JP2023061901A - イオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法、オレフィン重合用触媒成分の製造方法、オレフィン重合用触媒の製造方法、及びオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

イオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法、オレフィン重合用触媒成分の製造方法、オレフィン重合用触媒の製造方法、及びオレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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【課題】触媒活性の向上、及び重合体の品質向上を目的とする。【解決手段】下記工程1、2及び3を含むイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法。工程1:イオン交換性層状珪酸塩、溶媒、及び、アルミニウムイオンを含有する化合物[I]を含むスラリーを調製する工程である。前記スラリーに含まれる固体成分100質量%のうち、前記化合物[I]は、8質量%~80質量%である。なお、前記化合物[I]は、1種類以上であってもよい。工程2:前記工程1で調製した前記スラリーを噴霧乾燥処理により造粒し、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子を得る工程である。工程3:前記工程2で得られた前記イオン交換性層状珪酸塩複合粒子に含まれる金属成分の少なくとも一部を溶出させる工程である。【選択図】なし

Description

本開示は、イオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法、オレフィン重合用触媒成分の製造方法、オレフィン重合用触媒の製造方法、及びオレフィン重合体の製造方法に関する。
イオン交換性層状珪酸塩、例えば粘土鉱物は、吸着材や触媒、触媒担体等に広く用いられている。これらの用途における性能に与える因子は様々なものがあるが、細孔容積や細孔分布、比表面積はとりわけ大きな影響を与える。例えば、特許文献1では、吸着材として、特定の細孔分布をもつ粘土鉱物が例示されている。
また、粘土又は粘土鉱物をオレフィン重合用触媒成分として利用した触媒の存在下に、オレフィンを重合してオレフィン重合体を製造することは公知である(例えば、特許文献2)。
また、酸処理や塩類処理を行ったイオン交換性層状化合物を成分として含むオレフィン重合用触媒も知られている(例えば、特許文献3)。
特許文献4では、オレフィン重合用触媒及び触媒担体として特定の細孔分布をもつ粘土鉱物が開示されている。
一方、イオン交換性層状珪酸塩からなる固体の細孔分布を制御する方法として、例えば特許文献5では、粘土鉱物に含有されるSiO結晶成分を非晶化することにより、細孔構造を制御している。しかし、この方法では、触媒活性を持たないSiO成分を含有させることになり、触媒活性の低下が懸念される。
特許文献6では、スラリー中で実質的に不溶性の塩である炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等を含む状態で乾燥造粒を行った後、酸と反応させ炭酸ガスを発生させること等により細孔構造を制御している。特許文献6の技術では、水銀圧入法による細孔容積測定によって、細孔直径2μm~10μmの範囲の細孔容積が増大していることが確認できる。しかし、特許文献6の方法では、10nm~300nmの細孔の容積はほとんど変化がない。
特許文献7では、酸化亜鉛やチタニアの微粒子固体を添加、乾燥造粒させた後、酸により微粒子状固体を溶出させることで細孔構造を制御する方法が開示されている。しかし、特許文献7の技術では、触媒や触媒担体としての性能に重要な比表面積が小さい。
特許文献8,9では、特定の組成をもつイオン交換性層状珪酸塩を利用することで、特定の細孔構造を形成する技術が開示されている。
特許文献10では、特定の粒子径に造粒したイオン交換性層状珪酸塩のアルミニウム成分を溶出させ、特定の粒子強度に調整することで性能の改善を図っている。
国際公開2010/032568号公報 特開平5-295022号公報 特開平7-228621号公報 特開2002-088114号公報 特開2013-082607号公報 特開2000-344513号公報 特開2003-252923号公報 特開2015-108138号公報 特開2018-111841号公報 特開2019-172958号公報
上述の特許文献1-10では、イオン交換性層状珪酸塩からなる固体の細孔分布等を制御して触媒の性能向上を図っている。しかし、これらの文献の技術では、触媒活性、及び重合体の品質が必ずしも十分でなく、更なる触媒活性の向上、及び重合体の品質向上が望まれていた。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、触媒活性の向上、及び重合体の品質向上を目的とし、以下の形態として実現することが可能である。
<1>
下記工程1、2及び3を含むイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法。
工程1:イオン交換性層状珪酸塩、溶媒、及び、アルミニウムイオンを含有する化合物[I]を含むスラリーを調製する工程である。前記スラリーに含まれる固体成分100質量%のうち、前記化合物[I]は、8質量%~80質量%である。なお、前記化合物[I]は、1種類以上であってもよい。
工程2:前記工程1で調製した前記スラリーを噴霧乾燥処理により造粒し、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子を得る工程である。
工程3:前記工程2で得られた前記イオン交換性層状珪酸塩複合粒子に含まれる金属成分の少なくとも一部を溶出させる工程である。
<2>
前記イオン交換性層状珪酸塩複合粒子に含まれるアルミニウム原子の量(mol/g)を[Alb]とし、マグネシウム原子の量(mol/g)を[Mgb]としたとき、[Alb/Mgb](モル比)が、4.0以上、45.0以下である、<1>に記載のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法。
<3>
前記イオン交換性層状珪酸塩に含まれるアルミニウム原子の量(mol/g)を[Ala]とし、マグネシウム原子の量(mol/g)を[Mga]としたとき,[Ala]/[Mga](モル比)が、0.3以上、3.9未満である、<1>又は<2>に記載のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法。
<4>
前記化合物[I]が、平均粒径0.3μm~100.0μmの粒子である、<1>~<3>のいずれか1項に記載のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法。
<5>
前記化合物[I]が、水酸化物を含む塩類である、<1>~<4>のいずれか1項に記載のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法。
<6>
前記化合物[I]が、水酸化アルミニウムであることを特徴とする、<1>~<5>のいずれか1項に記載のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法。
<7>
前記工程3は、前記工程2で得られた前記イオン交換性層状珪酸塩複合粒子と酸類とを接触させる、<1>~<6>のいずれか1項に記載のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法。
<8>
<1>~<7>のいずれか1項に記載の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子を用いる、オレフィン重合用触媒成分の製造方法。
<9>
請求項<1>~<7>のいずれか1項に記載の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子と、
下記成分[B]、及び成分[C]を接触させる工程を有する、オレフィン重合用触媒の製造方法。
成分[B]:遷移金属化合物
成分[C]:有機アルミニウム化合物
<10>
<9>に記載の製造方法により得られるオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィン重合を行う、オレフィン重合体の製造方法。
本開示によれば、触媒活性が向上し、重合体の品質が向上する。
図1は、実施例及び比較例に記載のイオン交換性層状珪酸塩粒子について、水銀圧入法によって測定された10nm~300nmの細孔容積の総和を窒素吸脱着法によるBET比表面積m/gに対してプロットした図である。 図2は、実施例及び比較例に記載のオレフィン重合用触媒によるプロピレン単独重合の結果について、重合活性を、得られた重合体のMFRに対してプロットした図である。 図3は、実施例及び比較例に記載のオレフィン重合用触媒によるプロピレン-エチレンの2段重合の結果について、シートに含まれるフィッシュアイ数を、得られた重合体の分子量比(2段目の重合体の分子量を1段目の重合体の分子量で割った値)に対してプロットした図である。 図4は、実施例に記載のイオン交換性層状珪酸塩粒子について、水銀圧入法により測定された水銀圧入・退出曲線図である。
以下、本開示を詳しく説明する。尚、本明細書において、数値範囲について「~」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10~20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10~20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
1.開発経緯
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、イオン交換性層状珪酸塩粒子を製造する際に、イオン交換性層状珪酸塩と、アルミニウムイオンを含有する化合物[I](以下、「化合物[I]」と記す場合がある)を特定量混合した複合粒子を形成後、当該複合粒子から前記化合物[I]を溶解して、細孔構造を制御した。そして、このように得られた特定のイオン交換性層状珪酸塩粒子が触媒活性や、重合体の品質を向上するイオン交換性層状珪酸塩粒子となることを見出した。
イオン交換性層状珪酸塩のスラリーに、特定量の前記化合物[I]を含ませて造粒すると、得られる複合粒子における珪酸塩の1次粒子は、化合物[I]によって結合が疎になると考えられる。その後、当該複合粒子を化学処理することで、イオン交換性層状珪酸塩の表面積が増大するとともに、当該複合粒子から化合物[I]が溶媒中に溶出し、粒子内に適度な空隙が生じ、珪酸塩粒子の細孔径を制御できると推測される。
多孔性触媒における細孔構造は、触媒の活性や触媒の強度等の性能、ひいては経済性や運転性、製品の品質に影響を及ぼす。
鋭意研究の中で、本発明者らは、比表面積が大きく、かつ、水銀圧入法による細孔分布測定において、直径10nm~300nmの細孔容積も大きい、新規なイオン交換性層状珪酸塩粒子が得られることを見出し、このようなイオン交換性層状珪酸塩粒子を用いると触媒活性や重合体の品質を向上することを見出した。
より具体的には、本開示の製造方法から得られたイオン交換性層状珪酸塩粒子は、高い重合活性を示し、かつ、製品外観を悪化させる製品中のフィッシュアイ(非相溶成分やゲル、触媒残渣の分散不良)が少ないオレフィン重合体を製造できるオレフィン重合用触媒成分とすることができる。本開示では、このような効果を奏する新規なイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法、及びこのイオン交換性層状珪酸塩粒子を含むオレフィン重合用触媒成分の製法方法、オレフィン重合用触媒の製造方法を提供できる。
従来のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法としては、例えば特許第6136852号公報に示されるように、イオン交換性層状珪酸塩に分類されるモンモリロナイトの八面体層の同形置換量に相当するMg/Alの大きいスメクタイトを用い、特定の化学処理を行う方法がある。この製造方法からは大きな比表面積を有する高活性なオレフィン重合用触媒成分が得られるとされている。しかし、この製造方法から得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子を用いると、フィッシュアイが多数発生することがわかった(表4-1の比較例P18およびP19)。
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法では、活性の向上だけでなく、粒子内のモノマーの拡散も向上することから、活性点ごとの活性のばらつきが減少することで極端に高分子量の重合体を生成するような活性点が減少し、かつ適度な強度を有するイオン交換性層状珪酸塩粒子を製造することができると考えている。よって、本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法により、均一な重合体が生成しやすく、製品中のフィッシュアイが少ないオレフィン重合体を製造できるオレフィン重合用触媒成分およびオレフィン重合用触媒が製造可能であると推測される。
2.イオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法、及びイオン交換性層状珪酸塩粒子の特徴
(1)イオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子を製造する方法は、下記工程1、2及び3を含む。
工程1:イオン交換性層状珪酸塩、溶媒、及び、アルミニウムイオンを含有する化合物[I]を含むスラリーを調製する工程である。このスラリーに含まれる固体成分100質量%のうち、上記化合物[I]は、8質量%~80質量%である。なお、上記化合物[I]は、1種類以上であってもよい。
工程2:上記工程1で調製したスラリーを噴霧乾燥処理により造粒し、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子を得る工程である。
工程3:上記工程2で得られたイオン交換性層状珪酸塩複合粒子に含まれる金属成分の少なくとも一部を溶出させる工程である。
(1.1)工程1
工程1は、イオン交換性層状珪酸塩、溶媒、及び、アルミニウムイオンを含有する化合物[I]を含むスラリーを調製する工程である。このスラリーは、スラリーに含まれる固体成分100質量%のうち、化合物[I]を、8質量%~80質量%含む。
(1.1.1)イオン交換性層状珪酸塩
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法は、イオン交換性層状珪酸塩を原料としている。イオン交換性層状珪酸塩とは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる層状の珪酸塩化合物の一種であり、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
イオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、例えば、白水晴雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)等に記載されているように、下記の鉱物が例示される。
i)1:1層が主要な構成層であるデッカイト、ナクライト、カオリナイト、ナクライト等のカオリン族、クリソタイル、リザーダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、アメサイト、Alリザーダイト等の蛇紋石類縁鉱物等。
ii)2:1層が主要な構成層であるモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族珪酸塩、バーミキュライト等のバーミキュライト族珪酸塩、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族珪酸塩、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、緑泥石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。多くのスメクタイトは、天然には、粘土鉱物の混合物として産出されるため、不純物(石英やクリストバライト、オパール、炭酸塩等が挙げられる)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよく、このような例としてはモンモリロナイトを主成分として含む粘土であるベントナイトや酸性白土が挙げられる。本開示のイオン交換性層状珪酸塩は、2:1型構造を有する層状珪酸塩が好ましい。より好ましくは、スメクタイト族珪酸塩であり、さらに好ましくは、モンモリロナイトである。
これらのイオン交換性層状珪酸塩は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法において、イオン交換性層状珪酸塩、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子、及び、イオン交換性層状珪酸塩粒子の組成分析は後述する測定方法にて行う。
尚、これらの天然物を水簸や風簸により精製してもよい。水簸や風簸を行うことで、比重の大きな石英や長石などの不純物が取り除かれる他、膨潤しない珪酸塩も取り除くことができ、好ましいイオン交換性層状珪酸塩を得ることができる。水簸や風簸方法としては、通常用いられる方法を用いることができる。精製の前に乾燥や粉砕を行ってもよい。粉砕様式としては、乾式粉砕、湿式粉砕等が挙げられる。粉砕機としては、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、ロールクラッシャー、エッジランナー、ハンマーミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等が上げられる。
また、例えば予めごく少量の炭酸ソーダ等を用いてのイオン交換処理を行ってもよい。このような例として、例えばCa型ベントナイトをNa型の活性化ベントナイトに転換させたものなどが挙げられる(関税中央分析所報 第56号 P85、粘土科学第21巻第1号1~13(1981))総説)。これにより、水簸に際し、スメクタイトが分散し易くなり粗大な石英等を粒子径差によって速やかに沈降分離することができる。また分散剤として公知の物質を加えてもよい、例えばケイ酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等が挙げられる。
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法において好適に用いられるイオン交換性層状珪酸塩は、触媒活性の観点より、イオン交換性層状珪酸塩に含まれるアルミニウム原子の量を[Ala]とし、マグネシウム原子の量(mol/g)を[Mga]としたとき,[Ala]/[Mga](モル比)が、0.3以上、3.9未満であることが好ましい。下限値としては、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.5以上、特に好ましくは2.0以上であり、上限値としては、より好ましくは3.7以下、さらに好ましくは3.5以下、特に好ましくは3.2以下である。イオン交換性層状珪酸塩がスメクタイト族珪酸塩の場合、八面体を構成する3価のアルミニウムが2価のマグネシウムに置換され、負の層電荷を有している。この負の層電荷が、メタロセン触媒において、活性点前駆体であるメタロセン遷移金属化合物(錯体)のカチオン種を安定化するためのカウンターアニオンとして作用し、オレフィン重合触媒としての安定性を高めることができると考えられ、[Ala]/[Mga]が上記の範囲内であると高活性なオレフィン重合触媒を得ることができると考えられる。
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法において好適に用いられるイオン交換性層状珪酸塩は後述する造粒及び化学処理が行われることが好ましい。また、本開示においては、化学処理を施す前段階でイオン交換性および層構造を有していれば、該処理によって物理的、化学的な性質が変化し、イオン交換性や層構造ではなくなった珪酸塩もイオン交換性層状珪酸塩であるとして取り扱う。
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法において好適に用いられるイオン交換性層状珪酸塩の層間カチオン(イオン交換性層状珪酸塩の層間に含有される陽イオン)の種類としては、特に限定されない。層間カチオンは、主成分として、リチウム、ナトリウム等の周期律表第1族のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等の周期律表第2族のアルカリ土類金属、アルミニウム、ケイ素あるいは鉄、コバルト、銅、ニッケル、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、白金、金等の遷移金属等のカチオンが、工業原料として比較的容易に入手可能である点で好ましい。尚、主成分とは、含有率(質量%)が51質量%以上の物質をいう。
(1.1.2)原料スラリー
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法は、イオン交換性層状珪酸塩、溶媒、及び、アルミニウムイオン含有の化合物[I]を含むスラリー(以下、原料スラリーと称することがある)を原料とする。
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法において好適に用いられるイオン交換性層状珪酸塩は、スラリー化前の形状について、特に限定されない。スラリー化前の形状は、天然に産出する形状、人工的に合成した時点の形状でもよいし、粉砕、造粒、分級等の操作によって形状を加工したイオン交換性層状珪酸塩を用いてもよく、水簸等の精製操作によって得られたスラリーをそのまま用いてもよい。また、不純物(石英やクリストバライト、オパール、炭酸塩等が挙げられる)を含んでいてもよい。
スラリー中のイオン交換性層状珪酸塩の濃度は、特に限定されない。濃度は、好ましくは0.5質量%~60質量%、より好ましくは0.7質量%~40質量%、さらに好ましくは0.8質量%~20質量%、特に好ましくは1質量%~10質量%である。
上記イオン交換性層状珪酸塩は、溶媒中に分散させて測定した原料イオン交換性層状珪酸塩の粒子径が2μm以下であってもよく、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.7μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下である。上限値と下限値は任意の組み合わせを採用できる。
ここでの粒子径とは、堀場製作所社製レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA-960を用い、分散溶媒を蒸留水、屈折率実数項1.490、虚数項0.100、分散溶媒屈折率実数項1.333、透過率(R)85%~99%、透過率(B)85%~90%の条件で、かつ装置内超音波強度「7」で2分間超音波処理後に測定される、球等価粒子径分布から求められる体積基準のメジアン径のことをいう。
スラリーを構成する溶媒の種類は、特に限定されない。溶媒は、水や、メタノール、エタノール、クロロホルム、塩化メチレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の有機溶媒が好ましく、水がより好ましい。また、これらの溶媒を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法において好適に用いられるアルミニウムイオンを含有する化合物[I]は、アルミニウムイオンを含む塩類(無機水酸化物、無機酸化物を含む)の中から選択ができる。また、20℃で固体であり、且つ、イオン交換性層状珪酸塩及び溶媒とのスラリー化の際の温度であって、好ましくは20℃でスラリー中の液体に対して溶けにくいものでもよく、又はほとんど溶けないものでもよい。ここで、「溶けにくい、又はほとんど溶けない」とは、固体1gを溶かすのに必要なスラリー中の溶媒量が100mL以上となることを指す。さらに、化合物[I]は、後述の工程3において、化学処理により、溶解すれば特に制限されない。化合物[I]は、細孔を制御しやすいという観点から、以下に例示する塩類が好ましい。
化合物[I]の塩類としては、陽イオンとしてアルミニウムイオンを含んでいればよく、アルミニウムイオン以外の金属イオンを含む無機陽イオンや有機陽イオンをさらに含んでいてもよい。塩類を構成する陰イオンは特に限定されない。陰イオンとしては、有機陰イオン、及び、金属イオンを含む無機陰イオンからなる群から選ばれる陰イオンを含んでいてもよく、有機陰イオン、及び、ハロゲン化物イオンを含む無機陰イオンからなる群から選ばれる陰イオンを含んでいてもよい。塩類は、例えば、陽イオンとして、アルミニウムイオンを含み、その他アルミニウムイオン以外の周期表第1~14族から選択される少なくとも一種の原子を含む陽イオンを含んでいてもよく、陰イオンとして、ハロゲンの陰イオン、無機ブレンステッド酸の陰イオン、及び有機ブレンステッド酸の陰イオンからなる群から選ばれる少なくとも一種の陰イオンを含んでいてもよい。このような塩類としては、陰イオンとして、無機ブレンステッド酸の陰イオン及びハロゲンの陰イオンから選ばれる少なくとも一種の陰イオンを含む無機塩がさらに好ましい。アルミニウムイオン以外の陽イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、鉄イオン、ストロンチウムイオン、コバルトイオン、銅イオン、ニッケルイオン、亜鉛イオン、ルテニウムイオン、ロジウムイオン、パラジウムイオン、銀イオン、イリジウムイオン、白金イオン、アンモニウムイオン等が挙げられ、陰イオンとしては、硫酸イオン、硝酸イオン、塩化物イオン、臭化水素酸イオン、ヨウ化水素酸イオン、リン酸イオン、ピロリン酸イオン、過塩素酸塩イオン、モリブデン酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、炭酸イオンなどの無機酸イオン、及び、酢酸イオン、クエン酸イオン、シュウ酸イオン、ギ酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、タウリンイオン等の有機酸イオン、並びに酸素イオン(酸化物イオン)、水酸化物イオン等が挙げられる。
入手及び取り扱いの観点から、化合物[I]としては、例えば、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(及びその水和物)、硫酸アンモニウムアルミニウム(及びその水和物)、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム等が好適に挙げられる。特に、原料スラリーの溶媒は水であることが多いため、水に溶けにくい、または水にほとんど溶けない化合物が好ましく、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウムが好ましく、特に工業的に廃液処理が容易な点から水酸化アルミニウムが好ましい。
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法において好適に用いられる化合物[I]は、水中に分散させて測定した平均粒径が、0.3μm~100.0μmであることが好ましい。下限値については、より好ましくは0.4μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上、特に好ましくは0.8μm以上であり、上限値については、より好ましくは50.0μm以下、さらに好ましくは20.0μm以下、特に好ましくは10.0μm以下である。上限値と下限値は任意の組み合わせを採用できる。化合物[I]の平均粒径が上記範囲内の場合、本開示の特性を有するイオン交換性層状珪酸塩粒子を得ることができる。適度な粒子強度の維持及び粒子の破砕等を抑制し、微粉等の発生を抑制する観点からも、上記範囲内にあることが好ましい。
上記化合物[I]の粒子径は、例えば堀場製作所社製レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA-960などを用い、分散溶媒を蒸留水とし、必要であれば適当な分散処理を施し、測定することができる。
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法において好適に用いられるアルミニウムイオンを含有する化合物[I]は、単独で使用しても良く、2種以上を併用してもよい。このアルミニウムイオンを含有する化合物[I]は、20℃スラリー中の固体成分(スラリーに含まれる固体成分を100質量%とする)に対して8質量%~80質量%含まれるように添加することが好ましい。この割合とすると、本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の特性が得られやすい点から好ましい。
すなわち、化合物[I]の添加量は、20℃スラリー中、イオン交換性層状珪酸塩、化合物[I]及びその他の成分(イオン交換性層状珪酸塩及び化合物[I]とは異なる成分)の総和(スラリーに含まれる固体成分100質量%)に対し、8質量%~80質量%である。化合物[I]の添加量は、細孔分布を制御するように、前記範囲内において適宜選択されればよい。化合物[I]の添加量は、より好ましくは10質量%~70質量%、さらに好ましくは12質量%~60質量%、特に好ましくは15質量%~50質量%である。化合物[I]は、上記範囲にあることで、本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の特性が得られやすい。
上限値が80質量%を超えると、造粒固体の強度が下がり、微粉等が発生しやすくなるおそれがあり、8質量%を下回ると、本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の特性が得られないおそれがある。
上記化合物[I]が炭酸塩である場合、炭酸塩と酸とを反応させたときに発生するガスが細孔構造に影響を与えることから、化合物[I]として炭酸塩単独では使用しないことが好ましい。化合物[I]として炭酸塩および炭酸塩以外の化合物を併用する場合、炭酸塩の添加量は、炭酸塩を含む化合物[I]の総量100質量%に対して、好ましくは0質量%~75質量%、より好ましくは0質量%~50質量%、さらに好ましくは0質量%~30質量%である。
なお,上記炭酸塩の添加量は、本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子を製造する方法において好適に用いられるイオン交換性層状珪酸塩中にもともと不純物として含まれる炭酸塩、および、当該イオン交換性層状珪酸塩をナトリウム型(層間イオンにナトリウムイオンを有するイオン交換性層状珪酸塩)にイオン交換するために用いられる炭酸ナトリウムが含まれる場合、それらも含むものとする。
尚、これらの添加量を算出するにあたり、水和水などの単独で液体となる付加物を含む塩の場合は無水物等、付加物のないものとして計算する。
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法においては、造粒時の形状を改善する目的等でバインダーを添加してもよい。バインダーとしては、例えば、砂糖、デキストローズ、コーンシロップ、ゼラチン、グルー、カルボキシメチルセルロース類、ポリビニルアルコール、水ガラス、アルコール類、グリコール、澱粉、カゼイン、ラテックス、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、タール、ピッチ、シリカゲル、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ等が挙げられる。
また、スラリーのpH、粘度等を調整する目的で、粘度調整剤を加えてもよい。イオン交換性層状珪酸塩スラリーのpHがスラリーの粘度に影響することは公知であり、これらを調整する目的で先に挙げたバインダーの他、硫酸、硝酸、塩酸等の酸や、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを加えてもよい。
また、分散剤や凝集剤として公知の物質を加えてもよく、例えばケイ酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらのバインダー、粘度調整剤、分散剤、凝集剤等は、本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子を製造する方法において好適に用いられる化合物[I]を含まない。
工程1において、イオン交換性層状珪酸塩、溶媒、及び、化合物[I]を混合する順序は特に限定されない。例えば、混合順序としては、溶媒に、イオン交換性層状珪酸塩及び化合物[I]を、逐次又は同時に添加してもよい。また、イオン交換性層状珪酸塩及び化合物[I]をそれぞれ溶媒に分散させた後に混合してもよい。バインダーや分散剤、凝集剤、粘度調整剤を加える場合も混合順序に限定はない。
また、混合時の温度は、特に限定されない。混合時の温度は、溶媒の沸点未満の温度が好ましく、水を用いる場合は好ましくは0℃~80℃であり、より好ましくは10℃~70℃、さらに好ましくは20℃~60℃である。
混合の方法も特に限定はない。混合方法として、公知の方法を用いることができる。混合方法として、撹拌機、スタティックミキサー等による混合方法が挙げられる。特に分散性を向上させるため、高速撹拌機、メディアミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、薄膜旋回式高速撹拌機等を用いることができる。これら機器を複数組み合わせてもよい。撹拌機、高速撹拌機、ビーズミル、高圧ホモジナイザーは特に好ましい。
工程1において調製されたスラリーの粘度は、特に限定されない。スラリーの粘度は、5Pa・s~5000Pa・sでもよく、好ましくは8Pa・s~3000Pa・sでもよい。ここでの粘度は、B型粘度計(BROOKFIELD製DV-I Viscometer)にて、粘度に応じてLV-1、LV-2、又はLV-3型スピンドルを用い、12rpm、20℃にて測定できる値をいう。
(1.2)工程2
工程2は、上記工程1で調製したスラリーを噴霧乾燥処理により造粒し、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子を得る工程である。
工程2では、必要に応じて、乾燥、濃縮、濾過、デカンテーション等の固液分離を行ってもよい。
工程2では、造粒と、溶媒との分離と、はそれぞれ別に行ってもよく、又は同時に行ってもよい。造粒や溶媒との分離の方法や順序は特に限定されない。
工程2では、造粒後の粒子内に溶解性化合物を含有させる必要がある。好ましい造粒体としてのイオン交換性層状珪酸塩複合粒子を得る方法としては、例えば撹拌造粒法、噴霧造粒法、転動造粒法、ブリケッティング、コンパクティング、押出造粒法、流動層造粒法、液中造粒法、乳化造粒法、圧縮成型造粒法等が挙げられる。好ましくは、噴霧乾燥造粒や噴霧冷却造粒、流動層造粒、噴流層造粒、液中造粒、乳化造粒等が挙げられ、特に好ましくは噴霧乾燥造粒や噴霧冷却造粒が挙げられる。
噴霧造粒を行う場合、噴霧方式は特に限定されない。噴霧には、例えば、ロータリーアトマイザーや1流体ノズル、2流体ノズル、超音波ノズル等を用いることができる。乾燥媒体も特に限定されない。乾燥媒体は、例えば、窒素、アルゴン、空気が挙げられる。
噴霧乾燥造粒の乾燥媒体の供給時の温度は、特に限定されない。乾燥媒体の供給時の温度は、分散媒により異なるが、水の例では、70℃~260℃、好ましくは80℃~240℃とすることができる。
イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の粒子径分布は、特に限定されない。粒子径分布は、アトマイザー、乾燥媒体温度、流量等の製造条件によって調整できる。粒子径分布は、篩や風力分級等の公知の分級技術を用いて調整してもよい。
イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の平均粒子径は、特に限定されない。平均粒子径は、好ましくは2μm~500μmであり、より好ましくは3μm~200μmであり、さらに好ましくは8μm~100μmであり、最も好ましくは10μm~70μmである。尚、粒子径の定義、測定方法には様々なものがあるが、ここでの平均粒子径は、既述のイオン交換性層状珪酸塩粒子の平均粒子径と同様に、レーザー回折法で測定される、球等価粒子径分布から求められる体積基準のメジアン径を指す。
イオン交換性層状珪酸塩複合粒子は、イオン交換性層状珪酸塩と化合物[I]とを含む粒子である。このイオン交換性層状珪酸塩複合粒子に含まれるアルミニウム原子の量(mol/g)を[Alb]とし、マグネシウム原子の量(mol/g)を[Mgb]としたとき、[Alb/Mgb](モル比)が、4.0以上、45.0以下であることが好ましい。下限値としては、より好ましくは4.2以上、さらに好ましくは、4.5以上、特に好ましくは5.0以上であり、上限値としては、より好ましくは40.0以下、さらに好ましくは30.0以下、特に好ましくは15.0以下である。上限値と下限値は任意の組み合わせを採用できる。
ここで[Alb]は単純にはイオン交換性層状珪酸塩由来のアルミニウム原子([Alb’])および化合物[I]由来のアルミニウム原子([Alb’’])含量の総和である。しかしながら、蛍光X線測定による組成分析から各々アルミニウム含量を分離し、各々の値として定量することはできない。したがって、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の[Alb’]と[Alb’’]の量を把握したい場合には、用いたイオン交換性層状珪酸塩、及び化合物[I]のそれぞれの組成、及び配合比率から算出する。その他、化合物[I]がケイ素原子を含まない場合であれば、造粒工程前後でイオン交換性層状珪酸塩の組成は変化しないものと仮定すると、ケイ素含量を基準として[Alb’]と[Alb’’]を算出できる。例えば、後述する実施例1では、用いたイオン交換性層状珪酸塩はケイ素原子([Sia]):11.25mmol/g、アルミニウム原子([Ala]):3.77mmol/gであり、このイオン交換性層状珪酸塩と水酸化アルミニウムとの固形分比率を65:35となるように調製して造粒したイオン交換性層状珪酸塩複合粒子はケイ素原子([Sib]):8.26mmol/g、アルミニウム原子([Alb]):7.93mmol/gである。これらの組成値を下記式(3)にあてはめることにより、[Alb’’]=7.03mmol/gと求めることができる。ここで[Sia]および[Ala]は上述の定義の通りである。

式(3):([Alb’’])={([Alb])×([Sia])/([Sib])}-([Ala])
(1.3)工程3
工程3は、工程2で得られたイオン交換性層状珪酸塩複合粒子に含まれる金属成分の少なくとも一部を溶出させる工程である。
イオン交換性層状珪酸塩複合粒子に対して適宜化学処理を行うことによって、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子から、金属成分の少なくとも一部をイオン交換性層状珪酸塩複合粒子外に取り除く。この際、イオン交換性層状珪酸塩や化合物[I]の一部又は全部が溶解することによって、金属成分の少なくとも一部がイオン交換性層状珪酸塩複合粒子外に取り除かれる。
化学処理としては、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子に含まれる金属成分を溶解できる処理方法を適宜選択して用いることができる。化学処理として、例えば、酸類と接触させる酸処理、塩基類と接触させる塩基処理、塩類と接触させる塩処理、前記溶解性化合物が溶解する適切な溶媒(例えば、アルコールと水の混合溶媒)による溶出処理(洗浄)、その他の化学処理等が挙げられる。これらの化学処理は、それぞれを複数回行ってもよく、複数種の処理を組み合わせてもよい。
中でも、粒子の強度や触媒活性、吸着性能等に影響する比表面積を向上させる点から、酸処理を行うことが好ましく、酸処理を行った後に、塩基処理、又は塩処理を行うことがより好ましい。
以下、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子と、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子のアルミニウムを含有する化合物[I]を溶出させる工程を経たイオン交換性層状珪酸塩粒子を合わせて、イオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子ということがある。イオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子は、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子またはイオン交換性層状珪酸塩粒子を意味する。
(1.3.1)工程3の好適な態様(酸処理)
工程3では、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子について酸処理を行うことが好ましい。
酸処理は、溶解性化合物や不純物を溶解でき、またイオン交換性層状珪酸塩複合粒子の層間に存在する陽イオンの交換を行う。酸処理は、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の結晶構造を構成するAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部又は全部を溶出させることで、細孔構造の特性を変化させることができ、比表面積を増大させることができる。酸処理は、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の酸強度を増大させ、また単位質量当たりの酸点量を増大させることに寄与する。
酸処理で用いられる酸類としては、塩酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、安息香酸、ステアリン酸、プロピリオン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等の無機酸、及び有機酸が例示される。その中でも、無機酸が好ましく、塩酸、硝酸、硫酸がより好ましい。さらに好ましくは塩酸、硫酸であり、特に好ましくは硫酸である。
イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の酸処理は、効率よく均一に反応させる観点から、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子を酸類の溶液と接触させる方法が好ましい。
酸類が固体の場合、溶液化するための溶媒としては、特に限定されない。また、酸類がそもそも液体の場合、そのまま用いてもよいし、溶媒を用いて希釈して使用してもよく,この時の溶媒も特に限定されない。溶媒としては、酸処理中に反応を起こさない溶媒が好ましく、水又はメタノール、エタノール、クロロホルム、塩化メチレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の有機溶媒が好ましく、さらに好ましくは水である。また、これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸処理時の酸濃度(酸処理時のスラリー全体の質量に対する酸類の質量百分率)は、特に限定されない。酸濃度は、好ましくは3質量%~50質量%であり、より好ましくは4質量%~40質量%、さらに好ましくは5質量%~30質量%である。
酸処理時の温度は、特に限定されない。温度は、好ましくは30℃~102℃、より好ましくは40℃~100℃、さらに好ましくは50℃~97℃である。
酸処理におけるイオン交換性層状珪酸塩複合粒子の溶媒中の濃度(スラリー中のイオン交換性層状珪酸塩複合粒子の濃度であって、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子を含むスラリー全体を100質量%とする)は、特に限定されない。この濃度は、好ましくは3質量%~50質量%、より好ましくは5質量%~30質量%、さらに好ましくは8質量%~20質量%である。
酸処理の時間は、特に限定されない。時間は、好ましくは5分~3000分、より好ましくは10分~1500分、さらに好ましくは30分~750分である。
溶解性化合物、不純物、陽イオン等が溶出する程度は、酸類の種類、酸類の濃度、処理温度、処理時間等を適宜選択して調整できる。
また、酸処理は、1回の処理であっても、複数回に分けた処理であってもよい。
(1.3.2)工程3の好適な態様(塩基処理)
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法において、工程3では、上記「(1.3.1)工程3の好適な態様」で記載した酸処理の代わりに、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子に塩基処理を行ってもよい。
または、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子に、上記「(1.3.1)工程3の好適な態様」で記載した酸処理を行った後、さらに、塩基類と接触させる塩基処理を行ってもよい。
塩基処理は、溶解性化合物や不純物を溶解でき、またイオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子の層間に存在する陽イオンの交換を行う。塩基処理は、イオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子の結晶構造を構成するAl、Fe、Mg、さらにはSi等の陽イオンの一部又は全部を溶出させることで、細孔構造の特性を変化させることができ、比表面積を増大させることができる。
塩基処理で用いられる塩基類とは、ブレンステッド塩基として働く物質であれば、特に限定されない。塩基類は、プロトンと反応して水を発生する(中和反応)性質を持つ物質である。塩基類は、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び周期表第3~14族の金属からなる群から選ばれる金属の水酸化物が挙げられる。塩基類は、より好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Al、Sn、Pbの水酸化物であり、さらに好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Zn、Alの水酸化物である。
塩基類の好ましい具体例として、LiOH、NaOH、KOH、CsOH、RbOH、Be(OH)、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Mn(OH)、Cu(OH)、Cu(OH)、Zn(OH)、Al(OH)、Sn(OH)、Pb(OH)、Ni(OH)、LiCO、NaCO、KCO、CsCO、RbCO、BeCO、MgCO、CaCO、MnCO、CuCO、Al(CO)、ZnCO、PbCO、LiHCO、NaHCO、RpHCO、CsHCO、Ca(HCO、Mg(HCO等が挙げられる。塩基類は、これらの具体例に限定されない。
塩基類は、単独で用いても複数で用いてもよい。使用方法は、特に制限されない。
イオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子と接触させる際の塩基類の状態は、溶媒に溶解させた状態であっても、固体のままでもよい。溶媒に溶解させて接触させる場合は、その濃度に制限はなく、上限としては、飽和する濃度以下であることが好ましい。
塩基処理は、効率よく均一に反応させる観点から、イオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子と塩基類の溶液とを接触させる方法であってもよい。塩基処理が、酸処理を経た後に行われる場合は、イオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子のスラリーと塩基とを接触させる方法であってもよい。
塩基類が固体の場合、溶液化するための溶媒としては、特に限定されない。また、塩基類がそもそも液体の場合、溶媒を用いて希釈して使用してもよく,この時の溶媒も特に限定されない。さらに、イオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子のスラリー化のための溶媒としても、特に限定されない。溶媒としては、水、又はアルコール等の有機溶媒などが挙げられ、好ましくはエタノール、メタノール、エチレングリコール、グリセリン、水であり、より好ましくは水である。また、これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
塩基類の使用量は、塩基処理前のイオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子のスラリーが含有している酸の量や、その処理目的によっても異なる。酸処理を経た後に行う塩基処理の場合、イオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子のスラリーのpHは、塩基類の添加後から塩基処理終了時点まで8以下であり、かつ塩基処理終了時点において4.5~8となる量を使用することが好ましい。このときの塩基処理は水を溶媒として用いる。
塩基処理時の温度は、特に限定されない。温度は、好ましくは-20℃~120℃、より好ましくは0℃~105℃、さらに好ましくは10℃~80℃である。
塩基処理時の溶液中の塩基類の濃度は、特に限定されないが、好ましくは1質量%~50質量%、より好ましくは2質量%~30質量%、さらに好ましくは3質量%~20質量%である。このときの濃度とは、塩基処理の溶液全体の質量に対する塩基類の質量百分率をいう。
塩基処理の時間は、特に限定されない。時間は、好ましくは1分~600分、より好ましくは5分~300分、さらに好ましくは10分~120分である。
溶解性化合物、不純物、陽イオン等が溶出する程度は、塩基類の種類、塩基類の濃度、処理温度、処理時間等を適宜選択して調整することができる。
また、塩基処理は、1回の処理であっても、複数回に分けた処理であってもよい。
(1.4)その他の化学処理
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法おいては、イオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子に、酸処理、塩基処理の他に、その他の化学処理を行ってもよい。
あるいは、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子に酸処理又は塩基処理を行った後、さらにその他の化学処理を行ってもよい。
その他の化学処理としては、塩類、酸化剤、還元剤、又はイオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子の層間にインターカレーションし得る化合物などを含有する処理剤との接触処理や溶媒による洗浄等が挙げられる。
インターカレーションとは、層状物質の層間に別の物質を導入することをいい、導入される物質をゲスト化合物という。
また、インターカレーションや塩類による化学処理(塩処理)では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと置換することにより、層間が拡大した状態の層状物質を得ることもできる。すなわち、嵩高いイオンが層状構造を支える支柱的な役割を担っており、ピラーと呼ばれる。以下に、処理剤の具体例を示す。
塩処理に使用する塩類としては、有機陽イオン、及び、金属イオンを含む無機陽イオンからなる群から選ばれる陽イオンと、有機陰イオン、及び、ハロゲン化物イオンを含む無機陰イオンからなる群から選ばれる陰イオンとから構成される塩類が例示される。例えば、周期表第1~14族から選択される少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲンの陰イオン、無機ブレンステッド酸及び有機ブレンステッド酸の陰イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから構成される化合物が好ましい例として挙げられる。特に好ましくは、アニオンが無機ブレンステッド酸やハロゲンからなる化合物である。
このような塩類の具体例としては、LiCl、LiBr、LiSO、Li(PO)、LiNO、Li(OOCCH)、NaCl、NaBr、NaSO、Na(PO)、NaNO、Na(OOCCH)、KCl、KBr、KSO、K(PO)、KNO、K(OOCCH)、CaCl、CaSO、Ca(NO、Ca(C、Ti(OOCCH、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、TiBr、TiI、Zr(OOCCH、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF、ZrCl、ZrBr、ZrI、ZrOCl、ZrO(NO、ZrO(ClO、ZrO(SO)、Hf(OOCCH、Hf(CO、Hf(NO、Hf(SO、HfOCl、HfF、HfCl、HfBr、HfI、CuCl、CuBr、Cu(NO、CuC、Cu(ClO、CuSO、Cu(OOCCH、Zn(OOCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、nBr、ZnI、AlF、AlCl、AlBr、AlI、Al(SO、Al(C、Al(CHCOCHCOCH、Al(NO、AlPO、GeCl、Sn(OOCCH、Sn(SO、SnF、SnCl等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
有機陽イオンの例としては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、N,N-ジメチルアニリニウム、N,N-ジエチルアニリニウム、N,N-2,4,5-ペンタメチルアニリニウム、N,N-ジメチルオクタデシルアンモニウム、オクタドデシルアンモニウム、N,N-2,4,5-ペンタメチルアニリニウム、N,N-ジメチル-p-n-ブチルアニリニウム、N,N-ジメチル-p-トリメチルシリルアニリニウム、N,N-ジメチル-1-ナフチルアニリニウム、N,N,2-トリメチルアニリニウム、2,6-ジメチルアニリニウム等のアンモニウム化合物に由来する陽イオン、ピリジニウム、キノリニウム、N-メチルピペリジニウム、2,6-ジメチルピリジニウム、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニウム等の含窒素芳香族化合物に由来する陽イオン、ジメチルオキソニウム、ジエチルオキソニウム、ジフェニルオキソニウム、フラニウム、オキソラニウム等のオキソニウム化合物に由来する陽イオン、トリフェニルホスホニウム、トリ-o-トリルホスホニウム、トリ-p-トリルホスホニウム、トリメシチルホスホニウム等のホスホニウム化合物に由来する陽イオン、ホスファベンゾニウム、ホスファナフタレニウム等の含リン芳香族化合物に由来する陽イオン等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
陰イオンの例としては、上に例示した陰イオン以外にも、ホウ素化合物、リン化合物からなる陰イオン、例えばヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレートなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの塩類は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法おいて、その他の化学処理としてはリチウムイオンを含む塩類による塩処理であることが好ましい。
さらに酸類、塩基類、酸化剤、還元剤、イオン交換性層状珪酸塩の層間にインターカレーションする化合物等と組み合わせて用いてもよい。
これらの組み合わせは処理開始時に添加する処理剤に組み合わせて用いてもよいし、処理の途中で添加する処理剤に組み合わせて用いてもよい。
上述の塩処理は、適当な溶剤を使用し、そこに処理剤を溶解させて処理剤溶液としてもよいし、処理剤自身を溶媒として用いてもよい。
使用できる溶媒としては、水、アルコール類、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル類、エーテル類、ケトン類、アルデヒド類、フラン類、アミン類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。好ましくは、水、アルコール類、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル類、エーテル類であり、より好ましくは水、アルコール類、脂肪族炭化水素、エーテル類であり、特に好ましくは水、アルコール類である。
また、処理剤溶液中の処理剤濃度は、溶液質量に対して0.1質量%~100質量%が好ましく、より好ましくは5質量%~50質量%である。処理剤濃度がこの範囲内であれば処理に要する時間が短くなり効率的に生産が可能になるという利点がある。
塩類の使用量は、塩処理前のイオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子のスラリーが含有している酸の量や、その処理目的によっても異なるが、イオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子1gに対して、0.01mmol~100mmolが好ましく、好ましくは0.05mmol~70mmol、さらに好ましくは0.1mmol~50mmolである。
塩処理時の温度は、特に限定されない。温度は、好ましくは-20℃~120℃、より好ましくは0℃~105℃、さらに好ましくは10℃~80℃である。
塩処理時の溶液中のイオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子の溶媒中の濃度(スラリー中のイオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子の濃度であって、イオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子を含むスラリー全体を100質量%とする)は、特に限定されない。この濃度は、好ましくは3質量%~50質量%、より好ましくは5質量%~30質量%、さらに好ましくは8質量%~20質量%である。
塩処理の時間は、特に限定されない。時間は、好ましくは1分~600分、より好ましくは5分~300分、さらに好ましくは10分~120分である。
また、塩処理は、1回の処理であっても、複数回に分けた処理であってもよい。
また、化学処理として、溶媒による洗浄を行うことが好ましい。洗浄は、溶解性化合物や不純物を溶解させることができる。洗浄は、イオン交換性層状珪酸塩の層間に存在する陽イオンの交換を行うほか、上述の酸類、塩基類、塩類での処理時に残存する酸類、塩基類、塩類や溶媒を取り除くことができる。
洗浄に使用する溶媒は、例えば、水、アルコール類、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル類、エーテル類、ケトン類、アルデヒド類、フラン類、アミン類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらは2種以上を混合して用いてもよい。好ましくは、水、アルコール類、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル類、エーテル類であり、より好ましくは水、アルコール類、脂肪族炭化水素、エーテル類であり、より好ましくは水、アルコール類及びこれらの混合溶媒、特に好ましくは水である。
また、洗浄時の温度は、特に限定されない。洗浄時の温度は、好ましくは0℃~100℃、より好ましく50℃~95℃、さらに好ましくは10℃~60℃である。
洗浄時のイオン交換性層状珪酸塩粒子の濃度にとくに制限はないが、好ましくは溶液質量に対して3質量%~50質量%、より好ましくは5質量%~40質量%、さらに好ましくは8質量%~30質量%である。
洗浄の時間は、特に限定されない。洗浄の時間は、好ましくは1分~3000分、より好ましくは3分~1500分、さらに好ましくは5分~750分である。
「(1.4)その他の化学処理」の欄に記載の化学処理及び洗浄において、溶媒とイオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子を分離する固液分離の方法は、特に限定されない。固液分離の方法は、例えば、沈降分離、濾過分離、遠心力を利用した遠心沈降分離、遠心濾過等が挙げられる。これらは複数回行ってもよく、また複数の方法を組み合わせてもよい。
洗浄率としては、好ましくは1/5~1/10000、より好ましくは1/10~1/1000である。ここで洗浄率とは洗浄開始時における溶媒の残存比率を表す。例えば、100Lの溶媒と固体分とを接触させ、その後90Lの溶媒を取り除くことにより洗浄を行った場合、洗浄率は(100-90)/100=1/10となる。
また、残存するイオン量を示す上澄み液の電気伝導度が好ましくは1000mS/cm以下、より好ましくは100mS/cm以下、さらに好ましくは10mS/cm以下、最も好ましくは1mS/cm以下になるまで洗浄することができる。
(1.5)その他の工程
工程3の後に、他の工程を行ってもよい。例えば、工程3の後に、得られたイオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子を乾燥することが好ましい。
乾燥方法は、特に限定されない。乾燥方法は、各種方法を採用できる。乾燥は、イオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子の構造破壊を起こさないように行うことが好ましい。
乾燥温度は、一般的には、100℃~800℃、好ましくは150℃~600℃で実施可能であり、特に好ましくは180℃~300℃である。
乾燥時間は、通常1分~24時間、好ましくは5分~4時間である。
乾燥時の雰囲気は、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、又は減圧下であることが好ましい。
イオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子は、構造破壊されなくても、乾燥温度により特性が変化するために、用途に応じて乾燥温度を変えることが好ましい。
イオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子をオレフィン重合触媒の成分として用いる場合は、除去した後の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0質量%とした時、3質量%以下、好ましくは1質量%以下であることが好ましい。
(2)イオン交換性層状珪酸塩粒子の特徴
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子は、下記特性(i)、(ii)及び(iii)を有していてもよい。
特性(i) :比表面積が、250m/g以上、700m/g以下である。
特性(ii) :水銀圧入法で測定した細孔直径10nm~300nmにおける細孔容積が、0.128mL/gを超え、0.600mL/g以下である。
特性(iii):ケイ素原子の含有量(mol/g)を[Si]とし、アルミニウム原子の含有量(mol/g)を[Al]としたとき、以下の式(1)を満たす。
式(1): 0.10≦([Al]/[Si])≦0.30
(2.1)比表面積(特性(i))
本開示の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子は、比表面積が250m/g以上、700m/g以下であってもよい。
イオン交換性層状珪酸塩粒子において、比表面積の下限値は好ましくは280m/g以上、より好ましくは300m/g以上、さらに好ましくは330m/g以上であり、上限値は好ましくは600m/g以下、より好ましくは550m/g以下であり、特に好ましくは500m/g以下であってもよい。上限値と下限値は任意の組合せを採用できる。
一般的に比表面積が増大すると、触媒の活性成分量が増加する、または活性成分を担持できる量が増大するため、活性が高くなる。一方で、比表面積が大きすぎると細孔径が小さくなることがあり、これによってモノマーやメタロセン錯体等の反応基質の拡散速度の低下等が引き起こされて、触媒としての活性の低下や吸着材としての吸着性能の低下を招くことがある。よって、これらの観点から、比表面積の上述の好ましい範囲が選択される。
本開示における比表面積とは、ガス吸着法において窒素ガスを用いて測定した吸着等温線データより、BET多点法解析(Rouquerol変換)によって算出された値を指す。ガス吸着法による比表面積の測定方法については、例えばJIS Z8830に解説されている。
(2.2)細孔容積(特性(ii))
本開示の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子は、水銀圧入法で測定した細孔直径10nm~300nmにおける細孔容積が0.128mL/gを超え、0.600mL/g以下であってもよい。
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子において、水銀圧入法で測定した細孔直径10nm~300nmにおける細孔容積の下限値が好ましくは0.135mL/g以上、より好ましくは0.150mL/g以上、さらに好ましくは0.170mL/g以上であり、上限値が好ましくは0.550mL/g以下、より好ましくは0.500mL/g以下であってもよい。
イオン交換性層状珪酸塩粒子は、水銀圧入法で測定した細孔直径10nm~300nmにおける細孔容積が上記の範囲内であると、モノマーやメタロセン錯体等の反応基質のイオン交換性層状珪酸塩粒子内部への拡散速度が大きくなると推測される。さらに、粒子強度が適度に低下するため、重合中に生成するポリマー内で担体の分散崩壊が必要なオレフィン重合触媒において重合活性が向上すると考えられる。また、これらの作用から、ポリマー製品中のフィッシュアイを低減できると考えられる。さらに、重合中に触媒の破砕等が生じにくいため、微粉や塊の発生が抑制され、プラント運転性能も安定する。よって、以上の観点から、細孔直径10nm~300nmにおける細孔容積は、上述の好ましい範囲が選択される。
なお、本明細書における水銀圧入法で測定した細孔容積とは、JIS R 1655:2003「ファインセラミックスの水銀圧入法による成形体気孔分布試験方法」に準拠して水銀圧入法に基づき測定される値であり、かつ昇圧(水銀侵入)側の細孔分布より算出した値である。具体的な測定手法については実施例に示した。
尚、イオン交換性層状珪酸塩粒子の細孔の形状は、細孔の開口部(入り口)よりも奥側の部分の径が大きくなった形状、言い換えればインクボトル型の形状となっていることが想定される。これは、以下の事実から推測される。
本開示の製造方法において観察される現象を用いて説明する。例えば、イオン交換性層状珪酸塩と、平均粒径0.3μm~100μmのアルミニウムイオンを含有する化合物[I]を混合した複合粒子を形成後、複合粒子から化合物[I]を溶解させ、細孔構造を制御することでイオン交換性層状珪酸塩粒子を製造する。この場合には、水銀圧入法による細孔分布測定では、化合物[I]の溶出跡に相当する直径0.3μm~100μm前後の細孔が検出されると考えられる。しかし、実際には添加した化合物[I]の直径よりも小さい細孔、すなわち10nm~300nmの範囲の細孔の増加が検出される。この事実から、細孔はインクボトル型の形状となっており、水銀圧入法による細孔分布測定では、インクボトル型の形状の細孔の開口部の径が観察されているものと推測される。すなわち、化合物溶出跡に相当する細孔がインクボトル型の細孔となっており、実際の細孔径よりも小さい細孔が見かけ上、測定されていると考えられる。このように、本開示の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子は、粒子内部に比較的大きい細孔を有しながらも、この細孔の入口径が小さいことで、粒子表面は適度な強度を保持し、重合中でも粒子表面からの崩壊が抑制されるため、プラントの運転安定性に貢献できると考えられる。また、インクボトル型の細孔であるため、一度細孔内に入ったモノマーやメタロセン錯体は、粒子内部から外部へ流出しにくくなり、効率よくモノマーを吸収し、かつメタロセン錯体を効率的に担持して、触媒の高活性化に寄与すると推定される。特開平2-261837号公報には、細孔内に入ったモノマーやメタロセン錯体を外部に流出しにくくする参考技術が開示されている。
(2.3)金属原子比率([Al]/[Si])(特性(iii))
本開示の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子としては、助触媒兼担体としての用途を鑑みると、ケイ素原子の含有量(mol/g)を[Si]とし、アルミニウム原子の含有量(mol/g)を[Al]としたとき、以下の式(1)を満たしていてもよい。

式(1): 0.10≦([Al]/[Si])≦0.30

式(1)の左辺は、好ましくは0.11、より好ましくは0.13、さらに好ましくは、0.15、特に好ましくは0.18であってもよく、式(1)の右辺は、好ましくは0.28、より好ましくは0.27、さらに好ましくは0.26であってもよい。左辺と右辺は任意の組合せを採用できる。[Al]/[Si]がこの範囲にあると,適度な細孔容積及び比表面積を有し,その結果、活性点が多くなり,高活性で、良好な品質の製品が得られると考えられる。
(2.4)金属原子比率([Al]/[Mg]等)(特性(v))
本開示の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子は、助触媒兼担体としての用途を鑑みると、さらに、マグネシウム原子の含有量(mol/g)を[Mg]としたとき、前記[Si]、前記[Al]及び前記[Mg]が、以下の式(2)を満たしていてもよい。

式(2):-3.0×([Al]/[Si])+4.2≦([Al]/[Mg])
≦-3.0×([Al]/[Si])+5.8

式(2)の左辺は、好ましくは-3.0×([Al]/[Si])+4.3、より好ましくは-3.0×([Al]/[Si])+4.4であってもよく、式(2)の右辺は、好ましくは-3.0×([Al]/[Si])+5.4、より好ましくは-3.0×([Al]/[Si])+5.2、さらに好ましくは、-3.0×([Al]/[Si])+5.0であってもよい。左辺と右辺は任意の組合せを採用できる。
[Al]/[Mg]が式(2)の左辺よりも小さい場合には、以下の理由から触媒活性の低下が懸念される。例えば本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子を製造する際に、酸処理において溶出したマグネシウムイオン(Mg2+)の濃度が反応系中で高くなり、イオン交換性層状珪酸塩の端面に形成された酸点へのMg2+の再吸着が起こることが想定される。その結果、アルミニウム原子を中心に構成される酸点が、マグネシウム原子を中心に構成される酸強度が小さい酸点となり、結果としてメタロセン錯体を活性化できない活性点となり、触媒活性が低下する可能性が考えられる。
従って、本開示の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子では、Mg2+の再吸着が抑制されるように、上記式(2)を満たしていてもよい。
また、カルシウムイオンについても酸点への吸着や、上述の塩処理においてカルシウム以外の陽イオンへの交換を阻害するおそれがある。カルシウム含有量は、好ましくは0.000mmol/g以上、0.100mmol/g以下であってもよい。下限値がより好ましくは0.001mmol/g以上であってもよく、上限値がより好ましくは0.070mmol/g以下、さらに好ましくは0.050mmol/g以下、特に好ましくは0.030mmol/g以下であってもよい。上限値と下限値は任意の組み合わせを採用できる。
また、鉄原子の含有量(mol/g)を[Fe]としたとき、ケイ素原子に対する鉄原子のモル比([Fe]/[Si])は、イオン交換性の点から、好ましくは0.000~0.045、より好ましくは0.001~0.035、さらに好ましくは0.010~0.030、特に好ましくは0.012~0.025であってもよい。
また、ケイ素原子に対するマグネシウム原子のモル比([Mg]/[Si])は、イオン交換性の点から、好ましくは0.018~0.091、より好ましくは0.028~0.085、さらに好ましくは0.041~0.075、よりさらに好ましくは0.044~0.065であってもよい。
(2.5)リチウム原子含有量(特性(iv))
本開示の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子に含有されるリチウム原子の含有量について特に制限はない。リチウム原子の含有量は、触媒活性の観点から、好ましくは0.10mmol/g以上、5.00mmol/g以下であってもよい。リチウム原子の含有量について、下限値が好ましくは0.30mmol/g以上、より好ましくは0.40mmol/g以上、さらに好ましくは0.50mmol/g以上であってもよく、特に好ましくは0.56mmol/g以上であり、上限値が好ましくは3.00mmol/g以下、より好ましくは2.00mmol/g以下、さらに好ましくは1.00mmol/g以下であってもよい。上限値と下限値は任意の組み合わせを採用できる。リチウム原子含有量が上記の好ましい範囲にある場合、高い重合活性が発現される。
なお、上記の各成分は、後述する方法にて求めることができる。
(2.6)粒子径(特性(vi))
本開示の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子の粒子径は、特に限定されない。本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の平均粒子径は、2μm以上、500μm以下であってもよい。
本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子において、平均粒子径の下限値はより好ましくは3μm以上、さらに好ましくは8μm以上、特に好ましくは10μm以上であってもよく、上限値は好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは70μm以下、よりさらに好ましくは60μm以下、特に好ましくは55μm以下であってもよい。上限値と下限値は任意の組み合わせを採用できる。
一般的に、粒子径が小さすぎると吸着材や脱色剤として使用した場合には、濾過等の固液分離時の効率低下、触媒担体として用いた場合には反応器内への付着や配管、フィルター閉塞の原因となる可能性がある。一方で、粒子径が大きすぎると吸着材や脱色剤、触媒担体として用いた場合に液中(スラリー状態)や気相反応時の分散不良等を引き起こす可能性がある。
ここで、本開示のイオン交換性層状珪酸塩粒子の平均粒子径は、堀場製作所社製レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA-960を用い、分散溶媒をエタノール、屈折率実数項1.490、虚数項0.000、分散溶媒屈折率実数項1.360の条件で測定される、球等価粒子径分布から求められる体積基準のメジアン径のことをいう。
(2.7)平均圧壊強度(特性(vii))
本開示の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子の平均圧壊強度は、特に限定されない。この平均圧壊強度は、触媒担体としての用途を鑑みると、平均圧壊強度は適切な範囲に保つことが好ましい。
単一粒子の圧壊強度の測定方法としては、JIS R 1639-5:2007 単一か粒圧壊強さ等に記載の方法で測定することができる。具体的には後述の実施例に記載の測定方法で測定することができる。
本開示の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子の平均圧壊強度は、好ましくは1.0MPa以上、25.0MPa以下であってもよく、下限値がより好ましくは3.0MPa以上、さらに好ましくは5.0MPa以上、上限値がより好ましくは20.0MPa以下、さらに好ましくは15.0MPa以下、特に好ましくは13.5MPa以下であってもよい。上限値と下限値は任意の組み合わせを採用できる。
平均圧壊強度が上記範囲であれば、触媒調製時等における粒子の破壊の抑制、微粉発生の抑制が可能であり、オレフィン重合触媒用担体として適した性能を示すと考えられる。
(3)イオン交換性層状珪酸塩粒子の用途
本開示の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子は、特定の細孔分布及び比表面積を有することから、オレフィン重合触媒の担体、有機化学反応の触媒、石油や油脂類の脱水、脱色、精製や、乾燥材、吸着材、漂白剤等に広く用いられる。
3.オレフィン重合用触媒成分の製造方法
オレフィン重合用触媒成分の製造方法は、上述の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子を用いる。
オレフィン重合用触媒成分は、上述の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子を含む。
オレフィン重合用触媒成分は、オレフィン重合又は共重合の触媒成分として使用できる。イオン交換性層状珪酸塩粒子は、触媒担体、助触媒等として機能する。
本開示の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子をオレフィン重合用触媒成分として用いると、高い重合活性を示し、且つ、製品外観を悪化させる製品中のフィッシュアイが少ないオレフィン重合体を製造できる。
本開示の製造方法により得られるオレフィン重合用触媒成分を使用する方法は、特に限定されるものではない。使用方法としては、例えば、特開2002-053611号公報、特開2009-280443号公報等に記載の方法が挙げられる。
中でも、後述するオレフィン重合用触媒のように用いると、触媒性能が向上しやすい。
4.オレフィン重合用触媒の製造方法
本開示のオレフィン重合用触媒の製造方法は、下記成分[A]、成分[B]、及び成分[C]を混合(接触)させることを特徴とする。
成分[A]:上述の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子
成分[B]:遷移金属化合物
成分[C]:有機アルミニウム化合物
(1)各成分
(1.1)成分[A]
成分[A]は、上述のイオン交換性層状珪酸塩粒子である。イオン交換性層状珪酸塩粒子の詳細な説明は、「2.イオン交換性層状珪酸塩粒子」の欄の説明と同様であり、この欄の記載をそのまま適用する。
(1.2)成分[B]
成分[B]は、遷移金属化合物である。遷移金属化合物の内でも周期表第4族の遷移金属化合物が好ましい。周期表第4族の遷移金属化合物の一例として、共役五員環配位子を少なくとも一個有するメタロセン化合物が挙げられる。この遷移金属化合物として、下記一般式(1)~(4)で表される化合物が好適に例示される。
Figure 2023061901000001

[上記一般式(1)~(4)中、A及びA’は、置換基を有してもよい共役五員環配位子(同一化合物内においてA及びA’は同一でも異なっていてもよい)を示し、
Qは、二つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示し、Zは、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子またはイオウ原子を含む配位子、水素原子、ハロゲン原子、又は炭化水素基を示し、Z’は、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子またはイオウ原子を含む配位子、又は炭化水素基を示す。
Q’は、共役五員環配位子の任意の位置とZを架橋する結合性基を示し、Mは、周期表第4族から選ばれる金属原子を示し、X及びYは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基(同一化合物内においてX及びYは、同一でも異なっていてもよい。)を示す。]
A及びA’の共役五員環配位子としては、例えば、シクロペンタジエンやインデン、テトラヒドロインデン、フルオレン、アズレン、テトラヒドロアズレンから誘導される置換基が挙げられ、これらは非置換でもよく、置換されていてもよい。この中で、特に好ましいものは、置換または非置換のインデニル基、又はアズレニル基である。
共役五員環配位子上の置換基としては、炭素数1~40、好ましくは炭素数1~30の炭化水素基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲンが置換した炭素数1~30の炭化水素基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子基、炭素数1~12のアルコキシ基、例えば、-Si(R)(R)(R)で示される珪素含有炭化水素基、-P(R)(R)で示されるリン含有炭化水素基、または-B(R)(R)で示されるホウ素含有炭化水素基が挙げられる。これらの置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同一でも異なっていてもよい。
上述のR、R、Rは、同一でも異なっていてもよく、炭素数1~24、好ましくは炭素数1~18のアルキル基を示す。
また、共役五員環配位子上の置換基としては、少なくとも1つの第15~16族元素(すなわち、ヘテロ元素)を有してもよく、このような置換基として好ましくは、5員又は6員環中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びリン原子よりなる群から選択されるヘテロ原子を含有する単環式又は多環式置換基が挙げられ、さらに好ましくは置換していてもよいヘテロ芳香族化合物から誘導される置換基であり、特に好ましくは置換していてもよいフリル基、置換していてもよいチエニル基が挙げられる。一般式(2)又は(4)で表される架橋基をもつ化合物の場合、これらの置換基は、特に制限はないが、共役五員環配位子上のα位(架橋基との結合部位を基準とする)にあることが好ましい。
Qは、二つの共役五員環配位子間を任意の位置で架橋する結合性基を、Q’は、共役五員環配位子の任意の位置とZで示される基を架橋する結合性基を表す。
Q及びQ’の具体例としては、次の基が挙げられる。
<1>メチレン基、エチレン基、イソプロピレン基、フェニルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキシレン基等のアルキレン基類
<2>ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジプロピルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルエチルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、メチル-t-ブチルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基、シラシクロブチレン基等のシリレン基類
<3>炭化水素基で置換されたゲルマニウム原子、リン原子、窒素原子、ホウ素原子あるいはアルミニウム原子
さらに、具体的には、(CHGe、(CGe、(CH)P、(C)P、(C)N、(C)N、(C)B、(C)B、(C)Al、(CO)Alで示される基等である。好ましいものは、アルキレン基類、又は、シリレン基類である。
また、Mは、金属原子を表し、特に周期表第4族から選ばれる遷移金属原子を示し、例を挙げるならば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等である。特に、ジルコニウム、ハフニウムが好ましい。
さらに、Zは、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子又はイオウ原子を含む配位子、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を示し、Z’は、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子又はイオウ原子を含む配位子、又は炭化水素基を示す。
Z及びZ’の好ましい具体例としては、炭素数1~40、好ましくは炭素数1~18の酸素含有炭化水素基、炭素数1~40、好ましくは炭素数1~18のイオウ含有炭化水素基、炭素数1~40、好ましくは炭素数1~18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1~40、好ましくは炭素数1~18の窒素含有炭化水素基、炭素数1~40、好ましくは炭素数1~18のリン含有炭化水素基、炭素数1~20の炭化水素基が挙げられ、Zの好ましい具体例としては、水素原子、塩素原子、臭素原子が更に追加される。
X及びYは、各々水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10の炭化水素基、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10のアルコキシ基、アミノ基、ジフェニルフォスフィノ基等の炭素数1~20、好ましくは炭素数1~12のリン含有炭化水素基、またはトリメチルシリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基等の炭素数1~20、好ましくは炭素数1~12のケイ素含有炭化水素基である。
XとYは同一でも異なってもよい。これらのうちハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、及び炭素数1~12のアミノ基が特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物としては、例えば、
(1)ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(2)ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(3)ビス(1、3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(4)ビス(1-n-ブチル-3-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(5)ビス(1-メチル-3-トリフルオロメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(6)ビス(1-メチル-3-トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(7)ビス(1-メチル-3-フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(8)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(9)ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(10)ビス(2-メチル-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
等が挙げられる。
一般式(2)で表される化合物としては、例えば、
(1)ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4-イソプロピル-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(2)ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(3)ジメチルシリレンビス〔1-{2-メチル-4-(4-フルオロフェニル)-4H-アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(4)ジメチルシリレンビス[1-{2-メチル-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、
(5)ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4,6-ジイソプロピル-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(6)ジフェニルシリレンビス{1-(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(7)ジメチルシリレンビス{1-(2-エチル-4-フェニル-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(8)エチレンビス{1-[2-メチル-4-(4-ビフェニリル)-4H-アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、
(9)ジメチルシリレンビス{1-[2-エチル-4-(2-フルオロ-4-ビフェニリル)-4H-アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、
(10)ジメチルシリレンビス{1-[2-メチル-4-(2’,6’-ジメチル-4-ビフェニリル)-4H-アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、
(11)ジメチルシリレン{1-[2-メチル-4-(4-ビフェニリル)-4H-アズレニル]}{1-[2-メチル-4-(4-ビフェニリル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、
(12)ジメチルシリレン{1-(2-エチル-4-フェニル-4H-アズレニル)}{1-(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(13)ジメチルシリレンビス{1-(2-エチル-4-フェニル-7-フルオロ-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(14)ジメチルシリレンビス{1-(2-エチル-4-インドリル-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(15)ジメチルシリレンビス[1-{2-エチル-4-(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)-4H-アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、
(16)ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)}ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホン酸)、
(17)ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(18)ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(19)ジメチルシリレンビス〔1-{2-メチル-4-(1-ナフチル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、
(20)ジメチルシリレンビス{1-(2-メチル-4,6-ジイソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(21)ジメチルシリレンビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(22)エチレン-1,2-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(23)エチレン-1,2-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(24)イソプロピリデンビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(25)エチレン-1,2-ビス{1-(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(26)イソプロピリデンビス{1-(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、
(27)ジメチルゲルミレンビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(28)ジメチルゲルミレンビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(29)フェニルホスフィノビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
(30)ジメチルシリレンビス[3-(2-フリル)-2,5-ジメチル-シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、
(31)ジメチルシリレンビス[2-(2-フリル)-3,5-ジメチル-シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、
(32)ジメチルシリレンビス[2-(2-フリル)-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(33)ジメチルシリレンビス[2-(2-(5-メチル)フリル)-4,5-ジメチル-シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、
(34)ジメチルシリレンビス[2-(2-(5-トリメチルシリル)フリル)-4,5-ジメチル-シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、
(35)ジメチルシリレンビス[2-(2-チエニル)-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(36)ジメチルシリレン[2-(2-(5-メチル)フリル)-4-フェニルインデニル][2-メチル-4-フェニルインデニル]ジルコニウムジクロリド、
(37)ジメチルシリレンビス(2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(38)ジメチルシリレンビス(2,3-ジメチル-5-エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(39)ジメチルシリレンビス(2,5-ジメチル-3-フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(40)シラシクロブチレンビス[2-(2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(41)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(42)シラシクロブチレンビス[2-(4,5-ジメチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウジクロリドム、
(43)シラシクロブチレンビス[2-(5-t-ブチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(44)シラシクロブチレンビス[2-(5-フェニル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(45)シラシクロブチレンビス[2-(2-チエニル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(46)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-チエニル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(47)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-フルオロフェニル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(48)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-クロロフェニル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(49)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-メチルフェニル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(50)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-t-ブチルフェニル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(51)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(52)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(3,5-ジt-ブチルフェニル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(53)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(1-ナフチル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(54)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(2-ナフチル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(55)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-ビフェニリル)-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(56)シラシクロブチレンビス[2-(2-フリル)-4-フェニル-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(57)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(58)シラシクロブチレンビス[2-(4,5-ジメチル-2-フリル)-4-フェニル-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(59)シラシクロブチレンビス[2-(5-t-ブチル-2-フリル)-4-フェニル-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(60)シラシクロブチレンビス[2-(5-フェニル-2-フリル)-4-フェニル-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(61)シラシクロブチレンビス[2-(2-チエニル)-4-フェニル-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(62)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-チエニル)-4-フェニル-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(63)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-フルオロフェニル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(64)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-クロロフェニル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(65)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-メチルフェニル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(66)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-t-ブチルフェニル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(67)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(3,5-ジメチルフェニル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(68)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(3,5-ジt-ブチルフェニル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(69)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(1-ナフチル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(70)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(2-ナフチル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(71)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-ビフェニリル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(72)シラシクロブチレンビス[2-(2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(73)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(74)シラシクロブチレンビス[2-(4,5-ジメチル-2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(75)シラシクロブチレンビス[2-(5-t-ブチル-2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(76)シラシクロブチレンビス[2-(5-フェニル-2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(77)シラシクロブチレンビス[2-(2-チエニル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(78)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-チエニル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(79)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-フルオロフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(80)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-クロロフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(81)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-メチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(82)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-t-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(83)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(3,5-ジメチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(84)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(3,5-ジt-ブチルフェニル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(85)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(1-ナフチル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(86)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(2-ナフチル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(87)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-ビフェニリル)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(88)シラシクロブチレンビス[2-(2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-5,5,7,7-テトラメチル-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(89)シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-5,5,7,7-テトラメチル-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(90)シラシクロブチレン[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル][2,5-ジメチル-4-フェニル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(91)シラシクロブチレン[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル][2-(2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(92)シラシクロブチレン[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル][2-(5-t-ブチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(93)シラシクロブチレン[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル][2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(94)シラシクロブチレン[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル][2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(95)シラシクロブチレン[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル][2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(96)シラシクロペンチレンビス[2-(2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(97)シラシクロペンチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-5-メチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド、
(98)シラシクロペンチレンビス[2-(2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(99)シラシクロペンチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-インダセン-1-イル]ジルコニウムジクロリド、
(100)ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-i-プロピルフェニル)インデニル}ジルコニウムジクロリド、
(101)ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロアズレニル}ジルコニウムジクロリド、
等が挙げられる。
一般式(3)で表される化合物としては、例えば、
(1)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(ビスt-ブチルアミド)ジクロリド、
(2)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(ビスイソプロピルアミド)ジクロリド、
(3)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(ビスシクロドデシルアミド)ジクロリド、
(4)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム{ビス(トリメチルシリル)アミド)}ジクロリド、
(5)(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)チタニウム{ビス(トリメチルシリル)アミド}ジクロリド、
(6)(2-メチルインデニル)チタニウム(ビスt-ブチルアミド)ジクロリド、
(7)(フルオレニル)チタニウム(ビスt-ブチルアミド)ジクロリド、
(8)(3、6-ジイソプロピルフルオレニル)チタニウム(ビスt-ブチルアミド)ジクロリド、
(9)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(フェノキシド)ジクロリド、(10)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(2、6-ジイソプロピルフェノキシド)ジクロリド、
等が挙げられる。
一般式(4)で表される化合物としては、例えば、
(1)ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルアミド)チタニウムジクロリド、
(2)ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタニウムジクロリド、
(3)ジメチルシランジイル(2-メチルインデニル)(t-ブチルアミド)チタニウムジクロリド、
(4)ジメチルシランジイル(フルオレニル)(t-ブチルアミド)チタニウムジクロリド、等が挙げられる。
これらの例示化合物のジクロリドは、ジブロマイド、ジフルオライド、ジメチル、ジフェニル、ジベンジル、ビスジメチルアミド、ビスジエチルアミド等に置き換えた化合物も、同様に例示される。さらに、例示化合物中のジルコニウムは、ハフニウム又はチタニウムに、チタニウムは、ハフニウム又はジルコニウムに置き換えた化合物も、同様に、例示される。
本開示における遷移金属化合物としては、一般式(2)で示される化合物が好ましい。
尚、メタロセン化合物は、1種類を用いることも、2種類以上を併用して用いることもできる。
2種類以上を併用して用いる場合は、上記一般式(1)~(4)のうちいずれか1つの一般式に含まれる化合物群の中から2種類以上を選ぶことができ、1つの一般式に含まれる化合物群の中から選ばれる1種又は2種以上と他の一般式に含まれる化合物群の中から選ばれる1種又は2種以上とを選ぶこともできる。
(1.3)成分[C]
成分[C]は、有機アルミニウム化合物である。
成分[C]としては、一般式(AlR3-nで表される有機アルミニウム化合物が好適に使用される。式中、Rは炭素数1~20のアルキル基を表し、Xはハロゲン、水素、アルコキシ基又はアミノ基を表し、nは1~3の、mは1~2の整数を各々表す。有機アルミニウム化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。
これらのうち、好ましくは、m=1、n=3のトリアルキルアルミニウム及びアルキルアルミニウムヒドリドである。
さらに好ましくは、Rが炭素数1~8であるトリアルキルアルミニウムである。
(2)混合方法等
混合(接触)方法は特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。
また、この混合は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時またはオレフィンの重合時に行ってもよい。これらの混合において混合を充分に行うため溶媒を用いてもよい。
1)成分[B]と成分[A]を混合する
2)成分[B]と成分[A]を混合した後に成分[C]を混合する
3)成分[B]と成分[C]を混合した後に成分[A]を混合する
4)成分[A]と成分[C]を混合した後に成分[B]を混合する
その他、三成分を同時に混合してもよい。
好ましい混合方法は、上記4)の成分[A]と成分[C]を混合した後、未反応の成分[C]を洗浄等で除去し、その後再度必要最小限の成分[C]を混合し、その後、成分[B]を混合する方法である。
成分[C]のAlと成分[B]の遷移金属(M)のモル比(Al/M)は0.1~1,000、好ましくは1~100、さらに好ましくは4~50の範囲である。
混合温度に特に制限はないが、0℃~100℃が好ましく、さらに好ましくは10℃~80℃、特に好ましくは20℃~60℃である。
溶媒としては有機溶媒が好ましく、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素、後述のオレフィンがより好ましい。これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
溶媒中の成分[B]の濃度についても制限はないが、好ましくは3mM~50mM、より好ましくは4mM~40mM、さらに好ましくは6mM~30mMである。
成分[B]の使用量は、成分[A]1gにつき0.001mmol~10mmol、好ましくは0.001mmol~1mmolの範囲がより好ましい。
本開示のオレフィン重合用触媒は、エチレンまたはα-オレフィンを接触させて少量重合する予備重合処理を行っていてもよい。
使用するα-オレフィンは、特に限定はないが、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどを使用することが可能であり、特にエチレン、プロピレンを使用することが好ましい。
エチレンまたはα-オレフィンの供給方法は、エチレンまたはα-オレフィンを反応槽に定速的に又は定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が採用される。
予備重合時間は、特に限定されないが、5分~24時間の範囲であることが好ましい。
また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分[A]1質量部に対し、好ましくは0.01質量部~100質量部、さらに好ましくは0.1質量部~50質量部である。
予備重合温度は特に制限はないが、好ましくは0℃~100℃であり、より好ましくは10℃~70℃であり、特に好ましくは20℃~60℃であり、さらに好ましくは30℃~50℃である。
予備重合は有機溶媒等の液体中で行うことが好ましい。予備重合において使用する溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素、後述のオレフィンがより好ましい。これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。また、各成分を混合させたときの溶媒をそのまま用いてもよい。
予備重合時の固体触媒の濃度は、特に限定されないが、好ましくは10g/L~300g/Lであり、より好ましくは20g/L~200g/Lであり、さらに好ましくは25g/L~150g/Lである。
各成分の混合後および予備重合後に、オレフィン重合用触媒は乾燥してもよい。
乾燥方法は特に限定されないが、減圧乾燥や加熱乾燥、乾燥ガスを流通させることによる乾燥等が例示され、これらの方法を単独で用いてもよいし、2つ以上の方法を組み合わせて用いてもよい。
乾燥工程において触媒を撹拌、振動、流動させてもよいし、静置させてもよい。
さらに、上記各成分の混合の際、又は混合の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の重合体やシリカ、チタニア等の無機酸化物固体を共存させることも可能である。また、各種の界面活性剤、帯電防止剤やオレフィン重合触媒においてドナーとして知られるアルコキシシラン、アミノシラン、エーテル、フタル酸エステル、カルボン酸エステル等を加えることもできる。
5.オレフィン重合体の製造方法
本開示のオレフィン重合体の製造方法は、上述の製造方法により得られるオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィン重合を行うことを特徴とする。
本開示においては、「オレフィン重合体」という文言には、「オレフィン共重合体」も含まれる。オレフィン共重合体も含まれることを示すために、「オレフィン(共)重合体」と記載する場合もある。すなわち、オレフィン(共)重合体は、単独重合体及び共重合体の少なくとも一方を意味する。
オレフィン(共)重合体の製造方法は、好ましくは、本開示のオレフィン重合用触媒の存在下、エチレンまたは炭素数3~20のα-オレフィンを単独重合又は共重合する。すなわち、この製造方法では、1種類のエチレンまたはα-オレフィンを重合、又は2種類以上のエチレンまたはα-オレフィンを共重合させる。
共重合の場合、反応系中の各モノマーの量比は、経時的に一定である必要はない。各モノマーを一定の混合比で供給してもよい。また、供給するモノマーの混合比を経時的に変化させてもよい。また、共重合反応比を考慮して、モノマーのいずれかを分割して添加してもよい。
重合し得るα-オレフィンとしては、エチレンまたは炭素数3~20のα-オレフィンが好ましく、具体的にはプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、スチレン、ジビニルベンゼン、7-メチル-1、7-オクタジエン、シクロペンテン、ノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。好ましくはエチレンまたは炭素数3~8のα-オレフィンであり、さらに好ましくはエチレン、プロピレンである。
共重合の場合、用いられるコモノマーの種類は、上述のエチレンまたはα-オレフィンとして挙げられるものの中から、主成分となるもの以外のエチレンまたはα-オレフィンを1種、又は2種以上選択して用いることができる。好ましいコモノマーの主成分はプロピレンである。
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に使用せずにプロピレンなどのモノマーを溶媒として用いる方法、溶液重合法、又は実質的に液体溶媒を使用せず各モノマーをガス状に保つ気相法等が採用できる。また、連続重合、回分式重合、又は予備重合を行う方法も適用される。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。
重合温度は、特に限定されないが、通常、0℃~150℃である。
また、分子量調節剤として水素を用いてもよい。また、反応量を調節するために、酸素やアルコール等の触媒を失活させる作用のある化合物を供給してもよいし、運転性を改善する等の目的で、酸素、アルコール、アルコキシシラン、界面活性剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
重合圧力は、特に限定されないが、0kg/cm~2000kg/cmG(≒0MPaG~196.14MPaG)、好ましくは0kg/cm~60kg/cmG(≒0MPaG~5.88MPaG)が適当である。
オレフィン(共)重合体の製造方法によって得られるオレフィン(共)重合体としては、特に限定されないが、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン/エチレン-α-オレフィン系共重合体などが好適に挙げられる。
本開示の製造方法で得られるオレフィン(共)重合体は、製品外観を悪化させるフィッシュアイが少ない。
本開示の製造方法で得られるオレフィン(共)重合体は、フィッシュアイ数が少ないほどよい。具体的には、フィッシュアイ数は、好ましくは0個/900mm~100個/900mmであり、より好ましくは0個/900mm~70個/900mmである。
多段重合やポリマーの混錬によって得られる、いわゆるインパクトコポリマー、ブロックコポリマーと呼ばれる、非相溶性のポリマーの混合物におけるフィッシュアイは、ポリマーの相溶性(組成)や混合比、分子量差(粘度差)によって生じる分散不良によって生じることがある。一般に相溶性が低い場合や、各成分の分子量差、粘度差が大きい場合にはフィッシュアイは増加する傾向にある。
尚、上記各特性の測定方法は、後述するためここでの記載は省略する。
次に本開示を実施例によって具体的に説明するが、本開示はその要旨を逸脱しない限りこれらの実施例によって制約を受けるものではない。尚、本実施例における測定法は次の通りである。
1.各種物性測定法
(1)イオン交換性層状珪酸塩およびイオン交換性層状珪酸塩(複合)粒子の組成分析
JIS R2212に準拠して検量線を作成し、蛍光X線測定にて定量した。
装置は、リガク社製ZSX Primus IVを使用した。
試料は、1050℃で1時間焼成後、0.4gを分け取り、融剤(Li)4g、50%LiBr水溶液(離型剤)15μLと混合し、ガラスビードを作製することで調製した。
(2)イオン交換性層状珪酸塩粒子のリチウム原子含有量測定
原子吸光光度計(AAS)にて定量した。
装置は、日立製作所製Z-5310を使用した。
試料は、700℃で焼成し、白金るつぼに採取し、硫酸及びフッ化水素酸を添加して加熱分解した。溶液を定容した後、原子吸光光度計(AAS)にて測定した。
(3)窒素吸着法による細孔分布測定及び比表面積測定
窒素吸着法によって、吸着等温線及び脱着等温線を測定した。
得られた吸着等温線を用いてBET多点法解析(Rouquerol変換)を実施し、比表面積を求めた。
具体的な測定条件は下記の通りとした。
装置:Anton-Paar社製ガス吸着量測定装置Autosorb-iQ3
測定手法:窒素ガス吸着法
前処理条件:試料を200℃、真空下(1.3Pa以下)で2時間減圧加熱
試料量:約0.2g
ガス液化温度:77K
(4)水銀圧入法による細孔分布測定
JIS R 1655:2003「ファインセラミックスの水銀圧入法による成形体気孔分布試験方法」に準拠して測定した。
具体的には、測定装置はマイクロメリテックス社製オートポアIV9520型を用いた。試料は予め200℃で2時間の減圧乾燥を実施した。減圧乾燥させた粉体試料を秤量し(約0.4g)専用セルに入れ、前処理として真空下(50μmHg以下で10分)で脱気処理を行った。続いて、圧力を4.0psiaとしこれを初期圧としてセルに水銀を導入し、圧力を4.0psiaから40000psiaまでステップ状に昇圧させた後、26psiaまで降圧させた。昇圧時のステップ数は79点以上、降圧時のステップ数は39点以上とし、各ステップでは10秒の平衡時間の後、水銀圧入量を測定した。また、水銀の接触角は140度、水銀の表面張力は485dynes/cmとした。昇圧(水銀侵入)側の測定データについて、細孔直径を横軸に、細孔容積を縦軸にプロットすることにより累積細孔容積曲線を求め、細孔直径10nmおよび300nmのそれぞれの累積細孔容積の差分から、細孔直径10nm~300nmにおける細孔容積を算出した。
(5)平均粒径の測定
堀場製作所社製レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA-960を用い、分散溶媒をエタノール、屈折率実数項1.490、虚数項0.000、分散溶媒屈折率実数項1.360の条件で、超音波分散を行った後に測定した。平均粒径は、体積基準のメジアン径のことをいう。
(6)圧壊強度
島津製作所(株)製の圧壊試験器「MCT-210」を用いて、JIS R 1639-5を参考に、温度23℃、湿度35%で、負荷速度1.9mN/secにて、大きさに偏りが生じないように選んだ20個の粒子を測定し、以下の式に従い粒子の圧壊強度を計算した。
S=2.48・P/(π・d
(S:圧壊強度(MPa)、P:破壊時の試験圧力(N)、d:直径=粒子の長軸径と短軸径の平均値(μm))
尚、dは、光学顕微鏡を用いて測定した。
得られた20個の粒子の圧壊強度の平均値を平均圧壊強度とした。
(7)イオン交換性層状珪酸塩(原料)の粒子径
次の方法で測定する球等価粒子径分布から求められる体積基準のメジアン径をイオン交換性層状珪酸塩(原料)の粒子径とした。
堀場製作所社製レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA-960を用い、分散溶媒を蒸留水、屈折率実数項1.490、虚数項0.100、分散溶媒屈折率実数項1.333、透過率(R)85%~99%、透過率(B)85%~90%の条件で、かつ装置内超音波強度「7」で2分間超音波処理後に測定した。
(8)MFR(メルトマスフローレート)
タカラ社製メルトインデクサーを用い、JIS K7210の「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレート(MFR)及びメルトボリュームフローレート(MVR)の試験方法」の試験条件:230℃、2.16kg荷重に準拠して測定した。
(9)フィッシュアイ数の測定
ポリマー20gに対し、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ステアリン酸カルシウムを各10mgずつ加え、Xplore microcompounder(DSM社製)を用いて混練(200℃、50rpm、2min)を行った後、0.2mm厚にプレス(190℃、10MPa)してシートを得た。
シートをキャノン製Cano Scan 9000F Mark2で1200dpi、8bit-グレイスケールの画像として取り込み、画像を2値化して、30mm×30mmの領域(正方形の範囲:900mm)のフィッシュアイ数を3箇所計測し、3箇所の平均値をフィッシュアイ数として採用した。尚、3ピクセル以下の点はノイズとみなし、計測の対象外とした。
(10)エチレン・プロピレン共重合体を含む重合体の分析方法
特開2015-193605号([重合したオレフィンポリマーの特性値の解析](1)~(6))に記載のクロス分別法とFT-IR法とを組み合わせた手法にて分析した。
2.イオン交換性層状珪酸塩粒子の製造
(1)実施例a1
(1.1)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の製造
イオン交換性層状珪酸塩として、水澤化学工業社製「ベンクレイKK」(主成分は、2:1型層構造のスメクタイト族モンモリロナイト)の水スラリー(5.0質量%)を使用した。イオン交換性層状珪酸塩の粒子径は0.457μmであった。
5LビーカーにベンクレイKKの水スラリー(5.0質量%)1950g、蒸留水217gを加えて撹拌し、このスラリーに日本軽金属製の平均粒径1μmの水酸化アルミニウム(アルミニウムイオンを含有する化合物[I])52.5gを撹拌しながら加えた。水酸化アルミニウムの使用量は、スラリーに含まれる固体成分100質量%に対して、35質量%であった。2分間撹拌した後、さらに高速撹拌機を用いて、5分間撹拌し、スラリーを調製した。得られたスラリーを用いて、噴霧乾燥造粒装置(大川原化工機社「L-8」)を使用し、次の条件下で噴霧乾燥造粒を行った。
・アトマイザー形式:M type ロータリーディスク
・アトマイザー回転数:8000rpm
・サイクロン差圧:1.05kPa
・乾燥空気入口温度:130℃
スラリーの供給時間は153分であった。造粒物は、造粒装置本体下部及びサイクロン下部に捕集された。本体下部に得られた造粒物92gを目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、59.6gのイオン交換性層状珪酸塩複合粒子を得た。イオン交換性層状珪酸塩、アルミニウムイオン含有の化合物[I]、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の各種分析を行った結果を表1-1および1-2に示した。
ここで、表1-1のイオン交換性層状珪酸塩における下記記号は、以下の内容を意味している。
・「Fea」:イオン交換性層状珪酸塩に含まれる鉄原子の量
表1-2のイオン交換性層状珪酸塩複合粒子における下記記号は、以下の内容を意味している。
・「Mgb」:イオン交換性層状珪酸塩複合粒子に含まれるマグネシウム原子の量
・「Feb」:イオン交換性層状珪酸塩複合粒子に含まれる鉄原子の量
(1.2)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(1)
撹拌翼と還流装置を取り付けた1Lフラスコに、蒸留水157.5gを投入し、96%硫酸62.5gを滴下した。この水溶液の内温が95℃になるまでオイルバスで加熱し、目標温度に到達したところで、上記(1.1)で製造したイオン交換性層状珪酸塩複合粒子30gを添加後し、95℃を保ちながら180分反応させた。
この反応溶液を150mLの蒸留水に注ぐことで反応を停止し、得られたスラリーを、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、濾過ケーキを300gの蒸留水でリンスした。さらにこの濾過ケーキを10%希硫酸300gで洗浄し、300gの蒸留水でリンスし、濾過ケーキとして40.0gの固形分を得た。
(1.3)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(2)
上記(1.2)で化学処理した固体分36.0と蒸留水46.9gを200mLフラスコに加え、撹拌した。このスラリーを40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーのpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は6.2gであった。120分40℃を維持したまま反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは、5.66だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、140gの蒸留水で2回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、乾燥ケーキをスパチュラで軽く押しつぶしながら解砕し、目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、イオン交換性層状珪酸塩粒子13.9gを得た。イオン交換性層状珪酸塩粒子の各種分析を行った結果を表2-1および2-2に示した。
表2-1のイオン交換性層状珪酸塩粒子における下記記号は、以下の内容を意味している。
・「Na」:イオン交換性層状珪酸塩粒子に含まれるナトリウム原子の量
・「K」:イオン交換性層状珪酸塩粒子に含まれるカリウム原子の量
尚、表2-1において、実施例a1~実施例a8は、下記式(2)を満たしている。
式(2):-3.0×([Al]/[Si])+4.2≦([Al]/[Mg])
≦-3.0×([Al]/[Si])+5.8
(2)実施例a2
(2.1)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の製造
ベンクレイKKの水スラリーを1800g、蒸留水を450g、水酸化アルミニウム(アルミニウムを含有する化合物[I])を30gに変更した以外は,実施例a1(1.1)と同様に行ってスラリーを調製した。水酸化アルミニウムの使用量は、スラリーに含まれる固体成分100質量%に対して、25質量%であった。得られたスラリーを用いて,実施例a1(1.1)と同じ装置および条件で噴霧乾燥造粒を行った。
スラリーの供給時間は164分であった。造粒物は造粒装置本体下部およびサイクロン下部に捕集された。本体下部に得られた造粒物89.9gを目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、38.5gのイオン交換性層状珪酸塩複合粒子を得た。使用したイオン交換性層状珪酸塩および化合物[I]、得られたイオン交換性層状珪酸塩複合粒子の各種分析を行った結果を表1-1および1-2に示した。
(2.2)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(1)
蒸留水を164.3g、96%硫酸を48.3g、イオン交換性層状珪酸塩を上記(2.1)のイオン交換性層状珪酸塩複合粒子29gに変更した以外は、実施例a1(2.2)と同様に行った。
反応溶液を145mLの蒸留水に注ぐことで反応を停止し、得られたスラリーを、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、濾過ケーキを290gの蒸留水でリンスした。さらにこの濾過ケーキを10%希硫酸290gで洗浄し、290gの蒸留水でリンスし、濾過ケーキとして45.1gの固形分を得た。
(2.3)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(2)
上記(2.2)から得られた固体分40.3gと蒸留水54.0gを200mLフラスコに加え、撹拌した。このスラリーを40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は10.0gであった。90分40℃を維持したまま反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは、5.93だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、159gの蒸留水で2回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、乾燥ケーキをスパチュラで軽く押しつぶしながら解砕し、目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、イオン交換性層状珪酸塩粒子12.9gを得た。各種分析を行った結果を表2-1および2-2に示した。
(3)実施例a3
(3.1)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の製造
ベンクレイKKの水スラリーを2550g、蒸留水を52g水酸化アルミニウム(アルミニウムイオンを含有する化合物[I])を22.5gに変更した以外は,実施例a1(1.1)と同様にしてスラリーを調製した。水酸化アルミニウムの使用量は、スラリーに含まれる固体成分100質量%に対して、15質量%であった。得られたスラリーを用いて、実施例a1(1.1)と同じ装置および条件で噴霧乾燥造粒を行った。
スラリーの供給時間は197分であった。造粒物は造粒装置本体下部およびサイクロン下部に捕集された。本体下部に得られた造粒物103.8gを目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、49.8gのイオン交換性層状珪酸塩複合粒子を得た。使用したイオン交換性層状珪酸塩および化合物[I]、得られたイオン交換性層状珪酸塩複合粒子の各種分析を行った結果を表1-1および1-2に示した。
(3.2)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(1)
蒸留水を187.0g、96%硫酸を55.0g、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子を上記(3.1)のイオン交換性層状珪酸塩複合粒子33gに変更した以外は、実施例a1(2.2)と同様に行った。
反応溶液を165mLの蒸留水に注ぐことで反応を停止し、得られたスラリーを、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、濾過ケーキとして51.8gの固形分を得た。
(3.3)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(2)
上記(3.2)から得られた固体分46.5gと蒸留水73.2gを200mLフラスコに加え、撹拌した。このスラリーを40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は20.1gであった。120分40℃を維持したまま反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは、5.68だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、200gの蒸留水で2回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、乾燥ケーキをスパチュラで軽く押しつぶしながら解砕し、目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、イオン交換性層状珪酸塩粒子16.4gを得た。各種分析を行った結果を表2-1および2-2に示した。
(4)実施例a4
(4.1)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の製造
平均粒径が2μmの水酸化アルミニウム(アルミニウムイオンを含有する化合物[I])を使用した以外は、実施例a1(1.1)と同様に行ってスラリーを調製した。得られたスラリーを用いて、実施例a1(1.1)と同じ装置および条件で噴霧乾燥造粒を行った。
スラリーの供給時間は186分であった。造粒物は造粒装置本体下部およびサイクロン下部に捕集された。本体下部に得られた造粒物101.6gを目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、54.9gのイオン交換性層状珪酸塩複合粒子を得た。使用したイオン交換性層状珪酸塩および化合物[I]、得られたイオン交換性層状珪酸塩複合粒子の各種分析を行った結果を表1-1および1-2に示した。
(4.2)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(1)
蒸留水を220.5g、96%硫酸を87.5g、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子を上記(4.1)のイオン交換性層状珪酸塩複合粒子42gに変更した以外は、実施例a1(2.2)と同様に操作した。
反応溶液を210mLの蒸留水に注ぐことで反応を停止し、得られたスラリーを、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、濾過ケーキを420gの蒸留水でリンスした。さらにこの濾過ケーキを10%希硫酸400gで洗浄し、400gの蒸留水でリンスし、濾過ケーキとして54.3gの固形分を得た。
(4.3)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(2)
上記(4.2)から得られた固体分48.9gと蒸留水71.3gを200mLフラスコに加え、撹拌した。このスラリーを40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は10.3gであった。120分40℃を維持したまま反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは、5.87だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、200gの蒸留水で2回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、乾燥ケーキをスパチュラで軽く押しつぶしながら解砕し、目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、イオン交換性層状珪酸塩粒子15.3gを得た。各種分析を行った結果を表2-1および2-1に示した。
(5)実施例a5
(5.1)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の製造
イオン交換性層状珪酸塩として、水澤化学工業製の、新潟県中条産の粘土鉱物に3質量%の炭酸ナトリウムを混錬後、水簸、遠心分離を用いて行い精製して得られた水スラリー(固体分3.1wt%、主成分は、2:1型層構造のスメクタイト族モンモリロナイト)を使用した。イオン交換性層状珪酸塩の粒子径は0.223μmであった。
イオン交換性層状珪酸塩の水スラリーを上記のイオン交換性層状珪酸塩の水スラリー(3.1質量%)3241gに、水酸化アルミニウム(アルミニウムイオンを含有する化合物[I])の使用量を49.5gに変更した以外は、実施例a1(1.1)と同様に行ってスラリーを調製した。水酸化アルミニウムの使用量は、スラリーに含まれる固体成分100質量%に対して、35質量%であった。得られたスラリーを用いて、実施例a1(1-1)と同じ装置および条件で噴霧乾燥造粒を行った。
スラリーの供給時間は186分であった。造粒物は造粒装置本体下部およびサイクロン下部に捕集された。本体下部に得られた造粒物91.3gを目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、45.2gのイオン交換性層状珪酸塩複合粒子を得た。使用したイオン交換性層状珪酸塩および化合物[I]、得られたイオン交換性層状珪酸塩複合粒子の各種分析を行った結果を表1-1および1-2に示した。
(5.2)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(1)
蒸留水を141.4g、96%硫酸を56.1g、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子を
上記(5.1)のイオン交換性層状珪酸塩複合粒子26.9gに変更した以外は、実施例a1(2.2)と同様に操作した。
反応溶液を135mLの蒸留水に注ぐことで反応を停止し、得られたスラリーを、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、濾過ケーキを300gの蒸留水でリンスした。さらにこの濾過ケーキを10%希硫酸400gで洗浄し、400gの蒸留水でリンスし、濾過ケーキとして34.2gの固形分を得た。
(5.3)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(2)
上記(5.2)から得られた固体分33.1gと蒸留水46.9gを200mLフラスコに加え、撹拌した。このスラリーを40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は5.8gであった。90分40℃を維持したまま反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは、5.98だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、135gの蒸留水で2回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、乾燥ケーキをスパチュラで軽く押しつぶしながら解砕し、目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、イオン交換性層状珪酸塩粒子11.82gを得た。各種分析を行った結果を表2-1および2-2に示した。
(6)実施例a6
(6.1)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の製造
イオン交換性層状珪酸塩の水スラリーを3629g、水酸化アルミニウム(アルミニウムイオンを含有する化合物[I])を37.5gに変更した以外は、実施例a5(5.1)と同様に行ってスラリーを調製した。水酸化アルミニウムの使用量は、スラリーに含まれる固体成分100質量%に対して、25質量%であった。得られたスラリーを用いて、乾燥空気入口温度を140℃とした以外は、実施例a1(1.1)と同じ装置および条件で噴霧乾燥造粒を行った。
スラリーの供給時間は253分であった。造粒物は造粒装置本体下部およびサイクロン下部に捕集された。本体下部に得られた造粒物96.4gを目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、42.6gのイオン交換性層状珪酸塩複合粒子を得た。使用したイオン交換性層状珪酸塩および化合物[I]、得られたイオン交換性層状珪酸塩複合粒子の各種分析を行った結果を表1-1および1-2に示した。
(6.2)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(1)
蒸留水を148.5g、96%硫酸を49.5g、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子を上記(6.1)のイオン交換性層状珪酸塩複合粒子27.0gに変更した以外は、実施例a1(2.2)と同様に操作した。
反応溶液を135mLの蒸留水に注ぐことで反応を停止し、得られたスラリーを、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、濾過ケーキを270gの蒸留水でリンスした。さらにこの濾過ケーキを10%希硫酸300gで洗浄し、300gの蒸留水でリンスし、濾過ケーキとして36.1gの固形分を得た。
(6.3)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(2)
上記(6.2)から得られた固体分32.6gと蒸留水54.5gを200mLフラスコに加え、撹拌した。このスラリーを40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は7.5gであった。90分40℃を維持したまま反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは、5.34だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、147gの蒸留水で2回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、乾燥ケーキをスパチュラで軽く押しつぶしながら解砕し、目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、イオン交換性層状珪酸塩粒子12.3gを得た。各種分析を行った結果を表2-1および2-2に示す。
(7)実施例a7
(7.1)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の製造
イオン交換性層状珪酸塩として、水澤化学工業製の、新潟県中条産の粘土鉱物に3質量%の炭酸ナトリウムを混錬後、水簸、遠心分離を用いて行い精製して得られた水スラリー(固体分6.7wt%、主成分は、2:1型層構造のスメクタイト族モンモリロナイト)を使用した。イオン交換性層状珪酸塩の粒子径は0.259μmであった。
イオン交換性層状珪酸塩の水スラリーを上記のイオン交換性層状珪酸塩の水スラリー(6.7質量%)1791gに、蒸留水を609gに、水酸化アルミニウム(アルミニウムイオンを含有する化合物[I])を40.0gに変更した以外は実施例a1(1.1)と同様に行ってスラリーを調製した。このときの水酸化アルミニウムの使用量は、スラリーに含まれる全固体成分100質量%に対して、25質量%であった。2分間撹拌した後、さらに高速撹拌機を用いて、5分間撹拌し、スラリーを調製した。得られたスラリーを用いて、噴霧乾燥造粒装置(大川原化工機社「L-8」)を使用し、次の条件下で噴霧乾燥造粒を行った。
・アトマイザー形式:M type ロータリーディスク
・アトマイザー回転数:30000rpm
・サイクロン差圧:1.08kPa
・乾燥空気入口温度:150℃
スラリーの供給時間は80分であった。造粒物は、造粒装置本体下部及びサイクロン下部に捕集された。本体下部およびサイクロンに捕集された造粒物合計158.3gを目開き53μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、137.7gのイオン交換性層状珪酸塩複合粒子を得た。イオン交換性層状珪酸塩、アルミニウムイオン含有の化合物[I]、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の各種分析を行った結果を表1-1および1-2に示した。
(7.2)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(1)
撹拌翼と還流装置を取り付けた1Lフラスコに、蒸留水538.2gを投入し、96%硫酸137.5gを滴下した。この水溶液の内温が95℃になるまでオイルバスで加熱し、目標温度に到達したところで、上記(7.1)で製造したイオン交換性層状珪酸塩複合粒子110gを添加後し、95℃を保ちながら270分反応させた。
この反応溶液を550mLの蒸留水に注ぐことで反応を停止し、得られたスラリーを、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、濾過ケーキを300gの10%希硫酸で3回リンスした。さらにこの濾過ケーキを蒸留水1100gでスラリー化し、再び濾過を行い洗浄した。この蒸留水での洗浄は合計3回行った。濾過ケーキとして205.5gの固形分を得た。
(7.3)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(2)
1Lフラスコに蒸留水243.2gと硫酸リチウム一水和物86.4gを入れ、撹拌し、硫酸リチウム水溶液を調製した。この水溶液を40℃に昇温した後、上記(7.2)で化学処理した固体分205.5gを水溶液へ投入し、このスラリーを2時間撹拌した。このときの反応終了時のスラリーのpHは、1.79だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、1605gの蒸留水で4回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、乾燥ケーキをスパチュラで軽く押しつぶしながら解砕し、目開き53μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、イオン交換性層状珪酸塩粒子58.1gを得た。イオン交換性層状珪酸塩粒子の各種分析を行った結果を表2-1および2-2に示した。
(8)実施例a8
(8.1)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の製造
イオン交換性層状珪酸塩の水スラリーを1795g、蒸留水を610g、水酸化アルミニウム(アルミニウムイオンを含有する化合物[I])を64.8gに変更した以外は、実施例a7(7.1)と同様に行ってスラリーを調製した。水酸化アルミニウムの使用量は、スラリーに含まれる固体成分100質量%に対して、35質量%であった。得られたスラリーを用いて、実施例a7(7.1)と同じ装置および条件で噴霧乾燥造粒を行った。スラリーの供給時間は80分であった。造粒物は、造粒装置本体下部及びサイクロン下部に捕集された。本体下部およびサイクロンに捕集された造粒物合計176.8gを目開き53μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、154.2gのイオン交換性層状珪酸塩複合粒子を得た。イオン交換性層状珪酸塩、アルミニウムイオン含有の化合物[I]、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の各種分析を行った結果を表1-1および1-2に示した。
(8.2)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(1)
蒸留水を711.1g、96%硫酸を222.6g、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子を上記(8.1)のイオン交換性層状珪酸塩複合粒子152gに変更した以外は、実施例a7(7.2)と同様に操作した。反応溶液を760mLの蒸留水に注ぐことで反応を停止し、得られたスラリーを、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、濾過ケーキを400gの10%希硫酸で3回リンスした。さらにこの濾過ケーキを蒸留水1520gでスラリー化し、再び濾過を行い洗浄した。この蒸留水での洗浄は合計3回行った。濾過ケーキとして265.5gの固形分を得た。
(8.3)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(2)
蒸留水を281.3g、硫酸リチウム一水和物を104.2g、上記(8.2)から得られた固体分260.2gに変更した以外は、実施例a7(7.3)と同様に操作した。このときの反応終了時のスラリーのpHは、2.09だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、1937gの蒸留水で4回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、乾燥ケーキをスパチュラで軽く押しつぶしながら解砕し、目開き53μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、イオン交換性層状珪酸塩粒子64.7gを得た。イオン交換性層状珪酸塩粒子の各種分析を行った結果を表2-1および2-2に示した。
(9)比較例a1
(9.1)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の製造
ベンクレイKKの水スラリー(5.0質量%)を2400gとし、蒸留水および水酸化アルミニウムを使用しなかった以外は、実施例a1(1.1)と同様に行って、スラリーを調製した。得られたスラリーを用いて、実施例a1(1.1)と同じ装置および条件で噴霧乾燥造粒を行った。
スラリーの供給時間は181分であった。造粒物は造粒装置本体下部およびサイクロン下部に捕集された。本体下部に得られた造粒物105.2gを目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、59.6gのイオン交換性層状珪酸塩複合粒子を得た。使用したイオン交換性層状珪酸塩および化合物[I]、得られたイオン交換性層状珪酸塩複合粒子の各種分析を行った結果を表1-1および1-2に示した。
(9.2)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(1)
蒸留水を204.0g、96%硫酸を60.0g,イオン交換性層状珪酸塩複合粒子を上記(9.1)のイオン交換性層状珪酸塩複合粒子36gに変更した以外は、実施例a1(2.2)と同様に操作した。
反応溶液を155mLの蒸留水に注ぐことで反応を停止し、得られたスラリーを、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、濾過ケーキを310gの蒸留水でリンスし、濾過ケーキとして51.0gの固形分を得た。
(9.3)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(2)
上記(9.2)から得られた固体分46.4gと蒸留水88.7gを200mLフラスコに加え、撹拌した。このスラリーを40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は9.0gであった。100分40℃を維持したまま反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは、5.59だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、228gの蒸留水で2回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、乾燥ケーキをスパチュラで軽く押しつぶしながら解砕し、目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、イオン交換性層状珪酸塩粒子19.8gを得た。各種分析を行った結果を表2-1および2-2に示す。
(10)比較例a2
(10.1)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の製造
イオン交換性層状珪酸塩として、水澤化学工業製の、実施例a5で用いた新潟県中条産の粘土鉱物を水簸、遠心分離を用いて行い精製して得られた水スラリー(主成分は、2:1型層構造のスメクタイト族モンモリロナイト)の造粒品(メジアン径33.3μm)を準備した。このイオン交換性層状珪酸塩複合粒子の各種分析を行った結果を表1-1および1-2に示した。
(10.2)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(1)
撹拌翼と還流装置を取り付けた1Lフラスコに、蒸留水585gを投入し、96%硫酸76gを滴下した。この水溶液を内温が95℃になるまでオイルバスで加熱し、95℃で、上述のイオン交換性層状珪酸塩粒子(10.1)90gを添加後し、95℃を保ちながら360分反応させた。
この反応溶液を900mLの蒸留水に注ぐことで反応を停止し、得られたスラリーを吸引濾過後、固体分を450mLの蒸留水で3回洗浄した。
(10.3)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(2)
上記(10.2)の固体分270.9gと蒸留水355.1gを1Lフラスコに加え、撹拌した。このスラリーを40℃まで昇温し、ここに4.43wt%水酸化リチウム水溶液を20.6g滴下した後、90分間撹拌を継続し、反応させた。
90分経過後のスラリーpHは、5.51であった。
反応スラリーを800mLの蒸留水に注いだ後、吸引濾過した。回収した固体分を900mLの蒸留水で3回洗浄した。洗浄後、110℃で1晩乾燥し、目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、イオン交換性層状珪酸塩粒子68.8gを得た。各種分析を行った結果を表2-1および2-2に示した。
(11)比較例a3
(11.1)イオン交換性層状珪酸塩粒子の製造
特開2019-172958号公報の実施例3と同様にして、比較イオン交換性層状珪酸塩粒子を製造した。各種分析を行った結果を表1-1、1-2、2-1および2-2に示した。
(12)比較例a4
(12.1)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の製造
イオン交換性層状珪酸塩として、クニミネ工業製の「クニピアF」(主成分は、2:1型層構造のスメクタイト族モンモリロナイト)を使用した。イオン交換性層状珪酸塩の粒子径は1.23μmであった。
5Lビーカーに蒸留水2375gとクニピアF125gを加えて2分間撹拌した後、さらに高速撹拌機を用いて、5分間撹拌し、スラリーを調製した。得られたスラリーを用いて、実施例a1(1.1)と同じ装置および条件で噴霧乾燥造粒を行った。
スラリーの供給時間は171分であった。造粒物は造粒装置本体下部およびサイクロン下部に捕集された。本体下部に得られた造粒物62.0gを目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、39.6gのイオン交換性層状珪酸塩複合粒子を得た。このイオン交換性層状珪酸塩複合粒子の各種分析を行った結果を表1-1および1-2に示した。
(12.2)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(1)
撹拌翼と還流装置を取り付けた1Lフラスコに、蒸留水181.3gを投入し、96%硫酸53.3gを滴下した。この水溶液を内温が95℃になるまでオイルバスで加熱し、95℃で、上記(12.1)のイオン交換性層状珪酸塩複合粒子32gを添加後し、95℃を保ちながら360分反応させた。
この反応溶液を161mLの蒸留水に注ぐことで反応を停止し、得られたスラリーを、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、濾過ケーキを270gの蒸留水でリンスした。さらにこの濾過ケーキを10%希硫酸300gで洗浄し、300gの蒸留水でリンスし、濾過ケーキとして55.6gの固形分を得た。
(12.3)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の化学処理(2)
上記(12.2)から得られた固体分51.7gと蒸留水31.7gを200mLフラスコに加え、撹拌した。このスラリーを40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は9.4gであった。100分40℃を維持したまま反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは、5.71だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、200gの蒸留水で2回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、乾燥ケーキをスパチュラで軽く押しつぶしながら解砕し、目開き75μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、イオン交換性層状珪酸塩粒子17.5gを得た。各種分析を行った結果を表2-1および2-2に示す。ただし、粒子の形状が悪く、圧壊強度測定は行わなかった。
(13)比較例a5
(13.1)イオン交換性層状珪酸塩粒子の製造
特開2003-252923号公報の[珪酸塩Bの製造]と同様にして、比較イオン交換性層状珪酸塩粒子を製造した。各種分析を行った結果を表1-1、1-2、2-1および2-2に示した。
(14)比較例a6
(14.1)イオン交換性層状珪酸塩複合粒子の製造
ベンクレイKKの水スラリー(5.0質量%)を2400gとし、蒸留水および水酸化アルミニウムを使用しなかった以外は、実施例a7(7.1)と同様に行って、スラリーを調製した。得られたスラリーを用いて実施例a7(7.1)と同じ装置および条件で噴霧乾燥造粒を行った。スラリーの供給時間は84分であった。造粒物は、造粒装置本体下部及びサイクロン下部に捕集された。本体下部およびサイクロンに捕集された造粒物合計109.8gを目開き53μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、103.6gのイオン交換性層状珪酸塩粒子を得た。イオン交換性層状珪酸塩、イオン交換性層状珪酸塩粒子の各種分析を行った結果を表1-1および1-2に示した。
(14.2)イオン交換性層状珪酸塩粒子の化学処理(1)
蒸留水を231.0g、96%硫酸を91.7g、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子を上記(14.1)のイオン交換性層状珪酸塩粒子44gに変更した以外は、実施例a7(7.2)と同様に操作した。反応溶液を220mLの蒸留水に注ぐことで反応を停止し、得られたスラリーを、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、濾過ケーキを440gの蒸留水で1回リンスした。さらにこの濾過ケーキを蒸留水440gでスラリー化し、再び濾過を行い洗浄した。濾過ケーキとして113.3gの固形分を得た。
(14.3)イオン交換性層状珪酸塩粒子の化学処理(2)
上記(14.2)から得られた固体分106.5gと蒸留水89.9gを500mLフラスコに加え、撹拌した。このスラリーを40℃まで昇温し、ここに1.5mol/Lの濃度に調製した水酸化リチウム水溶液を滴下し、スラリーpHが6.50になるまで滴下した。水酸化リチウム水溶液の滴下量は16.1gであった。100分40℃を維持したまま反応させた。このときの反応終了時のスラリーのpHは、5.85だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、331gの蒸留水で2回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、乾燥ケーキをスパチュラで軽く押しつぶしながら解砕し、目開き53μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、イオン交換性層状珪酸塩粒子20.3gを得た。各種分析を行った結果を表2-1および2-2に示す。
(15)比較例a7
(15.1)イオン交換性層状珪酸塩粒子の製造
イオン交換性層状珪酸塩として、水澤化学工業製の新潟県中条産の粘土鉱物を水簸、遠心分離を用いて行い精製して得られた水スラリー(主成分は、2:1型層構造のスメクタイト族モンモリロナイト)の造粒品(メジアン径15.2μm)を準備した。このイオン交換性層状珪酸塩粒子の各種分析を行った結果を表1-1および1-2に示した。
(15.2)イオン交換性層状珪酸塩粒子の化学処理(1)
蒸留水を650.0g、96%硫酸を83.3g、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子を上記(15.1)のイオン交換性層状珪酸塩粒子100.0gに変更した以外は、実施例a7(12.2)と同様に操作した。反応溶液を500mLの蒸留水に注ぐことで反応を停止し、得られたスラリーを、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、濾過ケーキを1000gの蒸留水で1回リンスした。さらにこの濾過ケーキを蒸留水500gでスラリー化し、再び濾過を行い洗浄した。この蒸留水での洗浄は合計3回行った。濾過ケーキとして286.6gの固形分を得た。
(15.3)イオン交換性層状珪酸塩粒子の化学処理(2)
蒸留水を132.1g、硫酸リチウム一水和物を52.2g、上記(15.2)から得られた固体分139.0gに変更した以外は、実施例a7(7.3)と同様に操作した。このときの反応終了時のスラリーのpHは、2.49だった。反応スラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、970gの蒸留水で4回洗浄した。回収したケーキを110℃で1晩乾燥した。さらに、触媒成分として使用する前に、乾燥ケーキをスパチュラで軽く押しつぶしながら解砕し、目開き53μmの篩を通して粗大物を取り除き、200℃、減圧下で2時間乾燥して、イオン交換性層状珪酸塩粒子31.7gを得た。イオン交換性層状珪酸塩粒子の各種分析を行った結果を表2-1および2-2に示した。
Figure 2023061901000002
Figure 2023061901000003
Figure 2023061901000004
Figure 2023061901000005
3.オレフィン重合用触媒の製造
(1)実施例b1
内容積1000mLのフラスコに実施例a1で得たイオン交換性層状珪酸塩粒子10.0g、ヘプタン66mLを加え撹拌した。そこにトリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液34mL(24.5mmol-Al)を加え、室温で1時間撹拌した。
その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を50mLに調製した。ここへトリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液31mL(12.2mmol)を加えた。
別のフラスコ(容積200mL)中で、(r)-シラシクロブチレンビス[2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-t-ブチルフェニル)-5,6-ジメチル-1-インデニル]ジルコニウムジクロリド(合成方法:特開2015-193605号公報の実施例7参照)287μmolとトルエン30mLを混合した溶液を調製し、イオン交換性層状珪酸塩粒子スラリーに添加し、40℃で60分間撹拌した。
上記反応後、ヘプタンを加え全量を300mLに調製し、充分に窒素置換を行った内容積1Lの撹拌式オートクレーブに移送した。
スラリーの温度を40℃とし、プロピレンを10g/時間の速度で2時間供給した。プロピレンの供給を停止した後、圧力が0.025MPaGとなるまで反応を行った。
その後、残存モノマーをパージして重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。
回収した重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液8.5mL(6mmol)を室温にて加え、その後、減圧乾燥を行い、オレフィン重合用触媒を得た。
予備重合倍率(オレフィン重合用触媒収量÷(イオン交換性層状珪酸塩粒子+メタロセン錯体量)-1)は2.53g/g-触媒であった。
(2)実施例b2
実施例a2で得たイオン交換性層状珪酸塩粒子を使用した以外は実施例b1と同様に行った。
予備重合倍率は2.48g/g-触媒であった。
(3)実施例b3
実施例a3で得たイオン交換性層状珪酸塩粒子を使用した以外は実施例b1と同様に行った。
予備重合倍率は2.32g/g-触媒であった。
(4)実施例b4
実施例a4で得たイオン交換性層状珪酸塩粒子を使用した以外は実施例b1と同様に行った。
予備重合倍率は2.41g/g-触媒であった。
(5)実施例b5
実施例a5で得たイオン交換性層状珪酸塩粒子を使用した以外は実施例b1と同様に行った。
予備重合倍率は2.42g/g-触媒であった。
(6)実施例b6
実施例a6で得たイオン交換性層状珪酸塩粒子を使用した以外は実施例b1と同様に行った。
予備重合倍率は2.44g/g-触媒であった。
(7)実施例b7-1
内容積1000mLのフラスコに実施例a7で得たイオン交換性層状珪酸塩粒子10.0g、ヘプタン66mLを加え撹拌した。そこにトリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液34mL(24.5mmol-Al)を加え、室温で1時間撹拌した。
その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を50mLに調製した。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、rac-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロアズレニル}ハフニウムジクロリド(錯体I、54μmol)(合成方法:特開2012―149160号公報の合成例1)をトルエン(9mL)に溶解した(溶液1)。更に、別のフラスコ(容積200mL)中で、rac-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-i-プロピルフェニル)インデニル}ハフニウムジクロリド(錯体II、126μmol)(合成方法:特開平11―240909号公報の実施例7参照)をトルエン(21mL)に溶解した(溶液2)。
先ほどのイオン交換性層状珪酸塩粒子のスラリーが入った1Lフラスコを50℃に加熱したオイルバスにつけ、5分後に、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液を0.3mL(0.21mmol-Al)を加えた後、上記溶液1(9mL)を加えて、50℃で60分間撹拌した。
その後、トリノルマルオクチルアルミニウム(TnOA)のヘプタン溶液を4.5mL(1.76mmol-Al)を加えた後、上記溶液2加えて、50℃で20分攪拌した。
上記反応後、ヘプタンを加え全量を250mLに調製し、充分に窒素置換を行った内容積1Lの撹拌式オートクレーブに移送した。
スラリーの温度を40℃とし、プロピレンを5g/時間の速度で4時間供給した。プロピレンの供給を停止した後、さらに1時間撹拌を行った。
その後、残存モノマーをパージして重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。
回収した重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液8.5mL(6mmol)を室温にて加え、その後、減圧乾燥を行い、オレフィン重合用触媒を得た。
予備重合倍率は1.97g/g-触媒であった。
(8)実施例b7-2
実施例b7-1において、rac-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロアズレニル}ハフニウムジクロリド(錯体I)を90μmol、錯体Iを溶解させるトルエンを21mLに変更し、「イオン交換性層状珪酸塩粒子のスラリーが入った1Lフラスコを50℃に加熱したオイルバスにつけ、5分後に、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液」のトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液を0.5mLに変更したこと以外は、実施例b7-1と同様の方法でオレフィン重合用触媒の製造を実施し、オレフィン重合用触媒を得た。
予備重合倍率は2.00g/g-触媒であった。
(9)実施例b8
実施例a8で得たイオン交換性層状珪酸塩粒子を使用した以外は実施例b7-2と同様に行った。
予備重合倍率は1.95g/g-触媒であった。
(10)比較例b1
比較例a1で得たイオン交換性層状珪酸塩粒子を使用した以外は実施例b1と同様に行った。
予備重合倍率は2.31g/g-触媒であった。
(11)比較例b2
比較例a2で得たイオン交換性層状珪酸塩粒子を使用した以外は実施例b1と同様に行った。
予備重合倍率は2.36g/g-触媒であった。
(12)比較例b3
比較例a3で得たイオン交換性層状珪酸塩粒子を使用した以外は実施例b1と同様に行った。
予備重合倍率は2.36g/g-触媒であった。
(13)比較例b4
比較例a4で得たイオン交換性層状珪酸塩粒子を使用した以外は実施例b1と同様に行った。
予備重合倍率は2.06g/g-触媒であった。
(14)比較例b5
比較例a5で得たイオン交換性層状珪酸塩粒子を使用した以外は実施例b1と同様に行った。
予備重合倍率は2.38g/g-触媒であった。
(15)比較例b6
比較例a6で得たイオン交換性層状珪酸塩粒子を使用した以外は実施例b7-1と同様に行った。
予備重合倍率は1.92g/g-触媒であった。
(16)比較例b7-1
比較例a7で得たイオン交換性層状珪酸塩粒子を使用した以外は実施例b7-1と同様に行った。
予備重合倍率は1.47g/g-触媒であった。
(17)比較例b7-2
比較例a7で得たイオン交換性層状珪酸塩粒子を使用した以外は実施例b7-2と同様に行った。
予備重合倍率は0.99g/g-触媒であった。
4.重合体の製造
(1)実施例P1(プロピレンホモ重合)
内容積3Lの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分置換した後に、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液5.6mL(4.04mmol)を加え、水素316mL、液体プロピレン750mLを導入し、65℃に昇温した。
上記実施例b1で得られたオレフィン重合用触媒をヘプタンにスラリー化し、固体触媒として(イオン交換性層状珪酸塩粒子量とメタロセン錯体量の和)11.6mgを圧入し重合を開始した。
65℃で1時間重合した後、エタノール5mLを加え重合反応を停止させた。
残存したプロピレンをパージ後、ポリマーを回収し、90℃で1時間乾燥した。
結果を表3-1に示す。
(2)実施例P2~P21(プロピレンホモ重合)
オレフィン重合用触媒の種類、触媒量及び水素添加量を表3-1に記載の条件とした以外は、実施例P1と同様の方法で重合を行った。結果を表3-1に示す。
(3)実施例P22~27(プロピレンホモ重合)
重合温度を70℃、オレフィン重合用触媒の種類、触媒量及び水素添加量を表3-2に記載の条件とした以外は、実施例P1と同様の方法で重合を行った。結果を表3-2に示す。
(4)比較例P1~P17(プロピレンホモ重合)
オレフィン重合用触媒の種類、触媒量及び水素添加量を表3-1に記載の条件とした以外は、実施例P1と同様の方法で重合を行った。結果を表3-1に示す。
(5)比較例P18~23(プロピレンホモ重合)
オレフィン重合用触媒の種類、触媒量及び水素添加量を表3-2に記載の条件とした以外は、実施例P22と同様の方法で重合を行った。結果を表3-2に示す。
Figure 2023061901000006
Figure 2023061901000007
(4)実施例P28(1段目-プロピレンホモ重合、2段目-エチレン-プロピレン共重合の2段重合)
内容積3Lの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分置換した後に、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液5.6mL(4.04mmol)を加え、水素528mL、液体プロピレン750mLを導入し、65℃に昇温した。
上記実施例b1で得られたオレフィン重合用触媒をヘプタンにスラリー化し、固体触媒として(イオン交換性層状珪酸塩粒子量とメタロセン錯体量の和)7.1mgを圧入し重合を開始した。
65℃で1時間重合した後、オートクレーブ内に残る未反応のプロピレンをパージした。ここへエチレンとプロピレンの混合ガスをオートクレーブ内のガス組成でモル比1:1になるように供給し、80℃、1.9MPaGで0.50時間重合した。エタノール5mlを圧入することで反応を停止し、残存モノマーをパージした。得られたポリマーを90℃で1時間乾燥した。重合条件および結果を表4-1および4-2に示した。
(5)実施例P29~45(1段目-プロピレンホモ重合、2段目-エチレン-プロピレン共重合の2段重合)
オレフィン重合用触媒の種類、触媒量、水素添加量及びエチレンとプロピレンの共重合時間を表4-1に記載の条件とした以外は、実施例P28と同様の方法で重合を行った。重合条件および結果を表4-1および4-2に示した。
(6)比較例P24~33(1段目-プロピレンホモ重合、2段目-エチレン-プロピレン共重合の2段重合)
オレフィン重合用触媒の種類、触媒量、水素添加量及びエチレンとプロピレンの共重合時間を表4-1に記載の条件とした以外は、実施例P28と同様の方法で重合を行った。重合条件および結果を表4-1および4-2に示した。
Figure 2023061901000008
Figure 2023061901000009
5.結果及び考察
図1は、実施例a1~a6及び比較例a1~a5のイオン交換性層状珪酸塩粒子について、水銀圧入法によって測定された5nm~300nmの細孔容積の総和を窒素吸脱着法によるBET比表面積m/gに対してプロットした図である。図1から、実施例のイオン交換性層状珪酸塩粒子は、高い比表面積を有し、かつ、5nm~300nmの細孔容積が大きいことが分かった。実施例では、従来の比較例とは異なった細孔容積と比表面積の関係を実現できることが分かる。
図2は、実施例b1~b6及び比較例b1~b5のオレフィン重合用触媒によるプロピレン単独重合の結果について、重合活性を、得られた重合体のMFRに対してプロットした図である。図2から、実施例のイオン交換性層状珪酸塩粒子を用いた触媒は、MFR見合いで、比較例の触媒よりも高い触媒活性を示していることが分かる。すなわち、同程度のMFRで比較すると、実施例の触媒は比較例の触媒よりも高い触媒活性を示していることが分かる
図3は、実施例b1~b6及び比較例b1~b3,b5のオレフィン重合用触媒によるプロピレン-エチレンおよびプロピレンの2段重合の結果について、重合体を加工したシートに含まれるフィッシュアイ個数を、得られた重合体の分子量比(2段目の重合体の分子量を1段目の重合体の分子量で割った値)に対してプロットした図である。図3から、実施例b1~b6のオレフィン重合用触媒を用いると、分子量比見合いで、フィッシュアイ数が十分に抑制されることが分かる。
以上のように、本開示の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子は、オレフィン重合用触媒として従来よりも高活性であり且つフィッシュアイ数が充分に抑制されたオレフィン(共)重合体を製造することができる。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形又は変更が可能である。
本発明によれば、触媒活性や、重合体の品質を向上する新規な細孔構造を有するイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法、オレフィン重合用触媒成分の製造方法、オレフィン重合用触媒の製造方法、及びオレフィン重合体の製造方法を提供でき、産業上の利用可能性が高い。

Claims (10)

  1. 下記工程1、2及び3を含むイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法。
    工程1:イオン交換性層状珪酸塩、溶媒、及び、アルミニウムイオンを含有する化合物[I]を含むスラリーを調製する工程である。前記スラリーに含まれる固体成分100質量%のうち、前記化合物[I]は、8質量%~80質量%である。なお、前記化合物[I]は、1種類以上であってもよい。
    工程2:前記工程1で調製した前記スラリーを噴霧乾燥処理により造粒し、イオン交換性層状珪酸塩複合粒子を得る工程である。
    工程3:前記工程2で得られた前記イオン交換性層状珪酸塩複合粒子に含まれる金属成分の少なくとも一部を溶出させる工程である。
  2. 前記イオン交換性層状珪酸塩複合粒子に含まれるアルミニウム原子の量(mol/g)を[Alb]とし、マグネシウム原子の量(mol/g)を[Mgb]としたとき、[Alb/Mgb](モル比)が、4.0以上、45.0以下である、請求項1に記載のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法。
  3. 前記イオン交換性層状珪酸塩に含まれるアルミニウム原子の量(mol/g)を[Ala]とし、マグネシウム原子の量(mol/g)を[Mga]としたとき,[Ala]/[Mga](モル比)が、0.3以上、3.9未満である、請求項1に記載のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法。
  4. 前記化合物[I]が、平均粒径0.3μm~100.0μmの粒子である、請求項1に記載のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法。
  5. 前記化合物[I]が、水酸化物を含む塩類である、請求項1に記載のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法。
  6. 前記化合物[I]が、水酸化アルミニウムであることを特徴とする、請求項1に記載のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法。
  7. 前記工程3は、前記工程2で得られた前記イオン交換性層状珪酸塩複合粒子と酸類とを接触させる、請求項1に記載のイオン交換性層状珪酸塩粒子の製造方法。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子を用いる、オレフィン重合用触媒成分の製造方法。
  9. 請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法により得られるイオン交換性層状珪酸塩粒子と、
    下記成分[B]、及び成分[C]を接触させる工程を有する、オレフィン重合用触媒の製造方法。
    成分[B]:遷移金属化合物
    成分[C]:有機アルミニウム化合物
  10. 請求項9に記載の製造方法により得られるオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィン重合を行う、オレフィン重合体の製造方法。
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