくことが好ましい。
次いで、得られた水溶液に対して(B)成分である直鎖脂肪族第一級アルコールを加えて5分以上、1時間以下程度撹拌し、その後、水溶液を好ましくは15℃以上、35℃以下になるように撹拌しながら冷却する。冷却後、(C)成分であるシリコーン化合物を添加、更に濃度を調整することを目的として必要に応じてイオン交換水を添加し、好ましくは15℃以上、35℃以下で5分以上1時間以下程度撹拌することにより本発明の繊維製品処理剤組成物を得ることができる。
なお、繊維製品処理剤組成物のpHは必要に応じて、塩酸水溶液又は水酸化ナトリウム水溶液等を用いて調整することができる。
<繊維製品>
本発明の対象となる繊維製品としては、木綿100%の繊維製品、及び木綿繊維と他の繊維との混繊、混紡、交織、交撚等で混用して得られる紡績糸、織物、編物、不織布を挙げることができる。
具体的な他の繊維としては、苧麻、亜麻、パルプ、バクテリアセルロース繊維等の天然セルロース繊維、絹、羊毛等の天然タンパク繊維、ビスコース法レーヨン、銅アンモニア法レーヨン、溶剤紡糸法レーヨン等の再生セルロース繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維から選ばれる1種以上を用いることができる。
なお、繊維製品は、反応性染料、バット染料等による先染め、反染、プリント品であっても差し支えない。
他の繊維と混用する場合、濡れ戻りを効率的に抑制する観点から、木綿繊維の含有率は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。
本発明において繊維製品とは、前記の木綿繊維や混用繊維を用いた織物、編物、不織布等の布帛及びそれを用いて得られたアンダーシャツ、Tシャツ、Yシャツ、ブラウス、スラックス、帽子、ハンカチ、タオル、ニット、靴下、下着、タイツ等の製品を意味する。
<繊維製品の処理方法>
本発明の繊維製品処理剤組成物は、木綿又は木綿を含む繊維製品の濡れ戻り防止性を付与するために用いられる。
処理方法としては、本発明の繊維製品処理剤組成物を水を媒体として繊維製品に接触させる本発明の繊維製品処理方法が好ましく、具体的には、乾燥時の繊維製品1.0kgに対して、本発明の繊維製品処理剤組成物を5ml以上、40ml以下溶解させた水溶液を接触させることで、濡れ戻り防止効果を得ることができる。この場合、繊維製品は水道水で十分に漬かるだけの量が必要であり、例えば浴比〔繊維製品(kg)/処理液(L)〕として5以上、40以下として使用される。水で希釈された本発明の繊維製品処理剤組成物のpHは6.0以上、8.0以下であることが好ましい。
乾燥した衣料に本発明の繊維製品処理剤組成物を希釈した水溶液に浸けてもよく、洗濯工程の濯ぎ時の仕上工程で添加してもよい。その場合は脱水して乾燥することで、本発明の濡れ戻り防止効果が付与された繊維製品を得ることができる。
したがって、本発明の繊維製品処理剤組成物は、更に詳細に用途限定する場合、本発明の目的から繊維製品用濡れ戻り防止剤組成物である。また(A)成分の性質から柔軟効果も示す。
<合成例1>
パーム油を原料とした酸価206.9mgKOH/gの脂肪酸と、N−ヒドロキシエチル−N−アミノプロピル−N−メチルアミンとを、仕込みモル比が1.8/1(脂肪酸/アミン)で混合した溶液500gを、1L4つ口フラスコに仕込み撹拌下窒素を導入し、生成する水を脱水管で系外に除去しながら3時間かけて180℃まで加熱した。180〜230℃の温度で更に10時間保持した後、反応物の一部を採取してAVを測定し2.0以下であることを確認した。その後、室温まで冷却し、N−アルカノイルアミノプロピル−N−アルカノイルオキシエチル−N−メチルアミン(アルカノイル基はパーム油脂肪酸組成)を主成分とする縮合物を得た。
このアミンに対して当量の塩酸を用いて中和し、N−アルカノイルアミノプロピル−N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミンの塩酸塩(A21)14質量%、N−アルカノイルアミノプロピル−N−アルカノイルオキシエチル−N−メチルアミンの塩酸塩(A22)81質量%及び脂肪酸5質量%の混合物(a1)を得た。(A21)及び(A22)の比率は下記条件によって測定した。
<HPLC条件>
カラム:Thermo Hypersil GOLD(長さ50、直径2.1mm、粒径1.9μm)
溶離液A:0.01mol/L 酢酸NH4を含む超純水
溶離液B:0.01mol/L 酢酸NH4を含むメタノール
流通方法:グラジエント、溶離液Bの濃度が測定開始から2分までは60質量%、測定開始から2分超8分までは100質量%、測定開始から8分超、11分までは60質量%
カラム温度:40℃
流量 :0.5mL/min
注入量: 5μL
検出方法:ESI−MS
<合成例2>
パーム油を原料とした酸価206.9mgKOH/gの脂肪酸と、トリエタノールアミンとを、反応モル比1.65/1(脂肪酸/トリエタノールアミン)で、脱水エステル化反応させることによりN−アルカノイルオキシエチル−N,N−ジヒドロキシエチルアミン(以下、「(A11’)成分」ともいう。)、N,N−ジアルカノイルオキシエチル−N−ヒドロキシエチルアミン(以下、「(A12’)成分」ともいう)及びN,N,N−トリアルカノイルオキシエチルアミン(以下、「(A13’)」成分ともいう)を主成分とする縮合物を得た。
次にこの縮合物のアミン価を測定し、該縮合物1当量に対してジメチル硫酸を0.95当量用い、定法に従って4級化を行ない、N−アルカノイルオキシエチル−N,N−ジヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウムメチルサルフェート(以下、「(A11)成分」ともいう)、N,N−ジアルカノイルオキシエチル−N−ヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウムメチルサルフェート(以下、「(A12)成分」ともいう)、及びN,N,N−トリアルカノイルオキシエチル−N−メチルアンモニウムメチルサルフェート(以下、「(A13)成分」ともいう)の4級アンモニウム塩混合物を主成分とし、エタノールを10質量%含有する混合物(a2)を得た。但しここでいう“アルカノイル”の用語は、アルカノイルがパーム油原料の脂肪酸残基であるため、飽和脂肪酸以外に不飽和脂肪酸由来の残基、例えばアルケノイル等の意味も含むものとする。
また前記調製手順や反応条件は、特開2010−209493号公報の合成例2にしたがって行った。
混合物(a2)は、(A11)成分、(A12)成分、(A13)成分、及びエタノール以外に、4級化されなかったジエステルの3級アミン、すなわち前記(A12’)成分及びトリエステルの3級アミン化合物、すなわち前記(A13’)成分も含んでおり、更に微量のトリエタノールアミン及びその4級化物、並びに微量の脂肪酸を含んでいた。4級化後のモノエステルの3級アミン化合物(A11’)は0質量%であった。なお(A11)成分、(A12)成分、(A13)成分、(A12’)成分及び(A13’)の合計量は(a2)中、85質量%であり、(A12’)成分及び(A13’)成分の合計に対する(A11)成分、(A12)成分及び(A13)成分の合計の割合は質量比で88/12であった。また4級アンモニウム塩の(A11)成分、(A12)成分及び(A13)成分の合計における(A11)成分の割合は30質量%、(A12)成分の割合は55質量%、(A13)成分の割合は15質量%であった。更に未反応3級アミン塩の(A11’)成分、(A12’)成分及び(A13’)成分の合計における(A11’)成分の割合は0質量%、(A12’)成分の割合は18質量%、(A13)成分の割合は82質量%であった。ここで(A11)成分、(A12)成分、(A13)成分、(A11’)成分、(A12’)成分及び(A13’)成分の割合、並びにその他成分の分析はHPLCを用い下記条件により測定した。
<HPLC条件>
カラム:Inertsil NH2 5μm(4.6×250mm) 室温(25℃)
移動相:0.05質量%TFA ヘキサン:MeOH:THF=85:10:5(質量比)
流速:測定開始から10分までは0.8mL、測定開始から10分超55分までは1.2mL、測定開始から55分超60分までは0.8mL
注入:20μL
検出:CAD
<合成例3:(c−1)成分>
ジメチルポリシロキサン(25℃における動粘度50万mm2/s)300gに対して、平均付加モル数5モルのポリオキシエチレンラウリルエーテル5gを高せん断力をかけながら添加し、添加終了から更に10分間、高せん断力で撹拌し続けた。
その後、イオン交換水を30g添加し、次に平均付加モル数2モルのポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム2g、平均付加モル数40モルのポリオキシエチレンミリスチルエーテル15gを加え、更に高せん断力下、撹拌を30分間続け、その後、水を248g加えて撹拌し、ジメチルポリシロキサンの水性エマルジョン(c−1)を得た。乳化粒子の体積平均粒子径は500nmであった。平均粒子径は水性エマルジョンをイオン交換水中に分散させ、動的光散乱粒度分布計(Malvern製、型式ゼータサイザーナノZS)を用いて、20℃で測定した。
実施例1〜7、比較例1〜15
表2,3の配合にしたがって繊維製品処理剤組成物を調製し、得られた繊維製品処理剤組成物について下記方法により繊維処理を行い、濡れ戻り量を評価した。なお、これら組成物のpHはpH調節剤として塩酸水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH3.5に調整した。
実施例及び比較例で使用した化合物は以下のとおりである。
(a−1):上記合成例1で製造したN−アルカノイルアミノプロピル−N−アルカノイルオキシエチル−N−メチルアミンの塩酸塩及びN−アルカノイルアミノプロピル−N−アルカノイルオキシエチル−N−メチルアミンの塩酸塩(これらの成分は上記合成例1で製造した混合物(a1)として繊維製品処理剤組成物中に配合した。)
(a−2):上記合成例2で製造した(A11)成分、(A12)成分、(A13)成分、(A12’)成分及び(A13’)成分(これらの成分は上記合成例2で製造した混合物(a2)として繊維製品処理剤組成物中に配合した。)
(b−1):ミリスチルアルコール
(b−2):セチルアルコール
(b’−1):1−デシルアルコール
(b’−2):ベヘニルアルコール
(b’−3):2−テトラデシルアルコール
(c−1):上記合成例3で製造した、ジメチルポリシロキサンの水性エマルジョン。
表2,3に示した(c−1)の数値は、ジメチルポリシロキサン純分換算での含有量である。
(c−2):アミノ変性シリコーンの水性エマルジョン(信越化学工業株式会社製、Polon MF−14)
(d−1):ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数が21の非イオン性界面活性剤)
(e−1):塩化カルシウム
(f−1):クエン酸
香料:表1に記載の香料組成物。
<繊維処理方法>
市販の木綿肌着(グンゼ株式会社、YG/半袖U首)を市販粉末洗剤「アタック高活性バイオEX」(花王株式会社製、登録商標、2012年製造)にて5回繰り返し洗濯、更に洗剤なしで3回洗濯をし、布についている油剤、洗剤を除去した後、上記で調製した繊維製品処理剤組成物を布の合計重量に対して1質量%投入し、20℃、浴比1/30、5分間撹拌することにより処理した後、室内で乾燥後、20℃、65%RHの恒温、恒湿室にて24時間放置し、処理布を作成した。
<濡れ戻り測定方法>
調製した処理布を11cm角に切り取り、自重の80質量%分の水をスプレーで均一に噴きかけ、10分間密閉状態で馴化させた後、キムタオル(日本製紙クレシア株式会社製)の上に載せ、20g/cm2の荷重を10秒間かけた。その後、キムタオルの重量を測定し、重量増加分を濡れ戻り水として計測した。未処理布の濡れ戻り水を100とした場合の各処理布の濡れ戻り量を算出した。結果を表2,3に示す。
<感触評価>
調製した処理布を11cm角に切り取り、自重の80質量%分の水をスプレーで均一に噴きかけ、10分間密閉状態で馴化させた後、訓練した研究員が処理した布を手で触り、下記の評価基準で判定した。評価2以上、好ましくは3以上であれば良好と判断する。
評価基準
4:湿り気が非常に少なく、非常にサラサラした手触りである。
3:湿り気が少なく、サラサラした手触りである。
2:やや湿り気があり、ややサラサラした手触りである。
1:湿り気が強く、ベタベタした手触りである。
表2、3の結果から明らかなように、本発明の繊維製品処理剤組成物によれば、発汗等によって生じる繊維製品の濡れ戻りを効果的に抑制することができる。
したがって、肌に接触する部分が多い衣料、例えば肌着に対して予め本発明の処理を施すことにより、発汗後、繊維製品と肌との間に生じる不快感を低減させることができる。

Claims (4)

  1. 繊維製品処理剤組成物を、水を媒体として繊維製品に接触させることにより、繊維製品における水の濡れ戻りを抑制する方法であって、
    該繊維製品処理剤組成物が、一般式(I)で表されるカチオン性化合物の混合物(A)を2質量%以上、20質量%以下、炭素数12以上、18以下の直鎖第一級飽和アルコール(B)を0.5質量%以上、10質量%以下、シリコーン化合物(C)を0.05質量%以上、6質量%以下、及び非イオン性界面活性剤(D)を1.0質量%以上、8.0質量%以下含有するものであり該繊維製品処理剤組成物におけるアルコール(B)に対するカチオン性化合物の混合物(A)の質量比[(A)/(B)]が1以上、10以下であり、該繊維製品処理剤組成物に含有される非イオン性界面活性剤(D)として、炭素数10以上、14以下のアルキル基を有しエチレンオキサイド平均付加モル数が10以上、40以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いる、繊維製品における水の濡れ戻りを抑制する方法

    (式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数16以上、22以下の脂肪酸からOH基を除いた残基、又は水素原子を示す。但しRとRとは同時に水素原子であることはない。Rは、炭素数1以上、3以下のアルキル基、炭素数1以上、3以下のヒドロキシアルキル基、又はR−O−C−を示す。Rは、炭素数1以上、3以下のアルキル基又は水素原子を示す。Yは酸素原子又はNH基を示す。mは2又は3を示す。Zは有機又は無機の陰イオンを示す。)
  2. アルコール(B)が、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、及びステアリルアルコールから選ばれる1種以上である、請求項1に記載の方法
  3. 一般式(I)においてR、Rが、いずれも炭素数16以上、22以下の脂肪酸からOH基を除いた残基である、請求項1又は2に記載の方法
  4. シリコーン化合物(C)が、ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法
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