JP2023060185A - 貼合速度向上剤及び向上方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】段ボール用澱粉系接着剤に用いるための貼合速度向上剤を提供すること。【解決手段】フェノール樹脂を含む、段ボール用澱粉系接着剤に用いるための貼合速度向上剤。【選択図】なし
Description
本発明は、段ボール用澱粉系接着剤に用いるための貼合速度向上剤、段ボール用澱粉系接着剤、段ボールシートの製造方法、段ボール用澱粉系接着剤の製造方法及び段ボールシートの製造における貼合速度向上方法に関する。
宅配便の配送や、引っ越し荷物の梱包用等に用いられる段ボール箱に使用される一般用段ボールシートは、近年、インターネット通販の急速な普及による宅配便の取扱量の増加に伴い、生産量が急増している。
このような一般段ボールシートの生産における貼合速度向上の要求は強く、更に、近年はCO2削減といった環境問題に対する関心の高まりから、貼合速度を向上させ、少ない
エネルギーでより大量の段ボール用シートを製造するための方法が求められている。
エネルギーでより大量の段ボール用シートを製造するための方法が求められている。
貼合速度を向上させるために、これまでは段ボール用澱粉系接着剤に添加するアルカリ(苛性ソーダ)の量を増やして糊化開始温度を低下させること、澱粉の濃度を高めて乾燥負荷を低減させること等の方法が採られてきた。しかし、アルカリを増やして糊化開始温度を低下させる方法では、アルカリの量を増やし過ぎると、ストレータンク内での接着剤の粘度が上昇し、糊付着量の制御や工程内での接着剤の流送が困難になる、接着剤の粘度安定性が低下し、経時で増粘するため安定した生産が困難となる等の問題がある。
また、澱粉の濃度を高める方法でも、あまりに高めすぎるとストレージタンク内での粘度が上昇するため、上述した問題が生じる上、糊化に充分な水分が得られず、逆に接着強度が落ちるという問題がある。
本発明は、段ボール用澱粉系接着剤に用いるための貼合速度向上剤、段ボール用澱粉系接着剤、段ボールシートの製造方法、段ボール用澱粉系接着剤の製造方法及び段ボールシートの製造における貼合速度向上方法を提供することを目的とする。
前記課題に鑑み研究を重ねた結果、本発明者は、フェノール樹脂を段ボール用澱粉系接着剤に配合することで、ストレージタンクの保管温度域においては粘度が低下しアルカリの添加量や澱粉濃度を高めてもトラブルが発生せず、かつ貼合工程における加熱乾燥での温度域では速やかに増粘し初期接着強度を発現することを見出し、本発明を完成した。
本発明は以下の態様を包含する。
項1、フェノール樹脂を含む、段ボール用澱粉系接着剤に用いるための貼合速度向上剤。
項2、フェノール樹脂が、レゾール型フェノール樹脂またはノボラック型フェノール樹脂である、項1に記載の貼合速度向上剤。
項3、項1または2に記載の貼合速度向上剤を含む、段ボール用澱粉系接着剤。
項4、フェノール樹脂の固形分含有量が、澱粉系接着剤の澱粉の全固形分100質量部に対して、0.5~50質量部である、項3に記載の段ボール用澱粉系接着剤。
項5、ケトン樹脂をさらに含有し、ケトン樹脂の固形分含有量がフェノール樹脂の固形分含有量100質量部に対して75質量部以下である、項3または4に記載の段ボール用澱粉系接着剤。
項6、項1または2に記載の貼合速度向上剤を含む段ボール用澱粉系接着剤を用いて中芯とライナーとを貼合する工程を含む、段ボールシートの製造方法。
項7、段ボール用澱粉系接着剤に項1または2に記載の貼合速度向上剤を添加する工程を含む、段ボール用澱粉系接着剤の製造方法。
項8、ラピッド・ビスコ・アナライザー(Rapid Visco Analyzer:RVA)を用いて昇温速度5.5℃/min及び回転数160r.p.m.で測定した粘度について、貼合速度向上剤を添加する前の段ボール用澱粉系接着剤が100RVU(Rapid Visco Analyzer Units)に到達する温度で測定した貼合速度向上剤を添加した段ボール用澱粉系接着剤の粘度が200RVU以上である、項7に記載の段ボール用澱粉系接着剤の製造方法。
項9、ラピッド・ビスコ・アナライザー(Rapid Visco Analyzer:RVA)の加熱冷却ブロックを、測定開始直後から測定終了まで90℃一定となるようにプログラムし、90℃に予熱し、アルミニウム製RVA標準缶に30g採取し、RVA標準パドルと共にRVAに装着し、測定開始直後から測定終了までパドル回転数500r.p.m.の速度で撹拌するようにプログラムし、粘度測定を開始する条件下において、粘度測定開始時から150RVU(Rapid Visco Analyzer Units)粘度到達までの時間が50秒以下の粘度上昇開始時間である、項7又は8に記載の段ボール用接着剤の製造方法。
項10、項1または2に記載の貼合速度向上剤を段ボール用澱粉系接着剤糊剤に添加する工程を含む、段ボールシートの製造における貼合速度向上方法。
本発明により、段ボール用澱粉系接着剤に用いるための貼合速度向上剤、段ボール用澱粉系接着剤、段ボールシートの製造方法、段ボール用澱粉系接着剤の製造方法及び段ボールシートの製造における貼合速度向上方法が提供される。特にフェノール樹脂を貼合速度向上剤として用いることで、ストレージタンクの保管温度域及び貼合工程における加熱乾燥での温度域のそれぞれで段ボール用澱粉系接着剤が優れた機能を発揮し、もって高い貼合速度で段ボールシートの製造が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、段ボール用澱粉系接着剤に用いるための貼合速度向上剤に関する。
本明細書において、「段ボール用澱粉系接着剤に用いるための貼合速度向上剤」とは、段ボール用澱粉系接着剤に添加することでより速い貼合速度で段ボールシートの製造をするためのものをいう。この際の貼合速度の高速化は、製品段ボールシートの品質(例えば、中芯とライナーとが剥がれてしまう不良品を除いた歩留まり)を損なうことなく達成されることが好ましい。
本明細書において、「澱粉系接着剤」とは、澱粉を主体とする接着剤であって、接着剤を加熱することで発現する澱粉の持つ吸水、膨潤及び糊化の各物性を利用した接着機能を有する接着剤を意味する。「段ボール用澱粉系接着剤」とは、例えば波形に成形された中芯原紙とライナー原紙とを貼り合わせるために用いられる澱粉系接着剤である。「接着剤」は「糊剤」とも換言でき、本明細書においては交換可能に用いられる。
本発明の貼合速度向上剤が用いられる澱粉系接着剤は、限定されない段ボールシートの製造に用いることができる。本発明の好ましい態様の1つにおいては、貼合速度向上剤が用いられる澱粉系接着剤は、一般用段ボールまたははっ水段ボールの製造に用いられる。
ここで、耐水段ボールとは、段ボール業界規格「防水ダンボール」M0002:2000(全国段ボール工業組合連合会)に規定される「耐水段ボール」すなわち、「長時間浸漬しても、あまり強度が劣化しないように加工した段ボール」をいう。「はっ水段ボール」とは、段ボール工業規格M0002:2000に規定される「短時間水が掛かっても、水をはじいて水滴とし、水の浸透を防ぐように表面加工した段ボール」をいう。耐水段ボール及びはっ水段ボールは、「防水段ボール」と総称される。「一般用段ボール」とは、防水段ボール以外のいわゆる耐水性及び/またははっ水性を付与していない段ボールをいう。
本発明の貼合速度向上剤は、フェノール樹脂(フェノールホルムアルデヒド樹脂、フェノールホルムアルデヒド縮合物)を有効成分として含む。ここで有効成分とは、本発明の貼合速度向上剤がその効果を奏するために必須の成分を意味する。本発明において、フェノール樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒドとを縮合させた樹脂である。
フェノール樹脂は、従来耐水化を付与するための成分(耐水化剤)としての用途は知られていたが、貼合速度向上剤としての用途は知られていなかった。また、耐水化剤としての効果は、他の耐水化剤と比べ劣る傾向もあった。
本発明の貼合速度向上剤に含まれるフェノール樹脂は、塩基性触媒の存在下で原料化合物を反応させたレゾール型フェノール樹脂、酸性触媒の存在下で原料化合物を反応させたノボラック型フェノール樹脂のいずれであってもよい。
フェノール樹脂の製造における原材料化合物であるフェノール類としては、フェノール、クレゾール、アミルフェノール、ビスフェノールA、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノールなどが挙げられる。フェノール類は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
フェノール樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒドとを、塩基性触媒または酸性触媒の存在下で反応させることが製造することができる。
フェノール樹脂の分子量は、貼合速度向上の向上が発揮され、かつ、澱粉系接着剤の接
着機能が阻害されない限り特に限定されない。
着機能が阻害されない限り特に限定されない。
フェノール樹脂を含む本発明の貼合速度向上剤は、フェノール樹脂の固形分そのものであっても、フェノール樹脂の溶液若しくは分散液(スラリー)であってもよい。溶液若しくは分散液である場合、その媒体は水を主体とする水性媒体である。水性媒体は、主体成分の水以外に水溶性の有機溶媒(例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類)などを含むことができる。澱粉系接着剤との混合が容易であるとの観点から、溶液若しくは分散液で供給されるレゾール型フェノールがより好ましい。段ボール用澱粉系接着剤に貼合速度向上剤を添加する容易性の観点から、水を溶媒とするレゾール型フェノールがさらに好ましい。また別の態様において、従来から段ボール用澱粉系接着剤の耐水化剤として使用されてきた水溶性フェノール樹脂も好適に使用することができる。
本発明の貼合速度向上剤は、段ボール用澱粉系接着剤に添加することでより高い貼合速度で段ボールシートの製造をするためのものである。以下、段ボール用澱粉系接着剤について説明する。
段ボール用澱粉系接着剤における澱粉は、糊化していない生澱粉からなるメイン澱粉と、化工澱粉をアルカリと熱により完全糊化したキャリア澱粉とを含む。段ボール用澱粉系接着剤は、澱粉が水を主体とする水性媒体に分散した分散液である。
代表的な段ボール用澱粉系接着剤の構成の例として、水、メイン澱粉、キャリア澱粉、アルカリ、及び硼素化合物を含むものが挙げられる。
本発明に使用する澱粉は、従来段ボール用澱粉系接着剤に使われてきた澱粉が使用できる。例えば、コーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉等、及びこれら澱粉を酸化、酸処理、エステル化、エーテル化した澱粉が使用できる。澱粉は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の澱粉系接着剤において、倍水率は、通常1.9~4.5程度である。倍水率を1.9以上とすることで、メイン澱粉が糊化するために十分な水分が供給され良好な接着が得られる。また、倍水率を4.5以下とすることで、接着剤の固形分濃度を所定以上に維持し、良好な初期接着を達成することができる。本明細書において、「倍水率」とは、澱粉系接着剤における(全水量/全澱粉量)の質量比を意味する。
また、本発明の澱粉系接着剤において、キャリア率は、好ましくは通常5~30質量%程度である。キャリア率を5%以上とすることで、良好な保水性、初期接着力を達成することができる。また、キャリア率を30%以下とすることは、段ボール用接着剤として適正な粘度及び保存安定性を得るという観点から好ましい。
本発明の好ましい態様の1つにおいて、澱粉系接着剤はキャリア澱粉として、ハイアミロース澱粉を含む。本明細書において、「ハイアミロース澱粉」とはアミロース含有量50%以上の澱粉を意味する。ハイアミロース澱粉としては、ハイアミロースコーンスターチなどが例示される。
キャリア澱粉としてハイアミロース澱粉を含む場合、キャリア澱粉はハイアミロース澱粉1種のみから構成されても、他の澱粉(1種または2種以上)と組み合わせてもよい。初期接着率を向上させるとの観点から、キャリア澱粉はハイアミロース澱粉に加えて地下茎澱粉をさらに含めることができる。地下茎澱粉としては、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉が例示される。
キャリア澱粉がハイアミロース澱粉及び地下茎澱粉を含む場合、ハイアミロース澱粉及び地下茎澱粉の配合比率は通常30:70~99:1程度とすることができる。
本発明の澱粉系接着剤は、アルカリをさらに含むことができる。本発明に使用するアルカリは、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水酸化カリウム等、従来段ボール用澱粉系接着剤に使われてきたものが使用できる。アルカリは1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。アルカリは好ましくは水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)である。本発明の接着剤の苛性率は、適性糊化温度を得るために製糊条件に合わせて決めればよい。一般的には、アルカリの添加量は苛性率として、通常0.5~1.5質量%の範囲が好ましい。本明細書において、「苛性率」とは、澱粉系接着剤における(苛性量/全糊液量)の質量比を意味する。
本発明の澱粉系接着剤は、上記貼合速度向上剤(フェノール樹脂)を含む。貼合速度向上剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは澱粉の全固形分質量に対して澱粉の全固形分100質量部に対して、0.5~50質量部、より好ましくは1~20質量部である。このような数値範囲とすることにより、高い貼合速度向上の効果が達成される。
本発明の澱粉系接着剤は、好ましい態様の1つにおいて、耐水化を付与するための成分(耐水化剤)としてケトン樹脂(ケトン-ホルムアルデヒド樹脂、ケトン-メラミン樹脂)、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)などの熱可塑性エラストマーなどを含むことができる。ただし、本明細書において、フェノール樹脂は耐水化剤としての熱硬化性樹脂には含まれない。エポキシ樹脂としては、ポリアミドエピクロロヒドリン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物が例示される。耐水化剤の含有量は、澱粉の全固形分質量に対して、通常1~20質量%、好ましくは3~10質量%とすることができる。
本発明の澱粉系接着剤が耐水化剤としてケトン樹脂を含む場合、その固形分含有量は、より高い貼合速度向上の効果を奏するとの観点から、フェノール樹脂の固形分含有量100質量部に対して75質量部以下であることが好ましい。
本発明の接着剤は、別の好ましい態様の1つにおいて、耐水化剤を含有しない。
本発明の澱粉系接着剤は、さらに硼素化合物を含むことができる。硼素化合物は、糊化澱粉を擬似的に架橋して初期接着力を発現させると考えられる。硼素化合物の含有量は、硼砂換算量として、澱粉の全固形分質量に対して、通常1.5質量%~3.3質量%程度、好ましくは1.6~3.3質量%程度、さらに好ましくは1.6~3.0質量%程度、特に好ましくは0.7~2.7質量%程度とすることができる。上記下限値以上とすることで、十分な初期接着力の向上が達成される。また、上記上限値以下とすることで、硼砂と澱粉の反応が進行しゲル化及び/または高粘度化が発生することを抑制できる。
本発明の澱粉系接着剤は、さらに含水イノケイ酸塩鉱物を含むことができる。含水イノケイ酸塩鉱物としては、含水イノケイ酸マグネシウム、含水イノケイ酸アルミニウム・マグネシウム等が挙げられる。含水イノケイ酸塩鉱物は、含水イノケイ酸塩鉱物を主成分とする粘土鉱物に含まれる。含水イノケイ酸塩鉱物を主成分とする粘土鉱物としては、通称「セピオライト」、「アタパルジャイト」、「パリゴルスカイト」等が挙げられ、本発明においてこれらを使用することができる。
含水イノケイ酸塩鉱物を主成分とする粘土鉱物の製造法には、乾式粉砕法と湿式粉砕法の2通りあり、本発明には、いずれの粉砕方法で製造した含水イノケイ酸塩鉱物を主成分
とする粘土鉱物も使用できるが、粘土鉱物の微細繊維構造を解繊/分散させる能力が高く、含水イノケイ酸塩鉱物の機能を引き出すことができる点で、湿式粉砕法が好ましい。
とする粘土鉱物も使用できるが、粘土鉱物の微細繊維構造を解繊/分散させる能力が高く、含水イノケイ酸塩鉱物の機能を引き出すことができる点で、湿式粉砕法が好ましい。
本発明において、含水イノケイ酸塩鉱物の含有量は、澱粉の全固形分質量に対して通常0.1~15質量%程度、好ましくは1~10質量%程度である。含水イノケイ酸塩鉱物の含有量を前記下限値以上とすることで、含水イノケイ酸塩鉱物を含有する十分な効果が認められる。含水イノケイ酸塩鉱物の含有量を前記下限値以上とすることは、経済性の観点及び含水イノケイ酸塩鉱物の持つ特性の1つである揺変性が強く付与されず良好な接着剤の物性が達成されるとの観点から好ましい。
本発明の澱粉系接着剤は、ワンタンクステインホール方式、ツータンクステインホール方式、プレミックス方式、ノーキャリア方式等で調製することができる。
ワンタンクキャリア方式は、一つのタンクに澱粉スラリーを調製しアルカリを加えて澱粉をアルカリ糊化した後、アルカリ糊液希釈のため水を加え、希釈されたアルカリ糊液にメイン澱粉(未糊化澱粉)を加え、さらに必要に応じて硼砂を加えて混合する製糊方式である。ワンタンクキャリア方式を採用する場合は、接着剤の仕上がり粘度、経時粘度の安定化の点から、処理温度は30~45℃であることが好ましく、また、必要に応じて含有するセピオライト等の含水イノケイ酸塩鉱物の繊維を解し、分散させる観点から、製糊時の撹拌の回転数は、好ましくは1000r.p.m.以上、更に好ましくは1500~5000r.p.m.である。1000r.p.m.以上の回転数で撹拌可能な装置としては、例えばサーコ社製糊装置、三菱重工製糊装置MREX、柿田製作所製糊装置が挙げられる。
ワンタンクキャリア方式による好ましい調製法としては、例えば一つのタンクに30~45℃の温水を取り、ホモジナイザーを用いて3000~5000r.p.m.で撹拌し、その中へ澱粉を加え、更に必要に応じて含水イノケイ酸塩鉱物を加え、分散溶解後アルカリを添加し10~15分間撹拌した後、30~45℃の温水を加え、引き続きメイン澱粉(未糊化澱粉)を加え、更に必要に応じて硼砂及び耐水化剤を加え、10~15分間撹拌して段ボール用澱粉系接着剤を製造する方法が挙げられる。
本発明の貼合速度向上剤を添加するタイミングは特に限定されない。例えば、段ボール用澱粉系接着剤の製造過程において、撹拌されている状態で貼合速度向上剤を添加することができる。具体例として、澱粉、アルカリ及び硼素化合物を水に添加し攪拌した後に、貼合速度向上剤を添加することができる。別の態様として、貼合速度向上剤を水に添加し攪拌した後に、当該貼合速度向上剤を添加(溶解若しくは分散)した水に澱粉、アルカリ及び硼素化合物を添加することができる。さらなる別の態様として、段ボールシート製造工程において、接着剤の撹拌が可能なタンク、例えばコルゲーターに接着剤を供給するストレージタンク等に添加することもできる。貼合速度向上剤を段ボール用澱粉系接着剤の製造過程中に複数回添加することもできる。
本発明の段ボール用澱粉系接着剤の製造方法の好ましい態様において、ラピッド・ビスコ・アナライザー(Rapid Visco Analyzer:RVA)を用いて昇温速度5.5℃/min及び回転数160r.p.m.で測定した粘度について、貼合速度向上剤を添加する前の段ボール用澱粉系接着剤が100RVU(Rapid Visco
Analyzer Units)に到達する温度で測定した貼合速度向上剤を添加した段ボール用澱粉系接着剤の粘度が200RVU以上である。
Analyzer Units)に到達する温度で測定した貼合速度向上剤を添加した段ボール用澱粉系接着剤の粘度が200RVU以上である。
測定に際して、試料の段ボール用澱粉系接着剤を、RVA標準の缶(アルミニウム製)及びパドル(RVA standard Can and Paddle、NSP Pe
rten社製)を用いてアルミニウム製RVA測定用缶(Perten社製、内径約36mm、高さ約65mm)に30.0g採取して測定を行う。貼合速度向上剤を添加する前の段ボール用澱粉系接着剤は、例えば上記の水、メイン澱粉、キャリア澱粉、アルカリ、硼素化合物等を含み、貼合速度向上剤であるフェノール樹脂を含まない。
rten社製)を用いてアルミニウム製RVA測定用缶(Perten社製、内径約36mm、高さ約65mm)に30.0g採取して測定を行う。貼合速度向上剤を添加する前の段ボール用澱粉系接着剤は、例えば上記の水、メイン澱粉、キャリア澱粉、アルカリ、硼素化合物等を含み、貼合速度向上剤であるフェノール樹脂を含まない。
本発明の段ボール用澱粉系接着剤の製造方法の別の好ましい態様において、RVAの加熱冷却ブロックを、測定開始直後から測定終了まで90℃一定となるようにプログラムし、90℃に予熱し、アルミニウム製RVA標準缶に30g採取し、RVA標準パドルと共にRVAに装着し、測定開始直後から測定終了までパドル回転数500r.p.m.の速度で撹拌するようにプログラムし、粘度測定を開始する条件下において、粘度測定開始時から150RVU粘度到達までの時間が50秒以下の粘度上昇開始時間である。
ラピッド・ビスコ・アナライザー(Rapid Visco Analyzer(RVA)を用いた粘度測定は、AACC(American Association for Clinical Chemistry)-22-08、ICC(International Color Consortium)規格No. 162等の規格試験に準じて行うこと
ができる。
ができる。
RVAを用いて粘度を測定する際において、昇温する前の段ボール用澱粉系接着剤の温度は、30~40℃程度である。
本発明の段ボール用澱粉系接着剤は、段ボール用澱粉系接着剤の製糊完了時点における(製糊直後の)粘度は特に限定されない。粘度は必要とされる段ボール原紙への付着量や貼合速度等の操業条件に応じて適宜設定することができる。段ボール原紙への付着量の調整の容易性(例えば、段ボール原紙への付着量が多くなりすぎないように調整できる)の観点、粘度安定性の観点などから、本発明の段ボール用澱粉系接着剤の製糊直後の粘度(B型粘度計により測定)は、700mPa・S以下であることが好ましく、600mPa・S以下であることがより好ましく、500mPa・S以下であることがさらに好ましい。また、段ボール用澱粉系接着剤の段ボール原紙への付着量の調整の容易性(例えば、段ボール原紙への付着量が少なくなりすぎないように調整できる)の観点、過度の原紙への浸み込みを抑制し、所望の強度を得るとの観点などから、本発明の段ボール用澱粉系接着剤の製糊直後の粘度(B型粘度計により測定)は、100mPa・S以上であることが好
ましく、150mPa・S以上であることがより好ましい。
ましく、150mPa・S以上であることがより好ましい。
本明細書において、「製糊完了時点」とは、本発明の貼合速度向上剤を含めた段ボール用澱粉系接着剤のすべての成分を配合し、十分な撹拌を行った時点をいう。撹拌は一般に5~30分程度、好ましくは10~20分程度、より好ましくは15分程度行うことができる。撹拌終了後から15分程度以内を「製糊完了時点」とすることができる。
本発明は、貼合速度が向上した段ボールシートの製造方法をも提供する。本発明の製造方法は、上記本発明の貼合速度向上剤を含む澱粉系接着剤を用いて段ボールシートを製造するものであり、上記本発明の貼合速度向上剤を含む澱粉系接着剤を用いて中芯とライナーとを貼合する工程を含む。
本発明の段ボールシートの製造方法に用いる中芯及びライナーは特に限定されない。本発明の好ましい態様の1つにおいては、一般用段ボールまたははっ水段ボールの製造に用いられる中芯及びライナーを用いることができる。段ボール用澱粉系接着剤がライナーに速く浸透し、いわゆる「糊足」が深くなりやすく高い接着力が発揮されるとの観点からである。
耐水段ボールに使用されるライナーは、中芯との接着面は比較的強いはっ水性が付与さ
れている。一方、一般用段ボールに使用されるライナーははっ水性を付与されておらず、はっ水段ボールも耐水段ボールほど強いはっ水性は付与されていない。
れている。一方、一般用段ボールに使用されるライナーははっ水性を付与されておらず、はっ水段ボールも耐水段ボールほど強いはっ水性は付与されていない。
本発明の段ボールシートの製造方法に用いる中芯及びライナーの中芯との接着面の好ましいはっ水度は、JIS K6768に規定される「ぬれ張力試験用混合液」No.48.0(ぬれ張力48.0mN/mの液)を、ライナーからの高さ5.0~7.0mmの位置からパスツールピペット等を用いて0.020g~0.040gの液滴として滴下した際の、液滴高さが0.50mm以下となるまでに要する時間を目安とすることができる(図2参照)。液滴高さが0.50mm以下となるまでに要する時間は10秒以下が好ましく、好ましくは5秒以下がより好ましく、2秒以下がさらに好ましい。
本発明の段ボールシートの製造方法は、通常使用されるコルゲーターを用いて行うことができる。すなわち、例えば、糊ロール及び糊ロールに本発明の段ボール用澱粉系接着剤を付着させる手段を少なくとも有するコルゲーターを用い、波形に成形された中芯紙の頂縁と糊ロールとを当接させて頂縁に本発明の段ボール用澱粉系接着剤を塗布する工程と、中芯の、本発明の段ボール用澱粉系接着剤が塗布された片面または両面にライナー紙を貼り合わせる工程と、を含む段ボールシートの製造方法により製造することができる。例えば、本発明の澱粉系接着剤を用いて、グラビアロールを備えたコルゲーターにより段ボールシートを製造することができる。
段ボールシートの糊付け機は、アプリケータロールとドクターロールから構成される。アプリケータロール(糊付けロール)には、メタリングロール、梨地ロール、グラビアロールの各種類がある。メタリングロール、梨地ロールは、ロール表面が平滑な糊付けロールであり、グラビアロールは、ロール表面に凹み(セル)が多数設けられた糊付けロールである。糊バットに浸ったロールには、ロール表面に付着した接着剤が回転によりピックアップされ、ドクターロールによりロール表面に付着した余分な接着剤は掻き落される。表面が平滑なロールでは、粘度低下を起した接着剤はロールへのピックアップが十分に行われず、接着剤の塗布が不均一となり接着剤は斑に塗布されて、接着性能に影響を与える。一方、グラビアロールでは、ロール表面に刻まれた凹み(セル)に接着剤が入り込むため、粘度低下を起した接着剤でもピックアップが容易となり、均一な接着剤の塗布が可能となる。
段ボールの製造において、中芯とライナーとの貼り合せ後での加熱により、(1)未糊化澱粉の膨潤、(2)接着剤の増粘、(3)未糊化澱粉の糊化(4)接着剤の乾燥等の工程を経て接着が完了すると考えられている。加熱は、通常熱板等を用いて行う。接着が不十分であると、カッティングやスリッティング等の裁断時の接着部への圧力により中芯とライナーとが剥離してしまう場合がある。そのため、接着を十分なものとするために、貼合速度(ライン速度)を調整して熱板等による加熱時間を調整する。
原理は定かではないが、本発明の貼合速度向上剤を段ボール用澱粉系接着剤に配合することで、ストレージタンク保管温度域(例えば、45℃以下)においては粘度が適度に低下するため、アルカリの添加や澱粉含有量を高めた場合にトラブルが発生せず、かつ、貼合工程における加熱乾燥(例えば、装置温度として160℃以上、より好ましくは180℃以上での加熱工程、この際、シート温度としては60℃以上、より好ましくは65℃以上)工程での温度域では速やかに増粘し初期接着強度を発現する。そのため、貼合速度向上剤を段ボール用澱粉系接着剤に添加することで、段ボールシートの製造における貼合速度向上させることができる。
従って、本発明は貼合速度向上剤を段ボール用澱粉系接着剤に添加する工程を含む、段ボールシートの製造における貼合速度向上方法をも提供する。貼合速度向上剤を添加する
前の段ボール用澱粉系接着剤は、例えば上記の水、メイン澱粉、キャリア澱粉、アルカリ、硼素化合物等を含み、貼合速度向上剤であるフェノール樹脂を含まない。
前の段ボール用澱粉系接着剤は、例えば上記の水、メイン澱粉、キャリア澱粉、アルカリ、硼素化合物等を含み、貼合速度向上剤であるフェノール樹脂を含まない。
限定されない段ボールシートの製造が、貼合速度向上方法の対象となる。具体的には、一般用段ボールの製造、はっ水段ボールの製造、さらには、フェノール樹脂以外の耐水化剤を含む澱粉系接着剤を用いたはっ水段ボールの製造が対象となる。
<実施例>
実施例1
<キャリアパートの調製>
1Lのステンレスジョッキに水600gを取り、ウォーターバスを用いて60℃に加熱し
、市販の段ボール用澱粉系接着剤用コーンスターチ(王子コーンスターチ(株)製)を72g加え、特殊機化工業(株)製の攪拌機ロボミックス(4500r.p.m.)で分散させ、澱粉スラリーを調製した。撹拌しながらこの澱粉スラリーに25%濃度の苛性ソーダ溶液50gを投入し、15分間撹拌して、段ボール用澱粉系接着剤のキャリア澱粉を製造した。
実施例1
<キャリアパートの調製>
1Lのステンレスジョッキに水600gを取り、ウォーターバスを用いて60℃に加熱し
、市販の段ボール用澱粉系接着剤用コーンスターチ(王子コーンスターチ(株)製)を72g加え、特殊機化工業(株)製の攪拌機ロボミックス(4500r.p.m.)で分散させ、澱粉スラリーを調製した。撹拌しながらこの澱粉スラリーに25%濃度の苛性ソーダ溶液50gを投入し、15分間撹拌して、段ボール用澱粉系接着剤のキャリア澱粉を製造した。
<メインパートの調製>
3Lのステンレスジョッキに水840gを取り、ウォーターバスを用いて35℃に加熱し、市販のコーンスターチ(王子コーンスターチ(株))製)を485g投入し、特殊機化工業(株)製の攪拌機ロボミックス(4500r.p.m.)で分散させ、メイン澱粉を調製した。
3Lのステンレスジョッキに水840gを取り、ウォーターバスを用いて35℃に加熱し、市販のコーンスターチ(王子コーンスターチ(株))製)を485g投入し、特殊機化工業(株)製の攪拌機ロボミックス(4500r.p.m.)で分散させ、メイン澱粉を調製した。
<段ボール用澱粉系接着剤の調製>
得られたメイン澱粉を前記攪拌機(4000r.p.m.)で撹拌しながらチューブポンプを用いて120g/分の速度でキャリア澱粉を投入した。投入に要した時間は6分であった。
得られたメイン澱粉を前記攪拌機(4000r.p.m.)で撹拌しながらチューブポンプを用いて120g/分の速度でキャリア澱粉を投入した。投入に要した時間は6分であった。
引き続き撹拌を続けながら、5水塩の硼砂を添加した。
さらに、引き続き撹拌を続けながらフェノール樹脂(アイカ工業社製 PX-24)を表1の添加量となるように添加し、15分間撹拌した。
得られた接着剤の粘度は280mPa・S(B型粘度計で測定)であった。
また、得られた接着剤をRVA(ラピッド・ビスコ・アナライザー、NEWPORT SCIENTIFIC社製)測定用アルミカップに30g採取し、当該測定器を用いて昇温速度5.5℃、回転数160r.p.m.で500RVU到達までの温度-粘度曲線を
採取した。得られた曲線から、100RVU到達温度を測定した。
採取した。得られた曲線から、100RVU到達温度を測定した。
<初期接着強度>
50mm×85mmの大きさの一般用片面段ボール(ライナー坪量、280g/中芯坪量:180g)に絶乾重量で5g/m2の段ボール用接着剤を塗布し、ロードセルの付い
たピンテスターにセットした。その上にライナー(坪量:280g)を置き、自重1Kgの熱板(180℃)により、圧着した。圧着時間は、2秒、3秒または5秒とし、それぞれの場合について圧着後、直ちにライナーと片面段ボールを剥がし、そのときの強度を初期接着強度として、ロードセルによって測定した。
50mm×85mmの大きさの一般用片面段ボール(ライナー坪量、280g/中芯坪量:180g)に絶乾重量で5g/m2の段ボール用接着剤を塗布し、ロードセルの付い
たピンテスターにセットした。その上にライナー(坪量:280g)を置き、自重1Kgの熱板(180℃)により、圧着した。圧着時間は、2秒、3秒または5秒とし、それぞれの場合について圧着後、直ちにライナーと片面段ボールを剥がし、そのときの強度を初期接着強度として、ロードセルによって測定した。
実施例2~5及び比較例
フェノール樹脂添加量及びケトン樹脂(耐水化剤A(王子コーンスターチ(株)製)添加量を表1に示す通りとした以外、実施例1と同様に初期接着強度を測定した。なお、ケトン樹脂は、フェノール樹脂の添加直後に、フェノール樹脂同様、段ボール用接着剤を撹拌しながら添加した。
フェノール樹脂添加量及びケトン樹脂(耐水化剤A(王子コーンスターチ(株)製)添加量を表1に示す通りとした以外、実施例1と同様に初期接着強度を測定した。なお、ケトン樹脂は、フェノール樹脂の添加直後に、フェノール樹脂同様、段ボール用接着剤を撹拌しながら添加した。
結果を表1及び図1に示す。
比較例2
<ワンタンク方式での段ボール用澱粉系接着剤の製造>
3Lのステンレスジョッキに水1010gを取り、ウォーターバスを用いて35℃に加熱し、市販の段ボール用澱粉系接着剤用コーンスターチ(王子コーンスターチ(株)製OHP-C153))を99g加え、特殊機化工業(株)製の攪拌機ロボミックス(4500r.p.m.)で撹拌しながらこの澱粉スラリーに25%濃度の苛性ソーダ溶液55gを投入し、15分間撹拌した。さらに撹拌を続けながら、水を700g投入し、市販のコーンスターチ(王子コーンスターチ(株))製)を545g投入し、10水塩の硼砂を8.5g投入し、15分間撹拌して澱粉系段ボール用接着剤を製造した。得られた接着剤の粘度は240mPa・s(B型粘度計で測定)であった。得られた接着剤は、スリーワンモーターを用いて600r.p.m.で撹拌しながら保管し、後述するRVA測定、及び初期接着強度の測定を行った。
<ワンタンク方式での段ボール用澱粉系接着剤の製造>
3Lのステンレスジョッキに水1010gを取り、ウォーターバスを用いて35℃に加熱し、市販の段ボール用澱粉系接着剤用コーンスターチ(王子コーンスターチ(株)製OHP-C153))を99g加え、特殊機化工業(株)製の攪拌機ロボミックス(4500r.p.m.)で撹拌しながらこの澱粉スラリーに25%濃度の苛性ソーダ溶液55gを投入し、15分間撹拌した。さらに撹拌を続けながら、水を700g投入し、市販のコーンスターチ(王子コーンスターチ(株))製)を545g投入し、10水塩の硼砂を8.5g投入し、15分間撹拌して澱粉系段ボール用接着剤を製造した。得られた接着剤の粘度は240mPa・s(B型粘度計で測定)であった。得られた接着剤は、スリーワンモーターを用いて600r.p.m.で撹拌しながら保管し、後述するRVA測定、及び初期接着強度の測定を行った。
<初期接着強度>
50mm×85mmの大きさの一般用片面段ボール(ライナー坪量、280g/中芯坪量:180g)に絶乾重量で5g/m2の段ボール用接着剤を塗布し、ロードセルの付い
たピンテスターにセットした。その上にライナー(坪量:280g)を置き、自重1Kgの熱板(180℃)により、圧着した。圧着時間は、3秒、5秒または7秒とし、それぞれの場合について圧着後、直ちにライナーと片面段ボールを剥がし、そのときの強度を初期接着強度として、ロードセルによって測定した。
50mm×85mmの大きさの一般用片面段ボール(ライナー坪量、280g/中芯坪量:180g)に絶乾重量で5g/m2の段ボール用接着剤を塗布し、ロードセルの付い
たピンテスターにセットした。その上にライナー(坪量:280g)を置き、自重1Kgの熱板(180℃)により、圧着した。圧着時間は、3秒、5秒または7秒とし、それぞれの場合について圧着後、直ちにライナーと片面段ボールを剥がし、そのときの強度を初期接着強度として、ロードセルによって測定した。
<RVAを用いた90℃下における粘度上昇>
RVA(ラピッド・ビスコ・アナライザー、NEWPORT SCIENTIFIC社製)の加熱冷却ブロックを、測定開始直後から測定終了まで90℃一定となるようにプログラムし、90℃に予熱した。上記で得られた接着剤をRVA標準缶(アルミニウム製、Perten社)に30g採取し、RVA標準パドルと共にRVAに装着し、測定開始直後から測定終了までパドル回転数500r.p.m.の速度で撹拌するようにプログラムした。
RVA(ラピッド・ビスコ・アナライザー、NEWPORT SCIENTIFIC社製)の加熱冷却ブロックを、測定開始直後から測定終了まで90℃一定となるようにプログラムし、90℃に予熱した。上記で得られた接着剤をRVA標準缶(アルミニウム製、Perten社)に30g採取し、RVA標準パドルと共にRVAに装着し、測定開始直後から測定終了までパドル回転数500r.p.m.の速度で撹拌するようにプログラムした。
そして、測定を開始し、時間-RVA粘度曲線を得た。なお、この測定は、段ボール用
澱粉系接着剤調整過程において最後に添加する薬品である10水塩の硼砂を添加した時点から30分経過後及び150分経過後に行った。
澱粉系接着剤調整過程において最後に添加する薬品である10水塩の硼砂を添加した時点から30分経過後及び150分経過後に行った。
実施例7
比較例2と同様にワンタンク方式で澱粉系接着剤を作成した。そして、10水塩の硼砂を添加してから5分後に、レゾール型水溶性フェノール樹脂 商品名 PR―967(不揮発分濃度 40%、住友ベークライト社製)を有姿で32.2g添加した。これは全澱粉量(キャリア澱粉とメイン澱粉の合計量)に対して5質量%となる量である。硼砂添加後15分間の撹拌が終了した時点での粘度は230mPa・Sであった。その後比較例2と同様に初期接着強度を測定した。また、90℃下での粘度上昇を、比較例2と同様に測定した。尚、この測定は、実施例7の段ボール用接着剤を製造する際に最後に添加する薬品であるフェノール樹脂を添加してから30分及び150分後に行った。
比較例2と同様にワンタンク方式で澱粉系接着剤を作成した。そして、10水塩の硼砂を添加してから5分後に、レゾール型水溶性フェノール樹脂 商品名 PR―967(不揮発分濃度 40%、住友ベークライト社製)を有姿で32.2g添加した。これは全澱粉量(キャリア澱粉とメイン澱粉の合計量)に対して5質量%となる量である。硼砂添加後15分間の撹拌が終了した時点での粘度は230mPa・Sであった。その後比較例2と同様に初期接着強度を測定した。また、90℃下での粘度上昇を、比較例2と同様に測定した。尚、この測定は、実施例7の段ボール用接着剤を製造する際に最後に添加する薬品であるフェノール樹脂を添加してから30分及び150分後に行った。
実施例8
レゾール型水溶性フェノール樹脂の添加量を64.4g(全澱粉量に対するに対して10%)に変更した以外は、実施例7と同様に澱粉系接着剤の製造、初期接着強度の測定、及びRVA測定を行った。なお、硼砂添加後15分間の撹拌が終了した時点での粘度は210mPa・Sであった。
レゾール型水溶性フェノール樹脂の添加量を64.4g(全澱粉量に対するに対して10%)に変更した以外は、実施例7と同様に澱粉系接着剤の製造、初期接着強度の測定、及びRVA測定を行った。なお、硼砂添加後15分間の撹拌が終了した時点での粘度は210mPa・Sであった。
得られた結果を表2、及びグラフ図3のグラフに示す。
本発明の貼合速度向上剤を含む段ボール用澱粉系接着剤は、粘度上昇開始時間が短い傾向が認められた。粘度上昇開始時間が短いことにより、初期接着強度が向上し、貼合速度向上が達成できると推測される。また、本発明の貼合速度向上剤を含む段ボール用澱粉系接着剤は、製糊から時間が経過しても初期接着強度の低下が小さい傾向も認められた。初期接着強度の低下が小さいため、ポットライフが長くなることが期待できる。
Claims (10)
- フェノール樹脂を含む、段ボール用澱粉系接着剤に用いるための貼合速度向上剤。
- フェノール樹脂が、レゾール型フェノール樹脂またはノボラック型フェノール樹脂である、請求項1に記載の貼合速度向上剤。
- 請求項1または2に記載の貼合速度向上剤を含む、段ボール用澱粉系接着剤。
- フェノール樹脂の固形分含有量が、澱粉系接着剤の澱粉の全固形分100質量部に対して、0.5~50質量部である、請求項3に記載の段ボール用澱粉系接着剤。
- ケトン樹脂をさらに含有し、ケトン樹脂の固形分含有量がフェノール樹脂の固形分含有量100質量部に対して75質量部以下である、請求項3または4に記載の段ボール用澱粉系接着剤。
- 請求項1または2に記載の貼合速度向上剤を含む段ボール用澱粉系接着剤を用いて中芯とライナーとを貼合する工程を含む、段ボールシートの製造方法。
- 段ボール用澱粉系接着剤に請求項1または2に記載の貼合速度向上剤を添加する工程を含む、段ボール用澱粉系接着剤の製造方法。
- ラピッド・ビスコ・アナライザー(Rapid Visco Analyzer:RVA)を用いて昇温速度5.5℃/min及び回転数160r.p.m.で測定した粘度について、貼合速度向上剤を添加する前の段ボール用澱粉系接着剤が100RVU(Rapid Visco Analyzer Units)に到達する温度で測定した貼合速度向上剤を添加した段ボール用澱粉系接着剤の粘度が200RVU以上である、請求項7に記載の段ボール用澱粉系接着剤の製造方法。
- ラピッド・ビスコ・アナライザー(Rapid Visco Analyzer:RVA)の加熱冷却ブロックを、測定開始直後から測定終了まで90℃一定となるようにプログラムし、90℃に予熱し、アルミニウム製RVA標準缶に30g採取し、RVA標準パドルと共にRVAに装着し、測定開始直後から測定終了までパドル回転数500r.p.m.の速度で撹拌するようにプログラムし、粘度測定を開始する条件下において、粘度測定開始時から150RVU(Rapid Visco Analyzer Units)粘度到達までの時間が50秒以下の粘度上昇開始時間である、請求項7又は8に記載の段ボール用接着剤の製造方法。
- 請求項1または2に記載の貼合速度向上剤を段ボール用澱粉系接着剤に添加する工程を含む、段ボールシートの製造における貼合速度向上方法。
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