JP2024008286A - 水硬性組成物 - Google Patents

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敏之 佐藤
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孝之 井上
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Ai Yamada
稔 小林
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Abstract

【課題】ひび割れ抵抗性が改良され、クリープひずみが低減された水硬性硬化体を製造し得る水硬性組成物を提供する。【解決手段】水硬性結合材と、細骨材と、粗骨材と、水と、特定構造の水溶性ビニル共重合体(A成分及びB成分)から選ばれる少なくとも1種と、所定の式で表されるC成分、D成分、E成分、及びF成分からなる群より選択される少なくとも2種の収縮低減剤と、を含む水硬性組成物であり、水溶性ビニル共重合体の合計含有量が、水硬性結合材100質量部に対して0.1質量部~2.0質量部であり、収縮低減剤の合計含有量が、水硬性結合材100質量部に対して0.1質量部~3.0質量部である水硬性組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、水硬性組成物に関する。
近年、鉄筋コンクリート造建築物の品質等に対する要求が厳しくなり、特にコンクリートの乾燥収縮に伴うひび割れの低減及び抑制の要求が極めて高い。また、建築空間のフレキシビリティ確保のため、可能な限り構造材としての柱の間隔を広くすることが求められ、この要求に伴って、スラブ、梁等の水平部材のたわみ制御に関する要求も極めて高いのが現状である。
コンクリート組成物において、乾燥収縮に伴うひび割れの低減に係る技術分野では、コンクリート硬化体のひび割れ低減を実現することで、コンクリート硬化体のたわみの改善も期待できるとの言及がなされてはいた。しかし、ひび割れ低減とたわみの改善の関連についての深い検討はなされておらず、なかでも、より厳しい条件であるコンクリート硬化体を水平部材として用いた場合のたわみ抑制に関しては、未だ検討されていないのが現状である。
コンクリート組成物の硬化収縮の低減を目的として、水溶性ビニル共重合体と、特定のポリオキシアルキレン化合物とを含有する水硬性組成物用混和剤を含む水硬性組成物が提案されている(特許文献1参照)。さらに、粗骨材として石灰砕石を用いた、流動性が良好であり、得られる硬化体が実質的に無収縮であるコンクリート組成物が開示されている(特許文献2参照)。
特開2020-152629号公報 特開2021-11391号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載される水硬性組成物は、乾燥収縮によるひび割れが改良されてはいるが、コンクリート組成物により得られるコンクリート硬化体が水平部材として使用し得る圧縮クリープ及び引張クリープを達成するためのクリープ低減を実現するといった着目はなく、近年の水平部材のたわみ制御に関する高い要求に対応しているとは言い難く、さらなる改良が望まれていた。
本開示のある実施形態は、ひび割れ抵抗性が改良され、クリープひずみが低減された水硬性硬化体を製造し得る水硬性組成物を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 水硬性結合材と、細骨材と、粗骨材と、水と、下記A成分である水溶性ビニル共重合体及び下記B成分である水溶性ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種の水溶性ビニル共重合体と、下記C成分である多価アルコールアルキレンオキサイド付加物、下記D成分であるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物、下記E成分である多価アルコールアルキレンオキサイド付加物及び下記F成分であるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物からなる群より選択される少なくとも2種の収縮低減剤と、を含む水硬性組成物であり、
下記A成分及び下記B成分から選ばれる水溶性ビニル共重合体の合計含有量が、水硬性結合材100質量部に対して0.1質量部~2.0質量部であり、下記C成分、下記D成分、下記E成分及び下記F成分から選ばれる少なくとも2種の収縮低減剤の合計含有量が、水硬性結合材100質量部に対して0.1質量部~3.0質量部である水硬性組成物。
A成分、B成分、C成分、D成分、E成分、及びF成分の詳細は後述のとおりである。
<2> 水硬性組成物の硬化体の、JIS A1157(2010年)に準拠して測定した圧縮クリープ係数が0を超え、3.0以下であり、且つ、引張クリープ係数が0を超え、3.0以下である<1>に記載の水硬性組成物。
<3> 膨張材をさらに含み、前記粗骨材が石灰砕石を含む<1>又は<2>に記載の水硬性組成物。
本開示のある実施形態によれば、ひび割れ抵抗性が改良され、クリープひずみが低減された水硬性硬化体を製造し得る水硬性組成物を提供することができる。
以下に、発明の実施形態を説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、「水硬性組成物」とは、フレッシュ状態、即ち、未硬化の水硬性組成物を指し、「水硬性硬化体」は、水硬性組成物の硬化物を指す。
本開示において「(ポリ)オキシアルキレン」はオキシアルキレン及びポリオキシアルキレンを包含する表記であり、「(ポリ)アルキレングリコール」はアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールを包含する表記である。
<水硬性組成物>
本開示の水硬性組成物は、水硬性結合材と、細骨材と、粗骨材と、水と、下記A成分である水溶性ビニル共重合体及び下記B成分である水溶性ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種の水溶性ビニル共重合体と、下記C成分である多価アルコールアルキレンオキサイド付加物、下記D成分であるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物、下記E成分である多価アルコールアルキレンオキサイド付加物及び下記F成分であるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物からなる群より選択される少なくとも2種の収縮低減剤と、を含む水硬性組成物であり、下記A成分及び下記B成分から選ばれる水溶性ビニル共重合体の合計含有量が、水硬性結合材100質量部に対して0.1質量部~2.0質量部であり、下記C成分、下記D成分、下記E成分及び下記F成分から選ばれる少なくとも2種の収縮低減剤の合計含有量が、水硬性結合材100質量部に対して0.1質量部~3.0質量部である。
本開示の水硬性組成物は、水硬性組成物に一般に含まれる水硬性結合材、細骨材、粗骨材、及び水に加え、水硬性結合材に含まれるセメント粒子の分散性を向上させるための、下記A成分である水溶性ビニル共重合体及び下記B成分である水溶性ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種の水溶性ビニル共重合体を含み、且つ、水硬性組成物の硬化体における収縮を低減する機能を有する、下記C成分である多価アルコールアルキレンオキサイド付加物、下記D成分であるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物、下記E成分である多価アルコールアルキレンオキサイド付加物及び下記F成分であるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物からなる群より選択される少なくとも2種の収縮低減剤と、を含む。
ここで、下記A成分及び下記B成分から選ばれる水溶性ビニル共重合体の合計含有量が、水硬性結合材100質量部に対して0.1質量部~2.0質量部であり、下記C成分、下記D成分、下記E成分及び下記F成分から選ばれる少なくとも2種の収縮低減剤の合計含有量が、水硬性結合材100質量部に対して0.1質量部~3.0質量部であることで、本開示の水硬性組成物は、水硬性硬化体を製造する際に、得られる硬化体に良好なクリープ低減作用を与える。
本開示の水硬性組成物は、クリープ係数が低減された水硬性硬化体を製造し得るため、構造材はもとより、床材、梁等の水平部材、とくにクリープひずみが問題となる比較的広い面積の床材等の水平部材の製造に有用である。
以下、本開示の水硬性組成物が含み得る材料を詳細に説明する。
[A成分及びB成分から選ばれる水溶性ビニル共重合体]
本開示の水硬性組成物は、水硬性組成物に一般に含まれる水硬性結合材、細骨材、粗骨材、及び水に加え、水硬性結合材に含まれるセメント粒子の分散性を向上させるための、下記A成分である水溶性ビニル共重合体及び下記B成分である水溶性ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種の水溶性ビニル共重合体を含む。
〔A成分〕
A成分は、下記式(A)で表される単量体1から形成された構成単位1とビニル基を有するカルボン酸単量体から形成された構成単位2とを分子中に有し、構成単位1及び構成単位2の合計に占める構成単位1の割合が1質量%~99質量%且つ構成単位2の割合が1質量%~99質量%である水溶性ビニル共重合体である。
-構成単位1-
構成単位1は、下記の式(A)で表される単量体1から形成された構成単位である。

式(A)中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、メチル基又は-(CHCOOMで表される有機基(rは0~2の整数、Mは水素原子又は金属原子)であり、R、R及びRの少なくとも1つは水素原子又はメチル基であり、Rは水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基であり、m個のROはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、pは0~5の整数であり、qは0又は1であり、mは1~300の整数である。
が炭素数1~20の炭化水素基の場合、好ましくは炭素数1~10の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1~8の炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1~4の炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
m個のROはそれぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、具体的には、オキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種のオキシアルキレン基がm個繰り返す。オキシアルキレン基のm個の繰り返しは、ランダム、ブロック、交互、周期のいずれでもよい。
mは1~300の整数であり、好ましくは3~200の整数であり、より好ましくは6~100の整数であり、さらに好ましくは10~60の整数である。
単量体1としては、例えば、α-ビニル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-ビニル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシブチレン(ポリ)オキシエチレン、α-アリル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-アリル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-アリル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-アリル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-メタリル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-メタリル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-メタリル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ブトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-アクリロイル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-アクリロイル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-アクリロイル-ω-ブトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-アクリロイル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-メタクリロイル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-メタクリロイル-ω-ブトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-メタクリロイル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸と(ポリ)オキシエチレンとのモノエステル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸と(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレンとのモノエステル;が挙げられる。
-構成単位2-
構成単位2は、ビニル基を有するカルボン酸単量体から形成された構成単位である。ビニル基を有するカルボン酸単量体としては、エステル基及びアミド基を有しない単量体が好ましい。
ビニル基を有するカルボン酸単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、フマル酸及びこれらの塩が挙げられる。塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアミン塩;が挙げられる。中でもナトリウム塩とカルシウム塩が好ましい。
-構成単位3-
A成分は、構成単位1及び構成単位2とは別の構成単位3を分子中にさらに有していてもよい。構成単位3は、例えば、単量体1及びビニル基を有するカルボン酸単量体と共重合可能な単量体3から形成される。
単量体3としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキル;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和シアン類;マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸と炭素数1~22のアルキル基又はアルケニル基を有するアルコールとのモノエステル;マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸と(ポリ)アルキレングリコール又は炭素数1~22のアルキル基若しくはアルケニル基を有するアルコールとのジエステルである不飽和ジカルボン酸ジエステル類;不飽和カルボン酸又は不飽和ジカルボン酸と炭素数1~22のアミンとのモノアミド又はジアミドであるアミド単量体類;アルキルジカルボン酸とポリエチレンポリアミンとを縮合させてなる分子の活性水素を持つ窒素原子にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加させてなる分子と、(メタ)アクリル酸との反応物;アルキルジカルボン酸とポリエチレンポリアミンとを縮合させてなる分子の活性水素を持つ窒素原子にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加させてなる分子と、(メタ)アクリル酸グリシジルとの反応物;(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩等のスルホン酸系単量体類;リン酸2-(メタクリロイルオキシ)エチル、リン酸-ビス[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]及びそれらの塩等のリン酸系単量体類;が挙げられる。
A成分において、構成単位1及び構成単位2の合計に占める構成単位1の割合は、1質量%~99質量%であり、70質量%~99質量%が好ましく、75質量%~99質量%がより好ましく、80質量%~99質量%がさらに好ましい。
A成分において、構成単位1及び構成単位2の合計に占める構成単位2の割合は、1質量%~99質量%であり、1質量%~30質量%が好ましく、1質量%~25質量%がより好ましく、1質量%~20質量%がさらに好ましい。
A成分において、構成単位1、構成単位2及び構成単位3の合計に占める構成単位3の割合は、0質量%~30質量%が好ましく、0質量%~20質量%がより好ましく、0質量%~10質量%がさらに好ましく、0質量%~5質量%がさらにより好ましい。
A成分において、全構成単位に占める構成単位1及び構成単位2の合計は、80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上がさらにより好ましい。
A成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定することができ、ポリエチレングリコール/ポリエチレンオキサイド換算で、好ましくは1000~1000000であり、より好ましくは5000~200000であり、さらに好ましくは8000~100000である。
A成分の合成方法は制限されない。A成分は、例えば、公知のラジカル重合反応により得ることができる。合成したA成分は、水や有機溶媒を含んだまま使用してもよく、乾燥させて粉末として使用してもよい。
〔B成分〕
B成分は、分子中に、構成単位L及び構成単位Mを有し、構成単位Nを有していてもよく、構成単位L、構成単位M及び構成単位Nの合計に占める構成単位Lの割合が35モル%~85モル%、構成単位Mの割合が15モル%~65モル%且つ構成単位Nの割合が0モル%~5モル%であり、重量平均分子量が3000~80000である水溶性ビニル共重合体である。
B成分は、すなわち、構成単位Lと構成単位Mとで構成された重量平均分子量3000~80000の水溶性ビニル共重合体、又は、構成単位Lと構成単位Mと構成単位Nとで構成された重量平均分子量3000~80000の水溶性ビニル共重合体である。
-構成単位L-
構成単位Lは、メタクリル酸から形成された構成単位及びメタクリル酸塩から形成された構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位である。メタクリル酸塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩;が挙げられ、メタクリル酸アルカリ金属塩が好ましく、メタクリル酸ナトリウムがより好ましい。
-構成単位M-
構成単位Mは、5~80個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するメトキシポリエチレングリコールメタクリレートから形成された構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位である。
ポリオキシエチレン基は、5~80個のオキシエチレン単位で構成され、好ましくは5~70個のオキシエチレン単位で構成され、より好ましくは5~60個のオキシエチレン単位で構成され、さらに好ましくは10~60個のオキシエチレン単位で構成される。
-構成単位N-
構成単位Nは、メタリルスルホン酸塩から形成された構成単位及びアクリル酸メチルから形成された構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位である。メタリルスルホン酸塩としては、メタリルスルホン酸のリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が挙げられ、メタリルスルホン酸ナトリウムが好ましい。
B成分において、構成単位L、構成単位M及び構成単位Nの合計に占める構成単位Lの割合は、35モル%~85モル%であり、45モル%~85モル%が好ましい。
B成分において、構成単位L、構成単位M及び構成単位Nの合計に占める構成単位Mの割合は、15モル%~65モル%であり、15モル%~55モル%が好ましい。
B成分において、構成単位L、構成単位M及び構成単位Nの合計に占める構成単位Nの割合は、0モル%~5モル%である。
B成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定することができ、ポリスチレン換算で、3000~80000であり、好ましくは5000~60000である。
B成分の合成方法は制限されない。B成分は公知の方法で合成できる。合成したB成分は、水や有機溶媒を含んだまま使用してもよく、乾燥させて粉末として使用してもよい。
上記A成分及びB成分は、いずれも水溶性ビニル共重合体であり、水硬性組成物に含まれる水硬性結合材であるセメント粒子等、細骨材、及び粗骨材の分散性を向上させる機能を有する。
本開示の水硬性組成物は、A成分及びB成分から選ばれる水溶性ビニル共重合体を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。水溶性ビニル共重合体を2種以上含む場合、組み合わせは任意であり、A成分とB成分とを含んでもよく、互いに組成の異なるA成分同士、B成分同士を含んでもよい。
本開示の水硬性組成物は、A成分及びB成分から選ばれる少なくとも1種の水溶性ビニル共重合体を、合計含有量で、水硬性結合材100質量部に対して0.1質量部~2.0質量部含み、0.2質量部~1.7質量部含むことが好ましい。
本開示の水硬性組成物が、水溶性ビニル共重合体を上記含有量で含むことで、水硬性組成物は、流動性に優れ、且つ、水硬性組成物に含まれる各固体成分の分散性が良好となり、組成がより均一化されるため、得られる水硬性組成物硬化体の物性がより向上すると考えられる。
[C成分、D成分、E成分及びF成分からなる群より選択される少なくとも2種の収縮低減剤]
本開示の水硬性組成物は、下記C成分である多価アルコールアルキレンオキサイド付加物、下記D成分であるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物、下記E成分である多価アルコールアルキレンオキサイド付加物及び下記F成分であるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物からなる群より選択される少なくとも2種の収縮低減剤を含む。
〔C成分〕
C成分は、下記式(C)で表される化合物である。

式(C)中、Rは炭素数6~25の芳香族炭化水素基及びフェノール性の2個の水酸基を有する化合物から2個の水酸基を除いた残基であり、X及びYはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~22のアルキル基であり、a個のORはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、b個のROはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、aは1~299の整数であり、bは1~299の整数であり、a+b=60~300である。
としては、例えば、下記式(C-1)で表される基が挙げられる。

式(C-1)中、Zは炭素数1~13の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又はスルホニル基である。
としては、例えば、ヒドロキノン、カテコール、ビナフトール、4,4’-ビフェノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、5,5’-(1-メチルエチリデン)-ビス[1,1’-(ビスフェニル)-2-オール]プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン又は1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンから、2個の水酸基を除いた残基が挙げられる。Rとしては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン又はビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホンから、2個の水酸基を除いた残基が好ましい。これらの残基であると、C成分の収縮低減効果が良好に発揮されることに加え、コンクリート組成物の材料分離抵抗性をより向上させる。
X及びYはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~22のアルキル基である。炭素数1~22のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、2-メチル-ペンチル基、2-エチル-ヘキシル基、2-プロピル-ヘプチル基、2-ブチル-オクチル基、2-ペンチル-ノニル基、2-ヘキシル-デシル基、2-ヘプチル-ウンデシル基、2-オクチル-ドデシル基、2-ノニル-トリデシル基等が挙げられる。Xとしては、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。Yとしては、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。X及びYが水素原子であると、式(C)で表される化合物の合成の容易さ及び合成原料の入手の容易さの観点から好ましい。
a個のORはそれぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基である。ORとしては、具体的には、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基が好ましく、a個のORの50個数%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、a個のORの90個数%以上がオキシエチレン基であることがさらに好ましい。オキシアルキレン基のa個の繰り返しは、ランダム、ブロック、交互、周期のいずれでもよい。
b個のROはそれぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基である。ROとしては、具体的には、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基が好ましく、b個のROの50個数%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、b個のROの90個数%以上がオキシエチレン基であることがさらに好ましい。オキシアルキレン基のb個の繰り返しは、ランダム、ブロック、交互、周期のいずれでもよい。
a個のORとb個のROとを合わせたa+b個のオキシアルキレン基の90個数%以上がオキシエチレン基であることが好ましい。このことにより、C成分が有する収縮低減効果が良好に発揮されることに加え、コンクリート組成物の材料分離抵抗性をより向上させる。
aは1~299の整数であり、好ましくは1~219の整数である。
bは1~299の整数であり、好ましくは1~219の整数である。
a+b=60~300であり、好ましくは70~220である。
C成分の合成方法は制限されない。X及び/又はYが水素原子であるC成分は、例えば、フェノール性の2個の水酸基を有する化合物にアルキレンオキサイドを付加することで得られる。合成したC成分は、水や有機溶媒を含んだまま使用してもよい。
〔D成分〕
D成分は、下記式(D)で表される化合物である。

式(D)中、Rは炭素数3~5のアルキル基であり、c個のR10Oはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、cは1~6の整数である。
としては、例えば、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、及び、ペンチル基が挙げられる。Rとしては、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、及び、tert-ブチル基が好ましい。
c個のR10Oはそれぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基である。R10Oとしては、具体的には、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基が好ましい。オキシアルキレン基のc個の繰り返しは、ランダム、ブロック、交互、周期のいずれでもよい。cは1~6の整数であり、2~4の整数が好ましい。
D成分の合成方法は制限されない。D成分は公知の方法で合成できる。合成したD成分は、水や有機溶媒を含んだまま使用してもよい。
〔E成分〕
E成分は、下記式(E)で表される化合物である。

式(E)中、A、A及びAはそれぞれ独立に1~10個のオキシプロピレン単位で構成された(ポリ)オキシプロピレン基を有する(ポリ)プロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基であり、A、A及びAのオキシプロピレン単位の合計が5~25個である。
、A及びAの(ポリ)オキシプロピレン基を構成するオキシプロピレン単位の合計は、5~25個であり、6~22個が好ましく、7~20個がより好ましい。
E成分は、つまり、グリセリンのプロピレンオキサイド付加物である。
E成分の合成方法は制限されない。E成分は、グリセリンにプロピレンオキサイドを付加重合する公知の方法で合成できる。合成したE成分は、水や有機溶媒を含んだまま使用してもよい。
〔F成分〕
F成分は、下記式(F)で表される化合物である。

式(F)中、Rは炭素数3~5のアルキル基であり、Aは1~4個のオキシエチレン単位で構成された(ポリ)オキシエチレン基を有する(ポリ)エチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である。
Rは、炭素数3~5のアルキル基であり、具体的には、プロピル基、ブチル基、ペンチル基であり、ブチル基が好ましい。ブチル基としては、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、及び、tert-ブチル基が挙げられ、n-ブチル基が好ましい。
F成分は、つまり、1~4個のオキシエチレン単位を有する(ポリ)エチレングリコールモノアルキルエーテルである。F成分としては、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテルがより好ましい。
F成分の合成方法は制限されない。F成分は、炭素数3~5の脂肪族アルコールにエチレンオキサイドを付加重合する公知の方法で合成できる。合成したF成分は、水や有機溶媒を含んだまま使用してもよい。
〔収縮低減剤の好ましい組み合わせ〕
本開示の水硬性組成物は、上記各収縮低減剤から選ばれる少なくとも2種を含有する。2種の組み合わせには特に制限はない。
なかでも、得られる硬化体のクリープ低減効果の観点からは、比較的低分子量である低級アルコール(例えば、D成分、F成分)である収縮低減剤と、低級アルコールに対し、比較的高分子量である別の収縮低減剤とを組み合わせることが好ましい。
低級アルコールは、浸透性が良好であり、表面張力を低下させる機能を有することで、水硬性硬化体の成形途上における水硬性組成物中での粒子間の水の動きが抑制されると考えられる。一方、低級アルコールの配合量が多くなると、凍結融解に係る問題が生じやすくなる。この対応として、低級アルコール系の収縮低減剤を用いる場合、より高分子量のトリオール系の収縮低減剤(例えば、E成分)、2つのベンゼン環を有するビフェニル系の収縮低減剤(例えば、C成分)を併用することがあるが、併用により、凍結融解に係る問題が生じ難くなり、且つ、粘度が向上するため、水硬性組成物の調合時における分離抵抗性がより向上すると考えている。
上記は推定機構ではあるが、そのような観点からは、収縮低減剤の組み合わせとして、D成分及びF成分から選ばれる少なくとも1種と、C成分及びE成分から選ばれる少なくとも1種とを含むことが好ましく、例えば、D成分とC成分又はE成分とを含む組み合わせ、F成分とC成分又はE成分とを含む組み合わせ、D成分とC成分とを含む組み合わせ、F成分とE成分とを含む組み合わせ等が挙げられる。
〔一液型混和剤〕
本開示の水硬性組成物においては、A成分及びB成分から選ばれる少なくとも1種の水溶性ビニル共重合体と、C成分、D成分、E成分及びF成分から選ばれる少なくとも2種の収縮低減剤とが、予め混合された一液型混和剤であることが好ましく、当該一液型混和剤は、A成分及びB成分から選ばれる少なくとも1種の水溶性ビニル共重合体と、C成分、D成分、E成分及びF成分から選ばれる少なくとも2種の収縮低減剤とを含有する水溶液又は水性懸濁液であることが好ましい。
一液型混和剤は、A成分及びB成分から選ばれる少なくとも1種の水溶性ビニル共重合体を1種のみを含んでもよく、2種以上を含んでいてもよい。
また、一液型混和剤は、C成分、D成分、E成分及びF成分から選ばれる少なくとも2種の収縮低減剤を2種のみ含んでもよく、3種以上を含んでいてもよい。
一液型混和剤が水溶液又は水性懸濁液である場合、一液型混和剤は、A成分及びB成分から選ばれる少なくとも1種を総量で1質量%~30質量%、C成分、D成分、E成分及びF成分から選ばれる少なくとも2種の収縮低減剤を総量で20質量%~80質量%、水を14質量%~79質量%、含有することが好ましく、A成分及びB成分から選ばれる少なくとも1種を1質量%~20質量%、C成分、D成分、E成分及びF成分から選ばれる少なくとも2種の収縮低減剤を総量で30質量%~70質量%、水を14質量%~69質量%含有することがより好ましい。
一液型混和剤の好ましい態様としては、A成分又はB成分を1~30質量%、C成分を5質量%~50質量%、D成分を15~80質量%、水を14~79質量%含有する水溶液又は水性懸濁液、A成分を1~20質量%、D成分を5~30質量%、E成分を1~50質量%、F成分を20~69質量%含む水溶液又は水性懸濁液、等が挙げられる。
本開示の水硬性組成物においては、予め調製された一液型混和剤を用いる場合には、A成分及びB成分から選ばれる少なくとも1種の水溶性ビニル共重合体と、C成分、D成分、E成分及びF成分から選ばれる少なくとも1種の収縮低減剤との合計が、後述の水硬性結合材100質量部に対して、0.1質量部~5.0質量部となる量で用いられることが好ましく、0.2質量部~4.0質量部となる量で用いられることがより好ましく、0.2質量部~3.5質量部となる量で用いられることがさらに好ましい。
一液型混和剤の好ましい態様としては、A成分及びB成分から選ばれる少なくとも1種を総量で1質量%~30質量%、C成分を5質量%~50質量%、D成分を15質量%~80質量%、水を14質量%~79質量%含有する水溶液又は水性懸濁液、A成分及びB成分から選ばれる少なくとも1種を総量で1質量%~50質量%、好ましくは1質量%~30質量%、E成分を1質量%~50質量%、D成分及びF成分から選ばれる少なくとも1種を総量で20質量%~69質量%、水を14質量%~79質量%含む水溶液又は水性懸濁液、等が挙げられる。
本開示の水硬性組成物の作用機構は明確ではないが、以下のように推定される。
本開示の水硬性組成物が、A成分及びB成分から選ばれる少なくとも1種の水溶性ビニル共重合体を含むことで、水硬性組成物中のセメント粒子、細骨材等の粒子の分散性が向上し、水硬性硬化体の均一性向上に寄与しており、さらに、C成分、D成分、E成分及びF成分から選ばれる少なくとも1種の収縮低減剤により、水硬性組成物の液相における表面張力が低減し、水硬性硬化体において、水硬性組成物が骨材に拘束されて発生する組織中のマイクロクラック等の発生が抑制され、且つ、マイクロクラック中に存在する水分の移動に伴うクリープが低減されると推定される。
さらに、本開示の好ましい態様では、低分子量の低級アルコール系収縮低減剤と、より分子量の大きい収縮低減剤とを組み合わせることで、表面張力の低減、凍結融解に係る問題の発生抑制、及び水硬性組成物の分離抵抗性がより向上するという利点を有すると推定される。
上記作用機構は推定であり、本開示は上記作用機構の記載には制限されない。
[水硬性結合材]
本開示の水硬性組成物は、ポルトランドセメント等の水硬性結合材を含む。
本開示における水硬性結合材は、水と混合して硬化体を形成し得る、水硬性組成物に主成分として含まれる結合材を包含する意味で用いられる。
水硬性結合材としては、コンクリート、モルタル、グラウト等が挙げられ、セメント等の一部が微粉末混和材料で置換された混合セメント等も本開示における水硬性結合材に含まれる。微粉末混和材料としては、高炉スラグ微粉末、シリカフューム、フライアッシュ、石灰石微粉末、石粉、膨張材等が挙げられる。
以下、水硬性結合材として、コンクリート組成物に通常用いられるポルトランドセメントの例を挙げて説明するが、本開示における水硬性結合材は、ポルトランドセメントには限定されない。
水硬性結合材としてのセメントには特に制限はなく、水硬性組成物の使用目的に応じて、各種セメント類の中から、適宜選択することができる。
水硬性結合材の一態様であるポルトランドセメントとしては、早強ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等が挙げられる。
本開示の水硬性組成物における水硬性結合材の含有量は、初期硬化性、初期強度、長期強度、水硬性組成物硬化体の使用目的等を考慮して適宜選択される。通常、水硬性結合材は、硬化体を構成する水硬性組成物中に、総量で270kg/m~650kg/m含有することが好ましく、280kg/m~530kg/m含有することがさらに好ましい。
本開示における水硬性結合材の含有量とは、水硬性結合材としてポルトランドセメントのみを用いた場合にはポルトランドセメントの含有量を示し、ポルトランドセメントの一部を高炉スラグ微粉末、フライアッシュ等で置き換えた混合セメントを用いた場合には、複数の水硬性結合材の総含有量を示す。
セメントは、公知の各種セメントの中から目的に応じて選択すればよい。セメントは、セメント単独でもよく、微粉末混和材料を混合した混合セメントでもよい。微粉末混和材料としては、高炉スラグ微粉末、シリカフューム、フライアッシュ、石灰石微粉末、石粉、膨張材等が挙げられる。
セメントとしては、具体的には、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等のポルトランドセメント;高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等の混合セメント;が挙げられる。
[細骨材]
本開示の水硬性組成物は細骨材を含有する。
細骨材には特に制限はなく、公知の細骨材を用いることができ、硬化体の所望のサイズ、物性に応じて、公知の細骨材、粗骨材を用いることができ、含有量も、一般的なコンクリート組成物等の水硬性組成物同様に、効果を損なわない範囲で任意に選択することができる。
細骨材としては、良質で堅固な天然砂、砕砂、加工砂等が使用される。細骨材としては、例えば、川砂、山砂、陸砂、海砂、珪砂、砕砂、石灰砕砂、高炉スラグ細骨材、再生細骨材が挙げられ、なかでも良質の山砂等が好ましい。前記した公知の細骨材から、水硬性組成物の調合時の流動性、フロー等の調整を考慮して、適宜選択すればよい。
[粗骨材]
本開示の水硬性組成物は、細骨材に加えて、さらに粗骨材を含む。本開示の水硬性組成物が粗骨材を含むことで、得られる水硬性硬化体の強度が一層向上する。
粗骨材としては、良質で堅固な粗骨材を用いることが好ましい。粗骨材の最大寸法は粒径(最大粒径)が20mm以下である。
粗骨材の岩種については、硬質砂岩、安山岩、石灰岩、流紋岩等の一般的なものから、目標とする強度に応じて適宜選定すればよい。なかでも、乾燥収縮ひずみ低減、及びクリープ低減の効果がより良好となるという観点から、粗骨材としては、炭酸カルシウム含有量の多い石灰砕石を用いることが好ましい。
粗骨材としては、解体コンクリート塊を破砕し、分級して得られる再生粗骨材を、通常骨材の一部又は全てと置き換えて用いてもよい。水硬性組成物が再生粗骨材を含む場合、再生粗骨材に含まれるセメント由来成分に起因して乾燥収縮ひずみ等が発現しやすくなるが、本開示の好ましい態様である水硬性組成物においては、既述の一液型混和剤の機能により、再生粗骨材を用いた場合でも、乾燥収縮ひずみ等が低減される。
[水]
本開示の水硬性組成物は、水を含有する。
水硬性組成物に用いられる水には特に制限はなく、水道水等を使用することができる。
水硬性組成物における水の含有量は、水硬性組成物の流動性及び水硬性組成物の硬化物である水硬性組成物硬化体の所望の特性に応じて適宜選択すればよい。
水/水硬性結合材の含有比率は、最終的に得られる水硬性組成物硬化体の圧縮強度として、21N/mm以上の強度を発現する範囲とすることが好ましい。
大気中の二酸化炭素との炭酸化反応を抑制し、水硬性組成物硬化体内に配置される鉄筋を腐食から保護するという観点から、水/水硬性結合材の含有比率は、質量換算で30%~70%の範囲であることが好ましく、35%~60%であることがより好ましく、40%~60%であることがさらに好ましい。
水硬性硬化体を形成するための水硬性組成物においては、水とセメントの含有比率のみならず、骨材の含有量、さらには、任意成分である混和剤、硬化促進剤等の各種材料の含有量を適宜調整することで、硬化体の強度や物性を調整することもできる。
[その他の材料]
本開示の水硬性組成物は、目的に応じて、A成分~F成分とは異なる化学混和剤をさらに含有していてもよい。化学混和剤としては、例えば、減水剤、AE減水剤、膨張材、C成分、D成分、E成分、及びF成分とは異なる収縮低減剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、増粘剤、粉塵低減剤、防凍剤、耐寒剤、防腐剤、防水剤、防錆剤等が挙げられる。
[膨張材]
本開示の水硬性組成物は、水硬性硬化体の乾燥収縮ひずみ及びクリープをより低減するという観点からは、さらに、膨張材を含有することが好ましい。
膨張材としては、例えば、石灰系膨張材、エトリンガイト系膨張材、エトリンガイト石灰複合系膨張材が挙げられる。本開示のコンクリート組成物が膨張材を含む場合、膨張材の単位量は10kg/m~50kg/mが好ましく、15kg/m~40kg/mがより好ましく、20kg/m~35kg/mがさらに好ましい。
本開示の水硬性組成物は、膨張材をさらに含み、且つ、粗骨材として石灰砕石を含むことが、乾燥収縮ひずみ及びクリープ係数をより低減させる観点から好ましい。
膨張材は一般に、乾燥収縮ひずみの低減に有用であるが、本開示の水硬性組成物において、膨張材を含み、さらに、粗骨材として硬化性に寄与する炭酸カルシウム含有量が多い石灰砕石を含むことで、クリープ係数がより低減され、水平部材としての使用により好適な低クリープ係数の水硬性硬化体が得られることが分かった。
〔水硬性組成物の好ましい物性〕
本開示の水硬性組成物は、上記構成としたため、水硬性組成物の硬化体は、クリープが低減される。
具体的には、水硬性組成物の硬化体の、JIS A1157(2010年)に準拠して測定した圧縮クリープ係数が0を超え、3.0以下であり、且つ、引張クリープ係数が0を超え、3.0以下であることが好ましい。
水硬性組成物の硬化体の製造方法及び評価方法について説明する。
1.圧縮クリープ
水硬性組成物の硬化体の圧縮クリープは、JIS A1157(2010年)に準拠して測定される。
水硬性組成物を調製し、直径15cm×高さ30cmの型枠に投入して硬化させ、JIS A1157(2010年)に準拠して硬化体を製造した。養生条件は、材齢4週まで標準(水中)養生とする。得られた水硬性硬化体に対し、20℃、60%RHの恒温恒湿室での経過時間を目的とする保存期間、好ましくは100日間以上として、保存後にひずみゲージを用いて、無載荷実ひずみ、載荷実ひずみ、及び硬化体の弾性ひずみを測定し、得られた無載荷実ひずみ、載荷実ひずみ、及び硬化体の弾性ひずみたから、下記式に従ってクリープひずみを算出する。得られたクリープひずみを弾性ひずみ、即ち、試験開始時の載荷応力度に達した際のひずみで除してクリープ係数を得る。

上記式中、εcrはクリープひずみを表し、εは載荷試験体の総ひずみを表し、εはコンクリートの弾性ひずみを表し、εは無載荷試験体のひずみを表す。
本開示の水硬性組成物の硬化体の圧縮クリープ係数は、0を超え、3.0以下であることが好ましく、0を超え、2.6以下であることがより好ましく、0を超え、2.0以下であることがさらに好ましい。
2.引張クリープ
水硬性組成物の硬化体の引張クリープは、JIS A1157(2010年)に準拠した方法で、20℃、60%RHの恒温恒湿室で測定される。
水硬性組成物を調製し、10cm×10cm×60cmの型枠に投入して硬化させ、硬化体を製造し、これを試験体とする。養生条件は、材齢4週まで標準養生(標準水中養生、以下、同様)とする。
引張クリープは、硬化体のサイズを上記直方体の試験体とし、試験体を把持できる固定部材を備えた、コンクリートクリープ試験機、例えば、スプリング式引張コンクリートクリープ試験機、(株)マルイ製等を使用して測定することができる。
得られた水硬性硬化体に対し、20℃、60%RHの恒温恒湿室での経過時間を目的とする保存期間、好ましくは100日間以上として、保存後に無載荷実ひずみ、載荷実ひずみ、及び硬化体の弾性ひずみを測定し、圧縮クリープと同様にして上記式に従ってクリープひずみを算出する。
本開示の水硬性組成物の硬化体の引張クリープ係数は、0を超え、3.0以下であることが好ましく、0を超え、2.0以下であることがより好ましく、0を超え、1.0以下であることがさらに好ましい。
[水硬性組成物の製造方法]
本開示の水硬性組成物は、公知の方法で製造することができる。以下に、製造方法の一例を示す。
本開示の水硬性組成物は、A成分である水溶性ビニル共重合体及びB成分である水溶性ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種の水溶性ビニル共重合体と、C成分である多価アルコールアルキレンオキサイド付加物、D成分であるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物、E成分である多価アルコールアルキレンオキサイド付加物及びF成分であるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物からなる群より選択される少なくとも2種の収縮低減剤と、水と、を含む一液型混和剤を製造する第1工程と、
第1工程で得た前記一液型混和剤と、水硬性結合材と、細骨材と、粗骨材とを混合して混練物を製造する第2工程と、を含み、
A成分及びB成分から選ばれる水溶性ビニル共重合体の合計含有量が、水硬性結合材100質量部に対して0.1質量部~2.0質量部であり、C成分、D成分、E成分及びF成分から選ばれる少なくとも2種の収縮低減剤の合計含有量が、水硬性結合材100質量部に対して0.1質量部~3.0質量部である。
なお、水硬性組成物の製造方法において、第1工程にて予め一液型混和剤を調製せず、水硬性組成物の混練時に、水に前記水溶性ビニル共重合体と前記収縮低減剤とを直接添加して、混練し、水硬性組成物を製造してもよい。
〔第1工程〕
第1工程は、水硬性組成物に用いる一液型混和剤を調製する工程である。
一液型混和剤の調製は、一液型混和剤に含まれる各成分を水に投入し、撹拌、混合することで行うことができる。各成分の配合順は任意である。調製された一液型混和剤は、水溶液又は水性懸濁液の態様をとる。
調製温度は常温でよい。また、各成分の溶解性向上のために水を20℃~35℃程度に加温してもよい。
〔第2工程〕
第2工程では、第1工程で得た一液型混和剤と、セメント等の水硬性結合材と、細骨材と、粗骨材と、セメント、及び、水を混合して水硬性組成物を調製する。なお、水/結合材比を調整するため、第2工程でさらに水を加えてもよい。
第2工程における水硬性組成物を調製する際における各材料の混合順は、制限されない。
例えば、第2工程は、粗骨材及び細骨材を除く成分を、まず混合し、その後、細骨材、粗骨材を投入し、さらに混合する工程、まずセメント等の水硬性結合材と細骨材とを混ぜ、次いで水及び一液型混和剤を投入して練り混ぜ、次いで粗骨材を投入して練り混ぜる工程等とすることができる。
また、例えば、水と水硬性結合材と細骨材とを含有するスラリーを調製し、このスラリーに一液型混和剤及び粗骨材を混合する工程であってもよい。
調整した水硬性組成物から水硬性硬化体を製造する方法も、公知の方法をとることができる。
例えば、第1工程及び第2工程を経て調製された水硬性組成物を型枠内に投入して硬化させることで、水硬性硬化体を得ることができる。
水硬性組成物を型枠内に投入した後、型枠内に投入された水硬性組成物に対して、常法に従い脱泡等の処理を行ってもよい。型枠内に投入された水硬性組成物は、自己発熱を伴い硬化して硬化体を形成する。水硬性硬化体の機械的強度を高める観点からは、型枠内に投入した水硬性組成物又は脱型して得られた水硬性硬化体にさらに、常法により養生を施すことが好ましい。
例えば、通常は、水硬性組成物を型枠内に投入した後、20℃、95%RH以上の湿潤養生室にて静置され、その後、脱型される。このように、型枠内での湿潤養生を行った後において、脱型後の水硬性硬化体に対し、例えば、既述の標準養生を行うことが、水硬性硬化体の強度発現がより向上するという観点から好ましい。
型枠内に投入した水硬性組成物又は脱型して得られた水硬性硬化体に適用可能な養生方法には制限はない。養生方法としては、例えば、温度を20℃±3℃に維持した、水中、湿砂中又は飽和蒸気中で行う標準養生が挙げられる。また、水硬性硬化体の機械的強度を高める観点から、標準養生に他の養生を1種類以上組み合わせて実施することも好ましい。他の養生としては、70℃~100℃の温度範囲で2時間~72時間蒸気養生する蒸気養生、100℃~400℃の温度範囲で2時間~72時間加熱する高温養生、オートクレーブ等による高温高圧養生が挙げられる。
養生を実施する時期に制限はない。例えば、水硬性硬化体の硬化後に、直ちに行ってもよく、硬化した水硬性硬化体をある程度経時させた後に行ってもよい。
こうして得られた水硬性硬化体は、本開示の水硬性組成物に起因して、乾燥収縮ひずみ及びクリープ係数が低減された硬化体となり、種々の用途、特に、水平部材製造の用途に好適に用いられる。
以下、本開示の水硬性組成物を、実施例を挙げて具体的に説明する。本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1、実施例2及び比較例1)
<水硬性組成物に用いた材料>
〔水〕
*上水道水(表中:Wと略記)
〔水硬性結合材〕
*普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製:密度3.16g/cm、宇部三菱セメント(株)製:密度3.16g/cm、及び、住友大阪セメント(株)製:密度3.15g/cmの等量混合物)(表中:Cと略記)
〔細骨材〕
*君津産 山砂(表乾密度2.59g/cm、吸水率:1.98%、粗粒率:2.47)(表中:Sと略記)
〔粗骨材〕
*秩父産 石灰砕石(表乾密度2.70g/cm、吸水率:0.29%、粗粒率:6.58)(表中:Gと略記)
〔混和剤〕
*混和剤(1)
ポリカルボン酸コポリマー(A成分)を含む高性能AE減水剤(チューポールHP-11:商品名、竹本油脂株式会社製)(密度1.06~1.12g/cm

*一液型混和剤(2)
下記A成分、C成分、D成分及び水を含み、質量比がA成分:C成分:D成分:水=9:11:31:49である。
・A成分・・・構成単位1を形成する単量体1がα-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(n=23)オキシエチレンであり、構成単位2を形成するカルボン酸単量体がメタクリル酸であり、構成単位1の割合が89質量%であり、構成単位2の割合が11質量%であり、重量平均分子量が18000である水溶性ビニル共重合体
・C成分・・・2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物、式(C)中のa+b=100
・D成分・・・トリエチレングリコールモノブチルエーテル
*膨張材:ハイパーエクスパン(構造用)、太平洋マテリアル株式会社、石灰系(密度3.16g/cm)(表中:EXと略記)
<水硬性組成物の製造>
表1に示す調合にて材料をミキサーに投入し90秒間練混ぜ、実施例及び比較例の各水硬性組成物であるコンクリート組成物を製造した。実施例2では、一液型混和剤(2)に加え、膨張材EXをさらに配合した。
細骨材の単位量は概ね846kg/m~940kg/mとし、粗骨材の単位量は概ね875kg/m~972kg/mとし、s/a(sand/all gravel:細骨材率)は概ね47.6%~52.8%とした。各例のコンクリート組成物にはAE剤(AE300、竹本油脂(株)製)を適量混合し、目標スランプ21.5cm及び目標スランプフロー56.0cm、目標空気量4.5%となるように調製した。

得られた実施例1、実施例2及び比較例1のコンクリート組成物について、以下の評価を行った。
1.スランプ値又はスランプフロー値
フレッシュコンクリート組成物のスランプ値は、JIS A1101(2020年)に準拠して測定した。スランプフロー値は、JIS A1150(2020年)に準拠して測定した。空気量は、JIS A1128(2019年)に準拠して測定した。
結果を表2に示す。
2.圧縮強度、ヤング係数
コンクリート硬化体の圧縮強度は、JIS A1108(2018年)に準拠して測定した。
型枠のサイズは、直径100mm、長さ200mmとして、円柱コンクリート硬化体を作製した。1日脱型後、標準養生を行った材齢4週(材齢28日)の円柱コンクリート硬化体を被検体とした。
ヤング率は、JIS A1149(2017年)に準拠して測定した。
3.割裂引張強度
JIS A1113(2018年)に準拠して、割裂引張強度を測定した。被検体は、圧縮強度等の被検体と同様にして作製した直径100mm、長さ200mmの円柱コンクリート硬化体を用いた。
結果を表2に示す。

表2の結果より、実施例1及び実施例2のコンクリート組成物は、いずれも型枠の投入に問題のない流動性を示した。また、実施例1及び実施例2のコンクリート組成物により得られたコンクリート硬化体は、比較例1のコンクリート硬化体に対し、圧縮強度がより高く、ヤング係数も改善されていた。ヤング係数の改善傾向は、実施例1に対し、膨張材をさらに含む実施例2がより顕著であった。
割裂引張強度は、実施例及び比較例は、ほぼ同等であった。
4.乾燥収縮ひずみ
JIS A1129(2010年)に準拠し、コンクリート硬化体の乾燥期間0週から26週の乾燥収縮ひずみを測定した。
結果を下記表3に示す。

表3の結果より、実施例1及び実施例2のコンクリート組成物によるコンクリート硬化体は、比較例1のコンクリート硬化体に対し、乾燥収縮ひずみがより良好であることが分かった。また、実施例1のコンクリート硬化体に対し、膨張材をさらに含む実施例2のコンクリート硬化体は、乾燥収縮ひずみがより低減されていた。
5.クリープ試験
5-1.圧縮クリープ
コンクリート硬化体の圧縮クリープは、JIS A1157(2010年)に準拠して測定した。
直径15cm、高さ30cmの円柱コンクリート硬化体を作製し、1日脱型後、標準養生を材齢4週(材齢28日)まで行った硬化体を被検体とした。
得られたコンクリート硬化体に対し、20℃、60%RHの恒温恒湿室での経過時間を215日までとして、無載荷実ひずみ、載荷実ひずみ、及び硬化体の弾性ひずみを測定し、測定結果より、上記した式に従ってクリープひずみを算出した。得られたクリープひずみを弾性ひずみ、即ち、試験開始時の載荷応力度に達した際のひずみで除してクリープ係数を得た。なお、各実施例における恒温恒湿室の管理幅は、温度:20℃±2℃、湿度:60%±5%程度とした。
なお、圧縮クリープ測定における一定荷重制御下での載荷実ひずみ試験については、上記 2.圧縮強度の試験結果の約1/3として荷重を定めた。即ち、載荷実ひずみは、下記荷重を目安に載荷して行った。
実施例1:13.23N/mm、実施例2:12.83N/mm、比較例1:12.00N/mm
結果を下記表4に示す。

表4の結果より、実施例1及び実施例2のコンクリート組成物によるコンクリート硬化体は、比較例1のコンクリート硬化体に対し、圧縮クリープ係数が改善されており、水平部材の用途に好適なクリ-プ低減が実現されていることが分かった。実施例1のコンクリート硬化体に対し、膨張材をさらに含む実施例2のコンクリート硬化体は、圧縮クリープ係数がより改善されていた。
5-2.引張クリープ
水硬性組成物の硬化体の引張クリープは、JIS A1157(2010年)を参照した方法で測定した。測定装置として、スプリング式引張コンクリートクリープ試験機 MIC-188-1-71(商品名)、(株)マルイ製を使用した。
10cm×10cm×60cmの直方体のコンクリート硬化体を作製し、1日脱型後、標準養生を材齢4週(材齢28日)まで行った硬化体を被検体とした。
得られたコンクリート硬化体に対し、20℃、60%RHの恒温恒湿室での経過時間を215日までとして、被検体を得て、無載荷実ひずみ、載荷実ひずみ、及び硬化体の弾性ひずみを測定し、測定結果より、圧縮クリープにおけるのと同様にしてクリープ係数を求めた。
なお、引張クリープ測定における一定荷重制御下での載荷実ひずみ試験については、上記 3.割裂引張強度の試験結果の約1/3として荷重を定めた。即ち、載荷実ひずみは、下記荷重を目安に載荷して行った。
実施例1:1.07N/mm、実施例2:1.00N/mm、比較例1:1.03N/mm
結果を下記表5に示す。

表5の結果より、実施例1及び実施例2のコンクリート組成物によるコンクリート硬化体は、比較例1のコンクリート硬化体に対し、引張クリープ係数が1未満と極めて小さく、大幅に改善されており、水平部材の用途に好適なクリ-プ低減が実現されていることが分かった。実施例1のコンクリート硬化体に対し、膨張材をさらに含む実施例2のコンクリート硬化体は、引張クリープ係数がさらに改善されていた。
実施例と比較例との対比より、本開示の水硬性組成物によれば、水硬性硬化体の乾燥収縮低減性と、圧縮クリープ特性及び引張のクリープ特性の改善効果と、を併せ持った水硬性硬化体の製造が実現できたことが分かった。
例えば、実施例のコンクリート組成物を使用することで、乾燥収縮によるひび割れ発生の低減若しくは抑制が可能となり、且つ、クリープひずみ及びクリープ係数の低減効果により、特に、建築物のスラブや梁等の水平部材のひび割れ低減・抑制及びたわみ低減・抑制両面から、高次元に品質を高めることが可能となった。

Claims (3)

  1. 水硬性結合材と、細骨材と、粗骨材と、水と、
    下記A成分である水溶性ビニル共重合体及び下記B成分である水溶性ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種の水溶性ビニル共重合体と、
    下記C成分である多価アルコールアルキレンオキサイド付加物、下記D成分であるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物、下記E成分である多価アルコールアルキレンオキサイド付加物及び下記F成分であるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物からなる群より選択される少なくとも2種の収縮低減剤と、
    を含む水硬性組成物であり、
    下記A成分及び下記B成分から選ばれる水溶性ビニル共重合体の合計含有量が、水硬性結合材100質量部に対して0.1質量部~2.0質量部であり、下記C成分、下記D成分、下記E成分及び下記F成分から選ばれる少なくとも2種の収縮低減剤の合計含有量が、水硬性結合材100質量部に対して0.1質量部~3.0質量部である水硬性組成物。

    A成分:下記式(A)で表される単量体1から形成された構成単位1とビニル基を有するカルボン酸単量体から形成された構成単位2とを有し、前記構成単位1及び前記構成単位2の合計に占める前記構成単位1の割合が1質量%~99質量%且つ前記構成単位2の割合が1質量%~99質量%である水溶性ビニル共重合体。

    B成分:構成単位L及び構成単位Mを有し、構成単位Nを有していてもよく、前記構成単位L、前記構成単位M及び前記構成単位Nの合計に占める前記構成単位Lの割合が35モル%~85モル%、前記構成単位Mの割合が15モル%~65モル%且つ前記構成単位Nの割合が0モル%~5モル%であり、重量平均分子量が3000~80000である水溶性ビニル共重合体。
    構成単位Lは、メタクリル酸から形成された構成単位及びメタクリル酸塩から形成された構成単位からなる群から選ばれる1種以上であり、構成単位Mは、5~80個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するメトキシポリエチレングリコールメタクリレートから形成された構成単位からなる群から選ばれる1種以上であり、構成単位Nは、メタリルスルホン酸塩から形成された構成単位及びアクリル酸メチルから形成された構成単位からなる群から選ばれる1種以上である。

    C成分:下記式(C)で表される化合物
    D成分:下記式(D)で表される化合物
    E成分:下記式(E)で表される化合物
    F成分:下記式(F)で表される化合物


    式(A)中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、メチル基又は-(CHCOOMで表される有機基(rは0~2の整数、Mは水素原子又は金属原子)であり、R、R及びRの少なくとも1つは水素原子又はメチル基であり、Rは水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基であり、m個のROはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、pは0~5の整数であり、qは0又は1であり、mは1~300の整数である。

    式(C)中、Rは炭素数6~25の芳香族炭化水素基及びフェノール性の2個の水酸基を有する化合物から2個の水酸基を除いた残基であり、X及びYはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~22のアルキル基であり、a個のORはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、b個のROはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、aは1~299の整数であり、bは1~299の整数であり、a+b=60~300である。

    式(D)中、Rは炭素数3~5のアルキル基であり、c個のR10Oはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、cは1~6の整数である。


    式(E)中、A、A及びAはそれぞれ独立に1~10個のオキシプロピレン単位で構成された(ポリ)オキシプロピレン基を有する(ポリ)プロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基であり、A、A及びAのオキシプロピレン単位の合計が5~25個である。

    式(F)中、Rは炭素数3~5のアルキル基であり、Aは1~4個のオキシエチレン単位で構成された(ポリ)オキシエチレン基を有する(ポリ)エチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である。
  2. 水硬性組成物の硬化体の、JIS A1157(2010年)に準拠して測定した圧縮クリープ係数が0を超え、3.0以下であり、且つ、引張クリープ係数が0を超え、3.0以下である請求項1に記載の水硬性組成物。
  3. 膨張材をさらに含み、前記粗骨材が石灰砕石を含む請求項1又は請求項2に記載の水硬性組成物。
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