JP2023068792A - 水硬性組成物用混和剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水硬性組成物用混和剤の原料である不飽和ポリアルキレングリコール単量体の作製時に脱水処理を行わなくても、副生ポリアルキレングリコールが生成し難い、水硬性組成物用混和剤の製造方法を提供する。【解決手段】不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製する工程1と、この工程1で作製した不飽和ポリアルキレングリコール単量体を原料として重合反応を行って反応混合物である水硬性組成物用混和剤を得る工程2と、を有することを特徴とする、水硬性組成物用混和剤の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、水硬性組成物用混和剤の製造方法に関する。更に詳しくは、副生ポリアルキレングリコールの生成し難い、水硬性組成物用混和剤の原料である不飽和ポリアルキレングリコール単量体の作製工程を含む、水硬性組成物用混和剤の製造方法に関する。
従来、コンクリート等の水硬性組成物には、ポリカルボン酸系減水剤が使用され、水硬性組成物の品質を向上させている。このポリカルボン酸系減水剤としては、例えば、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリオキシアルキレンや、α-メタリル-ω-ヒドロキシ-ポリオキシアルキレン等の不飽和ポリアルキレングリコール単量体と(メタ)アクリル酸(塩)との共重合物等が知られている。
このようなポリカルボン酸系減水剤の原料である不飽和ポリアルキレングリコール単量体は、特定の出発物質にアルキレンオキサイド(AO)を付加することで製造される。その際、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどを触媒として使用して製造されることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2011-019034号
しかしながら、特許文献1に記載のポリカルボン酸系減水剤の原料である不飽和ポリアルキレングリコール単量体の製造方法では、触媒が水酸基を有するため、原料である不飽和アルコールとの反応時に水が発生し、これを起点に、ポリアルキレングリコール(PAG)が副生されてしまう(副生PAGが発生する)という問題がある。このような問題に対して、出発物質の沸点が高い場合には、反応前の加熱減圧脱水を対策として採用し得る。しかし、出発物質の沸点が低い場合(例えば、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリオキシアルキレンの出発物質(3-メチル-3-ブテン-1-オール)の沸点は130℃程度であり、α-メタリル-ω-ヒドロキシ-ポリオキシアルキレンの出発物質(メタリルアルコール)の沸点は114℃程度である)、減圧脱水処理では減圧時に出発物質も蒸発してしまう。そのため、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリオキシアルキレンや、α-メタリル-ω-ヒドロキシ-ポリオキシアルキレンを製造する場合、減圧脱水処理を採用することには問題がある。
そこで、出発物質の沸点が低い場合、特許文献1に記載のように2段階の操作が行われている。具体的には、1段階目において一部のエチレンオキサイドを付加して脱水処理を行い、その後、2段階目において更にエチレンオキサイドを付加する。このように2段階目において、例えばエチレンオキサイド50モル程度まで伸ばす操作が行われる。しかし、1段階目では依然として触媒に由来して発生する水を起点とした副生PAGが発生し、また、2段階の操作は、製造工数の増加を引き起こすという問題がある。なお、エチレンオキサイドの付加温度は80~95℃であるが、付加温度が120℃に上昇した場合、副生されるポリアルキレングリコールの量が増加してしまうので、反応温度の制御が難しいという問題もある。
このようなことから、不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製し、その後、この不飽和ポリアルキレングリコール単量体を原料として重合反応させて水硬性組成物用混和剤を製造するに際して、従来のような脱水処理を行わなくても高純度の不飽和ポリアルキレングリコール単量体を得ることができ(即ち、不飽和ポリアルキレングリコール単量体の作製時に副生ポリアルキレングリコールの生成が抑制され)、簡便に水硬性組成物用混和剤を得ることができる水硬性組成物用混和剤の製造方法の開発が求められていた。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、水硬性組成物用混和剤の原料である不飽和ポリアルキレングリコール単量体の作製時に脱水処理を行わなくても、副生ポリアルキレングリコール(副生PAG)が生成し難い、水硬性組成物用混和剤の製造方法の提供を課題とするものである。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、所定の触媒を使用する工程1を用いることによって上記課題を解決できることを見出した。本発明によれば、以下の水硬性組成物用混和剤の製造方法が提供される。
[1] 不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製する下記工程1と、
前記工程1で作製した不飽和ポリアルキレングリコール単量体を原料として重合反応を行って反応混合物を得る工程2と、
を有することを特徴とする、水硬性組成物用混和剤の製造方法。
工程1:
下記一般式(2)で示される金属アルコキシドの存在下、下記一般式(1)で示される不飽和アルコールに対してアルキレンオキサイドを付加する反応を行って不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製する工程。
Figure 2023068792000001
(一般式(1)において、R,R,Rは、それぞれ独立に、水素原子、又はメチル基である。ROは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。mは、0~3の整数である。nは、ROの平均付加モル数であり、0~2の数である。)
Figure 2023068792000002
(一般式(2)において、Rは、炭素数1~20の炭化水素基である。Mは、金属原子である。)
[2] 前記工程1における反応温度の条件を70~140℃にする、前記[1]に記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
[3] 前記一般式(2)で示される金属アルコキシドを、前記一般式(1)で示される不飽和アルコールと前記アルキレンオキサイドとの総重量に対して0.025~1質量%添加する、前記[1]または[2]に記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
[4] 前記一般式(2)において、Rが炭素数1~5のアルキル基であり、Mがアルカリ金属である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
[5] 前記一般式(2)において、Rが炭素数3~5の2級又は3級アルキル基であり、Mがカリウム又はナトリウムである、前記[1]~[4]のいずれかに記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
[6] 前記一般式(1)において、Rが水素原子であり、Rが水素原子又はメチル基であり、Rが水素原子であり、mが0~2の整数であり、nが0又は1である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
[7] 前記一般式(1)において、Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子であり、mが1又は2であり、nが0である、前記[1]~[6]のいずれかに記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
[8] 前記工程2が、前記工程1で作製した前記不飽和ポリアルキレングリコール単量体と、当該不飽和ポリアルキレングリコール単量体と共重合可能なビニル単量体と、を水溶媒中でラジカル共重合させて水硬性組成物用混和剤を得る工程である、前記[1]~[7]のいずれかに記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
[9] 前記ビニル単量体が、アクリル酸及びアクリル酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むものである、前記[8]に記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
本発明の水硬性組成物用混和剤の製造方法によれば、所定の触媒を使用する工程1を採用するため、水硬性組成物用混和剤の原料である不飽和ポリアルキレングリコール単量体の作製時(エーテル化の際)に脱水処理を行わなくても、副生ポリアルキレングリコールが生成し難く、簡便に高純度な不飽和ポリアルキレングリコール単量体を得ることができ、更に、製造した水硬性組成物用混和剤(ポリカルボン酸系減水剤)は、コンクリートの粘性等の性状を改善することができるという効果を奏するものである。
不飽和ポリアルキレングリコール単量体と副生ポリエチレングリコールを含む反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析した結果を示すチャートである。
以下、本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられ得ることが理解されるべきである。なお、以下の実施例等において、別に記載しない限り、%は質量%を、また部は質量部を意味する。
(1)水硬性組成物用混和剤の製造方法:
本発明の水硬性組成物用混和剤の製造方法は、不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製する下記工程1と、この工程1で作製した不飽和ポリアルキレングリコール単量体を原料として重合反応を行って反応混合物である水硬性組成物用混和剤を得る工程2と、を有することを特徴とする方法である。
工程1:
下記一般式(2)で示される金属アルコキシドの存在下、下記一般式(1)で示される不飽和アルコールに対してアルキレンオキサイドを付加する反応を行って不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製する工程。
Figure 2023068792000003
(一般式(1)において、R,R,Rは、水素原子、又はメチル基である。ROは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。mは、0~3の整数である。nは、ROの平均付加モル数であり、0~2の数である。)
Figure 2023068792000004
(一般式(2)において、Rは、炭素数1~20の炭化水素基である。Mは、金属原子である。)
このような水硬性組成物用混和剤の製造方法によれば、所定の触媒を使用する工程1を有するため、原料である不飽和ポリアルキレングリコール単量体の作製時(エーテル化の際)に脱水処理を行わなくても、副生ポリアルキレングリコールが生成し難く、簡便に高純度な不飽和ポリアルキレングリコール単量体を得ることができる。そして、更に、製造した水硬性組成物用混和剤(ポリカルボン酸系減水剤)は、コンクリートの粘性等の性状を改善することができるものである。
この工程1では、脱水工程を経ずに行うことも可能である。また、アルキレンオキサイドを1段階で付加させることが可能である。
(1-1)工程1:
工程1は、不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製する工程であり、一般式(2)で示される金属アルコキシドの存在下、一般式(1)で示される不飽和アルコールに対してアルキレンオキサイドを付加する反応を行って不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製する工程である。このように一般式(2)で示される金属アルコキシドを用いることによって、原料である不飽和アルコールとの反応時に水が発生することを回避し、ポリアルキレングリコールの副生を抑制できる。更に、得られる水硬性組成物用混和剤は、コンクリートの粘性等の性状が改善される。
(1-1a)一般式(1)で示される不飽和アルコール:
一般式(1)で示される不飽和アルコールは、不飽和ポリアルキレングリコール単量体の主原料である。
一般式(1)におけるR,R,Rは、それぞれ独立に、水素原子、又はメチル基であり、全て同じであってもよいし、いずれかが異なってもよい。
Oは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。
mは、0~3の整数であり、0~2の整数であることが好ましく、1又は2であることが更に好ましく、2であることが最も好ましい。
nは、ROの平均付加モル数であり、0~2の数であり、0又は1であることが好ましく、0であることが更に好ましい。
一般式(1)において、Rが水素原子であり、Rが水素原子又はメチル基であり、Rが水素原子であり、mが0~2の整数であり、nが0又は1である態様とすることが好ましい。更には、Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子であり、mが1又は2であり、nが0である態様とすることがより好ましい。そして、Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子であり、mが2であり、nが0である態様とすることが特に好ましい。
(1-1b)アルキレンオキサイド:
アルキレンオキサイドは、特に制限はなく従来公知のものを適宜採用することができ、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどを挙げることができる。
(1-1c)一般式(2)で示される金属アルコキシド:
一般式(2)で示される金属アルコキシドは、一般式(1)で示される不飽和アルコールのエーテル化反応における触媒として用いられるものである。本工程1においてこの一般式(2)で示される金属アルコキシドを触媒として用いることで、副生PAGの生成を抑制することができる。つまり、一般式(2)で示される金属アルコキシドには、水酸基がないため、従来の触媒のように原料である不飽和アルコールとの反応時に水が発生しない。そのため、これを起点に、ポリアルキレングリコールが副生されてしまう(副生PAGが発生する)ことを回避することができる。また、更に一般式(2)におけるRを嵩高い官能基(例えば、tert-(ターシャリー)ブチル基)とすると、その立体障害により、副生PAGの生成をより抑制することができる。
は、炭素数1~20の炭化水素基である。特に、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、炭素数3~5の2級又は3級アルキル基であることが更に好ましい。2級又は3級アルキル基とすることによって、立体障害がより大きくなり、副生PAGの生成を特に抑制することができる。
の炭素数1~20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-(ノルマル)ブチル基、tert-(ターシャリー)ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エチニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基等を挙げることができる。
Mは、金属原子であり、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属などを挙げることができる。特に、アルカリ金属が好ましく、汎用性の観点からカリウム又はナトリウムであることが更に好ましい。
一般式(2)において、Rが炭素数1~5のアルキル基であり、Mがアルカリ金属である態様が好ましく、そして、Rが炭素数3~5の2級又は3級アルキル基であり、Mがカリウム又はナトリウムである態様が更に好ましい。
一般式(2)で示される金属アルコキシドとしては、具体的には、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムメトキシドなどを挙げることができる。
工程1における反応(一般式(1)で示される不飽和アルコールに対してアルキレンオキサイドを付加する反応)の温度条件を70~140℃にすることが好ましく、80~140℃にすることが更に好ましく、100~140℃にすることが特に好ましい。このような範囲とすることによって、副生PAGの生成を抑制しつつ、適切な反応速度で効率的に所望の不飽和ポリアルキレングリコール単量体を製造することができる。上記下限値未満であると、反応速度が著しく低下する等の不具合が生じるおそれがある。上記上限値超であると、原料の異性化や分解などにより付加反応が阻害され、目的物の収率が低下する等の不具合が生じるおそれがある。
一般式(2)で示される金属アルコキシドの添加割合は、特に制限はなく適宜決定することができ、具体的には、一般式(2)で示される金属アルコキシドを、一般式(1)で示される不飽和アルコールとアルキレンオキサイドとの総重量に対して0.025~1質量%添加することができ、更に、0.050~0.75質量%添加することが好ましく、0.050~0.50質量%添加することが特に好ましい。このような範囲とすることによって、副生PAGの生成を更に抑制することができるとともに、適切な反応速度で効率的に所望の不飽和ポリアルキレングリコール単量体を製造することができる。
本工程1で得られる不飽和ポリアルキレングリコール単量体は、具体的には、下記一般式(3)で示される化合物とすることができる。
Figure 2023068792000005
(一般式(3)において、R,R,Rは、水素原子又はメチル基である。ROは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。pは0~3の整数である。qは、ROの平均付加モル数であり、15~300の数である)
一般式(3)におけるR,R,Rは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基であり、全て同じであってもよいし、いずれかが異なってもよい。
Oは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。そして、ROの全オキシアルキレン基中の90モル%以上が炭素数2のオキシアルキレン基であることが好ましく、ROの全オキシアルキレン基中の100モル%が炭素数2のオキシアルキレン基であることが更に好ましい。このような範囲とすることによって、副生PAGの生成を更に抑制することができる。
pは0~3の整数であり、0~2の整数であることが好ましく、1又は2であることが更に好ましい。
qは、ROの平均付加モル数であり、15~300の数である。そして、15~250の数であることが好ましく、20~150の数であることが更に好ましい。このような範囲であると、得られる水硬性組成物用混和剤は、コンクリートの粘性等の性状が更に改善される。
一般式(3)において、Rが水素原子であり、Rが水素原子又はメチル基であり、Rが水素原子であり、pが0~2の整数であり、qが15~300である態様とすることができる。更には、Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子であり、pが1又は2の整数であり、qが15~300である態様とすることが更に好ましい。そして、Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子であり、pが2の整数であり、qが15~300である態様とすることが特に好ましい。このような構成とすると、得られる水硬性組成物用混和剤は、コンクリートの粘性等の性状を更に改善できる。
一般式(3)で示される化合物としては、具体的には、α-メタリル-ω-ヒドロキシ-ポリオキシエチレン、α-メタリル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリオキシエチレン、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-ビニル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシブチレン(ポリ)オキシエチレン等を挙げることができる。
本明細書において「平均付加モル数」は、副生ポリアルキレングリコールで消費されたアルキレンオキシドを差し引いた、製造時の各原料の仕込み比から計算される、出発物質(不飽和アルコール)1モル当たりに対する、アルキレンオキシドのモル数をいうものとする。本明細書における「平均付加モル数」は、式:平均付加モル数=[(アルキレンオキシドの仕込み質量-副生PAGにより消費されたアルキレンオキシドの質量)/アルキレンオキシドの分子量]/(出発物質の仕込み質量/出発物質の分子量)によって表すことができる。
副生PAG量の測定は、公知の方法で行うことができる。例えば、GPC分析により測定することが可能である。
工程1における反応は、溶媒を加えても良いし、無溶媒で反応させても良い。これらの中でも無溶媒で反応を行うことが好ましく、このように溶媒を加えないで反応させる方が、よりコストを低減できる。なお、溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン等を挙げることができる。
(1-2)工程2:
工程2は、工程1で作製した不飽和ポリアルキレングリコール単量体を原料として重合反応を行って反応混合物である水硬性組成物用混和剤を得る工程である。この工程により、単量体を重合させて重合体を含む反応混合物を得ることができる。
そして、工程2としては、より具体的には、工程1で作製した不飽和ポリアルキレングリコール単量体と、この不飽和ポリアルキレングリコール単量体と共重合可能なビニル単量体と、を水溶媒中でラジカル共重合させて水硬性組成物用混和剤を得る工程とすることができる。
ビニル単量体は、特に制限はないが、アクリル酸及びアクリル酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むものとすることが好ましい。
不飽和ポリアルキレングリコール単量体と共重合可能なビニル単量体としては、アクリル酸及びアクリル酸塩からなる群の他に、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-アクリロイロキシエチルコハク酸、アクリル酸アルキルエステル等を挙げることができる。
不飽和ポリアルキレングリコール単量体と、この不飽和ポリアルキレングリコール単量体と共重合可能なビニル単量体との質量比率は、特に制限はないが、例えば、1~99/99~1とすることができ、70~99/30~1とすることが好ましく、80~99/20~1とすることが更に好ましい。このような範囲とすることで、得られる水硬性組成物用混和剤は、コンクリートの粘性等の性状が更に改善される。
水硬性組成物用混和剤に含まれるビニル共重合体は、その質量平均分子量が1000~1000000であることがよく、5000~200000であることが好ましく、5000~100000であることが更に好ましい。なお、ビニル共重合体の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
重合反応の条件としては、従来公知の条件を適宜採用することができる。
反応混合物は、そのままの状態で水硬性組成物用混和剤としてもよいし、その他の添加剤を配合して水硬性組成物用混和剤としてもよい。
その他の添加剤としては、例えば、糖類や、オキシカルボン酸塩等からなる凝結遅延成分、リグニンスルホン酸ナトリウム等からなる分散作用を有する成分、陰イオン界面活性剤等からなるAE剤、オキシアルキレン系化合物等からなる消泡剤、アルカノールアミン等からなる硬化促進剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等からなる収縮低減剤、セルロースエーテル系化合物等からなる増粘剤、イソチアゾリン系化合物等からなる防腐剤、亜硝酸塩等からなる防錆剤等を挙げることができる。
更に、反応混合物は、水や溶剤で希釈してもよい。
(1-3)水硬性組成物用混和剤の使用:
本発明の水硬性組成物用混和剤の製造方法により作製した水硬性組成物用混和剤は、水硬性組成物に使用することができる。そして、上記水硬性組成物用混和剤を使用した水硬性組成物は、コンクリートの粘性等の性状を改善することができる。
この水硬性組成物は、従来公知の水硬性組成物と同様に、結合材、水、細骨材、及び粗骨材を含むものとすることができる。
この水硬性組成物における上記作製した水硬性組成物用混和剤は、その含有割合については特に制限はなく適宜設定することができるが、例えば、結合材100質量部に対して、固形分換算で、0.001~3.0質量部とすることができる。
結合材としては、例えば、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等の各種のセメントを挙げることができる。
更に、結合材は、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末、石粉、シリカフューム、膨張材等の各種混和材を上述した各種セメントと併用してもよい。
細骨材としては、例えば、川砂、山砂、陸砂、海砂、珪砂、砕砂、各種スラグ細骨材等が挙げられるが、粘土質等の微粒成分等を含むものであってもよい。
粗骨材としては、例えば、川砂利、山砂利、陸砂利、砕石、各種スラグ粗骨材、軽量骨材等が挙げられる。
この水硬性組成物には、適宜その他の成分を更に含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、糖類や、オキシカルボン酸塩等からなる凝結遅延成分、リグニンスルホン酸ナトリウム等からなる分散作用を有する成分、陰イオン界面活性剤等からなるAE剤、オキシアルキレン系化合物等からなる消泡剤、アルカノールアミン等からなる硬化促進剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等からなる収縮低減剤、セルロースエーテル系化合物等からなる増粘剤、イソチアゾリン系化合物等からなる防腐剤、亜硝酸塩等からなる防錆剤等を挙げることができる。
その他の成分の含有割合としては、例えば、結合材100質量部に対して、固形分換算で0~5質量部とすることができる。
水硬性組成物における水と結合材の比率(水/結合材比)としては、従来公知の割合を適宜採用することができるが、例えば、25~70質量%とすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、工程1について以下に説明する。
(製造例1)不飽和ポリアルキレングリコール単量体(X-1)の合成:
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、3-メチル-3-ブテン-1-オール(一般式(1)で示される不飽和アルコール)を344.5g及びカリウムtert-ブトキシド(一般式(2)で示される金属アルコキシド)10.0gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換した。次に、反応系を100℃まで昇温させた後、この反応系内を110±10℃に維持しながらエチレンオキシド(表1中、「EO」と記す)9655.5gを0.4MPaのゲージ圧にて9時間かけて圧入した。その後、反応温度(110±10℃)で1時間保持した後、反応を終了し、反応生成物(X-1)を得た。
この反応生成物(X-1)は、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリ(平均53モル)オキシエチレン(即ち、不飽和ポリアルキレングリコール単量体)と、副生PAGとしてのポリエチレングリコール(副生PEG)と、を含むものであった。
(製造例2)不飽和ポリアルキレングリコール単量体(X-2)の合成:
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、3-メチル-3-ブテン-1-オールを344.5g及びナトリウムtert-ブトキシド20.0gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換した。次に、反応系を100℃まで昇温させた後、この反応系内を110±10℃に維持しながらエチレンオキシド(表1中、「EO」と記す)9655.5gを0.4MPaのゲージ圧にて9時間かけて圧入した。その後、反応温度(110±10℃)で1時間保持した後に、反応を終了した。その後、90%酢酸水溶液を用いてpH6になるように中和し、反応生成物(X-2)を得た。
この反応生成物(X-2)は、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリ(平均53モル)オキシエチレンと、副生PAGとしてのポリエチレングリコール(副生PEG)と、を含むものであった。
(製造例3)不飽和ポリアルキレングリコール単量体(X-3)の合成:
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、3-メチル-3-ブテン-1-オールを229.7g及びカリウムtert-ブトキシド50.0gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換した。次に、反応系を110℃まで昇温させた後、この反応系内を125±15℃に維持しながらエチレンオキシド(表1中、「EO」と記す)9770.3gを0.4MPaのゲージ圧にて10時間かけて圧入した。その後、反応温度(125±15℃)で1時間保持した後に、反応を終了した。その後、キョーワード600(協和化学工業社製)を用いて中和した後、ろ過を行い、反応生成物(X-3)を得た。
この反応生成物(X-3)は、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリ(平均80モル)オキシエチレンと、副生PAGとしてのポリエチレングリコール(副生PEG)と、を含むものであった。
(製造例4~12)不飽和ポリアルキレングリコール単量体(X-4)~(X-10)、(RX-1)~(RX-2)の合成:
製造例4~10の反応生成物(X-4)~(X-10)、製造例11~12の反応生成物(RX-1)~(RX-2)は、表1に示したような各種構成成分の種類、仕込み量、及び、反応条件としたこと以外は、製造例1と同様にして製造した。
Figure 2023068792000006
なお、表1中、「一般式(2)で示される金属アルコキシド」の欄の「質量%」は、不飽和アルコールとアルキレンオキサイドの仕込み総質量に対する質量%である。また、不飽和ポリアルキレングリコールは、上述した一般式(3)で示される化合物である。また、表1の「X-10」の「不飽和ポリアルキレングリコールの構造」の欄中、「RO」の「n-BO→EO」は、n-BO(ノルマルブチレンオキシド)に続き、EOがブロック付加重合したことを意味し、「q」の「1→52(合計53)」は、n-BO(平均1モル)、EO(平均52モル)の合計平均53モルであることを意味する。
また、表1中の副生PEG量(%)は、下記のようにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析を行い、不飽和ポリアルキレングリコール単量体のピーク面積と、副生ポリエチレングリコールのピーク面積を求め、式:副生ポリエチレングリコールのピーク面積/(不飽和ポリアルキレングリコール単量体のピーク面積+副生ポリエチレングリコールのピーク面積)×100により算出した。
(副生PEG量(%))
副生ポリエチレングリコール(副生PEG)量(%)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて同定した。GPCの測定条件を以下に示す。
<測定条件>
装置:Shodex GPC-101(昭和電工社製)
カラム:OHpak SB-G+SB-804 HQ+SB-802.5 HQ(昭和電工社製)
検出器:示差屈折計(RI)
溶離液:50mM硝酸ナトリウム水溶液
流量:0.7mL/分
カラム温度:40℃
試料濃度:試料濃度0.5質量%の溶離液溶液
標準物質:PEG/PEO(アジレント・テクノロジー社製)
ここで、副生PEG量(%)の同定について、図1を用いて更に説明する。この図1は、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリ(平均53モル)オキシエチレンと副生ポリエチレングリコールを含む反応混合物を上記条件でGPC分析した例である。
図1中、保持時間24分付近~28分付近にあるメインピークが不飽和ポリアルキレングリコール単量体のピークであり、保持時間22分付近~24分付近にあるショルダーピークが副生ポリエチレングリコールのピークである。図1の例では、副生PEG量(%)は15%であった。
次に、工程2について以下に説明する。
(重合例1)水硬性組成物用混和剤(P-1)の合成
上水道水198.5g、反応生成物(X-1)463.2gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて60℃に保持した。次に、3.5%過酸化水素水溶液29.6gを3時間かけて滴下し、それと同時に上水道水92.2gにアクリル酸29.6gを均一に溶解させた水溶液を3時間かけて滴下し、それと同時に、「上水道水11.5gにL-アスコルビン酸2.0gと3-メルカプトプロピオン酸3.0gを溶解させた水溶液」を4時間かけて滴下した。その後、2時間、反応系の温度を60℃に維持し、重合反応を終了した。その後、反応系に30%水酸化ナトリウム水溶液をpHが5になるように加え、上水道水にて濃度を調整して、反応混合物の50%水溶液を得た。
この反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量(即ち、反応混合物に含まれる重合体の質量平均分子量)は27000であった。この反応混合物を水硬性組成物用混和剤(P-1)とした。なお、GPC分析の条件は、上記副生PEG量(%)と同様とした。以下の重合例でも同様である。
(重合例2、4~5、9~10、13~14、16~17)
水硬性組成物用混和剤(P-2)、(P-4)~(P-5)、(P-9)~(P-10)、(P-13)~(P-14)、(RP-1)~(RP-2)を合成した。即ち、重合例2の混和剤(P-2)、重合例4~5の混和剤(P-4)~(P-5)、重合例9~10の混和剤(P-9)~(P-10)、重合例13~14の混和剤(P-13)~(P-14)、重合例16~17の混和剤(RP-1)~(RP-2)は、表2に示したように、各構成単位の種類及び仕込み量を変更し、且つ所定の質量平均分子量となるように、3-メルカプトプロピオン酸量を変更したこと以外は、重合例1と同様にして合成を行った。
(重合例3)水硬性組成物用混和剤(P-3)の合成
上水道水185.1g、反応生成物(X-3)432.0gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて60℃に保持した。次に、3.5%過酸化水素水溶液29.5gを3時間かけて滴下し、それと同時に「上水道水102.9gにアクリル酸34.4g、2-ヒドロキシエチルアクリレート24.6gを均一に溶解させた水溶液」を3時間かけて滴下し、更にそれと同時に「上水道水13.8gにL-アスコルビン酸2.0gと3-メルカプトプロピオン酸3.9gを溶解させた水溶液」を4時間かけて滴下した。その後、2時間、反応系の温度を60℃に維持し、重合反応を終了した。その後、反応系に30%水酸化ナトリウム水溶液をpHが5になるように加え、上水道水にて濃度を調整して反応混合物の50%水溶液を得た。
この反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量22000であった。この反応混合物を水硬性組成物用混和剤(P-3)とした。
(重合例6、8、11~12)
水硬性組成物用混和剤(P-6)、(P-8)、(P-11)~(P-12)を合成した。即ち、重合例6の混和剤(P-6)、重合例8の混和剤(P-8)、重合例11~12の混和剤(P-11)~(P-12)は、表2に示したように、各構成単位の種類及び仕込み量を変更し、且つ所定の質量平均分子量となるように、3-メルカプトプロピオン酸量を変更したこと以外は、重合例3と同様にして製造した。
(重合例7)水硬性組成物用混和剤(P-7)の合成
上水道水180.0g、反応生成物(X-1)420.0gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて60℃に保持した。次に、3.5%過酸化水素水溶液29.3gを3時間かけて滴下し、それと同時に「上水道水103.2gにアクリル酸34.2g、2-ヒドロキシエチルアクリレート24.4g、2-アクリロイロキシエチルコハク酸9.8gを均一に溶解させた水溶液」を3時間かけて滴下し、更にそれと同時に「上水道水18.2gにL-アスコルビン酸2.0gとチオグリコール酸8.8gを溶解させた水溶液」を4時間かけて滴下した。その後、2時間、反応系の温度を60℃に維持し、重合反応を終了した。その後、反応系に30%水酸化ナトリウム水溶液をpHが5になるように加え、上水道水にて濃度を調整して反応混合物の50%水溶液を得た。
この反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量25000であった。この反応混合物を水硬性組成物用混和剤(P-7)とした。
(重合例15)水硬性組成物用混和剤(P-15)の合成
上水道水330.1g、反応生成物(X-10)447.9gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を氷水浴にて10℃に保持した。反応容器内が10℃であることを確認後、この反応容器内に、アクリル酸18.4g、メルカプトエタノール3.2g、硫酸鉄(II)・7水和物0.05g、35%過酸化水素水溶液1.4gを仕込んだ。次に、「上水道水31.4gにアクリル酸16.4g、2-ヒドロキシエチルアクリレート15.0g、メルカプトエタノール2.8gを均一に溶解させた水溶液」を45分かけて滴下し、それと同時に「上水道水48.8gにヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム・2水和物1.0gを均一に溶解させた水溶液」を45分かけて滴下した。その後、1時間、反応系の温度を10℃に維持し、重合反応を終了した。その後、反応系に30%水酸化ナトリウム水溶液をpHが5になるように加え、上水道水にて濃度を調整して反応混合物の50%水溶液を得た。
この反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量24000であった。この反応混合物を水硬性組成物用混和剤(P-15)とした。
Figure 2023068792000007
表2中、M-1~M-4は以下のものである。
M-1:アクリル酸
M-2:2-ヒドロキシエチルアクリレート
M-3:2-アクリロイロキシエチルコハク酸
M-4:アクリル酸メチル
(実施例1~15、比較例1~2)
次に、得られた水硬性組成物用混和剤を用いて水硬性組成物を作製した。
具体的には、下記表3に示す配合1の条件で、20℃の試験室内で50Lのパン型強制練りミキサーに、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、宇部三菱セメント社製、及び住友大阪セメント社製等量混合、密度=3.16g/cm)からなる水硬性結合材と、骨材として陸砂(大井川水系産、密度=2.58g/cm)及び砕石(岡崎産砕石、密度=2.67g/cm)と、を投入した。
Figure 2023068792000008
更に、表4に示した使用量で水硬性組成物用混和剤(P-1)~(P-15)、(RP-1)~(RP-2)(表2参照)を練混ぜ水の一部として計量し、更に、所定の空気量(表4参照)となるように、AE剤「AE-300(竹本油脂社製)」及び消泡剤「AFK-2(竹本油脂社製)」を、練混ぜ水(蒲郡市上水道水)の一部として計量した後、これらをミキサーに投入し、90秒間練り混ぜた。そして、練混ぜ直後のスランプフローが50±5cm、空気量が4.5±0.5%の範囲となるようコンクリート組成物(水硬性組成物)を調製した。
その後、調製したコンクリート組成物について、スランプフロー、コンクリートの粘性、及び、空気量の評価を行った。各評価結果について表4に示す。
Figure 2023068792000009
表4中、水硬性組成物用混和剤の使用量は、全て固形分表記とした。
次に、各評価の評価方法及び評価基準は、以下の通りである。
・スランプフロー(cm):
練混ぜ直後(0分)及び練混ぜ20分後のコンクリートについて、JIS A 1150に準拠して測定した。練混ぜ直後のスランプフローと練混ぜ20分後のスランプフローの差(変化量)で流動保持性を評価した。評価基準は以下の通りである。
A:練混ぜ直後のスランプフローと練混ぜ20分後のスランプフローの差が5cm未満
B:練混ぜ直後のスランプフローと練混ぜ20分後のスランプフローの差が5cm以上10cm未満
C:練混ぜ直後のスランプフローと練混ぜ20分後のスランプフローの差が10cm以上
・コンクリートの粘性:
コンクリートの粘性(表4中、単に「粘性」と記す)は、練混ぜ直後のコンクリートについて、5人の試験者による官能評価で確認した。具体的には、得られたコンクリートをスコップで切り返し、目視による印象及びハンドリング性に基づいて最高10点(1~10点の10段階評価)で採点した。その後、試験者の平均値(得点平均)を0.5点刻みで示し、この得点平均に応じて評価した。
評価基準を以下に示す。9.0点以上で10.0点以下の場合、粘性が最も低いとして「S」とした。8.0点以上で9.0点未満の場合、粘性が特に低いとして「A」とした。7.0点以上で8.0点未満の場合、粘性が低いとして「B」とした。7.0点未満の場合、粘性が高いとして「C」とした。
・空気量(容積%):
練混ぜ直後のコンクリートについて、JIS A 1128に準拠して測定した。
(結果)
表4に示すように、本実施例の水硬性組成物用混和剤の製造方法によれば、水硬性組成物用混和剤の原料である不飽和ポリアルキレングリコール単量体の作製時(エーテル化の際)に脱水処理を行わなくても、副生ポリアルキレングリコールが生成し難く、簡便に高純度な不飽和ポリアルキレングリコール単量体を得ることができることが確認された。更に、製造した水硬性組成物用混和剤(ポリカルボン酸系減水剤)は、コンクリートの粘性等の作業性を改善することができることが確認された。
本発明の水硬性組成物用混和剤の製造方法は、コンクリート等の水硬性組成物に添加される混和剤の製造方法として採用することができる。
本発明は、水硬性組成物用混和剤の製造方法に関する。更に詳しくは、副生ポリアルキレングリコールの生成し難い、水硬性組成物用混和剤の原料である不飽和ポリアルキレングリコール単量体の作製工程を含む、水硬性組成物用混和剤の製造方法に関する。
従来、コンクリート等の水硬性組成物には、ポリカルボン酸系減水剤が使用され、水硬性組成物の品質を向上させている。このポリカルボン酸系減水剤としては、例えば、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリオキシアルキレンや、α-メタリル-ω-ヒドロキシ-ポリオキシアルキレン等の不飽和ポリアルキレングリコール単量体と(メタ)アクリル酸(塩)との共重合物等が知られている。
このようなポリカルボン酸系減水剤の原料である不飽和ポリアルキレングリコール単量体は、特定の出発物質にアルキレンオキサイド(AO)を付加することで製造される。その際、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどを触媒として使用して製造されることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2011-019034号
しかしながら、特許文献1に記載のポリカルボン酸系減水剤の原料である不飽和ポリアルキレングリコール単量体の製造方法では、触媒が水酸基を有するため、原料である不飽和アルコールとの反応時に水が発生し、これを起点に、ポリアルキレングリコール(PAG)が副生されてしまう(副生PAGが発生する)という問題がある。このような問題に対して、出発物質の沸点が高い場合には、反応前の加熱減圧脱水を対策として採用し得る。しかし、出発物質の沸点が低い場合(例えば、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリオキシアルキレンの出発物質(3-メチル-3-ブテン-1-オール)の沸点は130℃程度であり、α-メタリル-ω-ヒドロキシ-ポリオキシアルキレンの出発物質(メタリルアルコール)の沸点は114℃程度である)、減圧脱水処理では減圧時に出発物質も蒸発してしまう。そのため、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリオキシアルキレンや、α-メタリル-ω-ヒドロキシ-ポリオキシアルキレンを製造する場合、減圧脱水処理を採用することには問題がある。
そこで、出発物質の沸点が低い場合、特許文献1に記載のように2段階の操作が行われている。具体的には、1段階目において一部のエチレンオキサイドを付加して脱水処理を行い、その後、2段階目において更にエチレンオキサイドを付加する。このように2段階目において、例えばエチレンオキサイド50モル程度まで伸ばす操作が行われる。しかし、1段階目では依然として触媒に由来して発生する水を起点とした副生PAGが発生し、また、2段階の操作は、製造工数の増加を引き起こすという問題がある。なお、エチレンオキサイドの付加温度は80~95℃であるが、付加温度が120℃に上昇した場合、副生されるポリアルキレングリコールの量が増加してしまうので、反応温度の制御が難しいという問題もある。
このようなことから、不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製し、その後、この不飽和ポリアルキレングリコール単量体を原料として重合反応させて水硬性組成物用混和剤を製造するに際して、従来のような脱水処理を行わなくても高純度の不飽和ポリアルキレングリコール単量体を得ることができ(即ち、不飽和ポリアルキレングリコール単量体の作製時に副生ポリアルキレングリコールの生成が抑制され)、簡便に水硬性組成物用混和剤を得ることができる水硬性組成物用混和剤の製造方法の開発が求められていた。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、水硬性組成物用混和剤の原料である不飽和ポリアルキレングリコール単量体の作製時に脱水処理を行わなくても、副生ポリアルキレングリコール(副生PAG)が生成し難い、水硬性組成物用混和剤の製造方法の提供を課題とするものである。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、所定の触媒を使用する工程1を用いることによって上記課題を解決できることを見出した。本発明によれば、以下の水硬性組成物用混和剤の製造方法が提供される。
[1] 下記一般式(3)で示される化合物である不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製する下記工程1と、
前記工程1で作製した不飽和ポリアルキレングリコール単量体と、当該不飽和ポリアルキレングリコール単量体と共重合可能なビニル単量体を原料として重合反応を行って反応混合物を得る工程2と、
を有することを特徴とする、水硬性組成物用混和剤の製造方法。
工程1:
下記一般式(2)で示される金属アルコキシドの存在下、下記一般式(1)で示される不飽和アルコールに対してアルキレンオキサイドを付加する反応を行って不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製する工程。
Figure 2023068792000016
(一般式(1)において、R,R,Rは、それぞれ独立に、水素原子、又はメチル基である。ROは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。mは、0~3の整数である。nは、ROの平均付加モル数であり、0~2の数である。)
Figure 2023068792000017
(一般式(2)において、Rは、炭素数3~5の2級又は3級アルキル基である。Mは、アルカリ金属原子である。)
Figure 2023068792000018
(一般式(3)において、R ,R ,R は、水素原子又はメチル基である。R Oは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。pは0~3の整数である。qは、R Oの平均付加モル数であり、15~300の数である)
[2] 前記工程1における反応温度の条件を70~140℃にする、前記[1]に記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
[3] 前記一般式(2)で示される金属アルコキシドを、前記一般式(1)で示される不飽和アルコールと前記アルキレンオキサイドとの総重量に対して0.025~1質量%添加する、前記[1]または[2]に記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
(削除)
] 前記一般式(2)において、Mがカリウム又はナトリウムである、前記[1]~[]のいずれかに記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
] 前記一般式(1)において、Rが水素原子であり、Rが水素原子又はメチル基であり、Rが水素原子であり、mが0~2の整数であり、nが0又は1である、前記[1]~[]のいずれかに記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
] 前記一般式(1)において、Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子であり、mが1又は2であり、nが0である、前記[1]~[]のいずれかに記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
] 前記工程2が、前記工程1で作製した前記不飽和ポリアルキレングリコール単量体と、当該不飽和ポリアルキレングリコール単量体と共重合可能なビニル単量体と、を水溶媒中でラジカル共重合させて水硬性組成物用混和剤を得る工程である、前記[1]~[]のいずれかに記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
] 前記ビニル単量体が、アクリル酸及びアクリル酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むものである、前記[]に記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
本発明の水硬性組成物用混和剤の製造方法によれば、所定の触媒を使用する工程1を採用するため、水硬性組成物用混和剤の原料である不飽和ポリアルキレングリコール単量体の作製時(エーテル化の際)に脱水処理を行わなくても、副生ポリアルキレングリコールが生成し難く、簡便に高純度な不飽和ポリアルキレングリコール単量体を得ることができ、更に、製造した水硬性組成物用混和剤(ポリカルボン酸系減水剤)は、コンクリートの粘性等の性状を改善することができるという効果を奏するものである。
不飽和ポリアルキレングリコール単量体と副生ポリエチレングリコールを含む反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析した結果を示すチャートである。
以下、本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられ得ることが理解されるべきである。なお、以下の実施例等において、別に記載しない限り、%は質量%を、また部は質量部を意味する。
(1)水硬性組成物用混和剤の製造方法:
本発明の水硬性組成物用混和剤の製造方法は、下記一般式(3)で示される化合物である不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製する下記工程1と、この工程1で作製した不飽和ポリアルキレングリコール単量体と、当該不飽和ポリアルキレングリコール単量体と共重合可能なビニル単量体を原料として重合反応を行って反応混合物である水硬性組成物用混和剤を得る工程2と、を有することを特徴とする方法である。
工程1:
下記一般式(2)で示される金属アルコキシドの存在下、下記一般式(1)で示される不飽和アルコールに対してアルキレンオキサイドを付加する反応を行って不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製する工程。
Figure 2023068792000019
(一般式(1)において、R,R,Rは、水素原子、又はメチル基である。ROは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。mは、0~3の整数である。nは、ROの平均付加モル数であり、0~2の数である。)
Figure 2023068792000020
(一般式(2)において、Rは、炭素数3~5の2級又は3級アルキル基である。Mは、アルカリ金属原子である。)
このような水硬性組成物用混和剤の製造方法によれば、所定の触媒を使用する工程1を有するため、原料である不飽和ポリアルキレングリコール単量体の作製時(エーテル化の際)に脱水処理を行わなくても、副生ポリアルキレングリコールが生成し難く、簡便に高純度な不飽和ポリアルキレングリコール単量体を得ることができる。そして、更に、製造した水硬性組成物用混和剤(ポリカルボン酸系減水剤)は、コンクリートの粘性等の性状を改善することができるものである。
この工程1では、脱水工程を経ずに行うことも可能である。また、アルキレンオキサイドを1段階で付加させることが可能である。
(1-1)工程1:
工程1は、一般式(3)で示される化合物である不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製する工程であり、一般式(2)で示される金属アルコキシドの存在下、一般式(1)で示される不飽和アルコールに対してアルキレンオキサイドを付加する反応を行って不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製する工程である。このように一般式(2)で示される金属アルコキシドを用いることによって、原料である不飽和アルコールとの反応時に水が発生することを回避し、ポリアルキレングリコールの副生を抑制できる。更に、得られる水硬性組成物用混和剤は、コンクリートの粘性等の性状が改善される。
(1-1a)一般式(1)で示される不飽和アルコール:
一般式(1)で示される不飽和アルコールは、不飽和ポリアルキレングリコール単量体の主原料である。
一般式(1)におけるR,R,Rは、それぞれ独立に、水素原子、又はメチル基であり、全て同じであってもよいし、いずれかが異なってもよい。
Oは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。
mは、0~3の整数であり、0~2の整数であることが好ましく、1又は2であることが更に好ましく、2であることが最も好ましい。
nは、ROの平均付加モル数であり、0~2の数であり、0又は1であることが好ましく、0であることが更に好ましい。
一般式(1)において、Rが水素原子であり、Rが水素原子又はメチル基であり、Rが水素原子であり、mが0~2の整数であり、nが0又は1である態様とすることが好ましい。更には、Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子であり、mが1又は2であり、nが0である態様とすることがより好ましい。そして、Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子であり、mが2であり、nが0である態様とすることが特に好ましい。
(1-1b)アルキレンオキサイド:
アルキレンオキサイドは、特に制限はなく従来公知のものを適宜採用することができ、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどを挙げることができる。
(1-1c)一般式(2)で示される金属アルコキシド:
一般式(2)で示される金属アルコキシドは、一般式(1)で示される不飽和アルコールのエーテル化反応における触媒として用いられるものである。本工程1においてこの一般式(2)で示される金属アルコキシドを触媒として用いることで、副生PAGの生成を抑制することができる。つまり、一般式(2)で示される金属アルコキシドには、水酸基がないため、従来の触媒のように原料である不飽和アルコールとの反応時に水が発生しない。そのため、これを起点に、ポリアルキレングリコールが副生されてしまう(副生PAGが発生する)ことを回避することができる。また、更に一般式(2)におけるRを嵩高い官能基(例えば、tert-(ターシャリー)ブチル基)とすると、その立体障害により、副生PAGの生成をより抑制することができる。
は、炭素数1~20の炭化水素基とすることができ。特に、炭素数1~5のアルキル基とすることができ本発明では炭素数3~5の2級又は3級アルキル基である。2級又は3級アルキル基とすることによって、立体障害がより大きくなり、副生PAGの生成を特に抑制することができる。
の炭素数1~20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-(ノルマル)ブチル基、tert-(ターシャリー)ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エチニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基等を挙げることができる。
Mは、金属原子とすることができ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属などを挙げることができる。特に、本発明ではアルカリ金属であり、汎用性の観点からカリウム又はナトリウムであることが好ましい。
一般式(2)において、Rが炭素数1~5のアルキル基であり、Mがアルカリ金属である態様が好ましく、そして、Rが炭素数3~5の2級又は3級アルキル基であり、Mがカリウム又はナトリウムである態様が更に好ましい。
一般式(2)で示される金属アルコキシドとしては、具体的には、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムメトキシドなどを挙げることができる。
工程1における反応(一般式(1)で示される不飽和アルコールに対してアルキレンオキサイドを付加する反応)の温度条件を70~140℃にすることが好ましく、80~140℃にすることが更に好ましく、100~140℃にすることが特に好ましい。このような範囲とすることによって、副生PAGの生成を抑制しつつ、適切な反応速度で効率的に所望の不飽和ポリアルキレングリコール単量体を製造することができる。上記下限値未満であると、反応速度が著しく低下する等の不具合が生じるおそれがある。上記上限値超であると、原料の異性化や分解などにより付加反応が阻害され、目的物の収率が低下する等の不具合が生じるおそれがある。
一般式(2)で示される金属アルコキシドの添加割合は、特に制限はなく適宜決定することができ、具体的には、一般式(2)で示される金属アルコキシドを、一般式(1)で示される不飽和アルコールとアルキレンオキサイドとの総重量に対して0.025~1質量%添加することができ、更に、0.050~0.75質量%添加することが好ましく、0.050~0.50質量%添加することが特に好ましい。このような範囲とすることによって、副生PAGの生成を更に抑制することができるとともに、適切な反応速度で効率的に所望の不飽和ポリアルキレングリコール単量体を製造することができる。
本工程1で得られる不飽和ポリアルキレングリコール単量体は、具体的には、下記一般式(3)で示される化合物である
Figure 2023068792000021
(一般式(3)において、R,R,Rは、水素原子又はメチル基である。ROは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。pは0~3の整数である。qは、ROの平均付加モル数であり、15~300の数である)
一般式(3)におけるR,R,Rは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基であり、全て同じであってもよいし、いずれかが異なってもよい。
Oは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。そして、ROの全オキシアルキレン基中の90モル%以上が炭素数2のオキシアルキレン基であることが好ましく、ROの全オキシアルキレン基中の100モル%が炭素数2のオキシアルキレン基であることが更に好ましい。このような範囲とすることによって、副生PAGの生成を更に抑制することができる。
pは0~3の整数であり、0~2の整数であることが好ましく、1又は2であることが更に好ましい。
qは、ROの平均付加モル数であり、15~300の数である。そして、15~250の数であることが好ましく、20~150の数であることが更に好ましい。このような範囲であると、得られる水硬性組成物用混和剤は、コンクリートの粘性等の性状が更に改善される。
一般式(3)において、Rが水素原子であり、Rが水素原子又はメチル基であり、Rが水素原子であり、pが0~2の整数であり、qが15~300である態様とすることができる。更には、Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子であり、pが1又は2の整数であり、qが15~300である態様とすることが更に好ましい。そして、Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子であり、pが2の整数であり、qが15~300である態様とすることが特に好ましい。このような構成とすると、得られる水硬性組成物用混和剤は、コンクリートの粘性等の性状を更に改善できる。
一般式(3)で示される化合物としては、具体的には、α-メタリル-ω-ヒドロキシ-ポリオキシエチレン、α-メタリル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリオキシエチレン、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-ビニル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシブチレン(ポリ)オキシエチレン等を挙げることができる。
本明細書において「平均付加モル数」は、副生ポリアルキレングリコールで消費されたアルキレンオキシドを差し引いた、製造時の各原料の仕込み比から計算される、出発物質(不飽和アルコール)1モル当たりに対する、アルキレンオキシドのモル数をいうものとする。本明細書における「平均付加モル数」は、式:平均付加モル数=[(アルキレンオキシドの仕込み質量-副生PAGにより消費されたアルキレンオキシドの質量)/アルキレンオキシドの分子量]/(出発物質の仕込み質量/出発物質の分子量)によって表すことができる。
副生PAG量の測定は、公知の方法で行うことができる。例えば、GPC分析により測定することが可能である。
工程1における反応は、溶媒を加えても良いし、無溶媒で反応させても良い。これらの中でも無溶媒で反応を行うことが好ましく、このように溶媒を加えないで反応させる方が、よりコストを低減できる。なお、溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン等を挙げることができる。
(1-2)工程2:
工程2は、工程1で作製した不飽和ポリアルキレングリコール単量体と、当該不飽和ポリアルキレングリコール単量体と共重合可能なビニル単量体を原料として重合反応を行って反応混合物である水硬性組成物用混和剤を得る工程である。この工程により、単量体を重合させて重合体を含む反応混合物を得ることができる。
そして、工程2としては、より具体的には、工程1で作製した不飽和ポリアルキレングリコール単量体と、この不飽和ポリアルキレングリコール単量体と共重合可能なビニル単量体と、を水溶媒中でラジカル共重合させて水硬性組成物用混和剤を得る工程とすることができる。
ビニル単量体は、特に制限はないが、アクリル酸及びアクリル酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むものとすることが好ましい。
不飽和ポリアルキレングリコール単量体と共重合可能なビニル単量体としては、アクリル酸及びアクリル酸塩からなる群の他に、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-アクリロイロキシエチルコハク酸、アクリル酸アルキルエステル等を挙げることができる。
不飽和ポリアルキレングリコール単量体と、この不飽和ポリアルキレングリコール単量体と共重合可能なビニル単量体との質量比率は、特に制限はないが、例えば、1~99/99~1とすることができ、70~99/30~1とすることが好ましく、80~99/20~1とすることが更に好ましい。このような範囲とすることで、得られる水硬性組成物用混和剤は、コンクリートの粘性等の性状が更に改善される。
水硬性組成物用混和剤に含まれるビニル共重合体は、その質量平均分子量が1000~1000000であることがよく、5000~200000であることが好ましく、5000~100000であることが更に好ましい。なお、ビニル共重合体の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
重合反応の条件としては、従来公知の条件を適宜採用することができる。
反応混合物は、そのままの状態で水硬性組成物用混和剤としてもよいし、その他の添加剤を配合して水硬性組成物用混和剤としてもよい。
その他の添加剤としては、例えば、糖類や、オキシカルボン酸塩等からなる凝結遅延成分、リグニンスルホン酸ナトリウム等からなる分散作用を有する成分、陰イオン界面活性剤等からなるAE剤、オキシアルキレン系化合物等からなる消泡剤、アルカノールアミン等からなる硬化促進剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等からなる収縮低減剤、セルロースエーテル系化合物等からなる増粘剤、イソチアゾリン系化合物等からなる防腐剤、亜硝酸塩等からなる防錆剤等を挙げることができる。
更に、反応混合物は、水や溶剤で希釈してもよい。
(1-3)水硬性組成物用混和剤の使用:
本発明の水硬性組成物用混和剤の製造方法により作製した水硬性組成物用混和剤は、水硬性組成物に使用することができる。そして、上記水硬性組成物用混和剤を使用した水硬性組成物は、コンクリートの粘性等の性状を改善することができる。
この水硬性組成物は、従来公知の水硬性組成物と同様に、結合材、水、細骨材、及び粗骨材を含むものとすることができる。
この水硬性組成物における上記作製した水硬性組成物用混和剤は、その含有割合については特に制限はなく適宜設定することができるが、例えば、結合材100質量部に対して、固形分換算で、0.001~3.0質量部とすることができる。
結合材としては、例えば、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等の各種のセメントを挙げることができる。
更に、結合材は、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末、石粉、シリカフューム、膨張材等の各種混和材を上述した各種セメントと併用してもよい。
細骨材としては、例えば、川砂、山砂、陸砂、海砂、珪砂、砕砂、各種スラグ細骨材等が挙げられるが、粘土質等の微粒成分等を含むものであってもよい。
粗骨材としては、例えば、川砂利、山砂利、陸砂利、砕石、各種スラグ粗骨材、軽量骨材等が挙げられる。
この水硬性組成物には、適宜その他の成分を更に含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、糖類や、オキシカルボン酸塩等からなる凝結遅延成分、リグニンスルホン酸ナトリウム等からなる分散作用を有する成分、陰イオン界面活性剤等からなるAE剤、オキシアルキレン系化合物等からなる消泡剤、アルカノールアミン等からなる硬化促進剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等からなる収縮低減剤、セルロースエーテル系化合物等からなる増粘剤、イソチアゾリン系化合物等からなる防腐剤、亜硝酸塩等からなる防錆剤等を挙げることができる。
その他の成分の含有割合としては、例えば、結合材100質量部に対して、固形分換算で0~5質量部とすることができる。
水硬性組成物における水と結合材の比率(水/結合材比)としては、従来公知の割合を適宜採用することができるが、例えば、25~70質量%とすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、工程1について以下に説明する。
(製造例1)不飽和ポリアルキレングリコール単量体(X-1)の合成:
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、3-メチル-3-ブテン-1-オール(一般式(1)で示される不飽和アルコール)を344.5g及びカリウムtert-ブトキシド(一般式(2)で示される金属アルコキシド)10.0gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換した。次に、反応系を100℃まで昇温させた後、この反応系内を110±10℃に維持しながらエチレンオキシド(表1中、「EO」と記す)9655.5gを0.4MPaのゲージ圧にて9時間かけて圧入した。その後、反応温度(110±10℃)で1時間保持した後、反応を終了し、反応生成物(X-1)を得た。
この反応生成物(X-1)は、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリ(平均53モル)オキシエチレン(即ち、不飽和ポリアルキレングリコール単量体)と、副生PAGとしてのポリエチレングリコール(副生PEG)と、を含むものであった。
(製造例2)不飽和ポリアルキレングリコール単量体(X-2)の合成:
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、3-メチル-3-ブテン-1-オールを344.5g及びナトリウムtert-ブトキシド20.0gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換した。次に、反応系を100℃まで昇温させた後、この反応系内を110±10℃に維持しながらエチレンオキシド(表1中、「EO」と記す)9655.5gを0.4MPaのゲージ圧にて9時間かけて圧入した。その後、反応温度(110±10℃)で1時間保持した後に、反応を終了した。その後、90%酢酸水溶液を用いてpH6になるように中和し、反応生成物(X-2)を得た。
この反応生成物(X-2)は、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリ(平均53モル)オキシエチレンと、副生PAGとしてのポリエチレングリコール(副生PEG)と、を含むものであった。
(製造例3)不飽和ポリアルキレングリコール単量体(X-3)の合成:
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、3-メチル-3-ブテン-1-オールを229.7g及びカリウムtert-ブトキシド50.0gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換した。次に、反応系を110℃まで昇温させた後、この反応系内を125±15℃に維持しながらエチレンオキシド(表1中、「EO」と記す)9770.3gを0.4MPaのゲージ圧にて10時間かけて圧入した。その後、反応温度(125±15℃)で1時間保持した後に、反応を終了した。その後、キョーワード600(協和化学工業社製)を用いて中和した後、ろ過を行い、反応生成物(X-3)を得た。
この反応生成物(X-3)は、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリ(平均80モル)オキシエチレンと、副生PAGとしてのポリエチレングリコール(副生PEG)と、を含むものであった。
(製造例4~12)不飽和ポリアルキレングリコール単量体(X-4)~(X-10)、(RX-1)~(RX-2)の合成:
製造例4~10の反応生成物(X-4)~(X-10)、製造例11~12の反応生成物(RX-1)~(RX-2)は、表1に示したような各種構成成分の種類、仕込み量、及び、反応条件としたこと以外は、製造例1と同様にして製造した。
Figure 2023068792000022
なお、表1中、「一般式(2)で示される金属アルコキシド」の欄の「質量%」は、不飽和アルコールとアルキレンオキサイドの仕込み総質量に対する質量%である。また、不飽和ポリアルキレングリコールは、上述した一般式(3)で示される化合物である。また、表1の「X-10」の「不飽和ポリアルキレングリコールの構造」の欄中、「RO」の「n-BO→EO」は、n-BO(ノルマルブチレンオキシド)に続き、EOがブロック付加重合したことを意味し、「q」の「1→52(合計53)」は、n-BO(平均1モル)、EO(平均52モル)の合計平均53モルであることを意味する。
また、表1中の副生PEG量(%)は、下記のようにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析を行い、不飽和ポリアルキレングリコール単量体のピーク面積と、副生ポリエチレングリコールのピーク面積を求め、式:副生ポリエチレングリコールのピーク面積/(不飽和ポリアルキレングリコール単量体のピーク面積+副生ポリエチレングリコールのピーク面積)×100により算出した。
(副生PEG量(%))
副生ポリエチレングリコール(副生PEG)量(%)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて同定した。GPCの測定条件を以下に示す。
<測定条件>
装置:Shodex GPC-101(昭和電工社製)
カラム:OHpak SB-G+SB-804 HQ+SB-802.5 HQ(昭和電工社製)
検出器:示差屈折計(RI)
溶離液:50mM硝酸ナトリウム水溶液
流量:0.7mL/分
カラム温度:40℃
試料濃度:試料濃度0.5質量%の溶離液溶液
標準物質:PEG/PEO(アジレント・テクノロジー社製)
ここで、副生PEG量(%)の同定について、図1を用いて更に説明する。この図1は、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリ(平均53モル)オキシエチレンと副生ポリエチレングリコールを含む反応混合物を上記条件でGPC分析した例である。
図1中、保持時間24分付近~28分付近にあるメインピークが不飽和ポリアルキレングリコール単量体のピークであり、保持時間22分付近~24分付近にあるショルダーピークが副生ポリエチレングリコールのピークである。図1の例では、副生PEG量(%)は15%であった。
次に、工程2について以下に説明する。
(重合例1)水硬性組成物用混和剤(P-1)の合成
上水道水198.5g、反応生成物(X-1)463.2gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて60℃に保持した。次に、3.5%過酸化水素水溶液29.6gを3時間かけて滴下し、それと同時に上水道水92.2gにアクリル酸29.6gを均一に溶解させた水溶液を3時間かけて滴下し、それと同時に、「上水道水11.5gにL-アスコルビン酸2.0gと3-メルカプトプロピオン酸3.0gを溶解させた水溶液」を4時間かけて滴下した。その後、2時間、反応系の温度を60℃に維持し、重合反応を終了した。その後、反応系に30%水酸化ナトリウム水溶液をpHが5になるように加え、上水道水にて濃度を調整して、反応混合物の50%水溶液を得た。
この反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量(即ち、反応混合物に含まれる重合体の質量平均分子量)は27000であった。この反応混合物を水硬性組成物用混和剤(P-1)とした。なお、GPC分析の条件は、上記副生PEG量(%)と同様とした。以下の重合例でも同様である。
(重合例2、4~5、9~10、13~14、16~17)
水硬性組成物用混和剤(P-2)、(P-4)~(P-5)、(P-9)~(P-10)、(P-13)~(P-14)、(RP-1)~(RP-2)を合成した。即ち、重合例2の混和剤(P-2)、重合例4~5の混和剤(P-4)~(P-5)、重合例9~10の混和剤(P-9)~(P-10)、重合例13~14の混和剤(P-13)~(P-14)、重合例16~17の混和剤(RP-1)~(RP-2)は、表2に示したように、各構成単位の種類及び仕込み量を変更し、且つ所定の質量平均分子量となるように、3-メルカプトプロピオン酸量を変更したこと以外は、重合例1と同様にして合成を行った。
(重合例3)水硬性組成物用混和剤(P-3)の合成
上水道水185.1g、反応生成物(X-3)432.0gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて60℃に保持した。次に、3.5%過酸化水素水溶液29.5gを3時間かけて滴下し、それと同時に「上水道水102.9gにアクリル酸34.4g、2-ヒドロキシエチルアクリレート24.6gを均一に溶解させた水溶液」を3時間かけて滴下し、更にそれと同時に「上水道水13.8gにL-アスコルビン酸2.0gと3-メルカプトプロピオン酸3.9gを溶解させた水溶液」を4時間かけて滴下した。その後、2時間、反応系の温度を60℃に維持し、重合反応を終了した。その後、反応系に30%水酸化ナトリウム水溶液をpHが5になるように加え、上水道水にて濃度を調整して反応混合物の50%水溶液を得た。
この反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量22000であった。この反応混合物を水硬性組成物用混和剤(P-3)とした。
(重合例6、8、11~12)
水硬性組成物用混和剤(P-6)、(P-8)、(P-11)~(P-12)を合成した。即ち、重合例6の混和剤(P-6)、重合例8の混和剤(P-8)、重合例11~12の混和剤(P-11)~(P-12)は、表2に示したように、各構成単位の種類及び仕込み量を変更し、且つ所定の質量平均分子量となるように、3-メルカプトプロピオン酸量を変更したこと以外は、重合例3と同様にして製造した。
(重合例7)水硬性組成物用混和剤(P-7)の合成
上水道水180.0g、反応生成物(X-1)420.0gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて60℃に保持した。次に、3.5%過酸化水素水溶液29.3gを3時間かけて滴下し、それと同時に「上水道水103.2gにアクリル酸34.2g、2-ヒドロキシエチルアクリレート24.4g、2-アクリロイロキシエチルコハク酸9.8gを均一に溶解させた水溶液」を3時間かけて滴下し、更にそれと同時に「上水道水18.2gにL-アスコルビン酸2.0gとチオグリコール酸8.8gを溶解させた水溶液」を4時間かけて滴下した。その後、2時間、反応系の温度を60℃に維持し、重合反応を終了した。その後、反応系に30%水酸化ナトリウム水溶液をpHが5になるように加え、上水道水にて濃度を調整して反応混合物の50%水溶液を得た。
この反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量25000であった。この反応混合物を水硬性組成物用混和剤(P-7)とした。
(重合例15)水硬性組成物用混和剤(P-15)の合成
上水道水330.1g、反応生成物(X-10)447.9gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を氷水浴にて10℃に保持した。反応容器内が10℃であることを確認後、この反応容器内に、アクリル酸18.4g、メルカプトエタノール3.2g、硫酸鉄(II)・7水和物0.05g、35%過酸化水素水溶液1.4gを仕込んだ。次に、「上水道水31.4gにアクリル酸16.4g、2-ヒドロキシエチルアクリレート15.0g、メルカプトエタノール2.8gを均一に溶解させた水溶液」を45分かけて滴下し、それと同時に「上水道水48.8gにヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム・2水和物1.0gを均一に溶解させた水溶液」を45分かけて滴下した。その後、1時間、反応系の温度を10℃に維持し、重合反応を終了した。その後、反応系に30%水酸化ナトリウム水溶液をpHが5になるように加え、上水道水にて濃度を調整して反応混合物の50%水溶液を得た。
この反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量24000であった。この反応混合物を水硬性組成物用混和剤(P-15)とした。
Figure 2023068792000023
表2中、M-1~M-4は以下のものである。
M-1:アクリル酸
M-2:2-ヒドロキシエチルアクリレート
M-3:2-アクリロイロキシエチルコハク酸
M-4:アクリル酸メチル
(実施例1~9,11~12,14~15、比較例1~2、参考例10,13
次に、得られた水硬性組成物用混和剤を用いて水硬性組成物を作製した。
具体的には、下記表3に示す配合1の条件で、20℃の試験室内で50Lのパン型強制練りミキサーに、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、宇部三菱セメント社製、及び住友大阪セメント社製等量混合、密度=3.16g/cm)からなる水硬性結合材と、骨材として陸砂(大井川水系産、密度=2.58g/cm)及び砕石(岡崎産砕石、密度=2.67g/cm)と、を投入した。
Figure 2023068792000024
更に、表4に示した使用量で水硬性組成物用混和剤(P-1)~(P-15)、(RP-1)~(RP-2)(表2参照)を練混ぜ水の一部として計量し、更に、所定の空気量(表4参照)となるように、AE剤「AE-300(竹本油脂社製)」及び消泡剤「AFK-2(竹本油脂社製)」を、練混ぜ水(蒲郡市上水道水)の一部として計量した後、これらをミキサーに投入し、90秒間練り混ぜた。そして、練混ぜ直後のスランプフローが50±5cm、空気量が4.5±0.5%の範囲となるようコンクリート組成物(水硬性組成物)を調製した。
その後、調製したコンクリート組成物について、スランプフロー、コンクリートの粘性、及び、空気量の評価を行った。各評価結果について表4に示す。
Figure 2023068792000025
表4中、水硬性組成物用混和剤の使用量は、全て固形分表記とした。
次に、各評価の評価方法及び評価基準は、以下の通りである。
・スランプフロー(cm):
練混ぜ直後(0分)及び練混ぜ20分後のコンクリートについて、JIS A 1150に準拠して測定した。練混ぜ直後のスランプフローと練混ぜ20分後のスランプフローの差(変化量)で流動保持性を評価した。評価基準は以下の通りである。
A:練混ぜ直後のスランプフローと練混ぜ20分後のスランプフローの差が5cm未満
B:練混ぜ直後のスランプフローと練混ぜ20分後のスランプフローの差が5cm以上10cm未満
C:練混ぜ直後のスランプフローと練混ぜ20分後のスランプフローの差が10cm以上
・コンクリートの粘性:
コンクリートの粘性(表4中、単に「粘性」と記す)は、練混ぜ直後のコンクリートについて、5人の試験者による官能評価で確認した。具体的には、得られたコンクリートをスコップで切り返し、目視による印象及びハンドリング性に基づいて最高10点(1~10点の10段階評価)で採点した。その後、試験者の平均値(得点平均)を0.5点刻みで示し、この得点平均に応じて評価した。
評価基準を以下に示す。9.0点以上で10.0点以下の場合、粘性が最も低いとして「S」とした。8.0点以上で9.0点未満の場合、粘性が特に低いとして「A」とした。7.0点以上で8.0点未満の場合、粘性が低いとして「B」とした。7.0点未満の場合、粘性が高いとして「C」とした。
・空気量(容積%):
練混ぜ直後のコンクリートについて、JIS A 1128に準拠して測定した。
(結果)
表4に示すように、本実施例の水硬性組成物用混和剤の製造方法によれば、水硬性組成物用混和剤の原料である不飽和ポリアルキレングリコール単量体の作製時(エーテル化の際)に脱水処理を行わなくても、副生ポリアルキレングリコールが生成し難く、簡便に高純度な不飽和ポリアルキレングリコール単量体を得ることができることが確認された。更に、製造した水硬性組成物用混和剤(ポリカルボン酸系減水剤)は、コンクリートの粘性等の作業性を改善することができることが確認された。
本発明の水硬性組成物用混和剤の製造方法は、コンクリート等の水硬性組成物に添加される混和剤の製造方法として採用することができる。

Claims (9)

  1. 不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製する下記工程1と、
    前記工程1で作製した不飽和ポリアルキレングリコール単量体を原料として重合反応を行って反応混合物を得る工程2と、
    を有することを特徴とする、水硬性組成物用混和剤の製造方法。
    工程1:
    下記一般式(2)で示される金属アルコキシドの存在下、下記一般式(1)で示される不飽和アルコールに対してアルキレンオキサイドを付加する反応を行って不飽和ポリアルキレングリコール単量体を作製する工程。
    Figure 2023068792000010
    (一般式(1)において、R,R,Rは、それぞれ独立に、水素原子、又はメチル基である。ROは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。mは、0~3の整数である。nは、ROの平均付加モル数であり、0~2の数である。)
    Figure 2023068792000011
    (一般式(2)において、Rは、炭素数1~20の炭化水素基である。Mは、金属原子である。)
  2. 前記工程1における反応温度の条件を70~140℃にする、請求項1に記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
  3. 前記一般式(2)で示される金属アルコキシドを、前記一般式(1)で示される不飽和アルコールと前記アルキレンオキサイドとの総重量に対して0.025~1質量%添加する、請求項1または2に記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
  4. 前記一般式(2)において、Rが炭素数1~5のアルキル基であり、Mがアルカリ金属である、請求項1~3のいずれか一項に記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
  5. 前記一般式(2)において、Rが炭素数3~5の2級又は3級アルキル基であり、Mがカリウム又はナトリウムである、請求項1~4のいずれか一項に記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
  6. 前記一般式(1)において、Rが水素原子であり、Rが水素原子又はメチル基であり、Rが水素原子であり、mが0~2の整数であり、nが0又は1である、請求項1~5のいずれか一項に記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
  7. 前記一般式(1)において、Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子であり、mが1又は2であり、nが0である、請求項1~6のいずれか一項に記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
  8. 前記工程2が、前記工程1で作製した前記不飽和ポリアルキレングリコール単量体と、当該不飽和ポリアルキレングリコール単量体と共重合可能なビニル単量体と、を水溶媒中でラジカル共重合させて水硬性組成物用混和剤を得る工程である、請求項1~7のいずれか一項に記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
  9. 前記ビニル単量体が、アクリル酸及びアクリル酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むものである、請求項8に記載の水硬性組成物用混和剤の製造方法。
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