JP7274145B2 - 無収縮コンクリート組成物 - Google Patents
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Description
前記混和剤が、A成分を1~20質量%、B成分を5~50質量%、C成分を25~80質量%、及び水を14~69質量%の割合で含有し、
前記混和剤を、前記結合材100質量部に対し、A成分、B成分及びC成分の合計として0.1~5.0質量部の割合で含有し、
スランプフローが350~750mmである、無収縮コンクリート組成物。
A成分:分子中に下記の構成単位1及び構成単位2を有し、かつ、構成単位1及び構成単位2の合計100質量%に対し、構成単位1を1~99質量%及び構成単位2を1~99質量%の割合で含有する水溶性ビニル共重合体;
構成単位1:下記の単量体1から形成された構成単位、
構成単位2:分子中にビニル基を有するカルボン酸単量体から形成された構成単位、
単量体1:下記の式(1)で示される化合物:
B成分:下記の式(2)で示されるポリオキシアルキレン化合物
C成分:下記の式(3)で示されるポリオキシアルキレン化合物
・製造例1{水溶性ビニル共重合体(A-1)の合成}
蒸留水436.2g、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(n=23)オキシエチレン351.3g、メタクリル酸43.4g、3-メルカプトプロピオン酸6.3gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて70℃に保持した。次に、2.3%過酸化水素水溶液77.9gを投入し、2時間かけてラジカル共重合反応を行った。2時間経過後、1.3%過酸化水素水溶液33.6gを投入し、更に2時間反応を行った後、重合反応を終了した。その後、反応系に30%水酸化ナトリウム水溶液7.5gを投入し、蒸留水にて濃度を40%に調整して反応混合物を得た。この反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量18000であった。この反応物をビニル共重合体(A-1)とした。
蒸留水204.1g、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリ(n=53)オキシエチレン365.5gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて70℃に保持した。次に、3.5%過酸化水素水溶液19.9gを3時間かけて滴下し、それと同時に蒸留水158.9gにアクリル酸31.8gを均一に溶解させた水溶液を3時間かけて滴下し、それと同時に蒸留水17.5gにL-アスコルビン酸1.6gと3-メルカプトプロピオン酸2.8gを溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。その後、2時間、反応系の温度を70℃に維持し、重合反応を終了した。その後、反応系に30%水酸化ナトリウム水溶液6.2gを加え、蒸留水にて濃度を40%に調整して反応混合物を得た。この反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量32000であった。この反応物をビニル共重合体(A-2)とした。
蒸留水424.8g、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(n=9)オキシエチレン282.9g、メタクリル酸70.7g、アクリル酸メチル19.6g、チオグリコール酸11.8gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて60℃に保持した。次に、10%過硫酸ナトリウム水溶液39.3gを投入し、2時間かけてラジカル共重合反応を行った。2時間経過後、10%過硫酸ナトリウム水溶液19.7gを投入し、更に2時間反応を行った後、重合反応を終了した。その後、反応系に30%水酸化ナトリウム水溶液66.6gを投入し、蒸留水にて濃度を40%に調整して反応混合物を得た。この反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量12000であった。この反応物をビニル共重合体(A-3)とした。以上製造したビニル共重合体について、表1にまとめて示した。
*1:A成分である水溶性ビニル共重合体の種類
*2:構成単位1を形成することとなる単量体1の種類
*3:構成単位2を形成することとなるカルボン酸単量体の種類
*4:構成単位3を形成することとなる単量体3の種類
割合:単位は質量%
L-1:α-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(n=23)オキシエチレン
L-2:α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリ(n=53)オキシエチレン
L-3:α-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(n=9)オキシエチレン
M-1:メタクリル酸
M-2:アクリル酸
N-1:アクリル酸メチル
検出器:示差屈折計(RI)
カラム:昭和電工社製OHpak SB-G+SB-806M HQ+SB-806M HQ
溶離液:50mM硝酸ナトリウム水溶液
流速:0.7mL/分
カラム温度:40℃
標準物質:PEG/PEO(アジレント社製)
・製造例1{ポリオキシアルキレン化合物(B-1)の合成}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE-60(三洋化成工業社製)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」318.9g及び水酸化カリウム3.0gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド(表2中、「EO」と記す)2681.1gを0.4MPaのゲージ圧にて6時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持した後、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、式(2)で示されるポリオキシアルキレン化合物(B-1)を得た。
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE-60(三洋化成工業社製、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」257.3g及び水酸化カリウム1.5gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド1702.7gを0.4MPaのゲージ圧にて5時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持した後、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、式(2)で示されるポリオキシアルキレン化合物(B-2)を得た。
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE-60(三洋化成工業社製)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」338.5g及びカリウムtert-ブトキシド10.0gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド4661.5gを0.4MPaのゲージ圧にて7時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持した後、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、式(2)で示されるポリオキシアルキレン化合物(B-3)を得た。
市販品のセルロースエーテルとして、「hiメトローズhi90SH-100000(信越化学工業社製)」をそのまま用いたものをRB-1とした。
「ニューポールBPE-100(三洋化成工業社製)」をそのまま用いたものをRB-2とした。
※1:式(2)中の「R6」は、この欄に記載された化合物から水酸基を除いた残基である。
a+b(平均総付加モル数)における合計モル数は、「EO付加モル数」と「PO付加モル数」との和の値である。
・製造例1{ポリオキシアルキレン化合物(C-1)の合成}
市販のトリエチレングリコールモノブチルエーテル(n-ブチルアルコールのエチレンオキシド(表3中、「EO」と記す)3モル付加物)(東京化成工業社製)をそのまま用いたものを(C-1)とした。
市販のジエチレングリコールモノブチルエーテル(n-ブチルアルコールのエチレンオキシド(表3中、「EO」と記す)2モル付加物)(東京化成工業社製)をそのまま用いたものを(C-2)とした。
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(イソプロピルアルコールのエチレンオキシド(表3中、「EO」と記す)1モル付加物)482.0g及び水酸化カリウム1.5gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド1018.0gを0.4MPaのゲージ圧にて4時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持し、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、ポリオキシアルキレン化合物(C-3)を得た。
表1に記載のA成分、表2に記載のB成分、表3に記載のC成分、及び蒸留水を表4に示す割合となるように配合容器に投入し、攪拌機を用いて十分攪拌混合し、混和剤(SR-1)~(SR-9)を調製した。
A:1か月間、各成分が溶解し、成分の分離が確認されず、沈殿や沈降を判別できない程度であった
B:1か月に満たない期間で分離が確認された
[コンクリート試験]
・実施例1~12及び比較例1~5
表4で示した混和剤をコンクリート組成物にて評価を行った。表5に示した配合条件で、20℃の試験室内で55Lのパン型強制練りミキサーに、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、宇部三菱セメント社製、及び住友大阪セメント社製等量混合、密度=3.16g/cm3)からなる結合材と、細骨材として陸砂(大井川水系産、表乾密度=2.58g/cm3)及び粗骨材として秩父産石灰砕石(表乾密度=2.70g/cm3)、八戸産石灰砕石(表乾密度=2.70g/cm3)、北海道峩朗産石灰砕石(表乾密度=2.70g/cm3)、岡崎産硬質砂岩砕石(表乾密度=2.66g/cm3)のいずれかを添加し、更に表5に示した添加量で、混和剤(表4参照)、膨張材「太平洋ハイパーエクスパン(構造用)(太平洋マテリアル社製)、密度=3.16g/cm3」及び空気連行剤「AE-300(竹本油脂社製)」を、それぞれ所定量と、消泡剤である「AFK-2(竹本油脂社製)」を上記セメントに対して0.002%として練り混ぜ水(上水道水)の一部として計量し、ミキサーに投入して90秒間練混ぜた。スランプフローが600±30mm、連行空気量が4.5±0.5%の範囲となるようコンクリート組成物を調製した。なお、使用した石灰砕石の化学組成を表6に示す。石灰砕石の化学組成はJIS R 9011に準拠して測定した。純度はCaO質量%をCaCO3質量%に換算した時に、石灰砕石中に含まれるCaCO3の割合(質量%)を示す。
材料分離抵抗性の評価:
A:非常に良好(骨材とコンクリートの分離なし)
B:良好(骨材とコンクリートが僅かに分離)
C:悪い(明確に骨材とコンクリートが分離)
コンクリート組成物の無収縮性については、長さ変化率(乾燥収縮率、膨張率)の差により評価した。JIS A 1129-3に準拠し、成形後24時間で脱型し、7日間標準水中養生後の長さを基長として、室温を20±2℃、相対湿度60±5%の環境下で26週保管した供試体について、ダイヤルゲージ方法により、乾燥収縮率を測定した。また、JIS A 6202 付属書B、A法に準拠し、材齢7日時点での膨張率を測定した。得られた乾燥収縮率と膨張率の差を求めた。なお、この差が50(×10-6)以下のコンクリート組成物を無収縮コンクリート組成物と判定した。評価は、以下の基準に基づいて行った。
長さ変化率の評価:
A:~40(×10-6)以下
B:40(×10-6)超~50(×10-6)以下
C:50(×10-6)超~
※1:混和剤使用量は、結合材に対する質量%である。表4に示す蒸留水を含めた混和剤有姿の使用量と、混和剤中に含まれるA成分、B成分及びC成分のみの合計の使用量を示した。
※2:空気連行剤使用量は、結合材に対する質量%である。
※3:乾燥収縮率と膨張率の差(+:収縮側、-:膨張側)
表4及び表7に示すように、各実施例のコンクリート組成物は、中流動コンクリートや高流動コンクリートのような流動性の高いコンクリート組成物であると共に、得られる硬化体が無収縮であることが分かる。比較例2は、材料分離抵抗性に劣り、比較例3~5は、収縮低減性に劣っていることが分かる。なお、表4に示されるように、比較例1は、セルロースエーテルを使用するので、各温度条件において相溶性に劣り、一液化が困難なものであることが分かる。
Claims (6)
- 結合材、細骨材、粗骨材、膨張材、混和剤及び水を含有する無収縮コンクリート組成物であって、前記粗骨材が石灰砕石であり、且つ、前記混和剤が下記のA成分と、下記のB成分と、下記のC成分とを含有し、
前記混和剤が、A成分を1~20質量%、B成分を5~50質量%、C成分を25~80質量%、及び水を14~69質量%の割合で含有し、
前記混和剤を、前記結合材100質量部に対し、A成分、B成分及びC成分の合計として0.1~5.0質量部の割合で含有し、
スランプフローが350~750mmである、無収縮コンクリート組成物。
A成分:分子中に下記の構成単位1及び構成単位2を有し、かつ、構成単位1及び構成単位2の合計100質量%に対し、構成単位1を1~99質量%及び構成単位2を1~99質量%の割合で含有する水溶性ビニル共重合体;
構成単位1:下記の単量体1から形成された構成単位、
構成単位2:分子中にビニル基を有するカルボン酸単量体から形成された構成単位、
単量体1:下記の式(1)で示される化合物:
B成分:下記の式(2)で示されるポリオキシアルキレン化合物
C成分:下記の式(3)で示されるポリオキシアルキレン化合物
- 前記式(3)において、R9が炭素数4のアルキル基、R10Oが炭素数2~3のオキシアルキレン基、cが1~4の整数である請求項1に記載の無収縮コンクリート組成物。
- 前記式(2)において、R6が2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、又は、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホンから2個の水酸基を除いた残基である請求項1~3のいずれか一項に記載の無収縮コンクリート組成物。
- 前記膨張材を単位量10~50kg/m3となる割合で使用した請求項1~4のいずれか一項に記載の無収縮コンクリート組成物。
- 水結合材比が30~70%である請求項1~5のいずれか一項に記載の無収縮コンクリート組成物。
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