JP2023063319A - リチウムイオン電池廃棄物の処理方法および、硫酸塩の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン電池廃棄物の処理方法および、硫酸塩の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不純物であるアルミニウムを有効に分離して除去することができるリチウムイオン電池廃棄物の処理方法および、硫酸塩の製造方法を提供する。【解決手段】リチウムイオン電池廃棄物の処理方法は、リチウムイオン電池廃棄物に湿式処理を施して得られ、少なくともコバルト、ニッケル、マンガン及びアルミニウムが溶解した酸性溶液に対し、pHを4.0~6.0に中和し、アルミニウムの一部を沈殿させ、固液分離により当該アルミニウムの一部を除去する前段中和工程と、前段中和工程の後、pHを11.0以上に中和し、アルミニウムの残部を液中に残し、固液分離によりコバルト、ニッケル及びマンガンを含む中和残渣を得る後段中和工程とを行うことを含む。【選択図】図1

Description

この明細書は、リチウムイオン電池廃棄物の処理方法および、硫酸塩の製造方法に関する技術を開示するものである。
近年は、製品寿命もしくは製造不良その他の理由より廃棄されたリチウムイオン二次電池の正極材を含むリチウムイオン電池廃棄物から、そこに含まれるコバルトやニッケルの有価金属を湿式処理により回収することが、資源の有効活用の観点から広く検討されている。
たとえばリチウムイオン電池廃棄物から有価金属を回収するには通常、焙焼その他の所定の工程を経て得られる電池粉等を、酸に添加して浸出し、そこに含まれ得るリチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅、アルミニウム等が溶解した酸性溶液とする。
そしてその後、複数段階の溶媒抽出もしくは中和等により、酸性溶液に溶解している各金属元素のうち、鉄、銅及びアルミニウム等を順次に又は同時に除去し、ニッケル、コバルト、マンガン及びリチウム等の有価金属を溶媒抽出によって分離と濃縮を行い、各金属が溶解した溶液を得る。ニッケルやコバルトは各溶液から電気分解等によって回収する(たとえば特許文献1~3参照)。
特開2010-180439号公報 米国特許出願公開第2011/0135547号明細書 特許第5706457号公報
ところで、リチウムイオン電池廃棄物からの金属の回収プロセスで、高純度のコバルトやニッケル、マンガンを、硫酸塩等の所定の無機酸との化合物の状態で回収することができれば、それらの化合物をリチウムイオン電池の製造に用いることが可能になる。このことは、有限である資源を効率的に再利用する循環型社会を目指す上で望ましい。
ここで、上述した回収プロセスでは、酸性溶液に溶解しているアルミニウムを、中和ないし溶媒抽出により分離させて除去している。しかしながら、中和等によっては、液中のアルミニウム濃度を十分に低下させることができない。それ故に、この場合は、リチウムイオン電池製造用の高純度の、コバルトやニッケル、マンガンの化合物を得ることが困難である。
この明細書では、不純物であるアルミニウムを有効に分離して除去することができるリチウムイオン電池廃棄物の処理方法および、硫酸塩の製造方法を開示する。
この明細書で開示するリチウムイオン電池廃棄物の処理方法は、リチウムイオン電池廃棄物に湿式処理を施して得られ、少なくともコバルト、ニッケル、マンガン及びアルミニウムが溶解した酸性溶液に対し、pHを4.0~6.0に中和し、アルミニウムの一部を沈殿させ、固液分離により当該アルミニウムの一部を除去する前段中和工程と、前段中和工程の後、pHを11.0以上に中和し、アルミニウムの残部を液中に残し、固液分離によりコバルト、ニッケル及びマンガンを含む中和残渣を得る後段中和工程とを行うことを含むものである。
この明細書で開示する硫酸塩の製造方法は、上記のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法を用いて、コバルト、ニッケル及びマンガンを含む硫酸塩を製造するものである。
上述したリチウムイオン電池廃棄物の処理方法によれば、不純物であるアルミニウムを有効に分離して除去することができる。
一の実施形態に係るリチウムイオン電池廃棄物の処理方法を示すフロー図である。 図1の前処理及び湿式処理の詳細を示すフロー図である。
以下に、リチウムイオン電池廃棄物の処理方法の実施の形態について詳細に説明する。
一の実施形態に係るリチウムイオン電池廃棄物の処理方法は、図1に示すように、リチウムイオン電池廃棄物に湿式処理を施して得られた酸性溶液に対して、前段中和工程及び後段中和工程を行うことを含む。この酸性溶液は、少なくともコバルト、ニッケル、マンガン及びアルミニウムが溶解して含まれる。
前段中和工程では、pHを4.0~6.0に中和し、アルミニウムの一部を沈殿させ、固液分離により当該アルミニウムの一部を除去する。後段中和工程では、前段中和工程の後、pHを11.0以上に中和し、アルミニウムの残部を液中に残し、固液分離によりコバルト、ニッケル及びマンガンを含む中和残渣を得る。
酸性溶液にさらに鉄が溶解している場合、図1に示すように、前段中和工程の前または、前段中和工程と後段中和工程との間に、酸化剤の供給下でpHを3.0~4.0にして、鉄を沈殿させ、固液分離により鉄を除去する酸化工程をさらに行うことができる。
(リチウムイオン電池廃棄物)
対象とするリチウムイオン電池廃棄物は、携帯電話その他の種々の電子機器等で使用され得るリチウムイオン二次電池で、電池製品の寿命や製造不良またはその他の理由によって廃棄されたものである。このようなリチウムイオン電池廃棄物から有価金属を回収することは、資源の有効活用の観点から好ましい。またここでは、有価金属であるコバルト及びニッケルを高純度で回収し、リチウムイオン二次電池の製造に再度使用できるものとすることを目的とする。
リチウムイオン電池廃棄物は、その周囲を包み込む外装として、アルミニウムを含む筐体を有する。この筐体としては、たとえば、アルミニウムのみからなるものや、アルミニウム及び鉄、アルミラミネート等を含むものがある。また、リチウムイオン電池廃棄物は、上記の筐体内に、リチウム、ニッケル、コバルト及びマンガンからなる群から選択される一種の単独金属酸化物又は、二種以上の複合金属酸化物等からなる正極活物質や、正極活物質が、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)その他の有機バインダー等によって塗布されて固着されたアルミニウム箔(正極基材)を含むことがある。またその他に、リチウムイオン電池廃棄物には、銅、鉄等が含まれる場合がある。さらに、リチウムイオン電池廃棄物には通常、筐体内に電解液が含まれる。電解液としては、たとえば、エチレンカルボナート、ジエチルカルボナート等が使用されることがある。
(前処理)
リチウムイオン電池廃棄物に対する前処理には、図2に示すように、焙焼工程、破砕工程及び篩別工程が含まれることがある。
焙焼工程では、上記のリチウムイオン電池廃棄物を加熱する。この焙焼工程は、たとえば、リチウムイオン電池廃棄物に含まれるリチウム、コバルト等の金属を、溶かしやすい形態に変化させること等を目的として行う。焙焼工程では、リチウムイオン電池廃棄物を、たとえば450℃~1000℃、好ましくは600℃~800℃の温度範囲で0.5時間~4時間にわたって保持する加熱を行うことが好適である。この焙焼工程は、ロータリーキルン炉その他の各種の炉や、大気雰囲気で加熱を行う炉等の様々な加熱設備を用いて行うことができる。
焙焼工程の後は、リチウムイオン電池廃棄物の筐体から正極材及び負極材を取り出すための破砕工程を行うことができる。破砕工程は、リチウムイオン電池廃棄物の筐体を破壊するとともに、正極活物質が塗布されたアルミニウム箔から正極活物質を選択的に分離させるために行う。
ここでは、種々の公知の装置ないし機器を用いることができるが、特に、リチウムイオン電池廃棄物を切断しながら衝撃を加えて破砕することのできる衝撃式の粉砕機を用いることが好ましい。この衝撃式の粉砕機としては、サンプルミル、ハンマーミル、ピンミル、ウィングミル、トルネードミル、ハンマークラッシャ等を挙げることができる。なお、粉砕機の出口にはスクリーンを設置することができ、それにより、リチウムイオン電池廃棄物は、スクリーンを通過できる程度の大きさにまで粉砕されると粉砕機よりスクリーンを通じて排出される。
破砕工程でリチウムイオン電池廃棄物を破砕した後は、たとえばアルミニウムの粉末を除去する目的で、適切な目開きの篩を用いてリチウムイオン電池スクラップを篩別する。それにより、篩上にはアルミニウムや銅が残り、篩下にはアルミニウムや銅がある程度除去された粉状ないし粒状のリチウムイオン電池廃棄物を得ることができる。
(湿式処理)
その後の湿式処理は、図2に示すように、リチウムイオン電池廃棄物中のリチウムを、水もしくは酸性水溶液で溶解させるリチウム溶解工程、および、リチウム溶解工程でリチウムを分離させた後のリチウムイオン電池廃棄物を、酸に浸出させ、前記酸性溶液を得る酸浸出工程を含むことがある。
リチウム溶解工程では、前処理を経たリチウムイオン電池廃棄物を水と接触させ、それに含まれるリチウムを溶解させる。これにより、リチウムイオン電池廃棄物に含まれるリチウムを、回収プロセスの早い段階で分離させることができる。ここで使用する水は、水道水、工業用水、蒸留水、精製水、イオン交換水、純水、超純水等とすることができる。リチウムイオン電池廃棄物と接触させる水は、硫酸等の酸を添加して酸性水溶液としてもよい。リチウムイオン電池廃棄物と水もしくは酸性水溶液との接触時の液温は、10℃~60℃とすることができる。液温が低いほど炭酸リチウムの溶解度が高いため、液温は低い方が好ましい。パルプ濃度は、50g/L~150g/Lとすることができる。このパルプ濃度はリチウムイオン電池廃棄物と接触させる水等の量(L)に対する、リチウムイオン電池廃棄物の乾燥重量(g)の比を意味する。
酸浸出工程では、上記のリチウム溶解工程でリチウムを分離させたリチウムイオン電池廃棄物を、硫酸等の酸に添加して浸出させる。酸浸出工程は公知の方法ないし条件で行うことができるが、pHは0.0~2.0とすること、酸化還元電位(ORP値、銀/塩化銀電位基準)を0mV以下とすることが好適である。
これにより、少なくともコバルト、ニッケル、マンガン及びアルミニウムが溶解した酸性溶液が得られる。当該酸性溶液にはさらに、鉄、リン及びフッ素からなる群から選択される少なくとも一種が溶解して含まれることがある。
たとえば、酸性溶液中のコバルト濃度は1g/L~30g/L、ニッケル濃度は1g/L~50g/L、マンガン濃度は1g/L~50g/L、アルミニウム濃度は0.010g/L~10g/L、鉄濃度は0.1g/L~5g/Lである場合がある。
(前段中和工程)
上述した酸性溶液に対しては前段中和工程を行う。前段中和工程では、酸性溶液にアルカリを添加して、pHが4.0~6.0になるように中和する。これにより、酸性溶液に溶解していたアルミニウムの一部が沈殿する。そして、フィルタープレスやシックナー等を用いた固液分離により、当該アルミニウムの一部を含む残渣を除去することができる。
前段中和工程で、pHが低すぎるとアルミニウムを十分に沈殿させることができず、この一方で、pHが高すぎると、コバルト等の他の金属も沈殿してしまう。この観点より、前段中和工程におけるpHは、4.0~6.0とすることがより好ましく、特に、4.5~5.0とすることがさらに好ましい。
前段中和工程では、pHを上述した範囲内に上昇させるため、酸性溶液に、たとえば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等のアルカリを添加することができる。
前段中和工程では、酸性溶液の酸化還元電位(ORPvsAg/AgCl)、つまりORP値を-500mV~100mVとすることが好ましく、さらには、-400mV~0mVとすることがより好ましい。このときのORP値が高すぎる場合は、コバルトが四酸化三コバルト(Co34)として沈殿するおそれがあり、この一方で、ORP値が低すぎると、コバルトが単体金属(Coメタル)に還元されて沈殿することが懸念される。
前段中和工程は、液温を50℃~90℃とすることが好適である。これはすなわち、液温を50℃未満とした場合は、反応性が悪くなることが懸念され、また、90℃より高くした場合は、高熱に耐えられる装置が必要になる他、安全上も好ましくない。そのため、液温は60℃~90℃とすることが好ましい。
前段中和工程では、液中のアルミニウム濃度を、好ましくは30mg/L~50mg/Lとする。なお、後段中和工程後まで、このアルミニウム濃度を維持し、当該アルミニウムの残部は後段中和工程後に、アルミニウム含有液として廃棄することができる。
(酸化工程)
酸性溶液に鉄が含まれる場合、図1に示すように、上述した前段中和工程の前または、前段中和工程と後述の後段中和工程との間に、酸化工程を行うことができる。但し、この酸化工程は省略することもある。
酸化工程では、前段中和工程前又は前段中和工程後の酸性溶液に、酸化剤を添加するとともに、そのpHを3.0~4.0の範囲内に調整することにより、液中の鉄を沈殿させる。その後、固液分離を行うことにより、沈殿した鉄を除去することができる。
酸化工程では、酸化剤の添加により、液中の鉄が2価から3価へ酸化されることになる。ここで、3価の鉄は2価の鉄よりも低いpHで酸化物又は水酸化物として沈殿することから、上記のような比較的低いpHに調整することで、鉄を沈殿させることができる。多くの場合、鉄は、水酸化鉄(Fe(OH)3)等の固体となって沈殿する。
なおここで、仮にpHを大きく上昇させた場合はコバルトの沈殿を招く。これに対し、この酸化工程では、それほどpHを上昇させることなしに、鉄を沈殿させることができるので、この際のコバルトの沈殿を有効に抑制することができる。
酸化工程で、pHが低すぎると鉄を十分に沈殿させることができず、この一方で、pHが高すぎると、コバルト等の他の金属も沈殿してしまう。この観点より、酸化工程でのpHは3.0~4.0とすることがより好ましく、特に3.0~3.5とすることがさらに好ましい。
また酸化工程では、ORP値を、好ましくは300mV~900mV、より好ましくは500mV~700mVとする。このときのORP値が低すぎる場合は、鉄が酸化されない可能性があり、この一方で、ORP値が高すぎると、コバルトが酸化され酸化物として沈殿するおそれがある。
酸化工程では、酸化剤の添加に先立って、上述した範囲にpHを低下させるため、第一分離後液に、たとえば、硫酸、塩酸、硝酸等の酸を添加することができる。
酸化剤は、鉄を酸化できるものであれば特に限定されないが、二酸化マンガン、正極活物質、及び/又は、正極活物質を浸出して得られるマンガン含有浸出残渣とすることが好ましい。これらは、鉄を効果的に酸化させることができる。なお、正極活物質を酸等により浸出して得られるマンガン含有浸出残渣には、二酸化マンガンが含まれ得る。酸化剤として上記の正極活物質等を用いる場合、液中に溶解しているマンガンが二酸化マンガンとなる析出反応が生じるので、析出したマンガンを鉄とともに除去することができる。
酸化剤の添加後は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等のアルカリを添加して、pHを所定の範囲に調整することができる。
(後段中和工程)
前段中和工程の後、または酸化工程の後、後段中和工程を行う。後段中和工程では、アルカリの添加によりpHを11.0以上に中和し、アルミニウムの残部は液中に残す一方で、コバルト、ニッケル及びマンガンを沈殿させる。そして、固液分離により、コバルト、ニッケル及びマンガンを含む中和残渣を、アルミニウム含有液から分離させて得ることができる。
中和では、コバルト、ニッケル及びマンガンのロスを抑えつつ、アルミニウムを十分に沈殿させることは困難である。それ故に、この前段中和工程では、回収対象のコバルト、ニッケル及びマンガンを沈殿させるとともに、前段中和工程で沈殿しなかったアルミニウムの残部を溶解させたままで液中に残す。これにより、コバルト、ニッケル及びマンガンから、ほぼ全てのアルミニウムを分離させることが可能になる。
ここでは、pHを11.0以上にすることにより、アルミニウムを液中に有効に残すことができる。pHを11.0未満にすると、アルミニウムの残部が沈殿し、これがコバルト等とともに中和残渣に含まれ、十分な分離ができない。この観点から、前段中和工程では、pHを11.0以上とすることが好ましい。一方、pHが高すぎると、コストの無駄な増加が懸念されるので、pHは12.0以下、さらに11.5以下とすることが好適である。
後段中和工程でのORP値は、好ましくは500mV~1400mV、より好ましくは700mV~1200mVとする。ここでのORP値が大きすぎると、コバルトなどが酸化物となることが懸念され、また小さすぎると、鉄の酸化不良となるおそれがある。
後段中和工程での液温は、60℃~90℃とすることができる。
このような条件で後段中和工程を行うことにより、前段中和工程での液中のアルミニウム濃度を、後段中和工程まで維持することができる。したがって、後段中和工程の固液分離により、アルミニウム含有液としてアルミニウムの残部を有効に除去することができる。
後段中和工程の固液分離で得られる中和残渣は通常、コバルト、ニッケル及びマンガンを水酸化物として含む。つまり、中和残渣は、水酸化コバルト、水酸化ニッケル及び水酸化マンガンを含むことがある。また中和残渣は、各金属の酸化物Co34、Mn34、Mn23、Ni34などを含む場合がある。
(洗浄工程)
中和残渣は、必要に応じて洗浄工程に供することができる。洗浄工程では、中和残渣を純水その他の水に浸漬させること等により当該水と接触させて、中和残渣に含まれ得るナトリウムを溶かす。このとき、中和残渣に含まれ得るリン及び/又はフッ素も溶出することがある。なおこの際に攪拌してもよい。そして、固液分離により、ナトリウム含有液として、ナトリウム等を除去することができる。
洗浄時の液温は0℃~100℃とし、洗浄時間は0.01時間~24時間とすることが好ましい。洗浄操作は一回又は複数回行うことができる。
(溶解工程)
溶解工程では、上記の中和残渣を硫酸酸性溶液に溶解させ、その後、中和残渣が溶解した硫酸酸性溶液を加熱濃縮し、又は冷却する。そして、これに対して固液分離をすることにより、コバルト、ニッケル及びマンガンを含む硫酸塩を得ることができる。
中和残渣が溶解した硫酸酸性溶液は、たとえば30℃~100℃、好ましくは80℃に加熱して濃縮することができる。あるいは、当該硫酸酸性溶液を、たとえば-20℃~10℃、好ましくは0℃に冷却してもよい。これにより、コバルト、ニッケル及びマンガンを含む硫酸塩が析出する。
これにより得られる硫酸塩は、硫酸コバルト、硫酸ニッケル及び硫酸マンガンが混合して含まれる。この硫酸塩は、たとえば、ナトリウム品位が20質量ppm以下、鉄品位が5質量ppm以下、アルミニウム品位が10質量ppm以下等というように、不純物品位が十分に低減されたものになる。それ故に、かかる複合塩は、リチウムイオン電池の製造に有効に用いることができる。
なお、硫酸塩のコバルト品位は、たとえば1質量%~5質量%、好ましくは2質量%~3質量%である。また、ニッケル品位は、たとえば1質量%~10質量%、好ましくは3質量%~6質量%である。また、マンガン品位は、たとえば1質量%~10質量%、好ましくは3質量%~6質量%である。
上述した処理方法により、たとえば、コバルトの回収率は96%、ニッケルの回収率は98.6%、マンガンの回収率は99%になることがある。この回収率は、リチウムイオン電池廃棄物から得られる中間品を原料とし、その原料を硫酸浸出した液中の各金属の含有量を基準とし、各工程を繰返し行わず、その際に系外に移行したロス分を差し引いて算出したものである。
次に、上述したリチウムイオン電池廃棄物の処理方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、これに限定されることを意図するものではない。
リチウムイオン電池廃棄物に対して焙焼、破砕及び篩別の前処理を施すとともに、リチウム溶解及び酸浸出の湿式処理を施して、Ni:5g/L、Co:25g/L、Mn:1g/L、Fe:0.050g/L、Al:0.100g/Lの組成の酸性溶液を得た。
この酸性溶液に対し、ORP:-300mV(Ag/AgCl)、pH5.0とする前段中和工程を行い、AlをAl(OH)3の水酸化物にして固液分離を行った。この段階でAl濃度は1800mg/Lから30mg/Lに低減されていた。
次いで、酸化工程として、ORP:400mV(Ag/AgCl)、pH4.0とし、FeをFe(OH)3の水酸化物にして、固液分離により除去した。これにより、Fe濃度は360mg/Lから<1mg/Lになった。なお、この際のAl濃度は30mg/Lのままであった。
その後、後段中和工程として、ORP:400mV(Ag/AgCl)、pH11.0とし、Co、Ni、MnをCo(OH)2、Ni(OH)2、Mn(OH)2にして、固液分離を行った。このとき、pH11.0でのAl溶解度は800mg/Lであることから、Alは濃度が30mg/Lのまま液中に溶存していた。
固液分離により得られた水酸化物を含む中和残渣を純水で洗浄し、中和残渣からナトリウムを除去した。
さらにその後、中和残渣を硫酸で溶解し、加熱濃縮することにより、Co、Ni及びMnを含み不純物の少ない硫酸塩を得ることができた。硫酸塩はNa<20質量ppm、Fe<5質量ppm、Al<10質量ppmであり、バッテリーグレードであった。
この明細書で開示するリチウムイオン電池廃棄物の処理方法は、リチウムイオン電池廃棄物に湿式処理を施して得られ、少なくともコバルト、ニッケル、マンガン及びアルミニウムが溶解した酸性溶液であって、アルミニウム濃度が800mg/L以下である酸性溶液に対し、pHを11.0以上に中和し、アルミニウムを液中に残し、固液分離によりコバルト、ニッケル及びマンガンを含む中和残渣を得る中和工程を行うことを含むものである。

Claims (9)

  1. リチウムイオン電池廃棄物を処理する方法であって、
    リチウムイオン電池廃棄物に湿式処理を施して得られ、少なくともコバルト、ニッケル、マンガン及びアルミニウムが溶解した酸性溶液に対し、
    pHを4.0~6.0に中和し、アルミニウムの一部を沈殿させ、固液分離により当該アルミニウムの一部を除去する前段中和工程と、
    前段中和工程の後、pHを11.0以上に中和し、アルミニウムの残部を液中に残し、固液分離によりコバルト、ニッケル及びマンガンを含む中和残渣を得る後段中和工程と
    を行うことを含む、リチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  2. 前記酸性溶液にさらに鉄が溶解して含まれ、
    前段中和工程の前または、前段中和工程と後段中和工程との間に、酸化剤の供給下でpHを3.0~4.0にして、鉄を沈殿させ、固液分離により鉄を除去する酸化工程をさらに行うことを含む、請求項1に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  3. 後段中和工程で得られる前記中和残渣が、水酸化コバルト、水酸化ニッケル及び水酸化マンガンを含む、請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  4. 前段中和工程で、液中のアルミニウム濃度を30mg/L~50mg/Lとし、後段中和工程後まで該アルミニウム濃度を維持する、請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  5. 前記湿式処理が、リチウムイオン電池廃棄物を焙焼する焙焼工程を経た後のリチウムイオン電池廃棄物中のリチウムを、水もしくは酸性水溶液で溶解させるリチウム溶解工程、および、リチウム溶解工程でリチウムを分離させた後のリチウムイオン電池廃棄物を、酸に浸出させ、前記酸性溶液を得る酸浸出工程を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  6. 後段中和工程の後、前記中和残渣を硫酸酸性溶液に溶解させ、該硫酸酸性溶液を加熱濃縮又は冷却し、固液分離によりコバルト、ニッケル及びマンガンを含む硫酸塩を得る溶解工程をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  7. 前記中和残渣がナトリウムを含み、
    後段中和工程と溶解工程との間に、前記中和残渣を洗浄して、該中和残渣からナトリウムを除去する洗浄工程をさらに含む、請求項6に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  8. 前記硫酸塩のアルミニウム品位が10質量ppm以下である、請求項6又は7に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  9. 請求項6~8のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法を用いて、コバルト、ニッケル及びマンガンを含む硫酸塩を製造する、硫酸塩の製造方法。
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