JP2023069383A - 熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた難燃性を示す量で難燃剤を含有しながらも、引張強度に優れた熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物を提供する。【解決手段】熱可塑性ポリウレタンエラストマー、金属水酸化物及び金属水和物のうち少なくとも一方である無機系難燃剤、リン系難燃剤、並びにメラミン系難燃剤を含む熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物であって、前記熱可塑性ポリウレタンエラストマー100質量部に対し、前記無機系難燃剤を5~50質量部、前記リン系難燃剤を15~50質量部、前記メラミン系難燃剤を25~50質量部の比率で含み、前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、エラストマーの分子鎖中にカーボネート結合を複数有するカーボネート系熱可塑性ポリウレタンエラストマーである、熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物に関する。
熱可塑性エラストマーは、ゴム的性質を有し、柔軟性に優れるため、加硫ゴムや塩化ビニル樹脂の代替として、自動車部品、電子・電気機器部品、フィルム等の成形品材料や、通信ケーブル、電線等の被覆材等に広く使用されている。これら成形品材料や被覆材等には、難燃性が求められる場合がある。
従来、樹脂組成物の難燃性を高める目的で種々の難燃剤が検討されている。このような難燃剤として、例えば、塩素系や臭素系等のハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物や金属水和物等の無機系難燃剤、脂肪族縮合リン酸エステル等のリン系難燃剤、メラミンイソシアヌレート等のメラミン系難燃剤が挙げられる。例えば特許文献1には、メラミン系難燃剤が添加された熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物が開示されている。
特許第3862289号公報
従来の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物は、各種の試験方法に基づいて難燃性が評価されている。規格に合格するものは確かに難燃性に優れている訳であるが、難燃性以外の物性が疎かになり、用途に適さないものとなっては本末転倒である。例えば、電線を被覆する用途では引張強度が強いことが求められるが、難燃剤を多量に添加するとこの物性が悪化することがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、優れた難燃性を示す量で難燃剤を含有しながらも、引張強度に優れた熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物を提供する。
[1] 熱可塑性ポリウレタンエラストマー、金属水酸化物及び金属水和物のうち少なくとも一方である無機系難燃剤、リン系難燃剤、並びにメラミン系難燃剤を含む熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物であって、前記熱可塑性ポリウレタンエラストマー100質量部に対し、前記無機系難燃剤を5~50質量部、前記リン系難燃剤を15~50質量部、前記メラミン系難燃剤を25~50質量部の比率で含み、前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、エラストマーの分子鎖中にカーボネート結合を複数有するカーボネート系熱可塑性ポリウレタンエラストマーである、熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物。
[2] 前記リン系難燃剤が脂肪族縮合リン酸エステルを含む、[1]に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物。
[3] 前記無機系難燃剤が水酸化アルミニウムである、[1]又は[2]に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物。
[4] UL 1581 VW-1およびUL 1581 Cable Flame Testの要件を満たす難燃性を有する、[1]~[3]の何れか一項に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物。
[5] JIS K 6251:2010に規定された5号ダンベル形の試験片を構成したとき、JIS K 7161-2:2014に従って測定した引張強さが25MPa以上である、[1]~[4]の何れか一項に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物。
[6] 前記試験片を80℃の温水に168時間浸した後の引張強さが、前記温水に浸す前の引張強さを基準として、±30%以内の変化率である、[5]に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物。
本発明の熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物にあっては、優れた難燃性を示す量で難燃剤を含有しながらも、引張強度に優れる。また、その優れた引張強度は浸水処理を経た後においても充分に維持される。また、本発明にあっては、腐食作用を有するハロゲン系難燃剤を使用せずとも、優れた難燃性が発揮される。
≪熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物≫
本発明の第一実施形態は、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、金属水酸化物及び金属水和物のうち少なくとも一方である無機系難燃剤、リン系難燃剤、並びにメラミン系難燃剤を含む熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物(以下、TPU組成物ということがある。)である。
前記TPU組成物は、前記熱可塑性ポリウレタンエラストマー100質量部に対し、前記無機系難燃剤を5~50質量部、前記リン系難燃剤を15~50質量部、前記メラミン系難燃剤を25~50質量部の比率で含むことが好ましい。
前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、エラストマーの分子鎖中にカーボネート結合を複数有する、いわゆるポリカーボネート系TPUであることが好ましい。
<熱可塑性ポリウレタンエラストマー(略称:TPU)>
本実施形態のTPUとしては、ハードセグメントブロックとソフトセグメントブロックとを繰り返し単位とするブロック共重合体が好ましい。
ハードセグメントブロックは、少なくともジイソシアネートとジオール類とが反応して形成されたウレタン結合を有することが好ましい。
ジイソシアネートとしては、例えば1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、水素添加XDI、トリレンジイソシアネート(TDI)、トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート等が挙げられる。
ジオール類としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられる。
ソフトセグメントブロックは、少なくともジイソシアネートとポリオールとが反応して形成されたウレタン結合を有することが好ましい。
ジイソシアネートとしては、ハードセグメントブロックの説明において先に例示したジイソシアネート等が挙げられる。
ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、ジオール類とジカルボン酸との縮合重合により得られるポリエステルポリオール;ε-カプロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合により得られるポリラクトンジオール等が挙げられる。
ジオール類としては、ハードセグメントブロックの説明において先に例示したジオール類等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、ジカルボン酸とグリコールとの縮合重合により得られるポリエーテルポリオール;ポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコール;ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、ポリエステルポリオールの説明において先に例示したジカルボン酸等が挙げられる。
グリコールとしては、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、ジオール類とカーボネート類との反応により得られるポリカーボネートポリオール;ポリカプロラクトンポリオールとポリヘキサメチレンカーボネートとの共重合体等が挙げられる。
ジオール類としては、ハードセグメントブロックの説明において先に例示したジオール類等が挙げられる。
カーボネート類としては、例えばエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。
TPUは、エステル系TPU、エーテル系TPU、カーボネート系TPUに分類することができる。ここで、エステル系TPUはエラストマーの分子鎖中にエステル結合を複数有するTPUであり、エーテル系TPUはエラストマーの分子鎖中にエーテル結合を複数有するTPUであり、カーボネート系TPUはエラストマーの分子鎖中にカーボネート結合を複数有するTPUである。エラストマーの分子鎖中に含まれる上記結合は、TPUの合成時に使用したポリオールが有する結合に由来する。
本実施形態においては、引張強度が優れることからカーボネート系TPUが好ましい。
本実施形態のTPUは、1種類でもよいし、2種類以上を組み合わせて含んでもよい。
本実施形態のTPU組成物の難燃性を高めつつ引張強さの向上を図る観点から、TPU100質量部のうち、カーボネート系TPUの含有割合は、50質量部以上100質量部以下が好ましく、70質量部以上100質量部以下がより好ましく、90質量部以上100質量部以下がさらに好ましい。
ここで、TPU100質量部のうち、カーボネート系TPU以外の残部は、エステル系TPU及びエーテル系TPUから任意に選択することができる。
本実施形態のTPU組成物の引張強さを高める観点から、TPU組成物の総質量に対するTPUの含有量は、50質量%以上が好ましい。また、各難燃剤を添加することを考慮して、前記含有量は、50~80質量%が好ましく、50~70質量%がより好ましく、50~65質量%がさらに好ましい。
<無機系難燃剤>
本実施形態の無機系難燃剤として、金属水酸化物及び金属水和物のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。
金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。このうち、難燃性の向上に優れることから水酸化アルミニウムが好ましい。
金属水和物としては、例えば、ホウ酸亜鉛等が挙げられる。
無機系難燃剤の中でも、本実施形態の難燃性及び引張強度を向上させる観点から、水酸化アルミニウムが好ましい。
なお、本実施形態においては、三酸化アンチモンや五酸化アンチモン等のいわゆるアンチモン系難燃助剤を配合せずとも充分な難燃性が得られる。
本実施形態のTPU組成物中の無機系難燃剤は、1種でもよいし、2種以上でもよい。
本実施形態のTPU組成物の難燃性を高めつつ引張強さの向上を図る観点から、TPU100質量部のうち、無機系難燃剤の含有割合は、5~50質量部が好ましく、7~30質量部がより好ましく、9~20質量部がさらに好ましい。
<リン系難燃剤>
本実施形態のリン系難燃剤は、前記無機系難燃剤及び前記メラミン系難燃剤に該当せず、リン原子を含む化合物からなる難燃剤である。リン系難燃剤は、リン酸から誘導される官能基又はポリリン酸鎖を有するものが好ましい。リン系化合物は、リン酸部位の縮合の有無で大別することができる。
非縮合型としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ2,6-キシレニルホスフェート等の非ハロゲンリン酸エステル;トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等の含ハロゲンリン酸エステルが挙げられる。
縮合型としては、芳香族縮合リン酸エステル、脂肪族縮合リン酸エステルが挙げられる。
芳香族縮合リン酸エステルとしては、例えば、リン酸基が有する水酸基の水素原子をフェニル基が置換したリン酸エステル部位を複数有する公知の化合物が挙げられる。
脂肪族縮合リン酸エステルとしては、例えば、リン酸基が有する水酸基の水素原子を脂肪族炭化水素基が置換したリン酸エステル部位を複数有する公知の化合物が挙げられる。ここで、脂肪族縮合リン酸エステルは芳香族基を有しないものとする。
リン系難燃剤の中でも、本実施形態の難燃性及び引張強度を向上させる観点から、縮合型リン系難燃剤が好ましく、脂肪族縮合リン酸エステルがより好ましい。
本発明において、リン系難燃剤とメラミン系難燃剤と区別する意味で、メラミンから誘導される官能基を含む難燃剤は、たとえリン酸から誘導される官能基を有していても、リン系難燃剤に該当せず、メラミン系難燃剤に該当するものとする。
本実施形態のTPU組成物中のリン系難燃剤は、1種でもよいし、2種以上でもよい。
本実施形態のTPU組成物の難燃性を高めつつ引張強さの向上を図る観点から、TPU100質量部のうち、リン系難燃剤の含有割合は、15~50質量部が好ましく、18~40質量部がより好ましく、21~30質量部がさらに好ましい。
<メラミン系難燃剤>
本実施形態のメラミン系難燃剤は、前記無機系難燃剤に該当せず、メラミン又はメラミン誘導体を含む化合物、或いは、メラミン又はメラミン誘導体から誘導される官能基を含む化合物からなる難燃剤である。リン原子を含む或いはリン酸基又はリン酸から誘導される官能基を含む化合物であっても、当該化合物がメラミンから誘導される官能基を含む場合にはメラミン系難燃剤に該当し、リン系難燃剤には該当しないものとする。
メラミンを含む化合物としては、例えば、メラミンシアヌレート(シアヌル酸メラミン)等のメラミンを含む有機塩が挙げられる。
メラミン誘導体としては、例えば、メラム(C11)、メレム(C10)が挙げられる。これらのメラミン誘導体は塩として含まれることによりメラミン系難燃剤を構成することができる。
メラミンから誘導される官能基としては、例えば、メラミン、メラム又はメレムが有する任意の水素原子の1つが除かれた1価の基が挙げられる。
メラミン系難燃剤の中でも、本実施形態の難燃性及び引張強度を向上させる観点から、メラミンシアヌレートが好ましい。
本実施形態のTPU組成物中のメラミン系難燃剤は、1種でもよいし、2種以上でもよい。
本実施形態のTPU組成物の難燃性を高めつつ引張強さの向上を図る観点から、TPU100質量部のうち、メラミン系難燃剤の含有割合は、25~50質量部が好ましく、27~45質量部がより好ましく、29~40質量部がさらに好ましい。
本実施形態のTPU組成物において、無機系難燃剤の含有量Xとリン系難燃剤の含有量Yとメラミン系難燃剤の含有量Zの相対比(質量基準)は、X<Y<Zであることが好ましい。この相対比において、Y/Xで表される比は、1.2~4.0が好ましく、1.5~3.5がより好ましく、2.0~2.9がさらに好ましい。また、Z/Xで表される比は、2.0~6.0が好ましく、2.5~5.0がより好ましく、3.0~4.0がさらに好ましい。
上記の相対的な含有量であると、本実施形態のTPU組成物の難燃性及び浸水処理後の引張強度をより向上させることができる。
<その他の任意成分>
本実施形態のTPU組成物には、必要に応じて、上述した以外の成分(任意成分)を含有してもよい。任意成分としては、例えば、溶剤、可塑剤、プロセスオイル等の軟化剤、タルク、カーボンブラック、炭酸カルシウム等の充填剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、加工安定剤、着色剤等の各種の添加剤が挙げられる。
本実施形態のTPU組成物の総質量に対する上記の任意成分の含有量は、本発明の効果を充分に得る観点から、20質量%以下が好ましく10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
<TPU組成物の製造方法>
本発明に係るTPU組成物を製造する方法は特に制限されず、各成分が組成物中で均一になるように、常法により混合・混錬することにより得られる。
TPUと各難燃剤成分を混合・混錬する方法としては、例えば、加圧ニーダーやバンバリーミキサー等を使用する方法が挙げられる。混合の際にはTPUの分解を防ぐ観点から、180℃以下の樹脂温度で混合・混錬することが好ましい。
<TPU組成物の形態>
本実施形態のTPU組成物の具体的な形態は、別の成形加工に供することが容易なペレット、ビーズ、粉体であってもよいし、プレス成形、射出成形、押出成形等の公知の成形法により成形された成形品であってもよい。
成形品としては、特に限定されず、例えば自動車部品、パーソナルコンピュータ、コピー機等の電子・電気機器部品(例えばキーボード、トナーシール材、クリーニングブレード等)、レインコート等のフィルム材、放水ホース材、時計用バンド、フィギュア(人間やキャラクター等の立体的な模型)、工具グリップ(ドライバーのハンドル等)等が挙げられる。
本発明の製造方法により得たTPU組成物の成形品は、難燃性だけでなく、浸水処理後の引張強さにも優れるので、特に電線(ケーブル)を被覆する用途に有用である。
(引張強さ)
本実施形態のTPU組成物がJIS K 6251:2010に規定された5号ダンベル形の試験片を構成したとき、JIS K 7161-2:2014に従い測定した引張強さは、25MPa以上が好ましく、26MPa以上がより好ましく、27MPa以上がさらに好ましい。上限値は特に限定されず、柔軟性や伸び性とのバランスを考慮して、例えば45MPa程度が目安として挙げられる。
前記引張強さは、使用するTPUが本来有する引張強さと、各難燃剤の含有量によって調整することができる。
(耐水性)
また、前記試験片を80℃の温水に168時間浸した後の引張強さが、前記温水に浸す前の引張強さを基準として、±30%以内の変化率であることが好ましい。この浸水処理後においても上記の範囲内に変化率が収まれば、当該TPU組成物は耐水性が高いといえる。従って、上記変化率は±25%以内がより好ましく、±20%以内がさらに好ましく、±15%以内が特に好ましく、±10%以内が最も好ましい。
(難燃性)
本実施形態のTPU組成物は、UL 1581 VW-1およびUL 1581 Cable Flame Testのうち少なくとも一方の要件を満たす難燃性を有することが好ましい。
UL 1581 VW-1およびUL 1581 Cable Flame Testの要件を満たすか否かは、下記の試験方法を実施することにより確認することができる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
表1に記載の原材料の詳細は次の通りである。
「カーボネート系TPU(1)」はDICコベストロポリマー社製のパンデックスT-9280である。「カーボネート系TPU(2)」はLubrizol社製のESTANE TS 92AP7 NAT 055である。「カーボネート系TPU(3)」はBASF社製のET1080-10Nである。
「エーテル系TPU樹脂(1)」はLubrizol社製のESTANE 58315である。
「エーテル系TPU樹脂(2)」はBASF社製のET 385-10である。
「水酸化アルミニウム」は日本軽金属社製の水酸化アルミニウムBF-013である。
「リン系難燃剤」は大八化学工業社製のSR-8100であり、脂肪族縮合リン酸エステルである。
「メラミンシアヌレート」は堺化学工業社製のMC-2010Nである。
「リン・窒素系化合物」は大和化学工業社製のFRAN CM-6Rである。
「ベヘン酸カルシウム」は日東化成工業社製のCS-7である。
「フェノール系酸化防止剤(1)」はADEKA社製のアデカスタブAO-60である。
「フェノール系酸化防止剤(2)」はADEKA社製のアデカスタブAO-80である。
「ヒンダードアミン系光安定剤」はADEKA社製のアデカスタブLA-63Pである。
「ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤」は城北化学工業社製のJF-77である。
「顔料マスターバッチ」はDICコベストロポリマー社製のウレタンブラック DN-20Aである。
<試験片の作成>
表1に記載の量(質量部)で混合し、それぞれの配合物を調整した。
各試験例において、調製した配合物65gをラボプラストミル(東洋精機社製:型番:4C150、ローター:R30)に投入し、160℃設定で30回転にて2分混錬した。
得られた混練物を1分以内に160℃設定の6インチロールにて1分間混錬し、0.5mm厚のシートを作成した。ここで作成したシートについて、ロールに通した方向(流れ方向)と、それに直交する方向を区別することができる。2枚のシートを準備し、各シートの流れ方向が互いに交差(クロス)した状態で重ねて、170℃にて4分間予熱した後、170℃、15MPaにて4分間加熱圧縮成形し、その後加圧したまま室温(25℃)までゆっくり冷却して、1mm厚のシート状の試験片を作製した。
<物性値:引張強さ>
試験片を23±1℃の環境に24時間静置した後、引張強さを測定した。
試験片をJIS K 6251:2010に規定された5号ダンベルにて打ち抜き、JIS K 7161-2:2014に従い測定した。結果を表1に示す。
引張強さが25MPa以上であるものを合格品と判定した。
<耐水性:浸水後の引張強さの変化>
試験片を80℃の温水に完全に水没させて168時間浸した後、引張強さを測定した。
具体的には、上述のJIS規格に従い測定した。結果を表1に示す。
浸水前の引張強さ(上述の物性値)を基準とし、変化率が±30%以内であるものを合格品と判定した。
結果を表1に示す。表1中、「-」は未測定である。
<難燃性(1)>
UL 1581 Cable Flame Testの試験方法に従い、下記の試験用ケーブルの難燃性を評価した。
上記で作製した試験片を30mm×350mmの大きさに切り出し、短辺を2つ折りにした。これを80#の金網からなる直径10mmの円筒の外周に1重で巻き付けて、ホッチキスにて留めたものを試験用ケーブル(外形12mm、長さ350mm)とした。
上記試験方法に従い、試験用ケーブルを垂直に保持し、20度の角度でバーナーの炎をあて60秒着火、30秒休止を3回繰り返し、燃焼の程度を調べた。
上記試験方法に従い、残炎による燃焼が60秒を超えず、表示旗が25%以上燃損せず、落下物によって底部の外科用綿が燃焼しないものを合格品と判定した。
結果を表1に示す。合格品を「○」、不合格品を「×」で示した。
<難燃性(2)>
UL 1581 VW-1の試験方法に従い、下記の試験用ケーブルの難燃性を評価した。
上記で作製した試験片を30mm×350mmの大きさに切り出し、短辺を2つ折りにした。これを80#の金網からなる直径10mmの円筒の外周に1重で巻き付けて、ホッチキスにて留めたものを試験用ケーブル(外形12mm、長さ350mm)とした。
上記試験方法に従い、試験用ケーブルを垂直に保持し、20度の角度でバーナーの炎をあて15秒着火、15秒休止を5回繰り返し、燃焼の程度を調べた。
上記試験方法に従い、残炎による燃焼が60秒を超えず、表示旗が25%以上燃損せず、落下物によって底部の外科用綿が燃焼しないものを合格品と判定した。
結果を表1に示す。合格品を「○」、不合格品を「×」、未測定を「-」で示した。
本実施例では、上記の難燃性(1)及び難燃性(2)の両方に合格したものを最終的な合格品とした。
Figure 2023069383000001
<評価>
本発明に係る実施例のTPU組成物にあっては、UL 1581 Cable Flame Testに準拠した模擬試験、及びUL 1581 VW-1に準拠した模擬試験の両方について合格することができた。ここで「模擬」と表記する理由は、試験用ケーブルの導電線が金網製の円筒であるためであり、試験方法自体は各規格に準拠している。従い、本発明に係るTPU組成物が銅線等を被覆したケーブルにおいても同様の結果が得られることは明らかである。
一方、比較例1では、金属水酸化物の含有量が少ないため、難燃性が不合格であった。比較例2では、リン系難燃剤の含有量が少ないため、難燃性が不合格であった。比較例3では、メラミン系難燃剤の含有量が少ないため、難燃性が不合格であった。
また、比較例4では、金属水酸化物の含有量が多いため、引張強さが不合格であった。比較例5では、リン系難燃剤の含有量が多いため、引張強さが不合格であった。比較例6では、メラミン系難燃剤の含有量が多いため、引張強さが不合格であった。
また、比較例7,8では、カーボネート系TPU樹脂ではくエーテル系TPU樹脂であるため、引張強さが不合格であった。
なお、比較例9は、大八化学工業社製のFRAN CM-6Rと呼ばれるリン・窒素系化合物を含み、難燃性には優れるが、浸水処理後の引張強さが大幅に低下した。

Claims (6)

  1. 熱可塑性ポリウレタンエラストマー、金属水酸化物及び金属水和物のうち少なくとも一方である無機系難燃剤、リン系難燃剤、並びにメラミン系難燃剤を含む熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物であって、
    前記熱可塑性ポリウレタンエラストマー100質量部に対し、前記無機系難燃剤を5~50質量部、前記リン系難燃剤を15~50質量部、前記メラミン系難燃剤を25~50質量部の比率で含み、
    前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、エラストマーの分子鎖中にカーボネート結合を複数有するカーボネート系熱可塑性ポリウレタンエラストマーである、熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物。
  2. 前記リン系難燃剤が脂肪族縮合リン酸エステルを含む、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物。
  3. 前記無機系難燃剤が水酸化アルミニウムである、請求項1又は2に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物。
  4. UL 1581 VW-1およびUL 1581 Cable Flame Testの要件を満たす難燃性を有する、請求項1~3の何れか一項に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物。
  5. JIS K 6251:2010に規定された5号ダンベル形の試験片を構成したとき、JIS K 7161-2:2014に従って測定した引張強さが25MPa以上である、請求項1~4の何れか一項に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物。
  6. 前記試験片を80℃の温水に168時間浸した後の引張強さが、前記温水に浸す前の引張強さを基準として、±30%以内の変化率である、請求項5に記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物。
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