JP2023067544A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 トラクション性能を維持しつつ外観性能を向上し得る。【解決手段】 第1バットレス部4Aにプロテクタ10が形成された空気入りタイヤ1である。プロテクタ10は、タイヤ軸方向の外側を向く頂面11と、頂面11の縁13からタイヤ軸方向の内側に延びる側壁面12とを含んでいる。側壁面12は、タイヤ半径方向の外側を向く外向部15と、タイヤ半径方向の内側を向く内向部16と、タイヤ周方向を向く周方向部17とを含んでいる。外向部15、内向部16及び周方向部17は、頂面11の法線nに対する角度が互いに異なる。【選択図】図4

Description

本開示は、空気入りタイヤに関する。
下記特許文献1には、トレッド部のショルダー領域に配置された主溝と、前記主溝からサイドウォール部に到達するラグ溝とによって複数のブロックが区画された空気入りタイヤが記載されている。前記ブロックのタイヤ幅方向外側には、前記ラグ溝内に突き出るように形成された隆起部が設けられている。
特許第6065033号
近年、泥濘路面等の不整地でのトラクション性能を維持しつつ、前記隆起部の視認性を高めて、前記空気入りタイヤの外観性能を向上することが求められている。
本開示は、以上のような問題に鑑み案出されたもので、トラクション性能を維持しつつ外観性能を向上し得る空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
本開示は、空気入りタイヤであって、第1トレッド端からタイヤ半径方向内側に延びる第1バットレス部を備え、前記第1バットレス部には、タイヤ軸方向外側に隆起するプロテクタが形成されており、前記プロテクタは、タイヤ軸方向の外側を向く頂面と、前記頂面の縁からタイヤ軸方向の内側に延びる側壁面とを含み、前記側壁面は、タイヤ半径方向の外側を向く外向部と、タイヤ半径方向の内側を向く内向部と、タイヤ周方向を向く周方向部とを含み、前記外向部、前記内向部及び前記周方向部は、前記頂面の法線に対する角度が互いに異なる、空気入りタイヤである。
本開示の空気入りタイヤは、上記の構成を採用することで、トラクション性能を維持しつつ外観性能を向上し得ることができる。
本開示の空気入りタイヤの一実施形態を示すタイヤ子午線断面図である。 第1バットレス部の斜視図である。 第1バットレス部の正面図である。 (a)は、図3のA-A線断面図、(b)は、図3のB-B線断面図、(c)は、図3のC-C線断面図である。 第1バットレス部の正面図である。 第1バットレス部の正面図である。 第1バットレス部の正面図である。 他の実施形態の第1バットレス部の正面図である。 (a)は、さらに他の実施形態の第1バットレス部の正面図、(b)は、(a)のD-D線断面図である。
以下、本開示の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1の正規状態におけるタイヤ回転軸(図示省略)を含むタイヤ子午線断面図である。図1には、好ましい態様として、泥濘地等の不整地の走行を可能とした4WD車等に装着されるタイヤ1が示される。但し、本開示は、ライトトラック用、重荷重用を含むタイヤ1にも適用することができる。
前記「正規状態」は、タイヤ1が正規リム(図示省略)にリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の状態である。本明細書では、特に言及されない場合、タイヤ1の各部の寸法等はこの正規状態で測定された値である。
「正規リム」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
「正規内圧」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITSAT VARIOUSCOLD INFLATION PRESSURES"に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
本実施形態のタイヤ1の内部には、カーカス6、ベルト層7等のタイや構成部材が配されている。これらタイヤ構成部材には、公知の態様が適宜採用される。
タイヤ1は、本実施形態では、第1トレッド端Toからタイヤ半径方向内側に延びる第1バットレス部4Aを備えている。また、タイヤ1は、例えば、第2トレッド端Tiからタイヤ半径方向内側に延びる第2バットレス部4Bを備えている。第2バットレス部4Bは、第1バットレス部4Aと同様に形成されるので、その説明が省略される。なお、第2バットレス部4Bは、第1バットレス部4Aと異なる態様で形成されても良い。
第1トレッド端To及び第2トレッド端Tiは、正規状態のタイヤ1に正規荷重を負荷してキャンバー角を0度で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方外側の接地位置として定められる。第1トレッド端Toと第2トレッド端Tiとの間にトレッド部2が形成される。第1トレッド端Toと第2トレッド端Tiとの間のタイヤ軸方向の距離がトレッド幅TWである。
前記「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"である。
図2は、第1バットレス部4Aの斜視図である。図2に示されるように、本実施形態の第1バットレス部4Aには、タイヤ軸方向外側に隆起するプロテクタ10が複数形成されている。プロテクタ10は、泥濘地等において、路面と接触することでトラクション性能を高める。
図3は、第1バットレス部4Aを正面から見たプロテクタ10の平面図である。図2及び図3に示されるように、プロテクタ10は、タイヤ軸方向の外側を向く頂面11と、頂面11の縁13からタイヤ軸方向の内側に延びる側壁面12とを含んでいる。側壁面12は、例えば、第1バットレス部4Aの外表面4sから立ち上がっている。外表面4sとは、本明細書では、正規状態において、標章などの浮きだしマークや凹凸模様を含む局所的な凹凸を除いて滑らかに延びる面を意味する。
側壁面12は、タイヤ半径方向の外側を向く外向部15と、タイヤ半径方向の内側を向く内向部16と、タイヤ周方向を向く周方向部17とを含んでいる。なお、第1バットレス部4Aの正面視において、プロテクタ10は、図示の形状に限定されるものではなく、種々の形状が採用される。
図4(a)は、図3のA-A線断面図である。図4(a)には、外向部15の長手方向と直交する向きの断面が示される。図4(b)は、図3のB-B線断面図である。図4(b)には、内向部16の長手方向と直交する向きの断面が示される。図4(c)は、図3のC-C線断面図である。図4(c)には、周方向部17の長手方向と直交する向きの断面が示される。図4(a)ないし(c)に示されるように、外向部15、内向部16及び周方向部17は、頂面11の法線nに対する角度が互いに異なっている。これにより、第1バットレス部4Aの正面視において、外向部15、内向部16及び周方向部17の隆起高さが互いに異なるように見えるので、プロテクタ10の視認性が高まり、外観性能が向上する。外向部15は、例えば、内向部16よりもタイヤ半径方向の外側に位置している。
外向部15は、例えば、タイヤ軸方向の外側に向かってタイヤ半径方向の内側に傾斜している。内向部16は、例えば、タイヤ軸方向の外側に向かってタイヤ半径方向の外側に傾斜している。周方向部17は、例えば、タイヤ軸方向の外側に向かってタイヤ周方向かつ頂面11の中心に近づく向きに傾斜している。換言すると、側壁面12は、例えば、タイヤ軸方向の内側に向かって頂面11の外方に向かうように傾斜している。
図5は、第1バットレス部4Aの正面図である。図5に示されるように、外向部15、内向部16及び周方向部17は、次のように定義される。外向部15は、直線状に延びる縁13aの長手方向の両端13e、13eを繋ぐ仮想直線X1上を通るタイヤ半径方向線N1と、仮想直線X1との間の角度α1が45度より大きく、かつ、タイヤ半径方向の外側を向く縁13の部分である。内向部16は、角度α1が45度より大きく、かつ、タイヤ半径方向の内側を向く縁13の部分をいう。周方向部17は、角度α1が45度以下である縁13の部分をいう。角度α1は、90度以下である。図5には、外向部15及び周方向部17が一例として示されている。
図4に示されるように、内向部16の法線nに対する角度θiは、周方向部17の法線nに対する角度θcよりも小さいのが望ましい。図3に示されるように、内向部16が鉛直の下向きとなる位置決め状態において、内向部16は、光の照射が相対的に小さくなる領域である。このため、内向部16の角度θiを周方向部17の角度θcよりも小さくすることで、内向部16の陰影が大きくなり、内向部16と周方向部17との見た目の隆起高さの違いが鮮明になるので、外観性能が向上する。また、周方向部17のθcが内向部16の角度θiよりも大きいので、泥土による大きな圧力の作用する周方向部17の剛性が確保されるので、トラクション性能及び耐カット性能が向上する。
周方向部17の角度θcが内向部16の角度θiよりも過度に大きい場合、周方向部17による泥土に対するタイヤ周方向のせん断力が小さくなるおそれがある。また、内向部16の角度θiが過度に小さくなり、内向部16においてタイヤ半径方向に亘るタイヤ質量の変化が大きくなるので、ユニフォミティが悪化して、ノイズ・振動に関する性能(以下、「NV性能」という。)が低下するおそれがある。また、内向部16の角度θiと周方向部17の角度θcとの差(θc-θi)が過度に小さい場合、両者の見た目の隆起高さの違いが小さくなり、外観性能が低下するおそれがある。このような観点より、内向部16の角度θiと周方向部17の角度θcとの差(θc-θi)は、10度以上が望ましく、15度以上がさらに望ましく、25度以下が望ましく、20度以下がさらに望ましい。
周方向部17の角度θcは、外向部15の法線nに対する角度θoよりも小さいのが望ましい。これにより、周方向部17による泥土に対するせん断力を高めることができる。また、図3に示されるように、外向部15が鉛直の上向きとなるタイヤ1の位置決め状態において、外向部15は、光の照射が相対的に大きい領域である。このため、外向部15の角度θoを周方向部17の角度θcよりも大きくすることで、外向部15での光の反射が大きくなり、外向部15と周方向部17と、及び、外向部15と内向部16との見た目の隆起高さの違いが、一層鮮明になるので、外観性能が向上する。外向部15の角度θoが周方向部17の角度θcよりも過度に大きい場合、外向部15の鉛直方向のせん断力が小さくなり、トラクション性能が低下するおそれがある。このような作用を効果的に発揮させるために、周方向部17の角度θcと外向部15の角度θoとの差(θo-θc)は、10度以上が望ましく、15度以上がさらに望ましく、25度以下が望ましく、20度以下がさらに望ましい。
頂面11の面積を不変とした場合、各部15~17の角度θo、θi、θcが大きい場合、タイヤ質量が大きくなり、また、プロテクタ10のゴム体積が大きく発熱量が増加して転がり抵抗性能が悪化するおそれがある。これらの作用及び上述の作用を効果的に発揮させるために、内向部16の角度θiは、0度以上が望ましく、5度以上がさらに望ましく、35度以下が望ましく、25度以下がさらに望ましい。また、周方向部17の角度θcは、5度以上が望ましく、15度以上がさらに望ましく、45度以下が望ましく、35度以下がさらに望ましい。さらに、外向部15角度θoは、15度以上が望ましく、25度以上がさらに望ましく、60度以下が望ましく、50度以下がさらに望ましい。これにより、トラクション性能が維持されつつ、外観性能が向上する。また、このようなタイヤ1は、優れた耐カット性能、転がり抵抗性能、NV性能を有するとともに、タイヤ質量の増加が抑制される。
図1及び図2に示されるように、トレッド部2は、例えば、第1トレッド端Toを形成するショルダー陸部8を備えている。本実施形態のショルダー陸部8は、第1トレッド端Toをタイヤ軸方向の内外に延びる複数のショルダー横溝9によって、複数のショルダーブロック8Rに区分される。ショルダーブロック8Rは、例えば、第1トレッド端Toからタイヤ半径方向内側に延びるブロック壁面8aを含んでいる。換言すると、第1バットレス部4Aには、ブロック壁面8aが形成されている。
第1バットレス部4Aは、本実施形態では、ブロック壁面8aのタイヤ半径方向の内端に繋がってタイヤ軸方向の内側に凹む溝状部19を含んでいる。溝状部19は、例えば、タイヤ周方向に連続して延びている。なお、溝状部19は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、1つ以上の途切れ部(図示省略)でタイヤ周方向に複数形成される態様でも良い。また、本開示のタイヤ1は、溝状部19を含むものに限定されるものではない。
図5に示されるように、ショルダーブロック8Rのブロック壁面8aは、例えば、溝状部19を介してプロテクタ10に繋がっている。より具体的には、ブロック壁面8aは、第1トレッド端Toと溝状部19と繋ぐ一対のブロックエッジ20、20を有している。各ブロックエッジ20のタイヤ半径方向の内端20eは、溝状部19に繋がる周方向部17のタイヤ半径方向の外端17iとタイヤ周方向に同じ位置に配されている。これにより、周方向部17のせん断力とブロックエッジ20のせん断力とで、見かけ上のせん断力が高められるので、トラクション性能が一層向上する。前記「タイヤ周方向と同じ位置」とは、内端20eと外端17iとの間のタイヤ周方向の離隔距離Laが0mmであるのは勿論、離隔距離Laが5mm以内のものも含むことを意味する。
プロテクタ10は、本実施形態では、タイヤ周方向の最大幅W1が、トレッド幅TWの10%以上が望ましく、14%以上がさらに望ましく、25%以下が望ましく、20%以下がさらに望ましい。プロテクタ10は、例えば、タイヤ半径方向の最大長さL1が、タイヤ断面高さHa(図1に示す)の12%以上が望ましく、16%以上がさらに望ましく、30%以下が望ましく、25%以下がさらに望ましい。プロテクタ10の隆起高さH1(図1に示す)は、1.5mm以上が望ましく、2.0mm以上がさらに望ましく、6.0mm以下が望ましく、5.5mm以下がさらに望ましい。
図6は、本実施形態の第1バットレス部4Aの正面図である。図6に示されるように、プロテクタ10は、例えば、外側部10sと、外側部10sよりもタイヤ半径方向の内側に位置する内側部10uとを含んでいる。外側部10sと内側部10uとは、外向部15のタイヤ半径方向の外端15eを通る周方向線Yで区分される。外側部10sは、本実施形態では、溝状部19に繋がっている。
外側部10sのタイヤ周方向の最大幅Wsは、内側部10uのタイヤ周方向の最大幅Wuよりも小さく形成されている。これにより、外側部10sの最大幅Wsが内側部10uの最大幅Wuよりも大きい場合に比して、タイヤ半径方向外側のタイヤ質量分布が小さくなり、NV性能を高めることができる。このようなプロテクタ10は、優れた外観性能を有する。
第1バットレス部4Aには、内側部10uと外側部10sとに囲まれて形成される凹み部Kが設けられている。このような凹み部Kは、タイヤ周方向やタイヤ半径方向のせん断力を高めるので、トラクション性能を向上する。
第1バットレス部4Aの正面視において、プロテクタ10は、本実施形態では、第1タイヤ周方向F側に突出するL字状の第1プロテクタ10Aと、第1タイヤ周方向Fと逆側に突出する逆L字状の第2プロテクタ10Bとを含んでいる。
第1プロテクタ10Aは、本実施形態では、1本の外向部15と、2本の内向部16と、3本の周方向部17とを含んでいる。2本の内向部16は、第1タイヤ周方向F側に向かってタイヤ半径方向の外側に傾斜する第1内向部16Aと、第1タイヤ周方向F側に向かってタイヤ半径方向の内側に傾斜する第2内向部16Bとを含んでいる。3本の周方向部17は、溝状部19と第2内向部16Bとを繋ぐ第1周方向部17Aと、溝状部19と外向部15とを繋ぐ第2周方向部17Bと、第1内向部16Aと外向部15とを繋ぐ第3周方向部17Cとを含んでいる。外向部15は、本実施形態では、第1タイヤ周方向F側に向かってタイヤ半径方向の内側に傾斜している。
第2プロテクタ10Bは、1本の外向部15と、1本の内向部16と、3本の周方向部17とを含んでいる。3本の周方向部17は、第1周方向部17Aとタイヤ周方向に隣接する第4周方向部17Dと、溝状部19と外向部15とを繋ぐ第5周方向部17Eと、外向部15と内向部16とを繋ぐ第6周方向部17Fとを含んでいる。外向部15及び内向部16は、本実施形態では、第1タイヤ周方向F側に向かってタイヤ半径方向の外側に傾斜している。
また、第1バットレス部4Aには、第1プロテクタ10Aと第2プロテクタ10Bとを繋ぐタイバー21が設けられている。タイバー21は、本実施形態では、プロテクタ10よりも小さい隆起高さでタイヤ軸方向の外側に隆起している。このようなタイバー21は、第1プロテクタ10A及び第2プロテクタ10Bのタイヤ周方向剛性等を高め、プロテクタ10の欠けはもとより、第1バットレス部4Aの耐カット性を高める。また、タイバー21によって第1プロテクタ10A及び第2プロテクタ10Bの変形が抑えられるので、タイヤ周方向のせん断力が高まり、トラクション性能が向上する。
タイバー21は、本実施形態では、第1周方向部17Aと第4周方向部17Dとを繋がっている。タイバー21は、例えば、第1周方向部17Aのタイヤ半径方向の内端17jに繋がっている。
図7は、第1バットレス部4Aの正面図である。図7には、頂面11の縁13と、側壁面12のタイヤ軸方向の最も内側に位置する内側縁14とが示される。頂面11の縁13は、側壁面12のタイヤ軸方向の外縁である。内側縁14は、外表面4sと側壁面12との境界である。図7に示されるように、外向部15の長手方向と直交する向きの幅Waは、内向部16の長手方向と直交する向きの幅Wbよりも大きく形成されるのが望ましい。これにより、相対的に泥土と接触しやすい外向部15の剛性が高められ、耐カット性能が向上する。また、相対的に泥土と接触する機会の小さい内向部16のタイヤ質量を小さくすることができる。また、外向部15の幅Waと内向部16の幅Wbとが異なるので、プロテクタ10の視認性が高められる。
このような作用を効果的に発揮させるために、周方向部17の長手方向と直交する向きの幅Wcは、外向部15の幅Waと異なるのが望ましい。また、周方向部17の長手方向と直交する向きの幅Wcは、内向部16の幅Wbと異なるのが望ましい。
図8は、他の実施形態の第1バットレス部4Aの正面図である。本実施形態の第1バットレス部4Aと同じ構成には、同じ符号が付されてその説明が省略される場合もある。図8に示されるように、この実施形態の第1バットレス部4Aには、プロテクタ10が設けられる。
プロテクタ10は、本実施形態では、第1タイヤ周方向Fと逆側に突出する逆L字状の第3プロテクタ10Cと、第3プロテクタ10Cよりも頂面11の面積が小、かつ、第1タイヤ周方向Fと逆側に突出する逆L字状の第4プロテクタ10Dとを含んでいる。
第3プロテクタ10Cは、この実施形態では、第2プロテクタ10Bと同様に、1本の外向部15と、1本の内向部16と、3本の周方向部17とを含んでいる。第4プロテクタ10Dは、この実施形態では、1本の内向部16と、3本の周方向部17とを含んでいる。第4プロテクタ10Dの3本の周方向部17は、溝状部19から延びる1対の外側周方向部17G、17Gと、第3プロテクタ10Cとタイヤ周方向に隣接する外側周方向部17Gのタイヤ半径方向の内端iと内向部16とを繋ぐ内側周方向部17Hとからなる。内側周方向部17Hは、例えば、外側周方向部17Gよりも緩やかに傾斜する。このような第4プロテクタ10Dにおいても、内向部16及び周方向部17のそれぞれは、頂面11の法線nに対する角度θi、θcが、本実施形態の通りに規定されている。
図9(a)は、さらに他の実施形態の第1バットレス部4Aの正面図である。図9(b)は、図9(a)のD-D線断面図である。本実施形態の第1バットレス部4Aと同じ構成には、同じ符号が付されてその説明が省略される場合もある。図9(a)、(b)に示されるように、この実施形態の頂面11には、頂面11の縁13に沿って延びる縁取り部25が設けられる。縁取り部25は、この実施形態では、縁13から頂面11の内方へ離れた位置に配される。なお、縁取り部25は、縁13上に設けられても良い(図示省略)。縁取り部25は、例えば、タイヤ軸方向の外側に凸の突状体25aである。このような縁取り部25は、プロテクタ10の視認性に変化を与えて、外観性能を向上する。
縁取り部25は、例えば、内向部16を形成する縁13及び周方向部17を形成する縁13に沿って延びている。この実施形態の縁取り部25は、外向部15のタイヤ半径方向の外端15eよりもタイヤ半径方向の内側に配されている。縁取り部25は、例えば、各プロテクタ10のそれぞれに設けられている。
突状体25aの横断面は、円弧状である。これにより、上述の作用が効果的に発揮される。突状体25aは、半径rが0.2~2mmの円弧状であるのが望ましい。
以上、本開示の特に好ましい実施形態について詳述したが、本開示は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示す基本構造をなし、図2に示す第1バットレス部を有するタイヤが製造され、それらの外観性能、トラクション性能、耐カット性能、タイヤ質量、タイヤ質量及びNV性能が評価された。テスト方法及び共通仕様は以下の通りである。
タイヤサイズ:265/70R18
リム:18×7.5J
内圧:250kPa
<外観性能>
10人のテストドライバーが、第1バットレス部の美しさやプロテクタの視認性について、官能により評価した。結果は、20点を満点とする20点法で採点され、テストドライバー10人の平均点で示される。数値が大きいほど外観性能に優れている。
<トラクション性能・NV性能>
各試供タイヤが、排気量3500ccの四輪駆動車の全輪に装着された。そして、テストドライバーが、上記車両をテストコースにて走行させた。トラクション性能は、泥濘路面による走行時の加速のスムーズさに関する走行特性が、テストドライバーの官能により評価された。NV性能は、乾燥アスファルト走行時のタイヤから生じるノイズの程度が、テストドライバーの官能により評価された。結果は、いずれも、20点を満点とする20点法で示されている。数値が大きいほど、トラクション性能又はNV性能に優れている。
<耐カット性能>
上記車両を用いて、テストドライバーが岩や瓦礫等を含む岩場路面を約1500km走行させた後、バットレス部の外面に生じたカット傷の深さ及びカット傷の長さに基づいて、耐カット性能を官能により評価した。結果は、20点を満点とする20点法で示されている。数値が大きいほどカット傷が小さく耐カット性が優れている。
<タイヤ質量>
各試供タイヤのプロテクタの質量が測定された。結果は、実施例1の質量(kg)の逆数を20とする指数で示されている。角度θi、θo、θoが大きくなるほど、頂面の面積が小さくなり、タイヤ質量が小さくなる。数値が大きい程、質量が小さく優れている。なお、質量の小さいタイヤは、転がり抵抗性能に優れる。
テストの結果が表1に示される。総合評価は、各テスト結果の合計である。総合評価において85点以上が合格である。
Figure 2023067544000002
テストの結果、実施例のタイヤは、従来例のタイヤに比して、耐カット性能及びマッド性能が向上していることが確認された。また、実施例のタイヤは、タイヤ質量の増加が抑制されていることが確認された。
[付記]
本開示は以下の態様を含む。
[本開示1]
空気入りタイヤであって、
第1トレッド端からタイヤ半径方向内側に延びる第1バットレス部を備え、
前記第1バットレス部には、タイヤ軸方向外側に隆起するプロテクタが形成されており、
前記プロテクタは、タイヤ軸方向の外側を向く頂面と、前記頂面の縁からタイヤ軸方向の内側に延びる側壁面とを含み、
前記側壁面は、タイヤ半径方向の外側を向く外向部と、タイヤ半径方向の内側を向く内向部と、タイヤ周方向を向く周方向部とを含み、
前記外向部、前記内向部及び前記周方向部は、前記頂面の法線に対する角度が互いに異なる、
空気入りタイヤ。
[本開示2]
空気入りタイヤであって、
第1トレッド端からタイヤ半径方向内側に延びる第1バットレス部を備え、
前記第1バットレス部には、タイヤ軸方向外側に隆起するプロテクタが形成されており、
前記プロテクタは、タイヤ軸方向の外側を向く頂面と、前記頂面の縁からタイヤ軸方向の内側に延びる側壁面とを含み、
前記側壁面は、タイヤ半径方向の内側を向く内向部と、タイヤ周方向を向く周方向部とを含み、
前記内向部及び前記周方向部は、前記頂面の法線に対する角度が互いに異なる、
空気入りタイヤ。
[本開示3]
前記内向部の前記法線に対する角度θiは、前記周方向部の前記法線に対する角度θcよりも小さい、本開示1又は2に記載の空気入りタイヤ。
[本開示4]
前記内向部の前記法線に対する角度θiと前記周方向部の前記法線に対する角度θcとの差(θc-θi) は、10~25度である、本開示3に記載の空気入りタイヤ。
[本開示5]
前記内向部の前記法線に対する角度θiは、35度以下であり、
前記周方向部の前記法線に対する角度θcは、5~45度である、本開示1ないし4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[本開示6]
前記周方向部の前記法線に対する角度θcは、前記外向部の前記法線に対する角度θoよりも小さい、本開示1に記載の空気入りタイヤ。
[本開示7]
前記周方向部の前記法線に対する角度θcと前記外向部の前記法線に対する角度θoとの差(θo-θc)は、10~25度である、本開示6に記載の空気入りタイヤ。
[本開示8]
前記外向部の前記法線に対する角度θoは、15~60度である、本開示6又は7に記載の空気入りタイヤ。
[本開示9]
前記プロテクタは、外側部と、前記外側部よりもタイヤ半径方向の内側に位置する内側部とを含み、
前記外側部のタイヤ周方向の最大長さは、前記内側部のタイヤ周方向の最大長さよりも小さい、本開示1ないし8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[本開示10]
前記頂面には、前記頂面の前記縁に沿って延びる縁取り部が設けられる、本開示1ないし9のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[本開示11]
前記縁取り部は、前記内向部を形成する前記縁及び前記周方向部を形成する前記縁に沿って延びる、本開示10に記載の空気入りタイヤ。
[本開示12]
前記縁取り部は、タイヤ軸方向の外側に凸の突状体である、本開示10又は11に記載の空気入りタイヤ。
[本開示13]
前記突状体の横断面は、半径が0.2~2mmの円弧状である、本開示12に記載の空気入りタイヤ。
1 空気入りタイヤ
4A 第1バットレス部
10 プロテクタ
11 頂面
12 側壁面
13 縁
15 外向部
16 内向部
17 周方向部
n 法線

Claims (13)

  1. 空気入りタイヤであって、
    第1トレッド端からタイヤ半径方向内側に延びる第1バットレス部を備え、
    前記第1バットレス部には、タイヤ軸方向外側に隆起するプロテクタが形成されており、
    前記プロテクタは、タイヤ軸方向の外側を向く頂面と、前記頂面の縁からタイヤ軸方向の内側に延びる側壁面とを含み、
    前記側壁面は、タイヤ半径方向の外側を向く外向部と、タイヤ半径方向の内側を向く内向部と、タイヤ周方向を向く周方向部とを含み、
    前記外向部、前記内向部及び前記周方向部は、前記頂面の法線に対する角度が互いに異なる、
    空気入りタイヤ。
  2. 空気入りタイヤであって、
    第1トレッド端からタイヤ半径方向内側に延びる第1バットレス部を備え、
    前記第1バットレス部には、タイヤ軸方向外側に隆起するプロテクタが形成されており、
    前記プロテクタは、タイヤ軸方向の外側を向く頂面と、前記頂面の縁からタイヤ軸方向の内側に延びる側壁面とを含み、
    前記側壁面は、タイヤ半径方向の内側を向く内向部と、タイヤ周方向を向く周方向部とを含み、
    前記内向部及び前記周方向部は、前記頂面の法線に対する角度が互いに異なる、
    空気入りタイヤ。
  3. 前記内向部の前記法線に対する角度θiは、前記周方向部の前記法線に対する角度θcよりも小さい、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記内向部の前記法線に対する角度θiと前記周方向部の前記法線に対する角度θcとの差(θc-θi) は、10~25度である、請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記内向部の前記法線に対する角度θiは、35度以下であり、
    前記周方向部の前記法線に対する角度θcは、5~45度である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記周方向部の前記法線に対する角度θcは、前記外向部の前記法線に対する角度θoよりも小さい、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記周方向部の前記法線に対する角度θcと前記外向部の前記法線に対する角度θoとの差(θo-θc)は、10~25度である、請求項6に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記外向部の前記法線に対する角度θoは、15~60度である、請求項6又は7に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記プロテクタは、外側部と、前記外側部よりもタイヤ半径方向の内側に位置する内側部とを含み、
    前記外側部のタイヤ周方向の最大幅は、前記内側部のタイヤ周方向の最大幅よりも小さい、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記頂面には、前記頂面の前記縁に沿って延びる縁取り部が設けられる、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記縁取り部は、前記内向部を形成する前記縁及び前記周方向部を形成する前記縁に沿って延びる、請求項10に記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記縁取り部は、タイヤ軸方向の外側に凸の突状体である、請求項10又は11に記載の空気入りタイヤ。
  13. 前記突状体の横断面は、半径が0.2~2mmの円弧状である、請求項12に記載の空気入りタイヤ。
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