JP7317761B2 - リチウムイオン電池廃棄物の処理方法 - Google Patents

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Description

この明細書は、リチウムイオン電池廃棄物の処理方法に関する技術を開示するものである。
近年は、製品寿命もしくは製造不良その他の理由より廃棄されたリチウムイオン二次電池の正極材を含むリチウムイオン電池廃棄物等から、そこに含まれるコバルトやニッケルの有価金属を湿式処理により回収することが、資源の有効活用の観点から広く検討されている。
たとえばリチウムイオン電池廃棄物から有価金属を回収するプロセスでは、通常、焙焼等の処理を行った後の粉末状等のリチウムイオン電池廃棄物を、酸性浸出液に添加して浸出し、そこに含まれ得るコバルト、ニッケル、マンガン等が溶解した浸出後液とする。
そしてその後、浸出後液から鉄等を分離して除去し、さらに複数段階の溶媒抽出により、液中の各金属イオンを分離する。複数段階の溶媒抽出は、コバルトイオンを抽出するとともに逆抽出すること、その後、ニッケルイオンを抽出するとともに逆抽出することが含まれる。各逆抽出により得られるコバルトイオンを含む溶液及び、ニッケルイオンを含む溶液に対してはそれぞれ電気分解を行い、コバルト及びニッケルの各々をメタルの状態で回収している(たとえば特許文献1参照)。
上述したリチウムイオン電池廃棄物が銅を含むものであった場合、当該銅は酸性浸出液に浸出し、イオンとして浸出後液に含まれ得る。この場合、浸出後液からコバルトやニッケルを回収するに先立って、浸出後液中の銅イオンを除去することが必要になり、銅除去のための工程が増大するとともに、コストが増大する。
ここで、特許文献2には、「銅を含有するリチウムイオン電池スクラップから、銅を除去する方法であって、前記リチウムイオン電池スクラップを酸性溶液中に添加し、酸性溶液中にアルミニウムの固体が存在する状況下で、該リチウムイオン電池スクラップを浸出させる浸出工程と、浸出工程の後、酸性溶液から、該酸性溶液中に固体として含まれる銅を分離させる銅分離工程とを含む」ものが提案されている。これによれば、「浸出工程では、銅の浸出率を十分に小さく抑えることができるので、その後の銅分離工程で、酸性溶液中に固体として含まれる銅を有効かつ容易に分離させて除去することができる。」としている。
特開2014-162982号公報 特開2016-191134号公報
ところで、リチウムイオン電池廃棄物には、たとえば負極材に用いられている炭素が含まれることが多い。このような炭素は、リチウムイオン電池廃棄物を酸性浸出液で浸出させた際に溶解せずに、浸出残渣に移行する。ここで、特許文献2に記載されたように、浸出時に銅の浸出率を小さく抑えると、浸出残渣には炭素と銅が混合して含まれることになる。炭素と比較的多量の銅を含む浸出残渣は、燃料等の他の用途に使用することが困難であり、廃棄せざるを得ない。
この明細書では、リチウムイオン電池廃棄物中の銅を、酸浸出後に得られる浸出残渣に残さなくても有効に除去することができるリチウムイオン電池廃棄物の処理方法を開示する。
この明細書で開示するリチウムイオン電池廃棄物の処理方法は、銅を含むリチウムイオン電池廃棄物を処理する方法であって、リチウムイオン電池廃棄物を酸性浸出液に浸出させ、浸出後に固液分離を行い、銅イオンを含む浸出後液を得る浸出工程と、前記浸出後液を電解液とし、当該浸出後液から電解採取により銅を析出させて回収する電解工程とを含むというものである。
上述したリチウムイオン電池廃棄物の処理方法によれば、リチウムイオン電池廃棄物中の銅を、酸浸出後に得られる浸出残渣に残さなくても有効に除去することができる。
一の実施形態に係るリチウムイオン電池廃棄物の処理方法を含む金属回収プロセスの一例を示すフロー図である。
以下に、上述したリチウムイオン電池廃棄物の処理方法の実施の形態について詳細に説明する。
一の実施形態に係るリチウムイオン電池廃棄物の処理方法は、銅を含むリチウムイオン電池廃棄物を対象とし、リチウムイオン電池廃棄物を酸性浸出液に浸出させ、浸出後に固液分離を行い、銅イオンを含む浸出後液を得る浸出工程と、前記浸出後液を電解液とし、当該浸出後液から電解採取により銅を析出させて回収する電解工程とを含むものである。この処理方法は、たとえば、図1に例示するような金属回収プロセスに組み込まれて使用され得る。
ここでは、浸出工程で、リチウムイオン電池廃棄物中の銅の一部又は全部を、酸性浸出液に溶かす。そしてその後、浸出工程で得られて銅イオンを含む浸出後液に対し、浸出後液から電解採取により銅を析出させて回収する電解工程を行う。これにより、浸出工程で得られる浸出残渣中への銅の混入を抑制できるとともに、電解工程で銅を回収することができる。このような浸出残渣は、銅の含有量が少なく又は銅がほとんど含まれず、炭素を含む場合は燃料等として有効に用いることができる。
(リチウムイオン電池廃棄物)
対象とするリチウムイオン電池廃棄物は、携帯電話その他の種々の電子機器等で使用され得るリチウムイオン二次電池で、電池製品の寿命や製造不良またはその他の理由によって廃棄されたものである。このようなリチウムイオン電池廃棄物から有価金属を回収することは、資源の有効活用の観点から好ましい。
リチウムイオン電池廃棄物は、その周囲を包み込む外装として、アルミニウムを含む筐体を有する。この筐体としては、たとえば、アルミニウムのみからなるものや、アルミニウム及び鉄、アルミラミネート等を含むものがある。また、リチウムイオン電池廃棄物は、上記の筺体内に、リチウム、ニッケル、コバルト及びマンガンからなる群から選択される一種の単独金属酸化物又は、二種以上の複合金属酸化物等からなる正極活物質や、正極活物質が、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)その他の有機バインダー等によって塗布されて固着されたアルミニウム箔(正極基材)を含むことがある。またその他に、リチウムイオン電池廃棄物には、銅、鉄等が含まれる場合がある。この実施形態では、銅を含むリチウムイオン電池廃棄物を対象とする。さらに、リチウムイオン電池廃棄物には通常、筺体内に電解液が含まれる。電解液としては、たとえば、エチレンカルボナート、ジエチルカルボナート等が使用されることがある。
上述したリチウムイオン電池廃棄物に対しては、多くの場合、前処理として、焙焼処理、破砕処理及び篩別処理を行うことがある。
焙焼処理では、上記のリチウムイオン電池廃棄物を加熱する。この焙焼処理は、たとえば、リチウムイオン電池廃棄物に含まれるリチウム、コバルト等の金属を、溶かしやすい形態に変化させること等を目的として行う。焙焼処理では、リチウムイオン電池廃棄物を、たとえば450℃~1000℃、好ましくは600℃~800℃の温度範囲で0.5時間~4時間にわたって保持する加熱を行うことが好適である。ここでは、ロータリーキルン炉その他の各種の炉や、大気雰囲気で加熱を行う炉等の様々な加熱設備を用いて行うことができる。
焙焼処理の後は、リチウムイオン電池廃棄物の筐体から正極材及び負極材を取り出すための破砕処理を行うことができる。破砕処理は、リチウムイオン電池廃棄物の筺体を破壊するとともに、正極活物質が塗布されたアルミニウム箔から正極活物質を選択的に分離させるために行う。
破砕処理には、種々の公知の装置ないし機器を用いることができるが、特に、リチウムイオン電池廃棄物を切断しながら衝撃を加えて破砕することのできる衝撃式の粉砕機を用いることが好ましい。この衝撃式の粉砕機としては、サンプルミル、ハンマーミル、ピンミル、ウィングミル、トルネードミル、ハンマークラッシャ等を挙げることができる。なお、粉砕機の出口にはスクリーンを設置することができ、それにより、リチウムイオン電池廃棄物は、スクリーンを通過できる程度の大きさにまで粉砕されると粉砕機よりスクリーンを通じて排出される。
破砕処理でリチウムイオン電池廃棄物を破砕した後は、たとえばアルミニウムの粉末を除去する目的で、適切な目開きの篩を用いてリチウムイオン電池廃棄物を篩分けする篩別処理を行う。それにより、篩上にはアルミニウムや銅が残り、篩下にはアルミニウムや銅がある程度除去された電池粉を得ることができる。
このような前処理を経たリチウムイオン電池廃棄物は、粉末状のもの(いわゆる電池粉)になる。
後述の浸出工程に供するリチウムイオン電池廃棄物は、銅が、たとえば0.1質量%~30質量%、典型的には1質量%~8質量%で含むことがある。また、リチウムイオン電池廃棄物は、アルミニウムが、たとえば0.1質量%~30質量%、典型的には1質量%~8質量%で含まれ得る。その他、リチウムイオン電池廃棄物は、リチウムが0.1質量%~20質量%、コバルトが0.1質量%~40質量%、ニッケルが0.1質量%~40質量%、マンガンが0.1質量%~40質量%で含む場合がある。さらに鉄等が含まれることもある。
(浸出工程)
浸出工程では、上述したリチウムイオン電池廃棄物を、硫酸等の酸性浸出液に添加して浸出させる。なお必要に応じて、上記の酸性浸出液による浸出の前に予め、電池粉を水、弱酸性溶液、アルカリ性溶液のいずれかと接触させ、リチウムイオン電池廃棄物に含まれるリチウムのみを浸出して分離させてもよい。この場合、電池粉を水等と接触させてリチウムを浸出させた後のリチウムイオン電池廃棄物を、上記の酸性浸出液に添加して酸浸出を行う。
浸出工程での酸浸出は公知の方法ないし条件で行うことができるが、pHは0.0~4.0とすること、酸化還元電位(ORP値、銀/塩化銀電位基準)を0mV以上とすることが好適である。
酸性浸出液を用いた浸出では、リチウムイオン電池廃棄物中の銅の一部又は全部を、酸性浸出液に溶かす。そして、当該浸出後に固液分離を行うことにより、少なくとも銅が溶解して銅イオンを含む浸出後液と、浸出残渣とが得られる。酸性浸出液による浸出で、銅の浸出率は、50%以上、さらには80%以上とすることが好ましい。これにより、浸出残渣への銅の混入を抑制することができる。リチウムイオン電池廃棄物が炭素を含む場合、浸出残渣には当該炭素が含まれる。このとき、浸出残渣に銅がほとんど含まれていないと、浸出残渣を廃棄せずに燃料等として有効に用いることが可能になる。このように銅の浸出率を高めるには、たとえば、銅よりも卑な金属であるアルミニウムを上記の篩別処理の際にできるだけ多く取り除いておくことや、酸浸出時にリチウムイオン電池廃棄物にアルミニウムが含まれていたとしても当該アルミニウムが溶け切った後もさらに浸出を継続させること等が考えられる。
浸出前の原料(リチウムイオン電池廃棄物)中の銅はできるだけ少ないほうが良く、銅は先述の篩別処理で篩上に残すようにするが、完全には除去できずに浸出前の原料中に含まれる。従って、原料中に含まれる銅をすべて浸出した場合の浸出後液として、浸出後液中の銅イオン濃度が8g/L以下が好ましく、6g/L以下がより好ましい。銅イオンの他、コバルトイオン、ニッケルイオン、マンガンイオン及びアルミニウムイオンを含む場合がある。典型的には、浸出後液のコバルトイオン濃度は1g/L~50g/L、ニッケルイオン濃度は1g/L~50g/L、マンガンイオン濃度は1g/L~50g/L、アルミニウムイオン濃度は0.010g/L~10g/L、鉄イオン濃度は0.1g/L~5g/Lである。浸出後液はさらに、リチウム及び鉄等を含むこともある。
一方、浸出残渣は主として炭素を多く含む。浸出残渣には、銅が含まれることがあるが、その含有量は少ないほうが好ましい。浸出残渣を廃棄せずにその後に燃料として有効に使用するとの観点から、特に、浸出残渣の銅含有量は、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。
(電解工程)
浸出工程の後、上述した浸出後液を電解液として、浸出後液から電解採取により銅を析出させて回収する電解工程を行う。
電解工程では、一般に用いられる電解槽を使用することができる。具体的には、電解槽内に上記の浸出後液を貯留させ、そこに浸漬させたアノード(陽極)及びカソード(陰極)間に電圧を印加する。アノードは、チタン板又は、チタン板に貴金属または貴金属酸化物を付与した不溶性電極等とすることができる。カソードは、チタン板、銅板又はSUS板とすることができる。
アノード及びカソード間に電圧を印加して電気分解を行うと、カソード側では電解液に含まれる銅が、カソードの表面で析出するとともに、電解液中の水素イオン(H+)が消費されて水素(H2)が発生する。この一方で、アノード側では、電解液に含まれるマンガンが、二酸化マンガンとなってアノードの表面で析出するとともに、次式:H2O→1/2O2+2H++2e-の反応により、水(H2O)が電気分解して酸素(O2)及び水素イオン(H+)が発生する。
ここで、この実施形態では、電解液とする浸出後液の銅イオン濃度が、たとえば8g/L以下程度であり、これは一般的な銅の電解採取等と比較してかなり低い。それ故に、ここでは、このような低い銅イオン濃度の電解液で銅を有効に析出させつつ、コバルト、ニッケル等の他の金属の析出を抑えるため、電解条件を調整することが望ましい。特に、コバルト、ニッケル等をロスせずに次工程で回収するためには、電解採取後の電解液中の銅イオン濃度を0.1g/L以下にすることが望ましい。具体的には次のとおりである。
電解液のpHは1.5以下、さらには1以下とすることが好ましい。電解液のpHが高すぎると、ニッケル、コバルトが析出するおそれがあるからである。一方、電解液のpHが低すぎる場合は後工程で中和に負担がかかるので、電解液のpHは0以上、特に0.5以上とすることが好適である。
また電解工程では、電流密度は、好ましくは0.1A/dm2~3.0A/dm2、より好ましくは上限側を1.0A/dm2以下とする。電流密度が高すぎる場合は、電流効率が下がることが懸念される。一方、電流密度が低すぎる場合は、銅の電着に時間を要するおそれがある。
なお、電解採取の際の電解液の温度は、50℃~90℃とすることができる。50℃未満では電着が進み難く、90℃よりも高温にすることは高コストとなる。
上述したような電解工程では、電解液の銅イオン濃度が比較的低いこと等に起因して、カソード表面で銅が析出して得られる電気銅が、箔状ないし板状ではなく、粉粒体状になることがある。
このような電気銅の回収は、リチウムイオン電池廃棄物からの有価金属の回収の観点から回収された電気銅にコバルトやニッケルが含まれることは有価金属回収の低下につながるので、コバルト含有量及びニッケル含有量が少ないことが好適である。具体的にはコバルト含有量及びニッケル含有量がともに、好ましくは1.0質量%以下である。電気銅は、その他、マンガン、鉄及びリチウムからなる群から選択される少なくとも一種を含む場合があるが、この場合、それらの含有量は合計で10質量%以下であることが好適である。
(中和工程)
電解工程で銅が除去されて得られる電解後液が、アルミニウムイオン及び/又は鉄イオンを含む場合、電解後液に対して中和工程を行うことができる。但し、中和工程は省略することもある。
中和工程では、はじめに、電解後液に水酸化ナトリウム等のアルカリを添加して所定のpHになるように中和する。これにより、電解後液に溶解していたアルミニウムの一部が沈殿する。そして、フィルタープレスやシックナー等を用いた固液分離により、当該アルミニウムの一部を含む残渣を除去することができる。
ここでは、アルカリの添加によりpHを4.0~6.0とすることがより好ましい。アルカリの添加直後の電解後液の酸化還元電位(ORPvsAg/AgCl)は300mV~500mVが好ましい。アルカリの添加による中和後の液(後述する酸化剤の添加前の液)のORPは、pHにもよるが、0mV~500mVが好ましい。液温は50℃~90℃とすることが好適である。
その後、酸化剤を添加するとともに、pHを3.0~4.0の範囲内に調整することにより、液中の鉄を沈殿させることができる。酸化剤の添加により液中の鉄が2価から3価へ酸化され、3価の鉄は2価の鉄よりも低いpHで酸化物又は水酸化物として沈殿する。多くの場合、鉄は、水酸化鉄(Fe(OH)3)等の固体となって沈殿する。沈殿した鉄は、固液分離により除去することができる。
鉄を沈殿させるため、酸化時のORP値は、好ましくは300mV~900mVとする。なお、酸化剤の添加に先立って、pHを低下させるため、たとえば、硫酸、塩酸、硝酸等の酸を添加することができる。
酸化剤は、鉄を酸化できるものであれば特に限定されないが、二酸化マンガン、正極活物質、及び/又は、正極活物質を浸出して得られるマンガン含有浸出残渣とすることが好ましい。正極活物質を酸等により浸出して得られるマンガン含有浸出残渣には、二酸化マンガンが含まれ得る。酸化剤として上記の正極活物質等を用いる場合、液中に溶解しているマンガンが二酸化マンガンとなる析出反応が生じるので、析出したマンガンを鉄とともに除去することができる。
酸化剤の添加後は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等のアルカリを添加して、pHを所定の範囲に調整することができる。
(Mn抽出工程)
電解後液又は、中和工程後に得られる中和後液に対しては、溶媒抽出により、マンガン及び、場合によってもアルミニウムの残部を抽出して除去するMn抽出工程を行うことができる。この場合、マンガンおよびアルミニウムの残部を抽出することによって、それらが除去された抽出残液(水相)としてのMn抽出後液を得る。
Mn抽出工程では、燐酸エステル系抽出剤及びオキシム系抽出剤を含有する混合抽出剤を使用することが好ましい。
ここで、燐酸エステル系抽出剤としては、たとえばジ-2-エチルヘキシルリン酸(商品名:D2EHPA又はDP8R)等が挙げられる。オキシム系抽出剤は、アルドキシムやアルドキシムが主成分のものが好ましい。具体的には、たとえば2-ヒドロキシ-5-ノニルアセトフェノンオキシム(商品名:LIX84)、5-ドデシルサリシルアルドオキシム(商品名:LIX860)、LIX84とLIX860の混合物(商品名:LIX984)、5-ノニルサリチルアルドキシム(商品名:ACORGAM5640)等があり、そのなかでも価格面等から5-ノニルサリチルアルドキシムが好ましい。
燐酸エステル系抽出剤として、たとえばジ-2-エチルヘキシルリン酸(商品名:D2EHPA又はDP8R)を使用したアルミニウム及びマンガンを抽出する際の溶媒抽出では、pHを、好ましくは2.5~4.0、より好ましくは2.8~3.3とする。
(回収工程)
Mn抽出工程で得られるMn抽出後液には、そこからコバルト及び/又はニッケルを回収するとともに、必要であればさらにリチウムを回収する回収工程を行うことができる。
より詳細には、はじめにコバルトの回収を行い、ここでは、上記の抽出工程の抽出残液に対して、好ましくはホスホン酸エステル系抽出剤を使用して溶媒抽出を行って、コバルトイオンを溶媒に抽出する。ホスホン酸エステル系抽出剤としては、ニッケルイオンとコバルトイオンの分離効率の観点から2-エチルヘキシルホスホン酸2-エチルヘキシル(商品名:PC-88A、Ionquest801)が好ましい。
コバルトの回収では、pHを、好ましくは4.5~5.5、より好ましくは4.8~5.2とする。
溶媒抽出後のコバルトイオンを含有する抽出剤(有機相)に対しては、逆抽出を行うことができる。逆抽出で水相側に移動したCoは、電解採取によって回収する。
次いで、ニッケルの回収として、コバルトイオンの溶媒抽出で得られる抽出残液に対して、好ましくはカルボン酸系抽出剤を使用して溶媒抽出を行い、ニッケルイオンを分離する。カルボン酸系抽出剤としては、たとえばネオデカン酸、ナフテン酸等があるが、なかでもNiの抽出能力の理由によりネオデカン酸が好ましい。
溶媒抽出後のニッケルイオンを含有する抽出剤(有機相)に対して、逆抽出を行うことができる。水相側に移動したニッケルは、電解採取によって回収する。
その後、ニッケルの回収時の溶媒抽出で得られる抽出後液からニッケルイオンの残部およびリチウムイオンを抽出するとともに逆抽出し、当該抽出および逆抽出の操作を繰り返してリチウムイオンを濃縮する。それによりリチウム濃縮液を得る。このリチウム濃縮で用いる抽出剤としては、2-エチルヘキシルホスホン酸2-エチルヘキシルやジ-2-エチルヘキシルリン酸を含むものを用いることが好ましい。
リチウム濃縮液に対して、必要に応じて中和を行った後、炭酸化により炭酸リチウムとしてリチウムを回収することができる。
次に、上述したようなリチウムイオン電池廃棄物の処理方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、これに限定されることを意図するものではない。
リチウムイオン電池廃棄物を酸性浸出液に浸出させ、それに対して固液分離を行って浸出後液を得た。当該浸出後液の銅イオン濃度は5g/Lであった。この浸出後液を電解液として、表1に示す条件で電解採取を行った。なお、電解採取終了後の電解液中の銅イオン濃度を0.02g/Lとした。
実施例1及び2の各電解採取で得られた電気銅の組成を表2と表3に示す。実施例1及び2のいずれにおいても、次工程の溶液となる電解液中から銅を除去することができた。
しかしながら、電解液のpHを1.5以下とした実施例1ではコバルト、ニッケルの析出が抑えられ、コバルト及びニッケルの含有量を合わせて1質量%以下であった。一方、pHを1.5よりも大きくした実施例2では、コバルト、ニッケルがある程度多く析出していた。
以上より、リチウムイオン電池廃棄物中の銅を、酸浸出後に得られる浸出残渣に残さなくても有効に除去できることが解かった。

Claims (10)

  1. 銅を含むリチウムイオン電池廃棄物を処理する方法であって、
    リチウムイオン電池廃棄物を酸性浸出液に浸出させ、当該浸出後に固液分離を行い、銅イオンを含む浸出後液を得る浸出工程と、
    前記浸出後液を電解液とし、当該浸出後液から電解採取により銅を析出させて回収する電解工程とを含む、リチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  2. 浸出工程で、リチウムイオン電池廃棄物中の銅の一部又は全部を、酸性浸出液に溶かす、請求項1に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  3. 浸出工程で、前記酸性浸出液による浸出で銅の浸出率を50%以上とする、請求項2に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  4. 電解工程で、前記電解採取により析出して得られる電気銅が、粉粒体状を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  5. 電解工程で、前記電解採取により析出して得られる電気銅中のコバルト含有量及びニッケル含有量がともに、1.0質量%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  6. 電解工程で、前記電解液のpHが、1.5以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  7. 電解工程で、前記電解液の銅イオン濃度が、8g/L以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  8. 電解工程で、電流密度を0.1A/dm2~3.0A/dm2として前記電解採取を行う、請求項1~7のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  9. 前記リチウムイオン電池廃棄物が炭素を含み、
    浸出工程で、前記固液分離により、炭素を含んで燃料として用いられる浸出残渣を得る、請求項1~8のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  10. 前記リチウムイオン電池廃棄物中のアルミニウム含有量が、10質量%以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
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