JP2023069883A - 異方導電性部材、異方導電性部材の製造方法、構造体及び構造体の製造方法 - Google Patents

異方導電性部材、異方導電性部材の製造方法、構造体及び構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2023069883000001
【課題】種類が異なる電子デバイスを高い信頼性で接合できる異方導電性部材、異方導電性部材の製造方法、構造体及び構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】異方導電性部材は、絶縁膜の厚み方向に貫通し、互いに電気的に絶縁された状態で設けられた、複数の導体と、絶縁膜の少なくとも一方の面を覆う有機層とを有する異方導電性部材であって、有機層は、表面が露出した状態において、絶縁膜の面からの厚みが厚い部分と厚みが薄い部分とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁膜を厚み方向に貫通し、互いに電気的に絶縁された状態で設けられた、複数の導体と、絶縁膜の少なくとも一方の面を覆う有機層とを有する異方導電性部材、異方導電性部材の製造方法、構造体及び構造体の製造方法に関し、特に、表面が露出した状態において、絶縁膜の面からの厚みが厚い部分と厚みが薄い部分とを有する有機層を有する異方導電性部材、異方導電性部材の製造方法、構造体及び構造体の製造方法に関する。
絶縁性基材に設けられた複数の貫通孔に金属等の導電性物質が充填されてなる構造体は、近年ナノテクノロジーでも注目されている分野のひとつであり、例えば、異方導電性部材としての用途が期待されている。
異方導電性部材は、半導体素子等の電子部品と回路基板との間に挿入し、加圧するだけで電子部品と回路基板間の電気的接続が得られるため、半導体素子等の電子部品等の電気的接続部材、及び機能検査を行う際の検査用コネクタ等として広く使用されている。
特に、半導体素子等の電子部品は、ダウンサイジング化が顕著である。従来のワイヤーボンディングのような配線基板を直接接続する方式、フリップチップボンディング、及びサーモコンプレッションボンディング等では、電子部品の電気的な接続の安定性を十分に保証することができない場合があるため、電子接続部材として、インターポーザ及び異方導電性部材等が注目されている。
例えば、特許文献1には、絶縁性基材と、導電性部材からなる複数の導通路と、絶縁性基材の表面の全面に設けられた樹脂層とを具備する異方導電性接合部材が記載されている。樹脂層は熱硬化性樹脂を含有する。導通路は互いに絶縁された状態で絶縁性基材を厚み方向に貫通して設けられている。導通路は、絶縁性基材の表面から突出した突出部分を有しており、突出部分の端部が樹脂層に埋設している。
特開2018-37509号公報
現在、複数の電子デバイスを、1つのインターポーザに接合して、高速な信号処理をすることが試みられている。複数の電子デバイスが同種の場合をホモジニアスといい、複数の電子デバイスが異種の場合をヘテロジニアスという。
複数の電子デバイスが異種の場合では、電子デバイスの電極の高さ又は電極の間隔が、電子デバイスの種類により異なることがある。このような複数の電子デバイスを、インターポーザにかえて、異方導電性部材に接合する場合、上述の特許文献1の異方導電性部材のように、均一な厚みの樹脂層を絶縁性基材の表面の全面に設けた構成では、接合する複数の電子デバイスの組み合わせによっては、樹脂層の厚みが均一なため接合が不十分になる等、十分な接合強度が得られない可能性がある。このため、電子デバイスの接合に関し、十分な信頼性が得られないことがある。
本発明の目的は、種類が異なる電子デバイスを高い信頼性で接合できる異方導電性部材、異方導電性部材の製造方法、構造体及び構造体の製造方法を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様は、絶縁膜の厚み方向に貫通し、互いに電気的に絶縁された状態で設けられた、複数の導体と、絶縁膜の少なくとも一方の面を覆う有機層とを有する異方導電性部材であって、有機層は、表面が露出した状態において、絶縁膜の面からの厚みが厚い部分と厚みが薄い部分とを有する、異方導電性部材を提供するものである。
有機層は、厚みが厚い部分と厚みが薄い部分との間は厚みが連続的に変化していることが好ましい。
有機層は、絶縁膜側に配置された第1の層と、第1の層上に点在して配置された有機部材とを有することが好ましい。
有機層は、多層構造を有することが好ましい。
有機層は、絶縁膜側よりも絶縁膜の反対側の方が接触角が小さいことが好ましい。
有機層は、第1の層よりも有機部材の方が接触角が小さいことが好ましい。
本発明の一態様は、絶縁膜の厚み方向に貫通し、互いに電気的に絶縁された状態で設けられた、複数の導体と、絶縁膜の少なくとも一方の面を覆う有機層とを有する異方導電性部材の製造方法であって、絶縁膜の少なくとも一方の面に対して、有機層を形成する組成物の適用量を変えて有機層を形成する工程を有する、異方導電性部材の製造方法を提供するものである。
有機層を形成する工程は、有機層を形成する組成物の適用量を変えて、有機層の厚みが厚い部分と厚みが薄い部分とを、厚みが厚い部分と厚みが薄い部分との間を連続的に厚みを変化させて、有機層を形成することが好ましい。
有機層を形成する工程は、絶縁膜側に第1の層を形成する工程と、第1の層上に有機部材を点在させて形成する工程とを有することが好ましい。
有機層は、多層構造を有することが好ましい。
第1の層よりも有機部材の方が接触角が小さいことが好ましい。
有機層は、接触角が異なる層を有し、有機層を形成する工程は、接触角が小さい層を、絶縁膜の反対側に形成して、部分的に厚みが異なる有機層を形成することが好ましい。
有機層を形成する工程は、均一な厚みの第1の層を形成する工程と、第1の層の表面に対して、部分的に第2の層を形成する工程を有することが好ましい。
第1の層よりも第2の層の方が、接触角が小さいことが好ましい。
有機層を形成する工程は、インクジェット法及び塗布法のうち、少なくとも1つの方法を含む工程を有することが好ましい。
有機層を形成する工程は、均一な厚みのベース層を形成する工程と、ベース層に対して、パターンエッチング処理を施し、部分的に厚みを変える工程とを有することが好ましい。
本発明の一態様は、異方導電性部材に、複数の電子デバイスが電気的に接続された構造体であって、複数の電子デバイスは、異方導電性部材に電気的に接続される電極を複数有し、複数の電子デバイスは、それぞれ電極の高さ、幅及び電極間距離のうち、少なくとも1つが異なる、構造体を提供するものである。
複数の電子デバイスは、それぞれ機能及び半導体種のうち、少なくとも一方が異なることが好ましい。
複数の電子デバイスは、それぞれ厚さが異なることが好ましい。
本発明の一態様は、異方導電性部材に、複数の電子デバイスが電気的に接続された構造体の製造方法であって、複数の電子デバイスは、異方導電性部材に電気的に接続される電極を複数有し、複数の電子デバイスは、それぞれ電極の高さ、幅及び電極間距離のうち、少なくとも1つが異なり、かつ高さが異なり、高さが低い順に複数の電子デバイスを異方導電性部材に載置して、複数の電子デバイスを接合する工程を有する、構造体の製造方法を提供するものである。
複数の電子デバイスは、それぞれ機能及び半導体種のうち、少なくとも一方が異なることが好ましい。
本発明によれば、種類の異なる電子デバイスを接合しても、接合の信頼性が高い異方導電性部材、異方導電性部材の製造方法、構造体及び構造体の製造方法を提供できる。
本発明の実施形態の異方導電性部材の第1の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の第1の例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の第2の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の第3の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の第4の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の第5の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の第6の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の第7の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の製造方法の第2の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の製造方法の第3の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の製造方法の第4の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の製造方法の第5の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の製造方法の第6の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の製造方法の第7の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の製造方法の第7の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材を構成する異方導電層の製造方法の一例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材を構成する異方導電層の製造方法の一例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材を構成する異方導電層の製造方法の一例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材を構成する異方導電層の製造方法の一例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材を構成する異方導電層の製造方法の一例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材を構成する異方導電層の製造方法の一例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材を構成する異方導電層の製造方法の一例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の構造体の第1の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の構造体の第2の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の構造体の第2の例の製造方法の一例を示す模式図である。 下側チップを示す模式図である。 第1テストチップ示す模式図である。 第2テストチップ示す模式図である。 第3テストチップ示す模式図である。 下側チップと、第1テストチップ、第2テストチップ及び第3テストチップとの接合状態を示す模式図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の異方導電性部材、異方導電性部材の製造方法、構造体及び構造体の製造方法を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「~」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α~数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
「具体的な数値で表された角度」、「平行」、及び「垂直」については、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
温度及び時間について、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
また、「同一」とは、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。また、「全面」等は、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
[異方導電性部材の第1の例]
図1は本発明の実施形態の異方導電性部材の第1の例を示す模式的断面図であり、図2は本発明の実施形態の異方導電性部材の第1の例を示す模式的平面図である。図2は図1の絶縁膜12の表面12a側から見た平面図であり、図1に示す有機層20の図示を省略している。
図1に示す異方導電性部材10は、電気的な絶縁性を有する絶縁膜12と、絶縁膜12を厚み方向Dtに貫通し、互いに電気的に絶縁された状態で設けられた、複数の導体14と、絶縁膜12の少なくとも一方の面を覆う有機層20とを有する。
複数の導体14は、絶縁膜12に、互いに電気的に絶縁された状態で配置されている。この場合、例えば、絶縁膜12は、厚み方向Dtに貫通する複数の細孔13を有する。複数の細孔13に導体14が設けられている。導体14は、絶縁膜12の表面12aから突出している。また、導体14は、絶縁膜12の裏面12bから突出している。
導体14は、絶縁膜12の厚み方向Dtにおける一方の面から突出していてもよく、この場合、導体14が突出している絶縁膜12の面に有機層20を設けることが好ましい。
なお、絶縁膜12と複数の導体14とにより、異方導電層16が構成される。絶縁膜12は、例えば、陽極酸化膜15で構成される。絶縁膜12の表面12aと絶縁膜12の裏面12bとは、絶縁膜12の厚み方向Dtにおいて対向する面である。
異方導電性部材10は異方導電性を有するものであり、厚み方向Dtに導電性を有するが、絶縁膜12の表面12aに平行な方向における導電性が十分に低い。
異方導電性部材10は、図2に示すように、例えば、外形が四角形である。なお、異方導電性部材10の外形は、四角形に限定されるものではなく、例えば、円形でもよい。異方導電性部材10の外形は、用途、作製しやすさ等に応じた形状とすることができる。
図1に示す異方導電性部材10は、上述のように絶縁膜12の少なくとも一方の面を覆う有機層20を有する。有機層20は、表面20aが露出した状態において、絶縁膜12の面からの厚みが部分的に異なる部分20bがある。図1に示す異方導電性部材10では、厚みが異なる部分20bにより、有機層20に凹部20cと凸部20dとが形成される。有機層20は厚みが均一ではない。有機層20の厚みが薄い部分が凹部20cであり、厚みが厚い部分が凸部20dである。有機層20は厚みが厚い部分と厚みが薄い部分とを有する。
絶縁膜12の表面12a側において、絶縁膜12の表面12aから有機層20の凸部20dの表面20a迄の平均厚みhmは、絶縁膜12の表面12a側の厚みが部分的に異なる部分20bの平均厚みhjよりも厚い。平均厚みhjは、絶縁膜12の表面12aから有機層20の凹部20cの表面20a迄の厚みである。
同様に、絶縁膜12の裏面12b側において、絶縁膜12の裏面12bから有機層20の凸部20dの表面20a迄の平均厚みhmは、絶縁膜12の裏面12b側の厚みが部分的に異なる部分20bの平均厚みhjよりも厚い。
有機層20は、導体14に接続される接続対象である電子デバイスの電極を固定するものであり、電子デバイスの接合の際に電極の周囲に有機層20が充填される。
有機層20は、導体14に接続される電子デバイスの電極の厚み等に応じた厚みを有する。有機層20は凹部20cよりも凸部20dの方が厚い。この場合、凸部20dに、電極サイズが大きな電子デバイスを接合でき、凹部20cに電極サイズが小さな電子デバイスを接合できる。このように電子デバイスとして電極サイズが異なるものが接合でき、種類が異なる電子デバイスを接合できる。この場合、有機層20の構成を、表面20aが露出した状態において、絶縁膜12の面からの厚みが部分的に異なる部分20bがあり、有機層20は、絶縁膜12の面からの厚みが薄い部分と、厚みが厚い部分とを有する構成とすることにより、電子デバイスの接合の際に電極の周囲を有機層20で埋めることができる。このことから、異方導電性部材10は、種類の異なる電子デバイスを接合した場合、種類が異なる電子デバイスを高い信頼性で接合できる。
なお、電子デバイスの電極サイズとは、電極の高さ、幅及び電極間距離のうち、少なくとも1つのことである。
また、異方導電性部材10は、有機層20の表面20aに何もない状態で接合される。
[異方導電性部材の第2の例]
図3は本発明の実施形態の異方導電性部材の第2の例を示す模式的断面図である。図3において、図1に示す構成と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
異方導電性部材10aは、図1に示す異方導電性部材10に比して、有機層20の構成が異なり、それ以外の構成は、図1に示す異方導電性部材10と同様の構成である。
異方導電性部材10aの有機層20は、絶縁膜12側に配置された第1の層21と、第1の層21上に点在して配置された有機部材22aとを有するものであり、第1の層21と有機部材22aとの複合層22である。第1の層21は、絶縁膜12の表面20a及び裏面12bにそれぞれ形成されている。有機部材22aは、第1の層21上に点在して層状に配置されている。有機部材22aは、例えば、インクジェット法により形成される。
点在して配置された複数の有機部材22aの最も高いところを結んで構成される面が、有機層20の表面20aに相当する。また、第1の層21上のうち、有機部材22aの間を除く、有機部材22aが配置されていない領域も有機層20の表面20aに相当する。有機部材22aが配置されているところが上述の有機層20の凸部20dに相当し、有機部材22aが配置されていないところが上述の有機層20の凹部20cに相当する。異方導電性部材10aの有機層20は、異方導電性部材10(図1参照)と同様に、表面20aが露出した状態において、絶縁膜12の面からの厚みが部分的に異なる部分20bがある構成であり、有機層20は絶縁膜12の面からの厚みが薄い部分と、厚みが厚い部分とを有する。
異方導電性部材10aでは、有機部材22aが配置された凸部20dに相当する領域に電極サイズが大きな電子デバイスが接合され、第1の層21に電極サイズが小さな電子デバイスが接合される。異方導電性部材10aは、異方導電性部材10(図1参照)と同様に種類の異なる電子デバイスを接合した場合、種類が異なる電子デバイスを高い信頼性で接合できる。
第1の層21よりも有機部材22aの方が接触角が小さいことが好ましい。これにより、電子デバイスの接合時に有機層20が加熱されると、有機部材22aが広がりやすく、電子デバイスを接合した際に電極の周囲に有機部材22aを充填しやすくなるため好ましい。なお、接触角は、水に対する接触角である。
[異方導電性部材の第3の例]
図4は本発明の実施形態の異方導電性部材の第3の例を示す模式的断面図である。図4において、図1に示す構成と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
異方導電性部材10bは、図1に示す異方導電性部材10に比して、有機層20の構成が異なり、それ以外の構成は、図1に示す異方導電性部材10と同様の構成である。
異方導電性部材10bの有機層20は、絶縁膜12側に配置された第1の層21と、第1の層21上に配置された第2の層23とを有する。有機層20は第1の層21と第2の層23との多層構造である。第1の層21は絶縁膜12の表面20a及び裏面12bの全面にそれぞれ形成されている。第2の層23は、第1の層21上に部分的に配置されている。第2の層23は、例えば、インクジェット法又は塗布法により形成される。
第1の層21及び第2の層23の表面が有機層20の表面20aに相当する。第2の層23が上述の有機層20の凸部20dに相当し、第2の層23が配置されていない第1の層21上が有機層20の凹部20cに相当する。異方導電性部材10bの有機層20は、異方導電性部材10(図1参照)と同様に、表面20aが露出した状態において、絶縁膜12の面からの厚みが部分的に異なる部分20bがある構成であり、有機層20は、絶縁膜12の面からの厚みが薄い部分と、厚みが厚い部分とを有する。
異方導電性部材10bでは、第2の層23で構成された凸部20dに相当する領域に電極サイズが大きな電子デバイスが接合され、第1の層21に電極サイズが小さな電子デバイスが接合される。異方導電性部材10bは、異方導電性部材10(図1参照)と同様に種類の異なる電子デバイスを接合した場合、種類が異なる電子デバイスを高い信頼性で接合できる。
また、有機層20を多層構造とすることにより、有機層20を構成する層の接触角、表面エネルギーを異なるもので構成することができる。例えば、有機層20の最表面を接触角が小さいもので構成することにより、電子デバイスの接合時に有機層20が加熱されると広がりやすく、電子デバイスを接合した際に電極の周囲に有機層20を充填しやすくなるため好ましい。
接触角は、水に対する接触角であり、JIS(Japanese Industrial Standards) R3257 基板ガラス表面のぬれ性試験方法の手法をもとに、有機層表面に水を滴下して測定する。接触角の測定装置には、全自動接触角計DMo-902(商品名、協和界面科学株式会社製)が用いられる。
[異方導電性部材の第4の例]
図5は本発明の実施形態の異方導電性部材の第4の例を示す模式的断面図である。図5において、図1に示す構成と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
異方導電性部材10cは、図1に示す異方導電性部材10に比して、有機層20の構成が異なり、それ以外の構成は、図1に示す異方導電性部材10と同様の構成である。
異方導電性部材10cの有機層20は、絶縁膜12側に配置された第1の層21と、第1の層21上に配置された第2の層24とを有する。有機層20は第1の層21と第2の層24との多層構造である。第1の層21は絶縁膜12の表面20a及び裏面12bの全面にそれぞれ形成されている。第2の層24は第1の層21の全面に配置されており、第2の層24は、絶縁膜12の面からの厚みが部分的に異なり、有機層20は、絶縁膜12の面からの厚みが薄い部分と、厚みが厚い部分とを有する。第2の層24は、例えば、インクジェット法又はナノインプリント法により形成される。
第2の層24の表面が有機層20の表面20aに相当する。第2の層24の厚みが厚い部分が上述の有機層20の凸部20dに相当し、第2の層24の厚みが薄い部分が有機層20の凹部20cに相当する。異方導電性部材10cの有機層20は、異方導電性部材10(図1参照)と同様に、表面20aが露出した状態において、絶縁膜12の面からの厚みが部分的に異なる部分20bがある構成であり、有機層20は、絶縁膜12の面からの厚みが薄い部分と、厚みが厚い部分とを有する。
異方導電性部材10cでは、第2の層23で構成された凸部20dに相当する領域に電極サイズが大きな電子デバイスが接合され、第1の層21に電極サイズが小さな電子デバイスが接合される。異方導電性部材10cは、異方導電性部材10(図1参照)と同様に種類の異なる電子デバイスを接合した場合、種類が異なる電子デバイスを高い信頼性で接合できる。
また、有機層20を多層構造とすることにより、有機層20を構成する層の接触角、表面エネルギーを異なるもので構成することができる。例えば、有機層20の最表面を接触角が小さいもので構成することにより、電子デバイスの接合時に有機層20が加熱されると広がりやすく、電子デバイスを接合した際に電極の周囲に有機層20を充填しやすくなるため好ましい。
[異方導電性部材の第5の例]
図6は本発明の実施形態の異方導電性部材の第5の例を示す模式的断面図である。図6において、図1に示す構成と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
異方導電性部材10dは、図1に示す異方導電性部材10に比して、有機層20の構成が異なり、それ以外の構成は、図1に示す異方導電性部材10と同様の構成である。
異方導電性部材10bの有機層20は、厚みが厚い部分と厚みが薄い部分とを有し、厚みが厚い部分と厚みが薄い部分との間20fは厚みが連続的に変化している。厚みが厚い部分が凸部20dであり、厚みが薄い部分が凹部20cである。有機層20では凹部20cと凸部20dとの間20fに傾斜部20eがある。傾斜部20eは、凹部20cから凸部20dに向かうにつれて厚みが単調に厚くなるように変化している。傾斜部20eの傾斜角θを有する。
有機層20の傾斜角θの角度は、絶縁膜12の表面20a又は裏面12bに対して水平な線と傾斜部20eとのなす角の角度であり、有機層20の「スロープの傾斜を示す指標」=1/tanθの関係が成立する。
スロープの傾斜を示す指標は5以下が好ましく、1以下がさらに好ましい。スロープの傾斜を示す指標が5以下であれば、隣接チップを近づけて配置でき、接続される電子デバイスの設置精度に依存するずれがあっても、傾斜部の影響が少なくなる。例えば、傾斜部が膜厚10μmの場合、接続ロスが2μm以下に抑制されるため、接続ロスの影響が少なくなる。
傾斜部20eの傾斜角θの角度は、有機層20を含む異方導電性部材10dを絶縁膜12の厚み方向Dtに切断して得られた断面画像を取得し、断面画像において、絶縁膜12の表面20a又は裏面12bと、傾斜部20eとを特定し、絶縁膜12の表面20a又は裏面12bに対して垂直な線を引き、傾斜部20eとのなす傾斜角θを特定する。特定した傾斜角θの角度を公知の方法を用いて得る。
異方導電性部材10dの有機層20は、異方導電性部材10(図1参照)と同様に表面20aが露出した状態において、絶縁膜12の面からの厚みが部分的に異なる部分20bがある構成であり、有機層20は、絶縁膜12の面からの厚みが薄い部分と、厚みが厚い部分とを有する。
異方導電性部材10dでは、異方導電性部材10(図1参照)と同様に、有機層20の凸部20dに電極サイズが大きな電子デバイスが接合され、凹部20cに電極サイズが小さな電子デバイスが接合される。異方導電性部材10dは、異方導電性部材10(図1参照)と同様に種類の異なる電子デバイスを接合した場合、種類が異なる電子デバイスを高い信頼性で接合できる。
有機層20は、凹部20cと凸部20dとの間20fに傾斜部20eがあり、傾斜部20eは、凹部20cから凸部20dに向かうにつれて厚みが単調に厚くなるように変化しているが、連続的に変化していれば、これに限定されるものではない。凹部20cと凸部20dとの間20fの傾斜部20eは、始点の凹部20cよりも終点の凸部20dが高ければ、始点から終点に凸状に変化しても、凹状に変化してもよく、傾斜部20eの表面の形状は指数関数状でも、対数関数状でも、2次関数状でもよい。
[異方導電性部材の第6の例]
図7は本発明の実施形態の異方導電性部材の第6の例を示す模式的断面図である。図7において、図6に示す構成と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
異方導電性部材10eは、図6に示す異方導電性部材10dに比して、有機層20の構成が異なり、それ以外の構成は、図6に示す異方導電性部材10dと同様の構成である。
異方導電性部材10dの有機層20は、絶縁膜12側に配置された第1の層21と、第1の層21上に部分的に配置された第2の層25とを有する。有機層20は第1の層21と第2の層25との多層構造である。第1の層21は絶縁膜12の表面20a及び裏面12bの全面にそれぞれ形成されている。第2の層25は第1の層21上に部分的に配置されている。また、有機層20は傾斜部20eを有する。第2の層25は、例えば、インクジェット法により形成される。
傾斜部20eの傾斜角θの角度は、絶縁膜12の表面20a又は裏面12bに対して水平な線と傾斜部20eとのなす角の角度であり、有機層20の「スロープの傾斜を示す指標」=1/tanθの関係が成立する。
スロープの傾斜を示す指標は5以下が好ましく、1以下がさらに好ましい。スロープの傾斜を示す指標が5以下であれば、隣接チップを近づけて配置でき、接続される電子デバイスの設置精度に依存するずれがあっても、傾斜部の影響が少なくなる。例えば、傾斜部が膜厚10μmの場合、接続ロスが2μm以下に抑制されるため、接続ロスの影響が少なくなる。
傾斜部20eの傾斜角θの角度は、上述の異方導電性部材10dと同様に測定される。
異方導電性部材10eの有機層20は、異方導電性部材10(図1参照)と同様に表面20aが露出した状態において、絶縁膜12の面からの厚みが部分的に異なる部分20bがある構成であり、有機層20は、絶縁膜12の面からの厚みが薄い部分と、厚みが厚い部分とを有する。
異方導電性部材10eでは、異方導電性部材10(図1参照)と同様に、有機層20の凸部20dに電極サイズが大きな電子デバイスが接合され、凹部20cに電極サイズが小さな電子デバイスが接合される。異方導電性部材10eは、異方導電性部材10(図1参照)と同様に種類の異なる電子デバイスを接合した場合、種類が異なる電子デバイスを高い信頼性で接合できる。
また、有機層20を多層構造とすることにより、有機層20を構成する層の接触角、表面エネルギーを異なるもので構成することができる。例えば、有機層20の最表面を接触角が小さいもので構成することにより、電子デバイスの接合時に有機層20が加熱されると広がりやすく、電子デバイスを接合した際に電極の周囲に有機層20を充填しやすくなるため好ましい。
[異方導電性部材の第7の例]
図8は本発明の実施形態の異方導電性部材の第6の例を示す模式的断面図である。図8において、図6に示す構成と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
異方導電性部材10fは、図6に示す異方導電性部材10dに比して、有機層20の構成が異なり、それ以外の構成は、図6に示す異方導電性部材10dと同様の構成である。
異方導電性部材10fの有機層20は、絶縁膜12側に配置された第1の層21と、第1の層21上の全面に配置された第2の層26とを有する。有機層20は第1の層21と第2の層26との多層構造である。第1の層21は絶縁膜12の表面20a及び裏面12bの全面にそれぞれ形成されている。第2の層26は第1の層21の全面に配置されており、第2の層26は、絶縁膜12の面からの厚みが部分的に異なり、有機層20は、絶縁膜12の面からの厚みが薄い部分と、厚みが厚い部分とを有する。また、有機層20は傾斜部20eを有する。第2の層26は、例えば、インクジェット法又はナノインプリント法により形成される。
傾斜角θの角度は、絶縁膜12の表面20a又は裏面12bに対して水平な線と傾斜部20eとのなす角の角度であり、有機層20の「スロープの傾斜を示す指標」=1/tanθの関係が成立する。
スロープの傾斜を示す指標は5以下が好ましく、1以下がさらに好ましい。スロープの傾斜を示す指標が5以下であれば、隣接チップを近づけて配置でき、接続される電子デバイスの設置精度に依存するずれがあっても、傾斜部の影響が少なくなる。例えば、傾斜部が膜厚10μmの場合、接続ロスが2μm以下に抑制されるため、接続ロスの影響が少なくなる。
傾斜部20eの傾斜角θの角度は、上述の異方導電性部材10dと同様に測定される。
異方導電性部材10fの有機層20は、異方導電性部材10(図1参照)と同様に表面20aが露出した状態において、絶縁膜12の面からの厚みが部分的に異なる部分20bがある構成であり、有機層20は、絶縁膜12の面からの厚みが薄い部分と、厚みが厚い部分とを有する。
異方導電性部材10fでは、異方導電性部材10(図1参照)と同様に、有機層20の凸部20dに電極サイズが大きな電子デバイスが接合され、凹部20cに電極サイズが小さな電子デバイスが接合される。異方導電性部材10eは、異方導電性部材10(図1参照)と同様に種類の異なる電子デバイスを接合した場合、種類が異なる電子デバイスを高い信頼性で接合できる。
また、有機層20を多層構造とすることにより、有機層20を構成する層の接触角、表面エネルギーを異なるもので構成することができる。例えば、有機層20の最表面を接触角が小さいもので構成することにより、電子デバイスの接合時に有機層20が加熱されると広がりやすく、電子デバイスを接合した際に電極の周囲に有機層20を充填しやすくなるため好ましい。
以下、構造体の構成についてより具体的に説明する。
〔絶縁膜〕
絶縁膜12は、導電体で構成された、複数の導体14を互いに電気的に絶縁された状態にするものである、絶縁膜は、電気的な絶縁性を有する。また、絶縁膜12は、導体14が形成される複数の細孔13を有する。絶縁膜の組成等については後に説明する。
絶縁膜12の厚み方向Dtにおける長さ、すなわち、絶縁膜12の厚みhtは、1~1000μmの範囲内であるのが好ましく、5~500μmの範囲内であるのがより好ましく、10~300μmの範囲内であるのが更に好ましい。絶縁膜12の厚みhtがこの範囲であると、絶縁膜12の取り扱い性が良好となる。
絶縁膜12の厚みhtは、巻き取りやすさの観点から、30μm以下であることが好ましく、5~20μmであることがより好ましい。
なお、絶縁膜の厚みは、絶縁膜を厚み方向Dtに対して集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)を用いて切削加工し、その断面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて表面写真(倍率5万倍)を撮影し、10点測定した平均値として算出した値である。
<細孔の平均直径>
細孔13の平均直径は、1μm以下であることが好ましく、5~500nmであることがより好ましく、20~400nmであることが更に好ましく、40~200nmであることがより一層好ましく、50~100nmであることが最も好ましい。細孔13の平均直径dが1μm以下であり、上述の範囲であると、上述の平均直径を有する導体14を得ることができる。
細孔13の平均直径は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて絶縁膜12の表面を真上から倍率100~10000倍で撮影し撮影画像を得る。撮影画像において、周囲が環状に連なっている細孔を少なくとも20個抽出し、その直径を測定し開口径とし、これら開口径の平均値を細孔の平均直径として算出する。
なお、倍率は、細孔を20個以上抽出できる撮影画像が得られるように上述した範囲の倍率を適宜選択することができる。また、開口径は、細孔部分の端部間の距離の最大値を測定する。すなわち、細孔の開口部の形状は略円形状に限定はされないので、開口部の形状が非円形状の場合には、細孔部分の端部間の距離の最大値を開口径とする。従って、例えば、2以上の細孔が一体化したような形状の細孔の場合にも、これを1つの細孔とみなし、細孔部分の端部間の距離の最大値を開口径とする。
〔導体〕
複数の導体14は、上述のように、絶縁膜12、例えば、陽極酸化膜15において、互いに電気的に絶縁された状態で設けられている。
複数の導体14は、電気導電性を有する。導体は、導電性物質で構成される。導電性物質は、特に限定されるものではなく、金属が挙げられる。金属の具体例としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)及びコバルト(Co)等が好適に例示される。電気伝導性の観点から、銅、金、アルミニウム、ニッケル及びコバルトが好ましく、銅及び金がより好ましく、銅が最も好ましい。
金属は酸化物導電体に比して延性等に優れ変形しやすく、接合の際の圧縮でも変形しやすいため、導体は金属で構成することが好ましい。
厚み方向Dtにおける導体14の高さは、10~300μmであることが好ましく、20~30μmであることがより好ましい。
<導体の形状>
導体14の平均直径dは、1μm以下であることが好ましく、5~500nmであることがより好ましく、20~400nmであることがさらに好ましく、40~200nmであることがより一層好ましく、50~100nmであることが最も好ましい。
導体14の密度は、2万個/mm2以上であることが好ましく、200万個/mm2以上であることがより好ましく、1000万個/mm2以上であることがさらに好ましく、5000万個/mm2以上であることが特に好ましく、1億個/mm2以上であることが最も好ましい。
さらに、隣接する各導体14の中心間距離pは、20nm~500nmであることが好ましく、40nm~200nmであることがより好ましく、50nm~140nmであることがさらに好ましい。
導体の平均直径は、走査電子顕微鏡を用いて絶縁膜の表面を真上から倍率100~10000倍で撮影し撮影画像を得る。撮影画像において、周囲が環状に連なっている導体を少なくとも20個抽出し、その直径を測定し開口径とし、これら開口径の平均値を導体の平均直径として算出する。
なお、倍率は、導体を20個以上抽出できる撮影画像が得られるように上述した範囲の倍率を適宜選択することができる。また、開口部の形状が非円形状の場合には、導体部分の端部間の距離の最大値を開口径とする。従って、例えば、2以上の導体が一体化したような形状の導体の場合にも、これを1つの導体とみなし、導体部分の端部間の距離の最大値を開口径とする。導体14の平均直径dは、突出部の平均径と同じである。
隣接する各導体14の中心間距離pは、上述のようにして得た絶縁膜12の撮影画像において、特定した導体の中心位置(図示せず)を、さらに特定する。隣接する導体の中心位置の間の距離を10箇所に求めた。この平均値を、隣接する各導体14の中心間距離pとした。中心位置は、上述の撮影画像において導体14に相当する領域の中心位置である。なお、撮影画像において、領域の中心位置の算出には、公知の画像解析法が用いられる。
<突出部>
突出部は導体の一部であり、柱状である。突出部は、接合対象との接触面積を大きくできることから、円柱状であることが好ましい。
突出部14aの平均突出長さha及び突出部14bの平均長さhbは、10nm~1000nmであることが好ましく、50nm~500nmがより好ましい。平均突出長さha及び平均長さhbが10nm~1000nmであれば、有機層20と絶縁膜12との密着性が良好になる。
導体14の平均突出長さha、hbは、有機層20の凹部20cの表面20a迄の平均厚みhj未満であることが好ましい。導体14の突出部14aの平均突出長さha及び突出部14bの平均長さhbは、いずれも有機層20の凹部20cの表面20a迄の平均厚みhj未満であれば、突出部14a、14bは、いずれも有機層20に埋設され、導体14が有機層20により保護される。
突出部14aの平均突出長さha及び突出部14bの平均長さhbは、上述のように走査電子顕微鏡を用いて突出部の断面画像を取得し、断面画像に基づき、突出部の高さを、それぞれ10点測定し、測定した平均値である。
導体14に関し、隣接する突出部との間隔は、20nm~200nmであることが好ましく、40nm~100nmであることがより好ましい。隣接する突出部との間隔が上述の範囲であると、導体14の絶縁膜12の表面12a又は裏面12bで導体14の間隔を維持できる。これにより、電子デバイスの接合時において、導体14の短絡が抑制され、接合時の信頼性がさらに増す。
〔有機層〕
有機層は、上述のように絶縁膜の表面及び裏面のうち、少なくとも一方の面を覆うものであり、絶縁膜及び導体を保護する。また、有機層は、電子デバイスの接合時には、電子デバイスの電極の周囲を充填する。
有機層は、上述の機能を発揮するために、例えば、50℃~200℃の温度範囲で流動性を示し、200℃以上で硬化するものであることが好ましい。また、有機層は、加熱されると広がりやすいことから接触角が小さいことが好ましい。有機層は、例えば、熱可塑性樹脂等で構成される熱可塑性層であるが、有機層については後に詳細に説明する。
有機層20の平均厚みhmは、10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下である。有機層20の平均厚みhmが上述の10μm以下であれば、導体14の突出部を保護し、かつ電子デバイスの接合の際に電極の周囲を充填する効果を十分に発揮できる。
有機層20の平均厚みhmは、絶縁膜12の表面12aからの平均距離、又は絶縁膜12の裏面12bからの平均距離である。上述の有機層20の平均厚みhmは、樹脂層を異方導電性部材10の厚み方向Dtに切断し、走査電子顕微鏡を用いて切断断面の断面観察を行い、有機層に該当する、10箇所について絶縁膜12の表面12aからの距離を測定した場合の10点の測定値の平均値である。また、有機層に該当する、10箇所について絶縁膜12の裏面12bからの距離を測定した場合の10点の測定値の平均値である。
[異方導電性部材の製造方法の第1の例~第7の例]
図9~11は本発明の実施形態の異方導電性部材の製造方法の第1の例を工程順に示す模式的断面図である。図9~11において、図1に示す異方導電性部材10と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
異方導電性部材の製造方法の第1の例では、まず、図9に示すように異方導電層16を用意する。異方導電層16は、絶縁膜12と複数の導体14とを有するものであり、異方導電性部材10の有機層20がない状態の構成である。異方導電層16の製造方法は後に説明する。
有機層を形成する工程においては、次に、図10に示すように、絶縁膜12の表面12a及び裏面12bに、均一な厚みのベース層27を形成する。例えば、スピンコート法又は塗布法を用いて、ベース層27を形成する。
ベース層27は、最終的に有機層20又は第1の層21になるものである。このため、有機層20又は第1の層21は、ベース層27と同じ材料で構成される。また、ベース層27の厚みは、有機層20の構成及び厚み等により決定される。
次に、ベース層27にパターンエッチング処理を施し、部分的に厚みを変えて凹部20c(図1参照)と凸部20d(図1参照)とを形成する。これにより、図1に示す有機層20が形成されて、異方導電性部材10が得られる。パターンエッチング処理で有機層20を形成する場合、有機層20は感光性組成物で構成されることが好ましい。
パターンエッチング処理は、ベース層27に応じた波長を光を露光光に用いて、パターン露光を行い、その後、現像処理を実施する工程である。
上述のように、例えば、ベース層27にパターンエッチング処理を施し、有機層20を形成する組成物の適用量を変えて有機層20を形成している。有機層20を形成する組成物とは、例えば、感光性組成物である。
また、異方導電性部材の製造方法の第1の例では、図10に示すように、絶縁膜12の表面12a及び裏面12bに、均一な厚みのベース層27を形成した後、図11に示すように、モールド28をベース層27に対向して配置する。モールド28は、形成する有機層20の表面形状に対応した凸部28aを有する。
例えば、ベース層27をガラス転移温度以上に加熱した後、モールド28をベース層27に押し付け、図1に示す有機層20を形成する。モールド28の凸部28aにより凹部20c(図1参照)と凸部20d(図1参照)とが形成される。これにより、図1に示す有機層20が形成されて、異方導電性部材10が得られる。
上述のモールド28を用いた有機層20の形成方法は、ナノインプリント法と呼ばれる加工方法である。このように、例えば、ベース層27にナノインプリント法を適用して、モールド28に基づいて、ベース層27を部分的に厚い部分と薄い部分とに分ける。すなわち、有機層20を形成する組成物の適用量を変えて有機層20を形成している。この場合、有機層20を形成する組成物はベース層27である。
また、異方導電性部材の製造方法の第2の例では、図10に示すベース層27が形成された異方導電層16に対して、例えば、インクジェット法を用いて、図12に示すようにベース層27の表面27aに部分的に有機部材22aを点在させて形成する。これにより、第1の層21と有機部材22aとの複合層22(図3参照)が形成され、図3に示す異方導電性部材10aが形成される。この場合、ベース層27は第1の層21となるため、第1の層21に応じた厚みに形成する。このように、例えば、インクジェット法を用いて、有機部材22aを点在させて形成し、有機層20を形成する組成物の適用量を変えて有機層20を形成している。この場合、有機層20を形成する組成物は、有機部材22aである。
有機部材22aの大きさ、配置間隔及び配置範囲は、特に限定されるものでなく、適宜決定される。インクジェット法を用いて有機部材22aを点在させる場合、接合対象に応じて有機部材22aの配置密度を変えることができる。また、有機部材22aは第1の層21よりも接触角が小さいことが好ましい。
また、異方導電性部材の製造方法の第3の例では、図10に示すベース層27が形成された異方導電層16に対して、図13に示すようにベース層27の表面27aに部分的に第2の層23を形成する。これにより、ベース層27と第2の層23との多層構造の有機層20(図4参照)が形成され、図4に示す異方導電性部材10bが形成される。この場合、ベース層27は第1の層21となるため、第1の層21に応じた厚みに形成する。また、第2の層23はベース層27よりも接触角が小さいことが好ましい。この場合、接触角が小さい層を、絶縁膜12の反対側に形成して、部分的に厚みが異なる有機層20が形成される。上述のように、ベース層27の表面27aに部分的に第2の層23を形成しており、有機層20を形成する組成物の適用量を変えて有機層20を形成している。この場合、有機層20を形成する組成物は、第2の層23である。
また、異方導電性部材の製造方法の第4の例では、図13に示すようにベース層27の表面27aに部分的に第2の層23を形成するのではなく、図14に示すように第1の層21の全面に他の層29を形成する。他の層29は、ベース層27と同様に、例えば、スピンコート法又は塗布法を用いて形成される。
次に、例えば、他の層29をガラス転移温度以上に加熱した後、図11に示すモールド28を他の層29に押し付けて第2の層24(図5参照)を形成する。これにより、ベース層27と第2の層24との多層構造の有機層20(図5参照)が形成され、図5に示す異方導電性部材10cが得られる。この場合、ベース層27は第1の層21となるため、第1の層21に応じた厚みに形成する。他の層29は第2の層24となるため、第2の層24に応じた厚みに形成する。また、他の層29はベース層27よりも接触角が小さいことが好ましい。このように、例えば、他の層29にナノインプリント法を適用して、モールド28に基づいて、有機層20を部分的に厚い部分と薄い部分とに分ける。すなわち、有機層20を形成する組成物の適用量を変えて有機層20を形成している。この場合、有機層20を形成する組成物は他の層29である。
異方導電性部材の製造方法の第4の例では、ベース層27上に第2の層24を、例えば、インクジェット法を用いて形成することもできる。
異方導電性部材の製造方法の第5の例では、図9に示す異方導電層16に対して、絶縁膜12の表面12a及び裏面12bに、例えば、インクジェット法を用いて、傾斜部20eを有する有機層20(図6参照)を形成する。これにより、図6に示す異方導電性部材10dが得られる。
このように異方導電性部材の製造方法の第5の例では、有機層を形成する工程は、厚みが厚い部分と厚みが薄い部分とを、厚みが厚い部分と厚みが薄い部分との間を連続的に厚みを変化させて、上述のように傾斜部20eを有する有機層20(図6参照)を形成する。
異方導電性部材の製造方法の第5の例では、インクジェット法以外に、例えば、図10に示すように異方導電層16にベース層27を形成する。次に、図11に示すようにモールド28を用いる。モールド28は、傾斜部20eに対応する凸部(図示せず)を有するものとする。ベース層27を、ガラス転移温度以上に加熱した後、モールド28をベース層27に押し付けて、図15に示すように傾斜部20eを有する有機層20を形成する。これにより、図6に示す異方導電性部材10dが得られる。
異方導電性部材の製造方法の第6の例では、図10に示すベース層27が形成された異方導電層16に対して、図16に示すようにベース層27の表面27aに、例えば、インクジェット法により部分的に第2の層25を形成する。第2の層25は、傾斜部20eを有する。これにより、ベース層27と第2の層25との多層構造の有機層20(図7参照)が形成され、図7に示す異方導電性部材10eが得られる。この場合、ベース層27は第1の層21となるため、第1の層21に応じた厚みに形成する。また、第2の層25はベース層27よりも接触角が小さいことが好ましい。
また、異方導電性部材の製造方法の第6の例では、図10に示すベース層27が形成された異方導電層16に対して、例えば、図14に示すようにベース層27の全面に他の層29を形成する。
次に、例えば、他の層29をガラス転移温度以上に加熱した後、傾斜部20eに対応する凸部(図示せず)を有するモールド28を他の層29に押し付けて第2の層25を形成する。これにより、第1の層21上の全面に第2の層26(図8参照)が形成され、かつ傾斜部20eを有する有機層20(図8参照)が形成される。このようにして、図8に示す異方導電性部材10fが得られる。
また、異方導電性部材の製造方法の第7の例では、図9に示す異方導電層16に対して、絶縁膜12の表面12a及び裏面12bに、例えば、インクジェット法により図17に示す傾斜部37bを有するベース層37を形成する。ベース層37は、インクジェット法以外に、上述の均一な厚みを有するベース層27(図10参照)にモールド28(図11参照)を押し付けるナノインプリント法、又はベース層27(図10参照)にパターンエッチング処理を施すことにより、傾斜部37bを有するベース層37を形成することができる。
次に、ベース層37の表面37aに、例えば、インクジェット法又は塗布法を用いて、第2の層38を形成する。この場合、第2の層38の表面形状は、ベース層37の表面形状を反映した形状となる。このようにして、第1の層21と第2の層38の多層構造であり、かつ傾斜部20eを有する有機層20を形成することもできる。この場合でも、第2の層38はベース層37よりも接触角が小さいことが好ましい。
図10に示すように異方導電層16の両面にベース層27等を形成する場合、一方の面にベース層27等を形成した後、スピンコート法を用いて、他方の面にベース層27等を形成する場合、汚染抑止のため、多孔質のフッ素樹脂シート(ポリテトラフルオロエチレン製)を、異方導電層16を一方の面側を設けてステージ(図示せず)に吸着することが好ましい。多孔質のフッ素樹脂シートには、例えば、中興化成工業株式会社製のC-Porous(登録商標)を用いることができる。
[異方導電層の製造方法の一例]
図19~図25は本発明の実施形態の異方導電性部材を構成する異方導電層の製造方法の一例の一工程を示す模式的断面図である。なお、図19~図25において、図1に示す構成と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
異方導電性部材10を構成する異方導電層16の製造方法の一例では、図1に示す異方導電性部材10において、絶縁膜12がアルミニウムの陽極酸化膜で構成されるものを例にして説明する。アルミニウムの陽極酸化膜を形成するために、アルミニウム基板を用いる。このため、構造体の製造方法の一例では、まず、図19に示すように、アルミニウム基板30を用意する。
アルミニウム基板30は、最終的に得られる異方導電性部材10(図1参照)の絶縁膜12の厚みht(図1参照)、加工する装置等に応じて大きさ及び厚みが適宜決定されるものである。アルミニウム基板30は、例えば、矩形状の板材である。なお、アルミニウム基板に限定されるものではなく、電気的に絶縁な絶縁膜12を形成できる金属基板を用いることができる。
次に、アルミニウム基板30の片側の表面30a(図19参照)を陽極酸化処理する。これにより、アルミニウム基板30の片側の表面30a(図19参照)が陽極酸化されて、図20に示すように、アルミニウム基板30の厚み方向Dtに延在する複数の細孔13を有する絶縁膜12、すなわち、陽極酸化膜15が形成される。各細孔13の底部にはバリア層31が存在する。上述の陽極酸化する工程を陽極酸化処理工程という。
複数の細孔13を有する絶縁膜12には、上述のようにそれぞれ細孔13の底部にバリア層31が存在するが、図20に示すバリア層31を除去する。これにより、バリア層31のない、複数の細孔13を有する絶縁膜12(図21参照)を得る。なお、上述のバリア層31を除去する工程をバリア層除去工程という。
バリア層除去工程において、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いることにより、絶縁膜12のバリア層31を除去すると同時に、細孔13の底部32c(図21参照)の面32d(図21参照)に金属(金属M1)からなる金属層35a(図21参照)を形成する。これにより、細孔13に露出したアルミニウム基板30は金属層35aにより被覆される。これにより、細孔13へめっきによる金属充填の際に、めっきが進行しやすくなり、細孔に金属が十分に充填されないことが抑制され、細孔への金属の未充填等が抑制され、導体14の形成不良が抑制される。
なお、上述の金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液は更にアルミニウムイオン含有化合物(アルミン酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等)を含んでもよい。アルミニウムイオン含有化合物の含有量は、アルミニウムイオンの量に換算して0.1~20g/Lが好ましく、0.3~12g/Lがより好ましく、0.5~6g/Lがさらに好ましい。
次に、厚み方向Dtに延在する複数の細孔13を有する絶縁膜12の表面12aからめっきを行う。この場合、金属層35aを電解めっきの電極として用いることができる。めっきには金属35bを用い、細孔13の底部32c(図21参照)の面32d(図21参照)に形成された金属層35aを起点にして、めっきが進行する。これにより、図22に示すように、絶縁膜12の細孔13の内部に、導体14を構成する金属35bが充填される。細孔13の内部に金属35bを充填することにより、導電性を有する導体14が形成される。なお、金属層35aと金属35bとをまとめて充填した金属35という。
絶縁膜12の細孔13に金属35bを充填する工程を、金属充填工程という。上述のように、導体14は金属で構成することに限定されるものではなく、導電性物質を用いることができる。金属充填工程には、電解めっきが用いられ、金属充填工程については後に詳細に説明する。なお、絶縁膜12の表面12aが絶縁膜12の一方の面に相当する。
金属充填工程の後に、図23に示すように、金属充填工程の後に絶縁膜12のアルミニウム基板30が設けられていない側の表面12aを厚み方向Dtに一部除去し、金属充填工程で充填した金属35を絶縁膜12の表面12aよりも突出させる。すなわち、導体14を絶縁膜12の表面12aよりも突出させる。これにより、突出部14aが得られる。導体14を絶縁膜12の表面12aよりも突出させる工程を、表面金属突出工程という。
表面金属突出工程の後に、図24に示すようにアルミニウム基板30を除去する。アルミニウム基板30を除去する工程を基板除去工程という。
次に、図25に示すように、基板除去工程の後に絶縁膜12のアルミニウム基板30が設けられていた側の面、すなわち、裏面12bを厚み方向Dtに一部除去し、金属充填工程で充填した金属35、すなわち、導体14を絶縁膜12の裏面12bよりも突出させる。これにより、突出部14bが得られる。このようにして、異方導電層16が得られる。
上述の表面金属突出工程及び裏面金属突出工程は、両方の工程を有する態様であってもよいが、表面金属突出工程及び裏面金属突出工程のうち、一方の工程を有する態様であってもよい。表面金属突出工程及び裏面金属突出工程が「突出工程」に該当しており、表面金属突出工程及び裏面金属突出工程はいずれも突出工程である。
図25に示すように、絶縁膜12の表面12a及び裏面12bから、それぞれ導体14が突出しており、突出部14aと突出部14bとを有する。
なお、異方導電層16において、絶縁膜12の裏面12bから導体14を突出させない構成の場合、図24に示す状態が異方導電層16である。
上述のバリア層除去工程において、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いてバリア層を除去することにより、バリア層31を除去するだけでなく、細孔13の底部に露出したアルミニウム基板30にアルミニウムよりも水素ガスが発生しにくい金属M1の金属層35aが形成される。その結果、金属充填の面内均一性が良好となる。これは、めっき液による水素ガスの発生が抑制され、電解めっきによる金属充填が進行しやすくなったと考えられる。
また、バリア層除去工程において、陽極酸化処理工程における電圧の30%未満の範囲から選択される電圧(保持電圧)の95%以上105%以下の電圧に通算5分以上保持する保持工程を設け、金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を適用することを組み合わせることにより、めっき処理時の金属充填の均一性が大きく良化することを見出している。このため、保持工程があることが好ましい。
詳しいメカニズムは不明だが、バリア層除去工程において、金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いることでバリア層下部に金属M1の層が形成され、これによりアルミニウム基板と陽極酸化膜との界面がダメージを受けることを抑制することができ、バリア層の溶解の均一性が向上したためと考えられる。
なお、バリア層除去工程において、細孔13の底部に金属(金属M1)からなる金属層35aを形成したが、これに限定されるものではなく、バリア層31だけを除去し、細孔13の底にアルミニウム基板30を露出させる。アルミニウム基板30を露出させた状態で、アルミニウム基板30を電解めっきの電極として用いてもよい。
〔陽極酸化膜〕
陽極酸化膜は、上述のように、所望の平均径を有する細孔が形成され、導体を形成しやすいという理由から、例えば、アルミニウムの陽極酸化膜が用いられる。しかしながら、アルミニウムの陽極酸化膜に限定されるものではなく、バルブ金属の陽極酸化膜を用いることができる。このため、金属基板は、バルブ金属が用いられる。
ここで、バルブ金属としては、具体的には、例えば、上述のアルミニウム、これ以外に、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン等が挙げられる。これらのうち、寸法安定性がよく、比較的安価であることからアルミニウムの陽極酸化膜であることが好ましい。このため、アルミニウム基板を用いて、構造体を製造することが好ましい。
陽極酸化膜の厚みは、上述の絶縁膜12の厚みhtと同じである。
〔金属基板〕
金属基板は、構造体の製造に用いられるものであり、陽極酸化膜を形成するための基板である。金属基板は、例えば、上述のように、陽極酸化膜が形成できる金属基板が用いられ、上述のバルブ金属で構成されるものを用いることができる。例えば、金属基板には、上述のように、陽極酸化膜として陽極酸化膜を形成しやすいという理由から、アルミニウム基板が用いられる。
〔アルミニウム基板〕
絶縁膜12を形成するために用いられるアルミニウム基板は、特に限定されず、その具体例としては、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハ、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板;等が挙げられる。
アルミニウム基板のうち、陽極酸化処理により陽極酸化膜を形成する片側の表面は、アルミニウム純度が、99.5質量%以上であることが好ましく、99.9質量%以上であるのがより好ましく、99.99質量%以上であるのが更に好ましい。アルミニウム純度が上述の範囲であると、マイクロポア配列の規則性が十分となる。
アルミニウム基板は、陽極酸化膜を形成することができれば、特に限定されるものでなく、例えば、JIS(Japanese Industrial Standards) 1050材が用いられる。
アルミニウム基板のうち陽極酸化処理される片側の表面は、予め熱処理、脱脂処理及び鏡面仕上げ処理が施されていることが好ましい。
ここで、熱処理、脱脂処理及び鏡面仕上げ処理については、特開2008-270158号公報の[0044]~[0054]段落に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
陽極酸化処理の前の鏡面仕上げ処理は、例えば、電解研磨であり、電解研磨には、例えば、リン酸を含有する電解研磨液が用いられる。
〔陽極酸化処理工程〕
陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、マイクロポア配列の規則性を高くし、構造体の異方導電性を担保する観点から、自己規則化法又は定電圧処理を用いることが好ましい。
ここで、陽極酸化処理の自己規則化法及び定電圧処理については、特開2008-270158号公報の[0056]~[0108]段落及び[図3]に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
〔保持工程〕
構造体の製造方法は保持工程を有してもよい。保持工程は、上述の陽極酸化処理工程の後に、1V以上かつ上述の陽極酸化処理工程における電圧の30%未満の範囲から選択される保持電圧の95%以上105%以下の電圧に通算5分以上保持する工程である。言い換えると、保持工程は、上述の陽極酸化処理工程の後に、1V以上かつ上述の陽極酸化処理工程における電圧の30%未満の範囲から選択される保持電圧の95%以上105%以下の電圧で通算5分以上電解処理を施す工程である。
ここで、「陽極酸化処理における電圧」とは、アルミニウムと対極間に印加する電圧であり、例えば、陽極酸化処理による電解時間が30分であれば、30分の間に保たれている電圧の平均値をいう。
陽極酸化膜の側壁厚み、すなわち、細孔の深さに対してバリア層の厚みを適切な厚みに制御する観点から、保持工程における電圧が、陽極酸化処理における電圧の5%以上25%以下であることが好ましく、5%以上20%以下であることがより好ましい。
また、面内均一性がより向上する理由から、保持工程における保持時間の合計が、5分以上20分以下であることが好ましく、5分以上15分以下であることがより好ましく、5分以上10分以下であることが更に好ましい。
また、保持工程における保持時間は、通算5分以上であればよいが、連続5分以上であることが好ましい。
更に、保持工程における電圧は、陽極酸化処理工程における電圧から保持工程における電圧まで連続的又は段階的に降下させて設定してもよいが、面内均一性が更に向上する理由から、陽極酸化処理工程の終了後、1秒以内に、上述の保持電圧の95%以上105%以下の電圧に設定することが好ましい。
上述の保持工程は、例えば、上述の陽極酸化処理工程の終了時に電解電位を降下させることにより、上述の陽極酸化処理工程と連続して行うこともできる。
上述の保持工程は、電解電位以外の条件については、上述の従来公知の陽極酸化処理と同様の電解液及び処理条件を採用することができる。
特に、保持工程と陽極酸化処理工程とを連続して施す場合は、同様の電解液を用いて処理することが好ましい。
複数のマイクロポアを有する陽極酸化膜には、上述のようにマイクロポアの底部にバリア層(図示せず)が存在する。このバリア層を除去するバリア層除去工程を有する。
〔バリア層除去工程〕
バリア層除去工程は、例えば、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いて、陽極酸化膜のバリア層を除去する工程である。
上述のバリア層除去工程により、バリア層が除去され、かつ、マイクロポアの底部に、金属M1からなる導電体層が形成されることになる。
ここで、水素過電圧(hydrogen overvoltage)とは、水素が発生するのに必要な電圧をいい、例えば、アルミニウム(Al)の水素過電圧は-1.66Vである(日本化学会誌,1982、(8),p1305-1313)。なお、アルミニウムの水素過電圧よりも高い金属M1の例及びその水素過電圧の値を以下に示す。
<金属M1及び水素(1N H2SO4)過電圧>
・白金(Pt):0.00V
・金(Au):0.02V
・銀(Ag):0.08V
・ニッケル(Ni):0.21V
・銅(Cu):0.23V
・錫(Sn):0.53V
・亜鉛(Zn):0.70V
細孔13は、マイクロポアを拡径し、かつバリア層を除去して形成することもできる。この場合、マイクロポアの拡径には、ポアワイド処理が用いられる。ポアワイド処理は、陽極酸化膜を、酸水溶液又はアルカリ水溶液に浸漬させることにより、陽極酸化膜を溶解させ、マイクロポアの孔径を拡大する処理である、ポアワイド処理には、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸又はこれらの混合物の水溶液、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等の水溶液を用いることができる。
なお、ポアワイド処理でも、マイクロポアの底部のバリア層を除去することができ、ポアワイド処理において水酸化ナトリウム水溶液を用いることにより、マイクロポアが拡径され、かつバリア層が除去される。
〔金属充填工程〕
<金属充填工程に用いられる金属>
金属充填工程において、導体を形成するために、上述の細孔13の内部に導電体として充填される金属、及び金属層を構成する金属は、電気抵抗率が103Ω・cm以下の材料であることが好ましい。上述の金属の具体例としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、及び亜鉛(Zn)が好適に例示される。
なお、導電体としては、電気伝導性、及びめっき法による形成の観点から、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)が好ましく、銅(Cu)、金(Au)がより好ましく、銅(Cu)が更に好ましい。
<めっき法>
細孔の内部に金属を充填するめっき法としては、例えば、電解めっき法又は無電解めっき法を用いることができる。
ここで、着色等に用いられる従来公知の電解めっき法では、選択的に孔中に金属を高アスペクトで析出(成長)させることは困難である。これは、析出金属が孔内で消費され一定時間以上電解を行なってもめっきが成長しないためと考えられる。
そのため、電解めっき法により金属を充填する場合は、パルス電解又は定電位電解の際に休止時間をもうける必要がある。休止時間は、10秒以上必要で、30~60秒であることが好ましい。
また、電解液のかくはんを促進するため、超音波を加えることも望ましい。
更に、電解電圧は、通常20V以下であって望ましくは10V以下であるが、使用する電解液における目的金属の析出電位を予め測定し、その電位+1V以内で定電位電解を行なうことが好ましい。なお、定電位電解を行なう際には、サイクリックボルタンメトリを併用できるものが望ましく、Solartron社、BAS株式会社、北斗電工株式会社、IVIUM社等のポテンショスタット装置を用いることができる。
(めっき液)
めっき液は、従来公知のめっき液を用いることができる。
具体的には、銅を析出させる場合には硫酸銅水溶液が一般的に用いられるが、硫酸銅の濃度は、1~300g/Lであることが好ましく、100~200g/Lであるのがより好ましい。また、電解液中に塩酸を添加すると析出を促進することができる。この場合、塩酸濃度は10~20g/Lであることが好ましい。
また、金を析出させる場合、テトラクロロ金の硫酸溶液を用い、交流電解でめっきを行なうのが望ましい。
めっき液は、界面活性剤を含むことが好ましい。
界面活性剤としては公知のものを使用することができる。従来メッキ液に添加する界面活性剤として知られているラウリル硫酸ナトリウムをそのまま使用することもできる。親水性部分がイオン性(カチオン性・アニオン性・双性)のもの、非イオン性(ノニオン性)のものいずれも利用可能であるが、メッキ対象物表面への気泡の発生等を回避する点でカチオン線活性剤が望ましい。めっき液組成における界面活性剤の濃度は1質量%以下であることが望ましい。
なお、無電解めっき法では、アスペクトの高い細孔からなる孔中に金属を完全に充填には長時間を要するので、電解めっき法を用いて細孔に金属を充填することが望ましい。
〔基板除去工程〕
基板除去工程は、金属充填工程の後に、上述のアルミニウム基板を除去する工程である。アルミニウム基板を除去する方法は特に限定されず、例えば、溶解により除去する方法等が好適に挙げられる。
<アルミニウム基板の溶解>
上述のアルミニウム基板の溶解は、陽極酸化膜を溶解しにくく、アルミニウムを溶解しやすい処理液を用いることが好ましい。
このような処理液は、アルミニウムに対する溶解速度が、1μm/分以上であることが好ましく、3μm/分以上であることがより好ましく、5μm/分以上であることが更に好ましい。同様に、陽極酸化膜に対する溶解速度が、0.1nm/分以下となることが好ましく、0.05nm/分以下となるのがより好ましく、0.01nm/分以下となるのが更に好ましい。
具体的には、アルミよりもイオン化傾向の低い金属化合物を少なくとも1種含み、かつ、pH(水素イオン指数)が4以下又は8以上となる処理液であることが好ましく、そのpHが3以下又は9以上であることがより好ましく、2以下又は10以上であることが更に好ましい。
アルミニウムを溶解する処理液としては、酸又はアルカリ水溶液をベースとし、例えば、マンガン、亜鉛、クロム、鉄、カドミウム、コバルト、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、銅、水銀、銀、パラジウム、白金、金の化合物(例えば、塩化白金酸)、これらのフッ化物、これらの塩化物等を配合したものであることが好ましい。
中でも、酸水溶液ベースが好ましく、塩化物をブレンドすることが好ましい。
特に、塩酸水溶液に塩化水銀をブレンドした処理液(塩酸/塩化水銀)、塩酸水溶液に塩化銅をブレンドした処理液(塩酸/塩化銅)が、処理ラチチュードの観点から好ましい。
なお、アルミニウムを溶解する処理液の組成は、特に限定されるものではく、例えば、臭素/メタノール混合物、臭素/エタノール混合物、及び王水等を用いることができる。
また、アルミニウムを溶解する処理液の酸又はアルカリ濃度は、0.01~10mol/Lが好ましく、0.05~5mol/Lがより好ましい。
更に、アルミニウムを溶解する処理液を用いた処理温度は、-10℃~80℃が好ましく、0℃~60℃が好ましい。
また、上述のアルミニウム基板の溶解は、上述のめっき工程後のアルミニウム基板を上述の処理液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸漬法が好ましい。このときの接触時間としては、10秒~5時間が好ましく、1分~3時間がより好ましい。
なお、絶縁膜12に、例えば、支持体を設けてもよい。支持体は絶縁膜12と同じ外形状であることが好ましい。支持体を取り付けることにより、取扱い性が増す。
〔突出工程〕
上述の絶縁膜12の一部除去には、例えば、導体14を構成する金属を溶解せず、絶縁膜12、すなわち、酸化アルミニウム(Al)を溶解する酸水溶液又はアルカリ水溶液が用いられる。上述の酸水溶液又はアルカリ水溶液を、金属が充填された細孔13を有する絶縁膜12に接触させることにより、絶縁膜12を一部除去する。上述の酸水溶液又はアルカリ水溶液を絶縁膜12に接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法及びスプレー法が挙げられる。中でも浸漬法が好ましい。
酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸及び塩酸等の無機酸又はこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。中でもクロム酸を含有しない水溶液が安全性に優れる点で好ましい。酸水溶液の濃度は1~10質量%であることが好ましい。酸水溶液の温度は、25~60℃であることが好ましい。
また、アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1~5質量%であることが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20~35℃であることが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液又は0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液又はアルカリ水溶液への浸漬時間は、8~120分であることが好ましく、10~90分であるのがより好ましく、15~60分であるのが更に好ましい。ここで、浸漬時間は、短時間の浸漬処理を繰り返した場合には、各浸漬時間の合計をいう。なお、各浸漬処理の間には、洗浄処理を施してもよい。
また、金属35、すなわち、導体14を絶縁膜12の表面12a又は裏面12bより突出させる程度であるが、導体14を絶縁膜12の表面12a又は裏面12bよりも10nm~1000nm突出させることが好ましく、50nm~500nm突出させることがより好ましい。すなわち、突出部14aの表面12aからの突出量、突出部14bの裏面12bからの導体14の突出量は、それぞれ10nm~1000nmが好ましく、より好ましくは50nm~500nmである。
導体14の突出部14a,14bの高さは、突出部14aの平均突出長さha及び突出部14bの平均長さhbと同じである。
導体14の突出部の高さを厳密に制御する場合は、細孔13の内部に、金属等の導電性物質を充填した後、絶縁膜12と、金属等の導電性物質の端部とを同一平面状になるように加工した後、陽極酸化膜を選択的に除去することが好ましい。
また、上述の金属の充填後、又は突出工程の後に、金属の充填に伴い発生した導体14内の歪みを軽減する目的で、加熱処理を施すことができる。
加熱処理は、金属の酸化を抑制する観点から還元性雰囲気で施すことが好ましく、具体的には、酸素濃度が20Pa以下で行うことが好ましく、真空下で行うことがより好ましい。ここで、真空とは、大気よりも、気体密度及び気圧のうち、少なくとも一方が低い空間の状態をいう。
また、加熱処理は、矯正の目的で、絶縁膜12に応力を加えながら行うことが好ましい。
[構造体の一例]
構造体は、異方導電性部材に、複数の電子デバイスが電気的に接続されたものである。複数の電子デバイスは、異方導電性部材に電気的に接続される電極を複数有し、複数の電子デバイスは、それぞれ電極の高さ、幅及び電極間距離のうち、少なくとも1つが異なる構成である。
電子デバイスの電極の高さ、幅及び電極間距離は、電子デバイスの仕様書又は実測により特定される。実測の場合、例えば、レーザー顕微鏡、又は実体顕微鏡を用いて、電極を拡大して、電極の高さ、幅及び電極間距離を測定する。
複数の電子デバイスは、それぞれ機能及び半導体種のうち、少なくとも一方が異なってもよい。また、複数の電子デバイスは、それぞれ厚さが異なってもよい。
電子デバイスの機能とは、電子デバイスの動作により区別され、機能としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算、メモリ等の記憶、コンバータ等の変換、フィルタ、及びセンシング等が挙げられる。また、これらの機能が1つのチップ又はユニットにまとめられた場合には、まとめられた状態で機能が特定される。特定された機能が異なる場合には、異なる電子デバイスである。
半導体種とは、半導体を構成する組成のことであり、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム、ダイヤモンド、シリコン(Si)、及びガリウムひ素(GaAs)等である。
複数の電子デバイスの厚さは、電子デバイスの電極のうち、外部と接触する端面から、電子デバイスの電極の反対側の端面迄の長さである。例えば、後述の図27の半導体メモリ52では、電極52aの端面52cから電極52aの反対側の端面52d迄の長さである。センサー53では、電極53aの端面53cから電極53aの反対側の端面53d迄の長さである。センサー53は半導体メモリ52よりも厚い構成である。
図26は本発明の実施形態の構造体の第1の例を示す模式図であり、図27は本発明の実施形態の構造体の第2の例を示す模式図である。
例えば、図26に示すように構造体40は、複数の半導体メモリ42が異方導電性部材10により積層方向Dsに積層されて電気的に接続されている。また、CPU44が、半導体メモリ42とは異なる異方導電性部材10の一方の面に電気的に接続されている。CPU44が電気的に接続された異方導電性部材10の他方の面に、センサー45と、RF(Radio Frequency)デバイス46とが並べて電気的に接続されている。
また、CPU44は、配線基板47上に異方導電性部材10を介して電気的に接続されている。半導体メモリ42の積層体も、配線基板47上に異方導電性部材10を介して電気的に接続されている。このように構造体40では、異方導電性部材に、複数の電子デバイスが電気的に接続されている。半導体メモリ42と、CPU44と、センサー45と、RFデバイス46とが電気的に接続されされており、例えば、構造体40は、通信モジュールとして機能する。
上述のように構造体40の複数の電子デバイスは、電極の高さ、電極の幅及び電極間距離のうち、少なくとも1つが異なる。例えば、センサー45の電極45aは、RFデバイス46の電極46aによりも電極幅が広い。CPU44は、電極44aと電極44bとを有するが、電極44aの方が電極44bよりも電極幅が広い。
また、図27に示すように構造体50は、異方導電性部材10の表面11aに半導体メモリ52と、センサー53とが並べて電気的に接続されている。半導体メモリ52の電極52a、52bの周囲に樹脂層59が充填され、センサー53の電極53aの周囲に樹脂層59が充填されている。異方導電性部材10の裏面11bにCPU54が電気的に接続されている。CPU54の電極54a、54b、54cの周囲に樹脂層59が充填されている。樹脂層59は有機層20により構成されたものである。図27に示すように構造体50は、半導体メモリ52及びセンサー53が、CPU54と積層方向Dsに積層されている。
半導体メモリ52は、電極52aと、電極52bとを有するが、電極52aが電極52bよりも電極幅が狭い。センサー53の電極53aは、半導体メモリ52の電極52a、52bのいずれよりも、電極幅が広く、かつ電極高さも高い。上述のようにセンサー53は半導体メモリ52よりも厚い構成である。
CPU54は、電極54aと、電極54bと、電極54cとを有する。電極54a、電極54b及び電極54cは電極高さは同じであるが、電極54aが電極54b及び電極54cよりも電極幅が狭く、電極54cが電極幅が最も広い。
なお、図26に示す構造体40及び図27に示す構造体50において、異方導電性部材10に限定されるものではなく、他の異方導電性部材10a~10fを用いることもできる。
[構造体の製造方法の一例]
図28は本発明の実施形態の構造体の製造方法の一例を示す模式図である。
構造体の製造方法では、図28に示すように異方導電性部材10を用意する。有機層20は、厚みが異なる部分20bを有し、凹部20cと凸部20dとを有する。異方導電性部材10は、表面20aが露出した状態で電子デバイスと接合される。
第1の電子デバイス56と、第2の電子デバイス57とを、異方導電性部材10の表面11aに接合する場合、第1の電子デバイス56よりも第2の電子デバイス57の方が電極57aの高さが高い。このため、有機層20の凹部20cに対向して第1の電子デバイス56を載置し、凸部20dに対向して第2の電子デバイス57を載置する。
第3の電子デバイス58を異方導電性部材10の裏面11bに接合するが、第3の電子デバイス58の電極58aと、電極58bと、電極54cとは電極高さは同じであるため、異方導電性部材10の裏面11b側の有機層20は厚みが均一である。
異方導電性部材10の裏面11b側の有機層20に対向して第3の電子デバイス58を載置する。
次に、複数の電子デバイスの接合を行う。接合は、まず、上述のように第1の電子デバイス56を異方導電性部材10の表面11a側の有機層20の凹部20cに載置し、第2の電子デバイス57を凸部20dに載置する。
また、第3の電子デバイス58を異方導電性部材10の裏面11b側の有機層20に載置する。
次に、第1の電子デバイス56、第2の電子デバイス57及び第3の電子デバイス58に対して、例えば、予め定められた圧力を加え、予め定められた温度に加熱し、予め定められた時間保持して、第1の電子デバイス56、第2の電子デバイス57及び第3の電子デバイス58を仮接合する。
次に、全ての電子デバイス、例えば、第1の電子デバイス56、第2の電子デバイス57及び第3の電子デバイス58を異方導電性部材10に仮接合した状態で、各電子デバイスに、予め定められた圧力を加え、予め定められた温度に加熱し、予め定められた時間保持して、複数の電子デバイスを全て一括して、異方導電性部材10に接合する。この接合は本接合と呼ばれるものである。これにより、第1の電子デバイス56、第2の電子デバイス57及び第3の電子デバイス58の各電極が異方導電性部材10の導体14(図1参照)に電気的に接続されて、構造体が得られる。このとき、第1の電子デバイス56、第2の電子デバイス57及び第3の電子デバイス58の各電極の周囲には有機層20が充填され、図27に示す樹脂層59となる充填される。
第1の電子デバイス56、第2の電子デバイス57及び第3の電子デバイス58は、それぞれ機能及び半導体種のうち、少なくとも一方が異なっていてもよい。また、第1の電子デバイス56、第2の電子デバイス57及び第3の電子デバイス58は、それぞれ厚さが異なっていてもよい。
複数の電子デバイスを接合する場合、ハンドリングの観点から、小さい電子デバイスから接合することが好ましい。電子デバイスの大きさが同じ場合には、厚みが薄い電子デバイスから接合することが好ましい。
なお、仮接合する際に、仮接合強度が弱いと、搬送工程等及び接合する迄の工程で位置ズレが生じてしまうため、仮接合強度は重要となる。
また、仮接合工程における温度条件及び加圧条件は、特に限定されるものではなく、後述の温度条件及び加圧条件が例示される。
本接合における温度条件及び加圧条件は、特に限定されるものではない。適切な条件で本接合を行うことにより、有機層が、電子デバイスの電極間に流動し、接合部に残存し難くなる。上述のように本接合では、複数の電子デバイスの接合を一括して行うことにより、タクトタイムを低減でき、生産性を高くできる。
なお、構造体の製造方法において、異方導電性部材10に限定されるものではなく、他の異方導電性部材10a~10fを用いることもできる。
〔電子デバイス〕
電子デバイスは、半導体デバイス等であるが、半導体デバイス単体に限定されるものではなく、複数の半導体デバイスが集まって特定の機能を発揮するものも含まれ、更には、電気信号を伝達するだけのものも含まれる。
また、電子デバイスは、素子領域を有する構成でもよい。素子領域とは、電子素子として機能するための各種の素子構成回路等が形成された領域である。素子領域には、例えば、フラッシュメモリ等のようなメモリ回路、マイクロプロセッサ及びFPGA(field-programmable gate array)等のような論理回路が形成された領域、無線タグ等の通信モジュールならびに配線が形成された領域である。素子領域には、これ以外にMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)が形成されてもよい。MEMSとしては、例えば、センサー、アクチュエーター及びアンテナ等が挙げられる。センサーには、例えば、加速度、音、及び光等の各種のセンサーが含まれる。
上述のように、素子領域は素子構成回路等が形成されており、半導体チップを外部と電気的に接続するために電極(図示せず)が設けられている。素子領域は電極が形成された電極領域を有する。なお、素子領域の電極とは、例えば、Cuポストである。電極領域とは、基本的には、形成された全ての電極を含む領域のことである。しかしながら、電極が離散して設けられていれば、各電極が設けられている領域のことも電極領域という。
構造体の形態は、特に限定されるものではなく、半導体チップのように個片化されたものでも、半導体ウエハのような形態でもよく、配線層の形態でもよい。
また、構造体は、電子デバイス以外に、プリント配線板、及びヒートシンク等を有する構成でもよい。
電子デバイスは、上述のもの以外に、例えば、ロジックLSI(Large Scale Integration)(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASSP(Application Specific Standard Product)等)、マイクロプロセッサ(例えば、CPU、GPU等)、メモリ(例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、HMC(Hybrid Memory Cube)、MRAM(MagneticRAM:磁気メモリ)とPCM(Phase-Change Memory:相変化メモリ)、ReRAM(Resistive RAM:抵抗変化型メモリ)、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリ)、フラッシュメモリ(NAND(Not AND)フラッシュ)等)、LED(Light Emitting Diode)、(例えば、携帯端末のマイクロフラッシュ、車載用、プロジェクタ光源、LCDバックライト、一般照明等)、パワー・デバイス、アナログIC(Integrated Circuit)、(例えば、DC(Direct Current)-DC(Direct Current)コンバータ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、(例えば、加速度センサー、圧力センサー、振動子、ジャイロセンサ等)、ワイヤレス(例えば、GPS(Global Positioning System)、FM(Frequency Modulation)、NFC(Nearfieldcommunication)、RFEM(RF Expansion Module)、MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)、WLAN(WirelessLocalAreaNetwork)等)、ディスクリート素子、BSI(Back Side Illumination)、CIS(Contact Image Sensor)、カメラモジュール、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、Passiveデバイス、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ、RF(Radio Frequency)フィルタ、RFIPD(Radio Frequency Integrated Passive Devices)、BB(Broadband)等が挙げられる。
電子デバイスは、例えば、1つで完結したものであり、電子デバイス単体で、回路又はセンサー等の特定の機能を発揮するものである。電子デバイス、上述のものに、特に限定されるものではない。
〔有機層〕
有機層は、以下に示す組成を用いることもできる。以下、有機層の組成について説明する。例えば、有機層は、高分子材料を含有するものであり、酸化防止材料を含んでもよい。
有機層を構成する樹脂材料としては、具体的には、例えば、エチレン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、及びセルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。有機層20を構成する樹脂材料として、ポリアクリロニトリルも用いることができる。
<高分子材料>
有機層に含まれる高分子材料としては特に限定されないが、半導体チップ等の電子デバイスの電極と構造体との隙間を効率よく埋めることができ、構造体と半導体チップ等の電子デバイスとの密着性がより高くなる理由から、熱硬化性樹脂であることが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられる。
なかでも、絶縁信頼性がより向上し、耐薬品性に優れる理由から、ポリイミド樹脂及び/又はエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
<酸化防止材料>
有機層に含まれる酸化防止材料としては、具体的には、例えば、1,2,3,4-テトラゾール、5-アミノ-1,2,3,4-テトラゾール、5-メチル-1,2,3,4-テトラゾール、1H-テトラゾール-5-酢酸、1H-テトラゾール-5-コハク酸、1,2,3-トリアゾール、4-アミノ-1,2,3-トリアゾール、4,5-ジアミノ-1,2,3-トリアゾール、4-カルボキシ-1H-1,2,3-トリアゾール、4,5-ジカルボキシ-1H-1,2,3-トリアゾール、1H-1,2,3-トリアゾール-4-酢酸、4-カルボキシ-5-カルボキシメチル-1H-1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、3-カルボキシ-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジカルボキシ-1,2,4-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール-3-酢酸、1H-ベンゾトリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール-5-カルボン酸、ベンゾフロキサン、2,1,3-ベンゾチアゾール、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、カテコール、o-アミノフェノール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、メラミン、及びこれらの誘導体が挙げられる。
これらのうち、ベンゾトリアゾール及びその誘導体が好ましい。
ベンゾトリアゾール誘導体としては、ベンゾトリアゾールのベンゼン環に、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、アミノ基、ニトロ基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)等を有する置換ベンゾトリアゾールが挙げられる。また、ナフタレントリアゾール、ナフタレンビストリアゾール、と同様に置換された置換ナフタレントリアゾール、置換ナフタレンビストリアゾール等も挙げることができる。
また、有機層に含まれる酸化防止材料の他の例としては、一般的な酸化防止剤である、高級脂肪酸、高級脂肪酸銅、フェノール化合物、アルカノールアミン、ハイドロキノン類、銅キレート剤、有機アミン、有機アンモニウム塩等が挙げられる。
有機層に含まれる酸化防止材料の含有量は特に限定されないが、防食効果の観点から、有機層の全質量に対して0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましい。また、本接合プロセスにおいて適切な電気抵抗を得る理由から、5.0質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。
<マイグレーション防止材料>
有機層は、有機層に含有し得る金属イオン、ハロゲンイオン、ならびに半導体チップ及び半導体ウエハに由来する金属イオンをトラップすることによって絶縁信頼性がより向上する理由から、マイグレーション防止材料を含有しているのが好ましい。
マイグレーション防止材料としては、例えば、イオン交換体、具体的には、陽イオン交換体と陰イオン交換体との混合物、又は、陽イオン交換体のみを使用することができる。
ここで、陽イオン交換体及び陰イオン交換体は、それぞれ、例えば、後述する無機イオン交換体及び有機イオン交換体の中から適宜選択することができる。
(無機イオン交換体)
無機イオン交換体としては、例えば、含水酸化ジルコニウムに代表される金属の含水酸化物が挙げられる。
金属の種類としては、例えば、ジルコニウムのほか、鉄、アルミニウム、錫、チタン、アンチモン、マグネシウム、ベリリウム、インジウム、クロム、ビスマス等が知られている。
これらの中でジルコニウム系のものは、陽イオンのCu2+、Al3+について交換能を有している。また、鉄系のものについても、Ag+、Cu2+について交換能を有している。同様に、錫系、チタン系、アンチモン系のものは、陽イオン交換体である。
一方、ビスマス系のものは、陰イオンのCl-について交換能を有している。
また、ジルコニウム系のものは条件に製造条件によっては陰イオンの交換能を示す。アルミニウム系、錫系のものも同様である。
これら以外の無機イオン交換体としては、リン酸ジルコニウムに代表される多価金属の酸性塩、モリブドリン酸アンモニウムに代表されるヘテロポリ酸塩、不溶性フェロシアン化物等の合成物が知られている。
これらの無機イオン交換体の一部は既に市販されており、例えば、東亞合成株式会社の商品名イグゼ「IXE」における各種のグレードが知られている。
なお、合成品のほか、天然物のゼオライト、又はモンモリロン石のような無機イオン交換体の粉末も使用可能である。
(有機イオン交換体)
有機イオン交換体には、陽イオン交換体としてスルホン酸基を有する架橋ポリスチレンが挙げられ、そのほかカルボン酸基、ホスホン酸基又はホスフィン酸基を有するものも挙げられる。
また、陰イオン交換体として四級アンモニウム基、四級ホスホニウム基又は三級スルホニウム基を有する架橋ポリスチレンが挙げられる。
これらの無機イオン交換体及び有機イオン交換体は、捕捉したい陽イオン、陰イオンの種類、そのイオンについての交換容量を考慮して適宜選択すればよい。勿論、無機イオン交換体と有機イオン交換体とを混合して使用してもよいことはいうまでもない。
電子素子の製造工程では加熱するプロセスを含むため、無機イオン交換体が好ましい。
また、イオン交換体と上述した高分子材料との混合比は、例えば、機械的強度の観点から、イオン交換体を10質量%以下とすることが好ましく、イオン交換体を5質量%以下とすることがより好ましく、更にイオン交換体を2.5質量%以下とすることが更に好ましい。また、半導体チップ又は半導体ウエハと、構造体とを接合した際のマイグレーションを抑制する観点から、イオン交換体を0.01質量%以上とすることが好ましい。
<無機充填剤>
有機層は、無機充填剤を含有しているのが好ましい。
無機充填剤としては特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カオリン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、気相法シリカ、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、マイカ、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
導体間に無機充填剤が入ることを防ぎ、導通信頼性がより向上する理由から、無機充填剤の平均粒子径が、各導体の間隔よりも大きいことが好ましい。
無機充填剤の平均粒子径は、30nm~10μmであることが好ましく、80nm~1μmであることがより好ましい。
ここで、平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒子径測定装置(日機装株式会社製マイクロトラックMT3300)で測定される、一次粒子径を平均粒子径とする。
<硬化剤>
有機層は、硬化剤を含有していてもよい。
硬化剤を含有する場合、接続対象の半導体チップ又は半導体ウエハの表面形状との接合不良を抑制する観点から、常温で固体の硬化剤を用いず、常温で液体の硬化剤を含有しているのがより好ましい。
ここで、「常温で固体」とは、25℃で固体であることをいい、例えば、融点が25℃より高い温度である物質をいう。
硬化剤としては、具体的には、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンのような芳香族アミン、脂肪族アミン、4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物等のカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリフェノール化合物、ノボラック樹脂、ポリメルカプタン等が挙げられ、これらの硬化剤から、25℃で液体のものを適宜選択して用いることができる。なお、硬化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機層には、その特性を損なわない範囲内で、広く一般に半導体パッケージの樹脂絶縁膜に添加されている分散剤、緩衝剤、粘度調整剤等の種々の添加剤を含有させてもよい。
有機層としては、上述のもの以外に、例えば、以下に示すアクリルポリマーと、アクリルモノマーと、マレイミド化合物とを含む主組成物を含有するものを用いることができる。
<アクリルポリマー>
アクリルポリマーは、(メタ)アクリレート成分に由来する構成単位を含むポリマーであり、有機層のタック性が強くなりすぎず、半導体の実装工程で作業性を害するおそれが少ないものが好ましい。(メタ)アクリレート成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等を用いることができる。
アクリルポリマーは、上述の(メタ)アクリレート成分以外に、上述の(メタ)アクリレート成分と共重合可能な他のモノマー成分に対応する構成単位を更に含んでいてもよい。他のモノマー成分としては、例えば、カルボキシル基含有モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸)、エポキシ基含有モノマー(例えば、グリシジル(メタ)アクリレート)、ニトリル基含有モノマー(例えば、アクリロニトリル等)を用いることができる。
例えば、アクリルポリマーとしては、ブチルアクリレート、メチルアクリレート、アクリル酸、グリシジルメタクリレート及びアクリロニトリルに対応する構成単位を含むものを用いることができる。
アクリルポリマーは、上述の(メタ)アクリレート成分や他のモノマー成分を重合することにより得ることができる。重合方法は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等が挙げられる。アクリルポリマーの重合反応の種類としては、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、リビングアニオン重合、配位重合等が挙げられる。
アクリルポリマーの重量平均分子量(Mw)は、特に制限されないが、例えば、100000以上1200000以下の範囲に含まれるようにすることができ、500000以上1000000以下の範囲に含まれるようにすることもできる。
有機層中のアクリルポリマーとアクリルモノマーとマレイミド化合物とを主組成物と称することにすると、アクリルポリマーは、100質量部の主組成物の中に、10質量部以上60質量部以下の範囲に含有され、好ましくは10質量部以上45質量部以下の範囲に含有され、更に好ましくは15質量部以上40質量部以下の範囲に含有される。アクリルポリマーの含有量が10質量部未満であると、ボイドの排除が困難となる傾向にある。また、アクリルポリマーの含有量が60質量部を超えると、低圧実装を実現することが困難な傾向にあり、接続性も悪化する傾向にある。
アクリルポリマーは、1種類のアクリルポリマーを単独で主組成物に含有させてもよいし、2種類以上のアクリルポリマーを併用して含有させてもよい。アクリルポリマーを2種類以上併用する場合、有機層中のアクリルポリマーの含有量の合計は、上述の範囲内が好ましい。
<アクリルモノマー>
アクリルモノマーとしては、単官能(メタ)アクリレート、2官能以上の(メタ)アクリレートを用いることができる。アクリルモノマーとしては、例えば、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート(東亞合成株式会社製)、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート(東亞合成株式会社製)、ジペンタエリスリトール及びテトラアクリレート(東亞合成株式会社製)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート(東亞合成株式会社製)、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(新中村化学工業株式会社製)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業株式会社製)、フルオレン系アクリレート(例えば、製品名:オグソールEA0200、EA0300、大阪ガスケミカル株式会社製)等が挙げられる。これらのアクリルモノマーの中でも、耐熱性等を考慮すると、高耐熱性であるフルオレン系アクリレートが好ましい。
有機層中のアクリルモノマーは、100質量部の主組成物の中で、10質量部以上60質量部以下の範囲で含有され、好ましくは10質量部以上55質量部以下の範囲で含有され、より好ましくは10質量部以上50質量部以下の範囲で含有されるようにすることができる。アクリルモノマーの含有量が10質量部未満であると、接続性が悪化する傾向にある。また、アクリルモノマーの含有量が60質量部を超えると、ボイドの排除が困難となる傾向にある。
アクリルモノマーは、1種類のアクリルモノマーを単独で含有させてもよいし、2種類以上のアクリルモノマーを併用して含有させてもよい。アクリルモノマーを2種類以上併用する場合、有機層中のアクリルモノマーの含有量の合計は、上述の範囲内が好ましい。
<マレイミド化合物>
マレイミド化合物としては、例えば、1分子中にマレイミド基を2つ以上有する化合物を用いることができ、ビスマレイミドが好ましい。マレイミド化合物としては、例えば、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、4,4-ビスマレイミドジフェニルメタン、m-フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド等が挙げられる。これらの中でも、芳香族ビスマレイミドが好ましく、特に、有機層の製造工程における作業性を考慮すると、溶剤溶解性又はフロー性が良好な3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミドが好ましい。
有機層中のマレイミド化合物は、100質量部の主組成物の中で、20質量部以上70質量部以下の範囲で含有され、好ましくは20質量部以上60質量部以下の範囲で含有され、より好ましくは20質量部以上55質量部以下の範囲で含有される。マレイミド化合物の含有量が20質量部未満であると、低圧実装を実現することが困難な傾向にあり、接続性も悪化する傾向にある。また、マレイミド化合物の含有量が70質量部を超えると、低圧実装及びボイドレス実装が困難となる傾向にある。
有機層に用いる組成物は、目的に応じて、上述の主組成物を構成する成分以外の他の成分を更に含有してもよい。他の成分としては、例えば、フェノール化合物、フィラー等が挙げられる。
<フェノール化合物>
フェノール化合物は、上述のマレイミド化合物用の硬化剤として用いることができるが、フェノールを含有しなくても熱硬化反応を開始させることができる。フェノール化合物としては、例えば、アリル化ビスフェノールを用いることができ、具体的には、2,2’-ジアリルビスフェノールA(製品名:DABPA)、4,4’-(ジメチルメチレン)ビス[2-(2-プロペニル)フェノール]、4,4’-メチレンビス[2-(2-プロペニル)フェノール]、4,4’-(ジメチルメチレン)ビス[2-(2-プロペニル)-6-メチルフェノール]等を用いることができる。これらの中でも、2,2’-ジアリルビスフェノールAが好ましい。
フェノール化合物を含有させる場合のフェノール化合物の含有量は、例えば、アクリルポリマーと、アクリルモノマーと、マレイミド化合物と、フェノール化合物との合計100質量部に対して15質量部以下とすることができる。フェノール化合物は、1種類のフェノール化合物を単独で含有させてもよいし、2種類以上のフェノール化合物を併用して含有させてもよい。フェノール化合物を2種類以上併用する場合、有機層中のフェノール化合物の含有量の合計は、上述の範囲内が好ましい。
<フィラー>
フィラーとしては、無機充填剤、有機充填剤、導電性粒子等を用いることができる。特に、線膨張率の低減や信頼性の向上の観点から、無機充填剤(例えば、シリカフィラー)を用いることが好ましい。
フィラーを用いる場合、フィラーの含有量は、例えば、アクリルポリマーと、アクリルモノマーと、マレイミド化合物と、フィラーとの合計100質量部に対して30質量部以下とすることができる。フィラーは、1種類のフィラーを単独で含有させてもよいし、2種類以上のフィラーを併用して含有させてもよい。フィラーを2種類以上併用する場合、有機層中のフィラーの含有量の合計は、上述の範囲内が好ましい。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の異方導電性部材、異方導電性部材の製造方法、構造体及び構造体の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、及び、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、実施例1~11の構造体及び比較例1の構造体を作製した。実施例1~11の構造体、及び比較例1の構造体について、導通信頼性を評価した。導通信頼性の評価結果を下記表2に示す。まず、導通信頼性の評価について説明する。
(導通信頼性の評価)
<導通信頼性の評価に用いた電子デバイス>
導通信頼性の評価に用いた電子デバイスについて説明する。
全ての表面に熱酸化膜層(SiO)を設けたシリコンウエハ表面に、スパッタ法により銅膜を、それぞれの電極厚みになるよう形成した。その後、フォトレジスト(AZ P4903:メルク社製)を銅膜の表面に10μm厚で塗布し、レジスト膜を形成した。マスクを用いて密着露光した後、レジスト膜に現像を施し、銅膜のエッチングマスクパターンを形成した。その後、銅膜を、硝酸を用いてエッチング除去して銅パターンを形成し、洗浄したものを用いた。なお、現像液にはメルク社製AZ400Kを用いた。
導通信頼性の評価には、電子デバイスとして、下側チップと上側チップとを用いた。上側チップには、3種類の第1テストチップ、第2テストチップ及び第3テストチップを用いた。
下側チップは、図29に示す構成であり、表面60aに第1電極部61、第2電極部62及び第3電極部63が形成されている。
第1電極部61は、線状に伸びた配線61cが平行に配置された配線群61aを有し、配線群61aの両側に、電極61bが互いに離間して、配線61cの配列方向に2列、設けられている。配線群61aの配線61cには、配列方向にひとつおきに、端子61dが設けられている。電極61bは電極サイズが10μm角であり、電極高さが500nmである。
第2電極部62は、線状に伸びた配線62cが平行に配置された配線群62aを有し、配線群62aの両側に、電極62bが互いに離間して、配線62cの配列方向に2列、設けられている。配線群62aの配線62cには、配列方向にひとつおきに、端子62dが設けられている。電極62bは電極サイズが20μm角であり、電極高さが500nmである。
第3電極部63は、線状に伸びた配線63cが平行に配置された配線群63aを有し、配線群63aの両側に、電極63bが互いに離間して、配線63cの配列方向に1列、設けられている。配線群63aの配線63cの延在方向の端部が端子を兼ねる。電極63bは電極サイズが80μm角であり、電極高さが500nmである。
第1電極部61の第1接続領域60bに、各構造体70(図33参照)を介して第1テストチップ64が接続される。第2電極部62の第2接続領域60cに、各構造体70(図33参照)を介して第2テストチップ65が接続される。第3電極部63の第3接続領域60dに、各構造体70(図33参照)を介して第3テストチップ66が接続される。
上側チップにおいて、図30に示す第1テストチップ64は、配線群61aに対応する配線部64bを有し、配線部64bの配列方向の両側に、電極61bに対応する電極64cを有する。電極64cは電極サイズが10μm角であり、電極高さが300nmである。
図31に示す第2テストチップ65は、配線群62aに対応する配線部65bを有し、配線部65bの配列方向の両側に、電極62bに対応する電極65cを有する。電極65cは電極サイズが20μm角であり、電極高さが500nmである。
図32に示す第3テストチップ66は、配線群63aに対応する配線部66bを有し、配線部66bの配列方向の両側に、電極63bに対応する電極66cを有する。電極66cは電極サイズが80μm角であり、電極高さが1000nm(1μm)である。
図33に示すように、下側チップ60の表面60a上に、各構造体70を配置した。下側チップ60は後述の異方導電層の陽極酸化膜の他方の面のベース層に配置した。
次に、第1テストチップ64、第2テストチップ65及び第3テストチップ66を、それぞれ、各構造体70において、下側チップ60の第1電極部61の第1接続領域60bに相当する位置に載置し、第2電極部62の第2接続領域60cに相当する位置に載置し、第3電極部63の第3接続領域60dに相当する位置に載置した。なお、電極高さが1000nm(1μm)の第3テストチップ66は、有機層が厚いところに載置し、電極高さが300nmの第1テストチップ64及び電極高さが500nmの第2テストチップ65は有機層が薄いところに載置した。
次に、フリップチップボンダーを用いてアライメント調整をして、下側チップ60と、第1テストチップ64、第2テストチップ65及び第3テストチップ66とを仮接着し、その後、ウエハボンダーを用いて本接合した。
本接合の際は圧力を一定にするため仮接合した下側チップ60と、構造体70と、第1テストチップ64.第2テストチップ65及び第3テストチップ66との積層体の上面にカーボンシートを重ね、更にその上に下側チップ60と同じサイズのシリコンチップを重ねた状態で加圧した。
接合の際は、チャンバー内部に積層体がセットされた後、上下のチップがずれないよう5N程度加圧した状態で真空引きし、その後、数回に分けて5%水素を含む窒素ガスにチャンバー内を置換し、温度150℃に加温した状態で30分保持した後、温度220℃に昇温するとともに、電極当たりの圧力が50MPaとなるよう加圧した状態で30分保持した。その後、除荷し、真空雰囲気下で自然冷却した後、接合後の積層体を大気中に取り出した。本接合により、図33に示すように、下側チップ60と、第1テストチップ64.第2テストチップ65及び第3テストチップ66とは、構造体70を介した接合部68が生じる。
上述のように、電極高さが1000nm(1μm)の第3テストチップ66は有機層が厚いところに載置し、電極高さが300nmの第1テストチップ64及び電極高さが500nmの第2テストチップ65は有機層が薄いところに載置したが、有機層の厚みが均一の場合には、全て同じ厚みのところに載置される。
<導通信頼性の評価方法>
接合後の積層体のそれぞれの配線群は、2ジョイント分のデイジーチェインである。下側チップ60において露出した端子61d、62d、配線63cの端部に、それぞれプローブを当てて抵抗値Rを測定し、導通性を以下の評価基準で判断した。
評価基準
A R≦1Ω
B 1Ω<R<10Ω
C 10Ω≦R<1kΩ
D 1kΩ≦R
以下、実施例1~11及び比較例1について説明する。
(実施例1)
実施例1の構造体について説明する。
[構造体]
<<異方導電性部材>>
<アルミニウム基板の作製>
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.005質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理及びろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC(Direct Chill)鋳造法で作製した。
次いで、表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。
更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ1.0mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム基板を得た。
このアルミニウム基板を幅1030mmにした後、以下に示す各処理を施した。
<電解研磨処理>
上述のアルミニウム基板に対して、以下組成の電解研磨液を用いて、電圧25V、液温度65℃、液流速3.0m/minの条件で電解研磨処理を施した。
陰極はカーボン電極とし、電源は、GP0110-30R(株式会社高砂製作所社製)を用いた。また、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22-10PCW(アズワン株式会社製)を用いて計測した。
(電解研磨液組成)
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 660mL
・純水 160mL
・硫酸 150mL
・エチレングリコール 30mL
<陽極酸化処理工程>
次いで、電解研磨処理後のアルミニウム基板に、特開2007-204802号公報に記載の手順に従って、自己規則化法による陽極酸化処理を施した。
電解研磨処理後のアルミニウム基板に、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧40V、液温度16℃、液流速3.0m/minの条件で、5時間のプレ陽極酸化処理を施した。
その後、プレ陽極酸化処理後のアルミニウム基板を、0.2mol/L無水クロム酸、0.6mol/Lリン酸の混合水溶液(液温:50℃)に12時間浸漬させる脱膜処理を施した。
その後、0.3mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧40V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で、3時間45分の再陽極酸化処理を施し、膜厚40μmの陽極酸化膜を得た。
なお、プレ陽極酸化処理及び再陽極酸化処理は、いずれも陰極はステンレス電極とし、電源はGP0110-30R(株式会社高砂製作所製)を用いた。また、冷却装置にはNeoCool BD36(ヤマト科学株式会社製)、かくはん加温装置にはペアスターラー PS-100(EYELA東京理化器械株式会社製)を用いた。更に、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22-10PCW(アズワン株式会社製)を用いて計測した。
<バリア層除去工程>
次いで、陽極酸化処理工程後に、水酸化ナトリウム水溶液(50g/l)に酸化亜鉛を2000ppmとなるように溶解したアルカリ水溶液を用いて、30℃で150秒間浸漬させるエッチング処理を施し、陽極酸化膜のマイクロポア(細孔)の底部にあるバリア層を除去し、かつ、露出したアルミニウム基板の表面に同時に亜鉛を析出させた。
また、バリア層除去工程後の陽極酸化膜の平均厚みは40μmであった。
<金属充填工程>
次いで、アルミニウム基板を陰極にし、白金を正極にして電解めっき処理を施した。
具体的には、以下に示す組成の銅めっき液を使用し、定電流電解を施すことにより、マイクロポアの内部に銅が充填された異方導電層を作製した。ここで、定電流電解は、株式会社山本鍍金試験器社製のめっき装置を用い、北斗電工株式会社製の電源(HZ-3000)を用い、めっき液中でサイクリックボルタンメトリを行って析出電位を確認した後に、以下に示す条件で処理を施した。
(銅めっき液組成及び条件)
・硫酸銅 100g/L
・硫酸 50g/L
・塩酸 15g/L
・温度 25℃
・電流密度 10A/dm
マイクロポアに金属を充填した後の陽極酸化膜の表面を、走査電子顕微鏡を用いて観察し、1000個のマイクロポアにおける金属による封孔の有無を観察して封孔率(封孔マイクロポアの個数/1000個)を算出したところ、98%であった。
また、マイクロポアに金属を充填した後の陽極酸化膜を厚さ方向に対して、集束イオンビーム(FIB)を用いて切削加工し、その断面を走査電子顕微鏡を用いて表面写真(倍率50000倍)を撮影し、マイクロポアの内部を確認したところ、封孔されたマイクロポアにおいては、その内部が金属で完全に充填されていることが分かった。
<基板除去工程>
次いで、塩化銅/塩酸の混合溶液に浸漬させることによりアルミニウム基板を溶解して除去し、平均厚み40μmの異方導電層を作製した。
作製された異方導電層における導体の平均直径は60nmであり、隣接する突出部との間隔が40nmであり、導体の密度は5770万個/mmであった。
<突出工程>
基板除去工程後の異方導電層を、水酸化カリウム(KOH)水溶液(濃度:0.01mol/L)に浸漬させ、突出部の高さが300nmとなるように浸漬時間を調整してアルミニウムの陽極酸化膜の表面を選択的に溶解し、次いで、水洗し、乾燥して、導体である銅の円柱、すなわち、導体を突出させた。
同様に、アルミニウムの陽極酸化膜の裏面についても、導体の突出部14aの平均突出長さha(図1参照)及び突出部14bの平均長さhb(図1参照)が300nmとなるように、導体である銅の円柱、すなわち、導体を突出させた。
導体の平均直径は、走査電子顕微鏡を用いて、陽極酸化膜の表面を真上から倍率100~10000倍で撮影し撮影画像を得た。撮影画像において、周囲が環状に連なっている導体を少なくとも20個抽出し、その直径を測定し開口径とし、これら開口径の平均値を導体の平均直径として算出した。なお、導体の平均直径は、突出部の平均径である。
導体の突出部14aの平均突出長さha、hb(図1参照)は、陽極酸化膜を厚み方向Dt(図1参照)に対して集束イオンビーム(FIB)を用いて切削加工し、その断面を走査電子顕微鏡を用いて表面写真(倍率5万倍)を撮影し、10点測定した平均値として算出した値である。
<有機層の形成工程>
異方導電層の陽極酸化膜の一方の面に、組成物1を用い、スピンコート法により膜厚が600nmのベース層を形成した。次に、ベース層にパターンエッチング処理を施し、部分的に厚みを変えた。これにより、凹部20cと凸部20dとの差を100nmとした有機層を得た。
パターンエッチング処理は、KrFエキシマレーザー(波長248nm)を用いて、パターン露光を行い、その後、現像処理を実施した。このようにしてベース層に凹部と凸部とを形成して有機層を得た。
(組成物1)
組成物1は、下記表1に示す組成を有するものであり、特開2009‐9860号公報に記載の「実施例1」の組成物である。下記表1に示す組成物1を溶剤に溶解させ、それぞれについて固形分濃度6質量%の溶液を調製し、これをポアサイズ0.1μmのポリエチレンフィルターで濾過して溶液を調製した。これを上述のスピンコート法に用いた。
Figure 2023069883000002
〔樹脂1〕
樹脂1の合成について説明する。窒素気流下、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)(2/8:質量比)混合溶媒18.1gを3つ口フラスコに入れ、これを80℃に加熱した。これにメタクリル酸4.3g、3-ヒドロキシアダマンチルメタクリレート35.5g、重合開始剤V-601(和光純薬製)をモノマーに対し12mol%をPGMEA/PGME(2/8:質量比)混合溶媒163.0gに溶解させた溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で2時間反応させた。反応液を放冷後ヘキサン1400m/酢酸エチル600mlの混合液に20分かけて滴下し、析出した粉体をろ取、乾燥すると、樹脂1が26.4g得られた。得られた樹脂1の重量平均分子量は、標準ポリスチレン換算で8900、分散度(Mw/Mn)は1.84であった。
重合性基を持つ化合物(CLR-1)、開始剤(I-4)、溶剤、及び界面活性剤を下記に示す。
Figure 2023069883000003
Figure 2023069883000004
〔溶剤〕
A1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
B1:プロピレングリコールモノメチルエーテル
〔界面活性剤〕
W-1:メガファックF176(DIC株式会社製)(フッ素系)
有機層を構成する組成物1は、水に対する接触角が30°であった。また、有機層は、スロープ長さが20nm、スロープの傾斜を示す指標が0.2であった。
スロープの傾斜を示す指標は、(スロープ長さ)/(第2の層の厚み)で規定される値である。スロープの傾斜を示す指標は、有機層は傾斜部20e(図6参照)の絶縁膜12の表面20a又は裏面12bに対する傾きを示す。スロープの傾斜を示す指標が小さい程、傾きが急になり、絶縁膜12の表面20a又は裏面12bに対する傾斜部20e(図6参照)の角度が90°に近くなる。
スロープの傾斜を示す指標は、以下のようにして求めた。まず、有機層を形成した後、表面をデジタルマイクロスコープVHX-7000(株式会社キーエンス社製)で走査し、断面プロファイルを取得した。断面プロファイルの段差形状からスロープ長さと第2の層の厚みを求めた。次に、(スロープ長さ)/(第2の層厚み)を計算して、スロープの傾斜を示す指標を得た。
なお、水に対する接触角は、JIS R3257 基板ガラス表面のぬれ性試験方法の手法をもとに、有機層表面に水を滴下して測定した。接触角の測定装置には、全自動接触角計DMo-902(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いた。
また、異方導電層の陽極酸化膜の他方の面に、異方導電層の陽極酸化膜の一方の面と同じものを用い、スピンコート法により膜厚が600nmのベース層を形成した。
上述のように異方導電層の陽極酸化膜の他方の面に、スピンコート法によりベース層を形成する際には、汚染抑止のため、多孔質のフッ素樹脂シート(ポリテトラフルオロエチレン製)を介して、異方導電層をステージに吸着してスピンコートを実施した。多孔質のフッ素樹脂シートには、中興化成工業株式会社製のC-Porous(登録商標)を利用した。
なお、下記表2の「第2の層」の「膜厚」の欄は、凹部20cと凸部20dとの差、又は第2の層の膜厚を示す。
(実施例2)
実施例2は、実施例1に比して、有機層の構成が異なり、それ以外は、実施例1と同じとした。
有機層は、異方導電層の陽極酸化膜の一方の面に、PAK-02(商品名、東洋合成工業株式会社)を用い、スピンコート法により、膜厚が1000nm(1μm)のベース層を形成した。次に、ベース層にナノインプリント処理を施し、部分的に厚みを変えた。これにより、凹部20cと凸部20dとの差を200nmとした有機層を得た。このようにしてベース層に凹部と凸部とを形成して有機層を得た。
ナノインプリント処理は、ナノインプリント用の金型をベース層に金型を重ね、0.1MPaの圧力でプレスした状態でUV光を露光し、離形した。ナノインプリント用の金型には、100nmの段差と、200nmの段差とを有し、100nmの段差及び200nmの段差は、それぞれ段差部面積が3mmのガラス製の金型を用いた。
有機層を構成するPAK-02(商品名、東洋合成工業株式会社)は、水に対する接触角が40°であった。また、有機層は、スロープ長さが10nm、スロープの傾斜を示す指標が0.05であった。
(実施例3)
実施例3は、実施例2に比して、さらに、タフテック(登録商標)H1043(製品名、旭化成株式会社)を用いて、スピンコート法により、膜厚が200nmの第2の層を形成した点が異なり、それ以外は、実施例2と同じとした。
実施例4の有機層は、2層構造であり、2層目のタフテック(登録商標)H1043(製品名、旭化成株式会社)は、水に対する接触角が65°であった。また、有機層は、スロープ長さが1000nm、スロープの傾斜を示す指標が5であった。
(実施例4)
実施例4は、実施例2に比して、さらに、スピンコート法により、膜厚が1000nmの第2の層を形成した点が異なり、それ以外は、実施例2と同じとした。
第2の層については、まず、アクリルポリマー(06500-100Mw=1000000)100gと、アクリルモノマー(製品名:オグソールEA0200、大阪ガスケミカル株式会社製)150gと、マレイミド化合物(製品名:BMI5100、大和化成工業株式会社製)80gと、ビスフェノール(製品名:DABPA、大和化成工業株式会社製)20gとメチルエチルケトン100gとを、秤量し、この組成物を12時間以上24時間以下の時間範囲で混合し、均一に溶解混合された組成物を得た。得られた組成物を、所定の膜厚となるよう回転数を調整したスピンコーターを用いて第1の層に塗布し、連続して80℃のオーブンで乾燥させて第2の層を形成した。乾燥時間は、作製膜中の残留溶剤分が2質量%以下になるように5分間乾燥した。
実施例4の有機層は、2層構造であり、第2の層は、水に対する接触角が30°であった。また、有機層は、スロープ長さが100nm、スロープの傾斜を示す指標が0.1であった。
(実施例5)
実施例5は、異方導電層の陽極酸化膜の一方の面に、Staystik 383(品番、alpha advanced materials社)を用い、スピンコート法により膜厚が500nmの第1の層を形成した。次に、第1の層上に、TPIR(登録商標)-2000S NL(製品名、東京応化工業株式会社)を用いて、スピンコート法により膜厚500nmの膜を形成した。その後、ナノインプリント法を用いて、部分的に膜の厚みを変えて第2の層を形成した。これにより、凹部20cと凸部20dとの差を500nmとした有機層を得た。ナノインプリント処理は、実施例2と同様に実施したが、ガラス製の金型の段差を500nmとした。
実施例5の有機層は、2層構造であり、1層目のStaystik 383(品番、alpha advanced materials社)は水に対する接触角が65°、2層目のTPIR(登録商標)-2000S NL(製品名、東京応化工業株式会社)は水に対する接触角が60°であった。また、有機層は、スロープ長さが20nm、スロープの傾斜を示す指標が0.04であった。
また、実施例1と同様に、異方導電層の陽極酸化膜の他方の面に、異方導電層の陽極酸化膜の一方の面と同じものを用い、スピンコート法により膜厚が500nmの第1の層を形成した。
(実施例6)
実施例6は、実施例5に比して、第2の層に代えて有機部材を形成した点が異なり、それ以外は、実施例5と同じとした。実施例6は、インクジェット法によりタフテック(登録商標)H1043(製品名、旭化成株式会社)の液滴を、第1の層上に液滴の打滴密度を変えて吐出し、接合後の高さが100nmとなるように有機部材を形成した。
タフテック(登録商標)H1043(製品名、旭化成株式会社)の液滴の吐出には、マテリアルプリンターDMP-2850(富士フイルム株式会社製)を用いた。
実施例6の有機層は、複合層であり、タフテック(登録商標)H1043(製品名、旭化成株式会社)は水に対する接触角が65°であった。また、有機層は、スロープ長さが1000nm(1μm)、スロープの傾斜を示す指標が10であった。
(実施例7)
実施例7は、実施例5に比して、第2の層をPAK-02(商品名、東洋合成工業株式会社)を用いて形成した点、及び凹部20cと凸部20dとの差が500nmである点が異なり、それ以外は、実施例5と同じとした。
実施例7の有機層は、2層構造であり、2層目のPAK-02(商品名、東洋合成工業株式会社)は水に対する接触角が40°であった。また、有機層は、スロープ長さが100nm、スロープの傾斜を示す指標が0.2であった。
(実施例8)
実施例8は、実施例6に比して、有機部材に、実施例4の第2の層と同じものを用いて、接合後の高さが1000nmとなるように有機部材を形成した点が異なり、それ以外は、実施例6と同じとした。
実施例8の有機層は、複合層であり、第2の層は水に対する接触角が30°であった。また、有機層は、スロープ長さが1000nm、スロープの傾斜を示す指標が10であった。
(実施例9)
実施例9は、異方導電層の陽極酸化膜の一方の面に、Staystik 383(品番、alpha advanced materials社)を用い、スピンコート法により膜厚が500nmの第1の層を形成した。第1の層は、連続的に厚みを変化させた。
次に、第1の層上に、Staystik 383(品番、alpha advanced materials社)を用いて、インクジェット法により有機部材を形成して、凹部20cと凸部20dとの差を10μm(10000nm)とした有機層を得た。実施例9のインクジェット法は、実施例6のインクジェット法と同じにした。
実施例9の有機層は、2層構造であり、2層目のStaystik 383(品番、alpha advanced materials社)は、水に対する接触角が65°であった。また、有機層は、スロープ長さが50nm、スロープの傾斜を示す指標が0.005であった。
また、実施例1と同様に、異方導電層の陽極酸化膜の他方の面に、異方導電層の陽極酸化膜の一方の面と同じものを用い、スピンコート法により膜厚が500nmの第1の層を形成した。
(実施例10)
実施例10は、実施例9に比して、有機部材をタフテック(登録商標)H1043(製品名、旭化成株式会社)を用いて形成した点が異なり、それ以外は、実施例10と同じとした。実施例10の有機層は、複合層であり、タフテック(登録商標)H1043(製品名、旭化成株式会社)は水に対する接触角が65°であった。また、有機層は、スロープ長さが100nm、スロープの傾斜を示す指標が0.01であった。
(実施例11)
実施例11は、実施例9に比して、有機部材に、実施例4の第2の層と同じものを用いた点が異なり、それ以外は、実施例9と同じとした。実施例11の有機層は、複合層であり、第2の層は水に対する接触角が30°であった。また、有機層は、スロープ長さが100nm、スロープの傾斜を示す指標が0.01であった。
(比較例1)
比較例1は、異方導電層の陽極酸化膜の両方の面に、Staystik 383(品番、alpha advanced materials社)を用い、スピンコート法により膜厚が10μm(10000nm)の有機層を形成した。比較例2の有機層は、水に対する接触角が65°であり、厚みが均一である。比較例1は、第2の層がないため、スロープの傾斜を示す指標はない。
Figure 2023069883000005
表2に示すように、実施例1~11は、比較例1に比して導通信頼性が優れていた。
比較例1は、有機層が均一な厚みであり、導通信頼性が悪かった。
実施例1、6、及び実施例2、3から、スロープの傾斜を示す指標が大きい方が導通信頼性がより優れていた。
実施例4、5及び実施例10、11から、有機層は表面側、すなわち、接合側の方が水に対する接触角が小さいと、導通信頼性がより優れていた。
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f 異方導電性部材
11a、12a、20a 表面
11b、12b 裏面
12 絶縁膜
13 細孔
14 導体
14a、14b 突出部
15 陽極酸化膜
16 異方導電層
20 有機層
20b 部分
20c 凹部
20d 凸部
20e 傾斜部
21 第1の層
22 複合層
22a 有機部材
23、24、25、26 第2の層
27 ベース層
27a 表面
28 モールド
28a 凸部
29 層
30 アルミニウム基板
30a 表面
31 バリア層
32c 底部
32d 面
35 金属
35a 金属層
35b 金属
37 ベース層
37a 表面
37b 傾斜部
40、50 構造体
42、52 半導体メモリ
44、54 CPU
44a、44b、45a、46a、52a、52b 電極
45、53 センサー
46 RFデバイス
47 配線基板
53a、54a、54b、54c、57a、58a、58b 電極
56 第1の電子デバイス
57 第2の電子デバイス
58 第3の電子デバイス
59 樹脂層
60 下側チップ
60a 表面
60b 第1接続領域
60c 第2接続領域
60d 第3接続領域
61 第1電極部
61a、62a、63a 配線群
61b、62b、63b、64c、65c、66c 電極
61c、62c、63c 配線
61d、62d 端子
62 第2電極部
63 第3電極部
64 第1テストチップ
64b、65b、66b 配線部
65 第2テストチップ
66 第3テストチップ
68 接合部
70 構造体
d 平均直径
Ds 積層方向
Dt 厚み方向
hj 平均厚み
hm 平均厚み
ht 厚み
M1 金属
p 中心間距離
θ 傾斜角

Claims (21)

  1. 絶縁膜の厚み方向に貫通し、互いに電気的に絶縁された状態で設けられた、複数の導体と、前記絶縁膜の少なくとも一方の面を覆う有機層とを有する異方導電性部材であって、
    前記有機層は、表面が露出した状態において、前記絶縁膜の前記面からの厚みが厚い部分と前記厚みが薄い部分とを有する、異方導電性部材。
  2. 前記有機層は、前記厚みが厚い部分と前記厚みが薄い部分との間は厚みが連続的に変化している、請求項1に記載の異方導電性部材。
  3. 前記有機層は、前記絶縁膜側に配置された第1の層と、前記第1の層上に点在して配置された有機部材とを有する、請求項1に記載の異方導電性部材。
  4. 前記有機層は、多層構造を有する、請求項1又は2に記載の異方導電性部材。
  5. 前記有機層は、前記絶縁膜側よりも前記絶縁膜の反対側の方が接触角が小さい、請求項1、2及び4のうち、いずれか1項に記載の異方導電性部材。
  6. 前記有機層は、前記第1の層よりも前記有機部材の方が前記接触角が小さい、請求項3に記載の異方導電性部材。
  7. 絶縁膜の厚み方向に貫通し、互いに電気的に絶縁された状態で設けられた、複数の導体と、前記絶縁膜の少なくとも一方の面を覆う有機層とを有する異方導電性部材の製造方法であって、
    前記絶縁膜の少なくとも一方の前記面に対して、前記有機層を形成する組成物の適用量を変えて前記有機層を形成する工程を有する、異方導電性部材の製造方法。
  8. 前記有機層を形成する工程は、前記有機層を形成する前記組成物の適用量を変えて、前記有機層の前記厚みが厚い部分と前記厚みが薄い部分とを、前記厚みが厚い部分と前記厚みが薄い部分との間を連続的に厚みを変化させて、前記有機層を形成する、請求項7に記載の異方導電性部材の製造方法。
  9. 前記有機層を形成する工程は、
    前記絶縁膜側に第1の層を形成する工程と、
    前記第1の層上に前記有機部材を点在させて形成する工程とを有する、請求項7に記載の異方導電性部材の製造方法。
  10. 前記有機層は、多層構造を有する、請求項7又は8に記載の異方導電性部材の製造方法。
  11. 前記第1の層よりも前記有機部材の方が接触角が小さい、請求項9に記載の異方導電性部材の製造方法。
  12. 前記有機層は、接触角が異なる層を有し、
    前記有機層を形成する工程は、前記接触角が小さい層を、前記絶縁膜の反対側に形成して、部分的に厚みが異なる前記有機層を形成する、請求項10に記載の異方導電性部材の製造方法。
  13. 前記有機層を形成する工程は、均一な厚みの第1の層を形成する工程と、前記第1の層の表面に対して、部分的に第2の層を形成する工程とを有する、請求項7に記載の異方導電性部材の製造方法。
  14. 前記第1の層よりも前記第2の層の方が、接触角が小さい、請求項13に記載の異方導電性部材の製造方法。
  15. 前記有機層を形成する工程は、インクジェット法及び塗布法のうち、少なくとも1つの方法を含む工程を有する、請求項7~14のいずれか1項に記載の異方導電性部材の製造方法。
  16. 前記有機層を形成する工程は、均一な厚みのベース層を形成する工程と、前記ベース層に対して、パターンエッチング処理を施し、部分的に厚みを変える工程を有する、請求項7、8、10、11、及び12のうち、いずれか1項に記載の異方導電性部材の製造方法。
  17. 請求項1~6のいずれか1項に記載の異方導電性部材に、複数の電子デバイスが電気的に接続された構造体であって、
    前記複数の電子デバイスは、前記異方導電性部材に電気的に接続される電極を複数有し、
    前記複数の電子デバイスは、それぞれ前記電極の高さ、幅及び電極間距離のうち、少なくとも1つが異なる、構造体。
  18. 前記複数の電子デバイスは、それぞれ機能及び半導体種のうち、少なくとも一方が異なる、請求項17に記載の構造体。
  19. 前記複数の電子デバイスは、それぞれ厚さが異なる、請求項17又は18に記載の構造体。
  20. 請求項1~6のいずれか1項に記載の異方導電性部材に、複数の電子デバイスが電気的に接続された構造体の製造方法であって、
    前記複数の電子デバイスは、前記異方導電性部材に電気的に接続される電極を複数有し、
    前記複数の電子デバイスは、それぞれ前記電極の高さ、幅及び電極間距離のうち、少なくとも1つが異なり、かつ高さが異なり、
    高さが低い順に前記複数の電子デバイスを前記異方導電性部材に載置して、前記複数の電子デバイスを接合する工程を有する、構造体の製造方法。
  21. 前記複数の電子デバイスは、それぞれ機能及び半導体種のうち、少なくとも一方が異なる、請求項20に記載の構造体の製造方法。
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