JP2023061110A - 金属帯の冷間圧延方法及びバックアップロールの補修方法 - Google Patents

金属帯の冷間圧延方法及びバックアップロールの補修方法 Download PDF

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【課題】圧延機を長時間停止させることなく、ブライトワークロールに交換後に金属帯表面に板道マークが発生することを抑制可能な金属帯の冷間圧延方法及びバックアップロールの補修方法を提供すること。【解決手段】本発明に係る金属帯の冷間圧延方法は、金属帯の搬送方向に連続的に配設された複数のスタンドを有する冷間タンデム圧延機を用いた金属帯の冷間圧延方法であって、バックアップロールに板道マークが形成された対象スタンドのワークロールを粗度Raが1.5~2.3μmのダルワークロールに交換し、対象スタンドの幅荷重及び圧延長を制御しながら金属帯の冷間圧延後表面粗度Raが0.5μm以上となるように金属帯を冷間圧延するステップを含む。【選択図】図2

Description

本発明は、金属帯の搬送方向に連続的に配設された複数のスタンドを有する冷間タンデム圧延機を用いた金属帯の冷間圧延方法及びバックアップロールの補修方法に関する。
冷間タンデム圧延機を用いた鋼帯等の金属帯の冷間圧延工程では、最終スタンドのワークロール種によって、金属帯表面の凹凸形状が変化し、金属帯の表面仕上げ状態がブライト及びダルのどちらになるかが決まる。また、最終スタンド以前のスタンドのワークロールには、圧下率を高くするために低粗度のブライトワークロールを用いることが一般的である。このような金属帯の冷間圧延工程において表面仕上げ状態がダルの金属帯を製造する際、最終スタンドの圧下率が低いために、最終前段スタンドのワークロールの凹凸形状が金属帯表面に転写され、金属帯に表面欠陥が発生することがある。具体的には、同幅材を連続的に圧延することによって金属帯の幅方向端部(エッジ部)がワークロールに接触して偏摩耗したワークロールがバックアップロールと接触することにより、バックアップロール表面に深さ約10μm程度の溝状の筋の疵、いわゆる板道マークが形成されることがある。バックアップロール表面に板道マークが形成された場合、ワークロールだけを交換しても、バックアップロールの板道マークがワークロール表面に転写され、ワークロール表面の板道マークが金属帯表面に転写されることによって金属帯に表面欠陥が発生することがある。このような背景から、板道マークの発生を抑制する金属帯の冷間圧延方法が提案されている。
特許第6767686号公報 特開2013-252539号公報
しかしながら、従来の金属帯の冷間圧延方法では、バックアップロールに板道マークが発生した場合、バックアップロールの組替作業やバックアップロール表面を平滑化する研磨手入れ作業が必要となる。このため、従来の金属帯の冷間圧延方法によれば、バックアップロールに板道マークが発生した場合、上述した作業を行うために冷間圧延工程を長時間停止しなければならず、作業効率が低下する。
なお、特許文献1には、少なくとも上下1対のワークロール、上下1対の中間ロール、及び上下1対のバックアップロールを備える圧延機を用いて金属帯を冷間圧延する方法において、少なくとも一方の中間ロールをロール軸方向に往復移動しながら金属帯を圧延する金属帯の冷間圧延方法が開示されている。しかしながら、この方法は、中間ロールが存在する圧延機における金属帯の表面性状を改善するものであり、中間ロールのない4重式の冷間タンデム圧延機には適用することができない。
一方、特許文献2には、熱延鋼帯を酸洗後、冷間圧延を施す際に、潤滑油を供給しながら、表面粗さが0.01μmRa以上0.5μmRa未満の範囲で周方向及び軸方向の異方性を持たないランダムな表面粗さを持つダルロールをワークロールとして用い、所定の厚さまで圧延する冷延鋼帯の製造方法が開示されている。しかしながら、この方法では、バックアップロールに板道マークが発生してしまったものからの板道マークの転写を抑制することはできず、ブライトワークロールに変更した場合には、良好な外観で圧延することができない。
本発明は、以上の問題を解決すべくなされたものであり、圧延機を長時間停止させることなく、ブライトワークロールに交換後に金属帯表面に板道マークが発生することを抑制可能な金属帯の冷間圧延方法及びバックアップロールの補修方法を提供することにある。
本発明に係る金属帯の冷間圧延方法は、金属帯の搬送方向に連続的に配設された複数のスタンドを有する冷間タンデム圧延機を用いた金属帯の冷間圧延方法であって、バックアップロールに板道マークが形成された対象スタンドのワークロールを粗度Raが1.5~2.3μmのダルワークロールに交換し、前記対象スタンドの幅荷重及び圧延長を制御しながら金属帯の冷間圧延後表面粗度Raが0.5μm以上となるように金属帯を冷間圧延するステップを含む。
前記ステップは、対象スタンドの幅荷重を0.85ton/mm以上、且つ、圧延長を5.0km以上に制御するステップを含むとよい。
最終スタンドはバックアップロールがダルロールである6重式のスタンドであり、前記対象スタンドは4重式の最終前段スタンドであるとよい。
本発明に係るバックアップロールの補修方法は、金属帯の搬送方向に連続的に配設された複数のスタンドを有する冷間タンデム圧延機におけるバックアップロールの補修方法であって、バックアップロールに板道マークが形成された対象スタンドのワークロールを粗度Raが1.5~2.3μmのダルワークロールに交換し、前記対象スタンドの幅荷重及び圧延長を制御しながら金属帯の冷間圧延後表面粗度Raが0.5μm以上となるように金属帯を冷間圧延する補修ステップを含む。
本発明に係る金属帯の冷間圧延方法及びバックアップロールの補修方法によれば、圧延機を長時間停止させることなく、ブライトワークロールに交換後にも金属帯表面に板道マークが発生することを抑制できる。
図1は、本発明の一実施形態である冷間タンデム圧延機の構成を示す模式図である。 図2は、第4スタンドでの圧延長及び第4スタンドのダルワークロールの粗度と板道マークの発生の有無との関係の一例を示す図である。 図3は、第4スタンドでの圧延長と第4スタンドのワークロールをダルワークロールに交換した後の板道マークの発生の有無との関係の一例を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である金属帯の冷間圧延方法及びバックアップロールの補修方法について説明する。
本発明の一実施形態である金属帯の冷間圧延方法は、金属帯の搬送方向に連続的に配設された複数のスタンドを有する冷間タンデム圧延機を用いて金属帯冷間圧延する。なお、冷間タンデム圧延機のスタンド数は特に限定されるものではないが、スタンド数が少ないと通常圧延時の最終前段スタンドで圧下していた負荷を最終前段スタンドよりさらに前段のスタンドに配分する必要があるので好ましくない。
本発明の一実施形態である金属帯の冷間圧延方法では、バックアップロール表面に板道マークが発生した場合、バックアップロールに板道マークが発生したスタンドのワークロールを粗度Raが1.5~2.3μmのダルワークロールに交換し、対象スタンドの幅荷重及び圧延長を制御しながら金属帯の冷間圧延後表面粗度Raが0.5μm以上となるように冷間圧延する。対象スタンドのワークロールをダルワークロールに交換し、バックアップロールの表面をダルワークロールによって摩耗させることにより、バックアップロールの表面に形成されている板道マークを平滑化して凹凸形状を除去できる。そして、バックアップロールの凹凸形状が除去された後、対象スタンドのダルワークロールをブライトワークロールに交換して金属帯の冷間圧延後表面粗度Ra(製品の表面粗度Ra)が0.5μm未満となるように良好な外観で製造が可能となる。
より具体的には、本発明の一実施形態である金属帯の冷間圧延方法では、図1に示すように、金属帯Sの搬送方向に連続的に配設された第1スタンド~第5スタンドまでの5つのスタンド1~5を備える冷間タンデム圧延機を用いて金属帯を冷間圧延する。第1~第4スタンドは主として金属帯の板厚を決定するスタンドであり、ワークロールとしてブライトワークロールが用いられている。また、最終スタンドのワークロールには、粗度Raが1.5~2.3μmのダルワークロール8が用いられている。そして、最終前段スタンドである第4スタンドのバックアップロールに板道マーク等の凹凸形状が発生した場合、第4スタンドのワークロールをブライトワークロールから粗度Raが1.5~2.3μmのダルワークロール8に交換し、第4スタンドの幅荷重及び圧延長を制御しながら金属帯の冷間圧延後表面粗度Raが0.5μm以上となるように冷間圧延する。そして、第4スタンドのバックアップロールの凹凸形状が除去された後、第4スタンドのダルワークロールをブライトワークロールに交換して金属帯の冷間圧延後表面粗度Ra(製品の表面粗度Ra)が0.5μm未満となるように良好な外観で製造が可能となる。
このような冷間圧延方法によれば、金属帯の冷間圧延後表面粗度Ra(製品の表面粗度Ra)が0.5μm以上となるようなダル仕上げの鋼帯の製造と、ダルワークロールによるバックアップロールの板道マークを主とした凹凸形状の除去工程(バックアップロールの補修工程)とを同時に行うことができるので、圧延機を長時間停止させることなく、ブライトワークロールに交換後に金属帯表面に板道マークが発生することを抑制できる。なお、板道マークを平滑化するための対象スタンドの圧延距離や圧延荷重は、ダルワークロールの粗度やバックアップロールの凹凸深さ、ダルワークロール交換後のブライトワークロールの耐摩耗性等により決定する。また、圧延鋼種やサイズの指定はないが、圧延機の能力に合わせて選定する。
第4スタンドのバックアップロールに発生した板道マークを除去するために管理すべき項目は、第4スタンドのワークロールの粗度(ロール粗度)、圧延長、及び圧延幅荷重である。例えばワークロールの粗度Raが1.6μm以上であれば、第4スタンドの幅荷重を0.85ton/mm以上として長さ5.0km以上圧延することにより、板道マークやその他軽度のロールマークの発生を抑制できる。第4スタンドのロール粗度、圧延長、及び平均幅荷重と板道マークの発生有無との関係の一例を以下の表1に示す。表1に示す例では、圧延対象は340MPa級以下の一般軟鋼板とし、寸法は幅900~1400mm、板厚2.3~4.5mmから0.6~1.3mmに冷間圧延し、圧下率は82%以下とし、製品粗度Raは0.8~1.3μm程度とした。
表1に示すように、比較例では、第4スタンドのワークロールをブライトワークロールからダルワークロールに交換した後も鋼板表面に板道マークが発生した。これに対して、本発明例によれば、第4スタンドのワークロールをブライトワークロールからダルワークロールに交換した後及びダルワークロールをブライトワークロールに交換した後も板道マークの発生を抑制できた。ここで、板道マークが発生した第4スタンドのワークロールを交換した時のロール粗度及びそのワークロールでの圧延長と、さらにワークロールをブライトロール(Ra:0.2μm)に交換した直後の鋼板表面に発生する板道マークの有無を図2,3に示す。図2は、第4スタンドでの圧延長及び第4スタンドのダルワークロールの粗度と板道マークの発生の有無との関係の一例を示す図である。図3は、第4スタンドでダルワークロール(Ra:1.6μm)での圧延長と第4スタンドのワークロールをダルワークロールからブライトワークロール(Ra:0.2μm)に交換した後の板道マークの発生の有無との関係の一例を示す図である。図2,3に示すように、第4スタンドのロール粗度、幅荷重、及び圧延長を制御しながら冷間圧延することにより、ブライトワークロールに交換後でも板道マークの発生を抑制できることが確認された。以上のことから、本発明によれば、圧延機を長時間停止させることなく、ブライトワークロールに交換後にも金属帯表面に板道マークが発生することを抑制できることが確認された。
Figure 2023061110000002
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1~5 スタンド
7 ブライトワークロール
8 ダルワークロール
S 金属帯

Claims (4)

  1. 金属帯の搬送方向に連続的に配設された複数のスタンドを有する冷間タンデム圧延機を用いた金属帯の冷間圧延方法であって、
    バックアップロールに板道マークが形成された対象スタンドのワークロールを粗度Raが1.5~2.3μmのダルワークロールに交換し、前記対象スタンドの幅荷重及び圧延長を制御しながら金属帯の冷間圧延後表面粗度Raが0.5μm以上となるように金属帯を冷間圧延するステップを含むことを特徴とする金属帯の冷間圧延方法。
  2. 前記ステップは、対象スタンドの幅荷重を0.85ton/mm以上、且つ、圧延長を5.0km以上に制御するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の金属帯の冷間圧延方法。
  3. 最終スタンドはバックアップロールがダルロールである6重式のスタンドであり、前記対象スタンドは4重式の最終前段スタンドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属帯の冷間圧延方法。
  4. 金属帯の搬送方向に連続的に配設された複数のスタンドを有する冷間タンデム圧延機におけるバックアップロールの補修方法であって、
    バックアップロールに板道マークが形成された対象スタンドのワークロールを粗度Raが1.5~2.3μmのダルワークロールに交換し、前記対象スタンドの幅荷重及び圧延長を制御しながら金属帯の冷間圧延後表面粗度Raが0.5μm以上となるように金属帯を冷間圧延する補修ステップを含むことを特徴とする金属帯のバックアップロールの補修方法。
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