JP2023001798A - コンクリート組成物及びコンクリート硬化体 - Google Patents

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和政 井上
Kazumasa Inoue
亜希子 井畔
Akiko Iguro
稔 小林
Minoru Kobayashi
智己 山口
Tomomi Yamaguchi
敏之 佐藤
Toshiyuki Sato
孝之 井上
Takayuki Inoue
隆 岩清水
Takashi Iwashimizu
藍 山田
Ai Yamada
陽作 池尾
Yosaku Ikeo
俊輔 ▲高▼木
Shunsuke Takagi
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Abstract

【課題】耐久性に優れる硬化物が得られるコンクリート組成物と、耐久性に優れるコンクリート硬化体とを提供する。【解決手段】コンクリート組成物は、セメントと、水と、細骨材と、粗骨材と、水溶性ビニル共重合体と、多価アルコールアルキレンオキサイド付加物と、オキシアルキレン基を有するエーテル化合物(ただしG成分を除く。)と、所定の式で表されるG成分とを含む。コンクリート組成物の実施形態例は、所定の式で表される、A成分、B成分、C成分及びG成分を含む、又は、所定の式で表される、D成分、E成分、F成分及びG成分を含む。【選択図】なし

Description

本開示は、コンクリート組成物及びコンクリート硬化体に関する。
特許文献1及び2には、特定の3成分を含有する一液型混和剤と、当該一液型混和剤を含有するコンクリート組成物及びコンクリート硬化体が開示されている。
特許文献3及び4には、特定の3成分を含有する一液型混和剤と、当該一液型混和剤を含有するコンクリート組成物及びコンクリート硬化体が開示されている。
特許文献5には、特定の式で表されるオキシアルキレン系消泡剤が開示されている。
特開2020-152629号公報 特開2021-011391号公報 特開2014-101265号公報 特開2014-201478号公報 特開2017-226565号公報
本開示は、耐久性に優れる硬化物が得られるコンクリート組成物と、耐久性に優れるコンクリート硬化体とを提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> セメントと、水と、細骨材と、粗骨材と、水溶性ビニル共重合体と、多価アルコールアルキレンオキサイド付加物と、オキシアルキレン基を有するエーテル化合物(ただしG成分を除く。)と、G成分と、を含むコンクリート組成物。G成分の詳細は後述のとおりである。
<2> 前記水溶性ビニル共重合体がA成分であり、前記多価アルコールアルキレンオキサイド付加物がB成分であり、前記オキシアルキレン基を有するエーテル化合物がC成分である、<1>に記載のコンクリート組成物。A成分、B成分及びC成分の詳細は後述のとおりである。
<3> 前記水溶性ビニル共重合体がD成分であり、前記多価アルコールアルキレンオキサイド付加物がE成分であり、前記オキシアルキレン基を有するエーテル化合物がF成分である、<1>に記載のコンクリート組成物。D成分、E成分及びF成分の詳細は後述のとおりである。
<4> <1>~<3>のいずれか1項に記載のコンクリート組成物の硬化物であるコンクリート硬化体。
本開示によれば、耐久性に優れる硬化物が得られるコンクリート組成物と、耐久性に優れるコンクリート硬化体とが提供される。
以下に、発明の実施形態を説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において「(ポリ)オキシアルキレン」はオキシアルキレン及びポリオキシアルキレンを包含する表記であり、「(ポリ)アルキレングリコール」はアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールを包含する表記である。
<コンクリート組成物及びコンクリート硬化体>
本開示のコンクリート組成物は、フレッシュ状態のコンクリートであり、本開示のコンクリート組成物が硬化して本開示のコンクリート硬化体が得られる。
本開示のコンクリート組成物が硬化したコンクリート硬化体は、ある大きさ以上(例えば、直径400Å以上=直径40nm以上、直径500Å以上=直径50nm以上)の細孔容積が比較的少なく、物質透過性及び浸透抵抗性の改善効果により耐久性に優れる。
本開示のコンクリート組成物は、セメントと、水と、細骨材と、粗骨材と、水溶性ビニル共重合体と、多価アルコールアルキレンオキサイド付加物と、オキシアルキレン基を有するエーテル化合物(G成分とは異なる成分である。)と、G成分と、を含む。
本開示はコンクリート組成物として、第一の実施形態と第二の実施形態とを開示する。
第一の実施形態は、セメントと、水と、細骨材と、粗骨材と、A成分と、B成分と、C成分と、G成分とを含むコンクリート組成物である。
第一の実施形態は、A成分、B成分、C成分及びG成分の相乗的な作用により、コンクリート硬化体においてある大きさ以上(例えば、直径400Å以上=直径40nm以上、直径500Å以上=直径50nm以上)の細孔容積を低減するものと推測される。
第二の実施形態は、セメントと、水と、細骨材と、粗骨材と、D成分と、E成分と、F成分と、G成分とを含むコンクリート組成物である。
第二の実施形態は、D成分、E成分、F成分及びG成分の相乗的な作用により、コンクリート硬化体においてある大きさ以上(例えば、直径400Å以上=直径40nm以上、直径500Å以上=直径50nm以上)の細孔容積を低減するものと推測される。
第一の実施形態は、D成分、E成分及びF成分からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
第二の実施形態は、A成分、B成分及びC成分からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
以下、本開示のコンクリート組成物及びコンクリート硬化体を構成する材料を詳細に説明する。
[A成分]
A成分は、式(A)で表される単量体1から形成された構成単位1とビニル基を有するカルボン酸単量体から形成された構成単位2とを分子中に有し、構成単位1及び構成単位2の合計に占める構成単位1の割合が1~99質量%且つ構成単位2の割合が1~99質量%である水溶性ビニル共重合体である。
-構成単位1-
構成単位1は、下記の式(A)で表される単量体1から形成された構成単位である。
Figure 2023001798000001
式(A)中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、メチル基又は-(CHCOOMで表される有機基(rは0~2の整数、Mは水素原子又は金属原子)であり、R、R及びRの少なくとも1つは水素原子又はメチル基であり、Rは水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基であり、m個のROはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、pは0~5の整数であり、qは0又は1であり、mは1~300の整数である。
が炭素数1~20の炭化水素基の場合、好ましくは炭素数1~10の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1~8の炭化水素基であり、更に好ましくは炭素数1~4の炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
m個のROはそれぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、具体的には、オキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種のオキシアルキレン基がm個繰り返す。オキシアルキレン基のm個の繰り返しは、ランダム、ブロック、交互、周期のいずれでもよい。
mは1~300の整数であり、好ましくは3~200の整数であり、より好ましくは6~100の整数であり、更に好ましくは10~60の整数である。
単量体1としては、例えば、α-ビニル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-ビニル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシブチレン(ポリ)オキシエチレン、α-アリル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-アリル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-アリル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-アリル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-メタリル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-メタリル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-メタリル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ブトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-アクリロイル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-アクリロイル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-アクリロイル-ω-ブトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-アクリロイル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-メタクリロイル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-メタクリロイル-ω-ブトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-メタクリロイル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸と(ポリ)オキシエチレンとのモノエステル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸と(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレンとのモノエステル;が挙げられる。
-構成単位2-
構成単位2は、ビニル基を有するカルボン酸単量体から形成された構成単位である。ビニル基を有するカルボン酸単量体としては、エステル基及びアミド基を有しない単量体が好ましい。
ビニル基を有するカルボン酸単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、フマル酸及びこれらの塩が挙げられる。塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアミン塩;が挙げられる。中でもナトリウム塩とカルシウム塩が好ましい。
-構成単位3-
A成分は、構成単位1及び構成単位2とは別の構成単位3を分子中にさらに有していてもよい。構成単位3は、例えば、単量体1及びビニル基を有するカルボン酸単量体と共重合可能な単量体3から形成される。
単量体3としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキル;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和シアン類;マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸と炭素数1~22のアルキル基又はアルケニル基を有するアルコールとのモノエステル;マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸と(ポリ)アルキレングリコール又は炭素数1~22のアルキル基若しくはアルケニル基を有するアルコールとのジエステルである不飽和ジカルボン酸ジエステル類;不飽和カルボン酸又は不飽和ジカルボン酸と炭素数1~22のアミンとのモノアミド又はジアミドであるアミド単量体類;不飽和カルボン酸又は不飽和ジカルボン酸と炭素数1~22のアミンとのモノアミド又はジアミドであるアミド単量体類;アルキルジカルボン酸とポリエチレンポリアミンとを縮合させてなる分子の活性水素を持つ窒素原子にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加させてなる分子と、(メタ)アクリル酸との反応物;アルキルジカルボン酸とポリエチレンポリアミンとを縮合させてなる分子の活性水素を持つ窒素原子にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加させてなる分子と、(メタ)アクリル酸グリシジルとの反応物;(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩等のスルホン酸系単量体類;リン酸2-(メタクリロイルオキシ)エチル、リン酸-ビス[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]及びそれらの塩等のリン酸系単量体類;が挙げられる。
A成分において、構成単位1及び構成単位2の合計に占める構成単位1の割合は、1~99質量%であり、70~99質量%が好ましく、75~99質量%がより好ましく、80~99質量%が更に好ましい。
A成分において、構成単位1及び構成単位2の合計に占める構成単位2の割合は、1~99質量%であり、1~30質量%が好ましく、1~25質量%がより好ましく、1~20質量%が更に好ましい。
A成分において、構成単位1、構成単位2及び構成単位3の合計に占める構成単位3の割合は、0~30質量%が好ましく、0~20質量%がより好ましく、0~10質量%が更に好ましく、0~5質量%が更により好ましい。
A成分において、全構成単位に占める構成単位1及び構成単位2の合計は、80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上が更により好ましい。
A成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定することができ、ポリエチレングリコール/ポリエチレンオキサイド換算で、好ましくは1000~1000000であり、より好ましくは5000~200000であり、更に好ましくは8000~100000である。
A成分の合成方法は制限されない。A成分は、例えば、公知のラジカル重合反応により得ることができる。合成したA成分は、水や有機溶媒を含んだまま使用してもよく、乾燥させて粉末として使用してもよい。
[B成分]
B成分は、下記の式(B)で表される化合物である。
Figure 2023001798000002
式(B)中、Rは炭素数6~25の芳香族炭化水素基及びフェノール性の2個の水酸基を有する化合物から2個の水酸基を除いた残基であり、X及びYはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~22のアルキル基であり、a個のORはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、b個のROはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、aは1~299の整数であり、bは1~299の整数であり、a+b=60~300である。
としては、例えば、下記の式(B-1)で表される基が挙げられる。
Figure 2023001798000003
式(B-1)中、Zは炭素数1~13の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又はスルホニル基である。
としては、例えば、ヒドロキノン、カテコール、ビナフトール、4,4’-ビフェノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、5,5’-(1-メチルエチリデン)-ビス[1,1’-(ビスフェニル)-2-オール]プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン又は1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンから、2個の水酸基を除いた残基が挙げられる。Rとしては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン又はビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホンから、2個の水酸基を除いた残基が好ましい。これらの残基であると、A成分の収縮低減効果が良好に発揮されることに加え、コンクリート組成物の材料分離抵抗性を向上させる。
X及びYはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~22のアルキル基である。炭素数1~22のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、2-メチル-ペンチル基、2-エチル-ヘキシル基、2-プロピル-ヘプチル基、2-ブチル-オクチル基、2-ペンチル-ノニル基、2-ヘキシル-デシル基、2-ヘプチル-ウンデシル基、2-オクチル-ドデシル基、2-ノニル-トリデシル基等が挙げられる。Xとしては、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。Yとしては、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。X及びYが水素原子であると、式(B)で表される化合物の合成の容易さ及び合成原料の入手の容易さの観点から好ましい。
a個のORはそれぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基である。ORとしては、具体的には、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基が好ましく、a個のORの50個数%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、a個のORの90個数%以上がオキシエチレン基であることが更に好ましい。オキシアルキレン基のa個の繰り返しは、ランダム、ブロック、交互、周期のいずれでもよい。
b個のROはそれぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基である。ROとしては、具体的には、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基が好ましく、b個のROの50個数%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、b個のROの90個数%以上がオキシエチレン基であることが更に好ましい。オキシアルキレン基のb個の繰り返しは、ランダム、ブロック、交互、周期のいずれでもよい。
a個のORとb個のROとを合わせたa+b個のオキシアルキレン基の90個数%以上がオキシエチレン基であることが好ましい。このことにより、B成分の収縮低減効果が良好に発揮されることに加え、コンクリート組成物の材料分離抵抗性を向上させる。
aは1~299の整数であり、好ましくは1~219の整数である。
bは1~299の整数であり、好ましくは1~219の整数である。
a+b=60~300であり、好ましくは70~220である。
B成分の合成方法は制限されない。X及び/又はYが水素原子であるB成分は、例えば、フェノール性の2個の水酸基を有する化合物にアルキレンオキサイドを付加することで得られる。合成したB成分は、水や有機溶媒を含んだまま使用してもよく、乾燥させて粉末として使用してもよい。
[C成分]
C成分は、下記の式(C)で表される化合物である。
Figure 2023001798000004
式(C)中、Rは炭素数3~5のアルキル基であり、c個のR10Oはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、cは1~6の整数である。
としては、例えば、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基が挙げられる。Rとしては、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基が好ましい。
c個のR10Oはそれぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基である。R10Oとしては、具体的には、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基が好ましい。オキシアルキレン基のc個の繰り返しは、ランダム、ブロック、交互、周期のいずれでもよい。cは1~6の整数であり、2~4の整数が好ましい。
C成分の合成方法は制限されない。C成分は公知の方法で合成できる。合成したC成分は、水や有機溶媒を含んだまま使用してもよく、多孔質シリカ等に吸着又は吸油して粉末として使用してもよい。
[A成分、B成分及びC成分を含む一液型混和剤]
A成分、B成分及びC成分は予め混合された一液型混和剤であることが好ましく、当該一液型混和剤は、A成分、B成分及びC成分を含有する水溶液又は水性懸濁液であることが好ましい。
一液型混和剤が水溶液又は水性懸濁液である場合、当該一液型混和剤は、A成分を1~30質量%、B成分を5~50質量%、C成分を15~80質量%、水を14~79質量%含有することが好ましく、A成分を1~20質量%、B成分を5~50質量%、C成分を25~80質量%、水を14~69質量%含有することがより好ましい。
本開示のコンクリート組成物は、A成分、B成分及びC成分の合計が、結合材100質量部に対して、0.1~5.0質量部であることが好ましく、0.2~4.0質量部であることがより好ましく、0.3~3.5質量部であることが更に好ましく、0.4~3.0質量部であることが更により好ましい。
[D成分]
D成分は、分子中に、構成単位L及び構成単位Mを有し、構成単位Nを有していてもよく、構成単位L、構成単位M及び構成単位Nの合計に占める構成単位Lの割合が35~85モル%、構成単位Mの割合が15~65モル%且つ構成単位Nの割合が0~5モル%であり、重量平均分子量が3000~80000である水溶性ビニル共重合体である。
D成分は、すなわち、構成単位Lと構成単位Mとで構成された重量平均分子量3000~80000の水溶性ビニル共重合体、又は、構成単位Lと構成単位Mと構成単位Nとで構成された重量平均分子量3000~80000の水溶性ビニル共重合体である。
-構成単位L-
構成単位Lは、メタクリル酸から形成された構成単位及びメタクリル酸塩から形成された構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位である。メタクリル酸塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩;が挙げられ、メタクリル酸アルカリ金属塩が好ましく、メタクリル酸ナトリウムがより好ましい。
-構成単位M-
構成単位Mは、5~80個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するメトキシポリエチレングリコールメタクリレートから形成された構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位である。
ポリオキシエチレン基は、5~80個のオキシエチレン単位で構成され、好ましくは5~70個のオキシエチレン単位で構成され、より好ましくは5~60個のオキシエチレン単位で構成され、更に好ましくは10~60個のオキシエチレン単位で構成される。
-構成単位N-
構成単位Nは、メタリルスルホン酸塩から形成された構成単位及びアクリル酸メチルから形成された構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位である。メタリルスルホン酸塩としては、メタリルスルホン酸のリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が挙げられ、メタリルスルホン酸ナトリウムが好ましい。
D成分において、構成単位L、構成単位M及び構成単位Nの合計に占める構成単位Lの割合は、35~85モル%であり、45~85モル%が好ましい。
D成分において、構成単位L、構成単位M及び構成単位Nの合計に占める構成単位Mの割合は、15~65モル%であり、15~55モル%が好ましい。
D成分において、構成単位L、構成単位M及び構成単位Nの合計に占める構成単位Nの割合は、0~5モル%である。
D成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定することができ、ポリスチレン換算で、3000~80000であり、好ましくは5000~60000である。
D成分の合成方法は制限されない。D成分は公知の方法で合成できる。合成したD成分は、水や有機溶媒を含んだまま使用してもよく、乾燥させて粉末として使用してもよい。
[E成分]
E成分は、下記の式(E)で表される化合物である。
Figure 2023001798000005
式(E)中、A、A及びAはそれぞれ独立に1~10個のオキシプロピレン単位で構成された(ポリ)オキシプロピレン基を有する(ポリ)プロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基であり、A、A及びAのオキシプロピレン単位の合計が5~25個である。
、A及びAのオキシプロピレン単位の合計は、5~25個であり、6~22個が好ましく、7~20個がより好ましい。
E成分は、つまり、グリセリンのプロピレンオキサイド付加物である。
E成分の合成方法は制限されない。E成分は、グリセリンにプロピレンオキサイドを付加重合する公知の方法で合成できる。合成したE成分は、水や有機溶媒を含んだまま使用してもよく、多孔質シリカ等に吸着又は吸油して粉末として使用してもよい。
[F成分]
F成分は、下記の式(F)で表される化合物である。
Figure 2023001798000006
式(F)中、Rは炭素数3~5のアルキル基であり、Aは1~4個のオキシエチレン単位で構成された(ポリ)オキシエチレン基を有する(ポリ)エチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である。
Rは、炭素数3~5のアルキル基であり、具体的には、プロピル基、ブチル基、ペンチル基であり、ブチル基が好ましい。ブチル基としては、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基が挙げられ、n-ブチル基が好ましい。
F成分は、つまり、1~4個のオキシエチレン単位を有する(ポリ)エチレングリコールモノアルキルエーテルである。F成分としては、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテルがより好ましい。
F成分の合成方法は制限されない。F成分は、炭素数3~5の脂肪族アルコールにエチレンオキサイドを付加重合する公知の方法で合成できる。合成したF成分は、水や有機溶媒を含んだまま使用してもよく、多孔質シリカ等に吸着又は吸油して粉末として使用してもよい。
[D成分、E成分及びF成分を含む一液型混和剤]
D成分、E成分及びF成分は予め混合された一液型混和剤であることが好ましく、当該一液型混和剤は、D成分、E成分及びF成分を含有する水溶液又は水性懸濁液であることが好ましい。一液型混和剤が水溶液又は水性懸濁液である場合、当該一液型混和剤は、D成分、E成分及びF成分の合計が一液型混和剤全体の20~70質量%を占めることが好ましい。
一液型混和剤に含まれるD成分、E成分及びF成分の含有量は、これら3成分の合計に対して、D成分が5~30質量%で、E成分が1~50質量%で、F成分が20~69質量%であることが好ましく、D成分が10~25質量%で、E成分が10~45質量%で、F成分が30~65質量であることがより好ましい。
本開示のコンクリート組成物は、D成分、E成分及びF成分の合計が、結合材100質量部に対して、0.2~3.0質量部であることが好ましく、0.3~2.5質量部であることがより好ましい。
[G成分]
G成分は、コンクリート硬化体においてある大きさ以上(例えば、直径400Å以上=直径40nm以上、直径500Å以上=直径50nm以上)の細孔容積を低減する作用を奏すると推測される。
G成分は、下記の式(G)で表される化合物である。
Figure 2023001798000007
式(G)中、R11は水素原子又は炭素数1~30の炭化水素基であり、d個のR12Oはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、dは10~100の整数であり、d個のR12Oの70個数%以上はオキシプロピレン基である。
11が炭素数1~30の炭化水素基の場合、炭化水素基としては脂肪族炭化水素基が好ましい。R11が炭素数1~30の炭化水素基の場合、好ましくは炭素数6~24の炭化水素基(好ましくは脂肪族炭化水素基)であり、より好ましくは炭素数10~22の炭化水素基(好ましくは脂肪族炭化水素基)であり、更に好ましくは炭素数12~20の炭化水素基(好ましくは脂肪族炭化水素基)であり、更により好ましくは炭素数14~18の炭化水素基(好ましくは脂肪族炭化水素基)である。炭素数1~30の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、2-メチル-ペンチル基、2-エチル-ヘキシル基、2-プロピル-ヘプチル基、2-ブチル-オクチル基、2-ペンチル-ノニル基、2-ヘキシル-デシル基、2-ヘプチル-ウンデシル基、2-オクチル-ドデシル基、2-ノニル-トリデシル基等が挙げられる。
d個のR12Oはそれぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、具体的には、オキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種のオキシアルキレン基がd個繰り返す。オキシアルキレン基のd個の繰り返しは、ランダム、ブロック、交互、周期のいずれでもよい。
d個のR12Oの70個数%以上はオキシプロピレン基である。d個のR12Oにおいて、オキシプロピレン基以外のオキシアルキレン基としてはオキシエチレン基が好ましい。d個のR12Oは、75個数%以上がオキシプロピレン基であることが好ましく、85個数%以上がオキシプロピレン基であることがより好ましい。
dは10~100の整数であり、好ましくは10~80の整数であり、より好ましくは20~70の整数であり、更に好ましくは35~60の整数である。
G成分の合成方法は制限されない。G成分は公知の方法で合成できる。合成したG成分は、水や有機溶媒を含んだまま使用してもよく、多孔質シリカ等に吸着又は吸油して粉末として使用してもよい。
G成分の実施形態の一例は、G成分を含む水溶液又は水性懸濁液である。
本開示のコンクリート組成物におけるG成分の含有量は、結合材の質量に対して、0.05×10-3質量%~5.0×10-3質量%が好ましく、0.1×10-3質量%~3.0×10-3質量%がより好ましい。
G成分は、A成分、B成分及びC成分と予め混合して一液型混和剤にしてもよい。
G成分は、D成分、E成分及びF成分と予め混合して一液型混和剤にしてもよい。
上記一液型混和剤は、例えば、水溶液又は水性懸濁液である。
[セメント]
セメントは、公知の各種セメントの中から目的に応じて選択すればよい。セメントは、セメント単独でもよく、微粉末混和材料を混合した混合セメントでもよい。微粉末混和材料としては、高炉スラグ微粉末、シリカフューム、フライアッシュ、石灰石微粉末、石粉、膨張材等が挙げられる。
セメントとしては、具体的には、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等のポルトランドセメント;高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等の混合セメント;が挙げられる。
[細骨材]
細骨材としては、例えば、川砂、山砂、陸砂、海砂、珪砂、砕砂、石灰砕砂、高炉スラグ細骨材、再生細骨材が挙げられる。細骨材の種類と含有量は、コンクリート硬化体の目標とする機械的強度に応じて選択すればよい。
[粗骨材]
粗骨材としては、例えば、安山岩、流紋岩、硬質砂岩、石灰石などを破砕した砕石、川砂利、山砂利、陸砂利、高炉スラグ粗骨材、再生粗骨材が挙げられる。粗骨材の岩種と大きさと含有量は、コンクリート硬化体の目標とする機械的強度に応じて選択すればよい。
粗骨材としては、コンクリート硬化体の収縮を低減する観点からは、石灰砕石が好ましい。本開示のコンクリート組成物の粗骨材として、石灰砕石のみを用いてもよく、石灰砕石と他の粗骨材とを併用してもよい。
[膨張材]
本開示のコンクリート組成物は、コンクリート硬化体の収縮を低減する観点からは、膨張材を含有することが好ましい。
膨張材としては、例えば、石灰系膨張材、エトリンガイト系膨張材、エトリンガイト石灰複合系膨張材が挙げられる。本開示のコンクリート組成物が膨張材を含む場合、膨張材の単位量は10~50kg/mが好ましく、15~40kg/mがより好ましく、20~35kg/mが更に好ましい。
[その他の材料]
本開示のコンクリート組成物は、目的に応じて、A成分~G成分とは別の化学混和剤を含有していてもよい。化学混和剤としては、例えば、減水剤、AE減水剤、収縮低減剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、増粘剤、粉塵低減剤、防凍・耐寒剤、防腐剤、防水剤、防錆剤が挙げられる。
本開示のコンクリート組成物は、目的に応じて、補強材を含有していてもよい。補強材としては、例えば、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維が挙げられる。
[水結合材比]
本開示のコンクリート組成物は、水結合材比(水と結合材との質量比、水/結合材)が30~70%であることが好ましく、35~65%であることがより好ましく、40~60%であることが更に好ましい。
<コンクリート組成物の製造方法>
本開示のコンクリート組成物は、既述の各材料を混合して得られる。各材料の混合は、例えばミキサーを用いた練り混ぜにより行うことができる。
コンクリート組成物を調製する際における材料の混合順は、制限されない。例えば、まずセメントと細骨材とを混ぜ、次いで水及び化学混和剤を投入して練り混ぜ、次いで粗骨材を投入して練り混ぜてコンクリート組成物を得る。
本開示のコンクリート組成物の製造方法の一例として、A成分、B成分及びC成分を予め混合した一液型混和剤又はD成分、E成分及びF成分を予め混合した一液型混和剤を用いた製造方法が挙げられる。例えば、水とセメントと骨材とを含有するスラリーを調製し、このスラリーに一液型混和剤及びG成分を混合してコンクリート組成物を得る。
<コンクリート硬化体の製造方法>
本開示のコンクリート硬化体は、本開示のコンクリート組成物を硬化させることで得られる。具体的には、コンクリート組成物を型枠内に投入し硬化させてコンクリート硬化体を得る。型枠内に投入されたコンクリート組成物に対して、常法に従い脱泡などの処理を行ってもよい。型枠内に投入されたコンクリート組成物は、自己発熱を伴い硬化して硬化体を形成する。コンクリート硬化体の機械的強度を高める観点からは、コンクリート硬化体に養生を施すことが好ましい。
本開示のコンクリート硬化体に適用可能な養生方法に制限はない。養生方法としては、例えば、温度を20±3℃に維持した、水中、湿砂中又は飽和蒸気中で行う標準養生が挙げられる。コンクリート硬化体の機械的強度を高める観点から、標準養生に他の養生を1種類以上組み合わせて実施することも好ましい。他の養生としては、70℃~100℃の温度範囲で2時間~72時間蒸気養生する蒸気養生、100℃~400℃の温度範囲で2時間~72時間加熱する高温養生、オートクレーブ等による高温高圧養生が挙げられる。
養生を実施する時期に制限はない。例えば、硬化後に直ちに行ってもよく、硬化してある程度経時した後に行ってもよい。
以下、本開示のコンクリート組成物及びコンクリート硬化体を、実施例を挙げて具体的に説明する。本開示のコンクリート組成物及びコンクリート硬化体は、以下の実施例に限定されるものではない。
<化学混和剤の用意>
[一液型混和剤]
一液型混和剤として下記の3種類を用意した。
・一液型混和剤(1)
一液型混和剤(1)は下記のA成分、B成分、C成分及び水を含み、質量比がA成分:B成分:C成分:水=9:11:31:49である。
・A成分・・・構成単位1を形成する単量体1がα-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(n=23)オキシエチレンであり、構成単位2を形成するカルボン酸単量体がメタクリル酸であり、構成単位1の割合が89質量%であり、構成単位2の割合が11質量%であり、重量平均分子量が18000である水溶性ビニル共重合体
・B成分・・・2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物、式(B)中のa+b=100
・C成分・・・トリエチレングリコールモノブチルエーテル
・一液型混和剤(2)
一液型混和剤(2)は下記のA成分、B成分、C成分及び水を含み、質量比がA成分:B成分:C成分:水=6:17:43:34である。
・A成分・・・構成単位1を形成する単量体1がα-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(n=23)オキシエチレンであり、構成単位2を形成するカルボン酸単量体がメタクリル酸であり、構成単位1の割合が89質量%であり、構成単位2の割合が11質量%であり、重量平均分子量が18000である水溶性ビニル共重合体
・B成分・・・2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物、式(B)中のa+b=100
・C成分・・・トリエチレングリコールモノブチルエーテル
・一液型混和剤(3)
一液型混和剤(3)は下記のD成分、E成分、F成分及び水を含み、質量比がD成分:E成分:F成分:水=10:15:25:50である。
・D成分・・・構成単位Lを形成する単量体がメタクリル酸ナトリウムであり、構成単位Mを形成する単量体がメトキシポリ(n=23)エチレングリコールメタクリレートであり、構成単位Nを形成する単量体がメタリルスルホン酸ナトリウムであり、構成単位Lの割合が70モル%、構成単位Mの割合が27モル%、構成単位Nの割合が3モル%であり、重量平均分子量が34000である水溶性ビニル共重合体
・E成分・・・グリセリンのプロピレンオキサイド10モル付加物
・F成分・・・ジエチレングリコールモノブチルエーテル
[比較用混和剤]
一液型混和剤(1)~(3)との比較用の混和剤として下記の2種類を用意した。
・混和剤(4):市販の高性能AE減水剤、チューポールHP-70B、竹本油脂株式会社
・混和剤(5):市販の高性能AE減水剤、チューポールHP-11、竹本油脂株式会社
[G成分]
G成分として、1-ヘキサデカノール1モルにエチレンオキサイド5モルとプロピレンオキサイド35モルとをブロック付加したアルキレンオキサイド付加物を用意した。
<コンクリート組成物の製造>
表1~表4に示す調合にて材料をミキサーに投入し90秒間練混ぜ、実施例及び比較例の各コンクリート組成物を製造した。細骨材の単位量は概ね762~1001kg/mとし、粗骨材の単位量は概ね788~996kg/mとし、s/aは概ね44.6~56.0%とした。各例のコンクリート組成物にはAE剤(チューポールD-100、竹本油脂株式会社製)も適量混合し、目標スランプ19.5~22.5cm及び目標スランプフロー52.5~62.5cm、目標空気量3.0~6.0%となるように調製した。
表中、混和剤の添加量及びG成分の添加量は、セメント量に対する質量比率である。表中の「-」は、G成分を添加していないことを意味する。使用したセメント種は下記のとおりである。
・実施例1系列、2系列、3系列、4系列:太平洋セメントの普通セメント、宇部三菱セメントの普通セメント及び住友大阪セメントの普通セメントを3銘柄等量混合
・実施例5系列、14系列、18系列、22系列:太平洋セメントの普通セメント
・実施例6系列:住友大阪セメントの普通セメント及び中庸熱セメントを等量混合
・実施例7系列、9系列、10系列、11系列、15系列、16系列、19系列:宇部三菱セメントの普通セメント
・実施例8系列、17系列、21系列、23系列:住友大阪セメントの普通セメント
・実施例24系列:麻生セメントの普通セメント
Figure 2023001798000008
Figure 2023001798000009
Figure 2023001798000010
Figure 2023001798000011
<コンクリート硬化体の製造及び評価>
表1~表4に示す各例のコンクリート組成物を用いて、コンクリート硬化体である供試体を製造した。供試体は、10cm×10cm×40cmの角柱とした。
各例それぞれ養生を行い、各評価に適切な材齢に達した時点で、乾燥収縮率、中性化深さ及び細孔容積をそれぞれ測定した。試験結果を表5~表9に示す。表中の「比率」は、各系列それぞれ、(各例の中性化速度係数/代表的な比較例の中性化速度係数)であり、「耐久性改善度」は、(1/比率)である。表中の「-」は、測定していないことを意味する。
コンクリートの乾燥収縮率の測定は、JIS A1129-3:2010に従って行った。
コンクリートの促進中性化試験は、JIS A1153:2012に従って行った。
コンクリートの中性化深さの測定は、JIS A1152:2018に従って行った。
コンクリートの細孔容積の測定は、供試体の中心部から約5mm×5mm×5mmの測定用試料を採取し、水銀圧入式ポロシメーターにより細孔直径3nm~400μmの細孔径分布を測定し、所定の細孔直径以上(40nm以上=400Å以上、50nm以上=500Å以上、75nm以上=750Å以上、100nm以上=1000Å以上)の細孔容積を算出した。
各系列それぞれの養生と測定時の材齢は下記のとおりである。
・実施例1系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間26週時(材齢27週時)、促進中性化深さは促進期間56週時(材齢64週時相当)、細孔容積は促進中性化197日(28週)時(材齢36週時)。
・実施例2系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間26週時(材齢27週時)、促進中性化深さは促進期間56週時(材齢64週時相当)、細孔容積は促進中性化197日(28週)時(材齢36週時)。
・実施例3系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間13週時(材齢14週時)、促進中性化深さは促進期間8週時(材齢16週時相当)、細孔容積は促進中性化91日(13週)時(材齢21週時)。
・実施例4系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間13週時(材齢14週時)、促進中性化深さは促進期間8週時(材齢16週時相当)、細孔容積は促進中性化91日(13週)時(材齢21週時)。
・実施例5系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間26週時(材齢27週時)、促進中性化深さは促進期間60.14週時(材齢68.14週時相当)、細孔容積は促進中性化14.71週時(材齢22.71週時)。
・実施例6系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間26週時(材齢27週時)、促進中性化深さは実施例6-3が34.71週時(材齢42.71週時相当)、比較例6-3が32.86週時(材齢40.86週時相当)、細孔容積は促進中性化深さと同時期。
・実施例7系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間26週時(材齢27週時)、促進中性化深さは実施例7-1、実施例7-2及び比較例7-1が促進期間43.86週時(材齢51.86週時相当)、実施例7-3が促進期間94.86週時(材齢102.86週時相当)、比較例7-2が促進期間85.00週時(材齢93.00週時相当)、細孔容積は実施例7-1、実施例7-2及び比較例7-1が促進期間43.86週時(材齢51.86週時相当)、実施例7-3が促進期間32.57週時(材齢40.57週時相当)、比較例7-2が促進期間22.71週時(材齢30.71週時相当)。
・実施例8系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間26週時(材齢27週時)、促進中性化深さは促進期間24.14週時(材齢32.14週時相当)、細孔容積は促進中性化24.14週時(材齢32.14週時)。
・実施例9系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間13週時(材齢14週時)、促進中性化深さは促進期間16.00週時(材齢24.00週時相当)、細孔容積は促進中性化16.00週時(材齢24.00週時)。
・実施例10系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間13週時(材齢14週時)、促進中性化深さは促進期間15.14週時(材齢23.14週時相当)、細孔容積は促進中性化15.14週時(材齢23.14週時)。
・実施例11系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間26週時(材齢27週時)、促進中性化深さは促進期間22.86週時(材齢30.86週時相当)、細孔容積は促進中性化22.86週時(材齢30.86週時)。
・実施例14系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間13週時(材齢14週時)、促進中性化深さは促進期間37.14週時(材齢45.14週時相当)、細孔容積は促進中性化37.14週時(材齢45.14週時)。
・実施例15系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間13週時(材齢14週時)、促進中性化深さは促進期間37.14週時(材齢45.14週時相当)、細孔容積は促進中性化37.14週時(材齢45.14週時)。
・実施例16系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間13週時(材齢14週時)、促進中性化深さは促進期間12.86週時(材齢20.86週時相当)、細孔容積は促進中性化12.86週時(材齢20.86週時)。
・実施例17系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間13週時(材齢14週時)、促進中性化深さは促進期間12.86週時(材齢20.86週時相当)、細孔容積は促進中性化12.86週時(材齢20.86週時)。
・実施例18系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間26週時(材齢27週時)、促進中性化深さは促進期間11.71週時(材齢19.71週時相当)、細孔容積は促進中性化11.71週時(材齢19.71週時)。
・実施例19系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間26週時(材齢27週時)、促進中性化深さは促進期間11.71週時(材齢19.71週時相当)、細孔容積は促進中性化11.71週時(材齢19.71週時)。
・実施例21系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間26週時(材齢27週時)、促進中性化深さは促進期間14.43週時(材齢22.43週時相当)、細孔容積は促進中性化14.43週時(材齢22.43週時)。
・実施例22系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間26週時(材齢27週時)、促進中性化深さは促進期間12.86週時(材齢20.86週時相当)、細孔容積は促進中性化12.86週時(材齢20.86週時)。
・実施例23系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間26週時(材齢27週時)、促進中性化深さは促進期間12.86週時(材齢20.86週時相当)、細孔容積は促進中性化12.86週時(材齢20.86週時)。
・実施例24系列:各JIS試験の養生条件に従った。測定時材齢:乾燥収縮率は乾燥期間26週時(材齢27週時)、促進中性化深さは促進期間12.86週時(材齢20.86週時相当)、細孔容積は促進中性化12.86週時(材齢20.86週時)。
Figure 2023001798000012
Figure 2023001798000013
Figure 2023001798000014
Figure 2023001798000015
Figure 2023001798000016
各系列それぞれ実施例と比較例とを比べると、実施例のコンクリート硬化体は、代表的な比較例のコンクリート硬化体に比べて、400Å以上の細孔容積及び500Å以上の細孔容積が少なかった。
各系列それぞれ実施例と比較例とを比べると、大多数の実施例のコンクリート硬化体は、比較例のコンクリート硬化体に比べて、中性化速度が遅かった。
<塩分浸透抵抗性の評価>
実施例3-1、実施例3-2及び比較例3-1の各コンクリート組成物を用いてコンクリート硬化体である供試体を製造した。供試体は、直径10cm×20cmの円柱とした。土木学会規準「電気泳動によるコンクリート中の塩化物イオンの実効拡散係数試験方法(JSCE-G 571-2003)」に従って塩分浸透抵抗性を評価した。標準養生4週から開始した電気泳動法による実効拡散係数の試験結果と、標準養生91日目に実施した細孔容積の測定結果とを表10に示す。
表10中の「耐久年数」は、塩分浸透による鉄筋の発錆に対する耐久年数の試算値であり、塩害地域及び準塩害地域に相当する表面塩分濃度(7kg/m及び3kg/m)、初期塩分濃度(0.3kg/m)、発生限界塩分濃度(2kg/m)及びかぶり厚さ(5cm)を仮定し試算した。
表10中の「耐久性」は、(各例の耐久年数/比較例の耐久年数)である。
Figure 2023001798000017
実施例のコンクリート硬化体は、比較例のコンクリート硬化体に比べて、400Å以上の細孔容積が少なかった。
実施例のコンクリート硬化体は、比較例のコンクリート硬化体に比べて、実効拡散係数が低く、塩分浸透抵抗性が高かった。
実施例のコンクリート硬化体は、比較例のコンクリート硬化体に比べて、塩分浸透に対する耐久性に優れていた。

Claims (4)

  1. セメントと、水と、細骨材と、粗骨材と、
    水溶性ビニル共重合体と、多価アルコールアルキレンオキサイド付加物と、オキシアルキレン基を有するエーテル化合物(ただし下記のG成分を除く。)と、
    下記のG成分と、
    を含むコンクリート組成物。
    Figure 2023001798000018

    式(G)中、R11は水素原子又は炭素数1~30の炭化水素基であり、d個のR12Oはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、dは10~100の整数であり、d個のR12Oの70個数%以上はオキシプロピレン基である。
  2. 前記水溶性ビニル共重合体が下記のA成分であり、
    前記多価アルコールアルキレンオキサイド付加物が下記のB成分であり、
    前記オキシアルキレン基を有するエーテル化合物が下記のC成分である、
    請求項1に記載のコンクリート組成物。
    A成分:下記の式(A)で表される単量体1から形成された構成単位1とビニル基を有するカルボン酸単量体から形成された構成単位2とを有し、前記構成単位1及び前記構成単位2の合計に占める前記構成単位1の割合が1~99質量%且つ前記構成単位2の割合が1~99質量%である水溶性ビニル共重合体
    B成分:下記の式(B)で表される化合物
    C成分:下記の式(C)で表される化合物
    Figure 2023001798000019

    式(A)中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、メチル基又は-(CHCOOMで表される有機基(rは0~2の整数、Mは水素原子又は金属原子)であり、R、R及びRの少なくとも1つは水素原子又はメチル基であり、Rは水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基であり、m個のROはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、pは0~5の整数であり、qは0又は1であり、mは1~300の整数である。
    Figure 2023001798000020

    式(B)中、Rは炭素数6~25の芳香族炭化水素基及びフェノール性の2個の水酸基を有する化合物から2個の水酸基を除いた残基であり、X及びYはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~22のアルキル基であり、a個のORはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、b個のROはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、aは1~299の整数であり、bは1~299の整数であり、a+b=60~300である。
    Figure 2023001798000021

    式(C)中、Rは炭素数3~5のアルキル基であり、c個のR10Oはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、cは1~6の整数である。
  3. 前記水溶性ビニル共重合体が下記のD成分であり、
    前記多価アルコールアルキレンオキサイド付加物が下記のE成分であり、
    前記オキシアルキレン基を有するエーテル化合物が下記のF成分である、
    請求項1に記載のコンクリート組成物。
    D成分:構成単位L及び構成単位Mを有し、構成単位Nを有していてもよく、前記構成単位L、前記構成単位M及び前記構成単位Nの合計に占める前記構成単位Lの割合が35~85モル%、前記構成単位Mの割合が15~65モル%且つ前記構成単位Nの割合が0~5モル%であり、重量平均分子量が3000~80000である水溶性ビニル共重合体。構成単位Lは、メタクリル酸から形成された構成単位及びメタクリル酸塩から形成された構成単位からなる群から選ばれる1種以上であり、構成単位Mは、5~80個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するメトキシポリエチレングリコールメタクリレートから形成された構成単位からなる群から選ばれる1種以上であり、構成単位Nは、メタリルスルホン酸塩から形成された構成単位及びアクリル酸メチルから形成された構成単位からなる群から選ばれる1種以上である。
    E成分:下記の式(E)で表される化合物
    F成分:下記の式(F)で表される化合物
    Figure 2023001798000022

    式(E)中、A、A及びAはそれぞれ独立に1~10個のオキシプロピレン単位で構成された(ポリ)オキシプロピレン基を有する(ポリ)プロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基であり、A、A及びAのオキシプロピレン単位の合計が5~25個である。
    Figure 2023001798000023

    式(F)中、Rは炭素数3~5のアルキル基であり、Aは1~4個のオキシエチレン単位で構成された(ポリ)オキシエチレン基を有する(ポリ)エチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である。
  4. 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のコンクリート組成物の硬化物であるコンクリート硬化体。
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