JP2023064400A - 浴室排水口の改修方法および更生用パイプ材 - Google Patents
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Abstract
【課題】トラップ本体廻りにおける流出流路の機能回復工事と、浴室のユニット化に伴うユニット排水管の流出流路への繋込み工事と、を可能な限り共通化することができる浴室排水口の改修方法を提供する。【解決手段】トラップ本体21の内筒部21cを除去する内筒除去工程と、トラップ本体21に接続された直下接続管12に対し、流路となるインナーパイプ34を上部を残して挿入し、且つ水密性が維持された挿入状態とするインナー装着工程と、内筒部21cに対応するアウターパイプ36を、インナーパイプ34の外周面に嵌着すると共に底板部21aに固着するアウター装着工程と、を備え、アウターパイプ36は、ユニット排水管63を接続するためのユニオン継手61と接合可能に構成され、インナーパイプ34は、ユニット排水管63と略同径に形成されている。【選択図】 図1
Description
本発明は、浴室排水トラップのトラップ本体廻りにおける流出流路の機能回復を可能とすると共に、浴室のユニット化に伴うユニット排水管の流出流路への繋込みを可能とする浴室排水口の改修方法および更生用パイプ材に関する。
従来、この種の排水トラップの機能回復を図る排水トラップの補修方法が知られている(特許文献1参照)。また、この種の排水トラップをスラブ貫通スリーブ的に利用する排水管の接続構造が知られている(特許文献2参照)。
前者の排水トラップの補修方法は、本体部の中央底部から立ち上がった立上り部と、立上り部の上方に位置する封水キャップと、立上り部の下方に接続された排水パイプとからなる排水トラップの補修方法であり、立上り部を切り取る切取り工程と、排水トラップの内部に付着している汚れを除去する研掃・研磨工程と、排水トラップの内部を清掃し乾燥させる清掃・乾燥工程と、排水トラップの内部を防錆処理する防錆処理工程と、防錆処理工程の後にプラスチック製筒体で形成した補修部材を取り付けて再生立上り部を形成する工程から成っている。この場合、補修部材は、所定の長さに切断したプラスチック製パイプの中間部に、リング状のストッパを一体的に設けたものであり、このストッパが立上り部の切取り残部に突き当たるように、補修部材を排水パイプに挿入装着するようにしている。
また、後者の排水管の接続構造は、トラップ本体に挿通され、スラブの下方まで延びる挿通パイプ部、および挿通パイプ部から上方に延びる管接合部を有する管接続継手と、管接続継手とL字継手とを接続すると共に、長さ調整可能に構成された調整短管と、を備えたスラブ貫通ユニットを用い、このスラブ貫通ユニットを、下部においてトラップ本体から既設排水管の部分に挿入接着し、上部において浴室ユニットからの横引き排水管に接続するようにしている。これにより、浴室ユニットのユニット排水管がトラップ本体に繋ぎ込まれ、トラップ本体をスラブ貫通スリーブ的に利用するようにしている。
前者の排水トラップの補修方法は、本体部の中央底部から立ち上がった立上り部と、立上り部の上方に位置する封水キャップと、立上り部の下方に接続された排水パイプとからなる排水トラップの補修方法であり、立上り部を切り取る切取り工程と、排水トラップの内部に付着している汚れを除去する研掃・研磨工程と、排水トラップの内部を清掃し乾燥させる清掃・乾燥工程と、排水トラップの内部を防錆処理する防錆処理工程と、防錆処理工程の後にプラスチック製筒体で形成した補修部材を取り付けて再生立上り部を形成する工程から成っている。この場合、補修部材は、所定の長さに切断したプラスチック製パイプの中間部に、リング状のストッパを一体的に設けたものであり、このストッパが立上り部の切取り残部に突き当たるように、補修部材を排水パイプに挿入装着するようにしている。
また、後者の排水管の接続構造は、トラップ本体に挿通され、スラブの下方まで延びる挿通パイプ部、および挿通パイプ部から上方に延びる管接合部を有する管接続継手と、管接続継手とL字継手とを接続すると共に、長さ調整可能に構成された調整短管と、を備えたスラブ貫通ユニットを用い、このスラブ貫通ユニットを、下部においてトラップ本体から既設排水管の部分に挿入接着し、上部において浴室ユニットからの横引き排水管に接続するようにしている。これにより、浴室ユニットのユニット排水管がトラップ本体に繋ぎ込まれ、トラップ本体をスラブ貫通スリーブ的に利用するようにしている。
ところで、築50年前後の古い集合住宅では、タイル張りの浴室を浴室ユニット(ユニットバス)に改修することが行われる。特に、賃貸の集合住宅では、任意の1の住戸が空き部屋となったタイミングで、浴室ユニットへの改修が行われることが好ましい。上記後者の従来技術では、空き部屋となったタイミングで且つ住戸毎に改修が可能であり、既設の床排水トラップを利用することで、コストや工期の点でも優れている。
一方で、この種の床排水トラップ(碗トラップ)の多くは腐食が進んでおり、浴室のユニット化とは別に、排水管の改修工事の一貫として床排水トラップ(トラップ廻り)の更生工事を行われることがある。上記前者の従来技術では、円筒状の補修部材を用意しておくことで、簡単且つ短時間で更生工事を行うことができる。
このように、床排水トラップの更生工法やユニット排水の繋込み工法は、個々には技術的に優れたものとなっている。
しかし、上記したタイミングに狂いが生ずると、不具合が生ずる場合がある。例えば、浴室ユニットの改修工事に先行して、床排水トラップの更生工事が実施されてしまうと、浴室ユニットの改修工事の際に、排水パイプに挿入装着した補修部材が邪魔になり、床排水トラップのスラブ貫通スリーブ的に活用がし難くなる問題が生ずる。
一方で、この種の床排水トラップ(碗トラップ)の多くは腐食が進んでおり、浴室のユニット化とは別に、排水管の改修工事の一貫として床排水トラップ(トラップ廻り)の更生工事を行われることがある。上記前者の従来技術では、円筒状の補修部材を用意しておくことで、簡単且つ短時間で更生工事を行うことができる。
このように、床排水トラップの更生工法やユニット排水の繋込み工法は、個々には技術的に優れたものとなっている。
しかし、上記したタイミングに狂いが生ずると、不具合が生ずる場合がある。例えば、浴室ユニットの改修工事に先行して、床排水トラップの更生工事が実施されてしまうと、浴室ユニットの改修工事の際に、排水パイプに挿入装着した補修部材が邪魔になり、床排水トラップのスラブ貫通スリーブ的に活用がし難くなる問題が生ずる。
本発明は、トラップ本体廻りにおける流出流路の機能回復工事と、浴室のユニット化に伴うユニット排水管の流出流路への繋込み工事と、を可能な限り共通化することができる浴室排水口の改修方法および更生用パイプ材を提供することを課題としている。
本発明の浴室排水口の改修方法は、浴室排水トラップのトラップ本体廻りにおける流出流路の機能回復を可能とすると共に、浴室のユニット化に伴うユニット排水管の流出流路への繋込みを可能とする浴室排水口の改修方法であって、底板部、底板部の外周端から上方に延びる外筒部、底板部の内周端から上方に延びる内筒部および底板部の内周端から下方に延びる接続ネジ部を有するトラップ本体の、内筒部を除去する内筒除去工程と、接続ネジ部に接続された接続短管および接続短管に接続された排水継手を有する直下接続管に対し、流出流路となるインナーパイプを上部を残して挿入し、且つ水密性が維持された挿入状態とするインナー装着工程と、内筒部に対応するアウターパイプを、インナーパイプの外周面に嵌着すると共に底板部に固着するアウター装着工程と、を備え、アウターパイプは、ユニット排水管を接続するためのユニオン継手と接合可能に構成され、インナーパイプは、ユニット排水管と略同径に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、直下接続管にインナーパイプを挿入すると共に、直下接続管に対しインナーパイプを、水密性が維持された挿入状態とすることで、直下接続管の補修と新たな流出流路の形成とを同時に行うことができる。しかも、インナーパイプは、ユニット排水管と略同径に形成されているため、補修後における排水性能が損なわれることがない。
また、ユニオン継手が接続可能であり、且つ内筒部に対応するアウターパイプを、インナーパイプの外周面に嵌着すると共に底板部に固着することで、この部分に、ユニオン継手を介してユニット排水管を接続可能である一方、この部分に碗をセットして浴室排水トラップの機能回復を図ることもできる。
このように、ユニット排水管を接続可能とする改修工事と、浴室排水トラップの機能を回復する改修工事と、を可能な限り共通化することができる。したがって、アウターパイプに碗を載置し、トラップ本体にストレーナをセットすれば、浴室排水トラップの機能を回復することができる一方、アウターパイプに、ユニオン継手を介してユニット排水管を繋ぎ込めば、浴室ユニットの排水処理が可能となる。また、上記の浴室排水トラップの機能回復の状態(改修工事)から、碗およびストレーナを取り外すだけで、ユニット排水管の繋ぎ込み(改修工事)が可能となる。
また、ユニオン継手が接続可能であり、且つ内筒部に対応するアウターパイプを、インナーパイプの外周面に嵌着すると共に底板部に固着することで、この部分に、ユニオン継手を介してユニット排水管を接続可能である一方、この部分に碗をセットして浴室排水トラップの機能回復を図ることもできる。
このように、ユニット排水管を接続可能とする改修工事と、浴室排水トラップの機能を回復する改修工事と、を可能な限り共通化することができる。したがって、アウターパイプに碗を載置し、トラップ本体にストレーナをセットすれば、浴室排水トラップの機能を回復することができる一方、アウターパイプに、ユニオン継手を介してユニット排水管を繋ぎ込めば、浴室ユニットの排水処理が可能となる。また、上記の浴室排水トラップの機能回復の状態(改修工事)から、碗およびストレーナを取り外すだけで、ユニット排水管の繋ぎ込み(改修工事)が可能となる。
この場合、インナー装着工程では、挿入したインナーパイプと直下接続管との間隙に充填剤を充填することで、水密性が維持された挿入状態とすることが好ましい。
この構成によれば、充填した充填剤により、インナーパイプを直下接続管に不動に支持することができると共に、インナーパイプから直下接続管への漏水を確実に防止することができる。
なお、インナー装着工程の前に、トラップ本体の内周面および直下接続管の内周面にそれぞれ付着している錆・こぶ等を除去しておくこと(研磨工程)が好ましい。また、充填剤として、接着力が弱く且つ粘性の低い止水剤を用いることが好ましい。
なお、インナー装着工程の前に、トラップ本体の内周面および直下接続管の内周面にそれぞれ付着している錆・こぶ等を除去しておくこと(研磨工程)が好ましい。また、充填剤として、接着力が弱く且つ粘性の低い止水剤を用いることが好ましい。
また、インナー装着工程では、インナーパイプを内側から保持し直下接続管への挿入を可能とすると共に、インナーパイプの先端を直下接続管との間で封止可能とするパイプセット治具を用い、インナーパイプを、先端が排水継手に達するように直下接続管に挿入すると共に、インナーパイプの先端を排水継手との間で封止し、この状態で、充填剤の充填が行われ、充填した充填剤の硬化後に、パイプセット治具をインナーパイプから引き抜くことが好ましい。
この構成によれば、パイプセット治具を用いることにより、先端が排水継手に達するインナーパイプの直下接続管への挿入セットと、インナーパイプと直下接続管との間隙への充填剤の充填と、を精度良く且つ効率良く実施することができ、作業効率を高めることができる。特に、パイプセット治具により、インナーパイプの先端を排水継手との間を封止することができるため、充填剤がインナーパイプ内に入り込むことがなく、作業性を向上させることができる。
また、インナー装着工程では、トラップ本体の底板部上にいったん貯留した充填剤を、インナーパイプと直下接続管との間隙に流し込むようにして充填すると共に、充填剤が硬化した後に、底板部上の残余の充填剤を引き剥がすように除去することが好ましい。
この構成によれば、インナーパイプと直下接続管との間隙への充填剤の充填を、確実且つ効率良く実施することができる。また、不要となった残余の充填剤を簡単に除去することができる。したがって、作業効率を高めることができる。
また、インナー装着工程とアウター装着工程との間に、トラップ本体の内周面にコーティング剤を塗布するコーティング工程を、更に備えることが好ましい。
この構成によれば、トラップ本体の内周面へのコーティングにより、トラップ本体における腐食の進行を抑制することができる。
また、アウターパイプは、一方の端部にフランジ部を有し、アウター装着工程では、高粘度の接着剤を用い、底板部上にフランジ部を着座させた状態でアウターパイプをインナーパイプの外周面に接着する第1固着工程と、低粘度の接着剤をフランジ部が没するように底板部上に流し込んで、そのまま硬化させる第2固着工程と、を有していることが好ましい。
この構成によれば、高粘度の接着剤により、アウターパイプとインナーパイプとを一体化することができる。また、低粘度の接着剤により、フランジ部を介して、アウターパイプを底板部に強く接着することができ、アウターパイプとトラップ本体とを一体化することができる。これにより、トラップ本体を利用して、ユニット排水管を直接直下接続管に繋ぎ込むことができる。これはすなわち、トラップ本体を、スラブを貫通する実管スリーブ的に利用することとなる。
この場合、第1固着工程では、底板部上にフランジ部を着座させる前にこの着座させる部分にパテを盛付け、且つ盛付けたパテを圧し潰しながらアウターパイプが鉛直姿勢となるようにフランジ部を着座させることが好ましい。
この構成によれば、トラップ本体およびインナーパイプに対し、アウターパイプを鉛直姿勢で取り付けることができる。したがって、ユニオン継手を介して、ユニット排水管をトラップ本体に取り付けたアウターパイプに適切に接続することができる。また、強度を考慮してアウターパイプを金属製とした場合であっても、パテにより、トラップ本体とアウターパイプとの間を絶縁することができ、異種金属間の電蝕を有効に防止することができる。
さらに、アウターパイプに対しインナーパイプはわずかに上方に突出し、この突出部分に装着するための環状ソケットが用意されており、アウター装着工程の後、環状ソケットの下端をアウターパイプの上端に当接した状態で、環状ソケットの内周面をインナーパイプの突出部分の外周面に接着するソケット装着工程を、更に備えることが好ましい。
この構成によれば、環状ソケットを介して、アウターパイプとインナーパイプとが相互に接着され、結果、トラップ本体と一体化されてアウターパイプに、インナーパイプが不動に支持された状態となる。したがって、アウターパイプとトラップ本体との一体化を促進することができる。
本発明の更生用パイプ材は、トラップ本体の底板部の内周端から上方に延びる内筒部と、トラップ本体に接続され内筒部に連なる直下接続管と、により流出流路が構成された浴室排水口に対し、流出流路を更生するために内筒部に代えて設けられる更生用パイプ材であって、直下接続管に挿入される挿入パイプ部と、内筒部を兼ねると共に、ユニオン継手を介して浴室のユニット化に伴うユニット排水管が接合可能に構成された接合パイプ部と、挿入パイプ部と接合パイプ部との境界部分に設けられ、底板部に着座する鍔部と、を備え、挿入パイプ部の内周面と接合パイプ部の内周面とにより流出流路が形成され、接合パイプ部の外周面により、ユニオン継手の接合代が形成されていることを特徴とする。
本発明の他の浴室排水口の改修方法は、上記した更生用パイプ材を用い、トラップ本体廻りにおける流出流路の機能回復を可能とすると共に、浴室のユニット化に伴うユニット排水管の流出流路への繋込みを可能とする浴室排水口の改修方法であって、内筒部を除去する内筒除去工程と、挿入パイプ部を直下接続管に挿入すると共に鍔部を底板部に着座させるように、更生用パイプ材をセットするセット工程と、挿入した挿入パイプ部と直下接続管との間隙に充填剤を充填する充填工程と、鍔部を底板部に固着する固着工程と、を備えたことを特徴とする。
これらの構成によれば、直下接続管に挿入パイプ部を挿入すると共に、挿入パイプ部と直下接続管との間隙に充填剤を充填することで、直下接続管の補修と新たな流出流路の形成とを同時に行うことができる。
また、ユニオン継手が接続可能であり、且つ内筒部に対応する接合パイプ部を、鍔部を介して底板部に固着することで、この部分に、ユニオン継手を介してユニット排水管を接続可能である一方、この部分に碗をセットして浴室排水トラップの機能回復を図ることもできる。
このように、ユニット排水管を接続可能とする改修工事と、トラップ本体廻りの機能を回復する改修工事と、を可能な限り共通化することができる。したがって、接合パイプ部に碗を載置し、トラップ本体にストレーナをセットすれば、トラップ本体廻りの機能を回復することができる一方、接合パイプ部に、ユニオン継手を介してユニット排水管を繋ぎ込めば、浴室ユニットの排水処理が可能となる。また、上記のトラップ本体廻りの機能回復の状態(改修工事)から、碗およびストレーナを取り外すだけで、ユニット排水管の繋ぎ込み(改修工事)が可能となる。
また、ユニオン継手が接続可能であり、且つ内筒部に対応する接合パイプ部を、鍔部を介して底板部に固着することで、この部分に、ユニオン継手を介してユニット排水管を接続可能である一方、この部分に碗をセットして浴室排水トラップの機能回復を図ることもできる。
このように、ユニット排水管を接続可能とする改修工事と、トラップ本体廻りの機能を回復する改修工事と、を可能な限り共通化することができる。したがって、接合パイプ部に碗を載置し、トラップ本体にストレーナをセットすれば、トラップ本体廻りの機能を回復することができる一方、接合パイプ部に、ユニオン継手を介してユニット排水管を繋ぎ込めば、浴室ユニットの排水処理が可能となる。また、上記のトラップ本体廻りの機能回復の状態(改修工事)から、碗およびストレーナを取り外すだけで、ユニット排水管の繋ぎ込み(改修工事)が可能となる。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る浴室排水口の改修方法について説明する。例えば、築50年前後の古い集合住宅においては、タイル張りの浴室を浴室ユニット(ユニットバス)に改修することが行われる。また、この改修工事とは別に或いは関連して、立て管を含む老朽化した排水管の更生工事が行われる。この種の浴室には、スラブに埋め込むようにして鋳鉄製の椀トラップが設けられ、また椀トラップに接続された排水管は、スラブを貫通し階下の天井部分で横引かれて排水立て管に接続されている。
浴室の改修工事では、ユニット自体にトラップが組み込まれていることから、既設の椀トラップを実管スリーブ様に活用し、浴室ユニットの排水を排水立て管まで導くようにしている。また、排水管の更生工事では、椀トラップとこれに接続された排水管のうち、スラブに埋め込まれている部分は既設部分を生かしつつ補修され、その他の部分はやり替えるようにしている。このように、浴室の改修工事と排水管の更生工事とは、別の工事として把握されているが、碗トラップの部分で重複することとなる。
このため、排水管の更生工事に先行して浴室の改修工事が行われる場合には、無駄が生ずることはないが、浴室の改修工事に先行して排水管の更生工事が行われると、無駄が生ずる。すなわち、排水管の老朽管が進み、やむなく排水管の更生工事が先行すると、浴室の改修工事を実施するときには、結果的に椀トラップの更生工事が無駄な工事となるだけでなく、新設の浴室排水管を既設の排水管に接続するための椀トラップの改修工事に手間がかかるものとなる。そこで、本実施形態では、椀トラップの更生工事と排水接続のための椀トラップの改修工事とを可能な限り共通化し、この更生工事および改修工事の先行を問わず、いずれにも容易に対応できるようにしている。
[第1実施形態]
図1(a)は、改修前の浴室排水口の断面図であり、図1(b)は、改修後の浴室排水口の断面図である。両図に示すように、浴室排水口10は、主体を為す椀トラップ11(浴室排水トラップ)と、椀トラップ11に接続された直下接続管12とを有している。言うまでもないが、この椀トラップ11と直下接続管12とは、既設のものであり、老朽化が進んで各部に錆・こぶ等が発生している。椀トラップ11は、スラブSに埋め込まれており、直下接続管12は、スラブSを貫通してスラブSの下側空間に配管されている。スラブSの下面は、階下の天井面(直天)となっており、直下接続管12は、この天井部分において横引き排水管13を経て図外の排水立て管に接続されている。
図1(a)は、改修前の浴室排水口の断面図であり、図1(b)は、改修後の浴室排水口の断面図である。両図に示すように、浴室排水口10は、主体を為す椀トラップ11(浴室排水トラップ)と、椀トラップ11に接続された直下接続管12とを有している。言うまでもないが、この椀トラップ11と直下接続管12とは、既設のものであり、老朽化が進んで各部に錆・こぶ等が発生している。椀トラップ11は、スラブSに埋め込まれており、直下接続管12は、スラブSを貫通してスラブSの下側空間に配管されている。スラブSの下面は、階下の天井面(直天)となっており、直下接続管12は、この天井部分において横引き排水管13を経て図外の排水立て管に接続されている。
図1(a)に示すように、椀トラップ11は、上部に鍔状の防水押え部26を形成したトラップ本体21と、トラップ本体21内において被せるように設けた碗22と、トラップ本体21から上方に延びるストレーナ支持部23と、ストレーナ支持部23に着脱自在に装着されたストレーナ24とを有している。そして、防水押え部26により防水層WPを押えた状態で、トラップ本体21がスラブSに埋め込まれている。ストレーナ支持部23は、防水層WP上のシンダーコンクリートCCの厚みに合わせて高さ調整を可能となるように、トラップ本体21にネジ止め(止めネジ)されている。また、防水押え部26の上側に位置してトラップ本体21には、防水層WP上に漏れた水をトラップ本体21内に導く複数の水抜き穴27が形成されている。
トラップ本体21は、底板部21a、底板部21aの外周端から上方に延びる外筒部21b、底板部21aの内周端から上方に延びる内筒部21c、底板部21aの内周端から下方に延びる接続ネジ部21dおよび外筒部21bの上部から側方に延びる防水押え部26により、一体に形成されている(鋳鉄製)。そして、雌ネジを螺刻した接続ネジ部21dに、直下接続管12がネジ接合(ドレネージ)されている。内筒部21cは、これに被せるように載置した碗22との間に、椀トラップ11の主機能を奏する封水部28を構成している。すなわち、ストレーナ24の部分から流入した排水は、外筒部21bと碗22との間を流下し、更に下側から封水部28を通過して内筒部21cの内周面である流出流路29に流下する。
直下接続管12は、配管用炭素鋼鋼管(白ガス管)で構成され、トラップ本体21の接続ネジ部21dに接続された接続短管31と、接続短管31の下端部に接続されたL字継手32(排水継手)と、を有している。L字継手32には横引き排水管13が接続され、横引き排水管13の下流端は図外の排水立て管に接続されている。そして、接続短管31の内周面と内筒部21cの内周面とは、直結の流出流路29を構成している。この流出流路29廻りにおいて、封水部28に接する内筒部21cの全体、接続ネジ部21dと接続短管31とのネジ接合部分および接続短管31とL字継手32とのネジ接合部分の3か所において錆が進行し易く、この3か所に重点をおきつつ椀トラップ11の機能復旧を図るようにしている。
図1(b)に示すように、本実施形態の改修方法では、内筒部21cを取り去って、この部分から接続短管31の部分にかけて、新しい流出流路29を構成すべくインナーパイプ34を設けるようにしている。また、取り去った内筒部21cに代えて、この部分にアウターパイプ36が設けられ、更にアウターパイプ36およびインナーパイプ34の上端部に環状ソケット38を設けるようにしている。詳細は後述するが、インナーパイプ34は、その内周面において新しい流出流路29を構成し、アウターパイプ36は、その外周面においてユニット排水管63との接合部分を構成する(図9(b)参照)。
次に、浴室排水口10の改修方法について説明するが、その前に上記のインナーパイプ34、アウターパイプ36および環状ソケット38について説明する。
[インナーパイプ]
図2に示すように、インナーパイプ34は、単純な円筒状に形成された塩化ビニル製のパイプであり、接続短管31の内側に挿入・装着するために開発された薄手のもの(特注品)である。椀トラップ11は、一般的な呼び径50Aのものであるが、内径50mmであるはずの内筒部21cは、メーカー別に形状が異なるだけでなく内径も精度を欠くものとなっている。そこで、本実施形態では、内筒部21cを取り去って、ここに挿入するインナーパイプ34を、規格ものの白ガス管である接続短管31に対応する径のものとし、結果、メーカーを問わずインナーパイプ34を使用できるようにしている。
図2に示すように、インナーパイプ34は、単純な円筒状に形成された塩化ビニル製のパイプであり、接続短管31の内側に挿入・装着するために開発された薄手のもの(特注品)である。椀トラップ11は、一般的な呼び径50Aのものであるが、内径50mmであるはずの内筒部21cは、メーカー別に形状が異なるだけでなく内径も精度を欠くものとなっている。そこで、本実施形態では、内筒部21cを取り去って、ここに挿入するインナーパイプ34を、規格ものの白ガス管である接続短管31に対応する径のものとし、結果、メーカーを問わずインナーパイプ34を使用できるようにしている。
具体的には、インナーパイプ34は、その外径を接続短管31の内径52.9mmよりわずかに小さい52mmとし、内径を肉厚2mmの48mmとしている。実際の接続短管31は、錆・こぶ等により規格寸法より小さな径となっているが、後述する研磨工程により、インナーパイプ34を挿入するときには内径54mm程度となり、接続短管31の内径とインナーパイプ34の外径との間には、1mm程度の間隙が生ずる。詳細は後述するが、この間隙に止水剤45が充填され、この止水剤45とインナーパイプ34とにより接続短管31の部分が更生される。
一方、インナーパイプ34の長さは、内筒部21cの上端からL字継手32の接合端までの寸法としており、椀トラップ11毎に現場合わせで採寸し、定尺の塩ビ原管(図示省略)から切り出すようにしている。したがって、接続短管31に挿入したインナーパイプ34の下端は、ほぼL字継手32の接合端に達し、上端は、ほぼ取り去った内筒部21cの上端よりも幾分高い位置となる。すなわち、インナーパイプ34の上部は、トラップ本体21の内部において底板部21aから突出した状態となる。
[アウターパイプ]
図3に示すように、アウターパイプ36は、ステンレススチール製の短いパイプ状のものであり、主体を為す本体パイプ部36aと、本体パイプ部36aの下端に設けたフランジ部36bとで一体に形成されている。アウターパイプ36は、その本体パイプ部36aがインナーパイプ34の上部外周面に嵌合し、且つフランジ部36bが内筒部21cを除去した後の底板部21a上に着座する形態で、トラップ本体21に取り付けられる。
図3に示すように、アウターパイプ36は、ステンレススチール製の短いパイプ状のものであり、主体を為す本体パイプ部36aと、本体パイプ部36aの下端に設けたフランジ部36bとで一体に形成されている。アウターパイプ36は、その本体パイプ部36aがインナーパイプ34の上部外周面に嵌合し、且つフランジ部36bが内筒部21cを除去した後の底板部21a上に着座する形態で、トラップ本体21に取り付けられる。
また、筒状の本体パイプ部36aは、後述するショートユニオン61(MD継手)が装着される部分であり、このショートユニオン61を介して、アウターパイプ36にユニット排水管63が接続可能となっている(図9(b)参照)。このため、アウターパイプ36(本体パイプ部36a)の外径は、ユニット排水管63の外径と同径(60.5mm)に形成されている。また、アウターパイプ36の内径は、インナーパイプ34に嵌合・接着される関係から、インナーパイプ34の外径(52mm)よりも幾分大きい径52.9mmとしており、この両者間に生ずる略0.5mmの間隙が、後述する第1接着剤47の塗布空間(充填空間)となる。
詳細は後述するが、フランジ部36bは、エポキシパテ55を介して底板部21a上に着座させるが、その際、盛り付けたエポキシパテ55を圧し潰すようにしながら、アウターパイプ36を鉛直姿勢となるように姿勢調整する(図7(f)参照)。そして、この姿勢調整は、上記の略0.5mmの間隙が許す範囲で行われることとなる。
[環状ソケット]
図4に示すように、環状ソケット38は、インナーパイプ34およびアウターパイプ36の上端部に装着され、インナーパイプ34およびアウターパイプ36の一体化が図られている。すなわち、環状ソケット38、インナーパイプ34およびアウターパイプ36は、一体の合成パイプ部15を構成し、この合成パイプ部15に上記のショートユニオン61を介してユニット排水管63が接続される。また、詳細は後述するが、この合成パイプ部15は、アウターパイプ36の部分で碗トラップ11(浴室排水口10)に固着されるため、スラブSに対し実管スリーブ的に機能し、合成パイプ部15を介してユニット排水管63が直下接続管12に接続される。
図4に示すように、環状ソケット38は、インナーパイプ34およびアウターパイプ36の上端部に装着され、インナーパイプ34およびアウターパイプ36の一体化が図られている。すなわち、環状ソケット38、インナーパイプ34およびアウターパイプ36は、一体の合成パイプ部15を構成し、この合成パイプ部15に上記のショートユニオン61を介してユニット排水管63が接続される。また、詳細は後述するが、この合成パイプ部15は、アウターパイプ36の部分で碗トラップ11(浴室排水口10)に固着されるため、スラブSに対し実管スリーブ的に機能し、合成パイプ部15を介してユニット排水管63が直下接続管12に接続される。
環状ソケット38含めた合成パイプ部15の突出寸法は、ショートユニオン61との間で十分な長さの接合代を得るために、元の内筒部21cよりも幾分長いものとなっている。このため、これにセットされる碗22は、トラップ本体21内において改修前よりも高い位置にセットされることとなる。もっとも、封水部28における封水深は、碗22側の高さ寸法で決定されるため、碗トラップ11の封水機能が損なわれることはない。
環状ソケット38は、塩化ビニル製の短い円筒体であり、内側先端部に環状面取り部38bを形状した接合端部38aと、内側の環状段部38cを存して接合端部38aに連なる接合胴部38dと、で一体に形成されている。そして、接合胴部38dの下端をアウターパイプ36の上端に当接した状態で、接合胴部38dの内側にインナーパイプ34の上端部が接着されるようになっている。この場合、接合端部38aの内径は、インナーパイプ34の内径と同径(48mm)に形成され、接合端部38aから接合胴部38dにかけて(環状ソケット38)の外径は、アウターパイプ36の外径と同径(60.5mm)に形成されている。
詳細は後述するが、ショートユニオン61を介してこの合成パイプ部15には、ユニット排水管63の一部である調整短管67が接続される。この場合、調整短管67の内径は52.9mmであり、これに対応する、インナーパイプ34(および環状ソケット38の接合端部38a)の内径は48mmである。したがって、ユニット排水管63の排水は、これより5mm(肉厚で2.5mm)程度の狭窄したインナーパイプ34に流れ込むことになる。これに関連して、本実施形態の環状ソケット38の接合端部38aには、ほぼ肉厚2.5mm分の環状面取り部38bが形成されており、ユニット排水管63の排水が円滑に流下するようになっている。
なお、インナーパイプ34により構成される新しい流出流路29(径48mm)の流路面積は、接続短管31により構成される既設の流出流路29(径52.9mm)の流路面の80%強、程度となる。しかし、この80%強は、ユニット排水管63の排水能力に支障を生じないことが、実験で確かめられている。また、インナーパイプ34、アウターパイプ36および環状ソケット38は、金属製のものであってもよいし、樹脂製のものであってもよい。
[改修方法]
次に、図5ないし図8を参照して、上記のインナーパイプ34やアウターパイプ36等を用いて為される浴室排水口10の改修方法について、順を追って説明する。
この改修方法は、トラップ本体21の内筒部21cを除去する内筒除去工程(図5(a)参照)と、トラップ本体21の内周面および直下接続管12の内周面にそれぞれ付着している錆・こぶ等を除去する研磨工程(図5(b)参照)と、直下接続管12に対し、インナーパイプ34を上部を残して挿入するインナー装着工程(図6(c)および(d)参照)と、トラップ本体21の内周面にコーティング剤41を塗布するコーティング工程(図7(e)参照)と、アウターパイプ36を、インナーパイプ34に嵌着すると共に底板部21aに固着するアウター装着工程(図7(f)および図8(g)参照)と、アウターパイプ36およびインナーパイプ34の上端部に、環状ソケット38を接着するソケット装着工程(図8(h)参照)と、を備えている。
次に、図5ないし図8を参照して、上記のインナーパイプ34やアウターパイプ36等を用いて為される浴室排水口10の改修方法について、順を追って説明する。
この改修方法は、トラップ本体21の内筒部21cを除去する内筒除去工程(図5(a)参照)と、トラップ本体21の内周面および直下接続管12の内周面にそれぞれ付着している錆・こぶ等を除去する研磨工程(図5(b)参照)と、直下接続管12に対し、インナーパイプ34を上部を残して挿入するインナー装着工程(図6(c)および(d)参照)と、トラップ本体21の内周面にコーティング剤41を塗布するコーティング工程(図7(e)参照)と、アウターパイプ36を、インナーパイプ34に嵌着すると共に底板部21aに固着するアウター装着工程(図7(f)および図8(g)参照)と、アウターパイプ36およびインナーパイプ34の上端部に、環状ソケット38を接着するソケット装着工程(図8(h)参照)と、を備えている。
また、上記のインナー装着工程は、パイプセット治具43を用い、インナーパイプ34を直下接続管12に挿入する挿入工程(図6(c)参照)と、インナーパイプ34と直下接続管12(接続短管31)との間隙に止水剤45(充填剤)を充填する充填工程(図6(d)参照)と、を有している。同様に、アウター装着工程は、高粘度のエポキシ樹脂系接着剤である第1接着剤47を用い、底板部21a上にフランジ部36bを着座させた状態でアウターパイプ36をインナーパイプ34の外周面に接着する第1固着工程(図7(f)参照)と、低粘度のエポキシ樹脂系接着剤である第2接着剤49をフランジ部36bが没するように底板部21a上に流し込んで、そのまま硬化させる第2固着工程(図8(g)参照)と、を有している。
図5(a)の内筒除去工程では、メーカー別に形状の異なる内筒部21cを削り取るが、内筒部21cと接続ネジ部21dとの境界部分に、規格で寸法が定められた「リセス」と呼ばれる空間部分があり、これに達するように上側から内筒部21cの研削を実施する。研削では、例えばホールソー51を用い、上側から内筒部21cを削ってゆく場合と、上側から内筒部21cの外側半部を削ってゆく場合等があり、残った部分を鋼棒等で損壊し、ダイヤ穿孔刃で平滑に仕上げるようにする。なお、セーバーソー等で内筒部21cに縦に複数の切込みを入れ、各切込み片を折り取るようにしてもよい。
図5(b)の研磨工程では、クサリ付の研磨用ビット53(電動ドリル)を用い、接続短管31の内周面からトラップ本体21の内面にかけて錆・こぶ等を除去すべく研磨を行う。また、研磨に並行して吸引等により粉塵を除去し、トラップ本体21の内面および接続短管31の内周面を清掃する。これにより、接続短管31は、その内周面全域において地肌がむき出しの状態となる。また、内周面を研磨された接続短管31は、内径が54mm程度に拡径される。なお、研磨工程の最終段階で、トラップ本21の内面に上記の水抜き穴27が表れていることを確認する。
図6(c)の挿入工程(インナー装着工程)では、先ずインナーパイプ34の寸法を決定し、この寸法に基づいて塩ビ原管から所望の長さのインナーパイプ34を切り出す。インナーパイプ34の寸法は、下端が接続短管31とL字継手32との接合部分に達し、上端が底板部21aの上面から60mm程度の位置となるようにする。これは、コンベックスを延ばして90°エルボの端に引っ掛け、底板部21aの上面から略60mmの位置のメモリを読み取ることで採寸とする。他の方法として、アウターパイプ36を仮置きしてからコンベックスを延ばし、アウターパイプ36より幾分高くなる位置のメモリを読み取るようにしてもよい。
次に、塩ビ原管から切り取ったインナーパイプ34のバリ取りを行った後、インナーパイプ34をパイプセット治具43に装着する。パイプセット治具43は、手元に握り部(図示省略)を有する操作ロッド43aの先端部に、2つの挟持コマ43bで挟み込むようにして、スポンジ状のゴム栓43cを装着したものである。この場合、握り部を回転操作することにより、ゴム栓43cが元の円筒形状と、軸方向に縮んで径方向に膨らむ鼓形状との間で変形する。
インナーパイプ34のパイプセット治具43への装着は、インナーパイプ34の下端がゴム栓43cの部分に位置し、ゴム栓43c全体の先端側1/2が露出している状態とし、ゴム栓43cを幾分膨らますようにして装着する。この状態で、パイプセット治具43と共にインナーパイプ34を直下接続管12にゆっくり挿入してゆく。インナーパイプ34の上端がトラップ本体21内のだいたいの位置まで来たら挿入を停止し、必要な微調整を行った後、握り部を操作してゴム栓43cを膨らませ、インナーパイプ34を固定すると共に、インナーパイプ34の下端と直下接続管12との間を封止する。なお、この封止の最終過程で、操作ロッド43aを介してインナーパイプ34を鉛直姿勢としておくことが好ましい。
図6(d)の充填工程(インナー装着工程)では、トラップ本体21内に突出したインナーパイプ34の上部と、外筒部21bとの間に止水剤45(液体)を注ぎ、この部分から止水剤45を、インナーパイプ34と直下接続管12との間隙に流し込むようにする。この止水剤45は、ポリウレタン系のものであり、水と混合することにより短時間でゲル化する。したがって、インナーパイプ34と直下接続管12との間隙に流れ込んだ止水剤45は、膨張しつつゲル化しこの間隙に充填される。
止水剤45は、下端をインナーパイプ34の下端と直下接続管12との間を封止するゴム栓43cに接した状態で硬化(ゲル化)し、上部が底板部21a上にわずかに溜まった状態で硬化(ゲル化)する。この止水剤45は接着力が極めて弱いため、底板部21a上に溜まった余剰の止水剤45はこれを引き剥がすようにして除去する。また、この除去と相前後して、握り部を操作してゴム栓43cを緩め、パイプセット治具43をインナーパイプ34から引き抜くようにする。
図7(e)のコーティング工程では、先ず複数の水抜き穴27とインナーパイプ34とを閉塞(マスキング)する。水抜き穴27は、ピンを差し込むことでマスキングし、インナーパイプ34は、上端をマスキングテープで閉塞するようにする。使用するコーティング剤41は、高粘度の2液タイプのエポキシ樹脂系接着剤で構成されている。なお、以降の説明において、このエポキシ樹脂系接着剤を塗布する箇所によって「コーティング剤41」と称呼する場合と、「第1接着剤47」と称呼する場合とがある。
コーティング剤41は、トラップ本体21の内面全域、ストレーナ支持部23の内周面およびトラップ本体21内に突出しているインナーパイプ34の外周面に、それぞれ刷毛塗りで塗布される。これにより、トラップ本体21やストレーナ支持部23の更なる腐食が防止される、なお、インナーパイプ34に塗布したコーティング剤41は、アウターパイプ36をインナーパイプ34に接着する第1接着剤47として機能し、内筒部21cを除く他の部分に塗布されたコーティング剤41は、トラップ本体21とアウターパイプ36とを絶縁する絶縁剤を兼ねている。
図7(f)の第1固着工程(アウター装着工程)では、上記のコーティング剤41(第1接着剤47)を塗布した直後(硬化する前)に、アウターパイプ36をインナーパイプ34に接着する。この場合には、先ずアウターパイプ36のフランジ部36bが着座する部分にエポキシ系パテ55(パテ)盛付ける一方、アウターパイプ36(本体パイプ部36a)内周面に上記の第1接着剤47を塗布する。フランジ部36bが着座する部分は、内筒部21cを取り去った部分であり、微妙な凹凸が生じている場合がある。そこで、この凹凸を吸収すべくこの部分にエポキシ系パテ55を介在させる(絶縁も兼ねる)ようにしている。
実際の作業では、フランジ部36bが着座する部分にエポキシ系パテ55を盛付けておいて、内周面に第1接着剤47を塗布したアウターパイプ36をインナーパイプ34に嵌め入れ、フランジ部36bをエポキシ系パテ55に押し付けるようにする。すなわち、インナーパイプ34とアウターパイプ36との間で第1接着剤47を馴染ませると同時に、エポキシ系パテ55を圧し潰すようにしてフランジ部36bをこれに馴染ませるようにする。
またこのとき、インナーパイプ34とアウターパイプ36との間隙に対し第1接着剤47の充填が不十分である(空隙がある)場合には、刷毛に含ませた第1接着剤47を空隙に流し込むようにして、第1接着剤47の充填を促進する。次に、アウターパイプ36の姿勢を鉛直姿勢となるように調整するが、その前にアウターパイプ36の上端からはみ出したインナーパイプ34の上端部において、その外周面に付着している第1接着剤47を溶剤を用いて拭き取っておく。
図示では省略するが、アウターパイプ36の姿勢調整では、先ずアウターパイプ36(およびインナーパイプ34)の上端に環状ソケット38を仮置きする。次に、環状ソケット38の上に水準器をセットする。ここで、水準器を見ながら、環状ソケット38が水平になるようにアウターパイプ36を微少に角度調整する。環状ソケット38の水平が出れば、間接的にアウターパイプ36の姿勢調整が為されたことになるため、水準器と共に環状ソケット38をいったん取り去って、第2固着工程に移行する。
図8(g)の第2固着工程(アウター装着工程)では、低粘度の2液タイプのエポキシ樹脂系接着剤である第2接着剤49を用意し、これをアウターパイプ36のフランジ部36bが没するように底板部21a上に流し込む。この低粘度の樹脂系接着剤(第2接着剤49)は、フランジ部36bを押えるようにして、アウターパイプ36をトラップ本体21に固着せんとするものであり、液位が10mm程度となるように流し込む。この場合、第2接着剤49は、第1接着剤47が硬化する前に流し込むようにし、界面において第1接着剤47と第2接着剤49とが融合するようにしている。続いて、ドライヤー等を用いて、上記のコーティング剤41、第1接着剤47、第2接着剤49およびエポキシ系パテ55を硬化させる。
図8(h)のソケット装着工程では、第1接着剤47を拭きとったインナーパイプ34の上端部に、塩化ビニル用に第3接着剤57(塩化ビニル系接着剤)を塗布し、この部分に環状ソケット38を嵌め入れるように装着する。その後、第3接着剤57の硬化を待って養生とする。これにより、インナーパイプ34、アウターパイプ36および環状ソケット38が一体化して、合成パイプ部15が形成される。
[後工程]
上述のように、この浴室排水口10の改修方法は、その後、椀トラップ11の更生化に移行可能であり、また浴室のユニット化に伴う椀トラップ11の排水接続管的な利用も可能となっている。
図9(a)は、椀トラップ11が更生化に移行した状態を表している。同図に示すように、この椀トラップ11の更生化では、改修後の椀トラップ11に碗22をセットすると共にストレーナ24をセットすることで、移行が完了する。この場合には、碗22が環状ソケット38(合成パイプ部15)の上に載るようにセットされる。
上述のように、この浴室排水口10の改修方法は、その後、椀トラップ11の更生化に移行可能であり、また浴室のユニット化に伴う椀トラップ11の排水接続管的な利用も可能となっている。
図9(a)は、椀トラップ11が更生化に移行した状態を表している。同図に示すように、この椀トラップ11の更生化では、改修後の椀トラップ11に碗22をセットすると共にストレーナ24をセットすることで、移行が完了する。この場合には、碗22が環状ソケット38(合成パイプ部15)の上に載るようにセットされる。
図9(b)は、椀トラップ11を利用してユニット排水管63を接続可能とする状態を表している。同図に示すように、環状ソケット38からアウターパイプ36の部分が接合代となって、合成パイプ部15に、ショートユニオン61(ユニオン継手)を介してユニット排水管63が接続されている。このショートユニオン61はコンパクトに形成され、トラップ本体21内に収容されると共に、トラップ本体21内で締付け作業ができるようになっている。
ユニット排水管63は、図外の浴室ユニットから横引かれるスラブ上配管65と、スラブ上配管65に接続された90°エルボ66と、90°エルボ66に接続された調整短管67とを有している。 そして、この調整短管67と合成パイプ部15とが、ショートユニオン61により接続される。この場合、ユニット排水管63は、耐火性を考慮し、硬質塩化ビニル管の外周面を耐火材(石綿セメント)で被覆した呼び径50Aの耐火二重管で構成されている。これにより、防火区画(スラブS)貫通部から1m以内の不燃化が達成され、スラブSによる防火区画を維持されている。
また、ユニット排水管63は、浴室ユニットから排水勾配を加味して配管されるため、浴室ユニットの排水口の高さおよび平面的な位置(距離)により、90°エルボ66の高さ位置が自ずと決まることになる。そこで、90°エルボ66とショートユニオン61や合成パイプ15との離間距離は、現場合わせでカットされる調整短管67で調整される。
なお、図9(a)および(b)から明らかなように、更生後の椀トラップ11から排水接続管的な機能の移行は、椀トラップ11から碗22およびストレーナ24を取り外すだけで、準備が整うことになる。
以上のように、第1実施形態に係る浴室排水口10の改修方法によれば、直下接続管12にインナーパイプ34を挿入すると共に、直下接続管12とインナーパイプ34との間隙に止水剤45を充填することで、直下接続管12の補修と新たな流出流路29の形成とを同時に行うことができる。しかも、インナーパイプ34は、ユニット排水管63と略同径に形成されているため、補修後におけると排水能力が損なわれることがない。また、内筒部21cに対応するアウターパイプ36を、インナーパイプ34の外周面に嵌着すると共に底板部21aに固着することで、この部分に、ショートユニオン61を介してユニット排水管63を接続可能とすることができる。
このように、ユニット排水管63を接続可能とする改修工事と、碗トラップ11の機能を回復する改修工事と、を可能な限り共通化することができる。したがって、合成パイプ部15に碗22を載置し、トラップ本体21にストレーナ24をセットすれば、碗トラップ11の機能を回復することができる一方、合成パイプ部15に、ショートユニオン61を介してユニット排水管63を繋ぎ込めば、浴室ユニットの排水処理が可能となる。
このように、ユニット排水管63を接続可能とする改修工事と、碗トラップ11の機能を回復する改修工事と、を可能な限り共通化することができる。したがって、合成パイプ部15に碗22を載置し、トラップ本体21にストレーナ24をセットすれば、碗トラップ11の機能を回復することができる一方、合成パイプ部15に、ショートユニオン61を介してユニット排水管63を繋ぎ込めば、浴室ユニットの排水処理が可能となる。
なお、上記の改修工事の下階の改修工事を行う場合には、上記と同様の改修工事を実施すると共に、天井に露出している直下接続管12をスラブSの下面近傍で切断し、排水立て管に至るL字継手32および横引き排水管13を新規のものにやり替えるようにしている。この場合、接続短管31を切断することとなるが、その際、インナーパイプ34の下端部も同時に切断することとなる。そこで、特に図示しないが、接続短管31およびインナーパイプ34の切断端部に対し、新たに開発したエルボを用い新規の横引き排水管13を接続するようにしている。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る浴室排水口10の改修方法について説明する。この実施形態は、上記の合成パイプ部15に相当する更生用パイプ材70を用いるものであり、第1実施形態の改修方法に比して工期の短縮が図れるようになっている。
次に、第2実施形態に係る浴室排水口10の改修方法について説明する。この実施形態は、上記の合成パイプ部15に相当する更生用パイプ材70を用いるものであり、第1実施形態の改修方法に比して工期の短縮が図れるようになっている。
図10は、改修後の浴室排水口10を表しており、図11は、改修の主体と為す更生用パイプ材70を表している。両図に示すように、更生用パイプ材70は、直下接続管12に挿入される挿入パイプ部71と、内筒部21cを兼ねると共に、ショートユニオン61を介してユニット排水管63が接合可能に構成された接合パイプ部72と、挿入パイプ部71と接合パイプ部72との境界部分に設けられ、底板部21aに着座する鍔部73と、を備えている。
更生用パイプ材70は、塩化ビニル等の樹脂製であってもよいし、ステンレススチール等の金属製のものであってもよいが、一体のものであることが好ましい。もっとも、上記の合成パイプ部15のように複数の部品を予め貼り合わせて(接着して)一体化したものであってもよい。
更生用パイプ材70の挿入パイプ部71は、合成パイプ部15におけるインナーパイプ34の下半部に相当し、接合パイプ部72は、合成パイプ部15におけるアウターパイプ36の本体パイプ部36aとインナーパイプ34の上半部と環状ソケット38とを合わせたものに相当する。また、更生用パイプ材70の鍔部73は、合成パイプ部15におけるアウターパイプ36のフランジ部36bに相当する。そして、接合パイプ部72の内側先端部には、環状ソケット38の環状面取り部38bと同様の面取り部72aが形成されている。
この場合、挿入パイプ部71の内周面と接合パイプ部72の内周面とは、同径に形成され、一体に連なって流出流路29を構成している。挿入パイプ部71および接合パイプ部72により構成される更生用パイプ材70の内径は、インナーパイプ34の内径と同径(48mm)に形成されている。また、接合パイプ部72の外周面により、ショートユニオン61の接合代が形成されている。すなわち、接合パイプ部72の外径は、アウターパイプ36の外径と同径(60.5mm)に形成されている。
そして、更生用パイプ材70の長さは、上記の合成パイプ部15と同様に、鍔部73が底板部21aに着座した状態で、下端が直下接続管12におけるL字継手32の接合端に達する寸法とし、上端が元の内筒部21cよりも幾分高くなる寸法としている。この場合、更生用パイプ材70は、鍔部73から上および鍔部73から下を長めに製作しておいて、これを現場合わせでカットするようにしている。
[改修方法]
ここで、更生用パイプ材70を用いて為される第2実施形態の浴室排水口10の改修方法について説明する。
この改修方法は、トラップ本体21の内筒部21cを除去する内筒除去工程(図5(a)参照)と、トラップ本体21の内周面および直下接続管12の内周面にそれぞれ付着している錆・こぶ等を除去する研磨工程(図5(b)参照)と、トラップ本体21の内周面にコーティング剤41を塗布するコーティング工程(図7(e)参照)と、挿入パイプ部71を直下接続管12に挿入すると共に鍔部73を底板部21aに着座させるように、更生用パイプ材70をセットするセット工程(図12(a)参照)と、挿入した挿入パイプ部71と直下接続管12との間隙に止水剤45を充填する充填工程(図12(b)参照)と、鍔部73を底板部21aに固着する固着工程(図8(g)参照)と、を備えている。
ここで、更生用パイプ材70を用いて為される第2実施形態の浴室排水口10の改修方法について説明する。
この改修方法は、トラップ本体21の内筒部21cを除去する内筒除去工程(図5(a)参照)と、トラップ本体21の内周面および直下接続管12の内周面にそれぞれ付着している錆・こぶ等を除去する研磨工程(図5(b)参照)と、トラップ本体21の内周面にコーティング剤41を塗布するコーティング工程(図7(e)参照)と、挿入パイプ部71を直下接続管12に挿入すると共に鍔部73を底板部21aに着座させるように、更生用パイプ材70をセットするセット工程(図12(a)参照)と、挿入した挿入パイプ部71と直下接続管12との間隙に止水剤45を充填する充填工程(図12(b)参照)と、鍔部73を底板部21aに固着する固着工程(図8(g)参照)と、を備えている。
内筒除去工程および研磨工程は、第1実施形態と全く同様となるため、ここでは説明を省略する。コーティング工程では、直下接続管12内に第1接着剤47が入り込まないようにマスキングを行った後、トラップ本体21の内周面にコーティング剤41を塗布する。また、コーティング剤41の硬化を待って、次のセット工程に移行する。
図12(a)のセット工程では、第1実施形態のインナーパイプ34と同様に、更生用パイプ材70の上端部および下端部を現場合わせで適宜カットする。次に、更生用パイプ材70を第1実施形態の要領でパイプセット治具43に装着する。更生用パイプ材70をパイプセット治具43に装着したら、パイプセット治具43と共に更生用パイプ材70を直下接続管12にゆっくり挿入してゆく。ここで、鍔部73が底板部21aに着座する手前で挿入を停止し、握り部を操作して更生用パイプ材70を固定すると共に、更生用パイプ材70の下端と直下接続管12との間を封止する。このように、パイプセット治具43により、更生用パイプ材70を仮セット状態とする。
図12(b)の充填工程では、仮セット状態の更生用パイプ材70の接合パイプ部72と外筒部21bとの間に止水剤45を注ぎ、この部分から止水剤45を、更生用パイプ材70の挿入パイプ部71と直下接続管12との間隙に流し込むようにする。挿入パイプ部71と直下接続管12との間隙に止水剤45が充填されたら、パイプセット治具43の握り部を緩めつつ、鍔部73が底板部21aに着座するように更生用パイプ材70を押し込むようにする。これにより、更生用パイプ材70が、仮セット状態から鍔部73が底板部21aに着座するセット状態に移行するため、止水剤45の硬化を待つ。止水剤45が硬化したら、底板部21a上に溜まった余剰の止水剤45を除去すると共に、パイプセット治具43を更生用パイプ材70から引き抜くようにする。
そして、固着工程では、第1実施形態と同様に、第2接着剤49を、更生用パイプ材70の鍔部73が没するように底板部21a上に流し込み、第2接着剤49の硬化を待って作業を終了する。
以上のように、第2実施形態に係る浴室排水口10の改修方法によれば、直下接続管12に更生用パイプ材70の挿入パイプ部71を挿入すると共に、直下接続管12と挿入パイプ部71との間隙に止水剤45を充填することで、直下接続管12の補修と新たな流出流路29の形成とを同時に行うことができる。しかも、挿入パイプ部71は、ユニット排水管63と略同径に形成されているため、補修後におけると排水能力が損なわれることがない。また、内筒部21cに対応する更生用パイプ材70の接合パイプ部72を、鍔部73介して底板部21a(トラップ本体21)に固着することで、この部分に、ショートユニオン61を介してユニット排水管63を接続可能とすることができる。
このように、ユニット排水管63を接続可能とする改修工事と、碗トラップ11の機能を回復する改修工事と、を可能な限り共通化することができる。したがって、更生用パイプ材70に碗22を載置し、トラップ本体21にストレーナ24をセットすれば、碗トラップ11の機能を回復することができる一方、更生用パイプ材70に、ショートユニオン61を介してユニット排水管63を繋ぎ込めば、浴室ユニットの排水処理が可能となる。
このように、ユニット排水管63を接続可能とする改修工事と、碗トラップ11の機能を回復する改修工事と、を可能な限り共通化することができる。したがって、更生用パイプ材70に碗22を載置し、トラップ本体21にストレーナ24をセットすれば、碗トラップ11の機能を回復することができる一方、更生用パイプ材70に、ショートユニオン61を介してユニット排水管63を繋ぎ込めば、浴室ユニットの排水処理が可能となる。
10…浴室排水口、11…碗トラップ、12…直下接続管、15…合成パイプ部、21…トラップ本体、21a…底板部、21b…外筒部、21c…内筒部、21d…接続ネジ部、22…碗、31…接続短管、32…L字継手、34…インナーパイプ、36…アウターパイプ、36a…本体パイプ部、36b…フランジ部、38…環状ソケット、41…コーティング剤、43…パイプセット治具、45…止水剤、47…第1接着剤、49…第2接着剤、55…エポキシ系パテ、57…第3接着剤、61…ショートユニオン、63…ユニット排水管、70…更生用パイプ材、71…挿入パイプ部、72…接合パイプ部、73…鍔部、S…スラブ、
Claims (10)
- 浴室排水トラップのトラップ本体廻りにおける流出流路の機能回復を可能とすると共に、浴室のユニット化に伴うユニット排水管の前記流出流路への繋込みを可能とする浴室排水口の改修方法であって、
底板部、前記底板部の外周端から上方に延びる外筒部、前記底板部の内周端から上方に延びる内筒部および前記底板部の内周端から下方に延びる接続ネジ部を有する前記トラップ本体の、前記内筒部を除去する内筒除去工程と、
前記接続ネジ部に接続された接続短管および前記接続短管に接続された排水継手を有する直下接続管に対し、前記流出流路となるインナーパイプを上部を残して挿入し、且つ水密性が維持された挿入状態とするインナー装着工程と、
前記内筒部に対応するアウターパイプを、前記インナーパイプの上部外周面に嵌着すると共に前記底板部に固着するアウター装着工程と、を備え、
前記アウターパイプは、前記ユニット排水管を接続するためのユニオン継手と接合可能に構成され、
前記インナーパイプは、前記ユニット排水管と略同径に形成されていることを特徴とする浴室排水口の改修方法。 - 前記インナー装着工程では、
挿入した前記インナーパイプと前記直下接続管との間隙に充填剤を充填することで、前記水密性が維持された挿入状態とすることを特徴とする請求項1に記載の浴室排水口の改修方法。 - 前記インナー装着工程では、
前記インナーパイプを内側から保持し前記直下接続管への挿入を可能とすると共に、前記インナーパイプの先端を前記直下接続管との間で封止可能とするパイプセット治具を用い、
前記インナーパイプを、先端が前記排水継手に達するように前記直下接続管に挿入すると共に、前記インナーパイプの先端を前記排水継手との間で封止し、この状態で、前記充填剤の充填が行われ、
充填した前記充填剤の硬化後に、前記パイプセット治具を前記インナーパイプから引き抜くことを特徴とする請求項2に記載の浴室排水口の改修方法。 - 前記インナー装着工程では、
前記トラップ本体の前記底板部上にいったん貯留した前記充填剤を、前記インナーパイプと前記直下接続管との間隙に流し込むようにして充填すると共に、前記充填剤が硬化した後に、前記底板部上の残余の前記充填剤を引き剥がすように除去することを特徴とする請求項2または3に記載の浴室排水口の改修方法。 - 前記インナー装着工程と前記アウター装着工程との間に、
前記トラップ本体の内周面にコーティング剤を塗布するコーティング工程を、更に備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の浴室排水口の改修方法。 - 前記アウターパイプは、一方の端部にフランジ部を有し、
前記アウター装着工程では、
高粘度の接着剤を用い、前記底板部上にフランジ部を着座させた状態で前記アウターパイプを前記インナーパイプの外周面に接着する第1固着工程と、
低粘度の接着剤を前記フランジ部が没するように前記底板部上に流し込んで、そのまま硬化させる第2固着工程と、を有していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の浴室排水口の改修方法。 - 前記第1固着工程では、
前記底板部上に前記フランジ部を着座させる前にこの着座させる部分にパテを盛付け、
且つ盛付けた前記パテを圧し潰しながら前記アウターパイプが鉛直姿勢となるように前記フランジ部を着座させることを特徴とする請求項6に記載の浴室排水口の改修方法。 - 前記アウターパイプに対し前記インナーパイプはわずかに上方に突出し、この突出部分に装着するための環状ソケットが用意されており、
前記アウター装着工程の後、
前記環状ソケットの下端を前記アウターパイプの上端に当接した状態で、前記環状ソケットの内周面を前記インナーパイプの前記突出部分の外周面に接着するソケット装着工程を、更に備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の浴室排水口の改修方法。 - トラップ本体の底板部の内周端から上方に延びる内筒部と、前記トラップ本体に接続され前記内筒部に連なる直下接続管と、により流出流路が構成された浴室排水口に対し、前記流出流路を更生するために前記内筒部に代えて設けられる更生用パイプ材であって、
前記直下接続管に挿入される挿入パイプ部と、
前記内筒部を兼ねると共に、ユニオン継手を介して浴室のユニット化に伴うユニット排水管が接合可能に構成された接合パイプ部と、
前記挿入パイプ部と前記接合パイプ部との境界部分に設けられ、前記底板部に着座する鍔部と、を備え、
前記挿入パイプ部の内周面と前記接合パイプ部の内周面とにより前記流出流路が形成され、
前記接合パイプ部の外周面により、前記ユニオン継手の接合代が形成されていることを特徴とする更生用パイプ材。 - 請求項9に記載の更生用パイプ材を用い、
前記トラップ本体廻りにおける流出流路の機能回復を可能とすると共に、浴室のユニット化に伴うユニット排水管の前記流出流路への繋込みを可能とする浴室排水口の改修方法であって、
前記内筒部を除去する内筒除去工程と、
前記挿入パイプ部を直下接続管に挿入すると共に前記鍔部を前記底板部に着座させるように、前記更生用パイプ材をセットするセット工程と、
挿入した前記挿入パイプ部と直下接続管との間隙に充填剤を充填する充填工程と、
前記鍔部を前記底板部に固着する固着工程と、を備えたことを特徴とする浴室排水口の改修方法。
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JP2021174662A JP2023064400A (ja) | 2021-10-26 | 2021-10-26 | 浴室排水口の改修方法および更生用パイプ材 |
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